1. | 分析対象化合物 ボスカリド |
2. | 装置 ガスクロマトグラフ・質量分析計(GC/MS) |
3. | 試薬、試液 次に示すもの以外は、総則の3に示すものを用いる。 ボスカリド標準品 本品はボスカリド98%以上を含み、融点は143〜150℃である。 |
4. | 試験溶液の調製 |
5. | 検量線の作成 |
6. | 定量 試験溶液1 μLをGC/MSに注入し、5の検量線でボスカリドの含量を求める。 |
7. | 測定条件 GC/MS カラム:5 %フェニル−メチルシリコン、内径0.25 mm、長さ30 m、膜厚0.25 μm カラム温度:100 ℃(1分)−30 ℃/分−280 ℃(5分) 注入口温度:250 ℃ キャリヤーガス:ヘリウム イオン化モード(電圧):EI (70 eV) 主なイオン(m/z):342、140 注入量: 1 μL 保持時間:約10.4 分 |
8. | 定量限界 0.01 mg/kg |
9. | 留意事項 |
(1) | 抽出時に上澄液を分取する操作で水を除かない場合は、大量の無水硫酸ナトリウムが必要である。分液漏斗を用いて水層を除去した後に無水硫酸ナトリウムによる脱水を行うとよい。 | ||||||
(2) | ゲル浸透クロマトグラフ条件の例
流速:5 mL/min カラム温度:40 ℃ 注入量:5 mL モニター波長:254 nm
ゲル浸透クロマトグラフィーは、あらかじめ使用する条件で、指標物質であるアクリナトリンおよびトリシクラゾール、ならびに対象物質ボスカリドの溶出位置を確認し、分取範囲を決定しておく。 分取範囲の確認:アクリナトリン及びトリシクラゾールの5 mg/L混合溶液を移動相で調製し、その5 mLをゲル浸透クロマトグラフに注入して254 nmでモニターし、あらかじめ分取範囲を確認する。溶出液を適当な間隔で分取してGC/MSで測定するなど他の適切な方法を用いてもよい。 a) 筋肉、脂肪、乳及び卵の場合(図1参照) アクリナトリンの保持時間からトリシクラゾールの溶出が終了するまで。 (例)58〜165 mL(合計107 mL) ![]() 図1 筋肉、脂肪、乳及び卵の場合の分取範囲 b) 肝臓、腎臓及びその他の食用部分の場合(図2参照) 画分I:アクリナトリンの保持時間からアクリナトリンの溶出が終了するまで。 画分II:画分Iの分取終了からトリシクラゾールの溶出が終了するまで。 (例)画分I:58〜65 mL(合計7 mL).画分II:65〜165 mL(合計100 mL) ![]() 図2 肝臓、腎臓及びその他の食用部分の場合の分取範囲 |
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(3) | ミニカラムは使用条件で検討対象農薬の溶出調査を事前に行い、溶出位置を確認してから使用する。なお、エチレンジアミン−N−プロピルシリル化シリカゲルミニカラムでは、ボスカリドを保持しないため、注入液から全ての溶出液を捕集する必要がある。 | ||||||
(4) | GC/MS測定において妨害が見られた場合には、シリカゲルミニカラム(690 mg)による 追加精製を行う。[エーテル・n−ヘキサン混液(1:49)10 mLで予備洗浄。試料液をエーテル・n−ヘキサン混液(1:49)3 mLで負荷、同混液10 mLで洗浄し、次いで、アセトン・n−ヘキサン混液(1:1)20 mLで溶出する。] | ||||||
(5) | GC/MS測定では、ボスカリドの感度が試料の注入の前後で大幅に変動する場合がある。試料を数本注入し、感度を十分に安定させてから標準溶液を注入する等の措置が必要である。 | ||||||
(6) | 脂肪含有量が高い試料では、試験溶液の濃縮倍率が低くなる。その際、目標の測定感度が得られない場合には、抽出脂肪を用いてゲル浸透クロマトグラフィー以降の操作を行い、複数の検液を合わせて試験溶液とする。 |
11 | 参考文献 なし |
12 | 類型 C |