10/10/06 食品に関するリスクコミュニケーション            「健康食品と上手くつきあう方法」     開催日時: 平成22年10月6日(水)13:00〜17:30     場  所: 新梅田研修センター 303ホール ○司会(大井)  それでは、定刻になりましたので、これからリスクコミュニケーションを開始いたし ます。  本日は、皆様お忙しい中ご参加いただきありがとうございます。ただ今から食品に関 するリスクコミュニケーション「健康食品と上手くつきあう方法」を開催いたします。  私は、本日司会を務めさせていただきます厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報 課の大井と申します。よろしくお願いいたします。  会場のほうは今25度に設定しているんですけれども、もし寒いとか暑いとかありまし たら、お近くの名札をつけておりますスタッフのほうまでお申し出ください。  それでは、まず開会の挨拶として、厚生労働省大臣官房参事官木村からご挨拶申し上 げます。 ○木村参事官  皆さん、こんにちは。皆さん方本当に大変お忙しい中、本日の私どもの健康食品に関 するリスクコミュニケーション会議にご参画賜りまして誠にありがとうございます。  私は厚生労働省の大臣官房参事官をしております木村と申します。どうぞよろしくお 願い申し上げます。  本日のこのリスクコミュニケーション会議は、厚生労働省と消費者庁の両省庁の共催 によりまして開催させていただくものでございまして、私、両省庁を代表しまして会議 の冒頭に当たりましてのご挨拶を一言させていただきたいというふうに思います。  皆様方には申すまでもないことでございますけれども、近年国民の健康指向の高まり とものがいやが上にも今現在高まってるというふうに認識しております。それに伴いま して様々な健康食品と称するものが現在流通、そして販売されているという状況でござ います。そして、それに伴いまして健康食品を利用する消費者の方々から健康食品に対 する疑問ですとか、あるいは不安といったものが総体的に多く寄せられてくると、そう いう状況になってきてございます。  そのようなことから、本日このリスクコミュニケーション会議、一般の消費者の方々 に健康食品というものの情報をお伝えしておられる、いわゆるリスクコミュニケーター と言われる民間の方々や、そしてまた行政でこれらの分野に携わっておられる方々を対 象といたしまして、本日、まずは行政側のほうからこの健康食品に関します安全性の確 保の問題、あるいはそれらの関連の制度や現状などについてまずはお話しをさせていた だきまして、そして後半には独立行政法人の国立健康・栄養研究所の情報センター長で あられます梅垣様のほうから健康食品の利用について、そしてまた鈴鹿医療科学大学教 授の長村様から消費者への情報提供のポイントについて、それぞれご専門の立場からお 話しをいただくという趣向にさせていただいております。そして、その後、皆様方から 寄せられておりますご質問等にもお答えしながら活発な意見交換をさせていただきたい というふうに思ってございますので、どうか何とぞ最後まで私どもの企画内容におつき 合いを賜ることを切にお願い申し上げまして、まずは会議冒頭のご挨拶に代えさせてい ただきます。  本日は何とぞよろしくお願い申し上げます。 ○司会(大井)  それでは初めに、配布資料の確認をさせていただきます。  配布資料ですが、皆様お手元に講演の資料として資料1から4がございます。4冊ご ざいますでしょうか。そのほか、パンフレット1部とアンケートが同封されております。 アンケートにつきましては意見交換会の後、出口のほうで回収しておりますので、ご協 力お願いいたします。  続きまして、本日の進行でございますが、初めに行政担当者として厚生労働省食品安 全部担当者より「健康食品の安全性確保について」説明し、次に消費者庁食品表示課衛 生調査官の芳賀より「健康食品の制度と現状について」ご説明します。その後、10分間 の休憩を挟みまして、独立行政法人国立健康・栄養研究所情報センター長の梅垣様から 「健康食品の利用について」、そして鈴鹿医療科学大学教授長村様から「消費者への情 報提供のポイントについて」ご講演いただきます。その後、10分程度の休憩を挟みまし て、5時から質疑応答及び会場とのパネルディスカッションを行い、終了は5時半を予 定しております。  なお、恐れ入りますが、会の進行に支障を来すおそれがあるため、携帯電話の電源を お切りになるか、マナーモードとしていただきますようご協力お願いいたします。  それでは、まず最初に講演から開始したいと思います。  講演1番、厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室健康食品安全対策 専門官の松井から、「健康食品の安全性確保について」をご説明いたします。 ○松井専門官  本日はお忙しい中お集まりいただきましてありがとうございます。私、厚生労働省医 薬食品局食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室、非常に長い名前でして、私自身 も舌が回らなくていつもは食品安全部新開発食品保健対策室と呼ばせていただいている のですが、こちらのほうで健康食品の安全性の関係の仕事をさせていただいております。  話に入る前に、厚生労働省として健康食品の使用を推進しているわけではないんです が、もし使われるのであれば正しく使っていただきたいということもありまして、国民 の皆様には正しい情報を伝えていただきたいということで、こういったお集まりいただ いた方々にそういった知識等をつけていただき、消費者の方にお伝えいただければと思 って開催させていただいているわけです。東京会場のときにお話しさせていただいたの ですが、会場に向かう電車の中でラジオを聞いていたら、体重90キロの女性がという話 だったのですが、体重90キロの女性がこのカプセルを飲むと1カ月で42キロ、ウエスト 38センチのマイナスに成功という宣伝が流れていました。まあすごい健康食品があるん だなと思ってその会場でお話ししたのです。、で、今日もまた新しいネタないかなと思 って同じラジオ局を聞いていたんですね。そうしましたら今度は、このカプセルを飲む と1カ月で18キロ減量、あ、前より減量の幅が減ったなと。18キロでもすごい量なので すけど、18キロに減ったなと。ただ、その次に続く文句があって、このカプセルを寝る 前に飲むと次の日朝起きると2キロ減っていますと。どういう健康食品なのだと思うと 同時に、ちょっとこれ取締まらなきゃいけないのじゃないかという話で、ちょっとラジ オ局に対してどうにかするように話をしようかどうかと思うぐらいあれですね。ただ、 知識持っていただければそんなことはあり得ないというのはご理解いただけると思いま すし、仮にお医者さんにかかってウエートコントロールをしなさいと言われても、恐ら く1カ月で10キロ減らそうとするお医者さんっていないはずなのですね。せめて数キロ ずつ、少しずつ落としていこうというのが正常な方法で、また成分を聞いてもコエンザ イムQ10だとかαリポ酸がどうのとか、ちょっとそれじゃ痩せないでしょうと。私もこ ういった体型ですので、そんなのだったら私飲むよと思ってしまうぐらいのもので、そ れこそやはり正しい知識があればそんなあやしいものに手は出さないと。しかも1カ月 分が5万円。5万円のところを特別価格で1万円。そんなばかなことあるかと思いつつ もなかなかご理解いただけないところもあり、そういったことで正しい健康食品の知識 というものを皆様方から国民の方、消費者の方にお伝えいただければと思っております。  私のお話しさせていただくもの、健康食品の安全性確保についてということで、ちょ っと堅苦しい話になってしまい申しわけないのですが、お話しをさせていただければと 思っております。  まず、私たちが飲食するものの法律上の分類ということで、飲食するというものは、 いわゆる口に入るものということでございますので、医薬品、医薬部外品ですね、それ のほかに食品というもの、大きくこの2つに分かれると思います。ただ、食品衛生法の 場合、口に触れるということもあって器具、容器包装、要するに茶碗ですとかお箸なん かも食品衛生法の範疇に入るんですが、とりあえずまず医薬品と食品に限定させてお話 をさせていただきたいと思います。  これを図示させていただきますと、まず大きく分けると医薬品と食品とに分類するこ とができるかと思います。この食品をもう少し細かく分けてみますと、これ法律上で保 健機能食品というものが定められております。これにつきましてはまたちょっと後ほど 詳しく説明させていただきたいと思いますが、いわゆる保健機能食品と健康食品を含む 食品というものになってくるかと思います。  保健機能食品をもう少し詳しく見ますと、特定保健用食品、いわゆるバンザイマーク がついているものですけれども、特定保健用食品というものと栄養機能食品、この2つ に分けることができるかと思います。  では、医薬品は法律上どのようになっているのかということをご説明させていただき ますと、これ薬事法第2条第1項のところで、この法律で「医薬品」とは、次の各号に 掲げるものをいうということで、日本薬局方に収められているもの。人または動物の疾 病の診断、治療または予防に使用されることが目的とされているもの。3番目として、 人または動物の身体の構造または機能に影響を及ぼすことが目的とされているもの。つ まり疾病の診断、治療、予防、要するに例えば生活習慣病を予防しますと健康食品に仮 にうたったとすると、それは医薬品等に該当します。薬事法で取締まられるということ になりますので、あくまでも医薬品等の場合に限って疾病の診断、治療、または予防も 含めてですけれども、使用されることが目的とされるものとなっているわけでございま す。  次に、食品があるわけですけれども、どのようなものになるかというと、法律上の話 としましては食品衛生法の第4条の中で、この法律で食品とは全ての飲食物をいう。先 ほどのスライドでいきますとお薬も含む全ての口に入るものということになってしまい ますが、その次にありまして、薬事法に規定する医薬品、医薬部外品はこれを含まない ということが書かれています。ですから、口に入るものから医薬品及び医薬部外品を除 いたものが食品だというふうに理解することができるかと思われます。  続きまして、食品の中の保健機能食品、これについて後ほど担当者のほうからもう一 度細かく説明があるかと思いますので、私のほうからはさらっと流させていただければ と思うのですけれども、まずこの2つに分かれておりまして、まず1つ、保健機能食品 というのはどういったものかということですと、実はこれ保健機能食品という名前が出 ましたのはごく最近でして、2001年4月から施行されたものになっています。どういっ たものかといいますと、いわゆる健康食品等のうち、一定の条件を満たした食品を保健 機能食品といいます。この一定の要件というのがどういったものかといいますと、国へ の許可などの必要性や食品の目的、機能などの違いによりまして、特定保健用食品と栄 養機能食品の2つに分けることができるとなっているわけですね。この特定保健用食品、 これがどのようなものかといいますと、身体の生理学的機能や生物学的活動に影響を与 える保健機能成分を含み、特定の保健の目的で摂取するものでございまして、1個ずつ の食品を全て個別に審査して許可を受けるというものになっています。一方、栄養機能 食品、これがどのようなものになるかといいますと、栄養成分、ミネラル、ビタミン等 の補給、補完を目的としたものであり、1日に必要な栄養成分を摂取できない場合に、 栄養成分の補給、補完の目的で摂取する食品であるとされておりまして、これ厚生労働 省の行っております国民栄養調査に基づいてビタミン、ミネラルで過不足がないかとい うのを基本ベースに考えておりますので、現在のところビタミン12種類とミネラル5種 類が存在することになります。ただし、先ほどの特定保健用食品と違いましてこちらの ほう、国に対して個別の許可、申請や届出等を行う必要がない自己認証制度となってお りまして、ビタミン12種類、ミネラル5種類について、健康食品に含まれる上限量と下 限量を示しておりまして、その間のものを含有しているものであれば自己認証の下に栄 養機能食品として販売することができるというものになっております。  このいわゆる食品というものがあるわけなのですが、では、これがどうなるのかとい うことでもう少し細かく見ていきますと、いわゆる食品の中に健康食品とございます。 これ健康食品というもの、法律上の定義は一切ございません。では、私たちがどのよう に取り扱っているかという話なのですけれども、平成19年7月から平成20年7月まで健 康食品の安全性確保に関する検討会というものを開催いたしました。ここにちょっと小 さめで書いてあるのですが、検討会を開きましてその報告書の中で、健康食品について は法令上の定義がなく、広く健康の保持増進に資する食品として販売利用されているも の全般を指していると考えられるということで考えておりまして、ですから食品、御飯 から飲み水まで入るわけなのですが、この中で健康食品、健康によいと称して販売され ているもの、ですから例えば日本でいいますと納豆、最近ですとヨーグルト、お隣の国 では韓国なんかではキムチ、そういったものもはいっているのですが、まさにいわゆる 食品のうち健康によいと称して販売される食品があります。さらにその中に通常の食事 以外に摂取する食品と考えられるもの。ちょっとここが一番微妙なものだと思うのです けれども、例えばまさにダイエット用食品なんていうのはそうだと思うんですけれども、 これを食べると血液がさらさらになるとか、これを食べると体重を減らすことができる なんていうことで売られているものかと思うんですけれども、そういったものがあると。 さらにもう一つ、一番コアなところですけれども、錠剤、カプセル等医薬品様の形態の 食品と考えられるものというものがございます。諸外国というかどちらかというと欧米 系、いわゆる西洋のほうになるのですが、こういったものをいわゆるサプリメントと呼 んでいるものです。日本のように、健康食品という考え方は諸外国の場合ないのですね。 あくまでもサプリメントというのは錠剤、カプセル、薬に準ずるものだというふうに考 えられているところがございまして、ちょっと日本と、東洋系のものとちょっと違うの かなというところがあるのかなと思います。  このような健康食品が市場に広く流通していることがございまして、私たちのほうで 健康食品の安全性確保についてということでどのような取組みを行っているのかという のを説明させていただければと思います。  まず、新開発食品の販売禁止というものがございまして、こちらのほう、食品衛生法 の第7条のところに定められているのですけれども、まず大きく3つあるんですが、左 から2つのグループと右端のものにここで分けることができるんですけれども、まず左 のほうのもの2つなのですけれども、一般に飲食に供せられることがなかったもの。こ ちらほう、例えば今結構あるのですかね。ピクノジェノールという松の樹皮から抽出し たものですとか、要するに木の皮から抽出したようなもの。そういったものですとか、 ある種の土、泥というのですかね、アメリカが多いのですね、ある種の特殊な土をその まま健康食品として食べるなんて事例があったりします。それのほかに、次の2つ目の ところ、濃縮等した成分を錠剤化、カプセル化したことにより、通常の食品の一般的な 摂取方法とは著しく異なる方法により摂取される食品。ですから、例えばエキス分を抽 出したものですね、何とか抽出物とか書いてあるものですとか、それのほかにも、例え ば野菜類をそのまま食べようとすると食べられない、ホウレンソウのおひたしと一緒な のですけど、ホウレンソウをそのまま生で食べるとすごくたくさんになるわけですね。 それをゆでるとぎゅっと小さくなる。それをさらに乾燥させてカプセルの中に詰めてし まうと、たった1センチ、2センチのカプセルの中にホウレンソウ1株分のエキス分を 抽出できるとか粉末を濃縮できるということになるのですね。ですから、ホウレンソウ を1株食べようと思ってゆでておひたしにして食べたところで、結構量あるので、そん なに食べられるものではないんですが、カプセルになってしまいますと、一度にその野 菜の10倍、100倍の量を一気に食べることができるということでございまして、これも 新開発食品ということでカテゴリーに入れてみましょうということで、こういった新し くつくられた食品、もしくは今まで食べられていたものであるけれども、通常の摂取と は著しく異なる方法で摂取される食品、これにつきましては人の健康を損なうおそれが ない旨の確証がない限り販売してはならない。逆にいいますと、そういったものが判明 した場合は販売を禁止することができるということになっておりまして、食品安全委員 会及び厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、食品として販売することを 禁止することができるということになっております。  これ実は平成15年の食品衛生法の改正によって入った部分になるのですけれども、今 までで禁止した食品があるかどうかということなのでございますが、実は1個だけござ います。これアマメシバという東南アジアのほうで食べられていた食品、木の芽ですね、 木の新芽の部分を食べるのですけれども、サラダの彩りに加えたり、お料理の上にぱら ぱらと散らしてごく少量食べるものだったと。ところが、それが日本でいきますと沖縄 のほう、一部鹿児島ですね、そういった暖かいところで作物として栽培されまして、ま さにここにあたるんですけど、それを乾燥させて毎食後スプーンで1杯食べましょうと、 そういったことで推奨されたわけですね。そうしましたところ、極めて重度の肺炎を生 じるということがございまして、患者さんが数名発生したんですけれども、不幸なこと に2名の方がお亡くなりになっています。1名だったかな。1名お亡くなりになってい るのかな。もう1名の方ちょっとお亡くなりになったかどうか最終的な確認はとれてい ないのですが、お亡くなりになった事例がございます。実はこれメーカーのほうがちゃ んと調べれば危ないものだというのは実は分かったのですね。後ほどちょっと原材料の 安全性確保ということでお話をさせていただくのですが、東南アジアでは確かに彩り、 サラダとかそういったもので使っていたわけなのですが、実は台湾でちょっと前にそれ を生ジュースということでミキサーにかけて飲んだ場合に同じような症状を発症する方 がたくさんいたということで、メーカーさんのほうでしっかりそこを海外の文献情報で すとか科学的な情報を入手していれば発生しなかった問題なのではないかということも ございまして、私どもはそこも含めてメーカーさんが新たな食品を開発する場合、もし 新たなものでないにしても一般的な摂取方法とは著しく異なる方法により摂取するよう な食品を開発する場合には、一定の安全性確保をしてから販売してくださいねというこ とを指導させていただいているものになります。  一番右、こちらのほうは一般に飲食に供されてきた食品と同様の食品であるが、その 食品によるものと疑われる健康被害が発生した場合。これに関しては健康被害の対応か ら見て一般に飲食に供せられていなかったものを含む疑いがある場合。要するに今まで 食べていたもの、不純物とかそういったものも入ってくるかと思うのですけれども、通 常食べていると考えられていたけれども、よくよく調べてみると製造工程で不純物が入 っていたとか、別に何か特殊なものが混ざってしまったなどというものについても販売 を禁止することができるということになっております。  健康食品の安全性の確保の取組みということでどのようになっているかということで さらにもう少し詳しく説明させていただきたいと思うのですけれども、先ほどちょっと 話が出ておりました健康食品の安全性確保に関する検討会というものが平成19年7月か ら20年7月までに開催されまして、その報告書の中でここに示すような3つの大きな柱 が必要ではないかと言われています。1つが製造段階における具体的な方策、1つが健 康被害情報の収集及び処理体制の強化、もう一つが消費者に対する普及啓発、この大き な3つが必要なのではないかということで話が進められているものになるのですけれど も、まず製造段階における危害発生防止、こういったものが必要かということですね。  まず、厚生労働省としては製造段階における危害の発生の防止については2つのこと が必要なのではないかと。まず1つが、GMPガイドライン、要するに基本的な考え方 といたしまして、原材料の受け入れから最終製品の出荷に至る全工程について一定の品 質の製品を製造するための様々なチェックを設け、それを守って製造されるというもの でございまして、製造管理、品質管理の両観点からハード面、要するに工場の構造とか 設備ですね、及びソフト面、作業工程の管理、そういったものにわたりまして一定の工 程管理が必要であろうということで、この考え方というもの、医薬品のほうでは導入さ れているものでございまして、導入されているというよりも義務づけられているもので ございまして、サプリメント、健康食品の場合どうしても医薬品に近いということで、 私どもも医薬品と同じようなチェック体制、食品とはもう一歩上のチェック体制が必要 なのではないかということで、このGMPガイドラインというものを示させていただい て、各製造メーカーさんに遵守していただきたいということでお話しをさせていただい ているものでございます。  もう一つが原材料の安全性自己点検ガイドラインということで、こちら後ほどまたち ょっと説明させていただきますけれども、原材料の安全性確保、要するに先ほどちょっ と話が出ましたけれども、アマメシバの話があったわけなのですが、アマメシバ、日本 国内では何も情報はなかったかもしれないけれども、まず文献調査をすると海外で死亡 例があるということが分かるわけなのですね。まず使おうとする原材料にはどのような チェックが必要なのかというものが分かるようにチェックシート1個1個ステップ1か らステップ8まで分けまして、その一つずつ使用する原材料の安全性をチェックしてか らどのようにしたらよいかというものを定めているものになります。  ここがその原材料の安全性確保ということでもうちょっと細かく説明させていただき ますと、まず1つ目ですね、健康食品の製造に使用される基原原料について文献検索で 安全性、毒性情報を収集する。これをまず第一に考えていまして、先ほどのアマメシバ ここで調べていれば、ここの段階でもうこの製品は製品化しようというのはやめられた はずなのですが、ここを怠ってしまったという問題がある。次に、食経験ですとかこう いった毒性情報なんかで安全性を確保できない場合には毒性試験を行ってください。で すから実験動物を用いたものですとか、あとは遺伝毒性ですとかそういったものも試験 がございます。種々ございますので、その製品に合わせた毒性の試験を実施していただ きたいというふうに考えているものでございます。  ちょっと順番が逆になってしまっているのですが、製造工程管理、GMPによる安全 性の確保というものは、まず製品の標準書というもの、つくる段階からまず製品の標準 書というのを書きます。原材料を入荷して、中間製品をつくって、最終製品をつくって、 製品を出荷して、さらにここ、苦情処理、回収処理、回収はともかくとして苦情がどの ように上がっているのかとか、そういったものも全て一元管理して、またつくる際にま た最初に戻していただいて、原料を入荷してから最終製品を出荷、市場に流通するまで を一貫して管理していこうという考え方でございます。  GMPガイドライン、まず工場から個々の販売店に至る。通常ですと工場出てしまっ たら終わりだという考えのメーカーさん非常に多いのですが、そうではないですよとい うことで、販売店まで細かく調べていきましょうというものになっております。  まず、GMPとは、これもう少し細かく説明します。これちょっとお手元のスライド ないと思うんですけれども、これ厚生労働省のホームページに載っておりますので、後 ほど見ていただければ入手できますし、ちょっとスライドだけで申しわけないんですが お願いできればと思います。  まず、適正製造規範ということですね、GMP、Good Manufacturing Practiceと略 しておりまして、品質のよいすぐれた製品を出荷するために原料の受け入れから最終製 品の包装、出荷に至るまで全工程において必要な要件をまとめたものということでござ いまして、製品の品質は最終製品の試験、検査だけでは保証できない。要するに最終製 品だけ検査して、問題なければこの食品は安全ですなんていう考え方は間違っています よということになるわけなのですけれども、設計されたとおりの品質のよい製品を常に 供給されていくためには、最終製品だけでなく原料ですとか包装及び資材、必要があれ ば製品の中間段階におけるものまでチェックする必要がありますよということが書かれ ているものになります。まず基本的な要件としましては、各製造工程による人為的な誤 りの防止、これはもちろんのことなのですけれども、2番目として人為的な誤り以外の 要因による製品そのものの汚染及び品質低下の防止、3つ目としまして全工程管理を通 じた一定の品質の確保というものが必要と。これらを満たすことを考慮して管理システ ムを構築するということになっております。  要件を具体化するためにはどのようなことが必要かというのですが、設備面というの は工場の問題ですので、工場の設計段階から工場の敷地のお話まで入ってきますのでな かなか変えることができない、ここは非常に難しい問題ではあるのですが、管理面のほ うですね、例えばハードの面でどうしようもない場合に、そのどうしようもないものを いかにうまく回すかというところでソフト面というものが非常に大事になってくると思 いまして、まず管理組織の構築というものもございますし、作業工程の管理と、そうい った面でハード面の不足を補っていくなんていうこともできるのではないかというふう に考えているところでございます。  ちょっとまたこれが順番が逆になってしまっているのですが、さっき説明させていた だきました原材料の安全性に関する自己点検フローチャートというものでございまして、 ステップ1からステップ8までございます。ちょっとこれ非常にぼけてしまっているの でちょっと見づらいのですけれども、最終製品レベルのものはもちろんのこととしまし て、原材料レベルでのチェック、安全性の文献調査が必要ですよですとか、安全性の試 験を必要になってきます、そういったものがステップごとに分かれておりまして、これ に基づいてチェックをしていけばある一定の安全性の確保はできるのではないかという ことで示させていただいているものになります。  今のGMPと原材料の安全性確保というものを実際にどのように実行していくかとい うことで、健康食品の安全性確保に係る第三者認証制度というものをつくりましょうと いうことで検討会の中でもお話が出ておりまして、現在、健康食品の安全性確保という ことで認証協議会とここではなっておりますが、今ここ立ち上がっておりまして、健康 食品認証制度協議会という協議会を、業界の自主団体ではあるのですが業界自ら立ち上 げまして、学識経験者の方を委員長としまして、業界といっても原材料をつくっている メーカーさんもいれば、販売されている方もいる。また、流通だけを行っている会社も あるということで、そういった方、各業界の各部門ごとの代表を集めて、残りの半分は 学識経験者、医師、薬剤師、栄養士さん、あと獣医さんですね、毒性学者です。そうい った方々を含めて立ち上げておりまして、ここが認証協議会という名の下に認証機関、 実際の各安全ですよというマークを発給する機関を幾つかつくっていきましょうという ことでございまして、実は認証機関として1個だけ認められているものでございまして、 日本健康・栄養食品協会というところがございます。こちらのほうが現在認証機関とし て認定を受けておりまして、認証協議会から指導監督を受けつつ活動を開始したところ でございます。まだ1個も製品としては出てないと思うのですが、これから年末にかけ て、ここにあるんですけれども、安全性自主点検認証というマークがついたものが出て きます。この○○○○というところに日本健康・栄養食品協会というところが入ってく ることになると思いますが、今のところ申請だけで数十品目上がっているということで すので、これから順次商品化されて市場に流通していくのかなというふうに考えておる ところでございます。  健康被害発生の未然防止のための体制整備ということでどのようになっているかとい いますと、健康食品・無承認無許可医薬品健康被害防止対応要領というものを私どもの ほうでつくっておりまして、早い話が消費者の方で健康食品による健康被害を発生した 場合には各自治体さん、保健所さんですとかそういったところを通して厚生労働省のほ うに情報を提供してくださいねという対応要領になっておるわけなのですけれども、じ ゃ、これ食中毒の被害報告と一緒じゃないかという声が出てくるかと思うのですが、実 はちょっと違うところがございまして、これ実は健康食品被害発生の未然防止及び拡大 防止のため、食品担当部局と医薬品担当部局の密接な連携による迅速な対応ということ になっておりまして、情報が健康被害が発生しましたという場合には、食品担当部局だ けではなくてやはりお薬だと誤認して使用されている場合も多いので、お薬の部局のほ うに、どうもこの健康食品を食べたら健康被害が発生した可能性があるなんていう情報 が入るときがある。そういった場合にあっても間違いなく取りこぼしがなく私どものほ うに情報が来るようにということで、食中毒の情報とは違って医薬品担当部局からも情 報が来るようにしているところでございます。  また、今自治体さんと私どもだけですと、どうしてもまたさらに取りこぼしがあるの ではないかということで、お医者さんのほうにもご協力いただきましょうということで、 後ほどちょっとまたお話があるかもしれないんですが、実はお医者さん、健康食品にか なり否定的な方がいらっしゃいます。事実として残念ながらあるというのは私ども承知 していることでございまして、また健康食品はかなり特殊なものでございますので、な かなかお医者さん、医学の勉強のカリキュラムの中に健康食品なんていう存在ございま せんので、なかなか知識として持っていただいている方が少ないということがございま して、日本医師会と、後ほどご講演いただきます国立健康・栄養研究所の梅垣先生がお 話しいただきますけれども、厚生労働省と三者で協力いたしまして、健康食品による健 康被害の未然防止と拡大防止に向けてということでパンフレットを昨年度になるんです が作成いたしました。これちょっとご注意いただきたいのは、あくまでもお医者さん向 けにつくっているので、健康被害の可能性がこんなものがあると書いてありますから、 一般の方が見てしまうと、これ食べると危ないのね、なんていうことで単純に入ってこ られてしまうと非常に困るということもありまして、あくまでもお医者さん、それかも しくは皆様方のように一定の基礎知識を持った方に対してお配りしましょうということ でやっておりまして、一般の方への配布は行っておりません。ですので、この取扱いと いうのは十分注意していただきたいと思います。ただ、隠すものではないので、厚生労 働省のホームページのほうにも載せさせていただいているものになります。  中につきましてはお手空きのときに見ていただければ結構かと思うのですけれども、 先ほどの未然防止と拡大防止ということで、お医者さんのほうでも実は日本医師会が、 11ページ、12ページのところにあるんですけれども、診療現場からの情報収集、診療現 場への情報提供ということで、食品のシステムを、健康食品による健康被害の発生状況 の確認ということでデータベースをつくられておりまして、逆にここである程度情報が 引っかかってきた場合には私どものほうに情報がもたらされるということになっていす。 昨年までは実はこれ試行段階で、一部の地区の医師会にご協力をいただいてやっていた ものなのだそうでございますが、ことしから日本全国への運用開始をしたということで、 これから本格的に動くものなのかなというふうに思っております。  このパンフレットにつきましては医師会を通じまして、お医者さんだけではないんで すが、医師会関係者も含めて約17万部ほど日本全国に配布しているということもござい ますので、もしあれであればホームページには一応載せております。ですので、ホーム ページからコピーになってしまうんですが、入手することができると思います。皆様方 のほうにはせっかくの機会ですのできれいなものをということでお配りをさせていただ いているものになります。  消費者に対する普及啓発ということで、これ、じゃ、どうするかということで考えて おるわけなのですが、ここがまさに皆様方、アドバイザリースタッフと呼ばれる方を育 成していきましょうという考えになっておりまして、アドバイザリースタッフというも のどのようなものかといいますと、実は決して新しい話じゃなくて、新しいといえば新 しいのですが、平成14年2月21日に保健機能食品等に係るアドバイザリースタッフの養 成に関する基本的な考え方についてというものの通知を出させていただいております。 これに基づいてアドバイザリースタッフを運営していってくださいねということで、こ こから先ちょっとスライドがないと思います。これもホームページには載っています。 アドバイザリースタッフの習得すべき知識ですとか抑制方法、利用するに当たっての留 意事項なんていうのが定められているわけなのですけれども、これ実は本当にお恥ずか しい話で、平成14年に通知を出させていただいて、各認証団体がうちもアドバイザリー スタッフを養成しようということで動きを開始しまして、現在厚生労働科学研究費とい うもの、要するに研究費を用いて実態の調査というものをしておるんですが、日本全国 でアドバイザリースタッフの養成機関だというふうに名乗っている方々が大体20機関ぐ らいあるのかなと思っておりまして、その内容ですね、要するに習得すべき知識ですと か養成方法とか留意事項なんかを守って教育していただいている、養成していただいて いるところどのくらいあるのかなと調べてみますと、大体4カ所ぐらいしかないという こともございまして、検討会の中でもそこはちょっと問題になっていまして、お金だけ 払えばいわゆるアドバイザリースタッフとしての資格を得ることができる団体から、し っかりと大学の講義レベルで授業を受けて単位をとっていかないと駄目だというところ もあるということで、余りにも上と下との開きが大き過ぎるということがございまして、 アドバイザリースタッフのレベルの上を目指すとどこまでも上がっていってしまって際 限がなくなってしまうということで、じゃ、せめて下を決めましょうということで、最 低限どのようなことが必要なんですよというのをもう一度明確に示すことができればと いうことの考え方に基づいて動きを始めておりまして、21、22、23年の3カ年をもって 計画をしております。これを基に再度アドバイザリースタッフの考え方というものを再 構築できればというふうに考えているところでございまして、21年度から始めたところ、 非常に微妙なところかとは思うのですが、健康食品の表示に関する検討会、これは後ほ ど消費者庁の担当官のほうからご説明いただけるかと思うんですが、検討会が開催され ました。ご存じのことですので今さら隠してもしようがないのであれなのですが、いわ ゆるエコナの問題を契機としてどうなのだということで、あくまでも表示に関する検討 会とはなっているものの、表示だけではなくて健康食品の在り方を含めて検討していき ましょうということで、どういった問題がありますよという問題点とか論点を明らかに していきましょうという検討会になっておりまして、この中で目次があって、まずとり あえず許可特保云々とございまして、要するに先ほどラジオの話があった、ラジオが広 告に当たるかどうか、そこはちょっとまた別の話になってきてしまうのですが、食品の 表示、広告規制についてというもので、一番下にちょっと非常に読みづらいんですが、 さらに検討が必要な制度的な課題というものが示されておりまして、ここの特保のとこ ろはいいんですけれども、下のところ、ちょっと読みづらいんですけど、これ書いてあ るとおり消費者庁さんのホームページから私が勝手に許可なく持ってきてしまったもの なのですが、健康食品の表示の効果的な規制や適切な情報提供の仕組みをどうにかすべ きではないかと。要するに私どもの安全性検討会とほぼ同じような検討をすべきだとい うことが消費者庁さんの検討会の中でも議論として上っておりまして、つらつらとある のですが、制度の見直し云々というのがあるんですけれども、その中で一番下のところ、 エのところ、ここからここにかけてなんですけれども、機能性を表示した食品の有効性、 安全性に関する正確な情報を消費者に適切に提供するため、厚生労働省においてアドバ イザリースタッフの養成について検討が進められているところであり、これらの取組み とも連携し、医師会、薬剤師会、栄養士会との協力を得つつ、消費者に対し適切なアド バイスができる専門家の養成や科学的な知見に基づく情報を集約、提供する体制の整備 等について引き続き議論する必要があるとございまして、これ引き続き議論するという ことになっておりまして、これ消費者庁さんのほうから消費者委員会のほうに提出され たものでございます。今後、消費者委員会さんのほうで、別組織になっておりますので、 消費者委員会さんのほうで新たな検討が始まるとは思うのですが、厚生労働省の考え方 とほぼ同じような形で話が進んでおりまして、厚生労働省として今後どうしていくのか というのはもちろんあるのですけれども、消費者委員会さんで一括して行うのか、厚生 労働省で一括して行うのか、それとも個々に協力してやっていくのか、そこはやり方と してはいろいろ考えられると思うのですが、目指している方向性としてはもう少ししっ かりとやっていきましょうなんていう話になっております。私どもも先ほども申しまし たとおり、厚生労働科学研究の結果を含めて、より一層のアドバイザリースタッフの養 成というものに力を入れていければというふうに考えているところでございます。  これ1点注意いただきたいんですが、ここだけ抜粋しているとわけ分かりませんので、 ぜひ一度ここの消費者庁さんのホームページにアクセスしていただいて、この報告書最 初から最後まで一度ぜひ読んでいただきたい。余り分量が多いものではありません。10 ページ程度のものですので、A4、1枚でこの程度の量ですから、読もうと思えば10分 ぐらいあれば読めると思いますので、一度最初から最後まで通して読んでいただければ、 現在の健康食品の制度の方向性なんていうのもご理解いただけるのかなと思っておりま す。  最後に、健康食品等の情報について。これまた私たちが勝手につくったスライドです ね。実はこれ独立行政法人国立健康・栄養研究所のホームページを紹介させていただい ておるんです。後ほど梅垣先生のほうからご説明があると思います。一方的につくった ものなので何も了解を得ずにつくっているもので、間違いがあったら申しわけないので すけれども、ホームページの情報提供ということで、ここにありますとおりここのホー ムページで各健康食品については安全性等の客観的な情報を入手できるシステムという ものが立ち上がっておりまして、データベースが4つに大きく分かれておりまして、健 康食品の利用に関する基礎知識のところと、健康食品の安全性情報、あと被害関連情報、 話題の食品成分の科学情報、最後に健康食品の素材情報データベースなんていうのを定 めておりまして、一番皆さんがよく使うのはこの部分なのかもしれませんけれども、素 材ごとに、例えばコンドロイチンとはどんなものだとか、実際どういった文献が出てい る、先ほどちょっとご説明させていただいたのですが、健康食品を製造するに当たって 原材料のチェックが必要だと。原材料のチェックをするためには、まず文献ですとか過 去の被害情報なんかを集めてくださいということになっておりまして、ここに文献が載 っています。ただ、これあくまでもこういった文献がありますよということなので、各 メーカーさん、この中にも食品メーカーさんいらっしゃるようですけれども、ここを見 てオーケーだということではなくて、必ずご自身で内容をよく読んでいただいてご判断 をいただきたいというふうに考えております。  駆け足で健康食品の安全性ということで現在の置かれている健康食品とはということ で説明させていただくとともに、厚生労働省の健康食品の安全性確保についてどういっ た取組みを行っているかという点についてご説明させていただきました。非常に駆け足 になって右に左にとぶれてしまって申しわけなかったところではございますが、今後と もどうぞよろしくお願いいたします。これにて終わらせていただきます。どうもありが とうございました。 ○司会(大井)  続きまして、消費者庁食品表示課衛生調査官の芳賀より、「健康食品の制度と現状に つい」てご説明いたします。 ○芳賀調査官  本日はこのような機会にお集まりいただきありがとうございました。消費者庁の食品 表示課衛生調査官の芳賀と申します。本日は限られた時間で健康食品に係る制度の現状 について、ご説明させていただきます。時間が限られている中で非常にボリュームがあ る話の内容になりますので、分かりづらい点もあろうかと思いますが、後ほどの質疑応 答等も含めてよろしくお願いしたいと思います。  この後、私が45分の間でお話しさせていただくのは、こちらにお示ししたとおり、食 品表示制度の中でも特に健康増進法に係る表示制度で、今日のテーマに一番関係してい るのが健康食品の表示に関する検討会の中で取り上げられておりました保健機能食品制 度、主に特保を中心としたお話、それからそれらの広告も含めた健康食品等全体の虚偽 誇大広告の取締まりについてでございます。それから、これらの制度と密接に関係があ る栄養表示基準制度についても後半若干触れさせていただきます。  消費者庁は昨年9月1日に設置されてようやく1年ちょっとたったんですけれども、 消費者委員会という組織と最終的には全く行政的には別の組織になっておりまして、名 前が似ているんですけれども、全くの別の組織ということでそれぞれ独立して運営され ています。その中で、健康食品の表示に関して担当しているのがこちらにございます食 品表示課で、私が所属している組織になります。  ご覧いただければ分かるように、役所としては非常に小さな規模の役所でございまし て、どの分野も人員不足というのが非常に課題になっておりまして、通るかどうか分か りませんが、来年度の予算要求では主に人員増というのを要求しておりますので、うま く通ればもう少し充実した組織になろうかと思います。  食品表示制度が全て消費者庁に移管されて、今後一元的に進められるというのが1つ 消費者庁設置の大きな柱なわけですけれども、食品表示課はまさにこの食品表示制度の 3つの法律を担当しております。農林水産法からJAS法、それから厚生労働省から食 品衛生法と健康増進法。これらに関しては食品表示に関する条文のところだけ権限が消 費者庁に移管されましたので、それ以外の条文については引き続き厚生労働省と農林水 産省のほうで所管しておりまして、両省の共管ということで法律を運用しています。  この中で、今日お話しするのは健康増進法の表示ですので、例えば食品ラベルでいい ますと、義務ではないのですが、任意表示ということで栄養表示しようとする場合は決 まりに従って表示しなければいけないという部分ですね。今日説明からは外しますが、 こちらの一括表示欄と呼ばれるものは義務表示でして必ず販売に供する食品につき表示 しなければいけないものですが、こちらは食品衛生法とJAS法で規制されております。 こうした食品表示制度が今は3つの法律でそれぞれ規定されていて、これらを1つの食 品にのっかった形で食品表示がなされているわけですが、複雑で分かりにくいですとか、 法律を3つにまたがってるということからより分かりやすく、しかも効果的で消費者の ためになる、それから国際動向等にも十分ハーモナイゼーションされた仕組みが必要と いうことで、消費者庁では食品表示に関する一元的な法体系の在り方の検討をすすめて います。こちらの資料はワーキングチーム設置時の資料になりますので、構成員のチー ムリーダー等が今お代わりになられたりしておりますけれども、当初からこういった形 で食品表示の一元化というのを前提に現在の3つの食品表示の制度が運用、検討されて いるという状況にあります。  その中で、今日お話しする健康増進法に関係する部分ですと、ここの在り方の検討の (2)の現行制度の課題の把握というのがあるのですが、もともとこういったものが決まっ ていて、そうしたときに、方向性はこういう形でというときに、ちょうど先ほど松井専 門官のほうからお話があったエコナの問題を発端にした健康食品の表示制度に関する検 討ですとか、現行制度の課題が先行して行われてきたのは主に特保制度ということにな っております。ですが、今後こちらにお示ししているように、例えば栄養表示基準制度 についてですとか、それから遺伝子組み換え食品表示など、現行制度の1つ1つに関し て課題の把握、それから必要があれば検討し、一元化法に溶け込む際の在り方について 改めていくという流れの中にあります。今日お話しさせていただく特保を含む健康食品 等の表示規制に関してもこういったゴールがあって今課題の抽出と論点がまとまりまし たので、今後、論点整理の方向性に沿って制度改正、必要があれば法令改正等しながら 進められていくという流れの中にあります。  そうした中で、特に健康増進法で定められている表示の仕組みというのは、皆さんの お手元の資料ですと27ページの上に入っておりますが、ここでも一度出したほうが分か りやすいと思って今ちょっとコピーしたのですが、消費者の健康、食生活と食品の表示 ということで、健康増進法の目的にのっとって規定されている食品表示の制度を1枚の スライドに整理してみました。摂取対象者を中心に制度を整理してみると、特別用途食 品、健康増進法の第26条に規定されるものですが、病気の方用の病者用、それから特定 の特別の用途ということでえん下困難者、幼児用ですとか、粉ミルクなんかがここに入 りますけれども、こういった特別用途食品という制度があって、健康増進法はこの特別 用途食品の1つとして特保が位置づけてあります。他方、特保に関しては食品衛生法の 中でも保健機能食品、先ほど松井専門官のほうから説明がありました保健機能食品とし ても食品衛生法でさらに位置づけられておりまして、特定保健用食品、それから栄養機 能食品ということで、これらに関しては保健機能食品という取扱いで健康増進法と食品 衛生法と両方の法律で見ている状況にあります。特保に関しては個別審査で1つ1つ表 示許可がないといけない、それから栄養機能食品は決めた基準に従っていただければ自 己認証で表示していい。機能性の表示が法令上可能なのはこの2つの制度にのっとった 表示のみということになります。これらの制度にのっとらない表示に関しては全て法令 違反という整理になっておりますので、それらについてより明確に規定しているのは食 品衛生法のほうですね。健康増進法のほうでは許可を受けずに特別用途の表示をしては ならないという26条にぶら下がった条文がありますので、それらで機能性表示に関して は規制が行われている。  それから、対象者を限定せずに食品全体に関してその食品の栄養的な特徴を消費者の 人に分かりやすく見ていただき、食生活の役に立ててもらおうという制度が栄養表示基 準の制度になります。これに関しては昨年来消費者庁に健康増進法の表示が移管された 以降、日本人の食事摂取基準とこれは常に表裏一体となっておりまして、日本人の食事 摂取基準は厚生労働省が担当していますので、栄養表示基準を制度設計等何かいじろう とするときは必ず厚生労働省と協議して、国民の適正な栄養摂取の観点から栄養表示基 準をどうするべきかという観点で協議しつつ制度設計をするような法律の立てつけにな っております。  これらの表示制度に関しては国内的な話だけではなくて、国際的にも非常に議論がさ れておりまして、代表的なものはコーデックス委員会と呼ばれる食品規格の国際的な組 織ですけれども、日本も参加しておりますが、この委員会の中で食品表示に関する部会 や栄養に関する部会で日本が決めているこういった仕組みと同じようなことを国際的に も活発に議論されておりまして、表示に関するガイドライン等が作成されています。こ ういったものの土台になってる考え方はWHOが2004年に出している食事と運動と健康 に関する世界戦略でございまして、世界の公衆衛生上、食事と運動と健康に関してどの ように取組んでいくかということの実現に向けてコーデックスでも議論され、ここには 各国の栄養事情やら公衆衛生政策の成果やらがつぎ込まれて、日本もこういったところ に参加しながら日本の制度を決めていっているという仕組みになっています。  今日はまず最初にこの中で先般検討会が終了して論点整理の報告書がまとまりました ので、現在ちょうど論点整理の内容を実施すべく事務担当レベルでは改正の準備作業を 既に開始しておりますので、特定保健用食品等をめぐる機能性表示の課題と今後の方向 性についてお話しいたします。  検討会の論点整理の概要はこらちのスライドを見ていただければ全体が把握していた だけると思うんですけれども、これはカラーで大きいのが入手可能ですので、消費者庁 のホームページに入っていただけますとPDFでダウンロードできますので、どうぞご 興味のある方はダウンロードしてお手元に置いて活用していただければと思います。  今日私がお話しさせていただくスライドは全て消費者庁のホームページにほとんど消 費者庁作成の資料ということでアップしてあります。その関係で、ちょっと制度が複雑 なので、こういうプレゼンをするには少し字が細かくてご迷惑をおかけするのですけれ ども、特に内容の詳細についてご興味がある場合はホームページにカラー版のPDFが ありますので、そちらも併せてご利用いただければと思います。  この健康食品の表示等に関する論点整理の中で、ポイントが3つございます。まずは 検討のきっかけとなったのは特保制度の課題でしたので、制度上の運用、それから今後 に向けて制度設計上の課題が明らかにされつつあったということで、特保制度に関して の見直し。それからもう一つは健康食品等の表示広告規制の在り方についてですね。こ の2つ。さらにこちらの下のところに書いてありますが、先ほど松井専門官の話にもあ りましたアドバイザリースタッフ等に関して消費者にアドバイスできる専門家の養成や 体制ですね、こういったことに関してということで、論点整理の肝は3つです。特保の 話、それから取締まりの話、それから対消費者に対してのアドバイザリーの話というこ とで、その中で手続的に通知レベルですとか運用上の改正、それから例えばよりクリア に運用していくためにガイドラインをつくるですとか、比較的事務方のほうで仕事が進 むようなレベルのものは消費者庁が早急に取組むべき方策ということで整理されており ますので、これに関しては今担当レベルで下案を作成し、今後いろいろな動きをしてい く予定です。他方、健康増進法の改正も含む法律的な改正、それから少し枠組みの大き な仕組みづくりに関してはさらに消費者委員会においても議論いただき、そういったこ とも踏まえて全体的に制度の今後の体制を整備していくという流れになっています。  その中で特に特保の表示許可制度に関しての今後の取組みのポイントは3つです。ま ずは特保の表示許可手続の透明化を図るということで、例えば特保と許可を受けるとき は有効性、安全性に関して十分な書類の提出に基づく審査があるのですけれども、その 際のヒト試験の研究デザインの話ですとか、認められる有効性のレベルですとか、そう いったことをよりクリアに具体的にしていくべきということが出ています。それから、 特保の審査経緯に関しては議事録も含めて一部公開されているんですけれども、そうい った情報の範囲や審査の基準というのを統一しつつ、これまで以上に審査のプロセスが 分かるような情報公開の在り方というのを検討していき、取組みを進めていきます。そ れから、さらにこれまでの実績を踏まえて新たな特保の規格基準等の策定、制度の拡充 ですね、こういったことも検討していくということになっています。  それから、エコナの問題のときに1つ課題に上ったことであるのですけれども、特保 というのは一回許可を受けると、その後例えば再審査ですとか見直しという仕組みが今 ないんですね。科学の世界ですので、許可時には予想し得なかったこと、科学の進歩に より分かってきたことが、そういうのは新たな科学的知見という言い方になりますけれ ども、そういったものが生じたときに定期的に事業者に報告をしてもらって、必要に応 じて例えば表示内容の変更が必要であればそれを求められる仕組みですとか、そういっ た最新の知見に基づく許可の在り方というのを進めるべきという意見が出ています。  それから、特保はもともと表示広告の中で行われていて、例えば許可した表示を超え る広告は本来してはいけないんですけれども、そういったことに関しての課題もたくさ ん指摘されていますので、例えば特保の広告に関してのガイドラインの作成というのも 今後予定しております。それから、そもそも特保というのは表示の制度ですので、より 消費者の方に分かりやすく誤認されない制度をきちんと消費者の方に活用していただく ための表示の在り方をもう少し見直して、分かりやすく、かつ誤認を受けないような表 示というのをもう少し細かく決めていこうということで、こういったようなことを検討 課題として論点整理では整理されましたので、これに関しては今事務方レベルでそれぞ れ下案の作業を始めています。  それから、いろんな虚偽誇大広告も含めて、取締まっても取締まっても絶えず出てく る。実は消費者庁でこういった制度をやっている正職員の数は何人ぐらいだと思います か。私がさっき説明した健康増進法の表示に関してのラインの一応チーフをさせていた だいてるんですけれども、技官で専任は4人だけなんですね。その4人で特保の審査と 特別用途の審査と取締まりと栄養表示の運用と制度設計と検討会と、いわゆる健康増進 法の表示というので正規の専任スタッフは4人で、それに周辺のお仕事をしていただく バイトさんが数人いらしてという中でやっていますので、特に取締まりに関しては先月 まで専任の者がなかなか配置できずに、ようやく課内異動で1人、虚偽誇大の担当官を 1人増員して、やっと1人増えたという感じで、来年度はできれば2倍、3倍に人が増 えないと、皆様の期待にはこたえられないということで予算要求はしてるんですけれど も、そういう状況にあります。  そういった中で、できるだけほかの関連法律の部署と連携をとりながら、よりよい表 示広告規制を行っていくべきということで、こちらの論点整理で出ているのは、虚偽誇 大広告に関しては既に一度制度ができてからガイドラインが出てるいんですけれども、 もう少し具体的事例を出したりとか、自治体さんレベルではっきり判断しやすいような もっと具体性のあるガイドラインというのを求められておりますので、これに関しての ガイドラインも今後作成予定です。それから、消費者庁が担当している主な監視はイン ターネット監視、広域的な監視ですので、これらを強化する。それから、健康増進法以 外にも健康食品の悪い表示を取締まる法律というのはほかにも複数あって、そういった ものを適切に取締まるにはどの法律を運用したらいいかというのは必ずしも健康増進法 だけではないんですね。そういったものの連携や取組みの体制をより強化していくとい うことが予定されています。  そういった中で、この後出てきますが、薬事法違反に関して健康増進法違反との関連 で非常につながりが深いですので、今まで以上に厚生労働省の薬事法を所管する担当部 局との連携を強化していく。  それから、国だけが頑張っても、地方自治体の皆さんだけが頑張ってもなかなか悪い 広告は減りませんので、当事者である事業者、それからそういった広告を掲載したりす るメディア団体の方々の自主的な取組みにも、できるだけ国としても支援、協力させて いただきながら、業界、それから行政機関ともによりよき方向に行くようにという方向 性が示されています。  それから、取締まりを強化するだけではなかなか制度設計上偏りますので、ここの(3) として一定の機能性表示を認める仕組みの研究ということで、科学的知見が十分で日本 のこれまでの制度の経緯になじみ、かつ今後の方向性にそぐうものであれば、新たな機 能性表示を認める仕組みもあるべきではないかということで、それに向かった検討の第 一歩ということで研究事業の必要性というのを示されています。これに関しては来年度 の概算要求で機能性表示に関しての研究で予算要求しておりますので、通れば、成分レ ベルの話ですけれども、取組んでいく予定です。あとは消費者委員会で制度設計上の話 をさらにご議論いただくという方向性になっております。  ここは先ほど松井専門官のお話にあったので飛ばします。  特保を含む機能性表示の仕組みというのは、日本が世界に先駆けて第三次機能等の研 究も進めて、特保のような制度をつくったのは日本が非常に世界的には早かったような んですけれども、その後、世界的にもいろいろ広がりがあり、日本でも経済が低迷して る中、健康食品産業は上向きなようで、特保とその他の健康食品とあわせると大体2兆 円ぐらいの市場規模になっているようです。その一方で取締まりの対象となるようなも のも多くて、それらに関して今お話ししたところですけれども、少し今後の特保をめぐ る取組み、それから取締まりをめぐる取組み等について、健康食品の論点整理の報告書 のポイントとなる背景の話も含めて10分ぐらいでお話していきたいと思います。  先ほど松井専門官からお話もありましたが、論点整理の報告書そのものを一度通読し ていただくと、現状、それから方向性がご理解いただけるかと思いますので、ぜひそち らも目を通していただければと思います。  先ほどお話しした特保の許可手続の透明化に関しては、特に一番審査がフルコースな のは普通の特保なんですけれども、それ以外にこれまでの知見の充実で規格基準型とい うのが後からできたり、疾病リスク低減表示というのができたり、一部エビデンスレベ ルを下げた条件つき特保ができたりということで今4つの類型があります。この中で、 条件つき特保、それから規格基準型、疾病リスク低減、4つのうちの下3つは平成17年 に新たな形態の特保ということで後から追加されたものになっています。実は特保をめ ぐる動きでポイントなのは平成17年2月なんですね。この新しい類型を加えたこと、そ れからヒト試験に関しての世界的な水準の動きですとかいろいろございまして、特保の 審査がより通知の発出とともに科学的知見に基づくという部分が強化された年です。今、 特保の審査に要する資料として示されている通知等は平成17年2月に発出されているも ので、平成17年以降に審査された特保というのは、これ通知すごいページ数あるものを 1枚のスライドで要約したものなんですけれども、有効性の要件、安全性の要件、その 他の要件ということで特保の許可要件に関して詳しく通知の中で述べておりまして、今 回の検討会ではこの中で特に有効性の鍵になるヒト試験等に関してのより具体的な基準 を明らかにすべきというポイントが出ていますので、これらに関しては平成17年に出さ れた通知の今多分見直しになろうかと思うんですけれども、論点整理を受けてよりクリ アなものをということで下作業が始まっています。  それから、消費者庁に特保が移管されて表示許可手続の流れが少し変わっています。 これまでは厚生労働省の薬事・食品衛生審議会の下にあった調査会、部会等によるご審 議だったんですけれども、その部分が消費者委員会の調査会、部会、それから食品安全 委員会への諮問は今までどおりですね。さらに厚生労働省に、医薬品の表示に抵触しな いかという、特保は食品なので、薬事法違反にならないかということを最終段階に近い ときに厚生労働省の担当官のほうと協議をして、その確認もした上で許可試験をして、 消費者庁長官の許可ということになっています。この表示に関して薬事法担当部局との 協議というのは消費者庁の設置に伴い新たに健康増進法に加えられた条文になります。  それから、特保に関しては先ほどお話ししましたが審査過程での審査内容がそれぞれ のプロセスで同じような資料を何度も使って、そのたびにその書式の情報公開のルール にのっとって公表事項が決まっているんですけれども、これらを一連の流れとしてもう 少し分かりやすく公表できないかということが議論されておりまして、こういったこと に関しても今後取組みをしていく予定です。ですので、情報はこれまでよりもより多く 外に出るという方向にはなろうかと思います。ただ、知的財産の問題ですとかそういう 基本的なところは十分精査しながらということにはなります。  それから、もう一つの課題であった許可後に生じた新たな科学的知見の収集に関して は、特保の許可証の下には許可要件ということでこういう文章が入ってるいんですね。 当該食品の保健の効果または安全性につき、新たな知見を入手した際には遅滞なく消費 者庁食品表示課まで報告すること。これが消費者庁に移管される前は厚生労働省食品安 全部新開発食品保健対策室までとなっていたんですが、私が検討会に際してこれまでの 書類を見てみたところ、プラスの話で有効性が追加されましたという報告は1件見つけ たんですけれども、何かちょっとうまくない報告を見つけましたというのを事業者さん が自主的に報告した例というのはゼロでした。あった書類は国から求められて出しても らったやつとかそういったところで、こういったことをもうちょっときちんとしていこ う、例えば定期的にそういった条件に当てはまるレベルの知見が新たに加えられたら出 してもらうように、それは許可要件としてより強く定めていく方向にあります。こうい ったことに関しては健康増進法の関係条文にございますので、必要なときに法律を引い ていただければと思います。  それから、特保というのは表示の仕組みですので、先ほどお話ししたように、そもそ もこの表示が消費者にとって分かりやすく、しかも正確で誤認させないようにというこ とで、例えば表示させる項目ですとかそういったことは全て健康増進法の下にある内閣 府令等で細かく決めているんですけれども、これをもっとよりよくしていくべきだとい う方向にありますので、最後表示を見て消費者の方は買うわけですから、表示でできる 可能性を今後追求していって、より分かりやすい表示の仕組みになっていくかと思いま す。  それから、これは参考までにつけたのでご興味があれば後で見ていただければと思う んですが、特保の特徴は個別品の審査になりますので、同じような茶カテキンが入った お茶でもどういったことに関してのメカニズムで有効性の許可をとったかが違うんです ね。例えば、一番上のものだと、同じ茶カテキンなんですけれども、エネルギーとして 脂肪を消費しやすくするというと何かいっぱい流れてるCMと同じ文言ですぐ分かりま すね。消費しやすくする。これが運動と一緒にやるとより消費しやすくなった研究だっ たんですけれども、そういった場合は有効性の試験に基づいてこう書けるんですね。と ころが、もう一つの別なものは、また同じ茶カテキンでもコレステロールの吸収抑制と いうことで、吸収された後、肝臓とかでの話ではなくて、吸収されるときの腸管内での 話でメカニズムが明らかにされて保健の用途とってますので、一つ一つその事業者が何 と何に関してどういう知見を得た結果、許可を受けた表示は何というのは全部違うんで すね。そのときの有効性の目安となった1日摂取目安量と摂取の仕方もそれぞれ違いま すし、こういったことで1品1品違うので、別々の製品を横に並べてどれが効くかとか、 そういったのはたまに消費者の方からお問い合わせがあるんですけれども、実際上難し いですよね。一つ一つの話になりますので、そういった中で有効性が認められた範囲で 上手に食生活で利用していただきたいとしか言えないですね。こういった特徴がありま すので、アドバイザリーの方々にはぜひ1品1品の特性の違いというのを見ていただけ ればと思います。  特保に関しては表示許可を受けた範囲を超えて本当は広告しちゃいけないんですけれ ども、たまにそれを超えた広告があったりしますので、そういった場合は虚偽誇大広告 の取締まりの対象になって、実際行政指導レベルやそういったことでの取締まり対象と いうのもございますので、特保をとったからどういう広告を打ってもいいというわけで はないですね。そのときに、健康増進法よりはその広告だったら食品衛生法や景品表示 法や、場合によっては薬事法だとか、どの法律で見たら一番フィットするかというのを、 複数の法律を見ながら指導していくという体制にあります。  ガイドラインに関しては、これは虚偽誇大広告の判断基準として既に示されているガ イドラインなんですけれども、これとはまた別に特保の広告に限ったガイドラインを今 後作成して出していく予定です。  取締まりの話に移りますけれども、先ほど導入でお話ししましたが、虚偽誇大広告の 取締まりは、これまでは消費者庁の前は厚生労働省で、その下にある地方厚生局と一体 となってやって、個別の事案に関しては都道府県、保健所等、特別区等でやっていただ いてるという体制にあったんですが、ここの厚生労働省のところが消費者庁に代わって、 こちら側は今までどおりの体制ということに現在なっています。こういった中でより地 方自治体レベルでの指導がやりやすくなるように、今後いろいろ自治体の皆さんとも情 報交換しながらガイドライン等の作成等に取組んでいく予定です。  この虚偽誇大広告の取締まりは平成15年に改正健康増進法のときに併せて施行されて いるんですけれども、こういった中で消費者庁に移管されて、ちょうど制度ができてか ら一区切りの年数にもなりますし、今後方向性としては取締まりを強化する方向に。と 申しますのは、消費者庁というのは取締まりに関するセクションが非常に多いんですね。 特定商取引法だとか景品表示法だとか、それにJAS法も食品衛生法も取締まりがあり ますし、それに健康増進法ですので、数えただけでも最低5つは取締まりの法律を持っ ていて、消費者被害等に関しての取組みというのは強化される方向性にあります。  この中で、虚偽誇大広告の判断基準というのがなかなか難しい、法律の特性上難しい ところで、いろいろ取締まりをされている自治体さんではご苦労も多いと聞いているん ですけれども、できるだけクリアな方向に持っていく、判断基準等ですね、を今後して いく予定です。現在の取組み状況等で、明らかに見て違反なものはばんばん取締まって いただいて、そのときはなくなるんですけど、また似たようなものがどんどんぽこぽこ 出てきて、最近難しいのはボーダーラインのもの、そう見ると全部違反に見えちゃうけ れども、法的根拠ではそこまで言えないんじゃないのというので、虚偽誇大広告なので、 著しくなんですよ。ですので、一見見て、あれ、ちょっとおかしいなと思っても、丁寧 に見ると勧告を打てるほどの違反にならない可能性のものも多くて、でも他方消費者の 誤認は避けられない。そういったものに関しては行政指導のレベルで法律の目的に応じ て適宜改善していただく指導、それから悪質なものに関してはもっと厳しくというふう になるんですけれども、その辺をもう少し整理していく方向にあります。  インターネット広告に関しては、これまで年に1回一斉検索みたいなのをやっていた んですけど、消費者庁では今、年に4回、四半期に1回ずつ行うようにしていて、年中 通してインターネット監視をして、サイトの削除要請等しているところです。これらに 関しては今後も強化していく予定です。  その中でネット監視のときになんですけれども、直接商品の広告がなくても、例えば 買い物かごに入れるところと効果効能の話がセットになっていたりとか、それからリン クを張って深く入っていくと機能性の情報と商品情報がつながっていたりですとか、販 売のページに飛んだりですとか、こういったことを一つ一つ確認しながら指導の対象に なり得るかというのを判断してやっています。担当官が抽出したものをさらに目視して、 一度に500件ぐらいあるのですけれども、結構過酷な仕事ですが、こういうのを掲載し てるショッピングモールの大元に連絡して一斉に改善をお願いするというやり方をして います。  最近やりとりした中で多いのが、特許をとったからいいでしょうのが結構、これ昔か らあるんですけれども、特許取得と科学的根拠の程度というのは少し性質が違いますの で、特許をとってるからデータが証明されてオーケーということとは少し違うんですね。 これは過去に出されてる通知でも明文化してますので、ポイントの1つです。取締まり の際は、実は健康増進法よりは景品表示法のほうが表示是正を命ぜられる範囲というの は広いと言えます。。健康増進法というのはいざとなったときに非常に難しい法律でし て、景品表示法のほうが表示内容に対応した合理的根拠が提出できなければ違反と判断 されますので、今消費者庁ではうちの課の隣に表示対策課という課がございまして、景 品表示法を担当しています。本省が扱うような疑義案件に関しては景表法担当とうちと で協議しながら指導の方針を決めていることも多いので、健増法の32の3と景品表示法 というのはほとんど連動してやっている状態です。これは消費者庁に制度が移管された メリットの1つかなと思っています。  それから、薬事法との関係も厚生労働省との関係も強化するという方向にありまして、 違反性の判断の基準が健康増進法というのは実際取締まりをしていただいてる自治体の 方々はお悩みの種だと思うんですけれども、形式判断ではないんですね。総合的に判断 して著しくに値するかというところを見るんですけれども、薬事法というのは基本的に 形式的に判断ですので、薬事法違反として形式的にはっきりしたものは、場合によって は健康増進法で無理にいくよりは薬事法にお任せしたほうが法的根拠上はすっきりする というように案件もございますので、薬事法がカバーできないような分野に関しては、 例えば明らか食品ですね、見るからに薬とは思わないでしょうというものに関しては健 康増進法、場合によって景品表示法という形で取締まっていくということで、こういう 取締まり体制の強化、運用の効果的な在り方というのを目指して今動いておりますので、 いろいろご意見をお寄せいただいたのも含めてやっていく方向性になります。これは今 現在もこういった形で連携を深めながら個別案件は動いております。  実は消費者庁というのは健康食品というのを中心に整理してみると、ほとんどの課で 何らかの形で関わりがあるんですね。例えば被害者救済をしているセクションもあった り、特に財産被害の問題、それから健康被害については厚生労働省さんと連携して安全 課ですね、それから表示に関しては先ほど来お話ししてるうちの課と表示対策課、それ から販売方法、例えば健康食品で変な販売方法なんかしてると特定商取引法の違反でこ っちで見ることもありますし、そういった一連の問題を関係省庁と調整する政策調整課 というのもございます。消費者庁に健康食品についてのお電話が消費者の方からかかっ てきたときに、これらのどこをいわんとしてらっしゃるのかを判明するまでにかなり長 い時間を要する場合もあって、そういったことをできるだけ振り分けられるように、例 えば食品表示課では電話対応の専門のダイヤルさんというのを雇用しておりまして、そ ういった方々に丁寧に電話に出ていただいて、交通整理をした上でどこに回すかという のをやっていただいてる。消費者庁の食品表示課には今毎日交代で2人座っています。  そういったわけで、関係部局、団体との連携というのを今後はより強化していく。そ の中で特に、最初にお話ししましたが、行政だけが頑張ってもなかなか難しいですので、 事業者の皆さん、それから広告を掲載するメディアの皆さんにも自主的な取組みを今ま で以上に強化してもらって、自主広告ガイドラインをつくるですとか、そういったもの の作成や運用については国としても助言、支援をしていくべきということで論点整理さ れていますので、これらについても取組みを強化していく予定です。  それから、先ほどお話しした機能性の表示を認める仕組みの研究というのも来年度予 算が通ったら成分に関しての研究をまずは着手したいと考えております。  こちらのスライドは参考までにですので、ご存じの方もいらっしゃると思うんですけ れども、国が制度にのっけるときにその根拠の程度に関してどういう判断をするかとい うので科学的根拠のレベルというのが常に問われますけれども、例えばWHOで示して るような確実な根拠、それから、おそらく確実な根拠、可能性がある根拠、不十分な根 拠ですとか、こういった科学的知見の強さですね、こういったものに関してもいろいろ 研究しながら制度に組み込めるべき成分があるのか、あるとしたらどれなのか、それは どういった制度設計の中で組み込まれていくべきなのかという基礎になる研究を来年度 予算が通ったら着手する予定です。  それから、最後に消費者委員会で議論していただくのはここにお示ししたような、少 し体制に係る大きな話ですね。消費者庁で事務的な検討を細かくやっていて、消費者委 員会の議論で大きな話があってうまく並行するのかという質問よく受けるんですけれど も、制度を一回やめてやり直すわけではないので、常に動いてますので、早急にできる ものからどんどんした上で消費者委員会での結論を含めて消費者庁として最終的に判断 していくという流れになっています。  アドバイザリーの話は先ほど松井専門官のほうから出ましたので。  というわけで、機能性表示をめぐる話というのは主に検討会ではここの取扱いを中心 にやられているんですけれども、その周辺にある取締まりの強化ですとか、それから消 費者へのアドバイザリー、それから情報提供の仕組みですとかそういったことにも論点 が及んでいますので、そういったことを全体的に今後柔軟に対応していく努力を消費者 庁として取り組んでいく方向性にあります。  そうした中で、一元化法の課題にもう一つ上がっていたのが栄養表示基準なんですけ れども、平成8年に制度ができて以来取り巻く状況も変わって、大分世の中には栄養表 示してないものを探すほうが難しいぐらい、自己認証制度といいながらたくさんの商品 に表示していただいています。特に強調表示ですね、低いだとか入ってないだとか、そ ういうのをうまくすると消費者の方がどうも購買意欲が増すということで、競って、国 はこれを強化してやってくださいと一言も言ってないんですけれども、競ってトレンド があってやっていますけれども、こういったことに関しても消費者のそもそも栄養表示 基準の目的というのは健全な食生活の営みに対してきちんと役に立つ制度ということで すので、それを超えるような、誤認させるようなものに関しては消費者庁としても注視 しています。例えばカロリーハーフという表示が、これまでは比較的事業者さんのアピ ールしたい点だけが強調されているような表示も多かったんですけれども、どうも通知 の運用のされ方がばらばらでしたので、比較対象商品を明確に、しかもグラム単位で比 較したのか1食当たりで比較したのか、言葉だけに引っ張られて消費者の方が誤解しな いようにということで、通知は変えてないんですけど運用上の解釈を加える通知を出し ています。こういったことは今後も寄せられる疑義照会の多さに合わせて積極的にやっ ていきたいと思っております。  それから、この後梅垣先生のお話にも出てくるかと思いますが、自己認証制度の栄養 機能食品に関しては種々課題をいただいています。例えば、栄養機能食品として基準に 当てはまっているのはビタミンCだけなのに、その下にもっと違った最近消費者の人が 興味がわくような成分をくっつけて、さも全体が栄養機能食品であるかのようにですと か、それが行き過ぎるとやっぱり栄養機能食品としての在り方にも関わりますので、こ の栄養機能食品に関しては検討の余地ありというご意見が多数ありますので、制度設計 上、これ栄養表示制度の中にも入っていますし、保健機能食品としての位置づけもあり ますので、今後課題を整理してよりよき制度に見直しの対象になるかもしれないですね。 これは論点整理の中でも書かれていますし、一連の流れの中で当然検討される1つの課 題になろうかと思います。  あと、こういったことに関しては栄養素と表示基準値というのを定めて行っておりま して、日本人の食事摂取基準で示されている値を基に、表示のための基礎になる基準値 というのは決めているんですね。こういったことに関して今日本人の食事摂取基準が 2010年版になりましたので、基準値変わるんですかとお問い合わせも多いんですけれど も、表示のための基準値と摂取基準値との関係上、変えるほどの変更の必要性があるの かというのは今消費者庁で細かい計算をしながら検証しています。仮に栄養素と表示基 準値を変える場合は、事業者の皆さんは包材を非常に気にしてらっしゃるようなので、 対応可能な経過措置等当然設けつつ、今後検討した結果を出していくようになると思い ます。これに関しては特に生活習慣病に関係するような栄養成分に関しては今コーデッ クスでも、ちょうど今月、来月、チリで会議があるんですけれども主要議題になってお りまして、どうなっていくのかというのは今後動く課題になっています。  というわけで、健康や栄養に関する表示は機能性の表示に関して以外にも栄養素の基 礎的な表示も含めてあるんですけれども、例えばコーデックスのガイドラインの前文で はこういったことが言われていて、これはまさにこういった制度を所管する消費者庁が 求めるべき課題でもありますので、正確な、かつ科学的証拠の裏付けのしっかりしたも のに対して消費者の方の役に立つ制度の設計、それから運用というのを柔軟にしていく 方向性にありますので、行く行くは表示の一元化法の中で運用される制度になっていく 予定です。  ご清聴ありがとうございました。 ○司会(大井)  それでは、ここで約10分間の休憩とさせていただきます。再開は2時50分としますの で、それまでにお席にお戻りください。2時50分再開といたします。 (休  憩) ○司会(大井)  それでは、時間になりましたので、再開いたします。  健康食品の利用について、独立行政法人国立健康・栄養研究所情報センター長の梅垣 様よりご講演いただきます。 ○梅垣センター長  ただ今ご紹介いただきました独立行政法人国立健康・栄養研究所の梅垣と申します。 今日は私の話は健康食品の利用についてです。健康食品はだれでも自己判断で利用でき るものです。健康になろうとして使うわけです。そのときに一番問題になるのはやはり 害があってはいけないということ。その点について中心にご紹介したいと思います。  まず、不適切な製品の利用ということ。健康食品の中に違法に医薬品成分を入れたり、 全く効果がないのに病気に効く、がんに効くとか糖尿病に効くとか言ってるものがあり ます。そういう製品は利用してはいけないということです。  それから、まともな製品であっても食品で病気の治療、治癒ができるという科学的な データは実はないですね。だから、そのことも考えなきゃいけない。要するに病気の人 が病気の治療、治癒目的に健康食品を利用したときの問題点をご紹介します。  それから、健康食品は安全な健康食品でちゃんとしたものでも全ての人に安全なもの というのは実はない。摂る人によって問題を起こす場合もあります。例えば病気の人と かアレルギー体質の人が利用すると問題が起こる場合があります。この点についてご紹 介します。  それから、4番目は医薬品との併用。健康食品を医薬品と併用する人がいますけれど も、医薬品の効果がなくなったり、効き過ぎたりする場合が分かってきています。でも 実は正確にいうと分かってないというのが本当のところですけど、そういう問題点につ いて認識しておかなきゃいけないということです。  それから、保健機能食品の利用の考え方。特定保健用食品は国が認めたものだからと いうのでとても信頼されて使われるのですけれども、あくまでもこれは食品なんです。 ですから、どうやって使うかということを考えないとうまく使えない。せっかくちゃん としたものでも、健康被害を受けるまでにならなくても、例えばお金を無駄に使ってし まうということもあり得るわけです。どう考えればいいかということをご紹介します。  それから、いろんな情報が出ています。その情報の解釈の仕方、収集と解釈の仕方。  最後に、ここにいらっしゃる皆さんはアドバイザリースタッフとか専門職の方だと思 いますので、今後どういう点に対応すればいいかという課題についてご紹介したいと思 います。  それでは、まず不適切な製品の利用、要するに医薬品成分とか有害物質を含んでいる ものを利用すると、当然健康被害に結びつきます。こういうものについてご紹介します。  先ず健康被害を受けやすい健康食品。健康食品という定義がない。一般の人が思って いるような健康食品とはどういうものかというと、やはり錠剤、カプセルのものが多い です。特定成分を濃縮するということで、私たちは良いことを期待しますね。でも、当 然悪いことだって起こる可能性があるわけです。ある食品から抽出してきて、この成分 だけ濃縮したと思われていますけれども、有害物質も濃縮されている可能性があるわけ です。物事は両面あるということを考えていかなきゃいけない。そういう場合に錠剤、 カプセルというのは不純物が濃縮されていたり、特定の成分が過剰に入ってることがあ ります。思わぬ健康被害につながる可能性もあるということですね。要は特定成分が濃 縮された製品というのは当該成分を容易に摂取できるメリットがある。確かにこれはい いことですが、デメリットとして過剰摂取してしまうということもあります。  違法な製品はどういう特徴があるかというと、まず入手経路です。入手経路はインタ ーネットとか渡航先というのが非常に多い。私どもの研究所では、先ほど松井専門官が 紹介されました健康食品の安全性・有効性情報というのをつくっておりまして、ここに 違法製品情報を全部集めて公開しています。そのデータベースから全部データを一時期 抜き出してきまして、どういう特徴があるかというのを解析しています。そうすると、 インターネット、渡航先で購入したというのが違法製品を含むものとして非常に多いと いうことが明らかになりました。  それから、摘発される製品の半数以上は錠剤、カプセルですね。どういうことかとい うと、恐らく医薬品と勘違いさせるような商品の売り方をしていて、買うほうも医薬品 的な効果を期待している。この両面があることをこのデータは示していると考えていい と思います。違法に添加された医薬品成分は肥満抑制のシブトラミンが非常に多いです ね。最近1週間に1回ぐらい出ています。それから、N-ニトロソフェンフルラミン。 これは昔あった事例です。それから甲状腺粉末、エフェドリンやセンナの小葉。センナ というのは実は生薬で皆さんよく知っていらっしゃいますけれども、センノシドという のが入っているのは葉っぱの部分です。茎は食品として使っていいんです。しかし、茎 の部分にはセンノシドという活性成分はほとんど入っていないんです。だから食品とし て使ってもいい。一般の人はセンナという言葉だけで物事を判断しますけれども、中身 が違うということもあるということです。また、強壮・強精のシルデナフィルとかタダ ラフィルなどがとても多いです。海外でもこういう成分が入った製品が摘発されてます。 ですから、肥満とか強壮・強精関係の表示をしているものはあやしいものがあるかもし れない。特にインターネットで流通しているものはあやしいかもしれないと見てもいい と思います。また血糖関係でグリベンクラミド、これは血糖降下剤ですね。リウマチ関 係ではデキサメタゾンとかインドメタシンがよく入っている医薬品成分となっています。  海外からの違法な輸入品に注意するということで、これも健康・栄養研究所で出して るホームページからです。2008年2月6日に香港衛生署の情報を転載しました。ここに 青い枠のところありますが、ここをクリックしていただくとこの商品が出てきて、どん な商品かというのが消費者の人に具体的に分かるように情報提供しています。2008年2 月6日に出た香港の情報で、これは海外の情報だと我々も思っていたのですが、何と1 カ月以内に、広島、郡山、大阪市、それから埼玉で、同じ製品が摘発されました。です から、インターネットの時代で、健康食品は海外から容易に入ってきますから、海外の 情報だと思っていたら、これはもう大間違い。海外の製品がもう既に私たちの身近に来 ているということをやはり考えていかなきゃいけないという事例です。  それから、医薬品成分ではなくても有害物質が混入している事例があります。クロレ ラ製品というのはフェオホルバイドというのが入っている。これは光過敏症を起こすと いうのでよく知られてます。ですから健康食品をつくる製造業者さんはこれをチェック されています。Lトリプトファンによる好酸球増多筋痛症候群はアメリカでかなりの方 が亡くなったという事例。ゲルマニウム製品の中に入っていた酸化ゲルマニウムは、腎 毒性を起こすというのがよく分かっています。こういうものが入っている製品があるの です。またコンフリーの中に有害なアルカロイドが入っていたとか、インドのアーユル ヴェーダといって、インドの伝承医学といって、とても歴史があると宣伝している製品 に、実はヒ素や鉛が入ってるのが多いということで、アメリカやカナダで関連製品が摘 発されてます。ですから、名前だけで考えると問題だということです。またアガリクス の中に、キノコはカドミウムを濃縮する性質があります。天然自然のアガリクスという と、そういうものに限ってカドミウムを濃縮しているものがあると思います。ここのと ころも注意しなきゃいけないということです。イチョウ葉エキスの中にギンコール酸を 含むものがあります。ちゃんとしたメーカーさんはギンコール酸濃度をかなり下げてい るのですけが、全くそれを気にしないで作っているところもあります。健康食品という のはいいものもありますけれども、とんでもないものもあるということです。どれがい いか悪いかという、これをなかなか判断することができない。これらの点をきっちり評 価したのが、国が認めてる特定保健用食品になっているということですね。  天然、自然とアピールされているんですけれども、この中に有害なものがあります。 特異的な事例はアリストロキア酸を含む植物。アリストロキア属の植物というのはアリ ストロキア酸を含むことがよく知られています。日本の厚生労働省、それからアメリカ のFDAもこういう情報を出しています。これは腎毒性があって、さらに尿路系のがん を起こすことが知られています。いろんな種類のものがあります。日本で流通してるも のはそのようなものが使わないように、生薬でも使わないようになっているんですけれ ども、海外では2000年ぐらいまで使われていたという事例がありました。中国などに旅 行に行って袋小路のところの安売りしているところで製品を買ってきたら、ひょっとし たらこういうのが入ってるものがあるかもしれない。そこは分からないんですよね。入 っているかもしれないし入ってないかもしれない。そういう実態があいまいなのが、健 康食品の世界だと言っていいと思います。  それから、健康食品の特徴ですけれども、例えばここグルコサミンという商品があり ます。ここの表示のところを見ると多い順番に表示しなきゃいけないんですけれども、 グルコサミンが3番目に来てる。ということは、3番目に多いということなのです。な ぜグルコサミンと表示しているかというと、こう書けば売れるからです。当然買っても らわなきゃいけないですよね。そのため、こういうのでアピールしている、こういう表 示ができているということです。それから、いいというものをいろいろ入れてある。消 費者の人は自分がどこかで聞いたような成分が多く入っていればそれを買いますね。本 当にそれがいいかというと、実はそうではないということです。例えば20種類以上も含 まれていると消費者の人は得したように思うんですけれども、実は内容がよく分からな い、純度も分からない。それぞれの成分の純度も分からないということですね。中には 入っていると書いてあるけれど、測定するとほとんど検出できない、本当に微量しか入 ってないものもありますし、かなり入っているものもあります。何ミリグラムという量 で表示してなければ分からないのですよね。ドリンク剤で医薬部外品がありますね。そ れから、食品で類似したドリンクがあります。似たようなのがありますが、どこが違う かというと含有量が明確に違います。医薬部外品の場合は何ミリグラムと全部書いてあ ります。でも、健康食品の場合は成分表示だけです。普通の食品の場合は成分表示しか してないものがあります。要するに成分の純度とか含有量が明確なものが医薬品。それ が曖昧なものが食品なのです。食品でもちゃんと表示してあるものもあります。消費者 の人は、いろんな製品の見分け方というのを考えるときに、含有量がどれだけで何ミリ グラム入っているとかきっちり書いてある、要するに品質がしっかりしているものが安 心できるもの、1つの選択の目安だと考えていいと思います。それが先ほど松井専門官 が言われたようにGMP基準で作って品質をきっちりするという、そこですよね。そこ ができれば私たちはちゃんとした製品が入手できるのですけど、今のところはそこが統 一されていないということです。  一番の問題は健康食品と医薬品を併用される場合。これ成分の含有量が明確でなけれ ば有効とも安全とも言えないし、医薬品との相互作用があるともないとも言えないんで すよね。よく我々のところにこの健康食品とこの医薬品は相互作用起こしますかと聞か れるのですけれども、分かりません。なぜかというと、ここの含有量が明確でなければ 分からないですよね。それから、1つの成分だけだったら分かります。でも、20ぐらい 入っていたら、1つの医薬品と1つの健康食品の対応は20あるわけですよね。20の対応 で相互作用があるかないかは判断できないです。今の時点で例えば論文がなかったら、 これは今のところ相互作用の情報がないということで、相互作用がないとまでは言えな いということ、ここはやはり明確にしておかなきゃいけないと思います。  いろんなものを入れると有害な場合があります。例えばこれはピロリジジンアルカロ イドという成分。薬物代謝酵素はいろいろあるのですけれども、その中のCYP3A4といっ て、今市販の医薬品の半分ぐらいを代謝する肝臓の中の酵素があります。この代謝酵素 でこのアルカロイドが代謝されると核酸とかタンパク質に反応して有害な影響を起こす というのはよく分かっているんですね。そうすると、1つの商品の中にピロリジジンア ルカロイドを含む原材料と、肝臓の薬物代謝酵素CYP3A4を誘導してしまうような成分を 一緒に入れてしまうと、当然これ健康被害起こす可能性は高いというふうに考えられま すね。量にもよりますけど、こういう事例があるので、いろんな商品、作る側の人もい ろんな商品をいいと言われるものいっぱい入れていくと問題を起こす場合があります。 こういうところを認識してもらえばいいのですが、実はよく分かっていない。いいと言 われる成分を複数添加されてしまうというところがあります。このところも使うほうも 作るほうも認識していかなきゃいけないということだと思います。  それから、トリプトファンと好酸球増多筋痛症候群、1989年にアメリカでトリプトフ ァンを1グラムぐらい摂取してかなりの人が被害を受けました。37人が死亡したという 事例があります。実はこのトリプトファン製品の不純物は1%以下だと言われているん ですね。原因はまだよく分かってないのでが、1つは1%以下の異種化合物が入ってい たと言われています。それからトリプトファン自体をかなり多く摂取してた。普通の食 品から摂取するのと濃縮物から摂取するのと、血中濃度の上がり方、消化吸収のところ が違います。トリプトファンは日常摂取しているから安全だと思うのですが、どういう 形で摂ってるかによって考え方が違うわけですね。1%以下という相対的なレベルでは 低いかもしれませんけど、総量としては多い。普通の食品からは極めて微量でも濃縮し たら当然、不純物も濃縮され、1グラムレベルを含むトリプトファン製品として摂取す ると、総量としての有害物質量は多くなります。総量としては多いから、ひょっとした らそれが健康被害につながったかもしれないという可能性があるわけです。食品の場合 は大体イメージで対応されるのですが、摂取量、どの成分をどれだけの量で摂取したか、 どういう形で摂取したかということ、これが安全性を考える上で非常に重要なポイント になると思います。  製品の品質が非常に重要です。有害事象の評価のときに品質が重要になります。ある 製品で有害な影響が出たという判断基準は、例えば摂取を中止したらその症状が回復し たとか、もう一回摂取したら同じ症状が出たとか、それから既存のデータが既にあった かとか、です。でも一番重要なのは何かというと、表示されている成分が確かに含まれ ているかどうか、この品質のところです。論文データを見ても分からないと思います。 例えばこの製品の摂取を中止して症状が回復した、もう一回摂取したら再発した、これ で製品との関係は明確になります。この製品を摂取したら有害な影響が出るというのは 分かるのですが、その中のどの成分が有害影響に関係したかは分からないです。特に製 品中に20成分ほども入っていたら、20成分中のどの成分が有害影響に関係したかは判断 できないと思います。要するにその製品に何がどれだけ入っているかというのが、有害 影響を受けたときの判断に非常に重要なのです。  私たちはだいたい原材料の情報で、有効とか安全とか言っていますが、原材料の情報 と製品の情報は違います。なぜかというと、原材料の情報、例えばビタミンであれば、 かなりきれいなビタミンだと測定できれば判断できますので、これは信頼性が高いでし ょう。でも、製品として作っていくときに、あるビタミンだけでできているものはほと んどありません。いろんな成分を添加しています。そうすると、最終製品には私たちが 知っている成分の情報が適用できないことがあるわけです。例えば、人気があるビタミ ンCはいろいろ製品がありますが、ビタミンCを含むもので、100%がビタミンCの製 品と、ビタミンC以外に複数成分を添加した製品があります。私たちはその製品でビタ ミンCしか注目していませんが、他の成分もあるわけです。例えば、ある製品でアレル ギーを起こしたとします。その原因が本当に想定した成分かどうかというのを調べてみ たら、なんと賦形剤であったという事例もあります。ビタミン以外に加えられていたも のがアレルギーに関係したという事例なのです。製品を見るときに注目している原材料 だけで判断するというのは非常に危ない。判断を誤ってしまうということです。ですか ら最終製品でどうかというのを考えていかなきゃいけないということです。ちなみに特 定保健用食品は原材料で検討した情報でも審査されていますが、最終製品でどうなのか という点も審査されています。最終製品を摂取して、本当にその表示されている効果が 期待できるのかどうかが審査されているわけです。そういう意味ではまともというか、 健康食品の中ではかなり優れていると考えることができます。  病気の治療や治癒を目的にした利用、これが一番問題になります。健康食品の利用目 的というのを、3万人対象に実施した結果がありますが、病気の治療・治癒の目的の人 が6.4%います。ほとんどの人が健康の保持増進というのですが、病気の治療・治癒に 使う人もいます。食品で病気の治療、治癒の表示をしてはいけないのですが、なぜかと いうとその根拠がない。それを消費者の人が誤解している。この調査結果は、それでも 病気の治療、治癒に使おうとしている人がいるということです。この調査は健康な人が 対象ですが、病気の人では考え方が変わります。健康な人に聞くと、健康食品なんか使 っていませんと言われるんです。でも、その方達が病気になってくると考えが変わって くるのです。これは病気の人での調査した結果です。通院の人は病気の治療目的が11%、 入院患者ではというと38%にまで増えるわけです。私たちは健康であれば健康食品なん か要らないと思うし、そういう判断をしてしまいますが、病気になってしまうと考えが 変わりますね。ですから、健康食品を使っている人も、実はそういう心の変化があるこ と、そういうことも考えてアドバイザリースタッフの人は対応していくべきでしょう。 健康食品は要らないから効果がないからやめなさいというふうに言うのもいいかもしれ ませんけど、そう言うと大体黙って使うということになってしまいます。相手の気持ち を考えて対応しなきゃいけないということが言えると思います。  それの典型的なのが、がん患者さんです。がんの人はもう何もすることがないという 感じで言われてしまうと、何かしたいと考えます。がんの人は大体4割ぐらいは健康食 品を利用しているという調査結果があります。これは日本の調査結果ですね。そのとき にどう対応するかです。今のところ健康食品については、ここまでしか分かっていませ んよ、がんが治ったとか治療できたとかというのはないですよということを明確にしな きゃいけないと思います。使う人がそれらのことを認識していたら、それはいいわけで す。それを過大に解釈して期待させると問題を起こすということです。  これは、がんの補完代替医療ガイドブック。四国がんセンターと金沢医科大学がつく られたものです。これ非常によくできています。私どもの研究所のホームページでも転 載許可してもらっています。外部からの問い合わせで、がんのときはなかなか答えられ ないのでこれを見てくださいというふうにお伝えしています。  健康食品と医薬品はなぜ明確に区別しなきゃいけないかとこなんです。まず、食品で 病気の治療、治癒ができるという明確な科学的根拠があるかというと、実はありません。 食品というのは、いろんな成分からできています。今日つくったのと1カ月後につくっ たのと同じですかと聞いたら、違うものができていことが多々あるわけです。例えば、 病気の治療ができたという健康食品があったとします。その健康食品がどういうもので できて、同じもの、実際に病気の人に与えてものと同じ品質の製品が流通しているかと いうと、実は健康食品ではよく分からないです。特に原材料が天然物の場合は、産地、 収穫時期によって内容物が変わります。そのような素材を添加した製品で、病気が治療 できたということ、またどの成分が効果があったかを、きっちり科学的に特定できると いうのはほとんどできないと考えていいと思います。病気は自然に治るものもあるわけ です。また、たとえ必要な科学的な根拠があったとしても、消費者の人が安全で効果的 に利用できる環境が整備されているかというと、これだって実はないです。消費者の人 は、誰を頼りにして健康食品を利用しているかというと、インターネットか友人、知人 の情報ですね。私などもほとんど信用されてないと思います。調査によると、信頼でき る情報源は、ほとんどが友人、知人か親戚かインターネットとなっていて、専門職はほ とんど信用されていない、信頼されていないというか、情報源となっていないという調 査結果があるわけです。そういう状態ですから、たとえ信頼できる製品があったしても、 消費者の人が病気の治療、治癒とか医薬品的な効果を期待して利用して、本当に効果的 に利用できるかというと、今の状況では難しいと思います。  では、健康食品と医薬品のどこが違いますかとよく聞かれますが、ここへ示したポイ ント3つがあります。まず製品の品質です。医薬品は同じ品質のものが製造、流通する ようになっています。GMP基準で製造して品質が明確で有害物質が入らないようにな っています。では、健康食品はどうかというと、同じ名称でも全く品質の異なるものが 存在しています。GMP基準で不純物を除いてきっちり衛生管理をして製造していると ころもあるりますが、かなりいいかげんに製造しているところもあるわけです。どれが まともに作っているかという、その判断基準が健康食品にはいまのところないのです。 商品を見て、大手のメーカーが作っているからという、それぐらいしか私たちは選ぶ根 拠ないわけです。そういう意味で、松井専門官が言われたGMP基準、自主点検ガイド ラインとか求められているのです。そういうところが充実してきたら、この品質の点は、 ある程度改善はできると思いますが、今のところは分からないと考えていいと思います。  それから2番目、科学的根拠の質と量。医薬品は病気の人を対象として安全性、有効 性の試験を実施しています。病気の人を治さなきゃいけないということで病人を対象に した試験があります。一方、健康食品は病気の人を対象として試験は実施していません。 大体安全性試験だれが行われていますし、その対象者も健常者です。人で安全性試験を していること自体すごく立派な食品会社だと思うのですが、それでも病気の人を対象に した実験はしていないということです。言い換えたら、健康な人が健康食品を利用する 上では全然問題ないということですが、病気の人が利用したら何が起こるか分からない。 そのような、未知の部分が非常に多いというのが健康食品なのです。  それから利用環境。医薬品は医師、薬剤師により安全な利用環境が整備されています。 医師が薬を処方して薬剤師が患者さんに渡してダブルチェックをかけて、何か問題があ ったらこの薬は効かないとか、肝機能が悪化したからこれはやめようとか対応できる環 境ができています。健康食品はどうかというと、製品の選択利用は消費者の自由です。 摂取して、例えば肝機能が悪化しても、何が原因だったかわからなかった。結局、健康 食品その原因として疑われる事例だってあるわけです。ここの利用環境のところをもう 少し改善しなきゃいけない。その役割をもつのがアドバイザリースタッフです。そうい う人が働いていけば、健康食品問題はかなり改善していくと思います。でも現時点では 環境はできていません。今のところこの3つの問題点が健康食品と医薬品が違う。だか ら、健康食品を医薬品と誤認して病気の治療中に利用するというのもやめたほうがいい 断言していいと思います。  いろんな食品の表示についてです。先ほどお話がありましたが、特定保健用食品は 1991年にできました。2001年に栄養機能食品ができましたね。特保の拡充というのがあ りました。でも、食品と医薬品は明確に区別されています。制度上で混同されるような ことは絶対にないのです。ここはすごく重要です。食品はあくまでも食品であって、医 薬品とは違うということ、これをアドバイザリースタッフとか専門職が認識しておかな いと消費者の人は混乱します。ここのところは明確にしていただきたいと思います。  実は保健機能食品の表示の基本的な考え方というのが出されています。平成13年に出 ているのですけど、この7番目ですね。医薬品などと誤認しないように保健機能食品で ある旨を表示するとともに、疾病の診断、治療、予防に関わる表示をしてはならないこ ととなっています。ここは重要なところなのです。特定保健用食品、保健機能食品もあ くまでも食品です。栄養機能食品の中にビタミンを含むものもありますね。でも、どこ が医薬部外品などと違うかというと、栄養機能食品はあくまでも食品で、栄養素の補給、 補完に使うもので治療じゃないです。ビタミン剤で薬がありますが、これは治療で、成 分量も全然違います。そこのところを明確にしておかないと一般の人が非常に混乱する ということですね。アメリカのDSHEAといってDietary Supplement Health and Education Actというのが1994年に出ています。この中に、同じことが書いてあるんで す。これは日本語訳にした先生がいて、それを引用したのですが、病気を診断する、予 防するとかこういう表示は許されないとなっています。アメリカのダイエッタリーサプ リメントは錠剤、カプセルです。でも、普通の食品でもなくて医薬品でもない新しいカ テゴリーとして定義されている。要するに医薬品ではないということが明確になってい るということです。そしてダイエッタリーサプリメントはGMP基準、要するに適正製 造規範でつくるように、となっています。ですから、品質というのが国際的にもやはり 重要になってくるということです。  病者やアレルギー体質の人の利用は要注意ということをお話しします。これは栄養研 究所のデータベースに蓄積したデータを、ある時点で全部抜き出して再解析した結果で す。2007年12月に健康食品の原材料の有害事象を全部抜き出してきて、どういう特徴が あるかというのを調べました。そうすると、体質に関わるものが37%、それから長期過 剰摂取ですね、過剰に摂取すると健康被害を受けたというのが23%、医薬品との相互作 用が17%、病者の利用5%となっていました。体質に関わるものというのが多いという ことはこのデータからも言えますし、最近いろんな事例見るとアレルギーというのは健 康食品の有害事象で非常に多い。ですから、そのところを注意していかなきゃいけない ということがこのデータからも言えると思います。こういう状況で健康被害が起こる可 能性があるということで、全ての人に起こるわけじゃない。そのような可能性があると いうことを認識して、それを消費者の人に伝えれば、健康食品は安全に使うことができ ると思います。  アレルギーが多い素材というのは、ユーカリとか松樹皮抽出物、要するにピクノジェ ノールですね。プロポリス、ローヤルゼリー、サフラン、これら全部天然物なんですが、 天然物がアレルギーを起こしやすいというのが言えます。ただ、アレルギーは全ての人 の起こるわけではないです。特定の人に起こるわけです。ですから、みんなに起こると いうふうに思うと、消費者の人は非常に過敏になって、逆に怖がらなくていいものに怖 がってしまう場合もあります。誰が注意しなきゃいけないかということをアドバイザリ ースタッフ、専門家の人は認識していたほうがいい。それは誰かというと、既に何らか のアレルギー症状を経験した人、その人は特に注意したほうがいいということです。  それから、摂取していて、例えば発疹とかがもし出たとしたら、それはアレルギー症 状が出たわけですから、すぐに摂取を中止する。そうするとすぐに回復します。そうい う対応が必要だということを消費者の人に伝えていかなきゃいけないと思います。  病気の状況によってサプリメントが悪い場合もあります。ウコンというのは肝臓にい いと言われていて、ほとんどの人がよく知っています。実はウコンのいいという効果は 消化不良の改善で、これは明確になっているようです。肝臓にいいというのは、ウコン じゃなくてウコンの中の数%しかないクルクミンという成分で動物実験とかで結構示さ れています。ウコンとクルクミンの情報は違います。クルクミンという成分で実験をし たデータはありますけど、ウコンというのは天然物で産地によっても収穫時期によって も成分含量が違います。ですから、両者はイコールにはならないというここもポイント です。ここで言いたいのは、ウコンは胆道閉塞とか胆石の人は摂取禁忌という情報につ いてです。なぜかというと、ウコンは消化不良の改善にいい。胆嚢に作用して胆汁分泌 を促進するわけです。胆汁を出す出口が詰まっていたり、細くなっていたら、疼痛を誘 発します。だから、ウコンは胆石の人は摂取してはいけないという情報になっています。 人によって自分は胆石があるのだけど全然問題ないということを我々のところに電話し てくる人もいます。でも、病気のステージというのは人によって違います。それを誰が 知っているかというと、それは主治医の人が知っていると思います。だから、どうして も使いたいのだったら主治医の人に相談してほしい。黙って使うと何が原因で症状が悪 化したかとがわかりません。アドバイザリースタッフの人はそういう注意事項をぜひ伝 えてほしいと思います。  ウコンというのはかなりの人が摂取しており、摂取頻度が多いから有害事象も出てき やすいという関係もあると思いますが、ウコンで薬剤性肝障害を起こしたというのは結 構事例があります。C型慢性肝炎の人、肝臓の病気を持っている人が、ウコンが肝臓に いいといって摂取して健康被害を受ける場合もあります。こういう状況も注意したほう がいいと思います。よく知られているのはウコンの製品、ウコンじゃなくて複数の成分 が含まれるウコンの製品、要するに健康食品です。ウコンと表示してある健康食品の中 に鉄が多い製品があります。C型慢性肝炎の人は病院で鉄制限療法をしている。鉄が多 いと肝機能が落ちてきますから、だから病院で鉄制限をしているのですが、患者が医療 関係者に黙って鉄の多いウコンの製品を利用しているという事例もがあります。病院で 医療関係者が注意して治療しているのに、患者さんが勝手に外から変なものを持ってき て摂取しているという事例があります。こういうところもやはり注意していかなきゃい けないと思います。  それから、ビタミンCというのはほとんどの人に全く問題ないと思います。ビタミン Cの有害事象というのは下痢を起こすぐらいです。1日に3グラムぐらいとっても問題 ないと言われています。ただし、全ての人に問題がないのではなくて、腎機能が低下し ている人は問題です。ビタミンCを多くとると尿中に排泄されます。ですから、過剰症 も全く起こさない。でも、尿中に排泄する腎臓機能が正常に働かない人は問題を起こし ます。腎シュウ酸欠症を起こしたという事例があります。非常にまれです。この話を出 すと一般の人は、ビタミンCは危ないのではないかと思われますが、これは本当に特異 的な事例です。何が言いたいかというと、全ての人に安全なものはないという認識を持 つ、それから病気の人は何が起こるか分からないという認識を消費者の人に持ってもら う、そのようにして健康食品の話をしていかないと問題だということです。  国が認めている食品がいろいろありますが、製品と利用者の対応があるります。病者 用食品、これは病気の人が対象です。それから乳児用の調製粉乳というのは乳児です。 先ほどから話がありました特定保健用食品は、病気が気になった人で病気の人が対象で はありません。あくまでも健康な人、もしくは健康がちょっと気になる人です。ここが 重要なところです。栄養機能食品は誰が対象かというと、健全な食生活ができていない 人、要するにビタミン、ミネラルが十分とれていないような食事をしている人で、その 方達が補助的に使うものです。そういう意味で国が許可している。こういうところを理 解しておかないといけない。この商品は誰を対象に設計されているかというのを考えな いと、乱用されてしまう問題があることが、この表から言えると思います。  これは私のところで調査しました結果です。アメリカでは子どもがダイエッタリーサ プリメント、要するに濃縮物として30%から50%利用しています。日本でどうかという のを調べました。そうすると、小学校へ行く前の子どもの親御さんを対象に、錠剤、カ プセルとか濃縮物のいわゆるサプリメントを摂取させていますかと聞いたら、15%が使 っているという結果がでました。内容はビタミン、ミネラルが非常に多い。それから、 その他として魚油とかプロテインとかもあります。魚油が多いというのは、魚油をとれ ば頭がよくなるという情報があるからだと思います。どこの親も子どもを賢く健康に育 てたいという思いがあってこういうサプリメントを使っているということです。でも、 本当に子どもにサプリメントが必要かというと、恐らくまともな栄養関係の人は要らな いと言うでしょう。子どもは普通の食事からちゃんと食べる食習慣を身につけるという のが非常に重要です。もしビタミンとかミネラルが足りないのであれば、それは専門職 が指導して、先ずちゃんとした食事ができるようにする、もしくは本当に病気だったら 医療関係のところへ行って対応しなきゃいけない。普通の子どもは普通の食事をすると いうのが重要だと思います。  このアンケートの中で、利用している物に漢方薬というのがあります。アンケートし た対象者に書いてもらったそのまま出しているのですが、漢方薬は薬ですよね。回答し た人は、実は薬とサプリメントの違いが分かっていないということです。要するに薬と 健康食品の違いが分からなくなっている。最近、錠剤、カプセルの製品が多くなってき ました。形状では違いが分からなくなってきました。使っている人は恐らく医薬品的な 考えで使っているという、そういう誤解が出ているということです。  では、医薬品との併用の問題ということをご紹介します。健康食品と医薬品の相互作 用において最も問題となるのは健康食品の品質です。表示されている成分は本当に含ま れているのか。医薬品と医薬品の対応というのは今薬剤師が非常に注意するようになり ました。医薬品の場合はAという医薬品が5ミリグラム錠、片方は10ミリグラム錠、1 対1の対応がある。でも、健康食品の場合は20ぐらいの成分が入っていたとしたら、1 対20の対応があるわけです。だいたい健康食品をとられる人は複数の健康食品をとられ ていますから、4製品とか5製品とられています。そうすると、例えば1製品で20、全 部の対応考えると1対100程度の対応が出てきてしまう。それで本当に相互作用がある かどうか判断しろといわれても、それはできないです。科学的には全く無理だと思いま す。そういう問題があるということです。複数の成分が添加された製品は多くの対応が できてしまい、有害な影響が発現しても、その原因究明はほとんどできません。100の 対応があってどれが効いているか、問題があるかといった判断はできないです。  これは後で長村先生がご紹介されると思いますけれども、医薬品との相互作用です。 消化管の吸収の段階、もしくは肝臓の薬物代謝酵素のところなどで相互作用があります。 よく知られているのはセイヨウオトギリソウ。これは肝臓の薬物代謝酵素を誘導して薬 を効かなくしてしまうというよく知られている事例です。ただし、ここの相互作用につ いては実はほとんど分かっていないです。製品自体の実態も分かっていません。製品の 中にどれくらいの成分が入っているかというのも極めてあいまい。たとえこの成分が入 っていたとしてもほとんど相互作用を起こすかどうかという科学的なデータはありませ ん。我々のところに、この薬とこの健康食品で相互作用を起こしますかと聞かれるんで すけれども、データがないから分からない。今のところはそういう相互作用を起こすと いうデータはありませんから分かりませんと答えています。相互作用がないとは絶対言 えないんですよ。ここのところは重要です。専門職の人の中に、データを見てこれは相 互作用ありませんと言われる人いますが、実はこれは間違いです。相互作用があるかな いかというのは実は分からない。データがないから分からないわけです。データがあれ ば相互作用がないというのは分かりますけれども、データがないものについては分から ないと答えないと問題を起こす場合があります。ここのところも注意してほしいと思い ます。  パーキンソン病の治療薬でレボドパというのがあります。これは中性アミノ酸と消化 管の吸収のところで相互作用します。拮抗して吸収しにくくなるという事例があります。 普通の食品の中にも中性アミノ酸入っています。入っているけどなぜ、健康食品では問 題になるかというと、中性アミノ酸の総量が多いんです。錠剤、カプセルとか濃縮物で 摂取すると当然中性アミノ酸の摂取量も多い。ですから、薬と拮抗しやすいということ です。  それから、ビタミンKとワルファリンの相互作用については、薬剤師の人、栄養関係 の人は知っています。ビタミンKがワルファリンを効きにくくする。ビタミンですから、 ビタミンKは必要なものです。なくなると困る。じゃ、どれだけの量なら許容できるか、 ここが問題になってくる。ゼロにはできないということです。最近の事例では、ある一 定のビタミンKを摂取したほうがワルファリンの薬効をコントロールがしやすいという 情報もあります。我々はそのような新しい情報を収集していったほうがいい。一番重要 なのは、文献例だけで判断するのではなく、ワルファリンという薬は人によっても効き 方違うので、血液凝固の検査をするわけですから、そのときのビタミンKの摂取を一定 に維持しておいたほうがよいと思います。言い換えたら、極端に緑黄色野菜、青汁を飲 んだり納豆食べたり、これはやっぱりやめたほうがいいけれども、普通食べている野菜 とかそんなものだったら余り過剰に大量にとらなければそんな恐れることもない。でも、 重要なのは検査をするということ。これは病院でしています。そういうアドバイスを我 々はしていかないと、これは影響があるとかないとか断言してしまうと、きちんとした 医療ができなくなってしまいますし、食生活も偏ってしまいます。  それから、グレープフルーツジュースとフェロジピン、カルシウム拮抗薬、これもよ く知られています。実はこれややこしいのですが、この図はグレープフルーツジュース を飲ませた人、それからこちらはフラノクマリンというグレープフルーツジュース中の カルシウム拮抗薬との相互作用起こす成分を除いたグレープフルーツジュースです。こ のデータからグレープフルーツジュースの医薬品との相互作用を起こすのはフラノクマ リンであることを証明したデータです。この人たちはかなり血中濃度違います。AUC はかなり違います。でもこれは影響が大きかった人で、影響がない人もいるんです。み んなに影響が出るわけでもないんです。こういうところも知っておいた方がいいと思い ます。全ての人に影響が出るわけではないということ。ただ、基本的にはやはり影響は あるという、事態を考え、安全性を考慮して対応するのが必要です。こういうことを知 っていたらある程度は柔軟に対応できる。どうしてもグレープフルーツを食べたいとい う人への柔軟な対応ができます。例えば降圧剤を飲んでいて、グレープフルーツジュー スを飲むと、薬が効きすぎてふらつくとか、そういうことが起こるかもしれませんから、 気をつけて下さい、どうしても飲みたいのなら、そのような現象を想定して注意して飲 まれたらどうですかという、こういうアドバイスだって専門職だったらできると思いま す。これはいい、悪いってなかなかできない。基本は摂取しない方がいいんですが、そ ういうところも理解して対応していかないと、QOLがだんだん下がってきます。食べ るものがだんだんなくなってきます。基本は食べていい、飲んでいいというわけじゃな いのですが、こういうこともあり得るというのを知っていたら、消費者に対して柔軟に 対応することができるという事例と考えていいと思います。  薬はこういうふうに治療域のところでコントロールされています。これ血中濃度です。 健康食品自体は、そんな有害なものはほとんどないと思います。だけれども、なぜ影響 がでるかというと、薬は効果が強い、その薬の効果が増強したり減弱したりするわけで す。薬の血中濃度が上がり過ぎて中毒とか有害な影響をあらわすところまで行ってしま う、もしくは治療域から下がってしまうということです。これも一般的なことと思いま す。  複数の製品を利用することの問題と。だいたい健康食品を利用する人は3つ4つの製 品を利用されるので、非常に危ないということです。もし健康被害が出たときに何が原 因だったかという判断ができない。もしいい体感があり、消費者の人で利用したいとい う人もいるんです。それが、例えば4つ製品を利用していて健康被害を受けたら、どれ が原因だったか特定できない。4つとも全部やめなきゃいけないということになります よ。使用した製品の数が少なかったら、それだけやめればいい。そういう意味でも複数 の製品を利用するというのは一番危ないというふうに考えてといた方がいいと思います。 医薬品との組み合わせも先ほど言いましたように多くなる。健康食品間の相互作用によ り有害影響がひょっとしたらあるかもしれないです。これほとんど分からないです。そ ういうこともあるということです。複数の製品を摂取したときの有用性のデータもあり ません。1つの製品にたくさんの成分を添加したものが本当にいいかというそのデータ もないです。複数の製品を摂取して本当にいいのかという、このデータはないんです。 そういうことも考えると、いろんな製品を複数利用するというのは一番危ないし避けた ほうがいいんではないかなということが言えると思います。  次は、保健機能食品の考え方。先ほど来保健機能食品の話がありました。保健機能食 品でも誰がどのような目的でどのような製品を利用するかによって有害にも有益にもな るということです。例えば、保健機能食品で病気の治療・治癒を期待するのは間違いで す。目的が違います。栄養補給だったらいいです。そういうところを考えていかなきゃ いけない。世の中の人は効くのか効かないのか、安全か危険かどっちか言ってほしいと 言いますけれども、そういうものではないです。誰がどうやって使うかによってよくも なり悪くもなる。これを一般の人が判断できませんから、専門職の人がアドバイスしな きゃいけないということです。  ちなみに特定保健用食品の利用の考え方というのは、乱れた食生活の不安をいやす目 的での利用は問題です。こんな食生活をしているから、これを摂れば帳消しになるとい うことはありません。医薬品的な効果を期待するのはやはり問題。では、どうやって使 うかですね。現在の食生活を改善するきっかけとして、動機づけとして利用してほしい。 行動変容を起こすのはなかなか難しいですから、この商品を利用するのだからちょっと 運動しようとか、この商品を今日は飲むんだから糖質を制限しようとか、脂質を摂取す るのを抑えようとか、そういう考え方でいれば、トクホは全ての人に効果でます。確実 に出てきます。当たり前のことです。もう一つは、効果的な利用方法を実践する。要す るに表示されている方法で摂取すると表示されている効果が期待できるということです。 例えば、血糖値の上がりを抑えるという、上がりにくくするというトクホは、炭水化物 と摂取するといいわけですよね。でも、空腹時に飲んでも全然効果がないですね。そう いうことを考えると、ちゃんとした表示、食事とともにというふうに製品に書いてある 表示を見ながら利用するということ。それで表示されている効果が期待できる。この期 待できるが重要です。万民に効果が出るものというのは、これは医薬品並みです。万民 に効果が出るものは、使い方によっては危ない。効果が出過ぎてです。ですから、期待 できる程度というふうに考えておいたほうがいい。期待度は食品ですからそれほど強く ないはずです。でも、普通の食品としてふだんとっている製品と置き換えて使うと、そ んなに問題はないです。  この図のように血糖値が高めの方に適する食品で、この飲料を飲むと確かに血糖値の 上がりが抑えられている。でも、星がついているのは効く人と効かない人がいて、統計 処理したらそれなりに効いたと判断できるということです。この対象の人が、例えば20 %の糖質制限をしたら全ての人で血糖値の上がりが抑えられる。当たり前です。糖質の 摂取量が少ないんですから。そういうことを考えてほしいということです。また、空腹 時にとったら普通のお茶を飲んでも水を飲んでも同じだということ。糖質を摂取する人 がこの飲料を飲んでほしい、併用してほしいということです。これを飲んだから血糖値 に全然効果がないというわけじゃなくて、人によって効き方が違います。これを飲むの だったらちょっと糖質を減らそうという行動を変えるということに結びつけてほしいと いうことです。これが特定保健用食品の賢い利用方法になると思います。  栄養機能食品は規格基準型の食品で、必要な栄養成分の補給、補完、足りない栄養成 分を補うということですね。栄養成分は決まっています。法律で決まっていますから、 それを補うということです。この表示で認められているのはビタミンの12種類とミネラ ルの5種類についてです。ビタミン、ミネラルというのは科学的根拠が非常に多いとい うのは皆さんご存じですけれども、どういう根拠かというのを調べてみると、それは不 足している人が摂取した条件でいいという根拠です。だから、十分とっている人が摂取 しても余りいいことはないということです。ちなみに国民健康栄養調査でサプリメント というか濃縮物、健康食品を摂っているかどうかというが最近調査されています。どう いう人が摂っているかというと、実はふだんの食生活が非常に充実している人がさらに とっているという結果です。ですから、本当は、足りないとかいいかげんな食生活をし ている人にちゃんと摂ってほしいというのが、保健機能食品の本来の目的なんです。大 体健康食品とかサプリメントをとる人はかなり充実した食生活をしてる、という実態が あります。  習慣的な摂取量というのが食事摂取基準で出ています。この食事摂取基準の値という のは1日当たりで出ていますが、習慣的な摂取量で、実は1カ月単位を1日当たりに直 したようなものです。ですから、例えば今日の食事で不足していても、明日か明後日で その不足分を補えばいいという、そういう考え方です。ビタミン、ミネラルを毎日基準 量でとらなきゃいけないという考え方ではないのです。ということは、普通の食事でで きるだけ対応するというのが基本だということ。それでもできなければ補足的にビタミ ン、ミネラルを補給すればいいという、そういうことが言えるのです。  ちなみに耐用上限量、これは有害な影響が出る可能性のある量ですけれども、レバー を多少食べた場合はすぐにこの耐用上限量超えてしまいます。1回摂取したら。でもこ れは1回だけです。毎日レバー食べる人いませんから、絶対に平均的にはここは超えま せん。ここが重要で、習慣的な摂取量というのを理解していただきたいと思います。  栄養機能食品は先ほど話がありましたけれども、栄養機能食品(カルシウム)と書い てあっても、中にイソフラボン入れたりブルーベリー入れたり、ポリフェノール入れた りしています。この天然物が栄養機能食品の表示成分はは違うんです。このところも注 意したほうがいいと思います。保健機能食品はあくまでも食品です。例えば3種類のヨ ーグルトがあったらあなたはどれを買いますか、という選択基準が示されているもので す。おなかの調子をちょっと整えたいというのだったら、じゃ、このヨーグルトを選び ましょう、でも私はおいしいのが好きだから普通のヨーグルトでもいいとか、カルシウ ムが気になり、(カルシウム)と書いていたらカルシウムの補給、補完に利用できる製 品を選ぶなど、と考える。要するに食品の基本は安全でおいしいもので価格も重要。そ ういう選択基準が示しているだけだということで、あくまでも食品で選択基準が示され ている表示だということを理解して対応していただきたいと思います。  情報の収集と解釈。大体食品はイメージでとられている。これは後で長村先生の話が ありますけど、天然だったら安全、化学合成が危険とありますけど、これも調べてみな きゃ分からないですよね、それから、特定成分の摂取量が考慮されてない。微量であれ ば何の効果もないし、多く含まれていたら安全性が心配される。食品であっても多量に 摂取したら問題になります。  原材料の情報と商品の情報は違う。原材料の情報はきれいなものを大体使って実験し ている。製品にその実験で利用したものと同じものが入っているかというと、これ分か らないです。製品でどうかというのを私たちは見ていかなきゃいけないということです。 先ほどのウコンの製品でもそうですね。ウコン素材に鉄が多いというのではなくて、製 品の中に鉄が多いという見方をしないと情報を正しく判断できなくなります。製品全体 として考えるということ。特保はこの製品で評価されているというのが実態です。  これはβカロテンによる肺がん発症率の増加という事例です。βカロテンは濃縮物と して摂取するとがん化しやすい人がもっとがん化しやすいというデータがあるんです。 ただ、これは濃縮物の話です。野菜とか果物で摂取しても血中濃度はほとんど0.3マイ クロモルかこの辺ぐらいしか上がらないです。でも、濃縮物として摂取すると、普通あ り得ないような血液中濃度になるわけです。だから、特定成分を摂取するというサプリ メントは効率的ですけれども、過剰に摂取して血中濃度が普通あり得ないような状況に なってくるということ。野菜とか果物、普通の食材の情報とサプリメントで摂取したと きの情報はやっぱり違うということも考えていっていただきたいと思います。  そういう意味で、横軸は摂取量で縦軸は生体影響。レバーとかはビタミンAが多いか ら、多く摂取すると当然有効な効果は出てきますけど、過剰症という有害な影響も出る んです。なぜ普通の食品で問題ないかというと、味とか香りとか容積ありますから、好 きでも毎日レバー食べる人いません。ですから、バランスよく食べるというのが要する に安全で、特定の成分が多くなったり特定の成分が少なくなったりすることがないとい うことです。ここは基本だということです。ただ、錠剤、カプセルが悪いのではなくて、 うまく使えばよい。例えば食べられない人が世の中いますから、そういう人が使うとい い効果があるだろうということ。要するに誰がどうやって使うかというところが重要な ポイントなんです。基本は普通の食材から必用なものをとる。錠剤、カプセルのものは ちゃんと安全に使えるかどうか製品を見極めて使っていくというのが重要と、そういう ふうに考えていったほうがいいと思います。そういう情報を先ほど紹介していただきま したここのホームページで見てください。  この項目は有効性に関する根拠がないことを示す、要するに乱用の防止ということを しています。それから、有害情報の詳細を示すことで類似した健康被害を防ぐ。それか ら、健康食品の実態、国の保健機能食品制度です。いいものはちゃんと理解すれば本当 にいいものなんですよ。そういうことを広めていきたいと思っています。  この情報では「俗に」と書いてあります。専門職にしたら、よく分かっているのに何 で「俗に」と書くんだと思われる。しかし、この情報を見る人のことを考えると、控え 目に書いておかないと拡大解釈されるということがあるのでこういう書き方をしていま す。重要なのは、誰が何をどれだけの量と期間摂取してどのような生体影響を受けたと いうそういう情報で見ないと拡大解釈します。中には風評被害を起こす場合もあります。 ですから、具体的なことを専門職の人は見てほしいと思います。効果があったかなかっ たかじゃない、誰が何をどうやってどれだけの期間摂取してどうなったかと。これは有 効性でも有害性でも同じです。そういう情報の書き方をしています。  これはリポ酸の情報。リポ酸でインスリン自己免疫症候群を起こしたという事例で、 これは日本人で非常に多いです。海外では余りないです。日本人ではこういうインスリ ン自己免疫症候群を起こすタイプの人が8%ぐらいいるといわれています。海外では1 %ぐらいなんです。こういうことも、全ての人に起こるわけではなくて、使う人によっ ては起こり得るということも知っておけば安全に使えるわけです。予めこういう症状が 起きますよというのを伝えとけばいいということですね。  あと、ローヤルゼリー、これはアレルギーを起こすものがあります。これは1つの事 例です。ある人が生のローヤルゼリーを摂取していたら腹痛を起こして、出血性の大腸 炎と診断されたという事例です。ローヤルゼリーをとっている人全ての人に有害な影響 が起こるわけじゃなくて、こういう人も中にいる。だから、使う人に予め私たちが知っ ている情報を渡しておけば、そういう症状が出たときにすぐにその健康食品をやめるこ とができて、重篤な症状になることはないということです。専門職の人はこういう情報 をできるだけ見て、相談されたときは我々のデータベースを見てチェックしてほしいと 思います。  ビタミンC、ビタミンEと運動の関係ということで、ビタミンC、ビタミンEをとる と運動のときに非常にいいというふうに言っています。けれども、実は多くとり過ぎる と運動が本来持っているインスリンの抵抗性の改善とかという作用がなくなってしまう んです。この情報から、ビタミンC、ビタミンEは駄目なんですねと言う人がいますけ ど、そうではなくて、要は過剰摂取したことが問題。適量は問題ない。ここも考えてい かないと、物事を両極端に判断するというのは問題です。  健康食品の問題点と対応ということで、1つは製品自体の品質の問題がありますね。 それから、利用者側の問題があります。ここに影響しているのは情報の氾濫です。きっ ちりした情報を消費者の方に渡していかなきゃいけない。科学的な情報を提供するとい うことで我々は今対応しているところです。  専門職の人がどういう製品が利用されていてというのを確認していかないといけない と思います。何が起こっているか分からないですし、健康食品で有害事例があったとい うのは分からないのです。あるかもしれないし、ないかもしれない。そこのところを専 門職の人は注意深く見ていっていただきたいと思います。そういう情報を集めていって、 1例でも集めて蓄積していけば、将来の健康被害の防止につながります。できるだけ専 門職の人が現場でそういう問題点とかを把握し、例えば問題があったら、厚生労働省に 情報を、保健所を介して上げるとかというふうになってくれば、ちゃんとしたものはち ゃんと使えるようになってくる状況が出てくると思います。  あとはリスクコミュニケーションが重要。これは後で長村先生がお話しになると思い ますが、消費者と専門職のコミュニケーションが余りうまくできていないです。ここの ところをうまくしていけば、健康食品というのは全部悪いわけではない、でも、全部い いわけでもない。いいものをうまくどうやって使うかというのが見えてくるように思い ます。  サプリメントや健康食品で考えることは、これはいいとか悪いとか言わなくて、使う 人の立場で考えていかない。健康食品は根拠がないからやめなさいと言うと黙って使わ れてしまうわけです。そういうことで潜在的な健康被害が出る可能性があります。うま くコミュニケーションをとっていくというのが重要だと思います。我々のところによく 電話かかってくるんですけれども、大体話を聞いてあげれば納得しますよ。でも、これ は駄目ですよと言ったらそこで話終わってしまって、多分黙って使われるのでしょう。 黙って使われることのほうが医療関係では問題ですから、そこのところのコミュニケー ションを充実するというのが重要だと思います。  これは健康の保持、増進の全体像。ちゃんとした食生活、休養、運動、これが健康の 保持、増進の中心です。こういうところを考えていかなきゃいけないということです。 健康食品は多様であるが、あくまでも食品の1つ、薬ではないということ、ここが重要 です。あとメリット、デメリット両面あります。ですから補助的に使う。健康食品が主 体になっては、これはおかしいです。補助的に使うというのが重要です。それから、ど うしても利用したいという人がいらっしゃるんですね。そういう人にどう言うかという と、利用したときには状況を記録とってくださいということ。記録をとって何もなかっ たらそれはいいかもしれないし、もし何かがあったらその記録を基に医療関係のところ へ行けば、それが原因だったのかどうかというのが推定できる。思い込みにより健康食 品で害を受けたと言われても、いろんな要因ありますから分からないです。そのところ を記録をとる。要するに自己管理です。そういうところも一般の人に伝えていかなきゃ いけないと思います。  以上です。どうもありがとうございました。 ○司会(大井)  ありがとうございました。  続きまして、「消費者への情報提供のポイントについて」、鈴鹿医療科学大学教授、 長村様からご講演いただきます。 ○長村教授  ただ今紹介にあずかりました長村と申します。  まず、結論から申し上げますけれども、今やはり健康食品をめぐる日本の社会的な状 況というのは非常に大きな混乱状態にあると思います。それは行政がどうしてもやらな くてはいけない規制というのと、それから現実にある流通しているものもあれば、研究 段階にあるものもありますが、健康食品なるものの中にやはり有効性があるものが実際 にある。そのはざ間というのを文章で一定の法律の基準の中で整合性を持たせて日本の 社会の中に動いていく状態にするというのはほとんど多分不可能に近いと思います。そ うすると、そこの間を埋めることのできるやっぱりいろいろな解釈のできる人の介在が 必要だと思います。それを僕は今日の結論にさせていただきます。  消費者への情報提供において非常に大切なことというのは、1は情報伝達者が健康食 品に関して問題点を十分把握してること、これがなかったら結局アドバイスということ はできないわけであります。それから、消費者の理解力と心理を理解すること。これが 意外に、いわゆる皆様方のように健康食品そのものに既に関心を持って動いておられる 方と、それからいわゆる一般消費者、テレビを見てわーっとすぐ0120の電話をかけ てしまう、そういった人たちの心理がどれぐらいの状態にあるか。それは心理の問題、 これは上手にテレビになんかではコマーシャルで販売をするというメソッドの問題もあ るんですが、やはり基本的に持っておられる知識というものが非常に僕は重要だと思っ ております。そして、消費者が正しい情報を受け取るシステムの構築。これが結局最初 に申し上げました、要するに現実に行政としてはどうしてもやらなくてはいけない規制、 そして流通している商品が持っている性能、そういうところの間をいかに正しく埋めて いくかという、そういう人の介在をどうしていったらいいかというところの話になるか と思います。  まず、情報伝達者が健康食品に関して問題点を把握してること、これ非常に重要なこ とになるわけでありますが、この点に関しましては今梅垣先生が非常に詳細にかついろ いろな例を挙げてお話しになられましたので、僕のほうも重複している点もございます ので、できるだけ超スピードで話しをさせていただこうと思います。  まず、健康食品は消費者にとってどのような内在させているか。僕は大きな問題点と いうのは3つあるというふうに見ております。1つは有効性の表示がどうだろうか。こ れは先ほどからの問題になっております。それから品質について。これも梅垣先生も結 構大きく問題にしておられました。それから、医薬品との相互作用、これも非常に大き な問題であります。ここら辺に関する理解というものを総合的にまずしなければいけな い。要するに一般の方に情報を伝えようとするときには、この3点についてやはりしっ かりとした知識を持った方がいないといけないというふうに理解しております。  まず、有効性表示の問題でありますが、有効性表示が一体一般社会ではどのようにな されてるか。その前にちょっと1つあれなんですが、これは松井さんも最初のときに示 されましたが、検討会の報告書に出ている健康食品の定義でありますが、広く健康の保 持増進に資する食品として販売・利用されるもの全般を指しているということなんです が、健康の保持増進に資する食品というのは豚肉もホウレンソウもニンジンもみんな一 緒になるわけですから、これはある意味での単純な食品の定義をしてるわけです。だけ ど、健康食品と言われたら分かるでしょうと言われる部分をこういう紫色のこういった 形で表示してるわけです。ということは、厚生労働省辺りから見ても明確な定義がない、 健康食品には。まずこの大前提が必要であります。残念ながら日本は健康食品関係に関 して非常に定義が弱い部分があると思います。いわゆる現在約2兆円と言われてる市場 のうち国が認めている特保と該当するものは7,000億ぐらいの売り上げであるわけです。 そして、残りの1兆3,000億というのが豚肉、ニンジンなんかと一緒の意味で売られて いるいわゆる健康食品になっちゃってるわけです。ところが、お隣の中国、韓国、台湾、 こういうところはもう少しいわゆる健康食品という部分に関してちゃんとした定義を持 って動いております。ここら辺のところは、僕は残念ながら日本は少し遅れているとい うふうに感じております。  食品は健康を維持する機能を有しております。これは有名な生命維持のための一次機 能、いわゆる栄養素が持っている生命維持に果たす機能。それから、感覚に訴える、こ んにゃくの刺身が非常においしかったり、1杯のコーヒーが気分をさわやかにさせたり と、こういったような感覚的な問題。それから、ニンニクを食べると大変調子がよくな るよ。そうすると、そこにはニンニクの中のアリミンという成分があります。そういっ た食品中に共存する物質が体調機能の調節にあずかる。ここのところがかなり健康食品 と言われている部分で用いられているところかと思います。  ところが、薬事法の観点からはこういった3つの機能というのは明確に食品という範 疇であるわけですが、薬事法に基づいた46通知というのがあります。この46通知と いうのは先ほどあれにありましたけれども、昭和46年に出された通知ということでもあ ります。こういうことですが、この46通知にはこういう非常に厳しい言葉があります。 「貴管下関係業者に対して、遺憾のないように指導取締りを行なわれたい」、それから 「薬事法及びその他の関連法令に基づき、告発等の厳重な措置を講じられたいこと」。 どういうものに対してかといいますと、例えば疾病の治療または予防を目的とする効能 効果の書いたこういったようなこと、それから身体組織の機能の一般的増強、増進を主 たる目的、これ全部医薬品に該当するわけですから、決してこれがおかしな行為でない のは確かなんです。だけど、今見てみますと、厳密な意味で最近のテレビ、新聞等に広 告されているいわゆる健康食品を見ますと、大半がこの46通知に引っかかっている。 ただ、レベルによって見過ごされているというのと、先ほど芳賀さんなんかのあれでも そうですが、専門官が、いわゆる関係官庁の専門の人たちが少なすぎるという現状もあ るかと思います。それが若干こういうことをやってる業者の方には幸運なことであるの かもしれないんですが、だんだん変わってくるかもしれません。  例えば、この食品はビタミンCを多量に含んでますから壊血病の予防に役立ちます。 これはビタミンCの壊血病なんていうのは中学の理科の教科書に書いてあります。です からほとんど国民周知の事実といってもいい。それから、シジミの中のタウリン、タウ リンは医薬品として肝機能にいいというのも使われてるわけです。それから、例えば血 糖降下作用は医者も認めています。実際に測定して効果があった。ある食品をとって。 そういう食品は実際あるわけです。蚕のウジムシをすりつぶしたままのやつなんかでも、 桑の葉っぱに入ってる成分、やっぱり血糖の上昇抑制、アルファグルコシダーゼの阻害 効果があって実際にあります。これを実際に医師で勧めておられる方がうちの科員から の情報なんかで随分入ってて問題点ありませんかとかいう問い合わせがあったりするん ですが、実際のデータは、そこで示されてる医師から送られてきたデータなんか見ます と本当に確かに効いてるなというイメージがありますけれども、やっぱり駄目なわけで す。栄養学的には極めて明白な事実であっても、この表記は全部薬事法違反になる。で も、今言ったような医師が実際に使ってみて、ある程度害もなくて調子のいいというよ うなものもある。そういったところをどのように穴埋めをしていくかということが非常 に大きな問題であると思います。  本当に効果があるのかというところで、広告は注意して見ないといけない。まずはタ レントを使用して非常に効果があるかのように見せる。それから派手な体験談。それか らもっともらしい学問的裏付け。学者による権威付け。例えばタレントを使う。こうい うきれいな人が「私はこんなに効果があります」とか、体験談、これ1カ月でマイナス 10キロ。最初のときの松井さんのお話にもありましたが、先週の東京のときには1カ月 で48キロ、もうこれは本当にむちゃくちゃな話でありますが、1カ月でマイナス10キロ で、6カ月でゼロになります、60キロの人は。本当に結局ダイエット食品では骨つぼに 入っちゃった人も何人も見えるわけです。やっぱり効果がある、体験談でつられて効か なかった人はいいんですけど、効いた人は今度逆に危なかったというケースがダイエッ ト食品の場合非常にたくさんあります。それから、化学名があると有効性が強いかのよ うに思う。それから、これえらい大学の先生が「青パパイヤしかない」、こういう大学 の先生が推奨しておられますよと、こういうようなこと。  それから、本当に効果があるのか。やっぱり動物で有効であるということと人間に有 効であるということは大きく違っております。こういう臨床体験を述べたような本が出 ている。アガリクス、実際調べてみますとちゃんと書いてあります。がん細胞の縮小や 消失などがんの抑制効果に関しては多数の研究結果が報告されている、こう書いてあり ます。多数の研究結果が報告されてるんならいいじゃないかということなんですが、確 かに論文はたくさんあるんですが、これらの結果はほとんど動物実験か試験管内の結果 です。実際に、かなりのネズミのがんは今もう薬で治ってしまいます。キノコの関係で 出てまいりましたがんに有効なあれというのでは、歴史的にひもときますと昭和30年代 に東京大学の薬学部のシバタ教授がエーリッヒの腹水がんという、移植しましてから1 カ月後に全部移植されたネズミが死んでしまう、そのエーリッヒの腹水がんが、シイタ ケから抽出したレンチナンで100%全部助かってしまう、消えてしまうというすばらし いデータが出たんです。そこで、夢のがんの薬ということでレンチナンが出たんですが、 今はもうほとんど影がありません。出ては消え、キノコの種類が変わっているだけで、 いわゆるβグルカンを中心としたああいったものというのはどのぐらい本当に効果があ るか。やっぱり疑問であります。ですから、全財産をはたいてうちのお父さんのために というほどのものであるかどうかというのは非常に考えてみる必要があるかと思います。  それから、効果が実際にあるということが分かったら医薬品が入ってた。これは石川 県のホームページに出てたんですが、ダイエット健康食品をとってふらつき、汗をかき、 意識がもうろうとしてしまった。その成分見てみると、アシタバだとかキキョウだとか こういった当たり前の普通の健康食品なわけです。おかしいというので調べたらグリベ ンクラミドが入ってた。これも血糖降下剤で0.3ミリグラム/回ぐらいでしたら完全に 医薬品として使う量であります。血糖降下剤というのは使い過ぎますと本当に意識を失 うことがあります。4年か5年前でありますが名古屋でもコンクリートミキサーの運転 手がインスリンを打って低血糖状態で運転して誤って歩道へ乗り上げて女性2人をひき 殺すという非常に気の毒な事件が起こっております。ダイエットでとろうと思ったら血 糖降下剤だったなんていうのは本当に悪質な違反というふうに考えられると思います。 実際に厚生労働省がそういう数字をまとめた、医薬品が入ってた、これはいわゆる未承 認の医薬品が混入されていたやつのデータが出ておりますが、796人、うち死者が4人 となっている。こういう非常にひどいあれもあるわけです。医薬品の混入ということで す。  そして、もう一つ健康食品の問題点、品質がどうか。これ国民生活センターがかなり 詳細なデータを出して指摘をしております。1つは含量の不足であります。有名なタレ ントさんが出てきて膝の関節がよくなるというようなテレビコマーシャルがよく見られ ますが、そこに含まれているコンドロイチン硫酸の量ですが、星印が表記されている量 で、それで日健栄協の方法がはかると青いバーで、HPLC法、これが一番正確だと思 われますが、それではかるとこんなレベルである。これ国民生活センターのソウリンさ んにちょっと話聞いたんですが、有名なテレビのコマーシャルのあれ、先生、とんでも ないですよ、低いほうですよというお話をしておられました。どれがどれかというのは 知りませんが。  それから、サメ軟骨の由来というのは、これも2頭の比をとると1以下であればいわ ゆる魚類由来のものであると言われているわけですが、例えば3というのは、これはも う豚か何かからとったのは明らかだそうです。でも、サメの絵が書いてあるわけです。 ですから、消費者はサメ軟骨由来じゃないだろうかと思って買ってしまうけど、実際に は違ってると、こういったことであります。  それからもう一つは、崩壊度試験を国民生活センターがやってますが、飲んでも溶け ない。この健康食品なんかも製造者としましてはこういう問題があります。やっぱりつ くって販売して1カ月、2カ月で製品回収するわけではない。1年とか2年やっぱり賞 味期限をつくって出すわけですけれども、時間がたちますと、弱く打錠してありますと 壊れてしまいます。思い切り強く打ってしまうと今度は崩壊しない。ですから、飲んだ 人は入ってると思っても結局は飲んでもうんこになって出ていってしまいましたという、 そういう可能性があるということです。  そしてもう一つが、これも梅垣先生がかなり詳細にお話しになられましたが、医薬品 との相互作用であります。食品及び健康食品は医薬品と種々な相互作用をします。中に はかなり深刻な問題がありますが、その実態については未知な点がまず多くあります。 これはまだこれからこういう健康食品の販売とか相談に乗る人たちが絶えず神経を立て て情報を集めていかないといけない段階にあるというふうに理解しておりますが、まず 食品と健康食品の医薬品との相互作用でありますが、吸収の過程における相互作用。1 つは食品自体が吸収を阻害したり促進します。それから、代謝の過程における相互作用。 これはもうほとんど肝臓の問題になってまいります。飲んだ薬の大半は肝臓で変化し、 変化した薬剤は効果が弱くなったり強くなったりします。まず簡単に吸収の過程におけ る相互作用というのを見てみますと、例えば牛乳、乳製品なんかに入っておりますわず かな金属イオンがこういった抗生物質と難溶性の複合体をつくりまして、効果が減弱す る可能性があります。そういったデータを見ますと、通常食だったらこうだけれども、 バター、ミルクだとかこういった牛乳と一緒に飲むとこんなに血中濃度が低くなる、こ ういったデータが出ております。そういうような可能性のあるものについてある程度表 記されてきております。  それから、今度逆に同じようなものであっても脂溶性の複合体、ミセルを形成して吸 収が促進される。これは今度は作用が増強されてしまう可能性があるわけです。これは 今度はさっきとは全く逆で、牛乳とともに飲むと物すごく濃度が高くなって、水ととと もに飲むと減少してると、こういう例であります。  それから、液性によって影響を受けるようなこともあります。こういった抗菌剤、溶 解性が増加して吸収が促進する。これもやはり副作用の増強の可能性があるわけです。 水と酸性飲料で飲んだときにこういう変化がある。  それから、もう一つが代謝の過程で起こります。先ほど言いましたように飲んだ薬の 大半は肝臓で変化し、変化した薬は効果が弱くなったり強くなったりする。肝臓で薬を 変化させるのは肝臓の酵素、有名なサイトクロームP‐450というやつでCYPという 言い方をしておりますが、このCYPが酸素を利用して水酸化を行ったりメチル化を行 ったりするんですが、これには随分いろいろな亜型が知られております。このCYP1 A2だとか2C9だとかこういったのがありまして、お得意の薬物が幾つか存在してお ります。こういったものが阻害されたり、ないしは誘導を受けて活性化を受けるという ことであります。例えばセントジョーンズワート、先ほど梅垣先生の話ではセイヨウオ トギリソウという名称で出てたやつですが、こういうものはこういった関係の薬剤を代 謝する酵素をほとんど誘導いたします。  それから、今度グレープフルーツジュースはこういった医薬品に関して阻害効果を示 すということがあるわけです。食品で摂取した成分が肝臓のCYPの作用を弱めてしま い作用が強くなることがある。これは先ほどの梅垣先生の高圧剤のフェロジピンの話で ありますが、実際にグレープフルーツジュースを飲んでカルシウム拮抗薬のCYP3A 4が強力に阻害されて血中濃度が上がってふらつきという、こういう症状が出てくる。 これ結構長時間にわたってこの作用が残るということがあります。でも、先ほどの梅垣 先生の話で、なる人とならない人があるということのもう一つ重要性があります。これ はどんなにいいと言われている医薬品も効かない人というのは必ず存在しますし、効き 過ぎる人も必ず存在いたします。健康食品でも何らかの効果のあるものというのはほと んどがやっぱりだれかには量が過ぎれば非常に問題があり、それから普通の人だったら 効果が出るのに全く出ないという人も幾らもあるかと思います。そこら辺は遺伝子だと かの研究でだんだん分かってくるだろうと思いますが、現時点はまだ分かっておりませ ん。  例えばビタミンB6なんかをレボドパ、これ先ほど梅垣先生の話ではいわゆる分質ア ミノ酸が、このレボドパはL型という吸収をしますものですから、腸管で分質アミノ酸 と吸収される部位を競合しております。ですから、ロイシンだとかイソロイシンだとか トリプトファンなんかもそうですが、レボドパと一緒に飲みますと駄目だというのと、 もう一つは、今度はせっかく吸収されてもピリドキシン、ビタミンB6がレボドパの代 謝のところに幾つかのところに補酵素として存在します。そのために効果が実際に減弱 するということがあります。これはその報告例でありますが、レボドパのみだったらこ れぐらいになるんですけれども、ピリドキシンと一緒に飲むとこんなふうに血中濃度が 低下してしまうというのがあります。ビタミンB6は僕も実際自分でかつてB6酵素を 扱ってたんですが、意外に我々の体の中というのはB6は飽和されてないんです。B6 自体を摂取いたしますと、B6関係の酵素というのは結構誘導されます。  それから、これも梅垣先生の話にありましたので簡単に済ませておきますが、ワルフ ァリンとKの問題であります。納豆、青汁、クロレラ、こういったもので非常にいろん な影響を受けます。効果が減少いたします。このところで、これはうちの科員からあっ た情報の1つでありますが、メディアの影響の大きさのすごさというのを感じさせる1 つの事件がありましたんですが、ワルファリンを病院なり調剤薬局の店頭で患者さんに 渡すときには、納豆だとか青汁とかこういったのを避けてくださいねというのを注意事 項で言うわけです。そうすると、「先生、間違ってるよ」と。「納豆はおれ好きで食べ るし心配ないよ」と言うので、「いや、そんなことありませんよ」と。何かといったら、 「テレビでちゃんと納豆大丈夫だって言ってた」。何かというと、「ナットウキナーゼ っていうのが入ってて、ちゃんと血液さらさらにするから大丈夫だ」と言うので、「い やいや、医薬品のこれに書いてある」と言っても、「NHKのためしてガッテンでちゃ んとやってたから大丈夫だ」と言って患者さんが言うことを聞かなかったという、そう いう話もうちには入ってきております。だけど、やっぱりこれ完全に抑えてしまいます と脳梗塞とか心筋梗塞の可能性があるわけですから、そこら辺は本当に注意を要する事 項かと思います。  それから、カフェインはCYP1A2で代謝されるんですが、シメチジンとかエノキ サシンを飲みますと阻害されてカフェインが高濃度になって不眠、イライラ感、こうい ったようなことがあり得る。こういったような食品と医薬品の問題はよく知られていて、 薬を出すとき、大体薬剤の投与するときには店頭でかなり注意をいたします。しかし、 健康食品と医薬品の相性については医療従事者も余りよく分かっていないということが 分かってまいりました。  そこで、実は後の話にもなりますが、我々いわゆるアドバイザリースタッフの集団の 一団として健康食品管理士認定協会というのをつくっていろんな情報を集めているんで すけれども、それで3年ほど前に実は大々的なアンケート調査をやったんです。皆さん が、いわゆる我々が認定した健康食品管理士としてどんな問題に直面しましたかという ことをずっといろいろ項目に分けてアンケート調査をしたんです。そこの中で、受けた 質問で困った質問というのの中に非常にたくさん出てきたのが何だったかというと、血 圧の薬をもらってる人が、友達からプロポリスを勧められた。一緒に飲んでもいいです かと言われたときに調べる本がない。それのどこで調べたらいいんでしょうかと。実際 にはいろいろ調べていきますと決して本がないわけでもなく、ちゃんと調べる手段はあ るんですけれども、いわゆるそういう疑問を持って見たときにぱっと分かる本、それを ちゃんと強調して書いてある本というのがないということが分かりまして、これはあれ だから一体どういうふうになってるか、少なくとも今まで分かってる情報だけは集めて みようということで、教育委員会が中心になりまして、約1年半かけて薬剤の添付書類 だとか、それから幾つかの既にできている非常に大きな本がありますが、そういった本 から抜粋いたしまして医薬品との相互作用というのを調べていったんです。  そうしたところ、結論的にいいますと、これは一般の人にそのまま伝えてしまったら いけないんですけれども、皆さんの頭の中には置いといていただいてもいいと思います が、多くの余り効果がないと思われる医薬品については、現時点の文献で調べる限りに おいてはそんなに心配は要らないだろうと思われます。医薬品との相互作用。ところが、 幾つかはやっぱり重要なんです。結論的には、多くの効果の弱い健康食品は医薬品と一 緒に摂取しても多分余り心配がない。ところが、やっぱりセントジョーンズワートのこ ういったのは、先ほども話をいたしましたが、こういう非常にきれいな論文が出ており ます。これサイクロスポリンというのは腎移植を受けた人の、移植手術が非常に今成功 率が高くなったのはサイクロスポリンの出現からと言われてるわけですが、これは一定 の血中濃度を絶えず保っておかないと拒絶反応が起こっちゃうわけです。実際にセント ジョーンズワートを飲まれて拒絶反応が起こって、やめてすぐ血中濃度がまた元へ戻っ たという非常に有名な論文ございます。こういうことから、やっぱり幾つかは絶対的に 注意しないといけない。それから、例えばワルファリンなんかをもらってる人だとか慢 性疾患で幾つかの医薬品をもらってる人たちに注意しなきゃいけない。例えばスタチン 系でCoQ10が減ってくるとかそういういろいろな情報があるということは分かったん ですが、非常に多種多様に出ております一般的な効くか効かないか分からないような健 康食品というのは多分余り心配がないんじゃないかというあれになります。  健康食品の問題点をちょっとまとめてみますと、健康食品の定義がはっきりしないま まに市場が具体的に動いてる点に大きな問題があります。それから、医食同源のように 食品にはまだ未知の大きな力を秘めてて、現実には確かに効果のある健康食品というの も、とり方によって健康に効果のある食品というのもあるのも事実であります。しかし、 健康食品の有効性に関しては十分な科学的根拠がないままに広告などにより販売されて る。一方で、食品という言葉に、消費者はどんなにとっても副作用はないと思い込んで る人も多い。これが1つ非常に大きな問題であります。ちょっと後で問題にしますが。 広告が信用できない。それから効果があやしい。表記量入ってない。吸収されないかも しれない。医薬品が混入してることがある。そして医薬品との相互作用には未知な点が 多い。こういったようなところが健康食品の現実の問題点かと思います。  次に、消費者への情報提供において、消費者の理解力と心理を理解する、これが次に 非常に重要な問題であります。消費者の理解力と心理で特徴的なことを挙げていきます と、一般の方の科学物質に対する考え方をよく理解しないといけない。一般の方が科学 物質に対してどんな感覚を持ってみえるかというのは後でデータでお示しします。それ から量の概念がない。この2つが一番大きなあれであります。量の概念がないというと ころに帰属させますと、大量摂取も、ほとんど入ってないものが有効だと思うのも、20 種類も30種類も混ぜて飲めば効くと思う心も、全部極論すれば量の概念がないからこう なってきてるわけです。入っていれば効果があると勘違い。たくさん摂取すればするほ ど効果があると誤解。量の概念に関してはこういうところが非常にあります。それから もう一つは、食品に入ってるものは全部安全だろう、どんなにとっても大丈夫だろうと いう、要するにこれも食品だから副作用がないと考えてるところにも、食品に入ってる ものは影響がないから量をどんなにとっても大丈夫という、やはり量の概念に全部結び ついていってるんです。健康食品の場合は化学名で言われることで何かとてつもなく効 果があるように感じる。これが消費者の理解力と心理のあれです。それからもう一つは、 これはうちの科員からの応答であれなんですが、とりあえず結論だけを要求される。 「先生、もう説明はいいから、効くの、効かないの、飲んでもいいの、悪いの」って、 こういうふうに聞かれる。これが非常に多いという現実があるようです。  一般の人の化学知識に対する意識がどれぐらいかというのをちょっと、僕がこれは消 費生活センターで話しをしましたときにやったりしました幾つかの例でありますが、問 題としては、次に挙げる化学物質は栄養素、食品添加物、環境汚染物質などです。これ らのうちで健康な人の体の中にもともと通常ある物質はどれでしょう。よく分かる人に なるとビタミンというのはもともとあるものと解釈すべきかどうかというふうに悩まれ るかもしれないと思いましたので、ビタミンはあるものとして扱ってくださいと、こう いう書き方をしてこれやったんですが、正解はこうなるんですが、まずこれが僕は意外 だったんですが、消費生活センターではほとんどの方が難し過ぎるという回答だったん ですが、ある県が主催した食育シンポジウムにおいて参加された一般の方、これには栄 養士さんも随分入っておられます。給食センターのおばさんとかそういう方が何人かお られたんですが、限定100名でやって、随分定員オーバーして100名以上集められたみた いですが、実際に回答してくださったのは78名です。でも、その方々が、やはり難し過 ぎると答えた方が、大体これぐらいの数字があるわけです。実際の正解率ですが、グリ シンだとかギャバだとかカルニチンだとかCoQ10だとかコラーゲン、コラーゲンが一 番あると思ってる。ニコチン酸のところなんかには「たばこ?」なんていうクエスチョ ンマークを書いてる人がいましたが、そういった回答率であります。こういうのが難し いと思われる。僕、消費生活センターでよく話を頼まれるものですからお願いしてこう いうことをやってみたんです。遺伝子組み換え大豆には遺伝子が入ってるが普通の大豆 には入っていない。普通の大豆にも遺伝子は入っているが遺伝子組み換え大豆には普通 の大豆の何十倍量の遺伝子が入っている。普通の大豆も遺伝子組み換え大豆も遺伝子の 量はほとんど一緒である。1番が30名、2番が26名、3番が28名。こういうことで、ち ょっと信じられないデータでありますけれども、これはメディアリテラシーを専門に研 究しておられる西澤真理子さんという方がおられますが、その西澤さんが別のところで、 やはりトマトの遺伝子組み換えについてやられてる調査でも、やっぱり一般人、いわゆ る普通の人を対象にすると60%ぐらいの人は、普通の食品には遺伝子が入ってないと思 ってる。ですから、遺伝子組み換えの食品には遺伝子が入ってるというふうに考えてお られる方が大半だと。そういうような消費生活センターで問題を変えてやったわけです が、例えばこれほとんど入ってるものでありますけれども、もうほとんど正解率ないん です。全然やっぱり駄目というか、お分かりになってないわけです。  こういうふうに、化学物質に対してこういうふうな意識を持った方というのは、どう いう意識かといいますと、例えば健康食品はまず医薬品ではない、この概念がない。健 康食品はあくまでも食品であって、健康食品は食品という名前に隠れて安全性が保障さ れてるような錯覚にとらわれてるんです。これがまず一般市民の基本的な考え方という ふうに僕は理解する必要があると思います。こういうあれでもう一つ、先ほども問題に しました量の概念というところでありますが、例えば健康食品といいますとなかなか具 体例があれなんですが、作用がないという点で有名な食品添加物であります。食品添加 物は高濃度にすれば致死量になります。それから、レベルが低ければ中毒量になります。 ここら辺では健康障害が出てまいります。そして、食品添加物の場合は大体は生体内物 質、ないしはその誘導体、ないしはそこに作用するものが多いものですから、何らかの 健康に及ぼす作用が出てくるものが幾つかあります。そして、その作用量以下が無作用 量になります。その無作用量の最大無作用量の100分の1がいわゆる1日摂取許容量、 ADIというのになります。このADI以下というのは一応安全量と考えられるわけで すが、ADIの何分の1かが許可量になってるわけです。許可量の何分の1が現実の量 であるわけです。ですから、例えば保存料を無添加にするということがどんなにナンセ ンスなことかというのはここから考えてみたら非常に簡単に分かることであります。だ けど、一般には、例えばある食品が、何でこの食品をとられるんですかと言ったらダイ エットにいいということで、これ実際にはほとんど入ってないんです。入っていれば何 でも効果があるというふうに解釈する。  それから、逆に非常に過敏な反応になってまいります。例えばレジーナ大学というカ ナダの大学がOECDの諸国を分けていろいろなものを点数化して食の安全ということ に関するランキングをやったデータを出しております。OECDの国々で。カナダがや ったやつなんですが、実際に日本はイギリスに次いで2番目に安全な国と言われており ます。でも、何かちょっと食品に基準値の何倍の何とかが入っていたなんていうのが報 道されますと、消費者は何を信じていいか分かりませんと。要するに不要な不安に陥る。 これも1つの消費者心理の非常に大きなところかと思っております。  そういう量の概念のない人には、例えば化学調味料、グルタミン酸とかイノシン酸と かいったようなものです。ここら辺のものが自分の体の中に入ってるというような意識 も全くないわけです。そういう人たちはやっぱり化学調味料不使用と書いてあるやつの ほうがおいしいと思うんです。ところが、これ煎餅なんですが、実際におもしろい現象 がありまして、食塩相当量というのを見ますと、やっぱり調味料を減らしてぱっと食べ たときの味をよくしようと思うと、簡単なのは食塩を増やすことです。食塩相当量がや っぱり多くなっております。それから無添加調理。無添加、無添加って、僕は今無添加 思想が日本人の健康と経済と環境を破壊するという原稿をちょっと書いております。あ る市民講座の後の質問で、「先生、グリシンには使用量の上限が決めてないそうですね。 食品添加物なんて危ない限りですよ」、こう言ってこられた。化学物質を特定して、し かもその上限値まで問題にされている割に科学的でない話をされる方からの質問だった んです。どうしてそういうことかと聞きましたら、文献がちゃんとありまして、「女性 自身」の「ラーメンと餃子でがん、おにぎりで成長障害」。おにぎりで何で成長障害か と読んでいきますと、こういうぐあいに書いてあります。「グリシンが怖いのは使用基 準量に決まりがないこと。品質保持剤として古米はツヤが出るし」、「成長障害の弊害 を指摘する科学者もある」と、こういうぐあいに出てるわけです。これは有名なワタナ ベさんという方が書かれたコメントなんですが、彼の書いた本の中のグリシンの問題点 というのを読みますと、引用してある文献を調べますと、事実は事実なんです、確かに。 グリシンの成長障害のデータは、ネズミのえさを20%置き換えて飼育しますと成長障害 が出る。ですから、食べてるごはんの20%を、食事の20%をグリシンに置き換えたとき に初めて出るような、全く量を無視した危険性の指摘であります。こういったことを話 ししましたらその人はびっくりしておりました。  もう一つ重要なことは、消費者がこういう消費者心理を知った上で正しい情報を受け 取るシステムを構築するということが非常に重要になってくるかと思います。それに関 しましては先ほど松井さんがお話しになられましたアドバイザリースタッフに関してが、 これが唯一今、健食の世界ではできる集団ではないかというふうに考えております。こ ういうまず提言がなされて、先ほど松井さんの話にもありましたが、保健機能食品等に 係るアドバイザリースタッフの養成に関する基本的なガイドラインが出されたわけであ ります。これが出されて、実は先週の東京のときにも実際の質疑のときにも出てまいり ましたし、事前にいただいている質問の中にもあるんですが、独立行政法人の国立健康 ・栄養研究所の栄養情報担当者の仕分けで、アドバイザリースタッフの先がないんじゃ ないだろうかという非常に悲観的な見方が出てきておりますけれども、決してそうでな いということをちょっと今日は、ですから先週と少しスライドを変えまして話しをさせ ていただきたいと思っております。  まずそうではないという、これ多分松井さんも先週もおっしゃられたんですが、いわ ゆるアドバイザリースタッフが必要ないということではなくて、その質の問題をちゃん としなければいけないということで、今日も最初のときにそのようにお話しになられた と思います。ですから、アドバイザリースタッフがどのような質を持って社会に活躍し ていくかということが重要だと思います。ガイドラインで要求されてることは、先ほど の松井さんのスライドにもありましたのであれだと思いますが、何ができるか、我々健 康食品管理士というあれをこの法令にのっとって、ガイドラインにのっとった教育をす るということで、こういうのを今から約5年ちょっと前に立ち上げて始めました。健康 食品管理士認定協会というのを立ち上げたんですが、健康食品を含む食の問題を何とか しなければと考えている臨床検査技師、薬剤師、管理栄養士の教育機関の教員の有志で 組織し、立ち上げました。社会的に有用な人材を一定数確保して継続的にそうした人材 を供給するのには教育の過程で教えることが重要であることから、教育機関にこのカリ キュラムを取り入れたんです。現在、41の大学でこの資格者の養成に取組んでおります。 実際にこういった国立大学もそうそうたるところの医学部、これ保健学科が多いんです けれども、やっておりまして、ここら辺の卒業生が結構最近資格をとって、食品会社に 限らず活躍するものですから、企業から最近、ことしの例になりますと、この資格をと ったということで就職できたというのがちょくちょく出始めてきておりまして、やはり ちゃんとしたことをやっていけばしっかりしたものになるということであります。  我々は、例えば先ほど言いましたアンケートをとるもとになるようなあれだったんで すが、こういう質問がしょっちゅう入ってまいります。例えば、腎機能が悪くもないの に血中カリウムが6.3mEq/l。ドクダミ茶を飲んでるんですけど、そういうことってあり 得ますかという質問なんです。これ実はカリウム、多くの方ご存じかと思いますが、5 ミリが正常上限値です。5ミリ以上になりまして7ミリぐらいになりますと急性の心停 止ということが起こり得る可能性があります。ですから、6.3というのはもうかなり危 険領域に入ってきてるわけです。鈴木先生も心配になって問い合わせてきたわけですが、 調べてみますとドクダミ茶で血中カリウムの上昇というのは報告がいっぱいあります。 特に高齢者が服用した場合には血中濃度が上がるという報告があります。ここで1つ非 常に怖い一般市民の話合いのシチュエーションが考えられるんです。それ何かというと、 腎機能の悪い人はみんな大体血圧が高くなっております。腎機能の悪い人は血圧が高い ですから、必ず血圧の薬をもらっております。一方、いわゆる本態性と言われる動脈硬 化等に基づいて血圧の上がってる人もやっぱり血圧の薬をもらうんですが、その人がた またまドクダミ茶を飲んで効果があったという可能性はあるんです。実際にドクダミ茶 の持ってる高濃度のカリウムと、それからケルセチンなんかが入っておりますので、一 部の人にはドクダミ茶は確実に血圧に効くと思います。ですから、体験談的でなくても やっぱりドクダミ茶を飲んで、実際のうちの科員なんかの情報からいきますと、やっぱ りドクダミ茶にはリピーターが必ずいる。その人たちはやっぱり体調がいいということ を言ってる。その体調のいいという中の1つに血圧がある。そうすると、こういうこと が考えられるんです。例えば、本態性高血圧でドクダミ茶を飲んで、薬やめちゃって調 子がいいという人が、腎機能が悪くて高血圧の薬もらってる人と話しした。「私ね、前、 薬飲んでたんだけれど、ドクダミ茶に変えて結構調子いいのよ」って言う。「え、そう、 私もう腎臓でいろんな薬もらってて、血圧の薬ももらってるんだけど、じゃ、血圧の薬 ぐらいはドクダミ茶に変えちゃおうかしら」と、こういうぐあいにしたとすると、腎機 能の低い人というのはカリウムの排泄能力が非常に低いわけですから、ドクダミ茶をガ ブガブ飲んだら急激にカリウムの濃度が上がる可能性があります。そうすると、これは 記録にも何も残らない形で死んでしまうかもしれないんです。要するに高カリウムで死 ぬのは心筋梗塞様の症状で亡くなりますから、何か病気を持ってた人が、突然心臓が止 まって死んだ。「あ、心筋梗塞か何かで死んじゃったね。あの人腎臓が悪かったけど心 臓で死んだのね」と、こういうことで終わってしまうかもしれない。やっぱりこういう ところに関しての神経をとがらす必要というのは非常にあるというふうに思っておりま す。  そういうところで我々はこういうポケットマニュアルというような本をつくったりも しました。そこには、先ほどのプロポリスじゃないですけど、セントジョーンズワート なんかになりますと、こういういろいろな医薬品と副作用が出たり主作用を抑えてしま ったり、こういう点線だとか、もっと強いものは棒2本とかという表記で、ぱっと見た らさっと分かるという本をつくったりしました。これ結構好評でした。こういうことを やっておりますものですから、こういう「健康食品の安全性を考える」。それから、大 学で取り入れられたりしますとこういう記事を書いてもらえたりしてるみたいです。実 際にこういうところでちゃんと活躍しているということを「メディア・バイアス」、こ れには白インゲン豆食中毒事件のときのことが詳細に、我々の科員がどのように活躍し たかというのを書いてあります。これ科学ジャーナリスト賞に輝いております。それか ら毎日新聞のコジマさんが、ここにもこういった人たちが存在してくれると世の中の食 情報はどんなにいいことだろうというふうに書いてくれております。  我々これ見ておりまして、どんなことに向く資格か。1つは健康食品の開発研究、そ れから知見の収集、それから販売、それからコンサルタント、それからうちは臨床検査 をやってる人たちが結構とってるものですから、ニュートリションサポートチームです が、SNTのメンバーとして入ったときに非常に食情報に関する問題に頭が突っ込める のでいいということを言っております。あとは食の安全安心に関するリスクコミュニケ ーターとして活躍できるんじゃないかと考えております。  もう一つは、実は地域社会における食と健康に関する相談相手としての活躍を具体的 に今全国的に展開を始めてきておりますが、これが結構評価され始めております。これ はNHKが去年取り上げたんですが、関市における保健所と共同でやってる健康食品管 理士が過剰摂取に注意して、要するに一般市民とのあれでやってるんですが、これ一番 最初やり始めたのはどこかといいますと沖縄でありまして、沖縄にも二百何人ぐらい認 定者がいるんですが、その人たちが支部会の活躍として沖縄市民に対する健康食品のい ろいろな講演会だとか相談会、こういったものを定期的に開催していて、相当やっぱり 反響があるというところが、全国の支部会に伝達が行きまして、それが岐阜の場合は岐 阜医療科学大学の先生が中心になりまして動いてこういうことを始めてきてるわけです。 こういう実際に健康食品のあれを取り上げてくれたりもしております。そこで、例えば 僕らも遅ればせながら鈴鹿医療科学大学で今2カ月に1回、いわゆる食と健康の一般市 民公開講座というのをやってるんですが、このときは前に2010年版の日本人の食事摂取 基準をつくったシバタ先生にちょっと話をしていただいたんですが、スライドが小さく なってしまいますのでここからになって、たまたま僕の話が載っちゃってるんですが、 見ていただきたいのはこの健康食品管理士による相談コーナー、これがもう今すごく人 気が出ておりまして、ここを目当てにやって来られる方がおられるんです。うちの健康 食品管理士というのは医師、薬剤師、臨床検査技師、管理栄養士といったようないろん な集団でおりますが、大体医療職の専門職だれか1人ずつ、半分当番みたいにして出て いただいてあれするものですから、必ずしも健康食品の相談だけじゃないんです。例え ば、「検査でこんな値が出たんだけど、先生、心配ないんでしょうか」とか、それから 健康食品のこと関係なしに、「病院でこんな薬もらってるんですけれど、私この薬効か ないと思うんですけれど、これまだ飲まなきゃいけないですか」とか、いわゆる普通の 当たり前の薬剤師としての相談だとか、臨床検査技師として受けるような相談、そうい ったものも受けております。そういうところで確実に一般市民は非常にはっきりしてお りますのは、一般市民、恐らく全人口の僕は80%ぐらいと見ていいと思います。80%ぐ らいの人は、やっぱり何らかの形で健康食品に関するこういった情報に飢えている。だ からそこに変な情報を上手に流せば幾らでも物が売れるという世界ができているという ふうに感じております。  科学的に正しく判断し、疑問を持てるアドバイザリースタッフが、健康食品を含めた 食情報の担い手となり、市中に存在すれば、食を通しての市民の健康の担い手になり得 ると思います。ですから、アドバイザリースタッフ不要論は、僕は間違ってるというふ うに解釈しております。今後、まず最低限、僕はやはりアドバイザリースタッフとして の知識として持っていていただきたいのはレベル2までだと思います。そしてレベル3 の段階になってきましたら、これはちょっと若干専門職的なものになってくるかなとい うふうに解釈しております。  健康食品というとき、これは我々の会もいつも言っておりますが、食でやっぱり最も 大切なこと、まずはちゃんとまじめな食事をしなさいというのを、僕はこういう言い方 をしてるんですが、食の過不足は病をつくり、バランスのとれた食事は病と、まだ病気 でない病気を治してしまう、これ語呂がいいものですからこういう形で話をしておりま す。  というところで、どうも失礼いたしました。 ○司会(大井)  ありがとうございました。  それでは、ここで10分程度の休憩を挟みましてパネルディスカッション及び意見交換 会に移ります。今55分ですので再開は5時5分としたいと思います。5時5分までにお 戻りください。 (休  憩) ○司会(大井)  それでは、時間になりましたので再開させていただきます。  これより質疑応答及びパネルディスカッションを始めたいと思います。なお、コーデ ィネーターにつきましては、私、司会の厚生労働省大井が引き続き務めさせていただき ます。  それでは、パネリストのご紹介をさせていただきます。皆様からご覧になって左側か ら、独立行政法人国立健康・栄養研究所情報センター長梅垣敬三様です。  同じく先ほどご講演いただきました鈴鹿医療科学大学教授長村洋一様です。  行政担当者としまして、厚生労働省食品安全部基準審査課新開発食品保健対策室健康 食品安全対策専門官の松井でございます。  同じく行政担当者として、消費者庁食品表示課衛生調査官の芳賀でございます。  それでは早速、質疑応答及びパネルディスカッションに移ります。進め方といたしま しては、まず参加者の皆様から事前にご質問、ご意見をちょうだいしていますので、そ れについて担当者から回答した後、会場の皆様からご意見、質問などを受け付けさせて いただきます。  なお、事前にいただきました質問につきましては数件ございますが、時間が押してお りますので、とりあえず大阪分についてお答えした後、時間が余りましたらほかの会場 につきましてもご参考までにご紹介いたします。  大阪会場からいただいております質問1件ご紹介いたします。  現在、健康食品の表示に関する検討会での論点整理の中で、健康食品の虚偽誇大な表 示や広告における具体例を明らかにするためガイドラインを作成する予定となっていま すが、一般消費者にも分かりやすいガイドラインの作成をお願いします。また、消費者 庁と薬事法所管の厚生労働省の連携は強化してほしいと思います。  それでは、この件につきまして消費者庁様からお願いいたします。 ○芳賀調査官  ご質問といいますかご意見だと思うんですけれども、本日の私の説明の中にもござい ましたとおり、ご要望の方向で作業を進めているところです。それで、特に虚偽誇大広 告に関しましては、今日お話しさせていただいた中にもあるんですけれども、白黒はっ きりつけるというのが非常に難しい特性がございますので、例えばこれまで地方自治体 のほうで行政指導等されてきた事例なんかも見せていただきながら、具体例を明らかに する作業というのを実態ベースで丁寧に積み上げていけたらと思っております。ただ、 形式的判断がうまくできないタイプの規制ですので、そういった点をご理解いただきな がら、今後の動向を注視していただければと思います。  それから、薬事法所管の厚生労働省との連携に関しては、今日お話しさせていただい た中にも含めましたが、より強化するという方向で、例えば何か事案があったときには 積極的に議論する、検討する、そういった場を本省レベルでまずは多く持つという方向 で調整が進んでおりますので、ご要望の方向で物は動いていくとご理解いただいてよろ しいかと思います。 ○司会(大井)  ご質問された方いかがでしょうか。もし、もう少し違うことを聞きたかったとか追加 で聞きたいということがありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。  それでは、ここで会場からもご意見を伺いたいと思います。講演の内容や、ぜひこの 機会に聞いてみたいということがありましたらご発言ください。  なお、ご発言される方は挙手お願いいたします。挙手いただきましたら私から指名さ せていただきますので、係の者がマイクをお持ちします。その際、差し支えなければお 名前とご所属のほうをお願いいたします。  それでは、ぜひこの機会に担当の者や大学の先生に聞いてみたいということがありま したらご発言ください。いかがでしょうか。最初はちょっとなかなか手を挙げにくいと は思うんですけれども。 ○質問者A  ●●のAでございます。長村先生にちょっとお願いしたいんですけれども、今よくテ レビに出てると思うんですけれども、ヒアルロン酸とかああいった系統、私たちは薬剤 師ですので注射薬とかでは分かるんですけれども、例えばそういう注射剤になってるも のが内服で出てる場合がございますよね。そういったものについて吸収とかそういうこ とでの、先生のほうでのこれは駄目だよというようなものお分かりになってれば教えて いただきたいなと思うんですけど。 ○長村教授  むしろ梅垣先生のほうがあれかもしれませんが、今のいわゆる注射薬としては薬とな ってるように、一応臨床試験も終わって効果のあるものというふうになってるわけです が、健食で出てるのは全部内服で出てるわけです。国民生活センターの指摘によれば、 入ってるかどうかも分からないという問題がまず1つあるんですが、基本的に我々はこ う答えてるんですが、効果があると思ってお飲みで、病気の治療とかそういう目的でや っておられるんなら別ですけれども、肌がプリプリしてくるとかいう感じで効果がある んならいいんじゃないですかというレベルの回答しかしないんですけれども。といいま すのは、若干問題のある発言だと思うんですが、健康食品神社おさい銭説というものが 僕の考え方の基本にちょっとありまして、財政に響かないレベルで神様お願いねという ぐらいで、本当に効果は期待していない。というと神社が怒るかもしれませんが、そう いうレベルで効く人には僕はそれでいいんじゃないかなというふうに思ってるんです。 それで問題は、例えばがんだ、がんにこれがいいからこれで治すんだ、薬はやめようと か、病院行くのやめようとか、そこら辺の注意が一番大事じゃないかなと思うんです。 健康に大きく害を及ぼさないと思われるようなものであるならば、僕は例えば青汁なん かも、ついこの間もあるところで偉い人から質問受けたんですが、医者に話すと、そん なもの飲んでも効果ないからやめちまえと、何か起こるかもしれないから危ないからや めてしまえと言われるけれども、私は飲んだら物すごく調子がいいと言うんですよ、い つも。毎日。毎朝飲んでるんだけど調子がいいので、医者にあんたも飲めみたいな言い 方をしたら、逆にそんなもの飲んではいけないと言われちゃって、それでどんな医者に 話ししてもみんな駄目だ駄目だって言うんだけれども、先生どう思うかって言ったので、 僕は、その前に聞いたのは、病気の治療しておられるかと。それは血圧だけなんです。 血圧の薬だけもらっておられる方なので、まあ心配ないんじゃないですかということで 言ったら大変喜んでおられました。 ○質問者A  現実にはやはり糖鎖ですよね、ヒアルロン酸とかああいう系統のものは。そうすると、 私たちの常識で考えると、そんなん胃で壊れるん違うかなと先思ってしまいますから、 市民の方に聞かれたときにすごく迷いますよね。結局プラシーボ効果かなと思いつつも なかなか言えないというか、その辺がやっぱりちょっと難儀なところがあるんですけど。 ○長村教授  ちょっと追加ですが、コラーゲンなんかについては、一時期、いわゆるタンパクで分 解されて吸収されても何もならないんじゃないかというあれだったんですが、最近のデ ータですとGペプチドレベルのグリシン、ヒドロヒキプロリンが吸収されて血中でコラ ーゲンの形成だとか骨の形成の促進に働いているというようなデータも出てることは出 てるんです。かなりしっかりした論文ですけれども。あるレベルの分子のものも吸収さ れるということはいろんなアレルギーが起こることからも分かってますので、可能性は 全くは否定できないという部分が、科学では100%の否定というのは非常に難しいとい うところが1つありますものですから。 ○梅垣センター長  コラーゲンはちょっと長村先生と意見が違って、もともとのデータをどうやってとっ たかというと、かなり大量投与してます。ですから、吸収するというのは事実です。で も、それがどれだけの意味がある量か、それから人が、何からとるかによります。人の コラーゲンは体の中にかなりあります。とったものは消化管で分解されて、また合成さ れるわけです。それを全く考えないで、例えばレバーを食べたら自分の肝臓になるとか 思っている人が世の中結構いるわけです。それは間違いですね。エンザイムがいいとい う情報ありますけど、エンザイムだってタンパクです。消化管で恐らく分解されるはず です。それから再度合成される。そういう消化吸収のところが全く理解されないで、と ったら最終的に何か効果があった。それを全くは否定はできないけど、今の知識では理 解できないということを広めていかなきゃいけないと思うんです。だから今のヒアルロ ン酸にしても、私はある程度体感があればいいと思うんです。とってる人がいいという ことです。でも、それは聞いてみるとよく分からないという人も結構います。それはと る人の気持ち的なこと、確かに今の段階ではプラシーボだと思うんです。そういうこと も考えていかなきゃいけないと思います。ですから、特にコラーゲンの場合はとったら 吸収されると言ってますけれども、じゃ、どれだけのコラーゲンの量をとって、それが 例えばプロリンとかヒドロヒキプロリンとかジペプチドでどれぐらい吸収されるか、量 的なことを考えたらそんなに多くはないと思います。それが今の考え方と思います。あ れは先生ネズミの実験だったと思います。 ○長村教授  細かい議論になっちゃうと学会みたいになっちゃうのであれなんですが、実際に最近 出されてるのは、京都府立医大のサトウケンジ先生の出されてるのは結構おもしろいな と思って見てるんです。ですから、行く末がどうなっていくかなというのはちょっとお もしろいところかなと思います。あれは既に消化したペプチドそのものでやってみえる んです。ですから、大量投与とちょっと似てるかなと思うんですが。そういうのもある ことはあるということ。 ○梅垣センター長  重要なことは、今分かってるのはこれぐらい。だから私も全くは否定はしていません。 否定はしてないけど、今の現時点で分かってるのはこの範囲だというのを一般の人に理 解してもらうというのが重要であって、それが覆るときもあるし、もっと確かになって いく場合もあります。けれども、今の時点でどういうレベルかというのを明確に使う人 に伝えておくというのが重要だと思います。だから全く否定してるわけではないです。 ○質問者A  ありがとうございました。 ○司会(大井)  ありがとうございます。私も朝コラーゲンつけてコラーゲンラーメン食べてきたりし てるんですけれども、全く否定されるものではないと聞きましてちょっと安心しました。  それではほかに。はい、どうぞ。 ○質問者B  ●●のBといいます。食品安全部の松井先生にご質問させていただきたいんですけれ ども、講演の中でホウレンソウを凍結乾燥して濃縮したカプセルの開発についてのお話 があったと思います。しかしメーカー寄りな質問になってしまうかもしれないんですけ れども、例えば吸収性の悪い、それこそ先ほどお話に出てたヒアルロン酸ですとかそう いったものの吸収性を上げる工夫をした、そういった健康食品が、例えば安全性の試験 をやって問題なくて、有効性でも飲まない群に比べて有効性が出た。それと医薬品との 線引きとなるとどの辺になってくるのかなと。同じ例えば栄養機能食品でビタミンCの 量とかが規定されてまして、この製品の中にはビタミンC、栄養機能食品で決められて る範囲内しか入れてない。でも、通常の水に溶かして商品化したものと、例えば吸収性 を高めるようにして商品化したものですと、体内に投与した後の血中濃度というのは大 分変わってくると思うんですね。そしたら、それはもう健康食品じゃなくて医薬品のレ ベルになってくるのか。その辺の判断基準といいますか考え方をご教示いただければと 思います。 ○松井専門官  非常に難しいところだと思うのですけれども、そもそもの話として、健康食品を医薬 品として使うという判断があり得ないんだと思いますね。先ほど一番最初に私のスライ ドの中でもご説明申し上げたとおり、医薬品とはというのがございまして、医薬品とは、 法律の中にあるわけなのですけれども、人または動物の疾病の診断、治療または予防に 使用されることが目的なのです。健康食品というのは法律上明確な定義がないと私のほ うでは説明させていただいたのですけれども、あくまでも広く健康の保持増進に役立つ 食品だというふうに考えています。ですから、そもそも効く、効かないで分けるという よりも、大きく医薬品と健康食品は違うのですよというのが1つ。また、私も先生方と 違って文献を常に読んでいるわけではないのですけれども、よく最近低分子化した何と かとかあると思うんですけれども、私が読む限り低分子であるからといって極めて高濃 度に血中に吸収されるというのはどうなのかなというのが、一行政マンとして論文を読 んだ限りの感想ですね。ですから、逆にいうと吸収されるということであれば、ビタミ ンCのお話がございましたけれども、例えばビタミンCの分子小さくしたら別の物質に なっちゃいますけど、分かりやすく話しするとして、例えばある特殊な形状をもって体 に吸収しやすくなりますといった場合には、確かに有効な範囲であれば吸収しやすくな るというのは非常にいいことなのですけれども、同じ例えばビタミンC1,000ミリグラ ム、従来の1,000ミリグラムと新しくできたもの1,000ミリグラム、吸収能力が10倍です といった場合には、あくまでも例えばですけれども、そうした場合には1万ミリグラム とっていることになります。ということは、危険性というのは10倍高くなるということ になりますよね。ですから、その観点も含めて利用及び商品の開発というのも必要です し、逆に先ほど申しましたホウレンソウも例にとっただけなのですけれども、逆にホウ レンソウ100倍に濃縮しましたとなった場合には、ホウレンソウの中の栄養成分も100倍 になりますけれども、人に有害な成分も100倍になっているということなんですね。で すから、そこの点は十分考慮しなければいけない。医薬品の場合というのは単一成分を 引っ張ってきますから、基本的には。その純粋なもので試験をしますけれども、食品の 場合は包括的にやってしまいますので、必要としない部分もどうしても入ってくるとい うところは十分ご理解いただく必要があるのかなというふうに考えているところでござ います。 ○質問者B  ありがとうございました。 ○司会(大井)  それでは、残り時間少ないですがほかにございましたら。  はい、どうぞ。 ○質問者C  診療所で薬剤師をしておりまして、健康食品関係の資格はとったところで、現場では 余り扱ってないので初心者で全然よく分かってないんですけれども、今のお話を聞いて たらだんだんこんがらがってきまして、先ほどおっしゃったように法律でとおっしゃい ますけれども、CoQ10とかグルコサミン、コンドロイチン、メーカーさんによって医 薬品で申請したいところはされてて医薬品基準を満たされてますけれども、それ以上含 有されてても申請せずに健食で通してらっしゃるメーカーもありますよね。そうすると、 先ほどのご質問なさった方の意図もそこにあるのかなと思うんですけど、実際問題体へ の影響どうかというと、これは法律上医薬品じゃないから、これは健食ですから同等に 考えてもらっては困るという発言では納得できないものが、一般の方々がもっと詳しく お知りになったとき、こんがらがると思うんですよ。CoQ10でもノイキノンでしたら 量は少ないですけど、ノイキノンのけた違いの量が安全性は保障されてますよね。健食 としては使ってもいいというふうに講義でたしかお聞きしたような気がするんですけど、 そうすると先ほどの回答してくださった法律で何とかだから、医薬品と健食を同等に見 てもらったら困るという発言だけで線を引かれたら、現実問題、私なんかが一番困るな と思うのは、薬事法に抵触するというのは十分承知ですけれども、健食のときに用法説 明できませんよね。そしたら、ビタミンC一生懸命お金出して買われた方が1日6粒目 安にと言われて、朝1回6粒飲まれたらお金捨ててらっしゃるようなものじゃないです か。それをアドバイザーだったら言ってはいけなかったら6錠目安にお飲みくださいっ て言わなきゃいけないんですか。3回に分けてとか言ったら薬事法違反なんですか。そ このところが講義を聞けば聞くほど知らない世界だったので、こんがらがっていくばか りで、私は資格をいただくときのにも、今厚生労働省関係の方のお話を聞いてますと、 現状の法律を基準に変身していくことを考えてらっしゃるように思うんですけれども、 長村先生おっしゃってたように韓国とか中国にあるとおっしゃるような、もう一つ別の 健康食品法みたいな法律があってもいいんじゃないかなと講義を受けながら考えたんで すね。やはり先ほどおっしゃった、今の法律にのっとってそこに当てはめようとするの と、今の現実の業界の動きとのギャップというのが物すごくあるんじゃないかという気 持ちは強いんですけれども、どのように考えてらっしゃるのかお聞きしたいんですけれ ども。また、私たちが現場でどのように対応したらいいのかも教えていただけたらと思 います。 ○松井専門官  非常に難しい話で、まずコエンザイムQ10。医薬品でも売られているのは事実ですね。 ですけれども、健康食品として売られているものが医薬品と同じなのかというのも1つ ある。医薬品と同じレベルの管理で行いました。確かにそれは製造上は医薬品と同じレ ベルの管理を行っているのかもしれませんが、医薬品として認証される際には、治療の 効果がまずあるかないかというのも当然ですけれども、安全性が確保されているかない か。逆にいうと薬の場合表裏一体でして、必ず有効である反面危険性もあります。です から、そういったデータもしっかり積まなければならないということで、まずそこの点 が同じもので比べられるかどうかというのが1つチェックする必要がある。  また、健康食品も確かに医薬品と違って用法用量はうたってはならないということに なっておりますが、各メーカーさん、食品衛生法の中で製造者はそのつくった製品が安 全なものであることを確認しなければならないということになっておりますので、配合 している製品の大体1日摂取量はこのくらいですよというのが書かれているはずなので すね。ですから、そこで例えば箱に1日摂取量、摂取量とは書いてない、摂取目安量と なっているのですが、1日6粒を摂取してくださいねと書いてあった場合に、それを、 じゃ、12粒飲むことを進めるということは論外ですし、例えばきのう飲めなかったなら ば今日は9錠飲んでくださいねというのもナンセンスな話になります。ですから、私た ちがまず業者さんを指導させていただくというのももちろんなのですけれども、利用さ れる方も書かれているものをちゃんと読む力をつけていただかなければならないのかな と。ですから、1日6粒と書いてあるならば、必ずそれを守っていただくと。メーカー さんは1日6粒を飲むことを前提に商品設計されていますので、じゃ、9錠飲んでくだ さいとかそういったことはちょっとお勧めできないのかなと。 ○質問者C  私が思ってて申し上げたことと答えがちょっとずれてるように思うんですけれども、 私は、6錠は6錠って書いてあるのはそれでいいと思うんですね。それを目安にお飲み くださいで、何回に分けてとか、いつがいいですよということが一切書いてないじゃな いですか。それはもう薬事法に抵触しますでしょう。だけど、そうすると用法がうたえ ない場合に正しい飲み方になってなければ、厚生労働省の方々がおっしゃるような健康 食品の正しい知識を伝えて正しい使い方をしていただくというのに大きくずれてるんじ ゃないかなというのが私の持ってる大きな健康食品の疑問の1つなんです。だから、別 に健康食品法みたいな感じで、医薬品ではないけれども、やっぱり飲むのは朝昼晩の食 後がいいですよとか、食前に飲むことによって糖の吸収をあれするから食前に飲むのが 意味があって、食後に飲むのでは余り意図できないというふうな表示というのはできま せんでしょう。そしたら、厚生労働省の方のおっしゃってる正しく広めるというのに合 わないんじゃないかと思うんですけど。 ○梅垣センター長  一番重要なことは、なぜ薬事法があるかということ。ちゃんとした治療ができるかで きないかというところにかかってるんです。ですから、薬剤師の人が薬と健康食品の違 いを明確に区別しておかないと、一般の人はもっと混乱します。今健康食品で病気が治 るとかこれをとればいいとかというふうに言ってしまうと、普通の人がそれを治療目的 に使うんですよ。だから、そういう用法用量とか書いてはいけないというふうにしてい る。問題は薬と勘違いするからということである、というふうに考えたほうがいいと思 うんです。専門職の人は分かりますよ。分かるけど、一般の人は恐らく分からないと思 いますよ。 ○質問者C  ちょっと待ってください。私はちょっと意見が逆なんです。分かられないからこそ、 もっとちゃんと浸透させて正しい使い方をするべきだと思うんです。 ○梅垣センター長  そうですね。そうなんだけど、専門職の人が考えられているのと一般の方が考えるの とはギャップがあるんですよ。だからそこを埋めていかなきゃいけないというのが今の 問題で、す。そこにアドバイザリースタッフがあるわけです。今ビタミンCの場合もち ゃんととればいいと言われましたけれども、メーカーさんがちゃんとデータをとって、 いつどれだけ飲めばいいかとちゃんとしたデータがあるかと調べたらほとんどないです。 ビタミンCにしても1日に200ミリグラム、300以上とっても飽和するんです。それなの に1グラムとか2グラムとかとればいいと言っている根拠は、実は調べたらないんです。 根拠があるものは保健機能食品とか特定保健用食品とかきっちり審査したもので、それ が国のルールとして出ているわけです。中国とか台湾が保健食品とか言っているのは、 実は特定保健用食品を真似したようなものですよね。新しい制度をつくる、それは1つ の考え方かもしれないけれども、今できるのは特保とか保健機能食品の表示のところを きっちり一般の人に知ってもらうというほうが、最初にやらなきゃいけないことだとい うふうに思います。一般の方と我々と本当に認識が全然違うんです。一般の方はとれば それだけ全部体の中に入ってくるというふうに思ってるという認識なので、そこのギャ ップを専門職の人が実際に埋めていかなきゃいけないというふうに私は思います。 ○長村教授  実は僕も今ご質問の方と一緒で、行政のほうにお願いができないかなと思っておりま すのは、おっしゃったようにCoQ10なんか、結局以前薬であったものが、薬である部 分も残ったまま、いわゆるホウレンソウや牛肉と一緒になっちゃったわけですよ。αリ ポ酸もいろいろ起こってるわけですけど、あれももともと薬だったものがそういう形に なって起こってきてるんですよ。それで、せめて、僕は栄養機能食品というビタミンだ とかミネラルとか、あるレベルでどれぐらい危ないかとか、1日どれぐらいとったらい いんだろうかというかなり臨床データを含めたデータがしっかりしてるものをいきなり 食品にされてしまったというところに僕は何か問題があるように思っておりますが、い かがでしょうか。 ○梅垣センター長  医薬品というのは治療効果が出てこないといけないんですよね。だから、言い換えた ら汚いものは食品でもいいじゃないか、混ざりものがあってもいい。でも、医薬品とい うのはやはりきれいで治療効果がなきゃいけないというところが重要なことですよね。 健康食品で例えばコエンザイムQ10が入っているという製品ありますけれども、200と か300ミリグラム入っても恐らくほとんど吸収しないですね。飽和しますから。だから 有害影響が出てこないということも言えるわけですよね。医薬品はそれなりのデータを とっていますし臨床データもとっています。ちゃんと治療効果があるか、それとも全く データをとってないので、効果があるのかないのか分からないという点の区別だと思う んです。だから、私は効果があるのかないのか分からないというのが食品の世界だと思 います。ちゃんと治療効果があるというのが医薬品だというふうに考えたらいいんじゃ ないですか。そこで食品と医薬品を区別してちゃんと治療効果が出るようなものをつく れるようにしているというのが実際だと思います。 ○長村教授  ビタミンも昔はあれ全部医薬品の中で入っちゃってたんですよ。それで、ビタミンも 不足してる人にはビタミンを補うといいと。CoQ10なんかも不足してる人に補うなら ばいいです、αリポ酸も重要な補酵素で働きますから、やっぱり不足してる人に与える ための栄養機能食品という考え方、ミネラル、ビタミンのあの一範疇に入れていただい たら、今みたいな、特にαリポ酸の変な健康食品による被害は起こらなかったんじゃな いかというふうに思ってるんですが。 ○司会(大井)  よろしいでしょうか。かなり議論が白熱してるんですけれども、根深い問題というこ とで、もしよろしければお時間のほうが過ぎておりますので、皆様よろしければ次のご 質問を1つ先に受けさせていただきたいと思いますが、ご質問された方、それでもよろ しいでしょうか。申しわけありません。こちらの講師の先生方もそれでよろしいですか。  それでは、もしほかのご質問でどうしても今日しておきたいご質問があるという方い らっしゃいますでしょうか。  大変白熱してる議論の中で中断して申しわけないんですけれども、時間になりました ので、いったんここでリスクコミュニケーションは締めたいと思います。まだまだ意見 言い足りない方もいらっしゃると思いますけれども、申しわけございませんでした。  今回のリスクコミュニケーションが皆様の今後の活躍のご参考になることをお祈りい たしまして、本日の健康食品と上手くつきあう方法につきまして終了したいと思います。 皆様、会の運営にご協力いただきまして誠にありがとうございました。  それでは、入口のほうでアンケートを集めておりますので、そちらのほうご提出をお 願いいたします。                       照会先:食品安全部企画情報課                           03-5253-1111(内2493,2452)