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グルホシネート試験法


1. 分析対象化合物
 グルホシネート、グルホシネートアンモニウム塩、N−アセチルグルホシネート、3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸

2. 装置
穀類、豆類、種実類及びてんさいの場合は、炎光光度型検出器(リン用干渉フィルター、波長526nm)付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計を用い、果実、てんさいを除く野菜及び茶の場合は、アルカリ熱イオン化検出器、炎光光度型検出器(リン用干渉フィルター、波長526nm)又は高感度窒素・リン検出器付きガスクロマトグラフ及びガスクロマトグラフ・質量分析計を用いる。

3. 試薬、試液
次に示すもの以外は, 総則の3に示すものを用いる。
カラムクロマトグラフィー用シリカゲル カラムクロマトグラフィー用に製造したシリカゲル(粒径63〜200μm)を130°で12時間以上加熱した後,デシケーター中で放冷する。これに対して水を5%加える。

4. 標準品
グルホシネート 本品はグルホシネート99%以上を含む。
分解点 本品の分解点は215°である。
3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸,本品は3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸99%以上を含む。

5. 試験溶液の調製
a 穀類、豆類、種実類及びてんさいの場合
(1) 抽出法
穀類、豆類及び種実類の場合は、検体を420μmの標準網ふるいを通るように粉砕した後、その10.0gを量り採る。これに水70mlを加え、3分間細砕した後、水を加えて正確に150mlとし、よく振り混ぜた後、静置し、水層20mlを100mlの分液漏斗に移す。
てんさいの場合は、検体約1kgを精密に量り、必要に応じ適量の水を量つて加え、細切均一化した後、検体20.0gに相当する量を量り採る。これに水70mlを加え、3分間細砕した後、水を加えて正確に150mlとし、よく振り混ぜた後、静置し、水層20mlを100mlの分液漏斗に移す。
これにエーテル30mlを加え、1分間緩やかに振り混ぜた後、静置し、エーテル層を捨てる。水層にエーテル30mlを加え、1分間よく振り混ぜた後、静置し、水層15mlを分取する。これに飽和酢酸鉛溶液1mlを加え、時々振り混ぜながら5分間放置した後、毎分3,000回転で約5分間遠心分離を行い、上澄液を採る。
(2) 精製法
スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラム(265mg)の下にベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)を、次いでその下にトリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(1,000mg)を連結する。これにアセトニトリル10mlを注入し、流出液は捨てる。次いで水10mlを注入し、流出液は捨てる。このカラムに(1) 抽出法で得られた上澄液を注入し、水10mlを注入し、流出液を捨てた後、スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラム(265mg)及びベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)を分離して捨てる。トリメチルアミノプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(1,000mg)に酢酸及び水の混液(1:1)10mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、50°以下で酢酸及び水を除去する。
(3) 誘導体化
(2) 精製法で得られた残留物に酢酸0.2ml、オルト酢酸トリメチル0.8mlを加えて溶かし、密栓をして100°で2時間加熱した後、放冷し、窒素気流下で乾固する。この残留物にアセトンを加えて溶かし、正確に0.5mlとして、これを試験溶液とする。
b 果実、てんさいを除く野菜及び茶の場合
(1) グルホシネート試験溶液
イ 抽出法
果実及びてんさいを除く野菜の場合は、検体約1kgを精密に量り、必要に応じ適量の水を量つて加え、細切均一化した後、検体20.0gに相当する量を量り採る。これにジクロロメタン50ml及び水150mlを加え、振とう機を用いて30分間激しく振り混ぜた後、毎分3,000回転で約5分間遠心分離を行い、上澄液を300mlの三角フラスコに移す。沈殿に水50mlを加え、よく振り混ぜた後、上記と同様の条件で遠心分離を行い、上澄液を上記の三角フラスコに合わせる。これをろ過し、ろ液に水を加えて500mlとする。
抹茶の場合は、検体5.00gを量り採る。これに水100mlを加え、振とう機を用いて30分間激しく振り混ぜた後、毎分3,000回転で約5分間遠心分離を行い、上澄液を300mlの三角フラスコに移す。沈殿に水50mlを加え、よく振り混ぜた後、上記と同様の条件で遠心分離を行い、上澄液を上記の三角フラスコに合わせる。これに飽和酢酸鉛溶液4mlを加え、時々振り混ぜながら5分間放置した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いて1,000mlのナス型フラスコに吸引ろ過する。次いで水50mlを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う。洗液を上記のナス型フラスコに合わせる。これを1,000mlの分液漏斗に移し、ジクロロメタン100mlを加え、1分間緩やかに振り混ぜた後、静置し、ジクロロメタン層を捨てる。水層にジクロロメタン100mlを加え、上記と同様に操作して、ジクロロメタン層を捨てる。水層に酢酸エチル100mlを加え、1分間緩やかに振り混ぜた後、静置し、水層を採り、水を加えて500mlとする。
抹茶以外の茶の場合は、検体10.0gを100°の水600mlに浸し、室温で5分間放置した後、ろ過し、冷後ろ液300mlを500mlの三角フラスコに移す。これに飽和酢酸鉛溶液4mlを加え、時々振り混ぜながら5分間放置した後、ケイソウ土を1cmの厚さに敷いたろ紙を用いて1,000mlのナス型フラスコに吸引ろ過する。次いで水50mlを用いて三角フラスコを洗い、その洗液でろ紙上の残留物を洗う。洗液を上記のナス型フラスコに合わせる。これを1,000mlの分液漏斗に移し、ジクロロメタン100mlを加え、1分間緩やかに振り混ぜた後、静置し、ジクロロメタン層を捨てる。水層にジクロロメタン100mlを加え、上記と同様に操作して、ジクロロメタン層を捨てる。これに酢酸エチル100mlを加え、1分間緩やかに振り混ぜた後、静置し、水層を採り、水を加えて500mlとする。
ロ 誘導体化
内径15mm、長さ300mmのクロマトグラフ管に、強塩基性陰イオン交換樹脂(粒径149〜297μm)20mlを水に懸濁したものを入れ、カラムの上端に少量の水が残る程度まで水を流出させる。このカラムに1mol/l水酸化ナトリウム溶液40mlを注入し、更に流出液のpHが8〜9になるまで水を注入する。流出液は捨てる。次いで酢酸及び水の混液(1:9)40mlを注入し、更に流出液のpHが5になるまで水を注入する。流出液は捨てる。続いて酢酸及び水の混液(1:1)80mlを注入し、更に水100mlを注入する。流出液は捨てる。このカラムにイ 抽出法で得られた溶液を注入し、流出液は捨てる。次いで酢酸及び水の混液(1:9)200mlを注入し、最初の流出液50mlは捨て、次の流出液150mlをすり合わせ減圧濃縮器中に採り、50°以下で酢酸及び水を除去する。この残留物に酢酸1mlを、次いでオルト酢酸トリメチル4mlを加え、100゜で2時間加熱する。冷後これをすり合わせ減圧濃縮器中に移し、40°以下で約1mlに濃縮し、更に室温で窒素を通じて乾固する。この残留物にアセトン10mlを加えて溶かす。
ハ 精製法
内径10mm、長さ300mmのクロマトグラフ管に、カラムクロマトグラフィー用シリカゲル3gをアセトンに懸濁したものを入れ、カラムの上端に少量のアセトンが残る程度までアセトンを流出させる。このカラムにロ 誘導体化で得られた溶液を注入した後、アセトン70mlを注入し、流出液は捨てる。次いでアセトン及び水の混液(19:1)80mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40°以下でアセトン及び水を除去する。この残留物に酢酸エチルを加えて溶かし、正確に2mlとして、これをグルホシネート試験溶液とする。
(2) 3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸試験溶液
イ 抽出法
(1) グルホシネート試験溶液のイ 抽出法を準用する。
ロ メチル化
内径15mm、長さ300mmのクロマトグラフ管に、強塩基性陰イオン交換樹脂(粒径149〜297μm)20mlを水に懸濁したものを入れ、カラムの上端に少量の水が残る程度まで水を流出させる。このカラムに1mol/l水酸化ナトリウム溶液40mlを注入し、更に流出液のpHが8〜9になるまで水を注入する。流出液は捨てる。次いで酢酸及び水の混液(1:9)40mlを注入し、更に流出液のpHが5になるまで水を注入する。流出液は捨てる。続いて酢酸及び水の混液(1:1)80mlを注入し、更に水100mlを注入する。流出液は捨てる。このカラムにイ 抽出法で得られた溶液を注入し、流出液は捨てる。次いで酢酸及び水の混液(1:9)200mlを注入し、更に酢酸及び水の混液(3:7)50mlを注入し、流出液は捨てる。続いて酢酸及び水の混液(1:1)150mlを注入し、流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り、50°以下で酢酸及び水を除去する。この残留物に酢酸1mlを、次いでオルト酢酸トリメチル4mlを加え、100°で2時間加熱する。冷後これをすり合わせ減圧濃縮器中に移し、40°以下で約1mlに濃縮し、更に室温で窒素を通じて乾固する。この残留物にアセトン10mlを加えて溶かす。
ハ 精製法
内径10mm、長さ300mmのクロマトグラフ管に、カラムクロマトグラフィー用シリカゲル3gをアセトンに懸濁したものを入れ、カラムの上端に少量のアセトンが残る程度までアセトンを流出させる。このカラムにロ メチル化で得られた溶液を注入した後、アセトン100mlを注入し、最初の流出液20mlは捨て、次の流出液80mlをすり合わせ減圧濃縮器中に採り、40°以下でアセトンを除去する。この残留物に酢酸エチルを加えて溶かし、正確に4mlとして、これを3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸試験溶液とする。

6. 操作法
a 穀類、豆類、種実類及びてんさいの場合
(1) 定性試験
次の操作条件で試験を行う。試験結果はグルホシネート及び3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸の各標準品について、5.試験溶液の調製のa 穀類、豆類、種実類及びてんさいの場合の(3) 誘導体化と同様に操作して得られたものと一致しなければならない。
操作条件
カラム 内径0.25mm、長さ30mのケイ酸ガラス製の細管に、ガスクロマトグラフィー用50%フェニル−メチルシリコンを0.25μmの厚さでコーティングしたもの。
カラム温度 100°で1分間保持し、その後毎分10°で昇温し、260°に到達後3分間保持する。
試験溶液注入口温度 250°
注入方法 スプリットレス
検出器 270°で操作する。
ガス流量 キャリヤーガスとしてヘリウムを用いる。2−アセチルアミノ−4−[メトキシ(メチル)ホスフィノイル]プロピオナートが約14分で流出する流速に調整する。空気及び水素の流量を至適条件に調整する。
(2) 定量試験
(1) 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき、グルホシネート(N−アセチルグルホシネートを含む。)及び3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸のそれぞれについてピーク高法又はピーク面積法により定量を行い、グルホシネート(N−アセチルグルホシネートを含む。)及び3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸の含量を求め、次式により、N−アセチルグルホシネート及び3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸を含むグルホシネートの含量を求める。
グルホシネート(N−アセチルグルホシネート及び3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸を含む。)の含量(ppm)=A+B×1.30
A:グルホシネート(N−アセチルグルホシネートを含む。)の含量(ppm)
B:3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸の含量(ppm)
(3) 確認試験
(1) 定性試験と同様の操作条件でガスクロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果は標準品について5.試験溶液の調製のa 穀類、豆類、種実類及びてんさいの場合の(3) 誘導体化と同様に操作して得られたものと一致しなければならない。また、必要に応じ、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。
(4) 検量線
グルホシネート及び3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸の標準溶液について5.試験溶液の調製のa 穀類、豆類、種実類及びてんさいの場合の(2) 精製法及び(3) 誘導体化と同様に操作したものを検量線用標準溶液とする。
b 果実、てんさいを除く野菜及び茶の場合
(1) 定性試験
a 穀類、豆類、種実類及びてんさいの場合の(1) 定性試験と同様の操作条件で試験を行う。試験結果はそれぞれグルホシネート標準品について5.試験溶液の調製のb 果実、てんさいを除く野菜及び茶の場合の(1) グルホシネート試験溶液のロ 誘導体化及びハ 精製法と同様に操作して得られたもの並びに3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸標準品について5.試験溶液の調製のb 果実、てんさいを除く野菜及び茶の場合の(2) 3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸試験溶液のロ メチル化及びハ 精製法と同様に操作して得られたものと一致しなければならない。
(2) 定量試験
(1) 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき、グルホシネート及び3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸のそれぞれについてピーク高法又はピーク面積法により定量を行い、グルホシネート及び3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸の含量を求め、次式により、3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸を含むグルホシネートの含量を求める。
グルホシネート(3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸を含む。)の含量(ppm)=A+B×1.30
A:グルホシネートの含量(ppm)
B:3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸の含量(ppm)
(3) 確認試験
(1) 定性試験と同様の操作条件でガスクロマトグラフィー・質量分析を行う。試験結果はそれぞれグルホシネート標準品について5.試験溶液の調製のb 果実、てんさいを除く野菜及び茶の場合の(1) グルホシネート試験溶液のロ 誘導体化及びハ 精製法と同様に操作して得られたもの並びに3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸標準品について5.試験溶液の調製のb 果実、てんさいを除く野菜及び茶の場合の(2) 3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸試験溶液のロ メチル化及びハ 精製法と同様に操作して得られたものと一致しなければならない。また、必要に応じ、ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。

7. 定量限界
0.01 mg/kg(穀類・豆類・種実類・てんさいにあっては0.05 mg/kg)

8. 留意事項
1) 分析値
 穀類、豆類、種実類及びてんさいについて試験を行う場合は、グルホシネート(N−アセチルグルホシネートを含む)及び3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸のそれぞれについて定量を行い、3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸についてはその含量に係数を乗じてグルホシネートの含量に換算し、これらの和を分析値とすること。その他の農産物について試験を行う場合は、グルホシネート及び3−メチルホスフィニコ-プロピオン酸のそれぞれについて定量を行い、3−メチルホスフィニコ−プロピオン酸についてはその含量に係数を乗じてグルホシネートの含量に換算し、これらの和を分析値とすること。
2)  穀類,豆類,種実類及びてんさいを試験する際に用いる、ベンゼンスルホニルプロピルシリル化シリカゲルミニカラム(500mg)には,粒径120μmのものを用いることが望ましいこと。またガスクロマトグラフ検出器に炎光光度型検出器を用いる場合は、カラムに内径0.53mm,長さ30m,膜厚1.0μmのものを用いることも可能であること。

9. 参考文献
なし

10. 類型
A


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