05/10/11 平成17年10月11日(山口県山口市)「食品に関するリスクコミュニケー ション(輸入食品の安全確保及び残留農薬等のポジティブリスト制度の導入に ついての意見交換会)」 食品に関するリスクコミュニケーション(輸入食品の安全確保及び 残留農薬等のポジティブリスト制度の導入についての意見交換会) 平成17年10月11日(火) 13:00〜16:30                            於 ぱ・る・るプラザ山口 1 開 会 2 挨 拶 3 リスクコミュニケーションについての説明 4 テーマについての説明   ○輸入食品の安全確保について   ○残留農薬等のポジティブリスト制度の導入について 5 休 憩 6 パネルディスカッション及び意見交換 7 閉 会 ○司会(森田厚生労働省食品安全部企画情報課情報管理専門官)   本日は、皆様、御多忙の中、御参加をいただき、ありがとうございます。  ただいまから食品に関するリスクコミュニケーションを開催したいと思います。  私は、本日司会を務めさせていただきます厚生労働省食品安全部企画情報課、森田と 申します。どうぞよろしくお願いいたします。  早速ではございますけれども、まず、山口県環境生活部の大島次長からごあいさつを いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○大島山口県環境生活部次長 皆さん、こんにちは。きょうは、県内外からこのように たくさんの方に御参加をいただきましてありがとうございます。ただいま御紹介ありま したように、開会に当たりましてごあいさつを申し上げます。  食品の安全性に関しましては、もう皆さん御承知のとおりでございますけれども、さ まざまな問題が相次いで発生しましたことから、消費者の信頼回復に向けたさまざまな 取り組みが行われております。こうした中、国におかれましては、食品の安全性の確保 につきまして、消費者、生産者、事業者など食品に関係する方々と意見を交換し、施策 に反映をさせるため、ともに考える意見交換会を全国各地で実施をしておられまして、 本日の会もその一環としてこのように開催をするものでございます。  私ども山口県といたしましても、昨年、食の安心、安全の確保につきましての基本方 針をつくりました。現在、この基本方針に基づきまして、消費者の視点に立って、生産 から消費に至る事業を進めています。  本日のこのリスクコミュニケーションでは、消費者の皆様の関心が特に高い輸入食品 の安全確保と残留農薬等のポジティブリスト制度につきまして説明をし、意見交換を行 うことにしております。会場の皆様方には、この機会に食の安心、安全に関する理解を さらに深めていただきますようよろしくお願いをいたします。  貴重な時間をいただいて恐縮ですが、少し山口県のPRをさせていただきます。実は、 第21回国民文化祭・やまぐち2006というのがあります。国民文化祭というのはな じみが薄いかもわかりませんけれども、我が国最大の文化の祭典というふうに言われて おりまして、この国民文化祭を来年、平成18年になりますけれども、11月3日から 10日間、県内各地で開催をすることにしております。県内外から100万人近くの方々 の御参加を見込んでいるところでございます。今後、具体的な御案内をしてまいります ので、御参加をいただきますようにお願いを申し上げます。  最後になりましたが、本日のリスクコミュニケーションの開催に御尽力をいただきま した食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省を初め関係の方々に深く感謝を申し上げ ますとともに、本日御出席の皆様のますますの御健勝をお祈りをいたしまして、ごあい さつといたします。今から3時間余りでございますが、最後までどうかよろしくお願い をいたします。ありがとうございました。(拍手) ○司会 それでは、資料の確認をさせていただきたいと思います。本日お配りしており ます資料でございます。一番最初に議事次第という1枚の紙がございます。そこの下の ところに配布資料と参考資料という形で載せさせていただいております。  資料1ですが、これは「リスクコミュニケーションについて」ということで、ホチキ スどめになったもの、それから資料2が「輸入食品の安全確保について」、それから資 料3が「残留農薬等のポジティブリスト制度の導入について」というもの、それから資 料4が、これは皆様から事前にいただいた意見についての回答というものでございます。 それから、参考資料の方になりますけれども、「意見交換会に参加いただいた皆様へ」 ということで、これは1枚のもので、これはリスクコミュニケーションの目的のことを 書いてございます。それから、その次がホチキスどめになった食品に残留する農薬等の ポジティブリスト制度の補足説明資料でございます。それから「遺伝子組換え食品の安 全性について」という、これは冊子でございます。次のものは2枚ぐらいあるんですが、 「食品安全エクスプレス」というものと、それから農林水産省の方なんですけれども、 モニターを募集しているという御案内ですね。これは2枚ぐらいございます。それから 食品安全委員会からは「安心を食べてほしいから。見守っています、食の安全。」とい うパンフレットと、「食品の安全性に関する用語集(改訂版)」、それから正誤表と、 これは「食品安全」という季刊誌ですね。季刊誌が2つございます。Vol.5とVol.6と いうものです。それから最後になりましたけれども、「食品に関するリスクコミュニケ ーションに参加いただいた皆様へ」ということで、これはアンケートになっています。 これは休憩のお時間なんかを利用してぜひとも書いていただければというふうに思いま す。それから最後、多分見落としがちなんですけど、「食事バランスガイド」という、 こういうちっちゃいものも入っておりますので、こういったものも御参考に食事なんか を考えられたらというふうに思います。  もし配布資料でないものがございましたら、担当の者がおりますので、そちらに言っ ていただければというふうに思います。  それでは、本日の会議のスケジュールなんですけれども、これから3番目のリスクコ ミュニケーションについての説明ということで、10分程度御説明させていただきます。 これは、リスクコミュニケーションというのが一体どういうことがよくわからないとい う方もいらっしゃるので、まず最初のそのリスクコミュニケーションについてというこ とでの御説明をさせていただきます。それから、4番目でテーマについての御説明を、 2つのテーマがございます。輸入食品の安全確保についてというものと残留農薬等のポ ジティブリスト制度の導入についてというふうになってございます。これはそれぞれ3 5分程度御説明させていただきまして、その2つの説明の間に5分間休憩をとらせてい ただきます。それが終わりますと、大体終わりが2時半ぐらいになろうかと思います。 2時半ごろから10分程度休憩をとりまして、その次にパネルディスカッション及び意 見交換会ということで、会議の終了を4時半を予定にしておりますので、よろしくお願 いいたしたいと思います。  それでは、早速でございますけれども、リスクコミュニケーションについてというこ とで、厚生労働省食品安全部企画情報課の広瀬課長補佐から御説明させていただきます。 ○広瀬厚生労働省食品安全部企画情報課長補佐   御紹介いただきました厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課の広瀬と申します。 初めにリスクコミュニケーションについてということで説明させていただきます。よろ しくお願いいたします。  スライドをお願いします。まず、食品安全行政を取り巻く動向ということで、最近、 やはり食をめぐる環境は昔に比べると大きく変化しているということがあります。1つ は飢餓から飽食の時代へ。これは先進国についてだけ言えることなのかもしれませんが、 昔は食べ物に困っていて、食べたくても食べられなかったという状況から、最近では食 べ過ぎと言われるように、非常に多くの食糧で満ち足りてきたというようなことがござ います。それから、新たな食の問題の発生ということで、先ほどの次長からのごあいさ つにもございましたけれども、最近いろんな食の問題というのが起きている。それから、 貿易の国際化ということで、昔であれば国内で物をつくり、それを食べるということが 多かったんだと思いますけれども、貿易が国際化することによっていろんな国からいろ んなものが入ってくるようになった。それから、生産の様式も大量に生産して、それが 大量に流通する。これは経済的効率ということもあるのかもしれませんが、そういうよ うなことが起きてきている。貿易の国際化とか大量流通なんかとも絡むんですけれども、 非常に長距離、非常に遠い国からも物が運ばれるようになっているというようなことも ございます。この辺はまたちょっと食の問題とは少しずれるかもしれませんが、一時期 に比べれば海外旅行というのも一般化しておりまして、普通の人も海外に行くという人 が大分多くなってきました。そうすると海外、行った国の先での食事というようなもの も健康上の問題になるようなことがあるわけでございます。必ずしも、衛生状態という のは国々によってまちまちでございますので、そういった国で何か新たな、例えば食中 毒とか、そういうようなことになるというようなことなどもあるということが1つござ います。  こういった食品の環境の変化の中で食品の安全を守るためにどのようにすべきかとい うことで、国際的な考え方というのが大きく2つございます。1つはフード・チェーン アプローチということで、生産から消費に至るフード・チェーンのすべての段階で安全 を確保することが重要。これは、ともすれば、今まではとにかくつくるだけつくって、 最終的に販売とか消費する段階で検査をして安全かどうか、安全であればいいんじゃな いかというような考え方もあったわけなんですが、そうではなくて、やはりつくる段階、 最初の生産段階から、その各段階においてそれぞれで安全管理をしていく。安全を守る ための管理をしていくことで、より全体としての安全性が高まるということが言われて いるわけでございます。それから、もう一つはリスクアナリシスということで、これは、 何か事が起きてから対策をとればいいということではなくて、予防のところに重点を置 くということで、安全性の評価と管理、こういったものを機能的に分けて、きちんとし た評価に基づいた管理をするというようなこと、それから、利害関係者間での情報や意 見の交換を促進していきましょうということがございます。この意見交換の促進みたい な部分のところがいわゆるリスクコミュニケーションに当たる部分でございます。  次のスライドをお願いします。食品の安全確保の仕組み(リスク分析)と書いてあり ますけれども、このリスク分析の考え方に従って、今現在、日本の国では食の安全確保 というのが行われているわけです。このリスク分析という言葉も新しい言葉だと思うん ですけれども、国民の健康の保護ということをまず目的として、国民とかそういう集団 が食の問題を通じた危害にさらされる可能性がある場合に、いわゆる事故の後始末では なくて、可能な範囲で事故を未然に防止しリスクを最小限にするというためのプロセス 全体、いわゆる安全管理のための手続なども含めた、そういったものをリスク分析とよ んでいます。ここで可能な範囲で事故を未然に防ぎということが書いてありますけれど も、やはり完全に事故を防ぐことができれば、これはすごいことだと思うんですが、や はりある程度限度というものはございますし、それから、管理をすればしようとするほ ど非常にお金もかかってくるというようなことがありますので、やはり可能な範囲で、 皆さん納得のいく範囲でそういったことをしていこうと、できる限りのところでリスク を小さくしていこうということになるわけでございます。  現在、そのリスク評価とリスク管理を大きく分けておりますが、リスク評価の部分は 食品安全委員会というところで行われております。いわゆる科学的なデータに基づいて、 どのくらいの確率で、どのくらいの影響が起きるのかというようなことを評価していた だくというわけでございます。それから、管理のところとしては、厚生労働省それから 農林水産省においてそれぞれ管理をしておりまして、例えば食品中での含有量ですね、 どのくらいまで含まれていていいのかというような基準を決めたりとか、その表示のこ とを決めたりとか、表示とか基準が守られているかどうかの監視というようなこともあ るわけでございます。それから、一方、農林水産省の方でいえば農薬の使用基準を設定。 つまり食品の基準が守れるためにはどういうふうな使い方をすればいいのかというよう な基準を決めたりとか、えさや肥料中にどのくらい入っていていいのかという基準を決 めたりとか、それから動物用医薬品などの規制なんかも行っておりますし、表示につい てもJAS法などできちんと管理をしているということがございます。  ちょっと薄くて恐縮なんですけども、このリスクコミュニケーションというものが全 体を取り囲むような形で包含されておりまして、これはいわゆる管理するところだけで やればいいとか評価するところだけでやればいいというようなことではなくて、リスク 評価から管理に至る全段階で包含するような形でリスクコミュニケーションというのは 行われるべきだというふうに言われています。一体どんなことかというと、食品の安全 についての情報とかそういったものを共有することとか、相互に意見交換をするという ようなことが1つ大きな目的でありますし、もう一つは、消費者とか、ここの「等」の 中には事業者とかその他いろんな関係者が入ってくるわけですけれども、そういった関 係者の方々のいろいろな意見を聞いて、そういった意見も施策に反映していこうという 目的がこの中には含まれております。  次、お願いします。少し個々の中身について説明していきたいと思いますが、まず食 品のリスクというのは何でしょうかということで、実はリスクというのはもともと日本 語になかった概念で、これが非常に日本語になりにくいというものです。これが日本語 にできれば、もう少し皆さんにもこの中身が浸透していくんではないかと思うんですが、 なかなかいい日本語が見つからないということでございます。食品中にハザード、これ もまたちょっとわかりにくいんですけれども、食品中に健康に悪影響をもたらすような 可能性のある物質とか、その他の要因などがあった場合に、そういうものが存在する結 果として生じる悪影響の確率とその程度の関数がリスクであるというふうに言われてお ります。要するに、どのような影響というのがどんな確率で起きるのかというようなこ とがこのリスクというものになるわけで、これは必ず起きるというものではないし、全 く起きないということでもないというようなものでございます。リスクに非常に近い日 本語として1つヤバさというか、ヤバいという言葉がどうもリスクに非常に近いらしい んですけれども、そうすると、この食品はどのくらいヤバいのかとかいうことになるわ けで、なかなかそれは政府としてこの食品がどのくらいヤバいとかヤバくないとか発表 できませんので、仕方なくこのリスクという言葉を使っているわけでございます。  次、お願いします。続きになりますが、絶対に安全な食品というのがあるのかどうか ということなんですけれども、これはまた後ほども農薬の説明の中でも出てくるかと思 いますけれども、物質が悪影響を及ぼすかどうかということについては、その物質の持 っている有害性とそれから摂取量で決まるというわけでございます。この有害性だけで 必ずしも決まらなくて、もう私たちは一般的にこの物質は毒だとか毒じゃないとかとい うふうに、日常生活の中ではそういう使い方をしているんですけれども、実は単純では なくて、有害なものでも、とる量が少なければ影響が起きないとか、そういうことがあ るわけです。一般的に毒とか毒じゃないとかと言ってるのは、通常摂取するような量を 基準にして考えたときに毒か毒じゃないかみたいな判断をしているというのですが、実 はそういう毒と言われているものでも、非常に量が小さくなれば健康影響は起きないと いうようなこともあります。これはまた後ほどの説明の中で出てくると思います。  やはり、どんな物質とか食品も量、摂取量、食べる量によって健康に悪影響を及ぼす 可能性があるということでございます。これはまさにリスクゼロというのはあり得ない ということなんですが、この中で1つ申し上げておきたいのは、健康にいいと言われる 食品が世の中にあるわけなんですけれども、そういったものでも食べ過ぎるとやっぱり 体に害が出てくるというようなことがありますので、その辺は十分注意いただければと いうふうに思います。  次、お願いします。ちょっと繰り返しになりますが、リスクコミュニケーションとは ということで、このリスクコミュニケーションというのは、やはりリスクに関係する人々 の間で食品のリスクについての情報とか意見というのを相互に交換することであるとい うふうに言われております。このリスクコミュニケーションでは、有害性とかそれから それが起こる確率というのがどの程度であれば受け入れ可能なのかとか、そのレベルま でリスクを下げるのにはどうすればよいのかなどについて、関係者の間での理解を深め て、ともに考えていこうというような取り組みでございます。  次、お願いします。このリスクコミュニケーションをしていく上で、これを実際難し くしている幾つかの要因というのがございます。要因としてはこの2つが大きく上げら れておりまして、1つはリスクの認知ギャップというのと、あともう一つは食品の安全 性についての思い込みというのがございます。1つ、認知ギャップについて、これはま た後でも少し詳しく説明しますが、リスクというのが非常に抽象的な概念で、目に見え るものではないですので、実際のもののリスクとそれぞれ我々が感じるリスクという認 知リスクの間には差があるというふうに言われております。これはまさにリスクについ て人それぞれが認知するものが別々になってしまうというようなことがございます。こ れについて少し詳しく説明したいと思います。  次、お願いします。リスクの認知ギャップということなんですが、上は実際のリスク よりも大きく感じやすいもの、下は実際のリスクよりも小さく感じやすいものというこ とでございます。1つは、未知のものですとか情報が少ないもの、やはりよく理解でき ないものとか全体的にわかりにくいものというのは少し怖いといいますか、そういうよ うなものが入ってくるということがございます。それから、自分でコントロールできな いもの、こういったものも、何か自分で管理してればもう少し安心できるんだけどもと いうようなことがあるようでございます。下は小さく感じられるものですが、これは便 利さとか利益というのが明らかなものとか、自分で何かコントロール、制御できるよう なものというのは、実際リスクは結構あったとしても、それほど大きいというふうには 感じられないというふうに言われております。  まさにこの上に該当するようなものというのは、例えば農薬ですとか食品添加物、そ れから遺伝子組換え食品みたいなものは未知であるとかよく理解できないものの中に入 るわけなんです。例えば商品を買うところでは、中に入ってるのか入ってないのかも見 ただけでは非常にわかりにくいといいますか、表示とかというのは実際あるわけですけ れども、それ以外の情報というのはない、自分ではよくコントロールできないというよ うなこともあって、これは実際にそういったものが持っているリスクよりも非常に大き いというふうに感じられがちだというふうに言われています。下の例としては、ちょっ とこれは食品の例ではないんですけれども、自動車みたいなものがありまして、自動車 を使うことによって移動手段としての便利さとか移動することの利益とか、そういうよ うなことが自分で明らかに感じ取ることができるということ、それから、自分が運転す る場合も、自分で運転して気をつけていればかなり事故は防げるというようなことで、 実際に持っているリスクよりは少ないと感じられがちですが、ただ、その自動車でも、 実は年間、今でこそ大分少なくなっておりますけれども、7,000人から8,000 人の方はこの日本の中で亡くなっているというようなことがあるわけで、そのリスク自 体は決して小さくありません。そのためにいろいろ交通安全とか取り組まれていて、そ のリスクを下げるというようなことがされているんですけれども、まだ多くの方がそれ でも亡くなっているというような状況です。  次、お願いします。それから、もう一つ、リスク認知のほかに食品の安全性について の思い込みというのがございまして、3つぐらい例を挙げさせていただきました。ほか にもございますけども、あとは割愛させていただきます。自然由来のものというのは安 全で、合成化学物質というのは皆危険だというようなことが考えられがちでございます が、自然物の中にも、例えば今の時期でいいますと有毒キノコなんかも結構ございます ので、それからフグの毒なんかも天然でございますし、最近の事例では自然由来の添加 物でアカネ色素というものがございまして、これに発がん性がわかってきて禁止になっ たというようなことがございますけれども、自然だから安全ということは根拠はないわ けでございまして、一方で合成だから危険ということでもないんですね。やはり安全な のかどうかというのは、その物質の性質をきちんと動物の実験なりを行って調べて評価 をして初めて言えることなんであって、自然だから安全とかという単純なものでは実は ないわけでございます。  それから、先ほどの摂取量との関係でもお話をしましたが、有害なものがほんの少し でも入っていたらこれは危険なんだということを考えがちですけれども、実は量によっ てはそういう健康影響が出ないというような量もあるというようなことがございます。  それから、1つ、最後は、賞味期限を1日でも過ぎていれば危険というようなことも ありまして、こういうふうに思い込みがちなんですけれども、食品というのはある日突 然、今まで安全だったものが急に1秒後から危険になるというようなものではなくて、 食品中の微生物というのも、例えばあったとしても、じわじわ、最後の方は急激にふえ てくるかもしれませんが、そんなに急激に変わるというものでもないのではないかとい うふうに思います。これは一般的な話として聞いていただきたいんですけれども、やは りメーカーさんの方で賞味期限を決める際も、ある一定の保存条件のもとで調べたとこ ろ、例えば何日もつとかということをあらかじめ調べて、その範囲内で決めておられま すので、その場合にぎりぎりを設定すると賞味期限内であったのに腐っていたとかいう ことが起きることもあるので、少し余裕を持って設定されてるというのがどうも一般的 なようでございます。  それからあと、賞味期限にはもう一つ定められた保存方法でということがございます ので、これは賞味期限内であっても、買ってきた食品を適切に保管しないと、例えば夏 の暑い日にお豆腐を買ってきてテーブルの上にどおんと置いといて、半日ぐらいたっち ゃうと大分傷んでたりするわけで、これは賞味期限内であっても腐っていたりというよ うなこともあります。ですから、食品についてはなるべくきちんと素早く冷蔵庫に入れ るとか管理をきちんとすれば、多少賞味期限を過ぎていても食べられる場合もあるとい うようなことがございます。今日お話をしたことについては、科学的にこういうような ことが言えるということを紹介したもの、賞味期限が切れたものの販売を勧めているわ けではございませんので、その辺は誤解のないようにしていただければというふうに思 います。  以上でリスクコミュニケーションについての説明を終わらさせていただきますが、皆 さん、きょうお配りした資料の中に「意見交換会に参加いただいた皆様へ」というA4 縦のカラー刷りの紙がございます。リスクコミュニケーションについては、今日先ほど お話ししたようなことでございますけれども、きょうのこの意見交換会の目的というの は、必ずしもきょうこの場で何かを合意して決めようというようなものではございませ んので、1つは、きょうのテーマであります輸入食品の安全対策の現状とか、それから 残留農薬のポジティブリスト制度について、関係者の間、きょう集まっていただいた方々 の間で情報を共有したいということと、それから、さまざまな立場から意見交換をして いただいて、この問題についての認識を深めていこうというようなことを目的としてお りますので、よろしくお願いします。簡単ですが、以上でございます。 ○司会 それでは、続きまして、最初のテーマでございます「輸入食品の安全確保につ いて」、厚生労働省大臣副官房の藤井参事官から御説明させていただきます。 ○藤井厚生労働省大臣官房参事官  それでは、時間も限られておりますから、話をさせていただきたいと思います。消費 者の皆さんに食品の安全性についてどういう不安があるかという調査がございます。そ れによりますと、農薬、輸入食品、添加物というのが御三家というんでしょうか、消費 者の方にとって関心が高い事項になっております。きょうはその中の2つの項目、輸入 食品とそして農薬について、リスクコミュニケーションの意見交換会ということを開か せていただいております。  まず、輸入食品についてお話をさせていただきますが、輸入食品も農薬についてもで すが、2つあらかじめお断りをさせていただきたいことがございます。1つは、ここに スライドを出して御説明をしますが、それと同じものが皆さんの封筒の中に資料として 入っておりますので、どうも見づらいというような場合はそちらの資料の方をごらんを いただきたいということであります。もう1点は、今回この会場にはいろんな立場の方、 いろんな職種の方がおられます。話の中身としましては、いろんな方々がおられるもん ですから、比較的基本的、原則的な中身を中心にしておりますので、ある程度知識があ る方にとってはちょっと物足りないという中身になるかもわかりませんが、そこは御理 解、御了承をいただきたいと思います。  まず最初、輸入食品の安全確保についてということでありますが、スライドをお願い します。最初のスライドは、各国の自給率を示しております。この緑の方が昭和45年 で、黄色の方が平成14年。大体30年余りの間にヨーロッパの国々というのは自給率 を上げているにもかかわらず、日本は、60%ぐらいだったのが、現在では40%ぐら いに落ちてきております。それだけ輸入食品に頼っている割合が日本は多いということ が言えようかと思います。ここではアメリカはお示ししておりませんが、アメリカも自 給率は100%を超えている国の1つになっております。  次、お願いします。現在、日本には食品が、180万件、年間で3,400万トン余 りが輸入をされております。この重量に比べてこの件数が非常に伸びておりますが、こ れはいろいろ届け出制度の変更というものがあったということもあるようですし、非常 に少量多品種のものを、我が国が輸入をするようになったということで、件数が非常に 伸びてきているという状況になっております。この件数の中で、一番多いのがアルコー ルを含む飲料ということに現在ではなっているようです。  次のスライドをお願いします。これは重量ベースでの輸入を示しています。見ていた だきますと、一番多いのは農産物・農産物加工品というところが75%以上でしょうか、 占めております。重量ですから、中身を見てますと、小麦とか大豆とかトウモロコシ、 そういうものが非常に多くなっております。  そういう日本の状況をもとに、次、お願いします、輸入食品の安全性を確保するため の基本的な考え方としましては、法律の中で国の内外における食品供給の各過程におい て適切な措置を講じることにより行うと定められております。これを輸入食品の安全性 ということに置きかえて考えますと、3段階、つまり輸出国、現地で生産をされるよう なところでの対策、そして輸入をされたところでの対策、その商品等が流通をした国内 での対策というように、大きくはこの3つの段階に分けて対策を考えております。特に、 この輸出国における対策、そして水際での対策というのは国の役割、国内流通時での対 策というのは各都道府県の役割ということで、役割分担をしながら対策を進めておりま す。  次のスライドをお願いします。ちょっとこれは細かくなりますので、むしろお手元の 資料をごらんをいただいた方がいいのかもわかりませんが、申し上げましたように、輸 出国、そして輸入時、水際、そして国内の対策という大きく3つに分かれております。 輸入時の対策というのは国の検疫所におけるいろいろな検査等を含めての対策になりま す。そして、それが国内に流通をし始めますと、先ほど申し上げましたように都道府県 が主体となって検査等を実施をするということになります。どの段階でも違反が見つか った場合には、それは相手国の方に情報提供をして、原因の究明なり、その違反が今後 起こらないような対策をとっていただくというようなことを実施をしているというのが 大まかな概要ということになっております。次からは各段階における対策について、も う少し詳しく見ていきたいと思います。  次のスライドをお願いします。まず最初が輸出国における衛生対策の推進ということ であります。ここに検査強化品目についてということをまず最初に書いておりますが、 検疫所の段階でありますとか国内で都道府県の検査にひっかかったようなものにつきま しては、その相手国に対して違反の原因を明らかにするように依頼をする。そして、今 後再発をしないような対策を要請をするということをやっております。往々にして、あ る特定の国からある特定の物が入ったときに問題が起こるということになりますので、 二国間協議をして対策をお願いをする。そして、その対策が実際にきちんとやられてい るかどうかというのを、こちらの専門家等を派遣しつつ現地調査を行って、農薬の管理 でありますとか輸出前の検査というものを相手国でやっていただくようにお願いをする というようなことがございます。  次のスライドをお願いします。これは実際の例でありますが、中国産の冷凍ホウレン ソウに、クロルピリホスという農薬が基準以上に検出をされたということがありました。 それについては、まず中国政府の方が自主規制という形でそのホウレンソウを止めたわ けですけれども、その中国国内で管理工場と実際の生産農家、そして中国政府というそ ういう3つの役割分担がありまして、この加工工場の方では、生産農家に対して使う農 薬を限定をするとか、使用方法等を遵守をするようにする、またはそういうものの記録 をとっておくというような指導を実際にして、生産工場、加工工場の方では、そういう 記録をきちんと統括をして保存をする。また、3段階で農薬検査と書いてありますが、 収穫前、加工のとき、そして最終生産品になった時点で検査を行い、基準以上の農薬が 検出されないかどうかということをチェックをするということをやります。中国政府に おいては、政府が認定をする検査機関によって輸出前に検査をして、おのおの生産工程 について問題がないかという確認をする、そして輸出をすると、そういう対策がとられ るようになりました。  次のスライドをお願いします。その結果、見ていただきますように、平成14年から 15年の2月にかけて中国政府で輸入の自粛というのがなされ、そして一旦は解除され ましたが、また違反が見つかり輸入が自粛をされるという状況になりました。そして、 先ほど申し上げましたように、中国政府の指導により現地での対策が進み、ある山東省 の特定の認定をされた企業に限り輸入が認められるようになった。その結果、16年そ して17年、まだ途中ですが、違反の件数がゼロになってきているということで、国内 で発見をされた違反を相手国、輸出国に情報提供をして、そして相手国の方でいろいろ 管理をしていただいた結果、問題が解消をされたという1つの例であります。これは1 つの例でありますが、そういうことをしながら輸出国対策ということを実際にやってお ります。  次が輸入時、水際での対策になります。スライドをお願いします。これも法律ですが、 すべて食品等を輸入をしようとする者は厚生労働大臣に届けなければならないというこ とになっております。主な届け出事項としましては、輸入者の氏名等、そして食品の数 量、添加物、どういう原材料でつくられているのか、また製造方法は何か、各種我が国 の食品衛生法の衛生基準に合っているかどうかというようなことを届け出ていただくよ うになっております。  それを検疫所でチェックをするわけでありますが、次のスライドをお願いします。こ この図でお示しをしておりますように、全国で31カ所の検疫所におきまして今のよう な輸入届け出をしていただいております。そのうち6カ所では比較的簡易な検査をする。 そして、残留農薬でありますとか添加物のようにかなり複雑なものについては、東日本 については横浜、西日本については神戸に検査センターがあります。検疫所には食品衛 生監視員が、約300名ほどいて、毎日食品を収去してきて、それを検査をしたりとい うことをやっております。  次のスライドをお願いします。なかなか国家公務員というのは定員削減でふえないん ですが、食品の安全性を確保するという非常に重要な働きをしていただいてる食品衛生 監視員につきましては、かなり最近でも増加しておりまして、現在では、約300名余 りということになっております。  次のスライドをお願いします。輸入時にどういうものを重点的に調べているかという ことでありますが、先ほど説明しましたように、輸入届け出を出していただいたものを ベースに、法律の違反がないかどうかというのをチェックをします。そして、一定の頻 度で検査をします。輸入者の方については、日本の法律に違反をしないようにいろいろ と指導をさせていただくということがあります。そして、検査をして違反が発見された 場合には、検査の頻度を上げるとか等々の検査の強化というものを実施をするというこ とになっております。  次のスライドをお願いします。まず、輸入をされる方へどういう指導をしているかと いうことでありますが、これも食品安全基本法の中に、営業者は食品の安全性の確保に ついて第一義的責任を有するという文が入っております。つまり、輸入をした食品の安 全性は輸入をした方が一義的に責任を持つということであります。それをどういう形で 担保をするかということでありますが、検疫所の段階では輸入前の相談ということで、 例えばこういうものを輸入をしたいんだけれど日本の法律で大丈夫だろうかというよう なことを事前に受け付けております。この段階で、日本では認められていない添加物を 使っているものがひっかかって輸入ができないことが多いようであります。それから、 初めて日本に輸入をされるようなものについては、自主検査ということで、輸入業者の 方にみずから検査を実施をしていただくということをしております。  次のスライドをお願いします。いろいろとそういう形で検査というものを検疫所の段 階でやっておりますが、最初に一定の頻度で行うモニタリング検査を実施します。先ほ ど申し上げましたように、その検査で違反が見つかると、その頻度を若干上げて検査を 実施をします。それでも違反が続くような場合につきましては、国の方が輸入業者の方 にすべて検査をしてくださいという命令を発します。そういうものがトータルをします と、大体年間180万件ぐらい輸入届け出があると申し上げましたけれども、そのうち の10%強ぐらいの件数については検疫所の輸入をされる段階で何らかの検査がされて いるということになります。最終的な手段としては、違反が続くような場合については 輸入禁止措置というものも法律で規定をされております。  もう少し検査について細かく見ていきますと、次のスライドをお願いします。まずち ょっと順番を下の方から行きますけれども、業者の方に、初めての輸入品目であります とか、輸入をしている途中に少し温度管理が十分じゃなかったというようなケース等に ついては、自らの責任で検査をしていただくように指導をしております。モニタリング 検査というのは、年間の計画に基づきまして検疫所で食品群ごとに検査を実施をしてお ります。このモニタリング検査は、国が自ら費用を使ってやる検査ですが、ここにあり ますように、結果の判明を待たずに輸入が可能ということになっております。ただ、輸 入品がモニタリング検査に該当したことは業者さんにすぐ知らせられる仕組みになって おりますので、生鮮食品等で流通をすぐにさせなければ商品価値が下がるというような ものでない限りは、多くの業者さんがこの結果を待って、何もなかったということがわ かるまで輸入を差しとめるということを自主的にされております。そして、この検査命 令というのは、安全性に対して非常に問題性が高い食品については、輸入業者の方に費 用を負担をしていただく検査です。そして、結果が判明するまでは輸入ができないとい う措置がとられております。  モニタリング検査が検疫所でやる通常の検査になっておりますので、それについて簡 単に御説明をします。次のスライドをお願いします。  例えば、横浜検疫所の場合は、船で食品が入ってきます。その入ってきた食品という のは非常に多くの倉庫に収容されているということで、ここでは一人ずつになっており ますが、大抵何か事故があった場合のためにということで、食品衛生監視員の方が2人 のグループを組んでこの食品の収去、検査をするため集めて回るということをやります。 これはオレンジで、これはコーヒーとか大豆とか小豆とか、そういう袋に入ってるよう なもの、これは恐らく冷凍された肉のようなたぐいだと思いますが、すべての品目につ いて食品衛生監視員が現地の倉庫まで出向いていってサンプルを集めるということをい たします。  次のスライドをお願いします。それを冷凍ならばきちんと温度管理をした上で、横浜 検疫所の場合でしたら横浜にある検査センターに搬入をします。  次のスライドをお願いします。例えば残留農薬の検査の場合でしたら、その集まって きたサンプルを細かく砕いて均一にして、不要なものを取り除いて、そして農薬成分が 入っているというものをかなり濃い形で抽出をして、そして検査をするということをや っております。単純に重さのようにはかりの上に置いたらデータが出るというものでは ありませんで、この過程を全部とると、例えば残留農薬の検査でしたら3日半ぐらい時 間がかかるということになります。そして、特殊なものでしたらもっと時間がかかるこ とになるのですが、検査センターでは、どういう検査についても1週間以内で検査結果 を出そうということで努力をしております。  次のスライドをお願いします。いろいろとそういう検査の中でどんな違反事例がある のかということでありますが、一番多いのがここの段階になります。規格基準に違反す る食品ということになるんですが、この中でも一番多いのがここの冷凍食品の細菌数が 多いというものになっております。そのほか残留農薬の問題もありますし、次に多いの は添加物、そしてその次に多いのが有害・有毒物質ということで、アフラトキシンとい う落花生とかピスタチオにつくカビが、件数的には多くなっております。先ほど年間1 80万件ぐらい輸入届け出件数があると申し上げましたが、19万件ぐらいを検査をし て、その結果、こういう何らかの違反があるというのは約1,000件ちょっとです。 すべての届け出件数からすると0.1%以下ということになります。  次のスライドをお願いします。もう一つ、検査命令というのを先ほど御説明しました が、通常はモニタリング検査をして、1回目の違反があった場合には50%モニタリン グ、つまり2件に1件検査に回すということをします。そして、それで2回目の違反が 見つかった場合について、違反の、ここ蓋然性と書いてありますが、確率が非常に高い ということを判断をして、厚生労働大臣がその品目について検査命令というものをかけ ます。これが一般的なパターンなんですが、その他、O157のように非常に緊急に生 命の危険があるということで安全性を確保する必要があるというものについても検査命 令が出されることになっております。一旦検査命令が出されますと、それを解除するに は、ここにありますように、違反食品が輸出されることがないような対応策がきちんと とられるということの確認が必要ということになっております。  次のスライドをお願いします。その他輸入品というのは世界各国でいろんな形で輸入 をされているということでありますので、海外における食品安全情報を積極的に収集を するという仕組みが動いております。もちろん在外の日本大使館からの情報もあります し、医薬食品衛生研究所の安全情報部が世界各国でありますとか国際機関からの情報を 収集をするということもやっております。そして内閣府の食品安全委員会の方でも個別 に情報収集を行っております。こういう情報収集によりまして問題がある食品が輸入さ れたような場合については各種の対応策をとるということが行われておりますが、最近 の例では、米国産のアーモンドがサルモネラ菌に汚染をされていたでありますとか、中 国産の春雨が漂白剤がかなり使われていたものについてはこういう情報収集の結果、対 応策をとったものになっております。  次のスライドをお願いします。これは最初に3段階で対策をとるということをお示し した図でありますが、輸入の段階そして輸出国へのアプローチ、情報提供については国 の役割、そして国内で実際に流通をしているものについては都道府県が検査を実施をす るという役割分担になっております。  次のスライドをお願いします。もし違反が判明をした場合につきましては、国内に流 通をしているということがわかった場合には、例えば国がそういう情報を知った場合に ついては、関係の都道府県に連絡をして回収等の措置をお願いをする。そして、都道府 県で流通をしているものに問題があるものがわかったというときについては、国の方に 情報をいただいて検疫所での検査を強化をする。国と地方が役割分担をしながら輸入食 品の安全性について対応をとっているということであります。違反があった輸入者に対 しては、もちろん原因の究明でありますとか再発防止策を要請しますし、もう一度輸入 をしようという場合には、一部サンプル品を検査をして、改善が図られているというこ との確認を経てからでないと輸入が再開できないという仕組みになっております。悪質 な業者については営業の禁止・停止という措置も法律の中で規定をされております。検 疫所の段階で違反があった事例については、非常に細かく厚生労働省のホームページに も紹介をさせていただいております。  次のスライドをお願いします。また、ホームページへアクセスをできる方については 見ていただきたいんですが、輸入食品だけではなくて、食品の安全性について情報提供 を努めるようにしておりますので、何かの参考にしていただけたらと思います。輸入食 品の安全性については以上でございます。 ○司会 それでは、ここで休憩をとりたいと思います。私の時計、2時2分でございま す。5分ぐらいと言っておりましたけれども、ちょっと時間押してる関係で2時5分か ら、3分間でちょっと恐縮でございますけれども、始めたいと思います。それでは、よ ろしくお願いします。 〔休  憩〕 ○司会 それでは、ちょっと時間も押している関係で申しわけございません。時間にな りましたので、2つ目のテーマでございます残留農薬等のポジティブリスト制度の導入 について、引き続き藤井参事官から御説明をさせていただきます。 ○藤井参事官 それでは、2つ目の残留農薬のポジティブリスト制度の導入についてと いうことであります。言葉はポジティブリスト制度ということになっておりますが、次 のスライドをお願いします、お話をするのは食品に残留する農薬に関する規制のお話で ございます。  次のスライドをお願いします。残留農薬についてどのように食品の安全性を確保する かという基本的な考え方についてここにお示しをしております。基本的な考え方として は、毎日の食事を通じてとる農薬の量が健康に影響を与えるような量を超えないように する。このADIというのは後で御説明しますが、今のところは健康に影響が出るよう な量を超えないようにするということで御理解をいただきたいと思います。そして、ど のように農薬が使われるようになるかをまず最初に簡単に御説明をしたいと思います。  次のスライドをお願いします。農薬というのは、日本では登録制度ということになっ ておりまして、法律によって認められた農薬のみが製造することができる、輸入するこ とができる、販売することができる、使用することができるということになっておりま す。そして、その農薬というものは、安全性が確認をされたものだけが使用できる、登 録されるという仕組みになっております。ここでどのように安全性を確認、確保してい るかということですが、この下にありますように、動物を使っての毒性試験で安全かど うか。そして動植物の中で農薬がどのように分解をされていくのかということを把握を する。自然環境に対してどのような影響があるのか。そもそも農作物の中にその農薬が どの程度残るのか。こういう試験を経て安全性が確認をされないようなものについては 登録ができないという仕組みになっております。  次のスライドをお願いします。そして、その登録をするときには、その安全性が担保 できるように農薬の、ある農薬がどの作物に使っていいのか、いつ農薬を使っていいの か、どういう量まで使っていいのか、そういうようなことが決まっております。それを 使用基準というふうに呼んでおりますが、その使用基準を守っていただきますと決して 安全性に問題になるような基準を超えない。そうしますと、その農作物を食べても健康 に影響が出るような量を超えない。大まかにはそういう仕組みになっております。そし て、ここでADIということについて改めて御説明をしたいと思います。  次のスライドをお願いします。ADIというのは、農薬その他化学物質等の健康への 影響を評価をするときに国際的に使われている概念になっています。アクセタブル・デ イリー・インテークの頭文字のA、D、IをとってADIと呼んでおりますが、これを 日本語に訳しますと許容一日摂取量と呼んでおります。この許容一日摂取量というのは、 人が生涯、その物質を毎日とり続けたとしても健康に対する有害な影響があらわれない と考えられる1日当たりの摂取量ということになります。人にも子供さんがいたり大人 がいたり、大人の中でも体重が少ない人、多い人、さまざまな人がいますので、この摂 取量というものは体重1キログラム当たりのミリグラム数であらわされるということに なっております。  次のスライドをお願いします。ADIは、どのように決められるのかということであ りますが、これは農薬の場合ですと、農薬のメーカーの方がいろいろと実験をしてデー タを提出してこられます。そのデータに基づいて、内閣府にある専門家の集団である食 品安全委員会でそのADI、許容一日摂取量の値を決めていくということになっていま す。農薬メーカーさんがデータを出してくるので、都合がいいデータだけを出されるん ではないかと心配される方もあるかもわかりませんが、ここにGLPと書いてあります が、どういう手順でデータを作成をしなければならないのかというのが非常に事細かく 決まっております。その基準に基づいて実験をしたデータを提出をいただいて、それを もとに食品安全委員会で審議をしていくということになります。どのようなデータを出 していただくかといいますと、ここにありますような安全試験のデータ、急性試験とい うことで、1回その物質、農薬なら農薬を投与したときの影響でありますとか、反復投 与したときの慢性的な影響、発がん性があるかどうか、胎児に奇形ができるかどうか、 繁殖力に影響があるかどうか、そういう各種の試験をネズミを中心とした動物実験をし ます。すべての試験について影響が認められない量を無毒性量と呼んでおりますが、そ の無毒性量というものを求めまして、それに安全係数を掛けてADI、許容一日摂取量 というものを求めます。安全係数は、動物実験でデータを出しておりますので、人との 種差ということで、ここで10、人でも大きい人、子供から大人までありますので、そ の差を10ということで、10掛ける10の100をとり、無毒性量の100分の1を ADIと決めましょうというのが国際的なルールになっております。  もう少し図示をして具体的に見ていただきますと、次のスライドをお願いします。縦 軸に生体への影響、横軸に物質量をとりますと、原点から一直線でずっと影響が出るわ けではありませんで、しばらくある一定量を、投与しても何ら影響が出ないところがあ ります。そして、影響が出始めると、それも一直線で行くのではなくて、S字状のカー ブで影響が出ていくことが知られています。先ほど申し上げました無毒性量、すべての 試験について何ら有害作用が認められない量というものが求められて、それに安全係数 の100分の1を掛けて許容一日摂取量というものを求めます。例えば、農薬の場合で すと、後からデータ等でもお示しをしますが、実際使われるレベルというのは、このA DIよりもかなり下のレベルというところが農薬の残留基準の値ということになってお ります。この辺でいきますと、少し残留基準値をオーバーしたから直ちに人に影響があ るかどうかということですが、このグラフを見ていただきますと、ほとんど基準値を少 しぐらいオーバーしたぐらいでは影響が出ない可能性の方が高いというのが御理解をい ただけると思います。  次のスライドをお願いします。具体的に農薬の残留基準値をどのように決めていくの かということを1つ例でお示しをしたいと思います。その基準値を決めていくときには、 いろいろと農薬を登録をするときに各種の毒性試験をしたときのデータでありますとか 外国のデータというものを考慮して決めることになります。例えば、Aという農薬の場 合については、小麦、白菜、ミカン、お茶と、この4つの作物について使用が認められ ているとします。新たに基準値を決めるその決め方としては、例えば外国の例を持って くる、そして国内での作物への残留試験のデータをとってくる、これは国際機関のデー タを持ってくる等々をして、一応その基準値案というものを設定をいたします。  次のスライドをお願いします。その基準値の決め方には2つの方法がありますが、そ の2つをうまく組み合わせて使っておりますが、まず簡単な方から御説明をします。こ れは理論最大一日摂取量方式と呼ばれているものであります。この場合は、すべてのA という農薬を使うことができる作物について基準値目いっぱいまで農薬が残留をしてい ると仮定をします。そして、別の調査で、小麦からお茶まで、人がどれぐらい摂取をし ているのかというのがわかっておりますから、その摂取量と最大限残留をしている可能 性がある量というものを掛け合わせて、農薬Aが使われる作物全体から人が摂取をする であろうという農薬量を求めます。実際調査をしてみますと、基準値いっぱいまで農薬 が残留しているということはまずありませんので、かなりこれは過大に評価をした、多 目の数字ということになります。そして、その農薬というのは、農薬の使用基準、使用 方法とは全く関係がなく、先ほど申し上げましたように、動物実験等によりましてAD I、許容一日摂取量というものが決まっております。平均的な日本人の場合については、 それに体重を掛けますと1人当たり1日当たり1.066ミリグラムというのが仮定と して求められます。  人が農薬を最大限これだけとるだろうという推定値と許容一日摂取量と、生涯この量 をとり続けても健康影響が生じないという量とを比べていただきますと、実際、仮定と して最大限摂取をするだろうという農薬量がADIの10数%にしかならないというこ とになります。ですから、基準値案というものは妥当な範囲におさまっているというこ とが御理解をいただけると思います。これが1つの基準値の決め方です。  次のスライドをお願いします。もう一つ、これはもう少し詳細にした決め方になりま す。これは、先ほどが基準値目いっぱいまで農薬が残留をしていると仮定しましたが、 実際はいろいろな調査から残留レベルは10分の1ぐらいであったりするもんですから、 そういう実際の値を参考にする。そして、例えばバナナでしたら、皮は食べませんから 皮の部分を除いて、食べる身の部分だけの農薬量を考慮をする。その他、生では食べな いようなものの調理加工の影響等を考慮して実際に農薬をどれぐらいとるかということ をかなり細かく調査をして評価したものがこの日本型推定一日摂取量方式ということに なります。  その2つの方式を組み合わせると申し上げましたけれども、次のスライドをお願いし ます。実際のときには、平均的な日本人だけではなくて、子供、妊婦の方、お年寄り、 そして平均的な日本人、この4つのグループに分けて、一番最初に御説明をしましたよ うに、基準値まで最大限農薬が残留をしているという状況でどれぐらい農薬を摂取する ことになるのか。そして、それを一日許容摂取量とおのおののグループについて比較を して、80%以下ならば基準値として採用しましょうと。いずれかのグループが80% よりも多い場合については日本型推定一日摂取量ということで、後段に説明をしました、 例えば調理の影響とか食べる部分だけの影響という実際的に近い農薬の摂取量というこ とを、やはりおのおのの4つのグループについて計算をして、やはり許容一日摂取量よ りも80%以下ならば採用する。いずれかのグループでも80%よりも多い場合につい ては、基準値案そのものを再度見直しをするという決め方をしております。なぜここで すべて80%ととっているのかといいますと、農薬は口から入るだけではなくて、例え ば水とか空気とか、そういうものから入る可能性もあるということで、その影響を2割、 安全係数としてとっております。そのために許容一日摂取量の8割を基準にして、農薬 の残留基準値を決めるという決め方になっております。  それが従来からの決め方になっておりますが、今回、ポジティブリスト制度というも のを導入をするということですが、次のスライドをお願いします。ポジティブリスト制 度はどういうことかは、名前を聞いただけではなかなか御理解が得にくいと思います。 農薬につきましても化学物質につきましても規制をするというものについては、ネガテ ィブリスト制度とポジティブリスト制度の2つがあります。ネガティブリストといいま すのは、原則規制がない状態で、規制をするものだけについてリスト化をするというも のであります。それに反しましてポジティブリスト制度というのは、原則すべてが禁止 です。使用を認めるものだけについてリスト化をしますということになっております。 現在、食品の残留農薬の規制というのは、この上の制度になっております。食品衛生法 で農薬の残留基準値というものがあるものだけについて規制をすることができるという 制度であります。ただ、輸入食品のところでもお話をしましたように、6割が海外から の輸入される食品になっているという状況の中では、日本で認められていない農薬を使 っているような農作物が輸入をされるという可能性は非常に大きいわけであります。し かし、現在の仕組みからいいますと、リストアップしたものだけしか規制ができないと いうことになっております。それではこういう輸入食品が多い状況の中では問題であろ うということで、今回ポジティブリスト制度に変換しようということを計画をしており ます。その場合は、原則残留農薬禁止で、基準を定めたものだけを認めていこうという 制度に変わってまいります。  次のスライドをお願いします。それが残留農薬のポジティブリスト制度についてであ ります。基準が設定されていない農薬については、一定量を超えて残留する食品の販売 を禁止をするという制度になります。ここでは書かれておりませんが、基準が設定をさ れているものについては特別に認めますということは先ほど申し上げたとおりでありま す。ここで一定量ということになっておりますが、基準を設定されていない農薬につい てはすべて禁止されて使ってはならないという制度にならないのかということをよく言 われますが、検査をする場合に、検査法によって得られるデータが異なってくる。また は、その検査法が日々進歩をしておりますので、昨日まで検出をされなかったものが今 日明日にはまた検出をされるような器械が開発をされるというようなことがあります。 そういうことから、世界各国で一定量を超えて残留をする食品というものを規制をして いこうという形になってきております。  次のスライドをお願いします。その一定量といいますのは、ここにありますが、法律 の中で、人の健康を損なうおそれのない量として厚生労働大臣が定める量ということに なっております。その一定量というものをいろいろと検討した結果、0.01ppmと いうことで設定をしております。これを通常、一律基準ということで言っております。 この0.01ppmというのはどれぐらいの濃度だということなんですが、ppmとい うのは、御存じのように100万分の1になります。0.01ppmですから1億分の 1。つまり、日本人が大体1億2,000万、3,000万ですから、大ざっぱにいい ますと日本の人口の中で1人ぐらい異常なデータがある、その程度の頻度だということ が言えると思います。これを人の健康を損なうおそれのない量として設定をしていこう ということになっております。  次のスライドをお願いします。外国では既にポジティブリスト制度を採用している国 があります。人の健康を損なうおそれがない量として決める一律基準については、EU の場合は0.01ppmで、日本と同じです。ニュージーランド0.1ppm、ドイツ が0.01、アメリカは運用上0.01から0.1ppmで判断をしているという状況 でありますが、このニュージーランドについても諸外国と比べて高いんではないかとい うことで、現在、見直しが検討されているということであります。日本の0.01pp mというのは、諸外国に比べても決して厳し過ぎる値ではないということが御理解をい ただけると思います。  次のスライドをお願いします。ポジティブリスト制度というのは、主に農薬について 御説明をしましたが、そのほか動物用医薬品でありますとか飼料添加物、そういうもの を3つを対象にしております。対象の食品につきましては、加工食品を含むすべての食 品ということになっております。  次のスライドをお願いします。ただ、すべてのいわゆる農薬が規制の対象になるのか というと、例えば農薬として食品添加物に使われているものがあります。それから重曹 はよく御家庭で使われると思いますが、そういうものも農薬として使われているような ものがあります。そういう人の健康を損なうおそれのないことが明らかであるものとし て厚生労働大臣が定める物質については、規制の対象にならないということになってお ります。  次のスライドをお願いします。いつからこのポジティブリスト制度が始まるのかとい いますと、来年の5月までに実施をすることになっております。今から2年半前、平成 15年5月30日に法律が公布されました。そして、3年を超えない範囲で実施をする ということになっておりますので、デッドラインとしましては平成18年5月29日と いうことになります。それまでに実施をしようということで、今、最後の作業をしてい るところであります。  次のスライドをお願いします。若干おさらいになる部分もありますが、現行とポジテ ィブリスト制度が導入をされたときどのように変わるかというのをもう一度簡単に御説 明をします。現在の制度では、ここにありますように、基準が定められているものにつ いてはこの基準を超えて農薬が残留するものが販売等の禁止をされるということになり ます。しかしながら、この下側にありますように、基準が定められていないものについ ては、農薬等が残留しても基本的にはそれを規制する手段がないというのが現行の制度 でありました。 次のスライドをお願いします。そして、ポジティブリスト制度が導入 をされるとどのように変わるのかということですが、一番左側にありますように、基準 があるものについては、現在と同じように基準を超えて農薬等の残留が認められるよう なものについては販売が禁止される。そして、先ほど申し上げましたけれども、重曹の ように少しぐらい残っていても人の健康を損なうおそれがないようなものについては、 その対象外にします。それ以外の部分、今まで規制がかかっていなかったような部分に つきまして、今回から、ここにありますように、人の健康を損なうおそれがない量とし て厚生労働大臣が決めた一律基準、0.01ppmということを申し上げましたが、そ れを超えるものについては販売が禁止をされるということになります。この部分がポジ ティブリスト制度になると規制がかかるようになるということであります。  ここのところで暫定基準ということを書いています。現在、食品衛生法で残留基準値 というものが定まっているのが、先ほどありましたように、農薬でいいますと249あ ります。ただ、全世界で使われている農薬というのは700以上あります。ということ は、もし現在のままポジティブリスト制度にしますと、450余りの農薬がすべてここ で規制をされてしまうということになります。そうしますと、輸入の割合が6割を占め ている我が国で実際に海外から農作物等が輸入できないという事態にも発展をしかねま すので、ここにもありますように、科学的な方法をもって、国際基準等で定められたも のがあったら、暫定的にその値を使用していこうというものが暫定基準となっておりま す。  次のスライドをお願いします。先ほど申し上げましたが、全世界で認められている農 薬数というのは700余りあります。我が国で残留農薬の基準値が設定をされているも のが、249になっております。実際に我が国で使われている農薬として登録をされて いるものが約350あります。食品衛生法で基準値が定まっているものと重なっている ところを見ていただきますと、約200のものについては農薬と食品衛生法のどちらも 重複をしたものがある。ただ、農薬として使えても基準がないものというのが、150 余りあります。このままポジティブリスト制度に導入をしますと、ここの150余りの 現在使ってもいいとなっている農薬さえ場合によっては使えなくなるという事態が生じ ますので、そういう混乱をなくすためにも暫定基準というものを設定をしていこうとい うことになっているわけであります。  次のスライドをお願いします。暫定基準の設定ですが、やはり、まずは国民の健康を 守るという観点から科学的なデータに基づいた基準があるものについて考えていきまし ょうということ、そして輸入食品が非常に多い、また日本の国内でも農薬として使うこ とが認められているにもかかわらず残留基準がないものがたくさんあるということから、 新しい制度を円滑的に実施をするために暫定基準を設定をするものであります。  次のスライドをお願いします。その場合、科学的な根拠があるものを参考にして基準 を設定するということで、我が国も国際社会の一員でありますから国際基準、そして、 農薬を登録をする場合に各種の毒性試験をすると申し上げましたが、そのときの安全基 準のデータ、また、諸外国できちんとデータをもとに基準を設定しているこの5つの国 のデータというものを参考にしていこうということになっております。  次のスライドをお願いします。具体的には、まず国際基準を最優先をします。国際基 準がない場合には、我が国で農薬を登録をしたときに毒性試験をしたそのときの安全基 準のデータを採用をし、その両者がない場合については、先ほど申し上げましたアメリ カ、カナダ、ニュージーランド、オーストラリア、EUの基準を参考にしていきます。 優先順位としては1、2、3と、こういう順番で暫定基準を設定をしていこうというこ とになっております。  次のスライドをお願いします。例えばBという農薬、この小麦、ミカン、お茶、牛肉、 ミルクについて基準値をどのように考えていくかということですが、小麦については現 在の残留基準がありますから、それをとってくる。農薬の登録をしたときの安全性のデ ータがあるものについては、それをとってくる。国際基準があるものについては、それ を優先する。国内の基準も国際基準もない場合には5つの海外の基準を参考にする。た だ、このお茶のように、すべてについて基準値が定められていない場合には、ここは当 初申し上げました一律基準、健康を損なうおそれがない量ということで0.01ppm というものが採用をされるということになります。  次のスライドをお願いします。暫定基準、言葉の上では何となくいいかげんな基準の ような印象を受けられるかもわかりませんが、この基準についても法律に定められるこ とになりますので、この基準を違反をすると販売等ができない、そういう対象になりま す。国際基準でありますとか外国の基準のいわば借り物の基準ということになっており ますので、今後食生活の調査をして農薬をどの程度とっているのかということを調べた 上で、必要に応じて優先順位をつけて、食品安全委員会にきちんとした基準の設定のた めの評価をしていただこうということを考えております。また、いろいろと新しい知見 が出て、急に危険性が非常に高いというものが国際的にも出てきたような場合について は、優先的に評価の見直しをすることを考えております。その他のものについて、先ほ ど申し上げましたように、国際的に使用されている農薬等が約700ぐらいあって、現 在基準が250ぐらいですから、その差し引きの450余りが基準がないことになりま す。それを一つ一つきちんとした評価をしていくには大変な手間と時間がかかりますの で、優先順位をつけてやっていく。それで間に合わないようなものについては5年ごと に各国、国際的な基準の見直しの整合性をとるために見直しをするということにしてお ります。  次のスライドをお願いします。今後の予定のところを見ていただいた方がいいと思い ますが、11月の末にはいろいろと細かい関係の通知というものをお示しをして、6カ 月間の周知期間を置いて、5月の末ごろに施行になります。  次のスライドをお願いします。現時点でどれぐらい食品中に残留農薬があるのかにつ いて厚生労働省だけではなくて農林水産省とかでも調べております。これは食品中にど れだけ残留農薬が残っていて、それをどの程度とっているのかというのを調べた数値で あります。例えば平成14年度、21の農薬について調べました。0.04%から1. 69%となっておりますが、ここにもありますように、許容一日摂取量に占める割合が どの程度かということをお示しをしたものであります。許容一日摂取量というのは、当 初にもお話をしましたように、一生涯とり続けても健康に影響がない量です。それのま だ2%以内しか14年度でありますと調べた農薬がとっていなかったということであり ます。  次のスライドをお願いします。これはまた別の調査で、加工食品の中にどれだけ農薬 が入ってたのかということを調べておりますが、これも、例えばこれは13年度で見て いただきますと、フライドポテトとかビール等、250農薬についてこれだけの件数を 調べてますが、農薬自体が検出をされたというのは総件数の中で0.2%、そして、そ れも非常にわずかな量であったということであります。総じて評価をいたしますと、人 の健康に問題になるほどの農薬が残留しているものはなかったということになります。  次のスライドをお願いします。これは実際の農産物の中にどれぐらい農薬が残留をし ていたのかということであります。例えば平成13年度で見ていただきますと、検査は 53万件以上しております。ただし、農薬自体が検出をされたのが割合でいいますと0. 5%。その中でも、総件数に対する割合ですが、基準を超えていたものが0.01%。 ですから、比較的残留農薬については一般的には遵守をされている、安全な範囲である ということが言えるんではないかと思います。  次のスライドをお願いします。そういうことで残留農薬について駆け足でお話をしま したけれども、来年の5月からは、日本で規制値がないものについては規制ができなか った残留農薬について、ポジティブリスト制度によって原則すべての残留農薬について 規制の網がかけられるという大きな変革が予定をしているということでございます。以 上でございます。 ○司会 それでは、今、私の時計、2時52分でございますけれども、会場のセッティ ング等もありますので、3時2分から始めたいというふうに思います。それでは、お時 間になりましたらお戻りください。また、飲み物ですけれども、こちらで御用意できて おりませんので、もし御必要でしたら御自分で御用意されて、お席のところで各自お飲 みください。 〔休  憩〕 ○司会 それでは、時間になりましたので、ただいまからパネルディスカッション及び 意見交換会を始めます。  パネルディスカッション及び意見交換会の議事進行につきましては、コーディネータ ーである広瀬課長補佐の方にお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○広瀬企画情報課長補佐 それでは、コーディネーターとして、意見交換会の進行をさ せていただきます。よろしくお願いいたします。  まず、パネリストの御紹介をさせていただきたいと思います。  壇上、皆様の方からちょうど向かって左側の4人目の方からになりますけれども、右 の方向に向かっていって、まず中央のとこに座っていただいておりますけども、山口県 地域消費者団体連絡協議会の副会長でいらっしゃいます、吉冨崇子様でございます。 ○吉冨氏 お願いいたします。(拍手) ○広瀬企画情報課長補佐 そのお隣が全農山口県本部営農部長の堀覚様でございます。 ○堀氏 よろしくお願いします。(拍手) ○広瀬企画情報課長補佐 また、関係の行政機関ということで、内閣府の食品安全委員 会事務局次長でいらっしゃいます、一色賢司様でございます。 ○一色食品安全委員会事務局次長 一色でございます。よろしくお願いします。(拍手) ○広瀬企画情報課長補佐 また、農林水産省消費・安全局消費者情報官の引地和明様で ございます。 ○引地農林水産省消費・安全局消費者情報官 引地でございます。よろしくお願いいた します。(拍手) ○広瀬企画情報課長補佐 また、本日は山口県からも来ていただいておりまして、山口 県環境生活部生活衛生課長の森章様でございます。 ○森山口県環境生活部生活衛生課長 森です。よろしくお願いします。(拍手) ○広瀬企画情報課長補佐 私の隣になりますが、厚生労働省大臣官房の藤井参事官でご ざいます。 ○藤井参事官 よろしくお願いいたします。(拍手) ○広瀬企画情報課長補佐 以上6名で意見交換の方を進めていきたいと思います。  最初に、進め方について御説明したいと思いますが、本日はテーマごとに議論を進め ていきたいというふうに考えております。  まず、1つ目のテーマでございます輸入食品の安全対策のこと、それから、2つ目の テーマであります残留農薬のポジティブリスト制度についてのことというふうに進めて いき、それから最後に、時間があれば食品安全全般についてということで、特にテーマ に限ったことではなく、自由に意見交換を行う時間というのを設けていきたいと考えて おります。  最初に、輸入食品の安全対策の方ですが、きょう最初に国の取り組みを説明させてい ただきましたけども、これは何も輸入食品がとにかく安全なんだということを主張した いということではなくて、輸入食品についてまずリスクとしてどういったものが考えら れて、それを安全に管理するためにどういう取り組みを国がしているのかということを 説明させていただいたというのが本日の趣旨でございます。そのような説明をお聞きい ただいた上で、中には安全だと思っていただける方もいらっしゃいますし、それでも安 全だと思えない、それから安心できないという方もいらっしゃるのではないかと思いま す。安全だと思えない、安心できないというような方が安全だと思っていただけるとか、 安心していただくためには、どういうふうにしていったらいいのか、何が問題なのかと か、そういったようなことについて議論を進めていきたいと思います。  パネラーの方からまず最初に意見を少しお伺いした後、会場の方にも意見をいただき たいと思います。会場の方から御意見いただく際には、大変恐縮なんですが、まず、事 前にいただきました意見について、本日資料4ということで縦の紙にまとめさせていた だいております。これを全部一通りちょっと紹介するというお時間を設けることができ ませんので、大変申しわけありませんが、意見出された方は特に回答のところをお読み いただいて、私はもう少し違うところが聞きたいとか、ちょっと趣旨が違うんじゃない かというようなことがあれば、会場からの意見交換のときにでも手を挙げて御発言いた だければというふうに思っております。  また、会場から御意見いただく際なんですけれども、たくさんの方がいらっしゃって、 なるべく多くの方から御発言いただきたいというふうに考えておりますので、本当に申 しわけないんですけれども、1人当たり2分間ぐらいで、できれば最初に簡潔に主張を 述べていただいて、その後、その関連する説明というふうな形でしていただければと思 います。それで、一応2分ということなんですが、1分30秒ぐらいしたところでベル を1回鳴らします。2分間たちましたら、ベルを2回チンチンというふうに鳴らします ので、大変申しわけありませんが次の方にマイクを譲っていただければと思います。こ のような形で意見交換の方を進めていただきますので、御協力をお願いしたいと思いま す。  本日は、冒頭、説明させていただきましたが、いろいろな方がいろいろな立場からそ のお考えを述べていただき、その問題に対しての相互の理解を深めるというようなこと が目的でございますので、ぜひとも積極的な発言をお願いしたいと思います。  それでは、まずパネラーの方から意見を伺ってみたいと思いますが、吉冨様、消費者 のお立場からということで、輸入食品についての考え方などについてお聞かせいただけ ればと思います。 ○吉冨氏 先陣を切ってということになると思うんですけれども、先ほど御紹介にあず かりました山口県地域消費者団体連絡協議会の吉冨崇子でございます。県域34団体が 加盟しておりまして、団体としてのスローガンとして、「安全な食料を求めよう」「地 産・地消をすすめよう」と掲げて活動をしております。本日は消費者の代表として、こ の場にお招きいただきました。ありがとうございます。  消費者の意見ということですので、輸入食品についてふだん感じていることを手短に 話をしたいと思います。  平成2年ごろから私は表示ということに関心を持ちまして、広島の消費者協会におり ましたときに表示部会という部会を立ち上げまして、表示について学ぶことを始めまし た。どうしてかというと、同じタマネギが並んでいても価格が違っていました。何でキ ログラムが同じなのに価格が違うんだろうということで、ちょっと疑問に思いました。 それがきっかけでした。お店に問い合わせしましたところ、わかりませんっていう返事 だったんですが、何か違うんじゃないかなということで、もしかしたら外国産かもしれ ないねという話になりまして、表示の調査を始めました。  それで、表示を調べてみたんですが、やはり表示があいまいであるということが非常 によくわかったのとともに、外国産の輸入のきっかけは不作だったり、あるいは天候等 いろいろなことがあって賄えないときの緊急輸入が発端だったんですけれども、そうで はなくて、だんだん一年じゅう輸入の方に方向が変わってまいりました。そういう意味 で、表示をしてほしいよねという運動につなげてまいりました。  山口に帰ってきたわけですが、そのまま表示の調査をしました。野菜の原産地表示は 5品目から9品目に変わりまして、全面表示になりました。おかげさまで外国産である のか、国内産であるのかということは、消費者にとってもよくわかるようになったと思 います。  そういう意味では選択ができるわけですけれども、きょう最初に、前半にお話をして いただいたんですが、やはりその表示が本当に合っているのかどうなのかというあたり にすごく疑問は感じてます。というのは、市場等に行きまして気がついたんですが、そ れは全面表示の前でしたけれども、物が小分けされている段階で、既に入っていた段ボ ールか何かから出たときに違った段ボールに入れたりという作業を見ました。これはや っぱり危ないなというのが私の感想でした。ということで、表示については書いてあれ ばいいというものではなくて、やはりそこに正しい表示をしてほしいなというのが一つ あります。  そういう意味でいえば、表示についてもチェックも大切なんですけれども、もう一つ きょう感じたことは、やはりチェック体制がきちっとできるんだろうかということが1 つ心配になりました。これから検体というか、調べる数がふえるわけですけど、果たし て300人でいいんだろうか、検疫所が2カ所でいいんだろうかというあたりに少々疑 問を感じております。きちっとチェックをされてということが前提なんですけれども、 その前に正しい表示が原則で、入ってきたときにきちんと管理をされて消費者の手に届 くというシステムが大事だと思います。  そういう意味では、やはりシステムができても、きちっとした人がいないと、それを 偽表示にしたり、いろんな手だてがあるわけですけれども、最近のニュース等でも、あ あ、またそうなのかなっていうことも、ありました。そういう意味からいえば、やはり それにかかわる人の意識の高さを強く望みたいと思います。国民の健康に関することで すので、やはり体の中に入ってしまいましたら、世代を超えて遺伝をされていくと思う んです。結果が次の世代、あるいはもう一つ次の世代かもしれません。そういう意味か らいくと、やはり今ちゃんとしておかないと、世代がかわっていったときにだれが責任 をとるのかという話になります。そのときに私たちが恥ずかしい思いをしないで済むよ うに、やはり食にかかわる人たちの意識の高さ、それからシステムのちゃんとした構築、 それを望みたいと思います。  そういう意味からいきますと、表示はきちっとされているし、チェック体制はという ことで説明をいただいたんですが、そこに本当にきちんとされているのだとろうかとい う思いを一言つけ加えさせていただいて、とりあえずここで一応切りたいと思います。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  次は、生産者の立場からということで、堀さんからもお願いいたします。 ○堀氏 全農の堀でございます。こういった機会を与えていただきまして、まことにあ りがとうございます。  今、司会の方からありましたように、私の方、生産者としての立場ということで述べ させていただきたいと思いますが、若干テーマが輸入食品ということなんで、テーマか らそれるかもしれませんが、私ども基本的な立場は、やはり国内産の方がより安全であ るという前提でございますけども、今、国挙げて取り組んでございます自給率の問題、 そこをぜひとも上げていただいて、極力安全な国内の農産物を食べていただきたい、生 産を拡大していきたいという立場でございます。  若干テーマそれましたが、テーマに戻しまして、先輩らからいろいろな御説明を聞か せていただきました。私ども生産者、国内外を問わず基本的には安全というものは使命 だというふうに思ってございますので、日本も海外も生産者のところでは一生懸命やら れてるんではないかという認識持ってございますが、先ほど消費者代表ということで吉 冨さんの方からも御意見もございましたが、若干国内産も含めてでございましょうが、 懸念してございますのが、そういうふうに農家のところは一生懸命安全に注意をしなが ら、より安全なものを消費者に届けたいということで一生懸命頑張ってつくったものが、 本当にその姿のままで消費者の皆さんのお口に入って召し上がっていただいているのか という辺が非常に不安でございます。特に輸入品につきましてもそうでございまして、 先ほど来から食品としての管理の考え方はいろいろ御提示ございました。輸入国での対 応、それから輸入時の対応、それから国内に入っての対応ということで、いろいろお聞 きをしましたが、少し生産者の立場で申し上げますと、それじゃあ輸出国、いわゆる相 手国のところで本当に生産がきちんとできてるのかなというところを、食品としてとら えての見方は重々わかりましたけども、つくり方という部分でどこまでチェックがされ てるのかな。翻っての国内を見てみますと、当然出ていった食品としての検査といいま すか、管理はされてます。同じようにされてます。あわせて、国内のところでは生産と いうところでも非常に管理をされてますし、しなきゃいけない。いわゆる食品を生産す る立場としての別の管理のところもかなり厳しいとこございます。そういったことで、 対外的なとこですから、外国相手でございますので、先ほどの説明も輸出国に対して要 請をしてますという言葉はあるわけでございますが、やはりかなり突っ込んだところま でやっていただかないと、本当の意味で安全なものだということを確認できないんじゃ なかろうかというふうに思ってますので、その辺を踏まえての取り組みもよろしくお願 いしたらと思います。  生産者の立場ばかりで物を言ってはいけませんけども、今、国内の農業は輸入品との 競合ということで大変苦労してございますので、同じ土俵で戦いたいというふうに思っ てございますので、きょうの御質問の中のしょっぱなにもそういった同じような意見が 出てますけども、同じ土俵で戦えるように、法なり規制のところの網の目を同じ網です くっていただくようにお願いをしたいというふうに思ってございます。以上、取りとめ もないようですが、意見としてさせていただきます。よろしくお願いします。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  それでは、国の方からも意見を伺ってみたいと思いますが、まず、表示のところにつ いて、多分、原料原産地の表示などがあるかと思いますので、ここは引地さんにお願い したいと思います。 ○引地情報官 こんにちは。農林水産省の引地でございます。  今、吉冨さんの方から表示、特に原産地表示の問題だと思います。これも消費者の皆 さんからいろんな御要望とかニーズ、あるいは業界といろいろ相談して少しずつこの表 示の仕方については改善をしてきたところでございます。御参考までに、近年では特に 加工食品の原産地表示と、生鮮品はかなり原産地表示が進んでおりますが、加工食品は 加工というプロセスを経ますので、一体これはどこの原材料を使ってるんだというのが わかりにくいという性格があります。そこで、加工食品についても、その原産地をきち っと明記するようなことをしてくださいということで、従来8品目ぐらいが対象だった んですが、これを品目から食品群という1つのグループで規定しまして、それらについ ては原則、原産地を表示してくださいというふうな制度に今度変わります。これで大分、 生鮮に近いような加工品についてはかなり原産地表示がなされると思うんです。ただ、 非常に加工度の高い食品については、まだ若干残ってると思います。それらについても、 今後、一定の見直しとかチェックをしながら改善をしていきたいというふうに考えてご ざいます。  それからもう1点、原産地表示に関連してですが、皆さん、レストランとか、あるい は焼き肉屋さん等々行かれて、きょうのお肉、あるいはきょうのお野菜はどこから来た 野菜ですかと。国産ですか、外国産ですかというような外食産業での食材の原産地表示 というのも、これから1つの仕事として進めたいということで、今、制度的に強制的に こうしなさいということじゃなくて、業界の自主基準として進めさせていただいており ますが、加工品だけじゃなくて、非常に今、外食の機会が多うございますから、そうい ったところでも食材の原産地表示を進めていきたいということで仕事をしております。  冒頭、これぐらいで紹介をさせていただきたいと思います。以上でございます。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  それでは、ほかに輸入食品のチェック体制のところとか、やはりかかわる人の意識の 高さが重要だとかいう御意見もありましたし、また、輸出国への要請というようなこと について、やはりきちんとやっていただきたいというようなお話もあったかと思います。 この辺について、藤井参事官の方から補足をお願いしたいと思います。 ○藤井参事官 御説明の中でもしましたけれども、検疫所での輸入食品についてはチェ ックをしておりますが、食品衛生監視員が増えてきたといっても300人にとどまって います。私どもとしても食品衛生監視員がまず水際での先兵になりますので、できるだ け充実、増員を図って食の安全を確保したいと思って努力をしております。ただ、いろ いろと公務員の定員が削減をされるという大きな国の方針があるものですから、なかな か努力が足りないということで現状のようになっておりますが、ポジティブリスト制度 が来年から導入をされますので、それに基づいてさらに検査を充実する必要があります から、そこは今後とも努力をしていきたいと思います。  また、詳しい検査ができるところが、東日本では横浜、西日本では神戸、その2カ所 だということを申し上げました。専門家がその検査には必要ですし、高額の検査機器の 導入も必要ですから、効率的に検査をするという意味では2カ所でかなりうまくいって ると思っていますが、ほかに検疫所の中で6カ所ほど簡単な検査というか、検査室を持 ってるところがありますので、そういうところとも役割分担をしながら、きちんとした 検査体制がとれるように努力をしていきたいということを思っております。  そしてもう1点、堀さんの方からは、生産相手国での生産の場でのチェックというん でしょうか、指導というんでしょうか、そういうことも必要ではないかという御指摘が ありました。確かに日本に輸出されるものについては、日本の法律に基づいた、それに 合うようなものをつくっていただきたいというのは当然のことなんですが、それを押し つけるということになりますと、国がおのおの独立をしているということもありまして 難しい面もあります。そういうことから、国の方ではできるだけ日本にある相手国の大 使館、そして相手国にある日本の大使館を通じて、こういう制度の周知を図るという意 味からの情報提供をきちんとしていくということが必要ではないかなということを思っ ております。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  少し補足をさせていただきたいと思いますが、きょうのスライドにもあったと思うん ですけれども、資料の2番の11ページ、22番目の資料ということで、海外情報に基 づく緊急対応というふうなスライドがありますが、これはその緊急対応だけではなくて、 常時このような体制をとっておりまして、いわゆる検査していく上で、やはり何が使わ れる可能性があるかということがありますので、その食品安全情報を積極的に、例えば 在外日本大使館から集めたりとか、国立薬品食衛生研究所の安全情報部で海外の食品安 全情報を集めていたりとか、また食品安全委員会にも食品安全委員会の情報・緊急時対 応課というところでいろんな国からの情報を集めておりますので、こういった情報を活 用しながら効率的な検査をしているというところがまず1点と、それから、チェック体 制のところで、実際の分析機関みたいなものについては、ここ数年の食品衛生法改正の 中で、きちんと分析できるところ、いわゆる登録検査機関制度というものを設けまして、 そういったところに業務委託が一応できるようにしておりますので、国で全部分析でき ない、要するに件数がふえたとしてもある程度対応できるような形にはなっているとこ ろでございます。  あと、引地さんからもちょっと。 ○引地情報官 1点だけ。吉冨さんの方からチェックというお話がありまして、私の方 は安全ということでなくて表示のチェックという意味で、少しだけ補足させていただき ます。農林水産省で表示が正しい表示されているかというチェックは現場でのチェック 体制を整えております。山口県にもありますが、農政事務所、全国で総勢約2,000 名の職員がいろんなお店を回って、表示についてチェックする体制を整えております。 例えば今年の計画では、お店で大体3万7,000軒ぐらい、業者さんだと5,000 業者さんぐらいを回って、しっかりお聞きしてチェックするということ。記憶に新しい のは、牛肉の表示問題とか中国産アサリの問題がありましたが、農政事務所等が厳重に チェックしました。それから、消費者の皆さんから情報をいただかないと隅々までの情 報をなかなか確保できないもんですから、表示110番ということで近隣の農林関係の ところにお電話してもらえばいいかなと思いますし、それから、表示ウオッチャーとい う方を委嘱して監視していただくということをお願いしております。いずれにしても、 お互いさまでございますんで、みんなでそういう不正がないような商品の提供のシステ ムをつくっていくことが大事かなというふうに考えております。よろしくお願いいたし ます。 ○広瀬企画情報課長補佐 一色次長からもお願いします。 ○一色次長 食品安全委員会でございます。2年と3カ月たったばかりでございますけ ども、きょう広瀬さんの方から2つ、リスクアナリシス、リスク分析とフード・チェー ンアプローチという非常に大事な考え方の御紹介がございました。輸入食品に関しまし てはフード・チェーンアプローチの方、いわゆる一次生産農場から最終消費まできちん とフォローしないと食品安全は達成できないということで、諸外国の事情も食品安全委 員会は収集しております。特に、私どもの食品安全委員会の姉さん格に当たります欧州 食品安全機関、EFSAと呼んでおりますけど、ヨーロッパの方の食品安全機関からも ある情報をいただいております。世界各地から情報をいただいておりまして、また、技 術参与さんといいまして、非常勤職員ですけど、世界じゅうの情報をとる技能にたけた 方を約10名雇用いたしまして、世界じゅうの情報を集めております。そして、毎週1 回、いわゆる正しい、信憑性のある情報か、または皆様に提供してもよい著作権上の問 題はないか等をチェックいたしまして、現在は食品安全委員会のホームページの一番末 尾になりますけど、そこで毎週公表してもよい情報は公表しておりますので、ぜひ利用 していただきたいと思います。  それから、検疫所等で検査をするに当たりましても、いわゆる正しい情報に基づいた 検査をやらないと非常に効率が悪いということでして、過去にも食品安全委員会で収集 いたしました、いわゆる色素の問題とか、それからサヤインゲン等の食中毒の問題、こ れを厚生労働省にお知らせしまして、それで検疫所でそういう海外で変な中毒とか、そ れから違反例が出てるものを集中的に検査していただくという、そういう努力も食品安 全委員会で続けております。よろしくお願いいたします。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  吉冨さん。 ○吉冨氏 済みません。チェックと表示のことについてはお答えをいただいたかなと思 います。  それから、もう一つお願いしたいというか、ちょっと考えるんですが、やはり輸入食 品は生産の現場が違っておりますよね。日本の土壌じゃありません。日本の気候ではあ りません。したがって、違った農薬を使っていると私は思っています。その基準値も違 うし、そういう意味で、最初からリスクがあるということが言えるんじゃないかなと思 います。  それから、輸出をされる場合にポストハーベストの問題等もありますし、それから、 ほとんどは航空便ではなくて船便が多いと聞いています。輸送にかかる間に何か処理を されてるんじゃないかなという疑いというか、これは私の推量かもしれません。ただ、 とっても輸送については技術が発達いたしまして、いろんな温度を管理することによっ て鮮度を保つという方法には変わってきておりますけども、やはり船旅で来るのは多い と聞いてます。それから、さらに輸入されますと、バナナのように薫蒸されたりします し、そういう意味で輸入食品については非常にリスクが多いことがわかると思うんです が、一般消費者はほとんどこのことを知らずに価格を見て、先ほどのタマネギの話じゃ ないんですが、やはり安ければというあたりで買う方もまだまだ多いように思います。 そういう意味では、今回リスクコミュニケーションということでこの場を設けていただ いたんですが、やはり情報として、ホームページという言い方をされるんですが、大方 の方はホームページを開くことはまずできないと思います。トレーサビリティーにして もそうなんですけれども、固体番号が書いてありますが、果たして何人の人があれを開 くんだろうかと思ったら、とってもクエスチョンマークに思います。やはり一つの広報 の手段ではなくて、リスクを負って輸入をしているよ、それは食品そのものもそうなん ですが、国益とかエネルギーの問題とか、いろんなことを考えると、輸入をしてるとい うことはリスクがあるんだよ、ということをやはり一般消費者にきちっと伝える手段を 考えていただきたいと思います。それは知らないからということで済んでしまうのでは なくて、やはりチラシや広告やメディアを通してこういう状態です、だから自給率を上 げて日本の国産のものをできるだけ食べるようにしましょうという運動があってもいい と思うんですが、なかなかそのあたりが私たち消費者のところには届いてまいりません。 やはり安ければいいという、経済的に今とっても不況ですから、安くていいというのが 一つありますし、それから、これだけきちっと管理されていれば食べてもいいかなと思 う方も多いと思います。ただし、そういう状態でリスクはゼロではないということをさ っきおっしゃってましたけれども、やはりそういうことをきちっと消費者サイドに知ら せしてほしいなと思います。  先日、ちょっととある方とお話をしたんですが、アレルギーの問題を話していらっし ゃいました。食物の肥料の中で当たるとおっしゃるんですね。そうすると、日本産でな くて、これは外国産だったらどうなるのかなというあたりもあります。生産履歴でもっ て肥料を何を使ったかっていうあたりまでは、なかなか消費者としてはまだまだわかり にくいと思います。とっても悩んでらっしゃいました。明らかに肥料だとおっしゃるん ですが、それが何かがわからないっていう言い方をされていました。そういう意味から いえば、やはりリスクがあるということを、いろんなメディア等何でもいいんですけれ ども、知らない人が大方だっていうことを前提に、きちっと広報していただきたいなと 思います。以上です。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  恐らくリスクコミュニケーションのあり方全体についての御意見だと思います。ここ は参事官と引地さんからそれぞれ、ちょっとコメントをいただければと思いますが。 ○藤井参事官 輸入食品には日本で認められていないような農薬を使っているものがあ るとか、ポストハーベストの問題があるとか、リスクを持っているということをもう少 しきちんと皆さんに知っていただくような工夫をすべきではないかという御指摘があっ たと思います。リスクを持っているっていうのは、輸入食品ばかりではなくって、国内 で生産をされているものも別の意味でリスクが全くないということではありませんので、 特別に輸入食品のリスクがこういう面で高いということを、皆さんに知っていただくよ うな広報をするというのは難しいなということを今お話を聞いて感じております。  ただ、安全な食品を提供するために、例えば農薬にしましたら残留農薬基準というの を決めているというお話をさせていただきましたが、そこは日本で認められていないよ うな農薬について、現時点では基準がないもんですから、それをチェックする体制にな いというのが現状です。それを問題だろうということで、来年の5月からはポジティブ リスト制度という新しい制度を導入をして、日本で使われてなくても諸外国で使われて いる農薬についても、一定量以上残留しているようなものについては規制をしていこう という制度を導入しますので、少しはそういう状況が改善をするんではないかなと思っ ております。  また、非常に細かい話になりますが、ポストハーベストの問題でありますとか、輸送 中にいろいろな、例えば化学薬品が使われてるんではないか、そういうことを不安に思 ってられる方もあるかもわかりません。ただそれも食品の安全性という点からしますと、 どれだけ危険と考えられるものが食品に残っているかが問題になります。そこで厚生労 働省ではチェックをして、安全性を確認をしたものだけが流通ができるようにしていこ うということを考えております。  そして、国が持ってる情報について、例えば記者発表をしても一部しか記事にはなら なかったりということで、どうしてもできるだけ多くの方に知っていただく広報の手段 としてはホームページということになってしまいます。御指摘のとおり、インターネッ トにアクセスできない方も多いことはまだまだ事実だと思いますので、いろいろと違う メディアも通じて、多くの方に必要な情報を知っていただく努力というものは今後も続 ける必要があることを思っております。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  引地さん、いかがでしょうか。 ○引地情報官 消費者の方とのこういう情報のやりとりということについて、私もじく じたるものがあります。ホームページだけではやはりそれを開かなければごらんになれ ないということもございますし、チラシ、それから電車の中刷り広告、いろんな形で広 報なり情報提供をするわけですが、いかんせんそういってもよく分からないということ でございます。結局はこのような意見交換会、地道に地域地域でやることが大事なのか なと。もちろんホームページなり、いろんな新聞媒体を使っての広報もやりますけれど も、対面でお話しするっていうことが印象度としては非常に大きいのかなというふうな 気がします。  関連して、今、堀さんの方からも国内生産というお話が出ました。それで、私も農林 省という立場としては、やはり国産のものをしっかり、国産のものを増やして、食べて いただくということが非常に大事だと思っております。いろんな形で国産をふやすとい う仕事をさせていただいておりますが、そのためには、生産者だけじゃなくて流通の方、 メーカーの方、それから消費者の方にも理解していただかなくてはいけないということ だと思います。主婦の方が買い物の際の判断基準は、紙、チラシを見たときじゃなくて、 商品を手にしたときですと聞いたことがあります。そのときが一番どっちに、何を買う かっていうのを判断するときで、そのときに国産の優位性とか国産のよさというのをア ピールできるようにしたらどうでしょうかというようなお話をいただいたことがありま す。  そういう意味では、先ほど来お話ししている表示というのが非常に大事な施策の一と なります。もう一つは今私ども新しい仕事として進めさせていただいておるのが、食育 ということです。食料、食べ物に対する、知識を持っていただくということと、食べ物 に対していいか悪いか判断するという力もつけていただくことです。そういう力を子供 のときから養っていくようなことができないだろうかということで、新しい運動として 食育を今進めようとしております。知育、徳育、体育というのがあって、もう一つ、こ の食育を新しい仕事として進めていきたいと思います。それが国産の農産物に対する理 解ということと結果的には相まったものになるのかなというふうに期待しているところ でございます。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  参事官、お願いします。 ○藤井参事官 ちょっといろんな情報提供ということでつけ加えさせていただきますけ れども、資料2の3ページ目の下のスライドの写しをごらんをいただきますと、左側の 輸出国、輸入時のその次のところに、輸入食品監視指導計画という言葉が出てきます。 これは説明をしなかったんですが、国の方では毎年、次の年の食品の監視指導をする計 画を立てまして、それに基づいてチェック体制をしいているということであります。そ の計画をつくるときに、法律で国民の皆さんの意見を聞きなさいということになってお ります。この機会にぜひそういうことにも、輸入食品にもさらに御関心を持っていただ きまして、恐らく12月ぐらいにこれの計画についての意見を募集をするということに なろうかと思いますので、ぜひ建設的な御意見を寄せていただければと思います。  それから、中身を知っていただくという意味では、現場を見ていただくということが 重要だろうと思っております。国の方の輸入食品の現場ということになりますと検疫所 ということになるんですが、まだ予算要求の段階ですが、来年度に向けての予算要求と いうことで、検疫所に国民の皆さんに見学をしていただいて、そのときにまた意見交換 をしていただくということを通じて、検疫所の業務なり輸入食品の安全性について広く 知っていただこうという試みを計画をしているところでございます。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  あと、県としての取り組みも少し、森さんの方からお願いしたいと思います。 ○森氏 一番最初に吉冨さんの方から、食にかかわる人の意識の高さ、そういったもの の話がありました。山口県でも県の基本計画というものを定めています。その中で、生 産者、それから製造加工業者、流通業者、消費者、また行政のその責務と役割、そうい ったものにかけて述べています。こういった中で、平成13年から14年にかけていろ んな中国産冷凍ホウレンソウで違反が出たんですけど、県内でも14年に中国産の冷凍 ホウレンソウから3検体ほど基準値を超えるものが出ました。こういったもの、またそ のちょっと以前のBSEだとか、偽装表示であるとか、指定外添加物とか、そういった いろんな食の不安、そういったものを増大させるような事件がたくさんあったわけです。 その中で、県としてのそういった食の安心安全の確保ということで取り組んでるわけで すけど、その中で輸入食品ということにちょっと絞って簡単に言ってみたいと思います。  今言った食の安心安全の確保ということで、一番基本になる安全の確認という意味で 食品検査の強化、各自治体の方やってます。その中に従来から県全体でルーチンとして 年間3,500検体ほどの収去検査をやっているわけですけど、それに加えて輸入食品、 それから残留農薬、それからアレルギー物質、そういった検査、新たに今取り組んでる わけです。その中でも輸入食品に関していえば、現在年間100検体ほど、菓子類の検 査。この菓子類を選んだ理由は、抵抗力が弱い小さな子供が好んで食べる。じゃあ、そ の実態はどうなのかいうことで、菓子類を選びました。それから、レモンとかオレンジ とかバナナ、そういった果物類。これも100検体ですけど、これはたくさん消費され るということで選んでます。検査項目としては、菓子類であると保存料とか甘味料、そ ういった6項目。果物類では防カビ剤5項目やっています。これ以外に、先ほどちょっ と言いました残留農薬の検査やっとるんですけど、これは年間200検体ぐらいやって ますけど、そのうちの10%から15%ぐらいは海外産を充てています。昨年、輸入食 品としての検査実績の中で、1検体ほど違反がありました。これは菓子類で保存料が出 たわけですけど、これはもちろん消費者の口に入らないような措置をとると同時に、輸 入食品を輸入している業者、それを管轄する自治体の方へ情報を提供をして措置をとっ てもらってます。こういった結果は、記者発表とかホームページというようなことで公 表して、食に対する信頼の回復、それの一助として活用しています。以上です。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  それでは、吉冨さん、堀さんから、もう少し何かコメント、補足あればお願いしたい と思いますが。 ○吉冨氏 ちょっと私が言い方がまずかったかなと思って、先ほど伺ってました。もち ろん基準値はクリアをしているということですけども、やはり何回も何回もっていうこ とになれば、結局は調査をするとゼロではありません。ということは、万が一でもやっ ぱりあるんだなっていうあたりを考えますと、輸入品と国産品とを比べたときにはやは り輸入品の方がリスクが大きいのではないかというあたりで発言をいたしました。ちょ っと誤解されたかなと思って聞いてました。訂正したいと思います。  先ほど、ごめんなさい、お名前がわからないで済みません。私もやはり商品を選ぶと いうことは、自分の最後の自己決定だと思うんです。そのために消費者が自立しないと いけません。人のせいにすることはできません。ということから考えれば、やはり食に 対する教育というか、それが大切なんじゃないかなあと思います。私が一体何を食べて るのかわからないような食の生活をしていると、やはり安全性、安心というところには つながっていかないと思います。そういう意味で、消費者教育の一環として、食の教育 を学校現場から、小さいときからきちっとしていただきたいなと思います。選択するの は自分です。最終的には自己責任なんですけれども、やはり教育をされてるかされてな いかによって、これは選択肢が変わってくると思います。そういう意味からいえば、消 費者教育の中の食の教育ということにも、やはり行政間の枠を飛び越えて文部科学省あ たりに積極的に話をしていただきたいなと思います。  それから、消費者としての立場から言いますと、やはり消費者は自立しなければいけ ません。そういう意味からいえば、きょうは会場に来られてる方は意識の高い方で、何 だろうと思って来られた方もいらっしゃるし、さらに勉強しましょうということで来ら れた方もいらっしゃると思います。そういう意味からいいますと、学習をする大切さと いうのはやはり私たちが伝えていかないといけないと思いますし、私たち学習した者が さらに広めるという努力をしないといけないと思います。数値的には何かとっても難し くて、化学だの数学だの、何かいろいろ出てきたんですけれども、やはり一緒に考えよ うねっていうスタンスでもって消費者団体としては活動していかなきゃいけないのかな と思っております。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  堀さん、いかがでしょうか。 ○堀氏 後ほどのポジティブリストの方にも関係が若干しますんで、そのときにまた。 ○広瀬企画情報課長補佐 じゃあ、そのときにしましょうか。 ○堀氏 はい。 ○広瀬企画情報課長補佐 それでは、お待たせいたしました。会場の方からも少し輸入 食品のところについて御意見いただきたいと思います。ポジの方は次のときにしますの で、またそのときに発言いただければと思います。  輸入食品の安全対策について、御意見ございます方いらっしゃいますでしょうか。特 にはよろしいでしょうか。  それでは、また最後にお時間がありましたときに全体を通しての時間を設けたいと思 いますので、そのときまた追加で出てきたらでも御発言いただければと思います。  それでは、残留農薬のポジティブリスト制度の方についての討論の方に入りたいと思 います。  こちらも一応国としてはこういう考え方で来年5月の末から、末からというか、末ま でに法律施行しなければいけないわけなんですけれども、安全の確保のためのポジティ ブリスト制度の取り組みについて説明させていただきましたが、それぞれについてまた、 それぞれのお立場からちょっと御意見をいただければと思います。  連続して恐縮ですが、吉冨さん、お願いいたします。 ○吉冨氏 私はこの制度につきましては、やはり基本的に賛成でいます。ただ、先ほど から何回も申し上げてるんですが、平成15年度の国政モニターのアンケートの調査に よりますと、やはり農薬に不安を持っているっていう方が9割近くいらっしゃいます。 やはり高い数値を示していました。そういう意味からいえば、この制度が取り入れられ ることによって、幾らかこのあたりの意識が払拭されるのではないかなとは思います。 ただ、先ほどから何回も申し上げますように、やはり複雑でわかりにくくて、国に任せ て、県に任せて本当に安全にしていただきたいわっていうのが私の本音でございますけ れども、やはりそういう意味からいえば、規制されて管理されてということは賛成です。  ただ、数字について、基準値が0.01ppmということでした。果たしてこれがど うなのかなっていうのが、私自身にはよくわかりません。これで安全だといっても、ア スベストの例もありますように、非常におくれて日本が対応して、危険だ危険だって言 われながらも使い続けて、今、とても大変な状態になってると思うんですね。そういう 意味では、0.01ppmが本当にいいのかどうなのかっていうあたりが一律の基準と したときにどうなのかな、少なくとも早いうちに、個々のものについてやはり基準値が きちっと定まればいいなと思ってます。  ただ、何しろ数量が多くて、それをされる人が多分少ないんだと思うんですね。だか ら、そういう意味からいえば、外国の例をとりながら、情報交換をしながら、やはりき ちっとした数字の設定に持っていってほしいなと思っております。  それから、もう一つ、お話の中にやっぱりあったんですが、飛んでいっちゃったもの についてはどうなっちゃうんだろう、そのあたりは処分するんだろうか、廃棄してしま うんだろうかというあたりが、どうなっているのかがちょっとよく見えませんでした。 そのあたりもお答えをいただけるといいかなと思います。 ○広瀬企画情報課長補佐 済みません、少し趣旨を御確認したいんですけども、飛んで いったというのは、何か違反をしたっていう……。 ○吉冨氏 違反をしたっていう意味じゃないんですけどね、そのものについて使う農薬 って決まってますよね。隣の畑で違う作物が育っててね……。 ○広瀬企画情報課長補佐 ドリフトのことですね、隣の畑の作物……。 ○吉冨氏 そうですね。そのときに検査されて、違った農薬を使っていたということに なったら、こういうものってこれから基準が決まっていくわけですから、基準値が超え るっていうことはないでしょうけれども、そういうあたりの処置がどうなっているのか ちょっとお聞きしたかったんです。 ○広瀬企画情報課長補佐 わかりました、ありがとうございました。  堀さんからもお願いいたします。 ○堀氏 吉冨さんに言いたいことを言われてしまったようなところがあるんですが、結 論から申し上げまして、安全を確保するということから言えば、このポジティブリスト 制度、基本的には賛成という立場で発言をさせていただきます。  若干PRも兼ねて、今、現状、国内、特に山口県で生産に携わってやっていることを 少し、安全ということで御披露差し上げますと、基本的には各産地ごと、いわゆるJA 単位ということになりますけども、作物ごとに生産の暦という言葉を使いますが、栽培 のための年間の暦を作成をして、それを農家の方に提示をしながら、農家の方につくっ ていただくというのが基本的な進め方です。もちろん暦をつくるときには、殊、農薬に 関して言いますと、当然、使用基準等はきちんと守ったような形でのつくり方を御提示 をする。それを農家は基本的には守る。それが大前提でございますし、特に先ほどから 出てます表示であるとか、生産履歴といったとこにつきましては、ここももう数年にな りますけども、きちんと暦どおりにつくったんだという生産の記帳、一日、この日に何 をやった、この日は肥料を何キロやったとか、そういった生産履歴の記帳も農家の方に やっていただきながら、それを最終的にはトレーサビリティーという形の中で提示でき るような体制だけはつくろうと、これは数年かけて、今現状、やっているとこになって ます。  それから、あわせまして山口県につきましては、ことしの春先から農産物検査センタ ーというものを立ち上げまして、生産者サイドのところで、自主検査ということではご ざいますけども残留農薬を検査をしようということで、生産者各戸1品、圃場ごとのと いうこともなかなか難しゅうございますんで、一定の基準はございますけども、そのレ ベルでサンプルをいただきながら、私どもの検査センターの方で残留農薬を検査する。 その時期も、生産して出荷にするまでの間、いわゆる1週間前ぐらいというふうにめど に思ってございますが、出荷をし始める1週間前に、一定の条件によってサンプリング をしていただいて、それを分析をすると。基本的には、分析は翌日には出ますんで、も し仮に、今までまだ超えたことはございませんが、基準を超えたようなものがあるとす れば、それは当面、収穫を保留をしていただくなり、特に適用外の農薬なんかが出た場 合には、当然もうそれは出荷をしない、廃棄ということになりますが、そういう、先ほ どの輸入でいえば水際という、出ていく前に検査をするということで、今取り組みを開 始をしているとこでございます。  ただ、そういうことで一生懸命、安全をやってるわけでございますが、先ほど吉冨さ んからありましたように、生産者段階は非常にきちんときちんと今の暦を守ってやるわ けでございますが、悲しいかな、狭い国土で飛散というのはどうしても避けられません。 自然の中なんで、工場の中でつくるわけではございませんので、稲だけにかけたいと思 いながら、隣にキャベツが植えられていればキャベツのとこへ飛んでいってしまうとい うところはもう避けがたいとこがございます。積極的にやるつもりはないわけでござい ますが、そういうふうな場合もあるということで、逆にそこで今の基準値が設定をされ ればセーフになるという可能性もなきにしもあらずというふうに思ってますが、まず2 点ございまして、1つはその基準値を、先ほど暫定基準も含めて設定をするとおっしゃ ってましたんで、ぜひとも0.01ppmは非常に厳しい数字でございますんで、0. 01にならないように暫定基準を極力幅広いとこでとっていただきたい、これが第1の お願いでございます。0.01ppmというのは非常に数字が低うございまして、検査 なんかをやってても時にはそのぐらいのレベルの数字であれば出てまいります。それが 適用外ということになって0.01になれば、基本的にはその農薬はもう使えないとい う実態とイコールだというぐらいのレベルのものだというふうに認識してますんで、ぜ ひともその基準値の設定を幅広くやっていただきたいということです。  それから、あわせて今の飛散の問題とも関連をするんですが、先ほど輸入のところで 言いかけたことにもかかわるんですけども、適用外の農薬が飛散等によってある作物に かかる。検査をしたら出た。出たけども、海外に基準値があるがゆえに食品としての流 通はいいですよというような事態が、恐らく今から起きてくるんじゃないかと思ってま す。生産者の段階で農薬取締法でいえば、もう飛んでかかった時点でアウトです。もう 生産者はそれで、それに積極性があるかないかという判断があるのかどうかわかりませ んけども、基本的には農薬取締法上は適用外の作物に農薬はかけてはいけないというこ とになってますので、その辺でかけながら、輸入の方は今の基準があるからセーフです よということで流通をさせてしまうというようなことにもなりかねません。まだ今から のことなんでこれが確定とは思ってませんけども、そういうことで農薬取締法上のこと と、今の食品衛生法上のこととで若干、解釈なのか、制度なのかわかりませんが、乖離 がある部分があろうと思いますんで、その辺も少し明らかにしていただきながら、生産 者も消費者もいいような制度ということで定着をさせていただきたいと思ってございま すので、基本的には賛成の立場ということで発言をさせていただきました。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  それでは、基準の関係のところを藤井参事官からお話しいただきたいのと、あとドリ フトの関係では少し引地さんからお話をいただきたいと思います。  まず、参事官の方からお願いします。 ○藤井参事官 一般的に農薬を使うことが認められていない作物について、もし飛散も 含めて農薬が検出をされたならば、それはその値が0.01ppmを超えていれば販売 することができないということに、来年の5月からはなります。  その0.01ppmが妥当な値なのかどうかということについて若干、吉冨さんの方 からもお話があったんですが、今、堀さんの発言の中でもありましたように、0.01 ppmというのはかなり厳しい基準だというふうに思っております。外国の例も若干お 示しをしましたけれども、外国で一番厳しいところで0.01ppmという、その一番 厳しいとこと同じ基準を日本も導入をしようということを考えています。  ただ、いろいろと新しい情報が出てきたような場合、そして、物によってはさらに厳 しい基準をつくるべきだという話になった場合については、そのものについては0.0 1ppmというままにするのではなく、新たに評価をして適正な基準を設けるというこ とは国の方でもしていきたいと思います。  それからまた、堀さんの方から、農薬の飛散の関係で0.01ppmというのは厳し いので少し幅広く基準というものを考えていただきたいという御要請がありましたけれ ども、この基準を厚生労働省の方で設定をするというのは、あくまでも食品の安全を確 保するという観点から決めておりますから、現実問題として農薬がどのように使われて いるかというところで基準を考えるというよりは、むしろ安全な残留基準というのはど うかと、その点から厳しく考えるということになろうかと思いますので、なかなか現実 の農薬の使用方法等を踏まえた基準の設定ということにはなりかねるなということで話 を聞いておりました。  それから、もう一つ、堀さんの方から、国内の農薬の取り締まりの関係と輸入食品の 残留農薬で食品衛生法上の差異が若干生じるようなケースが出てくるんではないかとい う御指摘がありました。確かにそういうケースが、全く想定されないということではな いと思います。そういう問題については、やはりきちんとした整理が必要だということ を考えておりますので、そこは農林水産省とよく調整をしながら、どういう整理をして いくのかということを、個々のケースについてということになると思いますが、検討を していくということになろうかと思っております。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  それでは、堀さん、お願いします。 ○堀氏 0.01ppmをそのものを上げてくださいという要望は全然してませんので、 0.01ppmにならざるを得ない対象農薬を極力減して、基準の設定を極力してくだ さいという要望なんで、ちょっと誤解がないようにお願いします。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  では、引地さん、引き続きお願いします。 ○引地情報官 消費者保護という観点での厚生労働省でのそういうお仕事はもっともな ことでございましょう。我々農水省としては、生産活動が支障を来さないように円滑に いくようにということで、両者の間で生産者であれ、消費者、相方が困らないように両 省でお互いに連携してやっていきたいと思います。  農薬飛散、ドリフトの問題については、まさに堀さんがおっしゃったとおりでござい まして、非常に厄介で頭の痛い問題でございます。生産者の方は、隣に飛散することを 意図して農薬かけてる人はだれもいないと思います。いたし方なく、風向きやら条件や らでかかってしまうというような、意図せざるそういう状況だと思いますが、私どもと しても、農薬会社の方、民間の方、それから営農指導の関係の方、行政も入りまして、 このドリフトの対策について、対策協議会をつくりまして、飛散を防止できるような防 除について技術的に検討しております。  例えば農薬の形状ですとか、何か静電気で葉につきにくいとか、いろんな技術的な手 法があるらしいんですけども、まだ緒についたばかりです。これは避けて通れない仕事 でございますので、そういった対策なりを今後とも強化していくという基本姿勢でおり ます。よろしくお願いいたします。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  パネラーの方、何か追加の発言とかございますか。  特にないようでしたら、会場の方から少し意見を求めてみたいと思います。  それでは、ポジティブリスト制度のところで御意見、御質問ございます方、手を挙げ ていただければと思いますが、いかがでしょうか。  それでは、前の方、お願いします。 ○参加者1 私、県の方で農業の方の指導もしておりますけど、自分のうちで農業もや っております。そういう関係で、今、堀さんの方がおっしゃいましたけども、ドリフト の問題、非常に脅威に思っております。0.01ppmというのは、ほとんど現代の技 術では検出限界でございますから、検出されたという時点でアウトということになりま す。そうなりますと、これまで粉剤等、それから無人ヘリはもちろんでございますけど も、粉剤等を初めとして、まく指導をすることが怖いし、自分で使うのも非常に怖うご ざいます。ぜひそういう点は考慮していただいて、無理のない制度にしていただきたい というふうに思います。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  ほかにはいかがでしょうか。  それでは、ちょっと真ん中の上の段の、済みません、先に上の黒い服の方、今立ち上 がった方、今お座りいただいた方、その次にさせていただきます。 ○参加者2 コープやまぐちの中川と申します。意見、要望として2点ほど申し上げた いというふうに思います。  まず、その前に、このように農薬についてポジティブリスト化ができたということに ついて、私どもも全国の消費者と、それから生協が一緒になって求めてきたことが実現 したということについてとても前進したなというふうに思っておりますし、精力的にか かわっていただいている方々に敬意を表したいというふうにまず思います。  まず、1つ目の意見なんですが、食品の安全性確保の上で重要な役割を担う生産者、 製造者に対して、国民の健康の保護を図るっていうこと、この目的をポジティブリスト 制度の概要を十分に理解させること、これが重要だと思っております。現在、700を 超える農薬等に基準が設定されるとか、一律基準の0.01ppm、これを超えたら違 反になるとか、生産者に過度の負担がかかるんではないかと、そういった部分的な情報 が先行していくのではないかなというふうに思います。先ほど藤井参事官の方もおっし ゃってましたが、食品の安全を確保していくということを大事にしているということを 言われていました。ですので、ぜひ国民の健康の保護を図るという目的、これをもとに 理解をお互いにしていくっていうことが重要だというふうに思っております。  それと、2つ目なんですが、今後、ポジティブリストに記載される700を超える薬 剤すべてに対応した分析法、これも定められていくと思いますが、その検討も進められ ていると思います。分析法の整備はもちろん重要だと思いますけれども、検査以前の前 提として、あくまでも生産、流通段階での適正な管理、トレーサビリティーですね、そ この辺のところが確立されていることが重要であるというふうに思います。検査はそれ を監視する手法であるということも忘れてはいけないと思いますので、よろしくお願い いたします。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  それでは、先ほどの前の方。このあたりで御発言いただいた後、少しパネラーの方か ら御意見いただきたいと思います。 ○参加者3 全農の黒木でございます。たくさんの質問なり、あるいは意見を取り上げ ていただいてありがとうございました。本日、この会で非常に大切なことは、生産者、 この方々の健康問題というのが一向に触れられておりません。彼らは身をもって安全を 期して、そして、農産物をつくって皆さんに提供されているはずです。この段階で既に 安全は確約されているものなんですが、それにしても、まだ疑問点がたくさんある、あ るいは検出する段階でそれがたくさん出てくるということは、相当注意していかなけれ ばならないと思っております。  そこで、日本の農業を見ていきますと、水稲を考えてもたくさんの品種があります。 したがって、当然その熟期が異なります。そのそばでは適切な防除をしていかなければ なりません。ドリフトは確実に起こります。果樹にしてもそうです。必ず果樹の場合に は、受粉樹というものは組み合わせていかなければなりません。また、果樹の場合は、 クリを例にとりましても、花のつく位置によりましてたくさんのものを植えておかない と、うまく受粉しません。したがって、そういう中で農薬をまくということは、お互い を近接することによって受粉効果が高まり、しかも農薬はドリフトにつながるというこ とを、一体どのように解釈されるんであろうかということでございます。このような現 実を踏まえて、この基準値を定めていただきたいという、現場の意向として切実に感じ ているとこでございます。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  それでは、パネラーの方から少し意見をいただきたいと思いますが、最初の方からも ドリフトを気にして、無理のない、制度としてなるべくしていっていただきたいという こと、それから、今の方からも基準ですね、ドリフトのことなんかも踏まえて、いろい ろ無理のないような基準にできないものかというような御発言だったかと思いますけれ ども、この辺は農林水産省と、それから厚生労働省の方と協力をして進めていかなけれ ばいけないと思うんですが、参事官の方と、それから引地さんからもちょっとコメント をいただければと思います。 ○藤井参事官 生産現場からということで、農薬の飛散の問題というのは大変大きな、 ポジティブリスト制度が導入されたときの大きな問題になるという御発言、複数の方か らありました。国の方でいろいろとポジティブリスト制度の導入に際して基準を考えて いくときに、飛散の問題というのも一つの問題として取り上げられたのは事実でありま す。しかしながら、その飛散によってどういう作物、どういう影響があるのかというデ ータ的なものが残念ながら、きちんとしたという意味でのデータというものが存在をし ていませんでした。したがって、データがないものをなかなか基準の設定等々のところ で考慮することができなかったというのが実情であります。  ただ、大変大きな問題であるという生産現場の御発言、そして、それを踏まえて農林 水産省でもいろんな対策を考慮をされているということですから、そういう中でいろん なデータがまた出てこようかと思います。そういうものも踏まえて農林水産省とも連携 をとりながら、対応策というものを考慮していく必要があるなということを考えており ます。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  特にはよろしいですか。先ほどもドリフトへの取り組みについては御説明いただきま したので。  それから、ポジティブリスト制度、これから施行に向けて、やはり正しい理解、国民 の健康の保護を目的として行われる制度ですが、過度に生産者に負担が行かないような というようなこともありますし、きちんと正しい理解を皆さんでしていくことが重要だ ということで、これは国の方としてはきょう行っているようなリスクコミュニケーショ ンの取り組みですとか、いろいろな機会を通じて正しく理解してもらおうというための 取り組みというのを進めていきたいというふうに考えているところでございます。  それから、最初、私のスライドの中にもありましたけれども、やはりフード・チェー ンアプローチということで、今まではつくられてできてきたものが最終的に検査して安 全であればいいんじゃないかという考え方でしたけれども、世界的な傾向としてはもう 生産段階からの管理ということで、やはりこのポジティブリスト制度もうまく施行して いくためには、より一層、生産段階での管理というのが重要になってくるのではないか と思います。そういう意味では、非常にやはり生産者の方に御努力いただく部分という のもちょっと大きいのかもしれません。ここら辺について、少し堀さんからも何か感想 なり、少し御意見いただければと思います。 ○堀氏 生協の方から御要望ありましたけど、実際に農業者の集まりであります農協を 中心に、ポジティブリスト制、もう既に、まだ施行はされてませんが、情報、それから 研修を含めてぼちぼちやってございます。来年の5月までにはきちんとどういった農薬 がどういった設定がされるかという具体的なものが出てくれば、それに応じて徹底をし ていこうというふうに思ってございます。  ただ、悲しいかな、農家のところは高齢者も多いということで、こういった一堂を集 めて研修会ということになかなかなりませんので、先ほど少し前段で申し上げましたけ ども、栽培暦の指導であるとか、それから近隣に極力、何といいますか、全く違う種類 の作物といいますか、今の安全上、非常に難しい、隣接防除が難しいようなところは避 ける指導であるとか、そういったものは具体的に各農協ごとに、各農生産者ごとに生産 計画を見ながら指導をしていくっていうことをしない限りなかなか難しいかなというふ うに、ドリフトの問題、難しいかなというふうに思ってございますので、5月に向けて 生産者サイドとしても一生懸命、基本的には賛成でございます。安全なものをつくろう というのは、冒頭申し上げましたように、私どもの使命だというふうに思ってございま すので、やっていきたいというふうに思ってございます。  あと生産なり流通管理の充実をというような御意見もございました。先ほど私、輸入 のところでも申し上げましたように、やはり食品としての検査、それはあくまで結果論、 言葉は悪いんですが犯人を捕まえるようなもんですから、それを起こさないための予防 策というのも私どもの使命だというふうに思ってございますんで、そちらも一生懸命や らせていただくということで、回答になるかどうかわかりませんが、かえさせていただ きたいと思います。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  それでは、ちょっと私の方の、済みません、思いとして実は、本日のプレゼンテーシ ョンのスライドの中で一つ、ぜひとも理解をして帰っていただきたいというスライドが 1枚だけございまして、それは資料3の4ページの8番のスライドでございます。これ はもともとは食品安全委員会の方でよく説明会に使われてた資料を私どもの方でちょっ と拝借して少し改造させていただいた資料になりますが、やはり暴露量と生体影響の関 係というのは、ぜひきょう理解して帰っていただければというふうに考えております。  一般的に化学物質の影響というのは、この生体影響と暴露量のゼロを原点とするとこ ろから直線上に右肩上がりで上がっていくのではなくて、最初はゼロのところをずっと はうようなところで、ある無毒性量を超えたあたりから急に毒性というのが発現してき て、最後は致死量のところでとまるというようなカーブを描くというふうに言われてお ります。実際に今、問題となっている基準値というのは、ADIという無毒性量の10 0分の1よりもさらに下のレベルにおさまるような管理をしておりますので、まさに今 話題となってるような0.01ppmとか、それから暫定基準超えた場合というのが、 本当に直ちに健康に影響があるというような量で我々は実は管理しているわけではなく て、安全サイドといいますか、トータルとしてADIを超えないような範囲に管理でき るように今、それぞれの個々の農作物には基準値をつくっているのだということがまず 1点と、それから、ゼロを原点として右肩上がりに一直線でなっていないもんですから、 例えばよく基準値の100倍、1,000倍の値が出たとかっていって騒がれることが あるんですけれども、それは生体影響の軸で見ると、決して100倍、1,000倍に 生体影響がなってるわけではなくて、実はほとんど変わらない量になっているというふ うなこと、それから、逆に基準値の10分の1とか100分の1で管理してますといっ て安全ですというふうな宣伝もなされることがあるんですが、これも実は生体影響の軸 で見るとほとんど基準値のところと余り動かないというふうなことがございますので、 直線上にゼロから右肩上がりに真っすぐ伸びていれば、比例関係にあれば、その10分 の1、100分の1になればその生体影響の10分の1、100分の1とかになるわけ なんですけども、実はそうではないので、数字のマジックとして皆さん、誤解のないよ うにしていただければということで、ぜひともこのスライドについてはちょっと理解を いただきたいというふうに考えております。  ちょっと済みません、思いとして途中で説明を挟んでしまいましたけど、そのほか、 会場からもまた意見があればいただきたいと思いますが。  あちらの方、じゃあお願いします。 ○参加者4 済みません、周南市から参加いたしました一般消費者の南部と申します。 よろしくお願いいたします。  消費者としましての気持ちなんですが、吉冨さんの方から大体、私と同じような考え を言っていただいたと思っております。その中で少しちょっと気になるところがありま したので、自己決定ということで消費者の選択の自由というお話があったのですが、選 択の自由というのは、選択しないという選択肢、選択しない自由というのがあってこそ の選択の自由だと、そうでなければ自由ではないということをわかっていただきたいと 思うんですね。  私には今、義務教育中の子供がおります。学校に行ってるわけですね、義務教育なん です。その中で選択の自由と言われたときに、どういうふうに子供を安全に育てていっ たらいいのかということで、とても不安に思うことが多々あるんですね。表示というと ころともダブってきますが、学校給食の中で非常に多く加工食品が使われておりまして、 その中で表示というのに何、どんな物が入っているのかっていうことがわからないんで すね。学校給食ですから、給食指導っていうんですか、何でも残さず食べましょう、食 べ物に感謝して食べましょうっていうことで、そういうふうなのが教育としてされてい るわけです。そういう中で食育という面ともやっぱり絡んでくるんですけれど、残さず 食べましょうということで不安な食品というか、それは何を不安と感じるかっていうこ とは人によって違うと思うんですけれど、そのときに親から見てとっても不安だ、これ はちょっとどうしても不安だと思うことを押しつけられるっていうことがたまらない気 がするんですね。そういうところを食育ということと絡めて子供に押しつけていくって いうことが絶対ないようにお願いしたいんです。  といいますのは、今うちの子が行っているところでは、2日に1回、コンソメが使わ れています。そのほかに肉の加工品がとても多く使われているんですね。そういうとこ ろは、やはり献立を立てる方の食の安全っていうところでの考え方の違いと思うんです けれど、その辺のところで選択の自由についてよろしくお願いいたします。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  あと数名の方、御意見いただいて、それでこちらからお話しするような形で終了にし たいと思いますが、あとほか何名かいかがでしょうか。  それでは、前の方、お願いします。 ○参加者5 下関市からまいりました消費者です。一番最初、ここに入ってきたときに どんな書類が入っているかというのを見ましたら、アンケートが入っておりました。聞 く前にまずアンケートを読みましたら、きょうのこの会でわかりましたかとか、大体わ かったとか、そういうのをチェックするとこがあるんですが、消費者問題をやってます と、いろんなことをやっておりますのでこれほど詳しくはやっておりません、はっきり 申し上げまして。きょうこれで理解できたかというと、ほとんど理解できておりません。 きょう来るために、インターネットを引っ張ったり、本を読んだりはしたんですけれど も、なかなか難しいな、いろんな立場の方がいらっしゃって難しいなというふうに感じ ましたけれども、きょう吉冨さんが発表されたことは、本当は拍手しようかなと思った ぐらい私と同じような意見でした。やはり私たちは、顔の見える関係ということで生産 者の方たちとは非常によくお話し合いをしてて、顔が見えるんじゃなくて、生の声が聞 けるから安心できるんですね。ところが、輸入食品ということになると、どうしても国 にお任せするということが多いと思うんですね。そういうときに、先ほどおっしゃって ましたけれども、相手国に対しては情報提供をする程度でなかなか押しつけることはで きないとおっしゃってたんですけれども、日本の消費者はこうだよということをがつん と言ってほしいなというふうに感じました。以上です。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  もう一方、いかがでしょうか。  では、そちらの。 ○参加者6 福岡県庁の農政部の山村と申します。よろしくお願いいたします。  今回、このようなポジティブリスト制度のリスクコミュニケーションを開いていただ きまして、いろいろな御意見を聞かせていただいたんですけれども、ポジティブリスト 制について消費者の方にも御説明するのは非常に大切なんですけれども、やはり国内の 生産者の方にもきちっとこの制度について説明するというか、周知しないといけないと 思っております。  その中で、先ほどお話ありましたドリフトの対策協議会の指針がまた今年度改正され ますけれども、それらを非常に活用して今後、生産者の方にわかりやすく周知していた だければと思いますし、また、対策についてもこれからしていくということなんですけ れども、制度の方は来年の5月からということで、農家の方はもうそれからすぐに入っ ていきますので、なるべく技術の早急な実現をお願いしたいと思います。以上です。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  それでは、まず、最初のお方の給食の問題ですが、済みません、私コーディネーター として、ちょっと現在、この場のメンバーではなかなか難しいのかなという気が実はし ております。多分、学校給食とかになりますと、学校の例えば集会とか、そういったと ころでのお話し合いとかになるのかということとかが1点と、あと食育としては文部科 学省さんも一緒に取り組んでおられるので、そういったところではそういう話もあるの かもしれませんが、ただ、給食自体はまとまったものをまとめて提供する形になってお りますので、別のものでの食事というふうになってきますと、やっぱり個々ばらばらに お弁当でお持ちするというふうなことになってしまうのかもしれません。その辺は非常 にいろんな問題が多分あるかと思いますので、ちょっとこの場でお答えできなくて申し わけないんですけども、議論するのは少し難しいかなと思いますが、パネラーの方、い かがでしょうか。 ○吉冨氏 周南の方がおっしゃったことはもっともだなと思って聞いてました。  ただ、私たち思うんですが、おかしいなと思ったら声を出しませんか。私はそう思っ てるんです。やっぱりおかしいな、変だなというとこが消費者活動の、運動の出発点な んですね。だから、お一人でそういうふうに思われないで、やっぱり学校給食って変だ よねって思ってらっしゃる方がきっといらっしゃると思うんですね。だから、食に関し て食育というのはいろんなとらえ方がありますけれども、一括全部おそろい、同じ物を 食べるというのも一つ考えられますけれども、そういう意味の食育でなくって、もっと 食べることを大事にしましょうよねっていうのが食育だと思うんですね。だから、もし も不思議に思われて、おかしいなと思われるんでしたら、やはり仲間を募って、やはり 声を出して、やはり動かれたらどうでしょうかね。自分一人だったら多分できないと思 います。そういう意味では、やはり仲間がいるってことは大事なことで、共感者がふえ ればそれがきちっとした運動というか、動きに変わることも十分考えられると思います。  だから、そういう意味での食育というか、一括という意味合いにきっととられたのか なと思いましたけども、それがやっぱり私はおかしいなっていう声を出すことによって、 やはり選択するものをふやしていって、自分たちで選べるといいよねという前段がある のがちょっと省けたので、ちょっと違うふうにとられたかもしれません。でも、少なく とも、私たちはやっぱり選び取るという世の中でないといけないと思います。だから、 そういう意味では、おかしいなと思ったことは、私たちがきちっとおかしいなというこ とを伝えていくことが基本じゃないかなと思いました。いかがでしょうかね。 ○広瀬企画情報課長補佐 追加のコメントとかございますか。 ○参加者4 お話ありがとうございます。私も、仲間を募ってということでやはり周り の方といろいろお話はするんですけれど、ただ食の安全ということだけじゃなくて学校 の問題が入ってきますので、対等ではないんですね、学校の先生と子供っていうのは。 お店で売ってる人と食べる人という関係とは全く違いまして、強い者と弱い者という立 場になります。そういう中で、非常に難しい問題がありまして、なかなか簡単にはいか ないところがあります。それで、スーパーでの選択やコンビニでのお弁当の選択と学校 給食の問題というのは非常に違うということと、それから、母親から見て、守りたいの は子供なんですね。自分が少々不安であって食べるっていうことは多少何とかなるんで すけれど、子供が何も知らずに自分の知らないところでそれを食べているっていうこと にたまらない気がするっていうところをちょっとわかっていただきたいと思いました。 ありがとうございました。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  それから、輸入食品の関係では、やはり海外の方にがつんと言ってほしいというふう な御意見ございましたんで、参事官の方からちょっと補足を。 ○藤井参事官 それから、同じく下関の消費者の方から、ポジティブリスト制度のいろ いろと説明を聞いてもよく理解はできないということは、私どもとしても謙虚に受けと め、資料の作成であるとか、説明について工夫をもっとしていく必要があるなと思って おります。  それから、輸入食品について、日本の消費者が思ってることをきちんと国の方として も相手国に伝えるようにしてほしいというお話がありました。非常にしゃくし定規なお 答えになるかもわかりませんが、やはり国の方としては、法律なり規則に基づいたこと についてはきちんと相手国について情報提供なり、要請をする、意見を申し上げるとい うことはできるんですが、それ以外についてはなかなか難しい面があるということは、 一つ御理解をいただきたいと思います。  多くの輸入食品というのは、業者さんが輸入をされている、そして、それを消費者の 方が選択をして購入をするなりされてるということですから、もしそういう不安がおあ りでしたら、ぜひ業者さんに向かっても声を出していただけたらありがたいなと思って おります。 ○広瀬企画情報課長補佐 ありがとうございました。  それから、先ほどいただいた中で、生産者の方にもきちんとやはり説明をした方がい いというふうな御発言ありまして、これは農水省さんとも連携しながらやっていくこと になるのかもしれませんが、あと私どもでは、こういった一般の方を対象とした意見交 換のほかにも、事業者の方とかを対象とした説明会、これは基準審査課というところで 別途、要望があれば出向いて説明をしに行くようなことをしておりますので、ぜひとも、 もし御要望があれば御連絡いただければというふうに考えております。  それでは、最後に、全般を通してということで、ポジティブリスト、それから輸入食 品以外でも何か御意見があれば、ちょっと時間も過ぎてしまいましたのでお一方ぐらい お伺いしてみたいと思いますが、いかがでしょうか、特にはよろしいですか。  それでは、済みません、進行の方、不手際でうまく時間内におさめることができませ ん、申しわけありませんでした。  これで意見交換の方は終わりにしたいと思います。司会者の方にマイクをお返ししま す。 ○司会 どうもありがとうございました。  これをもちまして食品に関するリスクコミュニケーション、終了させていただきたい というふうに思います。  本日は長時間にわたり、また貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。 お近くでまたこういった意見交換会、テーマは別でしょうけども開催することがあると 思いますので、またぜひとも御参加いただければというふうに思います。  それから、アンケートですけれども、入り口に、出口になりますけども、そこの付近 で集めておりますので、ぜひとも出して帰っていただければというふうに思います。ま た今後のこういった意見交換会をうまく進める糸口になればというふうに思っておりま す。  また、本日はありがとうございました。お気をつけてお帰りください。どうもありが とうございました。                          (了) −57−