10/10/13      食品に関するリスクコミュニケーション            「健康食品と上手くつきあう方法」     開催日時: 平成22年10月13日(水)13:00〜17:30     場  所: アクロス福岡 7階 大会議室 ○司会(大井)  本日は皆様お忙しい中、御参加いただきありがとうございます。  ただいまから、食品に関するリスクコミュニケーション「健康食品と上手くつきあう 方法」を開催いたします。  私は、本日司会を務めます厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課の大井と申し ます。私どもスタッフのほうはこういう札をつけておりますので、もし寒いとかマイク が聞こえないということがありましたら、お声かけください。  それではまず、開会のあいさつとして、厚生労働省大臣官房参事官の木村からごあい さつ申し上げます。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  皆様こんにちは。皆様方、大変何かとお忙し い中、本日の私どもの健康に関するコミュニケーション「健康食品と上手くつきあう方 法」という、本日のリスコミュニケーション会議に御参画賜りまして誠にありがとうご ざいます。私ただいま紹介にあずかりましたように、厚生労働省の大臣官房参事官を務 めております木村と申します。  本日の会議は、ごらんのように厚生労働省と消費者庁、両省庁の共催によりまして、 開催するものでございますけれども、時間の関係もございまして、両者を代表しましま して、私のほうか一言ごあいさつを差し上げたいと思います。  皆様方には、言うまでもないことでございますけれども、近年国民の健康志向が高ま り非常に大きな盛り上がりがございます。それに伴いまして、いわゆる健康食品といわ れるものが、現在数多く流通販売されるようになってまいりました。それに伴いまして 、この健康食品にまつわるさまざまな消費者の方々からの疑問や不安といった声が数多 く寄せられるようになってきてございます。そのようなことから、私ども今回は、一般 の消費者の方々に情報をお伝えしておられる、いわゆるリスコミュニケーターといわれ る方々をはじめ、行政の関係者の方々を対象として、今回このような企画をさせていた だいたところでございます。  したがいまして、この健康食品に関する正しい知識とその普及というのが、今回のテ ーマということになってございます。そこで行政のほうから、今回の会議の前半の時間 を使わせていただきまして、健康食品に関する安全性の確保ですとか、あるいは関連の 制度・現状についての話をそれぞれの関係省庁のほうから話をさせていただくことにし てございます。  そしてその後、独立行政法人国立健康栄養研究所情報センター長の梅垣様のほうから 健康食品の利用について、そしてまた、鈴鹿医科大学大学教授の長村様から消費者への 情報提供のポイントについて、それぞれ専門家としての立場からお話をいただくことに なってございます。  そしてその後、余った時間を使いまして、できるだけ皆様方の御質問等に対して丁寧 にお答えしていく予定でございますので、どうか最後まで私どもの本日の会議に、おつ き合いいただきますよう心よりお願い申し上げまして、まずは簡単ではございますけど も、会議開催に当たりましてのごあいさつにかえさせていただきます。本日は何とぞよ ろしくお願い申し上げます。 ○司会(大井)  それでは初めに、配付資料の確認をさせていただきます。皆様封筒 のほうには、資料として、講演1から4の資料とパンフレット「健康食品による健康被 害の未然防止と拡大防止に向けて」が1部、そしてアンケートが1部入っていると思い ます。もし不足等ございましたら挙手願います。また、始まりましてからでも結構です。  また、本日の進行でございますが、講演初めに行政担当者として厚生労働省食品安全 部基準審査課新開発食品保健対策室担当官より「健康食品の安全確保について」を説明 し、次に消費者庁食品表示課担当官より「健康食品の制度と現状について」を御説明し ます。その後、10分間の休憩を挟みまして、独立行政法人国立健康栄養研究所情報セン ター長の梅垣様から「健康食品の利用について」、鈴鹿医科大学教授長村様から「消費 者への情報提供のポイントについて」を御講演いただきます。その後、10分程度の休憩 を挟みまして、5時から質疑応答及び会場のパネルディスカッションを行い、終了は午 後5時半を予定しております。  なお恐れ入りますが、会の進行に支障を来すおそれがあるため、携帯電話の電源はお 切りになるかマナーモードにいただきますようお願い申し上げます。  それでは、講演1厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室健康食品安 全対策専門管の松井から、「健康食品の安全確保について」を、説明いたします。 ○厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室担当官(松井)  皆様、本 日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。私厚生労働省医薬食 品局食品安全部、非常に長い名前なんですが基準審査課新開発食品保健対策室というと ころで、健康食品の安全性に関する担当のほうさせていただいております松井と申しま す。どうぞよろしくお願いいたします。  実はですね、私九州というということで久しぶりに来てるんですが、ここの会場から 電車でちょっと行ったところ鳥栖というところで小中まで暮らしまして、高校熊本で、 きょう福岡空港でおりるときに空港おりてきて、「ああ九州の山だなあ」と思っており てきて懐かしいなあと思う反面、ふと思ったときに九州、実は健康食品のメーカーさん 非常に多いんですね。また東京のほうでも非常に有名な会社さん多くて、よく耳にする んですね。住所を見ると、ああこんなとこにあった会社なんだと思うんですね。私が住 んでたころにはなかった会社さんが多いのかなとは思うんですが、細々とやられていた とか小さかったとかいうところがほとんどなんだと思うんですけれども、こんなところ にこんな会社あったかなとかですね、私の住んでたとこから歩いて20分ぐらい行った ところに、あるメーカーさんなんか特保の申請がかなりやられているようなメーカーさ んもあったり、懐かしいなと思う反面、私健康被害ということで、担当させていただい ておりますので、実は健康被害の情報も、九州の会社さんからも挙がってくる場合があ るんですね。これ実はその九州の会社さん、有名なところが非常に多くて、販売数量も 多いんで苦情も多いんだとは思うんですが、本来はそういう数がたくさん売れていれば、 苦情も多くていいなんていうのは本末転倒な話で、本来たくさん売れたとしても、健康 被害の訴えが少なくちゃいけないということを考えて、内容とちょっとよく見てみると、 実はほんとに健康被害なのかなというものが多いと。この健康食品飲んでいるのに効か ないと、そりゃ効くわけがないんですね、薬ではありませんから症状はよくはなりませ ん。とかですねあと、何も食べずに飲んだら胃が痛くなった。それは胃が痛くなるでし ょうと、健康食品というのは、あくまでも人の健康を維持増進を図るためのもの、基本 は食事から取っていただくというのがベストでして、本来身近に正しい使い方ですとか、 こういった使い方はだめですよということを伝えていただく方というのが、いていただ ければいいんですが、多分そういう方が居ないということもあって、直接私のところに 情報挙がってきて、私のとこに挙がってきてしますと、そら健康被害が発生するぞとい うことで、大騒ぎになってしますということがあるんですね。ですから今回お越しいた だいてる皆様方におかれましては、健康食品を利用されているから、私決して健康食品 を推進するわけではないんですが、もし使うのであれば、正しい使い方をしてほしとい うふうに思っておりまして、周りの方で、健康食品を使っている方がいらっしゃった場 合、その健康食品はどのように使うべきかとか、どういった飲み方をすべきだというこ とがアドバイスできるような形で、今回の、本日私のところは非常に行政マンのスライ ドがありますので、かた苦しい話になっていってしまうんですけども、後半の部分につ きましては、非常に実践的なお話がお聞きできるかと思いますので、ぜひきょうのもの を持ち帰っていただいて、周りの方から御相談受けた際に、御活用いただければと思っ ております。  それでは、実際の説明のほうに入らせていただきたいと思います。  まず、私たちが飲食に供するものの法律上の分類ということで、私たちが口にするも のというものですね、大きく分けまして口に入るということですので、医薬品と医薬部 外品こういったものが入ってくるわけなんですけど医薬品等というもの、あと食品です ね、いわゆる食べ物、飲み物というものの大きく二つに分けることができるかと思いま す。これをですね、もう少し図式的にあらわしてみますと、まず医薬品と食品という形 に分類することができます。これは法律上で大きく分かれています。  次に食品の中をもう少し細かく見ていきますと、保健機能食品これ法律で定まってい るものですけども、保健機能食品というものと食品、これはいわゆる健康食品というも のを含むという形にわけることができるかと思います。この保健機能食品、もう少し細 かく見ていきますとどのようになるかといいますと、特定保健用食品よく特保といわれ てるものですが、万歳している人のマークがついてるものですけども、特保といわれる ものと、栄養機能食品と呼ばれるものの二つに分類することができます。  次に医薬品がどのように法律上定められてるかというところでございますが、薬事法 の第2条第1項のところで、この法律で医薬品とは次の各号に掲げるものを言うと、日 本薬局法におさめられているもの、次の2と3が、健康食品と大きく変わってくるとこ ろ、御注意いただかなきゃいけないことかと思うんですけども、人または動物の疾病の 診断、治療または予防に使用されることが目的をされてる物、また身体の構造または機 能に影響を及ぼすことが目的とされている物、つまりこういった物はすべて医薬品です よと、健康食品で仮にこういったことを目的としているなんてことがあったらですね、 それは健康食品ではないということになりますので、その点は十分御留意いただきたい と思っております。  次に、食品がどのようなものになるかということですけど、食品の定義というもの、 食品衛生法の第4条というところで定められておりまして、この法律で食品とはすべて の飲食物をいうと、ただし薬事法に規定する医薬品及び医薬部外品はこれを含まないと いうことになっておりますので、まず医薬品に入るかどうかというものがあって、医薬 品から除外される口に入るものが食品、ですからまず食品があってその中に医薬品があ るのではないということは十分御理解いただきたいと思います。  次に保健機能食品、これがどのような物になるかということでですね、細かくは次に 御講義いただきます芳賀のほうから御紹介いただくと思いますので、私のほうからは、 さらっと行かせていただきたいと思うんですが。  まず保健機能食品。実は保健機能食品2001年4月からの施行になっておりまして、 特保はこれよりさらに前から施行されている物になります。特保の制度にひっつけるよ うな形でおきてるわけなんですけれども、いわゆる健康食品等のうち一定の条件を満た した食品を保健機能食品と称することを認める制度ということです。国への許可等の必 要性や食品の目的・機能等の違いによって、特定保健用食品と栄養機能食品の二つのカ テゴリーに分類されるということになっております。  では、この特定保健用食品というものがどのようなものかということを、説明させて いただきますと、保健機能成分、身体の生理学的機能や生物学活動に影響を与える保健 機能成分を含み、食生活において特定の保健の目的で摂取するものに対し、その摂取に より当該保健の目的が期待できるまでの表示をする食品。よく市場で売られているもの ですね、体脂肪を燃焼しやすくするとか、血圧が高目の方に、ちょっとぼやっとした言 い方がつくんですが、これも薬事法の絡でそういう形になってくるのかもしれないです が、それでもう一つ注意していただけなければいけないのは、特定保健用食品として販 売するには、個別に許可(認証)を得なければならないということになっておりまして、 特定保健用食品の場合、すべて国の承認(許可)を受けているものということになりま す。国の承認というのは、有効性や安全性等に関するものという国の審査を受けている ものということになります。  次に栄養機能食品というものがどういったものかということでございますが、栄養機 能食品、基本的には特定保健用食品の違うところですね、栄養成分(ビタミン、ミネラ ル)の補給・補完を目的としているものでございまして、通常の食生活を行うことが難 しく、一日に必要な栄養成分を摂取できない場合などに、栄養成分の補給保管の目的で 摂取する食品ということでございまして、これはちゃんとした国のほうで、ビタミン、 ミネラルの食事のすからぬ摂取量というものを調査いたしまして、国民にどのくらいの ビタミン、ミネラルが必要だということを調査した上で、出してるものですので、現在 のところはビタミン12週類とミネラル5種類の計17種類のものが存在することになっ ております。これはちょっと特保と違うのが、特保は国の個別審査、一個一個審査して いくことになってるんですが、栄養機能食品の場合は、自己認証ということで、国が示 しています基準を守っていれば、自由に栄養機能食品として販売することができますよ というものになっております。  続きまして、一番右にございます食品と、これがどのようなものになっているかとい うことについて、御説明させていただきたいと思います。食品、実は健康食品です。食 品の中の健康食品なんですけど、健康食品とはということで、私たち健康食品という言 葉を使うんですが、実は健康食品については法律上の定義がありません。ここにちょっ と小さく書いてあるんですが、平成19年から20年にかけて、健康食品の安全性確保に 関する検討会というものを開催しまして、その報告書の中で定義づけているんですが、 広く健康の保持増進に資する食品として、販売・利用されてるもの全般を指していると 考えられるということでございまして、諸外国の場合、健康食品という言葉がそもそも ないんですけれども、一般的にいくといわゆるサプリメント、カプセル錠剤状の食品、 あと粉末も入るかと思うんですが、そういったものを薬品に類似した形のものを健康食 品(サプリメント)と呼んでおるんですが、日本の場合、実は非常に大きくて、まず食 品というものの中で、健康によいと称して販売される食品と考えられるもの、要するに 納豆ですとか、ヨーグルトそういった物も、健康食品に類すると考えられてます。なぜ かといえば、よく一時期話題になりましたけど、納豆食べると血液がサラサラになると か、ヨーグルトを食べるとおなかの調子が云々と、いうことで売られているものなんで すが、それも含めて、食事を含めて健康食品ということに言われている。実はこれ余り ヨーロッパのほうでは、欧米のほうでは言われることはないんですが、結構アジアのほ うでは言われることが多くて、お隣韓国なんですと、キムチなんかはあれは一種の健康 食品だということで言われてまして、あれも要するにヨーグルトと一緒で乳酸菌の働き とかございます、食物繊維の働きもございますということで、健康食品と言われている ものですが、ここのいわゆる健康において称して販売される食品というものがあります。  次に、もう一つ、通常の食事以外に摂取する食品と考えられるものということで、こ れどういったものがあるかと言うとですね、通常の普通は食事だけんなんですが、それ のほかに、食事として以外というとあれなんですが、いわゆる血糖値の上昇を抑えるあ れもお茶はお茶なんですけれども、ものとか、そこら辺はまた特保に国に指定されてる ものなんですが、一番最たるものとしては、要するにダイエット関係ですよね。これを 食べれば何キロやせる、すごいのがあって、東京会場、大阪会場に私どもこれで3回目、 福岡3回目になるんですが、まあひどい広告もあったもんでですね、体重が一カ月で 40キロ落ちたとかですね、寝てる間に体重2キロ落ちますとか、そんなことあり得な いでしょうというようなものがあるんですが、通常の食事と関係なく飲むものというも のがございます。それのほかに、いわゆるこれが錠剤・カプセルと、医薬品形態となる ものということで、サプリメントといわれているものになるかと思います。諸外国でい う健康食品というのは、この部分がほとんどになるかと思うんですけれども、日本です と大きく分けて、私どもで考えるとこで1、2、3、三つぐいらに階層をお分けできる のかなと思いまして、このサプリメント、非常に恐ろしいもので、今100円ショップで も売ってたりするんですね、びっくりしちゃうんですけども、同じ製品が同じ表示量で ありながら一瓶当たり数万円するものから100円ショップで売られているものがある。 果たして同じ品質なのかなあと、ただ私も技術屋なんで、学生時代に試薬なんか扱って ると、確かに試薬の値段からすれば100円ショップで売れるのかなと思ったりもするん ですが、いろいろとここら辺も数百円のものから数万円するものまであるということで、 後ほどお話出てくるかと思いますが、そういった品質の問題、そういったものもござい ますので、そういった情報というのもしっかり入手していただく必要があるのかなとい うふうに考えているところでございます。  ここから私どもが行っていますメインの仕事になってくるんで、ここのところから説 明させていただきたいと思うんですが、健康食品の安全性確保についてということで、 まず、新開発食品の販売禁止ということで、新開発食品というもの、どのようなものか というものなんですけど、まずここで図示させていただくんですが、一番左、一般に飲 食に供されることがなかったもの、要するに今まで食品と考えられなかったものから抽 出した成分、エキスそういったものです。例えばメジャーなところでいくと、ピクノジ ェノールといったりするんですけど、松の樹皮、要するにある種の松の樹皮から成分を 抽出して健康食品に使っているものですとか、あと特殊な地層から抽出して成分だとい うことで、ある種のドロなんですけど、これを健康のために食べるといったものがある。 これ日本では非常に少ないんですが、欧米では結構有名な健康食品でございまして、結 構メジャーなものらしいんですけどね、ちょっと私には余り見たこともないところなん で、ちょっとびっくりなところなんですが、いわゆる一般に飲食に供されることがなか ったもの。ここで、次にそれ以外にも実はございまして、濃縮等した成分を錠剤かカプ セル化するなどにより、通常の食品の一般的な摂取方法とは著しく異なる方法により摂 取される食品。ですからこれどのようなものかといいますと、通常ホウレンソウなんか もいいと思うんですけども、ホウレンソウを生で、昔はホウレンソウはあくがあってと ても生で食べられなかったんですが、今はサラダにするホウレンソウなんかがあって、 サラダにしてホウレンソウを食べようとします、たくさん食べようかなと思うとボール 1杯ですよね、ボール1杯のサラダを食べようと思ったら大変なことで、それだけでも おなかいっぱいになっちゃうんですが、これ日本の昔ながらで、おひたしにしましょう と、あっという間に握りこぶしより小さくなってしまいますよね、簡単に食べられます。 この握りこぶし程度のものであれば、大した問題はないんですが、逆にホウレンソウと いう例えがあんまりよくないんですけど、もしこれをサプリメントにしようとすると、 これからさらに成分を抽出しますから、一握りが1カプセルに入ってしまう、もっと入 るんですかね。二束、げんこつ二つ分三つ分が一つのカプセルに濃縮されてしまる。有 効な成分だけが濃縮されればいいんですが、ぎゅっと濃縮するということは、いい成分 も濃縮されるかわりに悪い成分も一緒に濃縮されるわけですね。1カプセルに入ったと いうことで、そのカプセル飲んでるぐらいなら問題はないんですが、ここからが問題で して、健康食品の場合、サラダなんかはそれを食べようと思って1回食べる量のボール 三つ分食べなさいって言って拷問なんですね。私ですらボール三つは食べられないと思 います。ですけれどもカプセルになってしまうと、ボール三つ分が一つのカプセル、そ れを1日1錠飲もうと思っていて、きのう飲み忘れた、おととい飲み忘れたから、じゃ あ一遍に3錠ぐらい飲んでしまおうかと、とですね一遍に飲めてしまうわけです。そう すると大きなボールに9杯分一気に食べることになる。そういったことが可能になると いうことでして、通常の食事では考えられない量を食べることになってしまうというこ とで、人の健康を失う可能性、損なうおそれがあるということでございまして、実はこ れ類似した例で、九州南のほうになるんですけれども、九州というか沖縄地方でちょっ と問題になったんですが、アマメシバというものがございまして、サラダの彩りに使っ たり、ちょっとしたアクセント的に使うものだったんですけれども、もともと東南アジ アではそういうふうにして食べられてたんですけど、これが健康にいいということで、 これを乾燥して粉末にして毎食後スプーンに1杯食べてくださいねということで、特産 品化しまして販売し出した事例がございました。そうしましたところ、付可逆性の肺炎 という、一度悪くなるともう治らないということなんですけれども、重度の肺炎を起こ す方が出られまして、患者数名ほど出まして、当時入院、意識不明までいかれて、その 後残念なことにお亡くなりになった方も出ていますが、これによる健康被害というもの が発生しています。これが、ここで言います食品衛生上の危害の発生を防止するために 必要だということで厚生労働省のほうで考えまして、食品安全委員会薬事食品衛生審議 会の意見を聞いて、食品として販売することを禁止しましょうということで、食品衛生 法第7条に基づいて流通販売を禁止した唯一の食品になっています。ただ御注意いただ きたいのは、アマメシバというもの、それ自体はサラダとして食べるのなら全然問題な いですよというふうに私たちも考えておりまして、あくまでも濃縮して、ここですね、 通常の摂取の方法とは著しく異なるような形で摂取した場合に御注意くださいと、販売 してはいけませんよということで、そこについては御留意いただければと思います。  また、ちょっと後ほど出てくるんですか、実はこの問題、原因がはっきりしませんで、 因果関係は特定できるんですね、この健康食品を食べたことによって起きたのは間違い ないんですが、物質がわからない、なぜ起きるのかがわからないというちょっと疑問な ところもあったんですが、間違いないだろうということで禁止にしております。ちょっ と普通ですと、原因物質を特定してから禁止にするというのが普通なんでしょうけれど も、アマメシバに関してはちょっと特殊な事例になっております。  もう一つちょっと特殊な事例、後ほど説明させていただくんですが、次のスライドで すね、説明させていただきたいと思うんですけれども。済みません、一個抜けてました ね、ちょっと先ほどアマメシバの特殊事例も一個後で説明させていただきます。もう一 つ忘れてました、済みません。  ここの右端に、一般に飲食に供されてきた食品と同様の食品であるが、その食品によ るものと疑われる健康被害が発生、要するに今までは問題なかったんだけれども、突然 何か健康被害が発生した、実際栽培方法とか産地の違いで発生することあります。収穫 時期の違いなんかでも発生する場合がございますので、こういった場合にあっても、新 開発食品ではないんですけれども、健康被害の対応から見て一般に飲食に供されてなか ったものを含む疑いがあるという場合には、同じように食品としての販売を禁止するこ とができるということが法律上定められているものになっております。  次に健康食品の安全性の確保の取り組みということで、私たちのほうで、先ほどちょ っとお話をしました健康食品の安全性確保に関する検討会報告書というところで、三つ の宿題が出されておりまして、その一つが製造段階における具体的な方策、一つが健康 被害情報の収集及び処理体制の強化、消費者に対する普及啓発というものを実施すべき であるということが求められておりまして、まず製造段階における具体的な方策という ところから説明させていただきたいと思いますが、まず製造段階における被害発生防止 についてということ、実は平成20年に検討会報告書がまとまっているんですが、20年 に出したわけではなくて、平成17年2月に私どものほうから通知を出させていただい ておりましえ、二つのガイドラインを出させていただいております。一つは、GMPガ イドライン後ほどのスライドと逆転してるんで、そこは御了承しただきたいんですが、 GMPガイドラインというもので、GMPというのはGood Manufactur ing Practiceということで、適正製造規範といんでしょうか、製造から原 料の入荷から最終的な製品を製造して、さらに製品を出荷してその後、情報処理、回収 とか処理とか、回収があっても困るんですけど、そういった情報まですべて一括した、 製造から販売で消費者の方の口に入るまで一括した安全性を確保しましょうという考え 方でございまして、食品でいきますとHCCPとちょっと似ているとこがあるんですが、 実は医薬品のほうにはGMPというもの義務づけられておりまして、医薬品を製造する 場合にはこの考え方に基づいてやらなければなりませんよということになってます。と ころが健康食品の場合、食品ですのでこういうことを義務づけておりません。ですが、 市場に健康食品というもの、医薬品と近い形をとっているということもございまして、 健康食品も医薬品に準じてこういった考え方を導入して安全性を確保すべきではないか ということで、ガイドラインをお示しさせていただきまして、安全性を確保してくださ いねということをお願いしているところでございます。  ちょっと戻りまして、次に原材料の安全性、自己点検ガイドラインというものを出し ておりまして、ちょっと御手元のスライドにはないかもしれないんですが、こういった ガイドラインを出してまして、フローチャートをつくっておりまして、これ厚生労働省 のホームページに載っておりますので、後ほど見ていただければ簡単に手に入るもので ございますので、お手すきのときに見ていただければと思うんですけれども。 ステップ1からステップ8まで分けまして、原材料レベルからどういったチェックが必 要ですよと、イエス、ノー形式で、原材料が既存食品と同等と考えられる場合はステッ プ8まで行っていいですよ、そうでない場合はステップ5に進んでください、ステップ 5ではどういう審査をしてというのが細かく定められているものなんですが、こういっ たもの自己点検フローチャートというものを使って、安全性の確保をしてくださいねと いうことをお願いしているものでございまして、これを先ほどのフローチャートを使う に当たって必要とされていること、健康食品の製造に使用される期限原材料についてま ず、文献検索で安全性毒性情報を収集するというのが、メーカーさんに絶対必要なこと ですよというお願いしているものでございまして、先ほどのアマメシバの話でちょっと 出てきたんですけれども、実はアマメシバというもの、東南アジアでは普通に彩りの野 菜としてつくられているという話で使われてるという話で、日本で粉末乾燥して健康食 品としてしまったために、健康被害が発生したということで御説明させていただいたわ けなんですけれども、実はこれメーカーさんがつくる前に、文献検索をしていたら、も っと状況が違ったんじゃないかということがございます。というのは、日本でアマメシ バの健康食品が販売される数年前に、台湾でほぼ同じような事件が、発生していたとい う事例がございまして、学術論文としていっぱい発表されてたんですね。台湾の事例と いうのは、乾燥させたものではなくて、今はやりの生ジュース、葉っぱをミキサーにか けてそれをドロッとして、要するに青汁みたいな感じですよね、ああいったもので提供 していた。それで提供した場合に、同じように重度の肺炎を起こしてお亡くなりに、複 数の方がやはりこれでもお亡くなりになっているという情報がございまして、メーカー さんのほうで、この辺の毒性情報をしっかりと知っておいていただければ問題は発生し なかったんじゃないかということがございまして、私どものほうでも、ここをまず重要 なこととしています。ただ問題は、文献情報というのは、化学的な証明というのは非常 に少ないと、健康食品素材というのは何千種、何万種とあるわけですね、じゃそれを一 個一個文献調査できるのかといいますと、やはりメジャーのものは文献調査をすれば出 てくるんですけど、どうしてもそうでないものもございます。そういった場合にどうす るかということでございまして、そういった場合には、お願いしているのが、ここです ね、食経験に基づいて安全性を確保できない場合には、原材料等を用いて毒性試験を行 うということでなっておりまして、必要であれば、動物試験等を行っていただいて、安 全性の確保をしていただく必要がありますよということになっているものでございます。 先ほどのGMPと原材料の安全性確認というものを、私どものほうでガイドラインとい う形で示させていただいておるわけなんですが、このガイドラインで示させていただい てるものを、どのように守っていっていただくかというのを考えないといけないんでは ないかということになりまして、ガイドラインにつきましては平成17年にお出しさせ ていただいてるんですが、なかなか浸透しないということがあって、その実効性を確保 するためにはもう一歩考える必要があるんではないかということで、検討会の中で意見 が出ておりまして、私どものほうで具体的な方策として、何か考えましょうということ でやっております。第三者認証というものを、行っていきましょうと。従前、1部健康 食品の団体さんが、自己点検の一定の基準を満たした物に、マークをつけましょうなん て活動をされていたこともあるんですけども、それはあくまでも業界だけの取り組みと いうことで、それをもう一歩進められないかということがございまして、認証協議会と いうものをつくりまして、この認証協議会というのが、学識経験者、消費者の方あと製 造事業者、認証機関等で構成するということになっておりまして、実際の健康食品の安 全性確保の第三者認証というのは、ここでの機関、機関A機関Bとなってますけれども、 ここが一個一個の製品について、認証を行ってマークを発給するということになるんで すが、ここだけですと、この認証機関Aというところが好き勝手やってしまうと簡単に マークだけ出てしまうということがございまして、認証協議会さらにここに1個上に上 部団体のようなものをつくって、学識経験者の方に入っていただいて、この認証機関を 指導監督していきましょうということになっております。この認証協議会自体は、実は 正直なところいくと、半分ぐらいは業者の方が入っています。半分が学識経験者、消費 者ということで、これもやはりちょっとどうなんだという意見は確かにあるんですけれ ども、そこで私ども厚生労働省のほうでも、健康食品の安全性確認に関する検討会の中 でも、厚生労働省としてこの認証協議会のフォローをしていきなさいよということが求 められておりまして、厚生労働省としてもここにございますとおり、認証協議会の活動 を支援していこうということになっておりまして、認証協議会、平成20年度ぐらいか らどうすべきかというのを、議論を始めまして20、21、22とかけまして今年の7月か ら一つ認証機関を認定しました。これが業界団体さんなんですが、日本健康栄養食品協 会、通称日建栄協と呼んでるところなんですが、そこが第1号の認証機関として認証さ れまして、7月から実際の審査を開始していると聞いております。現在、今のところ残 念ながらまだ活動が始まったばかり、7月から始まったばかりということで、認証マー クがついているものがないんですけれども、先々という話ですが、こういった右下にあ るんですが、健康食品安全性自主点検認証と、こういったマークがついた健康食品が流 通することになってます。ここに○○○協会となるんですが、ここに日本健康栄養食品 協会という名前が入って、健康食品につけて販売されると、この認証機関については、 私ども別に日建栄協だけである必要はないと思っておりまして、ほかの機関、御検討い ただいてる機関もございますので、順次入っていただいて、このマークは一つなんです が、ここの名前がどんどん変わっていくというふうな形で、こういった第三者認証とい うものの制度が普及していけばというふうに考えているところでございます。  次に、健康被害発生未然防止のための体制整備・被害発生時の拡大防止のための対応 手順ということでございまして、平成14年10月に健康食品・無承認無許可医薬品によ る健康被害発生防止の未然防止のための体制整備及び健康被害発生時の被害拡大防止の ための対応手順を定めました、「健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要 領」というものを定めまして、実施しているものなんですが、早い話が、健康被害が発 生した場合には、保健所さんにまず情報をいれていただいて、保健所さんから自治体を 通じて、私どもに連絡が来るようにしましょうということのシステムでございまして、 これ実は食中毒の被害の情報と一緒じゃないかという向きもあるんですが、実はそうで はなくて、ここちょっと一つ重要なポイントがここにございまして、食品担当部局と医 薬品担当部局の密接な連携に迅速な対応ということがございまして、食中毒の対応要領 というのは、食品部局にしか出ておりません。ところが健康食品の場合、いわゆる健康 食品ということで、医薬品成分が入っていたとか、薬と同じような被害が発生する可能 性があるということで、両方の部署に通知が出ておりまして、私どものほうには、もし 食品の部局からであれば私どものほうに連絡が来ますし、医薬品の担当部局でございま すと、先ほど私のところで肩書を示させていただいたんですけど、医薬食品局というこ とで、一つの局の中に医薬品部門と食品部門とございまして、廊下挟んで反対側にお薬 の部門がございますので、もしいわゆる健康食品で健康被害というのが、医薬品の部局 のほうに連絡が入った場合には、私どものほうのところに廊下走って、担当者が情報を くれるということになっております。そこが、大きな違いでございます。この対応要領 というもの、医薬品の部局にもということもございまして、薬局、薬店からも情報が行 くことになっておりまして、このほかにもお医者さんにかかっていた場合、お医者さん とも協力をする必要があるんではないかと、要するにこれが何か例えば、下痢をしたと か湿疹が出たという場合には、保健所に行くのもあれなんですけど、消費者の方であれ ば、まずお医者さんのところに行くんではないかということもございまして、お医者さ んに健康食品とはどういったものであるかということを、御紹介する必要があるんでは ないかということで、今御手元のほうの封筒に入ってるかと思うんですけども、私ども のほうでちょっと、これですね、「健康食品による健康被害の未然防止と拡大防止に向 けて」ということで、パンフレットをつくりました。これ厚生労働省のホームページに 載せてありますので、今御手元に1部ずつ配っておりますが、そのほかにもし御必要が あるということであれば、そこからダウンロードしていただきたいんですけど、ただ1 点御注意いただきたいのは、お医者さん向けにつくったものです。今回、皆様方にお配 りしましたのは、健康食品にある程度知識をお持ちであるということで、一般消費者の 方より理解がいただけるということで、お配りしておりますが、パンフレットの下を見 ていただくとわかるととおり、厚生労働省と日本医師会とあと、国立健康栄養研究所、 後ほど梅垣先生のほうから御講義いただきますが、この三者で協力しまして、パンフレ ットをつくって健康食品とは、制度とはどうなっていますよ、現在どういった問題点が ある、医薬品との相互作用にどういったものがありますよということを紹介するととも に、実は医師会も似たような情報データベースをつくっていまして、お医者さんが健康 食品で健康被害の情報を入手した場合には、医師会のデータベースを通じて、私どもの ほうに連絡をいただくようになっておりまして、余りメジャーじゃないというところも あって、なぜメジャーじゃないのかというと、去年までは試行機関ということで、1部 の地域医師会さんだけで行っていたんですけど、本年度から全地域の医師会さんに情報 提供をして、システムを稼働するということで、これとあわせまして私どものほうで、 パンフレットを配付して情報提供及び御理解をいただいたということで、情報提供させ ていただいたものになります。  次に、消費者に対する普及啓発ということで、まさにここが今回お集まりいただいて おりますアドバイザリースタッフもしくはそのリスクコミュニケーターという方々にな るかと思うんですけど、ここも検討会の中で必要な事項として言われておりまして、こ の健康食品のアドバイザリースタッフというもの、平成14年2月またこれも古いもの なんですが、まず考え方というのはもう既に出させていただいてるんですね、8年前に 出させていただいているもの、厚生労働省のホームページに出ておりますので見ていた だければわかるんですが、出させていただいてるんですが、お恥ずかしい話ですね、私 ども実は通知は出したはいいんですが、その後ちゃんとしたフォローアップを行ってい なかったというものがございまして、現在、調査をしておる厚生労働科学研究という、 厚生労働省の研究費を用いて研究しておるんですが、この中でやりますと、アドバイザ リースタッフの養成機関、実際は全国で今20近くあると言われています。ですが、調 査をしてみますと、実はですね20のうち、ちゃんとした私たちの通知に基づいてやっ ているのは、4機関ぐらいしかないんじゃないかという話になっておりまして、その通 知の内容がどんなものかというと、皆様の御手元には配っておりませんが、アドバイザ リースタッフが習得すべき知識、これもホームページに載っておりますので後ほど見て いただきたいんですが、1番から10番まで、こういった情報を得なきゃいけませんよ とか、養成方法としてはこういったものがありますよと、こういったものを守っていた だきゃなきゃいけませんよとか、留意事項まで細かく定めてはいるんですが、恥ずかし い話、通知出してそのまんまになっていたということで、レベルがまちまちなんですね。 ひどいとこになりますと、登録料を納めるとそれだけであっという間に名前が出ると、 厳しいところですと、大学の単位みたいになってまして、何時間講義を受けないと単位 もらえませんとか、さらに卒業試験ではないですが、資格認定試験まであるなんていう ことがございまして、レベルが極めて上から下まで余りにも広過ぎるということで、私 たち最初は上を決めようと、このレベルに達していなければアドバイザリースタッフと しては呼んではいけませんといって、それを厳しくするのかという意見もあったんです が、それで行くと今まで頑張ってまじめにやられてきた方というのは救えないじゃない かとう話もあると、それどうするかということで、であるならば最低限アドバイザリー スタッフが習得していくべき知識というものを示すべきではないかということがござい まして、ちょっと先ほどお話しさせていただきました、国立健康栄養研究所の梅垣先生 のほうと協力させていただきまして、実態調査ということをやっておりまして、各育成 団体がつくっているマニュアル要するに教科書がどのような内容になっているのかと、 またそれが十分な知識を伝達することに足りる知識を習得することができるのかという のを調査しまして、これを再査しているところでございまして、来年度までに報告書と して取りまとまる予定でございますので、その報告書が取りまとまった段階で、アドバ イザリースタッフのあり方についてもう一度見直すべきなんではないかと、ですから今 回、各協会さんから御紹介いただいてる方々というのは、ある程度私どものほうで、照 査した20団体のうちの4団体に入っている方々だと思いますので、決して問題がある ところではないとは思うんですが、それ以外のところについては、教育というものをど うしていくのかというところを考えているところでございまして、当初これ厚生労働省 でだけで行っていたわけなんですが、昨年9月に消費者庁というものが立ち上がりまし て、消費者庁の中で、ちょうど立ち上がってすぐに、皆様方御存じかと思いますんで、 具体的な名前出してしまいますが、特定保健用食品でエコナという油がございまして、 この中に、有害な成分が含まれてる可能性があると、あくまでも可能性です、証明され たわけではありませんで私ども今一生懸命研究してるとこなんですが、まだ結論は出て おりませんで、ちょうど私帰って、あさってから今度食品安全委員会で専門的な議論が やっと本格的に始まるというところでございますが、そういったエコナというもの、特 定保健用食品でありながら、健康被害を疑われるというものが流通していいのかという ことを元に、消費者庁さんのほうで健康食品の表示に関する検討会というものが、開催 されました。検討されていたものなんですが、ここの中で、論点整理と、こういった問 題があるんではないかということを整理されております。これ私が勝手に消費者庁さん のホームページから持ってきたものなんで、必ず消費者庁さんのホームページ行ってい ただいて、最初から最後まで読んでいただかないといけないなと思ってるんですが、御 紹介できないんではしょらせていただくんですが、この中で目次でございまして、ずう っとあって、とりあえず特定保健用食品のこと、虚偽誇大広告のこととございまして、 さらに検討が必要なものということで、特定保健用食品の制度とあります、ここに健康 食品の表示に効果的な規制や適切な情報提供の仕組み、ちょっと字が小さくて申しわけ ないんですが、こういったものが示されておりまして、この中で、ここでエとございま して、下線も引いてあるんですが、消費者に対し、適切なアドバイスができる専門家の 養成や科学的な知識も基づく情報を集約、提供する体制の整備等について引き続き議論 する必要があると、要するにまさにアドバイザリースタッフについて言及されているわ けでございまして、今後、これが消費者委員会のほうで議論されてまいります。私ども としましては、もう既に、実際動いている者がございますので、現行のアドバイザリー スタッフの制度について、消費者委員会さんのほうと協力しつつ、さらによいものとし ていきたいと、まさに今後の厚生労働省科学研究を用いてる研究とここのものとをすり 合わせて、よりよいものにしていきたいというふうに考えているところでございます。  最後に健康食品の情報というものを、皆様方がどのようなところで、情報を入手でき るかというところで、種々信頼できるホームページ等あるとは思うんですけど、私ども のほうでよく活用させていただいてるもの、私たちも情報提供なんかをさせていただい てるものです。後ほど詳しい説明あると思いますが、健康食品等の情報ということで、 独立行政法人の国立健康栄養研究所のホームページに情報提供しております、健康食品 の利用に関する基礎的知識、安全情報、科学情報等ございまして、ここが一番皆さん御 利用になるんじゃないかと思うんですけど、健康食品の素材情報データベースというこ とで、素材ごとにこういった文献がありますよということを示させていただいておりま す。ただこのページというもの、あくまでもこういった文献がありますよということだ けですので、もしメーカーさんのほうでこのページを御利用いただくということであれ ば、ここの部分的にこの論文とこの論文を引っ張ってきて、この論文にこんなことある から体にいいんですよなんてことは、絶対しないでいただきたい。全部を読んでいただ いて、注意しなきゃいけない点はこうなんだと、活用すべき点はここなんだということ を、うまく御理解いただいて活用いただくべきかと思っております。ですから非常に文 献情報としては、日本でも有数のページだと思っておりますので、ぜひ御活用いただけ ればと思っております。  右に行き左に行き、またばらばらとちょっと駆け足で、早口で御説明させていただき まして、申しわけございませんでした。これにて私の健康食品の安全性に関するものと しての、御説明のほう終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございま した。 ○司会(大井)  続きまして、消費者庁食品表示課衛生調査官の芳賀より、健康食品 の制度と現状について御説明いたします。 ○消費者庁食品表示課衛生調査官(芳賀)  本日はお集まりいただきありがとうござ います。消費者庁の衛生調査官の芳賀と申します。  本日私のほうからは、健康食品の制度と現状の中で、主に健康増進法による食品表示 規制に関して、特にいわゆる健康食品も含めた健康食品等に関しての表示規制の現状と 課題、それから今後の方向性についてお話しさせていただきます。  御手元の資料ごらんいただいておわかりかと思いますが、制度の説明でも非常にボリ ュームがある内容でございまして、消費者庁が設立以来、ホームページにファクトシー トという形で運用している制度の課題ですとか現状、それから制度の概要をパワーポイ ントでつくってPDFでホームページにたくさんアップさせていただいております。  本日は、その資料を中心にお持ちいたしましたので、プレゼンの内容について文章を 追って、画面を見ながら話が進むようなタイプの資料の作成にはなっておりませんので、 あらかじめ御承知おきいただければと思います。と申しますのは、本日の話で、時間の 都合で詳しく触れられなかった部分の話も含めて、物事の概要を一つのファクトシート ごとに整理してありますので、きょうお話しさせていただいたポイントというのが、ど ういった制度設計に中に溶け込んでいるものなのかということを、それぞれの方々が必 要に応じて後日、資料をじっくり見ていただくことで、さらに御理解を深めていただけ ればというねらいでございます。  きょうは先ほど松井専門官のほうからもお話にありましたが、昨年の11月来今年の 8月まで全部で12回、エコナの問題をきっかけに健康食品の表示に関する検討会を、 行ってきました。その中での論点整理がまとまって、8月27日に報告をまとめて、ホ ームページに公表しました。それから制度設計、簡単に申しますと法律改正等ですね、 そういったところにまで踏み込む必要性に関する検討は、引き続き消費者委員会で議論 を深めていただくということで、同じ日に消費者委員会のほうにも報告をしております。 先般消費者委員会の中で、今後どういった検討を進めていくかという方向性にかかる部 分が幾つか御発言があったようですので、来年の夏ごろまでに、いろんな意味で機能性 表示をめぐる動きが出てくると思います。その中で、私のほうからは、論点整理を受け て、既に事務局レベル、担当レベルで作業を進めていることですとか、今後の方向性を 中心にお話ししたいと思います。  消費者庁は、昨年の9月1日に設置されまして、定員が217名の小さな役所です。こ の中で、健康増進法を含む食品の表示・規制に関しては、食品表示課という課が担当し ております。私はそこにおりますが、ニュースや新聞でも取り上げられていますが、計 画されてる仕事の規模の割には人員配置が非常に少なくて、人が足りなくて手が回らな いといった話が非常に多く出ております。来年度、人員増を要求しておりまして、特に 健康食品等の取り締まりその強化に関しては、うまく予算がつけば人がふえる予定です。  それから、似たような名前で消費者委員会というのもございますが、こちらは最終的 には、消費者庁とは全く別の行政組織ということで、設置されておりますので、例えば 消費者庁の元に消費者委員会は設置されているというふうに御理解いただいてる方もい らっしゃるようですが、全く別組織でして、消費者委員会でどういった決定がくだされ るかというのは、消費者庁の関与がないという組織立てになっております。  今日お話しさせていただきますのは、食品表示の中でも特に、健康増進法に基づくと いうことになりますが、食品表示制度全体の流れの中で、健康増進法の表示制度という のが動いておりますので、そういった視点で少し見ていただければと思います。食品表 示課は、食品表示の規制に関する三つの法律を、まとめて担当しています。こちらに示 してあるとおり、食品衛生法、JAS法、健康増進法、それぞれの法律には、それぞれ の目的がありまして、違う目的が一つの食品の表示に相乗りしている状態になっていま す。こうしたことから、決められていることと運用の実態において、複雑でわかりにく いですとかいろいろな課題も指摘されており、食品衛生法とJAS法に関しては、この 表示の真ん中部分、例えば名称ですとか賞味期限、保存方法、遺伝子組み換え、製造者 名等に関しては、二つの法律でそれぞれ決めていて、こちらはできるだけ同じ方針で行 くようにということで、消費者庁の設置前から共同会議というのが設置されて、スムー ズな運用をめぐって検討がされてきています。こちらの食品衛生法とJAS法に基づく 表示は、一括表示欄ということで、これは義務表示ですね、他方下の栄養表示に関して は、任意の制度ということで、栄養表示をしようとする場合は、栄表示基準という仕組 みがございまして、告示等により詳しく定めておりますけれども、そこに該当するよう な表示の希望があれば、基準を守らないといけない、守らない場合は取り締まりの対象 にもなるというような制度です。これに関しては、ちょうど先週末10月8日に岡崎大 臣の定例会見の中で、栄養表示基準制度の義務化も視野に入れた検討を始めるように指 示をしましたという御発言がありまして、その後新聞各紙に取り上げていただいて、き ょうにいたりますが、検討会の設置に向けて今担当レベルでは、準備を進めています。  きょうは、その表示、健康増進法の中でもこちらの特別用途表示の中で、さらに特保 を中心にしたお話をこの後させていただきます。これらの食品表示制度というのは、い ろいろ検討がなされて見直しがされて、その先どこに流れつくのかというのがございま すが、こちらにお示ししているとおり、やがて食品表示に関する三つの法律は一元的な 法体系ということで、食品表示一元化法というところに流れこんで、一つの法律として 整備される予定になっております。こうしたことは、消費者基本計画の中にも、今年の 3月に閣議決定されておりますが、計画が書かれておりまして、早ければ平成24年度 に法案の提出と、うまくいけば平成25年度にはということで、こういった予定が決ま っている中で、それぞれの法律において、例えば統一的な運用推進、これは先ほどのJ AS法と食品衛生法のようなものですね、それから健康制度の課題の把握、これがまさ に先日、論点整理がまとまった特保等含む健康食品の表示に関する検討、あの作業とい うのはこの(2)に当たる作業なんですね、それから先ほど私が申しました栄養表示基準制 度の見直しですとか、それからトランス脂肪酸等の表示の指針ですとか、ああいった周 辺のことも含めて食品表示に関しての課題の把握と検討というものの作業の中に、各論 として入っている、そのほかに考えられるのは、遺伝子組み換えの話ですとかそういっ たそれぞれの表示制度の中で、課題になっているものに関して、それぞれ課題を整理し て積み上げていく中で、やがて食品表示の一元化法にという流れになっています。そう いった中で重視されるのが、(3)にあります国際的なルールとの整合ということで、具体 的な場面では食品規格を決めているコーデックッス委員会で決めたことというのは、直 ちに各国が守らないといけないということにはなっていないのですが、WTOのTBT協定 において各国が強制規格を策定する基礎になるなど、実質ベースで国際的なルールとの 整合性というのが、国内法の設計・運用においても非常に重要なポイントになってきて います。  それからきょうのもう一つのお話になります、効果的な執行体制のあり方ということ で、法令違反に該当するものは、効果的に厳しく取り締まる体制を強化していくという ことですね。こういった一連の動きの中に、それぞれのお話があるということを御理解 いただければと思います。  健康増進法に関しましては、このスライドはちょっと先ほど後ろから前に持ってきた んですけども、皆様にお配りしている資料ですと、27ページの上に出しておりますが、 健康増進法で規制している食品表示制度を一つに整備した図になります。対象者の健康 状態を軸に分類しますと、病気の方は、第一に医薬品、これは薬事法によるもの、それ から治療受けてるような方でも健康増進法において、特別用途食品という制度がござい まして、例えば特定の病気の方に日常の食生活を営みつつその病気が悪化しないように するためには、少し特殊に調整した食品が必要であるということで、例えば、低たんぱ く質食品ですとか、そういったものに関しては、国が許可基準を決めてその許可基準の 規格に合致した食品に対して、特別用途食品の表示許可を与えるということで、個別に 許可をしております。健康増進法の中で、実は特定保健用食品、通称特保というのは、 特別用途食品の一つになっているんですけれども、他方食品衛生法でも特保は保健機能 食品ということで、詳しく定められています。これは、機能性の表示をする食品という ことで、健康増進法でいう保健の用途、それから食品衛生法でいう機能性食品というこ とで、二つの法律で特保は規制されています。その背景にあるのは、機能性をうたう、 機能性の根拠となり得る背景には、例えば特定の成分を濃縮したりですとか抽出したり、 そういったことで、新たな安全性への課題や有効性の証明に足り得るデータですとかそ ういった機能性表示にかかる食品の課題というのがございますので、そういったのも含 めて食品衛生法の中で、保健機能食品として表示の仕組みとして見ていくという整理に なってます。したがって、特保に関しては健康増進法と食品衛生法両方で書かれていま す。  もう一つ機能性の表示が可能な食品として国が認めているのは、栄養機能食品ですけ れども、こちらは個別の食品ごとに審査を行うものではなくて、表示できる文章、対象 の栄養成分それから表示基準が適用される含有量の範囲ですとかそういったことが、す べて細かく決めてありまして、その条件に合致した食品であれば、自己認証で許された 範囲で表示が可能という制度になってます。ですので、機能性を表示してよいと言われ ている国が定めている食品は、特保と栄養機能食品で、特保は個別に許可をそれぞれ与 えるもの、栄養機能食品は決まりに従えば、自己認証制度で審査なしに表示できる表示 の仕組みということになっています。  こういった特定の機能性や対象者に合わせた食品表示の仕組み以外に、その食品その ものの栄養的な特徴を、消費者の方にわかりやすく正確に示すことで、食品選択を適切 に行っていただくということで、栄養表示基準というものを設けています。これに関し ては、任意の制度ですけれども、今見ている限りかなりの割合でほとんどのものに栄養 表示をしていただいていますが、任意な制度ということもあって、規制している範囲に おいて、事業者の方々がいろんな工夫を凝らしています。中には、キャッチフレーズだ けが目立って、そのキャッチフレーズだけで消費者の方が、その商品を購入して、よく よく栄養成分見てみたら、ちょっと自分の思ってたのと少し違った栄養組成だったなん てこともありますので、栄養表示基準に関しては、適切に運用されるように、これから 検討を始めますが、現行制度においても消費者の誤認をできるだけ避けるような、制度 設計の目的にあった運用をしていただくように、適宜取り組んでいます。例えば栄養表 示基準で、糖類と糖質と炭水化物と食物繊維についてで、その辺は分け方がいろいろあ るんですけれども、例えば私が最近受けた問い合わせで何本か重ねて受けたのが、糖類 や糖質について、ゼロとかフリーと書いてあると全然入ってないと思ってしまう、加え て、低カロリーやローカロリーと書いてあると、糖尿病の私でもいいんだと思って、一 生懸命たくさん飲んでいたら血糖値が上がったということで、基準は守りつつも消費者 の方が、誤認をするような表示になっていないかというのも、いろんな制度上の今後の 課題ということで注意して見ています。  こういった仕組みは、先ほどお話ししたようにコーデックッス委員会で、今特に食品 表示部会と栄養・特殊用途食品部会ということで、ここにお示ししたような議題の例が あるんですけれども、栄養表示の議題が花盛りで、4日間の会議の中で、3日分ぐらい の時間は栄養表示に関する議題で、各国がしのぎを削るような状態で世界的に今注目さ れている、ちょうどいろいろ検討する流れの中にあります。例えば私が先ほどお話しし た糖類や食物繊維の話だとか、塩分の話それからトランス脂肪酸を含む脂質の話それか らそれらと付随しての強調表示の話、こういったことが日本だけではなくて、世界的に も非常に今議論されているところです。こういったものの背景にはWHOが2004年に 出した、食事と運動と健康に関する世界戦略というのがありまして、その中で健康づく りにおいて、いろいろ取り扱いを注意しながらやっていくべきといわれている栄養成分 が、例えばここに挙がっている糖類だったり塩分、脂質だったりするんですね。そうい った戦略や勧告に基づいて、各国がどういった仕組みをつくっていくかという流れがあ って、その中に日本もあるという状況です。 きょうは特保をめぐるお話を、論点整理で指摘された課題と今後の方向性を中心に、ま ずはお話していきます。  健康食品に表示に関する検討会の論点整理の概要というものが、カラー版は消費者庁 のホームページにも載せさせていただいておりますが、一番大事なスライドはこのスラ イドだと思います。このスライドの後は、ここに出てくるお話をさらに掘り下げるため には、こういった資料を見ていただいたらよろしいということで、ファクトシートを話 の流れに沿って、きょうの資料としています。この内容を、少し詳しく説明させていた だきます。検討の端緒となったのは、エコナのお話だったんですけれども、あの問題を 消費者庁が特保として表示許可を与えているということから、いろいろ取り扱うに当た って幾つかの課題がありました。その課題の中には例えば、特保として許可与えている ものに、何か安全性等に関して、疑いですねまだはっきりしてないんですけど、そうい ったことが生じた場合、表示の許可をそのまま継続していていいのかとか、見直したり 一度許可を停止したり取り消したり、そういったことをする場合の手続が詳しく定めら れてるのかということですね。実際いろんな対応策をちょうど去年の今ごろ、模索した んですが、法律に書かれていることを運用する具体的なレベルでの基準ですとか、運用 ベースでの詳しい決めごとというのは少し足りなかったんですね。そこも課題になって おりまして、そういう特保をめぐる表示許可の仕組み、場合によっては法律改正に当た るような大きな話をいうのは、この検討会で論点整理された内容を受けて、さらに消費 者委員会で今後検討いただくことになっています。  それから、通知改正のレベルいわゆる現在の運用において、いろいろ工夫改善をする ことで、指摘された課題の解決が可能と思われるものに関しては、消費者庁で早急に対 応すべきということで、これは現在、既に見直しの下作業をはじめています。例えばそ の中の一つの大きなテーマが、特保の表示許可制度をめぐる課題解決、1点目が(1)に挙 げている表示許可手続の透明化ということで、特保に関しては、平成3年から制度がで きていますが、実質的に現在の審査水準で世界の動きにも合わせて、取り扱い通知が出 されているのは平成17年です。ですから、現在の仕組みのベースは平成17年の取り扱 いや添付資料に関しての通知になっています。その中で、その通知を具体的には見直す ということですね、簡単に言えば。その見直すときのポイントが、より具体的にしかも 基準をクリアにしつつ審査の透明化を図るようにということですので、例えば有効性を 示す試験デザインの枠組みを、もう少し詳しく示したりですとか、そういった特保とし ての有効性の審査をする際の基準、それから取り扱いの具体というものを、もう少し詳 しく具体的に透明化の方向でという御指摘が出ています。それからその審査のプロセス というのはいろいろあるんですけれども、それぞれの段階において、例えば特保の諮問 を受けている食品安全委員会が、審議の結果を公表している資料ありますね、ホームペ ージに、そこで公表されている資料の情報レベルと、消費者庁が公表している資料の情 報のレベル・内容それから消費者委員会が公表している資料の内容やレベルというのが、 それぞれの判断と決まりに従っているので、余り統一されていないんですね、そういっ たことに関して、もう少し公表すべき情報の範囲や審査の基準というものを、統一すべ きというお話が出ておりまして、これらについても現在検討中です。それから特保制度 が運用されて大分なりますので、これまでの積み重ねのもとに、新たな規格基準の策定 を検討すべきということで、これは制度の拡充ということですね、そういったことも論 点整理の中で言われており、現在検討をしています。  それからエコナの問題で、もう一つ指摘があったことで、許可後に生じた新たな科学 的知見の収集ということで、これに関しては特保というのは、1回許可すると許可した っきりで、事業者さんが許可を返納します、取り下げますと言わない限りずうっとその 許可権利は生きているんですね。ところが、科学の進歩に従って、例えば許可したとき にはわかり得なかった成分が入っている可能性が、エコナの話でまさにそうだったんで すけれども、そういったときに、行政的な手続の仕組みというのが不十分なんですね現 状では。そういったことを今後どうしていくかということ、それから特保というのは、 もともと表示の制度ですので、摂取対象者やその期間等を、有効性が確認された情報を、 いかにわかりやすくかつ消費者の方に誤解がないように表示をするかという、その表示 方法自体を改善すべきという話が出ています。  それから現状で課題にもなっていて取り締まってるいんですが、特保の表示許可とい うのは、許可文言がすべて決まっていて、表示の許可として出してるんですね、その許 可の事実の範囲を超えて、本来広告をしてはいけないんですけれども、実際表示許可の レベルを超えて広告をしている事例もあったりして、これに関しては、特保の広告とい う特定の広告の範囲に対して、ガイドラインを作成するようにということが出ておりま すので、現在特保の広告に関するガイドラインの作成の下案をつくっているところです。 ですので、ガイドラインは今後出る予定です。  それから、特保の制度の、こっちは制度の拡充や運用上の課題の解決になりますけれ ども、二つ目として、そもそもの取り締まりをもっと強化しましょうということで、取 り締まりの強化の中では、健康増進法だと32条の2に関するところで、虚偽誇大の表 示、広告規制の効果的な執行というのがありますので、これらを以前ガイドラインは出 ているんですけれども、もっとわかりやすく具体的に、地方自治体と消費者庁とがうま く連携しつつ取り組みができるようにということで、新たなガイドラインの作成という のが、一つ宿題に出ています。  それから監視体制そのものを強化することですね、それから行政だけが頑張っても限 界がありますので、関係部局や団体、事業者、広告を行う当事者側それからそれらを掲 載するメディア団体等との連携も強化ということが出ています。こういったことの中で、 科学的に根拠がしっかりしていて、制度を拡充するような、例えば成分があるのであれ ば、それは制度設計上取り締まりの一方で、制度の拡充をすべきということで、一定の 機能性表示を認める仕組みの研究というのも、報告書で指摘されていて、これに関して は、来年度予算要求で、8,300万の予算要求を今出しているですけれども、消費者庁で、 制度の拡充の可能性に向けて研究事業を行いたいということになっています。消費者委 員会は、特保をめぐる法改正のレベルでの検討が一つ、それからもう一つが、健康食品 の表示の効果的な規制や情報提供の仕組み、先ほど松井専門菅のお話にもあった例えば アドバイザリースタッフ等含む消費者からの相談を受け付ける体制の整備ですとか、ア ドバイスできる専門家の養成、それから情報の集約、提供する体制、そういった全体的 なことを、さらに検討を進めていただくということになっています。  こういったことを、ちょっと各論でポイントとして、どういった方向性にあるのかと いうのを、少し残りの時間見ていきたいと思います。  これはいつも見ている資料なのでとばしますが、先ほどお話ししたとおり、国が制度 で認めている食品以外は、本来機能性の表示はできないということになっています。  薬事法との関係が常にあるんですけれども、なぜ特保は機能性の表示ができるかとい うことですが、薬事法との関係からいくと、この四六通知と呼ばれているものに、ただ し書きで、薬事法でいう医薬品としての目的を有すると認識しないとして差し支えない としているものの中に、一つは野菜くだもの調理品等、見かけ上でどう見てもこれは食 品だろうというようなもの、いわゆる明らか食品と呼んでいるもの、これとそれから健 康増進法の規定による許可を受けた特別用途食品に関しては、原則例外に薬事法の規制 の対象外にということが、取り扱い通知に出ています。とはいえですね、健康増進法で 表示許可を与える際に、消費者庁だけがよしとして判断して表示許可を与えていいとい う仕組みにはなっていなくて、消費者庁設置に伴い、健康増進法が改正されており、特 保を含む特別用途食品の表示許可を与えるときは、事前に厚生労働省に協議をしないと いけないということになっていて、この消費者庁が許可を与えようとする表示の文言は、 薬事法に抵触しませんかというのを、内閣総理大臣から厚生労働大臣あてに書類を取り 交わして、事前協議という作業をしています。これは、厚生労働省時代にはなかったこ とですね、健康増進法が改正されて、こういった手続がなされています。  それから機能性の表示の仕組みというのは、歴史が古くて、興味のある方後で見てい ただければと思いますが、特保をめぐる機能性食品の検討というのは、世界的にも大分 先を走っていたようです。今となってはいろんな国が似たような制度を設けていますが、 日本においては、制度の見直しの時期に入っているということですね。  いろんな産業が右肩上がりにはいかないという話の中で、特保を含むいわゆる健康増 進の市場というのは、約2兆円規模だそうです。そういう業界紙なんかを見ると、伸び ているんですよね、市場の規模というのは。その中で、特に販売形態では、通信販売と いうものの伸びが高くて、ただ通信販売で購入する際に店頭の購入とは少し購入形態が 違うので、例えばアドバイザリーの方のかかわり方というのは、どういう場面でどうす るんだろうかという課題はあろうかと思いますけれども、販売形態というのも多種多様 になってきています。  そうした中で違反も多くて、主にこういった健康食品の表示を、取り締まる法律とい うのは、健康増進法でいうと32条の2に基づくものになるんですが、こちらでポイン トとして注目したいのは、著しくということです。著しく事実に相違して、また著しく 人を誤認させるということで、現在消費者庁も含めて行政が表示に関して指導してるレ ベルというのは、実態ベースで行政指導のレベルですよね、実際にこれが罰金を伴う勧 告というレベルまでの取り締まりというのは、過去に例がないんですね。それは、健康 増進法という法律が、健康増進に関してのいろんなことが一緒に書いてある法律なんで すね。その中で、健康増進を目的としたときに、著しく事実に相違したり、人を誤認さ せるような広告というのは、健康づくりにおいて、障害になるといった観点から取り締 まりが必要だということでの条文ですので、例えば景品表示法のような法律とは少した てつけや運用が違うのかもしれないです。そういったこともあって、消費者庁では現在、 違反のおそれがある疑義が生じたとき、なおかつそれを消費者庁としやらないといけな いような案件に関しては、健増法だけじゃなくて、食品衛生法それから景品表示法、場 合によっては厚生労働省と薬事法ということで、関連するいろんな法律の中で検討して、 どの法律で取り締まるべきかというのを検討する体制にあります。特に、健康増進法に 関してはほぼ、景品表示法との関連で、消費者庁になってこの法律を所管する表示対策 課というのがあるので、どちらの法律で見ていくべきかというのを、日常業務として検 討して案件を取り扱ってるという現状です。場合によってはこの景品表示法とJAS法 を組み合わせてやったり、景品表示法と食品衛生法の組み合わせでやったりということ で動いています。こういった体制を強化することも含めて、取り締まりの強化というの が、今後一つの方向性にあります。  これまでお話ししてきた概要を、少しポイントを内容として見ていきます。  特保の表示許可、先ほどお話ししましたが、これに関しては、通知が変わるといって いる通知の概要はこれです。、特保として許可を与える用件として、有効性の用件それ から安全性にかかる用件そしてその他の用件ということで、大きく分けて三つの要件が あります。この三つの要件を満たしていくと判断するのに必要な具体的な条件というの を、通知には書いてあるんですけれども、この内容をもっと詳しく具体的に、書いてい く方向にあります。そういうふうに論点整理で指摘されていますので、そういった意味 での通知改正を、今後予定しています。  それから二つ目が、審査手続の透明化ということで、今、消費者庁が許可しているプ ロセスは、この流れなんですね。見ていただいてわかるとおり、いろんな機関での審議 を経て、最終的にはそれらの情報を集約して、消費者庁長官が許可を与えています。健 康増進法には内閣総理代理大臣と書いてあるんですけれども、この個別品の許可の権限 は、消費者庁長官に委任されていますので、許可者は、消費者庁長官となります。これ らのそれぞれのプロセスにおいて、公表される資料の情報レベルや種類が違いますので、 そういったところをもう少し整理していこう、まあ審査の透明化ですね、そういったも のをやっていくということで、方向としては、積極的に情報公開を行っていく方向にあ ります。当然、企業の知的財産の保護ですとか、そういった法律に抵触しないレベルで の話になりますけれども、そういった大前提の元に、今それぞれのプロセスでいろいろ 資料を公表しているんですけれども、公表事項が見ていただいても数からしてわかるよ うに、ばらばらですね、一番事実の公表の種類と量が多いのは、食品安全委員会での会 議資料になろうかと思いますが、こういったことをもう少し整理して、わかりやすく情 報を外に出していく審査内容の透明化ということを、求められています。  それから、許可後に生じた新たな科学的知見の取り扱いですが、実は特保というのは、 許可を与えるときにこういう許可書というのを、企業さんに出しているんですけれども、 許可の要件として、下になお書きでこういう文章が入っているんですね。「なお、当該 食品の保健の効果または、安全性につき、新たな知見を入手した際には、遅滞なく消費 者庁食品表示課まで報告すること」と、これが一応許可要件になっているんですけれど も、そのエコナの話があったときに、これに基づいて報告された例というのはどのぐら いあるのかというのは調べてみたんですけど、ほとんどないですね。あったのは、許可 をいただいたときよりも、有効性の論文が1本ふえましたとうハッピーなものが多くて、 それ以外のちょっと気にするような話というのはなくて、こういったことに対して定期 的に報告を受ける、それから報告いただくときの新たな知見のレベルをどのレベル以上 にするのかとか、そういったことを、少し詳しく決めていくべしという方向にあります ので、これらについても、取り扱いの中で検討していっています。  それから、特保の表示の仕組みですので、消費者がわかりやすく、かつ誤解しないよ うな、事実をちゃんということで、特保というのは今、通知の中で、内閣府令に始まっ て、何について書くべしと詳しく決められているんですね、特保として表示許可を受け るというのは、この表示をしていいよと言われるということでなんです。もともと食品 としては売っていい物なので、特保と言わなければ、機能性を表示しなければ、別に同 じ物でも食品としていっこうに売って差し支えない、その保健機能の表示をしようと思 ったら、特保を取らないといけないという話なので、別に機能性の表示しなければ売っ ていいんです。その食品が、食品として問題なければ。ですので、何についてどういう ふうに表示をするかというのは、実は特保の表示制度の肝なんです。これが、例えば主 張したいことだけが目立って、消費者の方をミスリードするような表示にならないよう にですとか、それから有効性で証明された事実が、誤解なく消費者の方に伝わるにはど ういう表示の工夫が必要かというのを、今まで以上に検討して、見直していくこととな っていますので、パッケージでの表示の方法、表示の項目それから表示する文章の表現 ぶりですとか、そういったことに関しての見直しもはじめています。こういったことは、 消費者委員会の新開発の部会や調査会の御意見等、特保を審査していただいてる組織の 御意見なんかでもたくさん出てますので、表示としてどういう仕組みをよりよくつくっ ていくかというのが、一つ課題になってます。こういったことの検討も進めています。  それからその中で、きょう行政の方々とアドバイザリーの方がほとんどだと思うんで すけれども、特保の一つの大きな特徴なんですが、問い合わせが多いことでもあるので、 きょうちょっとお話しします。  Aというお茶とBとお茶って比べられないんですよ、基本的に。なぜかというと、特 保というと個別の有効性の評価になりますので、その保健機能をうたいたいといってい る関与成分と、関与成分の機能というのはどういうメカニズムでどういう結果が出てい るのかということと、その結果どういった許可を受けて表示できるのかという事実、そ ういった有効性につながる一日の摂取目安量と、摂取の仕方はどうなのかというその条 件が、一品一品全部違うんです。例えば茶系の飲料で、関与成分が茶カテキンのもので、 明らかとなった科学的根拠こちらに書いてあるとおりですけれども、これは結果的に、 茶カテキンで何をというと、「エネルギーとして脂肪を消費しやすくするので、体脂肪 の気になる方に適しています。」よく流れているテレビCMと同じくだりですよね。こ の文章の範囲でCMをつくってやってるんですね。あれだなと思い浮かぶと思うんです けど、その飲み物の一日摂取目安量というのは、一日1本目安にお飲みくださいという ことで、別にいつ飲んでもいいということになっていてという、こういう条件下で実験 した結果認められたという有効性、その有効性の範囲において表示許可の文章の内容が 決まっているということです。同じ茶カテキンの物でも、別の緑茶飲料ですと、コレス テロールの吸収を抑制する茶カテキンの働きにより、血清コレステロール特にLDLコ レステロールを低下させるのが特徴ですということで、コレステロールが高目の方の食 生活の改善に役立ちます。このお茶の飲み方は、一日2本食事の際に1本を目安に飲む、 食事の際に一緒に飲まないと、有効性を証明した条件には合わないということなので、 いつ飲んでもいいのと、食事の際にと書いてあるの等とか、それから1回の摂取目安量 も違ってたりとか、ほかにもいろいろあるんですけども、特保のお茶といっても、その 関与成分のタイプ、明らかとなった科学的根拠、その結果受けた許可表示の内容、それ から1日摂取目安量と全部違うんですよね。その組み合わせ上、特保として表示許可と いうことになりますので、こういた特徴が特保にあるというのを、御承知おきいただれ ればと思います。たまに、消費者の方からの質問で、何とか社のお茶と何とか社のお茶、 どっちが効くんですかと聞かれるんですけども、なかなかお答えができないですね。そ の条件下でこういう結果が出ていたので、機能性の表示としては、ここまでを認めてい ますとしか言えないということです。あくまで、食生活の補助にということになります。  こういったことに関しても、先ほどのお話ししましたように、表示許可を超える広告 が見受けられるので、それに関しては特保といえども、虚偽誇大表示の取り締まりの対 象になりますし、場合によってはほかの法律の取り締まりの対象にもなるということで やっています。  というわけで、取締りの話しにうつりますが、消費者庁は、地方組織を持たないとこ ろで、担当している事業において、そのまま厚生労働省のもとにあった組織体制の上に、 消費者庁と厚生労働省が入れかわっており、取り締まりに関しては、健康増進法の取り 締まりは地方厚生局との連携は今までどおりで、都道府県とのやりとりも今までどおり という流れになっています。  この中で特に、消費者庁が担当しているのは、住所地が特定できないような広告とい うことで、インターネット広告をメインに本省の業務としてやらせていただいています。 ネット監視は今後強化する方向にあって、現在は四半期に1回ずつ検索ロボットでキー ワード検索をかけて、違反のおそれがあるとピックアップされたものを、担当官が目視 をして振り分けをして、指導はまとめてショッピングモールの運営事業者に対して、表 示の適正化についての改善指導をしています。そういった流れの中でやっており、これ らに関しては今後さらに強化する方針にあります。参考までに、ネット監視で指導した 例というのを載せておきましたので、後でごらんいただければと思います。インターネ ット広告の取り締まりに関しては、こちらにお示ししているとおりです。これまでいろ んなセミナーで国が言ってきたことなんですけれども、どういったポイントで違反のお それがあるかということです。機能性の話と特定の製品がリンクしていたり、購入のと ころに進んだりというような構造になっていれば、すべて取り締まりの対象として、監 視の対象になっています。それから違反事例の指導で、定期的にあるのが、特許を取っ てるから大丈夫なんですというのがあるんですけれども、それは関係ないですので、こ れも通知で言っていますので、特許を取ってることとその科学的根拠の証明というのは、 すべてイコールではありませんので、注意していただく必要があるんですね。  それから、景品表示法との関係ということで、取り締まりの特徴としてあげました。 取り締まりの範囲は景品表示法のほうが広いんですね、ただ合理的根拠が提出されてい る場合で、その根拠の程度を見るのは健康増進法のほうが向いています。、ですのでそ の事案事案で取り締まりの特徴が変わってきます。どっちの法律で取り締まったほうが 適切かという判断をしています。  それから、薬事法と健康増進法の関係というのも一つ取り締まりのポイントになりま して、これらに関しては、論点整理の中でも連携を今まで以上に強化することと言われ ていて、実際に強化しています。定期的に連絡会議のようなことを持つなど、効果的な 執行に向けた協議をはじめています。明らか食品に関しては、健康増進法で見ていくこ とになりますし、特に広告等に関しては、薬事法の範囲で難しいものは、やっぱり健康 増進法で見ていくしかないとか、事案の特徴によってどちらの法律で見ていったらいい のかというのが、変わってきます。  まとめですけれども、消費者庁では実は健康食品をキーワードにすると、大体の課で やっている仕事が何かしらの形で健康食品にかかわっているんです。健康被害、財産被 害それから被害者救済、販売方法の取り締まり等も含めて、表示に関しては、特に表示 規制を強めていくという方向に現在あります。  消費者庁が健康表示に関しての規制を担当する意味というのが、健康食品の論点整理 の報告の最終回に、当庁の審議官が、いろんな意見を受けて発言したんですけれども、 消費者庁が行う意味というのを考えてほしいということで、それはやっぱり第一に消費 者を守る、消費者の利益に資するということが第一ですので、産業振興だけを念頭に置 いて何かするということは、消費者庁という役所の特性上あり得ないという発言をはっ きりされておりました。そうした中で、健康や栄養に関しての表示に求められることと して、例えばコーデックッスのガイドラインでは、こういったことを言っていて、消費 者庁が今後求めていく表示の制度の設計や運用においても、こういった考え方というの が、やはり必要になってくるであろうと思います。実際に、論点整理の中でもそうです し、通知の見直しそれから制度の普及、消費者に対しての支援等においても、こういっ たことを重視してやっていく方向性にあります。ですので、制度のよりよい運用、それ から拡充それから一方で、取り締まりの強化ということを、いろいろ難しいんですけれ ども、これまでの課題をよりクリアにして、積極的に取り組む方向に現在あるというこ とです。通知改正に関しては、早ければ今年度中にできるものから、パブコメにかけて いくようなスケジュール感で動いています。以上でございます。  休  憩 午後 2時40分  ―――――――――――――――――――――  再  開 午後 2時50分 ○司会(大井) それでは時間になりましたので、後半を再開したいと思います。  健康食品の利用について、独立行政法人国立健康栄養研究所情報センター長の梅垣様 より御講演いただきます。 ○独立行政法人国立健康栄養研究所情報センター長(梅垣)  皆さんこんにちは、栄 養研究所の梅垣といいます。  私は、健康食品の利用についてということで、実際の細かな話をします。実はいろん なとこで同じような話をしています。恐らくアドバイザリースタッフの方は、御存じの 内容と思いますので、再確認ということでお聞きいただければと思います。内容は、こ この七つの項目です。不適切な製品の利用、病気の治療や治癒を目的とした利用、病者 やアレルギー体質の人の利用、医薬品との併用。それから保健機能食品の利用の考え方、 情報の収集解釈、今後の課題ということです。重要な健康食品問題は二つあります。  まず一つは、製品の品質です。例えば不適切な製品の利用として医薬品をいれたよう な製品。中に何が入っているかわからないような製品が世の中あります。それが、まず 第一の問題です。  それからもう一つは、どう利用するかという利用方法の問題です。病気の治療・治癒 を目的とした利用です。これは食品ではできないところですね。利用する人が医薬品と 勘違いをして利用していることと解釈できます。  病気やアレルギー体質の人の利用ということもあります。普通の人が、健康食品を利 用する上では何ら問題はないと思いますが、病気の人とかアレルギー体質の人が利用す ると、問題が起きるという利用方法の問題です。  それから医薬品との併用。病気の人は体調が気になりますから、医薬品と併用する場 合があります。実はここのところはほとんどわかっていないです。医薬品と健康食品の 相互作用があるのかないのかと聞かれますが、医薬品は含有量も品質も明確です、大体 単一の成分から成っています。ですから、一対一の対応、要するにAという医薬品とB という医薬品の相互作用があるかどうかは、論文を見れば、一対一の対応ですから非常 にわかりやすい。しかし健康食品の場合は20ぐらいの成分は入っています。そうする と1対20の対応になるわけです。このような状態で本当に相互作用があり得るのかど うかは判断できません。そういう難しさがあるということです。そこのところは全くわ かっていないということです。そういう健康食品の問題があります。そのような事項に 対応して、いろんな国の制度があるわけです。サプリメントというのは日本では定義が ないのですが、保健機能食品という特保とか栄養機能食品には明確な定義のある制度が あります。それをいかに生かすかというところが重要です。新たな定義をつくるという のも、一つの考え方ですけども、何が優先されるかというと、ちゃんとした定義のある 保健機能食品をうまく運用していくこと。そういうことが重要になると思います。  そういう意味で、情報のしっかりした収集と理解が、求められると思います。これが きょう、私がお話しする全体像とお考えください。  それではまず不適切な製品の利用ということについてで、お話しします。  健康被害を起こしやすい健康食品というのは、大体錠剤カプセル状というのが多いで す。なぜかというと、先ほど松井専門官が話されましたけど、錠剤カプセルというのは、 特定成分を濃縮しています。そうすると特定成分は摂取しやすいですが、実は有害物質 も濃縮されている可能性があるし、実際に普通の食事から摂取できないような量の特定 成分を摂取してしまいます。そのような多量摂取が本当に問題ないかというと、そこは わからないです。わからないというところが重要なところです。そういうところがある ので、錠剤カプセル状の製品は注意しなければいけないということです。一番問題なの は、「いわゆる健康食品」と行政で言っている製品の中には、違法な製品があることで す。そういう製品は正確には無承認無許可食品といって、健康食品ではないのですが、 行政が摘発しなければ「いわゆる健康食品」として流通しています。そのような製品の 特徴としては、インターネットとか渡航先で購入されているということ、それから形態 が錠剤カプセルだということです。いろんな健康被害とか健康食品の問題を考えるとき に、どこで購入されたとか形態がどういう物かというのを注目すれば、ある程度、対応 はできるようになると思います。  ではどういう成分が医薬品として添加されていたかということです。食品に医薬品成 分を入れてはいけない。それは明らかに違法です。即、薬事法になります。違法に添加 されていた成分の特徴としては、肥満抑制関係それからシルデナフィルとかタダナフィ ルといった強壮・強精関係の成分です。それから血糖関係・リウマチ関係の医薬品成分 が多く添加されています。特に肥満抑制関係、ダイエット関係のものが非常に多いです。 私どもの研究所では、いろんな摘発製品の情報を出します。大体一週間に二、三件は出 しています。それぐらい世の中いろんな違法製品が出回っているということです。健康 食品の海外の摘発事例は、海外だけかというふうに思ってしまいますが、そうではあり ません。これは一つの例です。2008年の2月6日に香港衛生所から出た情報を私ども のホームページで掲載しました。ここ青い枠の画像をクリックしていただくと、この写 真が大きく表示されますから、どんな製品かがすぐわかります。この事例は、香港衛生 所だけの情報だと思っていたんですが、すぐに一カ月ぐらいの間に広島県、郡山、大阪 市、それから埼玉県と同じ製品が摘発されています。ですから私たちが、海外の情報だ と思っていても、日本にもこういう製品が入ってきている。そういうことを認識して、 いろんなことに対応していかなきゃいけないと思います。実際こういう製品が、摘発さ れて1年ぐらいたって、再び日本の薬局で売っていたという事例もあります。アドバイ ザリースタッフの人が、「こういう薬局で、過去に摘発された製品が、売っている」と いう通告と言か、連絡であり、そのような事例がわかりました。その事例について我々 厚生労働省に全部連絡しました。私たちのところで違法製品のパッケージの情報を写真 として出していますので、消費者の人も非常にわかりやすい、認識しやすいと思います。  有害物質が混入していた事例としては、クロレラ製品のフェオホルバイトとかいろい ろあります。実際これらについてはあまり最近は出ていません。多いのは、インドのア ーユルヴェーダ、インドの伝承医学といって、アピールしている製品の問題です。この 製品の中に、鉛とか砒素が多量に含まれていたために中毒を起こしたという事例が海外 で出されています。恐らく日本にも、こういう製品が入っていると思います。こういう ところが、今の特徴だと思います。クロレラ製品のフェオホルバイトは、食品衛生法で かなり指導されているとおもいますから、最近は問題には出てきていないと思います。  天然・自然というと消費者の人は、非常に安心感を持ちます。けれども、天然・自然 というのは、安全性を示す言葉でもないです。これは例外的なものかもしれませんが、 アリストロキア属という植物があって、この植物にはアリストロキア酸という成分が含 まれています。このアリストロキア酸というのは、腎毒性それから尿路系のがんを起こ すというのはよくわかっています。そういう植物を添加した製品が世界中で、流通して いる実態があります。ですから、日本の厚生労働省、「それからアメリカのFDAでも 該当する植物のリストをつくって、注意喚起情報を出しています。ちなみに中国に観光 に行って、どこか路地に連れ込まれて、これは中国何千年の歴史の漢方薬だと言われて 製品を買った場合に、こういう物が入っている可能性があります。実は中国では2000 年頃まで、アリストロキア酸を含む植物が、漢方薬に添加されていたという報告はあり ます。今は中国でもきっちり規制されていますけども、中国広いですし、いろんな製品 の流通環境もありますから、ひょっとしたらそういう問題の製品を、観光客の人が買っ てくる場合も否定できません。インターネットで個人輸入される場合はこういう問題の 製品を、買ってしまう場合もあります。そういう注意したほうがいいという事例です。  いわゆる健康食品と言われるものの特徴的な事例は、成分の表示です。添加されてい る成分の含有量があいまいだというとこです。グルコサミンと書いてあったら、関節に いいと大体の人は思うんですけども、その中に入っているのはいろんな成分が入ってい ます。買う人の心理としては、自分が知っているいいと言われる成分が入っていると、 何か得したような気分になって製品を選ばれるんですが、一番注目すべき重要なのは製 品としての品質なんです。この成分表示で成分名だけの表示だと、本当に何がどれだけ 入っているかわからない。だから安全とも有害とも全く何も言えないんです。一番重要 なのは、何がどれだけ入っているかという含有量の記載が、あるかないかというところ。 これが、ポイントになると思います。この含有量の記載がなければ、安全とも言えない し、有効とも言えない。このような問題があるわけです。特に、医薬品等の相互作用に ついてですが、最初言いましたけども、含有量が不明なら判断できない。微量だったら 恐らく、相互作用はないと言えますけども、過剰に入っていたら相互作用を心配しなき ゃいけない。でも相互作用を考える成分がどれだけの量で入っているか入ってないかわ からなければ、これは何とも判断できないです。製品の品質が明確でなければ、こうい う難しい問題があるということです。  今言いましたように、健康食品の中にはいいと言われる成分を複数入れている商品が あります。大体つくるメーカーさんというのは、いいと言われているものをいっぱい入 れます。それは、消費者の人がそういう聞いたことがある成分がいっぱい入っているも のを選ぶという心理にも関係しているんです。でも、複数の成分を入れると問題を起こ す事例があります。これは一つの典型的な事例です。ピロリジジンアルカロイドという 物質はコンフリーとか入っています。このアルカロイドを含む成分と、肝臓の薬物代謝 酵素あるタイプを誘導するような成分、この二つをまぜると健康被害を起こす可能性が あります。なぜかと言うと、このピロリジジンアルカロイドというのは肝臓の薬物代謝 酵素で代謝され、たんぱく質や核酸に反応します。このピロリジジンアルカロイドが、 代謝されやすいような状況になると、健康被害を起こす可能性があります。要するにい ろんな成分を理由も考えずに添加すること、それが本当にいいのかどうか、問題ないの かどうかがほとんどチェックされていない。このような点も重要になると思います。  皆さん方御存じだと思いますけど、トリプトファンは、1989年にアメリカでかなり の人が好酸球増多筋痛症候群EMSという問題を起こしました。亡くなった人もいます。 これの原因は、製品に含まれていた異種化合物によるものと、体質的なものがあると言 われていますけど、実際は明確にはなっていないです。一番の問題は、異種化合物、つ まり不純物が入っているということのようです。その含有量は、1%以下です。この値 を考えればたいしたことじゃないし、使われていたトリプトファンは純度の高いものだ ったんじゃないかと思われます。ここで一番問題なのは量です。1%と書いてあります けども、総摂取量は多いです。トリプトファンとして、摂取している量が非常に多い。 そこに濃縮されているというか、含まれていた不純物の含有量も多い。そういうところ もやはり考えない。私たちはパーセンテージとかと相対的なところだけで考えることが ありますけども、絶対量としてどれぐらいとっているかによって、影響が変わるという ことも考えたほうがいいと思います。大体食品はイメージで反応、対応します。良いと 言われている何かが入っているとよい効果が得られると思ったり、食品の成分だからた くさん入っていても安全だと思います。だけど、そこはやはり勘違いだと思います。  品質がやはり重要だということに関して、報告された有害事例が本当に含有成分が関 連した有害な影響なのかどうかというのを判断するとき、製品の品質が明確でなければ、 何とも判断できないです。有害事象の評価の判断というときは、摂取を中止して症状が 回復したとか、もう一回摂取して再発した、これは製品との因果関係が確実になります が、成分との因果関係はわからないんです。何がどれだけ入っているかというのはわか らないからです。既存の有害事象データがあるかとかもチェックすることになりますけ ども、やはり一番問題となるのは表示されている成分が確かに含まれているかどうかと いう品質が問題です。有害な影響が起こったときに、製品との因果関係はわかります。 でもこの製品中のどの成分が影響したかというのを判断するときには、製品中の特定成 分の含有量がどれぐらいあるか、製品中に何が入っているかというのが、明確でなけれ ばわからないんです。ですから、例えばあるメーカーさんが売っていた製品で、危害が 起こったとき、それと同じ成分を含む他社のものも問題だとまでは言えない。だから製 造者側も、きっちり品質の製品をつくらないと、他社の製品で、問題が出たら自分とこ ろもその影響を受けることになるわけです。自社はきっちりつくっているというのが保 証ができれば、他社とは違うということが言えます。でもそれが言えない状況だったら、 風評被害みたいな影響を受けることになります。ですから品質というのは、利用者側に も製造者側にも非常に重要だということを、ぜひ御理解いただきたいと思います。  これは、原材料の情報と製品の情報は違いますよという一つの説明です。  私たちは、製品中に何か成分が入っていたら、この成分はこういう効果があるという 論文情報があるから製品もそういう効果があると思います。けれども、製造法によって 成分情報と製品情報は全然違います。例えば原材料をきれいな成分で、それも単味でで きている健康食品ありません。大体複数の成分を添加しています。そうすると、有効性 を期待した成分以外に添加した成分の影響で、製品としては非常に粗悪なものができて くる場合もあります。こういうところを考えないといけない。何とかが入っているから いいとか、この成分には科学的な根拠がある、吸収されるというのがわかっている。で もどれかけ吸収されてそれが本当に生理作用に結びついていうかというところは、わか りません。ですから原材料の情報と製品の情報は明らかに違うということを、やっぱり 認識しなきゃいけない。医薬品はきれいにつくっていますからいいんですが、食品の場 合は、いろんなつくり方をされています。ですから、製品としてどうなのかというとこ ろは判断できない。そのような点が非常に大きな問題になるわけです。  病気の治療・治癒を目的とした利用ということで、お話しします。  これは健康食品の利用目的ということで、gooリサーチというので調べられた結果 です。大体が健康の保持増進とか栄養補給ということです。でもここに病気の治療目的 というのが6.4%あります。健康食品で治療ができるという根拠はないです。この人 たちは、要するに健康食品を医薬品ととらえている人です。この調査結果は普通の人で す。立場が変われば考え方が変わってきます。これは、患者さんを対象にして調査した 結果です。通院患者さんでは、病気の治療目的が11%、先ほどの倍ぐらいなりました。 じゃあ入院患者さんはというと38%です。通院患者さんと入院患者さんで明らかに違 うわけです。このように立場が変われば考え方が変わることがわかります。健康な人は、 健康食品なんて要らないと言います。でも自分が病気になったら考えが変わってくるわ けです。そのときに重要なのは、健康食品で、病気が治せるという根拠があるかという と、現時点では恐らくない。もしそんなものがあったらそれは医薬品にできます。そう いうところを消費者の方に理解してもらうしかないと思います。特に、がん患者さんと いうのは、非常に切実です。もう治療方法がないと言われれば、なんかしたいと思うわ けです。医師の方でも健康食品を利用するという人がいるというのを私は聞いたことあ ります。試してみたいということになるわけです。  ここに示したがんの補完代替医療ガイドブック。これは四国がんセンターと金沢医科 大学の先生方が厚生労働科学研究費で作成されれたパンフレットです。これは私どもの ホームページからもダウンロードできますし、四国がんセンターからもダウンロードで きます。がんとサプリメントの説明をするときには非常に使いやすいものです。現時点 でどこまでわかっているかという内容が示されたもので、推奨しているわけでは全然あ りません。そういう意味で、こういう資料も利用していただきたいと思います。  健康食品と医薬品は明確に区別しなきゃいけないということのお話をします。これが 必要に重要なところだと思います。よく健康食品を持ってきて、これ何に効くんですか と、聞かれるんですが、効くと尋ねることは、その人は薬的な効果を既に期待している ということです。それは、正しいわけではないです。そういう誤認があるのは、健康食 品と医薬品を誤解しているということです。食品と医薬品は明確に区別しなきゃいけな い。なぜかというと、食品で病気の治療・治癒ができるという明確な科学的根拠がない からです。根拠を探しても出てこない。それからたとえ科学的根拠があったとしても、 消費者の人が安全で効果的に利用できる環境が整備されているかというと、これもない です。大体の消費者の人は、健康食品を使うときに、皆さん方のようなアドバイザリー スタッフとか専門職の人から情報を得てない。友人知人、インターネット、テレビです よね。ちゃんとした知識のある人から情報を得て使っているわけではないんです。ここ のところが問題です。専門職の人が健康食品と医薬品は明確に違うんだということを言 っていかないと、消費者の人は絶対理解できない。ここのところは重要だと思います。  じゃあ健康食品と医薬品の違いはどこにあるかというと、三つのポイントがあります。 まず、製品の品質です。医薬品は同じ品質のものが製造・流通するようになっています。 GMP基準で同じものができている。医薬品で品質がばらばらのものが出てきたら、治 療がちゃんとできない。だからちゃんと治療できるためには、品質のしっかりした製品 ができないといけない。だから、医薬品は品質がしっかりしたものになっています。じ ゃあ健康食品はどうかというと、同じ名称でも全く品質の異なるものが存在しています。 メーカーさんによっては品質のきっちりした製品をつくられているところもあります。 けれども、物すごくいいかげんにつくっているとこもあります。消費者が製品を選ぶと きには、大体名称かそれとも価格だけで選んでいます。本当に重要なのは品質です。コ エンザイムQ10というのは、医薬品であります。医薬品は30ミリグラムぐらいが上限 になってると思いますが、健康食品では100ミリグラムとか200ミリグラムの製品もあ ります。じゃあその医薬品と健康食品でどこが違うかと言うと、量も違いますけど品質 が全然違います。健康食品で流通しているコエンザイムQ10は、おなかの中で、溶け ないというの製品が結構あります。医薬品の場合は、品質がしっかりしてます。崩壊試 験とか溶解試験して、飲んだらちゃんと溶けるというのが調べられてる。健康食品の場 合は、全くそのような試験に対応していないところと、ちゃんと対応してるところがば らばらになっている。そういった問題があるということです。  2番目は、科学的根拠の質と量です。医薬品は病者を対象として有効性、安全性の試 験をされています、じゃあ健康食品はどうかというと、病者を対象とした試験はしてい ません。そんな試験なんてできないです。倫理的に恐らく許されないと思います。ちゃ んとした治療薬があるのに、健康食品で治そうなんて試験をするところは、恐らくちゃ んとした医療機関ならないでしょう。それから、健康食品で安全性試験があったとして も、対象は健常者です。ちゃんとしたメーカーさんは、ヒトで安全性試験されてます、 でもだれを対象にされていましたかと聞くと、健康な人なんです。ですから健康な人が 摂取する条件では、問題は恐らくないと思います。でも病気の人が摂取したら、何が起 こるかまだわからない部分が残っている。それが健康食品の一つの問題点です。それか ら利用環境です。医薬品は医師・薬剤師によって安全な利用環境が整備されています。 けれども、健康食品の場合は商品の選択利用、消費者の自由です。普通の食品、例えば お肉とかかまぼことか同じような感じで使っていることがある。そういう流通や使い方 が、健康食品になっているわけです。この部分は後で、長村先生がお話しになりますが、 アドバイザリースタッフという方、NR、健康食品管理士、それからサプリメントアド バイザーとか食品保健指導者という方もいます。そういう人がちゃんと活躍できれば、 健康食品の利用環境はできます。ここの部分はかなり改善できると思うのですが、今の ところアドバイザリースタッフの認知度を調べたら、消費者の人はほとんど知らない。 認知度が低いという問題があります。ここのところは今後、改善していかなきゃいけな い問題だと考えています。  これは、先ほど来話がありました特定保健用食品とか栄養機能食品の制度の変遷です。 特保は1991年にできました。2001年に栄養機能食品ができました。それからこの特保 の表示の拡充がありました。ここで重要なのは、医薬品と食品は明確にここで区別され てる点です。こちらが医薬品で、こちらが食品です。ここが入りまじることはまずあり ません。そういうことを考えると、専門職がまず食品と医薬品を混同してはいけないと いうことが言えると思います。  これは保健機能食品の表示の基本的な考え方です。皆さん方も多分御存じだと思うい ますけども、あまり強調されないので言っておきますと、7番目です。医薬品などと誤 認しないように、保健機能食品である旨を表示するとともに、重要なのはここですね、 疾病の診断、治療または予防にかかわる表示をしてはならないこと。だから保健機能食 品もあくまでも食品なのです。医薬品ではない。ですから病名を入れたりした表示をし てはいけないというふうことになっているわけです。ここのところが重要だと思います。  アメリカでは、サプリメントの大国で、進んでいるというふうにいろんなとこで言わ れています。ですがアメリカのDSHEA、Dietary Supplement Health and Education Actと言って、日本語では栄養補助食品健康教育法と訳されてます。このと ころにも同じようなことが出されています。それは、病気を診断する予防する治療する 軽減するなどの表現は許されないということです。全く同じです。どこの国でも、食品 と医薬品は明確に区別しなきゃいけないことになっている。なぜかというとちゃんとし た医薬品を用いた治療ができなくなるからです。そこが重要だということです。  3番目、病者やアレルギー体質の利用は要注意ということをお話しします。  これは、研究所が出している健康食品の安全性・有効性情報のデータベースとからデ ータを抜き出したものです。データベースというのは、ある時点でデータを全部抜きだ してきて再解析できる。これは実際に2007年にデータの抜き出して解析した結果です。 そうしますと、被害の要因としては、体質にかかわるもの、長期または過剰摂取、医薬 品との相互作用、病者の利用、こういう状況になっています。こういうパターンを知っ ておけば、例えばいろんな危害が出たときに、何が原因だったというのがわかりますし、 消費者の人にアドバイスするときに、こういう害が出るかもしれないからといって、あ らかじめ注意してくださいねというアドバイスもできる。それで被害は未然に防止する ことができます。特に、体質にかかわるもの、アレルギーが多いです。アレルギーはす べてに起こるわけではないです。例えば、そばでもピーナツでもアレルギー起こす人い ます。当然、健康食品でも起こる可能性がある。ですから、もしアレルギー症状がでた ら、これはひょっとしたら健康食品かもしれませんので摂取を中止してくださいね、利 用者に言っておけば、被害の拡大防止ができると思います。  実際にアレルギーを起こす成分というのは、実は天然物で非常に多いです。研究所の データベースにも載せていますが、ユーカリ、松樹皮抽出物、プロポリス、ローヤルゼ リー、こういうものはアレルギーを起こしやすい成分と言われています。ただし、すべ ての人に起こるわけではないです。ある特定の人に起こしやすい。恐らく既に何らかの アレルギー症状を経験した人というのは、注意したほうがいいということは言えます。  病気の人が利用した時の問題点の事例としてウコンの事例を紹介します。ウコンは胆道 閉塞とか胆石の人は、摂取禁忌となっています。最近ウコンのコマーシャル多いですが、 ウコンのヒトでの有効性情報は、消化不良の改善です。肝臓にいいというデータは、ウ コンの中のクルコミンという数パーセントしか含まれてない成分によるものであって、 それは動物の実験とかで証明されています。しかしるヒトではまだ、恐らく十分に調べ られていないと思います。ウコンをこのような病気の人が利用したらどうなるかという ことです。ウコンは、消化不良の改善にいい。これはウコンに胆のう収縮や胆汁分泌促 進作用があるからです。胆汁がうまくでないような人は、疼痛を誘発するという可能性 があるので、注意したほうがいいという情報が出されています。実際に私のところに、 胆石がある人が電話をかけてきて、「自分は胆石があるけどウコン飲んでいて何ともな い」、ということをおっしゃることがあります。病気は状態が人によって違います。軽 い症状だったら全然問題ないと思いますけど、かなり重症だったら影響は出てくる。こ れを、消費者の人が自分で判断することはできません。ですから我々のところは、主治 医に告げる、あるいは利用するときに相談してほしいというように消費者の方に伝えて います。消費者の健康食品の利用は自由という面もあります。そのときにいかに的確に アドバイスできるか、というのが重要になるわけです。ウコンは肝臓にいいと、いろい ろ言われていますが、実は有害な影響がでることもある。すべての人に安全なものはな いということを、消費者の方に伝えておいたほうがいいと思います。肝臓にいいと思っ てウコンを摂っていて、薬剤性の肝障害を起こしたという事例もあります。このような 事例もすべての人に起こるわけではないんですけども、そういう人も世の中にはいると いうことです。  ビタミンCは、これは幾ら摂取してもほとんどの人は全く問題ないです。下痢をする ぐらいです。では全ての人で大丈夫かというとそうではありません。ビタミンCは摂取 すると過剰な量は尿中に出ちゃうんです。だから腎臓の機能が正常に働いてる人は全く 問題ない。でも腎臓の機能が低下している人では、大量に摂取すると問題になります。 普通の食事の量だったら問題ないと思いますが、1グラム2グラムをサプリメントから 摂取すると、こういうふうに続発性シュウ酸症を起こすこともあります。ですからすべ ての人に安全なものはないということが重要です。  国の食品の制度と対象者ですが、いろんな食品には、摂取対象者が必ずあります。特 定保健用食品だと、健康が気になり始めた人が利用対象者で、病気の人ではないです。 栄養機能食品は健全な食生活ができていない人、栄養の補給補完が必要な人が利用対象 者です。病気の人が、摂取してもいいですけども、これらの食品の表示が許可されてい る、もしくは製造・設計されているというと、それは病気の人ではないということです。  最近、サプリメントの利用が子供にも広まってきました。これは研究所で調べたデー タです。小学校へ行く前の幼児そういう人の親御さんを対象に、子供にサプリメントを 与えていますかと調べた結果です。そうすると、15%の子どもが利用していました。サ プリメントという用語に日本では定義がありませんので、調査では健康によいとされる カプセル・錠剤・粉末、要するに濃縮物をサプリメントとして、それらを摂取していま すかと聞いた結果です。利用されている成分の内訳は、ビタミン、ミネラルそれから魚 油が非常に多い。なぜかというと、ビタミン、ミネラルはインターネットで栄養素が最 近の子供は足りないとかいう情報が出ている。それで親御さんが気になって摂取させて いる。また魚油を摂取すると頭がよくなるという情報が出ている。どこの親御さんも自 分の子供を賢く健康に育てたいという親の思いがあります。そういうところに拡大解釈 した情報が出されると、こういう結果が出てくるというように思います。この利用製品 に関する回答の中に漢方薬というのがあります。我々はサプリメントと聞いていたので すが、漢方薬と回答していることは、回答した親御さんが、薬とサプリメントの区別が ついていないということを示していると考えてもいいと思います。  では4番目に、医薬品との併用という問題で御紹介します。  何回も同じこと言いましたけども、健康食品と医薬品の相互作用において、最も問題 なのは、表示されてる成分が本当に含まれてるかどうかという点です。複数の成分が添 加されている製品は、非常に危ない。なぜかというと相互作用に関して多くの対応がで きてしまい影響の判断ができないからです。健康被害が出たときには、原因究明もほと んどできないと思います。  これもあとで、長村先生が紹介されると思いますが、相互作用でよくわかっているの はセイヨウオトギリソウです。これは肝臓の薬物代謝酵素を活性化して、医薬品の代謝 を促進しい、医薬品を効かなくします。実際のところは、実は余りよくわかっていない です。何とかの成分と相互作用があると言っていますが、どれだけの量で相互作用が起 こるかが明確でない。ここのところは専門職の人が見てほしいと思います。例えばセイ ヨウオトギリソウが肝臓薬物代謝酵素を誘導すると思われていますが、どれだけのセイ ヨウオトギリソウの成分が量で、相互作用を起こすのかが不明確です。もし微量だった ら恐らく影響はないです。でもある程度の量になれば、相互作用が出ると考えられます。 量が、実はよくわかっていないです。論文を見ても明確には書いていないことがほとん どです。相互作用については、こういう非常に難しい部分があるということを御理解く ださい。  健康食品と医薬品の相互作用の事例として、レボドパ、これはパーキンソンの治療薬 があります。この薬は中性アミノ酸と消化管の吸収のところで拮抗して、レボドパは吸 収が阻害されます。肉を食べても、アミノ酸が入ってきます。ではどのような時問題に なるかと言うと、要するにサプリメントとしてかなり中性アミノ酸を過剰に摂取した時、 吸収で拮抗してしまうということです。だから普通の食品では恐らくそんな影響はない と考えていい。日常摂取している成分でもサプリメントとして多く摂取すると、当然吸 収の段階で、拮抗する、と考えていいと思います。こういう情報が出ると普通の食品も 影響あるのかと思われますけども、恐らく普通の食品の場合は影響はない、それほど心 配しなくていいと思います。 ビタミンKとワルファリンも相互作用で非常に有名です。ワルファリンを摂取している 人は、ビタミンKを多く含むホウレンソウとか青汁は食べてはいけないというように言 っています。だけど、実はこれも許容量があることが最近報告されています。ビタミン ですから当然ないと困ります。今のところビタミンKを100マイクログラムから200マ イクログラム一定の摂取をしたほうが、むしろワルファリンの薬効の調節はいいという 情報が出てきています。ただこれは、現時点の情報で、また変わるかもしれません。一 番重要なのは、ワルファリンを摂取している人は、一定のビタミンKの摂取をして、血 液凝固時間をチェックするということです。病院でチェックし、ふだんの食事からかな りかけ離れたような摂取をしなきゃいいわけです。そのチェックするところを忘れて、 ワルファリンとビタミンKの既存情報だけを考えると、正確な判断ができなくなります。 このような点も重要なところだと思います。  それからグレープフルーツとフェロジピンというカルシウム拮抗薬との話なです。こ の図で、これはグレープフルーツジュースとフェロジピンを飲んだ場合、これはグレー プフルーツジュースの中のフラノクマリンを除去したものを同様に飲んだ場合、これオ レンジジュースのばあいです。この下の図はグレープフルーツジュースの影響が大きい 人たち。AUCが非常に大きくなっている。一方で影響受けやすい人です。上の図は、影 響を受けにくい人です、同じように飲んでもこの人達は、ほとんどAUCが変わらないで す。この事例のように、すべての人に影響が出るわけでもないということも、知ってい たほうがいいと思います。ただ、だからと言って、グレープフルーツジュースとフェロ ジピンを一緒に飲んでもいいと、までは言えません。余りにも危ない、危ないと言って 消費者をあおってしまうということも問題になりますから、こういうところの情報も知 っておけばいいということです。例えばこの場合、フェロジピンという降圧剤ですから、 血圧が下がりすぎてふらついたりしたりする人がいるという情報を消費者に伝えておく ということが重要なのです。そして、もし併用してそういう症状を起こしたら、あなた はかなり影響を受けやすいんだから、併用しないようにしてくださいねというアドバイ スをする。これだけでも消費者の気持ちは大分変わると思います。安全を見越せば、薬 局なんかで飲まないでくださいと言います。でも物すごくグレープフルーツが好きな人 いて、どうしても飲みたいという人もいるわけです。そのときに、全部禁止というよう にしていいかどうかという判断は、難しいところだと思います。でもこういうデータを 知っておくと、専門職は柔軟に対応することができると私は思います。  健康食品の場合、そんなに害があるものはないと思います。一番害があるというのは やはり医薬品の効果を強めたり、医薬品の治療効果を弱めたりする状況です。これは医 薬品の血液中濃度の変化です。大体治療域、血液中濃度がこの間に入るように投与され ています。それが、健康食品を飲むと、先ほどのセントジョーンツアートのように、治 療域から下がってしまって効かなくなってしまう。もしくは、グレープフルーツジュー スのように、効き過ぎてしまう場合のパターンがあるわけです。このような点を注意し てほしいんですけども、これも健康食品の品質が明確でなければ、何とも言えない。成 分名としては入っているけれど、量の記載がないので相互作用としてこういう影響があ るのかないのか全く判断できないし、論文情報も適用できないという問題が健康食品に はあるということを、ぜひ御理解ください。  健康食品を複数摂取される人がいるんですけども、複数の製品を利用するのは、一番 健康被害を受けやすいパターンです。どのせいで健康被害を受けたかが全くわからない。 4種類5種類の製品を摂取して健康被害を受けたとき、例えばアレルギーが出たとき、 どの製品が原因であったかが全く判断できない。それから医薬品との相互作用の組み合 わせについても、組み合わせが多くなる。大体、医薬品は1成分ですが健康食品の場合 20の成分ほどが含まれています。そうすると1対20の対応です。4種類の健康食品を もし摂取していたとすると、4製品かける20成分で80成分ですね。1対80の対応が あるようなことになってしまいます。そうすると、健康被害と医薬品との相互作用は全 く判断できないことになります。それから複数の製品を摂取したときの有用性のデータ は実はありません。そんなことは、いろいろなメーカーさんがそれぞれ製品を作ってい ますので、全体の調整など、全くできない。このような理由から、複数の製品を利用す るというのは、お勧めではないということが伝えられると思います。  次に保健機能食品の利用の考え方ということで、お話ししたいと思います。  特定保健用食品でも、誰が、どのような製品を、どのような目的で利用するかによっ て、有益にも有害にもなります。特定保健用食品では、エコナの問題があったときそん な制度は廃止しようと言われる人もいました。でも、どうやって利用するかによって、 特保はよくもなり、悪くもなります。全部悪い、全部良いとは言えません。特定保健用 食品の場合は、乱れた食生活の不安をいやす目的での利用とか、医薬品的な効果を期待 した利用は適切ではありません。これはよくないと思います。じゃあどうやって特保を 利用するかというと、私どもの研究所では、現在の食生活もしくは生活習慣を改善する 動機づけ、きっかけとして利用してほしいというように言っています。正しい食生活を 考え、例えば糖質が気になるのなら糖質を制限する、脂質が気になるのなら脂質を制限 する、そうすれば何も特保が効かなくても、そのような生活習慣の改善で確実に効果あ るのです。でもなかなか人間は、行動変容というのを起こしにくい。ですから、特保を 利用するんだからちょっと歩こうとか、食べている脂をちょっと減らそうとか、そうい う行動に、特保の利用が結びつけばそれがいいわけです。それか効果的な利用方法を実 践というのもあります。製品に表示されている方法で摂取すると、表示されている効果 が期待できます。必ず出るわけじゃなくて、人によっては出る場合もあるし、出ない場 合もある。期待できるというレベルです。それが私は特保の作用だと思います。この情 報は健康・栄養研究所のホームページにPDFとしてかなり細かく出していますので、ご 覧ください。  これが具体的な事例です。これは難消化性デキストリンを含む特保の飲料です。横軸 は時間、縦軸は血糖値です。対照飲料に比べて特保飲料を飲むと、確かに血糖値の上が りは抑えられている。でももしこの対象の人が、例えば20%の糖質の制限をしたとし ます。当たり前ですけど、当然血糖値上がらないですよ。こういう当たり前のことを、 まずしてほしい。こういう行動をしてほしいということです。それから、この飲料は空 腹時に飲んだら、糖分を摂取していなければ、何の影響もないです。低血糖を起こさな いから安全ということも言えるでしょうが、この製品の効果的な利用方法というのは、 やっぱり糖質と一緒に摂取するということです。今特保には、食事とともに、と表示さ れています。だからそういう利用をしていただければ、特保は非常に役に立つ物になる と思います。  栄養機能食品は、規格基準型の製品で、必要な栄養成分の補給・補完に利用するもの です。ビタミン12種類とミネラル5種類が今栄養機能表示が許可されています。ビタ ミン・ミネラルは非常に科学的なデータ多い。でも、その根拠で重要なのは不足してい る人が摂取した条件でいい効果があったというデータということです。今の一般の日本 人を見ると、特定のビタミンとかミネラルが不足しているというデータはほとんどあり ません。国民健康栄養調査でみると、少ないというのはカルシウムぐらいで、ほとんど 不足しているというデータはありません。ただこれは平均的なのことです。世の中には 物すごく偏食をしている人がいます。そういう人が、栄養機能食品は使うべきだという ことです。これは、食事摂取基準でよく出ている図です。あるものを低摂取していくと、 不足のリスクは下がってくる、ここで推奨量とか目安量という値が出てきます。そして さらに摂取していくと、有害な影響、要するに過剰な影響が出てくるので、耐容上限量 という値が出てきます。これらの値は全部一日当たりで出ていますけども、実はこれは 習慣的な摂取量を意味しています。ですからきょうビタミンが少なかったからもう欠乏 になるとかそんなことを意味している値ではないです。きょうある成分が少なかったら、 明日その成分が多い食事をする、もしくはあさって多い食事をすればそれで十分なので す。そういうことを考えて、対応していかなければいけないと思います。この耐容上限 量も実は習慣的です。例えばレバーなんかを一回食べると、1日当たりではすぐに耐容 上限量を超えてしまいます。でも毎日レバー食べる人いません。嫌になります。ですか ら、習慣的な摂取量と考えると、普通の食事からこの耐容上限量超えて特定成分を摂取 することは、まずありません。食事摂取基準で出てる耐容上限量は、サプリメント対応 の値であると考えてよいと思います。  栄養機能食品は、メーカーさんの自己認証で表示されています。だから製品の中には イソフラボンを入れてみたり、ポリフェノールを入れてみたりして、それらを強調して いる製品も結構あります。栄養機能表示できるのは栄養機能食品(カルシウム)とか (ビタミンC)とか書いてある成分です。でも自己認証なので、きめられた成分のみが 正しく認識されるように表示されているかどうかには、若干問題があると思っています。 ここに示したように市場には保健機能食品と普通のヨーグルトいっぱいあります。国は この特保と摂取してくださいとか、栄養機能食品を摂取してくださいと言っているわけ ではありません。要するにいろんな製品の中から消費者の人が何を選ぼうかというとき の製品選択の判断基準を示しているだけなのです。だからおなかの調子を整えたいとい う希望があれば、この特保を利用されればいいし、おいしいヨーグルトを食べたいのだ ったら普通のヨーグルトでもいいわけです。保健機能食品の表示はそういうものだとい うふうに考え、また、保健機能食品はあくまでも食品だということを考えて使う、そう すれば、問題は起きないと思います。この特保でおなかの調子を整えたい、これで整腸 作用があるんだといっていっぱいとると、摂取エネルギーが多くなり太ってしまうこと になるかもしれません。そういう別の面がでることもあります。ですから食品は、製品 全体として考える、あくまでも食品としてとらえる、ということが重要だと思います。  情報の収集と解釈ということでおはなしします。大体有効性、安全性はイメージでと らえられています。特定の成分の摂取量、つまり量的な概念がありません。重要なこと は調べてみなければわからないということです。摂取量が少なければ何の効果もないか もしれない。一方、摂取量が多かったら安全性に問題がでるかもしれないということで す。  何度も言っていますけども、素材の原材料の情報と製品の情報は違うということを、 ぜひ理解していただきたいと思います。文献などで調べた情報は、この製品情報に当て はまるとは限りません。研究所で、この原材料の論文情報出していますけども、この原 材料の論文情報は製品情報には当てはまらないということです。このことについてはホ ームページの中に、あっちこっちに書いてあります。なぜかというと、どう製造するか によって、全然違うものができてくるからです。ここのところは一番重要なところだと 思います。ちなみに特定保健用食品は、この最終製品で評価されています・特保はここ の製品情報で出ているというふうに考えていいと思います。何でもいい、いいといって、 特定成分が多量に摂取されているのですが、例えばベータカロテンを濃縮物として多量 に摂取すると、肺がんを起こしやすい人はもっとがん化するというデータが出てきまし した。これは、普通の食材から摂取した時のβカロテンの血液濃度、です。食材から摂 取したときの濃度はせいぜいこれぐらいです。なぜかというと、摂取した食材からベー タカロテンが全部消化管で吸収されるようなことはできないからです。未消化の部分が かなり出てきます。それから私たちは毎日同じものを食べません。食品には匂いや体積 がありますから、食材から摂取した時の血液中濃度は頑張ってもせいぜい0.3マイク ロモルとかそんなレベルです。でも、濃縮物として、摂取していくと、話は別でかなり の高い血液中の濃度になります。  この図は、同じことを言っています。横軸は摂取量で、縦軸は生体影響、例えばある ものを摂取していくと、いい効果はあります。けれどあるとこで有効性のカーブは下が ってきます。なぜかというと、有害な反応が必ず出てくるからです。レバーはビタミン Aが多いですから、当然レバーばっかり毎日食べると、過剰症を起こします。でもそん なことはおこりません。なぜかと言うと、普通の食材には容積とか体積あとにおいがあ って、私たちの嗜好性がある。それらの関係から毎日食べろと言ったって同じものを過 剰になるほど食べられない。ですから、食材から摂取する条件では、何も気にしなくて も特定成分を過剰摂取はしないし、特定の成分が不足することもないわけです。バラン スのいい食事、バランスのいいというのは、いろんな食材を満遍なく食べるということ ですが、そういう食べ方が、特定の成分が過剰になることもないし、不足することもな いということです。それが一番健康的で、安全な食べ方だということが言えると思いま す。ただ錠剤カプセルが悪いわけではありません。世の中ものが食べられない人がいま す。そういう人が品質のしっかりしている製品を、補足的にとるというのは悪いことで はありません。何も錠剤カプセルが全部だめだと言っているわけじゃなくて、要は、誰 が、何を、どんな目的で、どうやって使うかによって、摂取したものはよくもなり悪く もなるということ。この点が重要だということです。そういうことを考えて、我々の研 究所では先ほど御紹介いただきました、「健康食品の安全性・有効性情報」というホー ムページから情報を出しています。出している情報は、海外の被害情報、国内の厚生労 働省からの摘発された情報、健康食品の基礎知識です。ここに特保の上手な使い方とか 行政機関が作成したパンフレット情報などがあります。今回配っていただいています厚 労省と私どもと医師会でつくったパンフレットもここにPDFで掲載しています。それか らがんの補完医療代替ガイドブックというのもここにPDFで紹介しています。全部ここ にPDFとして出してありますから、ここをクリックして、印刷して、市町村の方は必要 とされる方に配っていただきたいと思います。そういうふうにしていただくと、費用対 効果が非常にいい情報の普及活動ができると考え、情報を出しています。  それから提供している情報で特保の情報、ビタミン・ミネラルに関する基礎知識の情 報を出しています。それから健康食品の素材情報データベース、要するに原材料の論文 情報も出しています。ここでは成分に関する論文情報を集めているだけで、製品情報で はありません。でも、参考情報として、医薬品との相互作用、摂取をしてはいけない人 の情報もあります。先ほどの、ウコンの事例とかもここに全部掲載してありますから、 ぜひ使っていただきたいと思います。このデータベースを使うときに、ここにキーワー ドを入力していただければ、全部データベースになっていますから、データが表示され ます。例えばウコンと入力して、ここをクリックすると、データベースの中のウコンの 情報が全部で表示されます。その表示された中で必要な情報を使っていただくというこ とで、お願いしたいと思います。私もよく質問されたとき、ここに言葉を入力して、お 答えしています。大体の情報はありますし、もしなければ、それは今のところはありま せんというようにお答えしています。この素材情報データベースでは有効性情報も出し ていますが、行政機関が有効性の情報出すのはおかしいというような意見もあります。 こちらに情報を出さなくても、実は論文情報は、いろいろなところで出されています。 我々のところの情報提供の目的としているのは、有効性に根拠がないことを明確に示す ことです。その点を明確に示せば、乱用の防止になると考えています。それから有害事 象については、その詳細に示すことによって、類似した被害を防止できます。基礎知識 の項目で健康食品の実態を示すことで、国の保健機能食品制度を推進することができる と考えています。新しい健康食品の制度をつくろうという話がありますけど、今ある制 度をいかに生かすかということを優先して考えたほうが、早いと思います。消費者の人 は、大体まだ保健機能食品などを正しく認識していません。ですからここのところを重 点的に対応してかなきゃいけないと思います。これは、情報提供のときに、「俗に」と いう表現でホームページに書いて点です、比較的しっかりした素材であっても俗にと書 いています。なぜかというと、この情報を見た人が、俗にと書いてあると、ちょっとひ かえめな印象を受けて読んでくれるからです。そういうことを期待して、わざと俗にと 書いています。情報は、出す側と受け側の対応を考えていかないと誤解される可能性が あります。真実をそのまま書いてしまうと、拡大解釈されることもあるのです。このよ うな情報提供に批判もありますが、そういう状況を考えて「俗に」というような表現に して情報提供しているところです。  健康食品の有効性情報も有害性情報も一番重要なのは、誰が、何を、どれだけの量と 期間摂取して、どのような影響を受けたか、ここがやはり一番重要です。すべての人に 危ないわけではなくて、特定の人に問題が起こる場合が結構あります。そのときに、ど ういう条件で、健康被害が出たかというのを、詳細に明確にしていかないと、風評被害 というのが出てきますし、心配しなくていい人が心配したり、ほんとは心配しなきゃい けない人が全然気にしなかったりする場合があります。ですからここの赤のところです ね、誰が、何を、どれだけの量と期間摂取して、どのような影響を受けたか、情報をみ るときはここのところを注目していただきたいと思いますし、我々のところではそうい う考えで情報を出しています。チオクト酸(リポ酸)の場合も、インスリン自己免疫症 候群を起こすという注意喚起情報が出ました。日本人では8%ぐらいこういう症状を起 こす人がいるみたいです。海外では1%程度のようです。こういう有害情報も、すべて の人ではないんですよということを、注目して見ていただければいいと思います。また これはローヤルゼリーです。実はこの成分で、腸管出血起こす人もいたという過去の事 例があります。こういう事例もあるということを、もしアドバイザリースタッフの人が 知っておけば、そして消費者がローヤルゼリーを飲んでいて出血を起こしてちょっと調 子が悪いと言ったら、その被害の原因がわかります。我々のとこのデータベースを見て いただければ、出典にしている論文情報がありますから、さらいに詳細な情報を知るこ とができます。実はこのローヤルゼリーの情報は、日本のある医師の先生が出された論 文情報です。これと全く同じ症状の人が、二カ月ぐらい前に私のところに電話してきま した。それから運動する人が、ビタミンEとビタミンCを摂取すると抗酸化にいいと言 います。ですが、実はビタミンCやEでも多く摂取するとよくないという情報も出てい るんです。普通の食事から摂取するのはいいのですが、サプリメントとして1グラム2 グラムとか摂取するのが問題になっています。このような新しい情報もぜひ知っていた だきたいと思います。このような情報も、私どもの研究所では、一週間に数回アップデ ートしています。恐らくそれだけアップデートしているデータベースは日本中にないと 思います。このデータベースでは、非常に新しい情報を常に出しているのですが、実は いまだに知らない専門職の人がいます。ぜひ周りの人にこのデータベースの存在をお伝 えいただきたいと思います。情報の留意点としては、否定された情報は問題ということ、 それから最新の情報をチェックしてほしいということです。  今後の課題として、最後のお話しします。健康食品の問題は、最新にお話しましたが、 製品の問題、それから利用者側の問題、この二つが重要です。ここに影響しているのは 情報の氾濫です。これは、科学的な情報を継続的に提供するということで、かなり改善 できます。ただし、ホームページで情報提供しても、一般の人はわからないし、理解で きるとは限りません。そういう意味では、きょう皆さん方のような、専門職あるいは専 門的なことが理解できる方が、一般の人に伝えていただくということが非常に重要にな ります。大体ホームページで流すのは、情報の垂れ流しと批判を受けることもあります。 我々のところは、できるだけ専門職とアドバイザリースタッフの人に、協力していただ きたいと思います。専門職による利用状況の観察が必要です。本当に利用した製品に健 康被害との関連があるか、成分との因果関係があるか、被害は重大かどうかとこういう ところは、現場の方が見ていただければ、わかりません。専門職が注意していれば、か なりの健康被害は、早くとらえることはできます。また、そういう情報を厚生労働省に あげて、我々のところのホームページに反映できれば、いろんな人が知ることができる ようになります。このようなことができるようにぜひ御協力をお願いします。いろんな 事例がありますけども、大体健康食品で、健康被害の因果関係が明確になったものはあ りません。ですが、例えば一事例でも危害の解析をしてデータベース化しておけば、恐 らく将来起こったときに因果関係を証明することもできます。これは、利用者側だけじ ゃなくて、製造者側にも非常にメリットがあります。根拠もなく言いがかりをつけられ るといったことがあるかもしれないからですそういう意味で、製造者、利用者両方にと って情報収集はメリットがありますので、ぜひこういうところを考えて、今後対応して いただきたいと思います。そういう意味で、リスクコミュニケーションが重要です。違 法製品、粗悪な製品の選択、医薬品的な効果を利用した問題は、リスクコミュニケーシ ョンをすれば、かなり改善できると思います。ぜひよろしくお願いします。社会環境の 変動考慮することも重要です。健康食品がすべて悪い、よいとは言えない、基本となる 生活習慣等を理解し、健康に不安がある人の立場で安全で効果的な利用を考える必要が あるということです。立場が変われば、考え方も変わります。健康な人は、健康食品は 要らないと言いますが、病気がちな人では考え方が変わります。そういう人の立場で考 えてあげなければいけないということです。健康の保持増進の全体像は、食生活と運動、 休養この三つのバランスです。これがとれて初めて健康が成り立つのです。健康食品は その中のほんの1点だということです。利用するとしても補助的に使うものだというこ と、医薬品ではないということを、これらの点をぜひ一般の人に伝えてほしいと思いま す。  それから、どうしても使いたいという人がいらっしゃる場合は、本当にいいという体 感が得られていればそれはいいと思います。ただし、そのときには、利用状況のメモを とってほしいと私たちはお願いをしています。そうすると、何か問題が起こったときに、 それが本当に利用していた健康食品なのか別の要因なのかというのが、ある程度わかり ます。そういうところの対応についても、一般の人にぜひアドバイスしていただければ、 健康食品はうまく利用できると考えています。以上です。 ○司会(大井)  ありがとうございました。  続きまして、消費者への情報提供のポイントについて、鈴鹿医療科学大学教授長村様 より御講演いただきます。 ○鈴鹿医療科学大学教授(長村)  皆さんこんにちは、ただいま紹介にあずかりまし た長村と申します。  まず、最初に厚生労働省から、そして消費者庁から、そして梅垣先生からお話ありま したが、僕の結論は、実は最初の御役所からの御二人の話、ここには非常に厳しいいろ いろな法的な規制というものがある、その法的な規制というものを、どう理解して、そ れをどう使うかとうところで、健康食品の実態について、梅垣先生がお話しになりまし た。かなり僕の話にも繰り返しの部分が出てまいりますが、僕の結論としましては、今、 この日本の現状の中で、こういう規制というものがむちゃくちゃだとか今まあ、ある業 界の方々の一部の方からは、どうにもならない、むちゃくちゃだというあれもあるんで すが、やはり本当に国民を安全に守るという観点から見ると、やむを得ない部分という のがある、でもやむを得ないというところだけで、抑えられてしまうと、有効性のある ものが、やっぱり使えないとう現状が出てまいります。そこのところの中間を埋めるこ とができるのは、法整備ではない、僕は、ちゃんとした人の介在というものによって、 それができるというふうに、確信を持って、自分なりに活動をしております。その経過 等も含めまして、話をちょっとさせていただきたいと思います。  まず、消費者への情報提供において大切なこと。これは情報伝達者が、健康食品に関 して、問題点を的確に把握していることであります。この問題点がわかってなかったら、 有効性ばっかり言ったりそれからネガティブな話ばっかりしたりということになってし まいます。  そしてもう一つは、消費者の理解力と心理を理解すること。これがいわゆる専門家と 一般人のギャップというところであります。僕は、ここのところが意外に理解されてい ない、これが、むちゃくちゃなテレビのコマーシャルだとかそういうのが成立する一因 でもあり、またそういうのにだまされてしまう人も出てくる。それからまた、逆にいい ますと、極端に毛嫌いする人も出てくる。この辺のところは、消費者が持っている理解 力、これが非常に大きな影響を持っているということ。  そしてもう一つが、消費者が正しい情報を受け取るシステムを構築すること。これが 結論になってくるわけでありますが、この結論は、先ほども申しましたように、法的な 規制というものを、むやみやたらに崩すということの危険性を回避するという点から考 えますと、的確な情報伝達者を存在させて、有効性と危険性についての情報提供ができ るシステムを構築してしまうということが重要だと思います。  この3点についての話を、ざっとこれからさせていただこうと思います。  まず、情報伝達者が健康食品に関して、問題点を把握していること。これについてで ありますが、多くの問題点に関しましては、今梅垣先生のほうからかなり詳細にお話が ございました。若干かぶっている点もございますが、もう1回僕のほうも、話をさせて いただきます。  まず初めに、健康食品をめぐる大きな問題点というのは、有効性の表示の問題、そし て品質の問題、そして医薬品との相互作用の問題。  まずこの有効性表示の問題でございますが、健康食品というのを最初に、松井さんの ほうがお話しになられましたが、一昨年の7月4日に出されました「健康食品の安全性 確保に関する検討会の報告書」の冒頭に、こういうまとめが書いてあります。健康食品 については、法律上の定義はなく広く健康の保持増進に資する食品として、販売利用さ れるもの全般を指していると考えられるということですが、広く健康の保持増進に資す る食品というのは、いわゆる普通の牛肉だ豚肉だホウレンソウだと、こういったものも みんなその類になるわけでありまして、逆に言えば、食品というのは健康に寄与すると いうふうにも考えられる、言ってみればまあ明確な定義がないということであります。 その中で、有効性というのがどういうふうに動くかということになってくるわけです。 もう一回確認でありますが、食品というのは、健康を維持する機能を有しております。 いわゆる栄養、生命機能を維持するための栄養素としての機能、それから食感等香りと いったようなものが与えるいわゆる二次機能と言われているもの、そしてもう一つ生体 調節機能と言われている。これが一番健康食品っぽい話になってくるかと思いますんで すが、にんにくがB1の吸収を促進するといったような、特定の食品に組まれている特 定の成分が、ある健康に及ぼす機能、こういったものを、いわゆる我々が日常的に摂取 する食品の中に、認めることができるわけであります。しかし、薬事法のいわゆる四六 通知というのがございますが、この四六通知というのは、先ほどの芳賀さんのほうのお 話にもありましたが、昭和46年に出された通知であります。こういうことで、ここに はこういうことが書いてあります。  貴管下関係者、この赤にしたのは僕でありますが、遺憾のないよう指導取り締まりを 行われたい。薬事法及びその他の関連法令に基づき、告発等の厳重な措置を講じられた いことと。ここのところで、ちょくちょくとあれで、多くの薬事法違反で挙がってきて いるのは、この四六通知が元になって挙がってきております。  その対象となっているのは、こういうようなことが書いてございます。  疾病の治療または、予防を目的とする効能効果、それから身体機能組織の一般的増強 増進を主たる目的とする効能効果と。こういうようなことになっております。ですから 例えば、この食品はビタミンCを多量に含んでいますから、壊血病の予防に役立ちます。 これも明らかに疾病の治療であります。それからこのシジミエキスはタウリンをたくさ ん含んでいるので肝臓によい。これも疾病の予防、この食品の血糖降下作用は医者も認 めています。だから糖尿病にお勧めします。これらは、すべてこういう事実を有する食 品というのは、現に存在しているわけであります。だけど、やっぱりこれは、薬事法違 反だと言います。しかし、例えばお酒を飲む人が、タウリンをこういうものから摂取す るということの善し悪しを、だれが、どのようにサゼッションするかというところに、 大きな課題が出てくるのではないかなということを思っております。  まず、健康食品の大きな問題点として、本当に効果があるのか、その栄養機能で構わ ないわけでありますけれど、決して疾病を治すとかということではなくて、一つの効能 効果がよく書いてあるわけですが、そこにはタレントの使用、それから派手な体験談、 もっともらしい学問的裏づけ、学者による権威づけ、こういうもののケースとしまして、 例えばこういうタレント、すてきな女性を題材にしまして、こんな女性になれるかなと いうような雰囲気を出す、それから一カ月でマイナス10キロ、ですから肥満外来でも 一カ月マイナス10キロというのは余りやらないあれであります。実際に一カ月に10キ ロで60キロの人は、半年たちますとゼロになるのですが、これは冗談なのですが、実 は本当はダイエットでは、ゼロになって骨つぼに入っちゃった人も結構おられるわけで す、現実には。やっぱり非常に問題がございます。それから科学名が書いてあると、何 か物すごく効くような錯覚に陥ってくる。それからある大学の偉い先生の写真、御本人 の写真入りで青パパイヤしかないと、こういうぐあいにちゃんとおっしゃっておられま す。そして、もう一つ本当に効果があるのかと、動物で有効であるということで、これ は先ほどの芳賀さんのあれにもありましたんですが、例えばこういうアガリクスなんか について、アガリクスというのを文献的に調べてみますと、がん細胞の縮小や消失など、 がんの抑制効果に関しては多数の研究結果が報告されている。これはうそかというと事 実です。これに関して随分たくさん、例えばベータグルカンがどうだ、こうだというよ うな報告はあるのですが、その大半は動物実験か試験管内の実験結果です。きのこの抗 がん作用というもの、歴史的なものをひも解いてみますと、これはしいたけに始まって おります。昭和30年代でありますが、東京大学の柴田先生という生薬学の教授が、し いたけの中からレンチナンを取り出されて、このレンチナンを、エーリッヒの腹水がん、 このエーリッヒの腹水がんというのはマウスに移植しますと、約1カ月で100%死にま す。しかしこのレンチナンを打ってやりますと、100%助かるのです。ですから、メデ ィアも夢のがんの薬ができた、見つかったのではないかという大きな騒ぎをしたんです が、今はほとんど影がない。後から幾つかのきのこが出ては消え、出ては消えというの が現状であります。しかし、若干がんの補完代替医療の先ほどの梅垣先生がお話しにな りました厚労科研で、補完代替医療の研究がずっとここ10年ぐらい行われております が、その中心的な役割をしておられます東京女子医大の大野教授は、治るということに なると問題だけれども、寛解というところに寄与しているものはある可能性は、かなり 感じられますねということは言っておられます。ですから、やはり研究段階にあるとい うふうに、考えたほうがいいのではないかなというふうに思っております。  また今度、本当に効果がある、もう健康食品で急激に効果があらわれたというやつは 大体医薬品が入っているというケースが多いようであります。アトピーが治ってしまっ た。何か食品でアトピーが治ったすばらしい、そういうのでちゃんと調査の依頼が入っ たものなんか、国民生活センターのホームページにも載っておりますけれども、ステロ イドがちゃんと混入させられてたいと、そういうようなのがあります。  これもダイエットで、石川県で摘発されたケースですが、こういったアシタバとか乾 燥こう葉とかせん薬、横精、キキョウこういったものしか入ってない、おかしい、こん なふらつくとかっておかしいというので調べたら、グリベンクラミドがちゃんと入って いた。グリベンクラミドは血糖降下剤であります。この血糖降下剤をダイエット食品の 中に入れるというのは、非常に危険な行為であります。血糖降下剤は御存じのように、 健常な人が使い過ぎますと、どういうことが起こるかというと、低血糖によるショック が起こる可能性があります。低血糖ショックのひどいのは、意識がなくなります。現実 にこれは、糖尿病患者さんの事故でありますけれど、名古屋で数年前でありますが、イ ンスリンを打って食堂を探しているうちに、コンクリートミキサーを運転していた運転 手が、意識がなくなって歩道に乗り上げて女性2名をひき殺すという非常に気の毒な事 件が起こっております。ですから、ダイエット食品ということになりますと、たくさん 飲んだら効くかなあと思った人が飲んだりしたら、本当に大変なことが起こるかもしれ ない、非常に悪質な犯罪だと思います。  実際に、医薬品が混入されていて、厚生労働省が調べた平成17年の事項としてホー ムページに載っておりますけれども、これまでに報告のあった未承認医薬品による健康 被害事例は796人、うち死者が4人となっていると。この人たちのこういうここら辺出 ている肝機能障害とか甲状腺障害という、まだ後遺症で悩んでおられる方が、非常に多 数現存しておられます。僕も前任の藤田で、こういう人を知っておりますんですが、非 常に気の毒であります。  もう一つは、健康食品をめぐる大きな問題点。これは梅垣先生もしきりにおっしゃい ましたが、品質の問題であります。これは国民生活センターのホームページを見てみま すと、かなりいろいろな問題点が指摘されております。まずは、有効成分が本当に入っ ているか。最近はやりのコンドロイチン硫酸だとかグルコサミンだとかヒアルロン酸、 ああいったものの入ったものがどうかというようなのを調べた結果でありますが、これ が星印がラベルに書いてある表記量であります。この青いバーが日健栄協の測定の方法 で測定したときの値。そしてHPLC法、これが一番正確なはかり方だと思いますです が、国民生活センターにてHPLC法ではかられたときにはこれぐらい、要するに少な くとも去年の時点でありますが、こういったものをはかられたものの中で、まともに入 っていたのは一つもなかったという結果になっております。  それからもう一つは、よくサメ軟骨のものが入っているということを言われるんです が、そのサメ軟骨である場合には、その2頭の比が1以下であるそうです、ですから1 以下のものは本当にサメ軟骨由来ですが、それ以上のもの、3以上のものというのは、 ほとんど恐らく豚等の哺乳動物の由来のものであろうと、ところが、ラベルの表示のと ころには、サメの絵が描いてあるとこういったことであります。  もう一つ、飲んでもおなかで溶解しない、これも先ほど梅垣先生がおっしゃっており ましたが、CoQ10なんかについてですが、これに出ておりましたのは、これはグル コサミンでなしにヒアルロン酸か何かだったと思うんですが、ちょっと。胃の中で、飲 ませたけれど崩壊しない。健康食品というのをつくるときに、結構医薬品に比べてGM Pとかそういうのを本当に厳しい基準の中でやられてないものですから、どういうこと があるかと言いますと、やっぱり賞味期限というのを1年とか2年ぐらい設けたいわけ です。そうすると1年2年たちますと、きょう打錠したやつでも来年のきょうになりま すと、打錠が弱いと壊れてくるのです。ですから運搬の過程で壊れたりする、と思い切 りどぉんと強く打つと今度どうなるかというと、飲んでも溶けない。なかなかこれは薬 学の製剤学というそういう打錠をするときにどうしたらいいかという、それはもう学問 体系の中に組み込まれているぐらい難しい問題を内在しております。ですから単にどぉ んと打てば、それで錠剤ができるだろうという考え方はあまい。そんな中でつくられた ものには、こういう崩壊しないものも出てきてしまうということであります。  そしてもう一つが、医薬品との相互作用であります。これも梅垣先生がいろいろお話 しになりましたが、僕のほうも若干話をさせていただきます。  食品と健康食品は医薬品と種々な相互作用をします。中には、やっぱりかなり深刻な 問題がありますが、その実態については、未知な点が多い。これはやっぱり未知な点が 多いというのが、一つは大きな結論であります。ですが、現時点でわかっているものも 幾つかあります。食品及び健康食品と医薬品の相互作用というのは、吸収の過程におけ る相互作用というのが一つあります。これは、食品自体が吸収を阻害したり、促進した りする。それからもう一つが、代謝の過程における相互作用、飲んだ薬の大半は、肝臓 で変化し、変化した薬剤は効果が弱くなったり強くなったりします。これは、もう一つ は医薬品と健康食品が直接なんか反応してしまうって、これ吸収のところで大体いくか なと思います。まず、例えば食事で摂取した成分と医薬品が複合体をつくって、吸収さ れにくくなることがある。乳製品とこういった抗生物質で、難吸収性の複合体が形成し て、吸収が低下する。効果が現弱してしまうだろうと。こういうのを文献的に出ている のを見ますと、こういう通常食だったらこんな血中濃度、こんなんなるのに、バターミ ルク、カッテージチーズ、牛乳こういったものがあると、こんなに抑制される。同じよ うに、金属イオンを持った食品的なもの、こういったものがこういう食品で阻害を受け るというような報告が出ております。それから、今度逆に、食事で摂取した医薬品と成 分が、複合体をつくって吸収されやすくなる、要するに脂溶性のものなんかで起こるわ けですが、こういったグリセオフルビンなんかの抗真菌薬が脂肪成分と複合体を形成し て、吸収が促進。これは今度は濃度が、強くなり過ぎる可能性が出る。水とともに服用 すると、こういうふうなのに、牛乳とともに服用したときに、血中濃度が数倍上がって しまうというデータも報告されております。  それから、液性による影響でありますが、飲んだ酸性飲料が、医薬品の溶解性を増し て吸収が促進される。これも、副作用の可能性があるわけですが、こういうような報告 が血中濃度、この酸性飲料で飲ませたときと水で飲ませたときで、血中濃度が随分違う というような報告が出てきております。  もう一つは、代謝における相互作用であります。飲んだ薬の大半は、先ほど言いまし たが、肝臓で変化し、変化した薬は効果が弱くなったり強くなったりする。肝臓で薬を 変化させるのは、肝臓の酵素であります。これは有名なサイトクローンP-450(CY P)と言われているやつですが、これには非常に多型いろんなタイプが、亜型が存在し ております。反応過程は、酸素を介してメチル基をつけたり、水酸基をつけたりという ようなことで、いろいろな薬剤を変化させる作用を持っております。その御得意な多型 があるわけですね、CYP1A2だとか2C9だとかこういったものがあって、どうい うものが得意かとかいう、この辺随分詳細な研究がなされてきております。そこの中で も、大きく影響をするものの、代表的なものとして、セントジョーンズワート(セイヨ ウオトギリソウ)という先ほど梅垣先生のお話にもありました。それからグレープフル ーツジュース、ここら辺が一つはいわゆる食品及び健康食品の中で、CYPに影響をし ているデータが随分蓄積してきているものであります。例えばここのグレープフルーツ ジュースは、先ほどの梅垣先生の話にありましたように、効果が増強するというそのメ カニズムは、結局フラノクマリンが、CYP3A4を強力に阻害しまして血中濃度が増 加して、ふらつき等の副作用が出てくるということで、実際にはこういう報告が論文的 には出ておりますが、先ほどの梅垣先生のお話にもありましたように、人によって違う 可能性もあるというところであります。  もう一つは、例えば成分が肝臓の分解酵素の作用を強めて、作用が強くなる。これは CYPではない、ダッタン酸酵素なんかの作用を強めるほうになるのですが、レボドパ これはパーキンソンの有名な薬でありますが、効果が減弱してしまう。実際にB6を飲 んだ人と飲まない人で、随分血中濃度が変わってしまいます。B6酵素というのは、僕 自身もかつてちょっといじっていたことがあるんですが、意外に体の中で、飽和してい ないのです、補酵素は。ですからB6を多量に飲ませますと、B6の関連した酵素とい うのはみんな活性が上がります。例えば検査の世界でも、ASTとALTというのがあ りますが、ASTは血中ではかなりピルドキサハルリン酸が減っております。ビタミン 剤を飲んだ人と飲まない人で活性が違うというのは検査の世界でも知られておりますが、 リロ酵素というのは結構飽和されていない、ですからB6が普通の状態の人がレボドパ を飲んだ場合と、それからB6を飲んでから飲んだ場合で、こういうぐあいに違ってく るということがあります。  それからビタミンKは、骨とそれから血液凝固の両方に絡んでおりますが、ワルファ リンと投与されている人が、このKの豊富な納豆、青汁、クロレラをたくさん食べます と、結局効果が減少して、脳梗塞、心筋梗塞などを起こすという例があります。これは、 ちょっとアドバイザリースタッフと称するのは、僕のほうも健康食品管理士というので、 いろいろやっておりますが、そこら辺から入ってきた情報の中で、メディアの情報の強 さの怖さというものを感じさせる一例なのですが、これも薬剤の添付書類にはっきり書 いてあります。ワルファリンを渡す人には、必ず納豆なんかは避けてくださいねという、 納豆を避けてくださいねと言った途端に、患者さんから、「先生、間違っているよ。」と 言われて、「間違っていませんよ。」と言ったら、「いやいや先生間違っているよ。この 間テレビで、納豆には納豆キナーゼが入っていて、血液をサラサラにするから大丈夫で すよ。」と「いやいやそんなことはありません。」と言い合いをしたけれども、患者さん は納得されなかったと。「ためしてガッテン」が2回ぐらいやったんですが、これは非 常に強い効果を持っていたのだなということを実感させる報告を私は受けております。 それから、例えばコーヒー、お茶などのカフェインでありますが、これがCYP1A2 で代謝されますが、シメチジンとかエノキサシンといった抗生剤をあれしますと、カフ ェインの副作用が出てきてまいります。こういった食品と医薬品の問題はよく知られて いて、薬をもらうときに必ず注意されるのです。一応注意されるのですが、もう一つ健 康食品と医薬品の相性については、医療従事者にも余りよくわかってないということが わかります。そこで、私がやっております健康食品管理士認定協会のほうの教育委員会 を使いまして、徹底調査したのです。約1年半くらいかけまして、薬剤の添付書類だと か文献だとかいろいろ調べたのです。そうすると、今言ったワルファリンだとかセント ジョーンズワートだとかああいったものについては非常にたくさん詳細な報告が出てお りますが、一般的に効果の弱い健康食品いわゆる病気治療を目的にして飲むとかそうい う人になると、これはもう論外になるわけですが、日常の健康を支えようと思って、ち ょっと飲む青汁にしましても、それからニンニクにしましても、レシチンなんても効く かどうかわかりませんけど、そういったいろんなああいったものを、ずうっと調べてい きますと、一般的には余り心配がない、でもセントジョーンズワートと種々の薬で効果 が減弱するという、例えば非常に有名な論文でありますが、移植手術を受けた人が、セ ントジョーンズワートを飲みはじめて、血中濃度がこの幅の中におさめておかなければ いけないのが、低下して拒絶反応が起こって慌ててやめたらまた元に戻ったという、こ れ下手したらここの段階で死んでしまうことがあるわけです。実際に、ワルファリンな んかを投与されていて、ワルファリンなんかもCYP1A4で代謝されるわけですが、 効かなくなって脳梗塞を起こしたという、これも実際に報告がございます。ということ で、そういうところは非常にやっぱり神経を立てて注意をしないといけない。ですが、 そういう本当に注意をしなくちゃいけないものというのは、比較的少ないというのが現 状で、健康食品でやっぱり多く問題を起こしますのは、医薬品が入っている、ないしは 過剰摂取、そこら辺が大きな問題になってくるかと思います。  健康食品の問題点を見てみますと、定義がはっきりしないままに市場が具体的に動い てる、それから食品にはまだ未知の大きな力があるんです。そこのところが、魅力的で、 業界というのは動いているわけです。やっぱり健康食品の小さな会社なんかで一生懸命 やっておられる方は、ご自信の体験とか家族の体験があって、それだけに説得力がある のですけれど、科学的根拠がない。でも、何かあるかもしれないというものをにおわせ ているというところがあります。しかし健康食品の有効性に関しては、十分な科学的根 拠がないままに広告などにより販売されております。  一方で、食品という言葉に消費者はどんなにとっても負債はないと思い込んでいる。  それからもう一つは、報告が信用できない、効果があやしい、表記量入ってない、吸 収されないかもしれない、医薬品が混入していることがある、そして医薬品との相互作 用にはまだ未知な点が多い。こういったところが、現状としての問題点であるかと思っ ております。  その次に、消費者への情報提供において大切なこととして、理解力と心理を理解する こと。消費者の理解力というところですが、これ後ちょっと具体例を示しますが、一般 の方の科学物質に対する考え方をよく理解しないといけない。  まずは、量の概念がない。これが非常に大きな問題であります。したがって、両極端 に動いているのです。入っていれば効果があると思う。ですから、先ほどの梅垣先生の 話もありましたけど、20種類も入っている、20種類のもの全部が効果が出るんじゃな いかという期待感があるわけですけれど、ほとんど多分ないのではないかと思われるわ けです。余りにも少ない。  今度はもう一つは、たくさんとればとるほど効果がある、これは必ずしも健康食品だ けでなく、薬の世界でもよくあります。風邪薬でも2錠というのを4錠飲んだりするの が好きな人が結構おられます。たくさん摂取すればするほど効果があると誤解、そして もう一つは食品だから副作用がないというふうに考えている、だからどれだけとっても 大丈夫とこんなふうに考えている。  それから健康食品の場合は、科学名で言われることで、何かとてつもなく効果がある ように感じられる。ここら辺が、消費者の一つの大きな問題点かと思います。  最後、「とりあえず先生そんな難しい話はどうでもいいから効くの、効かないの」と いう結論を要求される。これがもう一つ、消費者の心理というところにあるかと思いま す。  まず、一般の人の科学物質に対する知識、これをちょっと実は二つの種類の試験で、 試験というかアンケート調査みたいにやったのですが、こういった問題をつくってみた のです。「次に挙げる科学物質は栄養素、食品添加物、環境汚染物質などです。これら のうちで健康な人の体の中にもともとある物質はどれでしょう。」よくわかる人はビタ ミンになると、もともと体にあるというふうに考えていいかどうかわからないというふ うに思われるので、一応ビタミンはあるものとして扱ってくださいということで、一応 正解はこういうふうになっておりますが。これは、ある県が主催した「食育シンポジウ ム」100名限定で、管理栄養士さんとか栄養士さんも結構入っておられたのですが、こ の問題に対して難し過ぎるというふうに答えられた人が68名、それからある程度わか るという人、よく知っている、無回答が4名ということで、100名でまあ回答してくだ さった人78名なのです。それでちょっと後また消費生活センターなんかで、同じのを やったのですけれど、皆さん難しくてわけわかりませんという話ばっかりになったんで す。それでまた後、もう少し簡単にしたのを出してみたのですが、この県でやったのが、 回答率のいいほうなのですが、ほとんどグリシンだとかこういったCoQ10だとかコ ラーゲンが一番回答率が高いんですが。  もう一つ、ですから余りに難しいということを言われたんで、今度は別なこんな調査 もやってみたんです。「遺伝子組換え大豆には遺伝子が入っているが、普通の大豆には 入っていない。普通の大豆にも遺伝子は入っているが遺伝子組換え大豆には普通の大豆 の何十倍量の遺伝子が入っている。普通の大豆も遺伝子組換え大豆も遺伝子の量はほと んど一緒である。」この調査をやりましたら、こういう比率で回答が返ってきたのです。 60%以上の人が、遺伝子組換え食品にしか遺伝子が入ってないと思ってみえるという現 状。こういう人たちと、健康食品の有効性という話をするときに、どう考えていくべき かと、これ非常に重要な問題だと思います。やっぱりこの問題、こういった同じ問題は、 こういったのをやったのです。アスコロビン酸とかグルタミン酸とかこういったものを 入れたものでやったのですが、やっぱり正解率は非常に低いです。こういう人たち、要 するに科学物質に対して以上のような意識を持った人たちは、どんな反応するか。テレ ビの場面から見ますと、ちょっとあるあれからでわかってくるのですが、健康食品とい うのは、まず医薬品でない。この概念がまずない。ですから、先ほどの梅垣先生のお話 にもありましたように、医薬品的な効果を、特に病的な状態になったときには、医薬品 的な効果を非常に期待して、健康食品をとられようとする人が出てくる。それから、や はり健康食品はあくまでも食品です。健康食品は食品という名前に隠れて、安全性が保 証されているような錯覚にとらわれている。こういうところが、一般市民の基本的にあ る感情じゃないかなと思います。そして、今いったような、科学物質に対する常識を持 っておられる方、もう一つ大きな問題は、量の概念がないのです。例えば食品添加物に 関して、非常にあっちこっちで消費生活センターに限らず、いろんなところでいろんな 一般、ごく普通の方との議論を何回もやってまいりました。そこで、余りにも、食品添 加物というものが、バッシングを受けている現状というのを感じている中で、まず彼ら の頭の中にある概念でありますが、科学物質というものに対して、どういう考え方を持 っているか。まず、基本的にはこういうものなんであります。例えば食品添加物をひと つ例にとりますと、高濃度になれば当然致死量になります。それより低ければ、肝障害 だとか腎障害だとか湿疹が出るとかいわゆる中毒量になってまいります。食品添加物の 場合には、実はアミノ酸であったり、核酸であったりそういうものでありますので、多 くはそういうものですから、作用量として健康的な効果、例えばビタミンCだとかビタ ミンEだとかそういったのも、それなりの栄養機能という作用量みたいなものがあるわ けです。そして、それもない量、量が少なくなると無作用量になるわけですが、その無 作用量の百分の一のところが、いわゆる一日摂取許容量ADIとして規定されているわ けです。そして、ADIを元にして、ADIというのは、安全量と考えることができる わけですが、ADIを元にして、厚生労働省が許可量というのを出しているわけです。 その許可量の何分の一かが、現実の量であるわけです。その保存料、例えば合成保存料 を無添加である、無添加であるから安全だ、無添加が本当に今無添加イコール安全とい う世界になりはじめておりますが、僕は今ここに、日本の社会全体の科学的な思考に対 する余りの無知をさらけ出す情けない現状だということを、いろんなところで訴えてお ります。ですけれど実際には、こういう低濃度でも、ここら辺の高濃度の問題を論じて 危ない危ないと言ってるわけです。例えばこの人の場合には、ちょっとある健康食品の 話なのですが、なんであなたはとっているんですかと言ったら、なんかダイエットにい いと聞いたものですからと、こういうことで。入っていれば何でも効果があると、こう 具合に思う。逆にこういう反応もあります。例えばレジーナ大学というのが、全世界の OECD諸国の食の安全性に関して、分類をして評価しております。そして順位づけを しております。レジーナというのはカナダの大学ですが、自分ところが5位で日本がち ゃんと2位という、こういうある意味でOECDの中では、日本というのは非常に食の 安全が保証されている国と考えてもいいと思われるわけであります。その証拠に例えば、 中国だと結構日本の食品というのは安全ということで、輸出ができているわけです。高 くても安全で輸出ができているわけです。それなのに、こういう消費者は、何かちょっ とあると、消費者は何を信じていいかわかりませんと、こういう非常に不安に陥ってお ります。そういう人たちには化学調味料不使用だとか、無添加調理とかこういったもの が非常に受けることになっております。ですが、僕は、これは非常に国外の人と話をし てるときに感ずるんですが、やはり日本の無添加・安全という考え方、これは本当に惨 めな日本の思想だと思っております。例えばこれは、実はある市民講座、博多の側の小 倉でやったときの、小倉には食品添加物の神様がおられる御出身の地でありますけれど、 その科学物質をグリシンが、使用量の上限が決めてないそうですねと、食品添加物なん て危ない限りですよと、えらい難しい話をされる。ところが、科学物質を特定してしか も、その上限値まで問題にされている割に科学的でない話をされる。どうしてかという のをお聞きしましたら、ちゃんと文献がございました。「ラーメンと餃子でがんに、お にぎりで成長障害に」と、こう書いてあるわけです。ちゃんとその根拠があっての、こ れ見ますと、「グリシンが怖いのは、使用基準量に決まりがないこと、品質保持剤とし て古米はつやが出るし、肉の味が出る、成長障害を指摘する科学者もある」と、これが おにぎりで成長障害という根拠になっているんです。じゃあこれの論文があるかって言 うとあるのです。これあの渡辺雄二さんという有名な人の解説の場所でありますけれど、 この元の文献を調べますと、食事の10%から20%を全部ネズミでやられた実験がある のですが、要するに20%ぐらいを、全部グリシンに置きかえると、数カ月で成長障害 がみられる。ですから、あり得ない量であるわけです。それから、グリシンに使用基準 量の決まりがないのはどうしてかというと、これ簡単でありまして、つくることは簡単 なのですけれども、それやるのにはやっぱり実験的をやって根拠を示さなくちゃいけな いのですけど、グリシンを食品添加物として使うときに、大量にいれたらどうなるかと 言ったら、まずくて食べられないんです。まずくて食べられない量になるぐらい入れた って、まず、安全性はもう過去の文献から大丈夫だからそんなのに上限料というのが、 グリシンに上限がない元であります。ですから、意味がないわけです。でも、やっぱり こういうことで、この人には「あなたの体の中にグリシンがありますよ。」と言ったら、 「そんな怖いものが私の体の中にあるのですか。」とおっしゃった、これが現実なので す。ですからそんな人たちに、味の素、これどれぐらい怖いものに見えるか、化学調味 料なんて言われたときに、ですから化学調味料、無添加、「四大添加物を無添加にして、 我がすしはつくっております」とかっていうすし屋さんもおりますが、まあそういうこ とであります。  もう一つ最後に、消費者が正しい情報を受け取るシステムを構築すると、これも非常 に重要なことであります。これに関しまして、今先ほど松井さんのほうからお話があり ましたんですが、いわゆるアドバイザリースタッフ、きょうもそういう方が何人かお見 えになっておられますが、アドバイザリースタッフというのは、平成14年に出された 通達をもとに、非常に多くの団体が認定者をつくって、全部合わせると多分数万人とい う数になるぐらいいると思います。でも、今、梅垣先生を班長にいたしまして、昨年か らですが、実態調査をやっております。そこの中で一応、先ほど松井さんがおっしゃい ましたが、4団体がぐらいが、まともではないだろうかと言われております。不肖私が ちょっとやらせていただいております健康食品管理士認定協会という、健康食品管理士 というのがありますんですが、これが自分としては情報を一番持っている話なものです から、前回大阪のときにお話をしましたら、「おまえのところの話だけするな。」という アンケートをいただきましたので、あらかじめちょっと弁解させていただきますが、決 してうちだけが、すぐれているからということではなくて、アドバイザリースタッフ、 僕としてはちょっと今ここで提案したいのは、やはりあるレベル以上の人たちが集まっ て、今うちがやっているようなことを一緒にやったら、かなり健食の社会の混乱状態を、 早急に解決していくことに、結びつくのではないかというふうに考えております。  このアドバイザリースタッフの法的な根拠というのは、先ほど松井さんからお話のあ りましたように、平成13年に出された提言に基づいて、14年にガイドラインがだされ ました。そのガイドラインに出されたこれを、ちゃんと一昨年の検討会の報告書にあり ますように、一定の水準を確保できるように取り組みを進めるということで、アドバイ ザリースタッフの積極的な利用というのを、厚生労働省が一昨年こういう提案を出され て、そして先ほどのお話にもありましょうに、消費者庁のほうも、今後の検討課題とし ていくというところで、これを何とか利用したいというふうに考えていてくださるとい うこと、だけどそれは、いいかげんなものであってはいけない。いいかげんであるかな いか、それからそれをどういうふうに、知識レベルを一定にしていくかということに関 しましては、今、梅垣先生をトップにいたしまして、我々も協力して調査研究をやらせ ていただいております。  実際にうちがやっていることを、若干紹介させていただきます。  我々はまず、社会的に有用な人材を一定数確保して、継続的にそうした人材を供給す るのには、うちのやり方としては、教育課程を重視しようということで、教育機関にカ リキュラムを取り入れました。現在こういったような大学が、認定校として、一応いわ ゆる栄養学だとか、食品学だとか、そういうのを本来の勉強以外にプラスアルファで、 勉強していただくということをやっております。こういうところで、立ち上げた会で、 しょっちゅういろんな情報・質問が入ってくるのですけれど、例えばこういう血中カリ ウムが6.3ミリEQで、どくだみ茶しか飲んでない。そういうことあり得るのでしょ うかというような質問が来たわけです。これ調べてみますと、どくだみ茶による、いわ ゆるカリウムが高くなるという報告はもう既にあります。こういうところで、何とかこ ういう健康食品に関するいろんな質問というものに、答えられるような簡単な本をつく ろうということで、こういったポケットマニュアルみたいなものをつくりました。そこ にはこういった医薬品との相互作用なんかを、簡単にわかるようにしたんです。これは 何故かと言いますと、一般の方々からよく出てくる質問で、いわゆるうちの会員さんが 一番こまったのは何かと言うと、どういう何々という健康食品はどういうことに有効で すかとか聞かれたときには、調べる本がいっぱいあるのだけれど、例えば血圧の薬をも らっている人が、プロポリスを勧められた、一緒に飲んでも大丈夫ですかと言われたと きに、答えるのにぱっと調べられる本がないということを、言ってくる人がいっぱいい たので、一発でわかる本をつくろうというので、こういうふうに、民間の例えばセント ジョーンズワート、何にいいかなんていうのは、民間の使用例というのはいっぱい書い たのあります。それからいろいろ作用メカニズムを詳細に書いた本があります。でもう ちのこれは、何かというと、どういう医薬品と飲んだときに飲み合わせが危ないか危な くないかと、こういったようなことを簡単に調べられるようにした本をつくりました。 こういうぐあいにして活躍しておりますと、一応こういったような言い方で、社会も一 応こういうふうに認めてくれております。「メディア・バイアス」、これには白いんげん 豆食中毒事件のときに、うちのメンバーがいち早くいろんな活動をしたというのを松永 さんという方が取材されて、この本には、いわゆるこういうアドバイザリースタッフと いうものの有用性というのを書いております。この本にも、アドバイザリースタッフそ のものが、非常に社会で有効な働きがし得る人材だということを紹介しております。  やはり健康食品産業における研究開発・品質管理・販売等の地域産業への、健康食品 というのは大手の会社よりも、例えば九州地区で非常に多いというように、中小のメー カーの方が多いわけですが、そういうことでは、やはり有効性だけに目を向けて、販売 と有効性ということだけに目を向けて勇み足でやって、薬事法にひっかかってしまった りとか、いろんな問題が発生してきます。ですからやはり、一見ブレーキをかける人の ように見えるのですけれど、安全性と有効性に関して、ちゃんとした知識を持った人を 置くということは、一つの非常にいい、会社を更生させるための重要なあれになると思 うんです。その証拠ということもないとは思いますが、今この認定校の幾つかから入っ てきております情報では、結構受ける人というのは、あるレベル以上なものですから、 そういう人たちが会社なんかに入ると、いいねということで、資格を持っているという ことで就職できましたという報告も、結構最近は入りはじめてきております。  もう一つは、地域社会における食と健康に関する相談相手として、かなり活躍できる ということを感じております。たまたま昨年でありますが、NHKが取り上げたのです が、定期的に2カ月に1回ですか、保健所と組んで健康食品管理士の人たちが、いわゆ る健康食品等の、だけではないのですが、の相談に応じた、地域社会での活動をやって いるというようなことがあります。実際にこういう過剰摂取には注意していただきたい というようなことを、一般の人にいろいろ話をしている。それから、病院で健康食品に 関する相談コーナーみたいなのを設けてやっているという事実、実際に香川医大の多田 先生という方なのですが、やっておられる。こういったようなことをやります。それか ら、こういった地域社会の活動というのを、まねしまして、今、鈴鹿の私がおります大 学でもこういう相談コーナーというのを、食と健康を考える市民公開講座というのをや っております。その公開講座が終わったら、最後のところに、この相談コーナーという のをやっておりますが、これ非常に人気がありまして、ここを目指してやってくる人が 随分おられます。前のところ、僕の名前が書いてあるのですが、必ずしも僕ではなくて いろんな先生が話をしております。ということで、アドバイザリースタッフとして、ち ゃんとした情報網を持って、そして社会的な活動をやっていくということは、確実に認 知されていくことになると思いますし、社会に有用なことをやれば、それはそのまま社 会に認知されるということにつながっていきます。ということで、いいのではないかな と思います。科学的に正しく判断し、疑問を持てるアドバイザリースタッフが、健康食 品を含めた食情報の担い手となり、市中に存在すれば、食を通して、市民の健康の担い 手となり得ると考えております。  そこへあと、レベル1、2、3というようなのを、ちょっと考えていますということ なのですが、今ちょうど、梅垣先生が中心になってやっておられました、栄養情報担当 者が、厚生労働省のいわゆる仕分けの中で、どうなっていくだろうかというような問題 も含めて、このアドバイザリースタッフそのもの全体に、いろいろな妙な空気が流れて おりますが、しっかりとやれば、みんながある程度まとまってしっかりやれば、僕はこ のアドバイザリースタッフ集団というのは、れっきとした、ちゃんとした一つの食の集 団として認められるときが来ると確信を持って今、自分なりに活動しているというとこ ろであります。  最後に、この健康食品というのを、いろいろやるときに一番大事なのは、食のバラン スと安全ということだと思います。ですから、それを語呂がいいものですから、僕はこ ういう言い方しているのですが、食の過不足、過ぎても不足しても病気になって、バラ ンスの取れた食事というのは、病気である状態とまだ病気でない病気を治してしまうと いうことで、やはり基本は、まともな食生活というところからスタートすると思ってお ります。ということで、どうも失礼をいたしました。 ○司会(大井)  ありがとうございました。  それではここで、10分程度の休憩を挟みまして、パネルディスカッション及び意見 交換に移りたいと思います。今45分ですので、再開は4時55分としたいと思います。 お時間になりましたら、お戻りください。  休  憩 午後 4時45分  ―――――――――――――――――――――  再  開 午後 4時55分 ○司会(大井)  それでは時間になりましたので、これより質疑応答及びパネルディ スカッションを始めたいと思います。  まず、パネリストの御紹介をさせていただきます。皆様からごらんになって、左から 2番目の方から順に、独立行政法人国立健康栄養研究所情報センター長梅垣敬三様です。 同じく先ほど御講演いただきました、鈴鹿医療科学大学教授長村洋一様です。続きまし て、行政担当者として、厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室健康食 品安全対策専門官の松井でございます。同じく行政担当者として、消費者庁食品表示課 衛生調査官の芳賀でございます。最後にコーディネータとして、厚生労働省大臣官房参 事官木村でございます。それではお願いいたします。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  それでは、以後は私のほうから司会をさせて いただきたいと思います。  まず、初めに皆様方の御質問を、既に幾つか承っておりますので、その辺について御 回答させていただきたいと思います。私のほうで、質問事項を読み上げまして、回答を こちらにおられる方々から、関係団の方々から回答をしていただきたいというふうに考 えております。  まず1点目でございますけども、これは、行政関係者の方からの御質問だと思います が、保健機能食品表示制度があるにもかかわらず、いわゆる健康食品として摂取時の身 体や健康について、効果を暗示する食品が氾濫しております。これら食品等について、 新たな枠組みをつくらずに、現状のままグレーな表示・広告として見逃していくのでし ょうか。また、新たな枠組みをつくる必要があるのでしょうか。今後の対応について御 教示ください、ということでございます。そしてまた、健康食品に関して、消費者庁で も動きがあるみたいですが、いまだにグレーなゾーンへの着手がなされてない現実があ ります。健康食品と上手につき合うには、消費者への情報の伝達方針について、より重 要視するべきだと思われますが、このままグレーなままでよいのでしょうか。国として の明確な方針も知りたいです、という御質問でございます。  これは消費者庁さんのほうの関係であると思いますので、芳賀さんのほうからよろし くお願いいたします。 ○消費者庁食品表示課衛生調査官(芳賀)  御質問いただいた内容に関して、本日の 説明の中にも関係する話題がありましたが、保健機能食品の表示制度があるにもかかわ らずという点に関しては、きょうお話しさせていただいた中で、食品衛生法の施行規則 の中に、割と強めに特保と栄養機能食品以外は、機能性の表示をしてはならないという ことで、書いてあるんですけれども、今回の健康食品の表示に関する検討会でも指摘を 受けている課題として、それらの条文を、実際に運用するときの、運用ベースでの基準 ですとか、そういう具体なアクションにつながるようなものが、その食品衛生法の下に はぶら下がっておりませんで、そういった課題を指摘されています。そういった課題も 含めて、今後効果的な運用に関しては、検討の方向性にあります。  それから、御指摘のグレーな表示・広告というものの取り扱いなんですけれども、ま ず条件を整理しますと、例えば薬事法であれば、あれは形式的な判断になりますので、 比較的、薬事法違反であるか否かというものの判断というのが、形式的判断によるので、 はっきりしやすいと思いますが、例えばそれが、健康増進法でいう32条の2の広告で しかも著しい虚偽誇大に当たるかどうかということに関しては、個別の案件ごとに見て 判断をする、その中で、現行法令の解釈と、運用上の見解と、それからきょうお話にも 出しましたが、勧告を行うほど、勧告を行うということは、証明責任が行政側にありか つ裁判で戦う事象がそろっているということになりますので、そういったレベルのとこ ろにある事案なのか、はたまた行政指導の範囲で健康増進法の目的に沿うて、こうして いただくのが望ましいということで、改善をお願いするのかという、取り締まりの段階 の違いというのもございます。そういったことも含めて、特に広告というのは、いろん な要素が絡みあっていうるので、食品の安全性を例にするのは、ちょっと不適切かもし れませんが、白黒はっきりつけるのが、多分非常に難しい分野ではあると思うんです。 とはいえ、そのグレーをよりクリアなグレーにする方向にものは動いていると御理解い ただいてよろしいかと思います。そうしたことから、例えば取り締まりに関して、本省 と地方自治体との間で、余り見解のずれが生じないように、具体的なガイドラインを作 成するなどの方針も示されておりますので、健康食品の論点整理で、出されている指摘 に関しては、消費者庁として、取り組みの容易なものとそうでないものというのもある んですけれども、全体的に出された論点整理を受けた方向で、業務の見直し、それから 場合によっては通知の改正、ガイドラインの作成という方向に向かっております。  それから今後ということなんですけれども、現行法令上、そういった取り扱いに課題 が生じるようであれば、新たな規制の枠組みですとか、そういったものの必要性という のも、当然検討の延長線上にはあるかと思いますが、今現在の段階で、国としての明確 な方針として、例えばそういったことに対して、取り組みベースを超えることですね、 法令改正ですとか新たな法律をつくるとか、そういう段階でのお答えというのが、現状 ですとちょっと難しいとは思います。ですが、よりよきの方向にものは向かっていると 御理解いただいてよろしいかと思います。その辺の課題の整備ですとか方向性に関して は、健康食品の表示の論点整理の報告書を、整備まとめさせていただいていますので、 そこに書いてあるトーンで進んでいくものと思います。  それから、きょうお話しさせていただいた中で、景品表示法の存在ですとか健康増進 法以外の法令も、うまく活用しながら、取り締まりを強化していく方法にはあります。 現在、実は消費者庁で、こういったことを専任で担当している人間というのは、この9 月まで一人もいなかったんです。もともと厚生労働省におったときから、私が衛生専門 官兼併任で広告監視指導官だったんですれども、きょう説明させていただいた健康増進 法の表示の制度のほとんどを、担当する形になっておりまして、今現在食品表示課にい る健康増進法の制度設計それから運用、取り締まりすべてあわせて正規の職員というの は4人しかおりません。でそこの中で、虚偽誇大広告の取り締まり等も併任をしてやっ ている状態でして、ようやくこの9月から課内異動なんですけれども、虚偽誇大の専任 の担当者が1人配置されました。今、その担当者が、今後専任でやっていくための枠組 みも検討しながら、動きが出ているというところでございます。  それから、取り締まりに関しては、人員増の要求を来年度予算要求でしているところ ですので、グレーなことが、よりクリアなグレーになる方向にはいろんな意味であるか と思います。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  はい、ありがとうございました。  よろしいでしょうか。次二つ目の質問のほうにまいります。内容については、テレビ のCMについてですけれども、学校関係者の方からだと思いますが、「テレビのCMは 過剰な宣伝で、視聴者の誤解を与えるものが多いように思います。一度余りのひどさに 抗議のメールを出しましたら、回答に、コマーシャルを作成する現場にサプリメントの プロはおらず、つい派手になってしまった、との回答がありました。CMに対する監視 制度はあるのでしょうか。」という御質問でございます。これについても消費者庁の芳 賀さんのほうから一つ回答よろしくお願いいたします。 ○消費者庁食品表示課衛生調査官(芳賀)  先ほどの御質問につながる部分が、一部 あると思いますが、基本的にはテレビCMは、広告になりますので、健康増進法の32 条の2の違反のおそれということで見ております。ただですね、今申し上げましたよう に、テレビをずっと監視するような担当職員の配置というのは、実質上難しい状況で、 今後を強化していく方向にはあります。それから、こちらが探知して、特に指導が必要 と思われる案件に関しては、直接指導等も行っているんですけれども、その場合、地方 によってCMを変えているような場合があって、まずその取り締まりをするというとき には、事実の確認というのが最初に来ますので、そのCM自体を録画してと申しますか、 そういったところから始まりますので、今後、地方厚生局や自治体等との連携を強化し ながら、それから他法令との連携も強化しつつ取り締まりの強化の中で、テレビCMに 関しても、どうしていくかというのは、体制を検討していくことになると思います。現 状はそのような形で、余りひどいものに関しては、事実の確認ができましたら指導、そ れを国が直接指導するのか、地方自治体にある程度お任せするのかは、事案の特性によ りますけれども、そういった取り組みになっています。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  はい、そういうことでございます。  それでは3点目にまいりたいと思います。今度は、企業の方からの御質問かと思いま すけれども、「先ほどのこの講義の中で、一定の機能性を認める仕組みの研究を進める とのことであったが、現在使用している健康食品でも、候補品として、可能性があるの か。また候補品の選抜は、いつごろからどのような方法にて実施されるのかお答えいた だきたい。」ということでございます。これについても、消費者庁さんのほうからひと つよろしくお願いいたします。 ○消費者庁食品表示課衛生調査官(芳賀)  先ほどの健康食品の表示の論点整理の中 にもあったんですけれども、これは、例えば産業振興をするような特徴の役所が、例え ば機能性の研究をするというのとは少し意味合いが違うと思っています。というのは、 表示制度、規制を設計する側が、制度の拡充の可能性を検討するための研究として、一 定の機能性を認める成分に関して研究をしていくという予算になっておりますので、こ れは特定の食品等ではなくて、成分のレベルの話になりますので、新たな成分で、例え ばこれまでの機能性食品の表示の中で、保健機能食品、特保を含むそういった中で、取 り上げていない成分でどういったエビデンスレベルにあるものがあるのか、それからそ れらの特性、海外での表示規制での取り上げられ方ですとか、そういったことを踏まえ て、現状の機能性の表示の制度に加えて、新た制度設計が必要なような状況にある成分 の実態をまずは研究するということです。ですので、制度設計をする側が、制度の検討 に必要な研究事業として、成分レベルでの研究を行うという事業になります。以上です。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  はい、ありがとうございました。  それでは、4点目にまいります。「厚生労働省の事業仕分けで、栄養情報担当者の廃 止、また消費者庁の表示検討会においては、程度の低いセールスマン資格などの不要と いった意見がありました。これは、アドバイザリースタッフの認知度がないに等しいこ とにほかならないと思いますが、行政として、認知度向上への取り組みとして、具体例 があればお聞かせくださいと、せめて全国の保健所などへのポスター掲示ぐらいできな いものでしょうか。」といった質問でございます。これについては、厚生労働省の松井 さんのほうからよろしくお願いいたします。 ○厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保険対策室担当官(松井)  厚生労働 省の事業仕分けで、NRの廃止ということがあったというふうになってるんですが、ま ずちょっとここで、誤解があるので訂正させていただきたいと思うんですが、事業仕分 けで言われていたのは、NRの廃止ではなくて、NRの運用について現在国立健康栄養 研究所のほうで行っているということがございまして、その運営を、民間に委託するべ きではないかということでございますので、NR自体が廃止されるというものではない、 つまりアドバイザリースタッフの制度自体が、廃止の方向で仕分けされたものではない ということを御理解いただきたいと思います。また消費者庁で行われました表示検討会 の中で、程度の低いセールスマン資格の不要という話が出たのを私も傍聴しておりまし た。これについては事実かと思います。発言があったことはですね。ただこれについて は、私もこういう発言が出たということが、ちょっと先生方に説明する機会がなかった、 私どもから説明さしあげる機会がなかったということもあり、かなり大きな誤解があっ たのかなと思っております。ただやはり、先ほどの御説明差し上げた中で、20あるう ちのちゃんとしてるとこは4つかなという話を差し上げたとこなんですが、どうしても そうとられても仕方ない団体があるのは事実かと私自身は認識しておりますので、現時 点においては、やはり周知というのも必要なんですが、まずちゃんとしたところを選別 すべきだと、その次のステップとして、広報という形になるのかなと思っておりますの で、まずはちゃんとした資格として認定しているところを、こういったところは大丈夫 なとこですよというのを、まず固めていくところからスタートしていきたいというふう に考えているところでございます。どうぞよろしくお願いいたします。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  はい、ありがとうございました。  それでは、いただいている最後の質問にさせていただきたいと思います。  大学関係者の方だと思いますけれども、「現在健康食品の表示に関する検討会での論 点整理の中で、健康食品の虚偽、誇大な表示や広告における具体例を明らかにするため、 ガイドラインを作成する予定となっていますが、一般消費者のもわかりやすいガイドラ インの作成をお願いします。また、消費者庁と薬事法所管の厚生労働省との連携は、強 化してほしいと思いますがいかがでしょうか。」という質問でございます。これについ ては、消費者庁の芳賀さんのほうからひとつよろしくお願いいたします。 ○消費者庁食品表示課衛生調査官(芳賀)  これまでお話しさせていただいた内容と だぶる部分が多いんですけれども、まず虚偽誇大な表示の広告に関しては、このガイド ラインの作成に当たっては、これまでも個別の案件ですと、地方自治体でたくさんの指 導の蓄積がございますので、そういった事例もいろいろ見せていただきながら、できる だけ具体例を示したいと思いますが、一方で、先ほどお話しさせていただいたように、 非常に具体例を示すのが難しいタイプのものになりますので、そういった難しさの中で、 どこまでできるかというのを、今後いろんなところから、指導の実態それから事例それ からアドバイスを受けながら、ガイドラインを作成していきたいと思っています。  それから、薬事法所管の厚生労働省との連携に関しては、表示の検討会の論点整理の 中でも指摘されておりまして、既に担当レベルでの強化に関しての打ち合わせそれから 方針等に関しては、進んでおりますので今後強化していく方向にあります。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  はい、ありがとうございました。  以上で事前にいただいた御質問については、お答えさせていただきましたけれども、 まだ時間がございますので、この際この場で、さらにこちらにおられる講師の方々に何 か聞きたいということがあれば、ぜひ御質問していただければと思います。  また、あるいはここにおられる方々は、本日講演の対象が一般の消費者の方々へ、説 明されるという方々ばかりでございますので、日ごろこういうことをしたときには、非 常にまずかったとか、あるいはこういうことをしたら非常に相手がわかったと言って喜 ばれたとかそういう感想でも結構でございます。質問だけでなくて、感想のようなもの、 あるいはまた御意見のようなものでも結構でございますので、この際何かお話されたい という方おられましたら、どうぞ挙手していただければと思いますが、いかがでしょう か。どなたかおられますか。どんなことでも結構ですが。はい、どうそ。 ○質問者A  NRのAと申します。1点取り締まりに関する質問と、もう1点要望と いうかお願いなのですけれども。  一点は、今取り締まりに関して、キーワードで検索されているというお話を伺ったの ですけれども、結構最近のインターネットの広告って巧妙で、キーワードじゃなくても キーワードが画像にして、画像広告みたいな感じで、検索ではひっかからないようなも のとかも結構ふえてきているんですよね。そういったものをどのように取り締まってい くかというのは検討されているのでしょうかという点です。  もう一点は、要望なのですけれども、せっかくこのように多くのアドバイザーの方で あったりとか、消費者の方と接する機会が多い方も、医療関係者それかリスクコミュニ ケーターの方も含めていらっしゃるので、例えばそういう方々が目にした、広告であっ たりとかコマーシャルであったりとか、これはあんまりひどいのではないかなというの を、何か報告するというか、情報を吸い上げるような仕組みが御検討いただけたらなと いう要望です。よろしくお願いします。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  はい、これは主に、消費者庁の芳賀さんのほ うの質問だと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○消費者庁食品表示課衛生調査官(芳賀)  はい、キーワード検索に関しては、検索 ロボットのようなものを使って、専門の業者に検索していただくような事業スタイルを 取っているので、キーワード検索なんですけれども、御指摘の巧妙な画像ですとか、検 討会の委員の方々の御発言を借りれば、ほのめかしですか、そういったものに関して、 やはりはっきり書けば取り締まりの対象になるということから、全体的にどのような印 象を消費者に受けてほしいかという設計にのっとった巧妙なCMやホームページという のも確かにふえています。そういったことに関して、現行法令上どこまで踏み込んで取 り締まりができるかというのは、多分健康増進法の世界だけでは難しいことがあります ので、表現の自由との関係ですとか、いろいろなことがかかわってきますので、ただそ ういった課題があるというのは、承知しております。  それから、いただいている御意見は、取り締まり等に関してのモニター制度のような 検討ということでよろしいですか。はい、こういったことに関しては、取締りの人材を 増員したとしても限度がありますから、、こういった制度の可能性も含めて、御意見を いただく中で、検討材料としたい思います。ありがとうございました。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  はい、ありがとうございました。  ほかにどなたかおられますか。はい、どうぞ。できれば、お名前と所属を言ってから 御発言いただければと思います。 ○質問者B  NRのBです。ちょっと御質問なのですが、今ちょうどアドバイザリー スタッフ制度がいろいろこう玉石混合していて4つのほうに絞ろうという方向性で動い ているということなのですけども、最終的な着地点ですね、ゴールがどのような形でお 考えなのかなと、例えば国家資格化するという話もありますし、大体何年後ぐらいにこ ういう形でありたいというような、そういう見通しというのをお聞きしたいなと思うん ですけど。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  これは、厚生労働省の松井さんからよろしく お願いいたします。 ○厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保険対策室担当官(松井)  4つに絞 っているということではなくて、まず現状調査をした結果、4つについては、厚生労働 省から示させていただいているガイドラインにのっとった機関ではないかと考えており まして、その機関の教育カリキュラムですとか、そういったものをベースにアドバイザ リースタッフがクリアーすべき条件というものを、再度示させていただいて、要するに アドバイザリースタッフの能力の水準を一定に保つようにしていきたいというふうには 考えておるんですが、今出ました国家資格化という点については、あくまでも試験なん ですけれども、現行において今の行政の方向性からして、ちょっと国家資格化というの はかなり厳しいのではないのかなというのが、あくまでも私個人の感触でございます。 そこについては、研究の結果を踏まえて、どの程度まで進めることができるのかという のは、考えていきたいと思っておりまして、今の研究が21、22、23年度で、行うことに なっておりますので、今が22年度ですね、あともう1年度待っていただくような形に なりますので、その終わるのと同時、もしくはもう少し後の段階で、方向性というのを 具体的に示ればというふうに考えておりますので、これに関しましてもう少々お時間を いただきたいというのが正直なとこでございます。ちょっとそこはですね、行政の遅い というところであると反省するとこではあるんですが、ちょっとそこについては、御理 解いただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  よろしいですか。もう一点ですか。はい。 ○質問者B  もう一点ですね、規制の関する質問なのですけれども、食品の中でも、 食品の中にいわゆる健康食品も含むというふうになっていますけれども、明らか食品と いうものに対して、じゃ今どこまでを明らか食品として見るのかというのが、ちょっと 気になるところで、というのは、これだけいろいろ規制が厳しくなってくると、健康食 品業界も、いわゆる健康食品見た目は健康食品という明らかな形じゃなくて、例えば飲 料であったりとか、極めて食品よりに近いような製品形態に持っていっているという傾 向があると思うのですよね。そのあたりでどこまで、例えば普通の一般的なお茶だった ら明らかに食品だから、極端な話、何言ってもいいんじゃないかって話もなきにしもあ らずだと思うんですね。ですので、そのあたりの見きわめというか、明らか食品に関し てはどうなのかなということをお聞きしたいのですけども。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  では、松井さんのほうからどうぞ。 ○厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保険対策室担当官(松井)  その点に つきましては、薬事法の判断、明らか食品というのは薬事法に定める部分に入ってきま すので、ちょっと私どもの所管外というところではあります。ただ、私のほうで、薬務 担当課のほうと、頻繁に意見交換をさせていただくんですが、基本的に明らか食品であ っても、効果効能を標榜する、もしくはそれを伺わせるような表示をした場合にあって は、取り締まりの対象となるのが、基本スタンスだと思います。ただし、特別用途食品、 保健機能食品ですが、そういったものなんですけれども、そういったものについては除 くということになっておりますので、特保については、明らか食品であった場合には、 除外するという規定になってます。ただ消費者庁さんのほうで、特保の要するにこうい った表示でいいですよと、許可する際には、厚生労働省のほうに意見紹介をして、この 表現で薬事法上問題ないかという形で、お伺いを立てて、両者ですり合わせをした上で、 公表されることになりますので、特定保健用食品として、表示される分については、薬 事法上は問題ないというふうに御理解いただいて結構かと思います。それ以外のものに ついて、表示する場合には、薬事法のみならず、薬事法で取り締まらないにしても、今 度その効果効能が効果効能ではないにしても、虚偽誇大という話も出てきますし、景表 法の話も出てくるかと思います。ですからそこについては、法律を複合的に見てやるこ とになると思いますので、ちょっと薬事法の担当ではないので、明確な答えではないか と思うんですが、ちょっとそこについては御容赦いただければと思います。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  よろしいですか。はい、ありがとうございま した。ほかに、どなたかいらっしゃいますでしょうか。はい、どうぞ。そちらの方。 ○質問者C  サプリメンターアイザーのCといいます。長村先生のほうから、きょう 講義の中で、消費者の方の理解力というお話がありまして、私もいろんな方、現場で相 談受けた中で、先日も、健康食品を買った方が、健康食品の効果がわからないので、医 薬品を中止するように言われたと。その方は、医薬品を中止してしまったのですが、相 変わらずと言ったら失礼かもわからないのですが、いまだにそういった消費者の方がい らっしゃるのですね。なかなかこういった部分、健康食品が健全化されない原因の一つ でもあるのではないかなと思うのですが、ぜひ長村先生のほうの今後の御活躍と、ぜひ 消費者庁そういった行政も含めた消費者の方への喚起というのを、今後何か計画などあ れば、お伺いしたいなと思うのですが。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  先に、長村先生からひとつよろしくお願いし ます。 ○鈴鹿医療科学大学教授(長村)  今おっしゃったような事例は、やっぱりうちの会 員も幾ら止めても、健食のほうに頼ってしまうというケースというのは、出てるのは出 ております。それでそういう報告は受けるのですが、そこにあります一つの、僕は大き な問題だと思うのですが、医師サイドにむちゃくちゃな発言があるという事実も、もう 一つ存在しているかなと思います。うちの会員から来たものの極端なケースだったもの の一つは、グルコサミンを飲んでいたら、一応ひざの調子がいいと思っていたのだけど、 かぜをひいたときに、たまたま医者にその話をしたら、そのようなものを飲んでいたら だめだと言われて、グルコサミンをやめてロキソニンが出されて、ロキソニンを出され て今度しばらくしたら胃が悪くなって、そしたら今度胃の薬が出されて、もうどんどん と薬がふえてきちゃったと、結局それは薬剤師のあれだった人に相談が来たのですけれ ど、本当にグルコサミンはだめなのでしょうかという、多く医師に相談すると、頭ごな しに否定される医師がおみえになるというところ、そしてそこへ上手に大体そういうの は、どちらかというといわゆるネット商法といいますか、クチコミといいますか、一般 的に店頭に出てるものよりは、だれかの紹介でというようなものでやられているケース が多いようなんですが、医師に対する不信感を上手にあおって、こっちの食品のほうが いいというあたりになると、やっぱりそこら辺売られる方も真剣なものですから、かな り微妙な問題をはらんでいるのですけれど、やはり消費者の方の健康被害からは、守ら なきゃいけないというのと、もう一つは、医療機関にちゃんとかかっていれば、まとも にいくのに、その機会を失するというようなことがあってはいけなと思うのですけれど、 ただ若干、健食に関しましては、もともとこう言い方しちゃ悪いかもしれませんけど、 効かないと、効かないのならあとプラセボがあるなら、財力に響かない限り、自分の家 計に響くようなほどお金を出して買うものではないけれど、何か飲んでいたら調子がい いねという気持ちがするのなら、危なくないものなら少々は飲んでいても神社のお賽銭 みたいなもので、効くか効かないかわからないけどというのは、ちょっと無責任な回答 なのですが、結構そういう観点で見ると、健康食品とはうまくつき合えるという面はあ るように思います。でもやっぱり我々アドバイザリースタッフとして重要なことは、消 費者の適正な医療を受ける機会を失わせるとか、誤った使用法をさせるとか、そういう ところには非常に神経をとがらせる必要があるかなと思います。でも現実にそういう問 題は、幾つも起こっていると思います。うちの会員からのいろんな問題情報として、同 じような話が出てまいります。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  消費者庁さんのほうから、最後は何か話あり ますか。もしあればお答えいただければと思います。 ○消費者庁食品表示課衛生調査官(芳賀)  はい、消費者の方々への注意喚起という ことで、消費者庁という話だったんですけれども、消費者庁だけではなくて、体制とし ては、消費者庁がしている部分は特に、より強い意味での消費者事故や消費者被害が拡 大した場合の強い意味での注意喚起というのは、一元的に消費者庁が行うんですけれど も、日常的なそういった健康被害のおそれですとか報告というのは、まずは、この後松 井さんにマイクを譲りますが、保健所への報告を通して厚生労働省にということで、消 費者庁、厚生労働省それから先ほどお話に出ていた医師の先生方やアドバイザリーの皆 様も含めて、いろんな体制の中で、注意喚起や教育というのが成り立っていくかと思い ますので、そういった中で、それぞれの立場で、すべきこと、したほうが効果的なこと ということを、連携してやっていく体制というのが、一番のぞましいとは思うんですけ れども、松井さん。 ○厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保険対策室担当官(松井)  私どもと しては、できるだけ消費者の方に情報は提供したいとは思うんですが、やはりこのよう なとこに、消費者の方をすべて集めるというのはどうしても限界があります。ですから 私ども国立健康栄養研究所さんのほうと協力させていただいて、ホームページに情報を 載せるというのが一つと、やはりこういった医師、薬剤師の方への情報提供、続いてア ドバイザリースタッフの方への情報提供というのを、まず第一にやらせていただいて、 アドバイザリースタッフの方から消費者の方に伝えていただくというのがベストかと思 っておりますので、まずは、そのアドバイザリースタッフというところに、力を入れて いくべきなのかと考えておりますので、御協力いただければと思っております。どうぞ よろしくお願いいたします。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  今、国立健康栄養研究所の話も出てまいりま したけども、梅垣さんのほうから何かつけくわえることがあれば、一つよろしくお願い します。 ○独立行政法人国立健康・栄養研究所情報センター長(梅垣)  今、松井さんがおっ しゃったように、消費者の人に情報を渡すときは、効くか効かないか、安全か危険か、 両極端な情報が求められています。幾ら話しても、話したあとには、これ効くんですか、 とか聞かれてしまいます。消費者の人に情報を渡すのは、非常に難しいので、我々のと ころは、アドバイザリースタッフとかある程度の理解力がある人が読めるような情報と して、今ホームページを介して情報提供しています。ぜひ利用していただきたいと思い ます。いろんな情報を提供していますが、基礎知識というところには、一般によく間違 えられるとか、我々がいろんな対応をしていて、誤解されるような情報を提供していま す。その部分は、幾ら印刷して配っていただいても構いませんし、そのために作成して いますので、ぜひ活用していただきたいと思います。ただ素材情報データベースのとこ ろですが、これはあくまでも、論文情報なので、一般の人にそれを配られると誤解され ます。それだけはやめてくださいとお願いしています。あとの部分は、幾ら印刷して配 っていただいても構わないという考え方でいますので、よろしくお願いします。 ○厚生労働省大臣官房参事官(木村)  はい、ありがとうございました。ということ で、まだまだ話題尽きないわけですけれども、ちょうど時間となりましたので、これぐ らいにさせていただきたいと思います。皆様方の御協力まことにありがとうございまし た。 ○司会(大井)  以上をもちまして、食品のリスクコミュニケーション「健康食品と 上手くつきあう方法」を閉会いたします。本会の円滑な運営に御協力いただきまして、 ありがとうございました。  なお出入り口で、アンケートの回収を行っておりますので、御協力お願いします。                      照会先:食品安全部企画情報課                          03-5253-1111(内2452,2493)