食品に関するリスクコミュニケーション (輸入食品の安全確保に関する意見交換会:さいたま市)議事録                平成18年1月13日(金) 1 開 会 ○司会(森田情報管理専門官) 本日は皆様御多忙の中、御参加をいただきまして、あ りがとうございます。 ただいまから「食品に関するリスクコミュニケーション(輸入食品の安全確保に関す る意見交換会:さいたま市)」を開催します。 私、本日司会をさせていただきます厚生労働省食品安全部企画情報課の森田と申しま す。よろしくお願いいたします。 早速ですけれども、配付資料の確認をさせていただきます。封筒を開けていただきま すと、一番最初に議事次第があるかと思います。これに沿って御説明いたします。 本日配付しております資料は、下の方に「配布資料」「参考資料」とあります。 「配布資料」につきましては、資料1〜資料5までです。 「参考資料」については「意見交換会に参加いただいた皆様へ」「食品安全エクスプ レス」「遺伝子組換え食品の安全性について」「食事バランスガイド」というものが入 っております。 それ以外に、本日アンケート用紙もその中に入れております。アンケート用紙ですけ れども、実は2つございます。今回主催する厚生労働省側のアンケートのものと、食品 安全委員会が特別にアンケートをしたいということで入れたものと、2つございますの で、ちょっと分量が多くなって恐縮ですけれども、休憩の時間、終わった後の時間など を利用して、アンケートに御協力をいただければと思います。 「意見交換会に参加いただいた皆様へ」ということで、本日の意見交換会の趣旨を書 かさせていただいております。下の3つ目の黄色いところ「本日の意見交換会の目的」 とありますけれども、これを読まさせていただきますと「リクコミュニケーションは、 必ずしも個々の意見交換会で何かを合意して決めるというものではありません。本日の 意見交換会では、@輸入食品の監視指導計画や安全対策、米国・カナダ産牛肉等への対 応について、関係者の間で情報を共有すること、A様々な立場から意見交換を行い、こ の問題についての認識を深めること、を目的としています」。そういったことを踏まえ て、本日の意見交換会に御参加をいただければと思います。 本日の議事進行について、簡単に御説明をいたします。 また議事次第の方に戻っていただきたいんですが、最初に テーマについての説明を 行政側からさせていただきます。 1つは「○輸入食品監視の現状」についてということで、30分ぐらい説明をさせて いただきます。 「○平成18年度輸入食品監視指導計画(案)について」と「米国及びカナダにおけ る日本向け牛肉認定施設の査察について」ということで、1時間ぐらい御説明をさせて いただきます。 その後、10分ぐらい休憩を入れまして、パネルディスカッション及び意見交換とい う形で進めていきたいと思います。 資料の関係で不足がございましたら、周りにスタッフがいますので、お声をかけてい ただければと思います。よろしくお願いします。 それでは、早速でございますけれど も、「輸入食品監視の現状」ということで、成田空港検疫所の橋端食品監視課長から御 説明をいたします。 2 テーマについての説明 (1)輸入食品監視の現状 ○橋端成田空港検疫所食品監視課長 ただいま御紹介いただきました成田空港検疫所食 品監視課の橋端でございます。 (PP) 「輸入食品の監視の現状」ということで、御説明させていただきます。 スライドを50数枚用意いたしまして、ちょっとサービスのし過ぎかなと思ったんで ございますけれども、かなりの時間がかかってしまうということで、大事なところだけ かいつまんでお話をしたいと思います。 (PP) まず、今日の説明でございますけれども、大きく4つに分けでございます。 最初に「1.食糧需給の現状」。 2番目に「2.食品等輸入の状況」について御説明をする。 3番目に「3.輸入食品等の安全確保体制」は、一体どうなっているのかということ。 成田空港検疫所が中心になると思いますが、そういうお話をさせていただきます。 最後に「4.成田空港検疫所における実例」紹介というところをもって、終わりにし たいと思います。 (PP) これは、最初の「1.食糧需給の現状」でございます。この表は、農林水産省供給熱 量総合食料自給率表から抜粋したものでございます。カラムを見ていただければわかり ますが、これは昭和50年〜平成16年概算まで書いてございますが、平成10年〜16年 までカロリーベースの自給率というのが40%と、大変低い数値になっております。 ということは、すなわち60%が輸入食品に依存しているということでございます。 ちなみに、先進国ではどうなのかということになりますと、2002年の調査の結果だ と思いますが、オーストラリアが230 %、カナダが120 %、米国が119 %、英国が74 %、日本に一番近いスイスが54%という数字でございますから、日本の自給率がかな り低いということがおわりかになると思います。 (PP) 2番目に「2.食品等輸入の状況」ということで御説明いたします。赤い線は、輸入 届出件数を表してございます。ブルーの線は、重量でございます。平成16年の輸入届 出件数の総数は、179 万1,224 件でございます。重量が3,427 万トンという数字にな っておりますが、これは平成10年と比較するとどうかということでございます。 6年前の数字になりますが、輸入届出件数は約百二十七万件ということでございまし たので、現状は40%ほど増加しているということでございます。重量で見てみますと、 16年が3,427 万トンでございますが、平成10年はたしか2,915 万トン程度というこ とでございますので、17%程度の増加と。件数、重量ともに毎年右肩上がりになってい るという現状でございます。 (PP) 「地域別輸入件数の構成」ということで、平成16年度全国ベースで表にしてござい ます。 ちょっと済みません、誤りがございまして、これは「品目分類」ではなくて 「地域別分類」にしていただきたいと思います。御訂正をお願いします。 全体の輸入件数が179 万1,224 件でございますが、アジア州は91万7,558 件とい うことで、全体の51.2%がアジアから輸入されている。アジアの中でも、約半数が中 国になっております。2番目が韓国、タイという順番でございます。 次に多いのは、欧州、ヨーロッパでございますが、24.2%。欧州の中で一番多いのは、 フランスでございます。 次に、北米、南米という順番になってございます。 (PP) 「品目別輸入重量の構成(H16・全国)」でございますが、どんなものが入っている のかといいますと、一番多いのは農産食品、農産加工品で、これが2,473 万4,000 ト ン近くですから、72.2%という数字になっています。この中で、とりわけ多いのがアル コールを含む飲料ということでございます。 次が水産食品、水産加工品、畜産食品、畜産加工品という順番になっております。 (PP) 「おもな食品衛生法違反事例」ということで、平成16年に違反になった食品は、実 数で1,143 件、延べ数で1,249 件でございます。ダブルで違反条項を含みますので、 延べ数は増えると思います。 この中で一番多いのは、法第11条違反で、これは成分規格違反が多いわけでござい ますけれども、違反件数833 件、全体の66.7%ということでございます。 この中で野菜に関しては、残留農薬の残留基準違反。あるいは水産食品であれば、抗 生物質抗菌剤等の関係の成分規格違反。あるいは添加物でいいますと、対象外使用、過 量残存という違反でございます。 その他10条違反は、指定外添加物を含む違反になりますけれども、175 件、14%。 あるいは6条違反は、腐敗・変敗等の関係になりますが、例えばアフラトキシンの検 出したハトムギ、落花生、アーモンド等が含まれておりますけれども、11.7%、146 件 の違反でございました。 全体で実数1,143 件の違反でございます。 (PP) 3番目に「3.輸入食品等の安全確保体制」ということで、説明させていただきます が、まず輸入食品の安全確保というのは、輸入食品の届出を出してもらう。要するに輸 入がないとできませんので、届け書の提出から始めていただきます。 法第27条に従いまして、輸入した場合は、全体といたしまして販売の用に供するよ うなもの、あるいは営業上使用する食品ということになりますが、その都度、厚生労働 大臣あてに届出をしなければいけないということになっております。 (PP) 届出につきまして、どう監視をしていくかというわけでございますけれども、届出の 方法は、書面による提出、マニュアル審査といいます。あるいはフロッピーディスク提 出、あるいはNACCS、オンライン端末による届出といろいろございます。通常成田 におきましては、NACCS端末による届出が約80%でございます。 届出がされますと、届け書に対する審査、あるいは指導を行う。 あるいは食品等の検討を行うと。この辺は後でお話をしたいと思います。 「事前の輸入相談指導」というものもございます。これは監視、指導の中で非常に大 事な話でございますけれども、当課にも輸入食品相談指導室というものがございます。 事前の輸入相談は、専らそこでやっているわけでございますが、本貨物が入る前に相談 していただくということで、違反が意外とたくさん見つかっているという現状がござい ます。そういうこともやっております。 (PP) 「検疫所における現在の輸入食品監視体制」というのは、先ほどの続きになりますけ れども、食品衛生監視員は全国で300 名。 輸入届出窓口は、北は北海道から南は沖縄まで31か所ございます。 検査する施設でございますが、精密な検査をする、あるいは高度に精密な検査をする 輸入食品・検疫検査センターというのが、横浜、神戸検疫所に設置されております。 また、いわゆる本所と言われる検疫所ですが、東京・名古屋・大阪・福岡・成田空港 ・関西空港で、検査課がございまして、この検査課では、成分規格の検査をしたり、あ るいは食品添加物等の検査をしたりということで、やはり検査をやっております。 (PP) それを日本地図上に表したものが、これでございます。北海道から沖縄まで31の窓 口がある。横浜と神戸に検査センターがあるということです。これは後でゆっくり見て いただければ、わかると思います。 (PP) ここは一番大事かと思うんですが、これは「届出の流れ」ということになります。先 ほど言いましたが、まず貨物が海港、空港に到着いたしますと、食品等の輸入届出を提 出してもらうことになります。届出が提出されますと、それを受理いたしまして、書類 の審査が始まります。書類の審査は、届出だけで始めるわけではなくて、例えば加工食 品であるならば、その原材料、使用している添加物、使っていなければ使っていないと いうことを言ってきますけれども、あるいは製造、加工の方法等エビデンスがメーカー から添付されてきます。 あるいは食肉、食物製品の場合は、ここにもちょっと書いてございますけれども、輸 出国の衛生証明書というものが付いてきます。これが付いてこなければ、法第9条違反 に問われるわけでございます。 もろもろの書類をしっかり審査するわけでございますけれども、その結果、検査不要 というものは、通関をしていただくと。検査が必要だということになりますと、物によ ってはどういう検査になるかということがございますけれども、ここに書いてございま すが、我々検疫所の中心的な検査になりますけれども、モニタリング検査、あるいは命 令検査、場合によっては、指導検査とも呼びますけれども自主検査、あるいはここの2 つ以外の行政検査というものもございます。 (PP) これは「命令検査」でございます。命令検査というのは、違反の蓋然性が非常に高い ものに対してかかっている命令でございます。これは大臣名で命令検査をかけます。 命令検査に関する品目というのは、厚生労働本省の方から検疫所の方に通知されます。 輸出国の衛生状況によるもの、あるいは過去のモニタリングで数度違反になって命令に なるもの、いろいろございますが、命令になるに従って本省の方から通知が出ます。検 疫所の方は、それに基づき命令検査書を発行するわけでございます。 このものは、違反の蓋然性が非常に高いわけでございますから、検査結果が判明する までの間、貨物は留め置きになります。当然、検査は違法者負担になりまして、厚生労 働大臣登録検査機関にて、検査を行うということになります。 (PP) 今「命令検査」のお話をしました。 (PP) 次は「モニタリング検査」になります。成田では、平成16年に恐らく1万1,500 件 ぐらいのモニタリング検査を実施していると思いますが、違反の蓋然性の低い貨物につ いて、大きな網をかけて調査をするというのがモニタリング検査でございます。これは 厚生労働本省が年間計画を策定し、それに基づき、更に検疫所が年間計画を作成した上 で実施をしているものでございます。 違反の蓋然性が低いわけでございますから、原則貨物は流通を認めるというものでご ざいます。 (PP) これは「行政検査」です。行政検査というのは、先ほどのモニタリング検査も行政検 査ではございますが、これは食品衛生監視員が検査が必要と判断した場合に行う行政検 査でございます。 例えば、これは「毒魚の検査」でございますけれども、シガトラ毒が毒魚ではないか どうかという判断をするために、監視員が現場に赴き、魚種の鑑別をするというのも我 々の仕事でございます。こういう仕事の区分は、行政検査と我々は言っております。 この検査も検査結果が判明するまでの間は、貨物は留め置きになります。 (PP) これは「指導検査(自主検査)」です。先ほどちょっとお話しましたけれども、これ はどういうときに実施していただくかという話でございますけれども「初回輸入貨物」。 本邦に初めて輸入しましたということになりますと、書類の審査をしながら、必要な検 査を指導いたします。 あるいは命令検査以外の貨物であって、違反の蓋然性が高いと判断される貨物に対し ても実施をしていただく。その項目についても、検疫所側で指導をさせていただいてお ります。 あるいは継続的に反復輸入される貨物。それも定期的に検査をしていただきたいとい うことで、指導を行う。 こういう貨物も原則として、検査結果が判明されるまで貨物は保留、留め置きになる ということでございます。 (PP) ということで、検査に必要なものは、先ほど御説明しました命令検査、モニタリング 検査、行政検査あるいは自主検査というお話をしましたが、その結果、モニタリング検 査は別でございますけれども、それを除いて合格になったものは通関を認める。不適と なったものは、積み戻しまたは廃棄。モニタリングでありますと、回収という措置をと ることになります。 (PP) これは平成17年度の「モニタリング検査計画」でございます。厚生労働本省が策定 した、計画を立てた件数でございまして、総計7万7,000 件ということになっており ます。 「品名」は大分類でございまして、大分類でいいますと「農産食品」というのが「残 留農薬、カビ毒、GMO」と書いてございますけれども、2万5,700 件。 「水産加工品」は「抗生物質等・添加物・成分規格等」で1万3,050 件。 この件数は、恐らく前年度の輸入実績、輸入量の多いものから件数を多くしていると いうことであろうと思っております。 (PP) ここから成田空港検疫所、私の職場でございます。ここは自信があるんですけれども、 今までのことはちょっと不安な内容でございました。 「4.成田空港検疫所における実例」を皆様にお話します。成田空港検疫所の食品監 視課は、年間365 日開庁をしております。年末年始も開けております。 1日でいいますと、朝は8時半から夜21時30分まで業務を行っております。当然2 交代制でございます。 届出は、16年度でいいますと28万9,690 件でございますから、1日平均約八百件の 届出がございます。 モニタリング検査は、平均するとの話でございますが、約四十件実施をしていると。 それ以外に行政検査、あるいはいろんな検査がございますので、これだけの数ではござ いませんけれども、モニタリングでいくとこういう数になると。 審査は2審、2審といいますのは2人の検査は必ず実施をしております。多分そうい うことはないとは思いますが、1審であると間違いがあるかもしれない。確認をとる意 味でも2審を設けて審査をしております。 成田空港に配属されております食品衛生監視員は20名、事務官1名の21名で仕事を やっております。 (PP) これは日本の空港における実績を示したものでございますが、成田空港はこちらでご ざいます。28万9,000 件ほどでございます。 次に関西空港です。関西空港は7万7,000 件ですから、群を抜いて成田が多いとい うことがわかると思います。どれぐらいかといいますと、全空港の中で73.5%が成田 に集中しているということになります。 (PP) これは海港検疫所でございますが、東京検疫所が約四十六万件。東京検疫所というの は、1課、2課あるいは川崎、船橋、千葉も含みますが、東京管内で46万件の届出が あると。 大阪が約二十万件でございます。 成田はこの中でどのぐらいなのかというと、成田は28万9,000 件ですから、ここに 位置すると。全国の海港、空港を併せても2番目に届出の多い港であるということにな ります。(PP) これは「平成16年 全31窓口における食品等輸入届出件数割合」でございますが、 今、言いましたとおり、東京は1課でございます。先ほどは東京全体を含めていました けれども、1課が21%を占めている。成田が16%、大阪が12%、横浜が11%、この4 港で日本の60%の届出がございます。 (PP) これは成田の「品目別食品等輸入届出件数割合」でございますが、一番多いのは畜産 加工品です。 次に農産食品、水産食品です。 (PP) もう少し詳しく見ますと、これは成田のベスト7が書いてございます。成田で一番多 いのは「ナチュラルチーズ」でございます。4万6,743 件です。輸出国別に見ますと、 フランスが断トツです。3万7,929 件です。次いでイタリア、デンマークです。 次に、成田は成田漁港とか言われていますけれども「マグロ」の輸入が結構多いわけ でございます。2万492 件です。輸出国はインドネシア、オーストラリア、スペイン という順番になっております。 意外と「チョコレート」が多いわけです。バレンタインが近づきますと、大変輸入量 が増えてまいります。これもフランス、ベルギー、アメリカです。 次いで「ワイン」です。ボージョレのとき大変な思いをいたします。 (PP) 先ほども品目を御紹介しましたけれども、検査をどの程度かけているかといいますと、 農産食品に対して43.3%の検査を実施しております。 ちょっと見づらいですが、水産加工品に関しては13%の検査をしている。 品目別の検査の割合をここで示しております。 (PP) これは「輸出国別届出割合」でございますが、先ほどフランスというのがワインもそ うですし、チーズもそうですし、いろんなところに出てきましたが、フランスからの輸 入品が25.6%で一番多いわけです。 続いてアメリカ、イタリアという順番になっています。スイスが結構多いです。これ は食品香料が多いんです。 (PP) 先ほど途中でお話いたしましたが、成田空港には輸入食品相談指導室というものがご ざいます。平成16年、来所されて相談された方が年間約六百件ございます。電話を含 めますと、1,000 件以上の相談業務になりますけれども、その相談業務の内訳でござい ますけれども「健康食品」が27%と非常に多いです。 これは非常に面白い現象でございまして、今テレビであるある何とかというものをよ くやりますね。そうすると、翌日から相談が始まります。これをここの国から持ってき たい、どうしたらいいだろうというようなことが始まります。リアルタイムで行政の方 に反映してきます。 あと「菓子類」「農産加工品」という順番になっております。 (PP) 成田空港検疫所には、検査課がございます。これは検査課で微生物検査をしていると ころを写しているわけでございますけれども、食中毒菌の検査もいたしますし、あるい は病原微生物の検査もいたします。 (PP) これは「理化学的検査」の写真でございます。保存料の検査をする、あるいは酸化防 止剤の検査をする、着色料の検査をする、合成甘味料の検査をするということで、ここ でもかなりの検査を実施しております。 (PP) それでは「成田空港の輸入食品」の実例を、ここで見せたいと思います。 (PP) これは成田のベスト7の中で一番多い、フランス産ナチュラルチーズでございます。 ナチュラルチーズというものは、非常にあしが早いものですから、エアで輸入されるも のが多いと聞いております。 (PP) これはイタリア産の生ハムとサラミでございます。上の方が生ハム、下がサラミでご ざいますけれども、輸入されたときには既に裏面に邦文表示がされてございます。業者 の方は現地の方に工場を設け、邦文表示までして日本に輸入をしてくるということにな っております。こういうものもあるということでございます。 (PP) これは中国産のウニでございますが、成田で一番生ウニが多いのはアメリカからのウ ニでございます。続いてチリ、カナダという順番になってございますが、中国産のウニ が入ったものですから、これをちょっと写真に撮ったわけでございます。それを皆様に お見せするということで、今日ここに出してございます。中国産のウニは、腸炎ビブリ オ等の検査、あるいは抗生物質の検査をしております。 (PP) これは中国産マツタケでございます。 (PP) これはフランス産の杏子茸といいますが、キノコでございます。ほのかに杏子の香り がするということで、和名は杏子茸と言われておりますが、中国では高級料理の食材に 使われるという話を聞いております。チェルノブイリ原発以来の放射能検査を実施して おりますし、あるいは残留農薬の検査もしているというのが実情でございます。 (PP) これは中国産赤貝でございますが、成田にはこういう殻付きの赤貝が随分入ってきま す。この場合は、貝毒検査、麻痺性貝毒あるいは下痢性貝毒の検査を実施しております。 (PP) これは中国産のフナです。生きたフナがそのまま入ってくるというのを、ちょっとお 見せします。 (PP) これはインドネシア産チャイロマルハタです。ハタでも毒魚がございます。ですから、 ハタが入ってきますと、魚種鑑別のために我々が出かけていくと。これはチャイロマル ハタです。食用になるハタでございます。こういうものも一例にございます。 (PP) これは台湾産活ウナギでございますが、ウナギに対するもろもろの検査を実施してお りますけれども、ちょっとここは少し詳しくいきます。 (PP) これはウナギの検査のために、私どもの食品衛生監視員がこれから検査に出かけると ころでございます。酸素ボンベをぶら下げ、かばんを持って、非常に小柄な女性なんで すが、頑張ってこれから出かけるところでございます。 (PP) 倉庫に到着しますと、ウナギの箱が山に積まれております。 (PP) 全量同一ロットかどうかという確認をいたします。それを記録にとどめているところ でございます。 (PP) 開けますと、ウナギが中にいる。当然生きております。 (PP) そこで衛生的な採取をします。採取をしているところでございます。 (PP) 採取が終わりますと、まだ採取した袋の中にかなりのウナギが残っているわけでござ いますから、そのウナギを殺すわけにいません。そこで酸素ボンベの酸素を注入します。 注入して封をし、我々がそこを密封して、そのまま商品として流すということでござい ます。(PP) それが終わりまして、ようやく仕事、このウナギの検査が終わったということでござ います。 (PP) これは昨年12月、アメリカ、カナダの牛肉再開後の写真でございます。 (PP) 成田というところは、余り肉が入らないところでございますけれども、再開というこ ともあって、第1号、第2号、第3号をねらった業者さんがいらっしゃって輸入をした ということでございますが、シュリンクパックされて冷蔵で輸入されております。チャ ックショートリブでございます。 (PP) これは部位が違うところでございます。チャックアイロールです。 (PP) これもリブフィンガーミートでございます。 (PP) アウトサイドスカートです。いろいろな部位の肉が入ってきてございます。 (PP) 最後になりますが、成田空港における違反事例を少し写真でお見せしたいと思います。 (PP) これは中国産の大葉でございます。クロルピリフォス、フェンバレレートという2種 類の農薬が検出されて、違反になったものでございます。 (PP) これは台湾産の黄ニラです。私も知らなかったんですが、黄ニラというのは通常のニ ラなんですが、遮光して育てたニラ、葉緑素不足のニラということになるのかもしれま せんけれども、大変やわらかくておいしいという話を聞いておりますが、残留農薬クロ ルピリフォスということで、違反になっております。基準値違反です。 (PP) これはパラチオンメチルが検出されてタイ産野菜です。これはコブミカンの葉、ディ ル、オオバコエンドロという3種類を載せておりますが、いずれもパラチオンメチルで 違反になったという貨物でございます。 (PP) これは中国製のブドウゼリーでございます。加工食品は余り入らないんですが、たま に入ってまいります。甘味料のサイクラミン酸が検出されたということで、これも違反 になっております。 (PP) 以上をもちまして、スライドの説明を終わらさせていただきます。と同時に、説明も 終わらさせていただきます。 どうもありがとうございました。(拍手) (2)平成18年度輸入食品監視指導計画(案)について 米国及びカナダにおける日本向けの牛肉認定施設の査察について ○司会 それでは、続きまして「○平成18年度輸入食品監視指導計画(案)につい て」と米国・カナダ産牛肉等への対応について、2つ続けて厚生労働省食品案全部監視 安全課道野輸入食品安全対策室長から御説明いたします。 ○道野輸入食品安全対策室長 御紹介いただきました厚生労働省食品安全部輸入食品安 全対策室の道野と申します。よろしくお願いします。 それでは、私の方から今、紹介あったように2点「平成18年度輸入食品監視指導計 画(案)について」と、12月にアメリカとカナダについて牛肉の輸入再開ということ に伴いまして、現地への査察に行ってまいりましたので、その内容について、続けて御 説明したいと思います。 それでは、最初に「平成18年度輸入食品監視指導計画(案)について」ということ について御説明しますけれども、計画の案そのものだけを御説明しても、なかなかわか りにくいということもありますので、私どもの方で実施している輸入食品の安全監視の 全体的な考え方とか、そういったことについても併せて御説明したいと思います。 監視指導計画(案)を実際に文章にしたものは、資料2ということでお手元にあると 思いますので、今から説明する内容は、その内容を少し整理して、ポイントを御説明す るということになりますので、御了承ください。 (PP) 「輸入食品の監視指導の基本的な考え方」ということでありますけれども、まず基本 的に食品衛生法の中での安全監視ということなんですが、平成15年に食品安全基本法 という法律ができました。平成13年にBSEの国内発生があって、その後、行政機構 について見直していこうということで、食品安全基本法の中身は、1つは食品安全確保 の基本的な考え方を書いたものですし、後段部分は内閣府の食品安全委員会の設置に関 することが書かれている法律です。 理念として「食品の安全確保は、国の内外における食品供給行程の各段階において適 切な措置を講じることにより行う」ということであります。これは別に役所だとか、事 業者の方とかと役割分担をしているわけではなくて、各段階において関係者がこういっ た考え方で進めていきましょうというような考え方です。 では、輸入食品についてはどうかということになると、大ざっぱに分けると輸入食品 の場合ですから、輸出国の生産段階なり製造加工段階での対策。 これは主に役所ということになるのかもしれないですけれども、水際での輸入時の対 策。 国内流通時での対策といった3つに分かれると思います。 (PP) 専らここは役所のアクションがほとんどなんですけれども、一部事業者の方にしっか りやってもらわないといけないということもありますので、ちょっとそこはごちゃ混ぜ に書いたので、少しわかりにくいかもしれませんけれども御了承ください。 具体的にどういうことが想定されるかというと、輸出国の段階において、やはり輸出 国での農薬なり食品添加物もあるでしょうし、食品の製造基準、製造規制などもあるで しょうけれども、そういったものの衛生対策ということがあります。 ここに書いていますのは「農薬等の使用管理」。 「証明書の発給」というのは、例えば食肉だとか食肉製品に関しては、国際貿易上ど この国から輸出する場合も、どこの国が輸入する場合も政府機関が発行した衛生証明書 というものが添付されています。これはどこの国も公的検査をやって、疾病なり人に感 染するような病気、牛だけではないですけれども、家畜から得られた肉ではないという こととか、一定の衛生基準に基づいて処理されたもの。そういったことが書かれている 証明書です。 それ以外にも「輸出前検査等」があります。日本から物を輸出するとき もそうですけれども、相手国の法令に合っているかどうかという、輸出段階での検査と いうことも行われるわけです。 先ほど橋端課長から御説明のあった検疫所の段階での検査ということになるわけです。 検疫所での輸入時での検査の考え方というのは、また後で詳しく御説明しますけれども、 先ほどの御説明の内容と大体同じと考えていただければといいと思います。 輸入通関した後、問われはないかと言っていて、それまで一応日本に陸揚げされてい ても、通関する前のものというのは、当然一般には流通できないわけです。関税法で保 税地域内から出すことができないわけですので、そういったものを外貨と言っています。 通関すると内貨と言います。 輸入時の検査というのは、通関の前に手続が済まないと、クリアーしないと税関の手 続に入れないという仕組みになっているわけです。したがって、税関手続が終わったも の、国内に入ってしまったものは内貨と言っているんですけれども、そこにいくと、今 度は食品衛生法の法体系でいうと、都道府県等、地方公共団体の方が安全監視をすると いうような役割分担になっています。 例えば埼玉県であれば、今さいたま市は指定都市になっていますので、さいたま市が さいたま市のエリアについては監視指導を行うと。さいたま市以外であれば、埼玉県が 担当する。川越とかそういった中核市なども、実はそれぞれに食品衛生法上そういった 監視指導の権限を持っているということになります。国内についても、今お話をしよう としている監視指導計画というのは、各都道府県ごとにつくるようになっています。 こういった監視指導計画に基づいて、検査なり監査なりということをやっていましょ うというのが食品衛生法の仕組みになっているわけです。 (PP) 「輸入時における検査制度」ということで、平たくいうと違反の蓋然性というか、食 品衛生法に違反するかどうかという可能性によって、検査のやり方とか考え方というの を変えています。 1つは「検査命令」というもので、「食品衛生法の不適格の可能性が高い食品等」と 書いていますけれども、要は違反の可能性が高いものということです。考え方としては、 可能性の高い対象食品というのは、事前に厚生労働省のホームページにも掲載していま すし、検査命令対象食品にするときには報道発表もしていますので、そういったことで 事前に明示しておいて、そういったものを輸入するという方については、自ら費用負担 をしていただいて、しかるべき検査機関で検査を受けていただくと。そういうような仕 組みになっているわけです。したがって、こういう場合には基本的に全ロット検査にな ります。 「モニタリング検査」は、要するに検査命令対象食品以外のもの。そういったものに ついては、年間計画に基づいてランダムサンプリングで検査をしていきましょうと。そ ういう中で、問題商品が見つかった場合には、更に検査を強化して、必要な場合には検 査命令に格上げしていくという考え方をとっているわけです。 そのほかに自主検査ということは非常に難しいんですけれども、事業者の方が自らの 負担で自主的な管理のために検査をしてもらうということなわけですけれども、勿論行 政側が行政指導でやった方がいいのではないですかと言って、指導するケースもあるわ けです。自主検査というのは、いろいろです。 (PP) 「輸入時の検査体制の概要」といったことで、モニタリング検査というものを始めと すると、当検査結果で問題が出てくると強化をし、違反の蓋然性が高い食品だと考える と検査命令に格上げをしていくと。 これは平成14年の法律改正で、包括輸入禁止規定というのができました。これは中 国産のホウレンソウのクロルピリフォスという有機リン系の殺虫剤の残留が問題になっ たときです。 それはどういうことかというと、幾ら輸入時に検査して合格しても、国内に入って検 査をすると引っかかるんです。それはどうしてかというと、やはり不均質に存在してい て、なおかつ検査で評価するというのは、あの段階では難しいだろうと。そういうもの について、当時の食品衛生法で一律に輸入が禁止できるかというとできなかったんです。 そういうのはおかしいのではないかという与党の先生方との議論の中で、こういった 制度を導入しておくべきではないかということになって、最終的には通常国会の最後ぎ りぎりで、役所での政府提案というのは難しいので、自民党の議員立法ということで、 こういった禁止措置というものが設けられました。 あとは、監視指導計画であるとか、残留農薬のポジティブリスト化とかというのは、 平成15年の食品衛生法改正のときに入れられた制度です。その1年前に、包括輸入禁 止制度というのは入れられたものです。 (PP) 「輸入食品監視指導計画とは」ということで、今、申し上げたとおり、平成15年に 改正された食品衛生法です。このときは、先ほど触れました残留農薬のポジティブリス ト化、基準のポジティブリスト化ということも一緒に制度化したものですけれども、こ の施行は今年5月なんですが、こういう監視指導指針に基づいて毎年計画をつくりまし ょうということで、この制度自体がスタートしたのは、15年の法律改正直後からスタ ートをしています。実際に計画をつくって始めているのは、16年度からということに なります。 どんなことを定めるかということなんですが「重点的に監視指導を実施すべき項目」、 項目というのは、食品もあれば検査項目もあると。 「輸入を行う営業者に対する自主的な衛生管理の実施に係る指導に関する事項」とい うことで、事業者の方にどういった衛生管理をやっていただくかということについて、 役所としてどうアドバイスしていくかというようなこと。 そういった内容について、毎年度計画を定めて公表をしていくと。 そういった場合に、パブリック・コメントもやっていますけれども、策定に当たって は広く国民の皆さんの意見を求めるということで、今回の意見交換会もそういったもの の一環だと受け止めていただければいいと思います。 もう一つは、計画だけつくってのではしようがないので、結果についてもきちんと公 表をしていくということであります。 (PP) 「輸入時に重点的に監視指導を実施すべき項目」ということでありますけれども、輸 入届出時に輸入届出、先ほど申し上げたような輸出国政府の証明書、代表的なものは食 肉もありますし、フグなどもございます。これは随分昔に日本の領海だった、要するに 日本の周辺海域からとれたものしか、フグについて輸入を認めていません。それはどう してかというと、やはり食経験等、毒性データとかそういったことがあって、とれると ころが違うとフグの毒性というのも変わってくるということもありますので、そういっ たものも政府の方のフグの鑑別の証明というものを求めているわけです。 更に輸入者からいろいろ、例えば製造工程の詳細だとか、原材料の詳細とか、そうい ったものの報告を徴収していくと。 もう一つは「輸入時モニタリング検査の実施」ということで、件数的にいうと来年度 は7万8,000 件。ちょっとしか増えていないと映るかもしれませんけれども、実は残 留農薬基準のポジティブリスト化ということで、対象にする物質が非常に増えていて、 見た目の件数よりも、役所の方の仕事としてはかなり増えてしまうということがありま す。 あと「モニタリング検査等で違反が発見された場合は、輸入時の検査を強化」してい く。基本的にはこういうような考え方です。 (PP) 「輸入食品のモニタリング検査の考え方」。7万7,000 件、7万8,000 件というの もどうやって算出しているのだということなんですが、実はこれは各食品の種類ごとに ずっと積み上げた数字なんです。 CODEXで書いていますけれども、統計学的に一定の信頼度で違反を検出すること ができるということは、統計学的に出した数字なわけです。例えば、95%の信頼度で違 反率が0.1 %以下ですと統計学的にサンプリング検査をやろうとすると、2,995 件連 続して違反がなければ、95%の信頼度で0.1 %以下と考えるわけなんですけれども、 通常、我々が使っている数字は、違反率1%以下で299 件。この検査をやるというこ とを、一応基本に置いています。 これは別に1%の違反を容認するという意味ではなくて、計画を立てるときに一応統 計学的な根拠を求めた場合に、それぞれの品目について、どういうふうな考え方でサン プリング計画をつくるかということで出している数字です。多分、企業でやっておられ る品質管理などの製品検査などでも同じような考え方をとっておられると思います。 (PP) 次は「厚生労働大臣による検査命令」ということです。これは16年の実績ベースで、 8万5,000 件ぐらいです。モニタリング検査が7万7,000 件ですけれども、検査命令 の方が8万5,000 件で、今日出てくるときに聞いたところによると、現在で141 品目 が検査命令の対象になっています。 要するに違反の蓋然性が高いということを、どういうふうに判断していくかという例 なんですけれども、やはり危害度の高いものについては、迅速に検査命令に移していこ うということが、考え方として1つあります。 例えば、O157が検出された場合だとか、そういった食中毒菌です。食中毒菌の場 合には、流通している間に増えてしまうので、そういう意味からいうと、食中毒菌が生 食用、そのまま食べる食品から検出されるような場合というのは、次からすぐに違反事 例があった段階で検査命令にシフトしていきましょうと。 アフラトキシンについては、発がん性物質。特に遺伝子毒性のあるものですので、そ ういったものについては、やはり検査命令にしていこうと。 検査命令の範囲ですけれども、そういうような原因が特定の製造者、加工者に限られ るということであれば、特定の製造者、加工者に対してということになりますけれども、 やはり国全体の問題ではないかと疑われるときは、広くかけていくということをやらな ければならないということになります。 農薬だとか動物用医薬品の残留基準に関しては、2回の違反が見つかった段階で、検 査命令ということにしています。1回目の違反が出た段階で、モニタリングの検査率を 50%に上げます。2回に1回の検査をやっていくと。ここまではモニタリングですから、 行政側が検査をしていくわけです。2回目に違反が出た段階で、検査命令にシフトする ということになります。 解除のやり方なんですけれども、勿論輸出国での安全対策というのはキーポイントに なってきますので、まずそういったことが確認されるということが重要になってきます し、検査命令をずっと続けていくと、検査実績もたまってくるということです。そうい ったところから、判断をするということになります。 (PP) こういうモニタリング検査の結果に基づいて強化をするという以外に「海外情報に基 づく緊急対応」ということです。多くの場合、外国のマスコミ報道ということが事件の きっかけになることが多いですけれども、それ以外にも国立医薬品食品衛生研究所の安 全情報部というところで、報道情報だけではなくて、各国の政府情報であるとか、学術 雑誌による法文なども調査をしていただいています。 また食品安全委員会の事務局の情報・緊急時対応課といったところでも、そういった 情報を収集しています。 どちらかというと、上の安全情報部の方は、学術関係の情報が多くて詳しいという感 じですけれども、食品安全委員会の方は政府関係情報だとか、報道関係の情報が割と整 理されて出てくると。上が2週間に1回で、下が1週間に1回ぐらいで、毎週見ている と世界でどういうことが起こっているかというのが、かなり効率よくわかるということ があります。 問題の食品が我が国に輸入されている場合ということですが、もっと端的にわかるの が、EUなどの場合には、違反食品が見つかった場合で、日本に輸出している可能性が ある場合には、EUアラートといって、外交ルートというか日本のEU代表部から情報 がこちらにすぐきます。そういったことで、その際に国内で輸入実績をすぐにコンピュ ータで調べると、どこの輸入者がいつ輸入したということがわかりますので、すぐに都 道府県に連絡をして、回収をしたりとか、その後、入ってくるものの検査を強化すると いうようなことがあります。 EUの情報が多いということで、具体例としては、フランス産のナチュラルチーズと いうようなことが出でいます。 (PP) 「輸出国における衛生対策の推進」。勿論、問題がないときも常に輸出国の政府と話 し合って、衛生対策ということで情報交換ができればいいんですけれども、日本の輸入 食品の状況というのは、先ほど橋端課長から説明のあったとおり6割が輸入ということ で、結局のところ、やはり問題が発生した段階で相手国と協議するということがほとん どです。 具体的な事例としては、例えば2番目の「検査命令が実施されている輸入食 品等について、輸出国政府に対する違反原因の究明及び再発防止策の確立を要請」して いくということ。 現地調査に出かけていく。2国間協議を通じて、農薬の現地での使用管理とか監視だ とか検査の体制の強化、輸出前検査の推進ということを図っていく。同時にその内容に ついて、現地調査や協議で確認をしていくと。 アメリカのビーフの話は非常にクローズアップされていますけれども、実はほかの残 留農薬の問題とか医薬品の問題、発がん性物質のアフラトキシンの問題、そういったも のとも同じようなやり方で、やはり解決をしていくということをやっています。 (PP) これは本文の方をまた後で見ていただければいいんですけれども、一般共通事項、各 食品部分ごとに輸入者に対して、基本的にこういうことを指導しましょうということで、 我我が整理している事項があります。 (PP) 実際に自主的な衛生管理として、どんなことがあるのかということですけれども、輸 入前の指導ということで、31か所のすべての検疫所にあるわけではないんですけれど も、全国の31か所のうちの一部、関東とか近畿、大きな港や空港には輸入食品の相談 指導室というものを設けていまして、事前相談を一応受けています。 やはり実際に入ってきてから違反でしたというのは、行政側も非常に負担が大きいし、 輸入者の方にはもっと負担が大きいわけですから、事前に確認をしていく。未然に防ぐ、 予防するということは、一番いいことだろうと考えています。 ただ、書類のチェックだけでわかる場合はいいですけれども、そうでない場合もある ので、やはり検査だとか、いろんな記録の保存だとか、そういったことも必要ですし、 各検疫所では輸入者や現地の通関業者、倉庫業者の皆さんにいろいろな形で講習会をや ったり、情報を提供したりして普及啓発ということもやっているわけです。 (PP) こういった検査を通じて、モニタリング検査でもそうですし、検査命令もそうですけ れども、違反が判明した場合ということですけれども、違反食品が既に国内流通してい るケースというのは、例えばモニタリングなどの場合で、1回目の違反ということがと きどきあります。そういったものに関しては、先ほど申し上げたとおり、内貨になった 場合には都道府県が食品衛生法の権限を持っていますので、都道府県の方で回収措置と いうことで確認をしていただくと。 違反のあった輸入者に対する措置ということですけれども、原因をきちんと確認をし てもらうということで再発を防止するというところでは、1つは重要と考えています。 同一製品を再度輸入する場合には、やはり改善の確認ということを慎重にやっていた だくというようなことになります。 上から2番目の都道府県が国内の検査で、違反を発見した場合ということもあります。 こういったときには、逆に今度は輸入時の検査を強化していくということも実施してい ます。 輸入検査で見つかったものと国内で流通したものを含めて、輸入食品で違反が見つか ったものに関しては、輸入食品の違反情報の公表ということで、厚生労働省のホームペ ージにすべて掲載しています。これは英語に直して外国の方にも見ていただいて、こう いうものは日本に輸出すると違反になるんだなという情報提供をして、予防措置という か、事前にそういったことで違反を防止してもらうということが重要だと思っています。 (PP) 今は平成17年度ですけれども、今年9月末までの現在やっている計画の途中経過で す。半年分です。 届出件数というのは、前年同月比で107 %、検査総数も106 %。前年度よりも増え てきていると。 モニタリングの検査は、7万7,000 件に対して、実施率が56%。半分のところで半 分ちょっとということで、順調に推移しているというようなことです。 先ほどちょっと触れましたけれども、1回違反があったもので、次が50%のモニタ リングの検査率になっているというものも43品目ということです。全輸出国を対象と しているもので1品目です。 検査命令に実際に移行してしまったものというのは、全輸出国に対して1品目。5か 国に対して8品目というようなことで、現状での合計は141 になっています。 「主な検査命令対象品目、違反状況」ということで、ここでは126 と書いています けれども、今は141 だということでございます。 (PP) 検疫所の輸入食品の衛生監視をする公務員の数が、非常に少ないということが言われ て久しくて、私は昭和61年に厚生労働省に入ったんですけれども、当時はまだ80人い なかった時代でした。平成元年が89名、17年は300 、来年度は非常に定員管理が厳し いところですけれども、314 ということで予算案は提出されることになっています。 ただ、どんどん人が増えればいいというわけではなくて、やはり中身というかトレー ニング、例えば検査分析などをする場合も、実際に今の横浜と神戸の検査センターをつ くったのは、平成の1けた年代の真ん中辺、3年、4年、5年ごろですけれども、人が 育って技術がしっかりとしてきて、相当数の検査数をこなせるようになるというには5 年、10年とかかって、そういう意味では最近は非常に軌道に乗ってきたわけですけれ ども、やはり人を増やすということと、能力を付けていくというのは少しタイムラグも ありますし、そういったことでいうと、人が増えるといった効果は、勿論統廃年度も出 るんでしょうけれども、だんだんと効果というのは出てくるんだろうと思っています。 (PP) 「おもな食品衛生法違反事例」ということです。これは先ほど橋端さんからありまし たので、省略します。 (PP) 現実に輸出国に対して問題食品ということで、対策を要請しているものには、こうい ったものがあります。最近のものでは、米国産のトウモロコシがあります。米国産のト ウモロコシのアフラトキシンの問題というのは、過去にも2回ぐらいあったわけですけ れども、89年のときの干ばつが一番ひどかったんだと思います。今回はそうでもない んだとは思うんですけれども、ただ、年末に当輸入時の検査で検出があったということ で、今は全ロット検査ということにしています。 (PP) 18年度、今年度の指導計画な主な改正ということで、要するに基本的な考え方とい うのは、17年度と18年度はそんなに大きく変わりません。ただ、モニタリング検査計 画を若干増やした。中身がかなりよくなっていますということを申し上げました。 それ以外に「BSEの問題に係る対日輸出牛肉の安全性確保」ということで、SRM の付着などがないかということについて、チェックをしていきましょうということ。 ポジティブリスト制度の導入ということで、動物用医薬品、農薬の残留検査について、 検査項目を拡大しようと。農薬の数にして、分析対象品目は700 以上になるんです。 そういったことになるので、検査法、分析方法については、今、東西の検査センター、 横浜と神戸の検査センターに検討をしてもらっています。できるだけ多くの検査項目を カバーできるようにと思っています。ただ、優先順位を付けてやらなければいけないの で、考え方としては、国際的に汎用をされている農薬にプライオリティーを付けて、A DIの小さいもの、ゼロ・トレランスになっているもの、そういうものの優先順位を高 くして、分析対象になり得るかどうかということで、検査法を検討してもらっています。 (PP) こういう説明の機会というのは、年に何回もないので、できるだけインターネットを 通じた情報提供というところで、皆さんも情報を得ていただければいいと思います。こ れは厚生労働省のホームページの次の食品安全というところをめくってもらうと、こう いうような形で出てきます。 (PP) 「輸入食品監視業務のホームページ」というものも、次のステップのところにありま す。この中では、こういった計画であるとか手続であるとか、検査命令というのはどう いうものに出ているのかと。 「輸出国の公的検査機関リスト」。これは自主検査をする機関として、輸出国側で政 府が認めた検査機関というものについて、リスト化します。 「違反事例情報」というようなことになっています。 (PP) 「国立医薬品食品衛生研究所の食品に関する情報」というところで、特に最近関心の 高いポジティブリスト化に伴って、やはり輸入者の方に自主管理という意味、地方の行 政機関の方にも参考情報としてということで、今20か国以上の農薬、動物用医薬品の 残留基準がここで見られるようになっています。 実際に使っているものは何かというようことも含めて、今後情報の充実を図っていこ うとしています。 各国の農薬や動物用医薬品の残留モニタリングの報告書といったものが、かなり参考 になるのではないかと考えています。 (PP) 私の時間は2時半までということになっていますので、引き続いて、あと25分ぐら いで「米国及びカナダにおける日本向けの牛肉認定施設の査察について(結果報告)」 ということで説明をさせていただきます。 今日はちょっと農林水産省の担当の方が来られなかったので、農林水産食品の担当部 分については、多分、質疑まで私の方で対応能力はないかもしれませんけれども、私の わかる範囲で農林水産省の担当部分についても説明をさせていただきたいと思います。 (PP) 全体としては、こんな流れで御説明をします。 査察の実施は、昨年12月13日〜24日まで、カナダは1日早く切り上げてきていま すけれども、アメリカのカンザス州、コロラド州、テキサス州、ネバダ州、あとカナダ のアルバータとサチュカチュアンです。そういったところに職員を派遣しまして、一応 合計で4チーム派遣をしまして、米国での日本向けの輸出プログラムの遵守状況という ことを確認する目的に行ってまいりました。 昨日、食品安全委員会と全国消費者団体連合会で説明でさせていただいたんですけれ ども、そこでちょっと説明の中に加えた方がいいと言われたことが幾つかあったので、 あらかじめお話をします。 査察の意義ということで、まず前段で御説明をしておきたいと思います。勿論日本も アメリカも、要は独立した国家ということですから、公的権力の行使というのは、日本 の公務員というのは日本の領国内だけしかできないわけです。それはアメリカにおいて も同じです。ですから、査察というのは、あくまでアメリカの政府と対日輸出の仕組み について、きちんと対応ができているのかどうか。そういうシステムがきちんとできて いるか、動いているかを確認するというのが、一義的な目的なわけです。やはり日米協 議を通じて、私どもとしてもアメリカでの実施体制であるとか、これまでのほかの国へ の輸出プログラムの実施状況等についても調査をしてまいりましたので、当然食品安全 委員会に諮問する段階では、一定の実効性というものは確認した上で諮問をしているわ けです。ただ、やはり食品安全委員会の中では、自由な議論ということもあるし、アメ リカでちゃんとできるのかいなということで、輸出プログラムが遵守されればというこ とで答申が出されたわけです。 私どもとしては、そういったことでアメリカでの実施体制というのは確保されている と考えていましたので、12月12日に解禁ということについて、アメリカ、カナダ側に 通知をしたというわけです。 査察自体は、先ほど申し上げたとおりアメリカのシステムが動いているかどうかとい うことを評価するわけですから、査察自体がそれぞれの個別施設に査察に行かないと、 その施設からは牛肉が輸出できないと受け取られていた方がかなりあったと、昨日伺っ ていましたので、査察というのはあくまでそうではなくて、アメリカ側が責任を持って 動かす制度について、日本側がそれを確認に行くということです。 これは別に一方的にアメリカから輸入するものについてやっているわけではなくて、 平成元年から日本の牛肉をアメリカに輸出するというプロジェクトもやっているわけで すけれども、それでも同じように、日本が輸出する牛肉に関しては、輸出可能な施設は 日本政府が認定をして監督をすると。輸出検査も日本でやる。アメリカの農務省は、年 に1回日本に査察にやってくると。それも同じように勿論権限を持ってくるわけではな くて、あくまで日本の対米輸出の検査体制、検査プログラムがきちんと動いているだろ うかということについて、確認に来るわけです。そこは、フィフティー・フィフティー とお考えいただければいいと思います。 (PP) まずは「1.輸出プログラム遵守の確認」ということで、要は日本向けの米国産の牛 肉、アメリカをちょっと中心に話をしてしまいますけれども、そこはお許しください。 アメリカの国内規制プラス日本向け輸出プログラムということで、2段重ねの制度にな っています。そういったことで上乗せ部分について、まずどうなのかということの確認 です。 (PP) 御承知かもしれませんけれども、ISO9000 という品質プログラムがあるわけですけれ ども、それをベースとしてQSAプログラム、Quality System Assueanceというプロ グラムで管理をしていく。それを農務省が認証すると。だから、実施主体は企業。通常 パッカーという、と畜とカットをする業者ですけれども、そこがプログラムをつくって、 それを農務省が承認するというのがアメリカの基本的なシステムです。農務省は年に2 回、内部監査なので同じ位置づけではないんですけれども、企業内部の監査ということ もやります。 こういう考え方のシステムというのは、例えば食品衛生法の中でも検査 機関の信頼性の確保であるとか、HACCPであるとか、そういったものでも同じよう に、ちょっと日本のいろんなシステムにはなじみにくい部分もあるんですけれども、内 部監査と外からの監査、こういう2つで監督していくというのは、食品関係の規制の中 では割と一般的になりつつあるわけです。 (PP) 「日本向け輸出プログラムの概要@」ということで、もう御承知のとおりで、SRM は全月齢から除去する。 牛肉は20か月齢以下由来ということが証明されること。 もう一つ大事なのは、これが国内向けだとか、カナダ向けだとか、ほかの製品ときっ ちり区分されているということが大事になるわけです。 (PP) 「日本向け輸出プログラムのイメージ(製造条件)」となっていますけれども、要は 各企業でそういった品質プログラムというものはつくっていますので、企業秘密に類す ることなので、こういったことが書かれていましたということを、ここで例示的に紹介 しているだけです。 これにはアメリカの国内規制プラス月齢の証明であるとか、区分をきちんとやるため にと畜シフトの最初にと畜をするとか、こういったことで識別なり管理なりをしますと いうことが、アメリカの国内規制プラスこういうことをやりますということで、書いて あるわけです。 (PP) こういった品質管理システムでは、結局、実際にこういうふうに基準に基づいて作業 をすると。その作業がちゃんとできているかどうかということを、モニタリングすると いう仕組みが必要なわけです。 ペンというのは生きた牛をと畜場に受け入れて、と殺するまで置いておく場所ですけ れども、そういうところでは牛のロットごとの管理ができているかどうかとか、計量タ グが適正に使用されているかとか、月齢確認牛の頭数と冷蔵庫での枝肉数量、要するに 元の生きた牛と枝肉の数が合っているかどうかとか、そういったようなことについてモ ニタリングをして、自主管理をするということになるわけです。 (PP) これが内部査察ですけれども、モニタリングとは別に企業の中で、そういったシステ ムが動いているかどうかということを、独立した部門を設けて査察をやることになって います。 1つはパッカーといって、と畜場とカット業者なんですけれども、そこが自分の施設 内についてやるということもありますし、フィードロットという牛を出荷するところ、 肥育するところにもサプライヤー、供給者として登録されているところ、自らの輸出プ ログラムの一部になってきますので、そういうフィードロットに対しても査察をやると いうことになります。 (PP) 予防措置というのは、要は不適合情報をいかに集めるか。問題情報をいかに集めるか ということで、顧客からのフィードバック、アメリカの方の査察結果等を通じた不適合 情報の収集もありますし、不適合事例が発見された場合は、是正措置を実施して記録す ると。勿論日本からの査察だとか、と畜場に常駐しているFSIS、食品安全検査局と いう農務省の部門ですけれども、そこの検査員からの指摘といったものもあります。 (PP) 一応「輸出プログラムの遵守について」ということで、要はアメリカで対日輸出施設 に認証してもらおうと思った場合には、@のように申請をして、農務省の方は書類審査、 現地の調査ということをやった上で認証をする仕組みになっています。 (PP) 遵守体制ということで、左側は先ほど御説明したので、右側の査察のポイントという ところですけれども、日本向け輸出プログラムに適合した体制ということで、要はプロ グラムの体制整備ができているかどうかというようなこと。それは実際にと畜場に行っ て、整備されているプログラム関係の書類というものを確認していく。 農務省の職員が、適切にこういった認証手続をやっているかどうかというようなこと も確認するわけです。 2番目の現場においてということですけれども、これはと畜、解体、カット、フィー ドロットなどにも行きましたけれども、現場においてルールどおり実施されているかど うか確認していくというようなことをやりました。 (PP) ここからは「2.月齢確認」ということで、20か月齢以下だということを、どうい うふうに確認していくかということです。 (PP) 「生産記録による月齢の確認」ということです。 (PP) 子牛農場は2つ行きました。1頭1頭の誕生日がわかるケースというのは、こういう ケースだということを見せるつもりで、今回アメリカ側が見せてくれたところだと思い ます。だから、あくまで全部の牛の誕生日がわかるわけはない。むしろそういうのは少 ないわけですから、今からお話する農場の例というのは、こういう例もあるんだと御認 識いただければいいと思います。 ここはどちらかというと、繁殖用の親牛を生産するというちょっと特殊な環境で、畜 産の関係の方はよく御存じかもしれないんですけれども、後代検定といって、子どもの 能力がどうかということを見るために肥育をして、出荷するという特殊な形態のところ です。一貫経営と書いています。 (PP) こういうところもそうなんですけれども、日本には余りいなくなったカウボーイです。 本当にアメリカにはまだいるんです。カウボーイが見回って、生まれた日だとか、体重 だとか、性別だとか、そういったことを記録している。それと同時に親がどれかという ことが、親牛の繁殖農場だと非常に重要なものですから、そういったことも記録がされ ています。 (PP) こういったものを、カウボーイが手帳に野っ原で書いてというところはすごく原始的 ですけれども、次の段階でこういったデータをコンピュータ管理していく。そういうよ うな仕組みになっています。 (PP) もう一つは、割と日本の和牛生産とよく似たような感じなんですけれども、アメリカ でも真っ黒けの牛でアンガスという種類の牛がいるわけですけれども、純粋アンガスと いうのは、かなり経済的価値が高いというか、プレミアムがつくわけです。これは、そ ういったアンガス専門の子牛生産農場で、2万エーカーと言っていましたから、1万ヘ クタールぐらいのところで、要するに地平線が見えるような牧場なんですけれども、私 たちが行ったときは、12月なので来年の春生まれる牛の親牛、ちょうど今お腹の中に 赤ちゃんがいるわけです。左側の写真です。そういうのがありました。 (PP) こういったところは、アンガスの認定プログラムというのが別途農務省であるんです けれども、まさに春の出産時期になると24時間体制で監視をして、これはプレミアム がつきますから、経済的インセンティブがあるので、いつ生まれたか、性別、体重とい うものも全部確認していくということをやっています。 もう一つこういうところの特徴は、自然繁殖というか、雄牛を入れて繁殖させるだけ ではなくて、こういうところの雄牛というのは随分高いらしいです。だから、最初に人 口受精をやってしまって、うまくいかなかったものを、そういった雄牛を導入して増や していくということもしているみたいです。 (PP) 生産記録というのは、こういった形で子牛の生産農家からフィードロットへ行きます。 (PP) このフィードロットは、6万頭収容ぐらいのところで、かなり大きなところです。で も、この中で月齢が確認できるものがどれぐらいいるかというと、私らが行ったときは、 一昨年7月と11月に生まれたフィードロットが2つの点でありましたけれども、それ は一応もうエイジビアリファイ、要するに、月齢が確認されたものとして肥育されて、 日本向けにと畜場に出されていく。そういう様式です。 アメリカでは日本向けが解禁されたということで、フィードロットの業界の方でも月 齢を確認するISO9000 のシステムを開発して、農務省の認証を受けるという動きがか なり活発になっているようです。 (PP) この左側はちょっと見えにくいですけれども、将来日本向けになるという誕生日がわ かったグループで、少なくとも何か月齢以下ですというグループです。例えば、要する に一番最初に生まれた牛の誕生日がわかっていて、一応それより後に生まれたものは、 みんなそいつと同じ誕生日よりは少なくともそれよりも若いだろうということで、出荷 をコントロールしていくということになるわけです。 (PP) フィードロットからパッカーにもこういった形で、今度はキャトルパスポートと書い ていますけれども、カービングのデート、キャトルエイジンマンスということで、月齢 を証明して出荷されていくということになります。 (PP) 日本向けのプログラムの中には、こういった一貫経営とかフィードロットというよう な形式のものがパッカーとの日本向けのプログラムに参加するケースと、別途フィード ロットが独自に月齢を認証するプログラムと両方あるわけです。 右側のフィードロットの場合には、どこの日本向けのパッカーにも出荷ができるとい うようなことになるわけです。 左側は、パッカー限定のシステムということになります。 (PP) これは出荷するときのトレーラーです。 (PP) 「生理学的成熟度による月齢の判別」ということです。 (PP) 例のA40といって、脊柱の特に棘突起が、軟骨がだんだんと年をとっていくと骨化 するということを利用して、20か月齢以下ということを確認しましょうというもう一 つの確認方法があります。これはと畜を解体して格付けをするということであって、格 付け結果で月齢を証明しましょうということです。 一応枝肉に関しては、Jスタンプというものを付けていって判別していくと。最終的 には、USDAが2回確認をして、確かにA40以下だということを確認する。格付員 という人も常駐をしているわけです。 (PP) 一応日本が輸入の再開を決めた段階で、12月12日付で、アメリカの方でもこのシス テムを動かし出したということです。 (PP) USDAの格付官に関しても、一定の能力のある人ということで、GS−9というの は、要するに日本の補佐よりも、もう少し技術的な側面も入れたランク付けだと思って ください。一定のランクの人です。こういう人というのは、アメリカの格付けシステム の中で、98%の信頼度というのは統計学的な数字なので、幾らやっても100 %にはな らないわけです。要するにサンプル数に依存するわけですけれども、相当のそういう能 力のある人と御理解いただければいいと思います。 (PP) 手順としては、A40以下は証明時にUSDA Accepted as Specified stampという のを付けると。後でお見せします。 (PP) 実際には、左側は通常の格付け、国内向けはみんなやるわけです。その中でA40以 下だというものについては、右側の冷蔵庫の中でもう一度それだけ集めて確認をして、 最終的に日本に輸出できるということを見ます。 (PP) これは、再確認をするときのものです。 (PP) 一応格付員は、勿論一定能力があるということですけれども、実際にそういった見本 を携帯して、確認をしていく。どういうふうなことでA40となったかと。これはある 意味では総合判定ということで、頸椎から始まって尾椎までの骨化の状態を見ながら、 最終的にA40ということを決めていくわけなので、それぞれの基になったデータも記 録するようにしています。 (PP) 後でお話をしますけれども、Jスタンプというのは、どうもA40以下になりそうだ なというものに、施設側が押していきます。それについて2回の確認を通じて、A40 以下だったものはUSDA Accepted という四角いスタンプが、その上から押されると いうことになるわけです。もしもA40だと思ったけれども、違ったというものは削ら れて、国内向けに回されるというふうになります。 (PP) と畜場の中の管理ということです。 (PP) 一応と畜場に関しては、アメリカは11か所を回ったわけですけれども、すべてにつ いて朝から出かけていって4時間ぐらいは、こういった書類の確認です。輸出プログラ ムと国内規制に関しては、HACCPプランの確認ということをやって、あと3時間ぐ らいかけて、製品保管庫から始まって、カット施設、と畜解体施設、生体受け入れと。 要するに汚染度の低いところから高いところを見ていくわけですけれども、そういった ことで現場を確認している。その後、また2時間ぐらいディスカッションをやってとい うようなことを、すべての施設でやりました。 SRMの範囲除去というのは、これはもう御案内のとおりで、日本と同じようにして もらっている。アメリカの国内規制というのは、中枢神経系、つまり頭とか脊髄とか脊 柱の扱いというのは、30か月齢以上はSRMなので、そこの部分については日本と合 わせてもらうということになります。具体的には、と畜解体段階で脊髄まできっちり取 ってもらって、それを最終的にUSDAの検査官が確認をすると。そういうシステムを とってもらうということになるわけです。 こういった施設のプランというのは、1つは安全対策ということでHACCPプラン に基づいて検討がされるわけです。アメリカで実際に私が回って見たところは5か所で すけれども、いずれのHACCPプランでもプライオリティーの高い、CCPとなるよ うなところというのは、O157 対策です。やはりアメリカサイドの一般的な考え方とし ては、BSEリスクは低いということで、プレリクジイットプランとか、SSOPを作 成するということで、SRMの除去というのは対応されています。ただ、いずれにして も、その手順というものはきちんと作成をされていますし、実際にやられているかどう かということのモニタリングと記録の保存ということもなされていました。 そういったことについては、勿論我々が行ったときも見ますけれども、米国・カナダ 政府が検証をしていくというようなシステムになっています。 (PP) 全体のと畜の流れとしては、生体を搬入するときに歩行困難牛を排除。これは国内規 制です。 今、申し上げたようなSRMの除去、頭部、扁桃、脊髄、回腸遠位部というものをと 畜解体工程で確認していく。その中でコンピュータ管理をしながら、固体管理をして、 各個体なり枝肉なり内臓なりというものの管理をしていきます。 (PP) それが枝肉になった段階で、先ほどの冷蔵庫の中のような感じですけれども、初めか ら月齢がわかって日本向けと決まっているものは、そのまま日本向けのレーンに入って いきますし、A40以下ということがわかって日本向けになるものは、格付け後に日本 向けのレーンに入っていくということになります。 (PP) USDAの検査体制ということですけれども、日本と同じように公務員がと畜検査を やっていて、ラインインスペクターとなって生体検査、頭部の検査、内臓の検査、枝肉 の検査というものをやっています。SRMの関係では、頭部検査では扁桃の除去という ことを確認しています。枝肉の検査では、脊髄の除去ということを確認しているという ことになります。 フロアインスペクターは、衛生管理を検証するということで、ラインに所属せずに、 巡回してSRMもそうですし、病原微生物対策も含めた衛生管理についての検証という ものをやっています。 勿論FSISの検査官というのは、国内規制を取り締まる役割なんですが、輸出に関 しても一定の役割を担っていて、対日輸出不適合品を発見した場合の措置ということで、 1つは日本向けの輸出証明書の署名を拒否するということになります。それと同時に、 要するに、日本向けに輸出できる施設かどうかというプログラムを認証しているところ が、AMS、Agriculture Marketing Service というんですけれども、そこに通報して、 AMSが緊急査察をやるということになるわけです。 (PP) 実際の現場ですけれども、これは生体の受け入れのところです。こうやって1頭ずつ 検査官が見て、歩行困難牛はチェックしていくということになります。 (PP) 生体受け入れ時に、先ほどちょっと横に掘っ立て小屋がありましたけれども、そうい うところで、どこのフィードロットから何頭来て、同じ耳標が付いているかどうかとい うことについて、書面の方でも確認をしていくということになります。 (PP) 外の生体の保管場所なんですけれども、こういったものをペンと言っているんですが、 ロットごとにそのペンに入れていくということです。 と畜施設に入っていくわけですけれども、1頭ずつ並んで気絶させられるわけなんで すが、1頭ずつ並んで入っていく途中で、マーキングをするというようなロット管理の 仕方もあります。 (PP) カナダに関しては、既に個体識別制度が入っていますので、固体識別のデータに基づ いてやっていくということになっています。 (PP) 日本では、と畜頭数の6割ぐらいがピッシングされているという状況です。アメリカ では、ピッシングはやられていません。こういった割と大型のスタンニング、ここに穴 をあけて気絶させるんですが、かなり大型で、日本のものよりも大分威力がありそうな 機械を使っています。 (PP) その後、放血をして皮をはぐわけです。皮をはぐ前に、こういう耳標を読み取って、 個体管理データを確保するということになります。 (PP) あとは、検査をしていくわけですけれども、例えば全部廃棄しなければいけないとい う病気が見つかった場合などに、確実に廃棄ができるようにということで、左側にある ような、ああいう札を枝肉とか頭、頭の上にオレンジで書いていますけれども、ああい うところにくっ付けて個体管理をやっています。 左側で口外扁桃、右側のタンの方は、まだ取れていないですけれども、舌扁桃の除去 をやっているところになります。 (PP) 格付け終了までを下には保管と書いていますけれども、左側は舌扁桃を取った後なん です。右がA40になりそうなものを、Jと押しますね。そのタンだけ残してあるわけ です。A40以下と最終的に確認されたら、確認された固体のタンだけを日本に輸出し ようということでやっているところが、一部ありました。これは全部でやっているわけ ではないです。一部でそういうものがありました。 (PP) 背割りは日本と同じですけれども、勿論日本と同じように背割り後に1頭ごとに洗浄 するということをやっています。 (PP) 私の見たところは、全部こういう機械で脊髄は除去していました。先にグラインダー が付いていて、これは硬膜もかなりきれい取れるというようなもので、この辺はきちっ と対応されているのではないかと思います。 (PP) ちょっと見にくいですけれども、真ん中に白いものがくっ付いている方が除去前、向 こうの脊椎の間が見えているもの、脊髄の骨の内側が見ている方が除去後ということに なります。 (PP) これは高圧洗浄ということで、病原微生物対策もあるんですけれども、有機酸とか高 温、83度以上の熱湯で洗浄するというのが、大手のパッカーは少なくても一般化して います。(PP) 枝肉になった段階で、こういったタグでもう一度コンピュータからのデータを引っ張 り出してきて、それに更に去勢牛だとか、固体の確認だとか、重量だとか、そういった データをどんどん追加していきます。 (PP) こういった形で、日本向けレーンに保管されます。 (PP) カット施設に入って行きます。ここからが今度は時間ごとの管理になってくるわけで す。同一のグレードのものにしか、同一のロットのものしかカットしない。その間は時 間をあけて、ラインを空にして、箱やラベルも全部交換をするということをやっていま す。これはグレードチェンジというんですけれども、そうやって、例えば今日の朝の8 時12分〜9時半までは日本向けをカットするということにすると、その前のものが全 部片付いて、関係の器具、機材を全部交換してから、今度、次の日本向けロットをやる と。日本向けロットが終わったら、また同じことをやって、次のロットに入っていくと。 そういう管理がされている。これはどこも同じです。 (PP) 箱詰めされたものに関しても、左側は58703 と書いてありますが、58というのが月 齢確認がされた牛由来の日本向けのものということだそうです。 右側は、ブルーの字になっていますけれども、ああいう製品番号で日本向けのアウト サービスカットとかで管理をしているようです。 (PP) 「4.飼料規制」は、ちょっと時間もあれですので、もう省略します。 (PP) 簡単に言えば、今回の調査は農場2か所、フィードロット1か所、と畜施設に併設さ れたレンダリング施設を見たんですけれども、そういったところではFDAの定期的な 監視だとか、実際につくられているものについて一通り見せてもらって、アメリカの国 内規制に対する違反行為というものはなかったという調査結果だったということです。 もう時間が過ぎてしまいましたので、私からの説明は以上です。どうも御清聴ありが とうございました。(拍手) ○司会 それでは、ここで10分程度休憩を設けさせていただきたいと思います。切り がいいので、14時50分から開始したいと思いますので、よろしくお願いいたします。 3 休 憩 4 パネルディスカッション及び意見交換 ○森田情報管理専門官 それでは、時間となりましたので、これから「4 パネルディ スカッション及び意見交換会」を行います。 引き続きパネルディスカッション、意見交換のコーディネーターとして進行管理をさ せていただきます。 まず、パネリストの方から御紹介をいたします。中央の方、左手から右手に向かいま して、埼玉県消費者団体連絡会代表幹事伊藤恭一様です。 続きまして、社団法人日本輸入食品安全推進協会運営委員芝弘孝様です。 日本食肉輸出入協会理事藤原宣正様です。 農林水産省消費・安全局消費・安全政策課古畑課長補佐です。 食品安全委員会事務局勧告広報課芦原専門官です。 皆さんから向かって、左から3番目は、講演をいただきました道野輸入食品安全対策 室長です。 続きまして、その左、橋端成田空港検疫所食品監視課長です。 以上の7名です。 最初にパネルディスカッション及び意見交換の進め方につきまして、御案内をいたし ます。パネルディスカッション、意見交換会につきましては、御説明した話題ごとに議 論を進めていきたいと思います。本日は3つ「輸入食品監視の現状」と「平成18年度 輸入食品監視指導計画(案)」、米国・カナダ産牛肉等への対応ということでございま す。これらは相互に関係はするんですけれども、ここでは一つひとつ取り上げてディス カッションをしていきたいと思っております。一つひとつの話題に関しまして、パネリ スト間でのディスカッションの後、会場の皆さんからの意見、質問を受ける機会を設け ていきたいと思います。 それでは、早速ですけれども、最初の話題に入りたいと思います。 「輸入食品監視の現状」ということで、特に成田空港での取組みということについて、 詳細に御説明をいただきました。輸入食品につきまして、安全だと思えないというよう な声もありますし、その一方で、事前にいただいた意見の中でもあるんですけれども、 国産品に比べても、水際などで厳しくチェックされているというような意見もございま す。 そこで、輸入食品につきまして、どうお考えになっているのかと。日ごろからの印象 ですとか、本日の説明に関する質問とか意見、そういったことについてパネリストの方 にお伺いをしたいと思います。 まず最初は、どこの会場でもそうですけれども、ちょっと恐縮なんですけれども、消 費者の代表の方ということで、伊藤様からコメントをいただければと思います。 ○伊藤埼玉県消費者団体連絡会代表幹事 何分ぐらいですか。 ○森田情報管理専門官 2、3分ぐらいでお願いします。何回かに区切ってできるかと 思います。 ○伊藤埼玉県消費者団体連絡会代表幹事 紹介いただきました伊藤でございます。 輸入食品というよりも、食品安全行政全般について、最近の消費者団体としての感想 を申し上げたい。たびたびこんな場があるわけではありませんので、申し上げたいんで すが、先ほど来ありましたように、平成15年に食品衛生法が改正され、基本法ができ、 安全をつかさどるツールとして、リスクアナリシス、そういうものができるようになっ て、消費者としては、この数年で食品安全行政は大きく前進したなということで、大変 喜んでおります。 今日のリスクコミュニケーションもその一環として、昨日も全国消団連であり、そう いう意味では、安全というのと安心が一致するように、いろいろ行政の方でも努力して いただいているということについて、敬意を表したいと思います。 今日は、輸入食品の問題ですが、先ほど説明ありましたけれども、私も専門家ではあ りませんので、数字の違いだとか、あるいは認識の違いがあったら後で訂正いただきた いんですが、大まかにいって、先ほどありましたように180 万弱の輸入があり、おお むね10%ぐらいが命令検査を含めてされているという話でした。それで違反が、私も 毎月通関情報を見させていただいているんですが、100 件ぐらいということで、0.1 と か何とかという数字ですね。後で推移は見てください。そういうふうになっていて、非 常に少ないとは受け止めておりますけれども、ただ、残り9割がされないで、毎月100 件弱の違反が出ているということでいうと、もしその後1割しかやっていないわけで すから、10倍したときに、1万件前後の違反件数があると考えたときに、1個ではあ りませんからね。パーセンテージは少ないけれども、一人ひとりが食べると考えた場合 に、まだまだそういう違反のものを消費者は食べているということが、実情なのではな いかなと思っております。 そういうことで、願いは食品衛生法が改正されたときの国会決議にありましたように、 やはり輸入食品の検査を重視すると、体制を強化するということが書いてあったわけで すから、先ほど300 名になったようですが、まだまだ体制が十分ではないと思ってお りますので、強化をしてもらいたいと。どこまで強化をするのかという数字は申し上げ られませんが、後のセッションで思いを申し上げますが、そういうことが1つです。 2つ目はいろんな事例があって、一時期のように農薬が基準オーバーで出ているとい うことは少なくなったかと思うんですが、そうはいっても重大な事例がまだ起きている わけです。私の認識では、特に昨年世界中で騒がれたのが、1つは食品の着色料のスー ダン。発がん性物質がある。昨年2月〜4月ヨーロッパでたくさん出回ったわけです。 日本ではたまたまそれを検査したら、03年のときにあったらしいんですが、昨年はな かったということでよかったわけです。 もう一つは、ウナギです。先ほども表にありましたように、中国産と台湾産のウナギ の動物医薬品がありましたね。あれはマラカイトグリーンではないかと思うんですが、 これは検出されてはいけない物質なわけで、台湾で日本が検査する1か月前に発見され たと。だから、これは検査されたようですが、どうもウナギの日が終わってから発表さ れたということで、発表されたときには、皆さんのウナギの日が終わった後の、胃袋の 中に入ってしまったという事態があるわけで、これはそもそも検出されてはいけないと いうものなわけですから、そういう重大な問題については迅速に対処していただくと。 こういうことをまだまだ、いろいろ前進はしてきていますけれども、本当に国民の健康 保護第一という立場から対策強化し、迅速な検査体制をいろいろ引いていただければと 思っています。 ちょっと時間がありませんので、こんな程度で最初はやめておきます。以上です。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございました。 それでは、芝様からお願いできますでしょうか。 ○芝日本輸入食品安全推進協会運営委員 私どもの輸入食品安全推進協会と申しますの は、安全な輸入食品を消費者にお届けするためのお手伝いを、業界加盟の各団体を通じ て行っていくという協会でございます。加盟している団体といたしましては、多方面な 団体がございまして、輸入品の原材料、あるいは加工品を輸入する商社から、それらを 使って製造し、販売するメーカー並びにスーパー、百貨店等の流通会社、輸入品を検査 する会社と多岐にわたります。ですから、こういういろんなところの情報を集めまして、 とにかく安全な輸入品を確保するために、とにかく迅速に物事に対処しなければいけな いと考えて、お手伝いをしています。 昨今の状況におきましては、やはり違法な添加物、あるいは規格基準に違反するもの、 こういうものの混入とかがなかなかなくならない。カビ毒などの問題、遺伝子組換え食 品、まだいろいろとございますので、これらにつきましても、厚生省並びに検疫所など の情報、または海外の情報、加盟団体からのどちらかというと内部というかすごい早い 情報、こういうものを加盟団体に対し迅速に情報提供させていただきまして、皆様が安 全な食品を輸入できるように、早目に輸出国にさかのぼって安全を確認できるという体 制をとれるように、長中期的な対策を打てるように、こういうことでお手伝いしたいな と考えております。ですから、今日のような場をもらいまして、またそのように情報を いただき、またリスクコミュニケーションできたらいいなと思っております。 以上です。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございました。 それでは、藤原様からもお願いできますか。 ○藤原日本食肉輸出入協会理事 私はこの名前に書いてあるとおり、食肉の輸出入協会 から来ていますが、皆さん御存じだと思うんですが、今、食肉の豚、牛、鳥、全体に生 肉だけで見ても約半分が輸入物でシェアされていると。輸入物を避けることはできない と。 ただし、この5年間で私自身がわかるのは、5年前と今を比べて、非常に監視体制が 厳しくなっているというか、前があまかったのかもしれないですが、厳しくなってきて います。それでもまだまだ、いわゆるモニタリングにしろ、検査の検体そのものはやは り少ないということで、まだ万全ではないと思います。ただし、輸入する立場の者が、 日本の国内法、すなわち衛生法なり等々の国内法をきちんと輸出国に守らせるような考 え方で、物を買い付けるということが、一番私は大事なことではないかなと。 私は、10年前を振り返りますと、やはり輸入を持ってくればいいという雰囲気も日 本の会社の中にはあったと思うんですが、それでは今もう全然対処できなくなっていま す。 私はこの会が始まる前に、いい言葉を1つ隣の伊藤さんから聞いたことは、安心とは 何ぞやということに対して、安心とは信頼を得ることですと。この言葉はやはり大事で はないかなと思います。 以上です。 ○森田情報管理専門官 どうもありがとうございました。 伊藤様の方から、今10%ぐらいの検査、残り9割ぐらいは検査せずに通っていて、 結果的にはまだまだ違反の物が、要するに知らずに出回っているのではないかというこ と。それはウナギの例もあって、実際に発表されたときにはもう既に口に入っているよ うなこともあるので、迅速な対応を今後とも進めていきたいと、いってもらいたいとい うような感じの御意見かなと思います。 また、柴田様は、業者の方としては、研究所とか海外とかいろんな情報を入手して、 できるだけ早目に輸出国の方でちゃんと体制がとれるようにやっていきたいと考えてい ると。 また、藤原様からは、検査自体が十分ではないという御認識ではあるけれども、 できるだけ国内法を守るということを前提に対処していくというのが大事だということ です。また、信頼を得るようにやっていきたいというような御意見かと思います。 一番最初の伊藤様の御発言に対しまして、道野室長の方から、もし何かコメントがあ ればお願いしたいと思います。 ○道野輸入食品安全対策室長 ありがとうございます。 まず、私の説明の中でも若干触れたんですけれども、やはり検査率が10%だと、数 字だけ見ると、違反率が0.1 %だったら、全部計算したら違反率も10倍になるのでは ないかと思われるケースというのがあるんだろうと思います。 私の方で先ほどちょっと説明させていただいたとおり、やはり違反の蓋然性が高いと 判断されるものについては、全ロット検査をすると。それ以外のものについても、一定 頻度で検査をして、問題があるものがないかどうかということについてチェックをして いくという考え方でやっているので、単純にほかに検査していないものに違反がないと は私も断言は全くできないですけれども、やはり効率的に違反品を発見しているような システムは、私どもの方としてもある程度とれているのではないかと思っています。 ただし、モニタリング検査をもっと増やせばいいのではないかという議論は当然ある わけですし、私どももそういったことも含めて予算要求なり、人の要求なりというのを 従来からやってきていますし、今後もしっかりその辺は対応していきたいと考えていま す。 実際に輸入食品の検査制度の話は、藤原さんからも大分厳しくなってきたと御発言が ありましたけれども、ここの10年というと、平成7年に1回法律改正をして、14年と 15年に3回法律改正をしています。 平成7年のときは、検査命令制度というものを改善して、今のようなシステムにして、 モニタリング検査と検査制度というものを明確に分けて、違反の蓋然性に応じた検査シ ステムをつくったと。 もう一つは、それまでは輸入届書という紙をみんな出してもらって、その書類に基づ いて輸入時の審査というものをやっていたんです。それを電算化して、勿論手続をする 方も、審査をする方も、そういった意味でいうと省力化と合理化ということをしていて、 検査の方に人を重点的に振り分けられるようにしようというようなこともやってきてい ます。14年の改正は、先ほど申し上げたとおり、そういう包括的な禁止規定、中国産 のホウレンソウの問題もあって、そういうものを入れました。 15年の改正ということで、ちょっと触れませんでしたけれども、今度は、要は輸入 者の行政処分に関する規定だとか、検査機関を登録検査機関ということで、一定の能力 と信頼性のあるところは公益法人に限らず、多様な検査機関が食品衛生法に基づく検査 ができるようにして、検査の機会をもっと広げていこうと。事業者の方の選択肢も広げ ていって、検査をやっていただこうというようなことで、対応してきています。 あと、最後に個別事例ですけれども、中国産のウナギの問題というのは、私もかつて、 このポストに就任したときに業界誌に書いたんですけれども、台湾産についても、中国 産についても、ずっと残留物質問題というのは継続しているんです。そういうイタチご っこ的なところがあって、こちらの検査の強化も大事ですけれども、やはり輸出国との 対話というものが重要で、中国の場合には、経済パートナーシップというような枠組み とか、そういったところで、政府間でしっかりやりましょうということについて、ディ スカッションをし、そして中国側もかなり積極的に動くようになってきていますし、以 前に比べると、私は中国の取組みというのは、大分進んできているし、日本に対して輸 出する食品について、いろいろな観点で注意するようになってきているのではないかな と。特にここ2、3年では、そう感じています。 以上です。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございます。 2国間の話し合いの中でちゃんと守らせるようにということ、あるいは検査の仕組み とか、いろんな法体系などの整備を通じて、できるだけ万全を期すようにという形での 対応をしてきていると。そういうようなお話でございます。 政府の中では、確かに2国間で協議して、ちゃんと守らせていくということもありま すけれども、そもそも輸入者の方からも国内法を守らせるようにすることが大事だとい うようなお話を先ほど藤原さんの方からもいただきました。 では、輸入者としては、どうやって守るようにやっているのかということを、もう少 し具体的にお話いただければなと思うんですけれども、藤原様か芝様か、もし何かコメ ントをいただければありがたいです。 ○藤原日本食肉輸出入協会理事 ちょっとポイントはずれる可能性かもありますけれど も、道野さんからのいろんな指摘の中でも、やはり食品の輸入の半分ぐらいが今は中国 ですか。アジアの中の半分、だから全体でいうと4分の1ぐらいですね。非常に増えて いると。みんな中国に向けていくのも、私どもの商社の立場からいっても、やはり安い コストで日本に持ってこられるという期待感が非常に大きいと思います。 ただ、私はこの5年間で非常に気づくのは、安いことが安全性を無視してもいいとい うことには絶対につながってはいけないんです。往々にして、例えば、私ども日本の鶏 肉の関係の工場を見ていても、この5年間で食鳥検査規定がどんどん厳しくなって、コ ストが上がっています。やはり輸入物で、海外、特にアジアなどでつくるにしても、コ ストは 遡及するのはやむを得ない。当たり前のことなんが、それと安全性を軽んじるというこ とは、やはり一緒なってはいけないということを頭に置いて、消費者のそれぞれの担当 者が意識を毎日持っていけば、大分変わってくると思います。 それと冒頭でも申し上げましたけれども、今、日本という国の食生活において、やは り輸入物が半分以上を占めているということは、無視はできない。そうすると、限りな く安全、安心なものを持ってくるという努力を、水際で買う立場の者が意識を強くすれ ば、政府の役所の仕事も減らせることができるのではないかと思います。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございました。 ○藤原日本食肉輸出入協会理事 よろしいですか。もう一度ごめんなさい。 これは私の記憶違いかもしれませんが、昨日1月10日付で厚生労働省の方から出て いる文書を見ていましたら、法律の強化によって輸入者が違反を繰り返しやったり、故 意な違反事例をやった場合、輸入のライセンスを剥奪したり、その他いろんな罰則を受 けると。ですから、昔に比べたら安直なる気持ちで輸入申告をして持ってきた場合に、 下手をしたら会社をつぶすような罰則を受けることがあるということが、昨日辺り非常 に顕在化しているのではないかなと思います。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございました。 伊藤様、追加のコメント等何かございますでしょうか。 ○伊藤埼玉県消費者団体連絡会代表幹事 先ほど申し上げましたように、この数年安全 行政は大変進歩していて、輸入監視指導も強まっていると。モニタリングが3、4%等 で、全体で10%という話がありましたが、それが効率的にされていると。こういうこ とですが、やはり効率的にされているためには、中国の話がありましたが、情報を世界 中から、同じようなものが流れているわけですから、アンテナを張って、その情報に基 づいて適宜機敏に検査をすると。こういうことが必要だと思っていますし、そういう意 味では、そういうような努力がされているのかなと。 検査率は少ないけれども、それを毎年毎年やっていくことによって、蓋然性の高いと ころには命令検査に行ったり、包括輸入禁止になったりと、こういうふうに積み上がっ てもきておりますので、そういうことの中で、先ほど話がありましたが、業者の方でも 気をつけて輸入をする。あるいは輸出する国でも、国との関係での話し合いもあるよう ですけれども、気をつけて、より安全なものを法令遵守で出すというようなことが、だ んだん積み上がっていけば、必ずしも数の問題ではないと思いますが、これでだんだん 違反件数が減ってくるということが一番消費者にとっても望ましいことなのかなと感じ ております。 ○森田情報管理専門官 どうもありがとうございました。 それでは、時間もありませんので、ここで会場の方からも御意見をいただきたいと思 います。 御意見、御質問をいただく場合ですけれども、ある方はまず挙手をお願いいたします。 私の方から御発言いただく方を指名させていただきます。そして、指名された方は係の 者がマイクを持っていきますので、御指名と、もしお差し支えなければ御所属と立場と いったものを述べていただいてから、御発言をお願いいたします。 そこで御意見、御質問についてなんですけれども、これはどこの意見交換会でも大体 やっているんですけれども、一人2分ぐらいでお願いをしたいと思っております。1分 半でベルを1回鳴らします。それでまとめていただいて、その後、2分ぐらいになった らベルを2回鳴らします。それで次の方に譲っていただくようにしていただければと思 います。いろんな方が、いろんな立場で意見を述べるというのが、この会の目的ですの で、是非積極的な御発言をいただきたいと思います。 それでは、御意見のある方は手を挙げていただければと思います。 (挙手なし) 今の説明とディスカッションで、大体わかられたという感じですかね。もしあれでし たら、最後に全体の発言の機会を設けたいと思いますので、そちらの方で何かあれば御 意見をいただきたいと思います。 それでは、次の話題の方に移らさせていただきたいと思います。次の話題は「平成1 8年度輸入食品監視指導計画(案)について」というものでございます。 今年5月から残留農薬のポジティブリスト制度が導入されるということ、あるいは米 国産、カナダ産の牛肉の輸入再開が始まったといったことで、今後とも輸入食品の監視 指導については、重点的かつ効果的、効率的な対応が必要ということかと思います。 ここで来年度の輸入監視指導計画に関しまして、パネラーの方から御意見、御質問が ありましたら、一言ずつでも結構でございますので、お願いしたいと思います。 伊藤様の方から、お願いできますでしょうか。 ○伊藤埼玉県消費者団体連絡会代表幹事 さっきも消費者として期待、だんだんどう違 反が減っていくのかということでやっていただきたいと言ったんですが、ちょっと振り 返ってお話申し上げたいんですが、先ほどから食品安全行政がこの間大きく前進したと 言っておりますけれども、そのターニングポイントといいますか、大きく変わったこと は、食品安全業務が03年、平成15年にできたわけですが、その1年前にBSE問題に 関する調査検討委員会報告というのがあったわけです。 01年9月にBSEが発生して、その前後は、農薬にしても、あるいは添加物にして も、いろいろ認められなかったものが出回っていた。あるいは中国のいろんな残留農薬 が多かった。こういうことで食の問題も非常に大きな社会問題になって、その上でBS Eが発生して、どうするんだということで、厚労省と農水省さんの2つの省にまたがっ て検討委員会をやり、3つの報告を大きく出したんですが、3部に食品の安全性の確保 に関する基本原則の確立という報告があるわけです。これは非常に消費者としても大歓 迎をしておりまして、この辺りから消費者に軸足を置いてということが言われるように なった。その前はどうだったのかということを言いたくもなるわけですが、いずれにし てもここで書かれているのは、大きく2つあるわけです。 1つは、消費者の健康保護の最優先。つまり軸足を置いてということが、消費者の健 康保護の最優先という理念を食品安全行政の中で初めて国で掲げたと。そして、それを 実効あるものにしていくために、その目的を達成するための予防原則に立った措置も含 む行政及び事業者等の責務を定めるなどの抜本的な改正、見直しが必要であるという理 念が打ち立てられた。それに基づいて基本法ができ、衛生法が変えられ、今のようにい ろんな輸入監視指導計画を含めて、大きな前進をしてきたわけです。 いつもこの立場で安全行政を見てもらいたい。殊に輸入食品の監視指導計画も、そう いう立場から、だから私は数字はわからないということは、そういうことです。何%の モニタリングをやればいいかというのはわかりませんと。でも、だんだんそういうこと を繰り返しながら、輸出国あるいは輸入業者、そしていろんな情報を張りめぐらして減 るようにしてくださいと。本当に消費者の健康保護を最優先にできるような最大限の努 力をやってくださいということをいっているわけです。 そういう意味で、この原則の踏み外しのないように、その立場で真摯に指導計画を、 これで国民に胸を張って言える計画なのかどうか、そういう視点で計画をつくってもら いたいと思っております。 蛇足ですが、次のセッションに移るBSEの問題ですね。そこに合わせてリスク分析 手法の導入ということが書いてあるわけですが、独立性というのが強調されているわけ です。この間透明性は確保されているけれども、どうも独立性という点ではいかがなも のかと。あるいはリスクコミュニケーションというのは、私は消費者の安全、安心とい う、どうも科学的な安全性は担保されているのに、消費者の安心が得られていない。こ ういう話がよくあります。安心はさっき言った信頼という話なんですが、そういう努力 を積み上げていけば、国の行政も信頼していうことについて、安心していくわけですけ れども、今はそういうプロセスだと思っております。 ただ、気になるのは、昨日もあり、今日もあるんですが、ややもすればリスクコミュ ニケーションが説明の場で、説得をする場になっているのではないかと。でも、最終的 にはリスクコミュニケーションの安心、安全を一体化するためには、消費者がどう納得 するかといったら、納得できなければ、どうしたらもっと説明できれば、それは消費者 に理解できてもらえるのかというような、いろんな努力が必要なのではないかと思って おりますが、そんな姿勢で今の食品安全行政の見直しをしていただいて、その重要な世 界から日本の食べる6割が来ているわけですから、輸入食品の安全確保の計画、体制を つくっていただきたいと思っています。 以上です。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございました。 それでは、芝様からも一言お願いします。 ○芝日本輸入食品安全推進協会運営委員 今年のやはり一番の問題は、先ほどから出て おりました残留農薬の問題であろうかと思っております。何度も今、安全、安心を担保 するには、信頼が大事だと言っておりますけれども、まさしくそのとおりでございまし て、残留農薬のポジティブリスト化に対しましても、しっかりと消費者に対して信頼を 得てもらうような活動が必要かと考えています。 しかしながら、従来数年前までは書類で食品安全法に合致しています。違反しており ませんというようなことを輸出先からとっておけば、ある程度安全かということで活動 していましたけれども、この時代になりますと、しっかりと安全であるということの証 拠というかエビデンス、そういうものがしっかり求められている厳しい時代になってま いりました。 我々としても、残留農薬のポジティブリスト化というものに対しては、一律基準がで きたすべての農薬を分析で保証できるわけではありませんので、しっかりと生産国ある いは輸出先の状況を、使用している農薬にはどんなものがあるか、あるいは混入する可 能性のある農薬にはどんなものがあるか、そういう情報をしっかりとった上で、それら のリスクの高い農薬については、検査できるものをしっかり検査する。あるいは一応基 準、規格の持っている農薬についても検索する。こういうことで対処していきたいなと 考えている次第です。 こういう体制をとりながら、やはり信頼性を確保するためには、輸出国あるいは生産 者というところに、日本の法律、やはり現状というものをよく知ってもらうように働き かけてもらうよう、業界加盟団体各社さんにはお願いしている次第です。こういうこと が信頼を築くために重要かと考えております。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございました。 藤原様から、お願いいたします。 ○藤原日本食肉輸出入協会理事 私ども輸入に関する者から言わせれば、やはり今年の 一番の注目事項は、今、芝さんがおっしゃったようにポジティブリストの問題なんです。 私どもは肉ということをとらえて、例えば日本の輸入の鶏肉の何十万トンのうち9割の 輸入先が、今ブラジルに偏在しているというような状況なんです。ブラジル辺りのミー トパッカーというか、肉処理会社辺りは、こういう言い方をすると非常に乱暴なんです が、少なくとも3年以上前までは余り日本の法律が変わるだとか、新しい検査が増える、 気にしないパッカーが多かったわけですが、今回の今年五月二十何日に施行させること においては、もう去年10月ごろから、矢継ぎ早というかすごく我々が逆に輸出者から 追及を受けていると。どうなるんだ、どういうリストがあるんだと。どういう検査をす るんだと。要するに違反を摘発されたくない。きちんとしたものをやろうという対応で はないかと私は思っています。 ですから、前は日本は非常に食品において厳しいなというような言い方をしていた向 きが私も含めてあったかもしれないですが、今だんだんとそれがなじんできたといった らおかしな言い方ですが、やはりまともな正常なる方向に進もうということですので、 いわゆる強化実行策というのは、私は非常にいいことだと思います。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございました。 伊藤様から、定量的というより、むしろ定性的な御意見で、できるだけ違反をなくす ような方向で監視指導計画というのを立てていってほしいというような御意見だったか なと思います。 芝様も藤原様も、むしろ監視指導計画に対する意見というよりは、今後導入される残 留農薬のポジティブリスト制度に対して、基準に違反しないような取組みをやっていく ことは、自分たちとしても大事だから、ちゃんと情報をとって、エビデンスもとってや っていこうと。そういうようなお話であったかなと思います。 そこで一点だけ、またこれも定性的な話かもしれませんけれども、今後の輸入食品の 監視指導計画の立て方について、基本的な方針とか、どういうふうな形で今後進めてい きたいと思っているのかということについて、道野室長の方からも御意見、コメントを いただければと思います。 ○道野輸入食品安全対策室長 伊藤さんがおっしゃったとおり、ここ数年でいろんな意 味で食品衛生行政といいましょうか、食品安全行政のシステムというのは、私自身もよ くなったなと思いますし、ただ、システムがよくなっただけではだめで、中身がよくな らなければいけないということですし、また中身にしても、どんどん改善をしていくと。 制度もどんどん古くなっていくわけなので、問題があればまた改善していくことが必要 なんだろうと思います。 特にBSE問題の検討委員会は、私も実はその場でいろいろな事務局としても活動し た経験があるわけですけれども、今できた食品安全委員会というのは、BSE問題のと きに専門家の言うことを行政側がきちんと受け止めなかったということの反省に立って、 リスク評価というものを独立させようということで得られたものですし、ただ、そうい う意味でいうと専門家が一定の責任を負わなければならないというシステムになってき たわけです。 今の厚生労働省とか農林水産省にあったときには、行政の審議会ですから、最終的に は管理機関が責任をとるというシステムだったものが、少なくても評価の中身に関して は、明確に内閣府の食品安全委員会で責任をとらなければならないと。ただ、そういっ た中で常勤の委員というのは、数が非常に限られていたりとか、専門調査会の専門委員 に関していえば、みんな非常勤だというようなことだとか、そういった意味でいうと、 仕組みはできたけれども、これからもっとそういったことを充実していかなければなら ないというところもあるのではないかなと思います。仕組みの話としては、仕組みはで きたけれども、これからきちんと監視指導計画もそうですけれども、全体的な充実とい うことは更に必要なんだろうと思っています。 輸入食品の監視指導に関して言えば、勿論予算なり人なりということが限られている わけなので、その中でどうしていくかという非常に現実的な話にならざるを得ないと。 ただ、その中で少しでも効率的に、効果的にやっていくということを、やはりいろいろ 知恵を出してやっていかないといけないと思いますし、勿論事前対応が一番いいわけな んですけれども、事後対応になったときは、なぜ事前対応できなかったのかということ をよく考えて、次の問題について対処していく。要するに事前対応できたものというの は、こういうふうなところにはクローズアップされてこないわけですから、そういった マスコミ報道にしょっちゅう食品の安全問題が挙がるようなことがないように、行政側 も取り組んでいければと私も思っていますし、私どもが一番事前対応できなかったとい うことについては認識をするわけですから、そういった場合には、反省に立って次の問 題に取り組むということが重要なんだろうと思っています。監視指導計画についても、 一応前年の問題というものも整理した上で、新たな考え方というのを取り入れて、進め ていくということが重要だろうと思っています。 その中で、残留農薬基準なり動物用医薬品の残留基準のポジティブリスト化というの が、いってみれば今年度のハイライトの1つになっているわけです。勿論まずは輸入者 の方に守っていただくということがあるわけですけれども、情報提供ということで、私 どももそんなに人手や能力があるわけではないですけれども、先ほども御紹介しました けれども、一応国立医薬品食品衛生研究所のホームページの方で、主要な輸出国の残留 農薬基準について調査した結果を掲載しています。そういったものを見て、勿論それだ けではだめなので、やはりそうなると輸出者側に対して、そのうち何を使っているんだ と。どれが残留する可能性があるんだと。何でもいいから検査したらいいという話では ないわけです。もう皆さんも御承知でしょうけれども、片っ端から検査をやっても、70 0 、800 の農薬、動物用医薬品などは検査がし切れるわけがないわけですから、そうい った情報の収集ということが非常に大事なんだろうと考えています。 我々の方も輸入検査ということで、今モニタリングの検査項目を増やそうということ で、東西の横浜、神戸の検査センターの方に検討を進めてもらっているわけですけれど も、行政側でいえば、毎日100 検体以上のものを検査してもらわなければいけないと いうことがあって、やはりそれに応じた試験法の改善というのが必要なので、本当に5 月の終わりでどれだけのものが検査できるのか、今のところではまだわからない状態で す。ただ、確実に増やしていっていますし、優先度をつけて、汎用農薬だとか、危険性 の高いものはきちんと検査ができるようにしていこうということで取り組んでいく。現 在進行形の状態だということについて、とりあえずここでは御報告しておきたいと思い ます。 以上です。 ○森田情報管理専門官 それでは、ここで会場の方から御意見、御質問があれば、お 受けしたいと思います。どなたかございますでしょうか。そちらの方から、どうぞ。 ○参加者1 農薬メーカーの者なんですけれども、今ちょうどポジティブリストの話が でましたので、実はそういうことで5月から施行ということで、私は一応メーカーにお りまして、いわゆる農家の方から非常にいろんな質問がくるわけです。その質問という のは何かというと、やはり非常に残留が心配であるということで、私どもとしては、実 は残留というのは、いわゆる適正に使用していれば、そういうものは心配なくて、ちゃ んと通るはずであるし、はっきりいって分析も一般的に言えばする必要もないことが前 提になっているんだと。これは厚生労働省さんとか、そういうところもそういうふうに おっしゃっていると思っているわけです。だけれども、農家にしてみれば非常にそれを 心配していて、多分たくさんの分析をするようになるであろうと。 これは逆にいいますと、農産物のコストが更に上がってしまうんです。そうすると、 いわゆる輸入食品との価格差、今はもう御存じのようにスーパーに行けば、すごくたく さんあるわけですけれども、これがますます悪い方向にいってしまうのではないかと。 そうすると、さっきから出ています食糧需給率なども、そういうことでコストが日本で はますます上がってしまって、バランスは崩れていってしまうということになると、何 のためのあれかわからないということが出てくると思いますので、やはり行政の方にお 願いしたいのは、そういう点で、いわゆるポジティブリストを含めた指導です。これは 決して危険なものではないということを、是非よろしくお願いしたいと思っております。 私どもも一生懸命農業者の方に申し上げております。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございます。 続きまして、もう一方お手を挙げてられておられたので、どうぞ。 ○参加者2 アミタ持続可能経済研究所の嘉田と申しますが、貴重な意見交換会の機会 をありました。これまでわからなかったことが、なるほどそうかとよくわかったような 気がします。 多分、道野さんへの質問というか意見になるんですけれども、お教えいただきたいの は、輸入時の検査体制の違反の蓋然性という話です。これはリスク分析という観点から 非常に重要なんですが、何を根拠にして蓋然性を図っているのかというのが一般にはわ かりにくいので、この辺りのポイントはこうだというのを少し教えていただきたいとい うのが1点です。 今年度の監視指導計画について、伊藤さんなり芝さんもおっしゃられていたように、 ポジティブリスト化というのは、非常に重要なハイライトであると思いますし、重要だ と思っているんですが、一般にはなかなかこれが知られていない。特にわからないのは、 消費者の立場から見て説明不足だと思う点は、なぜネガをポジに変えたのかという背景 なり、ポジに変えることによって、どこがどう変わったのかという、輸出業者にとって の大変さというのはわかるんですけれども、消費者の観点から見てどうなんだという辺 りは、やはりきちんとした説明があった方がいいのかなと思います。 そういう意味では、ポジティブリストの詳しいQ&Aは、ホームページにもう入って いましたか。 ○道野輸入食品安全対策室長 入っていると思います。 ○参加者2 私が見落としたかもしれませんが、そういう辺りを使って、やはりきちん とした説明があればありがたいなと。まだだったような気がするんですが、よろしくお 願いいたします。法律改正は書いてあったんですね。中身の説明がまだないと思います。 ○森田情報管理専門官 ここで切らさせていただいて、お二方に伺いました。農薬の使 用に関して、適正な使用していればこういうことはないという話なんですけれども、そ ういった分析を求めることについて、価格に反映するようなことがないように、適切な 指導等をお願いしたいという話と、違反の蓋然性等の話でございます。 農水さんの方から何かコメントがあれば、お願いして、その後、道野室長の方からコ メントをお願いします。 ○古畑課長補佐 農水省の古畑です。 今のお話でちょっと今回の趣旨の輸入食品の安全確保と若干ずれるかもしれませんけ れども、国内の農家のポジティブリスト化に対する不安の声ということを代表された意 見だったと思うんですけれども、従来から農薬の使用に関しては、国内おいては農薬取 締法に基づく適正使用というのが前提になっておりますので、当然それを引き続き遵守 してもらうことが一番であり、農水省なり行政としても農薬などの生産資材の使用に関 しては、我々はトレーサビリティの推進という形でも取り組んでいますけれども、どう いう農薬を使ったのかというのをきちんと把握することによって、その後の流通に対す る不安に応えるとか、そういう取組みも重要だと思っております。 また、食品の安全の確保という大きな観点でいけば、コストの話というのはあります けれども、先ほど藤原さんのお話にもありましたけれども、コストと安全性というのは、 必ずしもてんびんにかけるものではありませんし、輸入食品だからとか国産だから、ど ちらが安全、どちらが安全ではないということではありませんので、それぞれの生産な り流通の立場で、安全、よりリスクの小さいものの供給に努めていただくということを 行政としては願いますし、そのための支援というものをいろんな段階で行っていきたい と考えております。 ○森田情報管理専門官 では、道野室長からもお願いします。 ○道野輸入食品安全対策室長 まずポジティブリスト化の話で、先に発言された農薬メ ーカーの方は、指導をしっかりやってくれということだと思いますし、今、農水省から もあったとおり、基準自体は暫定基準も含めて、国内の農薬取締法に基づく登録保留基 準を優先に、基本的にはしているわけです。そういったことですから、使用基準さえ守 っていれば、勿論休薬期間も含めて守っていれば、使用禁止期間も含めて守っていれば 大丈夫だろうということはあるわけですし、輸入品に関しても、CODEX基準や各国 の基準を参考にして、基準自体はつくられていますし、WTO通報もして、各国に通報 し、理解を得ながら進めてきているということもあるので、そういった意味でいうと、 まず基本はそういう使用規制をしっかり守ってもらうということが重要だと私も思いま す。 ただ、コストの問題で言えば、別に輸入品だけにかかるわけではないし、国産品にか かるわけでもないです。やはり制度が始まる以上、全然増えないということはうそにな ると思いますし、ただ、先ほど申し上げたとおり、そういったいろんな情報、要は輸出 国での残留基準であるとか、実際に使用されているものということをきちんと調べるこ とによって、検査のコストは減ると思いますし、そういった工夫もやっていっていただ くということが重要なのかなと考えます。 あと、2番目の方の御質問の中で、違反の蓋然性はどういうふうに判断しているのか ということで、私の方から御説明をした資料3の5ページの上側のスライドというか、 資料です。9枚目のものです。ここで簡単に書いているんですけれども、法律の条文そ のものは、要するに危害の発生を防止するために必要と認める場合ということで、それ は違反の頻度かける危険度なんです。違反の蓋然性というと、違反の頻度だけみたいに 聞こえますけれども、そこにはかける危害の発生の蓋然性というものがあるわけです。 そういったことで、ここの一番上にあるように、一度違反が見つかれば検査命令にな りますというものに関しては、そういう健康危害の発生の懸念が高いものについては、 もう一回の違反で検査命令に変えましょうという考え方をしています。内容としては、 我々はレリットイートと言っていますけれども、そのまま食べる食品でO157 が検出さ れるとか、そういったケースでは直ちに命令検査ということになります。 残留農薬とか残留動物医薬品の基準の場合には、基準自体にそもそも安全を相当見込 んでいる基準だということを御理解いただいた上でのことですけれども、1回の違反と いうのは、そういう意味でいうと偶発的なものということも十分あり得るわけです。ゼ ロを求めるということはいいことなんですけれども、目標はゼロにしてもいいんですけ れども、現実をゼロにするというのは、なかなか難しい問題ということもありますし、 そこは1回の違反が見つかった場合には検査を強化して、実際に問題があるのがどうか ということについて判断をしようということで、2回目の違反が出た段階で検査命令に シフトしていく。そういうような考え方です。 そういったことで、違反の蓋然性と一言でいっていますけれども、法律の条文に即し て言えば、健康被害の発生の蓋然性というものも含めて判断をしていると御理解いただ ければいいと思います。 ネガティブリストからポジティブリストに変えた経緯ということなんですけれども、 伊藤さんの方が本当は詳しいのかもしれないですけれども、平成7年の食品衛生法の改 正のときに既にそういう議論がありました。食品衛生法に基づく残留農薬基準というの は、多分昭和60年代の初めころまでは、二十数農薬にしか基準がなくて、非常に農薬 の規制が甘いのではないかと。当時はCODEXの基準だとか、輸出国の基準を参考に しながら輸入検査を、どっちかというと輸入者の団体の方に項目などを示してやっても らうというようなことが多くありました。検疫所の方でもそんなにたくさん農薬の検査 はできないという状況でした。 平成7年の食品衛生法の改正のときに、できるだけたくさんの残留農薬基準をつくっ ていくと。将来的にはというか、次の食品衛生法改正のときには、結果としては、やは りポジティブリスト化できるようにという目標を持って、残留農薬基準をつくっていき ましょうということで、国会審議なり、勿論生協を始めとした全国の消費者団体の皆さ んからの御意見をいただいて進めてきたわけです。 14年は先ほども申し上げたとおり、緊急の議員立法だったので14年はおいておいて、 15年です。政府提案で今回また法律改正をして、これはもともとBSE問題もあった んですけれども、それ以前から全国の消費者団体、特に生協を中心に食品衛生法を改正 しろということで、1,300 万以上の署名を集められて、その中の主要項目と一つに、あ と大きい食品衛生法の目的規定もあったんですけれども、5つぐらい柱があったんです けれども、その中でも最優先の課題として、ポジティブリスト化と。農薬、動物薬の残 留規制について、要するに国際的に見ても先進国の仲間入りをするべきだと。そういう ことだったわけです。 中身はどういうことかというと、結局、基準を設けたものにつ いては規制できるけれども、基準のないものについては、幾ら出てもというのは言い過 ぎですけれども、素通りと。勿論、普通はないんですけれども、高濃度に出れば直ちに 健康危害があり得るということで、別の条文で規制はできるんですけれども、言ってみ れば、例えば輸出国の基準をオーバーしていても、規制が法律に基づいてできないとい うような状況にあったわけです。そういう状況を改善するべきだと。農薬というのは、 動物薬もそうですけれども、やはり継続摂取ということが問題になってくるわけですか ら、そういったもののリスク軽減措置として、一定濃度以下、もしくは基準以下に収ま るように流通されている食品の残留濃度というのは、コントロールされていなければな らないということで、これはアメリカでも同じような制度ですし、ヨーロッパも今度日 本と同じような制度を取り入れるというようなことになっていまして、そういったこと も踏まえると、国際的な方向性として、もう既にやっているところもありますし、これ からやるところもありますけれども、ポジティブリスト化というのは避けられないと御 理解をいただければいいのではないかと思います。 ○森田情報管理専門官 御意見あるかもしれませんけれども、時間の方もございます ので、次の話題の方に移らせていただきます。 次は、最後、米国・カナダ産牛肉への対応についてでございます。これも一方ずつ、 2、3分ずつで簡単にまとめていただいて、コメントをいただければと思います。 伊藤様の方から2、3分ぐらいでお願いします。 ○伊藤埼玉県消費者団体連絡会代表幹事 時間がありませんので言えませんが、輸出プ ログラムに基づいてということで、厚労省の方を含めて検査に行かれて、最初は緊張感 がありますから、考え方はこうなっている、こうやっているということで、今からそう しないというのはないと思いますので、そういう輸出プログラムがとりあえず動き、そ れで輸入がされているのかなというふうに私も受け止めたんです。 問題は、全部いかれているわけではありませんから、消費者側の心配とすれば、それ は本当にアメリカすべてと言うと語弊がありますが、たまには間違いもあるかもしれま せんが、ほとんどそういうことで担保されているということなのか、時が経つにつれて そういう緊張感が緩みはしないかということ等、適宜チェックをして検証していくのか という問題を是非、詰めていただければというふうに思っています。 今日、時間がありませんので、話はそれだけにしますけれども、先ほどからリスクア ナリシスがこの2、3年食品の安全性を確保する手法として確立してきたわけです。世 界で確立しているわけですが、それはいいんですけれども、リスクアナリシスの運用が、 だから独立性だとかいろんな原理、原則があるわけですけれども、どうもアメリカ産等 の輸入の議論の中でどうだったのか、揺らいでいるのではないかということを心配して おりますので、是非、改めてリスクアナリシスについても大事な手法ですので、確立し ていただけるようにお願いしたい。 以上です。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございました。 それでは、芝様からお願いします。 ○芝日本輸入食品安全推進協会運営委員 一応、管理された状態で安全なものがしっか り入ってくるということで、これはすごい喜ばしいことだと思いますし、安心して消費 者が食べてくださるということで、安心しています。 どちらかというと、個人的な意見といたしましては、やはりこのBSEの問題の安全 性というのが、本当に一個人として牛肉を食べたときに、どれだけ安全なのか、どけだ け危険なのかというのをもうちょっとしっかりとわかりやすくアピールしてもらえれば というふうに思っている次第です。 以上です。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございました。 それでは、藤原様の方からもお願いできますか。 ○藤原日本食肉輸出入協会理事 私、実は昨日、自分のところが輸入した貨物の、今、 厚労省と農水省の両方の立会い検査というのが行われて、それでもって初めて通関申告 できるというような条件になっているわけです。私その立会いに2時間ほど機会を得た わけですが、聞いていた以上に厳しい検査。何百カートンという箱を開けて、衛生証明 書に記載されているものと異なることとか全部チェックされています。それと、例えば 先ほど道野さんの中で出ていた内臓関係の肉は非常に厳しい検査ですね。タンなどだと、 付け根の扁桃のところがどうのこうのと、これはもうパックされて見えにくいんですが、 衛生検査官が、米国と協定したマニュアルと写真を見ながら電気にかざして見ていると いうような検査の仕方です。 ですから、今、非常に時間がかかっていまして、もう既に船が入船したり、貨物が搬 入されているもので、東京の検疫所管轄の中でも、今まだ昨日のような立会い検査の日 程が決まっていないようなものが50件以上と聞いています。ですから、チルドビーフ で入ってくるんですが、通関が切れたころには、あと2週間ぐらいしか寿命がないので はないかなというようなことが今、私個人的には推測しています。 ただ、今回のBSEによって、アメリカ牛肉が2年間停止になったわけですが、これ については、やはり途中の交渉経過なども見ていますと、これは皆さん御存じかどうか 知りませんけれども、アメリカの主張というのは、日本の牛のと殺頭数というのが大体 年間130 万頭ぐらいなんです。米国が3,600 万頭で、ざっと30倍近いと殺をしている わけです。人口は日本の倍です。ですから、彼らからしたら私たちのところは多いんだ。 日本は少ないから全頭検査をやるんだろうというような主張はあるんですが、やはり日 本にいる消費者という立場を考えると、大きい小さいは余り関係ないわけです。アメリ カがもし日本に売りたければ、きちんとした検査をやるべきで、前回、2年前の事件で、 アメリカは日本から信頼を完璧に失っているわけです。今、やはり信頼をもう一度かち 取る努力を精一杯していると思いますし、しなければ、本当に消費者に根付かないと思 います。 確かに、日本の牛肉に比べたらアメリカの牛肉は非常に安いです。ただ、今の消費者 は非常に賢明ですから、安いからだけではなかなか買っていただけないような状況で、 やはり信頼をかち取るということで、今の厳しい検査というのは、今後、続けていかざ るを得ないんだろうと思います。 ただ、アメリカも今回、特に大きなパッカーは身にしみてわかっています。彼らだっ て、日本が面倒だったら別に日本に売る必要はないわけです。許してくれる韓国、台湾、 中国に売ればいいわけです。 もう一つ、よく争点になるところが、日本向けは月齢20か月以下となっていまして、 国際以下は30か月以下を認めている。日本が孤立化していると言いますけれども、消 費者によかれという基準は、私は厳しくなってもいいのではないか。やはりそれだけの 余裕があって、日本に力があるのだったら、もっと厳しくしても、それが日本に住んで いる人たちに安心、安全を保障するわけですから、そういうところは遠慮する必要もな いと思います。 以上です。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございました。 伊藤様から、今後ともきちんとプログラムを守れるものが来るように運用していって ほしいというような御意見。それから、芝さんも、そのほかにリスクアナリシスの運営 については、今回の輸入再開の進め方なども含めてだと思うんですけれども、若干、問 題意識を持っていらっしゃるというようなことだというふうに思います。芝様は、きち んと消費者にわかりやすくアピールをすべきではないかというようなこと。藤原さんに ついては、自分が輸入する立場でございますので、その立場で実際、どう思ったかとい うような感想かというふうに思います。 よく意見交換会、前回は説明会ですけれども、をやったときもそうなんですけれども、 やはり進め方について、リスクアナリシスの運用の面も含めまして、かなりコメントが あったと思います。この点については、若干、説明をしておいた方がいいのかなという ふうに思いますので、道野室長の方から少し、消費者は、答申が出てすぐに輸入再開が 決まって、すぐに輸入されてしまった、そこら辺、やはりちょっともやもやしたものが 消費者の中に残っているのではないかと思いますので、2、3分、簡単でいいですから、 お話しいただければと思います。 ○道野輸入食品安全対策室長 それでは、簡単に。 まず、伊藤さんの、最初はアメリカも注意してやるんだろうけれども、そういったこ とは継続してやっていけるのか。また、そういった体制ということについて、日本サイ ドとしてどう考えているかということがあります。 私、最後時間がなくてあわてて結論のようなところを抜かしてしまったんですけれど も、資料4の23ページ。今回の査察のとりまとめとして、やはりそういった観点で、 アメリカ側でもしっかりと日本向けについて継続して輸出プログラムを守ってもらう。 また、例えばいろんな国内向けのものが飛び込むリスクを少なくするといった観点で、 2つの点について、アメリカ側の措置を日米間で確認をしています。 1つは、枝肉からカットをする段階で、多くの対日輸出処理の施設では、カットの作 業を各シフト、要するに、処理作業の一番最初にやってもらう。そうすると、少なくと も前に作業したものから飛び込むことはなくなるわけですね。そういった意味で、各事 業所で、最初に日本向けについては処理をするということについて米国政府が指導する。 なかなか強制は難しいと言っていましたけれども、指導はできるということが1点。 もう一つは、私の説明のところでも申しましたけれども、アメリカと日本向けではS RMの定義が違う。月齢が違うわけです。アメリカでは30か月齢以上が中枢神経系に ついてはSRMですけれども、日本向けはそうではない。国内向けは当然のことながら、 脊柱の切り方とかも結構大胆にやっているので、そこは品質マニュアルに、例えば脊柱 の切り方、顔のほほ肉だったら、ほほ肉の取り方といったことについて詳細に規定を設 けてもらうということについて、米国政府から対日認定施設に通知する。そういうよう なことも含めてやっていってもらうということについて合意をしました。 それから、今後の査察に関しては、現在で24施設のアメリカの施設から輸入がされ ています。そういったところを中心に2回目の査察ということで、今月の22日の週か らまた第2回の査察をやろうというふうに考えています。 アメリカで今、認定されているのは39か所あるわけですけれども、輸入状況も見な がら多くの施設について査察を実施したいというふうに考えています。 検査につきましても、輸入時の検査を3月末までは当面、強化月間ということで、全 ロットについて検査をすることにしています。 今後の話については、この査察の結果、検査の結果を見ながら判断をしていくという ことになっていくと思います。 経緯について簡単に申し上げますと、先ほど説明の中でも申し上げたんですが、日本 向けの輸出プログラムの実効性の問題というのは、我々としてはアメリカである程度対 応できる体制があるということで諮問したわけですけれども、安全委員会の方ではかな りその点についての問題意識が強いということがあったわけです。 ただ、守られるということであれば、リスクの差は極めて小さいという結論が出たわ けですから、私どもとしては、それ以上、輸入禁止措置を継続するというのはやはり不 合理だということになってきますので、それで解禁の判断をしました。アメリカ側でも 対日輸出基準の案については、もう半年以上前から公開をして、各パッカーは準備をし てきたということがあります。対日輸出施設については、アメリカ側で書類審査と現場 確認をする。日米合意後、現場確認まできちんとやった上で、認証をしています。 そういった中で、私どもも1週間ぐらいは少なくともかかるだろう思っていたんです けれども、どちらかというと大手のパッカーではなくて、中小のインテグレーター。要 するに、月齢がわかった牛がある程度簡単に確保できるところが、非常に早く処理をし て出してきたということがあって、ちょっと早い輸入ということで報告が出たわけで、 私どもの方でも公表をさせてもらいました。 ただ、勿論、昨日も安全委員会の中村委員に、アメリカ側はデリカシーがないなとい うようなことだとか、国民感情にもう少し配慮できないのかと全消連の方でも御意見が ありました。私どもの方としては、ルール上の問題はないというふうに思っているんで すけれども、そのときの対処として、BSE問題は置いておいて、抗生物質だとか合成 抗菌剤とか、残留医薬品の問題もあるわけで、いわゆるモニタリング検査ということで、 まず検査をやる。輸入者には、検査結果が出るまで流通するのは待ってもらいましょう ということで、これは行政指導ですけれども、待ってもらって、21日ぐらいに結果が 出てきた。ちょうどそのころ、私どもの方も査察の作業がアメリカ側で終わっていたと いうことで、それについて私の方からは役所の方に電話で報告をして、大きな問題はな い。残留物質の問題もないということで、リリースをしたというようなことです。 勿論、最初のころに来た貨物で、やはり検査結果が出るまで待っていられないという ものも一部あったようですけれども、私どもとしてそういった御意見に完全には対処で きていないですけれども、そういったことで、できる範囲で対応したというような経緯 もあったということを少し御承知いただければというふうに思います。 以上です。 ○森田情報管理専門官 申し訳ございません。司会の不手際で、時間をちょっと過ぎております。もしここで 御意見あれば、お伺いしたいと思います。済みませんけれども、10分ぐらい延長させ ていただいて、もし御意見があればお受けしたいと思います。 これは、BSEだけではなくて、全部含めて結構でございます。もしあれば、挙手を お願いします。 手を挙げられた手前の方。 ○参加者3 河原と申します。家電メーカー系の貿易会社で、主に家電を扱っていて、 非常に一部、インドからお茶とスパイスを輸入しているんです。 ポジティブリスト制についてなんですけれども、輸出側に説明をしたい。英文で説明 をするわけなんですけれども、検査されるであろう農薬の英文のリストのようなものは あるんでしょうか。 それと、5月の末から正式に施行というふうに伺っておるんですけれども、これは具 体的には、いつからどの段階で適、不適の検査が始まるんでしょうか。 その2つの質問なんです。 ○森田情報管理専門官 ほかに御意見、御質問ある方、今、全部でお2人ですか。で は、お2人御意見をいただきます。 ○参加者4 山梨県消団連の田草川と申します。 伊藤さんもおっしゃられたんですけれども、私たちはずっとBSE問題などについて 言えば、中川局長さんとか、外口参事官から、消費者の納得が得られたら問題をやりま すというふうにおっしゃられたんですけれども、結局は私たちは安全、安心について納 得していない。今日も長々と説得されてような気がいたします。そういう意味であれで すけれども、いろいろお話を聞いていても、そちらの立場からのお話ばかりで、消費者 がどれだけ不安に思っているかということに対してのお答えが見当たらないような気が いたしました。 私も消団連ですので、農水省さんからいろんなプレスリリースのファ ックスをいただくんですけれども、毎日毎日食品の安全に関して、特に輸入食品が遺伝 子組換えの安全性確認がなされていないものが入ってきたとか、偽装だとかというもの がいっぱいあるんです。そういうことを考えると、今回の特にBSE問題についてのや り方というのは、非常に納得いかないという意見を申し上げたいと思います。 ○森田情報管理専門官 どうもありがとうございました。 それでは、最後の方、お願いします。 ○参加者5 栃木県の経済流通課の小島と申します。 輸入牛肉の関係で御質問したいんですが、今回、アメリカから牛肉が輸入再開になっ たということなんですが、牛肉の加工品については再開になっていないかと思うんです。 例えばアメリカ産の牛肉を第三国に持っていって加工された場合、これが日本に輸入さ れた場合には、第三国が輸出国という形になるかと思うんですが、そういうケースはな いんでしょうか。 ○森田情報管理専門官 ありがとうございました。 それでは、3点、ポジティブリスト制度についての御意見、英文のリスト、あるいは 適用の検査をする適、不適の記述というのはいつぐらいから始まるのか。 2件目の方は、むしろ御意見ということで、お受けさせていただきます。 米国原産の第三国経由からの輸入というのはあるのでしょうかといった質問につきま して、道野室長からお願いします。 ○道野輸入食品安全対策室長 最初の、要するに検査対象品目の英文リストというふう に理解していいんですね。先ほど、私の方から説明の途中でも申し上げたとおり、今、 検疫所の方でも、できるだけ検査項目を増やそうということで、一斉分析の方法につい て検討しています。基準と一緒に出されている方法だと、なかなかルーチンで1日100 以上やろうというとちょっと難しいので、やはり少し効率化した方法でやらざるを得 ないということで、まだ検討の途上なんです。ですから、今の段階でどういうものが検 査可能になるかというのは、明確にできないんです。 この検討に入る前の段階の検疫所で使っている一斉分析法というのは、一応専門誌に も英文のものが掲載されていますので、それは200 項目の分ですけれども、そういっ たものを参考にしていただければというふうに思います。 山梨県の消団連の方の件ですけれども、やはり安全、安心というのは先ほど伊藤さん もおっしゃっていたということですけれども、やはり信頼関係がないとなかなか安心と いうところまで行き着かないというようなことはありますし、今日のこういうリスコミ のやり方というのは、御批判のあるようなやり方なのかもしれないですし、ただこうい った行政側が組んだリスクコミュニケーション以外の場というのも持ちようがあると思 いますし、やはりそういった場もうまく活用できれば、そういった相互の意見交換なり、 信頼関係が少しでもできるようになればなというふうに思います。 次に、輸入牛肉の件ですけれども、アメリカ産の牛肉の輸入禁止する前は、ロードコ ストの低い、例えば1回中国に持っていって中国でカットして日本に輸入するというよ うなケースが実際にはありました。現時点ではそういうことはありませんし、もう一つ 言えば、私どもの今の仕組み自体がそういうことを想定していないシステムなので、正 確に答えられないんですけれども、多分できないのではないかと思います。アメリカか ら日本に輸出されるもののルールだけなので、一旦ほかに行ったものについて日本に輸 入するということは、仕組み上できないようにしてあるというふうに、私はそういうつ もりでいます。絶対そうかと言われると、内容をよく確認しないといけないと思います けれども、基本的には理解としては、そういうことは想定していないし、できないと思 います。 以上です。 ○森田情報管理専門官 追加ですか。 済みません、もう少し時間をいただきます。 ○参加者3 先ほど教えていただいた専門誌というのは、具体的にはどのようなものな んでしょう。 ○道野輸入食品安全対策室長 今、手元にないので、後でまた。 ○参加者3 ありがとうございました。 ○森田情報管理専門官 よろしいでしょうか。 5 閉 会 ○森田情報管理専門官 それでは、ちょっと時間を延長して申し訳ございません。これ をもちまして、食品に関するリスクコミュニケーションを終了させていただきます。本 日は長時間にわたり、貴重な御意見をいただきまして、ありがとうございました。出入 り口におきまして、アンケートを回収しておりますので、是非とも御協力をお願いしま す。 また、皆様の近くでこうした意見交換会を開催しますので、是非とも御参加をいただ ければと思います。 それでは、皆様、お気をつけてお帰りください。どうもありがとうございました。                                   (了)