09/01/23 平成21年1月23日(東京都港区)食品に関するリスクコミュニケーション〜輸入食品の安全確保に関する意見交換会〜議事録           食品に関するリスクコミュニケーション          −輸入食品の安全確保に関する意見交換会−       日時:平成21年1月23日(水)14:00〜16:45       場所:三田共用会議所 講堂 ○司会(北村) それでは、時間となりましたので始めたいと思います。  本日は、皆様、御多忙の中、御参加をいただきましてどうもありがとうございます。  ただいまから「食品に関するリスクコミュニケーション −輸入食品の安全確保に関 する意見交換会−」を開催いたします。  私は、本日、司会を務めさせていただきます厚生労働省食品安全部企画情報課の北村 と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  本日の意見交換会は、テーマに関する説明や講演、パネルディスカッション、意見交 換を通じまして、輸入食品の安全確保についての理解を深め、関係者間の認識を共有す ることを目的としまして開催するものでございます。  まず最初に、配布資料の確認をさせていただきます。お配りしております資料に1枚、 次第がございます。その下に配布資料等を書いてございますので、それに従いまして御 説明いたします。  まず、資料1−1「平成21年度輸入食品監視指導計画(案)について」ということ で概要になってございます。  資料1−2が「平成21年度輸入食品監視指導計画(案)」、本文になってございま す。  資料1−3が「輸入食品の安全性確保について」という講演資料で、パワーポイント の資料でございます。  資料2が「輸入食品の安全確保の取組みについて」ということで、こちらも日本水産 さんのパワーポイントの講演資料となってございます。  不足の資料がございますでしょうか。挙手していただきましたら担当の者がお伺いい たします。よろしいでしょうか。途中でお気づきになられましたら、スタッフの方にお 声がけいただけますよう、よろしくお願いいたします。  また、アンケート用紙を同封させていただいております。こちらは、今後の意見交換 会をよりよいものにできるよう皆様の御意見を伺うものでございますので、御協力をど うぞよろしくお願いいたします。記入いただきましたアンケートにつきましては、意見 交換会終了後に受付の方でお受けいたしますので、よろしくお願いいたします。  続きまして、簡単に本日の議事進行を紹介させていただきます。  また議事次第の方を御覧いただきたいのですが、最初に輸入食品の監視についての動 画を御覧いただきます。時間は8分ほどとなってございます。  次に、テーマに関する説明といたしまして、「輸入食品の安全性確保について −平 成21年度輸入食品監視指導計画(案)−」を厚生労働省食品安全部監視安全課輸入食品 安全対策室長の道野から説明いたします。  続きまして、日本水産株式会社品質保証室の前田様より、「日本水産株式会社におけ る輸入食品の安全確保の取組みについて」、御講演いただきます。  講演終了後、10分間程度の休憩をとらせていただきまして、3時45分ぐらいからパ ネルディスカッション、意見交換を行いまして、午後4時45分の終了を予定してござい ます。どうぞよろしくお願いいたします。  また、携帯電話につきましては、恐れ入りますけれども、進行を妨げられませんよう マナーモードに設定いただきますよう、御協力をどうぞよろしくお願いいたします。  それでは、動画「輸入食品の安全を守れ!〜輸入食品の監視〜」を御覧ください。                ( 動 画 ) ○司会 それでは、厚生労働省食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室長の道野より、 「輸入食品の安全性確保について −平成21年度輸入食品監視指導計画(案)−」につ いて説明いたします。よろしくお願いいたします。 ○道野室長 輸入食品安全対策室長の道野と申します。よろしくお願いいたします。  これから約40分間ぐらい、来年度の「輸入食品監視指導計画」を中心に、最近いろ いろ起こった問題であるとか、それから、今、動画で少し紹介のあった輸入食品の監視 体制についての御説明をしていきたいと思います。  これは、私ども厚生労働省の方で作成しています輸入食品の監視統計の数字でありま して、食品衛生法では、御承知のとおり、営業目的で輸入される食品につきましては、 その輸入者の方に届出を義務づけています。その届け出られた件数、それから重量につ いての年次推移ということでございまして、19年につきましては、 180万件、3,200万 トンというような数字になっています。件数は非常に増えてきていて、重量はだんだん と増えているのですけれども、件数の方がかなり大きく伸びてきているということでご ざいます。この要因としては、いつもこういった席ではお話をしているのですけれども、 やはり原材料の輸入から加工度の高い食品の小口の輸入が増えてきているとか、それか ら製品輸入がかなり増えているというようなこともございますし、あと、かつては冷凍 で輸入されていたような魚介類とか、そういったものが生鮮で航空機で小口で運ばれて くるとか、もちろん国民ニーズとか流通システムの発達ということも相まって、こうい った結果になっているのだろうというふうに私どもは見ております。  今度は、重量の配分といいますか、内訳でありまして、農産食品・農産物というのは 全体の 3,200万トンのうちの 2,200万トンぐらいを占めしています。何といいましても、 小麦とか、トウモロコシとか、大豆とか、こういったものの重量が非常に大きいので、 農産品のウエイトは非常に多くなってくるということであります。先ほど半製品・製品 の輸入が増えてきているというふうには申し上げていますけれども、やはり原材料の輸 入量というのも相当分あるわけでございまして、多くは北米とか、オーストラリアとか、 一部中国とか、そういったところからの輸入になります。あと、重量的に大きいのは畜 産食品、それから水産食品というような順になっています。  平成21年度の輸入食品監視指導計画(案)の意見交換会ということですので、その 計画はどういったものなのかということについて簡単に触れさせていただきますと、平 成15年の食品衛生法の改正で、こういった計画をつくって、その計画に沿って監視指導 をやっていくというようなことが定められています。ベースになるのは監視指導指針と いう、もう少し一般的な原則を整理したものが別にあるわけでございますけれども、毎 年の計画につきましては、輸入食品監視指導計画ということでつくっている。同時に、 例えば都道府県につきましては、国内で流通している食品について保健所中心に監視指 導をやっていますけれども、国内の各自治体もそれぞれ年度ごとにこういった監視指導 計画というものを策定して監視指導をやっているというような状況にあります。  こういう中で、どういったものを定めるのかということで言いますと、この3つ、生 産地の事情その他の事情から見て重点的に監視指導を実施すべき項目に関する事項。輸 入を行なう営業者に対する自主的な衛生管理の実施に係る指導に関する事項。その他必 要なものというような形になっています。  こういったもののポイントは3つ目にもう1つありまして、要は、定めて、これを公 表するということでございます。それから、この策定に当たっても、国民の皆さんの意 見を伺いながらつくっていくというようなことにしております。  全体的な輸入食品の安全確保ということで、我々の方で考え方の整理をしておるわけ でございますけれども、それを絵にしたものです。ただ、この絵に入る前に1つ押さえ ておきたいところは、食品の安全性確保というものに関しては、食品安全基本法でもあ りますように、一義的に事業者の方にやはり責任がある。自らが販売されるものについ ての安全確保というものについて、事業者がまず責任を持っていただくといったことが 基本になります。行政の役割というのは、そういった関係の、特に食品衛生法に違反し ているものはないかどうかということで、それを監視指導していく。事業者の方にきち んと守っていただく。そういう環境をつくっていくということが行政の役割というふう に御理解をいただきたいと思います。その上で、行政の監視体制の概要ということで御 覧になっていただければよいかと思います。  1つは輸出国の段階、1つは輸入時、それから国内というふうに3つに分けています。 これは食品安全基本法でも、流通の各段階において安全対策を講じていくということが 定められているわけでございまして、それに沿ったものというふうにお考えいただけれ ばいいと思います。一番注目されるのは、やはり輸入時の検査体制ということで真ん中 のところでありますけれども、先ほどもビデオの方で説明がありましたので簡単に言い ますと、法律に基づいて輸入者の方が届出義務があるということで届出が出される。こ の届出の情報に基づいて審査が行なわれるわけです。その上で、検査が必要でないもの、 検査が必要なものに分けられます。 検査の種類については、後ほどまた御説明をいたし ますけれども、検査の結果、合格のものは国内に流通ができる。不合格のものはこうい った措置がされるということになります。  あと、そのほかに、輸出国の段階での対策ということで、詳細については後ほど申し 上げますけれども、やはりなかなか輸入時の審査と検査だけで安全を確保していくとい うことは難しい部分があります。特に農薬の使用の問題とか、例えばBSE対策につい てもそうですけれども、検査だけではなかなかチェックし切れない部分もありますし、 むしろ検査で担保するというよりは、生産段階での適正使用とか、適正管理とか、そう いったことで担保していく方が合理的というか、多くはそういったものになるわけです。 したがいまして、私どもも問題が発生した場合には政府間で二国間協議をやって、必要 に応じて現地調査もやりながら、輸出国における安全対策というものについて、輸出国 側、多くの場合は政府でありますけれども、対策を講じさせていくということを近年重 視してやってきているというような状況であります。国内につきましては、保健所中心 に検査がされるわけですけれども、これもサンプリング検査ですが、そういったような 対応が国内に流通後もされるということであります。私どもとしては、そういった情報 を確実に自治体からフィードバックしてもらって、後々の輸入時の検査とか、輸出国へ の対応に供しているというような仕組みにしています。  先ほどありましたけれども、 全国で31カ所の輸入食品の届出窓口というのがありま す。別にこの31の港と空港でしか検査をやっていないということではなくて、事務所が これだけあるということです。実際には、それぞれ担当の管轄地域がありまして、事務 所から離れたところに輸入されたものについても、検査が必要なものについてはサンプ リングに行ったり、検査命令を出したりということをやっておるわけです。  それからもう1つは、横浜と神戸に輸入食品検疫検査センターといいまして、特に非 常に高度な機械を使ったり、技術を必要とするような検査につきましては、この2つの 検査センターに集約をして検査をやっています。それは、人材とか、機器とか、そうい ったものの有効活用というようなことから、日本じゅうどこにでも宅急便で送れば翌日 着くわけですので、そういったことでこの2カ所の大きなラボを中心に検査をやってい ます。そのほかにも東京とか、成田とか、関西空港とか、大阪とか、名古屋とか、そう いったとこについては小さなラボはありますけれども、基本的に残留農薬の検査とか、 主要な検査は検査センターで対応しているというのが現状です。  それから、輸入時の検査でよく言われていますのは、食品衛生監視員の数が足りない というふうなことがよく言われているわけですけれども、近年も非常に厳しい財政事情 の中で、順次増員を図ってきているところでございまして、まだ国会審議は始まってい ないですけれども、21年度の予算案の中では 368人ということで27名の増ということ で予算案に盛り込んでいるというような現状です。  先ほど申し上げたとおり、輸入時の対策としては、届出の審査と検査ということにな るわけですけれども、こういった届出は輸入食品 100%、全ての食品について届出を出 してもらうわけです。いろいろな中で検査率が10%というような議論もありますけれど も、こういった審査につきましては、もちろん 100%ですね。届け出られたものについ ては全て審査をやっています。どういうような内容かといいますと、もちろんこういっ た基本的な情報もありますけれども、加工食品の原材料であるとか、製造加工の方法で あるとか、それから添加物製剤の場合はその成分であるとか、それから、おもちゃとか 器具・容器包装の場合は材質であるとか、輸送途上で事故があったかなかったかという ようなこと、こういったことについての情報について届け出ていただくということにし ています。 もちろん加工食品の原材料というのは、日本で使えない添加物が使用されて いないかとか、日本の添加物規制に合っているものなのかというようなこと。それから、 製造加工の方につきましても、製造基準、加工基準というものがございますから、それ に合っているかどうかというようなこと。それから、遺伝子組換え食品につきましては、 いろいろな表示の問題等々もございますので、こういった分別流通管理の有無というよ うなことについても聞いています。あと、おもちゃとか容器の場合には、材質ごとに基 準が違うということがありますので、こういったものを届け出てもらっているというよ うなことです。  輸入時の検査体制の概要ですけれども、ちょっと図でわかりにくいかもしれませんけ れども、上にいくほど違反の蓋然性、違反の可能性が高いだろうというふうに考えられ る食品についての仕組みというふうにお考えいただきたいと思います。もちろん、それ は違反の蓋然性の高いものについては検査率が高くなっていくというふうにしています。 それで、モニタリング検査といって、これは年間計画を立てて、計画の立て方は後でま た御説明しますけれども、計画的に検査をやっているという部分でございまして、それ に輸入者の方の自主的な検査ということで、これは指導検査と言っていますけれども、 行政指導に基づいて、先ほど申し上げたような安全性に関する一義的責任は事業者の方 にあるということですので、自らもお金を払って検査をしていただくということでやっ ているわけですが、こういったものがベースになります。それで、モニタリング検査で 違反が見つかったというようなケースになると、モニタリング検査を強化し、更に検査 命令ということで、これは先ほどのビデオにもありましたけれども、例えば、ある国の 食品のある検査項目については輸入の都度検査をするというようなものが検査命令とい うことになります。  ただ、検査でうまくコントロールできない、例えば検査をして合格になっても、もう 一回検査したらアウトになるとか、そういったようなケースが出てくると、これは包括 的輸入禁止ということで、適切な食品衛生法上の判断ができないというようなものにつ いては輸入禁止という方策もあるというようなことでございます。これは平成14年に中 国産の冷凍ホウレンソウの残留農薬の問題のときにできた制度でありますけれども、こ ういったものがあるということで、ちょっと余談になりますが、輸出国政府とのいろい ろな協議の中では、やはり輸出国サイドはこういったものは発動されたくないですから、 大体検査命令を行ったところでいろいろな対策をとってくるということで、発動は今ま で一度もしたことはないんですけれども、実はこの制度があるおかげで、かなりいろい ろな意味で我々としては仕事もしやすくなっているし、対策も進みやすくなっていると いうような状況もあります。  検査制度についての説明ですけれども、先ほどちょっと触れましたけれども、輸入者 の自主的な衛生管理の一環としてということで、定期的に検査をやっていただくという こと。それから、モニタリング検査、これは国が費用負担をして、食品の衛生状況につ いて幅広く監視。要するに、ランダムチェックをして、安全性が確保されているかどう かということをチェックしていきましょうというのがモニタリング検査です。検査命令 というのは、自主検査やモニタリング検査、国内の検査等々、そういったもので違反が 判明して違反の蓋然性が高いというふうに見込まれる食品について、輸入者に対し、輸 入の都度、検査をしてもらうというふうになるわけです。それで、どういったものが対 象になるかということは私どもは公表しておりますので、たってそれを輸入される方に つきましては、検査命令を受けていただいて、自ら費用を負担していただいて検査をし ていただくということになります。  モニタリング検査の場合には、違反の蓋然性が特に高いということではありませんの で、また、ランダムチェックの中でやっているということで、それは国内で、例えば保 健所が収去して検査しているのと全く同じことですので、検査の結果の判明を待たずに 流通は可能です。検査命令の場合は、検査結果の判明まで、もちろん合格するまでは輸 入はできないというような仕組みになっています。  それから、ちょっと技術的な話になりますけれども、モニタリング検査の件数をどう いうふうに算定しているかということであります。これは、工業品の品質管理に使う手 法ではあるのですけれども、まず、こういった食品を 157に大括りに分類をします。そ れで、それぞれについて想定される検査項目というのがあるわけですけれども、それぞ れについてまた検査の数字を設定していくということをしています。これこは、COD EXのガイドラインなども参考にして、 要は、これはランダムサンプリングというのが 前提ですけれども、 299件を無作為に取って検査をした場合に、連続して合格をすると いうことであれば、違反率1%以下であるということが、95%以上の信頼度で言える。 こういうサンプリング理論がありまして、これをベースにして、もちろんこれは、こち らが違反率、こちらが信頼限界ということになるわけですけれども、 統計学的に算出さ れている表がございますので、こういうものを使って計画を立てています。これは実例 ですけれども、米というのが例としていいかどうかよくわからないですが、こういった 299件というのをベースにしまして、それぞれの検査項目ごとに設定をします。ただ、 現実的に米で問題になるようなものというのはどういうものがあるのかということで、 例えば放射線照射とか、添加物というものについては、必要はないのでリジェクトして いるというようなことで、トータルで積み上げて、延べ 715項目の検査をやる。15件の 検査をやるということになります。  あと、こういったモニタリング検査をやって、検査命令にどういうふうに移行してい くのかということですけれども、一番上の段は、健康被害の発生があるとか、そのおそ れがあるようなもの。 食品衛生法で言うと、6条という条文に違反するようなものとい うのはまさにこういったものです。そういったものにつきましては、直ちに検査命令に なる。モニタリング検査でこういったものが見つかると、直ちに検査命令になります。 残留農薬とか、動物用医薬品とか、いわゆる継続摂取が問題になってくるようなもの、 なおかつ、やはり偶発事例というのもある可能性があるので、基本的には2回の違反で 違反の蓋然性の高い食品というふうに判断するようにしています。1回違反が見つかる と、大体検査率を3割ぐらいにアップして検査をしていって、こちらに移すものなのか、 やはりこちらに戻すものなのかというのをチェックしています。これは強化の話ばかり 書いていますけれども、当然、緩和ということもしていまして、例えば輸出国で再発防 止措置がきちんと確立する。先ほどの二国間協議や現地調査などで裏づけがとれるとい うことも必要になってきますけれども、もしくは、輸入時の検査の結果、モニタリング を許可したけれども、継続してその後の違反が見つからないケースとか、そういった場 合には検査命令を解除していくということもやっています。  これは実例ですけれども、国別の検査命令の対象品目ということで、国を問わずにや っているもの、それから国ごとに設定しているもの、それぞれあります。こちらは、結 局、輸出国でのそれぞれの規制のシステムというのに依存するようなものに関しては、 やはり国ごとに考えていく。それから、フグとか、こういったものについては、すじこ の場合は添加物ですけれども、キャッサバなどは天然に入っているシアン化合物ですね。 フグも、テトロトキシンという天然のグループです。これはどこでも持っているわけな ので、そういったものに関しては国を問わずに検査命令をかけています。 どうしても中 国というのは、輸入の件数で言うと大体全体の3分の1ぐらいを占めていますので、し たがって、検査命令の対象品目が多いということもある。もちろん、品目の話だけでは ないとは思いますけれども、中国は結果としては検査命令対象品目が一番多くなってい るということです。  全体で言うと、全輸出国に関しては15品目、36カ国1地域については 205品目。全 世界から輸入されるものについて一律に検査命令をかけているものが15品目。205品目 については、国とか地域によって検査命令の対象になっているというようなことです。 これは非常に一般的な話で、要は、検査といっても別に全部の箱を検査しているわけで はない。当然、抽出検査だし、サンプリング検査だということをあらわすためのもので す。皆さんは御関心の高い方々なのでよく御承知だと思います。ただ、あまりこの分野 に通じていない人は実はよく勘違いをされるので、こういった絵も用いて説明をしてい ます。実際のサンプリングというのは、実際の母集団に含まれるカートン数に応じて開 梱数を決めて抽出検査をやっているというようなことであります。例えば 300カートン の場合には、上薬の検査をしようとする場合には、8箱あけてサンプルを採って合計1 キログラムにする。こういったものを農薬の検査の検体にしているということです。  これは20年度の結果ということで、大まかに言えば、19年度のデータの大体半分ぐ らいということで、そんなに特徴的な数字の動きというのはないというふうに御理解い ただければいいと思います。これもずっとそうですね。  それで、今日は事業者の方が非常にたくさん来ておられるので、私どもの方で輸入者 の営業の禁停止処分ということで、法律違反を繰り返す事業者の方、それから法違反の 原因の改善、再発防止、そういった措置を講じていただくということを主眼に置いてこ ういったことをやっています。例えば、違反率が5%より高いというようなケースです が、そういった場合には、食品等を輸入する際に安全管理の見直しとか、なぜそういっ たことが起きたのかということについて検討してもらって、対策を講じてもらうという ようなことをやっています。それでも改善が見られないという場合には、営業の禁停止。 ただ、食品衛生法というのは公衆衛生法規ですから、別にペナルティを与えるというこ とではなくて、そういった再発防止措置が適切に講じられるまでの間、商売を休んでい ただくという趣旨のものです。四半期ごとにこういった違反率のチェックなどを我々は しています。実際に、この中にもひょっとしたら御足労いただいた方もいらっしゃるか もしれませんけれども、四半期ごとにこういった違反率の高い輸入者の方には、私ども の方の事務所に来ていただいて、いろいろこういったことについて議論をさせていただ く、検討させていただくというようなことがありますので、ぜひ呼ばれないように御注 意いただければというふうに思います。  あと、ちょっと飛びますけれども、輸出国における現地調査の実施事例ということで、 確かに輸入時の検査というのは非常に大事ですし、今後とも輸入食品の監視員の増員と いうのは我々は努力しなければいけないわけですけれども、輸入時のペーパーの審査と、 抜き取り検査というのはやはり限界があるわけですね。そういった意味で、輸出国段階 でしっかり輸出国政府にいろいろ協力してもらって、もしくは、やるべきことをやって もらって、対日輸出食品について、日本の基準に合ったものを輸出してもらう、そうい う努力が必要なわけでございまして、これは過去18、19、20と3年間で、こういったよ うな相手国に現地調査に行ったり、二国間協議をやったりということで、実際に出掛け て行った数です。この中にはアメリカの牛肉の問題も含めて、いろいろマスコミに出て くるのは、どうしてもアメリカの牛肉が多いですけれども、それ以外にもいろいろな国 に対して、いろいろな問題で協議なり調査なりをやっているということを御承知おきい ただければと思います。  21年度の計画(案)ですけれども、お渡しした資料の中には本文なども付けてありま すので、それは後々また御覧いただければよいかと思います。重点的に監視指導を実施 すべき項目ということで、モニタリング検査の実施とか、それから、上の方は審査の問 題とか、モニタリング、検査命令とか、そういったことを細かくここにも書いています。  それから、これは海外情報をいかに集めるかということで、今、国立医薬品食品衛生 研究所の安全情報部とか、食品安全委員会の事務局で、2週間おきにこういった情報に ついて収集してもらって情報をシェアしている。特に学術雑誌のそういった情報という のは、我々、日常業務で自分たちでなかなか集めにくいものありますし、そういったも のに関して非常に助かっていると思います。もちろん、今ガタガタしていますけれども、 例えばアメリカのピーナツバターとか、ピーナツペーストで、サルモネラ・チフィムリ ウムの食中毒が起きて回収騒ぎをやっていますけれども、日本向けにどんなものが出た 可能性があるとかないとかというようなことは、もちろん政府間のルートでの情報の直 接のやりとりというのもあるわけですけれども、報道情報とか、学術情報とか、そうい ったものに関しては、こういったところでの情報収集というのが行政上は非常に重要に なってきています。  それから、輸出における衛生対策の推進ということで、先ほどのような話で二国間協 議とか現地調査、それからもう1つは、やはり途上国からの輸入というのがかなり多い ことも事実でして、そういった国では、輸出するために検査をするにもなかなか技術的 な問題があったり、インフラの問題があったりということがあります。 そういった場合、 国には、どこの国にもというわけにはいかないですけれども、JICAを通じた専門家 の派遣とか、研修生の受入れとかをやっていまして、今も中国を相手に、特に残留農薬 とか、残留動物用医薬品の分析技術の技術協力ということをやっています。  それから、輸入者への自主的な衛生管理の実施に係る指導ということでして、基本的 な話ですけれども、基本的指導事項というのは食品ごとに決められているものがありま すので、そういったものについて、輸入前の指導をしっかりやっていくというようなこ と。それから、もちろん、そういった輸入前の指導で問題になったものについては輸入 を見合わせてもらう。それから、初回輸入時、定期的な自主検査といったもの。それか ら、記録の作成・保存。これは、要は問題が起きたときに迅速に回収とか、そういった ことができるようにということで、これは食品衛生法で責務規定があるわけですけれど も、そういったものについての指導。それから、昨今いろいろ問題が出ていますけれど も、適正な表示をしていただくというようなこと。その他に、関係事業者の方に対して の知識の普及啓発というようなことを挙げております。  それで、これは当たり前の話ですけれども、違反が判明した場合には、当該食品の措 置とか、廃棄とか、積戻しとか、食用外用途への転用とか、それから国内で見つかった 場合には、先ほど申し上げたような情報をフィードバックしていって輸入時の監視に役 立てていく。それから、実際に違反のあった当事者に対してのいろいろな措置、報告を もらうとか、次にまた輸入を再開するときには確実にチェックをしてもらうとか、先ほ ど申し上げたような行政処分。そのほかにも、悪質事例などでの告発というのもやって いるわけですけれども、 そういったこともきちんと対処していこうというようなことで あります。更に、違反事例の公表というようなことですね。これは、輸入者に対する基 本的指導事項ということで、これは食品一般と書いていますけれども、この後に食品ご とに書いています。  今年度の主な改正点。今までのところは毎年同じような内容で御説明していると思い ますけれども、今年の一応変わったところというのは、1つは、当モニタリング検査の 計画数をアップしたということ。もちろん、人の増員等も含めてやっていますけれども。 それから、今年度、おもちゃの規制が強化されたということもありまして、そういった ものに対してのモニタリング検査の拡充ということがあります。あと、昨年5月ぐらい に総務省の行政評価局から勧告があった点にもちょっと関連しているんですけれども、 年々で輸入状況が少しずつ変わってくるということもありまして、そういったことを含 めて、モニタリング検査計画の全般を今回ちょっと見直したということがあります。こ れを実施しながら、更に適宜点検して、年度内の見直しということもやっていこうとい うようなことも決めています。  それから、輸出国の衛生対策に関する情報収集の推進ということで、先ほど申し上げ たとおり、問題発生時には二国間協議とか、現地調査ということをやっているわけです けれども、 なかなかそれで間に合わないケースが出てきているわけですね。そういった ことで、もう少し未然防止というか、発生したときにすぐに対処できるようにというこ とも含めて、平時よりそういった主要な輸出国についてはいろいろな仕組みというもの をきちんと研究しておく。どういう仕組みがあって、どういうような実施体制があるの か、実際に守られているのか、そういったことについて情報収集、評価を進めていこう というふうに考えています。ただ、これは非常に人とお金がかかる話でして、21年度に つきましては、まず試行的に少しやって進めていこうかというふうに考えています。  更に、輸出国段階における自主管理の推進ということで、昨年、餃子の問題などもあ って、先ほどあったように、計画の中では食品ごとに大まかな留意事項については書い ているのですけれども、もう少し具体的に現場でチェックしていただけるようなものを つくった方がいいんじゃないか。これは、餃子の問題というのは、どちらかというと有 毒有害物質を食品の取扱い施設の中でどう管理するかというようなことに関しても、例 えばCODEXの国際基準であるとか、国内の管理運営基準であるとか、そういったも のでも若干触れている部分がありますし、製造加工の管理、原材料の管理を含めて指針 (ガイドライン)ということで去年の6月にまとめたものです。これに関しましては、事 業者の方は恐らく去年、全検疫所で説明会をやったりもしておりますので御承知の方も 多いかと思いますけれども、内容的には、国内に適用している基準であるとか、それか ら国際基準を参考に整理してまとめたものでありますので、こういったものを活用して いただいて、輸入者の方に管理をしっかり徹底していただくということをしていただき たいということでございます。  一応用意した話としては今ぐらいのところですけれども、あと、参考情報というとこ ろで非常に資料が分厚くなっていて、どこがポイントで、どこがそうじゃないかよくわ からないというところもありますので簡単に流していきますと、これは自給率の問題で すね。  食品別輸入量上位5ヶ国。いろいろな場面で、例えば世界 160ヶ国とか、180ヶ国か ら日本は食品を輸入しているなどというようなことがよく言われるのですけれども、確 かに全部数えればそうなのかもしれないですが、主要な輸出国というのは実はある程度 偏りがあるというようなことも少しこういったデータから見られるというふうに理解し ていただければいいんじゃないかというふうに思います。分類別にずっといっています が、こういった器具、容器、おもちゃというのは中国が非常に多いのですけれども、も のによって輸出国がかなり偏っているということが言えるのではないかというふうに思 います。  これは、参考情報の中で、先ほど一番最初に申し上げたような食品の供給工程におけ る適切な措置ということで、食品の供給工程における適切な措置ということで、食品の 供給工程の各段階において適切な措置を講じるということが、やはり食品安全対策の基 本だというようなこと。それから、国の責務とか、事業者の責務。特に事業者の責務に 関しては、食品の安全確保について一義的責任を有しているというようなことが食品安 全基本法で規定されているということです。  食品衛生法についても割と類似の規定があるわけですが、これは後で御覧いただけれ ばいいと思います。  それから、ポジティブリスト制度の施行後3年ということになるわけですけれども、 かなり違反なども減ってきているのですが、こういった残留基準の設定方法ということ で、考え方というようなことを御紹介しているものです。これは、非常にマージンを見 て設定されていますよということを示しているようなものです。  あと、これは検査項目ですけれども、できるだけたくさんの項目をカバーしたいとい うことで、年々、私どもも努力をして検査項目を増やしてきているというような状況に あります。ただ、これは全ての農産物について全てできるというわけではありません。 どの農産物かにはできるということで対処しているもの。 それから、モニタリング検査 ですので、検査センターでやるほかに、国内の登録検査機関に委託をしてやるようなも のも含まれています。  これは、モニタリング検査で農薬はどういうふうにやっているかということの考え方 として、 私どももいろいろ優先順位をつけて検査項目を選定しているというようなこと です。  それから、ポジティブリスト制度後の違反の件数がどう推移しているかということで すけれども、実は去年(19年度)は大体半分ぐらいに減ったんです。その前の施行した 年が、違反が全体で7倍ぐらいになったというようなことだったのですが、それが半分 ぐらいになったんですけど、ちょっと横ばいになっている。だいぶ浸透してきたという ことはあるのですけれども、ここからどうやって減らしていくのかということが今後の 課題ではないかと思います。  それから、これは米国産牛肉の問題でして、復習のためにまた参考に読んでいただけ ればというふうに思います。現在、約40の対日輸出施設から輸出がされています。  仕組みとしては、これは輸出国での安全対策の1つの例だと思いますけれども、米国 の農務省は2つの局がありますが、2つの局があるというのは置いておいて、農務省が 数字としては41施設ですが、41施設に対して認定をし、それから輸出時の証明を出し てチェックをしているというような仕組みになっています。  これは混載事例の一覧でして、直近のものを見ると、直近3件については今のところ まだ原因とか、そういったことは最終的に整理がついていないということで、今、輸入 の手続が止まっているというような状況です。こういった食品安全の情報、厚生労働省 関係につきましては、非常に細かくてマニアックだという御批判もあって、農林水産省 のホームぺージの方がわかりやすいというようなことも言われていまして、私どももで きるだけわかりやすくしようと努力はしているのですけれども、まだまだ何となくマニ ア向けという感じが強いホームぺージですが、ここに来ていらっしゃるような方は恐ら く関心の高い方ですので、ぜひこういった情報について活用していただければというふ うに思います。輸入食品については、輸入食品のところをワンクリックすると出てきま すので、この中で手続とか、監視とか、違反とか、いろいろな情報について得ることが できます。基本的にこういった内容については公開していくということでやっています ので、ぜひ御覧いただければというふうに思います。  これは更にマニア向けですけれども、国立医薬品食品衛生研究所のホームぺージの中 では、例えば各国の残留農薬基準とか、使用状況とか、そういったことも含めて、情報 がわかるようにしていますので、こういったもう少し個別問題について深くお知りにな りたい方はぜひ御覧になっていただければというふうに思います。  餃子事件の情報なども後ろに入っていますけれども、端的に言えば、今のところはま だ捜査当局の方で捜査中ということですので、その決着がついてからでないと私どもの 方も行政対応というのはなかなか変えることはできないというのが現状です。  それから、これは先ほどちょっと御紹介した輸入加工食品のガイドラインの概要とい うことですが、参考に後で御覧いただければと思います。  それから、メラミンの問題は、昨年9月以降、特に輸入者の方には、既に輸入された ものについての自主検査等々をお願いしてきたところですけれども、国内に流通してい たものの検査については概ね終わったというような状況です。ただ、輸入時の検査につ きましては、当面は継続していくというような対応になっています。  大体以上が私の方で今日用意させていただいた資料情報でございます。説明が不十分 だったところにつきましては、後の意見交換等で御指摘をいただければというふうに思 います。以上で終わらせていただきます。御静聴、どうもありがとうございました。 (拍手) ○司会 どうもありがとうございました。  続きまして、日本水産株式会社品質保証室水産品・農産品品質保証課長の前田様より、 「日本水産株式会社における輸入食品の安全確保に関する取組み」につきまして御講演 いただきます。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。 ○前田氏(日本水産(株)) こんにちは。ただいま御紹介いただきました、私、日本 水産株式会社品質保証室で主に水産品と農産品の品質保証を担当しております前田と申 します。よろしくお願いいたします。  さて、本日は、私ども日本水産の品質保証体制というところで、輸入食品の安全性確 保ということについての取組みのお題をいただきましたのでお話をさせていただきます が、既にお手元にあります資料と、本日こちらでスライドとして映させていただく資料 が若干異なっておりますが、その部分は御説明の中でお話ししていきますので、御了承 いただきたいと思います。  では、早速いきますが、これは目次ですけれども、本日、私どもの品質保証体制につ いてのお話をさせていただきますが、一言で安全確保といっても多様な事項がございま す。その中で、本日幾つかかいつまんでお話ということになります。  最初に、私どもの食品をつくっている生産工場の管理とか、原材料に関わる管理につ いても御紹介しながら、私どもが食品の安全性を確保するのに1つのモデルというふう に考えています一貫生産という考え方についての御紹介をさせていただきます。その後、 検査体制とか、教育体制というような検証の仕組み、それから安全性の確保の仕組みを 継続してやり続けるための考え方というようなことを御紹介して、最後に、私どもの品 質保証体制をまとめて終わりたいと思います。ただ、多岐にわたりますし、お時間も短 いので、御紹介が概要説明ということになりますことは残念ながらありますので、そこ のところだけ御了承いただければと思います。  では、早速、生産工場の管理の方からお話しさせていただきます。私どもの生産工場 は、国内外合わせまして今、大体 130工場ぐらい管理をしております。その中で、それ ぞれの130工場は認定工場という制度で運用させていただいております。私どもは日水 の HACCP相当基準と呼んでいますが、私ども自身の物差しを持って品質保証室の担当者 が工場をチェックしながら仕事をするということをやっております。その監査、調査に 合格しなければ私どもの食品をつくれないというルールでやっております。また、認定 してからそのまま放っておくというわけにもいきませんので、私どもも定期的に2年な り3年なりというスパンをもって巡回をして仕事をしていますし、では、品質保証室だ けがやればいいかというわけでもないので、私どもの物を輸入する人間、また生産管理 をする人間は、足しげく生産工場に通うというような体制で仕事をさせていただいてお ります。  これが私どもの物差しのHACCP相当基準というものの中身の概要ということですけれ ども、生産工場の基準は242項目からなっております。その中で、施設設備の要件であ るとか、一般的な衛生管理の要件であるとかというようなところと、今一番問題になっ てきているコンプライアンス的なところでの経営者の姿勢というのも評価させていただ くような体制にしております。この辺が、この生産工場でつくっていいのだろうかとい うようなところの判断の重要なポイントになってくるのかなというふうにも今思ってお ります。  このスライドはお手元にはございません。どうぞ御覧ください。私どもの基準 242と 申し上げましたが、その中にある中項目の御紹介です。例えば施設設備の要件では、当 然、製造面積からレイアウトから基本的な構造、天井ですとか、床ですとか、壁ですと かというようなところで、食品を衛生的につくるので問題ないかというようなチェック もいたしますので、品質保証室といえども、どちらかというと土建屋さんみたいな知識 も必要になってくる部分がございます。そのほかに、一般的衛生管理については、一般 的に食品がきちんと衛生的につくられているかということを見るというところです。あ とは、 HACCP要件できちんとプランがあって、それが現場で実現されているかというよ うなところをチェックすることにしております。このような基準で私どもは工場を管理 しながら工場認定制度というもので生産工場を管理するということを運営させていただ いているというところの御紹介です。  続きましては、原材料の管理でございます。私どもが食品の安全性を確保するのには、 やはり安全な原材料を使わざるを得ないわけであって、安全な原材料を確保できない限 り、安全食品はつくれないというふうに考えておりまして、原材料の管理というところ にスポットを当てています。私どもの方は、原材料に係る基準ということで、加工食品 に使う原材料をどのようにして買ったらいいのか、何を確認しながら買ったらいいのか という基準を定めておりまして、それに基づいて生産工場が購入していただくというよ うなルールにしています。また、中にはリスクの高い原材料もございますので、その部 分については品質保証室や生産工場の担当者が直接工場の現場に出向いて安全なものが つくれるのかというようなこともチェックする体制にしています。それをもとにして、 最終的に購入する否かを決定すると、我々として原材料の規格を保証するというような 形で、原材料の中身を確認できる書類をいただくというような仕事をしているわけでご ざいます。それができますと、原材料データベースの中にその内容を取り込んで、どこ の工場でどの原材料が、どの製品に使われているかということがわかるような仕組みを させていただいています。それをもとに表示をつくったりするようなこともできるよう な体制にしております。  これが最終的に我々が確認しようとする原材料規格保証書に書いてあることの中身 でございます。原材料の規格はもちろんのこと、原材料がどこでどのような形でつくら れているのかとか、また、安全性に関わる情報について問題がないのかというようなこ とを確認できるような仕組みにしています。  このスライドはお手元にはございませんが、その書式の中身です。下の方が配合です とか、規格ですとか、中身に何が使われているかということが書かれているところです。 上の方は2枚目のシートで、そこには安全性に関わる情報が記載できるようになってい る。こういった書類をきちんとお出しいただけない購入先からは我々は購入しないとい うのが基本的なルールです。ところが、このルールを始めたのがキョウワコウリョウさ んの問題が起きたときからですから5年、6年とたちますが、最初はやはり中国ですと か、その他の海外からこのようなものをいただくのは非常に苦労しました。しかしなが ら、ようやくここ数年たって、だんだん浸透してきたというか、ようやく理解していた だけるようになってきているというのが事実でございます。  このようなことで私どもは管理しているわけですけれども、冒頭申し上げましたとお り、原材料の安全の確保が食品の安全の確保の第一歩であるということと考えています ので、これまで以上に原材料に関わることの仕事をしていきたいので、更に原材料管理 の強化をしなければいけないというふうに考えております。更に、今ですと、使用する 原材料のみならず、包装材料とかというところにまで幅を広げて、我々としてリスク評 価をしながらの原材料の調達というようなことを更に推進しなければいけないというふ うに考えております。ここまでが原材料の管理の話でございます。  この写真は皆様のお手元にはございません。お手元には私どもの一貫生産を行なって 供給している商品の御紹介が幾つかあります。その前に、なぜそういうことをしなけれ ばいけないのかというふうに思ったことのきっかけになるようなことを少し事例として 御紹介してみたいとおもいます。  私ども、一貫生産というのがなぜ大切なのだろうかということを体験した事例ですけ れども、こちらは中国の福建省の枝豆の農地の絵でございます。手前はもう収穫済みの 農地でございますけれども、ここは、私どもは農地で使う農薬はきちんとリスト化して、 これだけしか使ってはいけないと決めているわけですけれども、自主検査をしてみたと ころ、プロパモカルブという使っていいというふうに決めていない薬剤が出てきた。ど うしてだろうというので調べたとの事例です。この後ろの山は果樹園になっていまして、 ライチの果樹園でした。それで、調べていってみると、収穫直前にライチの果樹園でこ の農薬が散布されていた。風に乗ってやってきたんだねと。やはり既成の事実というの があるんだということがわかった事例でございます。  続きまして、こちらは、これも干上がってしまっていますけれども、インドネシアの ジャワ島のブラックタイガーの海老の養殖池でございます。私どもは、インドネシアと いうのはブラックタイガーの養殖海老を使って海老フライを輸入しておりますけれども、 御存じのように、インドネシアからの海老及びその加工品は、今、4つの動物用医薬品 の検査命令がございます。その中の1つのフラゾリドンの代謝物のAOZが検出されて 違反になったという事例が、この池というか、インドネシアで起きました。私どもは、 この池というのは、粗放養殖と呼ばれる養殖のやり方です。密度の少ない、エサをやら ない、したがって、海老に対するストレスがないので病気の発生リスクがない。したが って、薬を使わなくていいというような養殖だったんです。そういうふうに思い込んで おりました。というのは、1990年の後半ぐらいから仕事を始めていますけれども、その 頃はそのとおりだったんです。ところが、最近は少しでも実入りが欲しいとか、お金を 稼ぎたいといって、実はだんだん密度が上がってきていたりしていました。また、海老 の種類も変わってきてい、バナメイなどという海老が登場したことによって、ブラック タイガーも密度を上げるというような仕事が実は行なわれていたのを我々が察知するの がちょっと遅れて失敗したという事例でございます。  だから、この辺のところに、やはりそういった変化が諸外国でも起きているというこ とはすぐに我々として捉えなければいけなかったのですけれども、それができなかった ということが失敗したなと思っております。先ほど来、工場の管理、原材料の管理とい うふうなことを申し上げましたけれども、私どももこのような失敗をしてしまうという ことでございます。養殖場の近くのよろず屋さんみたいなお店に行きますと、ここに写 真でお示ししますように、動物用医薬品というふうにしては売っておりません。 成長 促進剤ですとか、水質改良剤というような名前で売られております。実際、これをたく さん買ってきまして私どもも調査分析してみましたが、その中から動物用医薬品を確認 したり、農薬を確認したりという事例がございます。そうしますと、私どもといたしま しては、この養殖場の拠点は大体 3,000を超える養殖池がございました。その 3,000を 超える養殖池一つ一つ全てにこのような薬剤管理をするというのが非常に難しいという ことが言えて、その薬剤の使用による薬剤混入リスクを防げなかったという事例でござ います。  また、これも同じジャワ島の養殖池ですけれども、養殖池で連続的に養殖していくと、 ジリョクといいますけれども、養殖池の力がなくなって収穫量が悪くなるので輪作みた いなことをします。それで、休んでいる間に塩をつくってみたり、水田にしてみたりと いうようなことがあるので、そういったところから逆にまた違う農薬などの混入なども 出てくるんだなということもどんどん調べていくとわかるし、ジリョク回復のために、 有機だからいいだろうと鶏糞を使っている農民の方がいらっしゃいました。それで、鶏 糞を持ち帰って調べてみると、鶏糞からやはり動物用医薬品を検出することがありまし た。そうしますと、土域ですから、土の中に動物用医薬品が残留しているというような 状態で海老の養殖が行なわれるというようなことがあるんだなと。そうすると、海老の 養殖時期だけじゃなくて、別な時期にもきちんとした確認をしておかないと失敗してし まうというようなことがわかった事例でございます。  私どもは、こういったような失敗を繰り返しながら一貫生産というところにたどり着 いたわけですが、この写真は、南米のチリで鮭の養殖をしておりますけれども、その写 真でございまして、これは養殖場、生産工場。これは我々の商品でございますけれども、 御存じのように、鮭というのは、卵からハツガン卵をつくって、稚魚をつくって育てて というような完全養殖のできる魚でございますが、 更に、そこに使うエサをつくって いることも、全て自社の中で行なうことによって、全ての生産工程が我々で把握するこ とができる。そうすると、何がいいかというと、いろいろな生産工程がございますが、 養殖のステージ、加工のステージという中で、全ての養殖や生産工程の中でどんなリス クがあるのかということを自分たちで把握することができる。そうすることによって、 どんな手を打って安全を確保しようかということができるという一貫生産というような 考え方で今やっているということでございます。  次の写真は、これもお手元にありますが、今までは養殖の話だったりしましたけれど も、これは漁業の話でございまして、私どもは南米やニュージーランド、また、アラス カで資源へのアクセスもできるようになっていますけれども、ちくわの原料は御存じの ように魚肉すり身でございます。魚肉すり身の原材料となる白身魚にアクセスを持って いるわけですが、そういった資源へのアクセスと、その原料となるすり身も私どもが自 分でつくれる。船の上だったり、丘の工場だったり。そういったものを使って、中心に ちくわをつくっていこうなどという仕事も1つの一貫生産なのかなと。全ての工程がわ かります。漁獲、原料の製造、そして製品の生産というような考え方の1つでございま す。  次が、これは話題ですけれども、中国で鶏の仕事も若干やっておりまして、養鶏場の 御紹介です。こちらが養鶏場、これが中身、これがエサ工場、これが屠殺場ですね。こ れが最終商品の生産工場です。中国の鶏の事業では、我々が食べる、口に入る鶏の2代 前、祖母鶏と言いますけれども、おばあちゃん鶏から養鶏を始めて管理しています。我 々は、そのエサもつくります。それを屠殺するところも自分たちのグループの中で、そ れで、その肉を使って自分たちでやる。したがって、何が起こっているか、何がやられ ているかということが把握できるという一貫生産管理の御紹介です。  ちょっとしつこくなって申しわけないですけれども、次が農産品でございます。私ど もは日本水産といいながら農産品もやっておりまして、特に枝豆を中心にやっています が、これが農産品における一貫管理のイメージでございます。先ほど来からいろいろと お話ししていますが、つくる場所を特定して、そこで農薬を測定して、管理する人たち をグルーピングして、その栽培管理のルールを決めてきちんと仕切るというような仕事 をしようと思っております。これが、そのときにやったときの組織の模式図になってい ます。これも2002年の後半から2003年にかけて冷凍ホウレンソウの農薬問題というの は皆さん御承知のとおりでございますけれども、その際に私どもも中国の福建省に行っ て、農家の農地がどのぐらいあるか調べました。約 2,600ぐらい、我々が年間約1万ト ンぐらいの原料を確保するのに必要でした。そうしますと、 2,600人の農地で農薬を決 めて、きちんと使い切らせるという指導をするのは、1日1農家ずつ指導しても 2,600 日かかりますから、とてもじゃないけどできません。そういうようなことで、こんな管 理をしているとやはり無理なんだなということで、 私どもはそのときに農民の組織化と いうことを始めております。そのときに、14組79班ぐらいの組織をつくって、グルー ピングすることによって管理を徹底させようという仕組みをつくってみました。これも 同じく5年、6年とたちまして、年2作ですから10回ぐらいの生産をやって、ようやく 自主検査で使用した農薬だけしか出てこないような状況になってきました。だから、や はりこういった仕組みは有効なのかなというふうに考えています。  これがそのときにつくった農地地図でございます。農地地図を1つずつつくって、い つどういった種類のものを種植えして、いつまで収穫したか。この間の記録も実は別に つくってあるというようなことで、どこで何がどういうふうにしてつくられたのかとい うことが自分たちでわかるようにする体制をとりました。  そういうことができれば、これは商品へのLOT記号の一例ですけれども、このよう なLOT記号をつけることによって、消費者の皆様に、この農産品はどこでつくったか ということをお知らせすることができるようになっています。これが最終的な一貫生産 管理をしながらの履歴管理というようなところかなというふうに考えております。これ まで御紹介したとおり、どういうふうにして輸入食品の安全を確保しようかというとこ ろでのさわりの部分でございます。  かといって、私どもも事例紹介で使ったように失敗をするんでございます。失敗して 違反を出したり、変なものを見つけてしまったりします。そういうためには、自分たち で検証する体制もとっておかないといけない。自分たちでやっている仕事が本当に正し い仕事なのであろうかということを把握するための検証体制を自分たちでとらなければ いけないので、一応、私どもも国内外問わず検査体制をとっております。自社での分析 センターを持ち、中国とかタイで検査の分析可能な組織をつくって仕事をしています。 更に、生産工場でやるのはもちろん、自分たちで全てできるわけではないですから、必 要に応じて外部機関のお力を借りながら仕事をしているということです。  これはお手元にございませんが、私どもの仕事の中で輸入食品の自主検査をやってお りますけれども、その業務フローでございます。品質保証の担当の人間が一生懸命指示 してやるわけでもなく、ルールにしております。我々が決めるのは、どの食品をどの頻 度で、どのように抜き取りなさいという指示だけをしています。そうしますと、商品を 輸入する部署の人間が、輸入するごとに冷蔵庫の方等々に指示を出して、ルールに基づ いてサンプリングする。サンプリングしたものは、私どもの分析センターが中心となっ て分析をし、その結果を商品担当部署と私どもの方に報告してくる。その中でチェック しがら、問題点があったり、自主基準に違反したものについては流通させないようにす るなり、対策を先に取るというような検証体制をしていて、こういうことをすることに よって、我々の輸入する食品が本当に我々の思ったとおりになっているのかということ を検証することができるような体制としております。  この地図は、先ほど言った国内外の検査センターの場所です。日本では八王子の中央 研究所の横にあります。それから、中国は青島、タイはバンコクというところにござい ます。  この写真は、中国の検査の場所の御紹介です。土地も広うございますので、かなりゆ ったりと最新設備を入れて、きれいに使えるようなスタイルになっています。  これはお手元にございませんけれども、今、我々の中国の検査設備にある設備一覧で、 今、更に増強を検討しておりまして、今年の春には約倍ぐらいになるでしょうか、検査 体制の強化をしようと思っております。  このルールをつくったのが農薬問題が起きてからなので、やはり農薬の分析の方が先 行しております。中国などでも輸出前の農産品の発生頻度の検査だったり、加工食品に 使う原材料である農産品の収穫ということの分析をしたりというようなことを主力に今 活動しているところでございます。私どもの農薬検査は2000年から一斉分析というやり 方に取り組んできました。開発当時は大体70項目ぐらいからスタートして、徐々に増や して、今現在は 435項目の分析をすることができるようになっています。この 435項目 の中には、先ほどお話ししたように、我々が農地で使用している農薬、把握している農 薬は全て網羅できるような考え方で入れていて、更に、先ほど御説明がありました厚生 労働省様がやっていらっしゃるモタニリング項目の中からピックアップして、トータル で 435という形で管理しようという形で今のところ私どもはやっております。  農薬だけの話をしてもあれですが、農薬以外にも、例えば工場使用水におけるカビ臭 原因物質の分析であったり、また、生産工場では微生物検査を義務づけていますけれど も、その微生物検査が正しくできているのだろうかということを確認するための仕組み であったり、指導であったりというような役目も担いながら仕事をさせていただいてお ります。  その中の1つを御紹介しますと、生産工場で私どもは微生物検査を義務づけているわ けですけれども、その分析というのは正しくなければ意味がないので、正しくやってい ただけるためにどうしたらいいかというふうに考えた1つの仕組みとして、エクセレン トラボという仕組みを今運用しています。中国と日本国内で先行しながらやっています。 それはどういうことをやるかというと、技術指導をしながらやるわけですけれども、や り方も統一したいので、マニュアルというものを統一しています。この青色のマニュア ルが日本語のマニュアル、赤いのが中国語、緑が英語のもので、各国に対応できるよう に、我々が検査する分析方法はこれでやろうというふうに決めています。また、使用培 地についても、私どもの関連会社に日水製薬という培地屋さんがありますから、そこと 共同しまして、1回使い切り、基準とセイゴの管理はできているというような専用の培 地もつくらせていただいて、それをみんなで使おうと。だから、とこへ行っても、誰も 同じで、どこの工場の検査でも、我々のルールで、同じ技術で仕事をしているというよ うなことができるような取組みをしようというふうにやっております。しかしながら、 130と先ほど申しましたが、全てのところにまだ導入はできていないので、順次これか ら広げなければいけないというようなところではあるのですけれども、こんな取組みも しています。  これがタイ品質管理センターの御紹介で、同じような設備を整えているということで す。  それを取りまとめますと、私どもは原材料の管理をしようということでやっていて、 それが本当に管理が正しくできたのかということについての検証体制をするということ で、冷凍野菜を例にしますと、農地での栽培管理を徹底するためのルールをつくってき ました。それを現地工場に受け入れるときに、どのような仕事をしようかというふうに ルールも決めましたし、体制も整えてきました。あとは、日本に輸入するときに、問題 ないことを確認しながら皆さんにお届けするというようなトータルな流れの中で検査体 制を構築するようにしておるところでございます。これが検査体制です。  そうしますと、ルールをつくりました、管理の体制も指導しました、あとは、それを 毎日同じように続けていっていただかなければいけません。そういうために、教育体制 というものを少し考えながらやってきています。ここには輸入食品に関わる我々の教育 の部分のところを少し御紹介しているのですけれども、国内外変わらず、幹部を呼びな がら、品質管理だけでなくて、生産管理なり、設備管理なども含めた総合的な教育を行 いながら、生産現場で安全にきちんと商品をつくり続けてもらおうという努力をしてい ます。  これは、先ほど御紹介したエクセレントラボの実習風景です。私どもの担当者が中国 に出向いて、先ほどの中国の拠点で工場担当者を全部集めて技術指導などをしていると ころの写真でございます。  また、これはニッスイテクニカルアカデミーなどというちょっと格好いい名前をつけ させていただいておりますが、これは、国内もやり始めましたが、最初は海外の工場幹 部の人たちを日本にお招きして、ある程度長期間、日本の生活をしていただいて、日本 の社会というものをよく知っていただきながら、日水の我々の技術の継承をしようとい うような取組みをしているときの講義の項目の幾つかの御紹介ということです。  それは検査員であるとか工場管理者に対してでしたけれども、今度は工場経営者に対 しては、中国の昨年の事件を受けまして、昨年から中国の経営者とも、我々と同じよう な感覚、感じ、感性を持って仕事をしていただきたいので、顔を突き合わせてお話しし ましょうという会議を昨年から始めました。そんなことも昨年初めてやりましたので、 今年から継続的にまたやっていきたいというようなことをしています。したがって、や はり工場経営者、また管理者、それから実際の作業者に対するそれぞれの視点から、我 々と同じ感覚で物をつくっていただかなければいけないので、そういったお仕事をさせ ていただいております。そういうところが取組みです。  この後は、昨年、餃子問題とメラミンのことが大きな食品の問題になったのですが、 それに対して私どもがどのようにしたかということが書かれています。その資料がお手 元に幾つかあります。これは、私どものホームぺージにもどのようなことをしたかとい うような御案内もさせていただいているので、本日は、お時間の関係もありまして飛ば させていただきますが、先ほど来からお話の中にあるように、そのときに起きたのは、 食品の今まで我々が管理していたのと、想定外の事故ではなくて事件であったというこ とですから、そういったところにおけるディフェンスについてはやはり考えていかなけ ればいけないというような取組みが始まった。  それで、私どもも一応ガイドライン、チェックリストを作成しながら、どのような形 でやっていこうかと今議論を盛んにしています。これは品質保証だけではなくて、会社 のリスクマネジメントとして取り組んでおる仕事ですので、まだ完成はしていないので すが、やり始めてきています。昨年の秋に八戸に新工場が稼働しましたが、そこではセ キュリティチェックと強化等々をしながら仕事をさせていただいているので、少しずつ 始めてきているということころでございます。  メラミンはちょっと飛ばさせていただいて、こんなことをしています。  こうやって輸入食品の安全性確保をするための取組みの一端として、工場の管理、原 材料の管理、それを検証する体制、それをやり続けるための教育体制というようなこと を御紹介してきました。最後に、私どもの品質保証体制の取りまとめをして終わらせて いただきたいと思うのですけれども、この組織図が私どもの会社の品質保証体制を簡単 に示した模式図でございます。右と左に分かれていて、向かって左側が企業としての品 質保証の機能をする統制する部署。私も、品質保証室であったり、食品分析センターで あったり、あと、クレーム等々の受け付けをするお客様サービスセンターであったとい うこところが、品質保証という形で仕事をするというふうにしています。右側は、ライ ンとしての品質保証体制といって、先ほどお話ししましたけれども、ルールをつくって、 管理体制もつくって、仕事もするのですけれども、やはり実際に食品をつくっていただ くのは生産工場の人たちで、その人たちがきちんとやり続けていただかなければ意味が ありません。そういったことはやはりラインとして、事業親という人たちがきちんと管 理しなければいけないので、品質管理の仕事は事業者の人たちがきちんとやりなさいと いうふうに指定します。  また、そのほかに、その横串機能としてもう1つ、品質保証委員会などというものを、 社長が議長で設置していて、次に3回、上・中・下旬にいろいろなクレームの問題で、 これはお手元にありませんけど、討議の内容はお客様側からいただく御意見・御要望の 内容であったり、 それをどのようにして解決しようかということを直接的にお話しして いたり、保証の基準の中身ですとか、突発事故に対する対応とかを、トップを交えなが ら毎月3回話をするというような体制にもしております。  これが最後になります。私どもの品質保証体制のところで、品質保証憲章というのを 社内でつくっています。これは、コンプライアンスの問題があったりするので、倫理憲 章もあります、環境憲章もあります。その中に品質保証憲章もあります。これは、私ど ものホームぺージにも開示しておりますので、御覧いただくことができますが、ここで のポイントとしては、私どもは会社の企業姿勢、方針なども含めてこういう小冊子をつ くっていまして、こちらにあります小冊子で全員が名前を書いて持っておけというふう になっておりまして、みんな持っております。  一番大切なのは、今までお話ししてきた品質保証の安全確保の取組みなどは品質保証 室の担当1名では到底できるわけがないし、品質保証室だけでもできません。会社全体 でやらなければいけない。当然、つくる人もいれば、売る人もいる、また運ぶ人もいる。 つまり、私どものグループ全ての皆さんが考えなければいけないので、一番大切なのは やはりここかなと。一人一人がちゃんと品質保証のことに関心を持って、その役目を全 うしていただかなければいけないということが非常に大切なことかなというふうに思っ ております。その旨で、このような品質保証憲章をつくりながら、日々、食品の安全に 努力させていただいておるわけでございます。  以上がざっと話して駆け足で申しわけなかったんですが、日本水産の輸入食品に関わ る安全性の確保の取組みについてのお話とさせていただきます。ありがとうございまし た。(拍手) ○司会 どうもありがとうございました。  それでは、ここで10分程度の休憩を設けさせていただきたいと思います。パネルデ ィスカッション及び意見交換は、3時45分ぐらいから開始したいと思いますので、それ までにお席の方にお戻りいただけますよう、どうぞよろしくお願いいたします。                   ( 休 憩 )                  ○司会 それでは、大体お集まりのようですので、ただいまよりパネルディスカッショ ン及び意見交換を行います。  まず最初に、パネリストの御紹介をさせていただきます。  壇上、皆様から向いまして左側2番目の方から順に、右手に向いまして、全国消費者 団体連絡会事務局長の阿南久様でございます。(拍手)  日本生活協同組合連合会品質保証本部安全政策推進室長の鬼武一夫様でございます。 (拍手)  続きまして、先ほど御講演いただきました日本水産株式会社品質保証室水産品・農産 品品質保証課長の前田裕之様でございます。(拍手)  続きまして、日本放送協会解説委員の合瀬宏毅様でございます。(拍手)  先ほど御説明いたしました厚生労働省食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室長 の道野でございます。(拍手)  最後に、本日のコーディネーターを務めます、皆様から向いまして一番左側、厚生労 働省大臣官房参事官の塚原でございます。(拍手)  パネルディスカッション・意見交換の議事進行につきましては、塚原参事官にお願い いたします。 ○塚原参事官 皆さん、こんにちは。ただいま御紹介いただきました塚原でございます。 約1時間半ほどのパネルディスカッションのコーディネーターを務めさせていただきた いと思います。よろしくお願いいたします。  我が国の食料品の60%は輸入だというお話が先ほどありましたし、昨年は輸入食品を 巡りまして事件・事故が続いたというような状況もありまして、本日お集まりの皆様を はじめ、国民の皆様、輸入食品に関する関心が非常に高い状況ではないかというように 考えております。食の安全につきましては、生産者、流通関係者、行政機関、報道機関、 消費者といった、さまざまな関係者がそれぞれのお立場で努力をして初めて確保できる ものだろうというふうに考えております。本日は、いろいろなお立場の方々が参加して いただいております。輸入食品の安全の確保のための取組みにつきまして、各方面から の意見交換を行いまして、関係者間の相互理解を深められればというように考えており ます。非常に限られた時間でありますけれども、どうかよろしくお願いをいたします。  それでは、まずパネラーの皆様に若干討論していただきまして、その後、フロアの皆 様からの御意見、これらに基づいた討論をしていきたいというように考えております。 よろしくお願いします。  それでは、まずパネラー5名の方に壇上に上っていただいておりますが、お二方から はもう既に講演をいただきましたので、残る3名の方々にコメントをいただきたいとい うように考えております。まず、消費者の立場からということで、阿南さんの方からお 願いをしたいと思います。 ○阿南氏 全国消団連の阿南と申します。よろしくお願いいたします。  先ほどの報告にもありましたけれども、私たち消費者の今の食卓ですが、6割は輸入 品ということだそうでして、食生活の大半を輸入品に頼らざるを得ないという状況だと いうことです。またさらに日本型食生活をすれば輸入品は食べなくても済むのかといい ますと、そういうわけにはいかなくて、基本となります、みそも醤油も、40%どころか、 ほとんどが輸入品ですので、このたびの輸入食品に対します監視の仕事というのは本当 に重要な仕事であると考えています。そして監視指導計画がこのように毎年つくられて、 検証されて、また翌年の計画につながっていくという体制が充実していくということは 非常に重要なことだと思っております。  その上で、私は今回の計画について、2点申し上げたいと思います。まず、農薬など が意図的に混入されるというような事件が起こり、フードディフェンスということが大 きな課題になってくる時代です。これは検疫という水際のチェックだけでは防ぎ切れな いというのが実際ですので、100%の安全体制なんていうことはあり得ないと思いますけ れども、よりよい体制にしていくためには、中国等の相手国と日本政府が相互連携を強 化していくことが必要だと思うのです。協議しながら、一体どうやってつくっているの か。どんな基準を持っているのかというようなことを確認し、問題があれば一緒に対応 していける体制をつくるということが何よりも重要だと思っています。計画にも二国間 協議ということが挙げられていますけれども、これは問題が起こってから、ではどうし ましょうという協議をはじめるということでなくて、 日常的にそうした相互理解のため のしくみが重要であるということだと思うのです。  また、海外情報のネットワーク化ということも出ていましたけれども、これも、例え ばメラミンの事件で言えば、もう何年か前に、アメリカでメラミン入りのペットフード による事故が起こっていたわけですが、そういうことも素早く日本政府としてキャッチ して、すぐに検証し、対策を立てるということをすべきであって、そのために海外情報 のネットワーク化ということが非常に重要になってくると思っています。  それともう1つですが、消費者への情報の提供、発信ということです。先ほどホーム ぺージの紹介もありましたが、あれはマニア向けであっては困るわけです。厚生労働省 のホームぺージについては、私も輸入食品の監視体制というのを見ることがありますけ れども、もう少し消費者にわかりやすいものにすべきではないかと思います。今問題に なっているのはこれで、今これに力を入れてチェックをしていますとか、こんなことを やっているとか、素早く情報提供してほしいと思います。今日の最初のビデオのこんな ふうにして検査している、チェックしているんですよという部分もホームページで見れ るようにするといいかもしれません。今回の監視指導計画についても、今年の計画はこ うで、こんな結果でした、来年はこういうふうなことを重点的にやります、そんなこと もわかりやすく情報提供した上で検証と消費者によるチェックが行われていくというよ うな取組みを進めていただければと思っております。  以上でございます。 ○塚原参事官 ありがとうございました。  それでは、続きまして、鬼武さんの方からお願いをいたします。鬼武さんは、消費者 の皆さんに密着した形での提供者というお立場での御発言になろうかと思います。 ○鬼武氏 日本生活協同組合連合会の鬼武と申します。よろしくお願いいたします。  昨年来、いろいろな形で餃子のスライドが出てきますと、私どもも愛着の商品ですけ れども、毎回、心臓がドキドキして、すごく悲しい思いをしておりますが、早くこの事 件の真相が解明されることが一番大切かなというふうに我々も思っております。それは さておき、最初にお話をさせていただきたいのは、私どもは生協(コープ)というとこ ろですから、メンバーシップということで、今、全国で 2,000万ライ全国で加盟をされ ています。そこで、毎年、年に4回ぐらいインターネットでアンケート調査をしており ます。その中で、昨年の6月に 1,500名の方のインターネットで15生協ぐらいから回 答がありまして、そこで食品の安全性について20項目ぐらい設問をしております。  その中で最初に申し上げたいのは、食品に関する、先ほど道野さんの方から、検査と か法体系はこうなっているというお話がありましたけれども、食品に対する国の基準の 認知度について7項目ぐらい聞きました。 その中で特徴的なところをちょっと申し上 げますと、まず輸入食品の検査に対して、知っていると答えた人の中で、輸入食品に対 する厚生労働省検疫所でモニタリング検査が行なわれているということについて知って いるという人が30%。それから、食品中に残留する農薬はポジティブリスト制度が設定 されて、基準を超えたり、リストにない農薬が検出された農産物は販売禁止の措置がと られる。このことを知っていると答えた人は28.6%。それから、食品衛生法に違反する 可能性が高い輸入食品は、輸入の都度、指定された検査に合格しないという輸入するこ とはできないということを知っている方は21%ということで、今の3項目についての認 知度からして、通常、テレビを見ているお母さんたちの認知度は、国がこんな形で輸入 食品に対して検査をしたり、検査命令を出したりということをしていないのではないか。 逆に言えば、海外から入ってくる食品は、普通はフリーで、何か問題があったときに調 べているというふうに思っている方が多いんじゃないかということがありまして、こう いった面にも今、私どもメンバーの方々も不安もなかなか低減されていないという現状 があると思います。  そういう中で、やはり今日の1つのキーワードとなるのは、リスクコミュニケーショ ンというのはBSEでもいろいろやられておりますけれども、これはインターフェース でやっていることですから、双方向に関心がある人が集まって、とにかく話し合いをす るということから始まるというふうに思いまして、今日のこの機会も楽しみにして参り ました次第です。  以上でございます。 ○塚原参事官 ありがとうございました。  最後に、今度は報道のお立場からということですけれども、合瀬さんから御発言をい ただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○合瀬氏 皆様、こんにちは。NHKでニュース解説をやっております合瀬と申します。 食料問題を含む経済担当です。食のいろいろな問題が起きますと、ニュースに出て解説 する、そういうふうな仕事をしています。私に今日期待されているのは、皆さんからの 不平というか、文句を受け付けるということではないでしょうか。食の安全安心がこれ だけ問題になるのは、マスコミが騒ぐからだ。マスコミは何もわからずにいろいろなこ とを言うというふうなことを思っていらっしゃる方が大変たくさんいらっしゃって、そ ういう方々の気持ちに応えるという役割を期待されて呼ばれたのかなと思っております。  私はテレビという世界で仕事をしているものですから、情報を取り扱うという視点か らお話をさせていただこうと思います。今、食べ物というか、食料の世界では情報とい うのは極めて重要な役割を果たしています。皆さん、味とか見た目というよりは、消費 期限とか賞味期限とか、評判とか、おいしさとか、そういう情報で動いていらっしゃる という風に理解しています。テレビで言うと、食と健康という話題を取り上げると大抵 うけます。大抵視聴率が落ちてくると、健康の問題とか、食の問題を取り扱う。そうす ると視聴率がピンと上がるわけですね。それだけ皆さんが関心があるということでしょ うけれども、一方で、我々もそういう関心があればあるほど情報の出し方というのは極 めて気を使わざるを得ない。新聞、テレビだけでなくインターネットなどを通じていろ いろな食べ物に対する情報等が出てきますけれども、きちんと裏を取って、誰がどこで どういうふうに言っているとか、この情報を出すと、見ている方はどういうふうに思う のかなみたいなことを考えながら情報を出しています。  そういう立場で見てみると、今の情報の受取り手、消費者といいますか、視聴者とい いますか、極めて情報に偏りがあるというか、いびつなんです。特に食の場合は。例え ばグルメで、どこどこの何がおいしいとか、健康にはこういうのがいいというのがすご く関心を集める一方で、例えばADIとか、先ほど出てきましたいろいろな食のベーシ ックな情報というものについてはあまり関心が持たれていない。  例えば、かつてある放送局が白いんげん豆のダイエットを取り上げて、実行した視聴 者が腹痛を起こしたという問題がありました。白インゲン豆にはデンプンを分解する酵 素を阻害する物質、ファセオラミンが含まれており、これを摂取するとデンプンの消化 吸収が阻害されるというものでした。ところが豆の中には十分に加熱しないと腹痛を起 こすものがあります。かつては、豆を余り煎らずに食べると下痢をするというのは一般 的に常識だったわけですね。節分などのときに、余り煎らずにそのままの豆を食べて下 痢をしたという経験がある方も多いかと思うのですが、一方で、そういうベーシックな 情報が抜け落ちて、極めて特殊な、これを食べれば痩せるとか、これを食べれば健康に いいとかという情報がかなり広い範囲で受け取られている。そういうふうな視聴者を前 に、一体どういうふうな情報を出せば、耳を傾けてもらえるか、一番いい効果が得られ るかというのを常に考えながらやらざるを得ない状況になっています。特に食品の事件 ・事故が起こったときに、テレビの最も重要な役割は、物を止めるということなんです ね。物を止めて、みんなが食べないようにする。その後は徐々にわかってきたことを知 らせて、大丈夫になりましたよ、こういうことがわかってきましたから食べるのが大丈 夫になりましたみたいな情報の出し方をするのです。ところが、先ほど言いましたよう に食に関する情報が氾濫する中で、視聴者が混乱している。人々の関心が極めて多様に なってきたときに、本当に我々は情報をどういうふうに出すべきかというのはきわめて 難しい問題となっている。放送局としても、報道としても、視聴者や消費者といかにキ ャッチボールをしながら、食の安全に対する知識を広めていくかというのは、役所とは、 また行政とは別の視点で大きなテーマになりつつあります。  以上でございます。 ○塚原参事官 ありがとうございました。  お三方からコメントをいただきました。お三方で共通したキーワードが出てきたと思 います。消費者の皆さんに対する情報提供のあり方ということになろうかと思います。 この辺について、ホームぺージの内容のわかりやすさの問題であったり、いろいろな観 点からの御指摘、御意見が出されました。先ほどお二方からお話しいただいて、もう既 に一部触れられていると思いますけれども、日水の前田さんと道野さんの方から、今の 情報提供というようなキーワードに対して、追加になるでしょうか、簡単に御発言いた だければと思います。まず、前田さん、お願いします。 ○前田氏 消費者への情報提供ということについては、やはり一番の悩みどころでござ います。私どもが商品を販売すると、どちらかというと、スーパーさんであるとかとい うような流通の皆さんとまずお話の接点は一番多いので、直接的に消費者の方に語りか けるという部分が非常に少ないというところがあります。唯一あるのが、食品の表示と いうところで皆さんに接触するというところかなというふうに思っておりますので、こ こに全てのことを、今日お話しさせていただいたようなことが書ければいいのですけれ ども、そうもいきませんので、これをどのように書くかというのが非常に悩みであって、 こういった機会に参加させていただけたということは、逆に、非常にお伝えすることが できたのでありがたいというふうに思っております。 ○塚原参事官 ありがとうございました。同じことですが、よろしくお願いします。 ○道野室長 私どもの方は、ホームぺージの問題とか、情報の入手の問題とか、いろい ろ御発言があったのですけれども、まずホームぺージの方から申し上げますと、厚生労 働省のホームぺージ全般に実はわかりにくいということが言われていて、大臣以下、今、 省内でも、全体でホームぺージについての改善ということを、去年の夏ごろからずっと 改善を続けてきています。食品の方に関しては、まだそれでも省内的にはましな方だと いうことにはなっていたわけですけれども、それでもやはり情報が細か過ぎたりという ことがあると思います。それで、輸入食品関係で月にたぶん大体5万件ぐらいアクセス があって、厚生労働省の食品のぺージの中では最もアクセス数が多いところではあるん です。だから、それなりに利用されている方がかなりいらっしゃることは事実ですけれ ども、やはり表現としては、どうしても正確性とわかりやすさというところのバランス をとるのがなかなか難しいというところがあって、やはり見にくい、マニア向けだとい う御批判を受けるというところがまだまだあるだろうと思います。この辺に関しては、 まだ今後とも引き続き、ホームぺージのわかりやすさということで省全体で取り組んで いくことにしていますので、また御指摘等があれば対応もしていきたいというふうに考 えています。  あと、輸出国とのコミュニケーションとか情報の入手ということで言いますと、もち ろん海外情報のネットワーク化ということは非常に重要ですし、我々も政府間での情報 のやりとりというのは、外交ルート、それ以外に個々の行政官の間での組織間での直接 の情報提供というのは非公式にはあります。そういった中でいろいろつかんでくる情報 というのもあるわけですし、特に中国に関して言えば、去年の3月から餃子問題があっ てすぐに、官房長官等からの指示もあって、食品の安全性に関しての専門家を私どもの 省から在北京の大使館に1人、書記官ということで派遣をしていまして、ずっと今もや っていますけれども、日常的な情報収集ということについても、そういった中で対応を してきているというような状況にあります。そういう常駐というのも1つの手ですし、 もう1つは、担当官派遣ととうまく組み合わせて進めていきたいというふうに考えてお ります。  以上です。 ○塚原参事官 ありがとうございました。  情報の提供ということにつきましては、これだけで1つのディスカッションができそ うな大きなテーマなんですけれども、もう少し幅広く期待をされてお見えになっている 方もおられるようでございますので、情報の話はこの辺で一度区切りまして、次の話題 に入っていきたいと思います。  これからフロアの皆さんとのやりとりに入っていきたいと思いますけれども、まず事 前に参加者の方々からお申込みをいただいた段階で御意見をちょうだいしています。8 名の方からいただいています。 このうち3名の方の御意見について取り上げさせていた だいて、そのテーマで少しパネラーの皆さんにディスカッションしていただこうと思い ます。残りの5名については、誠に申しわけないのですが、お二方の御講演の中である 程度触れられたというふうに判断しましたのであえてディスカッションいたしませんけ れども、いやいや、そういう趣旨ではないんだということでありましたら、改めてフロ アとのやりとりの中で質問、あるいは御意見をいただければということでお願いをした いと思います。  それでは、まず1点目でありますけれども、これは製造業者の方からです。中国から の輸入食品の安全性を正しく理解するためには、いろいろなやり方があるんじゃないか という趣旨で、実態でありますとか、ポイントでありますとか、その辺のところについ て意見をお伺いしてもらいたいというようなテーマを挙げていただきました。中国とい う特定の国のことになってしまうのでけれども、輸入食品の安全性をどのように理解し ていったらいいのかということですけれども、それぞれのお立場から御発言をお願いし たいと思います。まず、消費者として中国からの輸入食品の安全についてどのような御 認識を持っておられるかというのを、代表的な声ということで阿南さんの方から御発言 いただけますでしょうか。 ○阿南氏 本当にこれは難しいテーマだと思っていまして、先ほどの報告によりますと、 輸入食品の 3,200万トンのうちの、3分の1ぐらいが中国からの食品ということでした。 数が非常に多いので、違反の割合は小さとも数はそれなりにあるので目立つわけですね。 餃子、メラミンと続きましたので、消費者の中には中国商品イコール危険というふうに 考え方を固定化している人が多い傾向にあると思います。原料原産国表示をせよという 声が高まっているのですが、その理由の多くは、要するに、中国なら中国でつくられた と書けと。そうしたら、私は買いませんよということだと思うのですね。これは非常に 問題だと思っていまして、やはり食品のリスクが正しく理解をされていない結果、この ような事態を招いていると思っています。正しい認識を持つ、正しく理解するためにど うしたらいいのかというのは本当に難しく、情報提供者側の問題と同時に、消費者自身 が情報をきちんと読み解く、冷静に受けとめる、正しく判断できるという力を持つこと 以外に道はないように思います。  消費者の中には、中国と書いてあったら捨ててしまったり、あるいは、「賞味期限」 が来たら捨ててしまうというようなことが起こっています。消費者自身の力を高めてい くことが課題です。情報を読み解く力、食品を理解する、その食品が何であるかという ことを理解する、人間が本来的に持っている五感を働かせる、臭いをかぐとか、目でち ゃんと確かめてみるとか、こういうことをちゃんと育成していく必要があると思ってい ます。同時に、行政としても正しい情報といいますか、例えば中国食品で違反が見つか った場合には、どういうリスクがあり、健康への影響はこれくらいだということをきち んと情報提供していくことが重要だと思います。先ほど日水さんの取組みの御紹介があ りましたけれども、LOT番号とかいうことでは消費者は正しく理解できない場合が多 いです。ですから、実際どのようにつくられて、どんな原料チェックがされて、工程管 理がされてということまでも消費者に正しく伝わらないと、そこは消費者がその情報で 判断することはできないと思います。 ○塚原参事官 正確な情報をということでありましたが、鬼武さんに御発言をお願いし たいと思いますけれども、生協さんの方でも中国からの輸入食品というのは多いと思う のですけれども、どのような御認識、安全性に対する理解をしたらよろしいかというの をお教えいただければありがたいのですが。 ○鬼武氏 私どもも、中国だけではなくて、輸入食品については、これによるリスクと か、いろいろ要因がありますから、それも含めて従前から対策をとっておりました。 とりわけ、昨年、冷凍餃子の事件が起こりまして、これから品質保証の再構築をどうし ていくべきかということでやっております。特に輸入食品については、中国食品だけで はありませんけれども、先ほど厚生労働省さんがガイドラインをつくられたと言いまし たけれども、我々も、その一環としてガイドラインを持っておりまして、先ほど国のガ イドライン等も、すべて安全に食べるために海外の工場に適正調査票みたいなものをつ くりまして、それで中国も含めて、海外の拠点のつくっている工場での適否といいます か、そういうものを緊急的に1つはやりました。  それから、実はこれも難しい問題といいますか、こういう形で輸入食品の残留問題が 起こると、皆さん求められることは、やはり検査の強化ですね。一方で、私どもがいつ も悩んでいるのは、検査は全てを保証するものではないというふうになって、そのせめ ぎ合いの中で私どもは品質保証というものをいつも考えております。ただし、今回の冷 凍餃子の事件が起こったときには、緊急的には、当面、製造テンカンキごとのLOTご との検査は今年1月ぐらいまで随時やっておりまして、 1,000LOT以上は検査をして おります。それで異常がないということの確認をしているということです。  それから、合わせまして工場の生産現場に立ち会うということで、製品の製造時に職 員が立ち会って管理をさせていただく。それから、いわゆる従来もある程度適正な価格 で商品を供給するために、中国の工場は、その当時で60社ぐらい工場があったのですけ れども、統廃合してある程度管理ができるということで、最終的には20工場ぐらいまで 絞っていくということで今作業を進めておりますし、あと、上海と新しく青島の方に事 務所を開設して、現地のスタッフが工場を管理していくような仕組みをつくってきた。 これが当面の輸入食品、特に中国食品の安全性のリスク管理をやっております。ただ、 これをやっただけで、まだそれでも毎日お電話がかかってきて、表示を見るたびに、や はり中国の商品は嫌だということは当然あります。でも、そのことは、きちんと私ども も、こういう管理をしてこういうふうにやっていますということを日々伝えるというこ とでしか今のところはないというふうに思っております。  以上です。 ○塚原参事官 ありがとうございました。  関心の高い問題だと思いますので、もうお一方、どなたかコメントをつけ加えていた だけませんでしょうか。 ○合瀬氏 質問の趣旨は、中国産食品に対する不信をどういうふうに払拭したらいいか だと思うんです。だけど、消費者の立場からすると、払拭するのは難しいと思いますね。 というのは、1年ほど前に起こった事件ですけれども、未だに犯人が捕まっていない。 しかも問題になった商品が中国国内で流通していたり、中国政府に本当に犯人を捕まえ るような気があるのかどうか安全性に対する取り組み方が日本とずいぶん違うように消 費者は感じているのではないでしょうか。しかも、先ほどから出ていますように、何か を混ぜられたら検疫ではとても発見できないわけですね。唯一発見できるとすれば、誰 かがそれを食べることで異常を発見し、それを止めるという方法でしか対応できないわ けです。そうしたら、消費者は当然、やはり中国産の食品はとりあえずは食べるのをや めておこうかと思うのは当然では無いでしょうか。  ですからこれは政治的に難しいかもしれませんが、中国が一体なぜこういう事件が起 きたのか。犯人を検挙して、こういう問題が起こった背景なり対策を打たないと消費者 の不信を払拭するのはなかなか難しいのでは無いでしょうか。食品の安全性というのは、 食品そのものが安全かどうかに加えて、その食品がきちんと安全に食べられるような管 理をしているかどうかなんですね。ですから、それが検疫であったり、中国の対応であ ったり、こういう問題が起きたときにすぐ対応できるような体制になっているどうか確 信が持てないと安心に結びついていかない。中国産食品は安全ですよと幾ら言われても、 消費者としてはなかなかそれには同意できないというのが一般の気持ちだと思います。 ○塚原参事官 御指摘ありがとうございました。  これで終わってしまうとちょっと尻切れとんぼになってしまいますので、提供者もし くは行政の方から、これに対してコメントをお願いします。 ○道野室長 確かに、今、合瀬さんがおっしゃったとおり、犯人が捕まらないと、原因 が何だったのか、対策をどう打つんだというところについては、いろいろなことで難し いという面は当然あると思います。ただ、中国産の食品というそもそも切る切り方がい いのかどうかということも含めて、私の方からは少し問題提起をさせていただきたいと 思うのですけれども、要は、日本でも、アメリカでも、アメリカを出したらアメリカの 人に怒られるかもしれないですけれども、どこの国でもいいのですが、要するに非常に いいレベルの管理をしているところもあれば、そうでないところもある。それは、別に 国によるものでは本来はないはずですね。だから、そういった意味で言うと、中国と括 ることがどうなのかというのはちょっと冷静に見てみなければいけないと思いますし、 そういったことを一般の方々がチェックできるような情報提供を我々もしていかなけれ ばいけないというところはあると思います。  ちなみに、中国産の食品の占める割合というところから言いますと、正確に申し上げ ると、まず輸入の届出件数で言うと約3割、180万件のうちの50万件強が中国産の食品 になります。それから、重量で言うと、 3,200万トンぐらい輸入されているのですけれ ども、そのうちの 430万トン。19年度はちょっと減りましたけれども、430万トンぐら いが中国から輸入されている。そんな状況でして、そういった意味で言うと、加工食品 中心ですけれども、いろいろな加工食品が日本に輸入されていて、その中でこういった 検査の結果から見ると、確かに検査命令は対象品目では非常に多いんですけれども、全 体として毎日毎日違反が出ているような状況ではありませんし、違反率にしてみれば1 %以下というようなことが言えるわけです。だから、中国と括ることがいいかどうかと いうことはあるのですけれども、全体としてそういう状況だということも、もちろん餃 子の問題の捜査というのはきっちりやってもらわなければいけないですけれども、そう いった全体像というのも見ていただきたいというふうに思います。  ただ、中国を各論で見ていくと、検査命令をかけて、向こうが対策をとって、その後 ずっと違反が出ないようなものもあれば、やはり検査命令をかけてもずっと違反が出て いるもの、何らかの原因があって向こうの対策がうまくいっていないもの、そういうも のもあるわけです。そういった状況も含めて、私どものホームぺージでは提供はしてい るのですけれども、それがなかなかわかりにくいという問題もあって、上手に伝わって いない部分もあるのかもしれません。ただ、一括りで括るのが本当にいいのかどうかと いうことも含めて、皆さんに理解を進めていただくように我々も情報提供する必要があ るだろうというふうに思います。 ○塚原参事官 ありがとうございました。 ○合瀬氏 道野さんがおっしゃるとおりなんですが、でも、消費者としては、あの事件 が心に棘のように刺さってなかなか抜けないわけですね。私は、国としても、業者とし ても、中国政府に一刻も早く犯人をあげることが食の安全の回復につながることなんだ よということを、国レベルでも、業者レベルでも言い続けることが重要だと思います。 ○鬼武氏 中国は、その前にもダンボール肉まんのとこもあったりして、消費者の中に は、もう中国は嫌だということで頭の中にインプットされていると思うのですけれども、 その一方で、中国はもう一つ、去年、国連の方がフテキレポートということで、中国政 府の今までやってきた食品衛生について、法律の体系がオールドファッションだという レポートが80ぺージでありまして、国際的にもきちんとした法律体系をつくって、まず そういう仕組みと、その中で食品の安全性と品質をやりなさいと国連の方から勧告みた いなものでフテキレポートが春に出て、秋にメラミンの事件が起こりましたので、それ でも中国政府の方に国連の方なりWHOが向かっていったというニュースをインターネ ットで知りました。それが1つ。  それから、合わせまして、この間、やはり中国というのは、一方では国際規格をきち んと自分たちの国の中にも定着させるということで、CODEXの委員会で残留農薬の 委員会と食品添加物の委員会という2つの部会を発足ということで、この2つの国際的 に中国のやろうという取組みを私どもも重要視していますし、こういう中で中国の食品 衛生、安全性のレベルが上がっていくだろうし、逆に言えば、日本はそれに負けないよ うにしていかないといけないというふうに私は思っています。 ○塚原参事官 ありがとうございました。ほかに御発言よろしいですか。 ○前田氏 最後に、業者としてお話しさせていただくと、こちらの会場にも我々の同業 他社の方がいらっしゃっていますが、先ほど来、私どもは、今このように議論された討 議に、中国産に対するバッシングが続く中、それでも我々は中国で物をつくっています。 それは、圧倒的な原材料のコストの安さと人件費等々のコストの安さということがある ということもあるし、我々自身、中国の現場を確認していますし、現地も見ています。 その中で仕事をしているとしたときに、リスクがあるというのはわかるけれども、それ を回避する術もあるだろうというふうに信じて仕事をしているというところがあります。 ただ、この部分が確かに皆様に非常にお伝えできてないということは、我々の努力不足 と言われればそのとおりなので、今後、その術を確認していかないといけないのですが、 今度は協会と業界団体等の取組みの中で、中国の工場をどんどん消費者の皆さんに見て いただくというような取組み等もすることになっておりますので、ぜひその辺のところ を御理解いただきたいというふうに思います。 ○道野室長 餃子問題解決への政府の取組みということで少しつけ加えさせていただき ますと、去年発生以来、首脳レベルも含めて、中国とのやりとりというのはかなり続け てきています。そのたびにこちらから向こうに対して申し入れているのは、餃子問題の 解決がまず最優先ですよと。向こう側とてしも、日本側にいろいろ協力してほしいとい うことはあるわけですけれども、まずは食品の安全問題に関して言えば、餃子問題が解 決しないと、ほかの問題についてなかなか取り組んでいくというわけにいかないという ことで、これについては、去年の5月の首脳外交も含めて、中国側にいろいろな場で伝 えています。また、去年11月に、日中韓の保健大臣会合というのを北京でやりました。 3大臣で話す前に、実は、日中とか、日韓とか、中韓とか、それぞれでバイで会談をし たわけですけれども、実に日中と中韓、3つの会議のうちのこの2つはずっと食品の安 全問題を話していたというのが実際のところです。それで、最終的に3大臣会合におい ても、もともとは新型インフルエンザ問題をよく議論していこうということでやってき たわけですけれども、今後はやはり食品の安全問題ということについても3大臣会合で 継続して取り上げていくというようなことで、やはり日本だけじゃなくて、韓国も含め て、中国の食品の安全問題というのも非常に関心も高いですし、しっかりやってもらわ なければいけないということで、そういったいろいろなレベルでの働きかけというのは 我々も継続していきたいというふうに考えています。 ○阿南氏 ここは監視指導計画について意見を言う場ですけれども、先ほど日水さんの ミッションが最後に示されていましたけれども、それについて一言。中国食品について 消費者が安全性を正しく理解するという意味で重要なのは、中国で日水さんが自信を持 ってつくられているというその思想が、“食品”をつくっている、“食べ物”をつくっ ているという基本的な考え方にもとづくものであると思うのですけれども、そこが消費 者に伝わると、理解促進のための1つの大きなステップになるのではないかと思いまし た。 ○塚原参事官 ありがとうございました。昨年の事件に関連して、非常に突っ込んだ議 論をしていただきました。やはり信頼を得るためには非常にたくさんの努力が必要です が、信頼を失うのは1回か2回の間違いですぐふっ飛んでしまうというようなことで、 逆に言いますと、これからそれぞれのお立場で輸入食品の原産国の取組みでありますと か、そういうものをきちんと正確なところをこれから消費者の皆さん方にそれぞれのお 立場で提供していく。それで、一つ一つ信頼を取り戻していくというような取組みが必 要だろうということで、この問題については一区切りさせていただきたいというように 思います。  3つ御紹介したいと申しましたけれども、実は時間が押しております。簡単に御紹介 だけさせていただきますが、ここで議論したらいいかなと思ったのが、非常に簡単な検 査を開発して、キッドですが、これでもっと検査の割合を増やしたらどうかというよう な御意見がございましたので御紹介をさせていただきます  それからもう1つは、ポジティブリスク制度というのができまして、基準がない残留 農薬等につきましては、0.01ppmを超えたら違反ということにしたものですから、これ は基準としては人体への影響が出る量よりも格段に低いレベルで基準はつくっているわ けでありますけれども、もったいないじゃないかと。そういうものも、ちょっとした基 準のオーバーであればもったいない。それから、食料安定供給のために食べてもいいじ ゃないかというような御意見が実はあったんです。これも非常に重要な、関心の高いこ とだと思いましたので取り上げたいなと思いましたが、残念ながら時間があと10分少々 になってまいりました。  できるだけ今日お見えになった皆様から御意見をいただきたいと思いますので、先ほ どあと2つと申しましたけれども、それは御勘弁いただきまして、直接フロアの方から のご意見を言っていただくという形に変えたいと思います。御意見のある方は挙手をお 願いします。挙手をしていただきましたら、私の方から御指名をさせていただきますの で、担当職員がマイクを持ってまいります。 できれば所属とお名前を言っていただきた いのですが、それでは御意見をちょうだいしたいと思います。多くの方に御発言いただ きたいので、できれば2分ぐらいの簡潔な御意見ということでお願いをしたいと思いま す。それでは、早速、フロアの皆さんとのディスカッションに入っていきたいと思いま す。御意見ございます方は挙手をお願いします。 ○質問(桑原) 群馬から来ました桑原と言います。今の日水さんのお話を聞いて、す ばらしいなというふうに思っております。それも、今お話に出た中国に限らず、南米と か、世界じゅうで結構いろいろなことをおやりになって、それなりにリスクの管理もお やりになっていて、そして最終的には日本でも輸入食品自体の検査もやっていらっしゃ ると。先ほど検査が全てではないというお話がちょっと出てきましたけれども、私もそ のとおりだと思います。しかしながら、やはり日水さんのシステムがうまく動いている んだというように、有効性を判断する1つの現象だというふうに思っております。です から、検査というのはかなりあなどれないなというふうに思っております。  そしてもう1つは、道野さんの方から輸入検査、モニタリングの検査というお話があ りました。その中で、私、実は今までも国の方から出てくる情報は、食品は水際作戦で、 統計的に問題ない検査をしているから安心しろというようアナウンスが結構聞こえてく るんです。今日は、道野さんの方から非常に具体的なサンプリングの方式をお聞きしま して、それはそれで立派だなというふうに思ったのですけれども、お聞きして、この中 でちょっとあやふやな項目があったので確認をしておきたいのですけれども、 299件と いう仮設定という言葉がございました。違反を検出することが可能な検査数が 299件。 これはたぶん、1%の違反率を見つけることに対して 299件のサンプリングが要るとい うことだろうと思うのですけれども、よく言われています、これは日本水産の方が私よ りもよく御存じだと思うのですけれども、たぶん抜き取り検査の消費者危険のことを言 っているんじゃないかと思うんです。消費者が危険を被る率、それが1%というところ かなと。そうしますと、国の厚生労働省は、1%というところが、日本国全体が消費者 と見れば、国のカンパニーが受入検査をして1%以下の違反を検出しているんだと。1 %以下というところでは、結局、それは問題点を含んだものが入ってくるわけですね。 そういうふうに理解してよろしいんですか。  もう1つ、そうしたら、次のコマに、 299件は、実際は米国の例ですけれども、添加 物をゼロにしたり、放射線照射などの件数をゼロにする。これもよくわかるんです。そ れはいいんですけれども、逆に 299より増やすということもあるんですか。調整してい るのかなというふうに理解しているのですけれども。なぜこんなことを言うかというと、 やはり国としての、つまり日本全体での消費者への保証だと思うんです。もう一度、国 全体の仕組みが、あるいは国の農業が必要だと言っているかどうかの検証だと思うんで す、このサンプリング検査というのは1つは。そういうことに使っていただきたいと思 いましてしゃべらせていただきました。 299件という中身が私の考えでよろしいかどう かだけお聞かせいただければと思います。 ○塚原参事官 では、これは道野さんですね。 ○道野氏 サンプリング検査の考え方についての御質問ですけれども、全体として別に 違反率を1%でいいというふうに考えているわけじゃなくて、もちろん理論上も1%以 下を保証すると。連続してゼロかもしれないし、1%かもしれないわけです。だから、 それだけの違反率のある集団であるということを検出するためには、おっしゃるとおり、 例えば 299件連続してランダムサンプリングで検査をやって、1件見つかればそれは保 証できないということになるわけです。当然、信頼確率というがあって、それは95%と いうことでして、消費者危険とか何とかということでなく、あくまでこれは品質管理の 理論ですから、いわゆる不良品としての含有率が1%以下を保証するためのサンプリン グ理論ということであります。もちろん、違反率設定を全体としてもっと下げるという ことも技術的には可能だと思います。検査項目や食品によっては、これよりも厳しい検 査をしているものも当然ありますので、 299が上限ということではなくて、ベースにな っているのが 299というのをベースにしてやっていますというふうに受け取っていた だければいいかと思います。  以上です。 ○塚原参事官 今の御説明でいかがでしょうか。 ○質問(桑原) 現在 299で、俗にいう、これは日本水産の方はたぶん御存じだと思う んですけれども、国家安定コスウがゼロ、これがあってはいけないということである、 1%のホヨウは95%の信頼で受け取りましょうと、こういう意味合いですよね。ですか ら、国がやっている輸入の検査という、つまり消費者に対してどのぐらい保証している かというのをしっかりとアナウンスしないと、国の後にまたチェーンとして続くわけで すから。では、実際どういうものが入ってくるのかということすらわからないで受け取 るというのはやはり問題だなと思いましてお聞きをいたしました。しかしながら、今回 こういう数値が私の方でわからなかったんですけれども、この 299という数字がはっき り出てきたので、このぐらいのレベルかなというふうに思いました。しかし、もうちょ っと出てきた検査の結果を、今度はこの仕組みがうまく回るのかどうか。国としての仕 組みですよ。もちろん、国際的な仕組み、例えばCODEXに申し入れるとか、そうい ったところでフィードバックをこの検査結果でやってほしいなというふうに思います。 ○塚原参事官 今、御意見をいただいたということでどうですか。もう一度お答えを。 少し齟齬があれば。 ○道野室長 そうですね。要は、検査違反の蓋然性が高い食品をスクリーニングするた めの検査理論ということで御理解いただいていると思うのでいいと思うんですけれども。 それから、もともとこのサンプリング理論自体はCODEXでも既にテキストになって いますし、国際的にも一般的に使われているものだというふうに御理解いただければと 思います。以上です。 ○塚原参事官 今、手が挙がりました。どうぞ。 ○質問(ツチダ) 果汁協会のツチダと申しますが、1点、厚生労働省にお願いしたい のですけれども、加工食品に対する残留農薬の自主管理といいますか、加工食品に対し て基準適合性を自主的に判断する判断基準を示していただきたいということであります。 それがないものですから、現在、検疫所でどういう判断をされて加工食品はイエス・ノ ーとされているのか、それでも結構ですけれども、それが外に出てこないんです。した がいまして、保健所で聞きますと、保健所によって意見がバラバラなんですよ。例えば 国産の果汁を分析して、やはり農薬はたくさん使っていますから残留農薬が出てくるん です。それが何らかの数字を上回らないんですけれども、一律基準値を全部適合すると いう話になると、ほとんどの日本の国産果汁はストップします。だから、そういう加工 食品に対する具体的な、自主管理せいと言うのですから、その基準を早く示していただ きたいということです。以上です。 ○塚原参事官 これも道野さんに直接御説明いただくことになります。 ○道野室長 加工食品の残留基準の適用については、既に通知等も出ておりまして、も しも個別に必要であれば照会していただければ結構ですけれども、基本的には、加工食 品で基準設定しているものはそのものを適用します。そうでないものに関しては、まず 原材料に戻る。要するに、適正な基準に合った原材料を使った加工食品については、当 然、適法なものを使って違法なものができるということはおかしな話ですので、原材料 の基準に戻って適用するということになります。  去年の餃子の問題のときに、加工食品についての農薬の検査をもっと充実するべきで はないかということで問題提起があって、我々もいろいろと迷ったわけです。1つは、 そういった原材料に戻っての判断が非常にしにくい。特にでき上りの加工品を検査して、 原材料に戻って基準適合性を判断するのは実に難しいし、不可能に近いですね。もちろ ん、その中の原材料のそれぞれの基準値というのは、例えばAという農薬があるとすれ ば、そのどれよりも高い残留値が加工品から見つかれば、それは明らかに違反だろうと いうのはわかりますけれども、そうでない場合はなかなか難しい。そういったようなこ ともあるので、輸入時の検査に関して言えば、そういった明らかに違反なものをまず見 つけるというようなことでモニタリング検査を実施しています。  ただ、輸入者や製造者の方に申し上げたいのは、まずは原材料についての管理をしっ かりやっていただくということが基本的には必要なので、まずそれをやった上で、もち ろん加工食品についていろいろな流通とか社会的な不安とか、そんなものがあるという ことで検査をされるのであれば、あくまでそれは検証のための検査ということになるん だろうと思います。以上です。 ○質問(ツチヤ) 詰まるところ、原材料はわかっているんですよ。結論は、出てきた 製品について農薬があったとき、どう処理するかという問題です。要するに、その加工 食品に農薬が発見されたときに、どう判断するかが問題で、原材料を遡って、それはわ かっているんです。そういうことです。それを指導指示だと言われますと、それは大変 なことになります。原材料で全部遡れという話になりますと。 ○塚原参事官 まだどなたか。提供者の方から何かありますか。基準の話でもあるんで すけれども、参考になるコメントをいただければ。 ○前田氏 私どもも加工食品をつくっております。先ほど道野室長のお話の通知等は、 現地の検査法のところと同等にあって、私どもも、その基準に沿ってというか、通知に 沿って考えをしておりますので、加工食品から検出した場合については、私どもは原材 料の管理をしているという立場に立っているので、原材料に遡って、その主要原材料が 法律に合致しているものを使っていたのであれば、その商品から出てきていて、その検 出レベルが例えば非常に高濃度であって健康を害するような濃度でなければ、我々はそ のまま問題ございませんという御説明をお客さんにしているのは事実でございます。だ から、全く室長が言われたとおりの御説明をそのままお逆さんにさせていただいており ます。 ○塚原参事官 よろしいでしょうか。もしまだ納得いかないということがありましたら、 これが終わりましてからでもたぶん残っていますので、よろしくお願いします。  実は、私の不手際でもう時間が過ぎてしまいました。ただ、まだ足りないという方が おられると思いますので、どうしてもという方がおられましたら、お一方どうぞ。 ○質問(   ) 塚原先生の今日の集まりは、輸入のディフェンス、それから情報の 提供、この2点に絞って解説されまして、なるほどなと思いました。私、個人的な意見 ですけれども、納豆のタネキンを販売していまして、大豆が本当に昔から関心がありま して、今、大豆の問題で捉えますと、今朝のNHKのニュースにもありましたけれども、 自動車運搬船を建造していて、そのニュースを見ましたけれども、アメリカに自動車を 輸出した帰りの船に、日本がアメリカから輸入するカイウンまで船を帰さないときに、 大豆を運んで帰るんです。それが輸出国、輸入国がつり合っていると私は思うんです。 輸出立国が日本の国是というか、車で稼いでいたわけで、その反対にあるのが食品の輸 入なわけですね。それで、国が成り立っているんです。そういう仕組みを考えるとき、 お互いに成り立っているのを、1つの中国の不幸せな事件をもとに、責めるのはいいで すけど、お互いに安い食料を輸入していただいている国だということを日本から発信す るメッセージも必要だと思うんです。その双方向のつながりがこれからの明るい社会と いうか、そういう世間をつくることができるので、一方的に1つのことを捉えていつま でも責めるよりも、これからどうするという発想の方に切り替えていくのが大正解だと 思います。 ○塚原参事官 ありがとうございました。これは、先ほど特定の国の問題で議論された ことに関する御意見というふうに受けとめさせていただいて、申しわけないですが、デ ィスカッションには乗せないということで取り扱わさせていただきたいと思います。  申しわけありません。時間を10分ほどオーバーしてしまいました。もっとたくさん フロアから御意見をいただきたかったのですけれども、もう時間でございますので、こ れでパネルディスカッションの方は終了させていただきまして、マイクを司会の方に戻 させていただきたいと思います。本当にありがとうございました。(拍手) ○司会 パネリストの皆様、どうもありがとうございました。  以上をもちまして、「食品に関するリスクコミュニケーション」を終了させていただ きたいと思います。  本日は、長時間にわたりまして、また、貴重な御意見をいただきまして、誠にありが とうございました。受付におきましてアンケートの回収を行なっておりますので、御協 力をよろしくお願いいたします。また、皆様の近くでこうした意見交換会を開催するこ とがございましたら、ぜひとも御参加いただきたいと思います。  では、皆様、お気をつけてお帰りください。本日はどうもありがとうございました。     担 当 食品安全部企画情報課 03-5253-1111(内2452,2493)