ピリチオバックナトリウム塩試験法(農産物)

1.分析対象化合物
 ピリチオバックナトリウム塩

2.装置
 カラムスイッチングシステム及び紫外分光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC-UV(カラムスイッチング))
 液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)又は液体クロマトグラフ・タンデム型質量分析計(LC/MS/MS)

3.試薬、試液
 次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
 0.03 mol/Lリン酸緩衝液(pH3.0) リン酸二水素カリウム7.21g、アジ化ナトリウム0.2g及びリン酸0.40 mLに水を加えて2,000 mLとし、リン酸又は50%水酸化ナトリウム溶液を加えてpH3.00に調整する。
 水(pH2.4) 水にリン酸を加えてpH2.40(±0.05)に調整する。
 オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(2,000 mg) 内径12〜13 mmのポリエチレン製のカラム管に、オクタデシルシリル化シリカゲル2,000 mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離性能を有するものを用いる。
 トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(5,000 mg) 内径19 mmのポリエチレン製のカラム管に、トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲル5,000 mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離性能を有するものを用いる。

4.試験溶液の調製
1)抽出
 試料5.00gにアセトニトリル及び0.01 mol/L炭酸アンモニウム溶液(2:1)混液100 mLを加え、ホモジナイズした後、3,000 回転で15分間遠心分離する。
 上澄液60 mLを採り、これにジクロロメタン50 mLを加え、振とうした後、ジクロロメタン層は捨てる。水層に塩化ナトリウム0.05g及びジクロロメタン50 mLを加え、振とうした後、ジクロロメタン層は捨てる。

2)精製
(1) トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー
 トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(5,000 mg)にメタノール 20 mL、水20 mL及び0.01 mol/L炭酸アンモウム溶液20 mLを順次注入し、各流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた水層を注入した後、0.01 mol/L炭酸アンモニウム溶液5mLを注入し、各流出液は捨てる。

(2) オクタデシルシリル化シリカゲルカラムクロマトグラフィー
 オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラム(2,000 mg)にメタノール5mL及び水10 mLを順次注入し、各流出液は捨てる。次いで1mol/Lクエン酸カリウム溶液及びメタノール(3:1)混液20 mLを注入し、カラムの上に同混液約10 mLが残るまで流出させ、流出液は捨てる。このカラムを、(1)のミニカラムの下に連結し、(1)のミニカラムに1mol/Lクエン酸カリウム溶液及びメタノール(3:1)混液20 mLを注入し、流出液を捨て、更に10分間通気して脱水する。
 (1)のミニカラムを捨て、オクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムに水10 mL、水(pH2.4)10 mL及び30%メタノール含有水(pH2.4)10 mLを順次注入し、各流出液を捨て、更に15分間通気して脱水する。次いで、メタノール10 mLを注入し、溶出液を50℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をアセトニトリル及び0.03 mol/Lリン酸緩衝液(28:72)混液0.5 mLに溶解したものを試験溶液とする。

5.検量線の作成
 ピリチオバックナトリウム塩標準品をメタノールに溶解して標準原液を調製し、アセトニトリル及び0.03 mol/Lリン酸緩衝液(28:72)混液で希釈して、0.03〜0.8 mg/Lの標準溶液を数点調製し、それぞれ100μLをHPLCに注入し、ピーク高法又はピーク面積法により検量線を作成する。

6.定量
 試験溶液100μLをHPLC又はLC/MS(LC/MS/MS)に注入し、5の検量線でピリチオバックナトリウム塩の含量を求める。

7.確認試験
 LC/MS(LC/MS/MS)により確認する。

8.測定条件
 HPLC(カラムスイッチング方式)
 検出器:UV(波長254 nm)
ラム(1):シアノプロピルシリル化シリカゲル(粒径5μm) 内径4.0 mm、長さ150 mm
ラム(2):オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)、内径4.6 mm、長さ250 mm
 カラム温度:40℃
 移動相:
A:アセトニトリル、B:0.03 mol/Lリン酸緩衝液(pH3.0)、C:水
 カラム(1)とカラム(2)を離した状態で、試験溶液を注入後、A28%、B72%、流速1mL/分で操作し、ピリチオバックナトリウム塩の保持時間直前(注入から8〜10分後)にカラム(1)とカラム(2)をつなぎ、ピリチオバックナトリウム塩をカラム(1)からカラム(2)に移す。
 ピリチオバックナトリウム塩がカラム(2)に移動した後、カラム(1)とカラム(2)を切り離し、カラム(1)をA 75%、C 25%、流速2mL/分で5分間洗浄する。次いで、A 43%、B 57%、流速2mL/分で10分間調整した後、同移動相、流速1mL/分で1分間調整する。
 再びカラム(1)とカラム(2)をつなぎ、A 43%、B 57%、流速1mL/分で操作し、ピリチオバックナトリウム塩を溶出させる。
 次いで、両カラムをA 75%、C 25%、流速1mL/分で15分間洗浄した後、A 43%、B 57%、流速1mL/分で調整する。
 カラム(1)とカラム(2)を離し、カラム(1)をA 28%、B 72%、流速2mL/分で5分間調整した後、流速1mL/分で1分間調整する。
 注入量:100μL
 保持時間の目安:37分

 LC/MS/MS
 カラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径 5μm) 内径4.6 mm、長さ150 mm
 カラム温度:30℃
 移動相:A液及びB液について下の表の濃度勾配で送液する。
A液:1% 酢酸
B液:アセトニトリル
時間(分) A液(%) B液(%)
85 15
85 15
17 40 60
18 10 90
25 10 90
35 終了  
 流量:1.0 mL/分
 イオン化モード:APCI
 主なイオン(m/z):ESI(+) プリカーサーイオン327、プロダクトイオン309
 注入量:100μL
 保持時間の目安:15分

9.定量限界
 0.01 mg/kg

10.留意事項
1)試験法の概要
 試料からピリチオバックナトリウム塩をアセトニトリル及び0.01 mol/L炭酸アンモニウム溶液(2:1)混液で抽出し、ジクロロメタンで洗浄した後、トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム及びオクタデシルシリル化シリカゲルミニカラムで精製し、カラムスイッチングシステム付きHPLC-UV又はLC/MS(LC/MS/MS)で測定し、LC/MS(LC/MS/MS)で確認する方法である。

2)注意点
(1) 本法はDuPont社が開発した、綿実を対象とした試験法である。Sumpter, S.R.らの方法ではカラムスイッチングシステム付きHPLCで測定している。LC/MS/MSの条件は、Bramble, F.Q.らの報告を引用した。
(2) 0.03 mol/Lリン酸緩衝液(pH3.0)は毎日使用前に0.45μmのフィルターでろ過する
(3) 試験溶液の調製時は、アセトニトリル及び0.03 mol/Lリン酸緩衝液(28:72)混液に溶解する前の状態で冷蔵保存可能である。

11.参考文献
    Bramble, F.Q.ら,Analytical method for the determination of pyrithiobac sodium in cotton gin trash using ASE extraction and LC/MS/MS analysis, DuPont社報告、
http://www.epa.gov/oppbead1/methods/rammethods/2001_035M.tif

12.類型
 D(Sumpter,S.R.ら,Improved analytical enforcement method for the determination of KIH-2031(DPX-PE350) residues in cottonseed using column-switching liquid chromatography、 DuPont社報告、
http://www.epa.gov/oppbead1/methods/rammethods/1994_001M.tif)

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