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オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン及びテトラサイクリン試験法


1. 分析対象化合物
オキシテトラサイクリン,クロルテトラサイクリン,テトラサイクリン

2. 装置
蛍光検出器付き高速液体クロマトグラフを用いる。

3. 試薬,試液
次に示すもの以外は,総則の3に示すものを用いる。
イミダゾール イミダゾール(特級)
イミダゾール緩衝液 イミダゾール68.08g,エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.37g及び酢酸マグネシウム10.72gを水に溶かして800mlとする。これに酢酸を加えてpH7.2に調整し,水を加えて1,000mlとする。
エチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液 第1液:クエン酸21.0gを水に溶かして1,000mlとする。第2液:リン酸二ナトリウム71.6gを水に溶かして1,000mlとする。エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム1.86gに第1液307mlと第2液193mlを混和したものを加えて溶かす。
スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラム(265mg) 内径8〜9mmのポリエチレン製のカラム管に,カラムクロマトグラフィー用に製造したスチレンジビニルベンゼン共重合体265mgを充てんしたもの又はこれと同等の分離特性を有するものを用いる。

4. 標準品
塩酸オキシテトラサイクリン 本品1.000mgは,オキシテトラサイクリン0.850mg力価以上を含む。
 分解点 本品の分解点は190〜194°である。
塩酸クロルテトラサイクリン 本品1.000mgは,塩酸クロルテトラサイクリン0.900mg力価以上を含む。
 分解点 本品の分解点は210°以上である。
塩酸テトラサイクリン 本品1.000mgは,塩酸テトラサイクリン0.900mg力価以上を含む。
 分解点 本品の分解点は214°以上である。

5. 試験溶液の調製
a 抽出法
(1)筋肉,肝臓及び腎臓の場合
 筋肉の場合は,可能な限り脂肪層を除き,細切均一化した後,その5.00gを量り採る。
 肝臓及び腎臓の場合は,細切均一化した後,その5.00gを量り採る。
 これにエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液30mlを加え,1分間細砕した後,毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い,水層を100mlの分液漏斗中に移す。遠心分離管の残留物にエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液20mlを加え,振とう機を用いて1分間激しく振り混ぜた後,上記と同様の条件で遠心分離を行い,水層をその分液漏斗中の水層に合わせる。これにn−ヘキサン20mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い,水層を分取する。

(2)脂肪の場合
 可能な限り筋肉層を除き,細切均一化した後,その20.0gを量り採る。
 これにn−ヘキサン200mlを加え,1分間細砕した後,エチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液40mlを加え,さらに1分間細砕した後,毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い,水層を分取する。n−ヘキサン層にエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液20mlを加え,振とう機を用いて1分間激しく振り混ぜた後,上記と同様の条件で遠心分離を行い,水層を分取して,先の水層に合わせる。

(3)乳の場合
 試料5.00gを量り採り,エチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液30ml及びn−ヘキサン20mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜる。次いで毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い,水層を分取する。

(4)卵の場合
 卵の殻を除き,十分均一化した後,その5.00gを量り採る。これにエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液30mlを加え,均一化した後,n−ヘキサン100mlを加え,1分間細砕した後,毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い,水層を100mlの分液漏斗中に移す。遠心分離管の残留物にエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液20mlを加え,振とう機を用いて1分間激しく振り混ぜた後,上記と同様の条件で遠心分離を行い,水層をその分液漏斗中の水層に合わせる。これにn−ヘキサン20mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い,水層を分取する。

(5)魚介類の場合
 殻付きの貝類の場合は,殻を除き,細切均一化した後,その5.00gを量り採る。
 その他の魚介類の場合は,細切均一化した後,その5.00gを量り採る。
 これにエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液30mlを加え,1分間細砕した後,毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い,水層を100mlの分液漏斗中に移す。遠心分離管の残留物にエチレンジアミン四酢酸含有クエン酸緩衝液20mlを加え,振とう機を用いて1分間激しく振り混ぜた後,上記と同様の条件で遠心分離を行い,水層をその分液漏斗中の水層に合わせる。これにn−ヘキサン20mlを加え,振とう機を用いて5分間激しく振り混ぜた後,毎分3,000回転で10分間遠心分離を行い,水層を分取する。

b 精製法
 スチレンジビニルベンゼン共重合体ミニカラム(265mg)に,メタノール10ml,水10ml,飽和エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム溶液5mlを順次注入し,流出液は捨てる。このカラムにa 抽出法で得られた溶液を注入した後,水10mlを注入し,流出液は捨てる。このカラムにメタノール10mlを注入し,流出液をすり合わせ減圧濃縮器中に採り,40°以下でメタノールを除去する。この残留物に1.36%リン酸一カリウム溶液1.0mlを加えて溶かし,これを試験溶液とする。

6. 操作法
a 定性試験
 次の操作条件で試験を行う。試験結果は標準品と一致しなければならない。
操作条件
 カラム充てん剤 オクタデシルシリル化シリカゲル(粒径5μm)を用いる。
 カラム管 内径4.0〜6.0mm,長さ150mmのステンレス管を用いる。
 カラム温度 40°
 検出器 励起波長380nm,蛍光波長520nmで操作する。
 移動相 オキシテトラサイクリン及びテトラサイクリンの試験を行う場合は,イミダゾール緩衝液及びメタノールの混液(17:3)を用いる。オキシテトラサイクリンが約5分で流出する流速に調整する。クロルテトラサイクリンの試験を行う場合は,イミダゾール緩衝液及びメタノールの混液(3:1)を用いる。クロルテトラサイクリンが約7分で流出する流速に調整する。
b 定量試験
 a 定性試験と同様の操作条件で得られた試験結果に基づき,ピーク高法又はピーク面積法により定量を行う。

7. 定量限界
a 筋肉,肝臓,腎臓,乳,卵及び魚介類の場合
 オキシテトラサイクリン 0.02 mg/kg
 クロルテトラサイクリン 0.03 mg/kg
 テトラサイクリン 0.02 mg/kg

b 脂肪の場合
 オキシテトラサイクリン 0.005 mg/kg

8. 留意事項
(1)  試験溶液の調製
(1)  遠心分離中の温度は室温に保持すること。
(2)  吸引ろ過後ろ液が濁っている場合は,再度ろ液について遠心分離を行うこと。
(3)  スチレンジビニルベンゼン共重合体カラムクロマトグラフにおいて,試験溶液を注入後,水30mlを数回に分けて,効率よくカラム中に残留するエチレンジアミン四酢酸を洗浄すること。
(2)  標準溶液の調製
(1)  オキシテトラサイクリン10.0mgに相当する標準品をメタノールに溶解して10mlとし,オキシテトラサイクリン標準原液とすること(オキシテトラサイクリン1,000mg(力価)/l,1,000mg/l)。本標準原液は,−20°保存で1年間安定であること。
(2)  クロルテトラサイクリン10.0mgに相当する標準品をメタノールに溶解して10mlとし,クロルテトラサイクリン標準原液とすること(クロルテトラサイクリン1,076mg(力価)/l,1,000mg/l)。本標準原液は,−20°保存で1年間安定であること。
(3)  テトラサイクリン10.0mgに相当する標準品をメタノールに溶解して10mlとし,テトラサイクリン標準原液とすること(テトラサイクリン1,082mg(力価)/l,1,000mg/l)。本標準原液は,−20°保存で1年間安定であること。
(4)  オキシテトラサイクリン,クロルテトラサイクリン及びテトラサイクリン各標準原液を1.36%リン酸一カリウム溶液で逓減希釈し,検量線作成用標準溶液とすること。
(3)  その他
(1)  同時に多数の検体の試験を行う等スクリーニング試験法を併用した方が効率的と判断される場合には,「○オキシテトラサイクリン,クロルテトラサイクリン及びテトラサイクリンのスクリーニング法(117ページ参照)」を用いて陽性と判断されたものについてのみ,本試験法による試験を実施しても差し支えないこと。
(2)  本試験法によりオキシテトラサイクリン,クロルテトラサイクリン及びテトラサイクリンが検出された場合には,質量検出器付き高速液体クロマトグラフを用いて確認することが望ましいこと。

9. 参考文献
なし

10. 類型
A

オキシテトラサイクリン,クロルテトラサイクリン及びテトラサイクリンのスクリーニング法

 試験菌液の調製
 継代保存した試験菌株(Bacillus mycoides ATCC 11778を用いる。以下試験菌株という。)を継代保存用培地に塗抹し,30°で1週間培養して芽胞を形成させる。なお,この場合,芽胞染色して顕微鏡で確認し,1視野に80%以上の芽胞が形成していることを確認すること。芽胞形成が悪い場合は,さらに10日間以上培養し,改善が認められない場合には,試験菌の変異等が考えられるので,このような試験菌は使用しないこと。
 次いで継体保存用培地上に発育した菌苔をかきとって滅菌生理食塩水に浮遊させた後,65°で30分間加熱する。これを毎分3,000回転で20分間遠心分離し,沈殿を滅菌生理食塩水に再び浮遊させ,これを芽胞原液とする。この芽胞原液を用いて逓減希釈液を作り,これらの希釈液を約50°に保温した種層用培地に1%の割合で混和し,それぞれの8mlをペトリ皿(内径80〜90mmの滅菌したペトリ皿を用いる。以下ペトリ皿という。)に流して平板とする。各平板上にオキシテトラサイクリン0.2μg力価/mlを含ませたペーパーディスク(直径10mm,厚さ1.1〜1.2mmのペーパーディスクを121°で15分間高圧滅菌し,十分乾燥させたものを用いる。以下ペーパーディスクという。)を置いたもの又は各平板上に置いた円筒(外径8mm,内径6mm,高さ10mmの乾熱滅菌した円筒を用いる。以下円筒という。)にオキシテトラサイクリン.2μg力価/mlを250μl注入したものを30°で17±1時間培養し,阻止円の直径が14±1mmを示す平板を見いだし,それに相当する希釈液を試験菌液とする。このときの芽胞数は104〜105/mlとなっている。
継代保存用培地 培地1,000ml中,ペプトン10.0g,肉エキス5.0g,塩化ナトリウム2.5g及び寒天15.0gを含むもの。滅菌後のpHを6.5±0.1に調整する。
種層用培地 培地1,000ml中,ペプトン6.0g,肉エキス1.5g,酵母エキス3.0g及び寒天15.0gを含むもの。滅菌後のpHを5.8±0.1に調整する。

 試験溶液の調製
 試験溶液の調製は,オキシテトラサイクリン,クロルテトラサイクリン及びテトラサイクリン試験法にしたがって実施する。

 操作法
 滅菌後,菌の生育を阻害しない温度まで冷却した種層用培地に,試験菌液を1mlあたり104〜105個になるよう添加し,十分に混和した後,その8mlをペトリ皿に流して水平に静置して固化させ検査用平板とし,以下に示す(1)又は(2)の方法を用いて操作する。
(1) ペーパーディスクを用いる方法
 検査用平板上に,試験溶液及び0.2μg力価/mlのオキシテトラサイクリン標準品溶液を浸したペーパーディスクを,約10分間風乾した後,各ペーパーディスクを正方形の各頂点の対角になるよう配置し,ピンセットの先で軽く固着させる。これを30分間以上冷蔵放置後,30±1°で17±1時間培養する。培養後,形成された阻止円の直径を測定し,それぞれ2箇所の平均値を求める。
 試験溶液から得られた阻止円直径(平均値)が,0.2μg力価/mlのオキシテトラサイクリン標準品溶液から得られた阻止円直径(平均値)以上のものを陽性と判断する。なお,この場合の阻止円直径は14mm程度である。
(2) 円筒平板を用いる方法
 検査用平板上に4個の円筒をそれぞれ正方形の各頂点となるよう配置し,対角になる2個の円筒に試験溶液及び0.2μg力価/mlのオキシテトラサイクリン標準品溶液をそれぞれ250μlを注入し,30±1°で17±1時間培養する。培養後,形成された阻止円の直径を測定し,それぞれ2箇所の平均値を求める。
 試験溶液から得られた阻止円直径(平均値)が,0.2μg力価/mlのオキシテトラサイクリン標準品溶液から得られた阻止円直径(平均値)以上のものを陽性と判断する。なお,この場合の阻止円直径は18mm程度である。

 その他
 本法による定量限界は,0.2μg力価/mlの標準品溶液と同等の阻止円を形成した場合,脂肪以外において0.04ppm,脂肪において0.01ppmである


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