06/04/21 平成18年4月21日(東京都)食品に関するリスクコミュニケ−ション (米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会) 食品に関するリスクコミュニケーション(米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会) 議事録 平成18年4月21日 東京会場(星陵会館) 1.開 会 ○司会(森田厚生労働省食品安全部企画情報課情報管理専門官) 本日は、大変お忙し い中、御出席いただきましてありがとうございます。ただいまから「食品に関するリス クコミュニケーション(米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会)」を開催いたします。 私は、本日の司会を務めさせていただきます厚生労働省食品安全部企画情報課 森田と 申します。よろしくお願いいたします。 本日の意見交換会は、厚生労働省と農林水産省の主催で開催するものです。初めに、 主催者を代表いたしまして、農林水産省の中川消費・安全局長からごあいさつ申し上げ ます。 ○中川農林水産省消費・安全局長 農林水産省の消費・安全局長中川でございます。本 日は、この「米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会」に多数の皆様方の御参加をいた だきまして、ありがとうございます。改めてお礼を申し上げたいと思います。 米国産牛肉の輸入問題につきましては、去る12月12日に輸入再開を行いましたけれ ども、1月20日になりまして、成田空港で脊柱が混入した牛肉が見つかりまして、厚生 労働省と農林水産省は直ちに輸入手続の停止をしたわけでございます。大変残念な事態 でありましたが、こういったことが将来にわたって二度と起こらないように、アメリカ に対しまして、徹底した原因究明と再発防止策を求めてまいりました。 2月17日に、今回の事案についてアメリカ側から報告書が届きました。その報告書に つきまして翻訳を行いまして、具体的な内容については既に皆様方にも公開もしたとこ ろでございます。 一方で私どもは、その報告書を精査いたしまして、報告書だけではわからないいくつ かの疑問点について質問状も発出いたしましたし、アメリカからは、それに対する回答 も来ました。こういった一連のやりとりをした上で、去る3月28日、29日の両日にわ たりまして、両国の担当者レベルでの会合を開いたわけでございます。 今回の事件がどうして起こったのかという点につきまして、なかなか報告書や、ある いはその後の書面によりますやりとりだけでは十分わからなかった点もありましたけれ ども、この28日、29日の両日の専門家会合におきまして、事件が起こりました経緯等 について、日米間で一定の共通認識が得られたということでございます。 米国産牛肉の輸入再々開に至るまでには、まだいろいろなステップが必要かと思って おりますけれども、ひとまず、今回の事案についての原因等につきまして、一定の共通 の認識が得られたということから、私どもといたしましては、これまでのいろいろな経 緯、明らかになった事実について、消費者の方々をはじめといたします関係者の方々に、 きちんと御説明し、情報提供し、また、その情報に基づいて意見交換を行うというプロ セスが必要だと考えました。 また、アメリカにおきましては、今回の事件に関係しておりますのは2つの施設であ りますけれども、そのほかに輸出証明プログラムの適合施設としては37の施設がリスト アップされております。こういった対日輸出施設につきまして、アメリカとしては改め てレビューするということになっております。 日米双方で、この段階でやるべきことをきちっとやって、それが一段落したところ、 それが終了したところで改めて、その結果も踏まえて、その次のステップに移っていく ということにしたいと私どもは考えております。 冒頭も申し上げましたように、これから米国産牛肉の輸入の再々開に到達するまでに はいろいろな節目があると思います。今回のような皆様方との意見交換会もこれから先、 また一つの重要な節目が来たところで改めて開催するということも考えております。 今日は、これまでに明らかになった事実等について、まず情報提供し、そして、それ に基づくいろいろな御意見を伺うというのが趣旨でございます。これから先のことにつ きましては、まだ私ども自身、いろいろと更に検討していかなくてはいけないことも多 々ありまして、今日のこの機会に明確にお答えできない点もあるかと思います。むしろ、 私どもとしては、これから先に向かって進む上での、言わば共通の認識を得るというこ とを今日の意見交換会のねらいとして位置づけたいと思っております。 そういう趣旨でございますので、これから担当の方より説明をいたしますけれども、 それに基づきましていろいろな率直な意見をいただければと思います。私どもとしても、 できるだけ私どもの考えていることについてはお答えをしたい、また、意見を申し上げ たいと思っております。時間が限られておりますけれども、効率的に進めたいと思いま すので、是非よろしくお願いいたします。 今日はありがとうございます。 ○司会 まず、本日お配りしております資料の確認をさせていただきます。 封筒の中を開けていただきますと、一番最初に議事次第というのがあるかと思います。 その次に座席表があり、その次に、右肩の方に資料と書いてございまして「米国産牛 肉輸入問題について」という資料があるかと思います。 それから、右肩の方に参考資料1、参考資料2、参考資料3と、この3つの種類の参 考資料が付いてございます。 ここまでで、資料に不足等がございましたら、手を挙げていただければ事務局の方か らお伺いしますので、お願いします。 それ以外にも食品安全に関する参考資料、それから、アンケートというのを同封させ ていただいております。アンケートにつきましては、今後の参考にさせていただきたい ということでございますので、御協力をよろしくお願いいたします。 続きまして、本日の議事進行についてでございます。 まず、米国産牛肉輸入問題について1時間程度御説明いたします。その後、10分程度、 休憩時間をはさみまして、意見交換に入りたいと思います。 なお、会場の都合上、終了は4時15分を予定しております。 2.議 事 (1)米国産牛肉輸入問題について ○司会 では「(1)米国産牛肉輸入問題について」、厚生労働省医薬食品局食品安全 部監視安全課の道野輸入食品安全対策室長から御説明いたします。 ○道野厚生労働省食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室長 厚生労働省の食品安全 部の道野と申します。よろしくお願いいたします。 それでは、お手元の資料と同じものでありますけれども、パワーポイントを使って、 これまでの米国産牛肉の輸入問題について御説明申し上げます。 (PP) 一応、私の方から説明する本日の予定の内容といたしましては、まず、牛肉問題の経 緯。それから、先ほど中川局長からお話のあった1月20日の輸入手続停止の事件の内容。 その後の対応といたしまして、国内流通品への対応。 それから、その後の米国との協議。内容としては、1つは米国側の調査報告書。それ に基づいて日本側から米国へ照会いたしまして、その回答。更には3月末の日米専門家 会合の内容。 こういった、これまでの経緯・事実関係について御説明したいと思います。 (PP) 「米国産牛肉問題を巡る経緯」ということです。 まず、2年半ぐらい前になりますけれども、平成15年12月24日に米国で初めてBS Eの感染牛ということで確認されました。一応、我が国ではBSE発生国からの牛肉、 それから、関連製品について輸入を暫定的に禁止するというような措置を従来から取っ てきているということがございまして、米国についても同じように牛肉等の輸入禁止措 置というのを取りました。ただ、日本も入っているWTO協定のSPS協定の中で言え ば暫定的に輸入を禁止したということになるわけでして、輸出国側からの協議の要請と いうことがあったわけですので、その直後から継続的に日米間での協議というものがず っと持たれてきたということであります。 平成17年5月24日に至りまして、米国産牛肉等の輸入再開に関して食品安全委員会 に諮問しております。これは食品安全基本法において施策を講ずるに当たっては食品健 康影響評価を行わなければならないと定められておりまして、非常に重要な事項という ことで食品安全委員会への諮問ということになったわけです。 内容といたしましては、この1年半にわたる日米間の協議、特に平成16年10月の局 長級協議を踏まえて、米国産牛肉と我が国の国産の牛肉の2つのBSEリスクの同等性 についての評価を依頼したわけです。その後、プリオン専門調査会において10回の審議 を経た後、昨年12月8日に米国産牛肉等のリスク評価について食品安全委員会から答申 が得られたわけです。 答申の内容といたしましては、まず1つは米国・カナダのBSEリスクの科学的同等 性を評価するのは困難であるということが1点。 もう一点は輸出プログラム、2つの条件ですけれども、全頭からのSRM除去、それ から、20か月齢以下の牛に由来するということです。そういった輸出プログラムが遵守 されたと仮定した場合には、米国・カナダ産牛肉等と国内産牛肉等のリスクの差は非常 に小さいという2つの結論が得られております。 (PP) 昨年12月12日に至りまして、米国及びカナダ産牛肉の輸入再開について決定という のは、実際には米国・カナダ政府に対して通知したというようなことでありまして、内 容は見てのとおりなんですけれども、それに併せて輸入再開に当たっての政府としての 対応であるとか、それから、Q&Aについても同時にリリースをしております。 翌日の12月13日から12月24日にかけて、米国とカナダにおける日本向け牛肉の認 定施設、米国とカナダにおいて日本向けの牛肉の処理ができるということで、政府から 認定を受けた食肉処理施設に対して査察を実施いたしました。米国については11か所、 カナダについては4か所ということでございまして、結果としては、この査察において 対日輸出条件に不適合なものというのは認められなかったということでありました。 今年の1月20日に至りまして、農林水産省動物検疫所成田支所、成田空港です。それ から、厚生労働省成田空港検疫所において、脊柱を含む米国産の子牛の肉が発見された ということでございまして、輸入手続を停止したわけでございます。この内容につきま しては、後で詳しく御説明しますけれども、当該ロットについては、すべて積み戻しと いうことになっております。 こういった事件に対応して、内容的に言いますと、勿論、脊柱というのはSRM、特 定危険部位ということで、米国から日本には輸出しないということが二国間の約束事に なっていたわけですけれども、それが含まれるものが輸出され、証明書についてもそう いった部位であるということが明記されていながら、日本向けのプログラムに適合して いるんだというような署名もすべて付いていたということで、これは非常に重要な違反 である。なおかつ、再開してから1か月余りということで、そういった事案の重要性と いうことを重視しまして、手続を停止したわけです。 (PP) 2月10日に至りまして、国内に既に輸入された米国産牛肉というのは730 トンぐら いあったわけですけれども、それの調査結果を発表しております。内容については、成 田で見つかったものと同じようなものが輸入されていないかどうかについて調査いたし ました。それの調査結果を公表したという内容であります。 2月17日でありますけれども、米国農務省から調査報告書が日本側に提出されてきた ということであります。この調査報告書につきましては、米国側で公表もされていたわ けですけれども、3月3日に報告書についての和訳を公表しております。添付資料につ いても、17日、2週間後ですけれども、公表してございます。 3月6日に、その調査報告書に対する照会をいたしまして、その内容を公表しており ます。 更に、その照会に対する農務省からの回答について18日に到着しまして、20日に和 訳を公表しております。 それから、3月28日、29日の2日間、日米専門家会合ということで、担当者レベル の協議というのを開催したわけであります。 (PP) 「日本向け輸出プログラムの概要」ということで、もう皆さん御承知だと思いますけ れども、特定危険部位(SRM)はあらゆる月齢から除去。あらゆる月齢といいまして も、下にあるように、条件が20か月齢以下ということになっているわけですから、20 か月齢以下と証明される牛由来のものについて、SRMをすべて除去してくるというこ とが対日輸出条件になっているということです。 この3番目の条件というのは、結局、言わずもがななんですが、そういった対日輸出 品とその他のもの、国内向けとか他国向けのものについてきちんと分別・管理がされる という条件が付いているわけであります。 実際に、日本向けに輸出可能となる牛肉ということになりますと、下に書いています けれども、ひき肉とか加工製品といったものは対象外にしています。 まず、日米間の協議においても、最も管理がしやすいという観点から言いますと、枝 肉からカットしたもの。要するに、と体から直接製品として取れるようなものが一番管 理しやすいということで、こういったものをまず対象にするということで整理したわけ であります。 (PP) これは「米国における輸出プログラムの遵守について」ということで、これは米国側 で対日輸出施設について認定する場合の手続を模式化したものです。 米国農務省の中で、今回関係している部署が農業販売促進局といいまして、アグリカ ルチャー・マーケッティング・サービス、AMSというところと食品安全検査局、FS IS、フード・セーフティー・アンド・インスペクション・サービスという、この2つ の局があります。 まず、AMSの方でやっている仕事というのが、1つは日本向けの輸出プログラムに 参加する食肉処理施設の認定をやります。食肉処理施設というのは、施設の種類から言 うと、と畜場と、いわゆるカット施設といいますか、部分肉、ブロック肉に加工する施 設ということになります。 まずは、そういったと畜場、それから、カット施設といったところからプログラムに 参加するということの申請を受けまして、こちらの方で書類の審査と現場での確認とい うことをやった上で、問題がなければ認定する。それで年に2回監査を行うということ をやります。これがAMSの仕事です。 もう一つは、FSISの仕事があります。FSISは、日本で言えば都道府県の衛生 部局です。食肉衛生検査所と、厚生労働省の私どもの部を併せたような機能を持ってい るところで、食肉の処理施設に検査官が派遣されて、常駐して、監督して、と畜検査を やっているというようなところであります。 ここの検査官が、対日輸出する場合の証明書の発行であるとか、現物の確認であると か、それから、日本への輸出条件に合っているものかどうかということのチェックをし ます。もしも、日本向けの輸出基準に合わないものがあった場合には、そのレポートを AMSの方に情報提供といいますか、通報するというようなことで対日輸出基準を遵守 させるということを進めるわけです。これは役所の方の機能です。 それから、処理施設の方は、当然のことながら、対日輸出の品質の管理プログラムを 自ら作成して認定してもらうわけですので、それを遵守するということになります。勿 論、日々の管理をするというのも一つあるんですけれども、内部でも、ここに「内部監 査」と書いてありますけれども、監査部門というものを設けて確認するということにな ります。(PP) その中身ということなんですけれども、AMSによる認定ということがあるわけです けれども、先ほども申し上げたとおり、年に2回のAMSによる外部監査。 同じように書いていますけれども、これは内部です。当該企業の監査部門による内部 監査と、こういった2つのチェックシステムを持つということが1点。 その企業が、マニュアルに基づいて管理するわけですけれども、その内容としては組 織であるとか、訓練というのは要するに対日輸出基準を理解させて、それに基づく処理 なり加工なりができるように訓練する。 それから、製造条件、製品管理ということで、SRMを全頭から除去するとか、区分 管理だとかそういったものです。勿論、問題があった場合に、直ちに発見した場合に是 正していく。それから、予防措置を取っていく。 こういうような手順をマニュアル化して、管理するというような仕組みが企業内で取 られるということになります。それによって、でき上がりといいますか、日本向けの輸 出品についてはSRMはすべて除去され、20か月齢以下と証明される牛由来ということ になるわけです。 これらについては、手順を文書化し、また、記録を保存・管理するというようなこと が求められるわけです。 (PP) アメリカからそうやって輸出された牛肉については、先ほど申し上げたとおり、FS ISの検査官の証明書が発給されて、日本に到着するわけです。ここで輸入の届出が行 われて、動物検疫所、食品の方の検疫所の2段階のチェックを経て、書類審査、現物を 確認する検査ということがあるわけですけれども、合格したら国内に流通するというこ とです。1月20日の問題というのは、成田空港の動物検疫所において脊柱を含む子牛肉 が3箱発見されたというようなことになります。 (PP) これが、実際のそのものでありまして、脊髄はきれいに取られています。 この部分が脊柱ですけれども、これが付いているというようなものであります。 (PP) 「今回の違反を受けた我が国の対応」ということで、当該違反貨物についてはすべて、 実際には積み戻しが行われたと聞いています。勿論、焼却処分という選択肢もあるとい うことで、こういうふうな書き方をしてあります。 それから、米国政府に対して原因究明と、その改善策についての適切な報告があるま での間、すべての米国産牛肉の輸入手続を停止というようなことです。ここで輸入手続 を停止となっているわけですけれども、今回の場合、そういった二国間の約束事が明確 に守られなかったということがわかったわけですので、それについての原因究明、改善 策をきちんと確認するということが必要になっている。米国のリスクの状況が変わった とかそういうわけではありませんので、輸入禁止ではなくて手続をストップしたという ようなことであります。 これは、先ほど申し上げたとおり、再開の直後であるということ。それから、危険部 位の脊柱。なおかつ言えば、証明書。それから、カートン表示。それはみんな整合して いるということが、やはり内容としても重大と考えております。 (PP) 手続を停止した後の対応ということになるわけですけれども、1つ目は「III 国内 流通品への対応」ということです。 (PP) そういったことで、1月20日に輸入手続を停止しましたので、それまでに厚生労働省 の検疫所の方に輸入届出をされたものが1,496 トンございました。そのうち、まだ手続 が終わっていない、先ほどちらっと出ていましたけれども、検疫所の方で全ロットにつ いて現物の検査をしている。全部箱を開けているわけではないですけれども、各部位ご ととかに一定の数のカートンを開けて確認する。あと、表示だとか、外装についてはか なり厳密に確認していた。そういう検査をずっとやっていたものですから、輸入手続は かなり時間がかかっていたという事情もあったようなんですが、届出が出ていた1,496 トンのうち、そういった検査が終わって通関していたものは730 トンで、半分以下が通 関していたということになります。 私どもとしては、成田と同様の事例が既に輸入されたものにあるかないかということ について確認しておこうということで、まずは衛生証明書といいまして、米国の農務省 が発行した衛生証明書に、どういう部位のものが入っているかということについては明 らかになっていますので、その中で、例えば脊柱周辺ではないところということが明ら かなもの。あとタンとか横隔膜といった脊柱の混入があり得ないものについては、まず、 この対象から除外しました。これは155 トンです。調査対象としては、衛生証明書にこ ういった脊柱周辺部位が含まれる可能性があるものというのは、その残りなわけです。 更に、同じ証明書の中に脊柱周辺でないもの、明らかに違うものというものも含まれ ていますが、それを除外していくと、脊柱周囲の部位については249 トンあったわけで す。これらについて、すべてずっと確認していって、481 トンについては問題なしとい うことを確認しました。 93トンについては、既に流通していて、輸入者の方、もしくはその次の販売者ぐらい までは追いかけることができたわけですけれども、ずっと転売をされていて確認できな かったものは93トンありました。ただ、それについても脊柱混入等の情報というのはご ざいませんでした。 (PP) 次に、米国との協議の経緯について御説明します。 (PP) 「対応の基本的考え方」ということで、先ほど、1月20日の事案の御説明でも申し上 げたとおりですけれども、米国政府に対して徹底した原因の究明と十分な再発防止の検 討、その報告を要求するということであります。 食中毒とか、そういう食品衛生法の違反事例などは、基本的に問題の解決法というの はみんな似ているわけですけれども、やはり原因が何かということがまず明確にならな いと、再発を防止するためにはそういったはっきりした原因に対応して対策を講じてい くということが基本になるわけです。そうしないと、なかなか厳密な意味での再発防止 というのは難しいわけです。 ただ、勿論、原因というのはただ1つで特定されればいいですけれども、多くの場合 は幾つかの可能性もあるわけです。そういった場合には、それぞれの可能性に対して対 策を講じていくということが基本的な考え方だと思います。 2番目ですけれども、そういったことで報告を要求した上で、今回のような事例が起 きることのないよう今後の対応をしっかり検討しましょうということが基本的な考え方 なわけです。 今回の事案に関しては、勿論、12月の輸入再開の段階で私どもの判断した科学的合理 性に基づいた判断が必要ということは勿論そうなんですけれども、米国の輸出プログラ ムに対する信頼性の問題ということについて、今回の事案というのはそれが損なわれた わけですから、それについては信頼の回復が必要だということになるわけです。 (PP) これは、米国側から2月の半ばに提出された報告書です。2月17日に公表されたもの で、和訳は3月になってしまいましたけれども、それを模式化した概要のスライドです。 今回は、2つの対日輸出の認定施設が関係していました。通常というのはおかしいで すけれども、多くはと畜場と食肉処理施設。要するに、と畜場というのはおおむね枝肉 まで処理するというのがと畜場でして、その後、カットをしていって大きなブロック肉 のレベルぐらいまでつくっていくのが食肉処理施設ということになるわけですけれども、 アメリカの多くのパッカーは併設しています。 ところが、ここはそうではなくて、ゴールデンヴィール社。どうもオーナーシップは 同じらしいんですけれども、会社がそれぞれ別になっていまして、ゴールデンヴィール 社というのはと畜場を運営していた。それから、アトランティック・ヴィール・アンド ・ラム社がカット施設、食肉処理施設の方を運営していたということになります。 業務内容については、子牛肉専門の処理会社でありまして、ここに書いていますとお り、子牛のと殺・解体まで。勿論、と殺・解体するわけですので、枝肉のほかに内臓な ども出てくるというようなことになります。 一方、アトランティック・ヴィール・アンド・ラム社というのは、枝肉からそれをカ ットしていくという分割行為。それから、内臓肉に関しても同じような分割行為。それ で出荷するということ。勿論、外国への輸出もあるというようなことです。 ゴールデンヴィール社についてはオハイオ州にある。アトランティック・ヴィール・ アンド・ラム社はニューヨークのブルックリンということで、地理的にも離れていて、 一応、別々の会社なんですけれども、オーナーは同じというような関係にあります。そ ういうことで、こちらでそういったと殺・解体をして、こちらで出荷できる状態にする 仕組みになっています。 対日輸出認定に関して、もしくは今回の事件に関して、それぞれ冒頭にお話ししまし たAMSとFSIS、農務省の2つの機関がどういう関与をしていたかということにな りますと、AMSの方は対日輸出施設としての認定を両方に対してやって、認定が1月 6日だったと思いますので、認定後の査察というのは一度も行われていないんですけれ ども、年2回は査察するというのが一応AMSの仕事だったということです。 もう一つは、生理学的成熟度による月齢判別ということを、AMSの方が例のA40と いって、特に脊柱の棘突起の先端の軟骨の骨化の具合で月齢を判断しようという生理学 的成熟度ですけれども、そういった判断ということもAMSがやるという役割分担にな っている。 一方、FSISですけれども、勿論、国内の安全規制の施行ということで、中身とし て食肉検査、施設の衛生管理というようなことが仕事になっています。これはゴールデ ンヴィール社についても、アトランティック・ヴィール・アンド・ラム社についても同 じであります。要するにミートインスペクションと言っていいのか、と畜検査の方に関 して言えば、枝肉になるのはこちらなので、こちらは食肉検査というのは入っている。 こちらは入っていないということになります。 それから、対日輸出施設マニュアルに基づく作業の検査のチェックということで、こ れもFSISの方が日々の監督の中でチェックしていくということになっています。た だ、輸出は、当然のことながら、これは枝肉までしか行かないので、このままここから ストレートに外国に輸出するということはありませんので、こういったカットして製品 になったものに関して輸出証明書が発行されるというところがFSISの業務になって いるわけです。 (PP) 「今回の米国産牛肉せき柱混入事案の概要」ということでありますけれども、ゴール デンヴィール社、オハイオ州の方のと畜施設から「せき柱付きの子牛の枝肉を出荷」と 書いてありますけれども、枝肉というのは脊柱付きなのが普通なんですけれども、その 脊柱をアトランティック・ヴィール・アンド・ラム社で、事象としては結局、脊柱を除 去せずに、先ほど写真にあったような形で脊柱を含む子牛肉を輸出したというようなこ とになります。その際に輸出証明書がFSISの検査官によって発行されているわけで すけれども、ここに書いているとおり、検査官が日本向け輸出プログラムを十分理解し ないまま証明書に署名してしまったというようなことです。 もう一つは、後日、アメリカからの報告書によって判明したことですけれども、日本 向け輸出プログラムの要件を満たしていない内臓に対して、輸出プログラムに適合して いるという申告書を付けて出荷したということでありまして、AMSの報告書を読むと、 AMSの方の評価としては、内臓に関しては日本向けのものを分離して、要するに分別 管理するプログラムがゴールデンヴィール社にはないということで、こういったものの 出荷はできないということになっていたようです。それを対日輸出向けだ、適合してい るという申告書をくっ付けてアトランティック・ヴィール・アンド・ラム社の方に出荷 した。 納入記録には、日本向け輸出プログラムを満たしているという記録はないんですけれ ども、やはり、それをそのまま日本向けに内臓と胸腺、胸腺自体は通常、子牛のときに 一番大きく、大人になるとだんだん小さくなるというリンパ組織ですから、この胸腺は 子牛特有の製品と思っていただいていいのではないかと思いますけれども、そういうも のが同じように検査官が証明書を付けて輸出するということになります。 後ほどで出てきますけれども、米国側の主張は、非常に特殊事情といいますか、特異 例だと説明するわけですけれども、一つの背景事情としてあるとすれば、そういう唯一 の対日輸出認定を持った子牛専用のと畜施設であった。それから、アトランティック・ ヴィール・アンド・ラム社に関しては、唯一の日本向けの子牛肉の加工施設であったと いうことだそうです。 (PP) 「ゴールデン・ヴィール社(G社:子牛と畜施設)での問題点」。これは一つひとつ 整理していきますと、まずはと畜の方の施設の問題点ということなんですが、ゴールデ ンヴィール社のマニュアルには、日本向け輸出に必要な内臓の分別管理が規定されてい ないにもかかわらず、日本向け輸出に適合しているという申告書を発行した。それが結 局、結果として日本向け輸出に適合していない内臓が、適合品としてアトランティック ・ヴィール・アンド・ラム社に向けて出荷された。こういうようなことがあるわけです。 これの考えられる問題点としては、まず1点目としては、内臓が日本向け輸出に適合 していないことがG社のマニュアルに明確に規定されていなかったことがあります。 これは、AMSの方の評価なんですけれども、この施設の責任者、マネージャークラ スの人たちは知識を有していたということで認定されました。ただ、他の従業員、アメ リカの報告書の添付書類にたくさんの人の供述書といいますか、調査をした結果が付い ているわけですけれども、従業員の中には対日輸出基準を理解していないという人が実 際にいたということが確認されているわけです。 (PP) もう一つは、加工施設である「アトランティック・ヴィール・アンド・ラム社(A社 :職肉加工施設)での問題点」ということです。 1点目は、アトランティック・ヴィール・アンド・ラム社のマニュアルには脊髄の除 去が規定されていたにもかかわらず、除去されていなかった。結果として、脊柱がくっ 付いた子牛肉が輸出された。 内臓については、日本向け輸出プログラムを満たした製品の納入記録には、ゴールデ ンヴィール社から来た製品が到着した際の納入記録には日本向けということを、記録に はないわけですけれども、恐らくアトランティック・ヴィール・アンド・ラム社の方で はゴールデンヴィール社がそういった申告書を付けていたということで、日本向けに処 理したということで、適合品でないものが日本に輸出されたということになるわけです。 これの問題点というのは、せき柱除去の具体的手順がA社のマニュアルに明確に規定 されていなかったということでありまして、これはどういうことかといいますと、必要 な脊柱の除去の規定というのは、例えば日本とアメリカの政府間で結んだEVプログラ ムの条文を引用しただけというような、非常に一般的な書き方が一つありまして、具体 的手順というのははっきりしないというところがあるということだと思います。 それから、責任者は知識を有していたと認定されたが、他の従業員については理解度 が不足していた。これは先ほどのゴールデンヴィール社と同じことです。 (PP) 更に、今度は「食品安全検査局(FSIS)検査官の問題点」ということで、A社の 担当の検査官は輸出証明申請を受けるまで、A社がEVプログラム、特に日本向けの認 定を受けたということについて知らなかった。それから、A社担当の検査官は日本向け EVプログラムを当然熟知もしていなかったということで、日本向け輸出条件に適合し ないこういった2つのカテゴリーの製品について証明書に署名してしまったということ であります。 ここから来る2つの問題点としては、1つは、なぜ、この検査官がこう いったことを知らなかったか、もしくは熟知しなかったのかということでありますけれ ども、FSISというのは農務省の機関で、アメリカではそういった食肉の検査を連邦 政府が直轄で検査しています。アメリカも広いので、地域ごとに統括する事務所があり まして、その地域を統括する事務所のそれぞれを対象に、日本向け輸出条件の周知を図 るために電話会議というものを農務省が開催したわけですけれども、その際に、このア トランティック・ヴィール・アンド・ラム社はまだ認定申請をしていないというような 事情があって、この地域事務所はそういう対日輸出施設があるという認識がなかったと いうことです。 それから、FSISの検査官が日本向け輸出証明業務を行うに当たって、その責務を 理解するための措置が十分に取られていなかった。これも(1)に関連する話で、要は農務 省から情報がうまく、この現場の検査官におりていなかったのではないかということで す。 (PP) 「(2)米国への照会事項及びその回答」ということです。 (PP) 私どもの方で、米国側の調査結果・対策報告書について疑問点を整理して照会したと いうのが3月6日になります。 グルーピングすると、全部で6つ。「1 全般的な事項」「2 農業販売促進局(A MS)に関する事項」「3 施設に関する事項」「4 食品安全検査局(FSIS)に 関する事項」「5 再発防止のための改善措置に関する事項」「6 その他の事項」。 基本的に、現時点では、やはり原因調査ということがスタートですので、そちらに重点 を置いて、ただ、農務省の方で再発防止措置についても公表していますので、一部、事 実関係については改善措置についても聞いている。そんなような整理です。 (PP) 「主な照会事項とその回答の概要」ということです。 まずは、今回の原因ということ。それは、どうして原因は何かというのを詰めようと したかというと、結局、他の対日輸出の認定施設で同じような問題が本当にないのかと いうことが、やはり一番重要なわけです。もっと言えば、この2施設に関しては、この 事件があって対日輸出認定は取り消されているわけですので、この施設を原因としても う一回起こるということはないわけですので、では、ほかの施設は大丈夫かということ になるわけですけれども、大丈夫かどうかを評価するには原因がはっきりしていないと なかなかうまくいかないということです。 今回の事案については、施設が審査を受けたマニュアルを守らなかったということ。 それから、輸出条件に違反していることを農務省の食品安全検査局が見つけられなかっ た。この2点がアメリカ側の見方であります。 これについては、昨年12月に各地域の責任者を通じて、先ほど言いましたFSISの 各地域の地域事務所の責任者を通じて日本向けの処理条件を周知したわけですけれども、 ブルックリンのアトランティック・ヴィール・アンド・ラム社は当時日本向けに認定さ れていなかったということがあって、その地域を統括する責任者は、自分のところは対 象ではない、関係ないと考えて電話会議に参加しなかったということがあったようです。 結果としては、現場の検査官にも周知が行われなかったということです。 これは、アメリカ側のもう一つ重要な方の、他の施設で同様の問題がないかというと ころなんですけれども、これに関しては、これまでの監査や顧客からのフィードバック、 要するに、これまでの監査というのはAMSがやっている年2回の監査とかそういった ものです。それから、顧客からのフィードバックというのは顧客から苦情があった場合 というのも、こういった品質管理プログラムの中で対応しなければならないという重要 な事項になっていますので、そういった内容から見て、輸出条件については理解されて おり、適格品のみが輸出されていると農務省は確信していますというふうな答えが来ま した。 (PP) 次の問題点なんですけれども、認定に関する事項。AMSはこういった対日輸出基準 が守られなかった施設を、結果としては認定してしまったわけです。日本は、その認定 自体に問題はなかったのかということについて照会しています。 実際に担当した職員の方というのは、施設の責任者が相応の経験を有し、牛肉・子牛 施設の監査プロセスを理解していたという評価をしています。それから、輸出マニュア ルが輸出条件に適正に対応していたこと、施設の責任者が日本向けの条件についての知 識を有していたこと等を確認しており、結果としてAMSの審査には問題はなかった。 マニュアルも正しかったし、責任者にインタビューしたけれども、よく理解していたと いうのがAMSの評価だったわけです。 それから「審査を受け、マニュアルに従わず輸出品が処理されたため、当該施設は認 定リストから除外した」と書いていますけれども、結局、マニュアルに従わずに施設が 処理したということが問題なんですという返事です。 (PP) あと、施設サイドについて、先ほどのAMSの言葉を借りれば、基準をよく理解して いて、マニュアルもきちんと整えられていたということなわけです。 では、その施設の担当者はなぜ責任を果たせなかったのか、マニュアルどおりにやら なかったのかということですけれども、これは米国サイドに言わせれば、施設側がマニ ュアルを守らなかったことは明らかであると。結局、先ほどのプロセスを思い出してい ただいてもわかるとおりで、脊柱付きの肉というのは、施設から輸出証明を出してくだ さいという申請が農務省のFSISの検査官に上がってくるわけですから、そういった ものを処理して輸出した責任というのは、あくまで施設側にあるというような内容です。 それから、マニュアルは日本向けの条件を含んでおり、現地監査では、施設の責任者 も脊柱除去や内臓の分別の必要性を十分知っていたことを確認しているというようなこ とです。 (PP) 4番目ですけれども、今度は「FSISの検査官はなぜ不適格品を見逃したのか」と いうことでした。 1つは、先ほどの繰り返しになってくるので簡単にしますけれども、まず認定された ことを知らなかったということ。 そういった地域の事務所の方が、当初の電話会議に参加しなかったというようなこと もあって、日本向けの輸出証明の責務を理解させるための追加措置がその後も行われな かった。 それから、ここに書いていますとおり、地域を担当する責任者が周知を受けておらず、 結果として現場のFSIS検査官への周知も行われなかった特異なケースであった。 報告書を細かく読むと、検査官の人も申請を受けてウェブサイトを探したと。USD Aのウェブサイトの中には、輸出のそういう基準を詳細に書いたコーナーがあるわけで すけれども、それがうまく探せなかったというようなことも言っているようです。 (PP) 「主な照会事項とその回答の概要」の最後として、改善措置に関する事項ということ です。 AMSにおける措置として、「マニュアルには、輸出できる具体的な製品を明記する こととし、輸出認定施設の再調査を実施」。これはどういうことかと申しますと、今回 問題になったのはトリムドロインという部位と、ホテルラックという部位で、これはア メリカも、そういった牛肉の製品のライブラリーを見ると、今、子牛肉のコーナーに載 っているわけですけれども、通常、脊柱が付いているようなたぐいの製品です。そうい ったことで、そういう輸出できる具体的な製品を明記すると、そういうものは大体載っ てこない。 内臓についても、ここの施設から出されたのは胸腺と舌ですけれども、危険部位では ないので、日米間のルールでは輸出可能なんですけれども、先ほど御説明したとおり、 ゴールデンヴィール社の方でそういう分別管理をする管理基準がなかったということで、 そういった処理された内臓は輸出できないということになっているわけですけれども、 そういうことがはっきりしていなかったということが問題だということで、マニュアル に製品を明記する。更に輸出認定施設についての再調査も行う。 「輸出認定施設が輸出できる具体的な製品をリスト化して、省内ウェブに掲示すると ともにFSISに提供」。これはAMSの方で情報を共有するために役所のウェブサイ トに掲載するということと、連携の問題です。2つの役所が出てくると連携の問題とい うのがいろいろ出てくるわけですけれども、FSISにその情報をきちんと提供する。 それから、AMSにおいて輸出品が輸入国向けに適格である旨の証明ということを輸 出申請ごとにやっていこうということ。 輸出再開後は、抜き打ち審査を実施する。 こういったことが回答として来ました。 (PP) FSISにおける改善措置ですけれども、今回はFSISの検査官が自分の役割をよ くわかっていなかったというようなことがあります。2人の検査官が関係していたわけ ですけれども、1人は当該施設を担当している検査官。それで輸出基準に適合するかど うかということを審査しなければならない。必要があれば現物もきちんと確認するとい うことが必要なわけです。 更に、そういった書類のチェックが終わった後で、もう少し上役の人がサインをする というようなことになるわけですけれども、そういった役割がこの2人の間での責任の 認識というのにずれがあったというようなことです。そういったことで、FSISの通 知を改正して明確化したというようなことです。 もう一つは、やはり先ほどのAMSと同じように、認定施設が輸出できる具体的な製 品についてはっきりとFSIS検査官に情報を提供するということ。 FSISの検査官が輸出基準をよく理解していないということがありましたので、研 修を行って、なおかつ最終的に試験に合格しないと輸出施設の検査官として認めないと いうようなこと。 それから、輸出認定施設と担当のFSIS検査官に対して改めて審査をやるというこ とです。 (PP) あと、回答としては連携ということで、認定や取消しに当たり、その都度、AMSは、 認定する方はちゃんとFSISに、日々検査している方に通知する。 輸出施設に関しては、認定する前にFSISの検査官の研修が終わっているというこ とをルール化するということ。 それから、先ほどの繰り返しになりますが、具体的な製品をリスト化して明示すると いうこと。 あと、輸出の際に、先ほど申し上げたとおり、FSISが最終的に輸出証明のサイン をするわけですけれども、その前段のプロセスとして、AMSの方がある輸入国向けに 適格だということについて確認するというプロセスを加えるということです。 (PP) こういったやりとりがあって、なかなか日米間で理解が近づかないということもあり まして、専門家会合を3月に行っております。 (PP) 3月28日、29日ということで、日米の担当者レベルの協議ということです。 (PP) 日本側としては、アメリカ側に日本側の基本的な認識を冒頭に発言しているわけです けれども、要するに脊柱が含まれる牛肉が来たということについては誠に遺憾であると いうことで、徹底的な原因究明と再発防止が必要だということです。 それから、今回の事案というのは非常に重大だということもあって、国民の間に生じ た疑問というのは当該施設だけではなくて、米国農務省のチェック機能全般であるとい うことも申し上げています。 更に、手続の再開にはシステムの信頼性への疑問の払拭ということが不可欠ですとい うことを、冒頭、日本側がアメリカ側に発言しております。 (PP) 「会議の概要」としましては、先ほど挙げられた事項について意見交換しております。 (PP) 一定の共通認識というのを書いていますけれども、具体的な内容というのは、この2 日間の会議でどういうことについて共通認識を得たかというようなことです。 下の小さい方がはっきりしているのであれなんですが、今回の事案は、問題の施設が 認定されたQSAマニュアルに従わなかったこと。施設が認定されたQSAマニュアル というのは、要するに施設側が自分でつくって農務省に認定されたマニュアルです。こ れに従わなかったということです。それから、FSISの検査官がそれを発見できなか った。その結果、発生したことである。それはそれで、原因としてはそういうことなん でしょう。 ただ、問題となった施設の認定に関してAMSが認定したことに関して、 当時の判断としては、彼らは手順に従って認定したということではあるんですけれども、 やはり幾つかの改善点というのはあったんだろうと。その一つは、先ほどの原因のとこ ろでも若干触れましたけれども、やはりマニュアルなり、マニュアルに基づく手順書な り、そういったものがより具体的、現実的なものであったとすれば今回の事案を防ぐこ とができたのではないのか。そういう可能性が高まっていたと考えられるというような ことです。 端的に言うと、AMSにより認定された対日施設のQSAマニュアルに改善すべき点 があったというようなことになるわけです。 (PP) こういったことを踏まえて、今後、これまでの経緯について日本側は説明会を実施す るということが1つ。私どもの方としても、勿論、国会等でのいろいろなやりとりとい うのはあるわけですけれども、一般の方々に対しては農林水産省、厚生労働省のウェブ サイトで情報を提供し、勿論、御意見についても受け付けていたわけですけれども、実 際に説明会をして経緯について御説明しようというのが1点。 米国側につきましては、やはり問題の他の38について、結局、日米の専門家会合の中 で認定に際しても改善すべき点があったということも認めていたわけでして、他の対日 輸出施設についても問題はなかったのか。対日輸出プログラムというのは守られている のかというようなこと。勿論、今後、守られるかということも含めて米国側は調査する ということになるんだと思うんですけれども、そういったことで、米国側については日 本側が提示する調査項目を含めた他の対日輸出施設に対する再調査。それから、改善策 の具体化ということを行っていくと。冒頭、中川局長からも説明があったとおり、今後 の話についてはそういった結果を踏まえて対応を検討していこうというようなことにな ったわけです。 (PP) 「おわりに」ということで、私からのこれまでの経緯についての説明は以上でありま すけれども、米国産牛肉等への対応に関する情報というのは両省のホームページに掲載 しておりますし、御意見についても受け付けておりますので、勿論、今日、意見交換し ていただくということなんですけれども、更にという場合にはこちらの方にお願いでき ればと思います。 私からの説明は以上であります。どうもありがとうございました。 ○司会 では、ここで、短くて恐縮ですけれども、10分間の休憩といたします。午後3 時に再開いたしますので、時間になりましたらお席の方にお戻りください。 (休 憩) (2)意見交換 ○司会 それでは、お時間がまいりましたので、意見交換を始めます。 まず、皆様の前におります本日の行政側の出席者を紹介いたします。 皆様からごらんになって一番右側ですけれども、内閣府食品安全委員会事務局の西郷 リスクコミュニケーション官です。 中央右側になりますが、冒頭ごあいさつ申し上げました農林水産省の中川消費・安全 局長です。 その右手、農林水産省消費・安全局の釘田動物衛生課長です。 中央左側、今、席が空いておりますけれども、厚生労働省の松本食品安全部長です。 国会の関係で遅れておりますが、後でまいりますので、よろしくお願いします。 その左側、先ほど御説明申し上げました厚生労働省食品安全部監視安全課の道野輸入 食品安全対策室長です。 最後になりますが、一番左が厚生労働省大臣官房の藤井参事官です。 意見交換の議事進行につきましては、藤井参事官にお願いいたします。 ○藤井厚生労働省大臣官房参事官 それでは、時間も押しておりますので、意見交換を 進めさせていただきたいと思います。 本日の意見交換会の目的は、冒頭の中川局長のごあいさつの中にもありましたように、 1月20日に見つかりました背骨をめぐる現在までの状況を前半部分で御説明いたしま した。それに対しまして、いろいろな立場の方から御意見をいただくということでござ います。 私の方で御発言をいただく方を指名させていただきたいと思いますので、発 言を希望する方は挙手をお願いしたいと思います。発言をされたことがない方を優先し て御指名させていただきたいと思いますので、御了承ください。 指名をさせていただきますと、係の者がマイクをお持ちいたしますので、恐縮でござ いますが、御発言に先立ちましてお名前と、差し支えがなければ所属をお願いしたいと 思います。 何回かこういう会議に御出席いただいている方は御存じかと思いますが、できるだけ 多くの方に御発言をいただきたいと思いますので、1回の御発言は2分以内にお願いし たいと思います。1分半を経過しましたら、事務局からベルを1度鳴らさせていただき ます。そうしましたら、とりまとめに入っていただきたいと思います。2分経ちました ら2回ベルを鳴らしますので、他の方にお譲りいただければと思います。 行政側からの発言につきましては、誤解があってはいけませんので、時間を限るとい うことはいたしませんが、できるだけ簡潔にお願いしたいと思っております。 いろいろと質問、意見、御要望、多々あろうかと思いますが、効率的に進めるために 何人かから続けて御発言いただきまして、それを整理した上で必要に応じて行政の方か らコメント、発言をさせていただくという形で進めたいと思っております。 それでは、御発言を希望される方は挙手をお願いしたいと思います。 一度にたくさん手が挙がりましたので、まず、一番最初にそこの男性の方が手を挙げ られましたので、その男性。そして、近くということで、同じ列の女性。また近いとい うことで、そこに手を挙げておられる女性。まず当初、この3名の方に続けて御発言を お願いしたいと思います。 恐縮ですが、お名前と、可能であれば御所属をお願いしたいと思います。 ○参加者1 ありがとうございます。日本消費者連盟の山浦と申します。 今日は、輸出プログラムについての遵守をめぐる御説明があったわけですけれども、 私どもは今回の日本政府の対応は非常に弱腰だと感じております。といいますのは、今 回の日本の違反事例のみならず、既にアメリカ国内においてへたり牛を食肉処理した事 例とか、最近では香港で背骨が混入した事例とかさまざまありまして、やはりアメリカ のBSE対策は非常にずさんではないかと思うんです。ですから、今回のような、これ から輸出プログラムを守ればというふうな安易な対応で交渉されては困るということを 申し上げたいと思います。 具体的には、今回の日本のアメリカ産牛肉の安全性評価ですけれども、この前提とな ったのはアメリカにおけるSRMの除去、あるいは肉骨粉の処理とか、輸出プログラム の遵守ということが前提にありましたから、これが守られていないことが明らかになっ た以上、食品安全委員会のリスク評価自身が成り立たないのではないかと思うんです。 ですから、まず食品安全委員会は再評価して、しっかりと国民が納得できるような結論 を得た上で、リスク管理機関は是非協議をしていただきたいと思います。 具体的には、プリオン専門調査会の今回の専門委員の再任をめぐって、政治主導では なかったかというふうにも受け取られるような専門委員の批判の辞任といったことがあ ったと私どもは考えておりまして、こういった声にも真摯に耳を傾けて再評価を行うべ きではないかと思います。 それから、アメリカでは中堅どころのパッカーも全頭検査したいと言っているんです けれども、アメリカ政府はそれはだめだと言っています。これは、アメリカ政府自身が 大手の食肉業者の意向を受けた政治的な決断をしているのではないかと思うんです。そ ういうことを考えましても、アメリカにおけるBSE対策を完全にやってもらいたいと いう主張を今後も続けていただきたいと思います。 といいますのは、アメリカにおけるBSEの対策が取られていなければ、今後、世界 にBSE対策が十分に行き渡らないと。世界におけるBSEの原因の一つになってしま うということも考えられますので、是非、この点を肝に据えて今後の協議に当たってい ただきたいと。現在はアメリカ産牛肉の輸入には反対と申し上げたいと思います。 ○藤井大臣官房参事官 ありがとうございました。それでは、引き続いて、お一人置い て隣の女性の方お願いします。 ○参加者2 食の安全・監視市民委員会の三宅と申します。2点ほどお尋ねしたいと思 います。 まず、先日、20か月齢の牛が第1次検査で疑陽性反応を示したという報道がありまし た。その後、どうなるかと思っておりましたところ、71か月齢のBSEの発表がありま して、私などは余りのタイミングのよさに差し替えがあったのではないかと思ってしま ったほどなんですが、今日、そちらの壇上に並んでいらっしゃる方はさぞかしほっとさ れていらっしゃることではないかと思うんです。 つまり、確認検査でシロと出たわけですけれども、もし20か月齢のBSEが出ていた ときに、これは農水次官もおっしゃっていましたが、検査体制が根底から崩れるわけで す。当然、アメリカ牛肉の問題にも波及して、それは見直しということになるわけです が、そういうことが起こり得るような、無理に無理を重ねたような検査体制自体が問題 ではないかと私は思います。 今回、幸か不幸か、20か月齢のBSEは見つからなかったわけですが、今後、検査体 制、検査技術が進むことによって見つからないということはないと思います。そうなっ た場合に、今、20か月齢以下は無検査、検査をせずということになっていますけれども、 それを19か月齢以下に変更されるのかどうか。この点を伺いたいと思います。 それから、これはプリオン専門調査会の専門委員もおっしゃっていましたが、当然、 線引きはできないわけです。これは食品安全委員会が招聘したコリーヌ・ラスメザス博 士も明解にその点は指摘しておりました。是非、こういうことを考えて先ほどの質問に お答えいただきたいと思います。 第2点としては、12月8日の食品安全委員会、つまりプリオン専門調査会の答申は明 らかに分裂した答申でした。科学者の答申は、前段のリスク評価できないというところ にあったと思います。でも、諮問自体が誘導尋問的諮問だったために後段の前提条件と いう部分が付いたと思うんです。これは非常に問題ではなかったかと思いますし、何よ りBSEは牛の病気の問題を超えて人の問題になっていると思います。 ○藤井大臣官房参事官 そろそろまとめていただけますか。 ○参加者2 そうですね。 そういった公衆衛生上の問題をどう考えていらっしゃるかということを、是非伺いた いと思います。 ○藤井大臣官房参事官 ありがとうございました。 それでは、続けてお願いいたします。 ○参加者3 ありがとうございます。BSE市民ネットワークの瀧本です。 私たちは、2年前、近畿農政局が開かれたBSEに関する学習会に参加して、これは 重大性があるということで感じまして、このネットワークという会をつくりまして、私 たちは消費者に正確なBSEに関する情報を提供しようということを目的とした会とし てスタートしまして、今、全国に発信しております。 この間の取組みの中で私たちが感じてきたことは、本当にこのBSEのことをほとん どの方が知られていない。心配だったら牛肉は食べなければいいではないかというよう な声がいまだに聞こえております。私たちは質問をいっぱい用意したんですけれども、 2分という中ですので、結論だけを言わせていただきます。 私たちの会は、この輸入再々開は反対です。その理由は、肉骨粉の全面的禁止がまだ されていない。鳥、豚を介して、そして、またそれが牛の方へ回っているということを いろんな資料から私たちはキャッチしております。このことを1つ取っても、私たちは 反対です。 日本牛については、50か所でリスコミが行われました。今回、アメリカ牛については 本当にあっという間に結論が出されて再開された結果がこのことになってしまった。そ のことから見ても、私たちはやはり日本と同等の条件で検査が行われることを要求しま す。 あと、このことは、ミルクと離乳食から口にする赤ちゃんからお年寄りまで、私たち 1億3,000 万人の全国民が対象であるということです。これはすべての国民が対象にな っているから、なお、私たちはこのことを追及していただきたい。アメリカのビジネス チャンスの拡大と、国内の関連会社の利益のために私たち国民の命を引換えにしないで いただきたい。このことを強く要望いたします。 時間が来ましたので、終わります。 ○藤井大臣官房参事官 ありがとうございました。 大変、各方面にわたる意見、御要望、御質問がありましたけれども、プリオン専門調 査会の専門委員の交替の件は、この回の一番最後のところで西郷さんの方から触れてい ただきたいと思います。 それでは、まず中川局長の方からおもだったところをお願いいたします。 ○中川消費・安全局長 では、私の方から、全体をうまくカバーできるかどうか、漏れ があったら、厚生労働省の部長もおりますので、補足してもらうことにしてお答えした いと思います。 最初に、山浦さんの御質問と、3番目の瀧本さんの御質問に対するお答えにもなるか と思いますが、アメリカあるいはカナダから牛肉の輸入を再開するという昨年12月12 日の決定、また、さかのぼれば昨年5月24日の食品安全委員会への諮問といったところ の基本的考え方をまず申し上げたいと思います。 平成15年12月24日に、アメリカでBSEが1頭見つかったということで輸入をとめ ました。その後、ずっと再開の協議をする中で一貫してアメリカ側に言ってきたのは、 再開するとしたときに、日本の国内で消費者の方々が食べている牛肉と、再開すること となった場合の入ってくるであろうアメリカの、あるいはカナダの牛肉の間にリスクの 差があっては我々としては認められないという1点であります。 つまり、新たに輸入が再開することによって日本国内の市場でリスクが高まるような ことがあってはいけない。これは、最初のうちは同等の措置ということで、特定危険部 位の除去と、そのときは全頭検査というのが日本で行われていましたから、全頭検査と いう手段がありましたけれども、日本の国内と同等のレベルの安全性の確保ということ を一貫して言ってきたわけです。食品安全委員会への諮問の文書をお読みいただければ おわかりのように、そのことが一番大事なポイントとしてリスク評価をお願いしました。 それで、いただいた結果としては、前段の部分では、データの制約などがあったため に、いわゆる科学的な同等性という面では評価することが困難だと言わざるを得ないと いうことでしたが、実質的にEVプログラムの条件となっております特定危険部位の全 頭からの除去と20か月以下の牛からの牛肉だということが遵守されるならば、リスクの 差は非常に小さいということがリスク評価の結果として示されたわけです。 ちょっと言葉が過ぎるかもしれませんが、いわゆる学術的な議論の中で科学的な同等 性の議論というのはあるかもしれませんけれども、実質的な意味で、今、申し上げた2 つの条件が達成されれば、リスクの差は小さい。私どもリスク管理を担当する側からす ると、具体的な施策でどういう条件が満たされればリスクが高まらないかということが リスクを管理する上での一番大事なポイントですから、今、申し上げたような食品安全 委員会からの答申を得て、具体的な施策に、今、反映させたということでございます。 ですから、今回、食品安全委員会の評価が成り立たないのではないかという御意見も ありますが、その点はEVプログラムが守られなかった、ルールがうまく守られなかっ たという点は大変重大な問題ではありますけれども、その中身としての20か月あるいは 特定危険部位の除去がきちっとできるということであれば、輸入再開の条件になるんだ と思っております。この点が、まず第1点でございます。今回のような事件もありまし たので、それをどう担保していくかというのは、まだこれからであり、再度起こらない ようにいろいろ詰めていく点はあるかと思います。 2つ目、ちょっと飛びますけれども、アメリカでのBSE対策についてです。これは 食品安全委員会の答申の付帯事項の中にもございまして、具体的にはまだ餌の規制が日 本と比べて十分でないという点、それから、サーベイランスのこともあるかと思います。 アメリカに機会があるごとに、やはり日本の消費者の信頼を得るためには、こういった 日本と比べて不十分な点についてはきちっと強化してもらいたいということは言ってお ります。これは閣僚レベルででも言っているところでございます。 アメリカも、今、準備はしておりますけれども、餌の規制について言うと、パブリッ ク・コメントまでは終わっておりますが、まだ実施されていないとのことですので、早 く実施をするようにという要請は既にアメリカ側にも伝えているところであります。 それから、ELISA検査の話がございましたけれども、これはむしろ厚生労働省の 方からお答えいただいた方がいいかと思いますが、確かに技術進歩というのは今後も起 こるかと思います。今回の20か月に限らず、新たな事実が出れば、その事実を直視して、 また、それを踏まえてしかるべく適切な対応をするというのが基本的な考え方でござい ます。 今、20か月、あるいはそれよりも若い牛について、BSEということが確認された事 例がありませんので、その点については予断を持って、ここで具体的なことを申し上げ るのは適切でないと思います。 それから、これまでリスクコミュニケーションを十分しないで再開をしたのではない かという御指摘を瀧本さんの方からいただきましたけれども、リスクコミュニケーショ ン、意見交換会というのは、皆様方と意見交換をして、それを政策に反映するというの が一番のねらいでございます。アメリカからの牛肉の輸入条件については、食品安全委 員会に昨年5月24日に諮問をします際に、我々としてはこういう考え方でやりたいと思 うということについての意見交換会を全国9か所で行いました。我々の諮問に対して基 本的にリスクの差が小さいという答申をいただきましたので、その後の再開決定の時点 で再度、皆さん方の御意見を聞くというのは必ずしも適切でないと考えました。むしろ、 これはこういうふうにしましたと御説明するということはあり得たと思いますけれども、 そこで改めて御意見を聞いて、食品安全委員会の諮問を更に何か違うような形でリスク 管理サイドが施策を取るということは現実問題として考えられませんでしたので、答申 をいただいた後、また改めてリスクコミュニケーションをするということはいたしませ んでした。 ただ、食品安全委員会では、答申をおまとめになる過程では、いわゆるリスクコミュ ニケーションやパブリック・コメントを行われたということでございます。 ○藤井大臣官房参事官 引き続いて、厚生労働省の松本部長から補足をしていただきま す。○松本厚生労働省食品安全部長 ちょっと遅くなりまして、恐縮でございます。 さっき、BSEの迅速検査で、先月の20か月齢の牛が擬陽性反応を示した話がありま した。やはり迅速検査は一定の限界がありまして、疑陽性ということもあるので、確認 検査をすることにしているわけでございます。 今後、19か月齢が出たらどうなのかというお尋ねです。少なくともBSE感染牛をつ くらないために農林水産省で餌の規制をきちっとやっていただいておりますので、若い 牛で発生するリスクはほとんどないのではないかと思っております。 BSEの対策として餌の対策と、特定危険部位の除去と、検査という3つの安全ネッ トでやっておりますけれども、検査の感度が上がったとき対象月齢を見直すのかと良く 聞かれます。この辺につきましては、実用性がある検査でもっと感度が上がるというこ とをしたときには、そこまで広げた場合とそうでない場合のリスクがどうか、リスクを 改めて評価して考えるべきものだと考えております。 実際にBSEの症状のある牛が約19万頭発生した英国での公衆衛生上の対策につい てのお尋ねでございます。 1つは、食品対策として、当然、特定危険部位の除去とか、最近緩みましたけれども、 イギリスの場合には30か月齢以上の牛は絶対に肉にしない、全部処分するということで、 一番厳しいことをやっておりました。イギリスではBSE検査は30か月齢以上となって おりますけれども、検査もせずに肉にしないということをやっておりました。そこの部 分は緩和してきておりますし、当然、特定危険部位は一定の年齢のものについては除去 しているということであります。 もう一つ、BSEが牛から人に感染して、vCJDの患者さんが百数十名発生してお ります。世界中で発生している患者さんのほとんどは、イギリスにずっと住んでいらっ しゃった方、あるいは、イギリスに滞在したことがある方、であります。その関係で輸 血による感染が問題になっています。正確には私、手元に資料がありませんけれども、 献血対象者を非常に絞り込んだということは聞いております。我が国の場合にもイギリ スあるいはBSEの発生している国について、一定期間滞在した方については献血を御 遠慮願うという対策を取っています。 日本における公衆衛生対策では、先ほど申し上げましたように、食肉の安全対策とし てて、餌の規制、特定危険部位の除去と検査の3本柱、検査については21か月齢以上に 検査を義務付けています。 あとは、献血の関係で申し上げれば、先ほど申し上げましたように、イギリスあるい はヨーロッパのいくつかの国に、一定期間滞在した方については献血を御遠慮願ってい ます。 また、ゼラチンなどについては、脊柱由来のものは原料として認めない規制をかけて いるところであります。 食は1億2,700 万人、赤ん坊からお年寄りまで関係するのであるから、国民の命をま ず第一に考えて取り組むようにというお話がございましたけれども、我々厚生労働省、 また農林水産省も食の安全に携る者としては常日ごろ、そのことを肝に銘じて仕事に取 り組んでおります。 ○藤井大臣官房参事官 食品安全委員会のプリオン専門調査会の専門委員の交替の件を 若干触れられましたので、西郷さんの方から簡潔にお願いします。 ○西郷食品安全委員会事務局リスクコミュニケーション官 それでは、プリオン専門調 査会の専門委員の改選が4月1日に行われました。それにつきましていろんな報道があ りまして、いろいろ御心配をおかけしている部分がありまして、その御質問もありまし たので、若干、御説明させていただきたいと思います。 資料の中に、番号を振っていなくて恐縮なんですけれども、右上に(参考)と書いて ある「食品安全委員会の議論の概要(プリオン専門調査会専門委員改選にまつわる報道 ぶりについて)」という4ページの紙が入ってございます。それを見ていただきたいと 思います。 これは何かと申しますと、4月1日に改選されまして、あと、いろんなテレビなり新 聞なりで報道があったものですから、その直後、食品安全委員会、毎週木曜日にやって おりますけれども、そこで若干話題になりまして、かいつまんで起こしたものでござい ます。 それを見ていただくとして、下に(経緯)とございますけれども、ここに食品 安全委員会、3年前の7月にできまして、現在、16個の専門調査会がございますけれど も、プリオン専門調査会は一番最初に、平成15年8月にでき上がっております。 そこからずっとやってもらいましたけれども、その下に「17年10月1日 専門委員 の一斉の改選(農薬、プリオンを除く)」「18年4月1日 農薬、プリオン専門調査会 の専門委員の改選」と書いてございますが、これは何かと申しますと、次のページにも 改選の話がございますけれども、食品安全委員会の専門委員につきましては、もともと 最初に発令されたときに任期が付いておりませんでした。これは法律上、特に専門委員 には任期がないわけなのでございますけれども、その後、内閣府の方針といたしまして、 これは食品安全委員会だけでなくていろんな審議会がございますが、それについては専 門委員とか臨時委員、その他いろんな委員がございますけれども、すべて任期付にする ようにというふうな整理がされました。それで、食品安全委員会もできてから時が経っ てまいりましたので、実際には16あるうちの14につきましては、昨年10月1日付で任 期を2年付けて再選したわけでございます。 そのときに、プリオンにつきましては、まさにアメリカ・カナダの牛肉のリスク評価 の最中でございましたので、それが終わってからにしようということになりました。そ れから、農薬につきましては、この5月からポジティブリスト制が施行されますが、そ れでたくさん評価のボリュームを増やさなければいけないということで、専門委員をす ごく増やすということで予算要求しておりましたものですから、改選は予算が通ってか ら、4月からということになりました。それで、併せて4月に行ったところでございま す。 任免の方針とかが書いてございますけれども、そのページの「(3)考慮すべき事項」 というのがございますが、そこに府省出身者はしないとか、70歳以上の方は原則として 選任しない、女性を増やすということ。4つ目は食品安全委員会特有でございますけれ ども、リスク管理機関、いわゆる農水省、厚労省の施策を決めるところの委員会との兼 職はなるべく避けようというふうなことでやってございました。 今回の改選でございますけれども、もともと12人いらっしゃいましたが、そのうち7 0歳を超える方が1人いらして、この方は再選は少なくともお願いできない。それから、 もう一人、1年以上ずっと欠席で、もう辞めたいとおっしゃっていた方がいらっしゃい まして、この方にも再選をお願いしても無理だろうということでございました。残りの 10人の方には内々再任をお願いしたわけでございますけれども、残念ながら4人の方か らはいろんな御事情によって今回はいいということでございました。 3ページに、これは4月4日の産経新聞の記事でございますけれども、今回再任され なかった6人の方が慎重派といいますか、残りの6人の方が貿易再開推進派みたいな区 切り方がされましたが、これは幾らなんでも、若干、単純な書き方ではないかというふ うな見方を委員会ではしておりまして、それが1ページ目に出ておりますけれども、そ んな感じがしております。 ですので、政治主導で改選されたのではないかということは事実ではないといったこ とについて御理解いただきたいということでございます。今度、新しく入られた方々も、 この分野の専門家でございますので、今後ともプリオン専門調査会につきましては今ま でと同様の科学的な審議が続いていくのではないかと思っているところでございます。 もう一つ、今回のことで違反事例が出たことで、前回の評価の前提が崩れたので再評 価すべきではないかという御意見がございました。これにつきまして、食品安全委員会 といたしましては、まさに現在、これが厚労省、農水省を中心にアメリカ等をいろいろ 調べていただいて、違反事例が特異的なものであったのか、あるいは本当に守れるよう な状態にないのかどうかということ等々を調べていただいているところでございますの で、それを見極めた上で判断する必要があるということでございまして、今のところは 調査中でございますので、再評価をする必要はないと考えているところでございます。 以上です。 ○藤井大臣官房参事官 それでは、引き続きまして会場の方から御発言をいただきたい と思います。 それでは、今度はこちらの3列目の方。そして、男性のお二人、2列目と3列目の方。 5列目ぐらいの女性の方と、4人続けて御発言をお願いしたいと思います。 ○参加者4 主婦連合会の和田でございます。 主婦連合会としては、今、既にお話が出ておりますように、前提が崩れたのだから、 もう一度評価をやり直すべきだと。それから、プリオン専門調査会の専門委員の方の問 題も疑問があるという申入れはしておりますけれども、今、質問を元に戻しまして、先 ほど御説明がありましたように、アメリカからの報告書、更には日本の照会に対する回 答事項のようなところから、なぜ脊柱がまじるようなことになったのかというようなこ との御説明をいただきました。それと、EVプログラムをこれからはきちんと守ってい くからということを言われましても、はい、そうですかとはなかなか日本の消費者とし ては受け止めかねる面があります。 例えば、照会事項に対しての回答を見ますと、当該製品は安全で衛生的であり、粗悪 ではなかったが日本向けの規格を満たしていなかったという文章があるんです。こうい うとらえ方をしているのかということで納得のいかない面があります。 それはそれとしまして、日本の消費者として質問したいのは、日本の政府としてこれ から輸出プログラムをきちんと守るということをどうやって担保していくのか。具体的 には、査察の問題、それから輸入されたものの水際でどういう検査をやっていくのかと いう問題。 それから、先ほど御発言ありましたけれども、アメリカでは全頭検査をし てでも輸出したいというところがあるにもかかわらず、それは一切無視されているとい うような問題。その辺の日本政府としてこれからどのようなことをやっていくのかとい うことを説明していただきたいと思います。 以上です。 ○藤井大臣官房参事官 ありがとうございました。では、続きまして前の男性の方、お 願いいたします。 ○参加者5 生活クラブ連合会のD名と申します。3点ほど質問させていただきます。 1つは、今回の輸入再停止という問題に関して、再開を急ぎ過ぎた結果ではないか。例 えば、再開する前に全施設を査察しなかったということも含めて、急ぎ過ぎた結果とし て反省する気はないのかどうか。反省しないならば、なぜそうなのかということが1点。 2点目が、また、この牛肉の再開が長引けば、米の問題まで影響する。例えば、WT Oとか何かで言われていますが、今日はたまたま厚生労働省と農林水産省ですね。米の 問題になりますと、農林水産省の問題になると思うんですが、この辺で取引は絶対ない ようにしてほしいということを明確にしていただきたいということが2点目です。 3点目は、前の人の質問にもありましたが、アメリカの全頭検査はアメリカ農務省が 認めない。例えば、今、日本は自主的に全頭検査をやっています。これが2年と言われ ているが、3年後にはなくなると思うんですが、こうなったときに、例えば日本の業者 も自主的に全頭検査するというふうなときに、厚生労働省、農林水産省、国としてはど のような対応をするのかという、この3点についてお伺いしたいと思います。 ○藤井大臣官房参事官 続いて、お願いします。 ○参加者6 日本食肉輸出入協会の岩間と申します。ビーフ等を輸入している消費者の 団体の者です。 今回の1月20日の輸入停止によって、先ほど道野室長からもお話があったんですが、 通関済みの七百数十トン以外に、実は通関できないために港にとめ置きされている牛肉 が約千数百トンあると思うんです。その牛肉が、先ほど今後の輸入再開の質問があった と思うんですが、1月20日から現在まで約四か月が過ぎているんですが、この間、海運 商社が品質の劣化等もあって、アメリカの方に積み戻して転売すると。中には国内で焼 却処分するといった、少しずつ処分は進んでいるんですが、本音の気持ちとして再開時 に、この未通関の米国産牛肉も、今、輸入停止のままですので、再開が認められるので はないかということでアメリカにシップアップするのをちゅうちょしている海運商社も いると思うんです。 それで、今後の話になると思うんですが、それをどうされるのか。 是非、私どもとしては、この間、十分期間を取って、問題がなければ、是非認めていた だきたいと。3年前はBSEが発生したということで輸入禁止になりましたけれども、 今回の場合はそれとは全然異なりますし、この期間は十分審査期間としてまともに判断 していただいて認めていただければと思います。お願いします。 ○藤井大臣官房参事官 それでは、4人目の女性の方お願いします。 ○参加者7 日本消費者連盟の水原と申します。日本消費者連盟と食の安全・監視市民 会と両方の事務局をやっておりますので、私は先ほど述べました2つの団体の意見を省 略いたしまして、1つ質問いたしたいと思います。 と申しますのは、これは今、輸出プログラムは2つの条件がありまして、今、危険部 位の除去に関しましては今回問題が起きまして、脊柱でいろいろと問題になっておりま すが、もう一つ、月齢20か月齢以下の判定という問題があります。 これは、私はこういう説明会で今まで何度も質問したのですが、そのときの回答では、 アメリカの輸出証明書を信用するんだと。アメリカの証明書どおりだから、それは問題 ないんだという説明でした。ところが、今回の脊柱の問題につきましては、アメリカの 輸出証明書も間違っていたわけですし、向こうのいろいろな機構も問題があったことが わかったわけです。そうしますと、月齢の判定はアメリカの非常に熟練された専門家が 判定するという技術があるだけで、日本にはその技術はないんです。 私は、輸入の検疫所における日本側の責任としての月齢20か月齢以下の判定はどうす るんだ、私たち国民に対してどう責任を持つんだということをしておりますが、これに ついて、私はまだ明快な回答を持たされておりませんので、この問題については、今後、 この輸入問題に関しまして、日本側として本当にアメリカ側にどういう追及をなされる のか。日本の政府がどう責任を持つのか。その点の説明をお願いいたしたいと思います。 以上です。 ○藤井大臣官房参事官 ありがとうございました。また4人の方から輸出プログラムの 遵守の問題から、水際でのチェックの話まで広範な御質問・御意見をいただきましたが、 それでは、まず順番として中川局長の方から若干触れていただきまして、厚労省関係は 松本部長の方からという順番でお願いしたいと思います。 ○中川消費・安全局長 御質問いただいた順番でお答え申し上げます。 最初に、主婦連の和田さんから、今後、再開に向けての査察なり水際措置はどうする か。それから、もう一つは、アメリカでのBSE検査の企業の問題でございました。 冒頭あいさつのときに申し上げましたけれども、今日の意見交換会は、1月20日の事 件が起こってから、今日までの事実関係について主として情報を提供し、それに基づい て意見をいただくということでございました。再開に当たって、査察、それから、水際 措置を含め、また、アメリカでBSEの追加対策として既に導入を表明していることも 含めて果たして十分かどうかというのは、むしろ、今、アメリカはアメリカで施設のレ ビューを始めようとしておりますが、そういった報告も受けて、そして、今日、皆様方 の意見を聞いて、再々開に当たっての条件をアメリカ側と協議していくということを考 えております。 ですから、確かにお知りになりたい点だと思います査察、あるいは日本の水際措置、 これらについて、今、私の方から具体的に日本としてはこういうふうなことを要求する つもりですということをまだ申し上げられる段階にはございません。あいさつの中で申 し上げましたように、また次のステップが来て、一番適切なタイミングでもう一度意見 交換会というようなことをやることも考えております。ですから、こういった御質問に 対するお答えは、むしろ、そのときの方が適切かと思います。そこはご容赦いただきた いと思います。 それから、BSEの検査について、特にアメリカで一部企業が全頭検査といいましょ うか、BSEの検査をさせてくれというのに対して、アメリカ農務省が認めていない。 これはアメリカのBSTA法という一つの古い法律を盾にしてのアメリカ農務省の判断 であると思いますが、現にBSEの検査をしたいと言っている某アメリカ企業も、これ は日本の市場に向けてのマーケティングの一つの手法として、ほかのメーカーとの差別 化のためにやるんだというふうに社長自ら記者会見でも言っております。 食品安全委員会のリスク評価において、BSEのELISA検査を実施して、その結 果がどうだということとは別に、先ほどの20か月齢以下の牛由来の牛肉で、特定危険部 位の全頭からの除去という2つのことがきちっと行われれば、日本の牛肉等のリスクと の差は極めて小さいというのがリスク評価の結果でございます。このことから、1つの 企業がそれをやりたい、あるいはやらせないということ自身は、日本のマーケットに向 けてのリスクの差ということにおいては差がないと私どもは考えております。ですから、 それはむしろ他の肉との間の一種の差別化だというふうに当事者自身が考えているし、 20ヶ月齢以下の牛について検査をやっているやっていないはリスクとは関係ないと私 どもは理解しております。 それから、蛯名さんの御質問の中で、1つは再開を急ぎ過ぎたのではないかというこ とでありますが、平成15年12月24日にストップしてから再開まで2年という時間をか けてまいりました。その間、まずアメリカと条件を協議し、その後、半年かけて食品安 全委員会でリスク評価をいただきました。 そして12月8日に答申をいただいて、再開決定は12月12日です。ですから、答申を いただいてから再開決定までは4日間ほどでしたけれども、それまでの具体的なリスク 評価に至る過程というのは十分時間をかけたと私どもは思っておりますし、答申をいた だいてからアメリカと衛生条件等の具体的な書簡の交換をして条件を詰めるというその 間というのは、確かに数日でしたけれども、むしろリスク評価をいただいた後の手順を 順々にこなしたということで、そこで急ぎ過ぎたという意識は私自身は持っておりませ ん。やるべき手順を尽くしてやったと思っております。 2つ目として、将来に向かってコメやWTO、その他のこととの関係で取引しないだ ろうなということでありますが、もとより、このBSEの問題とコメやWTOやその他 の事柄とは別でございます。何度も繰り返して申し上げますけれども、このBSEの問 題というのは食品の安全、国民の健康との関連で考えるべきものであって、その他のこ ととの関連を考えるべきものではないと思っております。これはずっと、私ども終始一 貫してやってきたことでございます。 とりあえず、私の方からは以上で、厚生労働省の方から残りをお願いいたします。 ○松本食品安全部長 D名さんからBSE検査の経過措置終了後、業者が自主的にBS E検査をすると主張した場合、政府としてどうするかとのお尋ねです。BSE検査は昨 年8月1日から21か月齢以上に義務付けております。ただ、制度の急変に伴う消費者の 不安の払拭とか、市場の混乱を防ぐために、自治体で独自におやりになるところについ ては検査費を全額補助おり、経過措置として3年間を考えています。その間、国民の方 に十分御理解いただくような施策を行っていく必要があると思っております。 それが終わった後、どうなるかということになりますけれども、基本的にはその時点 で国民の皆さん方に十分御理解いただくように努力するべきものだというのがまず1つ です。 仮にその後も独自に自治体が国の補助とは関係なくおやりになるかどうかにつ いては、自治体独自の御判断だろうと考えております。それをけしからぬということに はならないと思います。ただ、業者の方が独自にやるといいましても、この判定自体、 延髄の部分は特定危険部位でありますので焼却する必要がありますし、その検査の判断 は、都道府県の衛生試験所でやりますので、実際判定してくれるかどうかという問題が ありますので、そこのところは何とも申し上げられないというところであります。 既に出荷して、日本の港で通関を待っている肉が約1,000 トンほどあるけれどもどう かというお話がありました。これにつきましては、もともと出したところが問題がない かどうかという問題があります。これにつきましては、これからアメリカが残りの施設 について本当に認定、あるいは出荷に当たって問題がなかったか、これから調査をやる ということになっておりますので、その結果を見てからでないと何とも判断できないと いうことであります。その結果を見てから今後どうするかということを判断したいと思 っております。 日本に入ってきたときに、特定危険部位につきましては少なくとも脊柱のようなもの については見ればわかります。一方、肉の月齢が20か月齢以下の牛由来のものであるか どうかということについてはどう判断とのお尋ねがありました。これにつきましては、 昨年12月15日に東京でありました説明会のときに、それは衛生証明書を信じるしかあ りませんと答えたと思います。そもそも二国間の貿易については輸出国がきちっとやる ということが前提であります。 ですから、それを信用して取引をやるのがルールでございます。今般、輸出プログラ ムの2つの要件のうち1つが完全に破られて、残りの要件が守られていたのかという疑 問があります。実際に日本に出荷された肉が20か月齢以下であるかどうかについては、 輸出プログラムの中できちっとした記録を残すことになっておりますので、その記録を 調べてもらって、本当にちゃんとやられているかについて確認してからということにな ります。 ○藤井大臣官房参事官 今まで7名の方に御発言いただきましたが、お一人を除いてす べて消費者サイドの方からの御発言ということでございました。いろんな立場の方から 御意見をいただきたいということから、生産現場または流通・加工・販売、そういうと ころに携わっておられる方から御発言をいただきたいと思います。 それでは、今、手が挙がっております3人の方、続けて御発言いただきたいと思いま す。○参加者8 ありがとうございます。牛肉の卸から焼肉のレストランを全国展開さ せていただいております株式会社ゼンショクの堀井と申します。よろしくお願いいたし ます。 当社としましては、昨年度に輸入再開となったわけですけれども、その際に、自前で アメリカにわたりましてパッカーを視察し確認した上で、実は12月20日から販売させ ていただきました。発売を開始して、年が明けた1月20日に輸入が停止になったという ことで、わずか1か月の間の販売で終わってしまったという状況です。 これにつきましては、非常に会社的に被害をこうむっているという状況でありまして、 なかなか一般消費者の方にはわからない部分があるかと思いますけれども、これは会社 経営には相当の打撃があったのは事実でございます。私どものほかでも、当然、2年か けてやっと再開になったということで喜んでいる消費者の方もいらっしゃるわけです。 その方を対象に販売してきたにもかかわらず、こういう事態になってしまったというこ とに関しましては非常に残念であり、なおかつ、さっきも言ったように大変な迷惑をこ うむっているという事態でございます。これは私どもの会社だけではなく、今回の再開 で牛肉の販売を始めたほかの企業さんもあろうかと思うんですけれども、そこのものも 含めて相当の迷惑、それから、会社に対する打撃をこうむっている状況であるのは一緒 かと思います。 問題は、今回発覚したのは1件なわけですけれども、当然、これはアメリカの方でル ールを守らないで送ってきたという、これが一番問題なわけですけれども、ただ、今後 の対応として近いうちに、また再開されるだろう、またしてほしいというのは当然、我 々の願いなわけですけれども、今後、また同じようなことが起きたときに、全面的に停 止するのか、もしくは、そういうことを起こした会社のみを停止させるということなの か、この辺をどのように考えていらっしゃるのかをお聞きしたいと思います。 以上でございます。 ○藤井大臣官房参事官 ありがとうございました。それでは、続けてお願いいたします。 ○参加者9 ミートアナリスト・コンサルタントをやっております、ブリッジインター ナショナルの高橋と申します。『ミート・ジャーナル』等々にも連載を出させていただ いているんですが、日ごろの関係者の皆様の御努力に対して敬意を表します。 ところで、私の意見を申し上げますと、簡単に言いますと、日本のこの基準は、正直 言って、世界の基準に対して非常に厳し過ぎるのではないでしょうかという意見です。 例えば、OIEの基準で言えば30か月齢という基準でありまして、また、ほかの国、台 湾、韓国にしてもOIEの基準でスタートしている。 日本独特の考え方もございましょうけれども、この辺については、例えば、ではBS Eがどれだけ発生したかということを考えますと、2004年度の統計ですけれども、アメ リカ人が1人当たり42.8キロの牛肉を召し上がっているわけです。日本人は2005年で たしか10.1キロで、人口の差を考えてみましても、アメリカは日本の2倍以上の人口が あって、では、BSEはどれだけ発生して、BSE由来のvCJDはどれだけ発生して いるかというと、米系英国人にたった1名と。では、日本はというと、イギリスにいら した方が1名。 それは、ある意味ではあつものに懲りてなますを吹くというような感 じが私はしてならない。真に消費者にとってみれば、まず選択ができるということ。安 全は科学的に必要なことだと思いますが、安心は感情的なものですので、怖い、アメリ カのは嫌だとおっしゃる方は選ばなければよろしいのではないでしょうか。 もう一つ、タックスペイヤーの立場として申し上げます。 ○藤井大臣官房参事官 手短にお願いします。 ○参加者9 すぐ終わります。 今、20か月齢全頭検査を日本でやっておりますけれども、タックスペイヤーの立場か らして、安全だと言っているものを国民の税金を使ってやっていること自体いかがなも のかということを申し上げたい。それが、国がいっぱいお金があるのであればいいんで すが、800 兆円もの借金を背負って、不必要なものにそれだけお金を使うというのもタ ックスペイヤーとしてはおかしいなと思っている次第でございます。 ○藤井大臣官房参事官 では、その2つ前の列の方お願いします。 ○参加者10 横浜から来ました湯澤と申します。飲食業で働いております。私は輸入再 開を一日も早く実現して、消費者に選択肢を与えるべきだという観点で意見を述べさせ ていただきたいと思います。 勿論、輸入再開の大前提というのは科学的な安全が確保できるということだというの は当然だと思いますし、その点についていささかの妥協もすべきではないと思っていま す。しかし、本日の説明をお聞きしても、関係者の方々の大変な努力によって、米国と の間にでき上がっているプログラムというのは、常識的に考えれば科学的な安全性とい うのは十分に確保できるのではないかと私は感じております。 前回のようなミスがありましたので、若干の調整とか再度の詰めは必要とは思います が、十分に今のプログラムで安全性は確保できると私は思っております。その上で、ア メリカ産牛肉が心配だ、不安だという声はまだあると思いますし、それはよく理解でき ると思います。しかし、そういった不安、心配といった問題は心理的、感情的な問題で すので、これを施策やシステムでクリアーするというのは非常に難しいと思います。で すから、この点に関しては一日も早く輸入を再開して、消費者に選択肢を与え、判断を ゆだねるべきではないかと私は思っています。 先進国の消費者として、日本の消費者は十分な経験と知識を持っていると思いますの で、一日も早く輸入を再開して、消費者に選択肢を与え、判断をゆだねるべきだという のが私の考えです。 ありがとうございました。 ○藤井大臣官房参事官 ありがとうございました。今度は業者関係の方からいろいろと 御意見をいただきましたが、それに対して、また消費者の方からもいろんな御意見があ ろうかと思いますが、とりあえず、最初に行政の方から発言をさせていただきたいと思 います。また中川局長の方から順次お願いいたします。 ○中川消費・安全局長 今回の3者の方の御質問なり御意見について的確にお答えする のは難しい点もありますけれども、私のとりあえずの考えを申し上げたいと思います。 最初のゼンショクの方からですが、基本的には同じようなことが起きた場合、どうす るのかということに尽きると思いますが、全く同じようなことが起きるようなことでは なかなか再開ができないわけで、そうならないような仕組みを構築した上で再々開とい うことにしたいと思っておりますが、他方で、将来にわたって、それでは全く何も不都 合が起きないかと。起きないということを前提にして物事を考えるというのも、また不 適切ではないかと思います。 今日は、こういう意見交換の場ですから、再開後に事故が起きたときにどういうふう に対応しますということは、今、申し上げられませんけれども、我々、行政とすれば再 々開に当たっては同じような事故が起こらないように最善の努力をしたいと思います。 他方で人が関わっていることですから、大なり小なり、また何か問題が起こらないとも 言えません。その際に、それではあらかじめこういう場合にはこうするというふうなこ とのルールを決めておいて、かつ、そのルールが皆さんで議論をして、できるだけコン センサスを得るようにするということもひとつの方法だと思います。そういうことが可 能かどうかはわかりませんけれども、あらかじめいろんな事態を想定して、それに対応 した方針が決まっていれば、それは混乱を避けるという意味では一つの方法だと思いま す。 これ以上、私には、今、申し上げられる準備もありませんけれども、それについて関 係者の方々の意見を言っていただくというのはリスクコミュニケーションとして大変大 事なプロセスだと思います。 2つ目の高橋さんからのご意見ですが、最終的に消費者の選択に任せるということ、 あるいはOIEの基準と比べて日本は厳しいのではないかという御意見が前段にありま した。確かに、これ自体、ルールは年々変わっているわけで、どれがOIEの基準かと いうのも、まだ非常に安定したというものでもないんですけれども、1つ大事な点は、 それぞれの国の社会が要求する安全水準だとかいろんな基準というのがあります。これ は国際基準、インターナショナルスタンダードというのは本来1つの基準で万国共通の ものではありますけれども、途上国もあれば先進国もある。それから、消費者の関心の 高さだとか、いろんな特別な事柄に対して特に注意なり関心が高いという社会的な理由 もあります。 基本は、やはり要求水準が科学的な根拠を持っているということが大前提ではありま すけれども、科学的根拠がある限りは、国によって国際基準と多少違う事柄について、 その国が実施するということは認められています。日本で言えば、このBSEについて 言うと、特に消費者の方々の関心が高いということがありますけれども、他方で食品安 全委員会で20か月齢、特定危険部位の除去という、この条件でもってリスクの差が非常 に小さいというリスク評価を得た上で、この条件でアメリカとの間で輸入を再開したわ けでありまして、この点については、今、OIEの基準と確かにずれてはいますけれど も、多国間、あるいは二国間で議論となった際には、その根拠も含めて主張していける ものだと思っています。 その上で、更に消費者がお買いになるかどうかという御判断も勿論あるわけですけれ ども、そのこととは別に、これは国と国との間の約束事ですので、やはりそこには一定 の科学的な根拠ということがベースになった上での日本の条件、国際基準と少し違うか もしれないけれども、そういう条件という格好で主張できるものだと思っております。 ○松本食品安全部長 あらかたは中川局長の方から答えていただきましたけれども、高 橋さんから政府はあつものに懲りてなますを吹いているのではないかという意見があり ましたけれども、このBSEやvCJDの難しさは、感染してから発症するまでの間が かなり時間があるということ。それと、vCJDの場合、発症した後の予後が非常によ くないということがあって難しい問題になっているんだと思います。 O157 ですと、早ければ、その日か翌日には発症しますから、大体、対応できますけ れども、感染から発症まで非常に長くかかるところで国民の皆様がいろいろ御心配なさ っているんだと思います。それについては、できるだけの科学的知見を集めて評価をい ただいて、できる限りの合理的な対策を取って食肉の安全を確保していくということで 進めていると。これは世界各国一緒でございまして、どれか一つの施策・方法で安全を 担保しているということではなくて、特定危険部位の除去と、BSE検査で対応してい るというところであります。 また、納税者として全頭検査の部分についてお金を出すのはいかがなものかという御 批判もありましたけれども、やはり混乱なり、あるいは不安というのは制度として頭で わかっても、なかなかそれがすっと心の中まで落ちないというところも現実にはあるわ けでございまして、その間、経過措置として3年間取らせていただいています。3年間 という期間は合理的でなかろうかと思っております。それ以後もずっと出し続けるとい うことであれば、それはまたそういう御批判もあろうかと思いますけれども、そういう 消費者の不安の払拭並びに市場での混乱の防止ということで、自治体の方で独自におや りになるというところについて補助を経過措置ということでやっているということで御 理解をいただきたいと思います。 以上です。 ○藤井大臣官房参事官 お約束の時間が4時15分ということで、あと10分ちょっとに なってしまいました。多分、2人か3人の御発言しかお受けすることができないと思い ます。そこは御了承いただきたいと思いますが、一度も発言をされたことがない方から にしたいと思います。 こちらの方から発言をいただきましたので、それでは、一番奥で手を挙げておられる お一人。その前の方お二人。そして、あとお一人だけ御発言いただきたいと思いますが、 それでは真ん中の方。大変恐縮ですが、あとの方については多分時間の関係で難しいと 思いますので、御了解いただきたいと思います。 では、発言もできるだけ手短にお願いしたいと思います。 ○参加者11 消費生活アドバイザーをしています池見と申します。日本消費生活アドバ イザー・コンサルタント協会に所属しております。 1件だけなんですけれども、今後、輸入を再開するにしても、やはり消費者の選択と いうことで、今回も米国の報告でもありましたけれども、これは特定の事例だというこ とであれば、やはりトレーサビリティーを消費者がわかるような形、こういうものをシ ステム化して要求できないものかと。 当然、国内ではトレーサビリティー法がありまして、消費者でも確認ができるように なっているわけですけれども、今後、もし、また問題が起きた場合でも、どこでそうい うものが実施されているのか。それが明らかに消費者がわかれば、勿論、輸入されてい る業者の方も、そこのものは買わない。消費者も選ばない。当然、米国でもそれは淘汰 されていくであろうということです。これが米国だけではなくて、後々日本に入ってい く牛肉については、ほかの輸入対象国に対しても日本の一つのスタンダードとして、こ れが国際化されて、日本発のグローバルスタンダードになればよろしいのではないかと 考えております。○藤井大臣官房参事官 ありがとうございました。それでは、その前 の女性の方お願いいたします。 ○参加者12 東京都地域消費者団体連絡会の内藤と申します。こういうリスクコミュニ ケーションというのは、双方で意見を言い合うということを非常に私は期待しておりま す。 特に、今までのリスクコミュニケーションのこういう場を見ますと、行政にいろ いろなことで物申すというのが消費者の立場として非常に多かったと思うんですけれど も、やはり日本の国民に食べ物を与えている業者の方の理解がなければ、これは本当に できないことだと思うんです。 これは、業者の方にお願いなんですけれども、日本の国民に安心して食べられるもの を商売として活用していただきたいと。これは、私は十二分にお願いしたいということ で、今日はこの場を借りまして、リスクコミュニケーションなので、是非そういうこと でお仕事をしていらっしゃる方に、日本の消費者というのは安心なものを食べて暮らし たいと。それで、日本の国はこんなに消費者も、商売をやっている方も、食の安全に関 してはこれだけ一生懸命になっているんだということを世界に発信するような国民性を 持っていきたいということを思っておりますので、是非この場を借りて、両者ともども、 これからの再開を急ぐことなく、やはりきちっと話し合いをできる場というのが非常に 大事だと思うんです。 それで、1つお願いなんですが、こういうリスクコミュニケーションを今まで何回も やられていましたけれども、食品安全委員会の方にはどういうような報告をされている のか、その辺がわからなかったもので、お答えできる方があればお願いいたします。 以上です。 ○藤井大臣官房参事官 ありがとうございました。それでは、最後にお願いいたします。 ○参加者13 私は主婦として意見を言わせていただきたいと思います。伊藤と申します。 本日は、壇上にいらっしゃるお歴々の皆さん、平成13年9月11日のアメリカの同時 多発テロは皆さんの御記憶にあると思いますが、その前日、9.10が日本で一番最初、1 頭目のBSEが発生した日でございます。私は忘れもいたしません。 私は主婦として20年間台所に立ってまいりました。皆さん方は5年前にどういった立 場でお勤めでいらしたんでしょうか。5年前からこういったことに関わっていらしたで しょうか。5年前の私は、すぐに子どもたちの安全を考えまして、BSE調査検討委員 会の第1回目から傍聴させていただいてまいりました。BSE調査検討委員会の中のメ ンバーさんともお知り合いになりまして、お尋ねすることができました。その中のメン バーさんが、今回、食品安全委員会の方に何名かリンクされていらっしゃいます。 私はコミュニケーションのところで、発言をすることがなくてもメンバーの方にお尋 ねいたしました。例えば肉骨粉のことだけではなくて、代用乳についての安全性は食品 安全委員会でどのように検討されているのでしょうかとお尋ねしました。済みません、 そこは検討課題ではないんです。いわゆる諮問されたものに関してだけの私たちは検討 であるというふうなお話も聞かせていただきました。 私は主婦として、全員の財布の中身は同じではありません。ゆったりとした余裕のあ る生活の方もいらっしゃれば、ショップ99に走る方もいらっしゃると思います。ですか ら、主婦が選べることは私はとても大事だと思いますが、やはり食品安全委員会の方た ちが検討したいことをきちっと検討できる、いわゆる政府誘導型ではないですけれども、 この件以外は検討しなくてもいいですよみたいなのは私はよろしくなかったのではない かと思います。 輸入に関して、私は反対はいたしませんが、是非、安全についての再検討・再評価を 強く切にお願いいたします。 ○藤井大臣官房参事官 ありがとうございました。それでは、行政の方から、あと5分 ぐらいしか約束の時間がなくなりましたが、簡潔にお願いしたいと思います。 まず、中川局長からお願いします。 ○中川消費・安全局長 私の方から、池見さんのトレーサビリティーを義務付けるべき ではないかというご意見についてでございます。 トレーサビリティーは、それぞれ皆さんがどこまでのことを念頭に置いておっしゃっ ているかをよく確認させていただきたいと思います。基本的にトレーサビリティーとい うのは何か事故が起こったようなときに、例えば牛であれば、その牛はどこの処理場で 処理されて、更にさかのぼれば、どこの農場から来たのかというところまでトレースバ ックができるというシステムでございます。これ自身は、いろんな病気や事故が発生し たときに、それの対策を適切に取るために本当に不可欠といっていいぐらい大事なシス テムであります。牛肉の輸入の安全性というときにこれが不可欠の条件かどうかという と、これを輸入の際に義務付けるとなると、これはSPS協定上、問題になると思って います。 他方で、アメリカも、個体識別制度は必要だというふうに今の政府は考えています。2 009年1月を目途にも、そういうものを導入しようとしていますが、まだ現時点では十 分、全国的な規模には至っておりません。したがって、1つは向こうも必要性は考えて いますけれども、今、再開をする条件としてこれでなければだめだというふうにまで条 件付けるのは難しいと思っています。 ○松本食品安全部長 それと、これまでいろいろリスクコミュニケーションをやってき たけれども、その結果を食品安全委員会にどのように伝えているかということでありま す。 このリスクコミュニケーションにつきましては、全部、テープ起こしになりまし て、多くの国民の皆さんに見られるようになっておりますし、それをまとめたものを節 目節目のときに食品安全委員会に報告させていただいておりますし、また、大体こうい うリスクコミュニケーションをやりますと、食品安全委員会から、今回は西郷リスクコ ミュニケーション官がお見えですけれども、大体だれかが来ていて、非公式にも伝わり ますし、公式には厚生労働省、農林水産省の方から要約を付けて御報告しているという ところであります。 それと、5年前、BSEの関係で言えば、10月18日、ちょうど 全頭検査を始めた日なんですけれども、そのときに私は有楽町の焼肉屋にたまたま入り ました。そのとき、本当にがらんとしていて、確かにBSEで多くの方々が牛肉を敬遠 されたというのは肌で感じて、縁あってこういうところにおりますけれども、ああいう 混乱がないように、国民の方にきちっと適宜適切にわかりやすい情報を提供して、国民 の方の選択に資するような努力をしていくべきだと思っている次第であります。 ○藤井大臣官房参事官 中川局長の方からお願いいたします。 ○中川消費・安全局長 済みません、伊藤さんの代用乳の話が出ましたので、それだけ 手短に申し上げます。 日本で25例までBSEが確認されておりますが、その原因については1例目から7例 目までについては平成15年9月に一応の報告が出ております。ただ、そのときは7例ま での報告でしたので、まだデータも少ないし、いろんな疫学的な検討も十分できており ませんでした。その後、かなりデータも集まってまいりましたので、平成17年と18年 の2年間をかけて、もう一度、原因究明、感染経路の究明ということで専門家に集まっ ていただいて、再度研究会を開いております。まだ具体的な結論は出ておりませんが、1 7年と18年、2年間かけてということですので、できるだけ早く結論を得られるように し、また、その結果を公表したいと思っております。 ○藤井大臣官房参事官 大変多くの方からご意見・御要望等をいただきました。進行の 不手際等々で発言なさりたいのにできなかったという方には大変申し訳ございません。 3.閉 会 ○藤井大臣官房参事官 お約束の時間がそろそろまいりますので、最後に閉会のあいさ つを厚生労働省の松本食品安全部長から申し上げます。 ○松本食品安全部長 最後に、ごあいさつ申し上げます。本当に皆さん、長時間御参加 いただきましてありがとうございました。 また、いろいろ米国からの牛肉の、どうしてこのような問題が起きたのかということ のしっかりした原因究明をすべきであるとか、全般的な話でありますけれども、国民の 命を守るということで、しっかり対応してほしい。今後の話といたしましては、米国に どのような改善措置を求めるのか。また、日本国として水際の対策をどうするかという ようなこと、いろいろ貴重な御意見をいただきました。あるいは再評価すべきだという 御意見もいただいたということは承知しております。 いずれにしましても、来週、高松で開きますけれども、これまで9回開き、トータル で10回になりますけれども、皆様方の意見を参考にしつつ、また、これから米国でやら れるであろう、残りの認定施設についての調査結果を待ち、今後、どのように進めてい くかということを、一歩一歩進めていくということになりますけれども、判断して進め ていきたいと思います。 また、こういう手続の透明性は大事でございますので、節目節目に公開できるものは 公開して、また皆さん方の御意見をお寄せいただければ虚心坦懐に聞いて取り組んでま いりたいと思います。 本日は、長時間、本当にどうもありがとうございました。(拍手) ○司会 以上をもちまして「食品に関するリスクコミュニケーション(米国産牛肉輸入 問題に関する意見交換会)」を閉会いたします。長時間にわたりありがとうございまし た。 お帰りの際に、アンケートを回収いたしますので、御協力をよろしくお願いいたしま す。  (了)