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フロニカミド試験法(農産物)

1.分析対象化合物

 フロニカミド
 N−(4−トリフルオロメチルニコチノイル)グリシン (以下「TFNG」 という。)
 4−トリフルオロメチルニコチン酸 (以下「TFNA」 という。)

2.装置

 液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)

3.試薬、試液

 次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
 フロニカミド標準品 本品はフロニカミド 96%以上を含み、融点は158℃である。
 TFNG標準品 本品はTFNG 95%以上を含み、融点は170℃である。
 TFNA標準品 本品はTFNA 94%以上を含み、融点は140℃である。

4.試験溶液の調製

  1. 1)抽出
     果実及び野菜の場合は試料20.0gを量り採る。種実類の場合は試料10.0g、茶の場合は試料5.00gにそれぞれ水20 mLを加え、2時間放置する。
     これにメタノール100 mLを加え、ホモジナイズした後、吸引ろ過する。ろ紙上の残留物に、メタノール50 mLを加えてホモジナイズし、上記と同様にろ過する。得られたろ液にメタノールを加えて正確に200 mLとし、この4mLを採り、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物に1%ギ酸5mLを加えて溶かす。
  2. 2)精製
    1. (1) 果実、野菜及び種実類の場合
       スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラム(500 mg)にメタノール10 mL、水10 mL及び1%ギ酸10 mLを順次注入し、各流出液は捨てる。グラファイトカーボンミニカラム(500 mg)にギ酸及びメタノール(1:99)混液10 mL及び1%ギ酸10 mLを順次注入し、各流出液は捨てる。
       スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラムに、1)で得られた溶液を注入し、流出液は捨てる。さらに、1%ギ酸5mL及びギ酸、水及びメタノール(1:90:10)混液8mLを順次注入し、各流出液は捨てる。次いで、このカラムの下部にグラファイトカーボンミニカラムを接続し、ギ酸、水及びメタノール(1:30:70)混液10 mLを注入し、溶出液を採る。スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラムを除去した後、グラファイトカーボンミニカラムにギ酸及びメタノール(1:99)混液10 mLを注入し、溶出液を採り、先の溶出液と合わせ、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル及び水(1:9)混液に溶解し、果実及び野菜の場合は正確に2mL、種実類の場合は正確に1mLとしたものを試験溶液とする。
    2. (2) 茶の場合
       1)で得られた溶液を、(1)果実、野菜及び種実類の場合と同様に、スチレンジビニルベンゼン共重合体カラムクロマトグラフィー及びグラファイトカーボンカラムクロマトグラフィーによる精製に供し、得られた残留物に酢酸エチル及びn−ヘキサン(1:1)混液5mLを加えて溶かす。
       シリカゲルミニカラム(690 mg)に酢酸エチル5mL及びn−ヘキサン5mLを順次注入し、各流出液は捨てる。このカラムに上記の溶液を注入し、流出液は捨てる。さらに、酢酸エチル及びn−ヘキサン(1:1)混液5mLを注入し、流出液は捨てる。次いで、酢酸エチル及びn−ヘキサン(4:1)混液10 mLを注入し、溶出液(I)を採る。さらに、アセトン10 mL及びアセトニトリル10 mLを順次注入し、各流出液は捨てる。次いで、アセトン、酢酸及び酢酸エチル(40:1:60)混液20 mLを注入し、溶出液(II)を採る。各溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。溶出液(I)の残留物をアセトニトリル及び水(1:9)混液に溶解し、正確に5mLとしたものをフロニカミドの試験溶液とする。また、溶出液(II)の残留物をアセトニトリル及び水(1:9)混液に溶解し、正確に5mLとしたものをTFNG及びTFNAの試験溶液とする。

5.検量線の作成

 フロニカミド及びTFNGについては 0.002〜0.04 mg/L、TFNAについては 0.0016〜0.032 mg/Lを含むアセトニトリル及び水(1:9)混液の混合標準溶液を数点調製し、それぞれ10μLをLC/MSに注入し、ピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。

6.定量

 試験溶液10μLをLC/MSに注入し、5の検量線でフロニカミド、TFNG及びTFNAの含量を求め、次式によりTFNG及びTFNAを含むフロニカミドの含量を求める。
 フロニカミド(TFNG及びTFNAを含む)の含量(ppm)=A+B×0.92+C×1.20
 A:フロニカミドの含量(ppm)
 B:TFNGの含量(ppm)
 C:TFNAの含量(ppm)

7.確認試験

 LC/MSにより確認する。

8.測定条件

  1. (1) 果実及び野菜の場合
     LC/MS
     カラム: オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径2mm、長さ 150 mm
     カラム温度:40℃
     移動相:アセトニトリル、酢酸及び水(10:0.1:90)混液で5分間保持し、次いで、(60:0.1:40)混液までの濃度勾配を15分間で行う。
     イオン化モード: ESI(負イオンモード)
     主なイオン (m/z): フロニカミド 228、TFNG 247、TFNA 190
     保持時間の目安: フロニカミド 15分、TFNG 9分、TFNA 6分
  2. (2) 種実類及び茶の場合
     LC/MS
     カラム:多孔性グラファイトカーボン(粒径5μm)、内径 2mm、長さ 150 mm
     カラム温度:40℃
     移動相:アセトニトリル、ギ酸及び水混液(20:0.1:80)から(70:0.1:30)までの濃度勾配を20分間で行い、さらに5分間保持する。
     イオン化モード: ESI(負イオンモード)
     主なイオン (m/z): フロニカミド 228、TFNG 247、TFNA 190
     保持時間の目安: フロニカミド 11分、TFNG 8分、TFNA 13分

9.定量限界

 各化合物 0.01 mg/kg(TFNG及びTFNAはフロニカミド換算)
 茶の場合は、各化合物 0.1 mg/kg(TFNG及びTFNAはフロニカミド換算)

10.留意事項

  1. 1)試験法の概要
     フロニカミド、TFNG及びTFNAを試料からメタノールで抽出し、スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラム及びグラファイトカーボンミニカラムで精製し、茶の場合はさらにシリカゲルミニカラムで精製した後、LC/MSで測定及び確認する方法である。なお、フロニカミド及びその代謝物であるTFNG及びTFNAのそれぞれについて定量を行い、TFNA及びTFNGについてはそれぞれの含量に係数を乗じてフロニカミドの含量に変換し、これらの和を分析値とする。
  2. 2)注意点
    1. (1) 茶以外の農産物において、精製が不十分な場合は、本試験法に示されているシリカゲルミニカラムによる精製を追加するとよい。
    2. (2) LC/MS測定でも、試料由来の妨害ピークが検出されることがある。このような場合は、測定条件の変更やLC/MS/MSの使用により確認することが望ましい。
    3. (3) 果実、野菜及び種実類の場合は、スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラムで精製し、溶出液を合わせて測定するが、茶の場合はさらにシリカゲルミニカラムで精製し、溶出液(I)と溶出液(II)を分けて測定する。
    4. (4) 茶では、シリカゲルミニカラムによる精製を省略すると、イオン化抑制と思われる現象が、特にフロニカミドにおいて顕著に認められる。茶以外の農産物においても、回収率が著しく低い場合は、精製不足を考慮する必要がある。
    5. (5) 種実類では夾雑ピークによる影響を低減し、茶ではイオン化抑制が原因と思われる低回収を効果的に軽減するため、「8.測定条件 (2)種実類及び茶の場合」の条件で測定する。

11.参考文献

12.類型

 C

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