食品に関するリスクコミュニケーション(健康食品について知ろう)                  日 時 平成18年7月10日(月)   午後1時30分〜午後4時30分   場 所 徳島プリンスホテル                            (プリンスホール) (司会) 定刻が参りましたので、只今から「食品に関するリスクコミュニケーション −健康食品について知ろう−」を開催させていただきます。本日の会は徳島県、食品安 全委員会、厚生労働省中国四国厚生局の主催で開催いたします。  開会に先立ちまして、本日の会の進め方等につきまして簡単にご説明させていただき ます。私は本日、司会を務めさせていただきます徳島県食の安全・安心企画員室の所で ございます。どうぞよろしくお願い致します。  本日の会では、この場で何かを合意して決めるというものではなく、「健康食品につ いて知ろう」というテーマに基づき、様々な立場の方々からご発言をいただき、参加者 の皆様の理解を深めようというものですので、よろしくお願い申し上げます。  はじめに、配布資料の確認をさせていただきます。お手元の“すだちくん”の絵が入 った薄い水色の封筒の中から資料をお取り出しください。資料として「食品に関するリ スクコミュニケーション次第」、裏面に「配布資料一覧」を載せてあります。次に「基 調講演者並びにコーディネーター、パネリストのご紹介」、その次に「健康食品の賢い 使い方」という基調講演資料があります。  それからパンフレット、冊子関係です。徳島県の資料として「徳島県食の安全・安心 基本指針(概要版)」、「徳島県食の安全安心推進条例」のパンフレット、「食の安全 ・安心Q&A(ダイジェスト版)」をご用意しております。  続きまして、食品安全委員会の資料として「食品安全vol.8」、「みんなで食育・楽 しく食育」、これは大人用と子供用の2種類ございます。それから「科学の目で食品の 安全を守ろう!」という冊子があります。続きまして厚生労働省の資料ですが、「賢く 選ぼう健康づくりのための食品の表示」という冊子があります。  それ以外として、「食品に関するリスクコミュニケーション−健康食品について知ろ う−アンケート調査票」、それと「食品に関するリスクコミュニケーションに参加いた だいた皆様へ」というアンケート用紙、2種類のアンケート用紙をお配りしております。  アンケートは今後の食の安全・安心推進行政等の参考とさせていただきたいと考えて おりますので、たいへんお手間ではございますが、お帰りになるまでにご記入いただき、 会場出口付近に回収箱を用意しておりますので、お帰りの際にそちらの方にご投函いた だきますようお願い致します。なお、筆記用具等をお持ちでない場合には、受付の方で 若干用意しておりますので、是非ともアンケートにご協力いただきますようお願い致し ます。  その他として、食の安全・安心情報メール等のチラシを加えておりますので、どうぞ よろしくお願い致します。只今の配布資料につきまして、不足等がありましたら受付の 方までお申し出を願います。また携帯電話をお持ちの方は、いま一度スイッチをお切り になって、マナーモード等に切り換えていただきますように、ご協力のほどをお願い致 します。  それでは、本日のスケジュールについて説明させていただきます。まず開会の後、基 調講演として「健康食品の賢い使い方」という演題で、独立行政法人国立健康・栄養研 究所情報センター健康食品情報プロジェクトリーダーの梅垣敬三先生よりご講演をいた だきます。講演時間は60分を予定しております。  講演の終了後、10分間の休息時間をとりまして、午後3時を目途に食品安全委員会リ スクコミュニケーション専門調査会座長の関澤純先生にコーディネーターをお願い致し まして、「健康食品について知ろう」というテーマに基づきパネルディスカッションと 意見交換会に移りまして、午後4時30分には終了したいと考えておりますので、ご協力 のほどよろしくお願い申し上げます。  それでは、これより「食品に関するリスクコミュニケーション」に入らせていただき ます。開会にあたりまして、徳島県の木村副知事がご挨拶を申し上げます。   【開会挨拶】 (木村副知事) 只今ご紹介を賜りました木村でございます。本日はお足下が悪い中、 「食品に関するリスクコミュニケーション」ということで、県内外から大勢の方々がお 集まりいただきまして、誠に有難うございます。  また、本日基調講演をいただきます梅垣先生、さらに、関澤先生をはじめパネリスト の皆様方にはたいへんお忙しい中、快くお引き受けいただきまして、ご出席誠に有難う ございます。  本日のテーマは、「健康食品」ということで、国民の皆様方においては健康志向とい うことで、非常に健康食品・サプリメントが手軽に利用できるということで需要が高ま っています。反面、健康食品に対する過剰摂取ということで、いろんな問題も出ている ところです。  県におきましても、食の安全・安心の確保ということで、先ほど司会の方からご説明 いたしましたし、皆様方のお手元にも配布してございますが、2年ほど前に「食の安全 ・安心県民会議」を立ち上げ、関澤先生にも座長になっていただき、お手元の基本方針 を作らせていただきました。  また、去年の12月には、それに基づき「食の安全安心推進条例」を作りまして、本年 4月から施行しております。そして、お手元に「食の安全・安心Q&A」ということで、 これも非常にご労作でしたが、関澤先生をはじめ県民会議の皆様方の非常なご努力によ り、素晴らしい質疑応答集も出来ておりますので、これもまたご利用をいただければと 思います。  本日はこの後、梅垣先生から基調講演をいただき、その後パネルディスカッションを 行っていただきます。私どもといたしましても、食の安全・安心の確保につきましては、 県民の方々の健康保護、そして、我が県は第一次産業である農林水産業が非常に盛んな 県ですので、消費者の方々に対する食品の生産をきちんとする、そして安心して供給す るということを目的としております。  食の安全安心推進条例の中でも県民の皆様に食品の安全性に関する正しい知識と理解 を深めていただく学習機会の提供等を行うこととしており、本日は、県民の方々の中に も食に関するいろんな疑問や不安がありますので、食品安全委員会、厚生労働省共々、 皆様方に食品に対する知識・理解を深めていただくということで、本日の会議を催して おります。この後、梅垣先生のご講演、そしてパネルディスカッションを十分お聞きい ただき、理解を深めていただければと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。  結びとなりますが、本会議を通じまして益々県民の皆様方の中に、食品の安全・安心 に対する基本的な考え方、理解を深めていただくことをご期待申し上げますと共に、ご 参集の皆様方の益々のご健康とご活躍を祈念いたしまして、開会にあたりまして冒頭の ご挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願い致します。   (司会) なお、木村副知事につきましては公務の都合により、途中で退席させていた だきます。  それでは、これから基調講演に移らせていただきます。基調講演は独立行政法人国立 健康・栄養研究所の梅垣敬三先生より「健康食品の賢い使い方」について、ご講演いた だきたいと思います。なお、質疑につきましては、後半にパネルディスカッションを実 施した後に時間を設けますので、その時にお聞きしたいと思いますのでご承知おきくだ さい。それでは梅垣先生、壇上にお願い致します。  ここで梅垣先生のプロフィールをご紹介させていただきます。梅垣先生は昭和60年、 静岡薬科大学大学院薬学研究科博士課程を修了され、薬学の博士号を取得しておられま す。昭和61年から国立栄養研究所、現在の独立行政法人国立健康・栄養研究所に入所さ れ、現在は同研究所情報センター健康食品情報プロジェクトリーダーとして幅広くご活 躍しておられます。なお、先生は食品衛生学と栄養学がご専門でいらっしゃいます。  それでは梅垣先生、どうぞよろしくお願い致します。   【基調講演】 「健康食品の賢い使い方」 (独立行政法人国立健康・栄養研究所健康食品情報プロジェクト 梅垣 敬三)  皆さん、こんにちは。只今ご紹介いただきました独立行政法人国立健康・栄養研究所 の梅垣です。(スライド2)今日は「健康食品の賢い使い方」ということで,お話しさ せていただきますが、実際の内容は5つの点についてお話ししたいと思います。  まず、健康食品の情報と現状がどのようになっているかというお話をします。それか ら、2番目に健康食品と安全性です。健康食品というのは基本的には食品なんです。食 品に一番求められるのは安全性ですので、健康食品と安全性の考え方をご紹介したいと 思います。  それから3番目に、いろんな健康食品がありますが、その中には国が認めている特定 保健用食品も含まれます。そういう意味で保健効果を期待させる食品にはどういうもの があるかというご紹介をしたいと思います。  それから4番目に、健康食品の安全性・有効性情報です。情報が今混乱していますか ら、正しい情報・信頼できる情報が必要になってきます。そういう意味で私どもの研究 所と厚生労働省で出しています「健康食品の安全性・有効性情報」のページについてお 話ししたいと思います。  最後に5番目ですが、健康食品の選択・利用です。いろんなことを言っても、ではど うやって健康食品と付き合えば良いのかということが必要でしょうから、そういうこと についての1つの考え方です。これは定まったものではないので、私達の考え方をご紹 介したいと思います。これについては、後でいろんなディスカッションをしていただけ れば有難いと思います。 (スライド3)それでは、まず1.「健康食品」の情報です。今の健康食品の現状とい うのは、雨後の筍のようになっていると私どもは言っています。要するに、確かな食品 成分に関する健康情報が雨のように降り注いでいる。一方で、私達は分かっていてもな かなか正しい食生活・生活習慣が出来ない、運動不足になりつつあるという、この2つ の要因があって、その要因を満たすというか関係するものとして、いろんな健康食品が 出ている。  その中には良いものもあるでしょうし、医薬品を違法に添加したようなものもありま す。どれが良いか悪いか分からないというような状況になっています。健康食品・サプ リメントというのは、基本的に定義がありません。行政的な定義がないわけです。です から、いろんなものが健康食品・サプリメントとして流通しています。 (スライド4)例えば形態でいえば明らかな食品形態のもの、それから錠剤・カプセル のもの。成分でいえば日常多量に私達が摂取しているもの、殆ど摂取経験がなく安全性 についても情報がないようなもの。成分の含有量としては数グラム、もしくは全く意味 のない本当に微量なもの。有効性・安全性の科学的情報が非常に多いものから少ないも の。公的機関の評価を受けたもの、例えば特定保健用食品のようなもの。それから全く そういうことをしていない違法に医薬品を添加したようなものもあります。こういうよ うに形態・成分、様々なものが健康食品として流通しているわけです。  一般的な特徴としては、効果を過大評価して安全性は過小評価していることです。本 来、こういう食材の形態をしたものは、私達は過剰摂取はしないと思います。それは臭 いとか味があったり、容積・体積がありますから。ところが、錠剤・カプセル剤にして しまうと容易に過剰摂取してしまいます。こういう種々雑多のものが健康食品の名の下 で市場に流通しているという問題があるわけです。 (スライド5)ここで重要なのは、食品と医薬品の大きな違いです。「食品と医薬品の 大まかな分類」をここに示しました。私達が口にするもので医薬品、医薬部外品を含み ますが、これ以外のものは全て食品になっているわけです。言い換えれば食品に分類さ れるものが非常に多いということです。  基本的な考え方ですが、そういう食品に対して効能や機能の表示をしてはいけない。 もしこれをしてしまうと、消費者の方が医薬品だと誤認してしまいます。ですから、食 品に医薬品的な効能や機能の表示をしてはいけないというのが原則です。但し例外があ ります。例外は国が認めている特別用途食品、それから保健機能食品です。  例外とはどういうことかというと、例えば特別用途食品の中には病者用、妊産婦用、 乳児用とか特別の用途に使うもので、特別の用途表示ができます。要するに表示ができ るということです。これは厚生労働省の審査が必要で、こういうマークが付きます。そ れから特定保健用食品、特保というのは個別評価型といって、それぞれの食品ごとに評 価する。これも保健機能の表示ができ、厚生労働省の審査が必要で、こういうマークが 必ず付きます。  保健機能食品という言葉があります。これは特定保健用食品と栄養機能食品の2つを 総称した呼び名です。栄養機能食品は規格基準型で、栄養機能の表示ができることにな っています。但しこれはマークがありません。同じ国が認めているものでも、こちらに はマークがないんです。なぜかというと、これは厚生労働省の審査は一切要らない。あ る規格基準にはまっていれば売って良い、流通させて良いということなんです。  一般の方が市場に存在しているいろんな商品を見分ける時は、この国のマークが付い ているか付いていないかで見られるのが一番分かり易いと思います。このような現状が あって、健康食品と言っていますが、一般に健康食品というのは「」を付けて、保健機 能食品といわゆる健康食品の2つを合わせて「健康食品」と呼びましょうという考え方 で今は動いています。それで一番問題なのは、“いわゆる健康食品”というのが今流通 している健康食品のかなりの部分を占めていることです。 (スライド6)もう1つ、「医薬品と食品の違い」というところで特徴を言いますと、 医薬品はだいたい錠剤・カプセル剤になっていて、有効成分が何mg入っているかという のがよく分かっています。それから毒性試験も行っていますから、どういう有害な影響 があるかというのが分かっているわけです。それで医師が処方をして薬剤師が患者さん に渡すというダブルチェックをして、有害な影響が出ないような環境で使うというもの です。  一方、食品は誰でも自由に使えるものです。でも、食品の中に医薬品と同じような形 態をしたものがあります。この場合、有効成分が何かというのがよく分からない。それ から何mg入っているかということも分からない。こういうものが一般に流通していて、 消費者の方が手軽に買える状態になっています。特に健康食品は食品に分類されるもの で、基本的には誰でも自由に自己判断で利用できるものであり、誰かが摂ってはいけま せんよと言うものではありません。商品の選択は消費者の方の委ねられています。です から、特徴を理解し安易な利用は避けてほしい。それから効果を求める前に、まず安全 性を考えて選択する必要がある。非常に基本的なところなんですが、私達は忘れがちな んです。要するに医薬品と食品は同じような錠剤・カプセル剤の形をしていても、全く 中身も違うし流通形態も違うし、安全性の確保の状況も違うということを認識しなけれ ばいけないと思います。 (スライド7)いろんな情報が市場に出ていますが、「科学的と思われている食品情報 の実際」をご紹介したいと思います。科学的と思われている情報というのは3つに分け ることができます。まず、専門家と称する人がテレビなどで話す場合です。これは非常 にインパクトがあるんですが、一番注意しなければいけないのはこういうマスメディア、 テレビ局はだいたい娯楽番組として制作しています。私達も娯楽番組、話半分として考 えていれば別に問題はないんですが、出ている方がかなり著名な方ですと、私達は科学 番組だと誤解してしまうという問題があります。テレビに出ている情報が誰か偉い先生 の話だとしても、この情報が本当に正しいのかどうかは分かりません。  一方、学会発表というのがよく新聞に出ていますが、学会発表というのは基本的に研 究した人が成果を発表する予備的な場なんです。実際、間違っている結果が報告されて いる場合もありますので、ここはよく分からない。  それで一番信頼できるのは、科学論文として発表されたものです。科学論文でこうい う雑誌に出るものです。これは研究した成果を公表する本格的な場です。なぜかという と、掲載する前に専門家の審査があります。それから実験の方法、結果の解釈に問題が あれば科学論文にはなりません。例えば100の論文がある雑誌に投稿されたとして、載 るのはだいたい20〜30ぐらいしか載らないというのが実情だと思います。これはそれな りに信頼できる情報と考えても良いと思います。 (スライド8)でも科学論文というのは、ちょっと問題があります。なぜかというと、 何かポジティブな効果、例えば血圧を下げるような効果があったという研究は論文にな りやすいんです。効果がなかったというのは論文になりにくいという背景があります。 ですから、世の中に出ているのは特別な結果だけということもあるわけです。では私達 は何を信頼すれば良いのかというと、複数の論文がいろいろ出てくれば、それはそれな りに評価できる。でも、例えば1つ2つの論文があるからそれが本当だという解釈は、 今の時点ではできないということです。 (スライド9)それから科学論文になっていても、いろんな実験があります。特に健康 食品の分野では実験方法としては3つあります。試験管内実験、動物実験、それからヒ ト試験です。一般には試験管内の実験を多くやって、それから動物実験をやって、最終 的にヒトで確認するという実験が行われています。健康食品の科学的な根拠ということ で、試験管内の実験とか動物実験だけでヒトに効くんだという情報が出ていることもあ ります。これは注意しなければいけません。  なぜヒトの試験が必要かというと、私達が実際に利用する時に安全性・有効性におい て、どれだけの量をどのように利用するかという答えが、動物実験や試験管内実験には ないんです。ですから最終的にはヒトの試験がなければ、どうやって日常の食生活に利 用するかということが分からないわけです。それから、ヒトの試験があるから信頼する というのもなかなか難しい。ヒトの試験でも症例報告、症例対照研究、無作為割付臨床 試験があります。こちらの方が一番信頼できるのですが、ヒトの試験でもいろいろある ということを理解していただきたいと思います。 (スライド10)よくテレビである野菜や果物を摂取すると、こういう病気になりにく いという報道がよくされています。実はこれは疫学調査といって、ある野菜とか果物を 摂取している人がどういう病気になるかということを調べた科学的な根拠がそれなりに あるわけです。ところが、野菜とか果物は容積があるし、なかなか食べられない。だか らこの中のものをカプセルにして濃縮したものが良いんだと謳っている商品もありま す。でも実はこれは正しいとは言えません。野菜や果物を摂取した時の効果はあっても、 その中の何が効いているかというのは未だ分からないんです。今食品でいろいろ言われ ているのは、殆ど分からないものが多い。(スライド11)濃縮サプリメントに疾病予 防効果がないという実際の例は、緑黄色野菜に含まれるβカロチンです。緑黄色野菜を 食べている人は癌になりにくい。だからそれはβカロチンだと言われていました。  これが新聞にも出たわけです。一番上が1993年に、βカロチンが癌予防に効果がある といって、アメリカの癌研究所が発表しました。そうすると、いろんな飲料とか濃縮物 を作って商品を販売して、消費者の人も使った。ところが3年後に、「栄養剤は逆効果? 肺癌発症を高める」、これも同じアメリカの癌研です。まるっきり判断が3年間で変わ っています。  野菜として摂取するのであれば良いんですが、濃縮物のβカロチンとして摂取すると、 全ての人ではないんですが、例えばアスベストに曝露された人とか煙草を吸う人は、よ り癌化するという考え方は今も変わっていません。一番重要なことは、いろんな情報が 出ていますが、私達が知っているのは現時点の情報であって、将来変わる可能性がある ということ。それを私達は認識しておくべきなんです。 (スライド12)健康食品で誤解されやすい例として,「製品のラベルの問題」があり ます。記載されている内容を冷静に判断してほしい。例えば,製造方法に関する情報と 効果とは関連しない。○○特許を取ったというのが、よくチラシに出ていますが、特許 には製造の特許と効果の特許があり、特許を取っているから必ず効果がある、お墨付き を誰かが与えたというわけではありません。  それから、ある食材と比較してビタミン・ミネラルが何倍多いという表現をよくして ありますが、少ないものと比較すれば倍率が上がります。何と比較しているかというと ころも、疑って考えないと誤解してしまう。それから、「驚異の、奇跡の、伝統の…」 という言葉は非常に魅力的なんですが、その根拠は科学的かどうかは分かりません。そ れから政府機関のお墨付きという言葉をよく使ってありますが、実際には何もお墨付き はないという場合もあります。こういうところも注意していただきたいと思います。 (スライド13)次に、2.「健康食品」と安全性です。健康食品としていろいろなも のが流通していますが、そんなに危ないものはあまりありません。調査がありまして、 健康食品で問題があるのは数パーセントだと言われています。ではなぜ、どこに問題が あるのかというと、おそらく健康食品の元々の成分には有害な作用がなくても、それを 修飾するような要因があるわけです。 (スライド14)それは何かというと、利用方法の問題です。ほんの少し使えば別に問 題はないんですが、特別な効果、例えばダイエット効果を期待すると大量に利用してし まう。そうすると健康被害を起こしてしまう。それから利用者側の要因です。健康な人、 普通の人には特に問題がなくても、例えば感受性の高い人、妊婦さんとか小児、それか ら高齢者の方、あと病気の方が健康食品を利用すると健康被害が起こる可能性がありま す。  それから、品質の問題です。表示してある成分は問題がなくても、そこに不純物が入 っていれば健康被害が起こる場合があります。例としてはトリプトファンがあります。 アメリカで問題になったんですが、1グラムぐらい摂取していたというトリプトファン で、かなりの方が亡くなりました。その中の不純物は1%以下だと言われています。そ のように不純物で健康被害が起こるということです。  それから医薬品との相互作用です。最近いろいろ注目されていますが、健康食品を利 用している人は同時に医薬品を利用する。そして、医薬品が効きにくくなったり、また はものすごく効きやすくなったりするという問題があります。最後に非常に重要なんで すが、不確かな情報です。効きもしないのに病気に効くという情報を流したために、病 気の人が利用してしまって健康被害が起きたという情報もあります。  それから、ダイエット関係です。健康被害の実際例があったんですが、ダイエットに 効くと言ったものだから、通常の摂取量をはるかに超えた量を摂取して健康被害を受け たという例があります。ですから、このように不確かな情報というのはいろんなところ に影響する可能性があるわけです。 (スライド15)1つ重要なことは、「食物の形態と安全性」という考え方です。ここ にレバーの絵があります。レバーの中にはビタミンAが非常に多くて、ビタミンAを過 剰に摂取すると過剰症が出ます。でも普通はレバーを毎日3食、ずっと食べる人はいな いんです。なぜかというと、摂取できる量が限られています。ボリュームがあります。 それから味や臭いなどによって、同じものを連続摂取することは少ない。  私達は例えば昼にレバーを食べて、夜にレバーを食べて、また次となると嫌になるん ですね。これは食品がもっている非常に重要な機能なんです。そういうことがあるので、 通常の食材として摂取する範囲では過剰摂取しにくくなっています。ですから安全性が 確保できている。一方、サプリメントとして濃縮物にしてしまうと、非常に手軽に摂取 できるというメリットはありますが、デメリットとして容易に過剰摂取してしまう。そ うすると安全性に問題が出るという可能性があります。  こう言えばサプリメントは悪いかというような話になりますが、物が食べられない人 も世の中には居るわけです。そういう人が適切に例えばビタミン、ミネラルとか科学的 な根拠があるサプリメントを使うのであれば、それは特に問題はありません。でも、そ れは特別な人で、普通の人はこちらの食物の形態をしたものから摂るのが安全に利用で きる、安心して利用できると思います。 (スライド16)これは「摂取量と生体影響の関係」を示したものです。横軸に摂取量、 縦軸に生体影響を取っています。そうすると、私達が食品の中の成分を摂っていきます と、あるところでそれなりの有効な効果は出てくるかもしれません。ところが、あると ころからその有効性の反応は下がってきます。なぜ下がってくるのかというと、有害な 反応が出てくる。分かり易いのは、例えば腹痛を起こすとか下痢をすることもあります し、ひどい場合は臓器障害を起こすこともあるわけです。このカーブはいくつもあるわ けです。  私達は、良いという情報が出てくると、盛んにそれを摂取しようとしますが、いくら 良いといっても過剰摂取は問題です。特に単一の成分や単一の効果のみに着目するとバ ランスが崩れてきます。要するに物を摂取する時には、それしか見ていませんね。でも 私達はいろんな物を摂取しています。体に良い物というのはいろんな物があるわけです。 そういうことを考えると、単一の成分・効果のみに着目すると、やはりバランスが壊れ てくる。  それで一番重要なのは、先ほど言いましたが食材の形態をしたものは、味・臭いがあ り体積があります。ですから、特定の成分をいくら頑張って摂取しようとしても、せい ぜいこの範囲であると思います。ところが,錠剤・カプセルにしてしまうと過剰摂取す る状況になってくる。人にもよりますが、安心して物を食べたり、いろんな良い物を摂 りたいというのであれば、基本的には食材として摂取するとそれほど過剰摂取の心配す る必要はないと思われます。 (スライド17)安全性に関してですが、「誰が、何を、どれだけの量と期間利用する か」が非常に重要です。例えば日常摂取している食材であっても、その使用部位、摂取 量、摂取対象者を考える必要があります。ここに例がありますが、例えばサフランは食 品の色付けや風味付けの用途が主で、その摂取量では安全であると思われます。私達は 昔から食材の色付けに使っていたわけです。その範囲であれば特に問題はないわけです。 ところが大量摂取、錠剤・カプセル剤にしてしまうと、今まで摂取したことがないよう な量を摂取してしまう。そうすると、特に子宮に対する刺激作用が強いため、妊娠中の 使用は問題であるという情報があります。特別な使い方をしてしまうと駄目ですよとい うことも、この中から読めるわけです。  特に重要なのは、問題があるという情報がなくても、安全であるという情報がなけれ ば妊婦や小児は使用すべきではない。情報は変わると先ほど言いましたが、今安全であ るかどうか分からないものを摂取していて、将来に問題が起きるというのは非常に困る わけです。特に妊婦さんとか小児は先が長いですから、そういうことを考えると安全で あるという情報がなければ、やはり妊婦・小児は使用すべきではないという判断になり ます。  私はこれが食品の安全性を考える上での原則だと思います。この考え方は、自分が妊 婦だったらどうなのか、自分の子供が変な健康食品を摂取するとどうなるのかと考えれ ば、危なくてそんなことは出来ないはずなんです。そういう考え方、相手の立場に立っ て考えるという考え方が私は重要だと思います。  最近、イチョウ葉エキスが子供の記憶に良いというので商品が売られていますが、そ ういうエビデンスを子供で検討した研究はありません。高齢の方を対象とした研究なん です。高齢者の人に対して記憶能の改善があるというエビデンスを子供にも適用してい るんです。エビデンスがないところまでそういうものを適用しているということで、非 常に注意しなければいけない点だと思います。 (スライド18)「食経験があるから安全という考え方」です。よくこれは昔から食べ ていたんだから安全だと言いますが、食経験があるから安全という考え方は、長年にわ たって摂取してきた食材なら、経験的に以下の事項を知っている。1)調理や加工の方 法、要するに安全な摂取方法。2)摂取量、どれだれ食べれば問題はないということが 分かっている。3)摂取対象者、摂取を避けた方が良い人、例えばこういうものは子供 はあまり食べない方が良いと昔から言っていた。こういうことは経験的にだいたい分か っているわけです。  ところが、食経験があるという食材から由来した成分であっても、疾病予防効果のみ に着目した利用、それから濃縮物として利用すると、食経験があるから安全という考え 方が適用できない状況も出てくる。これが非常に誤解されやすいんです。調理方法、摂 取量を含めたことが食経験があるから安全だと私達は判断できるわけです。ただ昔から 食べていたからという、単にその言葉だけで判断するのは間違いなんです。 (スライド19)これの実際の例が、最近起こった「白インゲン豆の摂取による健康被 害事例」です。今私が話した状況を非常によく現しています。これは某テレビで紹介さ れて、ダイエットに良いというので白インゲン豆を摂る方法もテレビで放送したらしい です。その方法で白インゲン豆を摂取した人が健康被害を受けた。これは厚生労働省の 発表をそのまま持ってきたんですが、こういう事例があります。  白インゲン豆の中に含まれているレクチンは、生や加熱不足の豆の摂取によって食中 毒を起こす原因物質だと経験的に知ってます。私達はどうしているかというと、安全な 調理方法を知っています。それは水に十分浸してから沸騰状態で柔らかくなるまで十分 に煮るという安全な食べ方です。これをしていれば別に問題はなかったんですが、ダイ エットに効くということで特別な調理方法をしてしまった。だから健康被害が出たとい う事例です。  そういうことから考えると、食経験があるからという単なるその言葉だけで、物の安 全性を評価するのはよろしくないと思います。要するに調理方法、それから摂取量、ど れだけ摂取したかということも考えなければいけない。それが食品の安全性を確保する 上で非常に重要なところです。 (スライド20)次に、3.保健効果を期待させる食品です。どういうものがあるかを ご紹介します。これはよく出てきていますが、厚生労働省が出している「保健機能食品 の名称」です。こちらに医薬品があって、こちらは全部食品です。食品の中には一般食 品、いわゆる健康食品もあります。“いわゆる”というのは一般に言っているという意 味です。 (スライド21)この間を埋めるものとして保健機能食品があります。保健機能食品は 栄養機能食品と特定保健用食品、この2つから成り立っています。これらはいろんな表 示が出来るということです。但し、栄養機能食品は規格基準型で、ある規格にあてはま っていれば良いということで、厚生労働省への届出や審査は必要ありません。  では何が定められた表示ができるかというと、現在はビタミンの12種類とミネラルの 5種類だけで、あとは出来ないということです。それでこれはマークがありません。特 定保健用食品はマークがあるけれども、こちらはない。なぜかというと、これは国は審 査とかは一切していないということです。ここは重要なところだと思います。 (スライド22)もう一方の特定保健用食品は個別許可型です。それぞれの商品・食品 ごとに評価しているわけです。こういうマークが必ず付きます。厚生労働省の審査が必 要であるということです。最近は、有効性は厚生労働省、安全性は食品安全委員会が評 価しています。  では、「特定保健用食品」についてもう少し詳しくご紹介します。定義は「食生活に おいて特定の保健の目的で摂取する者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待で きる旨の表示をする食品」、要するに表示を許可している食品です。特徴は「食品の3 次機能に着目した商品」です。  食品の機能は3つあると言われています。まず1次機能は栄養機能、これは生命を維 持する機能です。2次機能は味覚、食事を楽しむ。3次機能として体調調節というのが あります。特定保健用食品はここに焦点を当てて作られている食品です。一番重要なの はここの1次・2次です。特定保健用食品といえども1・2が非常に重要です。先ほど 私がお話ししましたが、食品というのは本来、味とか香り、容積があります。それがこ の2次機能です。1・2次機能を分かっていて3次機能を使うのであれば良いんですが、 最初から3次機能だけを見て使ってしまうと、間違った使い方をしてしまうことになり ます。 (スライド23)もう1つの「栄養機能食品」ですが、ここで重要なのは栄養機能食品 の定義です。栄養機能食品の目的は、身体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な“ 栄養成分の補給・補完”、ここが重要です。足りないものを補うという考え方から、こ の栄養機能食品はできています。「栄養成分の機能表示と注意喚起の表示ができる」、 これも表示が出来るということです。  上限値と下限値が設定されています。これは日本人の食事摂取基準がありまして、私 達がビタミン・ミネラルをどれだけ必要かという基準があります。これと連動していま す。この栄養機能食品の特徴としては、成分のビタミン・ミネラルはヒトにおける有効 性・安全性の科学的根拠、科学的情報が非常に多いんです。私達が1日にどれだけのビ タミンが要るか、どれだけのミネラルが要るかが分かっているから、どれだけを補えば 良いかが分かるわけです。ここが非常に重要なところです。 (スライド24)補給・補完の意味で、例えばビタミンCを例に挙げてみましょう。こ ちらの横軸はビタミンCの1日の摂取量です。縦軸は血漿濃度、体の中にどれぐらい取 り込まれているかという指標です。ビタミンCの非常に少ない食べ物を摂取させた人に ビタミンCを30mg、60、100、200、400、1000、2500mgと段階的に摂取させて血漿濃度 を見たわけです。そうしますと、だいたい100とか200mgで血漿濃度はもうそれ以上増 加しない。食事摂取基準で目安となるのは、だいたい1日に100mg。これで、殆どの人 は飽和してしまう。それ以上摂っても増えない。摂れば摂るほど皆さんは体の中に入る と思われていますが、このビタミンCの例で言えば、摂れば摂るほど増える摂取量は要 するにここです。  栄養機能食品の定義は補給・補完です。足りない人が補う。足りない人はどこの人か というと、おそらくこのへんの人だと思います。既に200〜400mg摂っている人が、1g ・2g摂っても、殆ど血漿中の濃度は伸びない。なぜかというと消化管から吸収率がも のすごく下がります。それから一度体の中に入っても、すべて尿に出てしまう。ですか ら副作用もなくて安全です。でも過剰に摂取しても、ここは意味がない摂取量。こうい うことも私達は考えなくてはいけない。食品を選ぶ時に何mg入っているかを普通は見ら れると思いますが、それよりもどれだけ自分が摂取しているかということも把握する。 なかなか難しいですが、そういうことも考えていただきたいと思います。多いものが良 いわけでもないということです。 (スライド25)それから、「サプリメントとは?」です。サプリメントと言っていま すが、サプリメントには実際は明確な定義がありません。サプリメントはビタミン、ミ ネラル、ハーブ、アミノ酸などを含み、特に錠剤やカプセルの形態をした食品が該当す ると考えられています。アメリカのダイエットサプリメントに該当するものですが、定 義はありません。  一般にサプリメントと呼ばれているものは2つに分けることができます。1つは先ほ ど言いました国が認めている栄養機能食品とそれ以外のもの、この2つに分けられます。 では何をもってこの2つに分けるかというと、ヒトにおける必要性、有効性・安全性の 科学的根拠です。根拠がないのにどれだけ摂れば良いのかは分からないですから、その 根拠が必要です。  それで2つに分けると栄養機能食品、それといわゆるそれ以外のもの。栄養機能食品 は、私達がどれだけ必要かという量が分かっているし科学的情報が多いということです。 (スライド26)いろいろ言ってきましたが、では何を目安に保健機能を期待させる食 品を考えれば良いのかということになってきます。大まかには厚生労働省が許可したも の、これはこういうマークが必ず付いています。栄養機能食品には付いていませんが、 国がそれなりに許可したものは信頼しても良いと思います。  ここにないものはどうすれば良いか。食品は安全性が重要だと言いましたが、安全性 を確保する上では何が必要かというと、品質・規格です。これの指標として日本健康・ 栄養食品協会がJAFAマークを作っています。それから昨年から、日本健康食品規格協会 がGMPマークを作っています。これらは効果の保証ではないんですが、中に何が入って いるか、安全性の問題で有害物質を除いているということで、それなりに評価できると 思います。  これ以外のものは分からない。この部分がもし分類されていれば分かりやすい。要す るに消費者の方が選択する時に何を基準に選択するか考えられる時は、まず国が許可し ていてマークが付いているもの、それから協会のマークが付いていて品質がしっかりし たもの、それからそれ以外というふうに分類できると思います。  (スライド27)次に、4.「健康食品」の安全性・有効性情報です。(スライド2 8)これは最初に示した図ですが、雨後の筍ということで、いろんな健康食品が出てい ます。それで情報を確かにしなければいけない。雨の量を減らせば筍は出にくくなる。 それから生活習慣をもう少し改善してもらうような助言等を行えば、変な健康食品など は要らない。また社会的な要求がなければ健康食品も出てこない。 (スライド29)この2つに対応したシステムを作ろうということで、私どもの研究所 と厚生労働省で「健康食品」安全情報ネットを作り始めています。こちらが専門家、こ ちらが消費者の方です。いろんな専門家がいます。医師、栄養士、薬剤師、食品とかい ろんな専門家がいます。こういう人が考えて、なぜ消費者の方がこういう食品を利用す るんだろうと疑問に思うようなものが一般に利用されているところがあります。 (スライド30)この間を埋めるものとして健康食品の安全情報ネットを作ったわけで す。研究所の中にデータベースを作り、このデータベースを現場の専門職の方と同時に 行ったり来たりの双方向型のネットワークを作って、情報の修正や交換を行っていこう というものです。それで現場の専門職の方が消費者の方に個別に情報提供していただく。 これが非常に正確に情報が伝わる方法だと思います。  例えば先ほどの栄養機能食品ですが、自分がどれだけビタミン・ミネラルが必要なの か、もう足りているのかということを考える時に、やはり現場の専門職の人がいないと なかなか判断できないです。こういうところを専門職の方に頑張っていただき、それを 我々がサポートしようというのが基本的な考え方です。  でも、これは非常に時間が掛かりますので、ホームページを介して直接消費者の方に 情報を提供する。これは早く情報が伝わります。特に健康被害が起きたような情報は非 常に早く伝わる。この2つの方法を使って健康食品に関する情報を提供しようと考えて いるわけです。 (スライド31)これが実際のページです。ここに健康食品の基礎知識、2番目に安全 性情報・被害関連情報、それから話題の食品成分の科学情報,「健康食品」の素材情報 データベースを出して提供しています。アドレスはhfnet.nih.go.jp/で見ていただけれ ば、すぐにアクセスできると思います。 (スライド32)この内容を具体的に見ますと、まず1.健康食品の基礎知識です。情 報としては、保健機能食品の制度、健康食品のQ&A、誤解されている事例などです。 国はいろんな制度を作っていますが、なかなか一般の人には伝わっていない現状があり ます。ですから、できるだけそういう基礎的な知識を伝えたいため、ここにいろんな情 報を出しています。行政が出しているパンフレットも最近はすぐにダウンロードできる ようになっていますので、使っていただければ有難いと思います。  それから、2.安全情報・被害情報です。国内外でいろんな健康食品の取締りが行わ れています。この情報を知っていれば消費者は注意できますが、知らないで変な健康食 品をインターネットで購入して,健康被害を受けると困る。そこで,国内外の情報を出 しています。それから,3.話題の成分に関する情報です。特定保健用食品、ビタミン ・ミネラルなどに関する情報を解説調に書いて提供しています。  それから、4.健康食品素材情報データベースです。いろんな健康食品の素材情報で す。商品ではなくて素材の情報を出しています。これは有効性と安全性の情報であって、 有効性はヒトにおけるデータが中心で、動物実験結果は参考資料として出しています。 いろんな情報を出す時に、どこが出典なのかを明確にしなければいけない。そこで、出 典をできるだけ明確にするため、元の論文が見られるようになっています。  それから安全情報はヒト、動物等のいろんな情報をできるだけ取り入れています。医 薬品との相互作用の問題、摂取に注意する対象者、例えば妊婦さんは摂取すると良くな いという情報があれば、それは出しています。ここの素材情報データベースの素材数で すが、今は320ぐらいあります。こういう形で提供しています。(スライド33)これ は先ほど言いました行政機関から発行されているパンフレット集です。  今お手元に厚生労働省のパンフレットがありますが、ここをクリックしていただくと PDFをすぐにダウンロードして見ることができるようになっています。例えばこれは輸 入食品と上手につきあう方法として、厚生労働省が今年出した新しいパンフレットです。 保健所に行かないと貰えないというものではなくて、自分の家ですぐにダウンロードし て情報を入手できるという状況にしているわけです。 (スライド34)一番重要なのですが、海外から輸入した食品が一番問題です。海外で も取締りをしていますし、海外と日本ではいろんな規制が違います。そういうことを知 らないで消費者の方が個人輸入などをされますと、問題が起きてしまう。そういう情報 をできるだけ出した方が良いということで情報提供しています。(スライド35)これ はその例です。細かいことは言いませんが、香港衛生署から出されているものです。こ ういうパッケージで、この中に肥満抑制剤の薬でシブトラミンが入っているという事例 です。 (スライド36)これはイギリスから出ている情報です。こういうパッケージの商品の 中に有害なハーブの成分が入っていますという情報です。(スライド37)それから、 これはカナダ保健省(ヘルスカナダ)が出しているものですが、バイアグラ関係、強壮 ・強精に関係するようなものです。このへんの情報については厚生労働省の新開発食品 保健対策室と連携して、できるだけ消費者の人に早く伝えられるよう情報を集めて提供 するということで今動いています。 (スライド38)特定保健用食品は、なかなかその中身が分からないということで、こ の健康食品のページに特定保健用食品の個別商品情報を出しています。昨年の4月ぐら いから出していますが、現在約200食品あります。特保の許可を受けているのはもっと 多いんですが、許可だけを取って市場に出回っていないものがありますし、なかなかこ の情報を作れないので、今あるのは200だけです。  この中には何があるかというと、商品の情報があって保健に関与する成分、それから 安全性をどうやって評価しているか、有効性に対する評価はどうやって行われているか ということを出典を必ず付けて提供するようにしています。特保を取る時はメーカーさ んもちゃんといろんな試験をされているわけです。  これはその例なんですが、特保といっても国が認めているからということだけで利用 されると、これは有効には使えないわけです。今日の私のお話のタイトルは「健康食品 の賢い使い方」ですが、もし賢い使い方をするならば何が必要か。特保は国が認めてい るから、審査しているから使うんだというだけでは十分ではないんです。どうやって使 うか、その使用方法と基本的な考え方が必要なんです。こういうことも伝えていきたい ということでページを動かしています。 (スライド40)これは実際に「血糖値が気になる方の食品」ということで、難消化性 デキストリンという成分を含むものの実験です。こちらに論文の出典が書いてあります が、要するに炭水化物を摂取させて血糖値の上がり方を見た時に、難消化性デキストリ ンを含むお茶とそうでないものを比較して、血糖値の上がり方が抑えられることを認め たということで特保が取れているわけです。  実際のデータはこれです。横軸が摂取後の時間、縦軸が血糖値です。炭水化物を摂取 しますから血糖値が摂取後に上がります。ここで対照は普通のお茶です。難消化性デキ ストリンという成分を含む飲料を飲むと、こういうふうに血糖値の上がり方が確かに抑 えられているということで特保が許可されているわけです。ここでもう1つ重要なのは 使い方だと言いました。それは炭水化物を摂取しない状態でお茶を飲めばどうなのかと いうことです。  それを行ったのがこちらの実験です。そうすると対照も試験飲料も殆ど変わらないと いうことです。炭水化物を摂取しなければ、このお茶の効果はないということです。そ れで一番重要なのは血糖値が高めの人が食事で炭水化物と共にこの特定保健用食品を摂 取した時に効果が期待できる。単独で摂取した時は効果は何もない。普通のお茶を飲ん でいるのと同じわけです。こういうことも考えていただこうと思っています。  それからもう1つ、基本事項がやはり大事だと思います。それは何かというと、糖質 の摂取量を抑えれば全ての人に効果がある。こういう実験は何例かを取って検定をして、 こちらに有意差があると言っていますが、もしこの人達がそれぞれ20%の糖質制限をし たとすれば、もっと確実にみんな効くわけです。そういう基本事項を考えてほしいと思 います。  あくまでもこの基本事項が分かって、例えば20%の炭水化物の摂取を制限して、この お茶を飲めばもっとこの効果が期待できるということが言えるわけです。そういうこと も考えていただこうということで、このページを出しています。 (スライド41)もう1つは同じ例ですが、「中性脂肪が気になる方の食品」として、 ジアシルグリセロールを含む食品があります。これもヒトで実験しているんですが、横 軸が摂取後の週です。16週までBMIを取っているんです。これが対照です。これにジア シルグリセロールを含む油を摂取した人は、こういうふうに確かにBMIが下がってくる。  これは効いているんだというんですが、この実験はどうやっているかというと、実は 総脂肪摂取量を50gに制限しているんです。好きなだけ油を摂ってくださいという実験 をすれば、こんなデータは出てこない。必ず脂肪制限をして、それで普通の油に対して、 この試験の油を置き換えるということをやっているわけです。ですから一番必要なのは、 まず摂取エネルギーを制限して、それからこの油を利用することが正しい利用だと思い ます。そういうことをしないで、摂れば摂るほど脂肪がつきにくいんだと思って利用す ると、全く意味がないわけです。これにも基本事項があります。脂質の摂取量を抑えれ ば、全ての人に効果がある。  こういうものは有意差検定をして効く人と効かない人が出てくるわけです。でも全て の人に効くのは、脂肪制限をすること。そういうことを考えると、まず脂肪制限をする という基本的な努力して、それでこの油を使う。特定保健用食品は単に国が認めている からという言葉だけではなくて、どうやって使えば良いかということが重要です。  例えば脂肪が気になり始めた人が特定保健用食品を使いたい。そうすると,まず脂肪 制限をしなければいけない。それでこの油を使おうという考えを持てば、これは生活習 慣を変えるきっかけになるわけです。特定保健用食品も、そういう使い方をすれば非常 に有効に使える状態になると思います。こういうところを今後いろいろ考えていきたい と考えています。 (スライド42)素材情報データベースには今320素材あります。(スライド43)こ こをクリックしていただくと、こういうページが出てきます。ここに非常に重要なこと を書いています。「同意」ボタンがありますが、ここを押さないと先の情報が見られな いように設計してあります。何が重要かというと、やはり基本的にはバランスのとれた 食事です。それから、ここに出しているのは現時点での情報で、将来変わる可能性があ ります。それと、この情報は素材の情報で個別の商品の情報ではありませんということ です。それから、医療機関を受診している方は健康食品を摂取する前に医師の方に相談 してください。それから体調に異常を感じたら、すぐに摂取を中止してくださいという ことを書いています。ここをクリックして通り抜けると、それぞれ有効性・安全性の詳 細な情報が出てくるように作ってあります。 (スライド44)私どものところに健康食品の名前を言って、「これは安全ですか、効 きますか?」と言われるんですが、実はこれは分からないです。なぜかというと、どう やって作ったかが分からない。どういう材料を持ってきて作ったかということは、メー カーしか分からないわけです。例えばキノコとかイチョウとか、最近いろんな研究をし て科学論文が出ています。情報は出ていますが、この情報が必ずこちらの商品に当ては まるかどうかは分からないんです。  なぜかというと、使う素材に非常に悪質な不純物が入っていたり、それから1個だけ ではなくて複数のものを3つも4つも入れると、各素材の期待する効果が得られるかど うかは分からないんです。こういうことがあるので、素材の情報と製品の情報は必ずし も一致しないということを認識していただきたいと思います。これが一致するのは、素 材の情報ではなくて製品の情報になっているもの。先ほどお話しした特定保健用食品で す。これは商品ごとに評価されています。  最近、特定保健用食品はいろいろ調べると有効性情報があまりないのではないかと言 われる方も居ます。それは確かにそうなんですが、特定保健用食品は商品として評価さ れてますから、その中の成分がどうこうと言うのではなくて商品として認めているとい うことです。市場の中に出ているいわゆる健康食品と特定保健用食品は明らかに違うと いうことをご理解いただきたいと思います。 (スライド45)「品質・規格の問題の例」です。例えばイチョウ葉エキスというもの がありますが、この中の有効成分はフラボノイド、有害成分はギンコール酸というのが 入っているんです。規格がある商品はこのギンコール酸の濃度を抑えています。昔、国 民生活センターが調べたところ、同じイチョウ葉エキスという名前でもギンコール酸を 非常に大量に含む商品がありました。  要するにA社は規格をまじめに守ってきっちり作っていた。B社はわりといいかげん に作っていた。健康被害が出て、だいたいはこのB社に関して出るんですが、そうする と市場からこの商品が全部消えてしまうということも起こるわけです。イチョウ葉では 実際に起こってしまったわけです。こういうことがあるので品質・規格というのは非常 に重要です。そういう意味で商品を選択される時は、品質・規格をまず注意して選ぶの が一番良いと思います。 (スライド46)この「健康食品安全情報ネットページの見方」ですが、健康食品に関 する基礎的事項を確認していただきたいと思います。国の保健機能食品制度の理解、そ れから日常の正しい食生活が基礎編であって、健康食品の利用は応用編ですということ を理解していただきたいと考えています。それから健康障害を起こさないために、危害 情報に注目していただきたいと思います。健康食品による健康被害は類似した問題の繰 り返しです。何回も同じような問題を繰り返しています。私達のページでは、過去に起 こったものを全部整理して、一覧にして出しています。  それから、科学的根拠のある情報と有効性・安全性の解釈です。素材情報データベー スは非常に注目されるんですが、これは現時点でどこまで分かっているかの指標です。 調べた情報は科学的情報の有無であり効果の有無ではありません。安全情報は健康被害 を受けないための参考情報です。安全情報に誰かが亡くなった事例報告もありますが、 全ての人に起こるわけではありません。でも、もし自分が使っていればそれを見ていた だいて、同じような症状が起こればそれは健康食品が原因かもしれないというような参 考情報として利用してくださいという意味で提供しています。 (スライド47)最後に、5.「健康食品」の選択・利用です。これは私どもの考え方 であって、正しいかどうかは分かりません。こういうことをこのリスクコミュニケーシ ョンの場で、いろんな立場の方から意見を頂ければ、またこれを修正することが出来る と思います。後でパネルディスカッションのところでそういう意見を出していただけれ ば有難いと思います。 (スライド48)「健康食品の選択に関する考え方」として、主体にするものが非常に 重要です。主体にするものは何かというと、基本は日常のバランスのとれた食生活です。 ちゃんとした食事ができていない人に、例えばビタミン・ミネラルのサプリメントを渡 してしまうと、その人は安心してしまって全然食生活が改善できません。基本的なこと は理解してほしいと思います。  それから病気の時は医薬品による治療が必要です。健康食品はあくまで食品であって、 病気の治療ができるものではないわけです。そういうことを考えると病気の時には、ち ゃんと医療機関に行って医師の方の診断を受けて対応してほしいということです。  健康食品を選択するときの判断基準としては、健康食品には定義がありませんからい ろんなものがあります。錠剤・カプセルから食品の形態をしたものもあります。食材と して利用することをまず考えてほしいと思います。なぜかというと食材として利用すれ ば、ボリュームがあって味とか臭いがありますから過剰摂取をしない。そういうことか ら食材として利用してほしいと思います。  それから、本当に必要かどうかを冷静になって考えてほしいと思います。例えばメー カーさんが売りに来て、今買えばこの値段で売る、1週間後にはもっと高くなるから今 買いなさいというアドバイスをする場合があるらしいんですが,1週間ぐらい待って判 断しても良いと思います。そうすると早急に判断する必要はない。いろんな人に聞きな がらもし本当に必要だと思えば、そこで1週間後に買えば良いと思います。  それから、有効性よりもまず安全性を重視してほしいと思います。食品は安全性があ ってはじめていろんなことに対応できるわけですから、効果よりもまず安全性を重視し てほしいと思います。それから,過大な期待をしないでほしい。期待しないでください と言っても、だいたい期待するものなんですが、食品で病気の治療は出来ないと思いま すから、そういうことを考えると過大な期待はしないでほしいと思います。  それで目安になるのは類似食品との価格の比較です。高いから私達は効果があると思 っていますが、そうではありません。それはよく分からない。ものすごく高いものを買 う必要はおそらくないのではないかと思います。こういうところをいろいろ考えていた だいて、商品を選択・利用されると良いと思います。 (スライド49)「選択・利用において留意する事項」として、選択時はまず次のこと をチェックしてください。バランスのとれた食生活を行っていますか? 本当に必要で すか? 商品の安全性に関係する品質等に問題はありませんか? ここをチェックして ください。  利用時には有効性とともに安全性、注意する事項を考えてください。しつこいようで すが,バランスのとれた食生活,運動・休養が重要であることを忘れないでくださいと いうことです。それから、全ての方に効果が期待できるわけではありませんので、過大 な期待はしないでください。病気の方は医師等の医療関係者のアドバイスをできるだけ 受けてください。  利用中にもし体調に異常を感じたときは、摂取を中止して必要ならば医療機関で受診 し、保健所にも相談してください。何か異常があれば保健所を介して厚生労働省に健康 被害が上がるようなルートがちゃんと作られていますので、そういうところを利用して いただきたいと思います。 (スライド50)「健康食品を利用するときのリスクとベネフィット」です。全ての食 品に対しても言えるんですが、全ての人に安全なものはおそらくないと思います。多少 のリスクはあります。健康食品の場合もリスクとベネフィットの関係を考えてほしい。 ベネフィットがリスクを上回るかを総合的に判断してほしいと思います。  例えば何かを使って全然良い効果がないということを考えると、こちらのベネフィッ トはその方にはないんです。残るのはリスクだけなんです。リスクは健康被害を受ける だけではなくて、多大な出費をしてしまうという問題もあります。こういうことをそれ ぞれの消費者が考えていただきたいと思います。なかなか考えにくい時は、専門職の人、 栄養士、管理栄養士、薬剤師、医師、いろんな専門職の方がいらっしゃいますので,そ ういう人のアドバイスを受けてこれを考えていただきたいと思います。 (スライド51)これが最後ですが、「健康の保持・増進」です。これは基本ですが、 健全な食生活、適度の休養、適度な運動、このバランスがとれてはじめて私達は健康に なります。食べ物だけで健康になることはないと思います。例えば休養に勝るような健 康食品というのはないのです。ですから疲れた時はちゃんと休養を取るとかですね。  それからダイエット関係です。ダイエットというのは摂取エネルギーと消費エネルギ ーのバランスで決まります。消費しないで痩せるということはまずないです。だいたい 下痢をして痩せるのが多いんですが、そういうことを考えると運動も必要です。運動を するとリフレッシュできますから、精神的にも良いということです。  こういう全体を考えて、その中の1つとして健康食品を考えていただければ、良いも のはよく利用できるし、悪いものは使わないようにできると思います。以上です。どう もご静聴、有難うございました。    (司会) 梅垣先生、どうも有難うございました。それでは、10分ほど休憩を挟みまし て、14時52分から意見交換会を始めますので、それまでにお席にお戻りいただきます ようにお願い致します。   …《休憩》… 【パネルディスカッション・意見交換】 「健康食品について知ろう」 (司会) それでは時間が参りましたので、これからパネルディスカッション・意見交 換会へ移らせていただきます。  それでは本日のコーディネーター及びパネリストの皆様をご紹介させていただきま す。まず、会場の皆様からご覧になって一番左端ですが、関澤純先生でございます。関 澤先生には本日コーディネーターをお務めいただきます。関澤先生は徳島大学総合科学 部教授、食品安全委員会リスクコミュニケーション専門調査会座長を務めておられます。 また、徳島県の食の安全・安心県民会議の座長も務めていただいております。  その右側ですが、加渡いづみ様です。加渡様は消費生活アドバイザー、とくしま食の 安全・安心県民会議の委員を務めていただいております。その右側ですが、中田和江様 です。中田様は羽衣国際大学人間生活学部の助手をお務めですが、現在徳島文理大学大 学院家政学研究科の博士後期課程に就いておられます。  続きまして、右隣ですが近藤康得様です。近藤様は株式会社大塚製薬工場メディカル フーズ事業部栄養研究室室長様です。その右側ですが、原田満智子様です。原田様は社 団法人徳島県栄養士会会長、とくしま食の安全・安心県民会議の委員を務めていただい ております。その右隣ですが、馬原文彦様です。馬原様は社団法人徳島県医師会常任理 事をお務めでございまして、とくしま食の安全・安心県民会議の委員・座長代理を務め ていただいております。  その右隣ですが、先ほど基調講演をいただきました梅垣先生です。最後になりますが、 その右隣が北島智子様です。北島様は厚生労働省医薬食品局食品安全部基準審査課新開 発食品保健対策室長をお務めでございます。以上、皆様をご紹介させていただきました。  それでは、パネルディスカッション・意見交換会を行います。ここから先につきまし ては、本日のコーディネーターを務めていただきます関澤先生にお願いしたいと思いま す。どうぞよろしくお願い致します。   (コーディネーター 関澤) 所様、ご紹介有難うございました。本日のパネルディス カッションのコーディネーターを務めさせていただきます関澤でございます。よろしく お願い致します。  それでは早速ですが、本日のパネルディスカッションの進め方です。パネリストの方 々にそれぞれお一人5分ずつ程度、お話をしていただきたいと思います。その後にパネ リストの間で意見交換を行い、また事前に頂いたご質問に対してパネリストの方からお 答えをいただきたいと思います。その後の時間に会場にお集まりの皆さんからご質問を 頂き、パネリストの方がお答えできる部分は答えていただくということで進めていきた いと思っておりますので、よろしくお願い致します。  今日は「食品に関するリスクコミュニケーション」と書いてありますが、リスクとい うのはこの場では簡単に言って食品の安全性の問題というふうに考えていただければと 思います。そのコミュニケーションということなので、この場を借りて、時間は限られ ていますが会場とパネリストの間でディスカッション、また意見の交換を行い、皆さん のご理解を深める機会としていただければ幸いだと思います。よろしくお願い致します。  それでは、はじめに並びの順番でディスカッションをしていただきたいと思います。 まず加渡様からよろしくお願いします。   (加渡) 消費生活アドバイザーの加渡です。今日は健康食品に関することですので、 実際に家計簿の中で見た場合に、私どもがどれくらい健康食品にお金を使っているかと いうところからお話を進めてみたいと思います。  総務省の平成17年度の家計調査によりますと、1世帯当たり1年間に“健康保持用 品摂取品”に対して、全国平均で17,060円の支出額があります。この“健康保持用品摂 取品”とは、いわゆる健康食品と呼ばれているものです。  徳島市の場合、支出額は全国平均を上回っておりまして18,616円に上ります。この額 は、1年前に比べて1割増しになっています。更に5年前と比べますと、支出額は2.3 倍に増えています。つまり、徳島市の場合は、全国平均よりも健康食品に対する支出額 が多く、尚且つその増加の割合も、全国平均より上回っているわけです。四国の県庁所 在地4市で見ましても、松山市に次いで徳島市は2番目に家計からの支出額が多いとい う現実があります。  この理由を、消費者の側から考えてみたいと思います。まず1点目に、食品全般につ いて、とにかくあれこれ選ぶことができるだけの品目が私たちの周りに溢れています。 2点目に、確かに食品は溢れていますが、それらに対して消費者は不信や不安が拭い去 れないわけです。そして3点目に、非常に強い健康志向があります。  更に4点目として、様々な情報に対して、消費者の理解が追い付かないという状況が あります。情報を理解しなさいと言われましても、消費者は専門家ではありません。ニ ュースや活字で知った専門用語や栄養知識につきましても、実際にはなかなか調べるこ とはできません。となりましたら、まず「健康食品」という四文字熟語に飛びついてし まいます。とりあえず、手っ取り早く、これを食べておけば何とかなるのではないかと いう、「健康食品」という文字に対する安易な期待感があるのです。  その上、消費者は専門家ではないものですから、自分で判断することが難しいという 面もあります。その場合、「テレビで言っていたから」「あの先生が言っていたから」 「こういう記事があったから」ということを拠り所に、マスコミ等を含めて誰か他人に 判断してもらおうとします。そして、それに対して過剰に反応してしまう、いわゆるフ ードファディズムという傾向が現れるのではないかと考えます。  ですから、今日のテーマである「健康食品の賢い消費の仕方,賢い使い方」というこ とにつきましては、消費者が悪徳業者から騙されないようにする観点も含めて、ご一緒 に考えていければと思っています。以上です。   (関澤) 加渡様、どうも有難うございました。皆さんが健康志向ということで、非常 な期待をもっているという面がある一方、それに対する不安感もあるということを実際 の例を使ってご紹介いただきました。  それでは次に、中田様からご意見をご紹介いただけますか。   (中田) 徳島文理大学大学院の家政学研究科博士後期課程の中田といいます。私は同 大学の家政学部、現在の人間生活学部の食物栄養学科を卒業して、管理栄養士の免許も 取得しています。現在は羽衣国際大学で助手をさせていただきながら、大学院生として 徳島文理大学大学院で腸管の免疫機構について研究をしています。今回は消費者代表と して参加させていただいていますが、院生としてだけではなく栄養士として、また研究 者としての意見なども若干織り交ぜながらお話をさせていただきたいと思います。  今回の発表についてですが、まず消費者はなかなか情報を選ぶのが難しいということ があると思います。消費者が健康食品を購入する際の参考としては、店頭の広告や商品 の表示、テレビ番組などが多く挙げられるんですが、同時に商品の広告や表示が非常に わかりにくい。例えば同じ栄養成分を取り扱ったサプリメントに関しても、原材料が同 じなのに栄養機能食品とそうでないものがあったり、何が違うのかじっくり手に持って みても、よく分からないものがあります。  テレビの内容が本当に信頼できるものなのかどうか疑わしいといった意見も挙げられ ます。特に最近では栄養素の摂取条件も設定されていることから、摂取方法について正 しい使い方、注意する使い方をもっとよく知りたいという意見もあります。そのため、 現在消費者としてよく利用している方法としては、まず気になる商品があれば手に取っ てみて、半信半疑で使用してみて、期待する効果がありそうだと感じたものとか、美味 しいと思ったものは続けるんですが、そういうことを繰り返している人が多いのではな いかと思います。  現在の健康食品についての問題点として、私は消費者が自己責任で自分に必要なもの を判断して、選択していかなければならない状況の中で、良いのか悪いのか判断するに 足りる情報が少ないのではないかと思っています。例えば、テレビは食や健康について 考えるきっかけを与えてくれる点では良いと思いますが、娯楽性を重視したものが多く、 虚偽・過剰な表現が目立ちます。  特に科学論文や専門家の意見などは消費者からみると、とても信頼できるものとして 判断してしまいますが、それが基で健康被害など悪影響が広まってしまうようでは、さ らに混乱を招いてしまうと思います。このようなものを評価基準として用いる場合、営 利目的では使用できないなど、何か規制を取っていただきたいと思います。  また、健康食品の商品情報に関して、提供元の多くは製造者側からであるため、公開 されている情報が不透明です。先ほどの梅垣先生のお話にもありましたように、国立健 康・栄養研究所では公開されている情報の他にも、NPOなど非営利的な組織を介した情 報提供がもっと必要ではないかと思います。  さらに消費者は情報を与えられるのみで、本当に自分に必要なものなのかどうか、確 認する手段が身近にない。あってもあまり知られていないことも問題ではないかと思っ ています。消費者としては、健康食品は薬と違って自己責任により選択しなければなら ないことから、それを安全に使用するための科学的根拠に基づいた確かで分かり易い情 報と、それを確認することができる双方向の意見交換の場が身近にほしいと思います。  また、そのためには消費者自身が健康や食生活に関心をもち、適切な食生活と必要な 情報選択能力を身に付けることも重要になってくると思います。そのためには、新しく 施行された食育基本法などをもとに、もっと広く食育活動も推進していっていただきた いと思います。  最後に、私の研究に関して意見を述べさせていただきます。腸管は栄養を吸収するだ けではなく、私達の生体の中で最大の免疫組織です。現在、病院などで広まっている栄 養サポートチームでも治療の一環として、如何に腸管から普通の食事が摂れるようにサ ポートするか、ということに焦点を当てていることからも、私達が健康を維持するため には腸管の機能を刺激するようなバランスの良い食事を摂ることが必要だと思います。  また、食品を含めた環境と生体の接点として、腸管の免疫機構をよく理解することが、 より確かな食品の機能開発のためにも必要であると思います。以上です。   (関澤) 中田さん、どうも有難うございました。腸管の免疫機能についてのご研究も 含めて、一消費者としては自己責任と言われるけれども、確かで分かり易い情報を求め るというご意見だったと思います。  それでは次に近藤様、よろしくお願い致します。   (近藤) はじめまして、大塚製薬工場メディカルフーズ事業部の近藤と申します。私 どもの会社の大塚製薬工場というのは、皆様が体調が悪くて病院に行った時に点滴とか をされると思いますが、吊り下がっているバックのことを指すんですが、それを主に作 っている会社です。最近になりまして、今の医療の中の変革、環境の変化に伴いまして、 医療の中でもいわゆる医師・栄養士が使う食品というのが、医療の現場でかなり広まっ てきています。  しかしながら、食品というのは今先生方からいろいろお話しがありましたが、なかな かエビデンスとか医薬品との相互作用とか、そのあたりが各メーカーの力もあるんです が、医薬品のように、こういう試験をやってこういう結果を出せば医薬品として許可し ますという、そういう指針が全くない中で、各食品メーカーはいろんな食品を皆様に提 供させていただいているというのが正直な現状です。  我々のメディカルフーズ事業部というのは、大塚製薬では清涼飲料水などの製品を出 していますが、それはいわゆる健康な方に飲んでいただく製品です。私達の事業部は高 齢者の方とか病気の方、いわゆる健康状態が少し悪いような方などに摂っていただく製 品を考えておりますので、より安全・安心性ということも必要になってきます。  特に今考えなければいけないのが、医薬品との相互作用がいったいどうなっているの かということが全く分からない状態です。ではこのデータは、どこが責任をもってデー タを出して皆様に情報提供していくかということが1つ私自身の課題でもありますし、 これから医療の中で食品が使われる中では、大きな課題になってくると思います。  最近、薬学会とか臨床栄養の学会などでも、食品と医薬品との相互作用について、か なりシンポジウムが開かれて、このあたりの情報を提供していこうという動きがありま すので、もう少しすれば厚生労働省とか国立栄養研究所を中心にしてネットワークが広 がって、データの蓄積がこれから行われてくるのではないかと考えています。  今日私はここの中で一人だけメーカーの人間で、いわゆる最終製品としての安全性と 機能をもった食品を皆様に提供するという使命と、もう1つはその情報を提供していく という2つの責任があると思っています。ですから、今日は皆さんとディスカッション をさせていただいて、どういう情報を如何に出していくかということを端的に我々の方 針として、会社にもって帰れれば良いのかなと思っています。  先ほど中田先生からもありましたが、普通輸液を行いますと血管に直接栄養を入れま すから、入れたものは全て栄養として体の中に入ってくるわけですが、いわゆる食品は 口から摂るわけですから、吸収ということがあります。ですから、先ほどビタミンCの 話もありましたが、たくさん入っているからこの製品は良いんだということは全く言え ないわけです。  やはり今日の基調講演にありましたように、食品の賢い使い方というのは非常に大事 になってくるかと思います。その賢い使い方に関して、メーカーとして情報提供すると いうのが、我々の使命だと思っています。今日はどうぞよろしくお願い致します。   (関澤) メーカー側として、医療現場で使う食品、特に高齢者の方や病弱者の方に摂 っていただく栄養成分を供給しておられるということで、メーカーとしてどういう情報 を提供していくべきか、会場の皆さんも含めていろいろご意見を賜りたいということだ ったと思います。有難うございました。  それでは原田様、栄養士さんの立場からご発言をお願い致します。 (原田) 徳島県栄養士会の原田と申します。先ほど基調講演をいただきました梅垣先 生が、殆ど私の言いたいことを言ってくれたという感じなんですが、我々人間は食物か ら栄養を摂って、そして体を作り活動するという営みを行っています。三食の食事をき ちんとバランスよく摂って、そして何らかの理由で摂取できない状況にある時には、健 康食品を利用するという方法になるのではないかと思います。  いろいろと問題があるかと思いますが、今ここにお出での方々で、私は1日にこれだ けのものを摂れば良いんだということをご存じない方がいらっしゃるとすれば、その次 の話にもっていくのは非常に難しくなってきますが、大凡の分量がどれぐらいで適量で あるかということは、お解りになっていると思います。  現在ではいろんな食品が豊富に出回っています。実際には精白・精製することによっ て美味しくされていますから、無機質が除かれているとか、あるいは加工の段階で加え られる物質によって過剰に摂るということも注意しなければいけないような食環境にあ ります。人体が必要とする栄養素の不足、過剰、アンバランスなどを自覚せずに、日常 の食生活を続けている場合が多いかと思います。  ヒトの栄養素の必要性に対する自覚本能は空腹であるとか満腹になったとか、あるい は喉が渇いたとか、塩分が欲しいとか甘いものが欲しいとか、そういう欲求が基本であ って、私はこれだけ摂らなければいけないから、これをこれだけ食べて、これが不足し たという自覚なしに、毎日健康であるならばそのまま過ごしているのではないかと思い ます。  ただその中で、不足してくるとしんどいとか、疲れが残るという状況が出てきますの で、そのへんで本当にきちんと摂れているかどうかを見ていただく必要があるかと思い ます。そういう目安になるのが,「日本人の食事摂取基準」2005年版ですが、そこに入 っています。それぞれのところで、上手く摂れているかどうかを見ていただきたいと思 います。  今日の資料の中に朝食の欠食率というのが入っています。これは「みんなで食育、楽 しく食育」の中に入っていますが、それと徳島県の欠食を比べてみると、平成15年です が徳島県の男性の場合は20〜29歳では23.1%、全国では30%です。それから30〜39 歳になりますと、全国では23%で徳島県が28%です。男性が30〜39歳のところで非常 に欠食が多くなっています。  欠食をした場合に、そこでサプリメントで補充しておこうということが起こってくる と思います。けれども三食きちんと摂っていないと、なかなか必要な栄養素がバランス よく摂れませんので、そのへんの食生活習慣を直していくことから始めてみる。それで きちんと食べているにも拘わらず、何だかしんどいなあ、疲れが残るなあという時には、 もう一度摂り方を見直していただくことが必要であると思います。  食品の摂り方とか組み合わせについては、栄養素の特徴を活かした素材の栄養素パワ ーをアップさせる方法を考えるということがあるかと思います。よく聞かれると思いま すが、ビタミンAは油と一緒に摂ると吸収を良くするとか、あるいはビタミンB1であ ればニンニク・ネギなどと一緒に摂るとか、あるいはビタミンCであれば短時間で処理 するという方法、そういうことも考えてみていただく必要があると思います。  そういうふうに見直した後でも、尚且つ自分が摂れないということがあるかと思いま す。食事の量が少ない人、高齢者になると量がたくさん摂れない、その上に運動も出来 ないという場合があると思います。そういう場合とか、あるいは好き嫌いの激しい人、 これは直していただくのが良いわけですが、どうしても直らない場合には、嫌いな食品 に多く含まれているものが不足してきますので、そのへんをサプリメント・健康補助食 品を使ってアップしていくということを考えていただければ良いかと思います。  ただ足りない食品を補うだけにしていただかないと、いろんなサプリメント・健康補 助食品を摂っていますと重複して含まれていることがありますから、過剰摂取というこ とが起こってきますので、そのへんを十分注意していただきたいと思います。私どもが 相談を受けた方では、食事はきちんと摂れているのにサプリメントをたくさんいろんな 種類のものを飲んでいた。そうすると何か体調が悪い。それを止めると非常に良くなっ たということも経験しています。  ですから、やはりきちんと摂れているかどうかのチェックをしていただきたいと思い ます。それとサプリメントには割合にたくさんの量が含まれていますので、無機質など はそれぞれがみんなちょうど良い比率をもって働いています。多く摂るものがあると吸 収が悪くなるものが出てくるということもありますので、そのへんも十分考えて摂取し ていただければと思います。  そういうことを言いますと、かなり専門的になってきますので、ご希望のある方には、 食事の内容をチェックして差し上げられるシステムを、私どもの会の中にも作っていか なければいけないのではないかと今お話ししながら考えている次第です。どうも有難う ございました。   (関澤) 原田先生,どうも有難うございました。ご専門の立場から栄養士さんとして いろいろ具体的な注意事項を与えていただいたと思います。今先生からご紹介があった のは、この「みんなで食育・楽しく食育」というパンフレットの2・3頁に載っている 「朝食の欠食率」、それから「食事バランスガイド」の例を引いて、お話しいただいた と思います。  朝の食事を摂らないでサプリメントで間に合わせようとか、それからメタボリックシ ンドロームということが言われていますが、“血液サラサラ”ということですぐに飛び ついてしまう方も中には居られるのかなと思います。そういうことについては、サプリ メントは逆に摂り過ぎてしまうことも心配ですというお話をしていただいたと思いま す。栄養士さん、あるいは身近な保健指導の方にご相談をいただければと思います。  それでは次に馬原先生、医師のお立場からお話をしていただけますでしょうか。よろ しくお願いします。   (馬原) 馬原です。私は今日、実はこの会場に来る時に「リスクコミュニケーション」、 あまり聞いたことがなくて難しい。しかも基調講演の先生は、堅いお役所の先生がお話 しになる。いったいどんな人が来るのかなと思って、ここに上がってみて吃驚しました。 8割の方は女性ですね。後ろの方に男性がコソコソと居る。言ってみれば今の平均寿命 はこのようなところからきているのかなと思います。是非、男性の方も力をもって今日 はよく勉強して帰って、健康に留意していただきたいと思います。  さて、「健康食品について知ろう」ということです。これは医師の立場から言います と、どうしてもポジティブに「これを食べれば元気になるよ!」というよりは、どちら かというとリスクの方ですね、「こういうふうになったら注意してください」というこ とにお話がどうしてもなることを少しご容赦いただきたいと思います。  平成14年、今から3年前の7月に中国製のダイエット食品が、漢方薬によって健康被 害があるということで続発したことがあります。この時、まだ全国的に報道される前に、 いち早く気がついた方が徳島の先生です。50代の女性が痩せるために飲んだ漢方薬なん です。その後、4例ほど続きまして、合計5例ほど続いたものですから調べてみたとこ ろ、いずれも1カ月のうちに5〜10キログラム急激に痩せた。そして下痢と軽度の全身 倦怠感、手が震えたりフラフラしたということだそうです。  この先生が十分注意深く観察されまして、肝臓の障害と甲状腺機能障害があることに 気が付かれまして、これを保健所とかいろんな所に調べてくださいと仰有ったんですが、 その頃は県庁とかではそれを調べる部門がなかったんです。それで県の医師会の方に相 談がありましたので、私の方で検査データを見ましたところ、やはりこれは何かありそ うだなと思ったわけです。  そこで徳島大学の薬学部とタイアップして、この原因を突き止めるための検査を進め ていったわけです。その結果、甲状腺ホルモンが中に入っていたということが分かった わけです。それで手が震えたり痩せたりした。下痢とか肝臓障害については、はっきり しなかったわけです。ところが、そういうことをしているうちに厚生労働省の方で肝障 害を起こす漢方薬の警告が出まして、その薬の中に先生がお調べになった薬も入ってい まして、あぁこういうことだったんだということでした。  すなわち、このようなことから健康被害について考えてみますと、患者さんがまず日 頃の自分の健康とちょっと違うなという時に、よくそのことを自分で認識しておく必要 があります。そして、そのことをお医者さんに行った時に、この薬を飲んでから、ある いはこのサプリメントを飲んでからちょっとおかしいんですということを言ってほしい んです。そうするとその関連性で見ていく。  そしてそれが何人か、先ほどの梅垣先生のお話にありましたように、何例か蓄積して いくうちに、あれこれはおかしいんじゃない?ということで、いろんなことが明るみに 出てくるということになるわけです。またこの時に、例えば疲れやすいとか飲んだ後に ジンマシンが出たと言う時に、恥ずかしいとか先生に申し訳ないというようなことは決 してありません。医師というのは守秘義務がありますので、その方から聞いたことを絶 対に他の人に言うことはありませんから、遠慮なく何でも構いませんから相談してもら いたいと思います。  その時に販売業者の方は、倦怠感など自覚症状が出ても、それを乗り越えて継続服用 すると、この薬の効果が出るんですよと言われるそうです。そうすると逆効果ですよね。 ということですので、そういうことがあってもちゃんと相談してもらいたいと思います。 先ほどからいろんなことが出ていましたが、具体的にはそういうことなんです。そうい う時にちゃんと信頼できる先生と相談してもらうということです。  それから、先ほどからいろんな話題が出ていて、その中で原因の究明について、この 薬をこれだけ飲めばよいのにとか、こういう時にはこうしてほしいとか、もっとはっき り言ってよというところが皆さんあると思います。何となくモヤモヤしている。これは どうしてかというと、食品というのはどうしても口から食べるんですね。食べたものは 胃で消化されます。それから消化管でずっと消化されます。その間にいろいろ形を変え ていくんです。いろんなものが付いたり離れたり、いろんな化学変化を起こしていく。  あるいは人によって下痢をしている時は、そのまま行ってしまうかもしれない。人に よって全部違うんです。そこが食品について毒性とかいろんなことを調べる時に、非常 に難しいことなんです。ですから、作用・副作用とかも一人ひとりで違うんだというこ とを皆さん是非認識されて、私の場合はこうだということで、日頃から自分の体を知っ てもらっている先生と相談することからスタートしていただければ、より安全にこうい うことが出来るのではないかと思います。  それから梅垣先生が、先ほどヒトにおける情報が大事なんだ、動物実験とかよりはヒ トなんだと仰有ったのは、正に今のそのことなんです。そういうことで、ヒトに対する 情報をどういうふうに集めるかということなんです。徳島県医師会としては、徳島大学 には栄養学部もありますし酵素研究所等もあり、研究機関として非常に優秀なところで すが、ここの先生方と網羅してネットワークを作っています。  徳島治験ネットワークといいますが、これを作っています。そして新しい薬とか健康 食品についても、科学的な根拠に基づいた評価をする体制を作りつつあります。したが いまして、病気の方に対する新しい薬の治験というのが主なところですが、それ以外に 健康食品についてもいろいろと、こういうところで治験を進めて安全性を確かめていく ということが大事なのではないかと思います。  したがって、健康維持のための食品やサプリメントについても、県民の方にも是非参 加いただいて、大塚製薬もあることですので、徳島発の健康食品を発信することが出来 れば良いなと思っています。以上です。   (関澤) 馬原先生、どうも有難うございました。徳島大学には栄養学科があり医師と ネットワークを組んで皆さんに情報を提供する準備をしているということでした。実際 に先ほど梅垣先生のお話にもあった漢方医薬の中で、ダイエットに効くという商品で被 害が出た時にも、素早く対応できたという例をご紹介いただきました。  そういう意味では何か健康食品類似のものを摂っていて、体がおかしいなと思えばす ぐにお医者さんにも相談してくださいということでした。皆さん是非よろしくお願いし ます。  それでは梅垣先生、非常に詳しいお話もしていただいたんですが、何か追加すること がございましたら、是非お願いします。 (梅垣) 今、馬原先生が仰有ったことに関連するんですが、いろんなものを使う時に、 基本的には食品ですから利用は消費者の責任に委ねられているわけです。そして、実は 健康食品を使ってどういう被害が起こるかというのはよく分からないんです。それをど うやって捉えるかということです。  被害が起こった時に、例えば今仰有ったように医療機関に行って説明しても、原因が 何かということが実は特定しにくいという現状があります。私がいろんな所で言ってい るのは、健康食品を利用する時に個人の方がメモを取ってくださいということです。い つ、何を、どれだけ飲んだかというメモです。特に医薬品を飲まれる方はメモを取って ください。メモを書くぐらいであれば1分も掛からないはずですね。  そういうメモを取って、例えば何か異常な現象が出てきて、どうも調子が悪くなった とき、メモを医療関係者のところに持って行けば、すぐに対応してもらえると思います。 消費者の方は自分自身で責任をもって、もっと積極的に、自分がお金を出して使ってい るんだから、どう対応すべきかということをもう少し考えていただければ、何か問題が 起こった時にすぐに発見できる対応がしやすい状況になると思います。   (関澤) たいへん具体的なお話を有難うございます。医師の方も専門家といえども原 因と症状の関係をなかなか簡単には見極めにくいということで、消費者の自己責任とい うことが言われますが、すぐに出来ることとしては、もしご自分の体を良くしたいとい うことで健康食品を摂る時には、何をどれぐらい、いつから摂り始めたかというメモを 取っていただければ、お医者さんも判断がしやすいという適切なご指示だったと思いま す。  それでは最後になりますが、厚生労働省の北島様、よろしくお願い致します。   (北島) 北島です。健康食品に係る制度につきましては、先ほど梅垣先生のご講演の 中で、十分ご説明いただきましたので、私の方からは特に最近問題になっている健康食 品の安全性確保について、これまでどういう取組みをしてきたか、また今後の課題につ いて触れさせていただきたいと思います。  厚生労働省におきましては特定保健用食品、これは個別の許認可を行っている食品で すが、それから栄養機能食品、これは一定のルールに基づいて表示をしていただくもの、 この2つを合わせて保健機能食品と呼んでいます。保健機能食品制度を通じて有効性・ 安全性、それから適切な表示ということを進めているところです。  今日,保健機能食品と呼ばれているもの以外にも、いわゆる健康食品というものがた くさん流通しています。特に最近ではアガリクス製品の中で、1つの製品に動物試験で 発癌促進作用が確認されたものがあり、現在食品安全委員会の方で安全性評価に関する 議論が行われています。また、安全委員会におきましては大豆イソフラボンや,コエン ザイムQ10を含む食品に関する議論も行われています。そういうことで、健康食品の安 全性に関しては、たいへん関心が高くなっているところです。  こうした状況の中で、厚生労働省では平成17年2月に特定保健用食品を中心とした 保健機能食品制度の見直しを行っています。国としては、個別に有効性・安全性を確認 して表示をする制度である特定機能食品の仲間に入っていただく製品をできるだけ増や したいと考えています。そうなれば個別の健康食品の安全性などについても細かく確認 ができるわけですが、実際に健康食品市場の売上げを見ると、業界の調べですが、特定 保健用食品が約6,300億円、いわゆる健康食品はその倍ぐらいの売上げになっており、 特保として個別の許認可を受けて表示をしているものは全体の3分の1に満たない状況 です。そのようなことで、特定保健用食品制度を充実して、なるべく有効性・安全性が 確保できる製品を増やしていくことはもとよりですが、それ以外に企業が自主的に安全 性を確認して販売することをどのように徹底していくか、ということも大きな課題にな っています。  法律的には食品衛生法の第7条があります。一般に食経験のないもの、普段あまり食 べられていないものや通常の方法と違う方法で食べられるもの、例えば錠剤・カプセル 状のものなどに対し、食品衛生上の危害の発生を防止するために必要があると判断され る時には、その食品を販売禁止にする措置が取れることになっています。  また最近、虚偽・誇大な広告が多いわけですが、こういったものを禁止するため、健 康増進法の第32条の2項に基づき虚偽・誇大な広告についての取締りを行っています。 当然、薬事成分が入っているものについては薬事法でも取締りを行っていますし、公正 取引委員会やその他の法律でもこういったものを制限しているところです。  こうした制度に加えまして、平成17年の制度改正の際には、栄養機能食品として表 示をするものに栄養機能と関係ない効能・効果、例えばダイエットというような表示を してはならないということにしまして、紛らわしい表示をできるだけしないよう改正を 行いました。  また食品に関しては、食品衛生法・食品安全基本法という法律で、その食品の安全性 の確保は企業の責任になっています。企業の責任が全うされるために、私どもはガイド ラインを出しています。錠剤・カプセル状等の食品を作る際の適正製造規範(GMP)、作 り方の手順などを適正にしていこうというガイドラインを作ったり、また錠剤・カプセ ル状等食品の原材料の安全性確保のためのガイドラインなども作成し周知を図っていま す。  また、去年からインターネット広告の監視も始めました。虚偽・誇大な広告をチェッ クし、指導書を出して改善をしていただくという事業も行っています。また、何よりも 重要なのが国民の皆様に正しい情報、正確な情報をできるだけ提供するということです のでアドバイザリースタッフ、これは団体によって名前が違うんですが、健康食品のも つ成分の機能やその活用方法を情報提供できるような専門家を育てています。アドバイ ザリースタッフがドラッグストアや健康食品売り場などに少しずつ増えてきています。  また先ほど来、梅垣先生からご説明をいただきましたように、国立健康・栄養研究所 のホームページで健康食品の安全性・有効性情報を掲載するなど、いろいろな情報提供 をしてきたわけですが、そうは言っても相変わらず虚偽・誇大な広告をする健康食品は 減りません。どんどん新しい食品素材が出てきてしまう。そういうものについて、今後 どうしていくのかという課題があります。  いわゆる健康食品と呼ばれているものの安全性確保については、企業側に対しては健 康被害情報をきちんと収集して対応していただくということについて、ご相談していき たいと思いますし、また、GMP、製造過程での適切な手順のガイドラインを導入していた だきたいということです。  それからユーザー側、消費者の皆様には自分の健康状態や食生活を踏まえて、本当に 必要で安全なものを選んでいただきたいと思います。そういった選択を助けるために、 私どもはもっと情報を出していかなければいけないと考えています。  今日は是非こうした課題、特に健康食品の安全性確保に向けた情報提供などで、皆様 方からご意見を伺って、今後の施策に反映したいと考えています。以上です。   (関澤) 北島様、どうも有難うございました。危害防止のための販売停止などの規制 的な手法や表示の規制、さらにアドバイザリースタッフということで、薬局などで実際 に身近にご相談できるような方も養成しつつあるということです。それから、情報提供 についてはインターネット広告のチェックとか、ホームページでの情報提供なども心掛 けて今進めておられるということだったと思います。  北島様には事前にご意見を頂いている部分がありますので、それについてご説明を頂 こうと思います。まず第1点ですが、食品の事業者さんからの質問として、マスメディ ア等での無責任な健康イメージ先行の報道があって健康被害も発生している。例えば白 インゲン豆の話などですが、そういうことで見出し先行の報道や視聴率主義のメディア に対して、行政として一定の規制は必要ではないでしょうか?というご質問です。  それから2点目ですが、消費者の方からは健康食品は長く続けないと効果がないとい うことで、長期に摂取したいと思うんですが,例えば後で問題が発覚したらということ で,自己判断では不安です。もっと気軽に相談できる機関はないでしょうか?という2 点のご質問を頂いています。これについてお答えいただければと思います。よろしくお 願いします。   (北島) 1点目のマスメディアの問題ですが、食品として販売するものにつきまして は、表示の許可においていろいろな規制をしております。特に効能・効果に関する部分 につきましては健康増進法、それから病気が治るといった表示につきましては薬事法で 制限をしています。そういった適切な表示を通じて誤解がないようにしていくことが基 本だと考えています。  そういう中でもマスメディアの影響は大きいということで、健康増進法の虚偽・誇大 広告の禁止について、定期的にテレビ局の方々を集めて講義を行っています。去年から 今年にかけて、主立ったテレビ局の皆様方にはこういった情報を提供し、虚偽・誇大に ならないように申し入れており、最近だいぶご理解が進んできていると思いますが、一 方、依然としてテレビの報道による問題が少なくならないということも事実ですので、 今後とも関係者の理解を求めるよう取り組んでいきたいと思っています。  2つ目の長期摂取、それから相談できる機関についてですが、先ほど来、皆様方から もお話がありますように、食生活はバランスのとれた食事からが基本であるということ をまずご理解いただいた上で、各自の健康状態や食生活に併せて本当に必要なものを摂 っていただくということを、自らお考えいただくことが重要だと思います。  ただ、それでも不足したものを補いたい、必要なものを摂りたいという場合に、先ほ どご紹介申し上げましたように国立健康・栄養研究所が認定している栄養情報担当者や、 財団法人日本健康栄養食品協会が認定している食品保健指導士、それから日本臨床栄養 協会が認定しているサプリメントアドバイザー、いろいろな名前がありますが、そうい うアドバイザリースタッフがいろいろなところで相談に応じています。  こういった専門家の存在をもっとPRする必要があると考えていますが、身近にこうい う方を見付けていただいて、是非相談をしていただければと思います。また、国立健康 ・栄養研究所のホームページは一般用と専門家用に分けて、健康食品の素材に関する分 かり易い情報が提供されていますので、一度ご覧いただきたいと思います。以上です。   (関澤) どうも有難うございました。今、北島様からご紹介がありましたように、梅 垣さんご所属の国立健康・栄養研究所のホームページをお尋ねいただきますと、一般向 け用と専門家用に分かれていて、自分の知りたいことが調べられるようになっていると いうことでした。  それでは、時間が限られている中でそれぞれのパネリストの方から、いろいろご意見 を頂いたのですが、今日は国立健康・栄養研究所の梅垣様、それから厚生労働省の新開 発食品保健対策室長の北島様もお出でですので、この場を借りて更に詳しいご質問等が ございましたら、パネリストの方々から是非よろしくお願いします。どなたからでも結 構です。   (馬原) ご質問させていただきますが、梅垣先生にお願いします。資料の9頁に、「誰 が、何を、どれだけの量と期間利用するかが重要。日常摂取している食材であっても、 その使用部位、摂取量、摂取対象者を考慮する必要がある」とお書きになっています。 この中に今まで我々が知っている一般的に食べるものの中で“食べ合わせ”というのが あると思います。  ですから、個々のものについてのデータはあるんですが、それが“相互作用”という こともこの中に含まれているのかどうか、もし含まれていなければ今後そういうところ にも少し目を向けていただければと思いますが、如何でしょうか。   (梅垣) 確かに相互作用は非常に注目すべきことで、先ほど近藤様が言われたように、 医薬品と食品との相互作用ですね。ここで一番問題なのは、商品の品質と規格です。例 えばビタミンとミネラルが医薬品と相互作用する。ではどれだけの量のビタミンを摂っ たか、どれだけの期間を摂ったか、誰が摂ったか、ここが明確にならないと、相互作用 の問題は正確には分からないんです。  そういう意味では、今ご質問を受けましたがいろんな食品素材が重要です。例えば使 用部位と私が書いてあるのは植物の場合なんです。植物の場合は例えばセンナという漢 下剤がある。それはお茶になっている。でも実は薬効がない部位だけが食品として許可 されていて、薬効がある成分の部位は専ら医薬品になっています。そういう部位の違い もありますから、細かいところをできるだけ分かり易く伝えるような方向で対応してい きたいと思っています。  でも、一番重要なのは食品は規格・品質が明確になっていないと、何も分からないで すね。過剰に私達は反応してしまうこともあります。過小評価、過大評価が起こってし まう。消費者の方も品質・規格が重要だということを認識していただきたいと思います し、製造する側の方も品質・規格のしっかりしたものを造っていただく。そうすれば相 互作用が起こるのか起こらないのかが、ある程度推定できるようになる状況が出来てく ると思います。   (関澤) 有難うございます。例えばビタミンでも,ビタミンKを摂ると血液凝固作用 を抑えてしまうという話もあります。お薬によってはグレープフルーツジュースを飲む と,その薬の副作用が増強されたりするということも,よくご存知の方も多いと思いま す。そのように,お医者様からお薬を頂く時に,特に高齢者の方はいろんなお薬を摂る 場合が多いと思いますので,お医者様や薬局によく相談されるということも1つかと思 います。  他に例えば情報について中田さんは先ほどは分かりにくいとかいうご質問があったと 思いますが。   (中田) やはり実際に売り場で商品を取って選ぶ時に、似たようなものがたくさん置 いてあって、特保とかマークが付いているものは確かに、ちゃんと保証されているとい うことで安心できるんですが、マーク以外に実際に原材料とかを見ると、成分に殆ど差 異がない。  本当はあるのかもしれないんですが、何からそれが出来ているのかとか、実際に手に 取った時に分かりにくくて、特保とか名前が付いていると若干値段が高くなったりして いて、それだと同じようなことが書いてあるし、ちょっと安い方を買ってしまおうかと いう心理もはたらくと思いますので、もう少しはっきり違いが分かるような表示などを してほしいと思います。   (関澤) このご質問に対しては、北島様よろしいでしょうか。   (北島) たいへん難しいご指摘なんですが、基本的に食品というのは効能・効果を謳 ってはいけないということになっています。ただ一部、特定保健用食品のように有効性 と安全性のデータを出したものについては、それに応じた表示の中で保健機能などを謳 えるという仕組みが出来ています。  また、栄養機能食品についても国のルールに基づいて表示をする場合には、一部機能 が謳えるという仕組みになっていますが、それ以外の一般の食品については原則として は、食品というのは効能・効果、保健の目的みたいなものを謳えないということになっ ているので、なかなか選ぶのが難しくなってしまうというご指摘だと思います。  ただ、その商品一つひとつについて確認が出来ない以上,特別な表示を許可すること は難しいので、できるだけ特定保健用食品に申請をしていただきやすいようにして、た くさんの製品が有効性、安全性の試験を行った上で表示をするという方向にもっていき たいと思っているところです。最近問題になりますのは、例えばある製品で“国内最高 濃度”と謳って、どんどん含まれている成分の量を上げていく競争のようなものが生ま れているように思います。  ただ、そういう成分というのはある一定の量を摂れば有効な場合があると思います。 やたらに濃度を上げたからといって、リスクは高まるかもしれませんが、効果が高まる というものではありませんので、表示をご覧いただく際にそういう成分の量などで選択 していただくというのは、やはり問題だと思います。また、メーカー側もそういうこと で競争するのは問題だと思います。  確かに、こういった表示が分かりにくいというご意見もありますので、企業において 素材の安全性を確認できているものや、製品が一定の安全性試験を行っているようなも のに関して、安全マークのような表示が出来ないかということについて、関係企業や業 界団体とお話し合いをさせていただいているところです。すぐにというわけにはいきま せんが、分かり易い表示について企業や業界団体のご意見も聞きながら、考えていきた いと思っています。   (関澤) どうも有難うございます。厚生労働省としてもメーカーさんと相談して、も っと分かり易い表示ということを今検討しつつあるということです。先ほどのお話にも ありましたが、できればインターネットから個人輸入ということではなくて、アドバイ ザリーのスタッフも養成されているということなので、薬局などで相談しながら、年齢 とかいろんな身体の状況もあると思いますので、これが自分にとって必要なのかどうか ということも相談されながら購入するということがよろしいかと思います。  あと1、2、もしパネリストの方でご質問があれば,今日は梅垣先生と北島さんも居 られますのでお願いします。   (加渡) 質問というよりも要望をさせてください。健康食品の選択は、最終的には消 費者が自己責任・自己選択であるという点につきましては、まったくその通りだと思い ます。しかしながら、自己選択をし自己責任を取るためには、それだけの判断材料がな ければ、消費者は自己責任の取りようがないわけです。  情報の発信方法にしましても、「こういうところからホームページで発信しています よ」「こんなダウンロードもできますよ」というように、今はインターネットを使った 方法がとても増えています。けれども、その方法によって情報を入手できるのは、イン ターネットを使いこなせる人に限られています。今日この会場にいらっしゃる方の中で、 パソコンが自由に使えて、PDFファイルがすぐにダウンロードできるような環境で暮ら しておられる方が、果たしてどれだけいらっしゃるだろうかと考えます。  確かに、消費者に向けられた情報はたくさんあります。更に消費者としましては、そ れらをできるだけ平易に分かりやすい形で、尚且つ正確に頂きたいと希望しております。 ですから、いろいろな意味でIT化、オンラインによる情報というのは有難いことではあ りますが、情報があまりそれらに偏りますと、実際に現場の者には届いて来ない場合も 出てまいります。その点をご考慮いただきたいと思います。  また、食に関する安全・安心は、事業者と行政と消費者、三者が協力して目指すべき ものですので、三者が一緒に出来る勉強会、啓発の場、イベントなどをどんどん増やし ていただければと思います。消費者にとりましても、難しいことではありますが、勉強 できる良い機会になりますので、よろしくお願いします。   (関澤) 加渡様、どうも有難うございました。私が紹介するのもどうかなと思います が、今日はお手元にたくさん資料があります。国の厚生労働省の北島さんのところに皆 さんが直接電話をして教えてくださいというのも、なかなかできにくいかと思います。 徳島県としても今日お配りいただいている資料もいくつかあるようですが、例えば「食 の安全・安心Q&A」というのがお手元にあると思います。この中にも9頁に「健康食 品に関するQ&A」というのがあります。県としても健康食品について、今お話しいた だいたようなことをもう少し分かり易く説明するようなものも作っておられます。  この「食の安全・安心Q&A」というのは、今日はダイジェスト版しかないのですが、 もう少し詳しくいろいろ質問事項と回答の例をお示ししたものも、徳島県と私どもとく しま食の安全・安心県民会議とが協力して作らせていただきました。これは既に5千部 頒布していて、次の5千部も増刷しておられるということですので、県の方にお尋ねい ただけると増刷分があると思いますので、入手できると思います。  さらに今日のアンケートですが、厚生労働省の方でご用意されたアンケートと徳島県 の方でご用意されたアンケートが2種類あると思います。その中に県の方では勉強会に ついて、どんなテーマで勉強会があると良いですか?という質問もあったように思いま す。そういったところで皆さんがこういったことで県でも勉強会を開いていただけない かということで要望を出していただきたいと思います。  緑色の方で「徳島県」と入ったアンケートに、問4.県では食の安全・安心に関する 正しい知識の普及を図るため、学習会・研修会を予定していますのでご希望を、どうい うテーマでということや何日間でやれば良いかということをお尋ねになっています。こ ういうものにご希望を書いていただければと思います。もう1つは、厚生労働省のアン ケートがあります。そういうことで、もう少し身近なところでも対応していくというこ とを考えておられると思います。  あとの時間ですが、こちらの演壇ばかりでやりとりしていてもと思いますので、せっ かく今日時間を割いてお集まりの皆さんの中から、直接ご質問を頂きましたら、今日い ろいろなお立場の方がパネリストとしてご出席いただいておりますので、できるかぎり 質問に答えていただけると思います。挙手をして、できましたらご所属・お名前を仰有 っていただいて、多くの方に質問していただきたいと思いますので、お一人1分半程度 でご質問、あるいはご要望を言っていただければと思います。どうぞ遠慮なく、お願い します。   (徳島生協 柏木) 数少ない男性ということで、生活協同組合徳島生協の柏木といい ます。よろしくお願いします。  私はCS部門に関わっていますので、いろいろ情報が入ってくるんですが、私が所属し ている生協では健康食品について、ある程度の何らかの生理的機能が期待されている商 品であると定義づけています。その一方で、子供も含めた健常な人が病気予防のために 摂っても、何らかの危害を及ぼしてはいけないとも謳っています。これは裏返すと効果 があってはいけないということです。  こういった健康食品についての問題はすごく多いと思いますが、すでに薬品以外は食 品であるということ自体に無理があるのではないかと思います。特に錠剤系のものにつ いては何らかの別途分類が必要なのではないかと考えています。  いろいろ質問というか要望があるんですが、表示について加渡先生が先ほど仰有いま したが、正しい情報が欲しいということでした。今のメーカーもしくはマスコミから流 れる情報というのは、誤りではないんですが正しくないとか、非常に部分的な情報が来 ていて断片的である。  もしくは定性だけ言われて定量がない。こういう効果があります、でもそれはどれぐ らい食べれば良いんですか、みたいなことです。コラーゲンを食べると肌がツルツルに なる、コラーゲンは良いですよ、ではコラーゲンを食べましょうというのはおかしいで すよね。口から食べたものがそのまま肌にいくわけではない。  そういうことをもう少し詳しくきちんと行政として、デメリット表示といっても良い と思いますが、それをしていただかないとなかなか自己責任、消費者責任と言われても 非常に辛いということです。   (関澤) 特にお答えいただく必要はないですか?(「要望です」)それから申し忘れ ましたが、ご質問の1分半経ったところで1鈴が鳴って、2分経つと2鈴が鳴るように なっていますのでご了承ください。   (消費者協会) 歳を取っていますが、なるべくこんな会に出たいと思っておりまして、 特に今日の会は“リスク”ということが書いてあったので、出席させていただきました。 消費者協会の者です。  今仰有ったように、いわゆる健康食品をお売りになる方の教育をもっとしていただか なければ、ただ肌がどうだとか、こうですよああですよと仰有るのが、私達と変わらな いですね。なぜか分からないけれど体に良いんですよ程度のことなので、私は今まで一 度も健康食品を買ったこともありません。買ったことがないどころか、あげますと言っ て置いて帰っても私は食べたことがないんです。  ですから私にすると健康食品をどうこう言う権利はないのかもわかりませんが、それ ほど健康食品がなくても暮らせます。一度も栄養不良ですよと言われたこともありませ んので、私は健康食品なんて要らないものではないかという感じがします。  加渡先生にお聞きするんですが、今1万何千円とかを使っているということですが、 そういうふうに食べない人があるから余計にそれが高くなるのかもしれませんから、い わゆる食べない人もあるという調査はありませんか? 私は自分の偏見で食べていない のではないかと思うわけなんです。  それからもう1つ、サフランのお話も出ていましたが、サフランのように多量に食べ たらいけませんよという食品は他にはないんでしょうか。本当にそういうデメリットの ことを言ってくれる人には今まで一人もお目に掛かりませんでした。ただ「いいよ,い いよ」ばかりなので、サフランは確かにお薯さんとかに入れると非常に色が良くなりま すし、ですから何も悪い商品ではないと思って、もっと良い色にならないかなと思って たくさん入れる時があったりするんです。  その点が私達は消費者オンチというのかなぁ…〈2鈴〉、どうぞよろしくお願いしま す。   (関澤) これについては梅垣さんにお答えいただいてよろしいですか。多すぎて悪い という話ですが。   (梅垣) 多すぎて悪いというものは一杯あると思います。何でも程ほどということが 必要であって、多すぎて悪いというのはいろいろあると思います。先ほど摂取量と生体 影響の関係と言いましたが、例えば一杯食べ過ぎると普通の食べ物でも下痢をしたりし ますね。それはものすごく理解しやすい例だと思います。  食品が安全だというのは、特定の成分を過剰に摂取しないから安全なのであって、そ れを超えて常識的なところを超えてしまうと、全てのものだと思いますが有害な影響が 出ると考えていいと思います。  ですから基本は、やはりちゃんとした食材、形・味・香りがあるものから摂取する。 そうすると嗜好性が働いてきますから、過剰摂取する心配はないし、そんなにビクビク することはないと思います。 (加渡) 申し訳ありません。用意しておりましたのが経済的な家計調査でしたので、 そういう健康食品の経験を問うような調査結果を持っておりません。何らかの形でまた お調べしたいと思います。   (関澤) 梅垣先生から的確にお答えをいただいたのですが、例えば私も大豆のイソフ ラボンについて調べたことがあります。大豆製品は少し前は日本人が1日平均60グラム 食べていたのです。今は50グラムぐらいに減ってきています。この大豆製品を食べるこ とによって体に良いという証拠はいろんな文献があります。  ところが、この大豆製品の中にあるイソフラボンというものが特に良いということで、 今製品化されて売り出されていますが、食品安全委員会の方では普通に食品から摂る以 上には、追加としては30ミリグラム以上は摂らないようにしましょうという注意を出し ています。これはそういった別な文献があるからです。  逆に考えてみると、大豆製品を1日平均60グラム食べているとしても、これをまた 300グラム、400グラムと食べる人は居ないですね。1日に日本人は平均1.5キロを朝昼 晩で食べていると言われていますが、その半分とか4分の1を大豆製品ばかりというこ とはなかなか出来ないと思います。  そのように、体に良い伝統的な和食の1つである大豆製品についても、やはり食品か ら摂っていくならば、そんなに食べ過ぎるということは起こり得ない。それをサプリメ ントの形で摂ってしまうということ自体、多量に摂ってしまうということがリスクなの ではないかと思います。ご参考にしていただければと思います。他にございますか?   (万野) 個人参加の万野と申します。梅垣先生にお尋ねしたいんですが、普通に天然 物として存在している食品ではなくて、特保として許認可を受けているものの中に化学 薬品があると思います。そういうものについてのバイオアベイラビリティとか吸収率、 生体利用率、それから生体内分布とか、そういうことについての調べがあって許認可さ れているかどうかを伺いたいと思います。  それから、糖尿病などに対して効きますという食品が特保とかにあると思いますが、 例えば耐糖能が発生してからの栄養の摂取の仕方と発生前の摂取の仕方とでは、栄養指 導としても原田先生なんかはよくご存知だと思いますが、違うと思います。そういうよ うなことも含まれての特保の許認可になっていますでしょうか、お伺いしたいんですが。   (北島) 私どもで特保の許認可をしておりますので,回答させていただきます。特保 に関しては、有効性に関しては無作為比較試験で危険率5%以下で、有意差が出ないと 認めておりません。また、これに関してはあくまでも食品ですので、病気の方を対象に してはいけないことになっています。  ですから食品である以上、例えば血糖値が気になる方へという場合、血糖値が正常上 限又は境界域ぐらいの方を対象にしています。実際に病院で治療を受けている方につい て対象としたものではありませんので、糖尿病の方に関する効果は見ていません。  病気の方を対象にして試験をしますと薬事法違反になってしまいますので、そういう 試験も行われていない状況です。そういった食品でも、病気の方を対象にする場合には、 医薬品としての申請をしていただくようにお願いしています。  もう1つ、化学物質を使ったものの動態などにつきましては、これは安全性の部分に 入ると思いますが、必要に応じて試験を追加しています。基本的には長期摂取試験とし て3カ月ぐらいの継続摂取、それから一日摂取目安量の3倍量ぐらいを1カ月ほど食べ ていただく過剰摂取試験などで何か問題がないかというような試験を行っていただいて おります。  ものによって、例えば文献上何かしら生体影響の懸念があるものについては、その疑 いを晴らすために動物試験なども実施していただいております。一番重いものでは添加 物並みの試験を求めているところです。ただ体内動態や作用機序に関しては、必要な文 献を添付していただくこととしており体内動態までの試験を求めているものは殆どない と思います。   (関澤) どうも有難うございました。よろしいでしょうか?   (万野) カルシウム拮抗体とかACE阻害剤を飲まれている方で、アミールを飲んでACE 阻害剤の副作用が出てしまったという方も現実にいらっしゃいますし、糖尿病の方が糖 尿病を謳うような特保を使ったりすることが結構あるようなので、そのへんのところに ついても広報いただいた方が有難いかなと思いますので、よろしくお願い致します。   (関澤) 健康食品の摂り方は、先ほど梅垣先生のお話でもその人によって違うという ことを強調されておられましたが、今の方のご質問のように自分の健康状態とそれを摂 ることによってどういう良い面・悪い面があるのかということについて、よく専門のお 医者さんとか薬局とご相談いただくことが、どうしても大事かと思います。  他にございませんか? せっかくの機会ですので、別にそれほど専門的なご質問でな くても構いませんので、ご自分の経験からでも結構です。今日は2つのアンケートがあ るそうですので、よろしくお願いします。司会の方が仰有ったように、お帰りの時に箱 に入れてください。  若い方もご出席のようですが、如何ですか何かご質問はありませんか? それではパ ネリストの方でも結構ですが、例えば近藤さん、何かメーカーとしてはどうですか。い ろいろ関連のご質問・ご要望もあったようですが。   (近藤) メーカーとしては、まず皆様方に有益な情報を作るということが1つ使命と してあります。北島先生にお伺いしたいんですが、先ほどガイドラインで製造に関して はGMPということで指針が出たと思います。いわゆる食品のヒト評価試験のやり方につ いて質問ですが、これは我々医薬品メーカーですとGCPというやり方があって、その指 針に沿えば良いんですが、たぶんこれはなかなか答えは出ないと思います。  安全性を確保するためには、やはりそれなりの試験を行わなければ出てこない。その 試験はどうやれば良いのかということが各社まちまちであれば、結局そのデータとして の信頼性が落ちてくるのかなと思います。  特保の場合ですと効力の試験はだいたい3カ月を目途にということがあります。安全 性をやる時には、例えばGCPですと動物試験をこうしなさいということがあるんですが、 食品の安全性確保のために何か国の方から指針を出していただければ、逆に我々として はやり易いということが1つあります。  あとメーカーとしては、私はすごく良い制度だと思うんですが栄養情報担当者、国立 健康・栄養研究所が行っているものとか、栄養を発信する専門の情報発信者を各団体が 設定をして行っています。弊社も今年から何名か受験して、この間も試験があったと思 いますが、少しずつ専門の栄養に関しての発信者を社内で認定して発信していくという 方向になっています。  ですから今お伺いしたいのは、安全性を確保するためのヒトでの試験の仕方のマニュ アル化というか、そういうことはどういうふうに考えているんでしょうか。   (北島) 特定保健用食品に関しては、通知を出させていただきまして、「疫学研究に 関する倫理指針」に沿うような形で試験を行ってほしいということを申し上げています。 ですから、特保に関してはルールが決まっておりますが、それ以外のいわゆる健康食品 の安全性をどう試験で調べるかというところは難しい問題です。  例えばアガリクスに関しては、1つの製品の動物試験で発癌促進作用が見られたとい う結果もありますし、コエンザイムQ10については食品安全委員会の方で、体で作られ る物質なので長期間大量に摂った時にリバウンドが起こらないのかなどのご指摘があり ます。  ですから、製品によって調べるべき問題点が違うので、一律にこの試験をやりなさい というふうに決めるのはとても難しいです。ただ、いわゆる健康食品については、少な くとも素材ごとぐらいで安全性の確認試験が出来ないかということなどについて、業界 団体と相談しています。業界団体の中で必要な試験等、安全性確保のためのルールを今 検討していただいているところです。  こういったことを叩き台にして、国としても特保以外の企業の責任で売られているい わゆる健康食品の安全性をどういうルールで担保するかということを、検討することと していますので、本日ご参集の皆様方のご意見も伺いながら、考えていきたいと思いま す。   (関澤) 有難うございました。まだ少し時間がありますので会場の方から是非、せっ かくお出でいただいたので、ご質問等がございましたらお願いします。   (一般参加者) 質問ではなくて要望なんですが、北島さんにお願いします。先ほどマ スコミの方と一緒に懇談をしていると仰有っていましたが、マスコミはテレビの中で今 センセーショナルな感じでいろいろなことを、何が効くとかいうふうにすごく取り上げ て、それをクイズ形式で面白おかしくしたりしています。  こういうふうなことが非常に“良い”ところばかりを取り上げて、肝心の“リスク” を取り上げてくれないので、必ずメリットとデメリットは何事でも同じだと思います。 その良いところの部分を取り上げてしまうので、今の情報が確かに新しいと感じてしま う消費者にとっては、すぐそれに飛びついて行ってしまう。  例えば寒天なんですが、寒天が市場に無くなるぐらい飛びついて、今は寒天の食品が ダイエット食品として出てきています。また寒天そのものの単価も上がってきているの で、今まで何気なく使っていた者にとっては非常に大変だったりするんです。これは今 まで当たり前のことだったものが、そういうふうになってしまったわけです。  寒天だとどうってことはないんですが、それ以外に新しいと思われていることがマス コミで本当に取り上げられて、これをしなければいけない!ような感覚に襲われてしま うんです。ということで、もっと強く言ってください。   (北島) 健康増進法を改正しまして、先ほどご紹介した虚偽・誇大広告の禁止という のを入れたんですが、これは例えば製造メーカーやテレビコマーシャルだけではなくて、 例えばテレビ番組で虚偽・誇大であることを分かっていて放送した場合には、テレビ関 係者も処分できる仕組みになっています。  こういった制度について関係者にお知らせしながら、少しずつですが、こういった広 告・宣伝や、こうした番組を作ると健康増進法違反になりますよということをお知らせ しているところです。そうした中で白インゲン豆の事件がありましたので、被害を受け た皆さんは本当にお気の毒なんですが、あの騒ぎを教訓に少しはテレビも慎重になるの ではないかとは思いますが,私どもも一層力を入れて、強く申し入れていきたいと思っ ています。   (関澤) よろしいでしょうか? もう少し強く誇大広告を規制すればどうかというご 要望だったと思います。例えば、もしお差し支えなければですが、健康食品を摂って何 か被害にあったというご経験をお持ちで、何かコメント・ご要望のある方は居られませ んか? あるいは高いものを買ったけど効果がなかったとか。   (一般参加者) 私ではないんですが、知り合いがプロポリスとアガリクスを飲んで、 心肥大になったという人がいます。水が溜まって下半身がかなり腫れ上がっていました。 そういう方がいらっしゃいました。   (関澤) もちろんここにお集まりの方は健康食品や健康に強い関心をお持ちの方が多 いと思います。サプリメントをこれから考えてみようかなと思われる方で、今日の梅垣 先生のお話を聞いて何か分かりにくかったとか、あるいはここのところをもう少し詳し くお話しいただけないかということがございましたらどうぞ。  前の方に若い方が何人かお集まりですが、もしご質問があれば食生活についてもダイ エットとか、いろいろ関心はおありだと思います。後ろの方でもどうぞ遠慮なく手を挙 げてください。  今日は資料の方で私も一部ご説明させていただきましたが、せっかく資料をご用意い ただいているので、県の方また厚生労働省の方で配布していただいた資料について、少 し簡単にご紹介いただければと思いますが、如何でしょうか。   (徳島県 竹内) 徳島県の食の安全・安心企画員の竹内です。今日はいろんな資料が 入っています。最初に司会の方から説明したような内容になっています。  あと最後に、コーディネーターの関澤先生からもご紹介していただきましたが、徳島 県の方で「食の安全・安心Q&A」を作っております。これを少し持ってきていますの で、帰りに必要な方は受付に言っていただきますと、その場でお渡しできるようになっ ていますので、よろしくお願い申し上げます。   (関澤) 今ご紹介があったように、お手元にあるのはダイジェスト版で10〜20頁程度 ですが、もう少し詳しい内容のものが用意されているということなので、ご希望の方は 受付で言っていただければと思います。  皆様,今日は割と静かな方がお集まりのようですが、せっかくですのでご質問等あり ましたら是非、遠慮なく言っていただければと思います。   (馬原) 食の安全・安心県民会議に参加させていただいて、やはりいろんな議論の中 で生産者の方が出て来られる、消費者の方が出て来られる。そしてそれを我々第三者的 な者が聞くというような会合の構成なんですが、あるいは行政の方が入っておられて、 その中で私は全く知りませんでしたが、ここに書いてありますように農薬の問題なども あります。  こういうものに対して、如何に生産者の方々が苦労されているかということがよく分 かりました。そして、隣の畑に農薬が飛んだために全部だめになってしまうとか、それ から雨の降り方が悪くて日ごろだと洗い流されるのに流されないで残ってしまったとい うこともある。生産者の方はずいぶん苦労されています。  一方、消費者の方は無農薬・無農薬と盛んに言うわけですが、では無農薬というのは 何なんだ、無農薬であれば当然虫もいっぱい来るだろう。では消費者の方は少しぐらい 格好が悪くても、虫が付いていても虫も一緒に食べるぐらいの勢いで、生産者の方のこ とも考えていただければと良いなということなんです。  ですから、やはり消費者の方と生産者の方が1つのところに集まって、リスクコミュ ニケーションでこういう会議を行うのは、とても意義があることだと思いました。その 結晶としてこういうものが出来ていますので、是非それをご覧になって「ああそうか、 消費期限と賞味期限は違うんだな、消費期限って何なんだ」と、私どもは本当に知らな かったんですが、意外とそういうことが生産者にとっては非常に重要なことだったりし ますので、そこらへんについて関澤先生が今仰有っていましたが、内容について少しお 話しさせていただきました。   (関澤) 馬原先生,どうも有難うございました。  それでは、まだまだご質問等もおありかと思いますが、要約というわけではありませ んが、自分の健康についてはそれぞれ最終的には自己責任ということではありますが、 十人十色と申します。  お歳も違うし、またお子様・高齢者,男性・女性,病弱、病気を抱えておられる方、 健康な方、それぞれ自分の体調に合わせた良い食品というものを、できるかぎり食事を 通して自分の健康を保つし、また適度な運動と適度な休息をすることが一番大事だとい うことを梅垣先生からお話ししていただいたと思います。  それを補うものとして、どうしても足りない部分はそれぞれに合ったサプリメント・ 健康食品の摂取ということも考えてくださいということだったと思います。またこれを 参考に、ひとつの機会でしたが馬原先生が仰有ったように、生産者の方、消費者の方、 行政の方、専門家の方が一緒に話し合える機会を県の方でも用意していただき、また厚 生労働省や食品安全委員会でも努力をしていただければと思います。  それでは,とりあえずこのパネルディスカッションは、ここで1つの区切りとさせて いただきます。パネリストの皆様、お忙しいところを有難うございました。   (司会) 関澤先生をはじめパネリストの皆様、どうも有難うございました。これをも ちましてパネルディスカッションと意見交換会を終了させていただきます。また、以上 をもちまして本日の「食品に関するリスクコミュニケーション」を閉会させていただき ます。  なお、お配りしておりますアンケートですが、筆記用具等をお持ちでない方は入口の 受付にご用意しておりますので、是非ともアンケートにご協力をお願い致します。  それと先ほどお話がありましたが、「食の安全・安心Q&A」の詳細を示した全部で 100頁ぐらいあるものを入口の所にご用意しております。これは5千部印刷しまして、 それがなくなりましたので数日前に5千部新たに増刷したものです。  これにつきましては、今日いろいろパンフレット等をご用意しておりますが、国・県 ・各部局でそれぞれパンフレットを作っておりますが、これ1冊で足りるようにという 思いで県民会議の委員の皆様の監修の下に作っています。  ですから、これを一通り読んでいただきますと、オールマイティではございませんが、 だいたい皆様方が知りたいことがまとめてあると思います。是非ともこの機会にお持ち いただきまして、また読んでいただければと考えております。  それとアンケートは、今後県・国の方で行政の施策の参考にさせていただきたいと考 えておりますので、是非ともご回答いただきますように、どうぞよろしくお願い致しま す。本日はご参加いただきまして誠に有難うございました。   (関澤) 皆様、長い時間ご静聴・ご参加有難うございました。また、今日ご準備いた だいた県の方、また食品安全委員会、厚生労働省にも感謝させていただきます。有難う ございました。