11/01/25 食品に関するリスクコミュニケーション −輸入食品の安全性確保に関する意見交換会−  開催日: 平成23年1月25日(火)   場 所: 新梅田研修センター 303ホール ○司会(大井)  それでは、時間になりましたので、始めさせていただきます。  ただ今から食品に関するリスクコミュニケーション〜輸入食品の安全性確保に関する 意見交換会を開催いたします。本日はお忙しい中ご参加いただき、誠にありがとうござ います。  私は、本日司会役を務めさせていただきます、厚生労働省医薬食品局食品安全部企画 情報課の大井と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  厚生労働省では毎年度、輸入食品監視指導計画を定め、重点的、効率的かつ効果的な 監視指導に取り組んでいるところですが、本日の意見交換会は輸入食品の安全確保に関 する情報提供、各関係者からの講演と会場の皆様を交えた意見交換会を通じて、輸入食 品の安全性確保について理解を深めていただき、関係者の間での認識を共有していただ ければと考えております。  まず、皆様お配りしております配付資料について確認をお願いいたします。中にこう いった次第が入っております。配付資料のほう確認をお願いいたします。資料1−1か ら申し上げます。1−1「平成23年度輸入食品監視指導計画(案)の概要」、1−2 「平成23年度輸入食品監視指導計画(案)」、1−3「輸入食品の安全性確保につい て」、そして資料2「大阪消団連の取組と輸入食品の監視指導計画案に関する意見」、 資料3「味の素グループの品質保証の取組」。また、そのほかパンフレットとしてこう いった緑の「食品の安全確保に関する取組」が一部入っております。そのほかこちら内 閣府の食品安全委員会が今食品安全モニターを募集しておりますので、そちらのパンフ レットが参考に入っております。以上、資料でございますが、もし不足の方いらっしゃ いましたら挙手お願いいたします。ございませんでしょうか。途中でお気づきになられ ましたらスタッフのほうにお声がけください。  そのほかマイクの音量ですとか温度の暑い寒いはございませんでしょうか。もし途中 でお気づきになられましたらスタッフのほうまでお声がけいただきますようお願いいた します。  続きまして、簡単に本日の進行についてご紹介いたします。先ほど封筒の中に入って おりました次第をご覧ください。まず最初に輸入食品の安全性確保について、厚生労働 省食品安全部からご説明いたします。続きまして、全大阪消費者団体連絡会事務局次長、 浜田善男様から大阪消団連の取組と輸入食品の監視指導計画案に関する意見についてご 講演いただきます。続きまして、味の素株式会社品質保証部品質保証推進グループの中 村様から輸入食品の安全確保についてご講演いただきます。なお、全大阪消費者団体連 絡会様におかれましては、開催案内においては飯田様とご案内しておりましたが、急遽 ご都合により浜田様、本日ご出席いただいております。講演終了後、10分程度の休憩を とらせていただきまして、3時ぐらいから意見交換を行い、終了は4時を予定しており ます。ご協力のほどよろしくお願いいたします。  それでは、講演に入りたいと思います。厚生労働省食品安全部監視安全課輸入食品安 全対策室、西村室長補佐から輸入食品の安全性確保について情報提供いたします。 ○西村室長補佐  ただ今ご紹介いただきました厚生労働省の西村です。本日はよろしくお願いいたしま す。  2時までの時間となっております。輸入食品の現状、また監視指導計画の変更点等に ついて説明をさせていただきたいと思います。  最初に、輸入食品の現状についてお話しをさせていただきます。こちらは毎年お示し していますグラフですけれども、ピンクの線が輸入する届出の件数、青い線が輸入食品 の重量になっております。平成21年度につきましては182万件の届出が全国の検疫所に 出されております。一昨年までは2年、3年減少傾向にあったんですけれども、平成21 年度は増加傾向になっております。平成22年度の前半では昨年に比べてまた10%ほど届 出件数が増えているという現状になっております。平成20年度が175万件、平成19年度 が179万件、その前の年が一番多くて平成18年度が185万件という推移をとっております。 それに比べまして届出重量というのはここ数年減っていますが大体3,000万トン前後の 値を推移しております。  これは重量で示しているグラフです。食品といいましても私どもが使っている食品と いうのはこちらの畜産物から始まりますその他の食品までと、もう一つ食品添加物、そ れとフォークですとかお皿、スプーンなどの器具、容器包装、それと乳幼児を対象とし たおもちゃというものを含めて食品等と言っております。大部分は当然我々が食べる食 品ということになるんですけれども、その中でも農産食品というもの、これは麦ですと かトウモロコシですとか輸入単位が、通常のものがコンテナで持ってくるようなものを 本船単位、船全部が小麦ですとかトウモロコシという形で持ってきますので、原料にな るものを含めまして4分の3ぐらいは農産食品ということになっております。  私ども輸入食品を監視するに当たりましては、一番左から2番目の輸入食品監視指導 計画というもの、後ほど来年度の監視指導計画の変更点について概要を説明いたします が、監視指導計画に基づきまして輸出国の段階での監視体制をとっております。  まず最初に輸出国における監視はどのようにしているのかということをご説明したい と思います。輸出国の安全対策としまして、まず各検疫所での違反事例、また都道府県 の違反事例等に基づきまして、相手国政府に対しまして原因究明、それと再発防止策を 取ってもらいます。それに伴いまして、相手国の政府の方々と二国間でどのような対策 をとってどうしているのかということを話合いまして、それに基づきまして説明に応じ てそういうことが本当に対策としてとれているのかどうかということを含めまして現地 調査に行くということも行っております。今お話し申し上げたことは問題発生時、何か が違反が多かったとか検査命令になってしまったとかいうものの場合、昨年度からです けれども、相手国にとっては輸出食品の制度というのはどういう制度になっているのか、 平常時はどうなっているのかということを制度調査ということを含めて相手国に行って 調査をしてきております。それにつきまして、生産ですとか製造、加工がどのように行 われているのか、または輸出時の検査がどのように行われているのかということを含め て、相手国に対して調査をしてきております。それは必要に応じまして相手国の政府の 方々と話合いだけではなく農場に出かけていきまして、実際の農場でどのような農薬が 使われているのか、どのように農薬を管理しているのか、輸出の段階のパッキングはど うなっているのかということを含めまして、調査をしております。相手国の例えば農薬 の使用状況、例えば畜産物の飼料の与え方等について現地に行って調査をしてくる、二 国間で話合いをするということをしております。  今申し上げました平常時、通常アメリカではどういった監視体制、チェック体制をと っているのかということを、これはカリフォルニア州ですけれども、現地に行って調査 をしてきた事例であります。参考法令としてここに書いてある幾つかの法律について、 食品に対してチェックをされているんですけれども、EPAというところで農薬の基準 をつくる。FDAで検査をする。畜産物はFDAで検査をするんですけれども、あとそ れぞれ各部局によって、農林部門であったりとかということでもそれぞれの制度をつく っているということになります。  アメリカの場合にはチェリーとストロベリーの農場に行ってまいりまして、どのよう なチェック体制をとっているかということを見てまいりました。通常ですけれども、日 本で違反になりますと、その違反内容というものは当然輸入される事業者に通知書とい う形で違反ですということをお知らせするんですが、それと同時に東京にあります大使 館宛てに、輸入されてきましたけど違反になっていますと。それについては安全対策を とりなさいと、再発防止策をとりなさいというふうなお手紙を出しております。そのも のが実際大使館からどのような形で相手国農家まで行っているのかということも含めて 聞いてきたんですけれども、大使館から順次、ワシントンD.C.からそれぞれのチェリ ー協会、ストロベリー協会までにはきっちりその情報が行っておりまして、今後の対策 をとるということは確認をしてきております。こちらチェリー協会、ストロベリー協会 の農場にも全部行ってきたんですけれども、彼らのところでは輸出前に必ず検査をして いて、成田空港、関西空港での通関前までには検査結果を出し、もし違反が出た場合に は、相手国で出た場合には通関手続、届出を出さないという対策をとっていると言って おりました。  こちらが2枚スライドあるますが、先ほどお話しした問題が起きたときの海外でどの ような調査をしてきているかということを示しているスライドになっております。上2 つはBSEの問題で牛肉についてアメリカ、カナダについて年に1回ずつ現地調査をす ることになっておりますので、それにつきまして8月と11月に相手国に行きましてと蓄 場から全て見てくると。日本との約束が守られているのかどうか見てくると、チェック してくるという業務を行っております。食肉の安全対策がどのようにされているかと、 それらについての安全対策がどうされているかということを確認してきております。そ れ以降、農産物、水産物になってくるんですけれども、相手国から、例えばタイのマン ゴスチンですと輸入のたびに検査をする検査命令というものになっていますけれども、 それを相手国政府として対策をとったので、その対策を見に来てくれと、検査命令を解 除要請があり、タイに行きまして提出されている書類のとおりに対策がとられているか、 再発防止策がとられているか、これは主に相手国政府と話し合った後に農場に出向きま して、農場の農薬の使用台帳を1枚1枚全部チェックをしてくると。農薬の購入台帳か ら始まりまして使用台帳、だれが農薬をいつ散布したのかということまでチェックをし てまいります。  これは全部同じような、今タイのことを代表して話しましたけれども、ベトナムにし ましても中国にしましても同じような形で相手国の農場、政府機関と話合い、農場での 監視調査をしてきております。日中での食品のイニシアチブを締結しましたので、それ にあわせまして日本の懸案事項としている食品に対しまして相手国の状況を確認してき ました。一番下に書いているように日中食品安全推進イニシアチブの第1回実務者会合 をしまして、それに引き続きましてこれらの食品の調査をしております。このイニシア チブにつきましては後ほど詳しく説明します。  先ほど輸出国の段階のチェックについてお話ししましたけれども、次に輸入時につい てのお話しをしたいと思います。輸出国段階での監視につきまして企画立案等は厚生労 働本省で行っていますけれども、こちらの輸入届出ですとか審査というのは日本の北は 千歳空港、小樽、南は那覇、那覇空港、全国31カ所の検疫所の中にある輸入食品担当窓 口で届出を受け付けております。その31カ所の届出を受け付けたのが先ほど申し上げま したように128万件あったということになります。検疫所では届出られたものにつきま して書類審査を行います。書類審査を行いまして、何も検査が必要ないというものもあ りますが、検査が必要だというものについては、検査命令、モニタリング検査、指導検 査という、どのような検査をするかを検疫所窓口食品衛生監視員が確認して指導してい くという形になります。  監視指導計画の中で出てきていますモニタリング検査から説明させていただきますと、 182万件につきまして食品を全てどの国からどういう品目がどのくらい輸入しているか というデータをもとにしまして、過去の違反率等を勘案しまして1年間に行うモニタリ ング検査の件数を決めまして、それから輸入の割合に沿いまして各検疫所にこれだけモ ニタリング検査をしなさいという通知を出しております。違反の可能性の低いものにつ きまして、多種多様な食品につきまして網羅的に検査を行っていくものであります。こ のモニタリング検査につきましては、届出が出されて検査をしていても通関は認めると。 国内流通しても構いませんというふうな形になっております。このモニタリング検査で 違反が見つかってきますと、当然回収してくれという形になります。市場から排除する ことになるんですが、その上で、先ほど申し上げたように原因究明、もしくは再発防止 策を輸入者さんと相手国の大使館に対してお知らせしております。モニタリング検査で 違反が検出した場合、特に残留農薬検査の場合、一回違反になりますとその品目につき まして、普通5%から10%の割合で検査をしていますが、モニタリング検査の割合を引 き上げまして、届出に対して30%の割合でモニタリング検査をするように指示を出しま す。検査をして再度違反が出てきた場合には、輸入の段階全ての食品に対して行う検査 命令に移行いたします。これは違反の可能性が高いということになりますので、通関は 認めず保税地域に貨物を留め置いたまま検査をして、合格であったものについて輸入通 関を認めるという制度にしております。合格だったものは当然国内に流通をされますが、 不合格だったものは回収、廃棄、積み戻しという措置をとるように指導しまして、確認 をいたします。先ほどから何度も申し上げているように、この不合格だった情報という のは相手国に戻って、またその違反に対して二国間協議を行い、必要に応じて現地調査 を行って、検疫所に対策に行かすということで、出国段階と輸入時の段階と回っている という形になっております。もう一つ、国内に入りましても輸入食品の違反というのは 見られていますので、その情報というのは厚生労働省に上がってきまして、検疫所の情 報と併せまして二国間協議を行い、現地調査を行って輸入時の監視に行かすという形に しております。  検疫所には輸入事前相談というのがございまして、検疫所には事前にこういった食品 を輸入したいんだけど輸入できるかとか、どういうふうな検査が必要かとか、相手国で どういったことを注意したらいいのかということを事前に相談を受け付ける窓口がござ いますので、事業者の方おられると思いますけれども、こういった窓口もご利用いただ ければと思います。  全国の検疫所にいる専門の食品衛生監視員の推移なんですけれども、平成元年、平成 が始まったときには100名いません。89名でした。それから今は383名の食品衛生監視員 が全国の検疫所で業務を行っています。来年度は、これは予算審議があるんですけれど も、10名ふやす予定ということで393名、400名に近づいてきたということになります。 国家公務員の人員削減ということが言われておりますが、食品衛生監視員というのは毎 年毎年増えてきておりまして、この先も増員により皆様方の不安の払拭になればという ふうに考えております。  輸入時の監視体制の概要としましてお示ししております。モニタリング検査から始ま りまして、モニタリング検査強化、検査命令に行くと。最後は輸入禁止命令を出すとい うことも法体系ではできることになっています。全体として182万件のうち23万件の検 査をしているんですけれども、輸入食品は10%しか検査をしていないというふうに言わ れておりますけれども、10%を目指しているわけではなくて、モニタリング検査をし、 検査命令、自主検査を指導すると10%程度になっている状況であります。  これも先ほどお話ししましたように検査についてモニタリングで頻度をアップして、 まだ違反が見つかる場合には検査命令にするということにしております。検査命令の解 除としましては、相手国から再発防止策等が出てきまして、我々が相手国に行って間違 いないということになれば、検査命令は解除しております。  これは日々変化する表ですが、検査命令というのは違反が見つかるたびに増加します が、10月現在でもって131品目が検査命令になっていることを示しているスライドです。  こちらは法違反の内容として、昨年度は1,559件の違反が見つかっております。腐敗、 変敗、これは貨物を輸入してくるとコンテナの場合には麦とか大豆とか、船で持ってき た場合なんかはどうしても海水が入ってちょっとカビてしまうというもの、カビを排除 したものが含まれていますので一番多くなっております。これは農薬違反が基準値を超 えたのが一番多くて、その次がカビの発生等によるものという形になってきております。  監視計画の変更点という形なんですけれども、全国に輸入されている食品を167の分 類にしまして、来年度は8万6,100件のモニタリング検査をする計画を予定しておりま す。本年度に比べまして1,100件ほどふやしていこうと考えております。本年度8万 5,000件の計画につきまして、今のところ非常に順調なペースで検査が行われていると いうことを申し述べさせていただきます。  アフラトキシン、カビ毒なんですけれども、基準値を変えようと。今までアフラトキ シンのB1というものを指標にしていたんですけれども、総アフラトキシン、B1、B 2、G1、G2というものの合計値で基準値を決めようと考えておりますので、それに 合わせた形での検査件数を充実させていこうと考えております。今回このような形でリ スクコミュニケーション、消費者の皆様方、業界の皆様方と意見交換できる場を多くし ていこうということも考えてはおります。  アフラトキシンの検査ですが、今までB1というものを10ppbという規制値をしてい たものを、B1、B2、G1、G2、これを総アフラトキシンとしまして規制をしてい こうとです。これは日本だけがこのような総アフラトキシンにしようとしているわけで はなくて、数年前から諸外国、コーデックスの基準も総アフラトキシンになっておりま すので、その諸外国の規制に日本も合わせていこうという形であります。それにつきま して、食品ごとのモニタリング検査を実施していくと。実施内容につきましては今文献 等集めまして、どの食品に対してどの割合でしていこうということも検討をしている最 中であります。  禁停止処分ですけれども、違反が多いという業者につきましては、厚生労働省、霞が 関までご足労願いまして、厳しく指導させていただいております。その中には検疫所に 出す文書だけではなく厚生労働省宛てに対策をとってくれと指導申し上げております。 その実績としてここに書いてありますけれども、30社、36社、41社という形で、これら の方々には来ていただいて、3カ月以内に改善の文書を出してもらうように指導を申し 上げております。  これは海外での話の中でありましたように、22年9月秋にアメリカサンフランシスコ でBSEに対する日米両国政府の話合い、今現状どうなっているかということの報告会 をしております。結論としましては、今後とも同じような会議を続けていって情報交換 をするということで結論になっております。BSE対策のアメリカ、EU、OIEの基 準をそれぞれ示してあります。  特定危険部位がアメリカと日本の考え方が違うということがこの図で分かってくるか と思います。アメリカはOIEとほぼ同じような基準をしているんですけれども、日本 は脊髄、脊柱は全月齢ということになっております。  ポジティブリスト制度ですが、こちらの下の表を見ていただきたいんですけれども、 平成18年5月からポジティブリストが始まったんですけれども、その当時は前年から比 べて約10倍の違反が見つかってきております。ポジティブリストについて基準値が非常 に低くなってきている、0.01ppmという基準値ができたことによって多く違反が見つか ってきたので、その次の年は半分になりまして、それからは横ばいになってきていると いう状況が続いております。これは各輸入者の方々がポジティブリスト制度というもの を理解していただきまして、相手国に対する対策等をとってきていただいているので、 少しずつは減ってきているのかなということを思ってはおります。  中国の輸入というのはどれぐらいあるのかということを見てみますと、届出件数でい いますと約30%のものが中国製品であります。検査はどれぐらいしているかというと、 二十五、六%しているので検査率としてはほぼ同じぐらいの割合で中国のものも検査は しております。日中食品安全推進イニシアチブというものを調印いたしました。昨年5 月31日だったんですけれども、両国の大臣同士が調印しております。それはどういった 調印内容かといいますと、年に一度お互い首脳同士で話合いをしましょうということと、 実務者レベルでの話合いをしましょう、お互いの懸案事項を持ち寄って、お互いのこと を現地調査含め現状を把握し合おうということで、先ほど話しましたように6月に現地 に行って調査をしてきております。それと同時に、その6月の時点で相手国の業界の人 たちを集めまして日本の法体系、日本の監視体系につきましてシンポジウム、説明会等 を開いてお互いの相互理解を深めようということをしております。  駆け足になってしまいましたけれども、以上で私の説明を終わらせていただきたいと 思います。どうもありがとうございました。 ○司会(大井)  講演についての質疑応答は後半で行います意見交換でまとめて受け付けますので、そ のときにお願いいたします。  引き続きまして、次の講演を行います。  全大阪消費者団体連絡会事務局次長、浜田様から、大阪消団連の取組と輸入食品の監 視指導計画案に関する意見についてご講演いただきます。お願いいたします。 ○浜田氏  ご紹介いただきました全大阪消費者団体連絡会事務局次長の浜田といいます。本日は 事務局長の飯田が事情によりまして出席できなくなりました。急遽代役で報告をさせて いただきます。事務局長の飯田ほど歯切れはよくございませんけれども、本日はよろし くお願いします。  表題にありますように、大阪消団連の取組と輸入食品の監視指導計画案に関する意見 ということで報告をさせていただきます。  最初に、私ども大阪消団連は様々なテーマで活動を進めておるわけですけれども、食 の安全に関わりましてここ二、三年の特徴的な学習会などについて報告をさせていただ きます。  このスライドの1番目にございます学習会ですけれども、昨年の2月に農林水産省の 呼びかけに応じまして開催した学習会になっております。テーマは「ゲノム解析の応用 による農畜産物の改良」に関する少人数リスクコミュニケーション、大変長ったらしい テーマでございましたけれども、当日は豚のゲノム解読で霜降り肉を2倍化するという ような研究のご紹介もございましたけれども、このゲノム解析によって品種改良等を進 めておられるその考え方や応用事例について講演をいただいて意見交換をいたしました。 ゲノム研究と申しますと、消費者にはふだん耳にすることのない分野でもございますの で、遺伝子組換え技術と混同して質問するというようなことも正直ございましたけれど も、いずれにしましても最新の研究の動向について消費者も理解を深める機会にはなっ たというふうに思っております。  2つ目の学習会ですけれども、こちらも農林水産省の事業に私どもが協力をするとい う形で実施した学習会でございます。遺伝子組換え技術農作物に関する小規模リスクコ ミュニケーションということをテーマに学習をいたしました。遺伝子組換え食品の承認 件数が7作物で126件になっているということでありましたり、米国内におけるGMト ウモロコシの栽培率が80%、それから大豆の栽培率が92%に及んでいるというようなこ とでありましたり、世界的に栽培が広がっているというようなことなど最新の動向につ いて紹介をいただいた後、消費者としてスライドにありますように懸念点を意見として 申し上げながら意見交換を進めました。安全性評価の点、それから環境・生態系かく乱 の点、単一作物化の問題点、種苗・農薬の独占化の問題などいろんな問題を懸念事案と して抱えておりますので、こういった点について意見交換をしながら理解を促進してき たというようなことになっております。  3つ目に紹介しておりますのは、これは見学会です。こちらは食品産業センターとの 共催という形で実施をした見学会になっております。一昨年の11月に神戸のグリコ工場 さん、そして昨年の11月にはヤクルトの大阪工場さんの見学をさせていただきました。 現在最も効果的な食品衛生管理システムというふうに言われておりますHACCPにつ いて、消費者がじかに見学もさせていただき、講義も受けながら理解を深めたという企 画になっております。消費者が食品企業を評価する際の1つの指標としてなるのかなと いうことを実感いたしました。  続きまして、こちらは写真になっておりますけれども、これは一昨年の2月に取り組 みましたミニマムアクセス米の検査現場の見学会です。98年に汚染米が主食用、加工用 として流通していたという事件が報道された直後に、一体どうなっているんだろうとい うことがございまして、大阪農政事務所に見学を申し入れいたしまして、堺市にある倉 庫での作業現場を見学させていただきました。主食である米の自給率問題や輸入米の問 題点についていろいろと考えさせられる見学会でございました。  次に、取組の3ということで、こういった取組も私どもはやってまいりました。和歌 山市にございます財団法人雑賀技術研究所様の全面的な協力をいただきまして、関西消 費者協会と、そして私どもと三者共同事業として市中流通食品の残留農薬検査を実施い たしました。期間は2008年4月から2009年9月、計8回実施をいたしております。国産、 外国産農産物、食品延べ100品目を調査いたしました。大阪消団連の会員の皆さんが、 主に大阪市内の量販店になりますけれども、そこで検品を検体として買い上げていただ いて、残留農薬検査を実施したということになっております。ちょうど中国産冷凍ギョ ーザ事件の直後でもございましたので、特に輸入農産物の残留農薬検査を重点に実施を いたしました。  次のスライドが2枚ほど紹介をいたしておりますけれども、そのときの調査結果の抜 粋になっております。第1回の調査の結果がこの画面でございますけれども、オレンジ からマンゴーまで、原産国はアメリカからフィリピンまでと。基準値を超えるような結 果数値は出ておりませんでしたけれども、消費者としてこういうふうに様々な農薬が実 際には残留しているんだということを改めて確認したような次第でございます。  続きまして、第4回目の調査の結果の抜粋です。こちらはちょっと赤字がございます けれども、フィリピン産のバナナでフィプロニルという農薬が基準値の4倍という数値 で検出されました。調査結果につきましては大阪府食の安全推進課に情報提供はさせて いただいております。  以上が大阪消団連として近年特徴的に食の安全に関わる分野で活動を進めてまいりま した点について紹介をさせていただきました。  次に、本日のテーマでもございます平成23年度輸入食品監視指導計画案について、3 点ほど意見を述べさせていただきます。  1点目は、検査体制と検査の強化に関わって、スライドにございますようにこの数年 のモニタリング検査は違反件数によってそのサンプリングの数を増やす措置がとられた り、次年度の計画に生かすという考え方になっているというふうに理解をいたしており ますけれども、この間のモニタリング検査命令の強化によって違反件数なり違反率の向 上に結びついているんじゃないかというふうに理解をいたしております。検査命令の強 化が違反件数の増加とも結びついている結果にもなっておりますので、今後ともこうし た視点を強化していただくという方向で進めていただければというふうに思います。件 数の増加も含め、めり張りのある検査の充実を要望したいというふうに考えております。  2点目は、検査の充実に関わってなんですが、今回の計画案の中にも統計学的に一定 の信頼度で法違反を検出することが可能な検体数ということで一定の考え方が以前にも 示されてまいりました。モニタリング件数を決める際の根拠として、以前お聞きしたこ とによりますと、現在299件が基準になっているというふうに理解をいたしております。 ただ、検査結果の品目によりましては299、発見率が59%のライン、これは標本の違反 率が1%のラインのところで基準値が定められているわけですけれども、品目等によっ ては、赤字で下線を引いておりますけれども459検体であったり598検体であったり、こ ういったものも含めて基準も実態に合わせてということになるんだろうと思いますけれ ども、こういった視点も取り入れた検査の充実をぜひお願いをしたいというふうに考え ております。  3点目は、指導計画案の後ろのほうに別表1がございます。食品群、検査項目、それ から項目別件数、延べ検査数の表がございます。この表を見ますと、例えば平成23年度 の単年度の計画数だけの表になっております。画面を3枚準備いたしました。1つは残 留農薬のモニタリング検査の推移について、過去のいただいている資料から2009年度の 計画、それから2010年度上期の実績、それから2011年度の計画と。こういうふうに3つ 並べてみますと、赤字の部分ですね、農産加工食品について残留農薬のモニタリング検 査を増加させる、これは分かります。次に、成分規格のモニタリング検査を見てみます と、これも同じように畜産加工食品、水産加工食品の検査は増加をさせるという計画に なっています。これも分かります。そして、先ほども紹介がございましたけれども、カ ビ毒のモニタリング検査を見ましても、2011年度には農産加工食品の検査を増加させる というふうになっています。何を申し上げたいかと申しますと、少なくとも3カ年程度 の推移をこの別表にうまく取り込んでいただいて、どう変化しているのか、どの点が 2011年度検査を強化すべき点なのか、そのコメントも若干入れていただければ国民にと っても大変分かりやすい表になるんではないかというふうに思う次第であります。確か に増加している品目と、それから検査の項目は、先ほど来ございましたような今年度重 点にしているところがやはりきちんと反映はされているというふうに理解はいたしてお ります。そういう点でいいますと、ちょっとした工夫で分かりやすい計画になるのでは ないかということでご提案をさせていただきました。  最後に、全体としてこの監視指導計画案につきまして、まとめとして改めて3点を振 り返りで整理をさせていただきました。  1点は、めり張りのあるモニタリング検査の対応をということです。先ほど触れまし たように、モニタリング検査の件数はその対象品目に応じて柔軟に件数増を行っておら れて、一定めり張りのある検査とすることが必要でもありますし、その方向で検討がさ れているという点については評価はしたいというふうに思います。加えまして、このモ ニタリング検査の根拠数にも関わって、先ほども提案させていただきましたけれども、 459基準であったり598基準等のようなものも柔軟に取り入れていただきながら、全体と してもう少しモニタリング件数を増加させるような方向で検討いただければというふう に思います。  2つ目の命令検査件数を引き上げる工夫・試行をという点でございます。この点もぜ ひ行っていただければというふうに考えております。この間、命令検査数を引き上げて きた結果がそれなりにきちんと実績としても出ておりますし、その考え方につきまして は、これも消費者団体として理解のできる内容でもございます。ぜひ充実の方向で進め ていただければというふうに思います。  3つ目は計画案を分かりやすくということで、先ほど最後に申し上げた点でございま すので、省略をさせていただきます。  以上で私の報告とさせていただきます。どうもありがとうございました。 ○司会(大井)  ありがとうございました。  続きまして、味の素株式会社品質保証部品質保証推進グループの中村様から、味の素 グループの品質保証の取組についてご講演いただきます。お願いいたします。 ○中村氏  味の素品質保証部の中村でございます。よろしくお願いしたいと思います。  本日は味の素グループの品質保証の取組ということでご説明をさせていただきますが、 その中で、中国で生産しております味の素冷凍食品の冷凍野菜についても触れさせてい ただきたいというふうに思います。  まず、味の素グループ全体の概要についてご説明をさせていただきます。私どものグ ループは創業が1909年ということで、一昨年100周年を迎えた企業でございます。2008 年の連結ベースの売上が1兆1,904億円ということになっておりまして、事業別という ことで見てみますと、いわゆる国内の食品関係が全体の55%、それから海外の食品関係 が12%、それからアミノ酸、それと医薬品というような売上の構成比になっております。 地域別で見ますと日本が71%ということで、全体の7割を占めておりますが、アジアが 13%、それから北南米で9%、欧州が7%というような地域別の売上の構成比になって おります。  各区分ごとの主要な製品ということで、国内の食品関係はご存じのように商品味の素 ですね。それから、ほんだし、Cook Do、スープ類、マヨネーズ、それから冷凍食品、 油脂、飲料関係というようなものが主な日本国内の商品群になっております。海外でも 同じように商品の味の素、これをベースに展開しております、そのほか風味調味料、ス ープ関係、それから意外なところだと思いますけど即席麺とか飲料関係なんかも手がけ ているということでございます。あと、アミノ酸関係は、これはなかなか身近なものじ ゃないんですけれども、飼料用のアミノ酸ですとか医薬用のアミノ酸、そのほか化成品 が主力の製品ということになっております。  商品の展開ということでご説明したいんですけれども、もともと1909年に創業になり ますけれども、商品の味の素から発進して、食品関係は調味料関係、それから油脂、加 工食品、冷凍食品、飲料というように展開してまいりました。一方、アミノ酸の事業に つきましてはアミノ酸をベースに飼料用のアミノ酸、化成品、甘味料、それから健康栄 養食品というような事業へ展開しております。  海外につきましても積極的に進出しておりまして、現在活動しておりますのは世界22 カ国の国と地域で事業を展開しております。うち生産工場を持っておりますのは世界14 カ国の国と地域で合計102の工場を持っております。国内が48、海外が54ということで ございす。そして、これらを1つにまとめる品質保証のシステムが必要ということにな りまして、私どもではアスカという愛称になっていますけれども、こういった品質保証 のシステムを取り入れております。  アスカについてご説明させていただきたいんですけれども、私どもの品質管理は1975 年ごろ、この時点ではいわゆる工場での品質管理というのが中心に動いておりました。 1997年、この年にいわゆる品質保証規程というものを定めまして、アスカという品質保 証のトータルでのマネジメントの仕組みを導入しました。それから、1999年にはこのア スカの品質保証につきまして、これをグループの各社にも広げてきて、2000年にはグル ープ全体での品質保証の方針を定めております。翌2002年にはいわゆる品質保証に関す る中期計画というのを策定しておりまして、これをもとに現在まで品質の保証を進めて いるというようなことになっております。  これが味の素グループの品質保証の方針でございます。全部で5つのポイントがある んですけれども、第1点目としましてはお客様第一ということが挙げられます。それか ら、第2点目としましては、お客様への情報の提供ということでございまして、ツーウ ェーコミュニケーション、これを推進していこうというのが2点目でございます。それ から、3点目としましては、安全については飽くなき追求をしようということで、法令 の遵守、それから一定の品質ですね、これを確保していくということを目標に掲げてお ります。それから、4点目としましては、アスカで品質の保証をしていこうということ。 それから、最後に5点目としましては、経営のリーダーシップのもとに品質に関わる全 ての人が安全で高品質な商品、サービスを提供するということを心がけましょうという。 以上5点がグループの品質方針になっております。それで、先ほどからお話ししていま すアスカというのは、そこの一番下にありますけれども、Ajinomoto System of Quality Assuranceというものの頭文字を取ったものです。  それから、ここでいう品質というのは、ここでちょっと図式化してみたんですけれど も、品質をどうとらえるかということなんですけれども、これはあくまでもお客様の品 質に関する考え方が変化してまいりますので、今はお客様は味の素グループの製品です とか情報、サービスですね、そういったものの質だけではなくて、そこに働いている人 間の質ですとか業務の質、あるいは経営者そのものの経営の質というものも見ていると いうふうにとらえております。ですから、質の高い経営ですとか質の高い技術、質の高 い製品というものをトータルで提供していくことが品質というふうに我々はとらえてい るということでございます。  それで、さっきちょっと一連の品質保証の歩みについて若干簡単にご説明しましたけ れども、一番大きなポイントになっていますのは、やはり2002年につくりました品質保 証の中期計画がポイントになっているというふうに考えております。ちょうどその2001 年当時、このとき食品企業の課題として指摘された事項ということで4点ほど挙げられ ております。1つは明確な責任体制、それから経営トップの品質に対する認識、それか ら従業員の意識、日常の教育訓練というものが不備があるというふうに当時言われてお りました。我々としましては、品質保証の強化ということで、品質保証の責任者の任命 し、明確な責任体制をつくる。監査をグループ全体にわたって実施する。アスカの基準 類を整備する。国際規格でありますISO9001、それからHACCPを積極的に導入す るということを中期計画の中に盛り込みまして、現実にそれを進めているということで ございます。  これがアスカの骨格になっているものでございます。基本的には国際規格であります ISO9001をベースにしまして、危害分析管理のHACCPを入れます。それから、味 の素独自の要求事項というものを組み合わせた形でアスカというものができ上がってい るということでございます。  これはアスカの文書体系になるんですけれども、先ほどご説明しました味の素のグル ープの品質方針というのが一番上にあります。その下に何をすべきかを書いてあります 品質保証規則というのを設けております。これはISO9001をベースにつくった要求事 項というふうにとらえていただいて結構なんですけれども、何をすべきかということを 規定しているます。その下にグループ各社共通の基準類ということで、これは何をどの ようにどこまでやればいいのかということを具体的に決めています。これらの下に各現 場の事業部門ごとにこういったものをベースにしながら事業特性に合わせた形でルール づくりをしているということで、いわゆるグループ全体の方針が現場のいろんなルール づくりにも全て反映するような形をとっているということが特徴というふうに考えてい ただければと思います。  これはアスカの品質保証規則の要求事項の項目です。いわゆるISO9001の要求事項 と大体一致していると思います。実際にはISO9001をベースに考えておりまして、ただ 違いますのはそれぞれの要求事項につきましてより具体的に詳しく要求事項を定めてい るというあたりが違うと思います。例えば、ここに責任と権限ということがあります。 これは要求事項の中では品質保証実施単位組織ごとに品質保証の管理者を選任しなさい と。それから、工場部門につきましては製造の責任者、検査の責任者をきちっと選びな さいと。それから分社、あるいは連結の子会社については品質保証の責任者をきちっと 選任しなさいというようなことで責任権限を明確にしているということです。それから、 その次のマネジメントのレビューにつきましても、きちっと年2回マネジメントのレビ ューをしなさい。いわゆるトップが参加する品質保証会議、あるいはそれに準じた会議 を開催して、その中でレビューをしなさいというようなことがるる書かれています。  それから、これはどうやってどこまでやればいいのかということを書いた基準類の一 覧です。いわゆる品質教育から始まりまして包材、原料、GMP、HACCPの基準類 を持っておりますし、特殊な例では宗教対応ということでハラルですとかコーシャに対 応する基準を持っております。この基準を基にルールを決めて、これを現場レベルに落 とし込んで日々の活動をしています。  それで、私どもはアスカで大切なことは何かというと、いわゆる継続的に改善してい くということが最も重要ではないかなというふうにとらえております。いわゆるplan, do,check,actionですね、これのサイクルをきちんと回していくことが継続的な改善 につながるというふうにとらえているということでございます。どういうことかといい ますと、まずプランの段階では味の素グループの年度の計画ですとか中期の方針とか目 標、こういったものを品質保証会議で立案しながら、最終的には経営会議で承認する。 そして、このプランをもってグループの品質保証の実施組織はそれぞれの事業の特性に 合わせてマネジメントのシステムを構築して、実際にこれを運用していくということに なります。そこで運用されたものを、先ほど年2回というお話ししましたように、活動 状況なんかをきちっと評価をして、それを品質保証会議等で報告をしながらチェックを 受ける、場合によっては承認をいただくという形ととっています。そして、ここで何か 問題があれば是正措置をとっていく。こういった1つのサイクル、これが年間を通じて 回っていくことによって継続的に改善をしていけるととらえておりまして、これが最も 重要ではないかと考えておる次第でございます。  それでは、全体のアスカのお話をさせていただきましたけれども、次、冷凍野菜の管 理を品質保証の取組の例ということでご紹介をさせていただきます。  これは冷凍野菜の管理方法を1つに図式化してまとめたものです。いわゆる農場から 始まりまして実際に冷凍野菜をつくる製造の部分まで、各工程ごとにいろいろ基準を設 けて、それに沿った形でチェックをしながら進めているということになります。それぞ れ具体的に説明したいと思います。  まず最初に圃場ですけれども、冷凍野菜に使っております原料の野菜につきましては、 自社の管理農場で全て行っております。自社の管理農場につきましては、畑を限定する ですとか、あるいは畑の土壌の分析をする、あるいはそこの使われる水質なんかの分析 をしながら、当社の基準に合致するものだけを採用して、それ以外のものは採用しない ということでまず畑を限定しているというのが1点目になります。それから、そこで実 際に選定された圃場に種まきから収穫までの栽培管理ということになるわけです。これ につきましては当社が指定しております栽培管理表というものを用いて実際に栽培を管 理していくということになります。例えば、農薬の管理につきましては、農薬のガイド ラインに沿って作物ごとに使用する農薬を決めるということです。その決めた農薬につ いては一括で購入して、一括で在庫管理をする。指定以外の農薬というものが使用され ないようにしています。それから、実際に収穫前の野菜につきましては残留農薬の検査 をしながら基準に適合されたものだけを収穫するということで、最終的には収穫許可書 を作成し、収穫していくことになります。  これが実際に使われています栽培管理表です。この中では農薬の種類ですとか実際の 使用量、安全期、散布された回数、散布の時期等細かく全て記録をしまして、この記録 が日本の基準に合致しているかどうかというのを確認しながら進めているということに なります。  こうやって栽培されました野菜を、実際に工場に持っていくわけですけれども、その 際には畑ごとにロットの番号を設定します。それから、畑ごとに先ほどお話しした栽培 記録、履歴をつけるということを行っております。そして、畑ごとにトラックで工場に 納品されるということになります。その際にさっきご説明しました収穫許可書ですね、 これが発行されていますので、これを確認するということで、発行されていないものに ついては納品できないような仕組みにしています。  それで、工場のほうに入った原料の野菜につきましてはロットごとに受け入れを行い ます。それから、加工工程につきましてもロットごとに行って、最終的には製品化され たものにつきましてもロットごとに冷凍庫に保管をされるということになります。最終 的には製品ごとに畑番号が分かる、記載されるというような形になっておりまして、こ れでトレーサビリティーを確保するということでございます。  これが簡単でございますけれども冷凍野菜の管理についてということになります。  それで最後に、さっきの品質の方針の中にもありましたけれども、お客様とのツーウ ェーコミュニケーションという観点で最後に説明させていただきたいと思います。  私どもにはお客様相談センターというものを設置しております。ここはお客様からの 情報収集という意味、それからお客様の問い合わせに対して当社から的確に情報を提供 するという大きな役割と、もう一つはお客様から得られた情報を分析する中で、商品開 発ですとか商品の改善につなげるというような役割を持って伊います。  これが実際のお客様相談センターの風景でございまして、大体昨年1年間の実績で約 4万件ほど問い合わせがあります。それを今お話ししたような形で解析しながら進めて いるということになります。これがお客様の声を反映する仕組みです。そこに書きまし たように、お客様からの意見ですとかご指摘を読み込み、それをお客様の声活用会議で 活用します。この会議で商品を所管している部門ですとか、あるいは開発部門、こうい ったところに意見を反映させます。新しい商品の開発上のポイントとか、あるいは商品 の改定、こういったものにつなげていくということで、お客様の声を反映させるという ような仕組みをとっているということでございます。  これは実際にお客様の声をもとにして改定した内容です。2005年8月に改定したもの ですが、ほんだしの入れるタイミングがよく分からないと、どのタイミングで入れたら いいんだというようなご意見が結構たくさん寄せられました。それでパッケージのご説 明の中に、ここの2カ所、ほんだしは炒めるときに半分入れてください、それで最後煮 るときに残りの半分入れてくださいと商品パッケージの説明の中にこういった説明書き を入れるということで、お客様の声を実際に反映させた例です。  そのほか、例えばこれはアレルゲンの表示につきましてもホームページ上で一括して 検索できるような、仕組みも設けておりますし、これは冷凍食品中心になりますけれど も、ホームページ上で使われています原料原産地の情報を公開するということで、お客 様からいただいた声をもとにしながら情報の提供を行っています。  以上で、簡単ではございますけれども、味の素の品質保証の取組ということで概要に ついてご説明させていただきました。どうもありがとうございました。 ○司会(大井)  ありがとうございました。  それでは、ここで休憩のご案内をしたいと思いますが、その前に皆様にお願いがござ います。皆様受付のほうでお渡ししております茶封筒にアンケート用紙が1枚同封され ていると思います。こちらのほうぜひご記入いただきまして、帰りの際に受付にアンケ ート回収箱を置きますので、そちらのほうにご投函いただきますようお願いいたします。  それでは、休憩のご案内をいたします。ただ今3時50分を少し過ぎておりますので、 再開は3時5分からにしたいと思います。3時5分になりましたら再開いたしますので、 それまでにお席にお戻りください。 (休  憩) ○司会(大井)  それでは、時間になりましたので、意見交換の後半を再開させていただきます。  なお、これから意見交換会を行いますが、会場の皆様に予めお願いがございます。意 見交換の後半では、会場の参加者の皆様からご発言をいただく機会がございます。その 際にお願いしたいことがございます。まず、ご発言される場合は挙手をお願いいたしま す。係の者がマイクをお持ちしますので、発言に先立ち、差し支えなければお名前とご 所属をお願いいたします。また、多くの方にご発言いただきたいので、ご発言につきま してはなるべく簡潔にお願いいたします。よろしくお願いいたします。  それでは、本日の意見交換会のコーディネーター及びパネリストをご紹介いたします。  皆様からご覧になって一番左がコーディネーターをお願いしております日経BPコン サルティングプロデューサーの中野栄子様です。  続きまして、全大阪消費者団体連絡会事務局次長、浜田様です。  続きまして、味の素株式会社品質保証部品質保証推進グループ、中村様です。  最後に、厚生労働省食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室、西村室長補佐です。  これからの意見交換の議事進行につきましては、中野さんにお願いいたします。よろ しくお願いします。 ○コーディネーター(中野)  改めまして、皆さん、こんにちは。日経BPコンサルティングの中野と申します。私 は日経新聞のグループでずっと記者をしておりました。それで、ここ七、八年、正確に は2003年、食品安全基本法が制定されたときなんですけれども、その頃から食の安全を 取材させていただいておりまして、そうした取材活動、執筆活動がこうした場で何かお 役になればいいなということでお引き受けいたしました。よろしくお願いいたします。  食の安全を取材していていつも思うことは、実際に食の安全が科学的にきちっと評価 されている一方で、そうしたことがなかなか一般の消費者の人たち、世の中に正しく正 確に伝わらなくて、それが誤解を呼んで消費者の人たちが不安になったり、事業者の人 たちもうまく仕事ができなかったりというようなことを大変よく目にします。こういっ た誤解に基づく不幸がなくなればいいなと思いながら日々仕事をしている次第なんです が、今日のこうした場も1つの食の安全にまつわる誤解というものが解消できれば幸い かなと思っております。  今日はこの意見交換会に当たりまして、参加者の方々からこういうことを質問したい、 意見を述べてみたいということで事前にいただいております。それをまず先にご紹介し ながら始めさせていただければと思います。  事前にいただいた質問は、食品関係事業者の方からいただいたものです。今日恐らく いらっしゃっているかと思うんですけれども、中国、台湾からたくさん入ってきている 輸入ウナギの蒲焼の安全性についてです。それから、冷凍輸入野菜の安全性についても 訊いていらっしゃいます。こうしたウナギの蒲焼であるとか、輸入野菜についてまだま だ不安はあろうかと思います。これについて改めて安全性どうなっているのか、監視は どうなっているのか、そして事業者はどのように対応し、そして消費者はどのように思 っているのか、そのあたり全般的にお聞きになりたかったのかなと思います。  ウナギの蒲焼といいますと、つい二、三年前から産地の偽装がありまして、それがか なり印象深く残っています。台湾産であるのに国産と称して売っていて、それがいわゆ る消費者を欺くというようなことに発展しまして、摘発されました。そうしたことで、 輸入の蒲焼はちょっとイメージが悪いな、印象が悪いなと私たちは思うものですが、た だ、冷静に考えてみますと、産地の偽装というのは何も安全性に問題があったというわ けではありませんね。安全性の問題ではございません。ただ、ウナギの安全性について どんな問題があったのかと、もう少し振り返ってみますと、代謝物に発がん性があると 言われているマラカイトグリーンが発見されたという問題が出てきます。それから、輸 入野菜の問題ですけれども、これも2002年ですか、冷凍ホウレンソウにクロルピリホス が検出され、それがきっかけとなって2006年からのポジティブリスト制ができたりして、 大きな食品安全への動きにつながりました。古い話ですけれども、このマラカイトグリ ーンであるとかクロルピリホスの問題を、いずれも復習を兼ねて、厚労省の西村さんか らその規制や対策などについてまとめていただければと思うんですが、よろしくお願い します。 ○西村室長補佐  西村ですけれども、よろしくお願いいたします。  事前にいただいた質問の中で、今中野さんからお話あったように、ウナギの蒲焼の安 全性と輸入野菜、冷凍野菜の安全性ということで、概略は中野さんの言われているとお りですけれども、取り立ててウナギとか冷凍野菜に対して特に何かしているということ ではなくて、先ほどお話ししましたようにモニタリング検査をしまして、モニタリング 検査をした後に違反が複数回見つかれば検査命令に移行していくと。安全性なり再発防 止策ができてくれば検査命令を解除していくと。淡々とルールにのっとって業務をして いるんですけれども、来る前に調べてきて、確かにウナギは多くは台湾、中国から輸入 されてきておりまして、先ほどスライドで示した検査命令の表をみると、台湾産はスル ファジミジン、フラゾリドン、フラルタドン、フェニトロチオンの検査命令かかってい て、中国産についてはオキソリン酸、スルファジミジン、フロキサシン、マラカイトグ リーン、フラゾリドン、冷凍食品の規格と、非常に多くの検査命令の項目がかかってい るます。  輸入食品の監視につきましては、輸入時、それともう一つ上に上がりまして輸出国の 段階ということになっているんですけれども、こういったものにつきましては相手国政 府に対して再三申し上げているように安全対策を取るように、とらないと検査命令の対 象となり、毎回検査をすることになると連絡しております。先ほど言われていたホウレ ンソウについては、検査しても違反が出てくるということで、検体数をふやしていくと いう形で細分化してかなり精密な検査をして、合格だったものについて輸入を認めてい くということにしております。特に輸入のホウレンソウにつきましては相手国と話をし まして、指定の農場について相手国での安全管理をした証明書がついてこないものは輸 入を認めないとしておりまして、相手国の出した証明書を出した上で検査命令をかける という形にしております。ウナギについても一つ一つの農薬、動物医薬品について原因 究明をさせて、安全対策をとらせて、それに基づいて必要に応じては相手国に行って、 農場、または圃場、または養殖池を見てくるということにしています。先ほど味の素さ んの例にもあったように、相手国で輸出する前に検査をして、安全なものを確認した上 で輸入するというような形でも指導は申し上げております。 ○コーディネーター(中野)  ありがとうございました。ちょうど味の素さんが先ほどのご発表の中で言及されまし たが、野菜を中国で現地栽培されたご経験が非常におありなので、中村さんのほうから も、特に野菜の輸入、冷凍野菜の輸入に関して何かご意見とかコメントがあればお願い いたします。 ○中村氏  先ほどご説明したとおりなので、特にコメントすることはありませんが、やはり自分 たちできちっと管理ができるかどうかというのが一番のポイントだと思います。他人任 せということはないとは思いますが、やはり自分たちが自らきちっと確認できるものが ないと責任を持てないということにもなると思いますので、その辺が一番ポイントと考 えております。 ○コーディネーター(中野)  そういえば、実は私も2008年ですか、別に示し合わせたわけじゃないんですけれども、 味の素さんの関連の厦門にある枝豆の畑と冷凍食品の工場を見学させていただく機会が ございまして、そのときすごく印象に残っていたのは、畑にフィールドマンとおっしゃ る地元の方なんですけれども、農薬のことをすごく勉強されて、農薬の管理を味の素さ んの会社の人と一緒になってやっていらっしゃったことです。現地の人たちと一緒にな って食の安全を守るという見事なチームワークが心に残っています。  ウナギの蒲焼や輸入野菜は、両方とも中国のものですね。中国というと輸入食品の中 で輸入の点数も一番多いということですし、やはりいろんな事件や事故もありますので、 関係者の我々が最も関心を高く持つというのは変わりないと思います。中国といえば中 国産ギョーザ事件を踏まえて、先ほど西村さんのご講演の中にありましたように、昨年、 日中食品安全推進イニシアチブの覚書が交わされました。それをもとに日中両国の話合 いや協力が進み、シンポジウムも今度は日本で開かれるということです。大変おぞまし い事件として印象に残る中国産冷凍ギョーザ事件がこのような形で少しずつ解決の方向 に向かったというのは、関係者にとって安心できる材料だと思います。そのあたりは浜 田さんから消費者のお立場で、こうした日中のやりとりについてコメントをいただけま すか。ご納得いただけるのか、いや、まだまだ足りないからもっとやったほうがいいの か、どのようなご感想をお持ちであるのか、教えていただければと思います。 ○浜田氏  短期的には消費者の不信が簡単に払拭できるというふうには思いません。ただ、いず れにせよ中国との貿易というのは今後も続いていくわけですし、長期的にはやはり体制 の整備につながっていくんだろうなというふうには思っております。  ちょっと視点変わりますけれども、ギョーザ事件を踏まえてといいますか、ギョーザ 事件を受けて、従来は品質の問題だったものが食品防御という、この要素が加わって安 全性という視点で中国産が見られるようになっていると。しかも最近も含めて、ウナギ 事件も含めて産地偽装が余りにも多発していると。こういった不信の問題もあると。ひ っくるめて消費者は安全性に対する不信、不安というふうに見ている側面もございます。 確かに国内自給率の問題もございまして、消費者も複雑な思いでこの問題を見ておるわ けですけれども、ただ、やはり正確な情報や知識というものが消費者の中になかなか学 ぶ機会等が少ないというのも現実だろうというふうに思います。そういう点でいいます と、こういったリスクコミュニケーションの機会というのは、全国で数カ所開催はされ るんですけれども、できるだけ地方公共団体等とも連携をしながら、やはり回数をふや して地域密着で進めていただくというふうな方向性をぜひ探っていただきたいなという ふうに思います。私ども消費者団体も先ほどの学習会の事例で紹介しましたけれども、 そういう機会があるときに消費者団体としても積極的に学習をしていこうということで の呼びかけをしておりますので、ぜひとも協力いただける事業者の皆さんにはぜひとも お願いをしたいなというふうに思っております。 ○コーディネーター(中野)  ありがとうございました。もっとこういった場があればいいなということですね。皆 さんもぜひこういったような場を見つけて積極的にご参加していただければと思います。  もともとこの質問を出された方、きっとここにいらっしゃるかと思うんですけれども、 ただ今先生方からいただいたお答えにご納得されましたでしょうか。もし足りないとい うようなことであれば、そしてもう少しここのところ深く議論してほしいとか教えてほ しいとかいうようなことがあれば、ぜひこの場でご指摘いただければと思います。  あと、もともとご質問出された方ではなくても、これに関して、いや、私はもうちょ っと違う意見であるとか、逆にこういったことを聞いてみたいというようなことがあれ ば、フロアの方からぜひいただければと思います。いかがでしょうか。  どうぞ。 ○質問者A  日本医療検定協会のシゲナガと申します。  近年中国の乳製品からメラミンが検出されるという事例がありまして、我々が例えば 管理とか検査とかというのをやっているとしても、それはあくまでも想定の範囲内でで きることであると思うんですよ。乳製品からメラミンというのはだれも考えもつかなか ったことでありまして、そういう思いもつかなかったものが出てくるとか、あるいはそ ういうものが出てしまったらどうするか、あるいはそういうものを防ぐためにはどうし たらいいのかというところがちょっと考えているところでありまして、ご意見いただけ ればと思います。 ○コーディネーター(中野)  それでは、西村さんのほうから、実際にメラミン事件に対してどのように対応されて、 そして進めてきたかということも含めてお話しできればと思います。 ○西村室長補佐  メラミンというものが中国で乳製品に含まれていて乳幼児に健康被害が起きたという ことから始まっていまして、なぜメラミンを乳製品に含めたかというと、窒素分が多い 物質で、中国では窒素分をタンパク量としてはかることによって乳製品の品質を決めて いくということで、水で薄めた上にメラミンを加えてタンパクが多いように見せていた ということになります。事件の始まりはそういうことで、多分皆様方と同じで、メラミ ン自体がそんなものに含まれていて、それが中国国内で蔓延していて、それが日本に来 ている、また諸外国に行っているということは想定もしていなかった話であったと思い ます。その当時、厚生労働省、また医療検定協会さんもそうでしょうけれども、検査で きるのかできないのか、検査法どうするんだ、どこまではかるのかと。諸外国がどうや ってはかっているんだと。一番下の値はどこで設定するのかということ。それを食べた らどれぐらい毒性があるのかということの検討して、いろいろ検査機関の方の協力いた だいて検査ができるということになって、メラミン検出したら食品衛生法違反にし、数 件違反が検出したと思います。  我々としては、諸外国のアラート情報を見ております。アラート情報が出てきたとき には、どこの国で何か起きたというときには、すぐそのものが日本に輸入されているか どうか、どういう製造メーカーのどういう製品が輸入されているかどうかというのは直 ちに検索しております。問題があると分かったときには対策をとると。どのものが輸入 されているのかと。今市中に流通しているものがあるのか、今港にとまっているものが あるのかということを含めて検索して、対策をとる。どういうふうに輸入者を指導する のかということを含めて検討しております。  先ほどのギョーザ事件のときも多分同じだと思うんですね。加工輸入食品に対するガ イドラインというものを示して、輸入者さんに対して、加工食品に対して諸外国でつく ったときにこういった点を注意しなさいということのガイドラインとしてお示し、先ほ どのメラミンの検査法も同じですけれども、ギョーザの場合には油分が含まれているの で、野菜についての検査ができないと。野菜だけ取り出してきても油の妨害とかほかの 野菜の妨害があって検査ができないということでしたが、検査法を開発して、加工食品 に対しても検査ができると。技術を開発していく。それらして検査をするということを 数年続けていって、それで加工食品に対しての違反事例というのはないんですけれども、 我々は我々として相手国の情報を得る、検査法を開発する、対策をどうとるかというこ とは日々検討しているところです。 ○コーディネーター(中野)  いかがでしょうか。 ○質問者A  ありがとうございます。 ○コーディネーター(中野)  今ちょうど西村さんのほうから海外のアラート情報をひたすらひたすら見て、もしも 日本で起こったら、あるいは日本が関係したことが分かったら、海外のアラート情報に 基づいて対策を日々講じているというご説明があったんですけれども、実は事前にいた だいているご質問で、回答の一部がそういうようなものになるのかなというものがあり ましたので、それも紹介させていただきます。  「諸外国の食品関連法規制が変わり、日本へ輸入食品に影響が出る場合に厚生労働省 がどのように情報を把握していますでしょうか。関連内容は国内に発信させています か」というご質問です。これは生産者の方からいただいているご質問でございます。前 半の部分は回答の一部として今西村さんがおっしゃったように海外のアラート情報をし っかりとチェックして把握するということだと思うんですが、もう少し詳しくお話しい ただけたらと思います。それから、「関連内容は国内に発信させていますか」とありま すので、それについても併せてお願いできればと思います。 ○西村室長補佐  私が勤めている医薬食品局の食品安全部の輸入食品安全対策室というところですけれ ども、割となんですけれども厚生労働省の中では情報を多く発信しているおもっていま すが、それでも不十分な点は多くあるんではないか思っています。  海外の法律が変わるとき、日本が法律変わるとき、ポジティブリストに変えたときも そうですけれども、海外に対しては国際機関を通じて必ず通報して、相手国の意見を聞 いて、ちゃんと説明をして法律を変えていくと。それは日本が変えるときも同じですし、 相手国が変えるときも同じだということになっています。  なるべく厚生労働省の中でもプレスリリースをするとき、ホームページに載せるとき には分かりやすい言葉を使えという形で、役所独特の言葉ではなくてなるべく分かりや すい言葉に全部書き換えて発信するようにはしてはおります。  話がちょっと飛んでしまって次の議題の中に入ってくるのかもしれないですが、こと し5日に、ドイツでダイオキシンが出ているみたいですと。鶏のエサに含まれていたら しくて、卵が汚染されているんじゃないかという懸念がありますということが言われま して、5日からただひたすら検索して日本に輸入されているかどうか、どこまで発生す るのかということをしまして、当初から卵の輸入はない。一部あったのは粉にした卵の 黄身が輸入されているというのが分かったんですけれども、それは今回の事案の相当前、 1年ぐらい前の話なので今回の事案とは関係ないんではないかということになっていま す。1週間ぐらいいろいろアラート情報を見つつ、海外の新聞を見つつ、日本の新聞の 報道を見つつ、相手国に対して関係している国というのは結構出てきまして、ドイツか ら出てきて、それはもともとオランダでつくっていのではないかとか、そのものがまた オランダを通じてイギリスに行ったとか。それぞれの国に全部大使館を通じて事実関係 を確認して問題ないと。それぞれに対応はちゃんとして問題ないと。日本にも来ていな いと。第三国を通じて日本にも来ていないということを確認して、第一報は1月12日に ダイオキシンについて厚生労働省の対応という形でなるべく分かりやすく、事の経緯も 含めて分かりやすいつもりですけれども、ホームページに掲載しまして、18日には改訂 版、最新バージョンとして載せていると。なるべく皆様方に我々のしている業務、食品 の安全に対する業務というのはお知らせするように、ホームページにはなるべく多くの 情報を載せるようには努力はしているつもりですけれども、頑張ります。 ○コーディネーター(中野)  厚生労働省のホームページは、厚生労働省はカバーするところの範囲がとても広く、 食の安全だけではなく、いろんなジャンルがありますので、一般の人が厚生労働省の目 的のページにたどり着くまでにはすごく時間がかかって、ほかの省庁に比べて不利かな と思います。それでも私も日々取材とか情報収集においてはホームページを利用させて いただいておりますが、大分読みやすくなったと思います。ただ、ホームページという のはこちらからアクセスしないとその情報にたどり着かないという性質のものなので、 見る側の努力もまだまだ必要なのかと思います。  あと、先のドイツのダイオキシンの問題に関して、我々メディアの側でもまだ余り把 握してなかったような部分もあります。ですので、厚生労働省からの発表ももう少しメ ディアを意識したような発表もしていただけると、こちらとしてももっと役立つ情報発 信ができるのかなと思います。私どもメディアとしてのこれからの課題でもある、より よい情報発信のためにも、厚生労働省の今後の情報発信にもっと期待したいと思います。  西村さん、始まる前にお聞きした範囲では、実際日本に入ってきているものを全部細 かく調べていただいた結果、全く問題はないということですよね。想像するとソーセー ジなどはドイツのものが日本にたくさん入ってきているイメージもありますけれども、 数としては実は予想するほどは入っていなかったし、問題の期間中のものは全く入って いないと確認されたということですよね。 ○西村室長補佐  そのとおりで、最初鶏卵が問題だといったときに、ああ、まだまだ大丈夫だなと思っ てはいたんですけど、ドイツから豚肉は輸入はしていないんですけれども、ソーセージ は来ている。ビアガーデン行ってはドイツソーセージ食っていると思って調べたんです けれども、思いのほか少なくて、どこ産食しているのかなとちょっと思ったんですけど、 それはさておいて。問題の原因となっているダイオキシンを含んだ飼料というのを食べ ているのが、昨年11月11日から昨年12月16とか17日までの間に食べているということな ので、その間にと畜され、ソーセージにしているものというものが来ていないというこ とは分かっております。鶏肉も来ていないと。 ○コーディネーター(中野)  浜田さんは消費者のお立場として、今の情報発信の仕方について、もし何かコメント があればお聞かせいただければと思います。 ○浜田氏  海外での事件の報道というような報道のされ方ですよね。しかも速報性を持って報道 がされると。一瞬にして消費者には印象づけられると。ところが、先ほどもございまし たように、正確な情報であったり、輸入品として日本にそれが入ってくる可能性がある のかどうかというような正確な情報というのはなかなか出てこない。出てきても遅いと いうような問題があって、ここら辺の正確な情報ができるだけ早いタイミングで国民に 情報提供されるということが大事なのかなというふうに思います。この23年度の監視指 導計画の概要のところの8項目めに国民等への情報提供ということで、冒頭スライドで も紹介がございましたけれども、とりわけたくさん輸入している国で、違反率が一定あ って心配な国というのに対する輸出国の安全対策の制度調査であったり、現地調査をや っておるというようなことですので、そういったことを丁寧にやはり国民に情報提供し ていくと、こんな点も大事なのかなというふうに思いました。 ○コーディネーター(中野)  ありがとうございました。  それから、もう一つ事前にいただいた質問でご紹介したいものがございます。これは 食品関係事業者の方からいただいた質問です。「輸入元とどのように日本の食品関係法 規を確認し合えばよいのだろうか。違反事例から原因と対策はどのようになされている か」というご質問でございます。輸入元とどのように確認し合えばいいかというのは、 例えば先ほど中村さんからのご発表にもあったように、現地の法規に照らし合わせると か、現地の方と話し合うとか、いろいろあります。また、西村さんが冒頭にご講演され た内容にもそのようなご説明がありました。ただ、やっぱり質問された方は、実際には どうなのでしょうとお思いになってお聞きになりたいのだと思います。例えば、問い合 わせをする相手先の担当官によって違ったらどうしたらいいのかとか、かなり現実的な 話をお聞きになりたいのかと思います。実際に味の素さんのような大企業と中小規模の 事業者さんでは状況が変わることもあるかと思います。そういったようなことも踏まえ てもう少し詳しいというか、現場に密な情報があれば西村さんのほうからお話しいただ ければと思うのですが。 ○西村室長補佐  日本の食品法規を少なくともまず事業者さん自ら理解をされないといけないのかなと いうのが一番です。先ほどのスライドの中でお話ししましたように、全国31カ所に検疫 所があるんですけれども、食品を輸入するための規制というのは食品衛生法だけではあ りませんので、それはご理解をしていただいて、どこにどういった法律があるのかとい うのは自ら勉強していただくか、最終的には税関を通ることになりますので、税関に行 ってどういった法規があるのかということを確認することも必要かと思います。例えば、 相手国から生鮮の果実を入れるときには植物防疫法という法律があって、日本の農林水 産省のチェックを受けなきゃいけない。お肉を入れるときには、これは家畜伝染病予防 法という法律、これも農林水産省ですけれどもチェックを受けないと、相手国の衛生証 明書がないと輸入できないということになっています。  当然食品衛生法の農薬の基準、添加物の使用基準、バクテリアの基準ということは当 然ご理解をいただかなきゃいけないんでしょうし、そのために全国の主要な検疫所には 輸入相談の窓口を設けておりますので、電話して予約して行っていただければ適切なア ドバイス、これだけしておけば大丈夫だと。そこでも他法令、厚生労働省の食品衛生法 以外の法律についても教えてくれるかと思います。そういったものを利用する。または 相手国の大使館に行って法律規制はどうなっているのだと聞くのも手だと思います。  いずれにしましても、いろいろな情報を得る、我々もリスクコミュニケーションとい うのは輸入食品のこのことだけではなくて、都道府県から来てくれと講演の依頼があり、 パネラーとして来てくれということであれば基本的にどこにでも行くと、都合さえ合え ばどこでも行くと。そういった機会はこちらのほうでもあると思いますので、いろいろ 情報を得ていろんな会に参加されるのもいいのかなというふうに思います。  ちょっと長くなって、最後に検疫所のPRをするわけではないんですけれども、検疫 所の中に31カ所あると言いましたけれども、東と西に非常に大きな検査施設を持ってお ります。東は横浜で西は神戸ですけれども、輸入食品検疫検査センターという非常に大 規模な施設を持っていまして、年に1回開放して皆様方をお招きしている機会がありま すので、大抵夏前なんですけれども、そういう情報を得て見学していただければ、検疫 所でどんな検査をしているのかというのが分かっていただけるかなと思います。 ○コーディネーター(中野)  ありがとうございました。私もその見学ができるというのは知りませんでしたので、 ぜひ次の機会には行ってみたいと思います。皆さんも時間をつくってぜひ訪問されてみ てはいかがでしょうか。  今、先生方にお答えいただいた件に関しても結構ですし、また新たにもう少しこうい うことが知りたいと、もう少しこういうことを言ってみたいというようなことがあれば、 まだお時間もございます。せっかくの機会ですので、フロアの方からどなたかご発言願 えればと思います。いかがでしょうか。  特にないですか。せっかくの機会でございます。西村さんも全国どこでも呼ばれれば 行きますよとおっしゃって、そのうち忙しくて呼んでもなかなか来てもらえないことも 出てくるかもしれません。今のうちにお聞きになってみてはいかがでしょうか。  では、私のほうから。せっかくそうそうたる先生方が今日いらしていますので、この 機会にいろいろ教えていただきたいと思います。幾つかよろしいでしょうか。  先ほど浜田さんから、消費者、大阪消団連のお立場で今回の監視指導計画に対しての ご要望を発表されたんですけれども、それ以外のことは今度の指導計画において概ね満 足というか、この調子でやっていいぞということでしょうか。 ○浜田氏  2点ほどございます。  1点は、監視指導計画が整備されてきていること自体は前進していると思います。数 年にわたって私どももこの監視指導計画につきましてはウォッチャーをし、パブリック コメントにも積極的にこたえてまいりました。輸出国の調査であったり検査体制であっ たり、それから国内流通の全体としての監視指導体制、こういった辺は整備はされてき ている。ただ、私ども消費者団体から見ると、全体としてはもうちょっと拡充してほし い。これは要望です。  それからもう1点なんですが、先ほどちょっと触れなかったんですが、先ほどちょっ と話題になりましたので一言触れたいと思います。この計画案の一番最後に、8番に国 民等への情報提供というのがございまして、それの(5)その他に先ほど話題になりま した検疫所の問題がございます。私、お役所言葉というのがここに出ていると思うんで すね。こうあるんですね。「検疫所は、一般消費者等を対象とした見学の受入れ等」、 これを積極的に進めますというふうに続くのかなと思いましたら、「監視指導等業務に 支障のない範囲内で」というのが後ろに、こちらのほうが生きてくるんですね、私ども 消費者から見ますと。要するに仕事が忙しいから消費者も十分わきまえてねと、もうち ょっと短くいうと、余り来てほしくないねというふうにも読みとられかねない私はこう いう表現だと思いますので、むしろ積極的な意味合いのほうを酌むとすると、監視指導 等の業務の実情に留意しつつ、一般消費者等の対象というふうにしていただければ、素 直にそういう実情も理解しながら、やはり積極的に見学できるときには見学をしたいと いうふうにも読みとれますので、ぜひともご検討をお願いできればなと。 ○コーディネーター(中野)  なかなか興味深いご意見ありがとうございました。すごく読み込んでいらっしゃって、 私も参考になりました。西村さん、もし何かコメントがあれば。 ○西村  もう一度見直して皆様方の意見を酌むような形で進めていきたいと思います。  ただ、1つだけ言いわけをさせていただきますと、先ほど言った輸入食品検疫検査セ ンター、検査課もそうなんですけれども、基本的に検査精度が非常に高いところを維持 していますので、部外者立入禁止になっています。部外者立入禁止とはどういうことか というと、検疫所の職員でも入れません。必ず登録をして入っていく。出るときも手続 を踏んで出てくるということにしていますので、この業務に支障のない範囲でというの は、その期間は施設を開放のため、一時休止するという形でお招きをするという形にし ております。なるべく皆様方のご希望に沿えるような形で施設は開放していくつもりで はいますけれども、そこの点はご容赦を願いたいと思います。 ○コーディネーター(中野)  ありがとうございます。よく分かりました。  あと、それから中村さんも事業者のお立場でこの監視指導計画、次年度のこの案につ いて、もし何かコメントがあればお願いいたします。 ○中村氏  特にありませんが、ただ、今の点でちょっと気になったところがあったのでつけ加え させていただきます。私どもは工場見学って積極的に実施しております。主力の3工場 で、年間7万人ぐらいのお客様に来ていただいています。方針にありましたお客様との ツーウェーコミュニケーションというのを実践しておりますので、ぜひご興味のある方 は申し込んでいただくと見学できますので、ぜひ積極的に参加をしていただければと思 います。 ○コーディネーター(中野)  ありがとうございました。そういう関連施設に直接訪問して現場の様子を知るという ことは、こういったリスクコミュニケーションの一環でもあるのかなと思いました。今 日そういった情報もお聞きできたというのはすごくよかったと思います。  もうそろそろお時間も迫ってまいりました。最後にこれだけ発言させてほしいという ことがあれば、それをいただいて締めたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしい ですか。  はい、お願いします。 ○西村室長補佐  私の拙い説明で申しわけなかったんですが、監視指導計画につきましては1月21日か らパブリックコメントを求めております。今回のはあくまでも案で出させていただいて おりますので、広く皆様方の意見を組み込む形で決定したいと思いますので、1カ月間 ありますので、ファクス、メール、手紙で受け付けておりますので、輸入食品安全対策 室宛てに意見をいただきたいと思います。 ○コーディネーター(中野)  ということで、今日ご意見を出されなかった方は、パブリックコメントにコメントす るというチャンスもございます。皆さんのご意見がよりよい施策につながればと思いつ つ、これで意見交換会を終わらせていただきます。  それでは、司会のほうにお戻ししたいと思います。 ○司会(大井)  ありがとうございます。本日は長時間にわたり意見交換会の円滑な運営にご協力いた だきまして誠にありがとうございました。  以上をもちまして、輸入食品の安全性確保に関する意見交換会を閉会いたします。  なお、出入り口でアンケートの回収を行っておりますので、ご協力お願いいたします。  本日はどうもありがとうございました。 照会先:食品安全部企画情報課 03-5253-1111(内2493,2452)