05/03/14 平成17年3月14日「食品に関するリスクコミュニケーション(食品に残 留する農薬、動物用医薬品等のポジティブリスト制導入の取組に関する意見 交換会)」議事録            食品に関するリスクコミュニケーション            (食品に残留する農薬、動物用医薬品等の            ポジティブリスト制導入の取組に関する                  意見交換会)                平成17年3月14日              厚生労働省医薬食品局食品安全部            食品に関するリスクコミュニケーション    (食品に残留する農薬、動物用医薬品等のポジティブリスト制導入の取組に                 関する意見交換会)                       日時:平成17年3月14日(月)                       会場:千里ライフサイエンスセンター                   議事次第 1.開会 2.挨拶 3.食品に残留する農薬、動物用医薬品等のポジティブリスト制導入の取組 4.休憩 5.ラウンドテーブルディスカッション 6.意見交換 7.閉会                              午後1時00分 開会 ○司会  ただいまから食品に関するリスクコミュニケーション(食品に残留する農薬、動物用 医薬品等のポジティブリスト制導入の取組に関する意見交換会)を開催いたしたいと思 います。  私は本日のコーディネーターを務めさせていただきます厚生労働省医薬食品局食品安 全部企画情報課の広瀬と申します。よろしくお願いいたします。  本日、意見交換会に当たりまして、実は皆様方に配付している資料の中に「食品に残 留する農薬、動物用医薬品等のポジティブリスト制導入の取組に関する意見交換会に参 加いただいた皆様へ」というカラーの紙が入っているかと思います。リスクコミュニケ ーションの取組ということで、まだなじみがないかなということがございまして、この ような紙を入れさせていただきました。  リスクコミュニケーションにつきましては、関係者がいろいろ情報を共有した上でい ろいろな立場から意見を出し合ってともに考えるというような土壌を築き上げて、その 中で関係者間の信頼関係をつくり上げて社会的な合意形成を目指そうというような取り 組みでございます。  本日の意見交換会の目的でございますけれども、個々の意見交換会で何かを合意して 決めるというようなことではなくて、この意見交換会ではまず1つ目としてポジティブ リスト制度というものが一体どういうものなのかということで、皆さんで情報を共有す るということを目指しております。また2番目といたしまして、さまざまな立場の方か らさまざまな立場から意見をいただいて意見交換を行い、この問題についてどうあるべ きかなどの認識を深める、お互いに考えるというようなことを目的としておりますの で、よろしくお願いいたします。  それでは、配付資料の方を確認させていただきたいと思います。  資料1が食品に残留する農薬、動物用医薬品等のポジティブリスト制導入の取組、そ れから資料2としてパネリストからのポジティブリスト制導入の取組に対する意見とい うものがあります。それから資料3でございますが、これは皆様今回意見交換会に参加 いただくに当たりまして申し込みの際に事前にお寄せいただいた意見でございます。こ ちらの方は右の方に、非常に字が小さくて申しわけございませんが、一応質問の内容を 真ん中に、右側の方に回答というようなものを書かせていただきました。  主に今日の意見交換会はパネリストの間でのラウンドテーブルディスカッション、ま だ形はハの字型のような感じになっておりますが、皆様に一応発言している方がわかる ように、本来丸い形でラウンドテーブルという形でするべきものかもしれませんが、見 えるようにということでこのような形でさせていただきます。ラウンドテーブルでのデ ィスカッションの方を中心とさせていただきたいと思っておりますので資料3の方は配 付のみという形になりますが、お寄せいただいた意見と回答の方も一応ごらんいただい て、もし何か聞き足りないとかがあれば、最後に意見交換の時間を設けておりますの で、そのときにご発言いただければと思います。  それから、資料としてはあと「食の安全・安心トピックス」という横長の紙と、それ から「安心を食べてほしいから見守っています、食の安全」という小さなリーフレット が入っております。それから本日の意見交換会に参加いただいた皆様へということでア ンケート用紙が入っております。このアンケートの方は、皆様方から忌憚のないご意見 をいただいて今後の意見交換会の改善に役立てていきたいと思いますので、ぜひお書き いただけるようにお願いしたいと思います。  それでは、今後の進め方ということで簡単に紹介させていただきます。  まず、厚生労働省大臣官房松本参事官よりごあいさつをさせていただき、その後、食 品安全部基準審査課の宮川課長補佐より「食品に残留する農薬、動物用医薬品等のポジ ティブリスト制導入の取組」ということで40分間パワーポイントでプレゼンテーション をさせていただきます。その後10分間休憩をいただきまして、2時を目途にラウンドテ ーブルでのディスカッションに入りたいと思います。休憩は一応これで最後になります ので、その後4時半ぐらいまで休憩の時間を特に設けておりません。それで、どうして もという方がいらっしゃいましたら周りの方に迷惑にならない範囲で適宜おトイレなり 休憩いただいて結構ですので、そのようにしていただければと思います。  当初、ラウンドテーブルでのディスカッションですが、皆様の議事次第は3時半まで ということになっておるかと思いますが、一応ラウンドテーブルでのディスカッション を中心に今回行っていきたいと思いますので、4時ぐらいまでラウンドテーブルの方で 意見交換をしたいと思います。その後、4時から4時半の間に会場の方からも意見を伺 っていきたいというふうに思います。一応全体の進行はこんな感じでございます。  それでは松本参事官、あいさつの方をお願いいたします。 ○松本参事官  皆様こんにちは。  ただいまご紹介をいただきました厚生労働省でこのような形のリスクコミュニケーシ ョンを担当いたしております松本義幸でございます。  食品に関するリスクコミュニケーション(食品に残留する農薬、動物用医薬品等のポ ジティブリスト制導入に関する意見交換会)の開催に当たりまして一言ごあいさつ申し 上げます。  皆様におかれましては、日ごろより食品衛生行政の推進につきまして深いご理解をい ただき、ありがとうございます。また、本日は3月中旬というのに雪がちらちらするよ うな寒い中、多数ご参加いただきましてまことにありがとうございます。  皆様ご案内のように、食を取り巻く環境は大きく変わってまいりました。生産地と消 費地も大きく離れておりますし流通経路も長くなっております。また我が国の食料の場 合、熱量換算で約60%を海外から輸入しております。海外の生産国で使われる農薬等の 薬品につきましては、我が国で規制されているものと同じものを使っているところもあ りますし、それ以外のものを使っているところもあるということであります。  食品安全委員会が平成15年9月に実施いたしました食の安全性に関する意識調査で一 番関心が高いのが農薬であります。それに次ぎますのが輸入食品であり、食品添加物が それに続いております。本日の意見交換会は、農薬や動物用医薬品等の使用や販売を所 管しております農林水産省と食品に残留する農薬や動物用医薬品等の食品としての規制 を行う厚生労働省の共催で開催するものでありまして、食品に残留する農薬、動物用医 薬品等のポジティブリスト制導入の取組をテーマとしてこのような意見交換会の場を設 けさせていただいたところであります。  ポジティブリスト制の導入につきましては、平成15年の食品衛生法の改正におきまし て決められまして、平成18年5月、すなわち来年の5月までにこれを施行することにな っており、その日に向けて現在鋭意取組を進めているところでございます。昨年8月に は暫定基準第2次案を公表いたしまして昨年の11月まで意見募集を行い、提出された主 な意見に対する考え方につきまして審議会におきまして議論をしていただいているとこ ろでございます。一律基準等ポジティブリスト制の導入に必要ないろいろな事項につき まして審議会における議論が進んでいるところであります。  平成16年6月に1回目の食品に残留する農薬、動物用医薬品等のポジティブリスト制 導入の取組という意見交換会、このような形の意見交換会を東京で開催しまして、大阪 が2回目ということになるわけでございます。このような中で本日は消費者、事業者な どの代表的な方々にお集まりいただいております。  本日の意見交換会を通じまして、ポジティブリスト制の導入につきまして消費者、関 係業界の方々との双方向の意見交換を行って相互理解、また相互信頼の構築を図ること ができればと考えております。参加者におかれましては忌憚のないご意見、ご提案をい ただくなど活発なご議論をお願いしたいと考えております。  簡単ではございますけれども、開会に当たりましてのごあいさつといたします。どう ぞよろしくお願いいたします。 ○司会  それでは、早速ですが食品に残留する農薬、動物用医薬品等のポジティブリスト制導 入の取組ということで説明に入らせていただきたいと思います。  宮川補佐、お願いいたします。 ○宮川課長補佐  それでは、ポジティブリスト制の概要につきまして、皆様方お手元にございます資料 1でパワーポイントを準備してございますので、それに基づきまして簡単に概要を説明 したいと思います。  およそ40分ほどの話になります。スライドの数が40数枚ございますので全部を説明す るということにはならないかもしれませんが、ポイントだけ重点に説明をしたいと思い ます。  それでは早速始めたいと思います。  最初に、ポジティブリスト制の中身の説明の前に、例えば農薬の規制、基準値の設定 というのはどうなっているのかと、この部分について理解をしていただいた方が後のポ ジティブリスト制のことについて理解が得やすいだろうと思いますので、残留農薬基 準、これは動物用医薬品でも同じなんですけれども、そのつくり方みたいな部分を説明 したいと思います。  これは基準の設定について、その基準のつくり方を書いてあるわけですけれども、リ スクの評価、それからリスクの管理という2つの要素で分かれているということです。 1つは動物を使った実験で毒性をあらわす量がどれぐらいであるのか、それでそのもの について実際に許容できる量というものを設定するというこれがリスク評価で、今は食 品安全委員会が行っているわけですが、こういう評価に基づいて許容値をまず定めると いうことになります。  ただ、この許容値ですが、ここにあるようにいろんな試験を行います。例えば子供へ の影響を見る、それから繁殖での毒性を見る、発がん性を見る。いろんな試験をやって すべてで毒性をあらわさないよう見つけて、そしてそれに係数を掛けてADI、許容一 日摂取量というものを設定しているということになります。ですから、この数字は生涯 にわたってその量を暴露されても問題が生じない量が設定されるというのが基本になっ ています。  一方、基準値を決める側ですが、基準を決める場合に食べる量も勘案するんですが、 それより前にまずここで基準値を検討しているということになります。つまり、適正に 農薬を使用した場合にどのくらい作物に残留するのか、それをベースに基準が決まると いうことです。  例えば何を言いたいかというと、お米に使われる農薬であればお米に基準ができるわ けですが、その基準値のつくり方というのはお米にその農薬をどういうふうに使うかと いうのがベースで決まるということです。当然農薬というのも薬ですから、たくさん使 えば効果も得られないという場合があるわけです。薬として適正な量、虫が死ぬ量では ないと困るわけです。たくさん使えば使うだけ効果があるわけではなくて、それは逆に 植物に害が出たりするわけです。逆に少なかったりすると効果がなかったりするわけで すから、適正に使用するというのが大前提です。  その次に、実際にお米に使われる農薬であればそういうふうな使い方というのが決ま っていて、それをベースにして作物残留の試験を行った結果に基づいて決めるというこ となんですが、例えばお米以外のもの、ここには米と小麦とジャガイモというのがあり ますけれども、例えばお米に使う農薬だからといってそれはミカンに使われるわけでは ない。当然リンゴに使われるわけでもない、野菜に使われるわけでもないということで すから、使う必要のあるものにしか基準が設定されないということになります。適正に 使う必要のあるものだけに使い方を決めて、その上で基準値が決まってくるんだという ことになります。  その基準値は、実際の使い方で残留する問題が生じるわけですが、その場合にそれが 安全性から考えて許容される量におさまることを確認するというのが次の作業になりま す。したがって、適正にな使い方で残留する量がわかれば、それに摂取量を掛け合わせ る。それは国民平均であったり子供、高齢者、それから妊婦の方々のそれぞれの摂取量 で掛け合わせてみて、実際にどれぐらいその農薬に暴露されるかということを評価いた します。この量が先ほど動物実験なんかで得られた許容量、生涯にわたってこの量にお さまれば問題がないという量におさまっている場合に限り基準値が設定される。それか らその農薬の使い方が認められるということになります。  よく作物によって数字が違う、なぜ違うのかと言われるのですが、使い方が違えば当 然数字が変わってきます。認められない農薬には基準値は設定されない、こういうルー ルになっているわけです。ですから、食品衛生法で基準値が定められればそれに基づい て食品の流通を監視するという一方で、国内であれば農薬取締法に基づいて使い方につ いても規制がされる。つまり、使い方が決まって基準も決まって、これがちゃんと守ら れるようにまた使う側の規制もしっかりかかると、こういう組み合わせになっていると いうことです。  これは、暴露の評価を足し合わせていくときに安全レベル、これがADIのレベルで すけれども、それに実際のお米からの摂取量を推定する際に残留基準のレベルに摂取量 を掛け合わせていく。これを足し合わせていって、それが安全レベルにおさまるように 計算しますというものを示しているものです。繰り返しになりますけれども、使い方を 決めるわけですが、それが安全な域におさまっていないとその基準値は当てはめられな い、つまりその使い方は認められないということになります。  この流れは残留農薬基準の設定と農薬の使用の関係をあらわしたものですけれども、 農林水産省に農薬メーカーから申請があったものについて厚生労働省がその資料を入手 して安全委員会がADIの設定を行います。基準値については先ほどのようなつくり方 で設定して最終的に定めるわけですが、一昨年の7月以降についてはこの基準の施行に 合わせて初めて農薬の使用、それから販売が認められるという制度になっています。で すから、今後新しく出てくる農薬などについてはこのような制度で食品の基準値ができ 上がって初めて農薬が使われるようになるという制度になっています。  繰り返しになりますけれども、使われ方が決まって、それで残留基準が決まって、そ の残留基準に従った使い方しか認められないという形に現在はなっています。  さて、このように農薬の基準、それから農薬の使用方法等について規制が行われる形 になっているわけですが、これは国際的にも基本的に同じような流れになっています。 これからが来年の5月に施行されるポジティブリスト制の中身の話であります。  これはポジティブリスト制を一言で言うとどうなるかというのを書いたつもりなんで すが、基準の設定されていない農薬などが一定量以上含まれている食品の流通を原則禁 止する制度、これを私ども残留農薬のポジティブリスト制度というふうに言っていま す。これは、食品衛生法の一部を改正する法律、平成15年5月に公布されました法律に 基づいて施行される制度です。注目していただきたいのは食品の流通を禁止する制度で あります。したがいまして、農薬の使用を直接的に規制する法律ではないということに なります。  農薬ではなくて例えば添加物のポジティブリスト制ということになると、使える添加 物というのが決まってくるわけです。それが食品の製造加工に使える添加物というふう に決めるわけですが、残留農薬のポジティブリスト制に関して申し上げれば、食品の流 通を規制するのであって農薬を使用することを直接規制しているものではありません。 ただ、先ほど言ったように基準値が決められて使用方法も決まって初めて残留基準が決 まるわけですから、結果として農薬の使われ方の側も規制をされるということは作用と してはあるということになります。  これは制度の変更を1枚の絵にしたものです。現在が左側で、3年後、つまり来年の 5月以降はこちら側になるということです。こちらからこちらに制度の変更になりま す。  一番大きな違いは、食品の成分に関する基準が定められていないもの、これは現在規 制がかかっていないことになります。今ですと基準のあるもの、244の農薬で例えばお 米なら何ppmという基準があって、その基準を超えたものは食品の流通が禁止されると いうことになりますけれども、基準のないものについては食品衛生法上規制がかかって いないという状況にありました。ですからどんなことが起こるかというと、違法に使わ れた農薬、それから海外で違法に使われた農薬が残留しているような農産物が日本に輸 入されたとしても、基準がないものであれば全く規制がかかっていなかった。流通をと める、そういうことができなかったということになります。それが来年の5月以降、ま ず一番大きな黄色い塗りつぶしがあるところですが、ここでまず大きな網がかかりま す。つまり、人の健康を損なうおそれがない量として厚生労働大臣が告示で定めるその 量を超えて残留したものについては、まず原則流通を禁止します。農薬が残留していた もの、動物用医薬品が残留していたもの、これはすべて流通を禁止しますという大きな 網をかけます。今までだったら基準のないものはすべて流通できていたのがまずは全部 網がかかるという変更になります。これが一番大きな特徴です。  この大きな網がかかった上で、一部例外として流通を認めるものは基準が定まってい るもの、つまり農薬の使い方、適正に農薬が使われるもので安全性が担保される範囲で 設定される基準の範囲、そのものについてはその基準を超えない範囲で流通を認めま す。その基準を超えれば不適正な農薬の使われ方、それから安全性の問題というふうに 引っかかってくるわけですから、基準を超えれば当然流通をとめますが、基準の範囲内 であればその流通は認めるということになります。  もう一つ例外、これは余り大きな話ではありませんけれども、農薬の中には人の健康 を損なうおそれがないことが明らかなもの、例えばここの例としてあります特定農薬と いうものの中にはお酢があります。皆さんが食事、料理に使われるお酢なんかを農薬と して使う場合があります。こういうものについては明らかに人の健康を損なうおそれが ないでしょう。こういうものは告示をしてポジティブリスト制の対象外にしますけれど も、それ以外のものはまず大きな網にかけて、それで一部適正に使われる部分について 安全性が確認される部分について例外とする。それ以外のものは全部に網をかけるとい う制度になります。  規制の範囲ですけれども、ポジティブリスト制の対象は農薬、動物用医薬品、飼料添 加物、この3つになります。規制の対象となるのは食品ですが、加工食品を含めたすべ ての食品が規制の対象となります。  例えば、今までだとお米に残留農薬の基準がありました。だからお米ではお米の生産 に使われた農薬の基準があって規制がされていたというのがありますが、今回の話で言 うと、例えばお米の生産をした稲わらを食べた牛の肉に残留している農薬、これも規制 の対象になります。したがって、畜産物の中で農薬が残留する、えさに由来した農薬が 畜産物の肉の中に残留するようなもの、牛乳の中に残留するようなものも規制の対象に なります。したがって、かなり大幅な変更、今までの残留農薬基準というよりはかなり 広範な規制がかかるということになります。  一定量以上人の健康を損なうおそれがない量ですが、これは後ほど説明をいたしま す。  それから、規制の対象とならないもの、これは対象外物質と略しますが、これも人の 健康を損なうおそれがないものということですが、これも後ほど簡単に触れたいと思い ます。  これは法律の条文を書いているものです。法律の条文ですので長たらしいんですが、 見ていただきたい点は、規制の対象が食品、人の健康を損なうおそれのない量として意 見を聴いて定める量を超えて残留する食品は、製造、輸入、加工、使用、調理、販売し てはならないという規定になっています。農薬、飼料添加物、動物用医薬品、こういう ものが規制の対象ということになって、それが一定量超えているものはこうしてはなり ません、流通に乗せてはなりませんということになります。ただし,基準の定められて いる場合はこの限りでないという例外がついているということになります。  いつから始まるのか、これは繰り返しになりますけれども18年5月までに実施する予 定をしています。法律で書かれているのを言うと改正した食品衛生法の公布の日、15年 5月30日から起算して3年を超えない範囲内で政令で定める日から施行されます。この 政令はまだ発出されていません。ですからまだいつから施行されるかは決まっていませ んが、法律の定めるところでは15年5月30日から起算して3年を超えない範囲、つまり 来年の5月29日までに施行しないといけないというふうに定められています。  さて、一番大きな柱でありますまず原則としてこの量を超えてはならないという量の ことであります。これは農薬などでありますから、当然先ほど来申し上げているように 使わなかったものは残留しないですからゼロでもよさそうなところですけれども、農薬 などの場合、環境に由来するもの、非意図的な汚染もある程度あるでしょうし、それか ら分析できる量といって定めたところで分析能力というのは日進月歩で、かなり低濃度 まで分析しようというのは現在でも可能です。それが食品衛生として、もしくは人の健 康を害するという観点でどれだけ意味があるのかという意味もありますので、非意図的 な汚染などを考えた上でまず一定の量を定めましょう。人の健康を損なうおそれがない 量を定めて、その量に基づいて規制をかけましょうという考え方になります。  どこに適用されるかというと、2つのパターンがあります。いずれの農作物にも残留 基準が設定されていない農薬が農作物等に残留する場合です。基準が設定されていると かそういうのでなくて、全く評価をされていない化学物質が農薬として使われているよ うな場合、これがまず1番の場合になります。ちょっとくどい話かもしれませんけれど も、農薬の基準が設定されていない、つまりその農薬が農薬として評価をされていない ようなもの、こういうものについて一律基準というのは適用されます。  それともう一つ、一部の農薬に基準が設定されている農薬があったとして、その基準 が設定されていない農作物、つまりお米には基準値があるけれども小麦には基準値がな いという場合があります。その場合、その小麦のようなものについては一律基準が適用 されるということになります。これは、先ほど来申し上げているようにその農薬が使わ れるものというのは使い方がまず決まるわけですから、使い方が決まっていない、つま り使う必要のない作物については当然一律基準が適用されるということになります。  後ほど出てきますが、基準の種類にはおおよそ3つの種類があります。基準値として 数字が定められているもののほかに不検出という基準が定められるもの、それから抗生 物質の場合だと含有してはならないと、このような基準が定められる場合があります。 こういうものを除いたものについてすべて一律基準がかかるということになります。  この数字については昨年の8月に私どもで考え方をまとめたものとしてお示ししてい るものがございます。この中では法的な背景、安全性に対する評価、諸外国の事例な ど、8月現在での時点をまとめて公表しています。いずれにしても食品安全委員会に対 して食品健康影響評価などを依頼する予定で現在調整を進めておりますが、安全委員会 の意見なども聞きながら最終的に定めていきたいというふうに考えています。  実際にポジティブリスト制を採用している国々で具体的にどうしているのかというこ とですが、まず欧州連合は、実は欧州連合としてポジティブリスト制は現在のところま だ採用されていません。というのは、欧州域内では加盟各国、現在東ヨーロッパも含め て25ぐらいになったと思いますが、それぞれの国が農薬の使い方、残留基準値を設定し ていたりしますが、それらについては欧州委員会として今後残留基準の1つのルールを 定めようとしています。ことしの1月にこの提案が欧州議会などで採択をされましたけ れども、そこでは使用対象外の作物に残留するもの、安全性に関する資料のないものに ついて、0.01ppmを超えるレベルで残留することを禁止するという規則案がことしの1 月に採択されました。恐らく来年の夏ぐらいには施行されることになろうというふうに 考えられております。  それ以外の国、ニュージーランドが0.1、これは1980年代に定められています。ドイ ツにつきましてはおよそ30年前ですから1970年代ですが、分析法のその当時の一番低い 感度を目安にして0.01ppmというふうにやっています。アメリカは数字としては定めら れていません。法律上は残留したものは認めないという法律になっておるんですが、実 際残留するしないというのを判断する目安としてこのような数字で運用しているという ことのようです。  外国がこうしているからといってそれで安易に基準を決められるわけではありません ので、私どもは8月に次のような要素で考え方の案を示しています。1つが毒性学的な 閾値、それからこれまでの農薬、動物薬の安全性評価をしたADIの数値、それとそれ に摂取量を考え合わせた暴露の量というものを考え合わせて決めているという考え方を 示しています。  1つが前段の方ですが、結論から先に申し上げますと、暴露の量の閾値として1.5マ イクログラム/dayを目安とすることは一定の合理性があると考えられます。この閾値 なんですが、これは国際的な評価に基づく毒性学的閾値で、具体的にどういうことをや っているかというと、これまでに評価をされたいろんな化学物質があるわけですが、こ れの発がん性を含めたいろんな毒性の閾値を並べてみて一番低い数字がどこになるのか というのをデータベースにして判断しています。それは香料でありますとか、それから 容器から溶出するようなごく微量の化学物質なんかについての評価でアメリカのFDA でありますとかコーデックスの評価機関でありますJECFAという機関があります が、そちらで使われているものになります。そこでは1.5マイクログラム/dayの範囲で あれば毒性の発揮しない閾値として判断できるだろうということで示されています。こ れには1つの合理性があるでしょうということで判断をまず示した。それを今度摂取量 で判断した場合に、これは化学物質の量ですから濃度に戻さないといけない。仮にそれ を0.01ppmというもので設定してみると150gの量であればちょうど1.5マイクログラム /dayという量になるということになります。この150gという量はどれぐらいに相当す るかというと、私どもが行っております国民栄養調査の量で申し上げますと、お米が大 体180gぐらいの量になります。それ以外の食品は大抵多いもので百二、三十、それ以 下のものがほとんどと。押しなべて食べる量とするとお米であれば若干超える。だけ どそれ以外の食品であれば150gを十分下回っている量になります。  そうだとすると、0.01として150gとすると1.5マイクログラムに相当してしまうわけ ですが、農薬等の摂取量として許容される暴露の目安を生涯にわたり超えることはあり 得ないだろうという結論を導き出しています。  お米については国内で生産されるのがほとんどですし、農薬取締法で十分な取り締ま りも行われている。そういうこともありますし、また生涯にわたっての目安として1.5 マイクロですので、そういう観点からしても、ずっと生まれてから死ぬまでの間この量 を超え続けるということはあり得ないだろうと。したがって、この閾値をベースにした 0.01ppmというものであれば生涯にわたってその基準を超えた化学物質に暴露されて健 康の影響を生じるということはあり得ないだろうという結論をまとめています。  以上が一律基準の設定です。したがって、数字としてはおおよそこれぐらいの数字を ベースにして一律基準、大きな網をかけようということになります。  大きな網をかける、そこまではいいんですが、その後これからいろんな農薬につい て、実際に必要があって使われているわけですから、それらのものについてどのように 対応するのかというのが次の話になります。  残留しないというのをベースにして人の健康を損なうおそれがない量というのを決め たわけです。そこで大きな網をかけたのはいいんですが、実際に農薬として使われてい るものについて安全が担保される範囲で、また適正に使われている範囲のものについて は当然認められるべきものですので、それらについてどう扱うべきかということを考え ていく必要が生じるわけです。  これは農薬の基準の設定状況ですけれども、今現在244の農薬について基準がありま す。それを海外で使われている農薬、それから国内で使われている農薬との関係を示し た図になります。例えば国内で使われている農薬の数というのがおよそ350あります。 これは農薬取締法で国内で食用の作物に登録されている農薬の数です。このうちのおよ そ200の農薬について食品衛生法の基準があるというものです。今の状況でこのままポ ジティブリスト制の方に移行してしまうと、ちょうどすき間にある150の農薬について 農薬取締法で使われることが認められているにもかかわらず食品衛生法の基準がないこ とから一律基準が適用されます。つまり、農家が適正に農薬を使っているにもかかわら ず食品衛生法違反となって流通がとめられるという事態が起こるわけです。したがいま して、この問題を何とか解決する必要があるというのがまず1つ目の問題です。  国内で登録されている農薬といっても、これは安全性の評価なども行われた上で使わ れている農薬ですから、適正に使われている範囲では安全性に問題が生じないにもかか わらす、このままポジティブリスト制に移行すると大きな障害を発生するおそれがある ということになります。  それから、次にコーデックスで基準があるのはおよそ130あります。これは国際機関 でありますFAとWHOが合同で行っている食品規格委員会でありますコーデックスの 基準ですけれども、それで130ございますが、そのうち食品衛生法で基準があるのがお よそ80ということになります。だから、残り50については国際的な基準があるにもかか わらず国内での基準がないから、例えば輸入時に違反とか輸入することができなくなる ということがあります。  さらに海外の方に目を転じれば、アメリカやヨーロッパで使われている農薬の数を足 し合わせると私どもの試算ではおよそ700ぐらいあります。例えばアメリカの小麦に使 われる農薬、トウモロコシに使われる農薬、いろんな野菜や果物に使われる農薬などを 考えるとおよそ700ぐらいあります。このものについても今200ぐらいしかございません から、このすべてを認める必要はないのかもしれませんが、安全性が担保される範囲で ある程度許容しないとこれまで流通していたものについても流通がとまってしまうとい う事態が起こるわけです。したがって、これを何らかの形でポジティブリスト制の施行 までに国民の健康を保護した上でさらに流通の混乱を防止するという手だてが必要にな るわけです。そこで暫定基準の設定ということを検討しておるわけです。  目的は、繰り返しになりますが国民の健康を保護する。当然安全性に問題がある基準 は設定をしません。あわせて国内で使うことが認められている農薬についても混乱が生 じないようにする。それから海外で、例えばアメリカでちゃんと評価されて使用が認め られているものについても認めることによって流通の混乱を防止する、この2つの観点 から暫定基準を設定しようと考えています。科学的な根拠に基づいて定められた基準を 参考にして、食品衛生法第11条第1項の規格として告示によって定めるということにし ています。  この基準、暫定基準と書いていますが、ここにありますように11条第1項の規格とし て告示で定めますので法的に禁止をされる。これの基準を超えていれば法的な流通の禁 止が行われるというものであります。今現在定められている残留農薬基準と全く変わら ない法的効果が出るものであります。  科学的な根拠に基づく基準、参考にする基準というのは3つです。まず1つが国際基 準であるコーデックスの基準、これは国際的にJMPR、それからJECFAというよ うな科学的な評価を行ったものに基づいて採択された基準、したがって科学的に安全性 が担保されているという基準です。  それから、一方で国内については農薬取締法で登録保留基準というのが設定されてい ます。これは毒性を評価した上で、作物残留試験などのデータに基づいて安全性の担保 される範囲で農薬を登録する際に定められている基準です。これも安全性という意味で は担保される基準ですので、これも参考にします。動物用医薬品の場合は薬事法では承 認時に残留しないというのをベースに考えていますので、その当時、承認したときの定 量限界値を農水省からもらって定めているということになります。こういうものを参考 にします。これは国内で使われる農薬についてです。  それから、これとこれではなかなか数がカバーされない部分があります。流通に対し て例えばアメリカで使われるもの、ヨーロッパで使われる農薬、そういうものもあるわ けですから、海外での農薬の使用状況もある程度勘案しないといけませんので、この2 つで足らないものについては科学的な評価の設定に必要な試験などに基づいて決めてい る基準、アメリカ、カナダ、EU、オーストラリア、ニュージーランドの5つの基準を 参考にして決めましょうというふうに決めています。  この3つをプライオリティーを決めて、まずコーデックスがあればコーデックスの基 準、これは日本はWTOに加盟するわけですので国際基準をベースに考えましょうと。 コーデックスがない場合は登録保留基準、国内の基準を参考にする。それがなければ海 外の基準を勘案するということになります。  ただ、農薬の使用実態などを勘案する場合には登録保留基準とか海外の基準を設定す るということにしていますが、例えばコーデックスの基準が国内の登録保留基準よりも かなり小さいという場合があります。このような場合だと国内で今まで使えていた農薬 が使えなくなるという事態が生じます。それではいろいろと問題が生じる場合もありま すので、農林水産省と厚生労働省の間で連携をいたしまして、農林水産省から厚生労働 省に対してこの農薬のこの作物については登録保留基準を採用してほしい。作物残留基 準の成績などから勘案してもコーデックスの基準では困るというものについて登録保留 基準の採用について依頼があった。そういうようなものについては登録保留基準を採用 するというようなことにしています。したがって国内的に申し上げれば、今まで使われ ている農薬、動物用医薬品については、今までどおり適正に使われている範囲において はポジティブリスト制になったところで全く問題が生じないというふうに考えていま す。不適正に使われた場合は話は別ですが、適正に使われている範囲に限り今回のポジ ティブリスト制で国内の農家の方がお困りになるというようなことはないというふうに 考えています。それは、例えばマイナー作物と言われている作物で農水大臣が都道府県 からの申請に基づいて例外的な扱いをしているものもありますが、そういうものも含め て問題が生じないものというふうに考えています。  暫定基準をつくっていくとおおよそこんな感じになります。現在、例えば小麦に0.5 ppmという基準があった農薬Aというものについて、例えば登録保留基準からミカンに 0.1ppmを持ってきました。コーデックスの基準を参考に牛の筋肉中に0.05ppmというの を持ってきました。海外の基準を参考に牛乳に0.02ppmという残留基準を設定しました と。暫定基準というのはこういう部分になるわけですが、こういう部分を定めて、それ で全体としてポジティブリスト制に移行するときの残留基準全体にしようというふうに しています。  ここで抜けているお茶の部分、ここの部分は先ほど来説明をいたしました一律基準を 適用しようということになります。これは、とにもかくにもお茶にはこの農薬は使われ ないわけですから基準は要らない。ですから人の健康を損なうおそれがない量という量 で判断しようということになります。  それ以外に暫定的な基準として定めるものには幾つかございます。不検出というもの で発がん性のあるもので閾値が設定できないようなものについてはこういう基準を設定 します。抗生物質につきましては現在も含有してはならないという規定があります。そ れから抗菌性物質についても含有してはならないという規制があるわけですが、これは 食肉などに限られているんですが、これを両方の整合を図って、食品は抗生物質と抗菌 性物質を含有してはならないという規定にして規制をそのまま維持していこうというふ うに考えています。  加工食品については、規制はかかるわけですが、基準に適合したものについて流通を 可能とする制度にしようというふうに考えています。加工食品については、加工食品と しての基準を定めるのではなくて、もとの例えばリンゴの濃度の基準値を参考にしてリ ンゴ果汁について違反であるかどうかを判断するということになります。  暫定基準につきましては、海外の基準を参考にしておりますので、それらについて実 際の毒性の評価などに基づいて再度安全性の確認について念のため見直しなどを行う予 定にしています。そのためには農薬の摂取量調査を行って優先順位を決めて安全性の試 験成績などを収集して行っていくということにしています。これはできるだけ早く進め ていきたいと思いまして、今はマーケットバスケット調査を年間40から50ぐらいの農薬 について行っています。  対象外物質は先ほど言ったお酢とかです。特定農薬の中にはハチとかクモもあります が、これは別に農薬なんですが私どもの規制する観点ではありませんので、これは飛ば させていただきます。  準備作業です。これまで行った作業とこれからの作業の予定を申し上げたいと思いま す。  これまで行ったものですが、暫定基準は1次案、2次案という2回のプロセスを経て います。こちらの審議会で15年6月から審議を始めていまして、第1次案を15年10月に 公表して3カ月間の意見を国内外からいただきました。その後、その意見に基づいて16 年4月から改めてこの審議会で審議をいたしまして、4回にわたる審議を行った上で8 月に第2次案、それには一律基準の考え方、対象外物質の考え方を含めて意見募集を昨 年11月末まで行いました。これらについてことしの1月から審議を行っているというこ とになります。  最終案の取りまとめですが、今のところ今月の終わり、3月28日に審議会をもう1回 行って、それから4月ぐらいにもう一度審議会を行おうかなというふうに考えていま す。恐らく暫定基準などの最終案は連休明けぐらいには取りまとめられて、WTOの通 報、それからパブリックコメントの募集というのを改めて行うという形にしたいという ふうに考えています。その途中で安全委員会などに対して意見を求めるというようなこ ともあろうかと思いますが、最終的な案は恐らく連休明けぐらいにはお示しできるんで はないかなと思います。  その後に、夏ぐらいをめどに審議会の答申をいただいて11月に最終的な告示を行う。 6カ月間の周知期間を行って来年の5月から施行するという流れにしたいというふうに 思っています。したがいまして、もう待ったなし。あと1年たつとポジティブリスト制 になります。中身についてはおよそもう大体固まりつつあるという状況にあります。  分析法につきましては、去年の8月に分析法の案を示しております。これでできない 部分については今年度も開発を行っておりますし、来年度もまだ開発を行う部分という のは残りますが、まとまったものから順次公表しておるわけで、とりあえずはこの8月 に出した分析法、農作物であればガスクロマトグラフで、あとガスクロマトグラフ質量 分析計の方法に基づいた一斉分析法をベースにしたものになっています。この方法につ きましては基本的に変更はありません。この方法が恐らく告示のときに示される方法と 全く同じということになろうと思います。これらにつきましては、標準品などの開発な んかも含めて告示日までにまとめたいというふうに考えています。  去年の8月から全然アップデートしていませんのでできるだけ早く、最終案を示すこ ろぐらいには今年度開発した中身などもお示ししたいというふうに考えています。  ちょっと時間が超過していますが、最後に1点だけ、ポジティブリスト制が導入され たらどういう結果になるのかというのを推測したものが一番最後のスライドになりま す。12年と13年に検疫所、それから都道府県が行った残留農薬の調査結果を暫定基準の 第2次案、それから一律基準を0.01ppmと仮定した場合の比較をしてみました。国産、 輸入それぞれあるわけですが、組み合わせとしてはこういう数がありましたと。違反の 数ですが、例えばこれは検査項目ですからちょっと多いですけれども、23万件のうちの 54件、これが暫定基準の案から超過しています、0.02%ぐらい。輸入も大体同じぐらい です。年度を変わった13年を見ていただいてもおおよそ同じぐらいということになりま す。一律基準の違反が国内、海外ともにやや多いことになりますけれども、こういった ような数字が予想されているということになります。  一部ここで見ていただいたらわかりますけれども、126と30の差があります。輸入の 場合、補正というのはここにありますが、いずれもある特定の農薬と農作物の組み合わ せ、この当時ちょうど海外から輸入されるオクラでシペルメトリンという農薬の違反が たくさん出ていました。ですから都道府県も検査をする、検疫所も検査をするというこ とで、オクラのシペルメトリンの基準の超過がここだとおよそ390余り、こちらだと大 体90ぐらいです。これが全部同じ組み合わせですから、そういう組み合わせを除くと 0.1%、0.02%、まだ国内も輸入も大体同じぐらいの違反が出るのかなと。  これはどれぐらいになるかというと、今244の基準があって違反が出ている割合とい うのも大体これぐらいです。ですから今輸入食品とかで違反が出ているのがほぼ倍ぐら いの範囲におさまるということが、私どものこのデータを見た範囲ではこういうことに なります。ですから、私どもとしては一律基準の数字、それから今の暫定基準の設定と いうことから考えれば、それほど大きな混乱を来すという事態を想定しているものでは ないというふうに考えています。  以上、駆け足になりましたけれども、ポジティブリスト制の概要であります。後ほど ディスカッションの席もありますので、資料1の内容について必要があればまた説明を したいと思います。  以上であります。 ○司会  ありがとうございました。  それでは、ここで休憩を設けさせていただきたいと思います。ラウンドテーブルでの ディスカッションの方ですが、2時5分から開始したいと思いますので、それまでにお 席の方へお戻りいただきますようお願いいたします。                              午後1時57分 休憩                              午後2時05分 再開 ○司会  それでは、時間となりましたのでラウンドテーブルでのディスカッションに移らせて いただきたいと思います。  最初にパネラーの紹介をさせていただきます。  両側ハの字型になっておりますが、こちら側とあちら側に役所の関係の人に座ってい ただいております。一般公募で来ていただいた団体の方からご紹介させていただきたい と思います。  一番真ん中の列、皆様方の左側になりますが、日本生活協同組合連合会理事の伊藤潤 子様でございます。  そのお隣が、畜水産物残留安全協議会、清水良浩様でございます。  そのお隣が、JA京都中央経済部営農販売課営農指導員の新谷誠敏様でございます。  そのお隣が、財団法人大日本水産会水産食品安全・表示部会コーデックス専門委員会 委員長の諏訪義人さんでございます。  そのお隣が、財団法人食品産業センター技術開発部長の高野靖様でございます。  そのお隣が、日本養豚事業協同組合理事の竹延哲治様でございます。  そのお隣が、農薬工業会専務理事の玉川寛治様でございます。  そのお隣が、社団法人日本輸入食品安全推進協会運営委員の前田裕之様でございま す。  そのお隣が、有識者ということで財団法人実験動物中央研究所学術顧問の林裕造先生 でございます。  そのお隣が、厚生労働省食品安全部基準審査課の中垣課長でございます。  そのお隣が、同じく基準審査課の宮川課長補佐でございます。  同じく基準審査課食品規格専門官の近藤専門官です。  こちら側のテーブルになりますが、私の隣が厚生労働省食品安全部監視安全課輸入食 品安全対策室の鶴身補佐でございます。  そのお隣が、農林水産省消費・安全局消費者情報官の姫田情報官でございます。  それから、紹介が最後になりましたが、コーディネーターを務めさせていただきます 広瀬でございます。よろしくお願いいたします。  すみません。失礼いたしました。冒頭あいさつさせていただきました大臣官房参事官 の松本参事官でございます。  それではラウンドテーブルのディスカッションに入らせていただきたいと思います。  ラウンドテーブルにおきましては、パネリストからポジティブリスト制導入の取組に 対する意見ということで資料2というものをいただいているところでございます。たく さんの意見をいただいておりますが、こちらの方である程度項目別にくくらせていただ いて、これからは一応大きく4つのテーマで議論を進めていきたいと思います。  1つは1番目といたしまして、輸出国への働きかけみたいなものも含めて生産から消 費にわたる管理、フードチェーン全体にわたる管理というようなことになるかと思いま すが、こういったことについて議論したいと思います。  2番目といたしまして、農薬規制についての理解の促進についてということで議論を していきたいと思います。きょうはポジティブリストということですけれども、そもそ もの農薬の規制あり方ですとか基準がどうやって決まっているのかとか必ずしも広く理 解されていないのではないかというようなことがございます。  3つ目が畜水産物についてということでございます。ポジティブリスト制、ご存じの ようにいわゆる野菜とかへの農薬だけではなくて、畜水産物への動物用医薬品とか飼料 添加物とか入ってくるわけですが、割とどちらかというと農薬の方に目が行きがちなと ころがございますので、ここで一応畜水産物をテーマとして議論する時間を設けたいと 思います。  それから、4つ目が基準とか分析法についてということで、先ほども一律基準ですと か基準値、暫定基準の話、あと分析法の話とかデータについてなどがありましたけれど も、そういったことを議論したいと思います。  あと、5番目にその他ということで、これらの4つに入らなかったことを少し議論し ていく形にしたいと思います。  それではパネラーでのラウンドテーブルディスカッションに入りたいと思いますが、 まず生産から消費にわたる管理についてということで議論をしたいと思います。  パネラーの方からどなたか発言する方はいらっしゃいますでしょうか。  事前にいただいている意見ではフードチェーン全体でのマネジメントというのが重要 だというようなご意見とかがあったかと思いますけれども、どうでしょうか。  では前田様。 ○前田  先陣を切らせていただきます。  日本輸入食品安全推進協会運営委員をやらせていただいております前田でございま す。  私ども生活協同組合などのご意見もございますが、やはり一貫管理ということを1つ のキーワードにして海外から輸入する食品については管理していかないといけないだろ うということでここのところ取り組んでおります。  2002年12月、香港でありました中国の毒菜報道というのがございましたけれども、そ こから端を発しながら2002年、2003年、2004年といろいろと輸入食品にまつわる違反が 報道されてきたわけです。私ども輸入者としましては、やはり輸出国のパッカーと共同 しましていわゆる川上まで入り込む。つまり農地や養殖場や養鶏場まで入り込んで場所 の特定及びそこで働く農民等の組織化、また漁民への組織化及び使用薬剤の限定等々を 行いながら、また安全性の確認をするための検査体制の確立も含めまして安全な食品づ くりに各輸入者とも努力してきております。  しかしながら、なかなか足並みがそろわず、いろいろな問題が表面化しているという のも事実でありますが、今回のポジティブリスト制に移行するに際しては、先ほど来宮 川課長補佐から話がありましたけれども、十分コーデックス等々の基準を参考にされて 食のグローバル化における対応というのは十分意識されてきていると考えております が、私ども輸入しているところで農水産物の食料輸入を多く依存しているのは東南アジ ア諸国の部分でありまして、そちらの基準については今回の参考国とは異なる状況もご ざいます。そういったところは私ども現地に入りながら、十分日本のことを民間レベル でご説明しながら今回の対応をとっておりますが、やはり私ども民間だけではなかなか できない部分もございますので、この部分においては行政等々政府間の中でさらにお話 をしながら相手国の理解をとっていただかなければいけないのかなというふうに考えて おります。  やはり相手国、東南アジア等々では日本と気候風土、また植生等々も異なります。そ ういった中で相手国における薬剤等の使用基準ですとか残留基準には我が国と異なる部 分がどうしても出てくるということは理解をしながら、日本向け限定で生産させるよう に努力を我々としてもしてきております。しかしながら、食のグローバル化がこれだけ 進む中で水産物、畜産物なども海外に向けて日本だけが主導ではなくなってきているの も事実です。そうするとなかなか日本国限定で作物をつくったり生産をしていくという ことができなくなってきているというのもこれまた事実ではないかと思います。  したがって私どもの方は、今回のポジティブリスト制に移行するに当たって十分その 中身を理解しながら、民間レベルで各相手国との交渉をしながら安全な食品をお届けし ようかというふうに努力してきております。 ○司会  ありがとうございました。  では、ちょっと腰を折ってしまって恐縮ですが、伊藤様、よろしくお願いします。 ○伊藤  私はまず最初に、このように農薬についてポジティブリスト化ができたということに ついて、私ども全国の消費者と生協が一緒になって求めてきたことが実現したというこ とについてとても前進だというふうに思っておりますし、精力的にかかわっていただい ている方々に敬意を表したいとこういうふうに思うわけです。  私自身は専門家ではございませんので姿勢というようなことしか申し上げられないと 思うんですけれども、今ご発言がありましたように、こういう農薬のことについても結 局最終的には残留の問題だと思いますけれども、それが最終製品のところでクリアし た、クリアされないという問題だけではなくて、やはり最終届くまでのプロセスという ものがあるわけですから、そこにかかわるすべての人々がこの部分について適正な使用 とか、あるいはチェックとかというものをしていくということがこれからはとても大切 だし、そのことが最も経済的であるのかなというふうに思っている、これが第1点でご ざいます。  それから2つ目は、こういうふうな基準ができたとき、これは絶対あってはならない ことだけれども必ず基準違反ということは起こることなんです。起こったときにどうい う対応をするかというのが次の問題としてはとても大切なことだと思います。もちろん 違反ということは許されないわけですけれども、どういう原因で起こって、それはどう マネジメントしたらクリアできるのかということがやはり関係者の間で話し合われると いう、そういう姿勢といいますか全体的な方向性みたいなのを全員で築き上げていくと いうことがとても大事だと思います。  それからもう一つは、私どもが求めてきた部分でございますけれども、食品衛生法の 改正とか、それから食品安全基本法というふうなものの一番最初に目的とされている国 民の健康保護ということは、かかわるすべての人々がやはりこれは大事なんだと。そし てその中でいろいろ利害関係があるわけですけれども、やはり利害関係があるベースの ところは国民の健康保護なんだというところをいつも原点に立ち返りながら物事を考え ていくということが大切ではないかなと思います。  まず第1のテーマについては、私は以上でございます。 ○司会  はい、ありがとうございました。  生産から消費にわたるまでということであれば国外だけではなくて国内もということ だと思いますが、高野さん、いかがでしょうか。 ○高野  私どもは加工食品をつくる食品事業者の集まりであるわけでございます。食品事業者 が食品安全の確保の第一義的な責任を持つということはよくわかっておりますし、それ から原料、工程、こういったことをみずから責任を持って管理していくということが大 事だということはよくわかっております。  ただ、ここへ来て今まではかったことのない数の農薬の分析値があるかとかそういう ことを考えていきますと非常に難しい。まだまだ不安が私ども自身あることは確かであ ります。  私ども自身で各メーカーが自分の使っている原料は何なのか、どこの圃場でどうとれ ているのか、それをどう管理されているのかと見るのは一生懸命やりますけれども、そ れだけではどうも力及ばずというところが予測されます。したがって、先ほど宮川さん は農水省と厚労省は一生懸命一緒にやって一緒の法体系をつくっているから大丈夫だと おっしゃいましたけれども、国内においても各地方の出先機関や何かが皆さんがやっぱ り同じと思うので、農薬をどう使っているのかということも含めて監視し指導していた だきたいと思います。  それから輸入品につきましては、先ほどもお話ありましたけれども、WTO通報して 各国政府からこういう意見が来たよと、それで被害はないよというようなことではなく て、ぜ非意図も先ほど前田さんがおっしゃったように、各国の理解を得て各国が実質的 に日本にこういう農産品を出してはいけないんだということを理解して行動してくださ るように一緒になって連携をしていただきたいと、こういうふうに思っております。 ○司会  ありがとうございました。  玉川さん、どうぞ。 ○玉川  このようなポジティブリスト制に移行するというのは、ある意味では食の安全安心と いうふうな観点から非常に画期的なシステムだというふうなことで私ども非常に高く評 価しているところでございます。  その前提となります先ほどのスライドでも説明がありました使用法のところでござい ますけれども、農薬等の使用状況の問題でございます。これにつきましては、皆さんご 案内のとおり一昨年農薬取締法を改正いたしまして、農薬は定められた農作物あるいは 希釈倍数、使用量―散布量ですね。あるいは使用する時期、収穫前何日というふうにき ちんと法律に基づきまして定められておりまして、これらがもし守られないというふう なことになりますと、例えば監視という言葉は非常に厳しいんですが、3年以下の懲役 または100万円以下の罰金というふうな罰則までついてきちんとやるというふうなこと は、食の安全性から考えてある意味では当然のことというふうに理解しているわけでご ざいます。  私どもも農薬事業者として適正に使ってもらうということが、今お話ししました希釈 倍数あるいは散布量、散布時期、こういうものについては農薬の効果をより適正に発揮 してもらう、あるいは残留農薬の観点から、先ほどスライドで安全の天井の枠がありま して、作物の摂取量とそれに残留する残留基準というふうなものの掛け合わせで、それ のトータルを足したものが安全のバーを超えないというふうな説明がありましたけれど も、そういうものとから適正に使ってもらうということが非常に重要なわけでございま すので、私どもも農薬を適正に使って安全なものを生産していただくと。もう少しつけ 加えさせていただければ、資源的な観点あるいは地球環境的な観点からもこれが当然な ことだというふうなことで指導に今努めているわけでございます。  そういうことで、それらを踏まえてきっちり、言ってみれば、いろいろと申し上げま したけれども、農薬のラベルに使用方法が書いてあるわけでありまして、このラベルに 従ってきっちり使ってもらうというものは当然使用法を守ってもらうことでございます ので、ポジティブリスト制の残留基準をクリアできるとこういうふうなシステムになっ ておりますので、何にもましてまず農薬のラベルに従って適正に使ってもらうというこ とを第一に今指導しているというのが現状でございます。非意図つご理解を賜りたいと 思います。 ○司会  ありがとうございました。  ほかに何かご発言……。新谷さん、お願いします。 ○新谷  そしたら生産現場から、今先ほどおっしゃっていましたように農薬の使用に係る部分 についてはすべて今現在農家の方でもラベルに表示された部分で適正に使用されていま す。その反面、現在安全安心な取組として減農薬の取組であるとか、生産者は消費者の 皆さんに安全安心な農産物を提供していこうということでそういう取組がされていま す。  生産現場からは、当然農薬取締法上で守っていれば何ら残留するおそれもないんです けれども、今回のポジティブリスト制の導入に当たっては農薬の登録制度の中ですべて ADIの設定がされています。すべて科学的な評価がされている中なんですけれども、 今回基準の設定についてはどうしても科学的な評価が行われた上で設定していただきた いというように思いますし、また都市近郊農業では農地が少ない中で少量の品目をつく っておられる生産者の方がたくさんおられますし、そんな中で実際農薬の適正使用につ いても守っておられるわけですけれども、飛散等の問題とか非常に心配していますし、 そんな中で今回の基準設定についてはやはり科学的な評価を行った上で設定していただ きたいというような思いを持っております。  以上です。 ○司会  ありがとうございました。  ほかにはどなたかいらっしゃいますか。  清水さん、どうぞ。 ○清水  もう皆さんがお話になっているんですけれども、今回のポジティブリスト制というの は科学的に食品の安全を担保するということで非常に重要な制度と考えておりますし、 これが推進することをサポートしていきたいという立場で、私ども申しおくれましたが 動物薬の業界団体でございます。  ただ、一方で特に畜産物を考えますと、実際、牛肉は70%が現在輸入、豚肉では約50 %、鶏では30%という形でかなり海外からの輸入に頼っているところがございますの で、今回のポジティブリスト制がやはり海外でも十分理解されて、日本の今回の科学的 な背景というのが十分に理解されるようなコミュニケーションの方法、今回このような リスクコミュニケーションも非常に重要な場だと考えますが、そのようなコミュニケー ションをできるだけ行政の側もサポートをお願いしたいと思いますし、もちろん私ども 民間のレベルでもしていきたいと思っています。  それからもう1点は、やはり食品の安全というのは生産の現場からまず安全を担保す る、適正な使用というところからやはり始まると思いますので、今回のポジティブリス ト並びにその使用ということについて、ここに携わる私どもであれば農林水産省の先生 方と緊密な連絡の中でぜひ一連の食品の安全を確保するということが多くの方に理解さ れるように、今後ともいろいろな場をとらえてコミュニケーションの場をお願いしたい というふうに思っております。 ○司会  ありがとうございました。  それでは、農水省の姫田さんからもお願いいたします。 ○姫田情報官  今お話が出たので、まずやはり今皆さん方のお話の中で生産現場でチェックをという ことがありました。あるいはなかなか現物をチェックするということはかなりの労力と コストがかかります。ですから、その前に食品産業なんかではHACCPということ で、いろんな場合に重要な危ないところについてポイントポイントを押さえてきちっと した生産ができるようにみずからチェックしていく制度がございます。それと同じよう に、農業でも子牛農業ではGAB、グッド・アグリカルチュアル・プラクティス、家畜 の方では家畜の飼料管理基準ということでHACCPにちょっと準じたような形で、そ ういうポイントポイントをみずから生産者が押さえてきちっと飼料管理あるいは農業の 栽培をやっていけるようなシステムを今つくっていこうということで農協等々と協力し ながらやっているところでございます。  それから、トレーサビリティーという言葉をよくお聞きになっておられると思います が、いわゆるスーパーなんかでの店頭でぱっと見たら全部生産履歴がわかるというシス テムではなくて、本当のトレーサビリティーというのはもし何かあったときに追跡可能 な制度ということでございまして、これは農業者の方々が農薬をどういうふうに散布し たか、化学肥料をどういうふうにまいたか、あるいは家畜の飼料管理のときにどういう ふうに抗菌性物質を使ったかというようなことを書いて、それをどういうところに売っ たか、買ったところはどこから買ってどこに売ったか、そういうことが明確にわかるよ うなシステムをもし何かあったときにはつくっていこうではないかというシステムを今 厚生労働省と協力しながらやっているところでございます。 ○司会  ありがとうございました。  今回のポジティブリスト制というのは、そもそもこれまでの規制の中では基準の決ま っているもの以外は原則自由に流通していたものが、今回ある一定の量を超えたものを 原則禁止とした上で、基準値を設定したものについてはそれを認めるというような制度 に大きく180度転換しておりますので、本来もともとフードチェーン全体にわたる管理と いうのは重要なんですけれども、なお一層恐らくポジティブリスト制導入に当たっては 重要となるものということかと思います。これは関係機関と連携しながらぜひ頑張って いきたいというふうに考えているというようなところだと思います。  それでは、次の農薬の規制についての理解の促進というテーマに入りたいと思いま す。  こちらの方は伊藤さん、いかがでしょうか。 ○伊藤  この部分については、私は今回の規制についての理解、その以前の問題というのはや っぱりあるんではないかというふうに思っております。  先ほど参事官からお話があったように、不安なこととか問題だと思うことというのは 大体御三家の中に必ず農薬が入ってございます。その部分をしっかり解きほぐしておか ないと、今回ポジティブリストで前進だというふうなことを幾らお話ししてもなかなか 消費者に関して受け入れてもらえないのではないかなという感触を私は持っておりま す。  農薬というものがそもそも作物をつくる、あるいは動物用医薬品が動物を育てる上で どういう役目を果たすのかというようなことからお話をしていかないと、使わないにこ したことがないのねみたいなのがだんだん強くなって、もっと言えば、こういう表現を するとちょっと誤解を生むかもしれませんけれども、有機、特栽、一般栽培というふう に優劣がついていって、それがあたかも安全性の順位であるかのようなそういう認識と いうのが、一面正しいかもしれませんけれども、一般的にはそのように理解されている と。そういったところをどう解きほぐすのかということを、絶えずこういうふうなお知 らせをしながらもベースのところを常に一緒にやっていかないといけないと思うのが1 点でございます。  そのことを一体だれがやるのかというと、やはり情報をたくさん持っておられる方が アプローチしていくというのが一番いいことだと。しかもきょう出席を拝見すると、消 費者の方は13名だというふうな記録が出ておりますけれども、もしそういうことであれ ば消費者のたくさんいるところへ出向いていってそういう理解を深めていくというふう なこともこれからは考えられていいのかなというふうに私は思っております。  そういったことからすれば、やはり生産者の方も言うときには有機ですから安心なん ですみたいなそういう言い方というのはあえて言えばこれからはやめて、やはり環境負 荷とかそういった総合的な説明というのをこれからやっていかないと消費者の中の固定 概念というのはなかなか解きほぐせないのではないかというふうな、これからは農薬と うまくどうつき合っていくかというふうな視点というのをこれから入れていっていただ かないといけないというふうに思います。  以上です。 ○司会  ありがとうございました。  玉川さん、どうぞ。 ○玉川  今生協の伊藤さんのお話を聞きまして非常に力強く思ったんですけれども、実は私ど も一番頭の痛いところはそこなわけでございまして、なかなか農薬についてご理解いた だけないというのが実情であるわけでございます。逆にご理解いただけないということ は、私ども今辛くもご指摘がございましたように、いろいろお話し合いなり情報を適切 に皆さん方にお伝えしなかったというふうな面もあるんではないかというふうに今反省 しているわけでございます。  ポジティブリスト制で言えば、先ほどもスライドございましたADIの設定の問題あ るいは残留農薬という言葉そのもの、あるいは毒性評価の問題等々を含めまして、個別 の言葉そのものはもしかしてご理解賜っているかもしれないんですけれども、それらが 一連のつながりとして残留基準値、これがポジティブリスト制に集約してくるというこ の辺がなかなかご理解いただけないというのが実情ではないかというふうに思うわけで ございます。  先ほどご指摘ございましたように、これらのそれぞれの言葉そのものについても非意 図つ正確にご理解を賜りたいというふうなことで、私どもも今ご指摘ございましたよう に、一般の消費者に対して農薬の役割、働き、それから農薬がどういう形で農薬自身の 安全性を確保しているのか、あるいは我が国で使われる農薬というのは農薬取締法に基 づいての登録制度をとっているということを踏まえて皆さん方にお話し申し上げるとい うことで、ちょっと時間をいただきたいんですが、一般の消費者にお集まりいただいて こういう問題についてお話し合いをするということを東京で3回、地方になりますが福 岡県で1回ということで、消費者の皆さん方300人あるいは500人お集まりいただいて、 スライド等使いながらざっくばらんなお話し合いをさせていただいているということで ございます。  今後ともそういう形で農薬の働き、役割、農薬に対する発がん性あるいは先ほどござ いました細菌形成の問題等々を含めまして安全性の問題、あるいは環境に対する影響の 問題、そういう問題についてさらにご理解を賜るような努力を今後とも続けていきたい というふうに思っております。  当然でございますけれども、わかりやすいような資料といいましょうかリーフレット 等も作成し、目下そういう活動に邁進しているということでございます。何分にも私ど もの体制等もありますので、必ずしも十分ではございませんけれどもできる限りの努力 はさせていただきたいというふうに思っているところでございます。今後とも非意図つ よろしくお願いします。 ○司会  ありがとうございました。  では新谷さん、どうぞ。 ○新谷  何回も同じようなことになるんですけれども、生産者の方もやはり農薬を使いたくは ないんですね。確かに普通にできればいいんですけれども、近年の異常気象によって通 常発生しない病害虫がぼんと出てきたりとか、そういうふうな部分でやはり商品価値の ない農作物は売れないと。農業経営も圧迫するというようなことで、できる限り減農薬 に努めておりますし、またさらに栽培履歴の記帳であるとか、私も現場を確認したりす るんですけれども、やはりご年配の方が農作業を終わられてから一生懸命そういう履歴 を記帳しておられるというようなことで、非常に生産者の方も頑張って消費者の皆さん に安全な農産物を届けようというようなことで非常に農薬を減らしながら頑張っている ところです。そういう事情も踏まえて消費者の皆さんも農薬の正確な知識を私も得てほ しいなと。  また、既に勉強会をされているというようなことも今ありましたけれども、どんどん そういう広報活動とかも私も必要だと思います。 ○司会  ありがとうございました。  前田様からもお願いします。 ○前田  私ども輸入食品を扱うにおいては、例えば日本の市場における食品の規格というもの は非常に厳しいというのは皆さんご承知のとおりだと思います。例えば色ですとか形で すとか見栄えというものについて非常に厳しい目を向けられています。また、それは諸 外国について言えば非常に厳しい。なぜならば、日本はリンゴを1個100円で買います けれども諸外国ではリンゴは1kg幾らというようなキログラム単位で売られるというよ うなことがよくあります。したがって考え方自身が異なっていますので、過度に私ども も過去非常に色のいいもの、形のいいもの、そういったものを届けなければいけない、 またそうでなければ日本市場は受け入れられないというふうにお話をし続けてき過ぎた ということについては非常に反省をしなければいけない。そのためにある意味で一部過 度な薬剤の使用等々があったのかもしれないというふうに反省をしているところでござ います。  ただ、今後の食料事情とか、また資源の有効活用等をこれから考えていくと、養殖の 部分、また養鶏の部分を含めまして適正な薬剤の使用というのはある程度つき合ってい かなければいけないと思っております。その中で十分な管理をしていくべきことである んですけれども、そのような生産現場の苦労の中身ですとかその中における使用方法で あるとかというようなことは、やはり私どもが先ほどお話がありましたように消費者の 皆様方に十分ご説明する場を持たなければいけない。そのような情報は実は我々持ち合 わせているところであるけれども、なかなかお伝えし切れていないというのも本当のこ とだと思いますので、今後各団体等と皆さん今ご列席の方々とご協力しながら、またい ろいろな場をつくれればというふうに考える次第でございます。 ○司会  ありがとうございました。  高野さん、どうぞ。 ○高野  このプログラムの中で最初に生活協同組合連合会の伊藤さんからああいう発言が出て きてしまったと。ほとんど論議にならないというんですか、非常に科学的に判断してく ださるというありがたいことだなというふうに思います。  ただ、事農薬に関して、添加物もそうですけれども、世の中の受けている認識という のは大分違うんではないかと。安心というものを企業だとか国の責任にしてしまって論 議しているような、マスコミもそうですけれども、国民の多くがそういうふうになって いると思います。  今このポジティブリスト制を導入するということにおいて、余り浮ついてその部分を 抜きにして論議はできないというふうに思います。やっぱり今回のポジティブリスト制 というのはあくまでも科学的な根拠に従って国民の健康を守るんだということをベース にして法律の改正が行われたということについては、丁寧な広報が絶対必要です。ここ での論点はちょっと甘過ぎるんではないかなという気がいたします。 ○司会  ありがとうございました。  リスクコミュニケーションの観点からちょっと意見させていただきますと、一つは自 分でコントロールできないものとか子供とか子孫に影響が出るかもしれないものとかデ ータが少ないもの、理解できないもの、こういったものについては本来持っているリス クよりも受け取る側はみんな大きくリスクをとる傾向があるということがわかっており まして、例えば自動車なんかですと年間1万人ぐらいたしか死亡者が出ているかと思う んですか、一方で自分でコントロールできるかもしれないところとか、それからかなり 利便性が明らかになっていることもあって社会的には重用されていて、だれも自動車を 禁止しようというふうにはおっしゃらないんだと思うんです。  一つは、農薬は先ほどリスクを大きく見せる要因になっている部分というのに全部当 てはまるようなケースですので、多分皆さんが怖いと感じてしまうのはしようがないの かなと。社会的な性質としてはもともと怖いと思われる性質のものになってしまうのか なということは、多分コミュニケーションの観点からは一つあるのかなというのがあり ます。  あと、農薬の歴史というものも一つあるんだと思うんですが、過去に幾つか農薬で問 題になった事例というのが恐らく皆様どこか頭の片隅とかにあって、やっぱり何か問題 があったでしょうとかいうことだと思うんです。  ただ、そのときは今みたいな規制というのは多分なされていなかったんだと思うんで す。最初は農薬といっても、これは玉川さんの方が詳しいかと思うんですけれども、昔 から灰をまくとかそういうようなことから始まっていって、だれもまいたものに毒性が あるとかそういうものはわからなかったとか、そういう時代からだんだんいろいろな経 験を積み重ねていって、やはり毒性試験が必要だとか、それから環境中にも残留するか もしれないとか、いろいろなことがわかって今の多分規制ができてきているので、恐ら く昔の時点での農薬の危険性と今の時点での農薬の危険性は多分違うと思うんです。そ の辺何か少しお話しいただけるとと思うんです。  あと、林先生、リスクという観点では、毒性評価をしてADIというのを決めており ますので、ADIを超えないように今基準値で規制をしているということからすると、 残っていないということについては残っていない方がいいかもしれませんし、私も決し て農薬の使用量をなるべく少なくしようとか環境への影響なんかも考えると減らそうと いう努力は重要だと思うんですけれども、かといって全く残っていないものがいいんだ というのも多分極論だと思うんで、そこは基準値以内であればリスクというのはどのく らい違うものなのか、ちょっと専門家のお立場から。 ○林  今のご質問に直接回答になるかどうかわかりませんけれども、実は先ほど伊藤先生が おっしゃったことで、伊藤先生がすべてをおっしゃったと言うんですけれども、伊藤先 生は非常に遠慮しておっしゃっているんです。実際問題として伊藤先生のお話を基盤に してもっと膨らませてほしいというようなことが私はあったのではないかと思うんで す。そういうことで私も少し伊藤先生の側から追加させていただきたいと。  私自身はポジティブリスト制の導入も非常に期待しております。果樹園というような 立場から見ますとこれは非常にありがたいことなんですね。また、ポジティブリスト制 の理解を深めるための厚労省の動きも私は高く評価しています。  ただ、きょうの宮川課長補佐のお話、非常によくわかるんですけれども、この中でど うもクリアでない点が2カ所あるんです。実はそこが今伊藤先生のおっしゃっているこ とと、それから先ほど先生がおっしゃったことと通じるんだと思うんです。  それは、一つは不検出ということの取り扱いの問題が余りはっきり説明がないんで す。不検出ということが余り説明がないということが、例えばFDAから考えますと 1960年代の初めのころの獣医薬の問題から発しているんですけれども、不検出というも のをどう扱うかということで10年間議論を尽くしているんです。それから、これをその まま言ってしまうとMDということが定着してしまって、これが日本人の消費者は非常 にゼロリスク指向になっているということの基盤になっていると思うんです。だから、 日本人がゼロリスク指向になっているというのは実際にはゼロリスクでなければいけな いような教育をされてしまっているという感じを受けるんですね。  もう一つが、これも先ほどの宮川課長補佐のご説明は非常によくわかったんですけれ ども、一律基準設定の考え方ということです。これはスライドの19番です。この中で許 容される暴露量の閾値について1.5マイクログラム/kg/dayということですけれども、 これを目安とすることには一定の合理性があると考えると。この「合理性があると考え る」ということについて、例えばFDAは15年以上審議を尽くしているんですね。とこ ろが、これが2行で済んでいるとしますと審議をしないでそのまま受け入れてしまって いるということになるので、これが先ほど伊藤先生がおっしゃった非常にベースに戻っ て考えなければいけないと。  それで、特にポジティブリスト制についてベースに戻って考えなければいけないとい う点の2つ、1つが1.5マイクログラム/kg/dayを目安とするということの一定合理 性、この合理性とは何かという問題。それからもう1つは不検出とは何かということで すね。不検出ということは、分析科学から言えばこういうことはあり得ないことなの で、これをどう対応するかということ、この2つがやはり私は厚労省あるいは農水を含 めて、我々消費者も含めて議論する、合意に導くような一つの話し合いの場を持ってい ただきたいなと、そう思っております。 ○司会  はい、ありがとうございます。  宮川さん、何かご意見ありますか。 ○宮川課長補佐  確かにその部分というのはあるんですね。不検出というのは、私どものスライドを見 ていただいてもわかりますが、スライドの26番です。ですからこれは難しい話であるん だと思います。遺伝毒性を有する発がん性物質がある場合にどのぐらいなら許容できる のか、これは確かに10何年議論する話なのかもしれないです。安全委員会もできました し、本当言うと科学の世界でどういうリスクがあってどういうふうにそれを受けられる のかというのを議論していただかないと多分終わらないんだと思います。  私どもそういう意味では、分析技術として見つからないレベルというのは行政側の管 理措置としては一定の合理性があるのかなと思いますけれども、遺伝毒性、発がん性が あるという場合にそれをどうであれば許容できるのか、どうするものであれば許容する ものかというのは、これは多分本当にこういう機会とは別のというか、もう少し科学的 な場でよく議論していただいて、私もぜひ答えを知りたいなと思います。 ○司会  ありがとうございました。  もう一つの一律基準の方も長い議論の中でこういうことになってきているという背景 もあるということだと思うんですが、あと、それとすみません、話を突然変えてしまい ますけれども、パネラーの方は余り明確にはおっしゃらなかったんですけれども、恐ら く事業者の方がおっしゃりたいというか、なかなか余りおっしゃれないことなのかもし れないですが、基準値を超えたものというのは一体どういう意味があるのかというのが やはり正確にまだ皆さんに伝わっていないのかなというふうに思います。  先ほど宮川補佐の方からプレゼンで説明がありましたけれども、ADIを超えないよ うに管理措置として基準値を決めて監視をしていくということで安全が担保されている ので、恐らく個々の基準値が超えることが健康影響に直接つながるのではなくて、超え た農産物を通じて摂取するある特定の農薬がADI超えるかどうか、超えてしまったと きにやはり健康影響の可能性があるということだと思うんです。  一般の皆様、うちの奥さんとかもそうなんですけれども、基準値を超えたら怖いんで しょう、危ないんでしょうと多分思っていると思うんですが、その辺パネラーの方から ぜひご発言いただける方いらっしゃいますか。なかなか難しいですか。  宮川さん、お願いします。 ○宮川課長補佐  私のスライドの中で十分説明をしなかったかもしれないですが、資料1の2ページ目 の下のスライド4を見ていただけるといいと思います。  ADIという安全レベルがあって、それでお米からの摂取量、大根からの摂取量、ミ カンからの摂取量というのがそれぞれ書かれているわけですから、トータルとしてAD Iの範囲におさまるようにちゃんとしているということです。だから、例えばお米の基 準値が超えていたからといってそれだけをもって全体のADIを超える事態になり得る のかというと、それは量の問題がありますけれども、普通に考えればそういうものでは ない。さらに言うと、例えば実際にマーケットバスケット調査といって摂取量調査を厚 生労働省はずっとやっているんですが、資料1の21ページの上の方に41番のスライドが 載っております。これを見ていただくとわかるかと思いますが、実際に食事からとられ る農薬の量というのはADIというレベルから比較をしても極めて低いレベルにおさま っていると。だから基準値違反というのは、直ちにそれが1つのお米を見てそれを食べ たから何か健康障害が生じるというものではないというのが一つのメッセージとしてあ るべきだなと思います。  ただ、それはもう一つ言うともう少し難しくて、違反があるということは逆に言った ら適正な使用が十分行われていないんではないかなというそういう調査でもあるわけで すので、その範囲がどのくらいあるのかというのがわからないとなかなか説得するのは 難しいのかなと。つまり、違反が1個見つかったら同じ違反がどれぐらい確率としてあ り得るのか。例えばさっきのシペルメトリンの話ではないですけれども、違反が300件 もあるとかというとそれが具体的にどういう問題になるんだろうというところもありま すから、余り軽々に何も問題ありませんよと言うつもりも僕らはなくて、それは対応と すれば生産者の方、輸出国での農薬の管理の仕方を適正に改めていただくためにいろん な努力をしていただくための一つのシグナルではないかなというふうに思います。 ○司会  ありがとうございました。  姫田さん。 ○姫田情報官  消費者情報官ということで消費者の保護ということなんですけれども、一つは、まず 農薬の問題について言うと、消費者のことだけではなくてまず農業者のことを考えてい ただきたいと思います。というのは、まず説明のときに農業者が受ける場合は急性毒性 の話なんです。それはいわゆる基準値を超えるとかなり危ない話があると思います。  ところが慢性毒性の場合、要するに消費者が受ける慢性毒性の話と今の宮川さんから 説明された話、もうちょっと突っ込んで説明していただきたいんですけれども、パワー ポイントの4ページなんですけれども、米における残留農薬レベルの推定値が米の基準 値案ということになっておりますね。要するにそれぞれのTMDIを計算されるときに 厚生労働省でされているのはそれぞれの基準値案を入れて計算されているので、それぞ れの農産物が基準値のぎりぎりのところまで来て出荷されているというわけではないわ けで、通常はそれよりもかなり下回る値で出ているということでございますので、1つ の農産物の農薬が残留基準を超えていても、それはいわゆる慢性毒性という意味では大 きな被害はないと考えていただきたいと思うんです。  ただ、さはありながら、ではそのとき基準値違反をしたらどうかというのは、最初に 伊藤さんがおっしゃっているようにどういう原因でどうなったのかというマネジメント をしっかりと調べていく必要があるということで、まず消費者の方が基準値を超したか らといって大騒動される必要はないけれども、生産者は基準値を超えたからといって大 騒動する必要があるだろうと思っております。 ○司会  林先生、どうぞ。 ○林  ADI、1日許容摂取量を超えた場合にどうなるかということは消費者は非常に大き な関心を持っていると思うんですね。これは大丈夫だと言っても、やはりそれの後づけ が欲しいわけです。  そういう意味で、これについても例えばJECFAでは1回の大きな会議でこれを討 議しているんですね。議論しているわけです。ですから、これは多分シペルメトリンの 問題も絡んでいるのかもしれませんですけれども、やはり厚労省あるいは農水省でもこ の問題を取り上げて、大丈夫だということをはっきりと示していただくようなことが大 事ではないかと思うんです。  ちょうど今から数年前に残留量の精密評価をしたということ、これは中垣課長がやら れたわけですけれども、これは非常に大きな安心感を抱かせている一つのベースになっ ているということで、そういうようなことも今回もう一度やっていただければと私は思 っております。 ○司会  ありがとうございました。  伊藤さん、どうぞ。 ○伊藤  今ありましたが、大体基準違反で新聞に載りますと役所の答えは「直ちに健康被害は ない」というのが読まなくてもわかってしまっているんですね。やはりそこのところが もう一工夫必要なのかなということと、例えばきょうマスコミの方は全然ここにご出席 ではないんですけれども、やはりそういう方も一緒にやっていかないと、なかなか皆さ んと一緒に正しい情報を共有化するというのは難しいのかなと思います。  もう一つ、先ほどリスクコミュニケーションで見えないものはというふうなことを言 われたんですが、私もう一つつけ加えたいのは、この農薬の問題と食品添加物の問題が 常に不安の上位を占める理由というのは、単にそこだけではなくて、見えないんだった らまだほかにあるわけです。重金属とかいろいろあるんですが、それはやはり消費者運 動の一つのたどってきた過程というのがあるのかなと。  やはり高度成長のときにさまざまな食品被害というのが現に起こったし、農薬の被害 も起こったし、私が小さいときには何か赤い旗が立っていたら海で泳いではいかんと。 何か農薬が流れているからと、それは鮮明に覚えているんです。歳がわかりますが、そ ういったことを考えると、そういうバックグラウンドで消費者運動が起こってきたと。 それを消費者運動を継ぐ人といいますか、新しい世代の人にやはりそれは必ず注入され ているわけです。ですから、科学的にやらないといけないのと同時にそういう主観的な ものがどこから生まれたのかということを常に頭に置きながらトータルにやっていかな いと、なかなか共有化というかうまいコミュニケーションというのはできないのかなと いうふうに思います。  それともう一つ、誤解をちょっと防いでおかないといけないので、先ほど私、有機、 特栽、一般というふうに申し上げましたけれども、私の基本的な考え方は、どれが悪い というのではなくて、プロセス自身に価値があって、それをいろんな選択肢がある中か ら消費者が選択すればいいわけで、ただそのときの情報は安全のレベルではないという ことを全員で協力しないといけない、そういうことでございます。  ちょっと誤解が生じるといけないので補足させていただきました。 ○司会  ありがとうございました。  ほかにはよろしいでしょうか。  それでは、知識の普及の部分についてはこのぐらいとさせていただきたいと思いま す。  多分生産者の方とか事業者の方一番懸念されているのは、ある基準値違反が出たとき にやはり皆さんがそれは危ないんだというふうに直ちに、要するに健康上被害があると 思われるんだと多分思うんですけれども、実際健康上被害がないレベルというのもある かもしれないけれども、大抵健康被害があるというふうに思われてしまって、多分回収 とか皆さんされるのは嫌だというふうなことをおっしゃっているわけではないと思うん ですけれども、そういう事例が頻発することによって何か非常に食品が危ないんではな いかという印象が広がってしまうということを多分ご懸念されているんではないかとい うような、私の印象としてはそんな感じでございます。  玉川さん、どうぞ。 ○玉川  ちょっと過ぎてしまって申しわけないですけれども、今のところ結局私どもも消費者 の皆さん方といろいろお話し合いをすると、消費者の皆さん方が農薬について何が一番 怖いんだというと発がん性があるんではないかとこう言うんです。その原因は何なんだ というと残留農薬だと言うんです。ですから今、伊藤先生を初め林先生もおっしゃるよ うに、発がんということに関してと残留農薬ということのつながり、ここのところをし っかり正確にご理解いただくということが必要なんではないかと。それを説明する手段 としてやはり残留基準値というのが非常に大切な要素なのかなというふうに思っており ますので、時間がありませんで細かい話は抜きますけれども、そういう観点からもやっ ぱりきっちり残留基準値を定めてやっていく意味というものを明確に皆さん方にご理解 いただくということが必要なんではないかなというふうに思っております。 ○司会  ありがとうございました。  それでは、どちらかというと農薬に話が集中してきましたので、今度は畜水産物とい うことで特出しで議論させていただきたいと思います。  農薬とかですとどちらかというと生産現場で使われて、畜水産物も同じなんですけれ ども、例えば飼料添加物だとか、動物用医薬品なんかについては治療というようなかな り管理された中で使われていると思います。そういったところもあって若干その違いは あるのかなという気はしているところです。  畜水産物のところでご意見いただけますでしょうか。  清水さん、お願いします。 ○清水  今回、表題にもありますように食品中に残留する農薬等のという形で農薬が一番頭に ありますので、どうも畜産用あるいは動物用医薬品というのは影に隠れている形が多い かと思いますが、その中で少し意見を述べさせていただきたいというふうに思います。  やはり植物と動物というのは生理的にも違いまして、動物の場合には薬剤を経口摂取 あるいは注射等で体内に入っていくわけですけれども、ああいった中でこの後は当然腎 臓、肝臓あるいはほかの臓器も含めまして代謝、排せつされていくわけです。そこがま ず植物あるいは農薬とは随分違うというところがまず1点あるということをご理解いた だいたいというふうに思います。  そういう中で現在基準値を設定する場合には、マーケットバスケットの考え方が入っ てまいりますと、主要臓器あるいは組織、筋肉、すなわち主要臓器というのは筋肉、脂 肪、肝臓、腎臓とこういうところで基準設定あるいは残留規制をしていただきたいとい うふうに考えているわけです。  基本的には、その前の生産の段階でも主要臓器における残留というのをもとに休薬期 間というものが設定されてまいりますので、それに基づいて今回の基準値を決定してい ただきたいという形で考えています。  そうしますと、日本の場合にはそれ以外にも例えば鶏であればハツも食べるじゃない かとか、あるいは筋肉も食べるじゃないかとか、いわゆるほかの腸管等も牛、豚とかは 食べるという形で、ほかはどうなるのかということになりますけれども、基本的には先 ほど申し上げました主要な臓器の摂取量から比べますとかなり低い摂取量と考えられま すので、主要な臓器あるいは組織の暫定値を要する形で食品中あるいは食肉中、臓器中 の安全性というのは担保ができるんではないかというふうに考えております。 ○司会  ありがとうございました。  ほかにはいかがでしょうか。  どうぞ、諏訪さん。 ○諏訪  今畜産関係のお話だったと思うんですが、私の方からは水産食品についてのことをち ょっとお話ししたいと思います。  魚や貝やエビを海外から輸入する量というのは非常に多いわけなんですが、これらは 今回のポジティブリスト化によりまして海外で日本とは違う基準の中で管理されてい る。場合によっては管理が本当にあるかわからないというような中から購入したり輸入 したりしてきているわけです。そういう中で2年か3年ぐらい前から中国の輸入品に農 薬が多いとか抗生物質が発見されたとか違反事例がちょこちょこ出だしまして、ポジテ ィブリスト化とは別個にそれぞれ業界の中では対処を進めてきております。  例えばウナギのかば焼きなんかは白焼きで入ったり製品で入ったりしていますが、中 国から入ったものについてはピンからキリまでの管理がされております。皆さんご承知 のとおりエンロフロキサキシンという抗生物質で1回とまったりまた解除されたりとい うのを繰り返しておったんですが、これにつきましてもかなり、中国政府もそうなんで すが、購入する日本側も中国側でどこで養殖をされているか、その養殖業者を生産、加 工する工場がどういう基準のもとでどのように選択して、何を使ってえさは何で、抗生 物質を使っているのか使っていないのかをチェックしながら輸入をすると。そういう日 本が買うときには加工場と契約し、契約する加工場は周りに散らばっている養殖場でど ういう管理をしているかというのをチェックしながらやっています。  具体的に少しあれですが、例えば養殖場である程度飼育月報のようなものをずっとチ ェックしていて、例えばウナギがあるサイズになって出荷できますと。そのときにはま ずサンプリングという形で工場の方に幾つか持ってきて、そこで使われている抗生物質 があればそれについて調べる。その近くで例えば川から水を引いていれば、その川から ほかの養殖場の水から入ってくるものもあるでしょうから、可能性のわかる中で幾つか の抗生物質を検査する。まず原料のサンプリングから開始するわけです。  次に、それでオーケーだと工場に原料を例えば1tとか2tとか入ったときにもう1 回検査します。そのときに問題がないということがわかると、今度はかば焼きまでして 製品になった段階で輸出のための検査をまたします。中国サイドで3回やるわけです。 抗生物質を中心にそういう形でやって、今度日本に入ってきたときに輸入の段階でもう 1回やると。合計4回程度やって、かなりの手数と手間とをかけています。そういう業 者さんと、それから一部手抜きをする業者さんとが並行してしまっているというような ところがあると思うんです。それをいかに今説明されたようなさらに管理をやるような ことを徹底できるかどうかということになってくると思います。  今回ポジティブリストについて、もちろんエビにしろウナギにしろサケにしろ抗生物 質は一番目玉なんですが、ただ、養殖のものとなりますとえさを食わせます。それから 水を使うために、養殖場の周りに畑があれば、流れてきた水を引き入れれば農薬が入っ てくる可能性があります。そうすると、今回ポジティブリスト化によって農薬の方も気 にしなければならないという状況になってきたわけです。  したがいまして、我々今までは抗生物質とか抗菌剤にだけ目を向けていたのをこれは まずいぞと。そこら辺でやっている農業でどんな農薬を使っているんだと。場合によっ ては670ほどあるうちのどのレベルまで検査を加えていかなければいけないんだという のが今の悩みになっております。  ちなみに例えば中国を例にとれば、エビの養殖場、その周りはかなり川で薄まった海 水を使ったりしているわけで、そういうところに農薬はどうだという検査を実際にして みました。670全部はできなかったんですが、エビについてもウナギについても日本に 入れる80項目ぐらいのやつを一括分析してみたんですが、まだサンプルの数は少ないん ですが、とりあえず基準をオーバーすることはないという状況で少しほっとしているん ですが、ただ、まだ80です。670引く80ですから、あと590について今後どうやっていく 部分があって、お金もかかりますし毎回毎回全部はやれないし、こういう部分について の考え方の整理というのが水産系の一つの悩みになっていると、こんなことでございま す。 ○司会  ありがとうございました。  あと竹延さんからもお願いします。 ○竹延  日本養豚事業協同組合の理事をやっております竹延ですけど、やっと発言させていた だくことになりました。  まず、ポジティブリスト制導入に関しては私は好ましいことだなと思っております。  それで、まず私どもも最近厚生労働省によってと畜場法改正とかそういうことによっ て、例えば出荷前2カ月間に治療履歴がありますかとかそういうような形の中で、かな り以前と比べて豚に対しての治療履歴とか薬品の使用履歴というのは管理しなければや っていけなくなっています。  ただ、一つ言えることは、私ども豚を飼うということは農林水産省の管轄でと畜場と いうのは厚生労働省の管轄で、例えば私ども豚で使う薬品でしたら2週間の休薬期間が あるもの、1日の休薬期間があるもの、そういうものがあって、私ども今までは農林水 産省に従っていればいいなというようなことの中で、出荷間際の豚でしたら休薬期間1 日のものを使用しようとか、これはまだ30日とか、小さい赤ちゃんに近いものでしたら 2週間でも3週間でも休薬していいものを使っていこうとかそういうことで使い分けを しておったんですけれども、と畜場法が2カ月前以降の履歴を出せというようなことに なってきていますので、そのあたりの使う選択薬というのはかなり変わってきていま す。  何を言いたいかといいますと、我々の豚を飼うということに対してと畜場というのは 厚生労働省の担当、それまでの豚を飼うというのは農林水産省の担当ということで、ポ ジティブリストをつくる中で両者が密接に連携をしていただかないとなかなか我々戸惑 ってしまうということもあります。  例えば皆さん子供を育てるということを考えていただきました場合に、豚の場合には 大体180日から200日が出荷日齢なんです。やっぱり人間の赤ちゃんも例えば5歳から6 歳ぐらいまではいっぱい病気にかかると思うんですけれども、豚の場合も大きくなって からそんなに病気にかかることはないので、やっぱり生まれてからちょっと下痢をして みたりとか、大体50日、60日ぐらいまでが病気にかかる一番大きなピークでして、そし たらそこからでしたら実際に出荷までというのは130日、140日たつことがあります。や はり薬品の残留ということを考えた場合には、そのあたり例えば50日とか60日には少し 薬を使ってもいいとか、少し多い量を使っても例えば残留がないとかそのあたりのこと も考えていただかないと、やはりこれは最終的には生産コストにはね返ってくることで すし、消費者の流通価格が高くなることにつながるなとそう思っております。  もう一つ、残留ということに関しては、我々は輸入生産物のポジティブリストによる と同じように扱われるということは大賛成ですので、生産段階での我々の取り組みとい うのは日本の場合でしたら厚生労働省と農林水産省との連携というのは我々も密にして いただきたいですし、我々もそれに従って飼っていきたいですけれども、今度は輸入畜 産物、それがどういうふうに本当に飼われたりとか、また薬が本当に一致しているのか どうか、そのあたりのチェックの方もお願いしたいなと。  以上です。 ○司会  ありがとうございました。  国側的にも現地でどういうものが使われているのかとか情報を集めるのはかなり可能 性としてはできるんだと思いますけれども、その国でどういうつくり方をするのかのと ころを国としての考え方もあるので、日本に少なくとも輸出してもらうのはこういうも のが欲しいというようなことはお伝えできるんだと思いますが、こういうふうにつくっ てくださいという指導を直接するというのはなかなか難しいかなという感じはします。  ご要望としては、やはり生産から消費まで管理するのが重要なので、そういうことを きちんとやっていただきたいということなのかなと思いました。  ほかにパネラーの方で。  前田さん、どうぞ。 ○前田  今のお話に関連しまして水産物の方で少しお話をさせていただきたいと思います。  やはり一部を除き日本の事業者が直接海外で農場や養鶏場、また養殖場というものを 経営しているというのはまれなケースでありまして、現状、末端の生産現場においては やはり契約等を担保にしながら相手国の皆様と仕事をさせていただいているというのが 事実でございます。  その中で、我々輸入者としてはやはり現場に出向きながら川上の管理を徹底していく ということについての指導、監視というのが責務かと思っておりますし、そのように努 力されている輸入者様もたくさんいらっしゃる。また、それがちょっと抜けてしまう輸 入者様もいらっしゃるのも事実でございます。  ただし、世の中の水産物の漁獲というのはもはや養殖水産物の方が天然物の漁獲量を 超えているのも事実でございまして、水産物の供給をさせていただくに当たっては養殖 水産物を抜きに語ることがもはやできなくなってきております。その中でやはり消費者 の皆様に一番ご不安なのは、どうやって飼育されているんでしょうかとかどのようにつ くられているんでしょうかということが皆様やはり海外になればなおさら見えなくなっ てきているところであろうかと思いますので、そういったところは私どもの責務として これからいろいろと情報をして、このように管理しています、先ほど大日本水産会の諏 訪さんの方からもお話がありましたけれども、これだけ気を遣って仕事をしていますよ というようなことをやはり皆様にお話ししながらコミュニケーションをさらに図ってい かなければいけないのかというふうに感じております。 ○司会  ありがとうございました。  近藤専門官、どうぞ。 ○近藤専門官  私は動物用医薬品を担当しておりますので、今いただきましたコメントについて若干 私の方の意見をお話しさせていただければというふうに思います。  今の各先生方の発言にもあったのですけれども、動物医薬品と言われているものにつ きましては休薬期間と言われているものがございます。これは、適正に使用した場合に 体内に残留する動物医薬品等につきまして、これが農林水産省さんの方で決めておりま す残留の基準というのがありますので、その基準を下回るように時間をとると。こうい うものが一般的に休薬期間と呼ばれているものでございます。  ですので、このような適正な休薬期間を守るという点につきましては農薬で言えばG AP、動物薬で言えばこれはGVPと言われる部分ではないかと思います。Vというの はベジナリードラッグ、いわゆる動物医薬品と言われているものでございますが、やは り農薬の場合と同様に動物医薬品につきましても当然ながら適正な使用が必要なのだろ うと。それに基づいた上で適正な基準があるんだという点については農薬と何ら変わる ものではないと。  そしてまた、お話にありましたが、動物薬の場合には投与した場合に体内で代謝をさ れると。つまり体内に分布するということが起こります。ですので、このような点を踏 まえて今後とも我々は基準の策定というものについて向き合っていかなければいけない のであろうと思います。  また、魚の関係につきましては、養殖水等に関しましていろいろと環境の管理も大変 であるということでございます。環境の管理等については、これもGAPの一環であ り、そしてまたGVPの一環でもあろうというふう思っております。やはり適正な環境 の中で適正に薬を使って育てていく。使用する場合においても多分使いたくて使ってい るということは少ないんだろうと思います。やはり使わなければいけない時期に使わな ければいけない量を使わなければいけない回数を使って、それで経済動物たる魚やまた は動物をつくっているという状況がありますので、そのような管理の一環の中でこれは ポジティブリストが始まるからというわけではなく、そもそものあり方としてやはり底 辺からしっかりと管理をしていただくということがこの問題に取り組む1つの方法なん だろうというふうに思っております。  また、豚の関係でございますが、こちらにつきましては特に50日から60日といういわ ゆる子豚については病気にかかりやすいということがありますので、人間がそうである ように病気にかかったものに対しては適正な量、適正な回数、そして適正な薬剤を使っ ていくということは経済動物をつくる上ではやむを得ない行為であるというふうに思っ ております。  ただ、それを厳密に適正に管理をしていただく。そしてその記録をしっかりと残して いただく。そして何かあったときにはさかのぼりがしっかりできるようにしておくとい うことに現実に努めていただくことが、実は一番安心等を確保していく一つのプロセス なんだろうというふうに感じているところでございます。 ○司会  ありがとうございました。  ほかに。  伊藤さん、どうぞ。 ○伊藤  質問といいますか確認なんですけれども、今お話があったように動物用医薬品という のを適正に使用していれば、抗生物質に限って言えば、ここのパワーポイントでありま したように規定されたものを除けば適正な使用をしていれば抗生物質は残らないと、こ ういうふうに理解してよろしいんでしょうか。 ○司会  近藤さん。 ○近藤専門官  はい、そのようでございます。 ○司会  清水さん、どうぞお願いします。 ○清水  少し観点が変わってしまうかもわからないんですけれども、今回のポジティブリスト で一定量以上、人の健康を損なうことがないようなレベル以下にしなさいという形にな るわけですけれども、やはりその前にどのように消費者の方々に安全ということを理解 していただくかということは畜水産物についても同じだろうと思うんですね。その際 に、先ほど子豚の例がありましたけれども、やはり動物が本当に健康に育つということ は一番少ないえさの量であるとか基本的には一番経済的に育つことができると。基本的 に適切に薬剤を使って病気をコントロールする、あるいは治療をするということによっ て健康な動物が育つということは、消費者にとっても残留以外の例えばほかの細菌であ るとかそういうものの汚染も少なくて済むというポイントも一つあると思います。  ですから、適切に使うということ、それからやはり今回の基準値が設定された後に使 うリスクと、今回使うリスクということですけれども使わないリスクというのもあると 思うんです。私たちも風邪を引いたら全然薬を飲まないで本当にひどくなるまで待って いていいのかというのも、皆さんの実態を考えても違うんだろうと思うんです。  これについては、やはり私どもの例えば動物薬のメーカーであるとかあるいはフード チェーンにかかわる皆様がよく理解をしていただいて、そして先ほど伊藤先生の方も環 境への負荷というお話もございましたけれども、やはり今例えば動物用医薬品を適切に 使うことによってえさの量が必要最小限で済むとか、あるいは最近京都議定書もありま したけれども、牛がメタンの排出を結構するんです。これをかなり抑えてえさの量も少 なくするというもの、そういうプラスの面もあるんですね。ですから、その両方を見て バランスを考えて、やはり環境をも含めた全体で何がいいかということが次のステップ としては重要になるかと思いますし、そういう中での使うリスク、使わないリスクの両 面のコミュニケーションというものについても私どもも努力をしていきたいと思います し、皆さんのご理解もぜひいただきたいというふうに思います。 ○司会  ありがとうございました。  宮川補佐。 ○宮川課長補佐  1件、竹延さんからのご発言の中にあった厚労省と農水省の連携みたいなお話で、と 畜場法で2カ月前の履歴をと。これ、薬剤の使用履歴を出してほしいというのは実は厚 労省と農水省がより連携を図ろうというためにやっています。別にと畜場の検査員の人 が、使っていたのに対してそれがいけない、いけなくないとかいう判断をするためでは なくて、要するに正しく使われたかどうかという部分を確認する、つまり残留している ものについて実際に検査をするための参考のためにそういうもの出してもらっている、 そういう観点だというふうに理解をしてもらったらいいと思います。  ですから、と畜場の方の人が単にそれを使ってはだめですよと言うために使用履歴を 出しなさいと言っておられるように受け取られているのであれば、それはちょっと残念 な部分なのかなというふうに思います。  私どものと畜場で食肉の検査をする人間が食品衛生という観点でも大事なことである ので、残留物質のモニタリングを行っているわけですので、そのための情報の提供をお 願いしています。そういう意味では規制が強化されているし、生産者の方にとってみれ ば負荷の多いことかもしれませんけれども、そういう観点で行われているというふうに 理解をしていただけるといいのかなと思います。 ○司会  どうぞ。 ○竹延  ちょっと本題からそれて申しわけないですが一言だけ、せっかくの機会ですから。  私、仮にですけど50日前に休薬期間1日の薬を打っても、これはと畜場に報告しなけ ればいけなくなったということを申し上げているんであって、その場合にどうしないと いけないかというと、出荷のときでもわかるぐらいのタグを両耳につけてそれを報告し ないといけないということですから、1頭当たり恐らく数百円のコストがかかり出しま したと。  今現在は、当分の間はわからなかったら不明でもいいですということがあったんです けれども、これは当分の間ということで、いずれこれはきちっとした適用がされるのは 目に見えているなと。その場合に休薬期間が1日のものでも記録をしないといけないと いうことになりますんで、そのあたりは我々は今まで農水省の指導の中から休薬期間と いうのは適正に守りなさいよということを聞いていたんですけれども、突然そういう我 々が認識していなかったような義務が生じたということにおいて、それは我々コストア ップになりますよと。コストアップでもやりなさいよということであります。  そうなってくると、今先ほど伊藤さんの方から休薬期間を守れば抗生物質の残留はな いですかということをお答えされたことと矛盾ではないのかなと。抗生物質が残留しな いのに2カ月も前からそういうものをタグを打つことによってコストアップして、それ は最終的に消費者もしくは今度は輸入肉はそういう必要性というのがなければ、そちら の方が有利に働いてというんですか、厚生労働省さんは恐らく肉に対してのポジティブ リストによって違反か違反じゃないかということを判断されているのに、抗生物質の飼 い方のところまで具体的に、休薬期間を守ったらいい以上のことまでも我々に要求され ているので、少し行き過ぎではないのかなと私思っただけです。 ○司会  中垣課長、お願いします。 ○中垣課長  どうもありがとうございました。  おっしゃっておられる話というのは、いわゆるポジティブリストを導入するかどうか にかかわりなく恐らくと畜場がそのような動きをしているんだろうと思います。何も責 任を逃れるわけではございませんが、その点をちょっと調べさせていただいてまた別途 お答えをさせていただきたいと思います。  ただ、今回のポジティブリストへの導入というのは、原則自由の世界を原則禁止の世 界に変えるという一大変革であるのは間違いないんだろうと思っています。そのときに 特に国内の農薬使用、動物薬使用というのをどのような形で担保していくかという点に つきましては、動物薬については薬事法がございますし、農薬については農薬取締法が あるわけでございますし、またそれぞれの法律の中で使用基準が決められ、その使用基 準に反した使用方法というのは違反として罰則つきで担保されておるわけでございま す。  したがいまして、我々農林水産省と話し合いをし、薬事法の使用基準、農薬取締法の 使用基準を遵守している限りは、今回つくります食品衛生法の基準をクリアできるよう に食品衛生法の基準をセットするというのを一つの方針といたしております。  したがって、両省同士はそういう合意のもとで作業を進めているんですけれども、そ れが地方自治体に行く、と畜場に行く、さらには実際の使用者の方々に行くということ になりますとまだまだ我々としてやることが残っているんだろうなというのを今感じて おる次第でございます。  また、今畜水産物の話でございますから話がちょっとあれでございますけれども、例 えば農薬でございますと、使用基準が守られていない一部のものがあるというのもまた 事実だろうと思っております。間もなく生協さんが公表される資料を見ますと、しその 3割とか枝豆の2割とかが何か違反になるとかいうような話が出ていますけど、非常に 端的な例で、ある特殊な農薬が使用基準に違反して使われておるということをこれは証 明しているんだろうと思います。  したがって、農水部局にももっと努力をしていただかないといけないと思いますし、 我々としても地方自治体を含めてまたお願いをするところが多々あるんだろうというふ うに考えておる次第でございます。 ○司会  ありがとうございました。  姫田情報官。 ○姫田情報官  多分今竹延さんがおっしゃった話は一つのゼロリスク症候群の現れではないかなと思 うんですけれども、いわゆる抗菌性物質そのものも適正な休薬期間を守っておれば最終 的には検出されないというところまで来るということでの休薬期間を設けているわけな んです。それは中垣課長がおっしゃったとおりだと思います。農薬についても農水省が つくった農薬の使用基準を守っておれば、厚生労働省さんがおっしゃる残留基準が守れ るように、大体農薬ですと6割ぐらいにおさまるようにしてあるわけなんで、それを守 っていくということが大事だと思うんです。  農水省としても、先ほども申し上げたように子牛農業についてはGAP、グッド・ア グリカルチュアル・プラクティズということで、HACCPよりもちょっとレベルは低 いんですけれども、それぞれの工程の中できちっとした管理ができていくようなシステ ムを、それをチェックしながらやっていこうと。ですから、できたものをチェックする と大変コストがかかりますし、当然落ちもあります。ですから、そうではなくて生産者 がみずから危ないところについてチェックしていこうというのがグッド・アグリカルチ ュアル・プラクティズ。それでHACCPの考え方も持ち込んだと。  それからもちろん、さっきGVPとおっしゃっていましたけれども、我々の方で家畜 の使用管理基準というのをつくりまして、それぞれの家畜についてもいろんな段階でど ういう飼料管理をしていけばいいか、それをポイントポイントで押さえてやっていこう と。  ですから、すべてを検査するというよりはその方がずっと安くいきますし、今回食品 点検方法ができたのも、むしろできたものを検査して安全性を確保するということでは なくて、いろんな段階でチェックしながらフードチェーン全体においてリスク管理をし ていくんだということ、それをポイントを置いてリスク管理していくことが一番安くて 安全なものができるということが基本だということでの改正でございますので、そうい う方向に向かっての生産段階での指導をしてまいりたいと考えております。 ○司会  ありがとうございました。  ほかには。  それでは高野さん、どうぞ。 ○高野  最初にご発言になった諏訪さんのお話でかなりショックだったんでございます。  エビを飼う。そのときに抗生物質の検査は当然やる。だけど流れてくる水の川上には どういう田畑があるかわからないから農薬を分析する。それはいいけれども80しか今出 ていない。590がまだ残っているというご発言がありました。これは670をかなり意識し た発言だろうと思いますけれども、こんなことをやっていていいのかなという気がする んです。  近藤専門官はGAP、GVPで水も管理しなければいけないとさらっとおっしゃいま したけれども、エビを飼うのに上流の田畑がどんな農薬を使っているかという情報がな ければそれだけ分析しなければいけないんではないでしょうか。たとえ分析したとした って季節によって使う農薬だって違うかもしれない。1回の分析ではなくていっぱいや らなければいけない。そんなことが食品事業者にやっぱり要求されることなんでしょう か。  今の段階でまだ管理の程度が自分でわからないんだからそのぐらいの負担をするのは 当たり前ではないかというのが今の状況なのではないか。何かその辺でいいお答えをい ただきたいと思います。 ○司会  中垣課長、お願いします。 ○中垣課長  実は私も諏訪さんの意見についてはお答えをすべきだろうとこう思っておったんです けれども、いいきっかけを与えていただいたと思います。  エビを養殖する。そこに近隣の農地で使った農薬が川を通じて入ってくるということ を想定されておる。さらには670というのは今暫定基準をつくろうとしている農薬、動 物医薬品の合計の数でございまして、この670をみんなチェックするのかということに 対する疑問だろうと思います。  まず、国内であれば玉川さんの方がお詳しいと思うんですけれども、国内で使う農薬 というのは恐らく排出される川に流れ込んでいくときには大抵が分解をしていくか、仮 に残っていたとしても非常に量が少なくて、エビを含めた動物に残らないような濃度に 薄められていくという形で農林水産省の登録あるいは環境省における環境基準のチェッ クがなされているというふうに考えておる次第でございます。また国内であれば、その 近くでどういう農薬を使っているかというのは近隣の農協でございますとか農家の使用 履歴を見れば一目瞭然になっていくんだろうと。仮に670の農薬について基準があった ところで使っていない農薬について調べるというような滑稽な話を強要するのはないわ けでございますし、使っている農薬だけがターゲットになる。おのずと農薬の種類とい うのも限られていくことになると思います。  これをそういった情報がない国で養殖される。例えばそれが、具体的な国の名前を挙 げるのは役人としてどうかと思いますけれども、中国でありインドでありインドネシア であったところでこうやろうとすると、そういった情報がなければないほどより多くの 管理措置をやっていかなければならないだろうというのもまた事実なんだろうと思いま す。  我々としても、そういった国々でどういう農薬が許可されているのかというのを中央 政府から情報をとるように外務省、大使館を通じてそういうお願いを出しておりますの で、近くそういった情報が集まってくるんだろうと思います。それをまた皆様方にも手 に入るような形にしたいというふうに考えております。  我が国で一昨年問題となったように、我が国ですら無登録農薬、すなわち国の許可を とっていない農薬が使われていたという事例が幾つも明らかになったように、途上国に 行けばそのような状況というのはもっと激しいんだろうというような懸念も持っておる わけでございます。いずれにいたしましても、どういった農薬あるいは動物薬を使って いる使っていないという情報量が少なければ少ないほどそれに要する管理措置は増え る。一方では養殖そのものにかかる経済的なコストも、もちろん管理措置も含めて経済 的なコストなんだろうと思いますけれども、そういう意味で申し上げますと、養殖なら 養殖をなさる際の全体としての経済的な効率を考えられる要素が一つこのポジティブリ ストのためにふえているのかなというふうに考えておる次第でございます。  我々としても、諸外国の情報というのは先ほど申し上げましたように今情報収集をお 願いしているところでございますから、またそのような情報が明らかになり次第皆様方 にも伝達したいと考えているところでございます。 ○司会  ありがとうございました。  大体このテーマはこのあたりでよろしいでしょうか。  それでは、最後になりますが、基準や分析法についてということでございます。  一律基準の話、それから基準値の話、分析法も今回たくさん農薬の基準ができるわけ です。もしくは一律基準なんかの場合は基準が決まっていないものなんかも対象になる ということかと思います。このあたりでご発言いかがでしょうか。  それでは諏訪さん、まず。その次に玉川さんで。 ○諏訪  先ほどのエビやなんかの670項目という部分の検査に絡むんですが、今回のポジティ ブリストについて1つの大きな表を想定して、左側にずっと縦に物質を並べまして670 用意しまして、横列にエビだとかタマネギだとか大根だとかいわゆる農産物なり水産物 なり畜産物なり横にして全部1つの表にした場合に、日本の場合ですと今回の案からす れば暫定基準値ということで数値がかなり埋まっている方だと思うんですが、それでも 空欄の率が約70%近く存在するとこのように理解しております。そうしますと、空欄の 部分は一律基準値をベースに考えなければいけないと。もちろん不検出とか抗生物質が 存在してはいけないという中での部分からすればその部分は抜かれますけれども、基本 的に一律基準値という形になります。そうしますと、今回のポジティブリストは一律基 準値を決めることが一番大きな仕事ということで、安全を担保するというためにはどれ ぐらいの数値にすべきなのかということ。  それともう一つは、極端に厳しくしてしまうと逆に安全だけでの回収というようなこ とで非常に非効率、資源のむだにもなるということがあり得るわけです。  この辺のところでやはり十分な議論を尽くすということできょうも皆さんお集まりだ しラウンドテーブルが開かれているんだろうかなというふうに私は思っているんです が、その中で、先ほどの海外の例も含めてなんですが、非意図つ毒性評価ができた物質 ですね。ある農産物について、例えばジャガイモではこの農薬は1ppmですというのが 決まっていると。それは毒性評価からこういう計算で出していますというのがわかって きたときに、その横が空白でタマネギが空白でありましたとこうなったときに、ではそ れはもう一律基準値です、0.01ですよと厳しく言ってしまうとそうなるわけです。そう いうことのアンバランスというのが結構存在するんだろうなというふうに思います。  したがいまして、やはり基準を決めなければいけないということは大賛成で、どこか に皆さんのコンセンサスを得た数字を持ってこなければいけないんですが、そのときに ダイオキシンの10倍ぐらいの発がん毒性があると言われているピスタチオなんかに出て くるカビ毒ですね。アフラトキシン、これの暫定的な基準が今法律で0.01ppmと決まっ ているわけですが、それと同じ基準で全部一律基準を決めてしまうというのはやはりち ょっと厳しいのかなというふうに感じています。  先ほど申しましたように、あと590調べるときにそれは0.01ppmということで限界をチ ェックしていくのとそれより少し緩めた数値にしていくのとでは、検査のやり方も違い ますし費用も手間も全然違うんです。そういうところを含めまして十分な検討が必要で はないかなとこのように考えております。  以上です。 ○司会  ありがとうございました。  ほかにパネラーの方、いかがでしょうか。  それでは清水さん。 ○清水  今の点につけ加えてなんですが、やはり今回ご提示のあるのは基本的には農薬を中心 にした考え方の一律基準値というふうに思います。畜産食品についてはそのような事例 というのは海外でもないというふうに理解をしておりますので、やはり適切なレベルと いうもの、それから先ほども何回か申し上げましたが、農作物と動物の代謝等の違いも 踏まえた中で一律基準値という考え方のレベルというのをぜひ適切なレベルという形で お示しいただきたいというふうに思います。 ○司会  ありがとうございました。  一律基準以外のことでも。  玉川さん、どうぞ。 ○玉川  ポジティブリストも、先ほど課長さんからお話ございましたように、そもそも今まで フリーであったやつに対して規制をかけるという大転換だとこういう話でございますけ れども、それも基本的には国民の健康を守るためということです。  規制をかけるというのは、規制のところに力点を置くのかどうかは別として、厳密に 言えば、先ほど来いろいろ議論がありましたけれども、残留値を超えたらどうなんだと いうふうな話がありますけれども、一義的にはやっぱり残留を超えたら問題だとこうい うのが常識的な考えではないかと思うんです。そうしますと分析も早くやらなければい かん。先ほど来お話が出ていますように農薬の数も多いとそういう中で分析をきちんと しなければいかん、そういう話になりますと、最後のところに残ってくる一律基準のと ころの数字、これをどういうふうな意味を持たせるのかというのが非常に重要な話にな ってくるというふうに思うわけで、ここはじっくり議論しなければいけないというふう に思います。  今議論があったのは、分析に非常にコストがかかるというような話がありましたけれ ども、分析法はこれから開発されるということも含めて現在進んでいるということもあ るんですけれども、ともかく問題のあるやつをストップさせて規制をするというのも重 要な役割だろうというふうに思いますので、そのために意味のある一律基準でなければ いかんというふうに一つは思うわけです。  もう少し言えば、分析限界をどうするんだという議論もありましたけれども、余り細 かいところでぎしぎしやっているうちに物が流れてしまって、卸から小売へ行って食べ てしまったと。後で考えてみたらやっぱりちょっと問題があったかなかったかという義 論ではちょっと遅いという感じもしないではないというふうな話。  ではどのくらいのやつがいいんだというふうな話になりますと、そこがわからないか ら一律だというふうな話もありますけれども、できるだけ作物に対して関連する農薬な ら農薬の升目を生めていくというのが僕は一番科学的なやり方なんだろうというふうに 思うわけです。  それと同時に、農薬なら農薬で言えば農薬の毒性評価が明確に終わっているかどう か、ADIが明確に定まっているかどうかというふうなものが一つのポイントになるん ではないかというふうに思います。不検出とかいろいろ議論がありますけれども、わか りやすく言えばADIが定まっているか定まっていないかというのが一つの別れ道では ないかというふうに思うわけです。ADIがわかっているものについてはそれなりの科 学的根拠できっちり決めた方がご理解いただけるし実効的ではないかというふうに思う わけです。よくそこがわからないというのは、これはある意味で本当に一律基準という か、最後のぎりぎりのところまで詰めるというのが僕は科学的なやり方ではないかとい うふうに言います。  逆に言えば、ADIがわかっているものについて何か必要以上に細かい数値を定める というのはある意味では科学的ではないし、過大規制となるんではないかというふうに 思うわけでございます。そういう意味で一律規制というのは、いろいろあるんですけれ ども、ADIが定まっているか定まっていないか、ここでとりあえずふるい分けすると いうのが必要なんではないかなというふうに思っているわけでございます。 ○司会  ありがとうございました。  高野さん、いかがでしょうか。 ○高野  私は一律基準を0.01ppmにするという考え方というのはかなり理解をしているつもり ですし、それからきょうの宮川補佐のご説明で、適用すべきでない作物のところにまで 農薬の基準値をつくるということの矛盾というのを指摘されたと思っていまして、よく わかります。  ただ、自分たちが使っている原料は何なのか、どういう管理がされているのか、工程 は本当に責任を持てるんだろうかということで各加工食品メーカーは必死になって今追 いかけているところでございます。しかしわからないですね。何しろすべての原料、す べての製品について700ある、900あるとも言われている農薬全部を分析したことなんて 食品メーカーはないわけでして、全部に関して大丈夫だなんて今言えなくて非常に困っ ているのが現実のところだと思うんです。  もちろん厚生労働省が言っておられる自分で管理する、その責任をとるべきだという こともよくわかっておりますけれども、ただ、一度そういうので違反だとして摘発され ると加工食品メーカーは下手をすると命取りになるというのが現実にあるものですか ら、そのつらさというのを今非常に感じております。  一律基準値をどうしてくれるということは今ちょっとなかなか言いにくいんですけれ ども、非常に苦しんでいるところでございます。 ○司会  ありがとうございました。  伊藤さんからもお願いします。 ○伊藤  私はこの一律基準0.01というのは、10ページのパワーポイントの19番の説明でああそ ういうことかなというふうに理解をいたしました。  現に200余りをつくるのにも随分長いことかかっていて、3年というタイムリミット があるわけですから、そのことを考えると、やはりこういうふうなものでスタートして 手直しをしなければいけないところをどんどん見直ししていくということなのかなとい うふうに思いますし、現在の国内の農業の実態に合わせてもしこれが適切でないという ふうな形で変わっていくということであれば、私はその実態に合わせて変わっていくと か、やみくもにきついのはいけないというのはやはり余り望ましいことではないと私は 一つ思うことでございます。それがまず第1点。  もう一つ、少し一律とは違うんですけれども、不検出のことでございます。不検出と いうのが検査の限界というふうなことと理解していいのかなとこう思うんですが、閾値 がないものに検出の限界を下回るということであれば、でも閾値の考え方からすればど うなのかなということであれば、むしろ私は、使用のことでわかりませんけれども、も しほかの代替で可能なのであればその道を探って、閾値のないものについてはむしろ率 直に使用禁止にするとか、個々に調べてみないときっとわからないと思うんですけれど も、そういう方向もちょっと考えていただく必要があるのかなというのはずっと思って いることでございます。 ○司会  ありがとうございました。  玉川さん、どうぞ。 ○玉川  一律基準値の話でしたので話を途中でとめてしまいましたけれども、今伊藤さんから 話がございましたように、日本の農業の実態というふうな話で申し上げるならば、先ほ ど申し上げましたようにラベルに記載されてあるとおりに使うというふうな使い方をす れば一般的には残留基準値がクリアできるというふうな仕組みになっているということ は当然でございます。  ただ、日本の農業の現状を見ますと、畑と畑が隣接しているなんていうものではござ いませんで、ご案内のように畝と畝とが隣接しておりまして、株の間にまた作物をつく るみたいな実態になっておりまして、農薬の飛散、ドリフトと言っておりますけれど も、この問題がございまして、ここが非常につらいところがあります。もちろん飛散し ないような農薬の形態、例えば粒にするとか泡にするとかいろいろな方法があるわけで ございますし機能改善もやっているわけでございますけれども、一律にはいかんという ふうなこともございます。  私どももその辺で非常に心配をして、それなりにデータもとっておりますけれども、 ドリフトも全部が防げるというわけではございませんが、ある一定のレベルであればこ れを防げるという話もございますので、この一定のレベルと安全性確保の問題とADI が設定されているものとされていないもの、これらを含めて総合的に、これこそ科学的 に、先ほどございました日本の農業の現状も含めて議論する必要があるんではないかと いうふうに思っているところでございます。  以上でございます。 ○司会  ありがとうございました。  新谷さんからどうぞ。 ○新谷  先ほどから私もいろいろ言ってきまして頭の整理をしなければならないんですけれど も、やはり今おっしゃられましたようにドリフトの問題もあります。  ただ、使用場面でさえ今農薬取締法の中で生産者は守っているわけですから、今回の 一律基準については本当にタイムラグがある部分もあるんですけれども、一律基準を設 定してもいいんですけれども、科学的に農薬の部分はADIが設定されているわけです し、その辺を加味していただいて設定をお願いしたいと。  タイムラグがある中で設定しても、なおかつその後安全性をもう一度確認するである とか基準の見直しであるとかそういう部分も盛り込んでいただきたいなと思います。 ○司会  特にポジティブリストの一番危機ということで皆様いろいろお悩みの点とかもあるか と思いますけれども、課長どうぞ。 ○中垣課長  一律基準の問題、きょうは非常に旗色が悪いようでございます。  この問題、一律基準がポジティブリストの要だとどなたかおっしゃっておられました けれども、まさしくそうだろうと思います。すなわちポジティブリストというのは基本 的に農薬が残留する食品の流通を禁止する制度でございますが、先ほど宮川が説明しま したように添加物と違って使用を規制するんではなくて残留を規制する。残留をゼロだ と立証するということは科学的に不可能でございます。したがって、諸外国においても 農薬のポジティブリストを導入する際にはデフォルト、初期値と言っておりますけれど も、何らかのレベルを設定しておる現状にあるわけでございます。  そのような非常な要でございますから、我々が意見を3カ月にわたって聴取したとき も大まかに申し上げますと消費者団体を中心とする方々はできるだけ低い値をと要望さ れています。具体的には0.01大賛成と。一方、事業者あるいは諸外国政府は0.01大反対 というような非常にクリアな様相を示しておるところでございまして、本日も旗色が悪 いかなとこう思っておるわけでございますが、いま一度ご説明をさせていただきたいと 思います。  15番のスライドをごらんいただきたいと思います。  一律基準の適用というのはここに書いてある2つのケースに適用されるわけでござい ます。  まず、使用が認められている農作物への残留というのは、当然のことながら基準を設 定いたしますので、先ほど来繰り返し申し上げていますように農水省の使用基準を守る 限り一律基準の適用にならないというのはご理解を願いたいと思います。  その上で一律基準が適用となるのは2つのケースがあって、1番はいずれの農作物に も基準が設定されていないもの、これを未知の農薬と言っています。今回、基準設定に 当たっては、国内はもとより国際基準、アメリカ、カナダ、オーストラリア等5カ国の 基準を参考にしておるわけですから、国内を含めてそれらの国々では使用が認められて いない農薬ということになります。そういう農薬が国内で使われるケースもあるでしょ うし、あるいは途上国で使われるケースもあるんだろうと。要するにこれを未知の農 薬、参考にした国々では使われていない農薬、使用が認められていない農薬だというふ うにお考えいただければと思います。  2番目のケースは、先ほどどなたか例示で挙げられましたけれども、ジャガイモには 認められているんだけれどもそれをタマネギに使ってしまった。それでタマネギに残留 が出たというケース、すなわち農薬としては既知なんだけれども農薬といってもすべて の農作物に使用が認められているわけではなくて、使用が認められていない農作物から 残留が見つかった。すなわち国内で農林水産省がジャガイモには使用を認めているんだ けれども、それをタマネギに使ってしまった。そのためにタマネギに残留が見つかった とこういうケースでございます。  先ほど諏訪さんは2のケースで大体升目が7割空白だとおっしゃっておるわけですか ら、今農作物を百四、五十に分類しておりますけれども、その百四、五十のうち国内で もアメリカでもオーストラリアでもカナダでもニュージーランドでもそれらの参考とし て国々すべてで認められていない農作物というのが7割程度あるということなんだろう と思うんです。その7割がこの対象となる。このポイントというのは、国内はもとより それらの国々で使用が認められていない、そのために基準がないんだということでござ います。  それらのもの対して諸外国がどう対応しようとしているかというのが18番のスライド でございます。  諸外国とも、先ほどデフォルト、初期値と申し上げましたけれども、同じような発想 で対応しております。EUは、ここのスライドでは提案となっておりますけれども、こ としの1月に0.01ppmということで決定いたしました。ニュージーランドの0.1ppm、こ れはカナダの0.1ppmを参考としてつくられたとニュージーランド政府が説明しておりま す。カナダの0.1ppmは高過ぎるということで今見直しをしているということで、この冊 子には書いてありませんが、カナダは0.1ppmなんですけれども見直し中。引き下げる方 向で検討している。ニュージーランドの0.1ppmはそのカナダを参考にしている。ドイツ は0.01と。アメリカは、法律上は残留してはならないとこうなっております。これを検 査法等で実際上の運用をしているというのが現状でございます。  そこで、我々は今0.01ppmで提案しておるわけでございますけれども、先ほど来繰り 返しになりますけれども、それらの国々で認められていないもの、これは皆さん方余り ご議論ないようでございます。ADIが評価された農薬とか基準がある農薬とこうおっ しゃっておりますので、スライド番号15で申し上げますと2番のケースが0.01ppmでは 厳し過ぎるんではないかというのが今ご発言された方々のご意見だったというふうに思 うわけでございます。  この2番の農作物は、繰り返しになりますが、国内でもアメリカでもオーストラリア でもどこでもその使用が認められていない農作物なんだと。しかも諸外国では、それら についても18番のデフォルト、一律基準を適用しようとしているんだというのが議論の 出発点にあるんだろうと思います。  次に、ドリフトの問題、すなわち隣の株にまいたのが環境経由、風、雨で横の農作物 に影響を及ぼしてしまう、これをドリフトと呼んでいます。  ドリフトの問題については、この法律が通った15年5月以来データがあったら出して くださいということをいろいろとお願いしました。正直申し上げていまだに私、そのデ ータをもらっておりません。私がもらったデータから見ると0.01でもクリアできるとい うような数字でございます。  さらに、先ほど申し上げましたもうじき公開されます生協のデータを見ても、この一 律基準の今申し上げた2番のところ、すなわち認められている農作物のところは、ドリ フトであればいろんな農薬と農作物の組み合わせが出てきて当然だろうと思うんですけ れども、そうではなくて半分以上は特定の農薬と特定の農作物の組み合わせでございま す。例えば夏食べる枝豆にプロシミドンという農薬が使われています。このプロシミド ンという農薬は大豆には使えます。ただ大豆と枝豆は収穫の時期も違いますし、農林水 産省ではそれは違う農作物として使用基準をつくられておる。私、農水省に枝豆と大豆 は同じ農薬が使えるようにしたらどうだと言ったんですが、農作物の成長と農薬の使用 を知らないとこう言われて、そんなもんかな、違うとして判断するのか、それが農薬の 現実なのかなとこう思ったんですが、そういう特定の農薬と特定の農作物の組み合わせ でございます。  したがって、先ほど来申し上げているように我々も努力しますけれども、地方自治体 もあるいは農薬を使われる方々ももうちょっと農水省の使用基準の遵守というものの徹 底をお願いするのかなというふうに考えておる次第でございます。  話は変わりまして、不検出の問題についてあわせてお話をさせていただきたいと思い ます。  スライドの26番でございます。  不検出というのは、遺伝毒性を有する発がん物質など閾値が設定できない、閾値とい うのはこの量までは安全だろうという量が設定できないという意味でございます。いわ ゆる安全量が設定できない。ごく微量でも危ないんではないかというふうに取り扱って いるというものでございます。これを不検出としているのは、もちろん公定法で検出さ れないという意味です。その公定法は、アフラトキシンで0.01という数字がありました けれども、公定法は不検出のものは次々と改善していくべきで、より低い濃度まで検出 できるように改定していくべきだろうと考えています。例えばある例では0.05ppbのレ ベルまでもう既に下げた例もあります。そのように不検出というものは公定法で検出さ れるかされないかということで規制をしていくわけですが、その公定法というのは当然 のことながら下げていくべきで、これは精神あるいは規制として安全量を設定できない ということが前提となっているという規制の今の枠組みであります。  今の科学の世界では、遺伝毒性のある発がん性物質でも安全量を設定できるのではな いかというような非常に進んだ考え方も出てきております。と申しますのも、遺伝子に 傷がつけられてもその傷を治すような仕組みというのが幾つもわかってきたというよう な科学的な進歩があって、遺伝毒性のある発がん性物質についても閾値が設定できるん ではないかというような考え方も出てきたところでございますけれども、今の規制の仕 組みでは遺伝毒性のある発がん性物質については安全量が設定できない。したがってで きるだけ低い値まで検出できることとして、その検出法で検出されないというようなこ とをあらわすために不検出という表現を使っているということでございまして、そうい う意味では一律基準などとは考え方がちょっと違うんだろうと考えておる次第でござい ます。  ただ、一律基準の話に戻って恐縮でございますが、皆様方のお話を聞いていてもう一 つ思いましたのは、一律基準を担保しているかどうか調べようとしても、これは実質上 できないという問題が提起されたのかなと思っておる次第でございます。すなわち先ほ ど諏訪さんがおっしゃったように、670の農薬をこっちに置いてエビならエビの基準を 入れようとすると、3割程度に基準値が入って7割は基準値が入らない。一律基準が適 用となる。ここにあるエビがその規制を満足しているかと思うとやっぱり670調べるの かと。さらには空白の部分については定量法がない、分析法がないものもたくさんある ではないかというようなご主張なんだろうと思います。  すなわち事業者の方が、恐らくきょうここにおられる事業者の方は非常にまじめな方 なんだろうと思いますけれども、まじめな事業者で調べようとする。管理の度合いを上 げようとする。調べようとしない方は調べられるかどうかというのは全く関係ないわけ でございますけれども、調べようとすればするほど670を調べようとしていく。ところ が現実問題としては、0.01ppmのレベルまで今の分析法では、それは1つのエビを1年 かけて調べようと思えば調べられると思いますけれども、毎日のようにチェックしてい こうと思うと調べられないものというのは多々あります。これをどうするのかというジ レンマなのかなというふうに考えておる次第でございまして、そのあたりはまた実態の 話もお聞きしながら我々としても少し考え方をまとめていかなければならないんだろう というふうに宿題をきょうももらったなというふうに思っているわけでございます。  一律基準というのは確かに、最初にどなたかおっしゃりましたとおり今回にポジティ ブリストの要でございますので、そういう意味で今後とも活発なご意見、アイデア、問 題点等のご指摘を賜れれば幸いというふうに考えておる次第でございます。  長くなってすみません。 ○司会  ありがとうございました。  では最後に一言だけ。 ○姫田情報官  農林水産省も手をこまねいて見ているということではなくて、一つはグルーピング化 ということで、同じようなタイプの使用をしているものについては同じグループでいい ではないかということで、使用基準があるものとないものとグルーピング化して1つの グループにしていって、それを基準をつくっていこうというふうなことをしています。  あともう一つは、一番問題なのはマイナー作物でございまして、非常に生産量が少な くて農薬会社さんには売ってもメリットがない作物で、いわゆる育成の過程で要するに 除草剤、それから若いときにまくものというふうな抗菌剤、殺菌剤とか防虫という効果 があるものとかセットにないものが出てきております。そういうものについては各都道 府県とも協力しまして緊急に使用基準をつくるようなことをやっているんですが、残念 ながら昨年の夏は非常に暑い夏でございまして、ことしじゅうに全部できる予定だった んですけれども、非常に暑くて病虫害が全然発生しなかったところがあったり、今度は 一方、対象の作物の圃場が全部枯れてしまったりしたものがあったりしまして試験設定 ができなかったものがございます。そういうところだけについて今年度もう一度やろう というようなことで、できるだけいわゆる7割とおっしゃった穴を少なくとも国内農産 物については困らないようにということでの…… ○中垣課長  中途半端なことを言われると非常に困るんですが、マイナー農作物についても暫定基 準の中にはみんな取り入れてあります。だから、それは基準がある3割の方に入ってい ます。7割の問題というのは全く別の問題。グルーピング化されたのもみんな取り込ん であります。  だから、それは3割の中にみんな取り込んであるので、国内は今の農水省さんの使用 基準を徹底されればポジティブリストに耐え得るというのが少なくとも農薬部局との考 え方の一致点だろうと思います。  問題は、それをまだまだ我々も努力が足りない。農水省さんもあるいは地方自治体に も汗を流してやるよう、あるいは使用者にも汗を流していただく。そこの点がこれから の作業なんだと思います。 ○司会  すみません、司会の不手際で非常に会場の方のご意見を聞く時間というのが短くなっ てしまいました。多少延長したいと思っております。  すみませんが、会場の方からご意見を伺いたいと思います。時間が少ないので、大変 恐縮ですがお一人2分以内でお願いしたいと思います。1分半で申しわけないですけれ どもベルを鳴らせていただきますのでまとめに入っていただいて、2分ぐらいで終わり にしていただければと思います。  会場の方でどなたかご質問でも発言でも。 ○質問者1  JA京都中央会のムラカミと申します。  先ほどの話でちょっとよくわからなかったのが、一律基準についてはドリフトとの可 能性はほとんどないというふうにご発言をいただいていたと思うんですけれども、これ ちょっと大事な部分でありまして、先ほども日本全体の話をされていたんですけれど も、京都の場合も特に少量多品目で、多い方だったら年間50種類とか60種類の農産物を つくられているんです。その際非常にドリフトというのが怖いという部分がありまし て、ポジティブリスト制自体があかんとは私どもも思っておりません。むしろ消費者の ためにどんどん取り入れるべきやというふうに思っております。その中でドリフトに危 険があるのであれば京都としては少量多品目は一切やめてくれと。1種類にしてくれ と。  例えば伝統野菜というのを平安のころから京都はつくっているんですけれども、それ もすべてやめてくれと。ほとんど少量多品目でつくれへん限りは伝統野菜も消えていく んですけれども、もう消えてもええと。あんたは水菜やったら水菜だけつくれとか大根 だけつくってくれと。ほかのものは一切つくらんでええと。それかやめてくれという説 明をしなければなりません。  やはりドリフトは問題ないよと確実におっしゃっていただけるものならおっしゃって いただきたい、問題があるなら問題あるとおっしゃっていただきたいというふうに思い ます。 ○司会  ありがとうございました。  では姫田さんから。 ○姫田情報官  空散なんかも調べているんですけれども、よっぽど風の強い日とか何とかというよう なことでなければ実際に調査した結果ではきちっと真っ直ぐ下に落ちているというよう なことがございます。もちろん風の強い日とかそういうことを十分注意するということ は基本だろうと思いますけれども、横に流れるという話は基本的には、我々もっとある んではないかなと思っていたんですけれども、むしろ実際に調べた結果はなかったとい うことが事実でございます。  それと、一方で少量多品目ということで小さなところでたくさんつくられるというこ とは、むしろ生産性の問題からいうときちっとある程度の面的な集積というのが、安全 の面ではなくて安定供給や価格の面からいうと一定の面積をしっかりとつくっていただ くということの方が大事なことではないかなと思っています。 ○質問者1  確かにそうなんですけれども、例えば京都市内で昔からつくられている方ですと、土 地がもちろん限られていますし面的集積というのが難しいんです。そういう方にもうや めてくれというふうに言うのかなと、ドリフトの危険があるのであれば。ないんでした ら問題なんですけれども。 ○司会  中垣課長、どうぞ。 ○中垣課長  今、姫田さんがおっしゃったように、ドリフトに関するデータというものを実は15年 5月以来お願いしてきたんですが、今想定しているような数字を超えるようなデータと いうのは今のところいただいていません。  例えばこの作物にまこうとしたときに誤って別の作物にまいてしまう、これをドリフ トというのか不適正使用というのか、ではどこまでのドリフトを想定なさっているかに よってその話というのは全く変わってくるんだろうと思います。ただ、風とか雨とかそ ういう自然界の影響のようなもので横の農作物に影響を及ぼすというのは今のところあ りません。  さらに、生協のデータ等を分析してみると、仮に今のまま一律基準あるいは暫定基準 を適用したときに一律基準違反となりますのは、繰り返しになりますけれども特定の農 薬と特定の農作物の組み合わせというのが多くの部分を占めています。先ほど申し上げ ました枝豆とプロシミドンみたいな別の理由があって、残りの中にドリフトがあるのか どうかというのはわかりませんけれども、大方というのはそういう問題であるというふ うに認識しているところでございます。 ○司会  玉川さんはどうですか。 ○玉川  今京都の方がおっしゃった話でやめる、やめないという極論ではなくて、ポジティブ リスト制の中でいかに一律基準を生かしていくかとこういう議論だろうと思うんです。  その中でドリフトがあるかないかという話は、今、課長からお話がありましたように 7割はないかもしれないけれども3割はもしかしたらあるかもしれない。冒頭私もお話 ししましたように、適正に農薬を使うということは前提でございますし、当然ながら風 の強いときには使わないというふうなこと、これは効果の面も含めていろいろ問題があ るわけでございますので、それはもう当然のことです。  ただ、もしかして今京都の方がおっしゃるようにドリフトの問題があって、そういう 日本の農業の特殊性だという話があって、それが仮に科学的に安全性を確保できるとい うレベルであるとすれば、そこの議論は必要なんではないか。  きょうは課長もあれですから基本論をおっしゃっている話であって、そこはデータが あるかないかという話はちょっと私もよく存じませんけれども、そういうような具体的 な農業の実態を踏まえながら、しかも安全性はどういうレベルで守られるのか、諸外国 の例、そういうものも踏まえながらこれからまさに省庁間の連携をとっていただきたい というのがここに書いてあったり皆さん何回かおっしゃっていますので、そこは一律基 準の性格の問題、農業の実態の問題、安全性の確保の問題、ドリフトの問題、そういう 問題を含めて省庁間というか厚労省さんと農水省さんとじっくり詰めていただきたい と。  時間もないということはよくわかるんですが、というふうなのが私の希望でございま す。非意図つそういう形でよろしくお願いしたいと思います。  ちなみに私も、全然だめ、0.01でなくてはいかん、0.1でなくてはいかんというふう な議論ではなくて、データを出し合って今お話しした幾つかの要素を組み合わせなが ら、ではどの辺でと。あるいは一律にいかなくてADIを設定している農薬については どうだということを踏まえてきめ細かい議論をしていただきたいというのが私の希望で ございます。非意図つよろしくお願いしたいと思います。 ○司会  ありがとうございました。  それではほかの方でどなたか。 ○質問者2  きょうは名古屋から来ました食品事業者です。  実は私ども流通に携わっていますので自主検査をしています。その中で、ついことし になってからですが、スナックえんどうからある農薬が検出されました。その農薬は、 産地でいろいろ調べてみますと適正な使用基準を守っていて、しかし今回の暫定基準を 超えてしまったという事例でした。  こういった事例は、先ほどグルーピングというお話がございましたが、農薬取締法の 方でそういた事例は恐らくあると思うんですが、そちらの方の見直し作業もされている んでしょうか。 ○司会  姫田情報官。 ○姫田情報官  ちょっと具体的にその事例というのはわかりませんけれども、基本的に地域の特性と かも含めて農薬の使用基準の方が、ストレートに残留基準までということではなくて残 留基準の6割ぐらいまでにおさまるような使用基準になっております。  ですから、都道府県ではさらに地域の特性の中での細かい使用基準を決めております ので、そこはむしろ事例的にどういうことかということを当局におっしゃっていただい た方がいいのではないかなと思います。どこかの何らかの別の原因があるのではないか なと考えます。 ○司会  ありがとうございました。  玉川さん、どうぞ。 ○玉川  今農林水産省からお話があったとおりだと思いますけれども、基準を決めた時点と例 えば栽培形態あるいは品種その他が変わっていると。あるいは路地でやっているものに 対してハウスの中で栽培しているみたいな話がありますと、いつ花が咲いてどうこうす るというふうなかなり形態が変わってきておりますので、総合的にその辺をずっと詰め ていかないと、いきなり使用基準が間違っているとかあるいは使用方法が間違っている というふうな話にはならないんではないかというふうに思いますので、じっくり非意図 ついろいろな要素でつぶしていっていただきたいというふうに思っております。 ○司会  ありがとうございました。  すみません、主催者側からのお願いなんですけれども、結構時間が来ていますので、 アンケートの方もぜひお話を聞きながらご記入いただければと思います。えてして詰ま ってきた場合にアンケートをお書きいただけないケースが多いので、大変申しわけあり ませんがよろしくお願いします。  それではどうぞ。 ○質問者3  兵庫県の植物防疫係の小舟といいます。  農薬の仕事をさせていただいておりまして、なかなかポジティブリスト制のことを情 報入手できなくて、うちの衛生部局の方と連絡をとっておるんですがホームページで情 報を得るのがやっとやということで、きょうは非常にいい機会をいただきました。あり がとうございます。  その中でお話をお聞きしたいことがあったんですが、うちでも食の認証制度というの をやっておりまして、その中に兵庫安心ブランドという制度がございます。それは国が 定められている残留農薬基準の10分の1以下の生産方式を認めて、それをブランドとし て認証しようと平成6年からやっておる制度でございますが、何でそんな話を出してき たかといいますと、0.01というのは現行普通一般に分析できるところではほぼ限界に近 い値で、それ以下、もし0.01を出そうとすると0.005を分析できないといけない。そう いうのは非常に少ないと聞いておりますし、今の技術では0.01というのは場合によった ら、誤差と言ったら失礼があるのかもしれませんが、そういう危険性が出てくるんでは ないかというのが1点。  それから、0.01という基準についてわかりやすく話を大きくして言いますと、いつも 出荷箱を使われている。そこに農産物を取り込みます。そこに白菜を入れておったとし ます。白菜は前日まで使える農薬のかかっていたやつを取って箱に入れましたよと。次 の日にキャベツを取ってそこに入れましたよと。仮にキャベツには白菜に使える農薬は 登録がなかったという話になって0.01というのが出る可能性が全くないことはないんで はないかというふうにも考えますし、あるいは0.01というのが本当にどこで付着したの か。0.1とか0.2とかいうレベルであればかけないと出ない値やと思うんですが、0.0幾 つという値は微量な量やと思います。どこで出たのかということをどこかで担保をとら ないと、出ましたよ、発表しますよと。うちは衛生部局から連絡があるんですが、農薬 取締法の方で調べてくださいというて走り回るんですが、やっぱりわからないことも中 には出てこようかと思います。そのときにもしかしたら流通の段階でかかっておったか もしれない。でも公表する。どこが責任とるんや。わしはいっこも使うてないで。ちゃ んと記帳もきれいに書いてある。そういった場合のポジティブリスト制を施行したとき の担保というのはいかにお考えかということをお聞かせいただけたらと思うんですが。 ○司会  中垣課長、お願いします。 ○中垣課長  まず、10分の1以下にどうのこうのという話がございましたけれども、地方自治体が なさることですから我々がどうのこうのという話ではございませんが、10分の1だから 安心で5分の1だから安心ではないというものでもないでしょうし、なかなか難しい話 だなと思いながらお聞きをいたしておりました。 ○質問者3  それについてはちょっと補足を。  特に10分の1がいいということではなしに、何か基準がないといけないだろうという 話で引き合いに出しました。 ○中垣課長  そこは感想だけであって、ご照会のあった事項にお答えをしたいと思います。  まず、0.01が誤差の範囲のものもあるんではないかという話、あるいは分析できるの かというお話がありました。この点については、農薬によってそれは違うんだろうと思 います。非常にクリアに0.01どころかその下のけたもはかれるのもありますし、別の農 薬と農作物の組み合わせでははかれないというのもある。だから、先ほど私が最後に一 律基準のところで申し上げましたような、はかろうとする方々が今の都道府県あるいは 我々の検疫所ではかるような一般的なやり方でははかれないというようなところに不安 を感じているとすれば、それは我々も考えなければいけないなというようなことを申し 上げたわけでございます。  これはまだ詳細に分析していなくて、余り言葉で言うのはあれだと思いますけれど も、半分以上のものははかれると思いますけれども、はかれないものがかなりの数残っ ているというのは事実なんだろうと思います。  2番目の出荷箱の中に白菜を入れて、その次の日にニンジンを入れる、ホウレンソウ を入れるという話、この話もドリフトの変形で、実はデータを探し回りましたけれど も、そこで問題となるような量が移るようなデータというのは今のところ手に入ってお りません。一定数のサンプルをとりますから、仮に付着したホウレンソウの箱につく1 枚の葉っぱだけだったらそうなのかもしれませんけれども、何kgの中からサンプリング してまいりますから、そこはまた別の問題があるんだろうと思います。少なくとも一応 それも念頭に置いてデータを探しましたけれども、データはございません。 ○司会  ありがとうございました。 ○質問者3  それから、何かあったときの原因が特定できなかったとき、そういうことが出てこよ うかと思うんですが。 ○中垣課長  原因特定をするというのは今後の対応のためにそれが必要なんだろうと思いますけれ ども、食品衛生法上は基準を超えたか超えてないかという形になるんだろうと思いま す。だから、原因がわからないから食品衛生法上の措置をしないというような問題では ないんだろうと思います。  もちろんその結果として今後の対応をしていく上で原因がわかるにこしたことはあり ませんし、対応をとるためにはそれが必要だと思いますけれども、その点については食 品衛生法上の取り扱いと例えば農薬取締法上の取り扱いとかそういうものの違いという のはあるんだろうと思います。 ○質問者3  例えば0.01というのを超えた場合には即公表ということをお考えなんでしょうか。 ○中垣課長  公表するかしないかというのはまた別の問題でして、食品衛生法上で申しますと、違 反を見つけたらできるだけ公表しろという規定がございます。この公表規定をうけて、 個々の事例についてはどこまで公表するのか、その公表の仕方、例えばその人の責任と の問題というのは判断していくべきなんだろうと思います。  ただ、公表をできるだけしろというふうに食品衛生法改正でなっておるわけでござい まして、これは議員立法でそうなったわけですから当然のことながら公表すべきだと私 は思いますけれども、どこまで公表するかどうかというのはまた別の問題と思っており ます、特に原因がわからないケースにおいてですね。 ○質問者3  公表をやめてくれと言っているんではなくて、高野さんが言われたように今産地1つ が発表があっただけでつぶれる可能性があります。その0.01というのが本当に産地側に 問題があって出てきたのであれば何ら問題なく、それは産地のとるべき責任ですからし ようがないと思うんですが、やっぱり0.01という値はどうもそうでないような気がした りしますもので、特にそこまで至るまでの何か担保のようなものをとられるのかどうか ということがお聞きしたかったということです。 ○中垣課長  0.01の検査結果に科学的に問題がなければ私は公表すべきだろうと思います。要する に酷な言い方をすれば、原因追求をさぼればみんな公表しないという話になってしまい ますし、そういう問題ではないんだろうと思いますけれども、今の情報公開の世の中で 申し上げますとそういう事実があったというとは公表するんだろうと思います。 ○司会  姫田さん。 ○姫田情報官  生産者のコンプライアンスに問題がないんであれば、1回基準値を超えたからという ことで流通がとまってしまうと産地がつぶれてしまうということにならないように、県 の方なんですからみずからそういうことに対してはリスクコミュニケーションして、し っかりとそうではないんだよということをきちっと県民の方々にわからせていただくと いうことが一番大事なんではないかなと思います。  今最初に言われた10分の1にするというような県の考え方というのは…… ○質問者3  言うときます。それはちょっと議論から外してもらったらいいんですが、私が言いた かったのは、長くなってしまって申しわけないですけれども、基準値を超えたものはし ようがない。これは生産者の責任であれば全然問題ないと思います。それは公表するべ きです、もちろんね。  ただ、本当に今産地の名前が出てしまえば、その1人のために産地全部が出荷停止に なります、少なくとも1カ月ぐらいは現状では。そうなるとその産地すべてがその間ス トップするわけですね。それが本当に生産者側の問題であれば問題ないわけなんです が、そういうことを言いたかったということで、もう長くなるからやめときます。 ○姫田情報官  県の方が出荷停止にならないように努力を流通側にしていただくことが大事なんでは ないでしょうか。 ○司会  議論も尽きないところですけれども、ちょっとこの辺で切っていただいて、ほかの 方、先ほど手を挙げていた方がいらっしゃったと思うんですが。  すみません、この方と、あともうお一方で最後にさせていただきたいと思います。  それから、時間が過ぎてしまいましたので、特にご用事のある方は退席いただいても 結構ですので、その際アンケートを受付の方に提出いただきますようお願いします。  それでは前の方、どうぞ。 ○質問者4  本日は貴重なお話をありがとうございました。京都大学から来ました加地と申しま す。  本日は消費者という視点でご質問させていただきたいんですけれども、まず食品の規 制ということに関してはリスク規制ということと品質規制という全く別の規制とかいう ことがあると思うんです。それがごっちゃに議論されているという感があり、先ほどの パネルディスカッションで有機とか特栽とか一般栽培の話に私もすごく同感するんです けれども、その辺に関しては行政の方はどういうふうにお考えになるのかというのをお 聞かせいただけたらうれしいです。 ○司会  姫田さん、お願いします。 ○姫田情報官  有機というのはむしろ伊藤さんがおっしゃったとおりだと思っていますが、要するに 有機であろうがそうではなかろうが安全な農産物を我々はお届けしているし、厚生労働 省は安全な食品を出すように指導しているんです。  有機とか特別栽培というのはあくまでも消費者の選択をふやすということが基本でご ざいます。ですから、やはりそういう中で一つは環境に優しいという面での有機栽培の ものを選びたいという考え方、あるいはそういうものを食べたいという消費者のニーズ がありますので、それは当然そういうものを生産者側がつくっていくということが大事 で、要するに付加価値商品としてつくっていくということが非常に大事なことだという ことです。その結果として生産者としてもほかのものに比べて有利販売できるという面 があると考えています。 ○司会  ありがとうございました。  それでは、最後にもうお一方だけ。一番後ろの方で手を挙げた方。 ○質問者5  厚労省と農水省の方々にお願いがあるんですけれども、きょうマスコミが全然来てい ないという話だったんですが、ぜひマスコミ関係にリスクマネジメントという考え方を 広めていただきたいと思います。結局マスコミ関係がわかっていないからこういう問題 が何か大げさになってしまうような気がするんですよ。その辺のことをマスコミ、あと 一般消費者に伝えていただきたいと思います。 ○司会  ありがとうございました。  これは参事官、いかがでしょうか。 ○松本参事官  大変貴重なご意見ありがとうございます。  冒頭一番最初のテーマでわかりやすい情報の提供という話をがありました。あるいは 農薬についての正しい理解という話もありましたけれども、食品安全についての正しい 情報を粘り強く出していくこと。機会をとらえて伝えていくこと。マスコミに対しても そうであろうと思います。  マスコミは、狭山茶のダイオキシン汚染報道で、テレビ朝日が裁判に負けてしまいま したけれども、それ以降非常に気を遣っています。厚生労働省はO−157のカイワレ大 根訴訟で負けてしまいましたけれども、ただ、あの判決は情報を提供したのはよしとす る、ただ出し方に工夫が必要だということで負けたわけであります。  厚生労働省としてもあるいは農林水産省としても、消費者の健康の保護という観点か ら情報を的確に、かつわかりやすく今後とも提供していって、できるだけそういう混乱 が起きないように努めていきたいと思っております。  貴重なご意見ありがとうございました。 ○司会  どうもありがとうございました。  なかなか議論が尽きないところですが、時間の方が来てしまいましたのでこれで終了 とさせていただきたいと思います。  本日は意見交換会にご出席いただきまして、どうもありがとうございました。                              午後4時44分 閉会