食品に関するリスクコミュニケーション(輸入食品の安全確保及び       残留農薬等のポジティブリスト制度の導入についての意見交換会:新潟市)                     議事録                            平成18年3月27日                              12:30〜16:10                            於 新潟県民会館小ホール 1.開  会 〇司会(森田厚生労働省食品安全部企画情報課情報管理専門官)  本日は、皆様、御多忙の中お集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまか ら「食品に関するリスクコミュニケーション」を始めます。  私、本日司会を務めさせていただきます厚生労働省食品安全部企画情報課、森田と申しま す。よろしくお願いいたします。  このリスクコミュニケーション、全国で今年度、今回がこれ最後になるんですけれども、 今回で8回目、今年度最後のリスクコミュニケーションになります。  簡単に本日配りしております資料について御説明いたします。皆様の封筒の中、もうごら んになっていると思いますけれども、議事次第というのを1枚見ていただきたいと思います。 その下の方に配付資料というふうに書いてございます。配付資料は、資料1から資料4とい うものがございます。そのほか参考資料といたしまして、たくさんございます。全部で11種 類ございますので、ご確認いただきたいと思います。最後の「食事バランスガイド」という のは、折り畳めば胸のポケットに入るぐらいの小さなものですから、ないという場合はもし かしたら封筒の中に残っているかもしれません。そこも御確認をください。  それから、最後にアンケート用紙というものも一緒に同封させていただいております。こ れは、リスクコミュニケーション、皆様の御意見を参考にしながら、今後の改善に役立てさ せていただきたいというふうに思います。ぜひとも御協力をお願いしたいというふうに思い ます。アンケート用紙につきましては、最後に入り口のところに回収箱を設けておりますの で、そちらに出していただければと思います。  本日の議事の次第について、これから簡単に御説明をしたいと思います。まず一番最初に、 2番と書いてございますけれども、リスクコミュニケーションについての説明を15分ぐらい 行います。その後、続きましてテーマ、今回のテーマは二つございます。「輸入食品の安全 確保について」と「残留農薬等のポジティブリスト制度の導入について」というのがござい ます。おのおの45分ぐらい説明をさせていただきます。この二つのテーマの間には5分ぐら いの休憩を挟まさせていただいて、その後二つの説明が終わって10分ぐらいの休憩というこ とで、2時半ぐらいからパネルディスカッション及び意見交換会をしたいというふうに思っ ております。 2.リスクコミュニケーションについての説明 〇司会  それでは、早速でございますけれども、一番初めの議題、「リスクコミュニケーションに ついての説明」ということを厚生労働省の方の企画情報課、広瀬課長補佐から説明をさせて いただきます。 〇広瀬厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐  御紹介いただきました厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課の広瀬と申します。よ ろしくお願いいたします。  それでは最初に、リスクコミュニケーションについてということで少しお話をさせていた だきます。  (スライド2)  まず、食品安全行政を取り巻く動向ということですが、近年食品をめぐる環境について大 きく変化しているという状況があります。一つは、飢餓から飽食の時代へということで、先 進国においてはもう食品としては比較的満ち足りた状態にあるというようなこと、それから いろいろ新しい食の問題というのも発生したりしているとか、あと貿易についても国際化し ている、それから大量生産・大量流通、長距離輸送の普遍化ということで、たくさんのもの が遠い国から大量に運ばれてくるというようなことがあるわけです。また、海外旅行などが 一般化しておりまして、いろんな方が海外に行って海外の食事を食べているというふうな、 大分環境の変化としては大きなものがあるわけでございます。  この食品安全行政の中でどういうふうに安全を守っていくかについての国際的な考え方 については、フード・チェーンアプローチというものがあります。それは、生産から消費に 至るそれぞれのフード・チェーンの段階で安全を確保するということが重要ということで、 要するに適当につくったものを最後に調べて安全かどうかというものを確認するというも のではなくて、最初につくる段階からきちんとそのつくり方を守って安全なものをつくって いきましょうということでございます。  それから、もう一つはリスクアナリシスという考え方があります。これは、また後からも 出てくるんですが、何か起きてから対応するということではなくて、その予防に重点を置き ましょうということです。それから、そのリスクアナリシスの中では安全性の評価というと ころと管理をするというものについては機能的に分けましょうというようなことがなされ ております。またそれから、利害関係者間で情報とか意見交換というものを促進をしましょ うというような考え方でございます。こういうリスクアナリシスの考え方を踏まえまして、 日本の食品安全行政というのも現在できているわけでございます。  (スライド3)  この食品の安全確保の仕組みということで、これ我が国の状況でございますけども、先ほ ども少しお話をしましたリスクアナリシス、リスク分析というものでございます。こういっ た考え方に沿って現在行われております。リスク分析というのについては、国民の健康の保 護というものを目的といたしまして、国民とかが何か危害、危険にさらされる可能性がある 場合には、先ほども申しましたが、何か起きてからの後始末、事故の後始末ではなくて、可 能な範囲で事故というものを未然に防いでリスクを最小限にすると、そういうプロセス全体 のことをいうものでございます。  一つは、リスク評価、リスク管理、先ほど機能的に分けましょうという話をさせていただ きましたが、我が国ではこのリスク評価の部分を食品安全委員会というところが担っており ます。また、従来リスク評価とリスク管理を一緒に行っておったんですが、今回はリスク管 理ということで、厚生労働省、農林水産省がそれぞれリスクの管理というものに専念をする というような形に大きく組みかえられました。食品安全基本法に基づきまして、食品安全委 員会が健康に悪影響を及ぼすような物質というのが食品中にどのくらい含まれていていい のかとか、どんな影響があるのかというようなことを評価をしていると。厚生労働省、農林 水産省は、この評価結果に基づいて、食品中の含有量の基準を決めたりとか、表示をしたり とか、その基準とか表示が守られているかどうかをチェックするというようなことをしてい るわけです。農林水産省においては、農薬の使い方とか、それからえさとか肥料の成分なん かについての基準を決めたりとか、動物用医薬品の規制なんかをしているということでござ います。  ちょっと薄くて見づらいかもしれないんですけど、こういうふうにリスクコミュニケーシ ョンというものは評価の部分も管理の部分も含めるような形で、包含するような形で位置づ けられておりまして、これは評価にかかわる部分、それから管理に関する部分もそれぞれリ スクコミュニケーションが必要だということでございます。  リスクコミュニケーションの中身については、食品の安全に関しての情報の共有と相互の 意見交換ということですので、情報とか意見をお互いに交換しましょうという取り組みだと いうことです。それからまた、消費者、事業者、「等」の中には事業者とか行政とか、その 他いろいろ大学の先生とか有識者なんかも含まれているわけですが、こういう関係者の間の 意見というものを施策に反映していきましょうというような考え方が、我が国のこの食品衛 生行政の中、安全行政の中には盛り込まれているわけでございます。  (スライド4)  少し具体的な話をさせていただきたいと思いますが、まず食品の「リスク」というのは何 でしょうかということなんですけれども、ちょっとこの定義としては難しいんですが、食品 中にハザード、ちょっと片仮名語で難しいので、要するに健康に悪影響をもたらすような可 能性のある物質というものが存在する場合に、それによって生じる、何か悪影響が起こる可 能性、確率と、それからどういう程度のものが起きるのかという、そういう確率と程度のそ れぞれの合わせた関数のような概念だということでございます。  概念的なものなので、なかなかこのリスクそのものを理解するというのは難しいと思いま す。結局赤いリンゴと言えば、皆さん多分イメージするものはそんなに違わないと思うんで すけども、このリスク、何々についてどれどれのリスクと言っても、多分皆さんぴんとこな いんじゃないかというふうに思います。それで、要するに概念的なものなので、非常にとら えにくいものではあるということです。もともと日本語にはなかったものですから、これも リスクイコール危険ではないということでございます。ただ、意外とリスクイコール危険と いうふうなとらえ方をされている方が多いので、ここは誤解のないようにしていただければ と思います。  そういうことが起きるかもしれないということなんですが、これ必ず起きるかどうかはわ からない。要するに可能性としてゼロかというとゼロじゃないので、ゼロリスクはないとい うことなんだと思いますが、だからといって必ず起きるかというと、そういうものでもない と。リスクというのはそういう確率的な概念というのが含まれた言葉だということです。  (スライド5)  「絶対に安全な食品はあるか?」ということなんですが、まずある物質というのが健康に 悪影響を及ぼすかどうかというのは、その物質の有害性と、それから実際にそれをどのくら い摂取するかという摂取量で決まってくるというふうに言われています。ただ、我々日常生 活の中では、これをこのくらい食べたら毒だとかというのをなかなか一々考えるのも大変な ので、概念的には例えばこれは毒草ですとか、これは毒キノコですとかと言っていますけれ ども、実はそういう物で有害性が決まっているわけではなくて、それをどのくらい食べるか どうかで実際に毒かどうかというのは本来は決まってくるものでございます。どんな物質と か食品であっても、それの摂取量によっては健康に悪影響を及ぼす可能性があるわけでござ います。どんなに安全性が高くても、それを食べ過ぎれば何か有害な影響が起きてくる可能 性があります。むしろ体にいいと言われている成分であっても、とり過ぎれば毒になるとい うことがありますので、気をつけていただければというふうに思います。  (スライド6)  ここで、リスクコミュニケーションについてお話をさせていただきたいと思います。リス クコミュニケーションとは、リスクに関係する人々の間で、その食品のリスクに関する情報 とか意見を相互に交換すること、この相互にという部分がポイントで、一方的に出すだけで はなくて、お互いに意見交換しましょうということでございます。例えば有害性ですとか、 それがどのくらいの確率で起こるのかとかということについて、例えばどの程度であればそ れが受け入れられるのかとか、そういう受け入れ可能なところまでリスクを下げるためには どういった措置をしなければいけないのかというようなことについて、関係者の間で理解を 深めて、ともに考えていきましょうというようなものでございます。社会的合意形成のプロ セスだというふうに言われております。  (スライド7)  このリスクコミュニケーションを難しくしている原因といたしまして、幾つかのものが知 られております。一つは、リスクの認知ギャップというものと、もう一つは食品の安全性に ついての思い込みというものがあって、そういうものがあるから真っ白な気持ちで物を考え て意見交換できずに、もうこういうものはこういう何か決まってしまった思い込みのような ものにちょっと引きずられる可能性があるというようなことでございます。  それぞれまた詳しく説明を後でさせていただきますが、このリスクの認知ギャップという のは何かというと、実際にそのものが持っているリスクと、我々がそれを感じるリスク、「認 知リスク」というふうに専門的には言うらしいんですが、この間には差があるということで ございます。当然先ほどリスクというのは概念だというお話をしましたので、さっきも赤い リンゴという説明をしましたが、赤いリンゴということであれば、皆さん大体思い浮かべる ものは同じになるんですけども、このリスクといったときに、非常にこれは怖いと思う人と、 それは大したことないよと思う人がいろいろ千差万別のような状態になるわけです。  この認知リスクと実際のリスクの差については、これは当然専門家と素人だけではなくて、 専門家の間でもいろいろそのデータとかを突き合わせて、お互いに意見交換して話し合って 合意して決めないと、なかなか意見の一致は難しいということがあります。  (スライド8)  まず、認知ギャップについてなんですけども、上に上げているものが実際のリスクよりも 大きい、危ないというようなふうに感じられるもの、下は実際思っているリスクよりも小さ いと感じられるようなものでございます。性質として、何かよくわからない未知のものとか 情報が少ないもの、それからよく理解できないもの、あと自分で何かコントロールできない もの、これについて大きく感じられがちだというふうに言われております。それで、下のも の、便利さとか利益が明らかなものとか、あと自分でコントロールできるものなんかは、実 際のリスクよりも小さく感じられるというようなことがあるわけです。  要するに遺伝子組換え食品とか、農薬とか、なかなかわかりにくいのと、当然自分で何か その管理をしているわけではないので、非常に大きく感じられがちだというような例になっ ています。また、こちらの例としては、ちょっと食品のものではないんですけども、例えば 自動車のようなものですと、自動車が持っている便利さとか利益というものはよくわかって いますし、例えば自分で運転する場合、きちんと気をつけていれば事故は防げるというよう なふうに、コントロールできるというようなことがあって、リスクとしては小さく感じられ るようでございますが、それでも結構年間に起きている事故の数というのは結構な数が起き ております。  (スライド9)  次に、安全性についての思い込みでございますが、これもコミュニケーションをする上で なかなか難しいものになっています。一つは、自然由来のものというのは安全で、合成して いるものはみんな危険だというようなことの例です。先ほども少しお話ししましたけども、 毒キノコだとか、毒の魚のフグなんかもそうなんですけども、そういう自然の中にも毒性の 高いものというのはいっぱいあるので、自然のものはみんな安全だというようなことでは必 ずしもないんですが、何かこういうふうに考えがちだということがあります。  先ほどの摂取量と、それから有害性の話もしましたが、この有害のものがほんの少しでも 入っていたら危険というようなこともありまして、一つは実は少しであれば実際は危険では ないんですけども、ある程度の量を食べて危ないというものは、ちょっとでも入っていたら いけないんじゃないかというようなことが、そういうふうに考える人が多いというようなこ とでございます。  あと賞味期限を1日でも過ぎていれば危険というのがありまして、行政的には賞味期限を 過ぎたものというのを食べたり売ったりすることは推奨しているわけではないんですが、要 は科学的に考えたときに、例えば賞味期限の期限の日の23時59分からその次の12時になった 瞬間に物が腐ってしまうとかいうことではなくて、物というのはじわじわ、じわじわ品質が 落ちていきますので、急にある一日で危険になるというようなことは科学的には考えにくい と。また、メーカーの方も、一応賞味期限を決める際には、ある程度の定められた保存条件 でどのくらいもつのかというものをきちんとチェックをされて、多分設定しているケースが 多いと思います。それさえも、もうぎりぎりで設定をすると、何かもうその賞味期限の日の うちに腐ってしまったりとかいうことがあると困るので、ちょっと余裕を持って設定されて いることが多いかと思いますので、そういう意味では1日過ぎたらすぐ危険だということで は、多分科学的にはないんじゃないかなというふうに思います。  以上でございます。  あと、ちょっとここでさらに追加をして申し上げておきたいのは、本日お配りしている資 料の中に「意見交換会に参加いただいた皆様へ」というA4縦の紙がございます。リスクコ ミュニケーションについては、ここの紙にも少し説明をさせていただいておりますので、説 明し足りない部分もありますかと思いますが、その分はちょっと後ででも読んでいただけれ ばと思います。  本日の意見交換会の目的ですけれども、このリスクコミュニケーションという取り組みの 中で、きょうこの場で、個々の意見交換会で何かを合意して決めるというような性質のもの ではございませんで、一応きょうの意見交換会の目的といたしましては、輸入食品の安全対 策の現状、まずこの現状を知っていただきたいということです。それから、残留農薬のポジ ティブリスト制度がどういう制度なのかということについて、まず関係者の間で情報を共有 するということと、さまざまな立場の方から意見交換、意見を出していただいたり、我々の 方から返したりというようなことを行って、この問題についての認識を深めることを目的と しておりますので、よろしくお願いいたします。  以上でございます。ありがとうございました。(拍手) 3.テーマについての説明  〇輸入食品の安全確保について 〇司会  それでは、続きましてテーマの一つである「輸入食品の安全確保について」ということで、 厚生労働省大臣官房、藤井参事官から説明をさせていただきます。 〇藤井厚生労働省大臣官房参事官  それでは、引き続きまして「輸入食品の安全確保について」の御説明をしたいと思います が、後ろの方でスライドが見えづらい方は、右肩資料2に「輸入食品の安全確保について」 というものをコピーをしております。これは、お示しをするスライドと同一のものでありま すから、それをごらんになりながら話を聞いていただければと思います。  まず最初に、「輸入食品の安全確保について」に入る前に、輸入食品の現状ということを 若干御説明をさせていただきたいと思います。  (スライド2)  ここにお示しをしておりますのは、お手元の資料ではカラーでありませんので、そのお手 元の資料でいいますと左側の棒の方が昭和45年、1970年、右側の棒の方が平成14年、2002年 の日本を含めて各国の食料の自給率です。我が国でも約30年ほど前は食料の自給率が約6割 ありましたが、この30年間に4割に減ってきております。それに比べまして、ヨーロッパの ここにお示しをしている国につきましては、食料の自給率自体が非常に増加をしているとい うことがおわかりをいただけると思います。アメリカをここに示しておりませんが、米国に つきましても食料自給率100%を達成をしているという、そういう状況にございます。  (スライド3)  そういう食料自給率が我が国減少しているというのに応じてというんでしょうか、食品の 輸入の届出件数・重量というものがずっと増加傾向にあります。件数でいいますと、直近で 約180万件、重量ベースでいうと3,400万トンぐらいになります。この重量に比べて件数の伸 びの方が著しいというのがおわかりをいただけると思います。これは、非常に少量多品種の ものが輸入をされる傾向がふえているということで、件数の方が重量よりも伸びが著しいと いうことになっております。細かく中身を見ていきますと、きょうの本題とは直接関係がな いんですが、アルコールを含む飲料、ワインなんかですね、そういうものの件数が件数とし てはかなりの割合を占めているというのが現状になっております。  (スライド4)  そして、それを輸入重量約3,400万トンをどんなものを輸入をしているのかというのを見 たのがこの円グラフになっております。一番多いのが農産品、その加工品というので全体の 約4分の3ぐらいになっております。これは、重量ベースでお示しをしておりますから、こ の農産品等の中でもトウモロコシ、大豆、小麦、こういうものの割合が非常に高くなってお ります。  こういう我が国、世界各国から多くの食料品を輸入をしております。その輸入食品をどう いう視点から安全性を確保するのかという基本的な考え方というのを次にお示しをしたい と思います。  (スライド5)  一番上に書いておりますが、国の内外における食品供給の段階において適切な措置を講じ ることにより行うと、これが法律上でいいます安全確保の基本的な考え方です。それを輸入 食品に応用しますと、この3段階になります。相手国側、輸入食品ですから、輸出をする相 手国というものがあるわけですので、その相手国側における対策、そして水際の輸入食品が 輸入をされるとき、水際での対策、そして国内、それが入ってきた後の対策、この三段階に 分けて御説明をしたいと思います。説明の順序は、先に輸入時の対策、そして輸出国、最後 に国内流通時という形で御説明をしたいと思います。  (スライド6)  まず、輸入時にどんなことを重点に置いてチェックをしているのかというのをお示しをし たのがこのスライドになっております。後ほどまた出てまいりますけれども、食品を輸入を するときには届け出る必要があるということになっております。その届出のときに、日本の 国内法に違反があるのかないのかというチェックをするということが大事な項目の一つで す。そして、輸入食品については必ず輸入をされる業者さんがおられますので、その業者さ んに日本の法律に合ったものを輸入をしていただくという要請をするということもありま す。輸入時に検査も実施をしております。そして、多くの食品については我が国だけが輸入 をしているというのではなく、世界のほかの国々でも輸入をしているもんですから、海外か らの情報、それを常に見ておりまして、そして何か緊急情報があればそれに基づいて対応す るというようなこともやっております。  (スライド7)  現実に先ほど食品を輸入をする場合については届け出る必要があるということを申し上 げましたけれども、輸入届出窓口というのは厚生労働省の検疫所、31の検疫所、このスライ ドでいいますと赤丸に塗ってある、これ31ありますが、その検疫所で届出を受け付けること になっております。御当地新潟においても、新潟検疫所が輸入届出の窓口になっております。 検疫所の方では、届出書類をチェックをするだけでなく、いろいろと抜き取りの検査なんか もいたしますが、複雑な検査については東日本は横浜、西日本は神戸、2カ所の検査センタ ーで実施をしております。  そして、具体的に検疫所の方ではだれがそういうことをやっているのかというのは、次の スライドをお願いします。  (スライド8)  検疫所には食品衛生監視員という専門の職種の方がおられて、その方々がチェックをして います。非常に公務員の定員事情というのは厳しいんですが、輸入食品の検査というのは極 めて大事だということから、この約15年ぐらいの間に食品衛生監視員の数、約3倍以上に増 加をしていただいております。  (スライド9)  具体的に食品の輸入の届け出というのは、食品衛生法という法律の中で、輸入をしようと するものは厚生労働大臣に届出なければならないと規定をされております。届出が必要なも の、食品だけではなくて添加物、器具、容器包装、おもちゃというものがあるんですが、こ れはいずれも、このおもちゃも乳幼児を対象と書いてありますが、口に入れられることによ って口から体の中に入る可能性があるもの、そういうものについては届出が必要だというこ とになっております。  (スライド10)  届出事項としては、当然業者さんの名前でありますとか、どういう中身、重量、添加物等々 がありますし、それから食品の種類、具体的に言いますと食肉製品については相手国側の政 府機関の衛生証明書の添付が必要ということになっております。また、フグについても相手 国の公的機関の証明書が必要と、こういうものをあわせて届出をしていただくということに なります。  (スライド11)  輸入業者さんへの自主的な衛生管理についてでありますが、また法律の中で営業者は食品 の安全性の確保について、第一義的な責任を有するということが規定をされております。こ れを具体的に輸入される業者さんに適用いたしますと、これについては次のスライドからち ょっと説明を具体的にしたいと思いますんで、次お願いします。  (スライド12)  具体的には輸入業者さんに、この基本的指導事項というのはちょっと次のスライドでお示 しをしますので、輸入届出をされる前の指導を実施をするということであります。どうして これが必要なのかといいますと、各国はその衛生関係の法規が非常に異なっております。そ れで、外国では例えば認められている添加物であっても、我が国では認められないというよ うなものがあります。そのために、特に初めて輸入をされる食品なんかの場合については、 事前指導を受けていただいて、その輸入をする前に違反を発見をするということをしており ます。それから、物によっては過去に違反事例が何度もあるというような食品もあります。 そういうものについても、輸入前に相談をしていただくということをお願いをしております。  そして、自主検査の指導といいますのは、やはり初めて輸入をされる食品でありますとか、 過去に違反が多かった食品を改めて輸入をされるような場合については、業者さんみずから 検査をして安全性を確保してください、確認をしてくださいというお願いをしております。 それらの記録の保存。一般的には、そういうことも含めての我が国の食品衛生に関する知識 ということを十分御理解をいただくということをやっております。  (スライド13)  これは途中までなんですが、業者さんに対して基本的指導事項という形でリストアップを されているもの、こういうことを念頭に置いて輸入をしてくださいというお願いをしている ものであります。一般的なもの、農産物関係、畜産物関係等々ありますけれども、例えば農 産物関係でいいますと、残留農薬の関係がやはり一番問題になってまいります。そうします と、事前の確認事項ということで、その相手国でどういう農薬の使用状況にあるのかという ものを確認をしていただきますし、定期的にそれがきちんと適正に守られているのかどうか についても確認をしてくださいというお願い等をしたりしております。  (スライド14)  それに加えまして、国の方でも検査を実施をしております。まず、モニタリング検査とい う検査がありますが、各検疫所で年間計画をつくりまして、それに基づいて検査をいたしま す。平成17年度でいいますと7万7,000件、抜き取りのモニタリング検査をするという計画 でございました。先ほど申し上げましたように、届出の件数が約180万件年間あるというこ とからしますと、この7万7,000件というのは約4%に当たります。モニタリング検査の場 合は、国の費用をもって実施をするわけですが、その検査結果を待たずに業者さんは輸入を することが可能になっております。ただ、生鮮食料品以外の少し置いておけるようなものに つきましては、業者さんの方ももしも何かモニタリング検査の結果問題が出れば、回収等の 措置をとることも必要になってまいりますので、多くは検査結果を待たずに輸入可能であっ ても、検査結果を待っているという場合が多くなっております。  このモニタリング検査で何回か違反が続きますと、非常に違反の可能性が高い食品という ことになりまして、その後に、これも国が検査命令というのを業者さんに出します。この場 合は、業者さんの方が検査費用を負担をして、そして検査結果が出るまで輸入することがで きないということになります。  そのほか、先ほど申し上げましたように、初めて我が国に輸入されるものでありますとか、 過去に違反が多かったようなものについては、業者さんみずからに検査のお願いをすると、 自主検査と呼んでおりますが、そういうこともやって、あわせて検査というものをやってお りま。  (スライド15)  先ほど申し上げましたように、業者さんの自主検査、そしてモニタリングをやって、モニ タリングで違反が多くなりますとモニタリングの頻度を上げる、そしてそのモニタリングの 頻度を上げた中でも違反が続きますと、今度は業者さんみずからの費用で実施をしていただ く検査命令というものに移行する。この検査、合わせまして、大体毎年ですが、10%強をし ております。輸入届出件数の10%強が何らかの形で検査をされているということであります。 検査命令で検査をしても非常に違反が続くような場合については、最後の手段として輸入禁 止ということもできるように、制度上は体制が組まれております。  まず、国の検査で基本となりますのはモニタリング検査になりますので、モニタリング検 査というのはどういうものかというのをざっと次から御説明をしたいと思います。  (スライド16)  これは、横浜の検疫所でのモニタリング検査をしているところを代表として御説明をさせ ていただきます。横浜の検疫所は非常に取扱量も多い、そしてサンプルをとりにいく倉庫と いうものが離れたところにあるということもありまして、多くの場合は2人1組で回ってい るということであります。  これは、オレンジのようなものを採取をしておりますが、幾つか箱があいているのがおわ かりになると思いますが、一つの箱からだけサンプルをとるのではなく、無作為に幾つかの 箱から必要な量に達するまでのサンプルをとるということをやっております。この右下のや つについては大豆かコーヒー豆か小麦か、そういうものでありますが、それにつきましても いろんな袋から無作為に必要な量に達するまでのサンプルをとるということをやります。こ の左下のスライドは、恐らく冷凍肉だと思いますが、冷凍肉をのみとハンマーでサンプルを 採取をしているというところであります。  (スライド17)  そういうサンプルを採取をして、それが横浜検疫所なんかの場合ですとほぼ1日がかりに なります。その1日がかりで集めてきたものを検疫所できちんと整理、登録をしまして、そ して翌日、横浜にあります検査センターに搬入をして検査をするということにいたします。 そのために、冷凍のものなんかもありますから、きちんと温度管理をするということもやっ ております。それで、検査センターの方では翌朝、各種のこういうサンプルを受け付けをま ずして、具体的な検査を実施をいたします。  (スライド18)  例えば残留農薬なんかの検査の場合ですと、大根とかキャベツとかそういうものを何か機 械の上にそのまま乗せれば残留農薬の値が出てくるということはありません。どういうこと をやるかといいますと、まずとってきたそういうサンプルを均一に細かくいたします。具体 的に言いますとミキサーにかけて細かくするというような作業をやります。そして、その後、 いろいろな不純物がありますから、そういう不純物を取り除いて、検査をしたいところ、部 分だけを抽出・精製をするという作業をした後、分析機械にかけていくという形になります。 この工程、機器の分析のチェックなんかも入れまして、長いサンプルになりますと3日がか りぐらいになります。それで検査結果を出すということになるんですが、この結果いかんに よっては違反ということで輸入差しとめ、停止というようなことにもなるわけでありますか ら、非常に神経を使って正確性を期する検査ということになっております。  これはモニタリング検査で、こういう形で検査をするんですが、それで違反が続きますと 命令検査にいくというお話をいたしました。命令検査も基準がなく、その担当者の判断で命 令検査をしているというのではありませんで、次お願いします。  (スライド19)  例えば残留農薬の場合でありますと、モニタリング検査で違反が出ます。そうすると、届 け出られる件数の半分、2分の1を検査に回すということで検査の率を上げます。それにも かかわらず違反が出るということになりますと、違反の蓋然性が、ここでは蓋然性と書いて ありますが、違反の可能性が非常に高いと判断をして、検査命令をかけるということをいた します。  ただ、ここにありますように、O―157でありますとか、このアフラトキシンというのは 発がん性のあるカビ毒ですが、そういう国民の皆さんの健康にかなり影響があるだろうとい うものについては、直ちに検査命令を出すというケースもございます。  これは、厚生労働大臣が検査命令を発するもんですから、この解除についてはきちんとし た再発防止策が相手国でとられて、今後違反の可能性がないということの確認が必要という ことになります。このあたりについては、後ほど簡単に触れさせていただきますが、相手国 側の対策ということとも絡んでまいります。  (スライド20)  現実に今年度の上半期、どんなものが検査命令になっているのかというのをごらんをいた だきますと、非常にカビ毒であるアフラトキシンというものが多いというのがおわかりにな ると思います。シアン化合物、これは豆類等に自然に含まれているシアン化合物が規定より も多かったというようなものについてであります。  (スライド21)  大体検査どれぐらい違反があるのかというのをお示しをしたのがこのスライドになりま すが、16年度の上半期、そして17年度の上半期というものを比較をしておりますが、件数、 重量とも今年度の上半期の方が増加をしてきております。検査の割合は、先ほどもお話をし ましたように、届出件数の大体10%程度と。違反の件数を全部の届出件数で割って割合を出 しますと、昨年度同期と同じぐらいで大体0.05%ぐらいということになっております。  (スライド22)  具体的にどんな違反が多かったかというのをお示しをしておりますが、これちょっと細か いので、お手元の資料をごらんをいただいた方がいいかもわかりません。一番多いのは、こ この分野で規格基準に違反する食品等の販売等の禁止というものに当たるもんですが、この 中でも冷凍食品の微生物基準違反、大腸菌なんかが冷凍食品に基準以上についていたと、そ ういうものが多くなっております。そのほか、添加物が基準の量よりもたくさん検出をされ たというものでありますとか、日本では使ってはいけないような食品に添加物が使われてい たというもの、そして先ほど検査命令のところでも出てきましたけれども、カビ毒であるア フラトキシンの検出、こういうものが違反事例としては多くなっております。  (スライド23)  先ほども申し上げましたように、輸入食品を輸入をするのは我が国だけではありません。 そういう意味で、海外での違反情報というものを非常に注意して集める体制がしかれており ます。もちろん外国にある日本大使館を通じて、そして厚生労働省の国立医薬品食品衛生研 究所、そして内閣府にあります食品安全委員会の事務局、そういうところで常に積極的な安 全情報の収集ということをやっております。問題の食品が何かあるということがわかった場 合につきましては、直ちに調査をして、回収、そして場合によっては輸入時の検査の強化、 そういうことをいたします。  少し古い例になるんですが、具体例として細菌に汚染をされていた米国産のアーモンドで ありますとか、添加物の関係の違反が見つかった中国産のはるさめ、こういうものについて は海外からの情報に基づいて我が国で適切な対応をしたという例でございます。  (スライド24)  そして、次に相手国に対する衛生対策の推進ということでありますが、これはいろいろ書 いてありますが、大きく分けますと二つのことが重要になってこようかと思います。一つは、 我が国の衛生の基準等を十分に相手国に理解をしていただくということが一つ、それからも う一つはもし何らかの問題が生じた場合に相手国に、例えばここにありますように、原因の 究明、再発防止策の確立を要請をする、そして必要に応じて我が国から専門家を相手国にも 派遣をするということをやっておりますし、あわせて我が国の状況を十分理解をしていただ くために、研修制度というようなこともございます。  (スライド25)  いろいろとその検疫所または国内で輸入食品について問題が見つかったもの、海外からの 情報で水際で阻止をしたもの、そういうものの中から、当然相手国に対して原因の解明と再 発防止策をお願いをするわけでありますが、最近でいいますとここにお示しをしているよう なものについて要請をしております。やはり生ものにそういうものが多くて、結構東南アジ アからのものが目につくということだと思います。それから、先ほども申しましたけれども、 アフラトキシンというカビ毒の関係、これがかなりいろんなところから出てきております。 アフラトキシンについては、発がん性があるということで、水際での検査というのもかなり 入念に実施をしているということであります。  (スライド26)  そして、国内では何をしているのかということでありますが、国内では保健所を設置をし ている都道府県でありますとか市が、やはりこの監視指導計画というのを毎年立てておりま して、それに基づいて食品の検査というものを実施をしております。国内で違反事例が見つ かった場合については、当然国の方に通報をいただきまして、そして検疫所でのチェックを 強化をするということもありますし、あわせて相手国に違反情報を報告をして、原因の究明 なり再発防止策を要請をするという2国間協議を実施をするということもいたします。  今まで申し上げましたように、輸入食品の安全確保ということにつきましては、相手国に いろいろお願いをしたりする部分、そして主に検疫所でありますが、水際でチェックをする 部分、それでも国内に入ってきた場合については、都道府県でありますとか市でやる食品検 査で安全の確保をさらに図るという、この3段階での重層的な体制によって安全確保という ものを図っているところであります。  (スライド27)  もしもそういう中で違反が判明をしたらどうなるのかということであります。まず、検疫 所で海外情報等から違反食品が国内に流通をしてしまっているということがわかった場合、 その場合は国の方から関係の都道府県と連携をしまして、その食品について回収等の措置を 行うということであります。  そして、先ほど申し上げましたように、国内で都道府県等が毎年検査をしておりますが、 それによって違反というものが発見をされた場合につきましては、国の方に報告をいただい て、それ以降輸入時の検査を強化をするということをやります。  違反をした輸入業者さんに対する対応でありますが、もちろん一番重要なのは原因の究明 と再発防止策を立てていただくお願いをするということであります。そして、再度同じもの を輸入をしたいという場合については、事前に検査等によって問題がないということを確認 をしてから再度輸入をするということをお願いをしております。それにもかかわらず違反を 繰り返すような悪質な方については、営業の禁止・停止という措置も講じることができるよ うになっております。  どういう食品についてどんな違反があったのかということについては、これはホームペー ジでしかごらんいただくことができないんですが、輸入食品のところのホームページで逐一 公表をしております。いろいろと情報提供を国の方でもしておりますが、なかなか紙ベース で皆さん方にすべて行き渡るようにというのは難しいもんですから、ホームページを中心に ということになってしまいます。それで、どういうところで情報公開をしているかというの を最後にちょっと御紹介をして話を終わりたいと思います。  (スライド28)  厚生労働省のホームページの中、ごらんをいただきますと、食品安全という部分がありま す。その食品安全の部分、入っていただきますと、食品安全情報として、中身としては緊急 情報、Q&Aのようなもの、分野別の各種の施策というものがありまして、輸入食品につい ても入っておりますし、次のポジティブリスト制度、この関係についても分野別の中に入っ ております。アドレスは、ここにお示しをしているとおりです。  (スライド29)  具体的に輸入食品のところをさらに入っていただきますと、業者さん等に対しての輸入手 続について、そして毎年計画を立てて食品の監視をしておりますこの計画、どういう具体的 な通知が出先である検疫所に出されたのかということのほかに、違反事例というものを個別 にお示しをしております。  (スライド30)  そして次、最後になりますが、なかなかほかの専門的な情報というものについては、厚生 労働省のホームページの中ではすべてが御紹介できていないという部分があります。かなり 専門的な情報をごらんになりたいという場合につきましては、国立医薬品食品衛生研究所に やはり食品に関する情報のコーナーがあります。その中で食品中のいろいろ化学物質、農薬 関連の情報、そして農薬等については各国の基準、そういうものについてもお示しをしてお ります。  先ほども申し上げましたように、すべてを国の方で紙ベースで皆さんにお示しをするとい うことができないもんですから、ホームページという形になりますが、できるだけ細かい資 料、情報につきまして提供をさせていただいておりますので、ぜひ御興味がある方について はごらんをいただければありがたいと思っております。  以上でございます。 〇司会  それでは、ここで休憩を少しとりたいと思います。1時35分から開始をしたいと思います ので、お時間になりましたらお席の方にお願いします。  立ち見されている方も、まだ少し席があいておりますので、この時間を利用してあいてい る席を見つけてお座りいただければと思います。よろしくお願いいたします。                休 憩 午後1時30分                再 開 午後1時35分 〇司会  それでは、まだ帰られてこられていない方もいらっしゃるんですけれども、時間になりま したので、進めさせていただきたいと思います。  〇残留農薬等のポジティブリスト制度の導入について 〇司会  それでは、二つ目のテーマでございます「残留農薬等のポジティブリスト制度の導入につ いて」ということで、厚生労働省食品安全部企画情報課の広瀬課長補佐から説明させていた だきます。 〇広瀬厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐  それでは、説明させていただきます。  かなりボリュームがありますので、少し早口になるかもしれませんが、ちょっと早目にど んどん進めていきたいと思います。  (スライド2)  まず、農薬登録制度による安全性のチェックということで、実は食品衛生法に基づく規制 とは別に、農薬取締法によって農薬の管理というのがまずされています。その中で、登録さ れた農薬のみが国内においては製造、輸入、販売、使用が可能ということです。安全性が確 認されない農薬というのは登録されない、要するに輸入とか販売とかはされないので、基本 的には国内では使用できないということになっております。  農薬登録の申請のときに必要な毒性とかそういう試験の成績というのは、まず毒性試験で すとか、それから2番目の動植物の体内での農薬の分解経路、それから分解物の構造とか、 そういういろんな情報、それから環境への影響というものについても試験があると、あとは 農作物に対してどのくらい残るかという残留性試験についての情報などが含まれておりま す。  (スライド3)  次に、食品に残留する農薬に関する規制ということで、食品衛生法の規制を中心にお話を します。  (スライド4)  安全確保のための規制の仕組みですが、まずここでは基本的な考え方をお話ししたいと思 います。毎日の食事を通じて摂取する農薬等の量というのが、ADIというものを超えない ようにするということでございます。  ADIについては、また後ほどスライドの中で説明をしていきたいと思います。また、余 り説明が難しくならないように、基礎的な内容をちょっと中心に説明を進めていきたいと思 います。  (スライド5)  「ADI」というのは、先ほど出てきましたが、どんなものなのでしょうかということな んですけれども、これは許容一日摂取量、英語で言うとAcceptable Daily Intakeというも のでございます。これは、例えばある物質があったときに、その物質について、人が一生涯 その物質を毎日摂取し続けたとしても健康に対する有害な影響というのがあらわれないと いうふうに考えられている1日当たりの摂取量でございます。この量であれば、ずっと毎日 一生涯食べていても大丈夫というような量ということでございます。それについては、通常 は1日当たりの体重1キログラム当たりの物質の量というもので示されます。それで、(mg /kg/day)というような形で示されてくるわけでございます。  (スライド6)  この「ADI」というのをどうやって決めるのかということなんですけれども、先ほども リスク評価については食品安全委員会が行っているというお話をさせていただきましたが、 安全性試験のデータというのを管理機関側から提出をいたしまして、食品安全委員会がこの 評価というものをしています。評価のもとになるデータですが、これが適当につくられたデ ータですと、その評価した結果自体がそもそも信頼できなくなってしまうので、このデータ についてもちゃんときちんと信頼性を確保する仕組みというのがあります。それがここにあ りますようなGLP(Good Laboratory Practice)というものなんですが、安全性試験の適 正実施に関する基準というものがありまして、このようにきちんと信頼性を担保するための 仕組みの中でつくられたデータをもって安全性を評価するというような流れになっている わけです。  どんな安全性試験のデータかというと、例えば急性の影響を見たりとか、それから少し長 い3カ月ぐらいになるかと思いますけれども、少しちょっと長目の亜急性の影響を見たりと か、あと慢性というのはまあまあ一生ぐらいを見るような試験だと思うんですけども、慢性 の影響を見る試験、それから発がん性を調べる試験とか、またそれによって奇形が発生する かどうかとか、それから繁殖のそういったものに対しての影響、要するに次世代への影響な んかも見るような試験という、こういう各種いろんな安全性試験というものがありまして、 その中から有害な作用が認められない量、動物、大体はネズミを使って試験をするわけなん ですけども、有害なものが認められない量と、この無毒性量というものをまず評価しまして、 これに対して安全係数というものを考慮してADIが設定されています。安全係数は、当然 動物の実験から得られているデータですので、人と動物の種差、それから人と人の間の個体 差、それぞれ考えられますので、10ぐらいの値を考慮してADIを決めていると。したがい まして、ADIというのは無毒性量の100分の1ぐらいの量に一般的にはなるわけです。例 外がありまして、ADI、その安全係数は200とか300かかっている場合には当然200分の1、 300分の1ということはありますが、基本的にはこの100分の1が一般的だということでござ います。  (スライド7)  摂取量と人体への影響の関係ということなんですが、実際無毒性量とか動物の試験で調べ ているものでございますが、まずある物質があったときに、その物質をだんだん摂取する量 がふえていったときに、生体影響というものはどう変わるかということなんですが、このよ うに原点から直線関係で死亡のところまで至るということではなくて、実際に起こる生物の 生態影響というのは、このように最初は縦軸でいうと一番下のところをずっとはっているわ けですが、この無毒性量を超えたあたりのところから急に立ち上がって一気にだんだんふえ ていくと。最後にまただんだん寝てくるわけなんですが、最後は致死量ぐらいまで至るとい うことでございます。このように、「S」という字を横に少し延ばしたような、シグモイド カーブというふうに呼ばれているんですけども、このようなカーブを描くということが一般 的に知られております。  先ほどお話ししました無毒性量の100分の1のところにADIというものがございますの で、概念図的にはこのような位置関係にあって、さらにそのADIを超えないようにいろい ろ管理がされていますので、実際使用しているレベルというのはこのようなところだという ことでございます。  よく誤解されている方が多いんですけれども、この範囲の中で、例えば5倍とか10倍とか というような、要するに規準値よりもさらに10分の1の値で私は管理していますというよう な宣伝をされている方もたまにいらっしゃるんですが、それによって10倍安全になるという ことは全くなくて、要するに縦軸のところで見ると、その動きはほとんど変わらないという ことです。要するに適正に管理されたものであれば、より厳しい管理をしたことによってど のくらいその安全性が変わるのかというと、縦軸で見るとほとんど変わらないということが ございます。  逆にこの範囲の中でも基準が例えば5倍になったり10倍になったりすると、規準値の10倍 で危ないんじゃないかというようなことを思う人もいるわけなんですが、危ないかどうかと いう、この縦軸の線ではほとんど変化がなくて、こういうところだと、要するにここでここ の量からここの量になれば、これぐらいの高さが変わりますし、このくらいまでいけばかな り危なくなってくるわけなんですけども、こういう範囲の中にいる限りにおいては、5倍と か10倍とかということがあっても、その危険性が5倍、10倍になるということはないんだと いうことでございます。ただ、この比例関係にあれば、やはりここからここにいくときに、 5倍から10倍になれば当然何か縦軸のところの変化というのも出てきますけども、こういう シグモイドのカーブを描く生物の反応曲線の中では、あるエリア以下のところの変化という のの中では、その中で量が5倍、10倍になっても実際の安全性というのはほとんど変わらな いということをとちょっと御理解いただきたいと思います。  (スライド8)  次に、残留農薬基準についてお話をします。これは、農作物ごとに許容できる農薬の残留 量ということです。  (スライド9)  この残留農薬基準の決め方ですけれども、日本人が平均的に食べる1日当たりの農作物の 中に含まれる農薬の量というのを、これは推定、計算上ですね。推定しまして、その合計が 先ほどのADIというものの8割を超えない範囲で基準を設定していると。この8割を超え ないようにしているのはなぜかというと、農薬というのは食べ物だけから摂取するわけでは なくて、水ですとか大気を通じて農作物以外からの摂取というものが可能性がありますので、 食品としては基本的には8割を超えない範囲ということで基準を決めていると。それでまた、 国民平均だけでこれを推定しているわけではなくて、例えば子供がどういう食事をどのくら い食べているのかとか、妊婦さんの食事はどうなのかとか、高齢者の食事はどうなのか、当 然若干食べるもの少し違ってきたりしますので、そういう中でそれぞれの幼少児の中におい ての平均、妊婦の中の平均、高齢者の平均ということになりますが、それぞれの平均的に食 べる摂取量で推定をしていると。毎日食べる農作物の量とか栽培に必要な農薬の量が違うと いうことがありますので、農作物ごとに基準を決めているということです。要するに作物の 中でも、例えばコマツナとホウレンソウ、ほとんど多分摂取量というのは余り変わらないと 思うんですけれども、コマツナの栽培に必要な農薬と、またホウレンソウの栽培に必要な農 薬というのは違ってきたりしますので、それぞれ農薬ごとに基準が決まっております。  (スライド10)  それで、残留農薬基準の決め方でございますが、先ほどもちょっと何回かお話をしていま すけど、まず動物の試験から無毒性量というのを決めて、安全係数、これは種差、個体差10 それぞれあって、ADIは無毒性量の100分の1になるわけですが、この一日許容摂取量と いうの、これは食品安全委員会が決めているわけでございます。ここで1日当たりの農作物 の摂取量とか農作物を実際つくるときの作物残留の試験の結果などから残留農薬の基準と いうものを厚生労働省が決めて、この基準を満たすような使用方法というものを農林水産省 が決めているというような流れになっています。  (スライド11)  ですので、逆の方から見ていくと、まず生産段階の方に下がっていくと、農薬の使用基準 というのをきちんと守られて生産されたものというのは、当然残留基準を超えない、その残 留基準よりも少し下になるように使用方法というのは決まっていますので、こういう関係に あって、さらには通常の食料の摂取、これは非常に片寄った食べ方をすると、そこまでは保 証はできないんですけども、いわゆる通常の食料摂取、消費をしている限りにおいてはAD Iを超えないという流れになっています。  (スライド12)  次に、食品中にどのくらい農薬が残っているかという実態について少しお話ししたいと思 います。  (スライド13)  これが農作物中の残留農薬の検査の結果と、これ平成12年度と13年度のものでございます けれども、ここでいうもの、この件数というのは例えば検疫所で検査したものとか、地方自 治体などで検査いただいたものをこれちょっとまとめて集計したものでございます。この際 にちょっと気をつけていただきたいのは、一つの農作物、例えば大根があったとして、それ に対して50農薬の検査をした場合には、その検査件数としては50件、それからもし出ると件 数は1件というふうになりますけれども、要するに1作物に対して50個の農薬の検査をした 場合には、検査件数はそれは50でカウントされるということをちょっと前提に御理解いただ ければと思いますが、総検査数が46万7,000件くらい、検出はこの2,800件くらいというよう なことで、これは検出はされているということなんですが、実際基準を超えているのは74件 ということでございます。13年度も53万件ぐらいに対して2,700件ぐらいの検出があって、 このうち基準を超えたものが29件ということで、ほとんどのものは基準以下できちんと安全 性は確保されているということがおわかりになるかと思います。  (スライド14)  こちらは、食品残留農薬の一日摂取量の調査結果でございまして、先ほどのは流通してい る農作物を検査したときにどうだったかというものなんですが、こちらの方はマーケットバ スケット方式といいまして、これは何をやるかということなんですけども、市販されている 食品を適当に買い集めてきて、実際の食事というものを1人分の食事を想定してつくります。 つくった食事を分析して、その中に農薬がどのくらい入っているのかということを調べるや り方でございます。結局皮をむいたりとか加熱したり調理の過程なんかが入ります。そうい うようなことによって、本当に実際自分、食品を摂取する状況のときに、通常の料理になっ た段階でどのくらい農薬が取り込まれるのかというのを推定するための試験の方法でござ います。この場合に、平成13年度の試験については21個の農薬について調べましたけども、 先ほどのADIに対して0.19%から31.04%であったということです。実はこの31.04%の内 訳、詳細、きょうスライドの中にはお示ししていないんですけども、この農薬は実は実際に 検出されたというわけではなくて、分析の都合上、ゼロというふうなことであっても、その 検出限界のうちの例えば何割かは入っていたんじゃないかという仮定のもとに立ち上げる とこういう数値が出てくるというようなことでございました。また、14年度の方は0.04%か ら1.69%ということで、ADIに比較すると大分下のところに実際の摂取量はあるというこ とがわかっております。  (スライド15)  基本的には農薬については、いろいろ適正な生産というのが行われて管理されていれば、 健康上問題になるということはないんですけども、それでも気になる方のための農薬の減ら し方ということで、当然農薬が残っているものであっても、調理とか加工によって減ってい くということがございます。例えば水洗いとか、これは全部がそうだということではないん ですが、一般的な傾向として水で洗ったりとか、あと皮をむいたり、当然外から農薬がかか ってくれば、その農薬がついている部分を取ることによって、中のものは当然農薬というの は少なくなりますので、皮むきとか、あとゆでたりする、揚げたりするなどによって農薬が 減少するということが一般的な知見として知られております。  (スライド16)  ここからが本日の主題になりますポジティブリスト制度の中身の説明でございます。  (スライド17)  一般にポジティブリスト制度というのは何かということなんですけれども、まずポジの反 対はネガになるわけです。ネガティブとポジティブというのがありますが、この違いは何な のかということでございます。ネガティブリストというのは、原則は規制がない状態の中で、 規制するものだけについてはリスト化しているというようなもの、ポジティブリストはその 逆で、原則禁止された状態の中で使用を認めるものについてリスト化するということでござ います。要するにこちらの方というのは、規制のないものというのは原則自由のような状態 でございます。こちらは、基準のないものというのは原則禁止というような、もう全く逆の 関係になるわけです。  現在の農薬の規制というのはこのネガティブリストの状態になっておりまして、食品衛生 法の中に幾つか農薬の基準というのは決まっていますけれども、基準がないものについては ほとんど規制ができないというような状況です。これに対して、包括的に網がかかるという のがこのポジティブリスト制度化ということになりますので、方向としては180度転換、規 制強化というふうなことになっているわけでございます。  (スライド18)  このポジティブリスト制度について御説明をさせていただきますが、この残留農薬等、こ の「等」の中には動物用医薬品とか飼料添加物が入っています。また後ほどちょっと説明を いたしますが、基準が設定されていない農薬等が一定量を超えて残留する食品の販売を原則 禁止するというのがこのポジティブリスト制度でございます。  (スライド19)  このポジティブリスト制度はなぜ導入されたかという、この経緯でございますけれども、 平成7年の参議院、衆議院それぞれの食品衛生法改正の際に、このポジティブリスト制度の 導入について検討するというような付帯決議というものがついております。また、15年の5 月30日の食品衛生法改正の際には、ポジティブリスト制度の規定を導入するというようなこ とが法律として決まっておるわけでございます。この中で、この15年から3年以内に施行と いうふうに決められております。ということで、今度の本年ですね、18年の5月29日からこ の制度が施行されます。  (スライド20)  ポジティブリスト制度につきましては、15年の5月に法律として決まったわけですけれど も、3年以内に導入するためにいろいろ積み重ねてきたということがございます。まず、「薬 食審」と書いてありますが、薬事・食品衛生審議会という厚生労働省の審議会がございまし て、その審議会の中で審議を開始しております。まとめたものが、10月には第1次案という ものが公表されていて、3カ月間の意見募集をしています。その後、寄せられた意見をもと にまた同じように審議会で審議をしまして、第2次案というものをこの16年の8月に公表、 ここでもまた3カ月間の意見募集をしていると。この間また審議会で5回ぐらい審議したり とか、あと内閣府の食品安全委員会の方にも御報告申し上げて、中身をちょっと調査審議し ていただいた。これは3回ぐらいやっていただいております。17年の6月に最終案の公表と いうものをしております。これについては、意見募集2カ月間と、あと外国への通報という ことでWTO通報と、9週間をしております。17年の9月からまたこの寄せられた意見など を踏まえて審議会の方で審議をして、最終的にはいろいろ踏まえながら、この厚生労働省告 示というのが11月29日に出ております。  (スライド21)  このポジティブリストの規制の対象なんですけども、規制の対象になっているのは農薬と、 それから動物用医薬品と飼料添加物というものでございます。対象となる食品は、加工食品 を含むすべての食品ということになります。  (スライド22)  いつから規制が実施されるかなんですが、先ほどからもちょっと何回か出ているかと思い ますけど、5月29日からこの適用になります。それで、政令というものが決まっておりまし て、施行期日というのは18年5月29日とするというようなことがもう公布されているわけで ございます。  (スライド23)  現行の規制と、それからポジティブリスト制度導入後どうなるかというのを概略的に示し た図になりますけども、ちょっと説明が重なるようで恐縮ですが、農薬とか飼料添加物、そ れから動物用医薬品について、現在はこの食品規格が定めされているもの、残留基準が定め られているものについては、農薬においては250農薬、動物用医薬品は33ぐらいですが、こ ういったものに対して残留基準が決まっていて、この基準を超えたものというのは食品の販 売等が禁止されるわけですけれども、決まっていないものは原則販売禁止等の規制はないと いうことでしたので、基準のないものは今まで自由に流通していたというようなことでござ います。  (スライド24)  これがポジティブリスト制度の導入後どうなるかというものなんですが、基準があるもの については引き続きその基準の中で流通が認められる。今回もともとつくっていた基準のほ かに、この制度の関係で暫定基準というのが幾つかできていますが、そういったものを含め て、この基準のあるものについては基準の範囲内でのものが流通可能。逆に言うと、基準を 超えたものが見つかった場合には販売等が禁止されるということでございます。  今までと決定的に違うのは、この基準のないものです。基準のないものはどうなるかとい うと、一定量を超えて農薬等が残留する食品の販売等は禁止されると、この一定量、一律基 準というのは後ほどお話ししますけども、0.01ppmという非常に厳しい数値が設定されてお ります。このように、基準のないものは、基本的にこの一定量を超えると禁止というふうに なります。  この中で、若干ここの部分だけが少し違ってくるわけなんですが、ポジティブリスト制度 の対象外ということで、そもそもこの制度の対象外になる物質がございます。人の健康を損 なうおそれのないことが明らかであるものということで告示されたものが該当するわけで すが、その中には特定農薬などが含まれるということになります。  (スライド25)  11月29日に出た告示の内容ですが、この3本、第497号、第498号、第499号とありまして、 それぞれ第497号が一律基準、いわゆる一律基準に関することで、0.01ppmというふうに告示 されております。あと対象外リストについては65物質、ちょっとここでは詳しくお示しでき ませんでしたけども、1個1個物質の名前が65個書いてあります。もう一つが、いわゆる暫 定基準というもので、食品添加物の規格基準の中に暫定基準に相当するものが今回設定され てつけ加えられていると。これは、農薬の物質名と、それから農作物名がそれぞれ書かれて おります。  (スライド26)  先ほどの一律基準についてですが、人の健康を損なうおそれのない量として一定の量を定 めて規制する考え方でございまして、これは結局今まで評価したことがないどんな物質でも、 このぐらいであれば害はないだろうというものですので、実質ちょっと厳しい値になってお りまして、0.01ppmというふうに設定されております。本来ゼロということもできるかと思 うんですが、ただ工場の中で閉鎖系できちんと管理してつくっているというものではなくて、 当然開放系の中でつくられているわけですから、その環境に由来するものとか、非意図的な 汚染の可能性というものもあって、完全にゼロにはなっていないということでございます。  (スライド27)  ポジティブリスト制度を採用している国々においてはどんな状況かということなんです けども、欧州連合(EU)のところにも当然一律基準のような考え方というのはありまして、 使用対象外の作物に残留する場合にはとか、安全性に関する資料がない場合、それぞれにつ いて0.01ppmを超えるレベルで残留することを禁止しているということでございます。ドイ ツもこのEUの中の一部ですけども、国内の規制の中で0.01ppmというような管理をしてい るというふうに聞いております。ニュージーランド、カナダは0.1ppmということなんですが、 聞いたところの話によると、ニュージーランドはカナダの規制を参考に、どうも0.1ppmとい うようなものを決めていて、そのもとになったカナダは最近この0.1ppmから0.01ppmに変え るようなことを検討を始めているというようなお話を聞いております。あとアメリカの方は、 一律基準というのは法律とかいわゆる法令の中には決まっていないんですけども、運用上0. 01から0.1ppmで判断しているというようなことを伺っております。  (スライド28)  次に、規制対象とならない物質、対象外物質について、ちょっと例を挙げて御説明します が、このオレイン酸とか、これは殺虫剤として使われるわけですけども、レシチン、これは 大豆の中にも入っているわけで、実際生産現場では殺虫剤として使われるとか、アスタキサ ンチンって、これ飼料添加物として使われるわけですが、こういったものとか、重曹、よく 料理なんかにも使うと思うんですけども、こういう比較的安全性が高いというふうに考えら れているものがございます。ある程度この残留することを前提に、それでも安全というふう に考えられるものという定義で対象外物質が定められておりますので、いわゆる天敵農薬み たいなものとか、栽培段階で使用されるけれども、実際八百屋さんとかスーパーで売ってい るところまでは残留していないだろうというふうなことが考えられたので、対象外物質の中 にもリストアップはしていません。  (スライド29)  次、暫定基準のお話を少ししたいと思います。暫定基準なしにいきなりポジティブリスト 制度にするとすると、現在ある基準としては例えば農薬でいえば250物質ぐらいが決まって いるわけですが、それ以外は全部0.01ppmというふうになってしまうので、ポジティブリス ト制度の円滑な施行とか、それから国民の健康の保護というそれぞれの法目的から暫定基準 というものを暫定的に決めたというようなことでございます。一応法令的な位置づけとして は、この第11条の1項という中に食品の成分規格というのが決まっていますので、法律的に は今まで正規に決めた基準との差というのは余りないわけですが、一応表としては分かれて つくられています。  この暫定基準を決める際に、既に設定している基準の改正等は行わない。要するに基準が 決まっていないものについて暫定的なものをぽこぽこはめているだけで、今決まっている基 準を変えて何かしようということではないということでございます。  (スライド30)  結局なぜ暫定基準というような形で置いたかというと、後段、後ほどまた出てきますけど も、800近い農薬についての基準、さらに農作物まで含めると5万ぐらいの基準になるらし いんですけども、そういったものをきちんと科学的に1個1個ADIを評価して決めるとい うことはなかなか時間的にはできないということがありましたので、例えば国際基準とか、 それから科学的な根拠に基づいてきちんと基準を決めている国々などの基準を参考に暫定 的に今回置いたということで、最終的なそれぞれの農薬のリスク評価というのは、法律施行 後、食品安全委員会の方に順次諮問をしていくことになります。  一つは国際基準のコーデックス基準、それからもともと農薬取締法の中に農薬の登録保留 基準というものが決められていましたので、こういったもの、それから諸外国の中でもアメ リカとかカナダ、欧州連合、オーストラリア、ニュージーランド、こういう毒性の資料とか 残留性の資料を科学的に評価をして基準を決めている中で、5カ国に絞った理由としては、 最初に関係の諸外国に集まっていただいてというか、在京のフード・セーフティー・グルー プというのがあって、日本にある各国の大使館の方々、そういうところにアナウンスをして、 今度暫定基準みたいなものを決めるんだけども、データの提供をしていただけるかという申 し出を伺ったところ、こういったところから提供しますというような手が挙がったところと いうことでこの5カ国の基準を一応参考にするということになったようでございます。  (スライド31)  基準設定の流れ図、フローについてでございますけども、農薬とか動物用医薬品とか飼料 添加物について、まずコーデックスの基準があるかないかでまた対応が分かれるわけでござ います。コーデックスの基準がある場合には、ここの中で基本的にはコーデックスの基準を そのまま採用すればいいんですけれども、国内で実際農薬の使用のニーズというのがござい ますから、やっぱり国内登録のあるものについてはコーデックス基準の中でも国内における 農薬の登録使用実態というのを勘案して、登録保留基準なんかを採用している例があります。 国内に登録のないものは、コーデックスの基準をそのまま採用されていると。  また、コーデックスの基準がない場合、これは今度国内に登録があるかないかで対応が分 かれてきて、国内に登録がある場合については、ここでまた外国の基準がなければ基本的に 登録保留基準を採用しています。国内に登録がある場合でも、外国に基準があって、かつ輸 入食品の生産・流通とかの実態を勘案する必要がある場合、例えばほとんどのものが外国か ら輸入されているというようなものについては、外国の基準を考慮をしているということが ございます。  逆に今度国内登録がないものについては、外国の基準があれば外国の基準を考慮していま すし、国内登録がなくて外国にも基準がないもの、これには暫定基準は設定しないで、一律 基準が適用されるというような流れになっております。  (スライド32)  暫定基準のイメージなんですけれども、Aという農薬があったときに、それぞれ小麦につ いてはコーデックスで0.5ppmというのが決まっていますとか、みかんについては日本の国内 登録があって、登録保留基準が0.1ppmで決まっていますとか、あとコーデックスで、また牛 の肉について決まっていますとか、牛の乳について決まっていますということが海外で参照 国があればそこの基準を持ってきたりしていると。お茶にはどこにも基準がなかった場合に は、暫定基準としてはここは空欄になっているわけですけども、一律基準として0.01ppmが 適用されるというようなイメージでございます。  (スライド33)  次に、加工食品の取り扱いですが、結局基準というのは農作物だけに適用されるわけでは なくて、最終的に調理されたり加工されたりしたものも含めて全部かかるわけでございます ので。それで、加工食品に1個1個実は余り基準を決めていないという状況がございます。 というのは、例えばみそラーメンとか、しょうゆラーメンとか、1個1個基準を決めていく と大変なことになりますので、当然その原料で抑えるというのが基本になっているわけでご ざいます。ただ、コーデックスの中でその加工食品、一部の加工食品に基準が決まっている ものがありますので、それは暫定基準として設定をするというようなことがあります。  暫定基準が決まっていないものの加工食品については、要するに適合した原材料を用いて 製造または加工されたものは販売を可能というような考え方でございます。また、当然乾燥 したりとかいろいろ加工工程が入っていますので、乾燥してあれば重量当たりの農薬の濃度 というのは高くなるわけですけども、その乾燥したもので違反かどうかを判断するのではな くて、水分含量をもとに、そのもとになる原料の生の状態ではどうだったのかというような、 要するに原材料での違反の蓋然性を推定するなどの手法を用いるということにしておりま す。  (スライド34)  告示第370号というものの改正をしておりまして、すべての食品について不検出とするも の、これが15農薬ございます。それから「暫定基準」を設定したものが743農薬ありまして、 今回暫定基準という形でふえたものは758農薬になります。このほか、現在基準があって暫 定基準を設定しなかったものについては41農薬ありまして、合わせると全部で799農薬など がこの告示の中に含まれて、約800近い農薬が決まっているということでございます。  結局250現在基準があったわけですけども、そのうちの210品目ぐらいはもともと設定して いる基準は変えているわけではないんですけども、その農薬に対して追加で決まったものが 幾つもあって、こっちの中に入り込んでいるということになります。  (スライド35)  この暫定基準については一応見直しを予定しておりまして、5年ごとに見直すということ、 それからマーケットバスケット調査、国際機関の評価などで安全性についての問題から、例 えばADIを設定できないというようなものなどについては資料を収集して、優先的に食品 健康影響評価をお願いするというようなことにしております。  この5年ごとの見直しというのは、もともと外国の基準を参考に暫定的に導入しています ので、その参考にした国々の基準というのは当然変わる可能性があります。そういった参考 とした外国の基準の変更があった場合には、5年ごとにそれについての見直しをしようとい うものでございます。  こういった見直しとは別に、先ほど少しお話をさせていただきましたが、暫定的に基準を 設定したものについてはリスク評価をこれから食品安全委員会の方に順次お願いすること になりますので、そのリスク評価が終わったものについては、こういうスキームではなくて 順次暫定基準というものを正式な基準にするという手続をしていきます。  (スライド36)  あとこれだけいろんな農薬の基準ができたので、当然分析法というものも必要になってく るわけでございます。国立医薬品食品衛生研究所を中心に、例えば農林水産省の関係機関で すとか、それから地方自治体の衛生研究所とか、それから民間の登録検査機関などの協力を いただきまして、開発をしてきたということで、今回数が多いので、できるだけ一斉分析法 を採用するというようなことを前提にしていきました。かつ高感度で実用可能な方法という ものを採用してきたというようなことでございます。当然そういう分析法ができたとしても、 その標準品というのがないとそれぞれの機関で分析ができないので、標準品についても分析 法の開発とあわせて製造会社にお願いするなど、いろいろしてきて整備をしているというこ とでございます。  (スライド37)  ちょっとスライドの関係で絵がでかくなって、字にかぶってしまっているようですけども、 現行の分析法として幾つか……皆さんにお配りしているペーパーの方は大丈夫だと思いま す。283物質現在分析法がありまして、そのほかに新規開発の一斉分析というのが383物質、 合わせて現在529物質、これ重複を除いてですね、分析法ができているというようなことで ございます。  ただ、その一斉分析法についても1個の方法ではなくて、農薬とか動物用医薬品とかの別 とか、対象食品の別を考慮して6種類ぐらいの一斉分析法があります。この数見ていただい ておわかりになるように、まだ799との間にはちょっと差があるわけでございます。それで、 残りの物質についての分析法も、現在引き続き開発を進めておりまして、順次でき次第どん どん公表していくというような手続になっております。  以上です。どうもありがとうございました。 4.休  憩 〇司会  それでは、ここで10分程度休憩を設けさせていただきます。パネルディスカッション及び 意見交換会は2時半から開始しますので、お時間になりましたらお席の方にお戻りください。                休 憩 午後2時20分                再 開 午後2時30分 5.パネルディスカッション及び意見交換 〇司会  それでは、時間になりましたので、これからパネルディスカッション及び意見交換会を行 います。  パネルディスカッションの本日のパネラーにつきまして、まず御紹介をさせていただきま す。  まず皆様、壇上の真ん中になりますけれども、新潟県消費者協会新潟支部副支部長の白井 ノブ様でございます。 〇白井新潟県消費者協会新潟支部副支部長  よろしくお願いいたします。(拍手) 〇司会  その右側、全国農業協同組合連合会新潟県本部園芸部長、竹内秀明様です。 〇竹内全国農業協同組合連合会新潟県本部園芸部長  よろしくお願いいたします。(拍手) 〇司会  農林水産省消費・安全局、引地消費者情報官です。 〇引地農林水産省消費・安全局消費者情報官  よろしくお願いいたします。(拍手) 〇司会  内閣府食品安全委員会事務局、西郷リスクコミュニケーション官です。 〇西郷内閣府食品安全委員会事務局リスクコミュニケーション官  よろしくお願いします。(拍手) 〇司会  そして、皆様から向かって左から3人目の方でございますけれども、新潟市保健所食品衛 生課課長補佐、山田豊様でございます。 〇山田新潟市保健所食品衛生課課長補佐  よろしくお願いいたします。(拍手) 〇司会  その左側、厚生労働省大臣官房、藤井参事官。 〇藤井厚生労働省大臣官房参事官  よろしくお願いします。(拍手) 〇司会  最後になりましたけども、本日のコーディネーターといたしまして、厚生労働省食品安全 部企画情報課の広瀬課長補佐でございます。 〇コーディネーター(広瀬厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐)  よろしくお願いします。(拍手) 〇司会  以降の議事進行につきましては、コーディネーターにお願いいたします。 〇コーディネーター  ありがとうございました。それでは、コーディネーターとして進めさせていただきたいと 思います。  まず、本日のこのパネルディスカッションと意見交換の進め方についてでございますけれ ども、今回テーマが二つございます。一つは輸入食品の安全対策、それから二つ目が残留農 薬等のポジティブリスト制度でございますので、それぞれ一つずつテーマを区切って進めて いきたいというふうに思います。また、おしまいに時間が余れば、その他食品安全全般につ いての意見というのも伺っていきたいというふうに考えております。  それでは、輸入食品の安全対策の方から進めていきたいと思います。  輸入食品の安全対策について、前半のスライドの中で、これスライドをこういうふうな形 で説明させていただいたのは、国の取り組みの現状について、なかなか一般の新聞とかテレ ビで報道されるということは余りないかと思いますので、きょうはリスクコミュニケーショ ンの前段としてどんな取り組みがなされているのかというのをまずその共通の理解という ことで知っていただくために、前段でこのテーマについての説明というのが入っております。  このような安全対策について、取り組みというのをスライドで紹介させていただいたわけ ですが、説明聞いた中でも安全だと思えないとか、安心できないという方もいらっしゃるか と思います。そういう安心できないとかそういうことを解消するためには、どういう問題が あるのかとか、どうしていったらいいのかというようなことをこのパネルディスカッション、 意見交換の中でお話し合いできたらというふうに考えております。  ちなみに、少しお伺いしてみたいんですけども、きょう参加されている方で輸入食品とい うのはやっぱり危ないとか不安であるとかというふうに思われている方はどのくらいいら っしゃるか、ちょっと手を挙げていただいてもよろしいでしょうか。  ちょっと正確な数、経費の関係で数える人を配置できませんでしたので、正確には申し上 げられませんけれども、かなりの数がちょっといらっしゃるというようなことかと思います。  それでは、パネラーの方、輸入食品の問題について、どのようにしていったらいいのかと いうようなことなんですが、まず消費者のお立場からということで、白井さんの方から少し お伺いしてみたいと思います。 〇白井新潟県消費者協会新潟支部副支部長  御紹介いただきました白井でございます。過去にいろいろな消費活動というか、そういう 実績は何もない、本当に一般の主婦というか、そういう消費者という立場で、御説明いただ いたことについて正確に理解しているかどうかというのも危ういと、こういう状況でのお話 になるかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。  私が買い物に行きましても、本当に生鮮食品、特に生鮮食品を見るんですけれども、たく さん輸入食品があります。果物とかそういうものはもちろんのこと、日本でもたくさん生産 されているんじゃないかなと思うような、例えばタマネギとか、ニンジンとか、そういうも のまで最近は見るようになりました。そこで、そういう輸入品が多くなって検査とかそうい うのも大変になりましたと、しかしいろいろな輸出国、あるいは水際、あるいは国内に入っ てからというように細かに対策をしてくださっているので、国民に渡るときには安全なんだ というようなお話があったかと思うんですけれども、その辺は理解できました。本当にこう いうのをその始めから終わりまでといいますか、よく説明していただくのはめったにないこ とで、私も本当にどうなんだろうという気持ちで聞かせていただきました。  そこで、私は買い物に行ったときによくこういうのを見かけました。もちろん輸入品なん ですけれども、契約栽培をしているので、これは安心な農産物ですよというようなのが表示 されているのがありました。たまたまこのニンニクののがありましたので、そのホームペー ジで調べてみましたら、輸入される方がそちらに行っていろいろ指導されたりとか、責任を 持って栽培をしていらっしゃるというようなものが出てきましたので、こういうふうな接触 の仕方をされていれば輸入品も安心ということになるのかというふうに思ったわけですけ れども、必ずしもこういうものばかりではありませんので、というよりはむしろそういうの は少ない、こういうのは少ないのではないかというふうに思っております。  それで、輸入農産物といいますか、そういうものが安全であるためには、日本の方がどの くらい、どのように接触して生産してもらっている、もらうというのでしょうか、生産にか かわっていると安全性が保たれるのだろうかというようなことをちょっと思ったんですけ れども、現状というか、その辺はお聞きしたいところであります。  それから、もっと卑近な話なんですけれども、私が表示を見まして、大豆とかトウモロコ シというのは日本の生産はかなり少なくて、輸入が大半だというように思っているわけです けれども、特に遺伝子組換え食品についてなんです。大豆は遺伝子組換え食品がかなり、ア メリカとか外国では生産されているということも聞いておりますので、そうすると私たちが 消費する豆腐とか、あるいは納豆とか、そういうものには遺伝子組換え食品というか、原料 にする大豆はどのくらい輸入されているのかな、それが使われているのかいないのかという ことをよく疑問に思うんですが、その食品を見ると、もう使っていないという表示だけで、 使っているという表示は見たことはありません。それで、もちろん、じゃそれは信用すると すれば、もし遺伝子組換え食品というのはどれくらい輸入されていて、どういうのに使われ ているのかというか、そういうところをちょっと知りたいなと思っておりますし、表示の仕 方についても、使っているものは使っている、不分別のものは不分別というふうに義務で表 示するようになっていますが、使っていない場合には任意性だというふうになっております が、私たちもうそういうふうに使っていないというのを見なれているせいか、使っていると いうのもやっぱり全部書くようにしてもらう、表示するようにしてもらった方がいいんじゃ ないかなというふうに思っております。と申しますのは、たまたまこれは使っているかいな いかというのが書いていないのもあるんですよね。そうすると、本当にこれは、じゃ遺伝子 組換え食品を使っていないのかなというふうに逆に不安に思ったり、疑ったりするわけです。 そういうのは、大豆だけじゃなくてトウモロコシの場合にもあります。  私ちょっと子供、市内の小学校の方へ出前授業に行っている場合があるんですが、そのと きに使う材料として、ポテトチップスとか、あるいはコーンスナックというんですか、そう いうものを使っているものを扱うことがあります。それで、遺伝子組換え食品の研修会のと きに、コーンスナックには不分別のものがまじっている可能性があるというふうなことをお 聞きしました。それで、子供たちが一番食べるコーンスナックにそういうものがまじってい るというのは、もちろん遺伝子組換え食品は安全であるというふうに認められたものなんで すけれども、まだ出てきたばかりの食品ですし、子供たちが将来にわたってずっと食べ続け ていった場合とか、いろいろ考えますと不安がありますので、そこら辺はどうなっているの かなというふうに、また心配しております。  まずは以上でございます。 〇コーディネーター  ありがとうございました。  続きまして、生産者、生産団体ということでのお立場からということで、竹内さんからも お伺いしてみたいと思います。 〇竹内全国農業協同組合連合会新潟県本部園芸部長  今ほど御紹介いただきましたが、全農の竹内でございます。全農は、皆さん御存じのよう にJAグループということで、各地域にございますJAさんの取り扱っている事業の中で、 生産物の取り扱い、あるいはそれを生産するための生産資材や農家の生活に必要な生活資材 と、こういうもの扱っているわけでございます。  今ほど輸入食品ということになりますと、一つは私どもの立場からしますと、やはり国産 あるいは県内産の地元の農家の方々がつくったものを食べていただきたいというスタンス でありますから、ちょうど後段になってもお話があると思いますけれども、一つは国内では その安全性を担保するために、ここ数年大変な努力をしながらその仕組みづくりをしている わけでありますから、逆にこの輸入されてくるものに対してもそれだけのものがきちっと確 保できているのかどうか。同じ土俵の中でその食品のやりとりといいますか。これは、こう いう時代ですから、国産のものを食べていただきたいということがあったとしても、冬場物 がない時期に輸入品を扱う、あるいは加工原料として入ってくるということは否めないとし ても、例えば安全性の問題などについては、先ほど日本へ上がってくるところの管理監督の 部分は御紹介いただきましたが、まずそこのところが手抜きにならないのかなと、それから それ以前に生産される国々のところで日本と同じような管理のもとで栽培、生産されてきて いるのかなというところが一つこれから確認していかないといけないなというふうに思っ ています。  それから、逆に生活物資として供給する側の仕事もしておるわけでありますけれども、こ れはここ数年大変マスコミさんなんかにも全農の醜態が報道されまして、皆さんにも御心配、 御迷惑をおかけしたんですが、結論から申しますと国内農産物を広げる立場でありますから、 基本的には全農としては輸入農産物は国産のものがある時期、ある部分については極力輸入 品は使わないということを決めました。そして、輸入品を扱うガイドラインというものを設 けまして、素性がはっきりするもの、それから期間を限定して使うものと、それぞれそうい うガイドラインを設けまして、輸入食品を扱うということにしているところであります。  いずれにしましても、最終的に安全性を確保するというところで、国内、国外のものを区 別なく管理できる、そういう仕組みが必要かなと思っております。  以上です。 〇コーディネーター  ありがとうございました。  輸入食品については、結局日本の国内規制は日本の基準に合うように生産段階から全部ず っと指導をされてきていますので、あと要するに外国の法規制については、結局その国では 合法になっているわけですが、必ずしも日本の規制と一致しているわけではないということ から、先ほど白井さんの話からもありましたけれども、契約栽培、要するに日本の方が行っ て、そもそも日本の基準に合うようなつくり方をくださいというようなつくり方がされてい れば、恐らく栽培段階からそういう安全管理というのはなされているということで、安全性 が高まるというようなことにも結果的にはつながるのかもしれません。  遺伝子組換えのお話がちょっと幾つか出ていましたので、参事官の方から少し説明お願い します。 〇藤井参事官  きょうお見えをいただいている皆さん、事前に質問等をお寄せくださいというお願いをさ せていただいて、そのときにも遺伝子組換えについては幾つか御質問がございました。大変 恐縮ですが、お手元の資料4を出していただけますでしょうか。右肩に資料4、そして表題 が「食品に関するリスクコミュニケーションにおける事前意見・質問について」というもの であります。その質問の1、2、3番のところに遺伝子組換え関係の質問と回答をまとめて お示しをしております。  今白井さんの方から御質問があったのは、特にその中でも3番に関係をする部分だと思い ます。ここにその要点というのを書いておりますが、遺伝子組換えの食品等につきましては、 その3の項目の回答部分の4行目のところからありますように、表示についてはJAS法の 品質表示基準、食品衛生法に基づき、大豆、トウモロコシ、バレイショ、菜種、綿実、アル ファルファ、そして近々てん菜がこれに加わると思いますが、現時点では6作物とそれを原 料にした加工食品31食品群、それについては表示をしなければならないという形になってい ます。  その表示をどういう形でするかということについては、@の冒頭にありますように、分別 生産流通管理、この言葉が重要になります。この言葉を説明をしているのが3の回答の一番 最後の段落のところ、分別生産流通管理とは、原料農産物や加工品が原産地の農場等々から 生産・流通段階において可能な限り遺伝子組換え農産物がまざらないように管理し、その旨 を事業者が証明する書類により明確にすること、つまり生産現場でこれは遺伝子組換えであ るとかないとかということを書類で証明をし、それがいろいろと流通段階を経るごとにその 書類が継承されていくと、そして最後までその書類によって遺伝子組換えのものであるかな いかと、それを分別しているかどうかというのが書類上でわかるようにするという制度にな っております。  ただし、その後段のところにもありますように、「一定の範囲での意図せざる遺伝子組換 え作物又は非遺伝子組換え作物の混入はやむを得ないものとしています」とありますが、こ れは重量でいいますと5%まで、いろいろな生産管理をしても非意図的にまざってしまうお それがあるということで、5%についてはその混入というものが現実問題として認められて いるという形になっております。  そして、上の@のところをごらんいただきますと、そういうきちっとした管理が行われて、 遺伝子組換え農作物を原材料とする場合には「遺伝子組換え」と表示が義務づけられている ということであります。  そして、Aにありますように、遺伝子組換えと遺伝子組換えでないものがきちんと分けら れていないものについては「遺伝子組換え不分別」と表示をすることが義務づけられていま す。  表示をしなくてもいいというのは、そのBでありまして、遺伝子組換えでない農産物を原 材料とする場合で、きちんとした分別生産流通管理が行われているときには表示をする必要 はありません。ただし、その場合は任意で「遺伝子組換えでない」という表示をすることが できることになっております。  したがいまして、制度からいいますと、大豆とかトウモロコシで何も書いていないものと いうものは、基本的には遺伝子組換えでないということになります。それで、それが本当に そうなのかということについては、輸入食品については検疫所の段階、そして国内に流通を しているものについては各都道府県でありますとか保健所を設置している市の食品の収去 検査の一部としてチェックが実施をされているということでございます。 〇コーディネーター  ありがとうございました。多分お豆腐とか納豆とかで余り組換えというのを見たことがな いというお話ありましたけど、そういうものの原料には大抵組換えでないものが使われてい るらしくて、大量に輸入されているその大豆はどこにいっているのかというと、その遺伝子 組換えのものがどこにいっているかというと、油とか、遺伝子組換えの表示の義務のないも のが別途ありますので、要するに遺伝子とかたんぱくが残らないような、油だけを抽出して いるような食品の場合には表示の義務がないので、そういうものになっているケースが多い というようなお話を伺っております。  あと竹内さんからもいただいたお話の中で、日本できちんとされているような安全性の管 理というのが外国でもされているんだろうかと、輸入食品についてのお話がありましたけど も、これからポジティブリストとも若干絡んでくるのかとは思うんですが、やはり外国の法 規制の中で日本向けを全く考えずに普通につくられてしまったものだとすると、日本の規制 に合っているかどうかというのは必ずしも疑問な点というのはどうしても出てきてしまう のかなと思います。ですから、輸入してくる際には、日本の規制にきちんと合ったものであ るのかどうかというもの、確認がこれからなお一層ますます重要になってくるのかなという ような感じがしております。  あとパネラーの方から、ほかにその輸入食品の関係で何か御発言等ございますでしょうか。 いかがでしょう。  じゃ、白井さん、お願いします。 〇白井新潟県消費者協会新潟支部副支部長  また表示のことになりますけれども、輸入されたかんきつ類には防カビ剤というかがたく さん使われて、たくさんというのは種類がたくさん使われていると思いますけれども、それ はもちろん基準とかそういうのの範囲内だとは思います。  ただ、表示のことで私は疑問に思いましたので、農政事務所にお聞きしましたら、袋物は JAS法では表示義務があるけれども、ばら売りには表示の義務はないというか、そういう ふうにお答えいただきました。それで、同じ品物なのに、どうして袋物は表示が義務で、ば ら売りは義務じゃないんだろうかということなんです。それで、POP表示というか、そう いうのでもいいから、使っている場合には必ずそういう表示をしていただきたいなというふ うに思いました。と申しますのは、これもまた大変なんですけれども、買うために手にとっ てみますと、今は貼着剤というようなものがさらにその上に使われているというようなこと で、手とか手袋とかが、もし手袋が黒だったら、もう真っ白につくんですね。それは、もち ろん防カビ剤じゃなくて貼着剤が一番上にあるからだかもしれませんけれども、もうそんな ふうになって汚れたりとか……それは大した問題ではないんですけれども、もうそれを勘違 いをして、これが防カビ剤だというふうに思われたりすると、また悪いんじゃないかという ようなこともありますし、一番の根本は同じ防カビ剤を使っているならば表示はしていただ きたいということなんです。  以上です。 〇コーディネーター  わかりました。 〇山田新潟市保健所食品衛生課課長補佐  輸入食品の件につきまして、先ほどの防カビ剤の件もあったんでございますけども、新潟 市の対応ということも含めて御説明いたしますと、先ほど藤井参事官の方から御説明ありま したように、輸入食品につきましては各段階、今は3段階というお話で管理をしていますよ ということでございまして、輸出国、それから水際、それから国内に入った場合は各地方自 治体といいましょうか、都道府県、政令市、中核市、保健所が設置されている政令市の食品 衛生監視員によって管理をされておりますということでございます。  新潟市におきましてはどのくらいの検査をやっているかということなんでございますが、 平成16年で64検体、全部で2,398項目検査をしております。この検体数と項目数が多いか少 ないかということで非常に悩むわけでございますけれども、その件につきましてはうちの方 で生産者、消費者、事業者ないしは学識経験者等を含めた意見交換会において意見をいただ いておりますし、またそれに基づきましてパブリックコメントをとって、これでいきましょ うというようなことで毎年やっているわけでございます。  以上が新潟市の対応なんでございますが、先ほどのかんきつ類ないしはバナナ等もそうな んでございますけども、そのような防カビ剤等を使っている場合は、POP表示というふう に先ほど白井さん応対なされましたけれども、それはそういうものをわきに立てておかなけ ればならないというような法の規則になっております。  以上でございます。 〇コーディネーター  要するに陳列棚のどこかのところに、かんきつのコーナーの横のあたりに、防カビ剤使用 であればその使用した防カビ剤を書かなきゃいけないという仕組みになっているようでご ざいます…… 〇白井新潟県消費者協会新潟支部副支部長  POP表示はしなければいけない、していないのはちょっと怠けているというか…… 〇コーディネーター  まあ、ない…… 〇山田新潟市保健所食品衛生課課長補佐  それできないんじゃなかったでしょうか。 〇白井新潟県消費者協会新潟支部副支部長  そんなことないです。だって、輸入物で同じグレープフルーツなのにしていなかったんで すよ。 〇コーディネーター  それは二つケースがあって、一つは表示しなきゃいけないんだけど、お店がやっていなか ったというケースと、もう一つは本当に使っていないケースがあるんじゃないかなと思いま す。 〇白井新潟県消費者協会新潟支部副支部長  私が販売の方にお聞きしました。そしたら、あっ、つけてありませんねって、向こうは認 められましたけれども。 〇コーディネーター  あと、先ほどの手につくというやつは、多分ワックスだと思いますので、ワックス。 〇白井新潟県消費者協会新潟支部副支部長  ワックスですか。あら、何かきらきら光るんです。 〇コーディネーター  これは、かんきつ類は、場合によっては国産でもノーワックスと書いていないものについ てはワックス使っているんですけども、保存性を高めるということとか、ちょっといろんな 目的があってワックスというのを使うんです。これも食品として危ないというものではなく て、一応安全性が確認されたものを使うようになっているんですが、要するに表面をコーテ ィングするような感じになっていて、それを多分さわってこうやると、白い粉みたいになっ て手につくと思います。 〇白井新潟県消費者協会新潟支部副支部長  そうですか。貼着剤だというふうに聞いたんですけど…… 〇コーディネーター  多分ワックスだと思います…… 〇白井新潟県消費者協会新潟支部副支部長  何か防カビ剤が落ちない、落ちにくいようにというか、とれにくいようにやっていらっし ゃると言われた。まあそれもワックスと言われた…… 〇コーディネーター  多分ワックスとかを使っているんだと。  それではほかに。竹内さんとか、もうよろしいでしょうか。何か輸入食品の関係では。  それでは、会場の方からも意見をいただいてみたいと思います。  先ほどちょっと藤井参事官の方からもお話が出ましたけれども、資料4というものが、事 前にきょうの会場に参加を申し込むに当たっていただいた意見と、それに対する回答がつけ てございます。一通りこれについては1個1個この場で取り上げることはしませんが、何か 自分が出した質問に対しての回答をお読みいただいて、もう少し深くお聞きしたいとか、そ れどこまで答えられるかというのはちょっとあるんですけども、ちょっと意図が違うとかと いうことがあれば、この意見交換のときにでも聞いていただければと思います。  会場の方にちょっとお願いがございまして、意見交換いただく際には、たくさんの方から の意見をいただきたいというようなこともございまして、お一人当たり2分で、1回当たり 2分でお願いしております。もし聞きたいことがいっぱいある場合には、二、三回に分けて いただきたいということと、ただその場合でもほかにいっぱい手を挙げておられる方がいら っしゃった場合には、初めての方を優先させていただきたいということがございます。  発言時間の2分なんですが、1分30秒たちますとベルを1回鳴らせていただきます。2分 たちますと2回というふうに鳴りますので、申しわけありませんが、ちょっとそれでまとめ ていただいて、次の方の質問に移らせていただければと思います。  いろいろな方がいろいろな立場からお考えを述べていただくことで、より理解が深まると いうようなことがこの意見交換会の目的でもありますので、ぜひ積極的な御発言をお願いで きればと思います。 それでは、意見のある方、いかがでしょうか。  ちょっと真ん中のあの方、早かったので、あちらの方。差し支えなければ、始めにお名前 と御所属をいただければと思います。 〇参加者1  この質問を出させていただいた3番の消費者です。島本と申しますが、先ほどの御説明の 中で混入が5%まで認められているということについて御質問したいんですが、先ほど残留 農薬のポジティブリストをつくる際には諸外国を参考にということでおっしゃっていたと 思うんですけれども、この5%というのはどこを参考に5%とされているのか、教えていた だきたいと思います。 〇コーディネーター  それでは、こちらの方で回答は準備させていただきますけども、遺伝子組換え食品でほか にも何か聞きたいという方、もしいらっしゃれば、ちょっとこの際にまとめて少しお伺いし たいと思いますけど、いらっしゃいますでしょうか。特にはいらっしゃらないようですか。  じゃ、参事官の方からお願いします。 〇藤井参事官  3番の回答のところに、この遺伝子組換え食品の表示については、平成13年4月の法律改 正に基づいて義務づけられたということが書かれております。そのときに、我が国、非常に 輸入食品が多いもんですから、先ほど御説明をしましたように、エネルギーベースでいうと 6割も輸入に頼っているということがあったもんですから、その現実問題としてきちんとし た管理ができるかどうかというのをその当時調査をされたようであります。具体的にどうい う調査をしたかというのは私自身も詳しくは知らないんですが、実際に遺伝子組換え、そし て遺伝子組換えでないもの、遺伝子組換えでないものを輸入をするということを仮定をして、 それに本当に遺伝子組換えのものがまじるのかまじらないのかという調査をした結果、いろ いろとデータはあったようですが、5%程度どうしても非意図的に、意図をしないのにまじ ってしまったというのが現実問題としてあったということから、そういう実態を踏まえて 5%ということを当時決めたということを聞いております。 〇コーディネーター  要するにもともとどこかの国に5%というのがあったわけではなくて、こういうものを実 態ベースで調査をしたときに5%程度の混入があったということから、5%になっているこ とのようです。  もしもうちょっとお伺いしたいということであれば。 〇参加者1  調べて5%だったから決めたというのは、それは決めたというリスクコミュニケーション の範疇なんでしょうか。ちょっとそれがわからないんですけれども、例えば5%まで混入さ れていても遺伝子組換えでないという表示ができるという意味ですよね。そうであれば、私 どもは遺伝子組換えでないというものを食べていることになると思うんですけれども、その 点については本当にリスクがないんでしょうか。 〇コーディネーター  現実的には組換え体自体もその安全性評価、これは今は食品安全委員会が安全性の評価を しているわけですが、安全が確認されたものが初めてその輸入が認められますので、非意図 的に混入する5%というものについても、安全性の審査が終わっていないものが入っていた 場合には、これは5%どころか、それは取り締まりの対象になってくるわけです。ですから、 リスクとしては多分なくて、あとその上で私は組換えじゃないものを食べたいということに 対して、それが選べるようにということで、組換えているものについては組換えの表示をし なきゃいけないということと、分別流通管理というものはきちんと組換えでないものだけを つくって、それを運んで、サイロにためて、船に積んで持ってきて、すべて分別して管理し て初めて成り立つんですが、どうも集めている過程とか船に積む過程の中で、きれいにはし ているんだけども、若干その遺伝子組換えのもの、要するに専用の船をずっと使っているわ けではないので、まじるというケースがどうもあるらしくて、それで5%程度はどうもまじ るということのようです。それは、当時5%というのはそういう形で決まっていますので、 その当時にどういうコミュニケーションがあったかというのはちょっと私も承知していな いんですけども、実態として5%があるということで5%でどうも切ったというのが現状の ようでございます。  それでは、次の方、輸入食品の関係であればちょっとお伺いしてみたいと思いますが。  それでは、ちょっと前の列の方。 〇参加者2  SGSの石井と申します。厚労省の意図していることは、海外の畑等の管理を輸出業者が しっかりやって、農薬もどういうのを使われているかしっかりして、それでそれによってで きた農作物が規準値を超えていないように事前に調査して日本に輸出してくださいという ことだと思うんですね。それで、日本人の健康を損なうおそれがないようにしたいと、それ すごくいいことだと思うんです。  それで、我々としては海外でそういう分析を事前にしたいというときに、その試験法もさ ることながら、英訳してくださいって頼んだんですけども、標準品がなかなか手に入らない んですよね。それで、問い合わせたら、日本からそういう国に送るときにやっぱり1カ月ぐ らいかかる、劇毒物の指定等があって。そういうこともあるので、意見なんですけども、ぜ ひともそういう各国に簡単にそういう標準品が送れるような形、それからそういうカラムと か、GC―MSとか、LC―MSとか、そういうものもあるでしょうけど、世界のほかの国 の機器もあるでしょうけれども、そういうような島のところなんか、国内のものでも、特に 標準品ですね。標準品が一遍に200をはかれるものができない、相互作用等がありまして。3 0品目とか80品目、そういうものが容易に手に入るような仕組みというか、配慮していただ きたいと思います。  これ意見なんですけども、よろしくお願いします。 〇コーディネーター  わかりました。御要望ということでお伺いしたいと思います。  ほかに輸入食品の関係でいかがでしょうか。  特によろしければ、次のテーマのポジティブリスト制度の方に入っていきたいと思います。  こちらも農薬等のポジティブリスト制度、制度の中身とかは説明の中でいろいろお話しさ せていただいたわけですが、これを具体的に施行していく上では、多分いろいろなことがあ ると思います。いろんな立場の方がきちんと正しく理解をし、かつ無用に余り心配をされて もいけないというようなこともございますし、ポジティブリスト制度について円滑に施行し ていく上で、皆さんどういう取り組みをしていったらいいのかみたいなことを少しパネラー の方から思いのたけをお話しいただければと思いますが、まず消費者の代表ということで、 白井さんの方からいかがでしょうか。 〇白井新潟県消費者協会新潟支部副支部長  よく御説明をしていただいたので、結果的に生産者の方が農薬使用基準を守ってつくって くだされば安心なものができるというふうに理解いたしました。ですので、私たちの立場と いたしましては、最低限はというか、そういう線を遵守していただくと、もうこれしかない んじゃないかなと思いますが、ただそういうふうにつくられたものであるかどうかというの の判断というか、それはどうすればいいのかなというふうに今思っているんですけれども、 市場に出ているものはそういうふうにできたものであるというふうに信じて買うというか、 使うというか、そういうことになるのかなと思います。つまりその品物が基準以上であるか どうかの検査を要求しているのではなくて、そういう生産の過程でそういう基準を守ってい ってほしいという制度なので、その守っているかどうかのチェックが、私はきょうは初めて そのポジティブ制度というのを聞きましたので、そのチェックをどうするのかというところ まではちょっとわからなかったんですけれども、その辺をまた教えていただいたり、研究し たりしてわかるようになっていきたいなと思っております。 〇コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、生産団体の代表ということで、竹内さんからもお願いいたします。 〇竹内全国農業協同組合連合会新潟県本部園芸部長  ポジティブリスト制に入る前に、皆さんも御承知と思いますけれど、今安全性をめぐって 生産の現場のところではトレーサビリティーシステムというものをつくろうという努力を しています。かつて登録のない農薬を使ったことによって、それをちょうど、当時ナシであ りましたけれども、たまたまどういうふうにつくられたのか、どの範囲で使われたのかとい うことが特定できなかった、したがって出荷中のものは全部引き揚げて焼却処分にしました し、全部検査をしなければ安全が確認できないということで、膨大な費用を使って検査をし て安全なものを出荷したという苦い経験があります。三、四年前から、したがってそういう ことがないようにということで、消費者に安全なものを届けるということは生産者もそうい う意味での被害者にならないということの考え方から、そういう取り組みを進めております。  中身というのは、ちょうどお手元の資料の中に、今JAグループが進めておりますこうい う二つ折りになった表がございまして、「トレーサビリティシステム構築に向けた取組」と いう表がございますから、これごらんいただきたいと思います。  米にしても、青果物にしても、畜産物にしても、まずつくり方、生産の仕方をきちっとみ んなで決めようと、それで安全なつくり方というものを確認し合おうということ、これは栽 培指針とか、栽培ごよみとかというようなみんなで確認し合えるマニュアルをつくりまして、 それを守るようにしました。それから、いわゆる農薬取締法等法律に準拠した形で農薬を使 っていこう、安全に使っていこうと。それは、使用時期、量、それから濃度、こういったも のをきちっと守っていこう。使える作物、使えない作物もありますから、守っていこう。そ れから、これを自分できちっと管理して、記帳して残しておこう。これを出荷の前に全部J Aがチェックをして、お互いにチェックをして確認して、安全だと、このとおり栽培された ということを確認して出荷をしていこうと、こんな仕組みをつくろうとしているわけであり ます。  ここの表にありますように、米、それから大豆等、青果物も含めまして、県内の農協すべ ての農協でこの取り組みに着手がされて、そして聞かれたときにはそのデータも開示できる という仕組み、これは今ホームページで開示したり、書面で開示するというような手だてを とっておりますが、これもっとたくさんの品目なりに広げていこうということで今努力をし ているところであります。  これの体制をつくってきているところに、きょうお話のありましたポジティブ制への移行 ということになったわけであります。  ちょうどその裏をごらんいただきたいんですが、この1、2月から、ポジティブリスト制 に移行するということになったこともあって、何がどう変わるのだということをわかりやす く書いたチラシ等を全農家にお届けするように、JAさんを通じまして、まず認識をいただ くという取り組みをしてきております。  ちょうど2番目にありますように、これは農家のところで御理解いただかなければ、実際 にそこで作業することになりますし、またそれに対しては関係のJA、それから普及指導セ ンター、そういうところが一緒になって取り組んでいかなければならない課題だというふう に認識をしております。  専らその2番目、2の(2)以降に書いてあるんですけれど、今まではこの作物にはこの 農薬しか使ったらだめですよ、しかも量はこうですよと定められていたものが、今度逆にな るわけですよね。この作物にかかっている有害物質は、登録があろうがなかろうが、あるも のは登録の基準内、ないものについても0.01ppmのものがあってはいけませんよと、こうい うことになりますから、一番関心事は隣同士で栽培されているものの農薬の飛散、ドリフト と、こう言っているんですけど、そうやって予想外のものがかかってしまったりというよう なもの、こういう場面が一番大変なわけで、それに対する対策というようなものが中心にな ってきますけれども、農薬の適正な使用、それからドリフト、飛散を防止する手だてをきち っととりましょうと、それから先ほどトレーサビリティー等のところでもお話ししましたよ うに、作業した管理をそのまま記帳しておいて、後で振り返って確認ができるような状態に しておきましょう、そういうことを大粗で決めなくちゃならない、守らなくちゃならないこ とを差し当たりこの対応指針ということでつくらせてもらいまして、これも普及資料と一緒 に各JAにお届けしてあります。  いよいよこれから作業が始まってきますし、これもさらに今度現場ではいろんな問題が出 てくると思いますので、ちょっと前段前置き長くなりましたけれど、私どもとして認識して おりますリスク、皆さんから御理解いただきたい部分もありますし、今後私どもとしても努 力していかなくちゃならないという部分で幾つか挙げさせていただきたいと思っています。  一つは、この取り組みは、農家個々で自分さえ守ればいいという範疇はやっぱり超えてい るわけです。つまり隣の人が防除するのがいつで自分の畑にあるものがいつ出荷されるのか、 また逆の立場もありますし、お互いそのことを知り合わないと、隣にかかってしまったとい うような事件が発生しますので、どうしても地域ぐるみの取り組みが必要になる。机の上で は、畑は畑でまとめましょう、田んぼは田んぼでまとめましょうなんていうことを言います けれども、そう簡単ではないわけであります。これやっぱり関係機関の御協力も必要でしょ うし、農家の皆さんの御理解も必要になってこようかと思いますが、そういう意味では地域 ぐるみの取り組みであろうと思います。  それから、もう一つは生産側だけの問題ではないということ、あるいは食べ物だけの問題 ということでは解決しない部分があるんだろうと思っています。これちょっと後で述べたい と思います。  最初に、第1番目には、先ほど言いましたように個人的な問題でないということでありま すが、集団的な作物の作付計画、それから圃場の集団化、それから隣接の作物の生育状況等 の情報伝達がどうその地域の中で回していけるかと、こういう問題、これが1点。これ専ら 私ども農業団体なり農家自体が取り組む課題であります。  それから、二つ目ですけども、安全を証明するための、あるいは安全が確保されたという、 このことを明らかにする科学的な対応、迅速なあるいは簡便な具体策の必要というものが出 てこようかと思うんです。これ冒頭申し上げましたように、一たんそういう事態が起こりま すと、すべて残留検査というものをやりますが、大体1回やりますと3万円から5万円ぐら いかかるわけです。そして、今度指定された農薬だけでなくて、ほかのものもということに なりますと、複数の多数の農薬についての検査を例えばナシを出荷するに当たってそれをや らなくちゃならない。そうなりますと、何十万単位のものがかかってしまうということです から、全部検査してやるというようなことにはなかなかならないわけです。それのためにき ちんと栽培方法を守りましょうということになっているわけですが、これを先ほど会場から も御質問がありましたけれども、簡便にやっていく方法、あるいは何らかの形でこれが安全 ラインを下回っていますよ、それから超えていますよというような部分、それから農薬なり、 その対象の物質が多くなってきたわけですから、それらに対してやはり判断、最終的な判断 いただくのは公的な研究機関なり公的な立場の方が、いや、これは安全だとか、安全でない とかということの判断が迅速に行われないと、かかっているのかかかっていないのかと言わ れればかかっているわけですし、安全なのか安全でないのかと言われたときの判断が、非常 に風評被害になったり、消費者の立場からすればむやみな不安をかき立てることにもなりま すので、そこら辺の基準といいますか、必要だろうと思っています。分析が難しいものであ れば、県、国の機関を通じて迅速にそれを行っていただく、あるいはその安全度合いについ ての物質の性質、農産物への影響、それから食べたときの影響というようなものがわかりや すくその知見が発表されるというようなことが必要かなと思うんです。  それから、3番目ですけれど、これ先ほども地域の問題ということでありましたが、今中 山間地もそうですが、畑、田んぼの置かれているところが住居の部分と混在する地域が広が っております。農作物を栽培するには水、それから太陽、それから空気ということで環境が 大事なわけで、特に用排水の問題、こういったところでせっかくの水が汚れていれば病気に なりやすい、病気になりやすいと農薬をたくさん使ってしまうと、こういうことになります から、やはり環境についての健全性といいますか、今用水の整備については生産者が行うと いうようなことになっていますけれども、これは県の方でもそういう生産環境を整備する事 業というものがあるわけですが、これもっと広げて、生産環境を整えていくというふうなこ とが必要なのかなと、その点でも消費者や関係団体の皆さんにも御理解を賜りたいなという ふうに思っています。  あと4番目ですけど、国内外での管理という部分で、ポジティブリストとは少し離れたよ うに感じますけれど、国内のものについてそれぞれの検査なり安全性の確認というようなも のは、やはり公的機関が一歩リードして、その調査分析等を行っていただきたいというふう に思うわけであります。民間の場合ですと、どうしても客観性に欠けたり、継続性が持てな かったり、それから全国や県全体と比較するというようなこと、それから経験交流というよ うなところでの不十分さが残ります。県内にも民間の検査機関がありますが、そこにお願い することになるんですけれども、それらの取りまとめ役としての公的な機関からの御支援、 御指導をお願いしたいと思っております。  外国についていいますと、先ほど言いましたように、果たしてこのポジティブの問題、外 国のところではどう管理されているのかということを、やはり聞けば答えられるという条件 は最低でもつくってもらいたいなと、こういうふうに思っているわけであります。  ちょっと長くなりましたけれど、問題意識としてそういう。 〇コーディネーター  ありがとうございました。  実際に制度施行されると、その制度の監視については輸入食品であれば検疫所のところで 当然監視をしていくことになりますし、国内流通品であれば都道府県、自治体の方での検査 なり監視ということになっていくのかなというふうに思います。  ちょっとその実際の今後の。 〇山田新潟市保健所食品衛生課課長補佐  ポジティブ制度がされた場合の運営の仕方、国内製品について安全性はというような御質 問なんですが、解答集のナンバー34、35、36、37に一括してまとめてありますけれども、新 潟県の場合と新潟市の場合とということで分けて書いてありますので、それをお読みになれ ばわかると思うんですが、我々としてはいかにしてこの検査、今まで283ぐらいありました 農薬が800以上にふえるわけですから、今度残留基準が増大するわけですが、それに対して 対応できるかどうかということでございます。今いろいろ我々も検討いたしました結果、基 準が定められているもの全部を行うことは無理ですということでございます。それはどうい う理由かといいますと、まず検査機器、高度な検査機器の導入がまだ十分でないということ です。昨年ポジティブリスト制をはかるに当たりまして、GC/MSという機械を入れさせ ていただきましたけども、今後新たに来年度からはLC/MS/MSという液体クロマトグ ラフィーの試料分析計を入れさせていただくことになります。これがレンタル料で大体700 万ぐらいかかるわけで、そのほかにもかかるわけですけども、そのような検査機器がすぐに は導入できないということです。それから、限られた検査員がありまして、検査技術的なこ ともあり、予算的にもありということでございまして、全部行うことは無理であるというふ うにしております。  しかしながら、我々もやみくもにすべての全部の項目を本当にやる必要があるかというこ となんですが、そうではないというふうに思っていまして、限られた状況の中、いかに効率 的、効果的に検査を行っていくかが我々の宿命だというふうに思っています。  そこで、新潟市ではどのようにしてその項目を絞っていくかということなんですが、1番 目には農作物については農協と連携してどういうような農薬が使われているか、どのような 時期に使われておるかということです。収穫期に合わせてそれを調査して合わせていくとい うことです。農薬の使用実態に合わせてということでございます。それから、国、県等の違 反状況を参考にさせていただきまして、絞っていかさせていただきます。それから、輸入農 作物につきましては検疫所等の違反状況を参考にさせていただきますということです。最後 に、先ほど言いましたように、食の安全意見交換会ですとか、パブリックコメントですとか、 市民ですとか、学者さんですとか、そういうような意見を取り入れながら絞っていきたいと いうふうに思っております。  以上でございます。 〇コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、検疫所の方の今後の検査項目とかの対応について、少し輸入食品安全対策室の 担当の方からもお話をいただきたいと思います。関係者席の方に来ておりますので、マイク をちょっとお願いします。 〇田中厚生労働省食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室衛生専門官  厚生労働省輸入食品安全対策室の田中と申します。今都道府県での取り組みということで 御紹介いただきましたけれども、国の方での取り組みも少し御紹介をさせていただきたいと 思います。  今厚生労働省の検疫所では、輸入農産物につきまして、輸入時に残留農薬等の検査を中心 に行っているわけですが、今現在は基準が策定されている農薬ですとか、今後のポジティブ リストの農作物に対しての基準の設定状況を踏まえて、大体200項目ぐらい農薬を選定して、 年間2万件を超える農作物について残留農薬の検査を実施しています。ただ、5月29日にま た新たに基準が施行されるということで、今現在平成18年度の輸入食品監視指導計画の計画 案を出させていただきましたけれども、もう「計画案」ではなくて、24日に官報に掲載をさ れて、私たちの実施する計画について、もう公表させていただいたところですが、5月29日 の実施を踏まえて、今農薬ですと大体200項目行っているものをさらに拡大をして、大体今 計画をしていると400を超える農薬については輸入時に確認をできるような体制をとりたい と思っています。  ただ、これにつきましては、国が行う検査というのは、あくまでも輸出国での衛生状態を 把握するという目的で、いわゆる汎用性の高い農薬でありますとか、基準が多く設定されて いるもの、あとはADIの低いものですね。先ほどADIのお話ありましたけれども、そう いう毒性の高いものとか、そういう効率性とか効果のある農薬を検査することを目的にやっ ています。ですので、国がやる400項目をカバーすればいいというような考え方であくまで もポジティブリストの検査が供用されるというようなお話ではありません。あくまでもそう いう世界的に使う農薬の実態を把握するために検疫所が行ってまいりますので、いろいろと 検疫所が行う検査をいわゆる輸入時にすることが必ず求められるんじゃないかというよう なお話も一部伺うんですが、それぞれ事業者の方々が行うべきものと、あと国が行うべきも のというのはやはり違うと考えておりますが、あくまでもその基準ができるということを踏 まえて、国も当然体制を強化していくというのが今の流れになっています。 〇コーディネーター  ありがとうございました。  それから、先ほど実際に生産現場できちんと使用基準が守られてつくられているのかとい うようなお話もございましたけども、使用基準の遵守については農水省さんの方からもかな りそういった指導とか、場合によっては合っていない場合には何か措置があったかと思うん ですが、その辺ちょっと引地さんの方から御紹介いただいてもよろしいでしょうか。 〇引地消費者情報官  私ども農水省は、農薬取締法という法律のもとで、その使うべき登録された農薬しか使っ てはいけませんということ、さらに使用基準ということで、どういった作物に何回、どんな 濃度だと、先ほど竹内さんからお話がありましたが、ああいうふうに厳しく管理をしている わけでございます。  それで、問題はやはりドリフトの問題でございまして、まさに今竹内さんがお示しになっ たこの紙に書いてある中身のとおりでございます。これにすべて網羅されておるわけでござ いますが、私どもとしては生産者の方にこのドリフト問題についてさらに今後周知徹底をし ていくということで、国レベル、県レベル、それから地域レベルでいろんなそういった研修 なり、勉強会的なものを行っていくと同時に、ドリフトを防ぐためのいろいろな技術、それ についての開発等をさらに引き続き行っていきたいということと、最後に業者の方、特に小 売業者の方、食品関係の方にお願いしたいのは、国内においては農薬取締法でしっかり守っ ていて、ドリフトをきちっと管理すれば、当然のことながら基準値以下という考え方になっ ています。過度にあれも調べろ、これも調べろというのは、お互い今後この制度をうまく運 用する上でいいことではないんじゃないかなというふうに思っておりますので、またそうい ったことの御理解をよろしくお願いする次第でございます。  以上でございます。 〇コーディネーター  ありがとうございました。  ポジティブリスト制度自体は、これまで原則今までは流通自由だった部分にまで網が包括 的にかかるような仕組みでございますので、そういう意味ではこれまで実は安全に食べてい たものの中でも、場合によっては基準を超えると違反ということが出てくるのかもしれませ ん。そういう意味では、そんなに何か突然に危険になったということではないんですけれど も、これまで安全に食べていたものでも、制度上は0.01ppmを超えて違反になるものという ものも出てくることもちょっと想定される部分はありますので、そういう意味ではポジティ ブリスト制度の仕組みの切りかえという部分では、ちょっと正しい理解をお願いしたいとい うことも一部、先ほど不安という話もございましたけれども、恐らく0.01ppmを超えるもの が幾つか出てくると、何か今までに比べて危険になったんじゃないかというような印象を持 たれるかもしれませんが、そうじゃなくて今まで普通に食べられていたものが、制度上そう いうものが取り締まりの対象になったということですので、その辺の理解というのは正確に していただければと思います。  弁護するような形になるのかもしれないんですが、例えば登録農薬で基準が決まっている もの、例えば大根に5ppmというのが決まっていましたと、それが登録農薬でその唯一の作 物だった場合に、ほかの作物に登録がなければ、当然登録のない作物というのも一律基準の 対象になるわけですが、その場合に大根であれば5ppmまでオーケーなわけですから、ほか の作物でも恐らく0.01をちょっと超えたぐらいで健康上何か問題があるかというと、科学的 には多分そうじゃないんだと思うんですね。ただ、制度上はそういう場合は違反になるケー スも出てくるということですので、そういう値を超えることの意味といいますか、そういう ところまで深く考えていただければいいかなというようなこともございます。  それからあと、何か西郷さん、どうぞ。 〇西郷内閣府食品安全委員会事務局リスクコミュニケーション官  食品安全委員会でございます。先ほど、広瀬さんのプレゼンテーションにもございました けれども、なるべく国内できちんとした評価が必要だということで、私どもも一生懸命やっ ていきたいと思っております。ただ、食品安全委員会ができて2年半経っているのですけれ ども、1年間で農薬の評価ができたのは20件ぐらいしか実はできていないんです。それは、 別に先生方がサボっているとかじゃなくて、一生懸命やってもそのぐらいしかできていない ということでございます。今後七百幾つを評価するということでございますんで、今までの とおりやっていると何十年もかかってしまうんじゃないかという御批判があろうかと思い ます。なので、全部きちんとした基準が必要かということは議論があるわけでございますけ ども、厚生労働省と御相談申し上げまして、早く評価しなくてはいけないものをピックアッ プして一生懸命やっていきたいと思います。  また、農薬の評価を行う専門家、それから事務局につきましては、4月以降強化をすると いうことで、ピッチを上げて評価をしていきたいというふうに考えているところでございま す。  以上です。 〇コーディネーター  ありがとうございました。  結局最初に国際的な動向としてフード・チェーンアプローチという話もさせていただきま したけれども、やはり生産段階からきちんと管理をしてつくっていくというのが重要で、最 後に適当につくったものを検査してはねていくというのを全部の食品についてやるという のは、やっぱり現実的に無理なところがございますので、きちんと管理してつくるというの がいかに重要かということなんだと思います。  皆さん、検査、検査というところで、あまり印象ないのかもしれないんですけども、もし 仮に皆さん毎日食事されてきている農作物を一たん検査をしてから食べるとなるとどうい うことになるのかということなんですが、日々の食材2,000円ぐらいから1万円ぐらいなの かもしれない、どのくらい購入されているのかよくわかりませんが、それを全部分析してか ら安全性確かめてから食べるとすると、多分二、三十万はかかってしまうんじゃないかと思 うんです、1農作物で確か3万から5万というふうにおっしゃっていましたので。まさか1 万円のものを食べるために20万もかけて毎日検査をしていたら、もう本当に多分生活自体が 成り立たないと思うので、それを例えば2日に1遍とか3日に1遍にした場合に、残りの2 日分は未検査のまま食べることになるわけですから、それでももう現実に全数検査というの はやっぱりあり得ないんですね。そういう中で、やはりきちんと安全性を確保していくため には、やっぱり生産段階からきちんと確保していくいろんな仕組みといいますか、工夫とい うか、そういったことが必要ですし、恐らくそれがきちんと担保されているかというのを検 証する上で、国とか都道府県とかの検査というものが生きてくるんじゃないかなというふう に思います。  それでは、パネラーの方、どなたかほかにございますでしょうか。なければ会場の方から 意見をいただきたいと思いますが。  それでは、会場の方から意見いただきたいと思います。  残留農薬等のポジティブリスト制度、結構農薬がクローズアップされていますけど、飼料 添加物とか動物用医薬品も含めて、全部この制度の対象でございますので、御意見等あれば いただきたいと思います。いかがでしょうか。  それでは、早かったので、前の方。 〇参加者3  丸果石川中央青果の岡島と申します。ちょっと石川県の方でそういう説明会、リスクコミ ュニケーションがなかったもんですから、ちょっとはるばるやってまいりましたが、先ほど 農林水産省の方から、これに関しては小売業者等も含めて、あれもこれも調べてくれという ようなことは言わないでほしいとおっしゃいましたが、私もそのとおりだと思いますが、現 実問題として、もう既にかなり多くの声が出ています。これについての残留農薬検査結果を 出してくれ、そうでないと扱いませんよ、これからはというような声が出ていますんで、こ れに対してこの法律はそういうことを規定するものではないでしょうが、全くそれについて フォローなしではちょっとかなり混乱が今後心配されますので、その点についてどうお考え かということが1点。  それから、もう一つ、大きな農協ではロットの大きいものに対しては自主検査はやむを得 ないなという意見が多いと思います。それについては二、三十万とか、あるいはそれ以上か けても検査をしなければいけないだろうという声をよく聞きますが、逆に小さな部会とか、 あるいは農協に属していない零細農家さんに関しては、そんなことは実際問題やっぱりでき ない。できないけれども、冒頭に申し上げましたように、検査結果を出してくれという声が ある以上、じゃもう我々にはそれをつくるなということですかという声も現実やっぱり出て きてしまっておりますので、その点に対して農林水産省さんの方がそういう零細農家に対し てどういう御指導をされていくのか。  私なんか、本当に中川農林大臣なんかがテレビに出て、みんなそんな落ちついてとかとい うようなことをアピールするようなことぐらいやってくれないと、ちょっと混乱が心配だな とちょっと思っておるんですが、いかがでしょうか。 〇コーディネーター  お願いします。 〇引地消費者情報官  今業界の方に、それは流通の方も含めて、またちょっと近々会議をやるんですけれども、 集まっていただいて、やはりそういったことに対する御理解を求めていこうというふうに思 っています。今回ともそういった機会を設けて、関係者の方に、これはもう理解していただ くしかないですよね。丁寧に御説明しながら、粘り強くそういうことに対して理解求めてい くということと、やはり生産段階でも、今竹内さんがおっしゃったようにいろんな取り組み をされていて、それをまず示していくということが流通業界に対する理解をしていただく上 での一助になるんじゃないか。例えば生産者をきちっとこれから記帳をし、それから管理、 施肥、農薬の管理もこれから今まで以上にきちっとしていきますよということを強く自分た ちも実践しながら、それを見せていくということが、地道なようでございますけども、まず 遠回りのようですが、それが一番やっていく手法じゃないかなというふうに私は思います。 なかなか私どもの大臣が出て、そうですかといって理解していただけるとは思うんですけれ ども、やっぱり地道な現場でのお話し合いというのが大事なんじゃないかなというふうに感 じております。 〇コーディネーター  きょうきていただいた方は、そういう悩みというか、苦しみというか、現実には存在する ということがちょっと内容も含めて御理解いただけたと思うんですけども、多分こういうよ うなことをもっといろんな場で生産者と消費者とか業者の方が集まってお話ができる場が いっぱいあると理解が広まっていくのかなとは思いますが、なかなか国できょうみたいな取 り組みというのも、きょうは新潟県の方でさせていただきましたけども、そんな全国津々 浦々できるほどというような状況もちょっとございませんので、いろいろそれぞれの事業者 団体とか、すそ野を広げるといいますでしょうか、いろんなところでこういう取り組みがも っと進んでいくということをできればいいんじゃないかなというふうに考えております。  ほかにはいかがでしょうか。  じゃ、先に前の方、あと2番目に後ろの方いきます。  最初に前列の方、マイクお願いします。先にこちらの方。 〇参加者4  日本洋酒輸入協会の高橋と申します。今まさに御質問あったように、非常に流通からの要 求が非常に過激になってきているというか、過敏になってきているということで、ぜひ農水 だけじゃなくて、厚生労働省としても、あるいは政府公報を使って、最近何とか法で非常に 問題になっている法律がありますけれども、あれと同じような感じにならないようにぜひP Rをしていただきたいと。古い家電のリサイクルの関係の話ですね。ああいうような法的な PR不足のことはぜひやめていただきたいなというふうに思います。それをお願いしまして、 それからもう一つ、今インターネットで分析業者を引きますとかなりの数、いろんな分析業 者がありますけども、そこら辺のところの分析精度とかのチェックとかなんかはどういうふ うに考えておられるんでしょうか、その1点をよろしくお願いします。 〇コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、次に後ろの方。 〇参加者5  アリランハウスの堀井といいます。よろしくお願いします。  すごく具体的な話で申しわけないんですけども、今いろいろ、先ほど言いましたネガティ ブからポジティブに変わったということは、180度転換したということですね。ところが、 このあとわずかなところでこの180度変換するに当たって、実際にとられているものって180 度振り子がそちらに振れていないですよね。みんな振ろうと思って試行錯誤しているような 状況ですね。この中で、例えば生産者、我々加工している者、それから流通している者、こ の辺が全然意思の疎通がとれていませんね。今そこにいる白井さんもこのこと知りませんよ ね。というふうに言われましたよね、ポジティブのことよく知りませんでしたというふうに 言いましたよね。ですから、私は中途半端じゃなくて具体に、例えば零細企業のセールスマ ンなり社長がスーパーの売り場に行って、証明書を出さなかったらもう取引できませんよと いうふうに具体的に言われていますよね。そういう人たちに対して、具体的に何か書いた物 でもいいから、ばかなおとっつあんでもわかるようなそういうものを具体的に出せるのかど うか。  それから、全農さんです。監視をするのが目的ではなくて、いかに安全な無農薬のものを 出すかということが大事な趣旨だと思います。それに当たって、数年前から取り組んでいる ということですけれども、これを具体的に確認し、保障するシステムがこの5月29日から具 体的にどうとるのか、この辺を本当にかみくだいて説明してください。私たちは、それを求 められたときに、ああ、これは全農さんでもう構築していますから、いいんですよ、これは 行政でこれこれこうなっていますから、いいんですよということで、そういうふうに展開し ていいんでしょうか。責任はだれがとればいいんでしょうか。その辺を具体的に教えてくだ さい。でなければ、後ほど何かの方法で伝えていただければ非常にありがたいと思っていま す。  以上です。ちょっときつい言葉で申しわけありません。 〇コーディネーター  あと、前の方でもうお一方いらっしゃいましたですか。手を挙げている方。いいですか。  済みません、もしあれでしたらもう数名ちょっと手を挙げていただいて。 〇参加者6  新発田地域振興局の佐藤といいます。今の0.01ppmという数字、非常に厳しいと思います。 というのは、物の本によりますと小学校の25メートルプールに一つまみの塩を落とせば0.01 ppmであるということです。この基準がさきのヨーロッパ、アメリカなど大陸の基準を参考 にしているといいますが、大陸の農業は非常に広い農地を使って生産しておりますので、農 薬飛散防止の緩衝地帯も十分設けられますが、日本の島国での農耕地ではそのような緩衝地 帯をとることが非常に難しく、飛散も多少はやむを得ないと思われるんですが、現場からは、 農家の方からは、お役人が机でつくった数字で我々がまた農薬取締法のときのように振り回 されるのは嫌だと非常に反発を受けております。そのために、この激変の緩和のための緩和 措置のような経過措置を設けられないかと思うところなんですが、いかがでしょうか。 〇コーディネーター  じゃ、一応この3名の方の御意見をもとに意見交換したいと思いますけども、まずは分析 業者さんの精度管理の関係ということですが、参事官の方から。 〇藤井参事官  まず具体的に分析業者の関係についてお答えをする前に、厚生労働省の方からもいろいろ といろんな方面でこういうポジティブリストの趣旨でありますとか、制度の中身を周知をし てほしいと、PRをしてほしいという御要望がありました。そこは、我々自身も今までもい ろんな形でやってきたんですが、まだそういう御意見も強いということで、いろいろな手だ て、機会、方法を使って関係者の方には理解を得ていただくようにしていきたいというふう に思っています。  ただ、御存じのように、説明がありましたように、ことしの5月29日から制度が開始にな ります。そうします、もうあと2カ月しかありませんので、いろいろと関係団体のそういう 中央団体、そういうところを中心に御説明をしたり、またはポジティブリスト制度について、 ぜひ話に来てほしいという御要請がある場合には、可能な範囲で原課の担当の者などが対応 しております。そういう機会を通じながら、できるだけ幅広くPRをしていきたいと思って おります。  それから、分析の関係でありますが、確かに私どももインターネットなんかで見てみます と、十数項目を二、三万でやりますとかというような業者さんの宣伝が出ているようなもの があります。どういう業者さんをお使いになるかというのは、おのおのの事業者の方、生産 者の方等の、それは御判断ですが、一応厚生労働省として登録検査機関というものを指定を しております。これは、公的な機関だけではありませんで、民間の機関も登録検査機関に指 定をされておりまして、そこでは義務として外部精度管理を行う事業に参加していただくと いうことをやっておりますので、登録検査機関については、基本的には外部精度管理が行わ れているということでお考えをいただけたらありがたいなと思っております。 〇コーディネーター  ありがとうございました。  それから、この制度について、現実現場の場所では検査のデータを持ってこないと取引し ないというふうな話もあるということでございましたが、それに対しての何か具体的に物が 出せるのかというようなお話ありましたけれども、これは一応厚生労働省といたしましては、 このポジティブリスト制度について、いろいろその制度が難しい、複雑だということもござ いまして、Q&Aを出すことを予定しておりまして、現在その出すための作成をずっと続け てきているわけですが、ちょっとまだ皆さんにお示しできていないというような状況でござ います。できればこれはホームページに掲載するとかということをさせていただいて、普及 に努めていきたいというふうに考えております。  この件について、ちょっと農水省さんとか少しいかがでしょうか。 〇引地消費者情報官  まず、農水省の場合、生産者の方から要望が非常にありまして、まずドリフトの問題を解 決していかなくちゃいけない、その上で消費者の方、流通の方に対して御理解を求めていく というような状況です。私どもも、先ほど申し上げましたように、現場、地域でのそういっ た説明会とか相談、それから私どものホームページにも相談窓口というのを設置いたしまし て、そういった方々からの御要望とか御相談に答えているということです。  それで、現場でのわかりやすいということについては、そういうことで心がけてはいるん ですけれども、なかなか中央からまさに新潟県の業者の方にたちまち明快な答えができない というのが非常に申しわけないんですけれども、いずれにしてもそういったいろんな機会を 設けてわかりやすく説明するように、これからも心がけていきたいと思います。 〇コーディネーター  ありがとうございました。  あと一応全農さんの取り組みとしてもちょっと意見いただいていたようですけども。 〇竹内全国農業協同組合連合会新潟県本部園芸部長  先ほどのお話で、もう少し詳しくということでありましたが、冒頭のトレーサビリティー の説明をさせてもらったのというのがその大前提になるんですよね。それで、ポジティブ制 に移行した後も、結局きちっと使われているというのが大前提で安全が担保されるというこ とですし、それをお互いに確認し合うという作業ですから、いかにそのトレーサビリティー の仕組みなり取り組みをふやしていくかというのがまず大前提だというふうに思っていま す。  去年まで、ここ二、三年という中途半端な言い方をしましたけれど、実は去年、17年にす べての農協ですべての作物でその記帳運動を展開しようというふうにして取っかかりまし た。米では、ここにありますように、全部できておりますし、それから大豆というのは、こ れは転作でつくられている大豆で、流通がすべて管理できる品目です。これもすべてのJA で記帳運動ができました。それから、野菜、果物のところも、ここにあります青果物という ところがそうなんですが、すべてのJAで541品目ということでやっています。541品目とい うことは、野菜や果物、百二、三十種類あると言われていますし、それが春作だとか秋作だ とかということを考えていけば、まだまだ足りないわけであります。そこは、生産部会です とか、農協のJAグループのそういう集団的に栽培をしているところには必ずそれを徹底さ せていくということを引き続きやってまいりたいと思っております。  実際これをやることによって、出荷前にそのチェックをするのはだれかということなんで すが、農協ですべての生産者のリストを回収します。栽培期間中に一遍見る場合もあります し、出荷する前にそれを確認する場合もあるんですが、それは品目によってさまざまですが、 確認をします。去年の場合でも、数件決められたことが守られていないケースが発見されま して、市場出荷に至る前に出荷をとめたというようなことがありますから、これはそれなり に役割を果たしているというふうに思っています。  それから、公開なり開示の仕方なんですけれども、これは実はいつでも教えられるように しておきたいということで、ホームページに掲載するとか、それから店頭への掲示とかとい うことを当初は考えましたが、実は消費者の皆さんはそういうことの安全性を尊重しながら つくっておられるということが確認されれば、直接ホームページを開いてこのやつを見る、 そしてその中の農薬を確認をするというようなことを操作、作業される人ってそういないな というのが実感です。要は、私どもがこういうことに取り組んでいるんだということを御理 解いただくということで相当安心していただけるんだなということもこの数年の中でわか ってきました。したがいまして、その業者さんから言われるように、私どもが扱うこのトマ トについて、安全性を確認するために検査結果を出してくださいということというものは余 り根拠は持たないんだろうというふうに思います。つまりそれを1点やればいいのか、5点 なのか、いや100人の生産者がいれば100件やらんきゃいかんのか、いや圃場の数だけやって もらわんきゃ困るのかという議論になるわけです。そのことよりも、国なり、県なりで決め られたことを守っていますよ、ましてや自分の家族、子供に食べさせても安全なものをつく っていますよというつくり方がされているかいないかを確かめ合う、そういうことの方が大 事だろうと思います。いきなりこれは検査をせいとなれば、先ほど御説明いただきましたけ れども、その検査費用というのはだれが持つんですかと。生産者が持つには力、限りがあり ますね。流通業者さんですか、小売さんですかと。いやそんなもの、ほかの商品であれば製 造者が持つのが当たり前だと、こうなりますけれども、堂々めぐりして事実上の破綻であり ます。ですから、そのような議論ではなくて、こういう取り組みをしておりますよというこ とを確かめ合える関係をつくる。そのことであれば、私ども生産団体でありましても、安全 証明というようなものを組合長の判こをついて出すということはできません。これは、それ 出したからといって安全を証明したということじゃありませんし、いつ、どんな事態が起こ るかわかりませんが、ただこういう取り組みをしておりますということを出すことは可能で ありますから、それは都度、都度お問い合わせいただきたいし、それこそ産地と一緒になっ て仕事をする、顔の見える関係というものを私ども大事にしていきたいと思っておりますか ら、御理解をいただきたいというふうに思います。  それから、それに関連して、先ほども言いましたけれど、私もちょっとうまく言えないん ですが、0.1ppm入っている、ところが、これは100万分の1という単位なんですけど、この さらに1,000分の1というのはppbという単位がありますけど、私ども素人にとってみますと 残留がありました、それが0.01ppmなのか、それともppb単位であらわしますと、それは1,00 0ppbになってしまうと。数字を見ると1,000ppbの方が多いように感じるんだけど、実は同じ だというような感じですし、先ほどプールに一つまみの塩の話もありましたけれど、何かそ ういう形で不安をあおらないような、あるいは先ほどの数字が出てきたとしても、それがも う毎日その出てきた品物を朝昼晩欠かさず食って、死ぬまで食べて、そして影響が出てくる というようなものであるとすれば、何かそのわかりやすい性質、説明ができないのかなと。 いたずらにその数字がなければ安心できないということじゃなくて、理解していただくため の手法というのはないのかなというのは、これは私ども生産団体としてももっと頭をひねっ ていきたいと思いますし、公的な機関の皆さんからもお願いをしたいなと、こう思っており ます。  ちょっと蛇足ですが。 〇コーディネーター  ありがとうございました。  あと、激変の緩和措置がないのかというようなことを御指摘でございましたけれども、実 際なかなかこれも現在のところとして何か措置ができる状況にもちょっとないわけでござ います。厚生労働省とか農林水産省もそうなんですけども、基本にはこういうような説明会 を開いて、少しでも理解をしていただく方をふやしていきたいというふうに考えておるとい うことでございます。  それで、ちょっとお時間の方がちょうど予定していた時間になってしまいましたので、も しどうしても最後にこれだけ私は聞きたいという方いらっしゃいましたら手を挙げていた だいて。どうでしょうか、ちょっと大きく手を挙げて。  じゃ、そちらの後ろの方の方、この方の意見でちょっと最後にしたいと思います。 〇参加者7  消費者の者なんですけど、質問の8番から23番、それに対する答え、34番から37番、それ の答えをすることが今の皆さんの回答になると思いますので、もう一度これを回答してくだ さい。 〇コーディネーター  8番から23番までということでよろしいですか。 〇藤井参事官  今フロアからの御指摘のように8番から23番までというのは、いろいろと今回導入をされ るポジティブリスト制度について検査証明を求められているとか、そういうことに対してま とめての回答をさせていただいている部分になっています。そこは、皆さんよく中身を見て 御理解をいただきたいと思いますし、この回答については、少しちょっと時期がずれますが、 このそのものをホームページに掲載をいたします。それから、現在まで全国7カ所でやはり ポジティブリスト制度についてのこういう意見交換会をやってきて、類似の御質問があって、 やはり同じような回答をさせていただいています。それは、既に厚生労働省のホームページ にも掲載をされていると思いますので、それもいろいろとそういう…… 〇参加者7  済みません、これに書いていなくて、この質問に対して答えていますよね。 〇コーディネーター  済みません、マイクをお渡しいただけますか。 〇参加者7  ここに答えている回答書、この回答書と質問ありますね。その回答書が正しければ、今言 っている検査機関がどうのこうのとかという答えは出ないはずですよね。よく読んでいただ けますか。 〇コーディネーター  ですから、この回答が正しければというか、これは公式な回答ですので。 〇参加者7  ですよね。 〇コーディネーター  ええ。 〇参加者7  それで、その答えに対して、34番から37番御参照くださいとなっています。その34番から 37番は、新潟県の指針書いてあります。それで、事業者にこういう検査をさせます、すると かなんとかって一言も書いてありませんよね。 〇コーディネーター  制度としては義務づけているものではないというのが公式見解…… 〇参加者7  ないですね。そういうふうに解釈したんですけど、それでよろしいですか。 〇コーディネーター  ええ、そうなんです。 〇参加者7  じゃ、それでいいと思います。間違いないですね。 〇コーディネーター  ええ、間違いないんです。間違いないんですけども、こういう回答が一般的に周知されて いないというか、要するにこういうもんだというのが御存じない方が大勢いらっしゃって、 現実にはデータを持ってこいとか、証明持ってこいとかという話にどうもなっているようだ というふうに聞いております。 〇参加者7  これは、輸入品も同じということでよろしいですね。 〇コーディネーター  輸入品も同じです。 〇参加者7  同じということで、検査は新潟県とか国がしますということでよろしいですね。 〇コーディネーター  要するに違反かどうかの検査は、結局行政がして判断をするわけですので、一般の人たち にこの検査をしなきゃいけないというふうに義務づけているわけではないと。ただ…… 〇参加者7  そういうふうに解釈していいですね。 〇コーディネーター  はい。 〇参加者7  わかりました。 〇コーディネーター  それでは、ちょっと時間超過してしまいまして、申しわけございません。  パネルディスカッションの方を終わりにしたいと思います。  司会の方にマイクをお返しいたします。 5.閉  会 〇司会  長時間にわたり、また貴重な御意見を賜りまして、ありがとうございました。  これをもちまして「食品に関するリスクコミュニケーション」終わりたいと思います。  出口のところでアンケートを回収しておりますので、できるだけ記入いただいて、回答を 出してお帰りいただければと思います。それでは、皆様、お気をつけてお帰りください。  本日はどうもありがとうございました。(拍手)                   (了)