06/05/12 平成18年5月12日(宮城県仙台市)食品に関するリスクコミュニケ−ショ ン(残留農薬等のポジティブリスト制度の導入に際しての生産から消費までの 食品の安全確保の取組みに関する意見交換会) 食品に関するリスクコミュニケーション 残留農薬等のポジティブリスト制度の導入に際しての生産 から消費までの食品の安全確保の取組みに関する意見交換 会(仙台会場:5月12日)議事録              1 開       会 ◎司会(吉田厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐)  本日は、皆様、御多忙の中、御参加をいただきまして、まことにありがとう ございます。ただいまから、食品に関するリスクコミュニケーションを開催し たいと思います。  私は、本日、司会を務めさせていただきます、厚生労働省食品安全部企画情 報課の吉田佳督と申します。よろしくお願いします。  ポジティブリスト制度につきましては、昨年度、制度の内容に関しまして、 それを知っていただくことを目的といたしまして意見交換会等を全国で行っ てまいりました。本日の意見交換会は、生産から消費までのフードチェーンの 各段階の方々から、残留農薬等のポジティブリスト制度に関する取り組みの紹 介をいただき、それを踏まえて、関係者間で問題意識を共有し、相互理解を図 っていただくことを目的として開催するものです。消費者、生産者、事業者な どさまざまな立場の方がお互いに情報を共有し、意見を出し合いながらともに 考えることにより社会的な合意形成の道を探ることを目的としておりますの で、御理解をお願いいたします。  それでは、初めに配布資料の確認をさせていただきます。  配布資料として、まず議事次第がございます。それから、資料1としまして 「残留農薬等のポジティブリスト制度の導入について」、資料2としまして「食 品中に残留する農薬等の基準に係るポジティブリスト制度の導入について」、 資料3といたしまして「『食品中に残留する農薬等のポジティブリスト制度』 に関する留意事項」、それから資料4としまして「残留農薬等のポジティブリ スト制度導入に際して」、資料5といたしまして「残留農薬のポジティブリス ト制度導入で食の安全はどう確保されるのか 具体的でよくわかる情報の提 供を望む」、資料6といたしまして「ポジティブリスト制度導入に伴う対応」、 資料7といたしまして「生協のポジティブリスト制度導入に関する取組み」。 それから、参考資料といたしまして、食品に残留する農薬等に関する新しい制 度(ポジティブリスト制度)について、「残留農薬等のポジティブリスト制度 導入における食品安全委員会の役割」でございます。  不足の資料がございますでしょうか。挙手をいただきましたら担当の者がお 伺いいたします。  また、アンケート用紙を同封しております。こちらのものは、今後の意見交 換会をよりよいものにするために皆様の御意見を伺うものでございます。御協 力をよろしくお願いいたします。記入をいただきまして、アンケートは意見交 換会終了後に出口付近でお受けいたしますので、よろしくお願いいたします。 アンケート、御協力のほどお願いいたします。  続きまして、本日の議事進行を紹介させていただきます。  議事次第をごらんいただきたいのですが、まず残留農薬等のポジティブリス ト制度の導入について厚生労働省及び農林水産省から簡単に概要を説明し、そ の後、生産から消費までの各段階の関係者の方からポジティブリスト制度に関 する取り組み等の御紹介をいただきます。各関係者からの説明は全体で1時間 程度を予定しております。  その後、10分間程度の休憩をとらせていただきます。その後にパネルディ スカッション、意見交換を行い、本日は午後5時の終了を予定しております。 よろしくお願いいたします。              2 講       演 ◎司会  では、まず残留農薬等のポジティブリスト制度の導入について、厚生労働省 食品安全部基準審査課、伏見課長、農林水産省消費・安全局農産安全管理課、 小畠課長補佐から、続けて御説明をいたします。  それでは、よろしくお願いします。       ○残留農薬等のポジティブリスト制度の導入について ◎伏見厚生労働省食品安全部基準審査課長  それでは、よろしくお願いいたします。私は、厚生労働省の医薬食品局の食 品安全部基準審査課の伏見と申します。  私の方からは、約10分程度でございますけれども、「ポジティブリスト制度 の導入について」という資料1がございますけれども、それに従いまして簡単 に御説明させていただきたいと思います。  資料1の前半の、スライドでいいますと6枚を使って御説明させていただき ます。あと、詳しい話はその資料の後ろの方にもございますし、あるいは、本 日、パンフレットを資料の中に入れさせていただいておりますので、そういっ たものもお目通しいただければと思います。  (OHP使用)それでは、スライドですけれども、まずポジティブリストと いう言葉でございますけれども、ポジティブリスト、あるいはネガティブリス トという用語でございますけれども、これは非常に一般的な言葉でございまし て、特に明確な定義がどこかで決まっているというわけではございません。  ネガティブリストと申しますのは、現状の食品中に残留する農薬の規制のあ り方──ネガティブリストでございますけれども、原則、規制がない状態で、 規制するもののみについてリスト化しているものということでございます。  もう1つは、その逆がポジティブリストでございまして、原則禁止された、 あるいは規制された状態で、使用できるものだけをリスト化するものというこ とでございます。これは食品の世界で申し上げますと、例えば食品添加物のよ うなものは指定されたものしか使ってはいけないというふうになっておりま すが、そういった意味でポジティブリストですし、あと、関係あるものでいい ますと、例えば医薬品などは、これも厚生大臣が承認したものしか基本的につ くってはいかぬというふうになっておりますので、そういったものがポジティ ブリスト制度でございます。  そういったのがポジとネガということでございます。なかなか適切な日本語 がないので、ずっとポジティブリスト制度という言葉でこれまで使ってきてお るところでございます。  では、食品中に残留する農薬等のポジティブリスト制度とはどういうものか ということでございます。一言で言いますと、基準が設定されていない農薬等 が一定量を超えて残留する食品の販売等を原則禁止する制度ということでご ざいます。  ここにございますように、平成15年の食品衛生法の改正でこういった制度 が導入されたわけでございます。約3年前になります。公布の日から3年以内 に施行をしなければいけないというふうになっておりまして、ことしの5月 29日がちょうどその3年目ということで、5月29日から施行という運びにな っておるわけでございます。  そもそもこういったものが法律で制度化されるに至った経緯でございます けれども、背景といたしましては平成7年に遡りますけれども、そのときに一 度、食品衛生法が改正されております。そのときは食品添加物の関係で制度改 正をしたわけですけれども、そのとき、国会の審議いただいている中で附帯決 議ということで、農薬食品衛生法において残留農薬の規制に関してポジティブ リスト制度を導入することを検討すべきというのが国会の決議として決まっ ております。そういったことで、政府としては宿題をいただいたということに なるわけでございますけれども、それが平成7年でございます。  その後、輸入食品の増大とか、あるいは食品に関するいろいろな事件もござ いまして、食品の安全に対する国民の方の関心が非常に高くなったということ もございます。特に、後でまたお話あるかもしれませんけれども、消費者の方、 生協連を中心として、こういった制度改正へ向けた国会に対する請願署名とい うのが1,300万以上集まったというようなこともございます。そういったこと を受けまして、平成15年にこういった制度改正がされたというわけでござい ます。  具体的には、原則禁止するということです。一定量を超えてということです けれども、ポジティブリストからの定義からいいますと、リスト化されていな いものは原則禁止するということなのですから本来ゼロなのですけれども、な かなかゼロというのは……。  0.0幾つで、健康影響上、問題がないものも規制してしまうことになります し、実際の運用上からも一定量を決めておいた方がいいだろうということで、 後でまた言いますけれども、0.01ppmという数字を置いておりますけれども、 これを超えて残留する農薬の販売等を原則禁止するということでございます。 そのかわり基準が設定されているものについては、その範囲内で残留が認めら れるということになるわけでございます。  もう少し具体的に申し上げますと、これが現行の制度でございます。現行は、 これ全体が日本の食品に使われて残留している農薬だといたします。実は、今 は250の農薬、それから33の動物用医薬品──これは家畜に動物用医薬品と して使われるわけでございますけれども、そういったものが食品中にどうして も残留してくることがあるわけでございます。この250と33、合わせて283 の物質に関して基準値を設けておりますから、その283の物質に関しては、そ の基準値を超えて農薬等が残留しているものは販売できないということにな っております。  ところが、世界じゅうには700とか800とか農薬は使われていると言われて おりまして、日本は御案内のように大変たくさん食料を輸入しておるわけでご ざいますので、こういった基準が置かれていない農薬が食品中に残留している ことはあるわけですけれども、実はそれらに関しては、今の制度では基準が設 けられていないので規制ができない。ネガティブリストですので、ここは原則、 規制がかからない状態であったわけです。  そういったことを今回改めまして、これが現状ですね。農薬等が残留してい るものは原則販売できないということですけれども、それを改めまして、次の スライドをお願いいたします。  この外の枠はすべての農薬というふうに考えていただければと思うのです が、すべての農薬に関して何がしかの規制の網をかけたということになります。  まず、食品の成分に関する規格、残留基準が定められているものということ で、残留基準が定められているものが数としては799になります。先ほどは 283でしたから、それがかなりの数増えるわけですけれども、それは先ほども 申し上げましたように、日本で使われていない農薬でも海外で使われていて輸 入食品に入ってくる可能性はあるということでございますので、そういったも のに関しましては、もちろん海外で使われているからということでやみくもに 基準を設けたわけではなくて、一応、データの提供を協力いただいた5つの先 進国のデータ、あるいは国際機関の基準値といったものを参考にして基準を置 いております。それが799のものについて置いております。  その799以外の使われるであろう農薬、あるいは799の農薬でも基準が置か れていない作物に使われる場合といったものは、要するに残留基準が定められ ていないということになりますので、そこは先ほど言いましたように一定量を 超えて残留する食品の販売を禁止するということで、その一定量を告示いたし ました。これは0.01ppmになります。  それから、もう1つ、対象外物質ということで、ある程度、食品中に残留し ても人の健康を損なうおそれがないということが明らかであるものというこ とで、これを対象外物質と言っておりますけれども、これは65ございます。 こういったものを昨年の11月29日に告示いたしまして、ことしの5月29日 から施行させていただくということになっております。  重要なことは、こういった799の物質について基準を設けたわけですけれど も、1つは、今現在、食品衛生法で置かれている残留基準につきましては変更 はしておりません。それで、今現在置かれている食品中の残留基準というのは、 国内の農薬の場合ですと農取法の使用基準を守っていれば食品衛生法の残留 基準値内に収まるということは確実でございますので、国産品でございました ら、農取法の使用基準を守って農薬を使っていただければ食品衛生法の残留基 準を超えることはないというふうに考えております。  それから、もう1つ申し上げておきたいのは、このポジティブリスト制度と いうのは、フードチェーンの各段階で必ず検査を実施してくださいとか、検査 結果を提出してくださいとかといったことを義務づけるものではございませ ん。そもそも、検査だけで食品の安全を担保するというのは大変限界があろう かというふうに思っております。残留農薬の問題というのは、これはポジティ ブリストが導入されたからというわけではございません。従前同様でございま すけれども、生産段階での適切な農薬の使用、管理が重要であろうというふう に考えております。  ということで、私たち厚生労働省としてもいろいろな基準をつくったり、周 知する上で農林水産省と連携してやってきておりますけれども、各自治体にお かれても衛生部局、農林部局との連携が必要だと思いますし、そういった形で 都道府県の方々にはお願いをしたりしております。  これは最後のスライドでございます。今、ほんと駆け足で申し上げましたの で、御案内の方もいらっしゃいますし、また、詳しいことはよくわからないと いう方もいらっしゃるかと思いますけれども、ホームページでは、こういうと ころを見ていただくと、関連の法令、通知、試験法、あるいはQ&A等にアク セスできるようになっております。それから、ある程度、簡単にまとめたもの でしたら、同封させていただいたパンフレットにもございますので、ぜひ御参 考にしていただければと思います。  では、どうもありがとうございました。 ◎小畠農林水産省消費・安全局農産安全管理課長補佐  先ほど御紹介をいただきました、農林水産省農産安全管理課農薬対策室の小 畠と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  私どもの職場は、農薬の登録事務や農薬の取り締まり、また、農薬の使用指 導を担当している部局でございます。きょうは、これから少し時間をいただき まして、農薬に関しますお話をさせていただきたいと思います。  まず、これからお話しします農薬ということですけれども、農薬を規制する 法律で農薬取締法という法律がございます。その中で農薬とは何かということ で定義がされているわけなのですけれども、農薬とは、農作物を害する病菌だ とか昆虫などを防除する薬剤。これは、殺虫剤とか殺菌剤、また、草の場合で したら除草剤と言っておりますけれども、そのような薬剤が該当します。  また、農作物の生育調整に用いる薬剤。具体的に申しますと、種なしブドウ をつくるジベレリンなどというのも農薬になります。それから、もう1つ、農 作物を害する病気や、虫を防除する目的で天敵を使用する場合。この天敵とい うものも農薬に該当しております。具体的に申しますと、ハダニを食べてしま うチリカブリダニだとか、あとはアオムシに寄生するハチだとかといったよう な天敵も、農薬取締法の中では農薬というような言い方をしております。  そこで、例えばダニを防除するということなのですけれども、牛とか豚につ くダニを駆除しようと思いますと、これは農薬とは言わずに動物用医薬品とい うことで、薬事法という別の法律で規制を受けることになります。また、ハエ とか蚊といった衛生害虫を防除するものにつきましては防疫剤というような 言い方をいたしまして、これも農薬という扱いにはなりません。別の法律で規 制されることになります。したがいまして、これからお話しします農薬という ことも、農作物を害するものを防除する薬剤ということでお話を進めていきま す。  ((OHP使用))最初のスライドでございます。農作物の病害虫防除の必要 性ということで、生産者の方は御存じかもしれませんですけれども、左側にあ りますのはトマトの疫病ということで、比較的低温で多湿条件下のときに出て くる病気でございます。右側はリンゴのシンクイムシですけれども、このよう な病気なり虫が入ってしまいますと、収量はもちろん低下いたしますし、たと えとれたとしましても品質上問題がある。右側のリンゴでしたら、恐らくこれ では食べることはできないかと思います。  これは、病害虫防除の必要性ということで、キャベツ畑でございますけれど も、東京都にあります農家の圃場を借りて実施をしたものなのですけれども、 左側が防除区ということで農薬を使用した場合ですね。右側は無防除区という ことで防除をしなかったわけなのですけれども、ごらんのようにアオムシとか コナガなどの虫によりまして葉っぱが食べられてしまいまして、恐らくこの被 害に遭った葉っぱをむしって出荷したとしても、ほとんど収量的には無理だろ うと思いますし、品質的にも問題があるだろうというふうに思います。  こういうことで、日本の場合には夏場ですと高温で多湿条件下になるという ことで、病気とか虫が発生するということがございますので、農産物を安定的 に供給する、品質のとれたものを供給していくためには病害虫の防除が必要だ ろうというふうに考えております。  ただ、この病害虫の防除ということの中では、一般的に4つの方法が言われ ておりまして、1つは耕種的防除、2つ目が物理的防除、3つ目が生物的防除、 4つ目が化学的防除と言っております。  最初にお話ししました耕種的防除。これは耕すに種と書いて耕種と言ってお りますけれども、作物を栽培する環境を整えるために雑草を除去するといった ようなこととか、植える作物に対しましては、例えば病気に抵抗性を持ってい る品種を導入するといったような形で病害虫を防除する。耕種的防除というふ うに言っております。  2番目に、物理的防除ということで、防虫ネットを張ったりマルチをしたり したような方法や、太陽熱を利用しまして土壌消毒をするといったような方法 がとられるものがあります。  それから、3番目といたしまして生物的防除ということで、マリーゴールド という花がございますけれども、その根からは線虫を抑制する成分が出るとい うことで、マリーゴールドを栽培した後、作物を育てるといったような方法と か、あとは天敵を利用するといった方法。こういうのを生物的防除というふう に言っております。  4番目にお話ししました化学的防除ということでは、農薬を使うと。天敵も 農薬ですけれども、一般的に農薬といいますと、化学合成したもの。天然物を 利用する場合もございますけれども、農薬を利用する防除というのがあるかと 思います。  病害虫防除ということではそれら4つを組み合わせて行うのが基本だと思 いますけれども、農薬を使用した場合の農産物の安全性確保が一番関心を持た れる部分かと思います。  全体の仕組みといたしましては、4つの項目でやられております。まず、一 番右、農薬の登録制度というのがございまして、これは農薬取締法の中で、農 林水産大臣の登録を受けないと国内で輸入したり製造したり加工したりでき ないといったようなことになっています。その登録制度の中で農薬の安全性を チェックいたしまして、正しい使い方(使用基準)というのを定めております。  2番目、無登録農薬の取り締まり。これも農薬取締法の中で定められており ますけれども、登録制度の反対ということで、要するに安全性の確認をされて いないものにつきましては取り締まるということになります。  3番目といたしまして、農薬の正しい使用ということで、登録制度の中で正 しい使い方(使用基準)というのが定められますので、それをちゃんと守って 使用するといったことが大切になってきます。そして、4番目、生産されまし た農作物ですけれども、作物中の残留農薬を監視すると。これにつきましては、 先ほど厚生労働省さんのお話でございましたように、食品衛生法に基づきまし て、マーケット中での産物を集取いたしまして分析をするといったようなこと で確保しているものでございます。  そこで、少し個々に詳しくお話ししていきたいと思います。  まず、農薬の登録制度による安全性チェックということでございます。農薬 取締法により登録された農薬のみが、製造、輸入、この後、販売、使用が可能 になっているというような仕組みになっております。農薬をつくられた場合に は登録をとるための申請という行為がなされますけれども、そのときに、毒性 試験、それから農薬がどのように分解しているかといったような試験、それか ら環境影響、それから農作物の残留試験というのがございます。  この環境影響というのは、水産動植物──コイとかミジンコとか藻のたぐい に対する影響とか、土壌中での残留性、水中での残留性、それから蚕、ミツバ チといったような有用昆虫に対する影響なども見られます。  ここで、毒性試験。一番最初に書いています。簡単に毒性試験と言いますけ れども、短期的な試験もございますけれども、食品中を通じて体内に取り込む ということでは長期的なものもございますので、1年以上、実験動物を使って 行うもので、慢性毒性試験だとか、発がん性試験だとか、あとは親から子、子 から孫ということで、2世代以上の動物に対しまして農薬の影響を見る繁殖毒 性試験などがこの中に入っております。  先ほどの毒性試験などをもとにいたしまして、リスク評価というのを食品安 全委員会というところで行いまして、そこで安全上問題がないということにな りますとADIというものが定められます。今度、そのADIをもとにいたし まして、厚生労働省さんの方で残留基準というのを定められます。  一方、先ほどの申請されます試験成績の中に作物残留性試験というのがあり ます。これは病害虫防除に必要な条件で行った残留性試験であり、例えばこれ はキュウリのアブラムシ防除に2,500倍で3回使用したいということで、その ように使用したときの作物中の残留量を見た試験成績が出されます。横軸は経 過日数ということで、散布して翌日ですと残留量は0.1か0.2ぐらいですけれ ども、日数が経過するごとにだんだん下がってくるというのがわかります。  こうしますと、最大の残留量といたしましては、ここで0.11となりますと、 残留基準が0.5になりますと十分に余裕あるということから、使用基準といた しまして、この農薬はキュウリに対しては2,500倍の3回以内、収穫の前日― ―というのはこの1日後ですね――までは使用しても大丈夫だろうと。この使 用基準を守って農薬を使用すれば残留基準を超えることはないということに なります。もし残留基準がもう少し低い値だった場合は、前日ですと場合によ っては超えるおそれもあるということから、収穫の3日前とか7日前といった ように、使用方法が変更されるということになります。  次は、2番目の、仕組みということでお話ししました無登録農薬の取り締ま りの関係です。  平成14年に、皆さんも御存じかもしれません、無登録農薬の使用といった 事件がございまして、それをもとにいたしまして農薬取締法が改正されました。 それまでは──この真ん中のラインですね──農林水産大臣の登録を受けな ければ販売してはならないということで、販売での規制でありました。しかし、 無登録農薬の使用というような事件が起きまして、もう少しその前の段階での 規制が必要だということで法律改正がなされまして、現在は農林水産大臣の登 録を受けなければ製造、輸入してはならないという形になっております。  また、そのときの法律改正で、今度、使用者に関しましても規制がかかりま して、使用基準を違反して使った場合には罰則がかかるような形になっており ます。  農産物の安全性確保としましては3番目のポイントになりました、農薬の正 しい使用方法というところでございます。平成14年の法律改正以前は、ある 特定の農薬――作物残留性が高い農薬、土壌残留性の高い農薬という一部の農 薬には、使用基準違反ですと罰則がかかることになっておりましたが、それ以 外の農薬では、使用者が守ることが望ましい基準ということで努力基準であり ました。しかし法律改正後につきましては、使用者が守るべき基準ということ で使用基準がございまして、その中には適用作物、使用時期、使用回数、使用 量、または希釈倍数ということで、これらの項目につきましては使用者は必ず 守ると。守らなかった場合には罰則がかかるといったようなことになりました。  今までも使用基準を守るということを何回もお話ししてきたわけですけれ ども、農薬を使用する場合に、最も重要なことだと思います。農薬の登録時に 定められた使用基準は、農薬を販売する場合にはその容器に記載しなければな らないことになっておりますので、ラベルに記載されております使用基準を守 っていただくと。適用作物、使用量、濃度、使用時期、使用回数といったラベ ルの記載事項を確認いたしまして、これらのことは必ず守っていただきたい。 これを守ることによって、仮に農薬を使った農産物でありましたら、その残留 農薬ということでは残留基準を超えることがないということで、安全性は確保 されるということになると思います。  それから、散布時のドリフト注意ということで書いております。従来も風が ものすごく強いときに農薬をまくとかといったようなことはなされていない かと思いますけれども、今回、ポジティブリスト制度を導入するということに 当たりまして、適用のある作物につきましては基準が入っているわけですが、 ないものにつきましては一律基準が適用されるということで、場合によっては 隣の圃場で栽培されている作物につきまして、適用がなかった場合には一律基 準が適用されるということになります。そういうことを念頭に置きまして、隣 の作物に飛散をできるだけしないようにいたしましょうということをうたっ ております。  ドリフト対策というふうにお話ししましたけれども、ドリフト自体を完全に 防止するということは極めて難しく、また不可能かもしれません。ただ、心が け1つで低減することはできるということで、例えば散布時の風向きや風速に 注意しようとか、隣に作物があった場合にはできるだけかからないようにしよ うといったようなこと。また、散布するときの機械の圧力を若干下げるとか、 霧の余り出ないようなノズルを使うとか、またはドリフトしにくい農薬。農薬 にもいろいろ種類がございますので、ドリフトしにくいような農薬を利用する といったようなことでドリフトは低減できるようなものだと思っております。  このようなことをもとにいたしまして、農薬の適正使用に係る実施体制とい うことで、今、私ども農林水産省の方で取り組んでいるもの。これは全国での 取り組みということなのですけれども、ブロックごとに研修会を開いたり、ま たパンフレットを作製したり、また情報提供をしている等がございます。また、 都道府県の普及指導センターなどを通じまして、相談に応じるようなネットワ ークを構築したりしているところでございます。  また、県段階におきましても、巡回指導チームなどを編成していただきまし て、現地に即したきめの細かい指導をしていただくということがございますし、 特に現地ではJAさんなどの御協力も得まして巡回指導を展開するところで ございます。  農薬の使用ということでは、使用基準を守っていただくということが基本で ありまして、それを実施していただくことによりまして残留基準を超えるよう な農産物を生産することはないというふうに考えておりますので、今後とも農 薬の適正使用につきましてお願いをいたしまして、私のお話とさせていただき ます。  ありがとうございました。 ◎司会  次に、生産から消費までの各段階の関係者の方から、ポジティブリスト制度 に関する取り組みなどについて御紹介をいただきます。  最初は、財団法人食品産業センター、片山博視様から、食品中に残留する農 薬等のポジティブリスト制度に関する留意事項についてです。よろしくお願い します。   ○「食品中に残留する農薬等のポジティブリスト制度」に関する留意事項 ◎片山氏  ただいま御紹介いただきました、食品産業センター技術部の片山でございま す。  本日は、私どもは食品業界を取りまとめる団体として位置づけられています ので、その中で、このポジティブリスト制度について、会員の皆様方に御理解 いただくためにつくりました留意事項というものを中心にお話をさせていた だきたいというふうに思っています。  まず、私どもの食品産業センターを簡単に御紹介をさせていただきます。  ((OHP使用))私どもは、この一番上の団体会員というのは業種別の団体 ですね。例えばお醤油の業界さんだとか、麺類。麺も、乾麺だとか生麺だとか。 そういった食品の業種別の団体さんを中心に、今現在125の会員がいらっしゃ います。  それから、企業会員と言われているのは、ほとんどの企業さんは全国に展開 するような、比較的中規模から大規模の企業さんが会員になられていると。個 人会員というのは、情報をいただきたいということで、情報誌等の提供を我々 がしています。  それから、地方の方は、地方食品産業協議会さん。宮城県の方にもあります けれども、地方のそういう組織を通じて、地方の規模の比較的小さいメーカー さんだとか、そういう方々へ情報提供なり、逆に意見を吸い上げるという形で、 私どもからいろいろな内容を行政の方にお話をするということもあります。そ ういう団体であるということです。  それで、今回の件につきまして、今まで第1次案、第2次案、それから最終 案と出るたびに、傘下の団体さん、それから企業さんから意見を吸い上げて、 私どもから御意見を幾つか述べさせていただきました。それから会員向けの説 明会等も独自に開きまして、厚生労働省さん、それから農林水産省さんの方か ら御指導をいただきながら今までやってきたということです。  その中で、実は、半年ぐらい前になりますか、告示の前ぐらいにいろいろお 話を聞きますと、今回も厚生労働省さんからお話がありましたけれども、残留 基準の数が283から799に増えたような感じを持たれる企業のトップの方のお 話が具体的にありました。  そういうことで、ちょっと勘違いをされているところがあるなということで、 私どもの方から、なかなか法律の内容というのはわかりにくいところがありま すので、特に規模の小さい会員さんをまとめている団体さんから、もうちょっ とわかりやすいような何か出してくれないかということで、今回御紹介します 留意事項というものを作成してきたということです。  運用の留意事項という形で4月に我々の方で取りまとめて、発表させていた だきました。この中身は、今まで御説明いただいた中身を私どもの言葉で多少 直しているということで、本制度はリストに掲載されるすべての農薬等につい て検査・分析を義務づけるものではないということをまず把握してほしいとい うことですね。その中で特に、先ほどもお話ししましたけれども、使える農薬 というのは今までと何ら変わらないのだと。増えたわけではないということな ので、きちっと農薬取締法等に基づいて管理されていればこの基準を超えるこ とはないのだということですね。  それから、諸外国においても同じように、やはり野放しということではあり ませんので、それぞれ何らかの規制は行われているということですから、その ことはしっかりと管理されていれば問題はないというふうに考えています。  それから、国内に流通する食品については都道府県と、輸入食品については 厚生労働省の検疫所できちっと残留農薬等のモニタリングがされていますと。 その結果として違反事例があればすべて公表されているということですから、 このことは公になっていますので、このことをよく見ていけばわかるというこ とですね。  先ほどもお話ししましたけれども、農薬等の使用範囲が広がることではない ということを改めて言っています。それから、国内においても使える農薬が変 わるわけではないということですね。  まず、私ども、製造加工メーカーさんを代表する立場ですから、そういう方々 は何が大事かといいますと、やはり使う原材料、農畜水産物の安全性を確保す ることにまず努めると。このことに尽きるわけですけれども、そのことをしっ かりやると。  ではどうすればいいかということで、このことは、今までも出ていますモニ タリングの結果をよく見ると、その中にやはり農薬等の使用実態、管理状況が 出ていますから、そこのところに問題点があるのはいろいろ過去にも問題が出 てきているということなので、そういうところをポイントをつかんで把握して いくことが必要だろうと。それから、適切に生産管理された農畜水産物を調達 するということに努めることだろうということです。  それで、検査・分析について求めるようなお話が当初たくさんありましたけ れども、そういうことではなくて、管理状況ですね。生産管理がきちっとやら れているということを大事な情報として把握することは大事だろうというこ とです。  基本的には今までのお話で、それで手順という形で、次、お願いいたします。  繰り返しになりますけれども、今回の制度については、農薬等が適正に使用 されていれば基準を超えることはないということは明らかなのですね。それで、 第一義的(基本的)なところは、生産者の方が安全性を担保する義務がありま す。ただし、これはすべて生産者に任せていればいいかということではなくて、 我々事業者も努力をしていかなければいけないと。それは、製造・加工に当た っては食品衛生法に適合した原材料を使用するということは定められていま すから、今回の件も、原材料がきちっと適正な、法律にのっとった形になって いるかどうかということの確認はしなければいけないということだと思いま す。そういう意味での法令遵守というのは、改めて言うまでもなく、今までど おりということでやるということが大切になります。  原材料の生産地における使用実態の情報収集ということですけれども、これ も厚生労働省さんや都道府県の方でのモニタリングの検査結果がありますの で、そのことはやはり重要なデータだというふうに考えていますので、そのこ とをきちっと把握するということは大事だと思っています。つまり、使われて いる農薬が残留する可能性が高いということですから、そのことはまず調べる 必要があるのかなというふうに考えています。  それで、検査・分析については、今お話ししましたように、そういう情報を もとに考えたときに、これは確認のためにどうしても情報が不足だな、ここの ところはどうなのだろうということがあったときに初めて、確認という形で残 留の状況を把握したい場合について検査を行うという考え方でやっていきた いと思っています。  先ほどもお話ありましたけれども、検査によって100%安全なものを担保す ることはできません。ゼロリスクということはありません。検査をしたという、 そのもののデータはわかりますけれども、その周辺部分の検査をした残りの商 品が実際には流通していくわけですから、そのことを検査するというわけには いきませんから、必ず管理の状況を把握することが一番大事だろうというふう に考えています。  これは細かい表で、お手元の方には資料3の9ページ以降に、私どもの今お 話ししている留意事項の実際に文章と、それから最後のところにデシジョンツ リーをちょっと大きな形で1ページに広げてありますので、またお時間のある ときに見ていただきたいのですが、分析をしたときに、これは規格に適合する のか不適合なのか、この判断をするための1つの目安として我々の方で作成い たしました。これを参考にしていただければというふうに考えています。  私ども、実はそういうお話の中で、やはり一番大事なのはコミュニケーショ ンだなというふうに考えています。というのは、私どもの方も、いろいろ検査 だとか、いろんな証明書を求められたりという企業さんがあるということで団 体さんの方からお話を聞くのですが、では実際にどうなのだということで調べ てみましたら、意外と、流通さんから直接というよりも、同じメーカーさん同 士でも、原材料に近いものをつくられているところと、それから高度な加工を しているところの、同じメーカーさんの中でもそういうやりとりはやはりある ということなのですね。  ということで、この辺のところは、やはり、よくお話を聞く。そういうもの が求められる場合は、どうしてそういうものが必要なのかということで、まず 外部とのコミュニケーションですね。これはメーカーさんの立場だと、販売先 から求められるということがあるかもしれません。そのことは、原材料が適正 に管理されていることですね。それを何か証明してくれと、こんなお話が来る のだろうと思いますけれども。  それから、農薬等の使用基準が従前と変わるものではないということですね。 今回のお話を皆さんが聞かれて、この内容を理解されたことをやはりお互いの 中でお話をしていかないと、間違った理解をされている方がいると誤った判断 になるかなと。このことをしっかりと、やはりお話し合いが大事だなというふ うに考えています。  また、入り口の部分の納入業者さんの方に対しても、不当なものを求めるの ではなくて、これは食品衛生法に適合した原材料であるということは今までと 変わらないわけですから、常にそういうことでの情報を得ておくことが必要な のではないかというふうに考えています。  あと、我々の方から傘下の企業さん、それから団体さんの方にお話をしてい るのは、企業の内部のコミュニケーションもしっかりしてくださいということ です。先ほども例に出しましたが、企業のトップの方の把握の内容と、実際に 例えば品質管理をやられている方、それから製造の現場にいる方が違う把握の され方をしていると、企業さんから発する内容もまた違った答えになってしま います。やはり企業の中でもしっかりと共通のコミュニケーション、理解をし ていただくことは大事ではないかと考えています。  それから、1つ製造現場で気をつけなければいけないのが、よく防虫剤だと か、そういうものですね。これは農薬と同じようなものが工場の中でも使われ ることがあると思います。これは農薬に使われたのか工場の中で使われたのか も区別がつかなくなってしまいますから、そういうものがもし使用した後の洗 浄だとかが不十分で残るようなことがあると、これはたちまち違反になるとい うことなので、工場の中での製造設備、それから原材料・製品保管倉庫等の消 毒実施設備での交差汚染というものについては、ないようにしっかりとやって いただきたい。これは今までもしっかりやられていたはずですが、そのことは もう一度確認をしていただきたいということはお願いをしています。  私どものお話も公開をしていくと。それから、先ほどもありましたけれども、 厚生労働省さんのQ&Aというものが出ていますので、その中身は140項目ぐ らい出ていますから、皆さんの大体質問されたい内容はここに出ているのでは ないかということで、これをよく読んでいただけると把握が進むのではないか なというふうに思っています。  それから、私どものホームページの中で今回もおつけしていますけれども、 留意事項というものをお出ししていますので、必要があれば参考にしていただ いて、皆さんの御理解を深めていただければというふうに感じております。  最後になりますけれども、もう一度お願いしたいことは、やはり皆さんの企 業の内部、それから外部とのコミュニケーション。よくお話し合いをしてほし いと。一方的に言われたから困っているということではなくて、そういうこと でコミュニケーションをとっていただくと。  それから、業種によって、やはり専門的な個別の内容についてはなかなかお 答えができない場合があります。そういう場合については業種の団体さんの方 にお問い合わせをするのが一番早いのかなと。個別のいろんな問題ですね。そ ういうことで、お問い合わせをいただければいろんな答えがいただけるのでは ないかというふうに考えています。  以上で、私のお話を終わらせていただきます。どうもありがとうございます。 ◎司会  ありがとうございました。  続きまして、株式会社セブン‐イレブン・ジャパン物流管理本部品質管理部 総括マネジャーの伊藤友子様から、「残留農薬等のポジティブリスト制度の導 入に際して」でございます。よろしくお願いします。        ○残留農薬等のポジティブリスト制度導入に際して ◎伊藤氏  ただいま御紹介にあずかりました、セブン‐イレブン・ジャパンの品質管理 の伊藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。  セブン‐イレブンの今回のポジティブリストの取り組みということで少し お話をさせていただきたいのですが、その前にセブン‐イレブンの紹介をちょ っとさせていただきたいと思います。  セブン‐イレブンはフランチャイズの形式をとったコンビニエンスストア でございまして、大体3,000アイテム内外ぐらいの、比較的少ないアイテムの 商品を販売していまして、食品中心で生鮮品はほとんど扱っておりません。で すので、今回のポジティブリストの対応というところでは加工食品というジャ ンルに入るものを主に扱っております。  それから、もう1つセブン‐イレブンの特徴は、弁当・惣菜のようにオリジ ナルの商品の比率が非常に高うございます。これに対しては、セブン‐イレブ ンが開発に携わってメーカーさんと一緒につくっているような商品ですので、 共通の管理形態の必要性から、納入メーカーさんで日本デリカフーズ協同組合 という協同組合をつくっていただいております。こことセブン‐イレブンの品 質管理と定期的にミーティングやいろいろな会議を持っておりまして、ここで セブン‐イレブンの品質保証の基礎をつくっています。  今回のポジティブリスト対応の原案も、セブン‐イレブンと日本デリカフー ズ協同組合の両方でつくったものですので、セブン‐イレブンはいわゆる流通 ですが、原案としては最終製品の製造メーカーが原材料管理をどのようにして いくかということが主体となっています。  11月29日にポジティブリストの内容が公布されたときに、どう進めようか という議論を致しました。その議論の内容は、新規のものは入ってきたときに きちんと確認をすればいいにしても、今ある既存品についてどのように確認を していかなければいけないのか、から話し合いを始めています。  やはり、まず一番基本の部分のところは、ポジティブリストは法律であると いうことです。ということは、生産に携わるすべての生産者、メーカー、販売 者が守る義務がある、これをまず基本に置いてあります。  今までにメーカーさんとも継続的に情報交換していまして、メーカーさんの 方でも確認を始めているという情報が入っておりましたので、生産の各段階で の責任分担が基本だろうと判断しました。確かに、本来ならセブン‐イレブン で売っているものについて、1品1品、全部確認すべきという議論はあると思 うのですが、法律で皆さんに遵守義務がある以上、作業が重ならないような形 での責任分担を基本に据えてあります。  それから、もう1つ。ずっと今までやっていたところで日常業務の中で、検 査では安全性、適合性の担保は不可能だという結論があります。なぜかと申し ますと、サンプリングのときの固体差だとか方法だとか非常に難しいところが あって、生産ロット全部の安全性を担保するのは検査だけでは難しい。その部 分は別の形で適合性をつけていこうと話し合っています。  この別の形というのは、先ほど皆さんからお話があったように、メーンの形 は、いわゆる生産履歴をきちっととっていこうということです。検査は、その 履歴の検証のためのバックデータとして取り扱いするような形を組もうと基 本的には考えました。  これが第1点の責任分担です。まず、セブン‐イレブンの商品を、NB商品 とオリジナル商品と両方で分けてあります。NB商品については、先ほど申し 上げましたようにメーカーさんが確認を始めているという情報もありました ので、メーカーさんにお任せしようと考えております。オリジナル商品につい ては、やはり私どもに責任があるので、この部分についてはきちっと考え方を 明快にしていこうとしています。  オリジナル商品をさらに国産と輸入品という形で分けてあります。国産につ いては一部、影響が大きいものとかについてはセブン‐イレブンが直接、確認 をとったりしますが、基本的にはメーカーさんに調査をお願いして、この結果 だけをいただきます。私どもがやはりメーンにやらなければいけないのは、私 どもに責任があるオリジナル商品の中のいわゆる輸入品について、きちんとし た形で確認をしておこうというふうに基本的な考え方をつくってあります。  この輸入品についても2つに分けました。1つは、食品として安全性が既に 確保されているもの。要は、商品特性、工程で安全性が十分に確保されている ものについては、セブン‐イレブンが直接というよりは、メーカーさんに調査 をお願いして、メーカー保証していただこうと考えています。もう1つの部分 は、原材料の性質が最終製品まで残ってしまうもの、それからリスクが高いも の。これについてはセブン‐イレブンとしても、お客様に安全を担保するため に自分たちで確認が必要だろうというふうに構築してあります。これについて は、やはりセブン‐イレブンが調査結果をきちっと確認して、一部、現地調査 等も入れるような形で組み立てをしております。  これが、先ほどとちょっとダブりますが、オリジナル商品の中で分けたとこ ろです。いわゆる食品として安全性が確保されているもの。左側です。複数の 原材料から成る加工食品で、混合による量の低下が起こるもの。それから、生 産工程が非常に複雑で、加工によって完全に消失してしまうもの。いわゆる発 酵だとか、精製だとか、最初の原材料の特性がほとんど後に残らないものです。 これは食品としては安全性が担保されているので、メーカーさんの方で原材料 単位の確認をきちっとしていただいて、その結果をいただこうということです。  もう1つは、生鮮品そのままのものですね。これはほとんどないのですけれ ども。あと、洗浄、凍結、乾燥のような簡単な加工で原材料の性質がそのまま 残ってしまうもの。これについては、管理状況を確認して、適合することを確 認しています。  ただ、原材料は賞味期限が長いものが非常に多い現状があります。例えば凍 結品ですと2年とかして長いものがあって、今回、11月29日、ポジティブリ ストを公布する前のものがまだいっぱいあります。それに関しては、検査によ って適合性が確認された原材料を使用しているということが明らかなものは、 検査結果をきちっと出してくればいいだろうと判断しています。それから、例 えば製品を1つサンプリングしたら、同じロットのものは全部同じような状況 になるようなもの。この2つについては、例外として、検査結果をきちんとし た形で出してくれれば適合性が確認できたと考えられます。では実際にどんな ことをするのかということで、次をお願いします。  ちょっと細かいのですけれども、一番上を見てください。今までも残留農薬 の法律はあったわけですから、基本的には従来の安全性確認に対する考え方を 変えてはおりません。5年ぐらい前から原材料の安全性が非常に大きな問題に なっていましたので、ここの部分は変わっておりません。基本的な部分のとこ ろは、前から実施しているIPハンドリングです。原材料のアイデンティティ ーをそのままきちんと最終の原材料のところまで保存して、そのロットの安全 性が確認できるような仕組みをつくっていく、これが基本になっています。  では具体的にはどういうことかと申しますと、まずは、環境整備がきちんと できているところをちゃんと選ぼうということです。独立した管理単位での生 産ができていて、管理単位での収穫ができている。これに、当然のことながら、 このロットのものだという表示がきちんとつくような形になります。ここのと ころで、管理単位でちゃんと生産記録をとっていただく。その生産記録の前提 として、使っている物質に関しては成分の把握がきちんとできている。それか ら、当然、生産記録の中で投薬記録、休薬期間、この辺の適正な管理ができて いる。こういう所を選択していこうという考え方です。  今、完全にはできていないのですけれども、現地で収穫したものを、加工す る前の、現地での原料検査を、一生懸命やろうとしています。  なぜかと申しますと、いわゆる生産単位でのアイデンティティーが一番しっ かりしているのは、加工する前です。ここでは、どこの畑で、どんな人がどん な状態で物をつくったのかが一番はっきりしている。他ロットの混じっていな い、ここの部分のところで一回、必ず確認をとっていこうとしています。残念 ながら完全にできてはいないのですが、これからやっていこうとしています。 この辺のあたりのいわゆるIPハンドリングが全部できた上で、必要なものに ついて個々の部分で検査という形で検証をかけていく。これが全体の流れです。  具体的にどんなことをセブン‐イレブンでしているかと申しますと、まず説 明会を開催しております。これは、ある程度、メーカーさんの種類によって、 くくった形で説明会を開催いたします。ポジティブリストの内容と、セブン‐ イレブンが何をしたいのか、説明をさせていただいておりまして、大体3月の 初めぐらいで終わって、その後に、今の基本的な考え方で、調査用紙だとか必 要なものとかをお渡ししました。今、その結果の検討に入っています。まだ 100%は終わっていないのですが、当然、5月29日までには完全にそれが終了 していなければならないわけなので、今、鋭意努力しているところです。  今回、ポジティブリストということで、従来の組み立てを見直したのですが、 本質的には、輸入品には通関時の検疫というハードルがあるわけで、違反品は ちゃんとシップバックという形にはなるのですけれども、それは私どもにとっ て影響が大きくて、むだになるので、弊社としては、そういうものが出ない仕 組みづくりが必要なのではないかというふうに考えています。  では、どういう形で出ない仕組みをつくるかといいますと、最終的にはお取 引先との信頼関係を築くことが一番必要なのではないかと考えます。現地調査 をしましても、これはピンポイントですので、完全ではありません。その前に、 環境整備と正確な投薬記録ができるような環境づくりが必要です。特に私ども は輸入品をメーンに確認しているものですから、いろいろ背景が違っている方 たちとお話をするので、今の実情の説明や、それから弊社の考え方の説明をし て、コミュニケーションを深めて相互理解を深めていくことが安全・安心への 道になるのではないかというふうに弊社としては考えていることをつけ加え させていただいて、私の話を終わらせていただきたいと思います。  ありがとうございました。 ◎司会  ありがとうございました。  次に、仙台市消費者協会、小林達子様から、「残留農薬のポジティブリスト 制度導入で食の安全はどう確保されるのか 具体的でよくわかる説明を望む」 でございます。  それでは、よろしくお願いします。    ○残留農薬のポジティブリスト制度導入で食の安全はどう確保される のか     具体的でよくわかる情報の提供を望む ◎小林氏  御紹介いただきました、消費者協会の小林でございます。よろしくお願いし ます。  私のは、手書きの紙が皆様のお手元にあると思いますので、それを読ませて いただきます。  私は消費者の立場から、この新しい制度が導入されて食の安全がどう確保さ れるのか、それを具体的でよくわかる情報をいただきたいという思いで書きま した。  農薬とか動物用医薬品、食品添加物の問題は、常に消費者の関心の高い問題 でございます。今月29日に施行される残留農薬のポジティブリスト制度が、 食品に含まれる残留農薬、動物用医薬品、飼料添加物について、国産、輸入の 区別なく農畜産物と加工食品を含むすべての食品を規制の対象としたことを、 私ども消費者は評価いたします。  残留基準の設定が283種から799へと一挙に3倍近く増え、これまで野放し にされていた輸入農産物に対して検疫時に大いに役立ちそうで、期待が高まっ ております。有効に運用されて、私たちがより安心して農作物や加工食品を購 入できる制度にしていただきたいと思います。  具体的な資料というのが手元にありませんでした。その中で、これは厚生労 働省が2005年4月1日から9月30日まで輸入時に検査したものの中で、新し い制度と現行の制度と両方に合わせてみたときに、どれくらい違反が出るのか というのを表にしたものだというふうに伺っております。  これを見ていただきますと、現行21に対して114の違反が出るというふう に数字の上では出ておりますので、今回の新しい制度は輸入食品にとっては大 変に効果が高いのではないかなというふうに思います。  ただ、気になるのは最後の方の数行ですね。最後の7行あたり、アメリカか らタイまでの間のこの製品につきましては、現行では1というふうに出ており ますけれども、新しい制度になると0となっております。もしかすると、これ は新しい制度に変わったことによって緩和される基準が出てくるのではない かというふうに考えられますので、この理解の仕方が合っているのかどうかは 確かめておりませんけれども、新しくなって数が増えたけれども、ちょっと注 意をしなければいけない点かなというふうに考えております。  2番目に入りまして、そういった新しい制度をより有効に運用していくには、 この新しい制度に対する消費者の理解が欠かせないというふうに思います。  ところで、私どもは結成して30年目の消費者団体でございます。今、手書 きで書いてあるのを見ていただいてもわかりますように、今もってパソコンを 持っておりません。ですから、情報弱者な団体だということでございます。一 般の消費者と余り変わらないかなというふうに思います。そのため、ポジティ ブリスト制度の審議の──15年ぐらいから始まったのでしょうか。そういっ た審議の内容も、その途中経過も、それから、その都度、国民への意見募集が あったよ、こういう意見が出されたよといったようなことも、ほとんど知らな いままでここに立っております。で、今まで何人かの方のお話を聞きまして痛 切に感じております。それは、この制度がわからないということです。消費者 にとって大変にわかりにくい。ですから私ども消費者は、これをわかりたいと いうふうに切望しております。  例えば、農薬というふうに消費者が聞きますと、殺菌剤ですとか殺虫剤です とかといったような──殺鼠剤とかですね。除草剤、忌避剤、ホルモン剤、展 着剤、天敵。昆虫とか微生物も農薬として入ってまいりましたので、そういっ た名前が思い浮かびますけれども、今まで受けた説明の中では、規制対象物質 では現行と新制度でどういうふうに変わったのか。その数が増えたのか減った のか。また、内容、成分や数量、用途など、具体的には何にも知らされており ません。  ポジティブリスト制度の対象外の物質についても、これは厚生労働省の方に お願いいたしまして、どんなものがあるのですかというふうにファクスで送っ ていただきましたので、ここに出しました。65物質。で、物質名はわかりま した。でも、私にとってはそれだけでございます。これがどういうふうに今ま で使われてきたのか。どういう場で、どういうふうな使われ方をしてきたのか。 で、どうして対象外となったのかといったことも、これは詳しい説明を受けて おりませんので、わからないなというのが実感でございます。  暫定基準を設定する際に、基準づくりの根拠にしているコーデックス基準と いうものがあります。3枚目です。これは国際基準と言われておりまして、と かく国際基準というふうな「国際」という名称がつきますといかにも正義の味 方のような感じがするのでございますけれども、そういったものを安易に受け 入れて大丈夫なのだろうかといった心配があります。そういったのが日本の食 習慣に照らして本当に問題がなく、基準を受け入れればいいのかというような 気がいたします。  また、アメリカですとか、カナダですかとオーストラリアといったような、 輸出を主に考えている国の基準の中で入ってきそうな感じなのですけれども、 そういったところの、輸出したい、買わせたいと思っている国の基準が日本の 食習慣にとってどうなのかといったようなことを考えますと、それも不安の1 つでございます。  加工食品についても、具体的に食品名が示されておりませんので、何がどう いうふうになるのかというのは、新しい制度へどう変わるのか比較することが できません。今のところ全くわかりません。  また、きょうは説明ありませんでしたけれども、「不検出」という表現が出 てまいります。これは「検出されてはならない」という表現なのか、その辺が はっきりいたしませんけれども、では検出されてはならないものというのはど ういうものなのだろうかというふうに思います。  また、暫定基準の見直しというのは5年ごとだというふうに聞いております けれども、これだけ世界が目まぐるしく動いている中で、5年というのは長過 ぎないだろうか。必要だったら毎年でも見直すべきではないかというふうに思 います。  このように、大変にわからないことが多過ぎまして、ここに立っているのが 何なのかなという気がいたしますけれども、私たち消費者が理解し判断できる ような詳しい情報を、わかりやすく具体的に提供していただくことが絶対必要 だというふうに感じているところでございます。  以上です。 ◎司会  ありがとうございました。  最後でございますけれども、JA全農栗っこ米穀課検査指導官、菅原政一様 から、「ポジティブリスト制度導入に伴う対応」でございます。  よろしくお願いします。          ○ポジティブリスト制度導入に伴う対応 ◎菅原氏  ただいま御紹介をいただきました、栗っこ農業協同組合営農部米穀課に所属 している菅原と申します。よろしくお願いします。  このJA栗っこは県北の方に位置いたしまして、広域合併をいたしまして、 ことしで10周年を迎えています。県内の中でもいち早く広域合併をしたとこ ろでありまして、米の集荷量からお話ししますと、かつては約100万俵ほどの 集荷をいたしておりましたけれども、今、生産調整等絡みで65万俵何がしと いう形になります。そういう中での、規模の比較的大きい、そしてまた県北の 中でも優秀な農業協同組合でありますことを、まず皆さんにお知らせをしてお きます。  このポジティブリスト関係の制度なのですが、周知の中では、15年5月に 公布されまして、それ以来、JAとしてもいろいろと対策をしながら、生産性 のどうした周知を図ろうかという形がいろいろと議論されたようです。そして また、JA宮城中央会と県とタイアップしながら制度の周知を図っていこうと いう形で出されております。  その中で生産者への周知が、当栗っこの中では、1つは「栗えいしょん」と いう毎月発行しております広報誌によって、まず全農家に制度のお知らせをし ていこうという形が1つとられています。それらの資料が4ページ、5ページ にありますけれども、5ページが「残留農薬の基準が変わります!」という形 で、これが3月に全農家へ配布された内容であります。その中では、農薬の使 い方、散布、それから制度の内容。農薬の散布については、ここに注意しまし ょうねという形で列記されております。  それが1つと、次の4ページ目は、4月に出されたJA栗っこの中ですが、 営農情報という形で、この中ごろにポジティブリスト制という形の内容があり ますけれども、その中で、ハウスの中で育苗後の管理の中でもこれらについて の勉強という形で、4月にもこういう情報を出して周知を図っていると。それ がうちの広報誌だと。  それから、もう1つはチラシですが、売れる米づくりとして、これが4月か らシリーズで出していますけれども、7ページですが、「全国の消費者が栗っ このおいしいお米を待ち望んでいます!」というチラシを全農家に配布しなが ら、下の方に、制度の施行についてもこういう関係もありますよと。特に飛散 の関係については、防除には努めましょうというような内容で、これらを全農 家に配布していると。  それとあわせて、県のチラシが2ページ、3ページにありますが、県のチラ シの方も、県の振興事務所の方の資料とタイアップしながらやったと。それか ら、栗原農業振興協議会という形で、市でもパンフレットを作製いたしまして、 これらも全農家に配布しているということで、これが第1、第2のですと。  それから、栗っことしては、ホームページを持っておりますから、ホームペ ージでも農家の皆さんにあわせてお知らせをしているということで、これが制 度の周知という形でなされてきたわけであります。  それとあわせて、3番目になりますけれども、講演会という形で、(1)にあり ますけれども、農薬の飛散低減対策という形で、ことしの2月1日なのですが、 講師を招いてこれも大会を開いてやっているという形で、講演会がなされてお ります。それも、全農からの山本さんを招いた対策の中でやっていると。  それから、(2)は、栗原米のグレードアップGOGO運動推進大会。これが3 月に実施されましたけれども、その中で農家に参加していただいた中で、これ も講演会をしているという形で、これが講演会をしていると。あわせて、職員 の内部、そしてまた部会の担当者会議も開いて制度の周知を図ろうという形で、 営農指導担当者会議というのを昨日ですが開いて、担当者の専門的な中で制度 の周知を図ると。それから、これから畜産関係の方も開いていこうと。それか ら、全職員の研修を5月25日に実施すると。そういう中で、職員、全農家に 周知を図っていきましょうという形です。  そういう中で、対策としては、4番目にありますけれども、JA栗っこ食料 安全・安心推進委員会が核になりまして、農産物の生産履歴記帳を米のトレー サビリティーの中でも進めていたものですから、それを基本としながら、全農 家で取り扱うすべての農産物に対して生産履歴の記帳の実践をしていると。そ れらを、今度は農協の方で履歴のチェックをしながら、生産者と、そしてまた JAの方とタイアップしながら記帳のチェックをかけているという体制でお ります。  それから、また今回の農薬の関係がありまして、農薬の適正使用の励行と。 これも既に残留農薬関係では実施しておりますけれども、特にまたこの制度に 伴う関係で実施していこうという形で力を入れていると。それから、これから もいろいろと部会を開催していきますけれども、改めてまた周知を図っていき ませんかと。  もう1つは、水稲の育苗ハウスでの後作物の利用への指導。要するに、育苗 箱の防除の関係で薬剤を使ったと。その中に今度、後から野菜をした場合は残 留として残らないかと。それはもう心配するという形で、できるだけその辺の 指導もやっていこうという形。これが、対策としては一応、進めていこうとい う形でおります。  それから、この中で課題として1つ今まで出されたのは、実際、農家の皆さ んのお話もですが、今回の制度の発足の中では、非常に混乱しているというの ですか、生産者はまじめになって制度に取り組もうという姿勢もありますけれ ども、反面、やはり不安でおります。この場合はどうなるのだといろんな問題 が出ておりまして、まず課題として挙げたのは、法律で定めた期限が、一般的 には対応には困難な状況があるのではないかというのが1つ出されています。 もう少し時間があればよかったのかなと。でも、法律の中ですから、施行され るという形で、それに対しては真剣にこれからも取り組んでいくという形。  それから、もう1つは飛散問題ですが、農薬散布の中で今まで以上に注意が 必要ですと。今回の制度の発足に伴いましての記帳も、大変数が多いという形 になりますと、農作業をしながら、そしてまた記帳をするとしますと、非常に 苦労が多いという形。それから、狭い農地で多様な作物を栽培しているという ことで、隣接での使用した農薬が仮に飛散してきて、結果としては残留農薬が 出たと。その場合は法律違反となってしまうかと。そうした場合は、それが報 道されるか。それから、それは自然と流通禁止の状況にもなりますけれども、 風評被害によってのこういうつながりが出てくるのを大変危惧していると。  農薬問題の中でも、隣接地から飛散してくる中ではどうするのだと。自分で 使っていないのですけれども、残留農薬の結果によっては、あなたの作物が結 果として法律違反になったとか。いや、全然使っていないと。その場合の対策 はどうしていくのだと。これが、いろいろと部会の中でも考えて、これからの 課題として議論されていく状況であります。  それとあわせて、もう1つは、今、米の中でも、カメムシ等による着色の問 題で防除していると。これが、転作田の近くの中でもどう反映するかと。  非常にその辺も、農薬の使い方では神経を使いながら苦労しているという形 で、農作業で疲れた中、そしてまた記帳をしていく中での苦労という形が二重 の苦労になって大変な状況でありますけれども、食の安心・安全のためにはや っぱりやっていかざるを得ないというのが農家の気持ちでありますけれども、 非常に今、農家の末端の生産現場では困惑しているのが実態であります。  簡単ですけれども、私から報告させていただきます。  きょうはありがとうございました。 ◎司会  ありがとうございました。  それでは、ここで10分間程度の休憩を設けさせていただきます。午後3時 40分からパネルディスカッション、意見交換を行います。お時間になりまし たら席にお戻りください。               (休     憩)          4.パネルディスカッション及び意見交換 ◎司会  時間となりましたので、これからパネルディスカッション及び意見交換を行 います。  まず、パネルデイカッション、意見交換のコーディネーター及びパネリスト を御紹介いたします。  コーディネーターですが、皆様からごらんになって一番左側、順天堂大学医 学部公衆衛生学教室、堀口逸子先生です。  次にパネリストの方でございますが、皆様からごらんになって右から4人目 から順番に、JA栗っこ米穀課検査指導官、菅原政一様です。  財団法人食品産業センター次長、片山博視様です。  株式会社セブン-イレブン・ジャパン物流管理本部品質管理部総括マネジャ ーの伊藤友子様です。  宮城県生活協同組合連合会常務理事の沼倉優子様です。  仙台市消費協会の小林達子様です。  以上の5名の方でございます。  最後に、関係行政機関として、内閣府食品安全委員会評価課、宇木専門官で す。  農林水産省食品安全局農産安全管理課、小畠課長補佐です。  厚生労働省食品安全部、伏見基準審査課長です。  それでは、パネルデイカッション、意見交換の議事進行につきまして、コー ディネーターにお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ◎コーディネーター(堀口氏)  早速始めさせていただきますが、コーディネーターとして議事進行させてい ただきます、順天堂大学公衆衛生学教室の堀口です。よろしくお願いいたしま す。  最初に、このパネルディスカッション、意見交換の進め方について、私の方 から少し説明させていただきたいと思います。  これまで、この制度の導入に当たり、まず制度を関係者間で理解をするとい うところで、厚生労働省と農林水産省の方で制度についての説明会を全国で開 催してきたとお聞きしております。今回のリスクコミュニケーションも全国数 カ所で行うのですけれども、今回のリスクコミュニケーションは制度の説明で はなくて、それにかかわる生産・製造・流通、そして消費のそれぞれの立場か ら、きょうも御発表ありましたけれども、それぞれの立場の今置かれている現 状をお互いに認識しつつ、この制度がうまく運用されていくようにというとこ ろで、お互いの立場を理解し合うというところを大きな目標に進めていきたい と思っています。  それで、最初に御発表ありまして、その発表の内容につきましてそれぞれの 立場から、最初にパネリストの間でディスカッションさせていただき、適宜、 私の方からフロアに御質問させていただいたり、また御意見を伺ったりさせて いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  まず最初にですが、先ほど講演の中ではいらっしゃらなかったのですが、今、 生協の沼倉さんの方にパネリストとして上がっていただいていますので、また 資料も準備していただいておりますので、沼倉さんの方から、まず最初によろ しくお願いいたします。 ◎沼倉氏  よろしくお願いいたします。  私の資料は7でございますので、お手元の方に用意していただければと思い ます。  私の方から、まず食品衛生法改正の生協の運動について少しだけ触れさせて いただきたいと思います。  ポジティブリスト制度というのは、2000年に私たちが取り組みました国会 請願署名の請願の1項目でございます。お隣にいらっしゃる小林さんたちなど とも一緒に取り組みました。このときには全国では1,370万筆が集まりました。 そして、この宮城県でも23万7,000筆が集まりまして、大変大きな運動とな りました。農薬についてはやはり消費者は漠然とした不安があるわけで、この 制度の実現というのは多くの消費者の願いでもございました。1995年の法改 正のときの附帯決議から10年近くかかったわけですけれども、生産から消費 まで各段階での取り組みが進む。そのことで消費者の不安というのは非常に解 消して、そして安心して食品を購入することにつながるのではないかというふ うに思っております。  資料の方1枚目を開いていただきまして、みやぎ生協の食の安全に関する意 識調査。ちょっと古いのですけれども、実施したのは2002年でございます。 ダイジェスト版からさらにまた抜粋しましたのでほんの一部になっておりま すけれども、この中で問2のところで食の安全に対するお考えを尋ねておりま す。  この中では、ちょうど外国の農産物の残留農薬問題と無登録農薬の問題があ ったということもございまして、非常に農薬についての不安というのがここで 見てとっていただけるかと思います。日本生協連でも2005年にそのような調 査をしたときに、やはりBSEに次いで農薬への不安というのが大きなものと してございました。ということで、私たち消費者団体としては、この制度が導 入されたことについてほんとにうれしく思っております。  一方で、生協は事業者組織としても重要な責任を持っております。みやぎ生 協では産直の生産者をバックアップするために、生産者に食品衛生法改正の制 度を理解していただくために学習会等をこの間やってきております。  私の資料をめくっていただきますと、パワーポイントが出ております。きょ うはちょっとお時間がございませんので映して説明するということはできま せんが、生産者に対してこのパワーポイントを使って、いろんな具体例、それ から対策についてやってきております。やはり、生産者を孤立させない、安全 に農産物をつくっていただくということをメーンにしてこういうことを進め ております。  それから、もう1つ、コープ記帳システムというのをつくっております。こ れはもう始まっておりまして、生協の産直生産者というのは400人ぐらいいら っしゃいます。この生産者の方たちが御自分で圃場で使用した農薬を、パソコ ンですとか、それから携帯電話を使ってその場で入力するというような取り組 みです。ですから売り場では産直品の生産情報がリアルタイムで検索できまし て、そして情報公開がされているということになっています。また、生産者に とっては、楽に栽培記録がつけられて、それがそのまま農業日誌になるという ふうになっております。何か起きたときに川上まで遡ることができるというふ うな仕組みになっております。  検査体制というのができましても、どこでどのようにつくられたのかがわか らないのでは意味がないのではないかというふうに私は考えます。このような 仕組みが生協だけではなくてあらゆる段階でつくられるということが重要な ことなのだなというふうに思います。先ほど栗っこの生産者のJAの方のお話 もありましたけれども、ポジティブリスト制度の実際の取り組みというのは、 ほんとに生産者にとっては大変だと思います。それは消費者も、ほんとにコミ ュニケーションしながら理解しなければいけないなというふうに思っていま す。  それで、先ほど、いろいろ生産現場が混乱しているとかお話がございました けれども、実際のところは農薬の生産資材材などの管理とか、生産者がほんと に取り組みやすいものになっているのかとか、実効性はちゃんと確保されてい るのであろうかとか、それから生産者個々にきちんと伝わっているのだろうか というのを伺ってちょっと不安に思ったのですけれども、菅原さんにちょっと そこのあたりをお聞きできればというふうに思います。  それから、先ほど申し上げましたけれども、パワーポイントにつきましては きょうは映しませんけれども、きょう産直の事業の担当の者が来ておりますの で、もしこのことについて御質問があればお答えしていただけるかと思います ので。  以上でございます。 ◎コーディネーター  ありがとうございました。  早速御質問が出ましたので、JAの方も非常に現場が混乱して、講演会など も開かれているというようなことのお話がありましたが、先ほど生産者1人1 人に行き渡っているのだろうかとか少し不安になったということなので、ちょ っとコメントをいただければと思います。 ◎菅原氏  早速、私の方に質問が来またのですが、先ほどお話しいたしましたけれども、 生産現場での記帳は、米のトレーサビリティーの中で、栽培記録の中でもう既 に始めているという形なのですね。  今回、さっきも話したのですが、それが1つのベースになりながら、今度の 制度の中で乗っていこうと。それをプラスした中で行っていこうという形です から、生産者の記帳は、すべてその中では記帳されていると。私も生産者です から、栽培記録を記入しながら、そしてまたチェックのシェトには乗せてやると いう形にしております。だから、生産現場には記帳の方針は伝わっております。  ただ、先ほども話したように、制度の中ではいろいろと複雑な要素もありま して、困惑しているのが今の状況ではないのかなと思っております。 ◎コーディネーター  菅原さんのところには、生産者の方から御相談とか御質問とかたくさん寄せ られているのですか。 ◎菅原氏  私も今、本業は米の検査の方をやっていますけれども、営農課の方には照会 があるようですね。それはそれなりに担当の方でお話をしておりますけれども、 いろいろな不安なり……。  そしてまた、部会の中でも非常にいろんな問題点が出されて、整理され議論 されているのも実態であります。 ◎コーディネーター  ありがとうございます。  小林さん、消費者として、前にいろいろな方の御発表がありましたけれども、 感想などをどうでしょうか。 ◎小林氏  まだ、いろんな立場の方にとってすごく大変だなというのがわかったくらい で、一番、生産現場の方たちがどうなさっているのかなということと、今回は 加工食品にもみんな基準が適用されるということなので、加工食品の場合は複 雑になればなるほどそれを検出するというのは大変なのですけれども、どうな さるのかなというふうに疑問に思っておりました。  ほんとにこの制度がどこまで役に立つのかなと、先ほどお話を伺っても余り よくわかりませんでしたけれども。 ◎コーディネーター  その加工食品を取り扱っている伊藤さんの方から、何かありますでしょうか。 ◎伊藤氏  一応、流通としては、ポジティブリストの内容が出たときに情報のやり取り をしております。その中では当然、加工食品、特殊なもの以外については、適 合した原材料を使って適合したものをつくるというのが基本になっていると いう認識でおりまして、メーカーさんには現在のところまで遡ったような形の 確認をお願いするのが基本になっています。 ◎コーディネーター  では、食品産業センターの方から、どうでしょうか。 ◎片山氏  まず、説明がありましたけれども、基準と安全性という問題で、基準を決め るときにかなり幅をとっているということがあるわけですね。そのことは、ま ず理解をしていくということです。  それから加工食品については、厚生労働省さんの方から出されていますQ& Aにも書かれていますけれども、まず、加工食品で基準があるものというのは、 コーデックスの方での一部のもの、簡単な加工のものしかないわけですね。通 常つくられる、いろんな原材料を使って加熱したり味つけをしたりしたものと いうのは基準がない。基準がないという場合には、法律上からいうと多分、こ れは一律基準というものが適用されてくるのだろうということになるわけで すね。  ところが、一律基準というのは非常に微妙なところ、0.01ということです から、そのことのお答えとして、要は、使っている原材料はそれぞれの基準に 適合していれば、その加工食品は基準をクリアしているというふうに理解する ということが明記されていますので、まずそのことをきちっと原材料をやると いうことが大事だろうというふうに考えています。 ◎コーディネーター  生協さんの方も加工食品を取り扱っていると思いますが、何かありますでし ょうか。 ◎沼倉氏  生協にはコープ商品というのがございますが、これについてはさまざまな基 準がございますので、システムをつくって検査体制等をつくっております。 ◎コーディネーター  検査体制をつくって頑張っておられると。  小林さん、どうですか、今お聞きになって。 ◎小林氏  ふだん買い物をするというのはほとんどスーパーさんでございまして、申し わけないけれどもセブン-イレブンさんで買い物をするというのはほとんどご ざいませんので、その辺、できればスーパーさんのお話を聞きたかったなと。  生協さんは、私も組合員でもありますし、組合員でつくっているという安心 感はもちろん基本的にあるわけで、東北もかなり大手のスーパーさんがたくさ ん入っておられますので、そういった方々がどうなさるのかというのをぜひ聞 きたかったなと思います。 ◎コーディネーター  もしフロアにこの東北地方で流通されている立場の方がいらっしゃればち ょっとお話ししていただければと思うのですが、いらっしゃいませんか。  ちょっと残念でした。すみません、小林さん、いらっしゃらなかったので。  京都の場合にはまた別の流通の方がその取り組みをお話しされたのですけ れども、フロアの方にいらっしゃらないということで、この話はここで終わら せていただきますが、何かほかに取り組みとか聞いていて、先ほど沼倉さんの 方からまずJAさんの方に御質問ありましたけれども、何かお気づきになった 点とか、沼倉さん、ありますでしょうか。 ◎沼倉氏  先ほど説明を聞いていて思ったのですけれども、日本の農業を担っているの は非常に平均年齢が高くなっているのですけれども、こういう制度がつくられ ていく中で、農薬の基準をきちんと守らなければいけないと思うのですが、実 際、農薬を見たときに、私もホームセンターとかで花の薬を買いに行きますけ れども、ほんとに字が小さくて見えない。そういうのがほんとに生産者に使い やすいものになっているのか。  それから、先ほどの説明の中で、釈倍数は何1,000倍ですよね。そういうと きに、計量機器などを農薬メーカーでちゃんと考えているのかとかですね。  こういう大変な制度をつくって運用していくためには、やはりいろんな分野 の人たちがきっちりとかかわっていかないときちんと進まないのではないか なと。農薬のメーカーも、一緒にかかわっていくべきではないかと思いました。 ◎コーディネーター  フロアに今、生産者の立場の方で、今の沼倉さんのお話に対して、現場がこ うなっているというようなことをお話しできる方が、もしいらっしゃればと。  では、よろしくお願いします。 ◎参加者1  岩手の葛西と申します。  私も、岩手生協さんの方で産直ということで、農薬使用も、私個人はほとん ど使用せず、当然のことながら記帳も圃場ごとの管理ということでしておりま す。  今までの農業関係の法律であれば、自分がきちんと農薬使用基準を守ってい れば、胸を張って農産物をこれは私のだということで出せたのですけれども、 今回のポジティブリスト制、はっきり言って、今、自分の商品がほんとに100% 安全かどうかという自信がありません。  これは、先ほどドリフト問題ということがありましたけれども、当然、ドリ フトの問題、それから使っている水の残留農薬の問題、それから土壌の前作の 残留農薬。前作で使用してもよかったものが、後作で果たしてそれを使っても いいかどうかという問題。それから、今、ちょうど中国から黄砂ということで、 車も黄色くなるぐらい来ていますけれども、これは自分らの努力だけでは何と もならない天然の状況があるわけです。  それから、先ほど沼倉さんの方から自分でも農薬を使っているというような お話がありましたけれども、当然、一般の消費者の方たちも家庭菜園なり花な りに消毒していると思うのですけれども、それが果たして農地の方まで飛散し てこないのか、もしくは雨が降って、それが水源としてそこに流れてこないの か、その保証が全然見えてきません。  一律の0.01という基準が、先ほど農水省さんの方から1週間かかってやっ と0.01に近いような数字が出てきましたけれども、現在、私ら生産者もそう いうふうな状況で、ほんとにこれから農産物を安心してつくっていけるかどう かというふうなことですごく不安になっています。今までは自分の努力があれ ば安全だということを言えたのが、今現在は第三者によって、もしくは地球環 境によって、自分の農産物が安全だと正直に言える状況にはない状況をすごく 不安に思っています。  農水省の方には、できれば、このような状況のとき、例えばリンゴで消毒し たときに2〜3km、ドリフトが飛ぶと言われていますけれども、そのようなと き野菜にかかったときに、最低何%、0.01とかというふうな状況になるのか どうか、それから上流で田んぼの水が入ったらどうなのかという、そういう具 体的な数字の提示を受けないと、なかなか私ら農家とすれば、今のこの制度の 中ではほんとに不安な状況です。  それから、農薬は当然、毒ですので、それを使うというのはすごくよくない。 私自身もほとんど使っていません。ただ、現実として農薬を使わないで出した ときに、虫がついたりとか穴がついたりとかというときに、やはりそれは消費 者との連携の中で、農薬を使うなというのであれば、そこら辺の許容範囲とい うのは、生産者だけではなくて消費者、流通を含めた中で、もっと大きな議論 をしながらこのポジティブリスト制も考えていかなければいけないのではな いかなと思います。  以上です。 ◎コーディネーター  ありがとうございました。  それで、ドリフトだけではなくて、使う水の話とか、土壌の話とか、あと家 庭菜園からというような問題点を今挙げていただいたのですけれども、そうい うような相談が組合員から来た場合には、JAの方ではどのようにお答えをす るのでしょうか。  菅原さん、もしよければ。 ◎菅原氏  今、葛西さんがお話しされたとおり、私どももそのとおり悩んでおります。  そういう中で、今、部会では、どうしていくのかと。例えば残留農薬の基準 値を超えた場合は、その部会の中でどんな対応をしていくのかと。今、そこは 非常に悩んでいる話です。  だから、その辺の中で、さっき私も話したのですけれども、法律が一定の期 間を経過して施行するというのだけれども、物理的に大変困難な状況ではない のかなというのが、さっきお話しした内容です。 ◎コーディネーター  悩んでおられるというのは、部会を開いて皆さんで議論を重ねていらっしゃ るということですか。 ◎菅原氏  悩んでいるのは、はっきり言えば、もし仮に残留農薬が出た場合に出荷停止 なりになると。その場合に補償がどういう形になっていくのだと。生産者か、 それとも集荷団体でやったときに、集荷団体がどの団体でやるのかと。それが 生産段階かと。  あとは、1つは販売しているときには、販売の中ではJAとしての責任にな るのかと。その辺の区分なりが全然明確になっていませんですから、その辺が 今後明確になった中でスタートするのならばいいのかなというような形なの ですけれども。 ◎コーディネーター  食品産業センターの会員さんから、そういう話とかはあるのですか。今のよ うな出荷停止とか。 ◎片山氏  食品産業センターはメーカーさんの集まりですから、原材料として使ったも のに対して今のような不安はあるということはあるのですね。  基本的には、要は、今まで基準がなかった。つまり、分析もしなかったし、 そういうことが入ってないだろうと思っていたやつに、意図せず何かの具合で 見つかる場合があると。こういうところに非常に不安だということはあるわけ ですね。  そのことのデータもいろいろ教えていただきたいということで国の方にも お願いしているのですが、今まで測った事例がないということで、先ほども御 紹介いただいた昨年の半年間のデータなどが出てきましたけれども、要は不安 というのは、何が起こるかわからないということで非常に不安があるというこ とで、このことに対しては、我々、加工食品をつくる立場から言うと、先ほど ちょっとお話ししました、原材料がよければということだったのですが、では 原材料が万が一、そういうことで一律基準、非常に微量なものが何かの影響で 入っていたということがわかったときに、加工食品の方へどういうふうに影響 するのかということが不安なわけですね。そのことに対しては、やはり健康影 響だとか、いろいろ流通の困難だとかということが起きないように、健康影響 だとかいろいろなことの判断でやはり対処をしていただきたいなということ をお願いしているわけですね。 ◎コーディネーター  では、農林水産省の方から、いろいろと今、生産の現場に問題があるという お話でしたが。 ◎小畠課長補佐  農林水産省の小畠です。今、岩手県の葛西さんからいろいろとお話を伺いま して、すべてに答えられるかどうかわからないのですけれども、幾つかお話し していきたいと思っております。  まず、後作物への影響ということなのですけれども、確かに、昔、登録があ った農薬につきましては、土壌残留性ですか、長いものがあったということは 事実かと思います。  でも、農薬の登録の段階でも、土壌残留ということでは半減期というのを見 ておりまして、これは最初に処理した量の半分に減る量ということで半減期と いう形でしているのですけれども、最近登録のあるものにつきましては非常に 半減期の短いものが多いと。大体、一月から二月ぐらいで半分に減ってしまう というようなものが多いですので、そういうようなものを使う限りにおいては 後作物への影響というのはまず問題にならないのではないかというふうに思 っております。  それから、家庭菜園とか花で使用した場合のドリフトが心配だというのがご ざいまして、これは当然あり得ることだと思います。農林水産省といたしまし ても、先月、4月28日付になりますけれども、農耕地以外での農薬使用によ る周辺食用作物への影響防止についてということで文書を出しまして、農耕地 以外で使用する場合におきましてもドリフトに十分に注意して農薬を使って くださいということで、そこの中には植木組合とか花組合、それから造園業組 合とか、ゴルフ場だとか、種苗組合だとか、家庭園芸協会とか、知り得る限り の団体さんあてに文書を出しまして、農薬散布についての適正な使用というこ とをお願いしているところでございます。今のようなお話がございましたら、 こちらの方にもお寄せいただけましたら引き続き啓発活動をやっていきたい と思いますので、よろしくお願いいたします。  それから、ドリフトしたらどのくらい残留するのかといったような具体的な データを示していただきたいといったようなお話がございました。先ほど私も パワーポイントの中で残留の推移ということで出しましたけれども、あれは一 例であって、すべての農薬がああいう形になるわけではないのですね。農薬に も分解の速いもの、遅いものがございますし、作物によっても違ってきており ます。また、ドリフトということになりますと当然、濃度だとか風向きだとか 対象となる作物の生育状態によって違ってきますので、それらをすべて考慮し た上での残留量を示すというのは、不可能ではないかと思うのですね。  ただ、ドリフトしたのがすべて問題だというわけではないかと思います。ま ず、ドリフトはできるだけ避けなくてならないということで、低減対策という ことで先ほどお話ししたような対策をしていただくというのが基本だと思い ますけれども、もし仮にドリフトしたといたしましても、例えば隣にある作物 がまだ定植したところで、出荷する状態ではないということであるならば、こ れはドリフトしたとしても、いわゆる農作物という観点からしたら問題になる ということはないかと思います。  まさしく収穫間近の作物が隣にあった場合にどうなのだろうかということ だと思うのですけれども、対象となる作物と、隣にある作物、両方に適用があ る農薬であるならば、それぞれ基準値が定められておりますので、共通するよ うな農薬を使用していただくとかといったようなことである程度の問題は回 避できるのではないかと思っているところです。  以上です。 ◎コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、伏見課長の方から、制度は29日からですけれども、見つかった 場合にどこまでどうやって停止になるのかみたいなところの不安がというお 話がありましたが。 ◎伏見課長  29日から施行ということで、これは食品衛生法の制度でございまして、食 品衛生法というのは11条1項というところでいろんな基準を置くことができ るということになっていまして、この残留農薬の基準でございますとか、添加 物の指定とか使用限度とかいろんなことを決めています。  このポジティブリスト制度、今回、799の農薬についていろいろな基準を置 いたのもこの11条1項に基づくわけでございますけれども、その基準値を超 えたものは販売とか加工とかしてはならないというのが11条にございます。  したがいまして、この基準値を超えているものは、厚生省としては輸入品に ついてそういった検査をしておりますし、実際に国内で流通しておりますもの につきましては、実は都道府県の衛生主幹部局、それから保健所を設置してい る政令市等で食品衛生監視ということをやっておられます。  そういったところで仮に基準値を超えたものが見つかったら、見つかったも のについては、その見つかったもののロットと、見つかったものを含む同一性 が認められる部分──ロットと言っておりますけれども、そのものについては 流通をやめてくださいということになるわけであります。  したがいまして、本当は検出されないのがいいのかもしれませんけれども、 対策として考えられるのは、例えば、先ほどいろんな記帳のお話が出ていたと 思いますけれども、ある作物について何月何日にどういう農薬をどの程度使っ たかというようなことが確定できれば、そのロットの範囲というのを限定する ことが比較的容易になろうと思います。そういった情報が何もなければ、同じ 生産者から出てきているものは全部同じではないかというふうに疑われるこ とも否定できないということはあると思います。だから、仮にそういった基準 値違反が出ても、そういった被害を最小限にとどめることというのは、日ごろ の生産管理のところでできるのではないのかなというふうに思っております。  それから、もう1つは、今、食品のこういった基準値違反が出た場合には、 国もそうですし、都道府県におかれてもそうだと思いますけれども、原則、公 表するように努めなければならないというのが実は食品衛生法で記載されて おりまして、公表することになっております。ただ、その公表の仕方というの も、実は配慮しないといけない部分がありまして、まず、今申し上げましたよ うに、どの程度、どの範囲まで問題があるのかということをできるだけ特定す るということと、健康被害があるのかどうかということが重要だと思います。  先ほどもどなたかお話しされていましたけれども、食品中に残留する農薬の 基準値といいますのは、動物の毒性試験の結果から、動物で毒性が出ない量を さらに100分の1にして、さらに1日の摂取量がそれ以下に収まるような形で 残留基準値を設定しております。これは考え方としては、動物に一生涯そうい った農薬を食べさせて毒性が出るか出ないか見るわけですので、農薬が使われ ている食物を一生涯食べたとしても問題が出ない量以下に管理をしておりま す。したがいまして、通常の基準値をある程度超過したようなものであれば、 それを一生涯食べ続けるということでありませんので、直ちに大きな健康被害 が出るとは考えられないケースがほとんどだろうと思います。  したがって、公表の場合にも、どの範囲まで影響がある話なのかということ。 それから、健康被害はどうなのかということ。そういったところをできるだけ きちっと考えていただくということで、不必要な御心配というのは相当程度防 げるのではないのかなというふうに思っております。  実はこういうことを、今週になりますけれども、東京で全国の都道府県と市 町村の衛生部門の方と、それから農政部門の方に集まっていただきまして説明 会をさせていただいたのですけれども、その場でも今申し上げたようなことを 申し上げて、公表する場合に十分配慮していただきたいというようなことを申 し上げたりしております。  そんなことでやっております。 ◎コーディネーター  ありがとうございます。  JAさんの方の資料にも、報道で風評被害につながることを危惧していると いうところで課題が挙げられております。リスクコミュニケーションのパネラ ーとしてメディアの方が上がることも余りないのですが、会場には来られてい ると思うので、もしそういう風評被害について、報道する側の立場として何か コメントがいただければいただきたいのですけれども、メディアの方で誰かお 話ししていただけませんでしょうか。皆さん、企業の方も生産者の方も、非常 にその辺を危惧されていらっしゃるのですけれども。  残念ながら手を挙げていただけないので、それでは、そういうところに注意 をするというふうに、今、課長の方からお話があったかと思います。その苦労 について、今、対応も少しお話ししていただきましたけれども、小林さん、今 のお話を聞いていてどのようにお感じになりましたか。 ◎小林氏  沼倉さんから出た家庭菜園の話は、もっと重く受けとめていただかなければ いけないのではないかなと思います。何年か前から家庭菜園に取り組む人たち が急激に増えてきていまして、私の身近でも、やはり希釈の度合いというのを なかなかうまくできなくて作物を枯らしてしまったりとかという例がありま すけれども、家庭で簡単に農薬を買ってきて、農薬とは表示してありませんの で、たくさん買ってきて、使い残った分をどういうふうに処理しているのかな というのがありますね。  先ほど、葛西さんから水の問題が出されました。一般の家庭で使ったものを どういうふうに処理しているのかというのは余り追跡されてないのではない かなと思いますし、家庭での管理について今まで誰も指導をしてこなかったの ではないかと思いますので、その辺のところは、もっとこれからきちんと、も しかすると表示の中にあるのかもしれないのですけれども、それを追跡するよ うな形のことが必要ではないかなと思うのが1つ。  それから、私は、道の駅ですとか、それから産地の市が立ったときにはよく 利用するのですけれども、そういうところで小規模で生産していらっしゃる方 たちと今回の制度とのかかわりというのはどういうふうになっているのか、ど なたか教えていただければ。 ◎コーディネーター  では、まず家庭菜園とか、その辺で質問していただいていたので。 ◎沼倉氏  私は、家庭菜園ではなくて、花にアブラムシがついたときにどうしようかと、 一生懸命、手で取って悩んだ末に、最後に薬に頼ろうかなというぎりぎりの線 での選択なのですけれども、今、小林さんのお話の中から思ったのですが、み やぎ生協には産直農薬に使う農薬が決められています。使っていい農薬、使っ てはいけない農薬が。  生産者とお話をするときに、ホームセンターに行くとかなり強い農薬を売っ ているとよく言われるのですけれども、ここのところでの制度との整合性をど ういうふうに考えていったらいいのだろうかと今ちょっと思ったのですけれ ども、もしお答えできるのであればお願いします。 ◎コーディネーター  農林水産省の方からお答えしていただけますか。 ◎小畠課長補佐  まず、家庭菜園で農薬を使用する場合ということなのですけれども、今まで は農薬使用者といいますと農家の方ですから農業者が中心だったわけですけ れども、お話のとおり、今、家庭菜園ですか、また家庭園芸というのがブーム になっているということもございますので、農林水産省としましては、農業者 だけでなく、農薬を使用する人広くに、やはり農薬を正しく使っていただくと いうことでの啓発活動をしております。  都道府県にあります普及指導センターとか、あとは農薬の適正使用の文書と いうことでは市町村単位にも十分伝わるようにやっておりますので、もしお困 りのようなことでありましたら、そういうところにお問い合わせいただくとい ったようなことでもできるかというふうに思います。 ◎コーディネーター  先ほど小林さんの方から、道の駅などで売られているという製品のお話があ りました。ひょっとするとJAの栗っこさんの方はそういうところはあれかも しれないですけれども、もしお答えできるようだったらお願いしたいのですけ れども。 ◎伏見課長  道の駅で、要するに農家の方が直接販売されるようなケースということです ね。  先ほど食品衛生法の仕組みで申し上げ忘れたかもしれないのですけれども、 要するに違反が出た場合、基準値を超過したものが出た場合、基本的にはそれ を販売している人が回収をしたりとかといったことをしていただくことにな るわけであります。ですから、通常、そういった流通の方がおられるようなケ ースは、幾ら生鮮の野菜といっても、別に農家の方が直接、回収の義務を負う とかということではないということです。  ただ、産直の場合は、結局、その農家の方が販売者も兼ねておられるという ことなので、多分、制度の趣旨からいきますと、そこで仮に基準値を超えたも のが出たとしたら、その農家の方がこの場合は販売者も兼ねておられるという ことですので、仮に回収しないといけないというようなことになればそこに責 任がかかっていくということになるのではないかなと思います。 ◎小林氏  制度としては今のお話はわかるのですけれども、道の駅などに出しておられ る方たちというのは、言ってみればおばあちゃんだったりとかするわけですよ ね。かなりの高齢者の方たちが、ごく少量を生産して、それが今、生産者の方 たちの中で賑わいを見せているわけです。  そういう方たちにこの制度がどこまで浸透しているのかというのがあるの と、そういうところで、今賑わっている道の駅ですとか、生産地からの何々市 とかというようなのが、例えば週末になると毎週のように出ていて、それは市 民の方たちにとってもすごくいい、新鮮なものを安心して買える場になってい るのですけれども、そういうところを誰がどのようにきちんと指導するのかと いうのと、一般家庭の人たちの農薬の管理。一応、指導していますというお話 だったのですが、なぜ、ホームセンターが販売したら、販売者責任として説明 責任を課さないのか。市町村とか県の何々とかといったところに行くよりは、 そこで説明させるのが一番手っ取り早くてわかりやすいのではないかと思う のですけれども、そういった説明責任を課されるということはないのでしょう か。そこが一番大事ではないかなと思います。 ◎コーディネーター  まず、農業を担う就農の方も非常に高齢化してきているということですが、 JAさんの方で主に会員さんへの御指導ということだと思うのですけれども、 御指導はどのようにされていらっしゃるのでしょうか。 ◎菅原氏  農薬の使い方は、全組合の中では、やはり残留農薬の問題もありまして、き ちんと農協推薦の農薬はこれですよという話の中では出しておりますから、善 良な組合員の皆さんはそれを使用していれば間違いないのだということなの ですね。  あと、細かい家庭菜園なりの方は、また別ですから。ただ、道の駅でも、農 協が運営しながらやっているのは、そこはきちんと対応しているわけですから。 ◎コーディネーター  要するに組合員さんは、JAさんの御指導をきちんと仰いで適正な使用をし ていらっしゃるというところです。  農薬の販売については、農林水産省の方から。 ◎小畠課長補佐  先ほど、沼倉さんの方からホームセンターでは強い農薬を売られているとか というような話がありましたけれども、強い農薬というのは毒性が強いという 意味でしょうか。 ◎沼倉氏  一応、農薬取締法で許可になっている農薬だとは思うのですけれども、ちょ っと言葉が足らなかったのですが、小林さんのお話とあわせてですね。 ◎小畠課長補佐  わかりました。  確かに、農薬といいましても、毒性の強いものから弱いものまでいろいろご ざいます。これは実験動物の試験で急性毒性という観点で毒物及び劇物取締法 という法律がありますが、そこの中で、これは農薬に限らず、化学物質につき まして、毒性の度合いによって毒物とか劇物とか指定するといったような仕組 みがあります。その仕組みの中に農薬も入っているということですけれども、 今現在、登録されている農薬の中では、前はかなり毒物や劇物は多かったので すけれども、最近は1割5分ぐらいですか、かなり低くなってきております。  それから、農薬を販売する場合の説明責任というのがございましたけれども、 私ども、都道府県の方等の協力を得まして、これは都道府県単位でやっている のですけれども、農薬管理指導士という制度を設けまして、農薬に関する専門 知識をより高く持っていまして、買いに来た方に適正に取り扱い方を説明する ような方を養成するということで研修とか試験などを課しまして、県単位で認 定などをやっております。農薬を取り扱うところにおきましては、そういうも のをできるだけ販売店には置くようにといったようなことをしまして、いわゆ る購入者の方に正しい農薬を使っていただくということでの仕組みもありま す。  これからもこういうような仕組みをどんどん活用して、適正使用の方には徹 底していきたいと思いますので、御協力よろしくお願いしたいと思います。 ◎コーディネーター  指導員を養成されているということだと思います。 ◎小畠課長補佐  JAさんの方でも、そのようなことをやっていたと思いますので。 ◎コーディネーター  JAさんも一緒に取り組んでいらっしゃるということです。  今、割と生産の現場の話になっていると思うのですけれども、今回のパネリ ストには流通と加工の分野の方もおられますので、もしフロアの方からパネリ ストの方に何か御質問などありましたら、挙手をお願いしたいと思いますが。  では、背広の男性の方、お願いします。どういった立場でおられるかを言っ ていただければと思います。 ◎参加者2  お米の方の小売という形になっておりますけれども、今求められているもの で、農薬の使用基準を厳守しているかの調査・確認をどうやって行っています かというふうな問い合合せとか、あと、5月29日時点で使用農薬、要は生産 履歴が確認できていますか、もし確認できていない場合はどうするのですかと いうふうなのが出ております。  今までお話を聞いていると、ポジティブリスト制は生産履歴をきちっと農薬 取締法に従って行っているということができればわざわざ分析しなくてもい いのではないかという話を伺っていますが、そうすると、これから取り扱うも のが生産履歴が確認されてなかったり、本当に生産履歴はあるけれども、それ がそのとおり実施されているというのの調査や確認はどうしているのという ふうな問い合わせが来た場合に、実際にどのように対応したらいいかというの がちょっとわからないので、教えていただきたいと思います。 ◎伊藤氏  お米の場合はちょっと難しいところがありまして、基本的にはJAさんの方 に管理状況を聞くような形をとっています。それと、お米の場合は籾を取るの で、結構、除去率がすごいのですよね。  なので、どちらかというと、私どもの感覚としては、食品としてはかなり安 全性は確保されたものということで、履歴を一生懸命調べたりとかしながら、 個々のところでお話をしながら個別の形で適合性を確認していくような形を とるのが基本になっています。  それと、もう1つ、後半は何でしたっけ。 ◎参加者2  農薬の使用基準、要は、農薬取締法に従って実際に行ったかどうか。履歴と してはそういうふうになっているけれども、実際に行ったかどうかの調査や確 認はどうしているかというふうな。 ◎伊藤氏  これも、今、やはり結構いろんなケースが出てきていまして、適合性につい て、まず資料を出していただいたところで、必要のあるものについて現場確認 というのが基本になっています。  ただ、お米の場合はJAさんと話をするような形になるのですが、例えばそ れ以外のレタスのような原材料については適宜、現場に行って、現場の生産者 の方とお話をするようなことを組み合わせながら適合性を確認していくよう な形をとっています。  それと、当然のことながら、必要に応じて一部、バックデータとして検査を お願いすることもあります。  以上です。 ◎コーディネーター  もし生協さんの方で、何か今のことであれば。確認をどのようにとられて生 協さんの方はいらっしゃるのか。 ◎沼倉氏  正確にお話をしたいと思いますので、すみません、生協の担当者にお願いし ます。 ◎コーディネーター  フロアにいらっしゃるみたいなので、もしよければ教えていただければと思 います。 ◎参加者3  宮城生協でお米と農産の産直の方を担当しています横山と申します。  私どものお米というのは、基本的に、供給しています数量のうちの97〜98% は産直米と提携米という形で取り扱いをさせていただいておりまして、提携米 につきましては農協さんの方で栽培暦をつくっていただいているということ を、基本的には信頼させていただいているというような形になっています。  私どもの取り扱いの中で、60%から65%は産直米ということで取り扱いを させていただいておりますけれども、産直米につきましては全産地につきまし て基本的に同じ栽培仕様で同じ農薬を使っていただくということでやらさせ ていただいておりまして、栽培歴についても1人1人きちんと書いていただく ということで、それで確認をさせていただいているという形をとらせてもらっ ています。  残留農薬につきましては、基本的に宮城県の場合は全農さんのところで栽培 歴と残留農薬の検査をサンプリング検査するということをやられております けれども、その上で産直米につきましては残留農薬検査を私どもの商品検査室、 及び商品検査室で検査できないものは外注検査ということで、残留農薬をサン プル検査ですけれども行っておるという形です。 ◎コーディネーター  JAの栗っこさんの方から。 ◎菅原氏  若干、私の方から米の関係についてですが、米トレーサビリティーシステム が16年から始まって、生産履歴関係がきちんと記帳されたという形であれば、 いろいろとJA米なり取り組んでいる生産履歴工程がきちんとされていると いうのが、16年から始まった制度を今、活用しているということであります。 ◎コーディネーター  トレーサビリティーの制度を16年から始められてやっていると。  では、小畠さん。 ◎小畠課長補佐  国の方から指導しているということで、本当にそれが現場に伝わっているの かといったようなお話もあったかと思います。国の方としましても、指導だけ でなく、実際、農家の方がちゃんと農薬を使用しているのかということでのチ ェックというようなことも、事業を組みまして調査点検というのを行っており ます。  これは農産物を販売している農家なのですけれども、大体、毎年4,000戸ぐ らいなのですけれども、農薬の使用記録簿というのを配布いたしまして、農産 物を出荷する時期に使用記録簿を回収して、ちゃんと使われているかというの をチェックするというのを、国の出先機関がございますけれども、そういった ところの協力を得てやっている状況です。  また、一部は農産物をとりまして残留分析もしておりまして、問題ないかど うかといったような点検事業というものを今やっているところです。今ですと、 平成16年度の結果というのが農水省のホームページにも出ております。  これを見ますと、平成16年につきましては、約3,800の農家ですが、その うち不適正使用のあった農家ということで29件で、約0.7%といったような ことがあります。その不適正使用の内容というのを見まして、使用時期を間違 ったとか回数を間違ったとかといったようなことがございます。このような事 例につきましては、これが直ちに問題になるというわけではないのですけれど も、こういうことが継続的に行われるということはよくないことですので、原 因究明と再発防止ということで、そういう事例があったところにつきましては 指導の徹底を図るといったようなことを都道府県について要請しているとこ ろでございます。 ◎コーディネーター  ありがとうございました。  ほかに、何かもし会場からパネリストの方に御質問などありましたら。 ◎参加者4  食品製造メーカーとして参加させていただいています。2点ほど、行政の方 にちょっと質問させていただきたいことがあります。  1点目なのですけれども、余りいい質問ではないかもしれないのですが、も し万が一、悪質な方によって、例えば意図的にそういう残留物質を購入させら れたと。それがたまたま見つかったりとか、本来その食品からは検出されるは ずがないのに検出されてしまったとかというケースの場合、やはりその事実を もって公表したりとか、販売・流通停止をしたりとかということをかけるのか。  それとも、そういう事実関係──私たちのメーカーも一生懸命、原材料の方 を調査して、防除履歴とか農薬の使用履歴とかを集めて、基準内のものを使わ れているということを今ちゃんと調査している段階なのですけれども、もしそ れ以外のもの、本来使われるはずのないものが自分たちの食品から検出されて しまったという場合、その時点でやはり公表されてしまうのか。そこら辺が非 常に心配なので、どういう公表の仕方をするのかということを聞かせていただ きたいのが1点目です。 ◎コーディネーター  では、まず1点目から。 ◎伏見課長  悪意を持って誰かがやると。その部分で犯罪が構成されますので、その部分 で業務妨害になるのかわかりませんけれども、それはそれでしかるべく捜査さ れるべき話だろうと思います。  多分、食品衛生法の立場からいうと、経緯はともかく、マーケットに出てい るものに基準値を超えるものがあるということ、さらに悪意を持ってされたと いうことであると、かなり通常の基準値を超過したものよりもっと危ないもの かもしれないということもあり得るわけで、それは少なくともマーケットから 引き上げる手当てをとらないといけないのかなというふうに思うわけです。  そのときに、公表の仕方ですけれども、明らかに第三者によるものというこ とがはっきりしているのであれば、そういったことも付記した形で当然、公表 すべき話だろうと思います。  ただ、実際には第三者の混入というところがその公表の時点でどの程度、事 実が明らかになっているかということがあると思いますので何とも申し上げ にくいのですけれども、要は、公表して国民の方にお知らせするというのは、 単に違反したものがありましたというのではなくて、これこれこういう経緯で、 こういう範囲で違反が出ましたと。だから逆にいうと、それ以外のものは大丈 夫ですということをお知らせすることでもあるので、どういう経緯でそうなっ たのかということも、もし公表する場合にはそういうことを当然加味した公表 の仕方になるのではないのかなと思います。  ただ、具体的には、多分、その時点で都道府県なり──実際に公表は都道府 県単位でやられることになりますので、ディテールはその場その場でちょっと 変わり得るかと思いますけれども、基本的にはそんなところかというふうに思 っています。 ◎コーディネーター  では、2点目を、もしよければ。 ◎参加者4  先ほどマスコミの方に投げ込みがあったので、そのときにちょっと聞けるか なとかという思いはあったのですけれども、私たちとしても、先ほど言ったよ うに、できるだけ、当然、先ほどおっしゃったように、出た時点で、因果関係 はわからないにしろ、とにかくお客さんに渡してはいけないわけですから、そ こでとめるということは当然、私たちでもすると思います。  2点目の話ですけれども、そんな中で、799目決まっています。検査する義 務はないし、それもはっきり言って無理なものだとは思っていますけれども、 それにしても検証はしなければならない。ただし、799目を本当にやるのは難 しいので、もしかしたらもうできているのかもしれないのですが、その799目 を、マトリックスといいますか、例えば横軸に農畜産物を並べて、縦軸に799 目を並べて、この食品に関して、この作物に関して、この品目に関しては残留 するリスクが少ないですよ、高いですよという区分分けというのを、もし早い 段階で提示してもらえれば、私たちとしても自分たちが取り扱っている作物に 対して、そのリスクの高いものに対してより高く検証するとかということがで きると思うので、もしそういうことを考えていらっしゃるのであれば、それを お願いしたいということが2点目です。 ◎コーディネーター  それはどなたに聞けばいいのか。確かに、農薬によるリスクの程度の……。 ◎片山氏  参考になるかあれなのですけれども、御存じなかったらあれなのですけれど も、基準値について調べようと思えば、例えばこの作物について、今、残留基 準が設定されている農薬がどういうものがあるかというのが出てくる。これは 厚生労働省さんのホームページから入っていって、そういうのが自動的にわか るデータベースにつながりますので、まずそれを、例えばお米であればお米と いうところでクリックしていただければ農薬が幾つか出てきますから、基準が あるということはそれが使われているという可能性が高いので、それを調べる ということは大切になると思うのですね。  農薬数が幾つかあると思いますから、それを網羅するような、例えば一斉分 析法で、多分、一度でできる場合もあると思いますから、それで一番簡便で効 果のある分析法を選んでいただければいいのではないかなというふうに思い ますけれども、あと厚生労働省さんの方で何かありませんか。 ◎コーディネーター  よろしいですか。  時間もだんだんなくなってはきたのですが、何か最後にありますか。 ◎参加者5  食品加工メーカーの者です。2点ほどやはりお伺いしたいことがあるのです けれども、まず1つは、やはり私たちも加工食品メーカーですから、原材料メ ーカーさんの方にいろいろな調査などをお願いしています。そのときに一番困 ってしまっている状況というのが、政府管掌のものを使っている場合、そちら のものに対する担保が何もとれないという回答があります。例えば小麦ですね。 そのようなものに関しては、まず、どのように判断したらいいのかということ です。 ◎コーディネーター  小麦など政府のということで、小畠さん、よろしくお願いします。 ◎小畠課長補佐  小報粉の話ということで話します。  直接、私が担当しているわけではないのですけれども、農水省に食糧部とい うところがございまして、輸入小麦などを扱っているところがございます。そ こで聞いたものなのですけれども、農水省としましては安全な外国産麦、輸入 小麦を国民に供給するという立場から、残留農薬等につきましては安全性が確 認されたものを買いつけているという実情がございます。  また、安全性に関する検査結果につきましてはホームページに公表している というところですので、それをごらんいただくということで、ある程度、内容 がわかるのではないかというふうに思っております。   ◎コーディネーター  もしホームページなどを見てわからなければ、直接お問い合わせをしていた だければと思います。  2点目は。 ◎参加者5  2点目なのですけれども、栽培しているもの、養殖しているものに関する担 保というのは、やはり履歴で確保できると信じています。ただ、やはりどうし ても水産物、あと山菜など天然物に関してのものにはどのように考えていけば いいのかということが、やはり加工食品メーカーすべてのところの疑問点だと 思うのですけれども、そちらに対してはどのように進めていったらいいのでし ょうか。 ◎コーディネーター  片山さん、そういう問い合わせなど加工の方からあると思うのですが、もし よければ。 ◎片山氏  今のような、実は不安というお声は、聞いています。特に今、水産物のお話 がありまして、水産物でも結構、マグロの例など、水銀だとかいろいろな汚染 物質のことが出てきたりして、畜積していく場合があると。これは天然物だか らということで、何にも関係ないよということで安全だということではなくて、 やはりそれなりの規制が出てくるものがあるのだろうと。  今回のようなことはではどうなのだというときに、では何を調べるかという と、確かに調べようがないのですよね。先ほどからお話ししているのは、使っ ているものがあれば、その使っている量が適正かどうかというのをまず調べる のが第一番だというふうにお話ししていますから、使ってないものに対してど ういうふうに調べるかというのは非常に難しいので、基本的に今、多分、水産 系の新聞等に、この農薬等の対応で各団体さんが、例えばワカメだとかそれぞ れの、天然物を使っているところは天然なので大丈夫ですというような形で、 実は文書を出されています。とりあえずはそれで、例えば販売の方々から言わ れた場合には、そういうものをもってお話しするしかないのかなと。  それ以外のところは、何か起きたときに、例えばある一定の地域で、例えば 海の中の農薬に関係するようなものがどこかで検出されたとかがあったら─ ─事故だとかですね、そのときはそういうものに対応すればいいので、今の段 階では何をということでは非常に難しいので、そういう危険性が何か可能性が 出てきた場合に速やかに対応するということが必要なのではないかなという ふうに思っています。 ◎コーディネーター  ありがとうございました。  だんだん時間もなくなってきました。先ほど農薬のリスクの話も出てきまし た。最後に食品安全委員会の宇木さんの方から農薬のリスク評価についてお話 をいただけるということですので、よろしくお願いします。 ◎宇木内閣府食品安全委員会事務局評価課評価専門官  食品安全委員会事務局の宇木でございます。お手元の資料の最後になると思 いますが、「残留農薬等のポジティブリスト制度導入における食品安全委員会 の役割」という題名の資料を配付させていただいております。  後ろから4枚目になりますが、昨日、記者発表、プレスリリースしておりま して、暫定基準が設定された農薬等の食品健康影響評価の実施手順について、 5月11日から6月9日まで意見・情報の募集を実施しております。  こちらの件についての経緯と概要なのですけれども、私どもが事務局をやっ ております食品安全委員会というものは、資料は2ページになるのですが、リ スク評価機関ということで、食品健康影響評価というものを行っております。 具体的には、農薬であれば1日摂取許容量ということで、1日にどれだけの物 質の摂取が許されるのかというものを評価しております。その評価の結果をも とに、リスク管理機関である厚生労働省さんや農林水産省さんでは、作物毎に 農薬等の残留基準値等の設定、または生産指導などを行っていただいておりま す。通常でありましたら、3ページの上なのですけれども、厚生労働省さんの 方から評価の依頼を受けまして、まず食品健康影響評価を実施した上で厚生労 働省さんの方は残留基準値等の設定を行うのですけれども、このたびのポジテ ィブリスト制度への移行に対応しまして、時間的なものだとか、いとまがなか ったということで、具体的には758農薬等の残留基準、暫定基準ですけれども、 新たに設定されております。  この場合は手順が若干違いまして、厚生労働省さんの方でこの基準を設定し た後で、私どもが事務局をしております委員会の方で食品健康影響評価を実施 することになるのですけれども、この具体的な手続なのですが、4ページの下 でして、余りにも物質が多いものですから、例えば農薬であれば食品健康影響 評価を実施する農薬専門調査会というものの評価体制を拡充しております。評 価体制だけでなく、評価を行う実施手順についてもより効率的に行う必要があ るということで、その手順をこれまで検討しておりまして、その方法について 皆様の意見、情報の募集を開始したところです。  その概要なのですけれども、例えばADIの大部分を既に摂取していると思 われるような、1日当たりの摂取量が比較的多いと推定されるものに関しては、 こういったものを優先物質として扱って、通常これまでどおりの評価を行って いくのですけれども、そういうものでない、既に海外でADIが評価されてい るものとかがあった場合には、そういう評価書を中心といいますか、そういっ たものも活用して迅速に、慎重にでもあるのですけれども、評価を実施してい きたいと考えています。  それを具体的に文章にしているものが、5枚目以降の、別紙になるのですけ れども、「暫定基準が設定された農薬等の食品健康影響評価の実施手順(案)」 というものに示しております。6月9日までですが、今回この会場にお集まり いただきました皆様や、その御友人や御家族の方にもいろいろお話をお伝えし ていただきまして、ぜひ情報を御提供いただければと思います。よろしくお願 いします。 ◎コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、もうそろそろ5時になりますので、このパネルディスカッション を終了させていただきたいと思います。 ◎伏見課長  すみません。先ほど消費協会の小林会長の方から御指摘あった件で、1点だ けわかる範囲で回答させていただきたいのですけれども、小林会長の資料5の 1ページ目のところに、ポジティブリスト制度施行前と施行後で違反値がどれ くらい増えるか減るかという表がございまして、先ほど、現行よりも新しい方 で数字で減っているではないかという御指摘があって、私もちょっと職場の方 に確認をしたのですが、これは確かに誤解を招きやすいのですけれども、この 「新」というところは、例えば1が0になっているというのは、現行1で、新 しくなって違反が増える件数が0だということで、増分が0ということです。  したがって、例えば一番最初、マンゴー、台湾・フィリピン、現行2で新が 22となっているのは、現行は2で、新制度になるとさらに22追加される。だ から合計24になるという、そういう趣旨のようでございます。 ◎小林氏  わかりました。 ◎コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、これでパネルディスカッションを終了させていただきたいと思い ます。ありがとうございました。  それでは、司会の方、お願いいたします。              5.閉      会 ◎司会  以上をもちまして、食品に関するリスクコミュニケーションを終了させてい ただきたいと思います。本日は長時間にわたり、また貴重な御意見をいただき まして、まことにありがとうございました。  出入り口におきましてアンケートの回収を行っております。今後のリスクコ ミュニケーションの参考とさせていただきますので、御協力のほどお願いいた します。  本日はどうもありがとうございました。(了)