食品に関するリスクコミュニケーション (米国産牛肉輸入問題に関する意見交換会) 日時:平成18年4月18日(火)    14時00分〜16時40分 場所:愛知県産業貿易館 1.開 会 ○司会(吉田厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐)  本日は、大変お忙しい中御出席いただきまして、まことにありがとうございます。た だいまから「食品に関するリスクコミュニケーション(米国産牛肉輸入問題に関する意 見交換会)」を開催いたします。  私は、本日の進行役を務めさせていただきます厚生労働省食品安全部企画情報課の吉 田佳督と申します。よろしくお願いいたします。  厚生労働省と農林水産省では、1月20日米国から到着した子牛肉にせき柱が含まれて いることが確認されたため、現在すべての米国産牛肉の輸入の手続を停止しています。 このことについて2月17日に、米国農務省から日本向け牛肉輸出証明プログラムに関す る調査結果、対策報告書が提出されて、3月28日から29日にかけて日米専門家会合が 開催されたところです。  本日の意見交換会は、報告書及び日本からの照会に対する米国側の回答等についてま ず御説明をし、参加者の皆様方の疑問点やお考えなどについて意見交換を行うために、 全国9カ所で開催しているものの一つでございます。  まず初めに、お配りしている資料の確認をさせていただきます。  まず議事次第がございます。それから座席表でございます。そして資料でございます けれども、米国産牛肉輸入問題についてでございます。それから参考資料1、参考資料 2、参考資料3とございます。それ以外にもその他の配布資料といたしまして、食事バ ランスガイドという小さなものがございます。それから、「安心を食べてほしいから。守 っています、食の安全。」というパンフレットがございます。そして「意見交換会に参加 いただいた皆様へ」ということでカラー刷りの1枚紙がございます。参考として「食品 安全委員会の議論の概要」がついてございます。そして「食品安全エクスプレス」とい う1枚紙、さらには食品に関するリスクコミュニケーションについてのアンケートとい うことで、こちらのアンケートに関しましては、お帰りの際までには御協力をお願いし たいと思っております。それ以外に冊子になってございますが、「食品の安全確保に関す る取り組み」と「食品安全」、こちらのものが配布資料としてお手元に届いていると思い ます。  今後の参考にさせていただくためにアンケートを用意いたしておりますので、お帰り の際には御協力をお願いいたします。なお、資料に不足等がございましたら事務局まで お申し出ください。  それでは続きまして、本日の進行について説明いたします。  まず、米国産牛肉輸入問題につきまして1時間程度説明をいたします。その後10分間 程度の休憩時間を挟み、意見交換に入りたいと思います。なお、会場の都合上、終了は 4時30分を予定しております。 2.議 事  (1) 米国産牛肉輸入問題について  (2) 意見交換 ○司会  それでは、米国産牛肉輸入問題について、厚生労働省食品安全部監視安全課の蟹江衛 生専門官から説明をいたします。 ○蟹江厚生労働省食品安全部監視安全課BSE対策専門官  ただいま御紹介いただきました厚生労働省の蟹江でございます。  スライドを用いて御説明をさせていただきたいと思いますが、ちょっと横からですと 見にくいものですから、下におりて説明をさせていただきます。  本日用意いたしましたスライドでございますが、米国産牛肉輸入問題につきまして、 スライドが見にくければ、お手元の資料で右上に「資料」と書いてあるものをごらんい ただければと思います。  まず、本日の説明の流れでございますが、米国産牛肉問題の経緯を御説明いたします。 それから、1月20日の輸入手続の停止の内容、国内流通品への対応。4番目に、米国と の協議、調査報告書の内容、日本側から米国側への照会事項と、その回答内容、先日行 われました日米専門家会合、こういった流れに沿いまして御説明をさせていただきます。  既に御承知かとは思いますが、平成15年12月24日に米国でBSE感染牛1頭が確認 されました。それに伴いまして米国からの牛肉の輸入を停止いたしました。平成17年5 月24日に、日米の協議を踏まえまして食品安全委員会に、米国産牛肉と我が国の牛肉と のBSEリスクの同等性を諮問いたしまして、プリオン専門調査会におきまして10回の 審議がなされ、平成17年12月8日に答申をいただいております。  その食品安全委員会からの答申を踏まえまして、平成17年12月12日に輸入再開を決 定し、その後、米国及びカナダにおけます日本向け牛肉処理施設に担当官を派遣して査 察を実施いたしました。その後、今年の1月20日でございますけれども、成田空港でせ き柱を含む米国産子牛牛肉が発見されて、その結果を踏まえまして、輸入手続を一旦停 止しているというのが現状でございます。  その問題を受けまして、国内に既に流通されているものの調査を行い、その結果を2 月10日に公表しております。それから、今回の問題につきまして米国側が調査をした結 果が日本側に2月17日に提出され、その内容につきまして、かなり膨大な量でございま したけれども、和訳を作成し公表しております。報告書本体と附属資料がございますが、 両方和訳をして、農林水産省、厚生労働省のホームページに掲載しております。それか ら、この報告書の内容について米国政府に照会をし、どういう内容を照会しているかと いうこともあわせて公表いたしました。  その後、その照会に対する回答が参りまして、その回答についても和訳を公表し、さ らに詳細につきまして日米の専門家会合が開催され、ここで協議がなされております。 これらの中身につきましては、後ほど詳しく御説明をさせていただきます。  まず、日本向け輸出プログラム概要ということで、輸入再開を決定した際の日本向け の牛肉の条件。もう御承知かもしれませんが、特定危険部位をあらゆる月齢から除去す ること、20カ月齢以下と証明される牛由来であること、処理から出荷まで他の牛肉等と 識別されること。それと、実際に対象輸出可能品としては、カットされた肉、内臓でご ざいまして、食肉製品とかひき肉といった加工品はプログラムの対象になっておりませ んので、現状では輸出できない制度になっています。  輸出プログラムの遵守と書いておりますが、システムでございます。  まず、米国におけます食肉処理施設が農務省に申請をいたしまして、その農務省の中 に農業販売促進局、AMSといっておりますが、こちらの担当局が、その施設について 審査をし、現地監査も行いながら問題ないと判断されれば、施設が日本向けの認定施設 として認められるという制度でございます。  それからもう一つ、農務省の中には食品安全検査局といいまして、FSISといって おりますが、食肉処理施設の中に検査官が常駐をして検査あるいは監督を行い、輸出証 明書の発行を行っているということです。  以後のスライドも、このAMSとFSISという言葉がかなり頻繁に出てまいります ので御記憶いただければと思います。  輸出プログラムの遵守体制でございますが、先ほど御説明いたしました事業者からの 申請、AMSによる認定。そのプログラムの内容といたしまして、その施設の組織ある いは教育訓練、製造基準、製品の管理、不適合の是正あるいは予防、こういった内容の 記載がございます。その中に、日本向けについては特定危険部位の除去、20カ月齢以下 という条件を盛り込んで、手順書の作成・管理、記録の保存・管理をすることになって おります。  こういったものにつきましては、企業内による内部検証とAMSによります外部検証、 こういった監査で確認がなされているという実態でございます。  こちらのスライドは、米国から食肉が輸出され、日本の水際の検査体制を示した図で ございます。まず輸出国側におきましては、認定施設で処理された牛肉につきまして輸 出国政府が証明書を発行する。輸入する者が農林水産省の動物検疫所、厚生労働省の検 疫所に届け出をし、書類の確認、それから現物を倉庫に出向いて表示の確認あるいは開 梱をして、特定危険部位混入の有無の確認を行い、合格したもののみが国内流通なされ るという流れになっております。  この流れの中で1月20日に、成田空港におきましてせき柱を含む子牛の肉3箱が発見 されたということでございます。  こちらが、その発見されました子牛の肉の現物の写真でございますが、これがせき柱 でございます。ここの真ん中にくぼみがございますけれども、ここに通常はせき髄がく っついているわけですが、そのせき髄自体はとられて除去されておりまして、背骨の部 分がついた形で成田に到着したということでございます。  今回の発見を受けた我が国の対応でございますが、まず、違反貨物については、すべ て積み戻し、または焼却処分とするという対応です。それから、米国政府から原因究明 とその改善策についての適切な報告があるまでの間、すべての米国産牛肉の輸入手続を 停止。これは、再開直後に特定危険部位が輸出されたということを重く見ての措置とい うことで、対応をとったものでございます。  ここにございますけれども、報告書は提出がなされておりますけれども、そういった ものの内容の精査あるいは内容が十分かどうか。今後の改善策についてまだ検討する必 要があるということで、現状も輸入の手続の停止がなされております。  こちらは既に輸入されました米国産牛肉、昨年12月12日から今年の1月20日まで輸 入手続を停止するまでの間、実際に国内に730.1トン輸入されてございます。26の輸入 業者が輸入をしていまして、輸入業者の本社がある自治体として10都県です。特に私ど も厚生労働省の方から、この関係自治体に調査依頼をして、背骨の混入事例がほかにな いかどうかを確認いたしております。  まず、確認の仕方でございますけれども、こちらにございます輸出証明書ごと、これ はロット単位になりますけれども、モモとかスネ肉あるいは横隔膜とか舌といったもの は完全に除外できるということで、背骨を含む可能性がない部位でございます。実際に 現物を見て確認をいたしましたのが、せき柱の周辺部位が少しでも入っているロットに ついては、実際に箱を開けて中を確認しております。  その中で、例えばこちらの図の部分ですと、せき柱の周辺部位とモモとかスネといっ た部分、せき柱の周辺部位でない部位も一緒にロットの中に入っているものもございま す。そういったものについては、せき柱の部位でないことを現物の表示等で確認あるい は証明書の内容で、こういった部位の確認をしております。  こちらの図を見ていただくと全体像がわかると思います。昨年の12月12日以降、日 本に到着をして届け出がなされた輸入量が1,496トンございます。そのうちの765.9ト ンにつきましては、まだ手続が終了しておりませんので、港の保税倉庫といったところ に保管をされていて流通ができないものでございます。730.1トンの部分は輸入の手続 が終了して、実際に流通可能なものでございます。  それの中身を見てみますと、155トンが証明書によってせき柱の周辺でないことが確 認をされております。例えば、モモとかスネとか、舌とか横隔膜等。それで、せき柱を 含む可能性があるものが575.1トン、この同じロットの中にもモモとかスネとか入って おりますので、そういったものを分けていきますと、実際せき柱周辺部位は249.7トン。 こういったものについて中身を確認し、せき柱の混入は認められなかった。これが約481 トン確認できたということでございます。  そのほか、箱から出してしまったりとか、内容が細かく確認できないものもございま して、こういったものが93.4トンございましたけれども、いろいろ関係者の方々に聞い てみますと、せき柱の混入の情報はないという状況でございました。  次は、米国との協議の内容を御説明したいと思います。  まず、対応の基本的な考え方ということで、米国政府に対しまして、徹底した原因の 究明と十分な再発防止策の検討、その報告を要求している。その上で、今回のような事 例が起きることのないよう今後の対応を検討する必要がある。科学的合理性に基づいた 判断はもとより、消費者の方々の米国産牛肉に対する信頼回復が必要といった基本的な 考え方で対応しております。  米国政府の調査報告書の内容でございます。  まず概要でございますが、今回の関連施設は2社ございます。ゴールデンヴィール社、 こちらはいわゆると畜場です。枝肉まで処理をする施設でございます。それから、アト ランティック・ヴィール・アンド・ラム社、こちらが枝肉をカットしたりする施設で、 食肉処理施設といっています。  今後のスライドは、ゴールデンヴィール社の「ゴールデン」をとってG社とか、アト ランティックの「A」をとってA社という表示も出てきますので、御承知おきいただき たいと思います。  まず、ゴールデン社の業務内容は、子牛のと殺、解体、枝肉までの処理、それから、 枝肉と内臓の出荷。アトランティック社は、枝肉あるいは内臓肉の分割、出荷、輸出と いう業務内容になっています。  それぞれの施設の米国農務省の関与でございますけれども、まずAMSにつきまして は、施設の認定、施設の査察、生理学的成熟度による月齢判定。アトランティック社に 対しましては、施設の認定、施設の査察。  もう一つ、農務省の中の別のFSISの業務でございますが、国内規制の施行、食肉 検査、施設の衛生管理の監督、マニュアルに基づく作業の検査・検証、SRMの除去で すとか、区分管理の検査・検証を行う。アトランティック社に対しましても同じような 内容でございますが、輸出する場には、最終的に輸出証明書の発行を行っているという ことでございます。  具体的な今回の事例の内容でございます。今御説明いたしましたゴールデン社、アト ランティック社の関係を示しております。  まず、ゴールデン社がせき柱のついた子牛の枝肉をアトランティック社に出荷し、ア トランティック社でせき柱を除去せずに、FSISの検査官が証明書を発行し日本に輸 出されたというのが一つございます。  それから内臓、これは舌と胸腺でございますが、輸出プログラムの要件を満たしてい ない内臓に対して、プログラムに適合しているという申告書を付してアトランティック 社に出荷をしております。アトランティック社の方では、製品の納入記録には記載がな されておりませんでしたが、輸出をした。これについてもFSISの検査官が証明をし て出荷をしているという事実関係でございます。  ゴールデン社、子牛のと畜施設での問題点でございます。  ゴールデン社のマニュアルには、日本向け輸出に必要な内蔵の分別管理が規定されて いなかったということにもかかわらず、日本向け輸出に適合しているという申告書を発 行して、適合品としてアトランティック社に出荷をしたということです。  問題点といたしましては、内臓が日本向け輸出に適合していないことがゴールデン社 のマニュアルに明確に規定されていなかったこと、これが一つ問題点であります。それ から責任者は、この対日輸出プログラム等の知識を有していたことが認定されておりま すけれども、他の従業員の理解度が不足していたといったことが問題点として挙げられ ております。  こちらはアトランティック社の問題点ということです。まず、アトランティック社の マニュアルには、日本向け輸出に必要なせき柱の除去の規定がなされていたにもかかわ らず除去していなかった。それが日本向けの製品として出荷された。もう一つ、内臓に ついては、対日本向けの輸出プログラムを満たした製品の納入記録には記載されており ませんでしたけれども、日本向けに処理をして、最終的に日本向け製品として出荷され たということが問題でございます。  整理をしますと、せき柱除去の具体的な手順がアトランティック社のマニュアルに明 確に規定されていなかったことが問題として一つございます。それから先ほどと同じで ございますが、責任者は知識を有していたと認定されておりますが、他の従業員は理解 度が不足していたのではないかということでございます。  こちらは施設側ではなくて、米国農務省のFSISの検査官の問題点でございます。  アトランティック社担当の検査官は、輸出証明の申請を受けるまで、アトランティッ ク社が日本向け輸出プログラムの認定を受けたことを知らなかったということ、それか ら、日本向けのプログラム自体を熟知していなかったということで、最終的に、日本向 けに適合しない子牛肉と内臓製品の輸出証明書に署名をしたという事実でございます。  問題点といたしましては、昨年12月に各地域事務所を対象に日本向けの輸出条件の周 知を図るための電話会議が実施をされておりますが、その段階ではアトランティック社 はまだ認定申請をしていなかったということがございます。それから、検査官が日本向 け輸出証明業務を行うに当たって、その責務を理解するための措置が十分とられていな かったことが問題点でございます。  これまでが報告書そのものの内容でございますが、その報告書を受けまして、米国へ の照会事項、その回答。本日の資料の中にも入っておりますが、それをスライドにして おります。  調査結果、対策も含まれておりますけれども、その内容について米国側に照会をした 項目でございます。  まず、事項を分類しますと六つありますが、報告書の全般的な事項、農業販売促進局 (AMS)に関する事項、施設に関する事項、検査を担当しますFSISに関する事項、 再発防止のための改善措置に関する事項、この再発防止の改善措置も一部報告書に盛り 込まれておりますので、その内容についての事項、その他と分類しております。  まず一つ目の、照会事項と米国からの回答でございますが、まず、今回の事案の原因 は何か。今回はゴールデン社とアトランティック社でございますが、そのほかにも日本 向けの施設が認定をされておりますので、その施設で同様の問題はないかどうかといっ たことについて照会をしております。  まず、今回の事案は、施設が審査を受けたマニュアルを守らなかったこと、輸出条件 に違反していることをFSISの検査官が見つけられなかったこと。こういったことに よって、せき柱付の子牛の肉が日本に輸出されたという事実でございます。  それから、昨年の12月に各地域の責任者、これは、FSISの検査担当の責任者を通 じて日本向けの条件を周知したということでございますが、アトランティック社は、今 年の1月に入ってから認定をされておりまして、アトランティック社はこの12月当時、 日本向けに認定がなされていなかったということで、その地域を担当する責任者が周知 を受けておらず、結果として、同社を担当する現場の検査官への周知も行われなかった ということで、特異なケースということが説明されております。  それから、ゴールデン社とアトランティック社以外の施設でございますが、これまで の監査や顧客からのフィードバック、情報から見ても、条件も理解されているし、適合 品のみ輸出されていることを確信しているという回答が来ております。  こちらのスライドは、その施設の認定に関する事項で、認定には問題なかったかとい った照会事項でございます。  米国側の回答といたしましては、認定を担当しますAMSの監査担当職員は、施設の 責任者が非常に経験を有していて、牛肉・子牛施設の監査プロセスを理解していた。そ れから、輸出マニュアルが輸出条件に適正に対応していたということ、施設の責任者が、 日本向けの条件について知識を有していたということをAMSの監査担当職員は確認を しておりまして、AMSの審査には問題なかったという回答でございます。  その審査を受けまして、マニュアルに従わずに輸出品が処理されたために、この当該 施設は即認定リストから除外したという対応が回答として記載されております。  こちらは施設に関する事項ということで、担当者はなぜ責任を果たさなかったのかと いう照会でございますが、施設側がマニュアルを守らなかったことは明らかであるとい う回答でございます。それから、不当性の度合いについてはOIG調査部門が調査。こ のOIGといいますのは、米国農務省の中に監査をする監査官室がございまして、そう いったところが不当性の度合い、具体的には、今回の事例が実際に故意であったか、あ るいは故意でなかったか。そういったことについて調査がなされるということでござい ます。  マニュアルは日本向け条件を含んでいて、現地監査では、施設の責任者もせき柱の除 去や内臓の分別の必要性を十分知っていたことを確認しているという回答でございます。  次は検査に関する事項ということで、FSISの検査官は、なぜ不適格品を見逃した のかという質問でございますが、まず一つ目の回答といたしまして、輸出証明の申請を 受けるまで認定されたことを知らなかった。日本向けの認定施設であったことを知らな かったということでございます。  それから、輸出証明の手続を定める指示が発出され、ウェブサイトに日本向けの条件 が掲載されておりましたけれども、今回の事案の発生まで、現場のFSISの検査官に 対して、日本向け輸出証明の責務を理解させるための追加的な措置は行われなかったと いうことです。  それから、先ほどの繰り返しになりますが、昨年12月に責任者を通じて日本向けの条 件を周知していたが、アトランティック社は当時認定されていなかったことから、地域 を担当する責任者が周知を受けておらず、結果として、現場の担当の検査官にも周知が 行われなかった特異なケースであったという回答でございます。  報告書に含まれております改善措置に関する事項ということで、提案された改善措置 は十分かどうかということを再度確認しております。  まず、AMSに関する改善措置でございますが、マニュアルには、輸出できる具体的 な製品を明記するということで、輸出認定施設の再調査を実施します。それから、輸出 認定施設が輸出できる具体的な製品をリスト化して、省内のウェブサイトに掲載すると ともにFSISに情報を提供する。AMSにおいても、輸出品が輸入国向けに適格であ るかを証明する。これは今までなかったんですが、今まではFSISが証明を行ってい たが、それに加えてAMSにおいても証明をする。輸出再開後は抜き打ち審査を実施す るといった内容でございます。  こちらがFSISにおけます改善措置ということで、まず、FSISの役割の明確化、 輸出証明関連の指令、通知等を改正して、FSIS検査官の役割を明確化するという内 容です。それから、省内のウェブサイトを通じて、輸出認定施設が輸出できる具体的な 製品についてFSIS検査官に情報提供する。検査官に対して研修を行い、さらに試験 を行って合格を義務づけする。輸出認定施設とその担当の検査官に対してのチェックを するということです。  農務省の中のAMSとFSISとの連携でございます。  AMSは施設の認定の業務を担当しております。その認定や取り消しに当たっては、 その都度FSISに通知をするということ、AMSは、FSIS検査官の研修が終了し た後に施設を認定する。具体的な輸出可能な製品リストを作成して、ウェブサイトに掲 示をするとともにFSISに提供する。AMSにおいても適格品である旨を証明し、そ の後さらにFSISでも証明するという内容でございます。  次は、こういったこれまでの米国とのやり取り、これはペーパーベースでのやり取り でございますが、実際にこの問題について日米の専門家の会合が開催されております。  3月28日、29日の2日間東京で、米国側は、ランバート農務省マーケティング規制 担当次官代行ということで、AMSの部分とFSISの部分を担当をしている方でござ います。それから日本側は、外務省と厚生労働省と農林水産省から出席をして協議をし たということです。  まず、日本側が会合の冒頭に発言したことを簡単に御説明いたしますと、せき柱が含 まれた牛肉が日本に到着したことはまことに遺憾である。それから、食の安全・安心を 大前提に徹底的な原因究明と再発防止を求めている。本事案により生じた疑問は、当該 施設だけでなくて、米国農務省のチェック機能に及ぶ重大なものであるということ。輸 入手続の再開には、日米が合意したシステムの信頼性への疑問の払拭が不可欠であると いったことを最初に発言をいたしております。  この専門家会合におきましても、先ほどと同様、AMSに関する事項、施設に関する 事項、FSISに関する事項、再発防止のための改善措置に関する事項、こういった議 題に分けて意見交換を行っております。  その結果、米国との間で一定の共通認識を得ております。まず、ゴールデン社とアト ランティック社の2施設において今回の事案が起きた経緯、AMSにより認定された対 日輸出施設のマニュアルに改善すべき点があったこと。  ちょっと字が小さくて読みにくいかもしれませんが、具体的には、今回の事案は、問 題の施設が認定されたマニュアルに従わなかったことと、FSISの検査官が発見でき なかった結果発生したものということが一つ。もう一つが、問題となった施設について 当時の判断――これは農務省のAMSの判断ですが、当時の判断としては、手続に従っ て認定が行われたものということで、当時の認定手続については、手順に従って行われ たもので問題ないということでございますが、今から振り返ってみると、そのマニュア ルがより具体的、現実的なものであったとすれば、今回の事案を防ぐことができた可能 性は高まっていたのではないかということが考えられるということで、この部分につい ては、これまでの文書上のやり取りの中では説明がなかったわけでございますが、この 日米専門家会合で米国側が認めた内容でございます。  最後、会議の概要ということで取りまとめておりますが、今後、実際に輸入再開して 現状に至るまで、その日米専門家会合の内容も含めて、これまでの経緯について、日本 側は消費者への説明会を実施する。今まさにやっているのがこの説明会、リスクコミュ ニケーションなわけでございますが、米国側においては、今後、日本が提示する調査項 目も含めた対日輸出認定施設に対する再調査、この調査の内容について今協議をしてい る最中でございますが、ゴールデン社、アトランティック社以外の施設がどうであった かといった調査を行う。それから、改善策の具体化を行うといったことをそれぞれ日本 側、米国側で行いまして、この結果を踏まえて、これからの対応を検討することになろ うかと思います。  したがいまして、本日は冒頭、昨年の輸入再開、それから成田で発見されましたせき 柱付の子牛の肉、それを踏まえて輸入手続の停止の措置をとったわけでございますが、 そういったことを踏まえた米国側の報告書、それに対する日米のやり取り、そういう実 態、状況につきまして本日御説明をさせていただいているということで、日本側はリス クコミュニケーションを実施、米国側がさらにしなければいけないことがあるわけです が、その結果を見て今後の対応を検討していくということでございます。  本日、スライドは用意をしておりませんが、既に何カ所かほかでリスクコミュニケー ションを行っておりますけれども、香港の事例、香港で米国産牛肉から骨が発見されて いるという報道が一部なされていることは御承知かと思いますが、まず、香港と日本で は条件が違っております。  香港が米国から牛肉を輸入する場合の条件といたしましては、香港では月齢が30カ月 齢以下。日本は20ですが、香港では30カ月齢以下で骨がついていないこと。これは骨 の場所といいますか、それは特定されていなくて、いわゆる骨が全くついていなくて、 ボンレスというものです。日本の場合は、20カ月齢以下で特定危険部位が入っていなけ ればよいという条件で、特定危険部位以外の骨、あばらの骨とか足の骨といったものは 日本は輸入可能でございますが、香港では一切骨がだめという条件のようです。  こういった条件のもとで、これまで2件骨の混入が確認なされているということでご ざいます。1件目が、米国のスイフト社から処理されて輸出されたもの。2件目が、カ ーギル社から処理された輸出されたもの。それぞれの施設については、一旦香港への輸 入が停止されているということでございます。  スイフト社の方につきましては、昨年の12月に厚生労働省と農林水産省の担当官が現 地の視察を行っております。11カ所の視察を行ったわけですが、そのうちの1カ所でご ざいまして、視察時には、SRMの除去とか部分肉の処理など日本向けの処理について 問題は確認なされておりません。  これらの情報は、米国側あるいは香港側に対して今現状で情報収集を行っているとい うことで、そういう事実関係も確認しながら、今後の対応を検討していこうという状況 でございます。  それから最後に「おわりに」とありますが、米国産牛肉の対応に関する情報等は、厚 生労働省、農林水産省のホームページに掲載をしております。これは今回の事例だけで はなくて、これまでの情報がまとめて掲載されております。  それから、御意見につきましても、いつでもお出しいただける体制をとっておりまし て、電子メールでも郵送でも可能な体制をとっておりますので、何かございましたら、 こちらの方にも御意見をいただければと思います。  説明は以上でございます。 ○司会  では、ここで10間の休憩といたします。15時3分に再開いたします。 ―休 憩― ○司会  それでは、お時間が参りましたので意見交換を始めます。  まず、皆様の前に着席しております行政側の出席者を紹介いたします。  皆様からごらんになって右から、内閣府食品安全委員会事務局の西郷リスクコミュニ ケーション官です。  農林水産省大臣官房、伊地知参事官です。  先ほど御説明申し上げました厚生労働省医薬食品局食品案全部監視安全課の蟹江衛生 専門官です。  厚生労働省大臣官房、藤井参事官です。  意見交換の議事進行につきましては、藤井参事官にお願いいたします。 ○藤井厚生労働省大臣官房参事官  厚生労働省の藤井でございます。今から意見交換会の議事進行をさせていただきたい と思います。あとは座ってさせていただきたいと思います。  会場の設営の関係で、皆様からかなり離れた高いところに我々おりますことをまず御 理解をいただきたいと思います。  今回の意見交換会でございますけれども、先ほど説明をいたしましたように、1月20 日に背骨付の子牛肉が発見されたのを受けまして、米国からの牛肉の輸入手続を停止す るとともに、米国側に原因の徹底的な究明と改善方策を求め、そのやり取りが現在続い ておりますが、先日実施をいたしました日米専門家会議までの経緯を説明し、その状況 を御理解いただくとともに、あわせて皆様方からの御意見をいただくという目的でござ います。  まず、意見交換会の進め方について御説明をさせていただきたいと思います。  大きく前・後半の二つに分けまして、まず最初に、先ほど説明をいたしました「米国 産牛肉輸入問題について」という説明の内容そのものについて御質問がある方に御発言 をいただきたいと思います。いささか専門的な、そして細かい中身になっておりますの で、一度聞かれただけでは御理解が十分でない不明の部分があったかと思いますが、ま ず説明内容についての御質問をいただきたいと思います。その説明内容についての御質 問が終わった後、意見交換会に移らせていただきたいと思います。  いろいろなことで御発言を希望する方は、挙手をお願いしたいと思います。発言をい ただく方につきましては、私の方で御指名をさせていただきたいと思います。係の者が マイクをお持ちしますので、発言に先立ち、お名前と、差し支えがなければ所属をお願 いいたします。  できるだけ多くの方に御発言をいただきたいと思いますので、フロアの方の1回の御 発言は2分以内でお願いをしたいと思っております。1分半経過をいたしましたら、事 務局の方で1回ベルを鳴らさせていただきます。ベルが鳴りますと取りまとめに入って いただきたいと思います。2分たちますと2回ベルを鳴らさせていただきます。そうし ますと他の方にお譲りをいただきたいと思います。  行政からの発言につきましては、誤解があってはいけませんので、2分間という時間 を区切りませんが、できるだけ簡潔にお願いをしたいと思います。  会場の都合もありますので、午後4時半には終了したいと思いますので、そのことに つきましては、皆様の御理解と御協力をお願いいたします。  それではまず最初に、休憩前に御説明をした説明内容そのものについて御質問がある 方、挙手でお知らせをいただきたいと思います。  それでは、今3名の方のお手が挙がりましたから、一番最初に手を挙げられました3 列目の方、そして一番向こうの端の真ん中ぐらいの方、もう一人女性の方、その3名の 方に続けて御発言いただきたいと思います。  今御発言をいただくのは、説明内容そのものについての御疑問がある方でございます から、そのことについては御理解いただきたいと思います。その他の意見、御要望等が ある方については後ほど時間をとりますので、そのときにお願いをしたいと思います。  それでは、順次お願いをいたします。 ○参加者1  岐阜から参りました岐阜県農民連の岩田と申します。  参考資料の21ページに20カ月以下の牛と書いてあります。今日の報道によりますと、 生後20カ月のホルスタイン1頭が福島県郡山市で出たということが出ておりますが、こ の問題は本当にこれでいいのか。私も牛飼いを長いことやっておりますが、20カ月とい うのは非常に若いですから、これでいいのかということが非常に私疑問だということを 申し上げておきます。  何かお答えいただきたいと思います。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  それでは、一番右側の列の中ほどの方、続けて御発言をお願いいたします。 ○参加者2  岐阜の多治見から来ました吉田といいます。二つのことについてお尋ねしたい。  一つは、資料4ページの下段に、日本向けに輸出可能となる牛肉等、ひき肉や加工製 品は日本向け輸出プログラムの対象外ということですが、これは、どこで、いつ、どの ようにしてこういう経過になったのか。例えば、香料、添加物、コンビーフ、こういっ たものもこの説明の中に含まれるような気がしますが、かなり危険な感じがします。説 明していただきたい。  もう一つ、これは説明されなかったことについて質問したい。つまり、皆さんが説明 を除外してしまったこと。メディアで、この問題が起きたころにテレビで報道されたの は、牛を頭から尻尾まですぽんと背割りをする。そのときに皆さんが心配している、い わゆるずい液が飛び散ることについて、安全委員会で幾つか議論されたような記憶を持 っておりますが、なぜそのことを説明されないのか。  今回発見された骨の写真が6ページに写っています。先ほどの先生の説明では、へこ んだところにずい液があるところですよと。メディアでは、そこをバキュームで取ると いう映像がよくテレビで出ましたけれども、そうなる前に、すぱっとせき髄ごと縦に断 ち割るという工程があると思うんです。そのことはなぜ説明されないのか、ぜひお尋ね したい。  以上です。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  それでは真ん中の女性の方、マイクをお持ちしますのでお願いをいたします。 ○参加者3  新日本婦人の会岐阜県本部の宇野と申します。  説明されました中で16ページ、自主調査結果の中で765.9トンというのは、手続が未 了で港に保管されていると書いてあるんですけれども、単純な疑問として、これは1月 からこのまま保管しておいて、実際にこの肉はどうなるのですか。これは消費者として の疑問です。保管してあるのを、また安全だと再開されたときに、私たちの食卓に上が ってくるのかどうかをお聞きしたいと思います。  それから、昨年12月に再開されましたけれども、11の施設を査察して来られたんで すけれども、何を見てこられて、何を安全としたのか。その後すぐにこういう問題が出 ましたけれども、それは何だったのかということが2点目。  それから3点目では、日本向けとか香港向けで内容が違うんですけれども、アメリカ 国内では、このようにせき柱の除去をどれぐらいされているのか。日本向けと違うのか どうかということもお聞きしたいと思います。  以上です。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  それでは、今3人の方から説明をした資料そのものの説明に関連してということで御 質問いただきましたので、順次行政の方からお答えをさせていただきたいと思います。  最初に、厚生労働省の蟹江専門官の方からお答えをいたします。 ○蟹江専門官  まず、郡山市の20カ月齢のBSE検査のお話でございますが、事実関係を御説明いた しますと、4月14日に郡山市の方でBSEスクリーニング検査、これは一次検査でござ います、こちらで1頭が陽性になったと。この一次検査といいますのは感度が非常に高 いものですから、BSEでなくても反応するケースがこれまでもかなりございます。  したがいまして、その確認検査を現在国立感染症研究所で行っておりまして、その結 果で最終的にどうかという判断がなされるということで、現時点でBSEと診断された わけではございません。  その牛の概要でございますが、先ほど御指摘ございました20カ月齢でございまして、 ホルスタイン種の去勢牛でございます。  再度申し上げますと、あくまでも一次検査での陽性で、郡山市がその概要について公 表したものでございまして、最終的にBSEと診断されたわけではございません。です から、BSEでない場合もございますので、もうしばらくたちますと恐らく検査が終わ りますので、その結果を見ていただきたいと思います。  それから、資料4ページの下のスライドで輸出可能となる対象品の範囲でございます が、ひき肉や肉加工製品は対象外と書かれております。実際に対象になっておりますの は、牛を解体していってカットした肉と内臓そのものでございます。現状、カナダと米 国はこういった条件をもとに対応しておりますけれども、それ以外のBSE発生国から の肉あるいはBSE発生国の牛由来の製品、牛の成分が入ったもの、添加物も、加工品 も含めて、輸入は現在できない状況でございます。  それから背割りのお話がございました。今回なぜ説明をしていないかという御指摘が ございましたけれども、今回は、1月20日に成田空港で見つかった事例を中心に御説明 させていただきましたので、その説明はいたしませんでしたけれども、前回、12月に同 じような説明会をさせていただいたときには、写真を用いて説明をさせていただいてい ます。  せき髄の除去につきまして、ちょっと専門的になるかしもれませんが、背割りをする 前に吸引をして、その後背割りをする方法と、それから背割りをした後除去する方法と 二つございますけれども、厚生労働省の研究事業でその二つを比較しております。通常、 背割りをした後に高圧水で洗浄いたします。そうしますと、やはり洗浄効果は確認がな されていて、どちらで処理をしても効果は同じという結論がございます。ですから、特 に前と後で結果が違うということではございません。  それから、せき柱の除去に関しまして、米国ではどうなっているのかという御質問も ございました。  まず、せき柱そのものは特定危険部位として、日本でも米国でも除去することになっ ておりますが、日本では、すべての月齢の牛のせき柱は食品に使えないわけですが、米 国では、30カ月齢以上の牛のせき柱は特定危険部位として取り扱われております。  したがいまして、もっと若い20カ月齢とか、もっと若い牛のせき柱については流通可 能でございます。今回の成田で発見されたせき柱付の子牛の肉も米国内では流通可能と いう規制の実態でございます。これは、日米で多少規制の考え方が違うという部分がご ざいまして、そういった結果になっているんだろうと思います。  それから、現状港に手続が終了していなくて保管されているものはどうなるのかとい うことでございますが、この取り扱いについてどうなるかは、今のところまだ決まって おりません。今後検討をしていくことになろうかと思います。 ○藤井参事官  それでは、12月の査察の関係について、伊地知参事官からお願いをします。 ○伊地知農林水産省大臣官房参事官  12月に輸入再開を決定した直後に、11施設を農水省と厚労省で査察を実施いたしまし た。何を見たのかということでございますが、これは、日本とアメリカとの輸入条件で ありますEVプログラムがしっかり守られているかどうかということでございまして、 具体的には、月齢の確認がちゃんとやられているかどうかということが第一点。  それと、特定危険部位の除去がしっかりやられているかどうかということ、3点目が、 日本向け輸出牛肉と他の牛肉との分別管理がしっかり行われているかどうかということ について査察をいたしまして、当該11施設については問題がなかったという報告を受け ております。 ○藤井参事官  先ほど御質問をいただいたひき肉とか加工製品は輸出対象になっていないという話で ありますが、これはなぜかということについて若干つけ加えさせていただきますと、ア メリカ、カナダから日本が輸入をできる、相手国からしますと輸出できる牛肉というの は、条件が大きく二つあります。  一つは、せき髄等の特定危険部位が除去されていること、もう一つは、20カ月齢以下 の牛からの肉である。その二つの条件が必要でありますが、一たん加工してしまいます と、その二つの条件がわからなくなってしまう可能性が大である。そういうことから、 ひき肉であるとか加工製品については、今回輸出対象にはなっていないということでご ざいます。  引き続きまして、説明内容そのものについて御質問がある方がいらっしゃいましたら お受けをしたいと思いますが、いかがでしょうか。  そうしましたら、真ん中の黒の女性の方お願いします。 ○参加者4  愛知県消費者団体連絡会の中村といいます。  今日もそうですけれども、私たち最後に意見を言いますよね。それから、今ホームペ ージでも意見募集されていますし、私も意見述べさせていただきましたけれども、質問 に対する回答がどうかということではなくて、私たちが今言う、今までも言ってきた意 見が具体的にどう反映されていくのかという道筋と、こういう形になりましたみたいな ところが説明できたら説明していただきたいんです。なかなか消費者の意見というのは 反映されにくいようなイメージを今持っていますのでお願いします。 ○伊地知参事官  個々の御意見それぞれについて交渉でどうやったかというのは、今言われたようにな かなか御説明するという形にはなっておりません。ただ、できる限り皆さん方の御意見 を聞いて、私どもがアメリカ側と話をするときには対応していきたいと考えております。  これまでも、一部の方から見られるとまだ不十分だというような感もあるかもしれま せん。一方では、かなり厳しい条件をアメリカ側に要求していると思われている方がい ることも事実でございます。  アメリカとのEVプログラムの関係で条件を見ますと、日本が一番厳しい条件を付し ております。これは皆さん方の御意見もお伺いした上で我々が対応してきていることだ と御理解いただければありがたいと思います。 ○藤井参事官  そのほか説明内容そのものについて御質問がある方。  それでは、前から3列目の女性の方お願いをします。 ○参加者5  消費者の加藤です。  監視体制のことですけれども、先ほど説明がありました検疫所で書類審査と現場検査 というのがありますが、輸入時には、すべてまず書類検査を一次にするということです か。ちょっと確認したいと思います。  それと、現場検査というのは全量ではないと思うんですが、それの抽出、無作為にど のぐらいやられているのかをお聞かせください。たしか新聞では0.5%ということと、 厚労省としては1割をやっていると。これでは丸で筒抜けですので、ちょっとこれはお かしいと思いますので、消費者としてはぜひ全量検査を実施したいということを望ます。 お願いします。 ○藤井参事官  ほかに御質問ある方がおられなければ、今の方の御質問で、説明内容についての御質 問というのは一たん打ち切らせていただいて、後は意見交換に移らせていただきたいと 思いますが、よろしいですか。  それでは、今の検疫体制の話について、伊地知参事官からお願いします。 ○伊地知参事官  動物検疫所での検査ですが、これは厚生労働省の方もすべて書類で現物かどうかの確 認をまずします。それと、BSEの今回の問題で検疫体制を強化しまして、それまで動 物検疫所は約6割のロットについて調べておりました現物検査を、今回の場合には全ロ ットについて調べる。ただ、全ロットの中から、ロットの中のどれだけを見るかという ことですけれども、これは全箱を開けて見れば商品としての価値が損なわれることにな りますから、そこの部分は抜き取りをやっております。  今回は、今言われたように通常0.5%というルールがございましたけれども、それを さらに強化して、部位が違うものについては、最低すべての部位を見るということで対 応してきております。  厚生労働省の場合には、ロットの数によってそれぞれ抽出するサンプルの数を統計学 的に決めてございまして、それの現物調査をしているということでございます。  ちなみに、成田空港に入ったものについて、動物検疫所でやったものについては、箱 でいっても4割ぐらいだったかと思います。船便で来るものは箱がたくさんありますの で、箱数の比率でいくと少なくなります。 ○藤井参事官  ロットについてちょっと説明をお願いできたらと思います。 ○伊地知参事官  ロットというのは、一つの荷物、一つの申請書で入ってくるものです。それについて はすべて調べます。ただロットによって箱の数が違います。多いものもあるし、少ない ものもあります。少ないものはキロ単位のものから、多いものはトン単位のものまでと いう形で入ってきます。全ロットについて調査をし、そのロットの中のどれだけをやる かというのを抜き取り検査でやっているということでございます。 ○藤井参事官  それでは、今御質問等いただいた中で、疑問が解消されなかったという方については、 意見交換のときにも意見、要望等を出す中で御発言をいただけたらと思います。  それでは、今回の御説明だけではありませんで、米国産牛肉の輸入問題一般も含めて、 御意見、御要望がある方ございましたら、挙手をお願いしたいと思います。  それでは最初に、右から2列目の方の手が挙がりましたので、まず御発言をお願いし たいと思います。 ○参加者6  名古屋市内に住みます水野と申します。  私の方からは、まず輸入が一刻も早く再開していただきたいということをお願いした いと思います。まだ国内産の牛肉が非常に高くて、本来であれば1,000円で済むものを 2,000円、3,000円と買わなければいかんということで、ある面では我々もリスクを背負 っているのではないかと思っています。  それから質問は2点ございます。  まず1点は、前回1月にありました子牛の骨付きの牛肉が入ったとき、これは当然輸 入した側がいるはずですけれども、この辺の情報が一切表に出ていない。ほとんどの方 が何という会社がどういう目的で、どういうふうに使うかということがわかっていない と思います。その辺のことは、監督官庁の方は当然御存じであると思いますけれども、 なぜ公表されないのか。  いろいろなところで何か間違いがあったときは、皆さん済みませんでしたと頭を下げ てみえますので、本来であれば、輸入した人が頭を少し下げてマスコミに出てきてもい いのではないかと思います。  それから2点目は、今後こういったことで何か間違いがあったとき、また全面的な輸 入禁止を行うのかどうか。先ほども言いましたように、あくまで出荷元はわかっており ますので、そこからの肉だけをとめるのか、それともまた全部の肉をとめるのか、その 辺のところの考え方をきちっと教えていただきたいと思います。  以上2点です。 ○藤井参事官  ただいまできるだけ輸入再開を早急にという御要望、そして御質問が2点ありました。 今いただいた御要望、そして御質問に、もし関連をして自分も発言したいという方がお られたら、あわせてお聞きをしたいと思いますので、御発言をお願いしたいと思います。  それでは、今手が挙がっておりますのは、そこのお隣の方と、3列目の方であります が、そのお二人の方、続けて御発言をいただきたいと思います。 ○参加者7  名古屋の山田と申します。  意見は二つありまして、今言った方と同様でありますが、アメリカ牛の輸入再々開は 一刻も早くやってもらいたい。といいますのは、アメリカの一部の業者がミスをしたか らといって、日米の合意に反して全部とめるということは、日米の合意違反であります。 そういう点において一刻も早く輸入再々開をやってもらいたい。  もう一点は、20カ月齢以下ということになっていますので、前に疑似陽性で21カ月、 23カ月が、その後700日くらいたっているんですが、本当にBSEなのか、そうじゃな いのか、公表が全然ないんです。恐らく20カ月齢以下はオーケーというのは、その話が 前提になっているのではないかと思うんですが、それの公表がありませんから、さっぱ りわからないんです。700日もたってなぜ公表がないのか。もしそれが疑似陽性でほん の微量の異常プリオンであれば、これは国際的にはBSEではないということになりま すので、そうなれば世界標準の30カ月齢にとりあえず変更すると。  OIEでは、既に来月の5月の総会で月齢の要件は外そうなんてことを言っています ので、日本が厳しいことはわかりますが、異様に厳しくても問題がありますので、これ は20カ月を30カ月齢に改めていただいて、それを早期に輸入再々開をしていただきた いということでございます。  以上です。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  続いて、3列目の方お願いします。 ○参加者5  先ほど輸入をとおっしゃったんですけれども、朝日新聞の3,050人ですけれども、そ の禁輸措置を支持しますかということで、禁輸措置は全部とまっていますけれども、そ れについて92%の人が「はい」と答えています。輸入再開がされたら買うか買わないか。 「買う」は11%、「いいえ」67%です。  その理由がいろいろ買いてあるんですけれども、アメリカの対策はずさんだとか書い てあるんですけれども、私は、日本のやっている今の全量検査からSRMの除去という のは非常にすぐれた結果だと思いますし、それでもって20カ月、21、23カ月が発見さ れたわけですので、これは世界に誇るべきだと思います。それが疑陽性だとかおっしゃ ったんですけれども、疑陽性ではなくて、これは私聞いたんですけれども、それはBS Eということは言われました。 ○参加者7  公表されてないんだわ。 ○参加者5  いえ、公表されていますよ。私聞きました。聞いてください。私はそのように聞いて います。  それと20カ月、30カ月、これはここの中でも福島のをまだはっきりおっしゃらなか ったんですけれども、疑陽性ということで、今日にも判定が出るという新聞報道ですよ ね。今の現在時点でまだわかっていませんか。もしあれば、この1時間は国内対策の大 前提が崩れるとの認識を示しております。  以上です。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  輸入再開を早期にすべきだ、国際的な大きな基準である20カ月齢から30カ月齢にす べきだという御意見、その他、それに関する新聞でのアンケートの結果等、いろいろと 意見を出していただきました。  今いろいろと意見を出していただいたこと、事実関係も含めまして、若干行政側から コメントをさせていただきたいと思います。  それでは、伊地知参事官からお願いします。 ○伊地知参事官  まず、輸入業者の情報がほとんど出されていないのではないかということでございま すが、今日お配りしております米国農務省の調査結果・対策報告書に詳しく、どういう 経緯で輸入がなされたか、いつどういう形で注文したかというのが載っておりますので、 そこを見ていただければと思います。  日本のシイベル・ヘグナー社、注文者の実名は黒で消されています。ここに詳しいア トランティック社とのやり取りも出ておりますので、輸入業者の対応がどういうふうに していたかというのは、後ほど見ていただければと思います。  それと、今後再々開をやるときに違反があった場合、すべてとめるのか、一部とめる のかということでございますが、現時点ではまだ対応は決まっておりません。それは先 ほど申し上げましたように、我々手順を踏んで今アメリカ側と話し合いをしているわけ でございまして、前回の専門家会合で、今後についてどうするかということは、日本で は、これまでの内容を国民に説明会等を開いて説明するということ。アメリカは、ほか の施設についての再調査と再発防止対策の具体化を図るということで、これをやった上 で、次どういうことをやるか検討することにしておりますので、現時点で具体的な対応 の内容は決まっておりません。  それと21カ月齢、23カ月齢は公表されていないということですが、これは厚生労働 省の方でBSEだということで決定して公表はされています。ただ、今言われたのは、 21カ月齢、23カ月齢は感染性があるのかどうかという試験をやっていますけれども、そ の結果がどうだったかということではないかと思います。これは現時点で感染性は認め られていませんけれども、引き続き試験中であるということでございます。  30カ月齢の話は、今言われたように国際基準では30カ月齢がありますけれども、私 ども日本は食品安全委員会に、20カ月齢以下で特定危険部位を除いたものということで のリスク評価をしていただいて、EVプログラムでそれが確保されるということであれ ば、リスクの差は非常に小さいということでのリスク評価の結果に基づいてやっており ます。30カ月齢でのリスク評価はやっておりませんので、月齢を直ちに30ヵ月齢に引 き上げるというのは難しいと考えています。 ○藤井参事官  フロアの方から輸入を早急に再開すべきではないかということ、逆に、今の輸入を停 止していることを非常に多くの方がサポートしているという新聞の調査もあるという話 がありましたけれども、今後の進め方の基本的なスタンスについて、若干コメントをい ただければありがたいと思います。 ○伊地知参事官  今御説明したんですけれども、一つ一つ手順を踏んでやっていきましょうということ でやっております。  先ほど言いましたように、専門家会合では、当面はこれまでのことを国民に説明をす るというのが日本側がやる仕事、アメリカ側は、施設について再調査をして、あと対策 の具体化を図るということを当面やることが決まって、それ以降については、その結果 を踏まえてやっていきましょうということになっていますので、現時点で、これから先 どういうことをやるという具体的な手順が示されているわけではございません。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  できるだけ多くの方に御発言をいただきたいものですから、新たな方がなければ再度 御発言をしていただきたいと思います。  御発言をまだ一度もされていない方で、一番右側の後ろの方に座っておられる方、御 発言をお願いします。 ○参加者8  名古屋に住んでいます稲垣と申します。  私は、日本とアメリカの信頼関係がなければ、輸入牛肉の再開は少し考えるべきでは ないかと思っております。というのは、11月のときにも、私はこういう意見交換会に参 加させていただいたんですけれども、そのときにはゴーサインみたいな形でやられて、 すぐに12月に入って始まったら、もう肉が出てきたということで急にとめられたんです。 そのときに思ったんですけれども、焦るということはどこかで矛盾が来るとすごく思い ますので、もう一度検査をきちんとしていただきたい。  特に今日思いましたのは、G社とかA社という会社と検査官と、アメリカの行政の考 え方、農務省の考え方が一致していなかったこと。それが香港には、骨がついていない 肉なのに骨が行ってしまったとか、日本には、せき柱の入ったものが来てしまったと考 えると、アメリカ自身がよその国に輸出するときの考え方が甘かったのではないかとい うことをもう一度考えていただきたいと思います。  それからもう一つは、30カ月齢のことですけれども、11月のときにもお聞きしました けれども、目視という考え方がどうしても理解できません。というのは、日本はきちっ とタグをつけて20カ月とわかって、何月何日に生まれたのがわかっているわけです。で すから、ぜひアメリカの方にも、何月何日がわかるような体制はとっていただきたいと 思います。  以上です。 ○藤井参事官  今の方からは、日米の信頼関係がきちんと確立をしないと再開はいかがなものかとい うこと。そして、いろいろと今回の事例、香港の事例を考えると、米国国内でのいろい ろな体制が甘いのではないかという御指摘がありました。  それから、目視というのは、しっかりした書面ではなくて、肉質を検査官が確認をし て20カ月齢以下と判定するという点をおっしゃったわけですね。我々の方では、生理学 的成熟度によって月齢を判定するということを言っておりますが、それは非常に不安で あるという御意見だったと思います。  今御発言があった意見について、関連の御発言がありましたらお願いをしたいと思い ます。  それでは、今手が挙がっております3名の方に続けて御発言いただきたいと思います。 こちら側の後ろの方と、こちらの列の後ろから3列目ぐらいに座っておられる男性、そ して、女性の前から5列目ぐらいの方に続けて御発言をいただきたいと思います。 ○参加者9  食品安全委員会のモニターをしております星と申します。  アメリカの施設ですけれども、日本では37施設を決められているようですが、その中 で査察をされたのが11カ所と伺いましたけれども、それ以外のところの査察の御予定は ありますでしょうかということと、この間香港で出ましたカーギル社が日本向けの施設 の中に入っているようですので、その辺のところの対応はどうなさるかということの2 点お伺いしたいと思います。 ○参加者10  木村といいます。  今の方の話にもあるんですけれども、11施設を査察された。この11ページのところ には、日本向けの子牛と畜施設及び日本向け子牛食肉加工施設と書かれてあるものです から、全体で37と言われましたけれども、どれぐらい日本向けのと畜施設があって、加 工施設があるのかということをお聞かせ願いたいというのが1点。  それから、そこの施設やと畜場に対して、アメリカがいろいろな研修プログラムを行 っているようですけれども、その研修プログラムの中身でありますとか、どういった形 の研修を、いつどういった形でやられたというのを日本政府は把握しておられるのかど うか。  それから20カ月のお話でありますが、やはり目視ということでありますと、例えば、 日本のお医者さんが人間の体を見て、20歳なのか21歳なのか100%当てられるかどうか といったら、これは疑問があると思われます。したがって、そこは言われたように、せ めて輸入するのであれば、20カ月きちっとわかったものを輸入する措置をとっていただ きたいと思います。 ○参加者11  愛知県から来ました加藤と申します。  四つばかりお伺いしたいんですが、まず、この前行われました国際獣疫事務局の総会 の中で、BSEリスクに応じた国のカテゴリーの簡素化がありましたよね。アメリカと カナダは現在どこに入っているんでしょうか。無視できるリスクでしょうか、管理され ているリスクでしょうか、それとも不明なリスクでしょうか。  それと飼料の問題ですけれども、飼料規制はどのようにお考えでしょうか。  それと、これはアメリカのジョハンズ農務長官が、2009年1月にはNAIS(全国固 体識別制度)を導入すると言われていますが、これは現在どうなっていますか。  それと、肉質の問題ですが、農林水産省からいただいた文書の中で、統計学上一番厳 しく見ても1.92%の誤差は出ると、ちゃんと書いてあります。 ○藤井参事官  それでは、真ん中の女性の方まで御発言をいただいて、マイクをお持ちいただけます か。 ○参加者12  岐阜県にあります生活協同組合コープぎふで働いております加藤と申します。  先ほどの御意見に対して、やはり輸入が少し早過ぎたのではないか。私もこのリスク コミュニケーションは3回目の参加ですけれども、前々回のときでしたか、何となく軌 道に乗っていると感じたんですけれども、消費者の方は、まだ軌道に乗るところまで行 ってないのではないか。やっぱり食べ物というのは安心して食べたいんです。理性の問 題ではなくて感情の問題だと思うんです。そこのところで消費者がすとんと納得して、 「これなら大丈夫」と思えるような部分の情報提供を国の方はもっとやってほしいと思 います。  一つ質問ですけれども、先ほど御説明いただきました遵守体制のところで、AMSと FSISがそれぞれと畜場に対して内部監査と外部監査という表現があったかと思いま すけれども、この監査の中身は同じことをやっているんでしょうか、それとも違うこと をやっているんでしょうか。この監査がきちんと行われたということが証明されれば、 本当にこれがきちんと回っていると信じてもいいのかどうか。そういったと畜場の管理 監督みたいな部分をどこで納得して安心できるのか。そういうことを国はどういうふう に考えていらっしゃるのか、そういうことをお尋ねしたいです。  以上です。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  それでは、最初の方からの御質問、御指摘からかなり広範なことも含めて後の方に御 発言をいただきましたが、ちょっと整理をしまして、順次行政側から発言をしたいと思 います。  まず、農林水産省の伊地知参事官からお願いします。 ○伊地知参事官  輸入が拙速、急ぎ過ぎであったのではないかという御意見を伺いました。実は輸入を とめてから2年間かかっておりまして、その間アメリカとの技術会合等を実施、審議自 体は、約半年余り10回にわたる食品安全委員会でのプリオン専門調査会で審議をしてい ただいたわけでございまして、私どもとしては、手続を踏んでやってきたと思っており ます。  結果としてこういうことがありましたので、拙速だったのではないかと御批判を受け ているわけですが、手順はかなり踏んでやってきたと思っていますし、ほかの国に比べ ても、審議についてもしっかりとやっていただいたのではないかと思っております。  それと、アメリカの考え方が甘いのではないかということですが、おっしゃられるよ うに、国によって食べ物に対する価値観がかなり違うのは事実でございます。日本は米 に対して物すごく愛着がありますけれども、アメリカ等は肉についての愛着といいます か、関心がかなり高いわけでございます。アメリカ自身は、自分たちが食べている牛肉 について安全性が確保されていると考えて、国内でも消費をしているということでござ いますが、これは食文化の違い、または食の安全性に対する考え方を、アメリカ側には 日本の考え方をしっかりと理解してもらうことが大変重要ではないかと思っています。  先ほどから議論になっておりますが、アメリカで普段食べているものが、日本ではな ぜ食べられないんだろうかという素朴な疑問をアメリカ人が持っているのは事実であり ます。ただ、それは今申し上げましたように食文化の違い、安全性についての考え方の 違いがありますので、そこは日米間で合意をした内容をしっかり守ってもらう。そのた めに日本の消費者がどういう考え方を持っているのかをよく理解してもらうということ で、我々、これまでもアメリカ側によく説明してきましたし、今後も日本の食の安全・ 安心に対する考え方についてはよく説明をして、ルールが守れるようにアメリカ側には 話をしていきたいと考えております。  それと月齢の関係で、目視ではわからないのではないかという点でございます。月齢 はどうやって判定するかということにつきましては、今回のEVプログラムの中では、 まず大きく二つございます。  一つは、出生の確認、これは固体ごと、もしくは群単位での生年月日を確認したもの を書類で確認していくというのが第一点でございます。これは結果としてはトレーサビ リティによる確認と同じ考え方でございます。仕組み自体は、アメリカは今の日本のよ うな仕組みはできておりません。試験的に導入はしておりますが、まだ義務化されてお りません。それと、まだ普及しておりません。2009年をめどに完全に実施できるように 今やっているということです。  ただ、この仕組みがなくても、農場単位でちゃんと出生の記録をとるということで、 その出生記録に基づく月齢確認は、日本のトレーサビリティ等による確認と同じような 考え方になります。  カナダは、トレーサビリティの仕組みを導入しております。直接関係ないんですけれ ども、豪州も一部そういうトレーサビリティの仕組みを導入しています。ただ、豪州も カナダも生年月日は義務化されていません。日本は生年月日を記録することは義務化さ れていますけれども、カナダは義務化されておりませんが、月齢を確認する上で、任意 で生年月日を記録するという形でやっております。それと、あと言われた目視ではだめ だということは、恐らく生理学的成熟度の月齢判定のことだと思います。トレーサビリ ティがないアメリカでは、普通30カ月齢というのは歯で見ているわけです。牛の第一切 歯と第二切歯の乳歯が永久歯に生え変わるのを見て、30カ月齢以下というのを判断する ということでやられているわけですが、20カ月齢の場合は歯では判定できないというこ とで、それ以外にどういうことができるかということで、アメリカ側で格付け制度の中 の生理学的成熟度を提案してきました。  このデータを分析することによって20カ月齢以下は、例えば、生理学的成熟度のA40 以下ということで判定できるのではないかという試験を実施いたしました。アメリカが した試験について、これが使えるかどうかということで日本の専門家に評価をしてもら って、また、その内容等については、食品安全委員会にも提出をしたところでございま す。  アメリカ側から見れば、この生理学的成熟度はまだ不満が残っていると思われます。 これも何度かこれまでにも御説明したかと思いますが、アメリカのと畜頭数は約3,500 万頭いて、そのうち肥育牛が2,800万頭ぐらいいるわけです。その肥育牛のほとんどは 20カ月齢以下であるというのがアメリカの主張です。日本と違ってそれほど肉質を重視 しませんので、余り長く飼う経済的なメリットがないということで、肥育牛の8割から 9割は20カ月齢以下でほとんど出荷をされているということです。  そうすると、生理学的成熟度でそれを拾うためには、A60とか70というレベルでや らないと、それらの牛は対象になりません。それでアメリカ側が試験をして持ってきた のは、今回はちょっとスライドを出していませんが、これまで何回かお見せしたかと思 いますが、A60でも20カ月齢以上の牛は少ししか入ってこないんです。これはもう認 めてくれというのが、一番最初のアメリカ側の主張だったわけです。日本側は、1頭で も21カ月齢以上の牛がいる以上は認められないということで、最終的にはA40という かなり低いレベルの成熟度を採用することになりました。  このA40でやると、肥育牛の約8%ぐらいしか対象になりません。アメリカから見れ ば、2,800万頭の8、9割は20カ月齢以下なのに、その8%ぐらいしかすくえないとい うことで、これは念には念を入れた低いレベルでの判定の基準だと思っているはずです。  A40ということについては、20カ月齢以下であるということを判定する上で、先ほど 誤差があるという話がありましたけれども、これは統計的な制約でございます。これは サンプル調査をすれば、そのサンプルの数が少なければ、それだけ誤差の出る確率があ るということが必然的に出てくるわけです。サンプルを増やしていけばいくほど、そし て問題がなければ、それだけその誤差は下がってくるということで、日本側はアメリカ に対してフォローアップ、追加の試験をやるように要求をしておりまして、アメリカ側 も、これについてはデータを蓄積して提示をすることになっております。  査察の関係ですが、現在37施設が日本向けにで認定されているわけですが、11施設 しか見ていない、あとはどうするんだということですが。これは、できるだけ早い時期 にすべての施設を見るということで計画をしておりました。ちょうど1月20日に、せき 柱付の子牛肉が見つかるときに第二陣が出発しようとしていたわけです。そして、でき れば年度内にすべての施設を見ようということでやってきたわけですが、こういうこと になりましたので、現時点で中断されているということでございます。  それと香港の違反事例で、日本が見た施設があるのではないかということでございま す。これは先ほども説明をしてもらったんですけれども、条件がちょっと違っておりま す。香港はボンレス、骨なし肉であります。日本の場合は、特定危険部位以外の骨は特 に輸入禁止の対象にはしておりません。したがいまして、そこは骨が入っていても、例 えば、先ほど言いましたような特定危険部位でない骨であれば特に問題ないということ でございますので、私どもが施設を査察したときには、日本向け条件についての問題は なかったという報告を受けております。  ちょっと余計なことかもしれませんが、アメリカと香港の話ですけれども、骨なしと いう意味が、香港側とアメリカ側で少し違うのではないかということで交渉をやってい るようです。本来ついている骨を外さない状態のものが骨付肉であって、骨を抜いた状 態のやつは骨抜きで、小さな骨片がついているものは、製品としての問題であって、安 全性の問題ではないということをアメリカ側は言って、香港側と今協議をやっていると 聞いております。  OIEの話でございますが、アメリカとカナダはどういうカテゴリーに入るのかとい うことですが、これは不明なリスクではなくて、管理されたリスクの国というカテゴリ ーに入ることになると思います。不明なリスクということはリスク管理をやっていない 国ということですので、アメリカ、カナダはそういう国ではない、リスク管理をやって いる国だという考え方です。  飼料規制はどうなんだという話ですが、アメリカもカナダも、日本より先に飼料規制 を自分たちはやっているんだと彼らはよく言っております。それは、1997年から哺乳動 物の肉骨粉を反芻動物にやらないようにという規制を法律でやっております。ただし、 純粋な豚とか馬は除くということでございますので、わかりやすく言うと、牛の肉骨粉 は牛にやったらいけないという飼料規制を法律に基づいてやっている。日本は2001年か らじゃないかとアメリカ側はよく言われるわけです。  そこで議論になるのは、交差汚染対策が不十分ではないかという話になってくるわけ です。これはもうリスクコミュニケーションでも何度か御説明したんですけれども、そ の国の飼料の生産の状況とか、配合飼料の生産工場の形態、レンダリングの形態、と畜 場の形態等いろいろありまして、アメリカは日本に比べると、そういう交差汚染の可能 性が低いのではないかということを言っています。具体的にいいますと、日本のと畜場 では、牛と豚が一緒にされていると畜場が多いわけです。アメリカの場合は、牛のと畜 場は牛専用のと畜場、豚は豚専用のものが多いということで、そこでまざる可能性は低 くなるとか、飼料工場についても専業化がかなり進んでいるということがあるという説 明を聞いております。  OIE上では、反芻動物の肉骨粉は反芻動物にやらないようにということですが、交 差汚染対策をしっかりやるということも重要なことであります。ただ、そこは国によっ て事情が違いますので、アメリカは、自分たちの国はそういう交差汚染の可能性が低い 体制にあるという説明をしております。 ○蟹江専門官  先ほど、外部監査と内部監査の内容について御質問がございました。  全体の体系でございますが、まずアメリカ国内の規制がございます。それに日本向け の条件が上乗せされて日本に輸出されるという、国内規制の部分と上乗せの日本向けの 輸出条件の部分がございます。  まず、国内規制については、と畜場の衛生管理の監督あるいは食肉検査等は、先ほど 御説明いたしましたFSISが行っておりまして、と畜場については、HACCPとい う衛生管理の手法の導入が義務づけられておりまして、その検証はFSISの検査官が 行っております。その国内規制にプラスアルファの輸出条件の部分は、AMSが年に2 回施設に立ち入って監査を行う。これが農務省による監査でございます。  内部監査といいますのは、各施設がそれぞれプログラムをつくることになっておりま すので、その中で各施設が独自に内部の監査を実施するという位置づけのものでござい ます。  それから、各施設の研修プログラムの内容のお話がございましたけれども、これも各 施設が作成をするプログラムの中に研修内容を記載することになっております。例えば、 その手順に関する方法規定をしなければいけない。その作業に必要な能力の判定とか、 訓練の基準の決定あるいは評価の方法、そういった事項についてプログラムに規定をし て、各施設が対応するという内容になっていると承知をしております。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  今まで消費者の方からかなりいろいろな御意見をいただきました。今度は生産者、販 売流通、加工業者さん、そういう立場から御発言がありましたらお願いをしたいと思い ます。  それでは、今のところ手が挙がっているのはお一人ですので、まず御発言をいただき たいと思います。 ○参加者7  私はBSEの原因は肉骨粉にあると思っていますので、今おっしゃった交差汚染は、 アメリカでも絶対にしないようにしていただきたいと思います。  それで、さっきの20カ月の話ですが、当初日本政府はBSEだということを発表しま したが、その後は言ったように一向に発表がないんです。国際的な評価は、日本の21、 23は異常プリオンが微量過ぎてBSEではないんだという見解であります。それから、 A法も実際例のデータにすぎませんで、本当に科学的な根拠があってこういう判断にな っているわけではありませんから、やはり私は、20カ月齢ではなくて30カ月以下にと りあえずはするべきだと思います。  それから、皆さんの意見を聞いていますと、いかにもBSEの牛のせき柱が混入した ようにおっしゃるんですが、今日もらったパンフレットに書いてありますように、アメ リカ牛の2,510万頭の生態牛についてBSEのリスクの危険度はほんの2、3頭にすぎ ないということであって、まれにもないぐらいの確率なんです。その辺を御理解いただ かないと、いかにもBSEの牛を輸入しているような印象を持って、誤解されて発言を されてみえるのではないかなと、そう思わずにはおれないということであります。  それで、どうしても安心できないというんだったら、日本の検査官がアメリカへ行っ て徹底的に検査すればいいと思うんです。これはジョハンズにももう既に言ってあると 思いますが、日本から100人でも200人でも、費用がどういう負担になるかは別問題と して、日本の検査官が行って徹底的にアメリカ牛を検査して、そのオーケーの物を農務 省が認めて日本へ輸出するという手順を踏んだら、ほとんど問題はないということが言 えますので、そういう手続をぜひ踏んでいただくようにお願いいたしたいということで ございます。  以上です。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  ほかに生産者、販売流通、加工業者さん、そういう立場から御発言がありましたら。 手が挙がっている一番左側の列の男性の方、お願いします。 ○参加者13  岐阜から来ました古川と申します。私は製造販売をやっているメーカーであります。 今日は、現実がどうなっているかということで参加をいたしました。非常に厳しい意見 がたくさん出たと思っております。  しかし、一つ忘れてならないのは、今日本の国産牛の実態は、頭数も減っているし、 子牛も高いし、肉も高い。なおかつ日本は全頭検査をしているという中で安心が保たれ ていると思います。もちろん食べ物ですので、絶対的な安全・安心は必要だと思います。  しかし、私は肉を販売するに当たって、今日本の食べ物で一番安全なものは牛肉では ないかと、かように思っております。ですので、そういうことも考慮した中で、全体の 食料ということを考える必要もあろうかと思っております。  以上です。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  ほかに生産、販売、加工等の業者さんの方で、追加の御発言がある方はおられないで すか。  それでは、今業者さんサイドから幾つかの御意見が出ましたが、それに関連をして、 消費者の方も含めて御発言がありましたらお願いをしたいと思います。  それでは、一番右側の列の方、お願いしたいと思います。 ○参加者14  愛知郡から参りました林と申します。  今生産者の方、加工なさっている方が、国産牛ほど安全なものはないとおっしゃった んですけれども、私も生産者と交流した中で、このBSEで輸入牛がなくなったという ことで、自給率が10%上がったと言われたんです。安い方がいいと言われますけれども、 今農水省は、自給率を上げるために一生懸命国産の地場産業を目指していらっしゃるか ら、そういう点で私はすごく前進面を出したのではないかと思うんです。  それで、私は消費者でもあるんですけれども、安いことにこしたことはないんですけ れども、やっぱりアメリカはトレーサビリティになっているとか言いますけれども、群 れでやっているとおっしゃられれば、大体たくさんの牛を一遍に、これがどういうトレ ーサビリティということははっきりされていないと思うんです。  日本の場合は、生産者が小規模という点ではすごく安全ですから、そういうことにも っと政府が力を入れて援助していただければ、国産のものが安く手に入るようになると 思いますので、そのように私はお願いしたいと思います。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  前から3列目の方も手が挙がっていましたので、一たんその方の発言で、こちらから の発言にさせていただきたいと思います。 ○参加者5  先ほど、BSEの原因について肉骨粉であると言い切られたんですけれども、これに ついてはまだはっきり日本ではされていませんよね。まだ解明されていませんよね。い ろいろプリオン専門調査会ではなっているんですけれども、私が聞いたところによりま すと、肉骨粉だけではないと。今までの24例目までを見ても、群があって、肉骨粉だけ ではないだろうという講演を聞いたことがあります。  代用乳についても疑問があって、今国の方では、たしか今年だと思うんですけれども、 予算がついて調べるということを聞きましたけれども、その事実を教えてください。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  それでは、今いろいろな御意見等が出ましたけれども、まずは伊地知参事官からお願 いをしたいと思います。 ○伊地知参事官  30カ月齢という話は、先ほども申し上げましたけれども、食品安全委員会でそういう ことでのリスク評価をしてもらっておりませんので、私どもは、先ほど言いました20 カ月齢で特定危険部位を全部除去してという条件のもとでのリスク評価の結果を踏まえ て管理措置を実施するということでございます。  それと、国内の牛肉ほど安全なものはないというお話で、一方でまた自給率を上げる ための努力をすべきではないかということでございます。ただ、自給率を上げるために 輸入規制をやることはできません。逆にそういうことを言うと、アメリカから、やっぱ り産業保護のためにやっていて、安全なものを国内産業保護のためにとめているのでは ないかという批判をされます。これはまさに食品の安全という観点から我々は取り組で いく必要がある。一方で、自給率向上を図っていくことは大変重要なことであります。  肉用牛の振興のためには約1,000億円近い予算が毎年措置されております。これは牛 肉の関税収入をもとに肉用子牛の生産振興もやっているわけです。そういう形で自給率 向上のためには別途の対策ということで、農林水産省としても最大限の努力をしてきて いるところであります。  あともう一点、群れで飼っているんだから生年月日なんかわからないということです が、これについても以前にちょっとお話ししたかもしれませんが、生年月日の確認は、 日本のように生まれた個体ごとの確認と、群れ単位での確認のやり方があります。  群れ単位の確認のやり方はどういうことかというと、雌牛の中に雄牛を入れて、季節 的に草がたくさんあるときに子牛を生産する方が合理的なわけです。ですから、できる だけ春に子供を産ませようと思ったら、その妊娠期間をさかのぼった夏に受精をさせる 必要があります。そうすると夏に雌の群れの中に雄牛を入れるわけです。そうすると、 そこで自然交配で妊娠をするわけです。そうすると大体9カ月余り、284日たつと子牛 は生まれてきますので、そのころに生まれそうな牛を目の行き届くところに集めておい て、最初に生まれた子牛の生年月日を確認して、あと2、3カ月の間に生まれた牛は、 すべて同じ生年月日にするというのが群単位での生年月日です。  例えば3月1日に一番最初の子牛が生まれたら、その後は3月5日とか、4月とかに 生まれたものも、全部3月1日の生年月日での記録をとるということです。  したがいまして、若いのも年とった形での月齢計算がされるわけです。そういうこと で群単位の生年月日といいますか、月齢の確認をするということであります。  あと、原因究明の話でございますけれども、肉骨粉でなくて代用乳ではないかという ことですけれども、基本的には異常プリオンを含んだもの。異常プリオンが原因だとい うことですから、BSEにかかった牛を肉骨粉にしたら、その肉骨粉に異常プリオンが 入り込んだので肉骨粉だと言われたわけです。ですから、その異常プリオンが代用乳に 含まれれば、代用乳が原因になる可能性もあるわけです。ただ、普通、乳には異常プリ オンはいかないと言われているわけです。代用乳がなぜ原因ではないかと言われている かというと、オランダから輸入した動物性油脂が代用乳に原料として入れられて、それ を給与されたものが感染したのではないかという想定からだと思います。  ただ、これまでの原因究明の結果では、代用乳については余り可能性は高くないとい うことになっていますけれども、言われましたように、そのときからその後もBSEの 発生がかなり確認されましたので、これまでのBSEの原因究明を含めて、引き続き原 因究明の分析をやっていただくということで委託費で予算を確保しまして、専門家にお 願いしています。まだ結果は出ておりません。  基本的には、異常プリオンを含んだものが原因だろうということになりますから、異 常プリオンが肉骨粉に入っていれば肉骨粉が原因になるし、代用乳に入っていれば代用 乳も原因になる可能性があるということです。 ○蟹江専門官  1点補足させていただきます。  日本側が米国に出向いて検査をして、問題ないものだけを輸出したらどうかという御 意見がございました。まず、現状の制度では、対日輸出プログラムに基づいて、それを 遵守できるということを米国農務省から認定を受けた施設で処理したものが日本向けに 輸出されるという制度でございます。  先ほど御指摘のありました御意見につきましては、現在、日本側は意見交換会、米国 側は、関連施設の調査あるいは対策の具体化等を行うことにされておりますので、そこ の具体的な検討はしておりませんけれども、今後、輸入国側と輸出国側の責任分担も踏 まえながら対応を検討する必要があるのではないかと現状では考えております。 ○藤井参事官  先ほど、食品安全委員会から、今日お配りしているパンフレットをもとに御質問があ りましたが、その件について食品安全委員会の方から、西郷さんお願いします。 ○西郷内閣府食品安全委員会事務局リスクコミュニケーション官  これを見ていただきましてどうもありがとうございました。  今御指摘あったのは、「食品安全」の5ページに評価を簡単に説明したものがあって、 生体牛のリスクレベルの表を見ていただいたものですけれども、1点だけ理解していた だきたいと思うのは、アメリカは2,510万頭のうち2、3頭だけとおっしゃったんです けれども、実はそうではなくて、100万頭当たり大体2、3頭ぐらいではないか。どち らにしても低いですけれども、2,510万頭に対して2、3頭ではなくて、100万頭当たり ということでございますので、御理解いただければと思います。 ○藤井参事官  もうお約束の時間がほぼ来てしまいましたけれども、最後にこれだけは発言したいと いう方、ちょっと時間をオーバーすることをお許しいただきまして、最後お二人だけ手 短に御発言をいただきたいと思います。  それでは、発言をしたことがない方を優先させていただきたいと思いますので、右側 の列後ろの女性の方と真ん中ぐらいの女性の方、お二人で最後にさせていただきたいと 思います。 ○参加者15  名古屋市から参りました山田と申します。  私は、生産者とか加工業者とか消費者ということではなくて、私たちは皆生活者です よね。そういう視点からいろいろなことを見ていきたいと思います。  それで省庁の方たちも、お仕事をされてそういう場所におられますけれども、やっぱ り自分たちも生活者であるということを思ったときに、お仕事でこうしなければいけな いというのではなくて、自分たちが生活していく上において食べることは基本であると いうことから考えていけば、おのずから答えは出るように思いますし、この4月4日に 食品安全委員会の調査委員会12名中の6名がやめざるを得ないような会議をされてい るということで、私たちは新聞等でしか知ることはできませんけれども、省庁がそうい う消費者、生活者の視点を外れたような方向性を打ち出していることがとても残念だと 思いますので、ここは、日本のみんなが一つになって生活者としてどうしていったらい いのか。そのためには国が、何を盾になってやるべきかということを考えていってほし いということが言いたいことです。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  それでは最後、手を挙げておられる女性の方にマイクをお願いします。 ○参加者16  愛知県消団連の中村と申します。  もともとこの商品安全委員会の評価の中では、輸出プログラムを遵守するという過程 のことであったわけで、そこが遵守されなかったということで、今回こういう輸入禁止 になったことは正しい判断だったと私は思っています。  最後にお願いをしたいのは、今全国で開かれております意見交換会が終わったという ことと、消費者の理解が得られたということをイコールにして先へ事を進めていくこと のないように、先ほどから何回も手順を踏んでとおっしゃっておられましたので、ぜひ そういう形できちんと手順を踏んで、消費者の気持ちも理解していただいた上で先へ進 めていっていただきたいということを切にお願いをいたしたいと思います。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  最後に御発言をお二人いただきましたが、まずは食品安全委員会の方から、プリオン 専門調査会の委員の交代の件を若干御説明申し上げます。 ○西郷リスクコミュニケーション官  時間が過ぎているところ恐縮です。今プリオン専門調査会の委員が6人もやめざるを 得なかったという御発言がございました。この件についてはいろいろな報道がされまし て、いろいろ御心配をおかけして非常に恐縮に存じておりますが、本日、参考という形 で4ページの紙が配られていると思います。ちょっと見ていただけますでしょうか。「食 品安全委員会の議論の概要(プリオン専門調査会専門委員改選にまつわる報道ぶりにつ いて)」という紙でございます。  これは、その報道がテレビや新聞に出ましてから後の食品安全委員会、これは毎週木 曜日にやってございますけれども、委員会で話題になったものですから、その議論を抜 粋してきたものが1枚目でございます。  今回の改選につきましては、いろいろ輸入再開といった政治的なことが背景にあった のではないかという憶測の報道がございましたけれども、まず1枚目の経緯を見ていた だきますと、食品安全委員会は3年前の7月にできまして、それから2カ月たってすぐ プリオン専門調査会の専門委員が発令されています。これは食品安全委員会ができまし て一番最初にできた専門調査会でございます。その後順次、今16個の専門調査会ができ ております。  ただ、専門委員というのは、発令したときに、実はいついつまでという任期がついて いなかったわけでございます。それで内閣府全体の方針で、これは食品安全委員会だけ ではなくて、すべての審議会でございますけれども、そういった専門委員とか臨時委員 とかの先生方については任期を付して再任しなさいということがございましたものです から、そこの経緯のところにございますけれども、去年の10月1日に、農薬とプリオン を除きまして、すべての専門委員について1回やめていただいて、条件の合う方には再 任いただいたということがございました。  ただ、プリオン専門調査会に対しましては、このアメリカ、カナダ産の牛肉のリスク 評価の真っ最中でございましたので、それが終わってからにしましょう、農薬について は、5月にポジティブリスト制度が施行されるものですから、評価体制を強化するとい うことで予算要求して、専門委員の数を増やすということで、昨年10月には改選せず に、今回4月に両方まとめてやったということがございます。  2ページ目にその考え方が出ておりますけれども、基本的には、そういった事務的な 改選の必要があって行ったということで、背景に輸入がどうとかということではなかっ たということでございます。  それで、「(3)考慮すべき事項」のところを見ていただきますと、府省出身、役人の OBとかOGはだめですよということであるとか、あと政府全体でございますけれども、 70歳以上の方は御遠慮いただくということになってございます。それから、女性の比率 を高めるとか。それから、これは食品安全委員会独特でございますけれども、農水省、 厚労省でのリスク管理の審議会の委員等はなるべく兼職しないようにしましょうという ことがあります。プリオンの場合は専門家の数が少ないものですからなかなか難しいん ですけれども、そういったことで進めました。  それで、次の3ページ目に「慎重派6人辞任」といった報道が出たんですけれども、 実際は、前の委員は12人いらっしゃいまして、そのうちの1人は70歳を超えておられ たことで再任の要請はできませんでした。もう一人の方は、プリオン専門調査会の議論 を進めている最初からずっと疑義を表明されて、「自分はやめる」とずっとおっしゃって いて、辞意を表されていたので再任の要請はしませんでした。残りの10人の方について は、内々事務方で再任の要請を申し上げたんでございますけれども、残念なことに4人 の方から「今回は事情があるので」ということで、結果的に6人の方が交替になったと いうことでございます。  委員会の議論の1ページを見ていただきますとわかりますように、残った6人は全部 慎重派じゃないのかといったことでも困りますし、新たに選ばれた方々もその専門家で ございますので、これまでと同様に科学的な、中立・公正な議論が今後ともされるとい うことではないかと思いますし、これまでの評価についてどうこうということではない と考えてございます。今後のことにつきましては、また見ていっていただければと思い ます。  以上でございます。 ○藤井参事官  ありがとうございました。  議事進行の不手際で御発言なさりたい方、十分に御発言いただけなかった部分もあろ うかと思います。予定の時間を過ぎておりますので、これで終了させていただきたいと 思います。  本日は、皆様から大変多くの御意見、御要望、御質問をいただきました。いただきま した意見等については、今後の検討等の参考にさせていただきたいと思います。具体的 に意見がどういうふうに反映されるのか見えないという御意見もありましたけれども、 一つ一つの御意見をこういう形で取り上げたとお示しするのはなかなか難しいところで ございますけれども、十分に参考にさせていただきたいと思います。  また、今回全国各地でこのような意見交換会をやっておりますが、この説明が終わっ て、これをもって皆様方の理解が得られたからすぐに輸入再開をするんだということは ありませんで、今回の意見を十分にお聞きして、それをまた参考にして、次のステップ に一つ一つ進んでいくということで私どもが対応させていただきたいと思います。  本当に今日は長時間どうもありがとうございました。 3.閉 会 ○司会  以上をもちまして、「食品に関するリスクコミュニケーション(米国産牛肉輸入問題に 関する意見交換会)」を閉会いたします。長時間にわたりありがとうございました。  なお、お帰りの際にアンケートを回収いたしますので、御協力をお願いいたします。 (了) 41