オキソリニック酸試験法(農産物)
1.分析対象化合物
オキソリニック酸
2.装置
蛍光光度型検出器付き高速液体クロマトグラフ(HPLC-FL)
液体クロマトグラフ・質量分析計(LC/MS)
3.試薬、試液
次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。
液 | 相分離ろ紙 液相分離ろ紙(化学分析用ろ紙をシリコン処理したもの) |
ト | リ-n-オクチルアミン トリ-n-オクチルアミン(純度97%以上のもの) |
オキソリニック酸標準品 本品はオキソリニック酸99%以上を含み、融点は250℃以上である。 |
4.試験溶液の調製
1)抽出
穀類の場合は、試料10.0gに水20 mLを加え、2時間放置する。
果実、野菜及びハーブの場合は、試料20.0gを量り採る。
これに12 mol/L塩酸及びメタノール(1:9)混液100 mLを加え、振とうした後、ガラス繊維ろ紙を用いて吸引ろ過する。ろ紙上の残留物を同混液50 mLで洗浄し、ろ液を合わせ、5%塩化ナトリウム溶液200 mLを加え、ジクロロメタン50 mLずつで2回振とう抽出する。ジクロロメタン層を合わせ、液相分離ろ紙を用いてろ過し、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。
この残留物を4mol/L水酸化カリウム溶液及びメタノール(1:3)混液5mLに溶かし、10%塩化ナトリウム溶液50 mL及びジクロロメタン50 mLを加え、振とうする。水層を採り、これに1.2 mol/L塩酸30 mLを加え、ジクロロメタン50 mLずつで2回振とう抽出する。ジクロロメタン層を合わせ、液相分離ろ紙を用いてろ過し、40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物をジクロロメタン10 mLに溶かす。
2)精製
シリカゲルミニカラム(690 mg)にジクロロメタン5mLを注入し、流出液は捨てる。このカラムに1)で得られた溶液を注入し、流出液は捨てる。さらにアセトン8mL及び8.5%リン酸溶液0.8 mLを順次注入し、各流出液は捨てる。次いで、ジクロロメタン15 mLを注入し、溶出液を40℃以下で濃縮し、溶媒を除去する。この残留物を4mol/L水酸化カリウム及びメタノール (1:3)混液に溶解し、正確に8mL(穀類の場合は4mL)としたものを試験溶液とする。
5.検量線の作成
オキソリニック酸標準品を4mol/L水酸化カリウム溶液及びメタノール(1:3)混液に溶解し、0.025〜0.5 mg/Lの標準溶液を調製する。この20μLをHPLCに注入してピーク高法又はピーク面積法で検量線を作成する。
6.定量
試験溶液20μLをHPLCに注入し、5の検量線でオキソリニック酸の含量を求める。
7.確認試験
LC/MSにより確認する。
8.測定条件
HPLC
検 | 出器:FL(励起波長270 nm、蛍光波長370 nm) |
カ | ラム:オクタデシルシリル化シリカゲル、内径2〜6mm、長さ150〜300 mm |
カ | ラム温度:40℃ |
移 | 動相:アセトニトリル、0.5%クエン酸溶液及び0.3%トリ-n-オクチルアミン・テトラヒドロフラン溶液(1:8:1)混液 |
流 | 量:1mL/min |
保 | 持時間の目安:6分 |
LC/MS
カ | ラム:オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm) 内径2mm、長さ150 mm |
カ | ラム温度:40℃ |
移 | 動相:0.01%酢酸及びアセトニトリル(7:3)混液から100%アセトニトリルまでの濃度勾配を20分間で行う。 |
イ | オン化モード:ESI(+) |
主 | なイオン(m/z):262 |
保 | 持時間の目安:10分 |
9.定量限界
0.01 mg/kg
10.留意事項
1)試験法の概要
オキソリニック酸を試料から塩酸酸性下でメタノール抽出し、ジクロロメタンに転溶する。酸・アルカリ分配及びシリカゲルミニカラムによる精製の後、HPLC-FLで測定し、LC/MSで確認する方法である。
11.参考文献
1 | )上路雅子ら、2002年度版残留農薬分析法、391頁、ソフトサイエンス社 |
12.類型
A | (環境省告示第73号「オキソリニック酸試験法」平成7年11月28日) |