04/11/24 平成16年11月24日(岡山県)「食品に関するリスクコミュニケーション (リスク分析の概念を踏まえた食品安全行政の取組や健康食品、牛海綿状脳症 (BSE)対策についての意見交換会)」議事録      食品に関するリスクコミュニケーション次第(リスク分析の概念を      踏まえた食品安全行政の取組や健康食品、牛海綿状脳症(BSE)      対策についての意見交換会)                          平成16年11月24日(水)                          13:00〜17:30                          於 三光荘 2 挨拶 3 基調講演    ○食の安全性をめぐる現状と取組について(13:10〜13:35)       内閣府食品安全委員会委員                寺尾 允男    ○「健康食品」の賢い選び方(13:35〜14:15)       独立行政法人 国立健康・栄養研究所健康影響評価研究室長  梅垣 敬三 4 休憩 5 パネルディスカッション     【コーディネーター】       厚生労働省食品安全部企画情報課課長補佐         広瀬  誠     【パネリスト】       内閣府食品安全委員会委員                寺尾 允男       (独) 国立健康・栄養研究所健康影響評価研究室長      梅垣 敬三       岡山県消費生活問題研究協議会副会長           佐藤 久子       (株)H+Bライフサイエンス開発部門担当         秋庭 正典       厚生労働省大臣官房参事官                 松本 義幸       農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室長   境  政人       岡山県保健福祉部生活衛生課長              谷口 昇平 6 意見交換 7 休憩 8 BSE対策についての行政説明  ○「プリオン専門調査会における調査審議の経緯及び『日本における牛海綿状脳症   (BSE)対策について−中間とりまとめ−』などについて」       内閣府食品安全委員会委員                寺尾 允男  ○BSE国内対策の見直し「食品安全委員会への諮問の考え方」      厚生労働省大臣官房参事官                 松本 義幸  ○BSE根絶のための飼料規制について「食品安全委員会への諮問の考え方について」      農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室長    境  政人 9 意見交換 10 閉会 1.開会 ○司会  それでは定刻となりましたので、ただいまから、「食品に関するリスクコミュニケー ション」を開催したいと思います。  私は、本日司会を務めさせていただきます、厚生労働省食品安全部企画情報課の広瀬 と申します。よろしくお願い申し上げます。  初めに、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。お手元の本日の議事次第 の裏に配付資料一覧ということで、資料1が「食の安全性をめぐる現状と取組について 」、資料2が「「健康食品」の賢い選び方」、資料3が「食品に関するリスクコミュニ ケーション(11月24日:岡山県岡山市)における事前意見・質問について」、これ裏と 表の両面になっております。資料4が「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策につ いて−中間とりまとめ−」、資料5が「BSE国内対策の見直し」、資料6が「BSE 根絶のための飼料規制について「食品安全委員会への諮問の考え方について」でござい ます。  それから、参考資料といたしまして、参考1「食品健康影響評価について(リスク管 理機関からの意見要請文書)」、それから参考2が「日本における牛海綿状脳症(BS E)対策について−中間とりまとめ−」、参考3が「最近のプリオン専門調査会の議論 の概要」、参考4が「BSEに関してよくある質問等について」でございます。  それから、附属の配付資料といたしまして、「食品の安全確保に関する取組」、それ から「食の安全・安心のための政策大綱」、「食の安全・安心トピックス」、それから パンフレットですが、「安心を食べてほしいから。見守ってます、食の安全(パンフレ ット)」、「食生活指針について(パンフレット)」、これは小さなものになっており ます。それから「食品安全〔特別号〕(食品安全委員会の季刊誌)」でございます。  このほか岡山県の方で御用意いただきました資料として、「食の安全・安心おかやま 」、「食べ物表示の探検隊」、それから「おかやまの食べものの安全(あんぜん)安心 (あんしん)を知ろう!」という、3つの資料がございます。もし不足等ございました ら、事務局もしくは受付の方までお申し出ください。  それから、本日アンケート用紙というものを用意しております。これは大変申しわけ ありませんが、2種類用意させていただいております。1つは、食品に関するリスクコ ミュニケーション全体についてというもので、もう一つはBSE対策についての意見交 換会についての御意見を伺うものになっております。  皆様には、大変御苦労をおかけいたしますが、今後の意見交換をよりよいものとする ために忌憚のない御意見の方を御記入いただければと思います。お帰りの際に窓口の方 に提出いただければと思っております。  続きまして、簡単に本日の議事進行を紹介させていただきます。  まず、岡山県保健福祉部の宮嵜部長よりごあいさつを申し上げた後、基調講演として 「食の安全性をめぐる現状と取組について」というタイトルで、食品安全委員会の寺尾 委員より御講演いただく予定としております。所要時間は、25分程度ということでござ います。  続きまして、「「健康食品」の賢い選び方」につきまして、独立行政法人国立健康・ 栄養研究所健康影響評価研究室・梅垣室長より御講演いただきます。所要時間は、40分 程度を予定しております。  ここで5分程度休憩をいただきまして、2時20分を目途に「リスク分析の概念を踏ま えた食品衛生行政の取組と健康食品」についてということでパネルディスカッション、 意見交換を行う予定としております。  意見交換の終了後、再度また10分程度休憩を挟みまして、またBSE対策について、 それぞれ食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省より20分程度の説明をさせていただ きます。説明が終了いたしました後、また4時30分ごろを目途に牛海綿状脳症(BSE )対策についての意見交換を行う予定でございますので、よろしくお願いいたします。  なお、会場の都合上、午後5時半ごろには終了させていただきたいと思いますので、 あらかじめ御了承をいただきたいと思います。 2.あいさつ ○司会  それでは、宮嵜保健福祉部長からごあいさつをお願いいたします。 ○岡山県保健福祉部長(宮嵜雅則)  皆さん、こんにちは。岡山県の保健福祉部長の宮嵜でございます。本日は、食品に関 するリスクコミュニケーションの講演会あるいは意見交換会を開催いたしましたとこ ろ、このように大勢の方にお集まりいただきまして、まことにありがとうございます。 県民の皆様の食の安全・安心に対する関心の高さというのを改めて痛感している次第で ございます。  この会は、内閣府の食品安全委員会、厚生労働省、それから農林水産省、それから岡 山市、倉敷市、そして岡山県の6者による共催でございますけれども、内容につきまし ては食品安全行政の取り組みとか、あるいは健康食品、BSE対策というふうに盛りだ くさんになっております。  国立健康・栄養研究所の梅垣先生あるいは食品安全委員会の寺尾委員長代理を初めと いたしまして、それから食品安全委員会事務局、厚生労働省、それから農林水産省の各 省の担当の方々にも御来県いただいております。まことにありがとうございます。よろ しくお願い申し上げます。  食の問題につきましては、私から改めて申し上げるまでもございませんけれども、特 に3年前に国内でBSEが発見されて以来、そのほかの問題としては食のグローバル化 によりまして、輸入食品の安全性の問題とか、あるいは今日もお話あるかと思いますけ れども、いわゆる健康食品によります健康被害の発生とか、あるいは表示の問題、偽装 表示の問題など、さまざまな問題が起こっておりまして、県民の皆さんの食に対する関 心がこれまでになく高くなってきているものというふうに認識しております。  一方、検査とか分析などの科学技術というのが飛躍的に進歩しておりまして、ゼロ残 留というか、検査しても必ずしもゼロではないというような技術の進歩、いわゆる絶対 に安全であるということが非現実的なものになってきているという事実もありまして、 リスクの存在を前提に、それをいかに制御していくかという考え方が世界的にも一般的 になってきているというふうに承知しております。  このような中で、国の方におかれましては昨年の7月に国民の健康の保護が最も重要 という基本理念の食品安全基本法が施行されまして、食品安全行政にリスク分析手法が 導入されたというふうに承知しております。その結果、食品のヒトへの健康影響の評価 は、各省庁から独立して設置されました内閣府の食品安全委員会が行い、その評価を受 けて厚生労働省や、あるいは農林水産省あるいは環境省がリスク低減のための政策とか 管理措置を講じると、これらのすべての過程を通じて関係者の間で情報や意見を相互に 交換するリスクコミュニケーションを実施することになったものというふうに理解して おります。  岡山県におきましては、快適生活県おかやまの実現のために、新世紀おかやま夢づく りプランを策定しているところでございますけれども、この中で暮らしの安全の確保の 重要な取り組みといたしまして、食の安全推進プログラムを位置づけまして、知事を本 部長とする岡山県食の安全推進本部を立ち上げ、生産から販売に至るまでの一貫した食 の安全を確保し、県民の皆様に安心していただけるよう、全庁一丸となってさまざまな 取り組みを行っているところでございます。  具体的な取り組みにつきましては、後ほどのパネルディスカッションの方で担当の課 長の方から御説明申し上げますけれども、1点だけ私の方から申し上げますと、本日の テーマとなっておりますBSE対策につきましては、県民の皆さんの御関心が高いとは 思いますが、岡山県では県民の皆さんの、特に安心を確保するという観点から、17年度 も引き続き全頭検査を継続することとしております。この問題につきましては、せっか くの機会でございますので、各地方自治体の取り組みがばらばらになることが国民全体 に不安を与える結果になるという点を十分に御認識いただいて、国においてリーダーシ ップを発揮して取りまとめていただきますよう、この場をおかりして国の方にお願いさ せていただく次第でございます。  最後になりますが、本日は基調講演、パネルディスカッション、それから会場の皆さ んを交えての意見交換が行われるというふうに聞いております。この機会に食の安全に 関する御理解を深めていただきますとともに、率直な御意見をいただければ幸いでござ います。県といたしましても、御参加の皆さんの御意見を今後の食品安全行政に反映さ せてまいりたいというふうに考えておりますので、活発な意見交換が行われますように お願い申し上げまして、ごあいさつとさせていただきます。本日はよろしくお願い申し 上げます。(拍手) ○司会  ありがとうございました。 3.基調講演「食の安全性をめぐる現状と取組について」 ○司会  続きまして、食品安全委員会寺尾委員より、「食の安全性をめぐる現状と取組につい て」御講演いただきたいと思います。  寺尾委員は、東京大学大学院化学系研究科薬学専門課程を修了され、東京大学薬学部 助教授、国立医薬品食品衛生研究所所長等を歴任され、昨年7月食品安全委員会の常任 委員に就任されております。  寺尾先生、よろしくお願いいたします。 ○寺尾食品安全委員会委員  食品安全委員会で委員をしております寺尾でございます。本日の私の演題は、「食の 安全性をめぐる現状と取組」という、こういう題にさせていただきました。 〔スライド〕  今日の第1部のテーマというのは、リスク分析の概念を踏まえた食品行政の取り組み や健康食品についてということでございます。リスク分析手法のもとで、我が国の食品 安全行政全体の枠組みがどういうふうになっているかというようなこと、それから本日 メーンの話の中心は健康食品ということでございますので、食品安全委員会がこの健康 食品の安全性についてどういうような役割を担っているかというようなことについて簡 単にお話しさせていただきます。  本日は、この目次、一応3つ掲げてございますけれども、この3つについてお話をし たいと思います。 〔スライド〕  まず、我が国における食の安全性確保の基本的な考え方、それからそれに基づきます 安全性確保体制そのものにつきまして、まずお話しいたしたいと思います。 〔スライド〕  食品の安全性確保ということにつきましては、いろいろ世界各国がいろいろな経験を してきてるわけでございますけれども、世界各国といいましても、これは先進国と言っ てよろしいかと思いますけれども、大体各国で考え方がまとまっていると考えてよろし いと思います。考え方としましては、左側の方にございますように、国民の健康保護を まず最優先にするという、そういうようなことが重要であるということ、それから科学 的な根拠を重視する、つまり、科学に基づいて安全性を確保していくということ。それ から、関係者相互、これは生産者もありますし、流通業者もありますし、最終のところ では消費者というものもございますけれども、そういうすべての関係者の間で十分に情 報を交換をして、意思の疎通を図っておく必要があるということ。それから、非常にこ れ重要なことなんですけども、政策決定過程等において透明性を確保すると、物を隠し たり説明をしなかったりとか、そういうようなことはしないで、十分に誰にでもわかる ような体制をとると、こういうような考え方が大体各国、先進国の間では基本的な考え 方というふうになってきております。  それでは、こういう考えに基づいて、どういうふうにして食の安全を確保したらいい かといいますと、一つはリスク分析、多分皆様方もうこれは1年以上ぐらい前からリス ク分析、リスク分析と言っておりますので、御存じの方もいらっしゃるかもしれません けども、余りこれまで聞きなれない言葉でございますけども、このリスク分析手法とい うものを用いて食の安全性を確保するということ。  それからもう一つは、農場から食卓までの一貫した対策をとると。つまり、これは何 かというと、我々が消費する段階において食べ物が安全であればそれでよろしいという 話ではありませんで、一番最初の農場から消費の段階に至るまでのいろいろのステップ におきまして、常に各ステップにおいて食の安全性を確保する必要があるというふう な、そういうような安全性の確保の手段を講ずる必要があるということであります。 〔スライド〕  そういうことで、先ほど宮嵜部長の話にもございましたけども、昨年の7月に食品安 全基本法というものが日本では施行されまして、これが日本の食を守るための基本的な 法律ということになります。この法律の基本的な理念というものは幾つかございますけ ども、その主なものはここに上げた3つでございまして、1つは先ほども申し上げまし たけども、国民の健康保護が最も重要であるという基本的認識のもとに必要な措置を実 施するということ。それから、食品供給行程の各段階において安全性を確保する。それ から、国際的な動向、国民の意見を十分に配慮して、科学的な知見に基づき、必要な措 置を実施するという、これは国際的に合意が得られております考え方が盛り込まれたよ うな食品安全基本法というものが施行されているというわけであります。  具体的に、それではどういう手段でやるかといいますと、それは先ほど申し上げまし たようなリスク分析手法を導入するということでありまして、このリスク分析手法とい うものをこれから少し御説明申し上げます。  ついでに申し上げますと、我々が属しております食品安全委員会というのは、この基 本法の中でこういうものを設置しろと、それからその中でリスク評価を行うということ がうたわれておりまして、そういうような食品安全委員会が設置されたということであ ります。 〔スライド〕  それでは、食品の安全に関しますリスク分析とは一体何なんだということになります けど、その前にリスクとは何かということを明確にする必要があると思います。食品に 関するリスクといいますものは、食品が含んでいる危害、これは病原微生物でも重金属 でもBSEでも何でもいいんですけども、異常プリオン、でも何でもいいんですけど も、とにかく我々が食品から食べてしまって健康に被害が出るというようなもの、危害 ですね、そういうものを食べてしまったとき、どのくらいの確率でまず健康を害するか と、100人に1人なのか、1,000人に1人なのか、1万人に1人なのかっていう、そうい うような確率ですね。それと、どの程度その害というものが重篤かというか、重いもの であるかということです。ですから、がんになるとか、あるいはクロイツフェルト・ヤ コブ病になるとか、あるいは単に下痢をして二、三日すればすぐ直ってしまうとか、い ろいろあるわけですけれども、その程度ですね、この2つでもってあらわすことができ るものがリスクであるということでありまして、リスク評価というものはこの確率と程 度をどの程度かっていうことを科学的な根拠に基づいて調べるものであるということで あります。  ただ、リスク分析というのは、それでは何かという話になるんですけども、リスク分 析というのはただ単に確率がどのくらいでどの程度重篤なものかというものを検証する だけではありませんで、可能な範囲でその悪影響の起きるリスクを回避または最小にす ることを目的として実施するシステムであると、つまりただ単に評価をするだけではな くて、それをいかにして回避または最小にするかという、そういう何ていいましょう か、リスク管理あるいは行政施策と言ってもいいかもしれませんけど、そういうことを 実施するシステムと言えると思います。ですから、リスク分析というのはリスクの評価 と、それから管理、さらにもう一つはここに……。 〔スライド〕  ここにリスクコミュニケーションというのがございますけれども、この3つ、リスク 評価と、それからリスク管理とリスクコミュニケーションのこの3つのプロセスからで き上がっているものであるというふうに言われております。  このリスク評価というのは、私ども食品安全委員会がもっぱら、国におきましてはも っぱら担当する部分でございまして、リスク管理というのは厚生労働省あるいは農林水 産省が中心になって行うものであるということです。リスクコミュニケーションという のは、それぞれリスク評価をしてその結論を得た根拠は何かとか、どういうような結論 を得たのかという、そういうようなことを国民一般にちゃんと説明をして、それにつき ましての意見を聞くと、十分にそういうような情報を共有することを行うということ。 それから、リスク管理は当然、これはリスク評価に基づきまして、科学的なリスク評価 の結果に基づきまして、それではそのリスクをいかにして回避するか、あるいは低減す るかということでございますから、どういう考えのもとにどういう措置をすることを決 定したかとか、そういうことを十分に説明をして意見をやはり聞くということでありま す。ですから、リスク分析というのは今申しましたように、この3つのプロセスから成 り立っているものであると。今日私どもがここでお話ししているのも、このリスクコミ ュニケーションの一環という、そういう形になります。 〔スライド〕  これは国全体の食品の安全、昨年の7月からスタートいたしました食品安全行政全体 の枠組みでございまして、食品安全委員会、それから厚生労働省、農林水産省がこうい う三角形の関係といいましょうかね、こういうようなお互いに連携を取りながら十分に 安全性を確保していくということになります。 〔スライド〕  私は、食品安全委員会の人間ですので、食品安全委員会のことばっかり言いますけれ ども、食品安全委員会というのは委員会があって、その下に専門調査会というのがござ います。これは全部で16専門調査会がございます。今日のキーワードの一つであります 健康食品というのは、この専門調査会のうちの新開発食品というところで安全性の評 価、リスク評価とも言って構わないわけですけども、それが行われるということであり ます。  それで、健康食品につきましては何をやってるかという話になるんですけども、結局 これは特定保健用食品という特保というラベルが張ってある健康食品ございますけど も、これにつきましては、すべてのラベルを張ってあるものにつきましてはその安全性 につきましては昨年の7月、我々の委員会ができてからは私どもの委員会の方で安全性 の評価をやっているということになります。それはそれで特保の表示を許可する場合に は、必ず安全性の評価をやるんですけども、そのほかにそういう特保とは関係なくいろ いろの健康食品で我が国で健康の被害が出ているとか、あるいは出る可能性がある、あ るいは外国で被害が出てるということが知られているとか、そういうような健康食品が 出回ることがありますけれども、そういうような場合は大体厚生労働省の方からそのも のについての安全性評価を諮問という形で受けまして、私どもで評価をするということ になります。ただ、厚生労働省から諮問を受けるものしか私どもは評価しないかという と、そういうわけではありませんで、あるいは私ども独自に健康食品で必要があれば、 安全性の評価をすることもあり得るということであります。 〔スライド〕  その健康食品で、食品添加物もここに一つ入ってますけども、これは最近の話題にな ったことについて申し上げますけども、健康食品と食品添加物につきまして最近話題に なったことについて申し上げます。 〔スライド〕  これは、もう1年ぐらい前の話になりますけども、健康食品でアマメシバという植物 の粉末あるいは粉末を錠剤にしたもの、こういうものが売られておりました。これは熱 帯産の植物でありまして、日本では沖縄で栽培が可能であるということで、沖縄の方で 栽培をして粉末にして健康食品として売っていたということなんです。そうしましたと ころが、鹿児島大学の医学部と名古屋大学の医学部の方でこれを粉末あるいは錠剤、こ れは乾燥して粉になってますから、わあって飲みますと、こういう植物としてはかなり 一遍にたくさん摂取することになるんです。そういう毎日のように大量のアマメシバと いう植物を食べていると、閉塞性細気管支炎という、これは非常に珍しい病気なんだそ うですけども、これになるという可能性があるということに気がつきまして、厚生労働 省の方に連絡が入りまして、厚生労働省の方から私どもの方にこれの安全性の評価の依 頼が参りまして、これにつきましては因果関係があるんではないかということを見つけ ました鹿児島大学と名古屋大学の医学部の先生においでいただきまして、いろいろお話 をいただきいろいろ議論して、結局結果といたしましてはこれは因果関係は否定できな いという、実際にこれは被害が出たわけですから、因果関係は否定ができないという判 断をいたしました。その旨を厚生労働省の方に答申という形でお返ししまして、厚生労 働省はアマメシバの粉末の販売または流通を禁止という措置をとったということです。 ですから、これは少しぐらい食べても別にどうっていうことはないんだろうと思います けど、とにかく大量にこういうものを食べる健康食品のような形で大量に食べるような ことはストップをかけたという例であります。 〔スライド〕  次が皆さん御存じだと思いますけど、コンフリーっていう植物がありまして、これは もう四、五十年前に日本に入ってきまして、これは非常に健康にいいんだということが 言われまして、家庭菜園とか野原とか、そういうとこにもたくさん生えておりますけれ ども、そういうものであります。これにつきましては、日本では別に何も害が出たわけ ではありませんけれども、外国におきましてコンフリーを含んだ健康食品と、粉末か何 かになっているんだろうと思いますけども、これを摂取していると肝静脈閉塞性疾患に なるというような報告が幾つか出てまいりました。アメリカのFDAとかドイツとか、 たしかオーストラリアか何か、いろいろな国でこれにつきまして規制を慌ててし出した ということがありまして、日本でも厚生労働省が今度はコンフリーの粉末なんかを健康 食品で日本売ってるだろうかということを調べたところが、これはどうやらインターネ ットで日本でも出回っているということがわかりまして、それでやはり厚生労働省から 私どもの方に安全性の評価が参りました。このコンフリーっていうのは、ピロリジジン アルカロイドという、こういうアルカロイドがありまして、これは少しぐらいはどうっ てことないと思いますけども、ある程度アルカロイドを摂取しますと健康を害するとい うことは前からわかっていたものなんです。いずれにしましても、そういうものは日本 でも売られていること、外国でそういう健康被害が出ているということがわかりまし て、私どもはこれはやはり健康被害が生ずる可能性が否定できないということで答申を 出しまして、それに基づきまして厚生労働省の方の委員会の方で最終的に、これはやは り販売を禁止するというふうな措置がとられていると思います。 〔スライド〕  次は、これは健康食品ではないんですけど、ついでに申し上げますとアカネ色素とい うやつで、これは昔から日本にあります色素でありまして、よく日本では好んで使う色 素ですけども、これも一応食品にも使っていいということになっていたんです。最近に なりまして、これは国立医薬品食品衛生研究所の方で動物実験やりましたところが、こ れはどうやら腎臓にがんができるという、大量に投与した場合ですけれども、とにかく 大量といえ腎臓にがんができるということがわかってきたということで、厚生労働省に その報告が行きまして、私どもの方に安全性の評価につきまして諮問がございまして、 やはりこれもいろいろこの研究をなさった先生においでいただきましてお話を伺い、結 局これはやはり発がん性があるということは間違いないということになりまして、その 旨を答申をしております。その答申を受けまして、厚生労働省の方の委員会で薬事・食 品衛生審議会だろうと思いますけれども、そこでこれは既存添加物の名簿から削除した 方がいいということで製造・販売・輸入を一切禁止したということがございます。  この間、実は先週ですか、私は北海道にやはりこのようなリスクコミュニケーション へ行きまして、帰りの空港で何かお土産はないかってきょろきょろしてましたら、そし たらお土産屋の店のところにアカネ色素の新聞の記事とともに、当店ではアカネ色素は 一切使っておりませんというようなことが書いてありまして、ああこれがあれなんだな っていうふうに思いましたけれども、今赤い色素でもうこれを使っているものはないと 思います。 〔スライド〕  これ、最後のテーマになりますけれども、食品安全委員会のこれまでの活動実績とい うことでございます。 〔スライド〕  リスクコミュニケーションについてどういう取り組みをやってきているかといいます と、いろいろなことやってるんですけども、一つは委員会は原則公開であるということ でありまして、どなたでもおいでいただいて傍聴なさることができるということであり ますけど、まさか岡山からわざわざこの委員会の傍聴においでになる方もおいでとは思 いませんけれども、議事録は必ず私どものホームページに載るようになっておりますの で、議事録はごらんになることができます。  それから、今言いましたのは安全性評価、リスク評価を行いますと、その評価結果を 最終的に決める前に、必ずその結果を公開しまして、それでパブリックコメント、一般 からいろいろな御意見をいただくということをやっております。これは4週間期間があ りますので、どうか私どものホームページをごらんになりまして、気がついたら意見が ある方はどしどし意見をお寄せいただければ幸いであります。  それから、あとはこのような意見交換会、いろいろなスタイルがありますけども、私 ども独自でやる場合もありますし、厚労省、農水省、それから私どもと3省一緒になっ てやることもあるし、本日のように県とか、あるいは市と共催という形でやる場合もあ ります。とにかくこういうような意見交換会を開催しているということ。  それから、食の安全ダイヤルというものを設置してございまして、電話番号ここにご ざいますけれども、何かいろいろな御意見あるいは御質問がありましたらば、是非ここ に電話をしていただきまして何でも御連絡いただければ幸いです。ただ、もしかしたら その御質問の内容が食品安全委員会がお答えするのではなくて、厚労省あるいは農水省 がお答えするようなものである場合には私どもの方からそちらの方にその御質問をお回 しいたしますので、どのような質問でも結構でございますので、是非お願いいたしま す。これがリスクコミュニケーションの取り組みということでありまして……。 〔スライド〕  ここに今、本日のキーワードの新開発食品、これ健康食品でございますけども、現在 安全性評価、安全性の部分だけですね、私どもが評価をするのは。その部分の諮問を受 けているのが46品目ございまして、しゃかりきにやりまして今のところ28まで評価が終 了して、これは諮問という形で受けたものは答申という形で厚労省の方にお返ししてる ということであります。ですから、厚労省の方は私どもの安全性評価を受けて、それを 考慮に入れて最終的にその健康食品につきましてどういうふうに判断するかということ を厚労省の方の審議会の中で決定をしていくと、そういう形になっております。  私のお話は以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手) ○司会  寺尾先生ありがとうございました。 3.基調講演「「健康食品」の賢い選び方」 ○司会  続きまして、独立行政法人国立健康・栄養研究所梅垣室長より「「健康食品」の賢い 選び方」についてお話しいただきます。  梅垣先生は、静岡薬科大学大学院薬学研究科博士課程を修了し、平成13年5月に独立 行政法人国立健康・栄養研究所食品保健機能研究系食品表示分析・企画研究部健康影響 評価研究室長に就任され、現在に至っております。  では、お願いいたします。 ○梅垣(独)国立健康・栄養研究所健康影響評価研究室長  皆さん、こんにちは。独立行政法人国立健康・栄養研究所の梅垣です。今日私がお話 しさせていただくのは、「健康食品」の賢い選び方」ということで約40分の予定でお話 しさせていただきます。 〔スライド〕  本日は、3つの項目についてお話しします。  まず、保健効果を期待させる食品の種類とその内容です。その中には厚生労働省が認 めている保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品があります。次に、「健康食品 」に関する基本的な事項。いろいろな情報が出ているのですが、基本的な事項がどうい うことかということをお話しさせていただきます。それから、3番目に健康食品の安全 性・有効性情報ネットという厚生労働省と私どもの研究所で作りました情報のデータベ ースについてお話しさせていただきます。  では、まず、最初に健康食品を取り巻く状況の話です。その現状を絵にしてみまし た。タケノコのように出ているのが、これが健康食品と思ってください。今の健康食品 を取り巻く現状は、不確かな食品成分に関する情報の氾濫という問題があります。マス コミ、雑誌、テレビなどで雨のように流されています。一方、私たちはわかっていても なかなかきっちりした食生活はできないという問題があります。それが土壌、土の方で す。このような2つの条件が重なって、健康食品というのが注目され、いろいろな健康 食品が出ています。  これの対策としては、行政では摘発、公表というように、このタケノコの頭を切って 取り除くというようなことを行っていましたが、それではなかなか追いつかない。正し い情報と伝えと食生活の乱れを正しするという2つのことを行えば問題は解決すると考 えられるということです。 〔スライド〕  では、健康食品と言っても、いろんな食品がありますが、保健機能を期待させる食品 の具体的な現状はどのようになっているかを見てみます。まず期待させる作用に科学的 な根拠がないというのが非常に大きいです。試験管内の実験、それから動物実験のデー タをそのままヒトに外挿しているという問題があります。試験管内の実験、動物実験と いうのは、ヒトに対して実験するときの途上というか、その途中段階のデータなんで す。どこが問題かというと、ヒトがどれだけの量を摂取し、どのように摂取すれば期待 する効果が得られるかということが動物実験では全くわからないことです。  それから、体験談というのが非常に多く、体験談のみを利用しているという問題があ ります。これは全然科学的ではありません。次に、原材料のイメージのみを前面に出し ているという問題。要するに、過酷な環境で育つような植物からとったものだから、何 か効果があるということです。私たちは何となく興味を持ってしまうのですが、これも 全然科学的根拠がありません。  それから、価格と効果が一致しないという問題。高ければ何か効果があるというよう に私たちは思ってしまうんですが、それは間違いです。価格と効果は一致していませ ん。  それから、品質の問題です。例えば悪質なケースは、医薬品を添加したものもありま すし、安全性がしっかりしてないものがあります。こういうのが健康食品の情報として 流されているわけです。一般の消費者の方にとっては、こういうことがよくわからな い。結局情報がしっかり出てないからわからないという状況になっているわけです。 〔スライド〕  では、保健効果を期待させる食品の種類はどのようなものがあるかを紹介します。私 どもの方では3つに分けられると思っています。1つは、厚生労働省が表示を許可して いる食品で、特別用途食品という人形マークがついたものがあります。乳児用の粉乳な どがあります。それから、保健機能食品。この中に特定保健用食品というものがありま す。これは人が背伸びをしたようなマークがついている食品です。これらは、厚生労働 省が有効性と安全性を評価しています。  もう一つは、日本健康・栄養食品協会が、JHFAマークという、このようなマーク をつけた食品を健康食品として認めています。これは品質の保証をしています。食品と いうのはやはり安全であって初めて私たちは食べられるのです。その安全性に関係する 品質の保証をある規格を決めて認めている商品です。  以上の2つはそれなりに評価できます。それ以外のものが非常に多いですが、それら は整理できてない、または整理しにくいです。どこも認めてないもの、それから中には 医薬品を添加しているような悪質なものの事例もあります。 〔スライド〕  では、健康食品という今日のタイトルですが、健康食品とは何かということを説明し ますと、これには行政的には明確な定義はありません。今まで、行政はこの健康食品に いわゆるという言葉をつけていました。ただ、健康食品というのをかぎ括弧をつけて、 最近「健康食品」をこういうものですよ、という目安を示しています。健康食品という のは、健康に何らかのよい効果が期待できる食品が該当するわけです。これは昔から変 わりません。その中で、かぎ括弧つきの「健康食品」というのは、厚生労働省が認めて います保健機能食品と、それから一般食品に分類される、いわゆる健康食品、この2つ を総称して「健康食品」と言うという考え方が示されています。  保健機能食品というのは、特定保健用食品。これは食品ごとに個別評価される食品 で、こういうマークがついています。先ほど寺尾先生の話にもありましたが、食品安全 委員会で安全性が評価されているものです。  それからもう一つは、栄養機能食品というのがあります。これは規格基準型といっ て、ある規格にはまっていれば認めようという食品です。ただすべて認められるのでは なく、食品に含まれる成分ごとに分けられています。現在、許可されているのはビタミ ン12種類とミネラルの5種類だけです。それ以外のものは、栄養機能食品と称してはい けないということです。  食品というのは、やはり表示が問題ですが、機能表示をすると医薬品的な話になりま すので、それは基本的には認められていません。ただ、例外があり、それが保健機能食 品です。こちらの一般食品に分類される、いまだにいわゆるという言葉をつけてよんで いる「いわゆる健康食品」については機能表示、何らかの効果があるという機能的な表 示は認められていません。 〔スライド〕  では、実際に保健機能食品はどういうものかというのを説明します。まずこちらに医 薬品があって、こちらに一般食品、この中に先ほど言いました行政は認めていない一般 食品に分類される「いわゆる健康食品」があります。この間を埋めるものとして保健機 能食品があります。これは食品ごとに個別に評価する特定保健用食品と規格基準型の栄 養機能食品です。特定保健用食品には、このマークが必ずつきます。これは厚生労働省 への審査が必要であるという食品です。栄養機能食品は、厚生労働省への届け出や審査 は必要なくて、ある規格に当てはまっていれば保健機能食品と称して販売していいとい うことになっているんですものです。一般の方には非常にわかりにくいと思います。国 が審査しているのはどれかというと、このマークがついているのはしっかり審査をして いるものというように区別するのが容易だろうと思います。 〔スライド〕  では、特定保健用食品について具体的に説明します。特定保健用食品はこのマークが 必ずついています。定義は、食生活において特定の保健の目的で摂取するものに対し、 その摂取により当該保健の目的が期待できる旨の表示をする食品です。特徴としては、 食品の3次機能に着目している食品です。食品には、3つの機能があると言われていま す。まず第1に、栄養機能。1次機能で生命維持の機能です。それから、2次機能とし て味覚、食事を楽しむという機能があります。それから3次機能があります。これは日 本の1980年代の半ばごろから大学などで盛んに研究されている分野で、体調調節作用が 食品にあるということです。そのような食品の3次機能に着目したのが特定保健用食品 です。 〔スライド〕  一般の方が思われている健康食品や機能性食品と特定保健用食品のどこが違うかとい うのを説明します。一般の方が健康にいいと思われている食品は外の大きな輪だとしま すと、特定保健用食品はこの中の一点であると考えていいと思います。他の食品との違 いは、先ず特定保健用食品には保健作用の科学的根拠があるということです。それか ら、2番目にヒトにおいて有効性や安全性が評価されている。動物実験、試験管内の実 験だけで効果があるということは言っていません。それから、当該食品でも検討してい ます。要するに、いろんな食品の形態がありますが、それぞれの食品の形態で評価され ているということです。それから、摂取量の目安がある。どれだけ摂取すれば期待する 効果が得られるかということです。大まかに分けてこういう4項目がそれなりに評価さ れているということです。ですから、ほかのいろんな一般の方が何らかの効果がいいと 思われている食品と特定保健用食品はこの4項目で明らかに違う、区別してもいいとい う考えです。 〔スライド〕  では、栄養機能食品というのはどういうものかということを次にお話しします。 〔スライド〕  栄養機能食品というのは、目的は身体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な栄養 成分の補給・補完ということです。要するに、足りないものを補うという考え方で作ら れています。栄養所要量というのがあります。ヒトがどれぐらいビタミン、ミネラルを 摂取したらいいか、健康的な生活を送るのにどれだけの量が要るかという、栄養所要量 というのがあります。栄養機能食品の下限値は、栄養所要量の3分の1を満たす量、要 するに3食分の1食分の量以上ということです。一方、上限値は、安全性などを含め、 必要以上の過大な栄養成分を含まないような考えで設定されています。要するに、栄養 機能食品の定義は栄養成分の補給・補完であって、過剰に摂取するというものではあり ませんので、上限値は若干低く設定されています。重要なことは対象成分です。どのよ うなものに対して栄養機能食品と称していいかというと、ビタミンの12種類です。ビタ ミンには13種類あります。ビタミンK以外のビタミンは、すべて栄養機能食品の対象成 分になっています。それから、ミネラルとして鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、 銅の5種類のミネラルのみ栄養機能食品の対象成分になっています。  要するに、このビタミンの12種類と5種類以外のものは、栄養機能食品の対象成分で はありません。後で御紹介しますが、パッケージに栄養機能食品とラベルして、中身は 全然違うものが入っている商品も今出回っています。基本的な考えは、ビタミンの12種 類とミネラルの5種類以外は栄養機能食品の対象成分ではないということが重要です。  なぜビタミンの12種類とミネラルの5種類かというと、ヒトにおけるデータが非常に 多いです。栄養所要量が設定できている成分ですから、ヒトがどれだけ摂取すればいい かという必要量がわかっています。科学的なデータが非常に蓄積していると、ここに書 いていますが、許可成分はヒトにおける有効性・安全性の科学的根拠、科学的情報が非 常に多い。だから規格基準を定めて流通させることが可能なわけです。 〔スライド〕  先ほどお話ししました栄養機能食品の表示に関する問題です。ボトルに保健機能食品 (栄養機能食品)と表示し、何とかエキスとか、栄養機能食品の対象成分ではないもの をラベルの前面に出して販売しているものがあります。これが問題なのは、消費者の方 がこういう商品を見て何とかエキスというのは栄養機能食品の対象成分だと思ってしま うのです。でも、実際は全然違います。もっと間違いやすいのは、巷で何かに効果があ るという成分をここの全面に出しているものです。そうすると、よく食品のことを知っ ている人でも、その成分は栄養機能食品の対象成分になっている誤認してしまいます。 こういう非常に消費者を惑わすような商品が出回っているという問題も現在あります。 〔スライド〕  次に、「健康食品」に関する基本的な事項についてお話しします。 〔スライド〕  これは安全性に影響するいろんな因子があることを示したスライドです。普通の食品 は、普通の方にとってはそんなに有害なものではないと思います。もともとの成分自身 には有害な作用がなく、それほど健康障害を心配することはない。ただし、いろんな因 子が影響すると健康障害を心配しなければいけないことになります。例えば、利用方法 の問題、長期間、大量に目的外の利用をすれば、普通の状態では何ら問題はなくても健 康障害が起こる場合があります。  先ほど寺尾先生がお話しされましたアマメシバというのは、やせの目的で大量に長期 間摂取したのです。アマメシバはマレーシアでは食材として食べているという記録もあ ります。それで普通の人は安全かもしれないのですが、利用目的がやせる目的で大量に 長期間摂取して、あのような細気管支炎という障害を起こしたと想定されています。  それからもう一つは、利用者側の要因です。感受性の高い人、高齢者、乳児、妊婦、 アレルギー体質の人、病人などの身体機能が低下した人では、普通の人では全然問題な くても、健康障害が起こる場合があります。  それから、品質の問題があります。不純物、有害物質が混入していること。もともと の作用を期待する成分は有害なものがなくても、製品を造るときに有害物質が混入して くると健康障害が起こる場合があるということです。  それから、医薬品や食品成分との相互作用の影響があります。例えばセント・ジョー ンズ・ワートというハーブの一種の西洋オトギリソウですが、これは医薬品と相互作用 することがよくわかっています。健康食品を利用する人は、何らかの健康に不安がある 人、病気を持っているような人もいますから、そういう人が安易に健康食品と医薬品を 併用すると健康障害を起こす場合があるということです。  それから、不確かな情報の影響というのを入れていますが、例えば全く科学的な根拠 がないような情報が流れて、その情報をもとに消費者が目的外の利用をしたり、大量の 摂取をしたりすると健康障害が起こってしまうという例があります。昨年、問題になり ました雪茶といって中国のお茶がありますが、それはやせに効くという情報が流され、 それを大量に摂取した人が健康障害を起こしたという事例があります。要するに、不確 かな情報がいろんなところに波及して健康障害を起こすような問題になるということで す。雪茶というのは、中国で飲んでいてそれほど問題はないのです。だから、普通の飲 み方をすればいいんですが、不確かな情報が出てきて、それが使い方を変えてしまう と、大量に長期間利用するということになり、健康障害が起こってしまうということに なります。 〔スライド〕  基本的にいろんな情報が流されていますが、有効性情報と安全性情報というのを対比 して考えてみますと、有効性情報はデータの信頼性がまだよくわからないことが多い。 情報が積み重なってきて初めて何らかの効果が期待できるというふうに考えてもいいと 思います。特に食品の場合は医薬品と違いますから、それほど効果があるというものは 恐らくないと思います。効果がマイルドだから食品として流通しているということがあ ると思います。ですから、有効性情報はそれほど過大な期待をしないで見るというのが 必要だと思います。一方、安全性の情報、害がなかったというのではなくて被害が出た という情報ですが、そういう情報は非常に重要です。例えば1,000人に1人でも健康障 害を起こしたら、それはそのような人にとっては重大なことですから、私たちは注目し なければいけないと思います。こういう情報は、普通は信頼できる公的機関から発表さ れるのが多いです。一方、有効性情報、何か効果があったという情報は、新聞とか雑誌 で出ますが、話半分程度に聞いておいてもよいと思います。 〔スライド〕  よく健康食品で体験談というのが出されています。体験談のどこが悪いかというお話 をします。これは科学的ではないのです。要するに、赤の人が効果があったと言ってい る人、ほかの人はわからない。例えばこれが10人に1人の割合だったら、まあ食品だっ たら効いているのかと思えますが、この母集団が1万人だったとします。1万人の摂取 者の1人だけの体験談であったら、これはほとんど効かないと思ってもいいと思うので す。そういう意味では、体験談の問題点というのは何人中何人に効果があったというこ とが全く明確になっていません。ですから、よくわからないことになります。それか ら、本当に摂取した物質の影響かというのもわからない。体験談をよく調べますと、例 えば医薬品を用いた治療も同時に行っていたという話があります。そういう意味で、い ろんな情報が出ているのを注意して見ていただければ、私が話したことを納得して頂け ると思います。要するに、体験談はよくわからない。ですから科学的な方法で検討する 必要があるということです。  では、どのような方法で検討するかというと、通常行っているのは摂取する人とその 対照者、摂取しない人を分けて調べます。そのときの研究というのは、例えばこの2グ ループの人を性、年齢、食生活などでバランスよく振り分ける。それから測定する条 件、同じ人が同じような方法で測定しないと、値はもうばらばらになります。そういう ことを踏まえて摂取者とその対照者で結果を比較します。結果に影響するいろんな因子 も考慮しながら、摂取したものの影響に有意な効果があったかを判断します。健康食品 についてもこのように評価しなければいけないということです。 〔スライド〕  いろんな科学的な情報があります。科学的な実験には、試験管内の実験、それから動 物実験、ヒトの実験があります。試験管内の実験、動物実験は、何度もできますから再 現性はいいわけです。でも、それはヒトの実験をする前の途中の段階のデータなので す。最終的には、やはりヒトで検討しなければいけない。なぜかというと、ヒトにおけ る有効性を判断するにはヒトでどれぐらいの量を摂取して、どのように使えば期待する 効果が得られるかということがわからなければいけないわけです。そういう意味では、 食品でもヒトの試験がある程度必要であろうということです。でも、その前には動物実 験とか試験管内の実験がきっちり行われて、初めてヒトの実験ができるということも認 識しなければいけないと思います。 〔スライド〕  科学的な研究という話をしましたが、では科学的な研究論文についての実情を御紹介 します。  ある研究をすると、研究をした人は科学論文を書きます。それがいろんな雑誌に出て きます。そのとき、何か効果があったという論文は学術論文として雑誌に掲載されやす いです。効果がなかったというのは、なかなか学術論文にはなりにくいという状況があ ります。ですから、既に論文になる段階でかなりスクリーニングがかかっていることを 私たちは理解しなければいけないと思います。例えば、ヒトの実験で一論文何か効果が あったという情報が出たとしても、それはどの程度の信頼性があるかというのは、まだ 疑問です。重要なことは、こういう論文が積み重なって複数の情報が集まって初めて、 これは真実に近いと判断できるものだと思います。ですから、新聞とかテレビで何か新 しい発見があったという情報が出ますが、食品に関してはネガティブなデータは論文に なりにくいという背景もあるということを理解しながら、私たちはその情報を見ていか なければいけないと思います。 〔スライド〕  最近、健康食品の場合は錠剤とかカプセル剤が非常に多いです。食品で形態をしたも のとカプセル剤の形態の性質を比較してみます。食品の形態をしたものは毎日同じもの を摂取するのはなかなか難しいです。ボリュームがありますから、量的にも食べられな いということです。ですから、過剰摂取に伴う問題も非常に少ないし、それほど心配し なくてもいい。一方、錠剤やカプセル剤になっていますと、容易に過剰摂取できます。 例えば健康食品は食品に分類されていますが、医薬品に近い形態ですね。そういうもの でもやはり消費者の人は食品イコール安全というような考えで過剰摂取してしまい害が 起こることがあります。こういう錠剤、カプセル剤が全部悪いわけではなく、例えばビ タミン、ミネラルの場合は量的に食べられない方もいらっしゃるわけですから、そのよ うな方にとっては、非常にそのような形態のものはよいものです。要するに使い方を考 えて対応する必要があるということです。 〔スライド〕  特に野菜などで、疫学調査である野菜を摂取している人は病気になりにくいという情 報がよく出てきます。これは科学論文で出ているわけです。その中から、例えば野菜に 含まれるある成分を取り出したサプリメントが販売され、それにも野菜と同じような疾 病予防効果があるというように一般には思われています。しかし、これは誤りであり、 科学的根拠のあるのは野菜や果物を摂取したときの実験データです。野菜や果物の中に 含まれるある成分を濃縮したものをサプリメントで摂取したときの疾病予防効果がある というわけではありません。 〔スライド〕  摂取量と生体影響の関係です。私たちはいろんなものを摂取しています。横軸は摂取 量で、縦軸は生体影響です。あるものを摂取すると何らかの効果、いい効果も出てきま す。でも、摂取量が増えてくると、やはり有害な反応も出てきます。ですから、有効性 のカーブは下がってくる。有害な反応は例えば下痢とか、発疹というものから臓器障害 を起こすなど、こういう幾つものカーブがあるわけです。このようなことを考えると、 私たちが普通の食材として摂取してなぜ安全かというと、せいぜい食べてもこの辺の摂 取量なのです。害が出るほどは食べられないということが背景にあるわけです。食品中 には、いろんないい成分があります。わかっている成分は、わずかだと思います。わか ってないから、多くの研究者が食品のいろんな研究をするわけですよ。そのようなこと を考えますと、本来食品の中には多くの有効な成分が含まれています。一つの成分とか 一つの効果のみに着目すると全体のバランスが崩れてしまいますし、本当に必要な未知 の成分は摂取できません。だから、基本的にはやはり食材として必要な成分をとってい くのが安全な方法であろうと考えられるわけです。 〔スライド〕  それから、健康食品の使い方です。私たちは安易に特殊な食品を選択していますが、 まず原因がどこにあるかというのを考えなければいけない。この絵でします。この女性 の方がストレスを受けている。大体ストレスを受けると胃に障害が出てくる。よくある のは、友達がこの健康食品がいいよといって勧められる。それを摂取する。この健康食 品というのは、私たちの体にとっては異物ですから、肝臓で解毒、代謝しなければいけ ないです。そうすると、この人は胃が悪くて、この健康食品を利用したのですが、肝臓 が悪くなる。もう一つ肝臓にいい健康食品を利用する。次に、結局いろんな毒物を排泄 する腎臓にも負担がかかってくる。そうすると、腎臓にいい健康食品を利用する。だん だん健康食品の数が増えてくるということになります。健康食品利用している方のいろ んな調査がありますが、1個だけじゃなくて複数の健康食品を利用しているという結果 があります。何が問題だったのかというのをまず考えるべきだと思います。この場合 は、ストレスがやはり問題なので、安易にこういう健康食品を利用するのではなく、ま ずストレスを除去するということを考えるべきなのです。私たち安易に特殊な食品を選 択するのですが、原因を除去することをまず考えなければいけない。これが健康食品の 利用のときの考え方だと思います。 〔スライド〕  こういう状況を踏まえて、厚生労働省と私どもの研究所で「健康食品の安全性・有効 性の情報ネット」という情報データベースを作っています。 〔スライド〕  先ほどお話ししました基本的な事項があるのです。専門家や医師の方、薬剤師、栄養 士、それから食品などの制度の専門家の方がいます。こういう専門家の方が考えている ことと一般消費者の方が考えていることには、かなりギャップがあるわけです。行政が こういう健康食品は摂取してはいけないとか、問題ですよと言っても、なかなか情報が 伝わらない。このギャップを何とか埋めないと、幾ら行政側がいろんなことをやって も、なかなか消費者の方に伝わらないということです。 〔スライド〕  私たちは、健康食品の情報ネットワークを作ることを考えています。この考え方は、 基本的に、こういうネットワークのグループを作りまして、現場のいろんな専門職の方 と情報交換をする。双方向型のネットワークを作るということを考えています。この基 本となるのは、きっちりした食生活を考えてネットワークを作る。それで、専門職の方 を介して情報を個別に伝える方法がよいという考え方です。インターネットでも情報を 提供していますが、文字にすると書き込める量が制限されてきます。でも、現場の専門 職の方が対象者に応じて個別に説明していただければ、きっちり正しい情報が伝わりま すので、こういうことを重視した情報の提供を行っています。 〔スライド〕  基本的にどのようにやるかといいますと、栄養研究所の中にインターネットのホーム ページ2つ作ります。これが一般公開ページです。一般公開ページから消費者の方に直 接情報を伝える。それからこのページを作るのにはいろんな考え方がありますから、や はり専門職の方の力をかりて動かすということで会員のページ、いろんな専門職の方を 集めた会員のページを同時に作っています。この会員のページから、こちらの公開ペー ジをコントロールして新しい情報を入れる。間違ったことが出ていたらそれを訂正して もらうという考えで、この2つのページを作って動かしています。重要なのは、専門職 の方は消費者に近いですから、現場でどのような問題があったか把握できると思います ので、それを会員のページに反映してもらって、一般公開ページに反映する。こういう やり方で動かしています。それから、専門職の方は消費者の方に個別に情報を伝えてい ただく。一方インターネットの公開ページでは消費者に直接情報を伝える。このように 2つのルートで情報を伝えるということを試みています。 〔スライド〕  これが実際に研究所にありますホームページです。既に7月の中ごろに公開していま す。これが一般公開ページで、こちらが会員のページです。全く内容は同じなのです が、こちらは専門職の方が意見を書き込めるようなシステムになっています。 〔スライド〕  このページで重視していることは、基本的には正しい食生活の推進。いろんないい健 康食品が出ても、やはりきっちりした食生活をしないと何の意味もないし、うまく利用 できないということがありますので、正しい食生活というのを考えるということです。 それから、消費者の立場で考えて情報を作成しています。また安全性を重要視していま す。要するに食品というのは安全性の方が重要だという考え方、安全性を重要視して作 っています。  それから、情報は今の時点でわかった情報なので、例えば2年、3年たてば情報は変 わってきます。ですから、現時点で調査できた情報を公開していて、後で新しい情報が 出てきたら更新していくという考えで行っています。それから、専門家から構成する会 員サイトで情報に対する意見募集を行っています。 〔スライド〕  素材データベースが非常に注目されるのですが、素材データベースは個々の、例えば キノコとかイチョウの葉っぱとか、こういう個々の成分には科学論文があるのでこれを 私たちは情報提供しているのですが、一般に出回っている商品ではありません。健康食 品のデータはないのです。ですから、素材のデータと商品のデータっていうのは混同し ないでいただきたいということです。要するに、健康食品の中には1個だけでなく複数 のものが入っていますから、商品となったものの安全性はわからないです。これがわか っているのは、商品を造ったメーカーのみです。たとえ私たちの情報ページに有効性の 素材の情報が出ていたとしても、商品に有効性があるかどうかはわかりません。 〔スライド〕  こういうイチョウ葉っていうのは、非常に今人気があるのですが、イチョウ葉にして もヨーロッパでは医薬品とか、物すごく使われているとかいわれていますが、イチョウ 葉の製品にしてもピンからキリまであるのです。規格がきっちりしているものもあれ ば、全然規格がきっちりしてないものもある。名前だけでは、やはり私たちは判断でき ない。中身を見て、やはり判断しなければいけないというように思います。 〔スライド〕  今日のお話は健康食品の賢い選び方ということですが、選ぶときに商品にいろんな魅 力的な文言があります。このスライドはそういうことを挙げています。9つあります。 もう時間はないので省略しますが、健康食品の安全性・有効性情報の項目の利用に関す る基礎知識のQ&AのNo.6というところに、これが書いてあります。要するに、即効 性だとか万能だとか、驚くべき体験があるとか、それから特許番号があるとか、これは 有効性とか安全性を示す文言では全くないのです。実際にこちらの情報のところを見て いただければ、詳細はわかると思います。 〔スライド〕  健康食品を利用しないということもなかなか難しいですね、消費者の人は、健康食品 を利用したいという要求が高いです。ですから、どういうことに留意してほしいかとい うことを書いてみました。  選択するときは、まず次のことをチェックしてください。バランスのとれた食生活を 行えていますか。本当に必要ですか。商品の品質に問題はありませんか。必要でもない のに利用する場合もあります。こういったことを、まず商品を選択するときに冷静にな って考えてくださいということです。  それから、利用しているときは有効性とともに安全性、注意する点も考えてくださ い。それからまた、バランスのとれた食生活、運動や休養が重要であることを忘れない でほしいということです。それからすべての方に効果が期待できるわけではありません ので、過大な期待はしないでくださいということです。それから、病気の方は医師等の 医療関係者のアドバイスを受けてください。病気の治療に食品を利用するというのは、 基本的には間違いだと思います。やはり病気のときは医薬品を用いた治療が基本です。 病気の人が、利用されるのはいいかもしれませんが、医療関係者の人のアドバイスを必 ず受けてほしいということです。それから、利用中、もし体調に異常を感じたときは摂 取を中止し、必要ならば医療機関を受診し、保健所にも相談してほしいこと、このよう なことをお願いしたいと思います。 〔スライド〕  これが最後のまとめです。私たちは食品ばかりに気を配っているんですが、健康の保 持・増進というのは食べ物も重要ですが、適度の運動もしなければいけない。それか ら、休養もとらなければいけない。この3つのバランスがきっちりして初めて健康が維 持できるわけですよ。ですから、幾らすぐれた食品をとったとしても、運動とか休養を とらないと健康は維持できないということ、こういう全体のことをやはり見詰めなが ら、本当に自分の体に合った健康食品、そういうもの、例えば特定保健用食品など、そ ういうものを使っていただければ、そういう食品がより効果的に利用できるのではない かと思います。  以上です。どうもありがとうございました。(拍手) ○司会  ありがとうございました。  それでは、ここで休憩を設けさせていただきたいと思います。パネルディスカッショ ンの方ですが、午後2時25分に開始したいと思いますので、それまでにお席の方にお戻 りいただけますようよろしくお願いいたします。                  〔 休憩 〕 4.パネルディスカッション・意見交換 ○コーディネーター  それでは、時間となりましたので、パネルディスカッションに移らせていただきたい と思います。  初めに、本日のパネリストについて御紹介させていただきます。  皆様に向かって左手の方、こちらの方から、有識者の代表ということで、先ほど御講 演いただきました食品安全委員会の寺尾委員でございます。  その隣が、同じく先ほど健康食品の御講演をいただきました独立行政法人国立健康・ 栄養研究所の梅垣室長でございます。  そのお隣になりますが、消費者の代表の方ということで、岡山県消費生活問題研究協 議会副会長の佐藤久子様でございます。  そのお隣が、事業者代表の方ということで、株式会社H+Bライフサイエンス開発部 門担当秋庭正典様でございます。  続きまして、行政の代表ということで、内閣府食品安全委員会事務局の一色次長でご ざいます。  それから、厚生労働省大臣官房の松本参事官でございます。  農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室の境室長でございます。  そのお隣が岡山県保健福祉部生活衛生課谷口課長でございます。  本日のパネルディスカッションの進め方ですが、テーマごとに進めさせていただきた いと思っております。  複数のテーマについて御発言等がございます場合には、一度に御発言いただくのでは なくて、それぞれのテーマごとで1回ずつ御発言いただけますようお願いいたします。  また、会場の皆様にも御意見等いただく機会を設けたいと思いますので、その際には 御発言いただく場合、手を挙げていただけますようお願いいたします。  手を挙げていただいた方の方で、コーディネーターからその発言される方を指名させ ていただきます。その場合に、係の者がマイクを持って順番に伺いますので、差し支え なければ御職業などとお名前をおっしゃられた上で御発言いただければと思います。  発言の時間につきましては、大変申しわけありませんが、たくさんの方に一応御発言 いただきたいと思いますので、お一人2分でお願いしたいと思います。  1分半の時点で事務局の方でベルを1回鳴らします。それから、2分の時点で2回鳴 らしますので、1分半のあたりからまとめに入っていただいて、2分で終了していただ けますようお願いいたします。  テーマについてですが、今日は食品安全行政の枠組みと、それから健康食品につい て、それぞれ講演のテーマを設けておりますが、まず先に健康食品のテーマの方から意 見交換をさせていただければと思います。その後、食品安全行政の枠組みについてとい うことで進めていきます。  さらに、最後に全体を通じての意見交換の時間を設けたいと思いますので、そのとき には特にテーマに偏らず、何でも御発言いただければと思います。  それから、本日資料3ということでA4横の紙がございます。これは食品に関するリ スクコミュニケーションにおける事前意見、質問についてということで、本日意見交換 会に参加いただくにあたりまして、参加申込書に事前に聞きたいこととか意見などを記 入いただいたもので。今回、3点がございましたので、これにつきましては中央のあた りに質問の内容というものを紹介させていただくとともに、あらかじめ行政の方で回答 を作らせていただいております。この事前意見の方をまず中心に進めていきたいと思い ます。  それから、冒頭に岡山県におけます食の安全の取り組みということで、谷口課長から 御紹介をいただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。 ○谷口岡山県保健福祉部生活衛生課長  失礼いたします。岡山県の保健福祉部の谷口と申します。よろしくお願いします。  私からは、ただいま御紹介ありましたように、食の安全に関しまして、岡山県におき まして取り組んでおる状況について少しお話させていただきます。  座らせていただきます。  岡山県におけます取り組みでございますが、御承知のとおり平成13年、我が国初めて BSEの牛が発見されまして以来、食品の偽装表示の問題であるとか、輸入野菜の残留 農薬の問題でありますとか、いろんな食に関する事例が頻繁に発生をいたしました。  岡山県におきましては、こういった事例に対しまして、県民の食の安全・安心を確保 するために、庁内各部局を横断した形で全庁的な取り組みを行わなければいけないとい うことから、平成14年9月に食の安全推進本部というのを立ち上げております。  その状況につきましては、お配りしております「食の安全・安心おかやま」というこ の黄色の冊子の4ページから6ページに記載をいたしておりますけれども、この推進本 部におきましては、6本の柱からなります基本方針というものを定めまして、各種の施 策を展開しておりますけれども、また施策の策定に当たりましては、幅広い県民の皆さ んからの意見をいただくという意味で食の安全の対策協議会というものを設置しており ます。これには消費者、生産者あるいは流通加工業者の方、そして学識経験者など約20 名の方から成立しておりまして、いろいろな御提言、そして普及啓発といったことにも 協力をいただいておるところでございます。  それでは、幾つか推進本部を立ち上げましてからの岡山県の施策について御紹介をさ せていただきます。  まず、一番初めに食の安全・安心探検隊の開催というのを実施しております。  これは平成15年度から開催いたしておりまして、消費者の方、特に小学生の親子の方 を対象にいたしまして、生産、流通加工とか販売こういった現場をじかに見ていただき まして、体験を通して食に関する理解を深めていただくというものでございまして、今 までに野菜であるとか牛乳、牛肉、お菓子、それから輸入食品こういったところに参り まして、現場を見ていただきました。いずれも、平素見られないところが見られるとい うことで、大変好評でございました。  次に、2番目に食の安全を考える県民の集いの開催ということをしております。  これは14年度と15年度に実施いたしたものでございまして、基本的には基調講演とそ れからパネルディスカッションを行いまして、大勢の皆さんに参加していただき、また 会場との意見交換も行いまして、食に関して考えていただくという催しでありました。  また、会場の外では地産地消祭りということでいろいろな地元の農産物等の販売もい たしまして、大変これも好評でございました。  それから、3番目には食と産を結ぶ地域の会というのを開催をいたしました。  これは、いわゆるリスクコミュニケーションを推進するために消費者や生産者、主に 消費者と生産者の方ですが、それに行政も入りまして、それぞれの立場で意見交換を行 うものでございます。これは20人から30人ぐらいの比較的少人数で、ひざを交えて本音 で語るというふうな催しでございまして、これも参加者の御意見等によりますと、大変 意義あったというふうな感想をいただいております。ちなみに、本年度阿新地域、井笠 地域の2カ所で実施をいたしました。  それから、4番目に食品等事業者による自主検査導入促進事業というのを実施してお ります。  これは、いわゆる改正されました食品衛生法にも規定されておりますが、食品等の事 業者の責務である自主検査を推進するという目的で、過去の1年間に3回以上登録検査 機関で自主検査を受けた事業者を県が認定いたしまして、ステッカーを交付し、そして こういった自主検査を実施しておるということをアピールしていただくという事業でご ざいます。これは最近取り組んだばかりでございまして、これからというところでござ います。  こういったように各種の事業を実施いたしておりますけれども、県民の皆さんに少し でも理解が、食に関する理解が深まればというふうなことで取り組んでおるところでご ざいます。  我々考えておりますのは、何よりも大切なのは情報提供ということを考えておりまし て、正しい知識を正しくお伝えする、そして正しく理解してもらうと、これをモットー にこれからも努力してまいりたいというふうに考えております。  ありがとうございました。以上でございます。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、健康食品の方からパネルディスカッション進めさせていただきたいと思い ます。  事前にこの資料3でお寄せいただいている質問の中では2番目のものが該当するわけ でございますが、健康食品等について過剰摂取、それから個人差、これはアレルギーだ とか持病などいろいろあるかということで、そういうことも含めて注意書きを外箱に表 示してほしいというような御意見でございます。  回答といたしましては、『健康食品の摂取量及び摂取方法の表示に関する指針等』と いうものがございまして、その指針におきまして「摂取量の上限又は目安」、それから 「摂取の方法」、「過剰摂取することにより健康に障害を与えることが知られているも のにあっては、その旨」などを適切な摂取が行われるように通知をしているというよう な回答でございます。  このようなことでございますが、健康食品について消費者の方にも今回御参加いただ いておりますので、消費者の立場ということで佐藤さんから少し御意見いただければと 思います。 ○佐藤岡山県消費生活問題研究協議会副会長  失礼をいたします。座ったままでよろしいですかね。  御紹介いただきました県消協の方の副会長をしております佐藤でございます。  御参会の皆様方もそれぞれ非常に関心のおありの方や専門的な立場の方がいらっしゃ いますし、それから先刻もお二方の先生からいろいろとお話をお伺いしまして、消費者 としましては、ここに代表として来させていただきまして、非常に納得をさせていただ いたということで、何をお話させていただこうかと思いつつ発言を始めましたが、私は 今から七、八年前のことを思い出しまして、ある知人が、奥様が大病をなさったという ことで、結局最後にはお亡くなりになりましたんですが、そのときにお宅をお邪魔しま して、ボードの中をちょっと用事があってあけさせていただいたときに、20種類以上の いろいろなサプリメントの容器といいますか、箱を入れておられるのを見て非常に衝撃 的でございまして、こんなにまでたくさん飲んで頑張っとったんじゃなあというふうな ことを強く印象として持っておりましたんですが、しばらくの間にこのように健康食品 について社会的な問題になるまでに情報も出回るし、品物も出回って社会的な問題も起 きておりますけれども、このように変わってくるのかと、本当に消費者としては非常に びっくりしております。  本日もある新聞の下段4分の1程度でしょうか、そこに健康の食品の広告が出ており ましたが、非常にビタミンが幾らとか、何という栄養素がこう入っているとか、それか らこういう体がこういうふうになるよとかいう非常に大きな活字の中に、どこかに書い てないかなと見ましたところ、本当にささやかに薄い字で厚労省の方の特定保健用食品 に認定されておりますというふうなことが書いてございまして、こういうふうなところ をしっかりみんなが読まんといかんのじゃないかというふうな思いもいたしました。  それから、ラジオも含めまして非常に健康食品の宣伝が強うございまして、大抵出て くるのが十何種類のビタミン、栄養素が含まれているというふうな非常に強烈なコマー シャルが入ります。そうすると一般の消費者は、ああこれをとっとったら今の状態はも ちろんのこと、もっと元気になるんかもわからないというふうなイメージというのが非 常に強いと思います。けれども、私は健康食品というのは原則としては食品であります ので、安全性を重視して、それから有効性は第2の問題であるというこの基本は忘れて はならないと、考え方は外してはならないと思っております。今さっきの梅垣先生のお 話の中にもございましたが、確かにそのとおりだと思います。  それで、健康食品について少しだけ私の思いのたけをお話をさせていただきますが、 御説明にもありましたように、健康食品という中には保健機能食品、その中に特定保健 用食品と栄養機能食品というのがあるというお話でございますが、問題を複雑にしてお るのはもう一方のいわゆる健康食品というふうなものであると思います。その中には、 有効性のあるものと、それから有効性のないものと、それからさらには害があるものと こういうふうなものがあるんですが、ここら辺を私たち消費者がどれだけ整理ができて いくかということが大変難しい問題だと思いますが、問題を少しだけ整理をして、お願 いするべきことはこの場でお願いしたいと思います。  その1つは、機能として問題なのは、いわゆる今申しましたいわゆる健康食品のうち の害のあるものでありまして、この部分に関してはこのままではいけないと。かなりの 規制をかけていっていくなり、世間に絶対に出回らないようにしていただかなかった ら、私たちにはどうすることもできないと、これが1つであろうと思います。  それから、2つ目の問題の整理は、いわゆる健康食品のうちで有効性のないものに関 しては、これは悪質商法等で扱われてもしいれば、これは販売方法等の問題でありまし て、機能の問題ではございませんので、その販売方法等で消費者団体としてはこれから しっかり考えて、それについて勉強をしながら、お願いすることはお願いしていくとい うふうなことを整理していかなければいけないと思っております。  それから、3つ目は保健機能食品やいわゆる健康食品の有効性のあるものにつきまし ては、先刻のお話にもありましたように取り過ぎ、過剰摂取や摂取方法、複数を一度に 摂取するのはよくないなどによるその問題がありますので、正しい摂取方法を添付して もらうように、さらにこれからもメーカーさんの方へしっかりお願いをしていただきた いというふうに思っております。  もう一つ問題になっているのは、心理的な問題であろうと思います、私たち消費者に とりまして。その心理的な問題というのは、一つには食生活の面で野菜不足など、ビタ ミン剤等のサプリメントで補うという考え方でなくて、あくまで補助なのだから、食生 活そのものを見直しましょうよということであります。先刻のお話のとおりでありま す。  それからもう一つは、消費者団体として、高齢者をねらう悪質商法等で粗悪な健康食 品が多く使われておいて、健康食品に対するイメージが余りよろしくないというこうい う心理的なもので健康食品でいろいろ問題が起きておると思います。  さらに、もう一つ問題を、新しい問題としてややこしゅうなっておりますのが、イン ターネット等で国内に認められていない成分の入った健康食品が国外から個人で購入が できるようになっていると、こういうことだろうと思いますので、この問題をどうして いくのかということは、さらに行政の方からもいろいろと私たちに、いろいろなことを 御指導していただくようなことが必要になると思います。  また一方では、私たち消費者自身がマスコミの情報とか口コミだけで判断して健康食 品を購入しないで、科学的な基準等もしっかり勉強をしていかなければならないという ふうな積極的な部分をもっともっと持たなければならないと思います。  最後に、この健康食品に一番関心があるというんですか、みんながこう目をつける、 耳をかすというのは、やはりどう考えても体の調子が余りよくない人、それからだんだ ん歳を重ねて健康に自信のなくなった人、そういう人たちが多いと思います。そういう 人たちは、今日のお話にも十分ございましたが、しっかり出していただいている情報を しっかり消費者として得ることができない立場の人が多いというのが問題でございま す。  そこで、まだほかの新聞にもございましたが、顔にぶつぶつができたので、これはお 顔がぶつぶつがなくなってきれいになるのはビタミンCが有効なのだというふうなこと を信じ込んだ、そういうイメージを持った女性が薬屋さんに行ってビタミンCを求めた と。そうすると、その薬剤師さんがよくよくお話を聞いてくださっているうちに、これ はこの人にはビタミンCが不足でなくて、むしろビタミンB群が不足しているというこ とに気がつかれた薬剤師さんがそこで御指導いただいて、ビタミンB群のサプリメント を提供せられたというお話もございますが、一般の先刻申しましたような、どちらかと いうと弱い立場の消費者に対しては、これからはいろいろ接触のある栄養士さんであり ますとか、保健婦さんでありますとか、そういう方たちにいろいろと勉強をしていただ いて、そういう人たちを仲介してこういう健康食品について消費者にいろいろとアドバ イスをしていただくような、そういうこともしていただけたら大変ありがたいのではな いかと思っております。  以上でございます。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、事業者代表ということで秋庭さんからも御発言いただければと思います。 ○秋庭(株)H+Bライフサイエンス開発部門担当  私は事業者代表ということで、岡山の林原グループに属しております。林原の素材を 使いまして、いわゆる健康食品から保健機能食品、病者用の食品、あるいは特定保健用 食品等を世に出しております。  今、佐藤副会長の方からもいろいろ消費者の立場ということでお話がありましたんで すけども、私ども事業主体としましては、消費者の方の意見を聞きながら、お役所の顔 色を見ながらと、非常に間に立って難しい立場であることは事実なんです。  私どものところにもフリーダイヤルを設けておりまして、お客様相談室という形でお 客様からの苦情あるいはお褒めの言葉もありますけども、そういったものをお聞きして おります。よくそこで耳にしますのは、「一体おまえところのこれは何に効くんだ」 と。「いや、そういうことは食品なんで言えないんです」というお話をすんですが、 「いや、そんなことはないと。テレビで言ってた」とか「新聞に書いてあった」とか、 そして「林原の素材を使って作っている某社の食品にはちゃんと効くと書いてあるじゃ ないか」と、「なぜ書かないんだ」とおしかりを受けるのが多分にあります。このあた りは納得してもらうまでに随分担当者の方も、担当者の女の子も苦労しております。  その状況は私のところにも全部入ってくるんですけれども、やはり私、企業として も、先ほど佐藤さん言われたように、食品の中にそういったただし書きをつければいい んですが、いかんせんサプリメント等につきましては非常に容器も小さいですね。そう すると表示される部分も限られております。これにも表示の法律がありまして、小っち ゃな字で書いちゃあ見えないから、ある程度大きく書きなさいというふうに書いてあり ますと語数が限られます。じゃあ何か添付資料つけりゃあいいじゃないかと。添付資料 つけても、それがお店で全部、その商品に1対1で配っていただけるかどうかもわかり ません。用意してあっても、届いてないことも多々あるかと思います。  このあたりは企業として考えなけりゃいけないと思うんですけども、やっぱり私が自 分の家族、私もそうですけども、自分の会社の製品はよく知ってますけど、よその会社 の製品までは私どもも勉強しておりませんが、やはり一般の国民がもっと勉強すべきだ というのが事実だと思いますね。  特定保健用食品が構想が出て商品化、法律ができてまだ非常に日が浅い。そういう中 で、まだまだ試行錯誤しながら国の方も、企業の方も開発進めていっているわけですけ ども、その間10年、20年の間はだれも教育受けてないわけですね。今の若い方は、先ほ ど谷口課長が言われたように、こういった非常にいい資料ございますね。「食べ物表示 の探検隊」とか、こういった資料は恐らく最近の小・中学校の方は勉強してんじゃない かと思うんですが、ちょうど今お母さん、お父さんになっている方が案外そういうこと を勉強してないんじゃないかなあと。勉強してないから悪いっていうんじゃなくて、こ れはやはり教育すべきじゃないかなというふうに思います。  これがどの部署で、厚生省の方に教育しろと言ってもだめなんですけども、どういう ところでどういうチャンスで教育をしたら皆さんにわかっていただけるのかなあと。こ れが結果として、我々自分を保護するわけですよね。ですから、国民の方がそういうこ とをぜひ教育していただけるような場、あるいはそういうテレビだけじゃなくて、そう いった場を作っていただければなあというふうに思います。  お話の中で出てきました食の安全ダイヤルというのが、寺尾先生のとき出てきました ね、03のという番号ですよね。あれ消費者の方が見るとまずかけません。何でかという と、お金かかるからなんですね。それで、まだ岡山だったら近くにおるから、0120の林 原へかけてくるわけですね。「そういうことは、私どもの商品じゃないから、これは厚 生省の03の」というと、「いや結構ですと。私はお金がかかるからあんたとこへかけた んだと。あんたとこが代弁してくれりゃあいいんだ」という声も聞くわけです。  ですから、国に限らず県、市でも、やはりそういったフリーダイヤルの設置は要るん じゃないかなあというふうに思いますね。企業がやればいいことかもしれませんが、た だ「わけのわからない、こういったものを買ったんだけど、安全でしょうか」と。「お 医者さんにもとめられてんですけど、どうですか」と言われても、私どもは自分とこの 企業については責任とりますが、よそのわけのわからん企業が出した商品について、 「だめです、やめなさい」となかなか言えないですね。「お医者さんにかかっておられ るんだったら、その方と御相談されてはどうですか」とか、「御不満なら、とるのやめ たらどうですか」と言うんですけど、「これは何万円もしたんだよ」と言われて、何万 円されても私どもも払うわけにはいきませんので、困ってしまっております。  そういった関係では、やはり情報ですね。国民の方が情報に飢えているというのは事 実だと思いますので、これを行政、我々もそうなんですけども、企業もそうですが、行 政含めてもっと柔軟に、普通の奥さんとかお父さんあるいは子供さんが教育していただ ける、情報がいただけるようなシステムがまず要るのではないかなと。そうすれば、選 択権は消費者にあるわけですから、危ない物は買わなくていいわけであります。そこか らまず直していかないと、なかなか我々もいい商品作って、いい方向に出していこうと 思っても、どうも空回りしているような気がしてならないこのごろなんですけども、い かがなものでしょうか。 ○コーディネーター  どうもありがとうございました。  私どもで、今回意見交換会のテーマに健康食品を取り上げさせていただいたというの も、健康食品の現状について少しでも消費者の方、事業者の方も含め一般国民の方に理 解いただければということでこのような企画をさせていただいております。  1回にお集まりいただく方も150名程度、200名弱ですので、必ずしも一般の方全員と いうところまで伝わっていかないんですが、こういった取り組みを少しずつ進めていき ながら、正しい知識の普及について進めていきたいというふうに考えております。  先ほど幾つか出ているお話の中で、例えば危ない物の規制の話とか、外国から物が買 えるなどについては、行政の取り組みということになりますので、こちら厚生労働省の 松本参事官からコメントいただきたいと思います。それから、情報の部分につきまして は、梅垣室長から少しコメントいただければと思います。また、それから先ほどの安全 ダイヤルに関しましては寺尾委員からコメントいただければと思います。  それでは、参事官お願いいたします。  害があるものについては、とりあえず規制をしてほしいという話と、あと海外のもの が個人で購入できるようになっているので、その辺の規制をというお話だったと思いま す。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  海外から個人でインターネットで直接注文してからの購入となりますと、はっきり申 し上げて規制の方法はありません。  例えば、皆さん海外旅行行かれて、現地でいろんなものをお買い求めになるというの をだれかに買ってもらうというような格好、あるいは直接注文して郵送されてくるとい うふうな形になりますと、麻薬ですとか法に触れるものは規制されますけども、いわゆ る食品については規制のしようがありません。むしろ、行政の方で、幾つかの自治体で 取り組んでおりますのは、インターネットでどうもこれは臭いぞというようなものを実 際自治体で購入されて、そのものに医薬品が入っておるということで、一番最近の例で すと、これを飲むと夜も強くなるそういう食品があって、それを購入したらバイアグラ の成分が入っていたということで、それは薬事法違反ということで摘発できましたけど も、そういうことでもないと、これだけ広がったインターネット社会では難しいという 感じがいたします。  先ほど秋庭さんの方からありましたけども、国民の方々にそういう情報をいかに的確 に出していくかというところでやっていく方法しかないのかなという感じがしておりま す。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  梅垣室長からもお願いします。 ○梅垣(独)国立健康・栄養研究所健康影響評価研究室長  情報につきましては、厚生労働省と私どもの研究所で出します健康食品の安全性・有 効性情報というページで公開していますので、参考にしていただけると思います。  巷にいろんなインターネットの情報が出ているんですが、結構うそが書いてあるのが 多いす。それを考えると、できるだけ公的機関、私どももそうでしょうし、食品安全委 員会のページにもありますし、厚生労働省のページにもありますし、都道府県が作って いるページもあります。そのようなできるだけ公的な機関が出している情報を信頼して いただきたいというのが私どもの考えです。  それから、先ほどの効くのか効かないのかということを一般の方は非常に注目されて います。それは無理もないと思うのですが、やはりその食品というのは安全であって初 めて自由に摂取できるわけです。医薬品と食品の違いというのは、医薬品は医師が処方 して、薬剤師が管理して、どういう副作用が起きるかというのは大体わかっているわけ です。そういうのでうまくコントロールされているわけです。  食品は自己判断で利用するわけですから、使う方が自分自身でどういう問題が起きる 可能性があるというのを考えながら、より安全性を重要視して利用していただきたい。 私どもの研究所の安全性・有効性情報ページは安全性を前に持ってきているのです。有 効性・安全性ではなく。本当は安全情報ネットという名前で呼んでいたのですが、有効 性も入れるということで有効性が入ってきました。とにかく安全性情報を重要視して見 ていただきたいと思います。安全性を重要視して、できるだけ情報を出そうと心がけて いますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  先ほどネットワークの中で、現場の専門職を通じた消費者の方への情報提供などいろ いろ取り組みをされておりますので、そういったものが進んでいくとまた大分状況は変 わってくるのかなという感じがしております。  それから、寺尾委員の方からもお願いいたします。 ○寺尾食品安全委員会委員  食の安全ダイヤルという私ども電話の窓口があるんですけれども、先ほどこれフリー ダイヤルにしろというお話でございまして、実を言いますと、これをフリーダイヤルに してほしいという御要望が結構あるんですよ。それで、当然我々フリーダイヤルの方が いいなということですけれども、私どもの予算は国の予算、国民の税金ということにな りまして、これまずフリーダイヤルにするということを認めてもらわないとできないん ですよね。勝手にフリーダイヤルにして、うちの予算のどっかを使ってやってしまうと いうわけにいきませんので、ですから確かにおっしゃるフリーダイヤルというのは重要 なことだと思いますので、前から議論はしているんですけども、なるたけそういうこと になるように努力はいたしますけど、保証はというか、ここでそういうふうにしますと いうことは申し上げかねますけど、ちょっと検討させていただきます。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、健康食品の関係で、もし会場の方で何か御発言されたいという方いらっし ゃいましたら、お手を挙げていただければと思いますが。  特にはよろしいでしょうか。  この後、食品の安全の話もありますし、最後全体を通してありますので、その時点で 特にまた思いついたことありましたら、御発言いただければと思います。  次は食品安全行政の枠組みについてということで、いただいている質問としては2点 あります。一般的なものと、あとは輸入食品についてのものでございますが、一つは国 民の健康にかかわる、食品安全行政においては、透明性のある、リスク情報公開とそれ をもとにした、消費者(国民)とのリスクコミュニケーションによって、具体的対策、 方針を決めていくことが安心と信頼につながると思いますので、よろしくお願いします というような御意見でございます。  回答といたしましては、食品安全基本法に基づきましてリスクの評価を行う機関と管 理を行う機関が明確に分離されるとともに、評価や管理の過程の透明性が高められてお ります。それぞれ情報公開ですとかパブリックコメントを求めるなどの取り組みがあり まして、かなり透明性は高くなっているというふうに考えております。  また、これらの施策を進めるに当たりましては、消費者等との意見や情報の交換を行 うリスクコミュニケーションの取り組みを進めているところでございますというもので ございます。  それからもう一つは、安全行政一般の中でも輸入食品に特に焦点を当てての御意見で ございますが、輸入食品の安全性を高めるため、水際検査を主体に切りかえていただき たい。9割以上が検査なしではとても安全安心はできませんということです。モニタリ ング検査、大豆の計画輸入制度は消費者にとって安全安心にはつながりませんというよ うな御意見でございます。  こちらの方は回答が長いので読み上げは省略させていただきたいと思いますが、一応 このような回答を示させていただいております。合間にでもお読みいただいて、もし私 の聞きたかったことはこういうことでないというような方ございましたら、後ほど意見 をいただく際に御発言いただければと思います。  食の安全への取り組みということで、また佐藤さんから御発言いただければと思いま す。 ○佐藤岡山県消費生活問題研究協議会副会長  失礼いたします。  食品安全の行政の枠組みについては、私はっきり詳しいことが申し上げられるかどう かわかりませんが、消費者の認識としてかなり変わってきているんだということについ て、少し御報告をさせていただきたいと思います。  食品安全基本法ができる前の食品安全行政に対する私たちの認識というのはどうだっ たかと言いますと、行政等の公的な機関などからの情報を報道機関が報道したり、それ から消費者が理解するといった一方向の流れが主でありまして、審議会とかそれからパ ブリックコメント等でしか消費者は意見を述べることができなかったのは事実であろう と思います。  また、行政機関の間のコミュニケーションも十分ではなかったのではないかと思いま す。  それから、専門家と行政機関や関係者の間のコミュニケーションも十分とれていたと は言えないと思いますなど、関係者間の意思の疎通が不十分であったということは事実 であったと思います。  また、ですから行政や事業者は必要に応じて、専門家や消費者などに意見を聞き、意 思を決定していくというふうな形をとっておりまして、つまり消費者は主体ではなく て、あくまで第三者と、もう少し言いかえますと、お客さん扱いにされていたという事 実はあると思います。  しかし、今ではリスクコミュニケーションの場も作っていただいたり、関係機関がそ れぞれ連携を取りながら食の安全に取り組んでいける下地が今はできたと思っておりま す。そういうふうに消費者重視の流れの中で、私たち消費者も意思決定の主体として存 在していると認識をされ始めたのは、私たち消費者団体がいろいろな場で勉強をしてい っているうちにこういう認識になっております。  しかし、これはもう少し考えてみましたら、消費者自身が消費者団体としてかち取っ たというより、いろいろBSEとかそういう問題が起きたことをきっかけにちょうだい したといいますか、棚からぼたもちが落ちた感じもしないではなかったというふうなこ とも話の中には出ております。したがって、消費者自身が正確な情報を求めて判断して 行動することで、主体として担っていけることをこれからはあらわしていかなければな らないと思います。  第三者扱いに戻ってしまわないように、情報が手に入りにくいのなら、正確な情報の 開示を行政や事業の方に求めたり、風評に惑わされないで冷静に消費者行動や商品の購 入を行っていかなければならない。つまり、能動的な消費者になっていかなければいけ ないというふうな認識に立ってまいりました。  また、それだけに消費者自身が意見を言う場を作っていただくことが多くなればなる ほど責任が重くなっております。以前のように、報道されたことを理解するといったよ うな受動的な消費者ではなくて、積極的に意見を発信していかなければいけないと、そ ういうふうな思いにもなっております。  さらに、食品にはゼロリスクはないという認識を持ってきたことも事実でございま す。先刻、県の方からおっしゃいましたが、岡山県におきましても先刻お話のあった食 の安全推進協議会、対策推進協議会というところへ消費者団体の代表としても入れてい ただいたり、それから消費生活懇談会でありますとか、それから食の安全・安心普及事 業でありますとか、いろいろ行政の方と生産者、それから事業者、消費者が一堂に会し ていろいろ勉強する場がたくさんできてございます。  そういう中で、今何が、行きつくところどういうふうな認識になっておるかと言いま すと、生産者の方は、例えば牛についても履歴であるとか、耳の表示であるとかいろい ろすることがたくさんあって、非常にお金もかかると。コストが非常にかかるというふ うなお話。  それから、流通事業者の方もいろいろ設備であるとか、表示であるとかすることがた くさんあってコストがかかるよというふうなことをかなりおっしゃいます。そういうこ とを聞きますと、消費者も食の安全はただでは買えないんだというふうな思いで、前は 安くていい品物を購入する。これが消費者の認識でございましたが、今は安くていい品 物よりも、コストは少々かかっても、安心でそしていい品物こういうふうなものを購入 していく考え方に変わってきておると思います。  最後に、今までの経過の中で、食品の安全行政の方が非常に大きく変わってきておる ことは確かですので、消費者としては一人一人が幾ら思いを持っていても、これはいろ いろな場で責任のある発言とか行動はなかなかとれないものでございますから、大勢の 力でやはりいろいろなところへお願いもし、勉強もしていく、つまり消費者団体として これからはしっかり責任のある消費者行動をとっていかなければいけないと、そういう ところに今は認識がたどりついておるところでございます。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  現在のリスク分析の仕組み自体は、確かにBSEの問題を初めとして、BSE問題に 関する検討会での御指摘、これは例えば行政機関の連携が取れてなかったということで すとか、行政の政策決定過程が非常に不透明であったということがございまして、それ から消費者の方々の声などもいろいろ参考にさせていただきながら、現在の食品安全基 本法が定められたら、食品衛生法の改正なども行われて、消費者の参加という現在のシ ステムができておりますので、皆様、今日のような意見交換会に参加いただけるという ことは、非常にありがたいと思っております。このような意見交換会に参加いただいて 意見をいただくとか、あとパブリックコメントなどの機会にはぜひ意見等をお寄せいた だければと考えております。 ○コーディネーター  それでは、食の安全をめぐる行政ということで何か会場の方から御発言いただければ と思いますが、いかがでしょうか。  では、あちらの方お願いします。 ○参加者1  食品の表示につきまして、いろいろ国内に表示はあるんですけれども、国内の食品と 輸入食品につきましてははっきりと区別がありません。ですから、輸入食料品につきま しての表示につきまして、水際での検査済みとか、それとかモニタリングを検査済みと かいったそういった表示をしていただきたいと思うんですけど、いかがでしょうか。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  輸入品かどうかについての表示というのは、やはり国産とか輸入とかということの表 示はあるかと思うんですが、確かにおっしゃられたようなモニタリング検査済などにつ いては、実際表示はされていないのが現状かと思います。  実際、全数の検査というのは、かなりの荷物も来ており、なかなかまさにできないよ うな状況にありまして、一応モニタリング検査ということで幾つかの中から選び出して 抽出して検査をし、かつそのときの違反が見つかってくれば、さらに検査率を上げると か、さらには違反が続くようであれば、命令検査といいまして、その輸入する企業の方 の負担で検査をして、安全性が確認されたものを輸入するということで、基本的には輸 入されている食品については、何らかの安全性検査なり、審査がなされて入っていると いう状況だと思います。  何かパネラーの方で補足いただける方、参事官お願いします。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  輸入食品の安全に対する監視体制がどうなっているかということでお答えします。ま ず、輸入時の検疫所での段階と、その後の国内で流通しているときでの監視体制。ま た、もっと大元をたどれば、輸出国で我が国の基準にのっとった形で輸出をされている ということが必要でありますので、輸出国でのそういう正しいことが行われているとい うことを求めていくということになるわけでありますけれども、検疫所におきまして、 まず衛生証明書、輸入する場合には輸出国の衛生対策をきちっとやっているということ の証明書が必要でありますので、そういう届け出の書類をまずきちっと審査いたしま す。  当然その件を審査するときには、その国から入ってくるその製品についての過去の違 反事例がないかとか、あるいは輸出国がちゃんと正しいことをやっているかどうかと か、あるいは原料とか製造方法について、問題がないかどうかというようなことも勘案 して審査いたします。  平成15年度の例ですけど、件数といたしましては168万件入っておりまして、トン数 にして3,416万トンのものが入っておると。カロリーベースにすると、我が国のカロリ ーの6割が輸入に頼っているというそういう状況でありますが、それ全数検査するとい うのはなかなか厳しいものがありますので、効率的、重点的に抜き取りの検査をやると いうことでやっております。それがモニタリング検査というものであります。そこで違 反が出てまいりましたら、その2件に1件を検査する。それでも違反の該当数が高いと いうようなものについては全件検査するということで、当然そういうもので違反が出ま したときには、その輸出国に対して我が国の食品衛生法規をきちっと守るように申し入 れて協議をするという形でやっております。  当然この検査で合格したものでなければ流通はいたしません。  ただ、さはさりながら全部をやっているわけじゃありませんので、どうしても漏れる 場合がありますが、そういうときには都道府県の方で、都道府県の監視指導計画に基づ いて輸入食品について抜き取りの検査をやっていただいておりまして、それで違反が出 れば当然輸入時の検疫所での監視体制を強化いたしますし、輸出国についても通告をし て、きちっと我が国の食品衛生規制を守るようにということで申し入れる形でありま す。  ちなみに、平成14年度ですと、検査実施割合は届け出件数の8.4%でありますけれど も、15年度は10.2%で引き上げております。  全数調査すべきだという御意見はわかりますけれども、現実に本当に100%検査をや るとどうなるかというと、皆さん方の口に入らなくなると。魚を全部検査するとなる と、1匹1匹全部検査するとなったら、つぶしてやらんといけませんので、食べるもの がなくなってしまうということになりますし、現実の問題としては、一定のロットのと ころから抜き出してやることになります。  それとやはり輸出国で怪しい国のものについては、そういうものを勘案しながら検査 をやるというとこであります。ただこの輸入件数の中で、検査件数については、少しず つではありますけども、割合を高めていきたいと考えています。  11月の5日ですが、今年度分の中間報告として平成16年度輸入食品監視指導計画監 視結果を公表しております。これは厚生労働省のホームページにも載っておりますの で、どういう違反がどれだけあったかとか、どこの国のどういう製品について検査を重 点的にやって、違反が何件あったかというのはすべて公表しておりますので、そちらの 方を御参考いただければと思います。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  検査済みとかという直接の表示ではございませんが、御質問いただいた方、よろしい でしょうか。  特に追加の意見などはないですか。 ○参加者1  遺伝子組み換え食品につきましては、いろいろ表示を見て消費者は購入するようにい たしておりますが、ついせんだって8月4日に国民生活センターが豆腐の調査をしたと ころが、半数以上のものから遺伝子組み換えでないという表示にもかかわらず遺伝子組 み換えの豆腐であったというふうなことが報道されております。  ですから、食品の表示というものが本当に信頼できるものであるかどうかということ ですね。  それから、我々人間はなるべく遺伝子組み換え食品は食べたくないわけなんですが、 家畜の飼料につきましては、大豆にしてもトウモロコシにしても、遺伝子組み換えのも のがほとんど入っていると。農林水産省の方へ問い合わせしたところが、遺伝子組み換 えのものであっても、家畜は食べて消化されているから、人間にとっては安全であると いうふうな回答でございました。したがって、我々はその遺伝子組み換え食品の間接的 な消費をしているわけです。本当にこれが安全なものかどうかということ。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、遺伝子組み換え食品の部分については松本参事官から、それから家畜の飼 料のところについては境室長からお願いしたいと思います。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  現在、確かにその遺伝子組み換えのものが食べ物として入っているのは気持ちが悪い というのはわかりますが、米などの品種改良は長い時間をかけた一種の遺伝子組み換え みたいなものでありますが、もう少し短時間に遺伝子を切り出して入れるということに ついては、天然でやるよりかは短期間でやるというところで人工的なところがあります けども、組み換え前の作物、あるいは組み込む遺伝子ベクターなどがよくわかっている かどうか、あるいは食べ物として食べられたことがあるのかどうか。今既に食べている ものと比べてどうかとか、あるいは組み込まれた遺伝子がどのように働くかとか、ある いはそれを組み換えることで新しくできたたんぱく質がヒトに有害でないかどうかとい うようなこと。あるいは、組み換えによって意図しない変化が起きないかどうかという ようなことをいろいろ調べて、安全性を確認して大豆とかトウモロコシとか、合計今5 種類ですか、それだけのものしか今認めてないということでありまして、すべて幾らで も野放しになっているわけじゃないということを御理解いただきたいと思います。  それと、この遺伝子組み換えによって、地球に生きている62億の人類の食糧として 貢献しているというのもまた事実でありますし、我が国においてはそういう遺伝子組み 換えの食物は栽培等は若干制限されていますけれども、トウモロコシですとか大豆あた りは我が国以外のところでは、ほとんどのところで実際栽培されて、それ以外のものを 求めるということはなかなか厳しい状況であるということは御理解いただきたいと思い ます。  その表示の問題ですけども、そういう意図せざる混入といいますか、外国から、大豆 あるいはトウモロコシを運んできたときに、船倉の中に遺伝子組み換えのものが入って いたりすると、どうしてもまざってしまうので、完全に分離するのが難しいということ から、表示はその全体に対して5%未満のものについては遺伝子組み換えではないとい うことで取り扱って構わないということを言っておりますので、たとえ1%とか0.1と か0.数%とかそういう範囲であれば、それは遺伝子組み換えではないという表示上の取 り扱いということであります。 ○境農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室長  飼料についてですけれども、家畜が食べて消化されるから安全だという取り扱いは行 っておりません。飼料安全法の規定に基づきまして、遺伝子組み換え体を利用した飼料 を日本で利用する場合には、大臣の確認をとるということになっております。  その際には、今松本参事官が言われたような人の食品と基本的には同じでございまし て、遺伝子組み換え体でないトウモロコシや大豆、それと同じような成分だということ を、データを出してもらって、それを確認した上で利用を認めるという対応をとってお ります。  さらに、昨年7月からは食品安全委員会ができまして、食品安全基本法におきまして 遺伝子組み換え体飼料につきましては、食品健康影響評価を受けなきゃならないという 法的な規制もかかっておりますので、その点すべて評価した上で利用されているという ことであります。  現在、我が国で利用されている飼料は、菜種とそれからトウモロコシ、大豆、それか ら綿とテンサイという5つの作物につきまして、現在38品種が飼料利用を認められてい るということでございます。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  あとは適正にその仕組みが守られているかどうかというところになりますが、表示が きちんと守られてない場合、これは表示の基準の違反になりますので、それなりにその 処罰とか罰則の対象になってくるということだと思います。  そのほか何か、何でも結構ですので、食の安全について御発言いただきたい方、後ろ の方の今手を上げられている方。 ○参加者2  先ほどの松本参事官のおっしゃっていることについて、再度お尋ねしたく思っており ますが、よろしいでしょうか。  自然界での従来の変異とそれと遺伝子組み換えの作物について同等のような発言があ ったんですが、このことについてきちんともう一度お伺いしたいと思っております。 ○コーディネーター  松本参事官お願いします。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  決して同等ではありません。ある生物から有用な、必要な遺伝子を強制的に切り出し て植物等に組み込むことにおいては、確かに従来の品種改良にはないやり方だというこ とであることは間違いありません。それだけに、よりそういう、先ほど申し上げました ように安全性について十分確認をとったものしか認めてないというそういうところであ ります。 ○コーディネーター  よろしいでしょうか。 ○参加者2  先ほどおっしゃっていたことは、やはり何というんですか、誤解を招きやすい発言だ ったと私は思いました。ですから、やはり遺伝子組み換え食品については、本当に自然 界の中でのその変異があり得ない。やはり植物のものに対して別の、全く異物のもの を、動物性のものを入れたりとか、そういったものでやはり危惧があるというふうに思 っているんです。ですから、やはりこのような場で非常にわかりにくい発言というの は、やはり慎重にしていただきたいと思っております。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  再度の御指摘ありがとうございます。今後慎重に発言したいと思います。 ○コーディネーター  ほかにいかがでしょうか。  あと、後半のBSEの関係もありますので、最後にお一方とさせていただければと思 いますが、よろしいでしょうか。  そちらから2番目の列の方。この方で最後とさせていただきたいと思います。御意見 お願いいたします。 ○参加者3  梅垣先生のお話の、スライドの一番最後のところに、食というものは安全とそれから 有効性を人間が活用して、健康保持増進に努めるということの図が示されました。この 中に食生活、休養、運動この3つの要素のバランスが大切であると書いてあります。こ れ大変いい図だと思います。これに見合ったコメントがちょっと食い違うと思うんです が、3行目に、「また、基本は運動・栄養・休養」、「運動・食事・休養」ならいいん ですが、図面とちょっと食い違うわけです。  それで、厚生省はもともと健康づくりは「栄養・運動・休養」という表現をしました けれど、岡山県では「食事・運動・休養」というふうに指導しておられます。それの方 が正しいんじゃないかと思います。  それで、その中の言葉の中にもう一つ、栄養バランスと書いてありますが、この栄養 バランスというのは栄養素バランスというふうに理解したいんですが、そういう言葉を ぜひ統一性といいますか、きちんと使い分けをしていただきたいと思います。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございます。  梅垣室長からちょっとコメントをお願いしたいと思いますが、食生活指針との絡みも 含めて、いろんな栄養素、バランスをよくとるというようなもう一つの話もありますの で、食育との絡みもあるんですが、もし御発言いただければと思います。 ○梅垣(独)国立健康・栄養研究所健康影響評価研究室長  そうですね。今おっしゃったとおり正確にやらなければいけないということは了解し ました。それから、食育という話もあります。食べ物の例えば味覚は子供のころに形成 されると思います。そうすると、例えば辛いものを小さいころから食べていたら、ずっ とその食習慣というのは身についていくと思います。ビタミンのサプリメントにして も、私が最近聞くところによると、高校生の方が非常にとるようになった。ただ、余り 理解しないで意味もなく摂取しているという状況もあるわけです。だから、本当に必要 かどうかを判断して利用しないと、過剰症を起こしたりします。そういう意味では栄養 士の方とか専門家の人がもっと活躍していただければ、きっちりした食育ができると思 います。そういう現場の方と、それから消費者、それから行政の連携、それがうまくい けば食育ということもうまくいくでしょうし、先ほどの「食事・運動・休養」というバ ランスをどのようにとっていくかということももっと理解できると思います。ただ単な る言葉で言っても、やはりわからないと思います。そこをうまくやるのは行政側、それ から現場の専門職、それから一般消費者の方がうまく連携を取って初めてできるような ものだと思います。そういうことも考えて我々も今後対応したいと思います。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、いろいろ御議論尽きないところでございますけれども、後半のBSEの関 係ございますので、ここでいったん休憩とさせていただきまして、3時45分から開始し たいと思いますので、よろしくお願いいたします。                  〔 休憩 〕 5.BSE対策についての行政説明・意見交換 ○コーディネーター  それでは、お時間となりましたので、BSE対策についての行政説明を始めたいと思 います。  まず、「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について−中間とりまとめ−」に つきまして、食品安全委員会の寺尾委員からお願いいたします。 ○寺尾食品安全委員会委員  20分ということでございまして、きょう皆様方にお渡ししてありますスライドの全部 をお話しすることはできませんので、端折らせていただきます。  食品安全委員会のプリオン専門調査会、これ先ほどの私の初めの、一番最初のときの あれにもありましたけれど、専門調査会というのがありまして、プリオン専門調査会が このBSEの問題を議論するんですけれども、これは約1年かけまして我が国、過去3 年間にわたりまして行ってまいりましたBSE対策の効果につきまして、どのくらい効 果があるかというようなことを1年かけて検証してきたわけでございます。これは、今 年の9月6日にプリオン専門調査会の方で一応報告がまとまりまして、それを食品安全 委員会の方に上げていただきまして、食品安全委員会の方で了承したということになっ ております。それが、この「中間とりまとめ」ということでございます。  現在の状況は、この「中間とりまとめ」を受けまして厚生労働省と農林水産省の方で これからの日本――これ日本というのが大事なんですけども、日本におきますBSE対 策の見直しというものを食品安全委員会の方に諮問をいただいております。現在、プリ オン専門調査会は2回ほどもう既に諮問案をどういうふうにして議論するかという議論 を始めております。  私がきょうお話ししますのは、諮問の見直し、BSE対策の見直しの諮問案について の話ではございませんで、私どものプリオン専門調査会で取りまとめていただきました 「中間とりまとめ」の説明をさせていただきます。  これは余り、最近、たしか9月ごろだったような気がしますけれども、岡山で一度や りましたので、もう既にお聞きいただいた方もいらっしゃると思うんですけども、簡単 にさせていただきます。 〔スライド〕  最初のスライドは、先ほどやはり私がお話ししましたリスク評価とリスク管理のお話 でありまして、リスク分析手法によりまして、どういうふうにして食の安全を守ってい くかと。それには、リスク評価とリスク管理という2つのプロセスが必要であり、さら にリスクコミュニケーションというのが必要だということが書いてございます。これは もう説明したということですけども、結局リスク評価につきましては、私ども食品安全 委員会の方でBSEがどのくらい発生して、そういうものが原因で日本人がどのくらい バリアントタイプのクロイツフェルト・ヤコブ病になるだろうかという予測、それから 国内対策の効果が、今までとられてきてる効果がどのくらいあるんだろうか、あるいは もし見直しをするとしたら、その見直しによってどのくらい危険性が増すのか、あるい は減るのかというようなこととか、そういうものを受けて、この評価に基づきまして厚 生労働省、農林水産省では、ここにありますようなと畜場のBSE対策、検査をどうす るかとか、あるいはSRMの除去の方法、あるいは焼却、飼料規制をどうするかという ことを考えていくわけです。 〔スライド〕  これは今までのこの「中間とりまとめ」をまとめるまでの経緯でございまして、既に 昨年の8月にこのプリオン専門調査会では日本のBSE問題全般について議論しようと いうことを決めております。  この「「中間とりまとめ」」、アメリカからの牛肉の輸入の再開のために慌てて取り まとめたんだっていうことをよく言われるんですけど、そういうことはございません で、アメリカでBSEの牛が見つかる前から既に日本のこの問題について議論をしよう ということを決めておりまして、資料を収集したり整理をしたりしてずっと来まして、 約1年間かかって、実際議論をしているのはここら辺からですから1年というわけでは ありませんけれども、とにかく今年の9月になってまとまったということです。  あと、先ほど申しましたように、この「中間とりまとめ」に基づきました対策の見直 しについての諮問を受けて、今議論中であるということです。 〔スライド〕  この「中間とりまとめ」というのはどういう構成になっているかというと、ここの5 つの章に分かれていると。最後の「おわりに」というのは章というかどうかわかりませ んけれども、とにかくこういう5つの部分に分かれているということです。 〔スライド〕  まず、「はじめに」というところに何が書いてあるかといいますと、まず、何で今こ の時期に「中間とりまとめ」をまとめたのかということが書いてございまして、これも さんざん私どもがあちこちから文句を言われておりまして、今米国からの牛肉の輸入の ために慌てて取りまとめたんじゃないかということなんですけども、今申しましたよう にそういうことはないということでございまして、まずとにかく、既に日本はBSEの 検査を始めてから3年がたっているということです。その間、350万頭、今もっと多い んですけども、350万頭検査をして、それで大体14頭今まで日本ではBSEの牛が見つ かっておりますけれども、大体日本の牛にどのくらいBSEが浸透しているかというこ となどもつかめたというところに来てると。  こういうデータをもとにしまして、さらにヨーロッパ、特にイギリスですけども、イ ギリスのデータとかそういうものを突き合わせまして、牛から人への、日本人ですね、 人というのは、牛から日本人へBSEが感染するリスクがどのくらいあるか、あるいは 今までとられてきた措置によりまして、これの危険性のどのくらい低減効果があったか ということが検討できるんではないかということ、それからさらに我が国のBSE対 策、これ管理措置ということになりますけども、こういうものが果たしてどの程度の効 果、あるいは守られているか、そういうようなものを評価をしようということでありま して、その結果を今後のBSE対策に活用しようというようなことになるのでございま す。 〔スライド〕  当然、ここに背景データというものがまとめるに当たっては必要になってきますの で、そういう背景データというものについて整理をしたということが2章の背景に書い てございまして、BSEの発病機構というのはどういうものだろうか、あるいはプリオ ン、異常プリオンですね、ここに書いてありますプリオンというのは、異常プリオンが 牛の体の中でどういうふうに蓄積していくだろうか、あるいは異常プリオンが体内にど ういうふうに分布するだろうかと、あるいは変異型のクロイツフェルト・ヤコブ病、v CJDといいますけれども、これが牛から人間に来るときにどのくらいの危険性を持っ ておるかということ、いろんなものにつきまして、一度わかっていることとわかってい ないことを整理し直して明確にしようということで、ここに背景というところにそれが 書かれてございます。 〔スライド〕  その背景データの一つになりますけれども、現在世界の23カ国でBSEが発生してお りまして、18万8,760頭、7月22日の時点と書いてございますけども、大体19万頭弱ぐ らい発生しておるということです。現実には、あくまでもこれはBSEという病気が牛 にあるんだということ、それからその診断はどういうふうにするということが定まって から正式に統計をとり出してからの数字でございまして、実は既にこの前に英国ではは るかにたくさん、100万頭以上のBSEの牛が発生して、それを知らないでイギリス人 は食べていたわけですけれども、そういうことがございます。ですから、統計上は一応 19万頭弱といって、日本ではこの「中間とりまとめ」をまとめたときには11頭だったん ですけど、現在14頭出てるということであります。そのうちの8例目と9例目というや つは23カ月と21カ月の非常に若い牛であったということでございます。ただ、この若い 牛の8例目、9例目というのは、実際にプリオンの量というのは、普通のBSEの牛の 持っている異常プリオンの500分の1から1,000分の1ぐらいの非常に微量であるという ことがわかっているということです。 〔スライド〕  それで、問題はこのスライドなんですけど、それでは日本で発生した14頭のBSEの 牛の生年月日といいましょうかね、出生時期をプロットしたもので、実際にBSEとい うのは、一番最初のやつが2001年6月に見つかっているわけで、その後検査を始めまし たから、この後でBSEだってのがわかったんですけど、ではここでわかったBSEの 牛というのはいつ生まれたんだっていう話をプロットしていきますと、こういうふうに なります。  一番古い牛は1995年12月で、次の牛が1996年1月ぐらいからで、全体14頭のうちの10 頭がここに集中してるんですね。これ以前には一頭もいないということです。というこ とは、逆に言うと、日本のBSEの問題というのはここから後起こった問題であるとい うことですね。それから、ここでもって肉骨粉とかそういう牛から作ります飼料は牛に 与えないということになりましたから、ここで8例目と9例目がちょうど切りかわりの 時期で出ましたけれども、多分この後は、飼料の給与禁止というものが守られていれ ば、恐らく日本の牛はもうBSEに感染してないだろうと。だから、一番の問題は、こ の間、我々が日本にBSEの牛がいるというのを知らないでその牛を食べていたとい う、このときだけが、人間がバリアントタイプのクロイツフェルト・ヤコブ病になる危 険性を秘めているということであります。 〔スライド〕  それで、これなんかスライドがよく見えませんけれども、では牛の体の中でバリアン トタイプのプリオン、バリアントタイプといいましょうか、BSEの原因になります変 異型のプリオンというのはどういうところにあるだろうかというのはイギリスでもって 詳しく調べられまして、BSEの牛を持ってきまして、これからあらゆる組織をとりま して感染実験をやったんですね。そうしたところが、わかったことは、こういうところ に脳、それからせき髄、せき髄から出てきてる背根神経節、それからあと扁桃というの は非常に弱いんですけども扁桃、それから回腸の遠位部、ここのところ、ここにだけ感 染性がある。逆に言うと、変異型、異常プリオンというのはこういうところに集中して るということがわかったわけですね。ほかの部分の組織を使いまして感染実験やっても 全く牛はBSEにならないということがわかっておりまして、結局ここに書いてありま す眼とか脳とか背根神経節、脊椎、扁桃、回腸遠位部、こういうやつを特定危険部位と いうことに指定をしたということであります。ですから、特定危険部位を取ってしまい ますと、あとは感染性のない部分が残るということでございまして、人間がBSEにか かる、クロイツフェルト・ヤコブ病になるという可能性というのは、ここを取り除いて しまえばもうほとんどないだろうというふうに考えられるというわけです。 〔スライド〕  実際に、バリアンタイプのvCJDの患者っていうのはどの程度発生してるかといい ますと、2004年6月7日時点で156人というふうに出ています。現在はたしか162人にな ってると思います。イギリスが149名、フランスが8名、アイルランドが2名というこ とでありまして。ですけれども、大部分の患者はイギリスで出ているんですね。当然の ことながら、日本では全然まだそういう患者、vCJDにかかった人はいないというこ とです。 〔スライド〕  それで、それでは問題は日本で、先ほど申しました非常に危険な状態にあった6年間 において牛肉を、知らないで感染牛を食べてしまったためにvCJDにかかる可能性の ある方が何人ぐらいいるかということを推定したわけですね。  その推定のやり方としましては、一つは食物連鎖に入ったBSEの感染牛、この6年 間ということになると思いますけども、この感染牛が何頭ぐらいいたんだろうと、何頭 ぐらい我々は知らないで食べてしまったんだろうかということ。それからもう一つは、 イギリスで知らないでどのくらいのBSE牛を食べてしまって、これから先何人ぐらい のvCJDの患者が出るかと。それはイギリスの方で推定されてる数字になりますの で、この数値を使いまして非常に単純な比例計算をやれば、日本のvCJDの患者の発 生の推定もつけられるわけです。それに「遺伝的な要因等の補正」という言葉ですけど も、これ人口が日本の方が倍ぐらいいるということ、それから後、よくはわかっていな いんですけれども、ある特定の遺伝タイプの人が非常に感染しやすい、あるいは発症し やすいということがわかっておりまして、そういう遺伝タイプの人がイギリスでは大体 人口の40%ぐらい、日本では90%ぐらいということで、ではそういう要因を補正すると いうことをやったわけです。 〔スライド〕  そうしますと、イギリスは、先ほど19万頭弱って言いましたけど、実際にはその以前 にもう既に100万頭から300万とか400万頭ぐらい食べちゃったんだろうという話ですね。 いろいろイギリスの研究者の方が言ってる数字で一番少ない数字が100万頭、それから vCJDのこれから発症する人数、一番悲観的に言ってる人が5,000人だって言ってる んですね。ですから、これを、この数を一番少ない数字にして、これを一番多い数字に して、なるたけ日本人の数字が一番悲観的な状況になるようにこういう数字をとりまし て、日本ではBSEの牛を食べてしまったのは5頭から35頭であろうと言われておりま して、その比例計算をやりますと0.1から0.9人であるということであります。  ですから、実際には不幸にして1人出るかもしれないけれども、多分実際には――最 悪のシナリオで計算してますから――でこの数字ですから、多分日本では今後とも牛肉 を食べたためにvCJDになる人はまず出ないと考えた方がいいんではないかというふ うに思われます。 〔スライド〕  これは農水省の方の問題と厚労省の問題でありますので、これは次のスライドをお願 いいたします。 〔スライド〕  それで、vCJDのリスク、どういうふうにして低減するかという話になるんですけ ど、低減されているか、あるいはこれからも低減するかということなんですけど、日本 では、先ほど申しましたSRM、特定危険部位を除去をして、なおかつBSEの検査を やっているということで、こういうことをやるということは非常に直接的に低減に大き く貢献をしているということが言えるということであります。  それから、飼料の規制とかこういうものも牛から牛、これは牛から人に来る話であり まして、これを牛から牛へ感染するという話でございますけども、牛から牛への感染に は、飼料の管理を徹底的にやるということが必要であるということですね。 〔スライド〕  それでは問題は検査がどういう意味があるかということになりますけれども、検査の 意味というのはスクリーニング、1つは食肉の検査というスクリーニングですね。BS Eに感染してる牛を食物連鎖から排除するというふうな。それからもう一つは、牛の間 でBSEがどの程度広まっているかということを調べると意味があるということです。 〔スライド〕  これは、牛が子供のとき感染して、ずっと来ましてBSEを発症するんですけども、 脳でもって検査をするんですけれども、実際にはかなり長い間、検査ではBSEが感染 しているかどうかというのは見つけ出すことができませんということです。発症する直 前になって初めて脳でできるということを示している構図です。 〔スライド〕  それで、これは……。もう時間ですね。 ○コーディネーター  もう少しなら大丈夫です。 ○寺尾食品安全委員会委員  はい、済いません。  イギリスで感染実験やりましたら、結局脳ではかって感染がわかるようになるのは、 実験をやってみると、大体経口投与をやると32カ月以降であるということなんですね。 それまでは脳ではわからないということであります。  では、8頭目と9頭目は何だという話になるんですけども、これは異常プリオンが非 常に微量であって、よく普通の検査ではわからなかったのだけど、非常に濃縮してやっ たら異常プリオンがあるということがわかったというようなことであります。結果とし まして、21カ月と23カ月が今見つかっているので、20カ月齢以下の感染牛は現在の検査 で発見することは困難であるというのは、世界的に見ましても20カ月以下でBSEの感 染がわかったっていうのは、唯一イギリスに1頭あるだけなんです。それも、先ほど申 しましたように、何百万頭という牛が感染していて、それを、肉を人間が食べて、肉骨 粉を動物に食わせて、濃厚に異常プリオンが入った肉骨粉か何かを食べさせたために20 カ月という短時間で発生したんだろうということが今言われておりまして。ですから、 これを現在の状況には当てはめることができないということを考えると、まず20カ月以 下では幾ら頑張っても今の検査法をやる限りにおいては見つからないということです。 〔スライド〕  ここらでもうやめますけれども、結局一番大事なことは、SRMという、先ほど脳と かせき髄とか、ああいう異常プリオンがたまるところを除去するということがまず大事 であるということなんですね。  あと、では検査は何だということなんですけれども、結局検査というのは、感染して ても全部の牛を見つけ出すことができないし、大体30カ月以下で見つけ出すということ がもう非常に少ないというか、見つからないということがありまして、あくまでも検査 というのは、脳で簡単に感染してるということが確認できるような、そういう牛を排除 するという、そういう食物連鎖から排除するという、そういう意味しかないといいまし ょうか、そういう意味があるというか、そういうことでありまして、何といっても一番 の大事な点はSRMの除去ということであるというふうに思います。  この後、いろいろスライドございますけど、これは後ほどの厚労省と農水省の方のス ライドを見ますとかなりオーバーラップしてますので、多分そちらで御説明いただける と思いますので、私の話はこのくらいにさせていただきます。どうもありがとうござい ました。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  続きまして、BSE国内対策の見直し「食品安全委員会への諮問の考え方」につい て、厚生労働省の松本参事官からお願いいたします。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  9月9日に食品安全委員会から、これまでの我が国のBSE対策についての評価、検 証結果の「中間とりまとめ」を受けまして、その後リスクコミュニケーションを全国7 カ所でやりましたが、それを勘案いたしまして、皆さん方のお手元の資料の参考1の形 で、10月の15日に食品安全委員会に諮問しました。その諮問についての考え方につい て簡単に御説明いたします。 〔スライド〕  これ、現在のBSE対策問題ですけども、一つはBSEの感染牛を作らないという意 味での飼料の安全対策、それと食肉の安全対策ということの2つでありますが、この対 策のために飼料の規制という安全ネットと、それと畜場における特定危険部位の除去と いう安全ネット、それとと畜場における検査という3つの安全ネットを組み合わせて牛 肉から人へのBSEの感染を防いでいるというのが現在の対応でございます。 〔スライド〕  これは、全頭検査を3年前からやり始めたこと。特定危険部位の除去もやり始めたこ と。それと、今年になりましてから背根神経節を含みます牛せき柱の食品使用の禁止を 打ち出したというところであります。  次、お願いします。  これはBSE対策のフローであります。まず、と畜場に入ってまいりましたすべての 牛から特定危険部位であります頭部、せき髄、回腸遠位部を除去いたしまして焼却いた します。その頭部から延髄閂部を取り出しまして検査をいたします。ここで陽性となり ましたときに、本当にBSE感染牛かどうかを確認するためにウエスタンブロット法と いう検査と、異常プリオンたんぱく質を直接染め出します免疫組織化学検査との両方を 行います。このどちらかが陽性であったものが陽性ということになりまして確定診断に なりまして、異常プリオンたんぱく質が蓄積しやすい特定危険部位はもう既に除去され ておりますので、残りの枝肉を焼却するということで食肉として流通しないようにする ということであります。また、と畜場から検査中のものは持ち出し禁止ということにな っております。 〔スライド〕  これは現在の食肉検査の体制です。牛を処理すると畜場が、全国で161ございます。 そこを管理しております食肉衛生検査所が115あります。1つの検査所で複数のと畜場 を管理してるというとこもありますので、ちょっと数は少ないですけども115あります。 そこの食肉衛生検査所に、公務員であり、かつ獣医師の資格をお持ちのと畜検査員とい う方がいらっしゃいまして、全国で2,152名の方がいらっしゃる、この方がと畜場に常 駐してBSE対策に当たってるということであります。 〔スライド〕  厚生労働省といたしましてはこれまで3年間、特定危険部位の除去と検査をやってお りましたけども、それについての総合評価として、BSE感染牛が食物連鎖に入り込ん だ結果として人への感染を起こすリスクは、現在のSRM(特定危険部位)除去及びB SE検査によって効率的に排除されているものと推測されるということで一定の評価を いただいたものと考えております。 〔スライド〕  そこで、リスクを下げる上で一番重要と言われておりますのが特定危険部位の除去で ありますけども、この範囲が少々国によって違っております。  特定危険部位というのは、既に国際的に決まっておりまして、頭蓋、扁桃、せき髄、 それと背根神経節を含むということでせき柱、それと回腸遠位部を含む腸ということで あります。我が国の場合は全月齢から取り除いております。米国、EUでも扁桃と腸の 部分は全月齢から取り除いておりますけども、それ以外の部分は、米国ですと30カ月齢 以上、18万頭もの症状があるBSE牛が出たイギリスを含みますEUにおいても12カ月 以上で除去しておりまして、我が国において全月齢から除いておるというところで見て いきますと、特定危険部位の範囲の取り扱いについては我が国がある面では一番厳しく なっておるということであります。 〔スライド〕  これが実際の具体的な部分であります。これは頭でありまして、これ、ひっくり返っ ております。これが下あご、これが上あぼです。これが歯であります。このあたりに脳 があって、そこからせき髄が出てくるということになります。これが頭ですね。  こちらの方がせき髄で、この赤く見えるのは、背骨です。この中心に白いのが、これ がせき髄で、ここから手足を動かす抹消神経が出ています。出たすぐのところに、ちょ っと膨らんでおりますが、これは背根神経節といいます。ここも異常プリオンたんぱく 質がたまるということです。これは見えるようにしてありますけど、実際は背骨の中に 細いトンネルがあってその中に入っておりますので、実際は簡単には見えません。  もう一つが回腸遠位部で、これが盲腸で、ここからここまでが、ちょうど青いテープ がありますけども、2メートルということで、ここで切り取って除去するということで す。  もう一つが、背根神経節を含んでおるということでこのせき柱が特定危険部位という ことになっております。 〔スライド〕  食肉処理におけます管理要領に基づいて特定危険部位の除去というものをやっており ますけども、まず取り出しました特定危険部位は専用の容器に保管するということ。除 去に使いました機械器具等の洗浄、消毒を行うと。取り除いて保管するとき、また保管 した後焼却に回しますけども、そのとき必ずそこのと畜場に常駐しておりますと畜検査 員による確認を受けるということ、取り出した特定危険部位は800℃以上で完全焼却す るということになっております。その他の特定危険部位については、ありますように、 頭部、回腸遠位部、せき柱、せき髄とありますけども、せき髄のところをちょっと見て いただきたいと思います。BSEの発生する前はせき髄がついたまま背割りしておりま したけども、そのせき髄によって枝肉が汚染されるということがあります。その汚染除 去をどうすればいいかということで、高圧洗浄により汚染除去が十分できるということ はわかりましたけども、予防のために背割りする前にせき髄を吸引除去するという方法 がよかろうと、それをやりなさいということで専門家の御意見がありましたので、現在 年間125万頭と畜しておりますけども、そのうちの9割が背割り前に吸引除去してると いうところであります。 〔スライド〕  これが特定危険部位除去の実際の流れです。これがまず牛さんでありますけども、こ このところ、みけんのところにスタンガンというのでボルトを打ち込んで牛を気絶させ ます。その後、心臓のところを切り開いて放血いたしますけども、気絶してるだけなも んですから、牛の足の反射運動でもって作業員がけがをするということがありまして、 けがをしないようにということで、下にありますワイヤーをこのあいた穴のところから 入れて中枢神経を破壊して反射運動をとめるということをいたします。それをピッシン グといいます。中枢神経を破壊するときにその組織が血液中にまじって汚染を広げる可 能性があるということで、EU等では禁止しております。我が国では、まだ3割のとこ ろが中止してるだけで、残りのところは作業員の安全確保という観点からやむを得ず中 止まではしていないというとこであります。  で、この気絶させた後、放血して頭部を落としますけども、ここにありますようにこ こに頭がついてるわけですね、そこのところからせき髄を吸引除去します。その後、背 割りをいたしますけども、鋸屑片が飛散しないように、水をかけながら背割りを行いま す。 〔スライド〕  背割りのときの鋸屑は、きちっと回収して汚染が広がらないようにします。取り切れ なかった部分、どうしても吸引除去だけでは取り切れませんので、硬膜等について作業 員の方が丁寧に手作業で除去します。その後、高圧洗浄いたします。洗浄水の中にも鋸 屑片が入っておりますので、それについてもきちっと回収して、汚染が広がらないよう にするということでやっております。 〔スライド〕  高圧洗浄後、枝肉にせき髄片が付着してないかどうかをと畜検査員が確認して、汚染 されてないということになりますと、保管庫の方に回って、その後で牛肉の格づけが行 われます。  取り出すのに使いました刀とか器具、長靴等は、汚染を広げないために専用の容器に 保管するということでやっております。 〔スライド〕  我が国のこれまでとってきた対策について一定の評価をいただいておりまして、ここ にありますように全月齢の牛を対象としたSRM(特定危険部位)除去措置を変更しな ければ、それによりvCJDのリスクが増加することはないという一定の評価をいただ きましたので、現在やっております全月齢からのSRM除去の継続を行うということで あります。 〔スライド〕  さはさりながら、そういうSRMの除去、交差汚染防止の指導を行うのはわかるけど も、その実施状況を確認しないとだめじゃないかということで、適正な実施が保証され る仕組みを構築すべきという御指摘がありましたので、皆さん方の参考資料の1をちょ っと見てください。  1枚めくっていただきますと別紙がありますが、それの4ページを見てください。文 字が上半分しかないところです。  そこの上のところで(1)というのがありまして、SRM管理に関する法令及び関係通 知の遵守状況を確認するためということで、SRM管理の実態調査を定期的に行うとい うことで、調査項目については、そこにありますようにスタンニングの方法とかピッシ ングの有無とかありますけども、そういうようなものについて定期的に調査を行って結 果を公表いたしますということ。  それと、ピッシングにつきましては、今後その廃止も含めさらに検討する必要がある という御指摘がありましたので、このことを踏まえまして、そこにありますように、ピ ッシングを中止したと畜場での事例を整理して都道府県に情報提供を行って、ピッシン グをまだ中止してないところに示して、できるだけ早く中止していくように指導を推進 するということをやりますと。  それと、特定危険部位による枝肉等の汚染防止措置、またそれを汚染してるかどうか の評価方法というものについて研究開発をいたしますということで、特定危険部位の除 去の強化ということで諮問をさせていただいたということであります。 〔スライド〕  次は検査であります。目的は、我が国では食物連鎖に入れないというところ、米国、 EUはサーベイランス、あとはEUがちょっと食肉検査というのがあります。  現在、我が国においては、健康牛、歩行困難などの症状のあるリスク牛について全月 齢でやっておりますけども、米国ですと、健康牛はサーベイランスという観点から30カ 月齢以上の2万頭、EUではほとんどの国が30カ月齢以上で、ドイツ、イタリア、スペ イン等が24カ月齢以上でやっております。リスク牛についても24カ月齢以上ということ でEUはやっております。  一方の死亡牛につきましては、農場段階で、我が国では24カ月齢以上の死亡牛につい て、BSEかどうかの検査をやっております。EUも同じようなことでありますけど も、米国は今後1年から1年半かけて農場段階で30カ月齢以上の死亡牛とかリスク牛20 万頭から27万頭を検査するということであります。我が国でやっている全月齢でやって るBSE検査について、見直しはどうかということで諮問したわけであります。 〔スライド〕  全月齢でBSE検査を始めた背景というのは、当時一番科学的知見を持っておりまし たのは英国、EUでありますけども、そのとき30カ月齢以上で検査をやろうということ でいたしましたが、当時、3年前、牛の月齢を正確に確認することができなかったとい うこと、もう一つ、国内初のBSE感染牛が見つかった直後ということで、検査をした 肉とそうでない肉が流通すること自体への、消費者の非常に強い不安があったというこ とで、それを沈静化するということで、科学的なことはさておいて全頭検査を行った、 始めたというところであります。 〔スライド〕  これは先ほど御説明したところですけども、検査の前に特定危険部位はまず除去して いることを忘れないでいただきたいと思います。皆さん方、検査というと、がんの検診 ですとか、あるいは肝臓の検査だとか思い浮かべられると思います。人の場合には検査 をして、悪いとこがあったら悪いところを取り除く、あるいは治療するということで、 そうなりますと検査対象を緩めると、もし悪いとこがあったらどうするんだということ がありますけども、異常プリオンたんぱく質を含む特定危険部位はまず全部除去して、 その後の枝肉等を流通の中に入れないために、検査をやってるということであります。 どうも皆さん方が思い浮かべられる検査とBSE検査はちょっと順序が違うということ を御理解いただきたいと思います。 〔スライド〕  これが検査でありますけども、先ほど取った特定危険部位の頭部のところから延髄閂 部を取り出しまして、前処理をしまして、キットの中に入れて、異常プリオンたんぱく 質を検出するということであります。これで陽性となりますと、確認検査をいたしま す。これ全体で四、五時間かかります。人の肝機能検査みたいに、血液を入れると何十 項目もGOT、GTPとか、ああいうのが1時間もかからずに出てくるとか、あるいは 血糖値、糖尿病の方が自分で採血して、1滴出して血糖値の検査しますけども、あれは またたく間に結果が出ますし、おしっこなんかでも、1分ぐらいで結果が出ますけど も、BSE検査はそういうものと違って、手間暇かかる検査であります。 〔スライド〕  現在使われておるキットは、EUで評価されてるのと同じものを使っておるというこ とであります。 〔スライド〕  簡易検査で陽性となると確認検査をいたしますけども、こちらがウエスタンブロット 法検査で、このところがその対象の牛ですけども、これ1本、2本、3本、このバンド が検出されるということがBSEの証拠です。  もう一つ、こちらの免疫組織化学検査というのは、この茶褐色部分が異常プリオンた んぱく質そのものを染め出したものでありますが、このいずれかが陽性になる場合を我 が国では陽性としております。国によっては、この異常プリオンたんぱく質を直接染め 出すので陽性でなければBSEと認めていない国もあります。 〔スライド〕  これまで373万7,000頭やりまして、と畜場で見つかったのが11頭であります。現在14 頭というのは、残りの3頭は死亡した段階で見つかったというところであります。 〔スライド〕  これは、これまでの14頭で確認された月と、その牛がいつ生まれたか、確認されたと きに何月齢であったか、品種は何かをあらわしたものでありまして、この8頭目、9頭 目に、23月齢、21月齢というのが、これは若齢牛ということであります。 〔スライド〕  これは、生まれた年度ごとにプロットしたもの。 〔スライド〕  BSEと確認されたときに何月齢だったということをプロットにしたものでありま す。 〔スライド〕  BSE検査についての検証結果ですけども、いつごろ見つかるかとかそういうことに ついては、断片的な事実しか得られてないと言いながらも、350万頭に及ぶ検査におい て21カ月、23カ月齢の2頭が見つかったということで、21カ月齢以上の牛については、 現在の検査法によりBSEプリオンの存在が確認される可能性があるということ。 〔スライド〕  今後の我が国のBSE対策を検討する上で十分考慮に入れるべき事実であるというこ とで、異常プリオンたんぱく質の量が21カ月齢、23カ月齢は、他の感染牛と比較して 500分の1から1,000分の1と微量であったということ。それと、350万頭に及ぶ検査に よって20カ月齢以下のBSE感染牛を確認することができなかったということで、この 検証結果の1、2の科学的事実を総合的に勘案いたしまして、現在0月齢、要するに全 頭でやっておりますものを21月齢以上に引き上げてはどうかということで諮問したとい うことであります。 〔スライド〕  これは、これまで研究をやって、プリオンの検査の感度とか迅速検査法、あとは感染 のメカニズム、汚染防止ということをやっておりますけども、研究についての注文もつ いておりまして。 〔スライド〕  検査法については、検出限界の改善とか牛の生体、生前検査法の開発等も含めて研究 を進められるべきということでありますので、高感度・迅速検査の研究開発ですとか、 感染メカニズムなどの解明などの研究を一層進めますということで諮問しました。 〔スライド〕  食品安全委員会の科学的評価、また検証結果については尊重すべきだと考えておりま して、一方、リスコミにおいて各方面から意見を聴取いたしましたけども、それらを勘 案いたしまして特定危険部位の除去の徹底、それとと畜場におけるBSE検査を21カ月 齢以上に変更する、BSEに関する調査研究の推進ということを諮問いたしました。  ただ、この意見交換会の結果、消費者団体ですとか生産者団体等から全頭検査継続に ついて多くの意見がございましたし、地方自治体がそれらのことに配慮いたしまして、 20カ月齢以下についても独自で検査をしたいということを検討されているということも ございました。このために、制度変更に伴って生じかねない消費者の不安な心理を払拭 し、生産、流通現場における混乱を回避するという観点から、20カ月齢以下の牛につい て地方自治体がBSE検査を行う場合に、引き続き当分の間、国庫補助を行うというこ と、またその間、徹底したリスクコミュニケーションを行うということ、そのような経 過措置をとりたいということで諮問をさせていただいたということであります。  以上であります。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  続きまして、BSE根絶のための飼料規制について、「食品安全委員会への諮問の考 え方」につきまして、農林水産省消費・安全局の境室長からお願いいたします。 ○境農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室長  私の方からは、食品安全委員会の「中間とりまとめ」を受けまして、BSEの根絶の ための飼料規制の強化策につきまして諮問させていただきました内容について御説明さ せていただきます。 〔スライド〕  日本は、先ほど寺尾委員からの説明がありましたが、ここの平成7年12月から平成8 年4月に生まれた、4カ月の間に14頭中10頭の発生がある。BSEは1年以内の若いと きに感染するとされておりますので、平成8年4月に行政指導によりまして肉骨粉を牛 の飼料に利用することを禁止をいたしました。その直前に生まれたということで、この 時期に共通の原因があったんではないかというようなことが考えられるわけでございま す。 〔スライド〕  それで、まず原因の究明でございますけれども、農水省外の専門の先生方によってB SE疫学検討チームといったものを作っておりました。その報告書が平成15年9月に出 ております。当時は7頭までの感染牛は確認されておりました。その7頭につきまし て、都道府県とか、あるいは飼料メーカーの方に大変御苦労いただきまして、生まれて からと畜されるまでのえさ、どういったものを食べたのか、その原料は何だったのかと いうのを調べていただきました。それによりますと、すべて7頭とも肉骨粉を直接給与 したという事例はなかったわけでございます。したがいまして、ここにありますように 肉骨粉の牛用飼料への製造・輸送段階の意図しない混入による感染の可能性が疑われる という、交差汚染と言っておりますが、それが疑われるということでございます。  具体的なものとして、次に説明させていただきます。 〔スライド〕  まず、原因の一つ、感染源ですね。これは疫学検討チームの中で3つ挙げられており まして、まず英国から1980年代以前に輸入された生きた牛、それがBSEに感染してい て、それが肉骨粉となって感染したのじゃないかと。2つ目が、90年以前にイタリアか ら輸入された加熱処理不十分の肉骨粉、それが原因ではないかというもの。3つ目が、 実は7頭の牛には、すべて代用乳の中にオランダ産の動物性油脂が入っておりました。 これが疑われたわけでございますけれども、この油脂は食肉由来の油からとったファン シータローと言われる非常に精製の高いものでございまして、それは感染のおそれはな いんじゃないかというような判断になっております。 〔スライド〕  次、感染経路でございます。先ほど言いましたように、7頭とも肉骨粉を直接食べさ せたわけじゃありません。したがいまして、感染経路としてはこういった段階におきま す交差汚染、それが疑われるということでございまして、やはり飼料規制をさらにしっ かりやることが重要だろうということになっております。 〔スライド〕  これは、先ほど食品安全委員会で出ておりましたけども、まず発生国からは肉も生体 ――生きた牛ですね――も入れないという輸入禁止を行っております。それから、肉骨 粉につきましては、これは牛の肉骨粉に限らず、豚とか鶏、すべての肉骨粉をすべての 国から輸入を禁止してるということでございまして、豚の肉骨粉なんかは牛の肉骨粉に 汚染される可能性があるということで、輸入をすべて禁止をしております。国内におき ましては、ここの肉骨粉製造工場、化成場でできました肉骨粉は焼くということで、国 内流通させないということで、牛用の飼料にはすべて肉骨粉は含まれないということ で、仮に感染牛がいても、汚染されてない飼料を食べさせて世代を繰り返していけば、 いずれ我が国からBSEは根絶されると。そうなりますと、現在講じております大変な リスク管理措置につきましても大半が不要になるものというふうに考えております。 〔スライド〕  実は、14頭ともすべて乳用牛、ホルスタイン種でございました。そのうち8頭目、9 頭目が雄で、残りは全部雌牛ということでございます。  どういったライフサイクルかといいますと、生まれて最初、3日から5日ぐらいは母 牛のお乳を飲むわけでございますけれども、その後は母牛のお乳は人間様が牛乳として 飲むということになってるわけでございまして、代用乳といったもの、それから少し大 きくなったら人工乳といったものを食べさせると。そのほか、配合飼料とか牧草、こう いったものを食べていくということでありまして、16カ月に人工受精を行って、26カ月 齢で初めて子供を産むと、で、乳が出るようになるということでございます。大体、乳 牛の場合には、ここに書いてありますように平均4産で、6から7歳でと畜されるとい う形になっております。 〔スライド〕  牛がどういったものを食べてるかというカロリーベースの栄養価換算をしてございま すけれども、約半分が乾牧草やわら類、それから残りの4割ぐらいが配合飼料という形 になっております。 〔スライド〕  これは肉用牛の場合でございますけれども、肉用牛も同様ですけども、母牛にずっと つけとくわけでございまして、母牛の乳を直接乳頭から飲むという形になります。雄で あると2カ月齢目で去勢をして肉用牛になるということでございます。離乳は3、4カ 月齢で行うということで、牧草とかふすま、ヘイキューブ。ヘイキューブというのは、 牧草を熱処理して固めたものですね、ペレット状にしたもの、そういったものをやると いうことでございまして、大体10カ月齢までが育成期間、それ以降は肥育期間として配 合飼料を中心に肥育されて、約30カ月齢で出荷されるということでございます。雌牛の 場合は、乳牛と同じように人工受精されて、約7産とって、9歳ぐらいでと畜されると いう形になっております。 〔スライド〕  規制の基本的な考え方ということですけども、2つでございます。  まず、感染源対策ということでは、異常プリオンを多分含んでいるおそれのある肉骨 粉はもちろん使わない。それから、交差汚染の可能性のある魚粉とか動物性油脂は牛の 飼料への利用を禁止するというものでございます。  それから、感染経路としては、先ほどの交差汚染、これを防止するということで、飼 料の輸入から製造、保管、輸送、使用、各段階におきまして、いわゆるライン分離を行 うという対策を講じております。 〔スライド〕  これが原料ということで、ここに書いてありますような原料がございます。  ちなみに、この動物性油脂というのは、ここに書いてありますように肉骨粉製造時に 発生する油脂ということで、肉骨粉を作るときに油が出てくるわけでございます。いわ ゆるイエローグリースと言ってるわけでございます。そのうちに、不溶性不純物が0.15 %以下のものにつきましてはここに丸がついてるということで、利用可能になっており ます。  こちらが、その原料の由来の動物、それからこちらが牛用飼料、豚用飼料、鶏用飼 料、養魚用飼料という形になっておりまして、まず牛につきましては、すべて利用を禁 止をしております。それから、牛由来のものもすべて禁止ということでございます。現 在、豚のものも禁止になっておりますけども、豚の肉骨粉につきましては、既に食品安 全委員会の食品健康影響評価は済んでおりまして、豚にはBSEにつきましては自然感 染しないということがわかっておりまして、豚の肉骨粉につきましては、牛の肉骨粉と 交差しないような対策を講じることを前提に、豚と鶏用には使用できるようになるとい うことで、現在省令改正作業を行っておるところでございます。それから、鶏につきま しては、実験的にも異常プリオンたんぱく、感染牛の脳を鶏に脳内接種しても感染しな いということがわかっております。さらに、チキンミールにつきましては、牛以外のも のには利用可能ということになっております。動物性油脂につきましても、先ほどの条 件を満たすものにつきましては利用可能という形になっております。 〔スライド〕  これで「中間とりまとめ」の中の御指摘でございますけれども、BSE発生対策とし て現在行われている飼料規制により、BSE発生のリスクは極めて小さいものと考えら れるが、若齢のBSEが確認されていると。先ほどの8頭目、9頭目が若齢なわけでご ざいまして、平成13年9月から法的に飼料規制を行ったわけですけども、その後に生ま れたものということでございます。したがいまして、飼料規制の実効性が保証されるよ う行政当局によるチェックを引き続き行えということでございます。 〔スライド〕  これがライン分離のものでございまして、牛用飼料と豚・鶏飼料を分けるというこ と。一つのやり方としては、牛用飼料の専用工場を作ってしまうというのがございま す。これは、工場は一緒だけれども、中を、赤線が書いてありますように隔壁で分けて 交差汚染を防ぐというような方法をとっておる、あるいは製造ラインを分けるというよ うな方法をとるわけでございまして、現在配合飼料工場はこれを進めておりまして、来 年3月までには138の飼料工場すべてがいずれかの対応をとるという形になっておりま す。 〔スライド〕  これが現在のチェック体制でございまして、飼料原料、大半は輸入に頼っておるわけ でございまして、そのうち肉骨粉は先ほど言いましたように輸入禁止、それから魚粉に つきましても何らかの汚染の交差性の可能性があるということで、動物検疫所が検査を 行っております。  それから、配合飼料につきましては、実はここの輸入される穀物、トウモロコシや大 豆はそのまま大体入ってきますから肉骨粉なんか普通入ってないわけですけれども、配 合飼料工場の中でそういった大豆とかトウモロコシの中にほかの栄養成分等を添加して いくわけでございますので、そこで使ってならない原料を使ってないか、あるいは交差 汚染の心配はないかということをこの肥飼料検査所が立入検査を抜き打ちでやって、指 導、監督をし、検査をしております。また、化製場におきましても同様の検査を行っ て、牛の原料が豚とか鶏にまじってないかどうか、そういったことを確認して、先ほど 言いました油脂に限り、豚とか鶏用の飼料には使っていいという形になっているという ことであります。  それから、飼料の販売段階におきましては、卸売店について都道府県に届け出するこ とになっております。さらに、ここにおきましては保管状況とかそういった誤った飼料 を与えないように指導する、あるいは農家におきましても誤用とかの防止を図るという 指導を都道府県に行っていただいております。 〔スライド〕  今回の諮問の内容、3つございまして、まず輸入段階。先ほど、飼料の輸入業者のと こはお話ししましたけれども、飼料安全法に届け出がございます。ただ、その届け出 は、飼料の種類は届け出されることになっておりますけども、原材料までは届け出にな ってないという。大半は、まざりものじゃない、単味飼料で輸入されるわけでございま すが、一部混合飼料、全体は約0.5%程度ですけども、そこはまじったものが入ってき てるということでございます。したがいまして、その原材料につきましても、飼料安全 法上届け出の義務づけを行うということで、水際での検査を行いたいというふうに考え ております。 〔スライド〕  2つ目は、販売段階。卸売業者は届け出を義務づけられておりますけれども、農家に 直接、エンドユーザーに販売している小売業者につきましては、届け出の対象から除外 されております。したがいまして、小売業者につきましても届け出を義務づけて、都道 府県あるいは、後ほど言いますが国の機関によりまして監視等をやりたいというふうに 考えております。 〔スライド〕  それから、農家の段階、実際使用する段階。ここでは、やはり、いわゆる特に牛の飼 養農家であって、余りないと思いますけど、豚とか鶏を一緒に飼ってるとか、あるいは ペットなんかがいると、そういうとこにつきましては、給与を禁止されている飼料の誤 用、流用を防止するということが、やはり全部で13万戸ございますのでなかなか徹底が 難しいということで、地方農政局とか地方農政事務所、これは国の機関ですけども、そ こが農家に巡回指導を行うときに周知を徹底したい、あるいは都道府県にはマニュアル などを作って、そういった、先ほど申し上げましたような流用、誤用を防止できるよう に指導、監督を行いたいというふうに考えております。 〔スライド〕  今申し上げた3つの部分がございまして、輸入段階ではここの原材料も届け出をさせ て肥飼料検査所が抜き打ちの検査を行う。それから、小売につきましては届け出をさせ て、指導、監督を行う。農家につきましては、都道府県と地方農政局等が連携して役割 分担をした上で指導、監督を行うということを考えております。 〔スライド〕  最後に、サーベイランス。目的は2つでございまして、一つは我が国にどのくらいB SEが広がっているか、それをもとに原因究明を行うというのが一つ。もう一つは、リ スク管理措置をいろいろ講じてるわけですけど、それが有効に機能してるかどうかとい ったものをこれで把握するわけでございます。現在まで、我が方の農家段階のサーベイ ランス、見つかっておりますのは、ここで1頭、それからここで1頭、さらにここに書 いてありますように10月14日の死亡牛で1頭という、3頭見つかっておるということで ございます。死亡牛につきましては、24カ月齢以上の死亡牛は、今年4月からは全都道 府県ですべて検査が行われておりまして、現在6カ月の間に5万4,000頭の検査を行っ ておりますから、年間で10万頭以上行うというような取り組みになっております。  以上のような飼料規制とチェック体制を強化することによりまして、一日も早く我が 国からBSEをなくしたいというふうに考えておりますので、是非とも御理解と御協力 を賜りますようにお願いしまして、御説明を終わらせていただきます。どうもありがと うございました。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  短い時間の中でちょっと駆け足のような説明になってしまったかと思いますが、これ から意見交換会の方に移りたいと思います。  それでは、BSE対策についての意見交換に入りたいと思います。  まず、こちらも本日の意見交換会申し込みに当たりまして事前の意見というものをい ただいておりますので御紹介させていただきます。  先ほどお話しさせていただきました資料3、A4横長のものでございますが、その裏 側に、食品に関するリスクコミュニケーション(BSE国内対策についての事前意見) というものがあります。  検査の関係では、行政機関等関係の方から、20月齢未満をBSE検査しないことが消 費者の安全にはつながらないのではないかというような御意見をいただいております。  また、輸入の関係では、消費者のお二方の方から、米国から輸入再開について、日本 と同程度の管理体制でないと米国の牛は安心できませんという意見。それから、安全性 に関しては念入りなチェック体制でお願いしたい、アメリカや産業界の圧力で安易に輸 入を決めてほしくない、せめて日本と同じチェック体制で、将来ある子供を持つ身とし ては人体実験になるようなことでは困るというような御意見をいただいております。  また、その他ということで、食品等事業者の方から、弊社では清涼飲料水でHACC Pを取得しておりますが、今後BSE関連でどこまでの危害を想定して品質保証書をそ ろえる必要があるのだろうかというような御意見をいただいているところでございま す。  それから、前半、パネラーで御参加いただきました佐藤さんからもBSE問題につい て御発言いただければと思いますが。 ○佐藤岡山県消費生活問題研究協議会副会長  失礼をいたします。お話を伺わせていただきまして、食品安全委員会の先生の方か ら、リスク評価をするということと、日米の協議は先行しているとかどうとか、そうい うことはないという御説明でございましたが、やはり私たちとしましては、これから委 員会の方でリスク評価をしていただくという矢先に、10月21日に日米のBSE協議が開 催されて、輸入再開の認識を共有したというふうなニュースが流れましたので、輸入再 開に合意したわけではないと言われても納得がいかないなという部分もございました。 けれども、それについては大体わかったんですけれども、先刻のお話、事前の調査の中 にもございましたけれども、一つは、やはり日本の国内牛はトレーサビリティ法ができ まして生産履歴がはっきり確認できるんですけれども、アメリカではやはり放牧と自然 交配で子牛を生産しているということでありますと、20カ月齢をどのように確認ができ るんだろうかというふうなことが大変消費者としては不安でございます。科学的で、私 たちに納得のできるような方法がわかればいいなという希望を持っております。  それからもう一つだけ言わせていただきますが、食品安全委員会の先生のところで、 一番最後のところで、時間がないからということで、プリオンの特定部位のお話の一番 最後のところで、お言葉にはいただけなかったような気がしますが、今までの異常プリ オンの蓄積するのは、特定部位というのは4つございまして、御説明のとおりでござい ますが、私たちが得た新しい情報では、今年の初めに94カ月齢の牛の組織における異常 プリオンが、検査の結果、末梢神経の組織や副腎からわずかの異常プリオンたんぱく質 が検出されたというふうなことが書いておったんですが、それが先生のお話の一番最後 のところにございましたんですが、こうなりますと、まだまだBSEに関してまだはっ きりわからない部分があるなと思いますので、これについて、もし御説明がいただけれ ばありがたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、まとめて行政の方からまずコメントをお願いしたいと思いますが、月齢の ところ、これ輸入牛の話はまだこれからになるかと思いますけれども、松本参事官の方 からコメントをお願いします。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  先般、10月下旬に日米の局長級会議がありました。米国の月齢の確認の仕方は、我 が国と同じように個体識別による方法が全体の1割ぐらいはということであります。そ れ以外は、放牧したところで生まれてくるので、その集団で一番先に生まれた牛で集団 の月齢を確認できないのかということ。人工受精でやってる牛がありますので、それに ついては月齢がわかるということ。もう一つは、肉の成熟度ということで、商品の格付 で使ってるのがあるようでありますけども、それで月齢が確認できるということを米国 は主張しております。しかし、それについては科学的にどうかということについて、米 国から出してきたデータについて我が国の専門家で検証してもらうために、11月12日に 農水省で専門家に集まっていただいて委員会を開きまして、米国からそういう資料が出 たときのために勉強会を開きました。今後米国からいろんなデータが出てきたときに、 米国が主張するものが科学的と言えるのかについては、日米の専門家で今後協議してい くことになりました。それで、納得がいかなければ、肉の成熟度での月齢判断は無理で すよということになります。 ○コーディネーター  境室長からお願いします。 ○境農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室長  後段の御質問ですけども、独立行政法人の動物衛生研究所での試験、検査を行って、 ウエスタンブロットによりまして末梢神経の組織とか、あるいは副腎の一部から微量の 異常プリオンたんぱく質が検出されたというのは事実でございます。ただ、現在SRM に指定されております三叉神経などに比べますと、はるかに少ないということがわかっ ております。  これにつきましては、現在感染性があるものかどうかといったものを試験をしておる ところでございまして、その試験結果が、あるいは外国のデータとか出ましたら、それ を踏まえて食品安全委員会にリスク評価をお願いすることになるというふうに考えてお ります。  なお、現時点で、欧州でわかっておりますことにつきましては、BSEに感染した牛 の末梢神経繊維を使った動物試験では、感染性は認められなかったという報告が公表さ れております。  以上でございます。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それから、事前にいただいている意見の中では、まず20月齢未満の検査をしないこと が消費者の安心にはつながらないということなんですけども、これを安心につなげるた めに、このような意見交換の取り組みを全国各地でさせていただいているというような ことがございます。  それから、2番目の輸入のところでございますが、日本と同等のやはり安全性という ものがきちんと確保されるということを確認して初めて輸入がされるということで、ま だこちらの方の評価というのは、これから食品安全委員会の方にお願いすることになる んだと思いますが、まずはまず日本の管理対策のあり方についてどうかというとこを今 現在食品安全委員会の中で御評価いただいてるところでございます。  3つ目の質問について、どなたかお答えいただけますでしょうか。HACCPとして どういう品質保証書をそろえていったらいいのかというようなことですけれども。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  食品等の清涼飲料水でHACCPをとられてるとのことですが、非常に前向きな取り 組みで感謝しております。扱ってらっしゃるものとこのBSEの関連とが、これだけで は理解できないのでありますが、もし御質問の方が会場にいらっしゃれば、こういう趣 旨での問いだということを聞かせていただければと思いますが。 ○コーディネーター  御質問の趣旨について、補足いただけますか。本日いらしていただいてるかどうかわ からないんですけども。  特にはよろしいですかね。若干趣旨が把握できないこともありますので、それではち ょっとこの質問については御紹介だけにとどめさせていただいて、また後日、何かあり ましたら厚生労働省の方にお問い合わせいただければと思います。  それでは、BSEの方の意見交換、会場の方から意見をお聞きしたいと思いますが、 まず意見交換の方法として、最初に何名かの方に御発言をいただいて、それと同趣旨の 意見で補足するようなこと、私はこういうことをさらに補足したいというようなことが あれば二、三人の方に追加発言をいただき、今度は逆に、それとは別の方面からの意見 の方に発言いただくというようなことを繰り返していきたいと思います。  なお、こちらの方も質問時間の方はお1人2分ということでお願いしたいと思いま す。  会場の方で、それでは意見を受けたいと思いますが。  あちらの列の。 ○参加者4  先ほどの司会の方のお話ですと、厚生省の方から食品安全委員会に向けて、アメリカ 牛のBSEの安全性の評価について依頼をされると、こういうお話でしたけれども、今 後確実にそうなるんでしょうかということが1つと、それから私は食品安全委員会の機 能と役割を十分理解しておりませんけれども、食品安全委員会としては厚生省の依頼が なければ独自にそういうアメリカ牛のBSEの安全性の評価をする権限だとかそういう ものがあるのかないのか、そういった点についてお伺いしたいと思います。  それから、私、先日、岡山市にありますと畜場を見学させていただきました。そこで はピッシングをやっておりまして、それについてお伺いしますと、やはり職員の方の安 全性の確保のためにどうしてもいたし方がないんだと、こういう御説明でした。先ほど の厚生省の方のお話だと、ピッシングは廃止の方向で指導すると、こういうことです が、岡山県の方ではどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいなというふうに 思います。  もう一つだけいいですか。 ○コーディネーター  どうぞ、はい。 ○参加者4  それから、そこでは背割り前にせき髄を吸引しておりましたけれども、と畜場の方の お話では、吸引によってやっぱり除去できるせき髄は大体7割だと、こういうお話でし た。3割は、後の御説明のとおり、人によって、目検によって除去をしておりましたけ れども、一工程で牛はやっぱり1分ないし2分未満だったと思いますので、大丈夫なの かなというのが率直の感想でした。その後、高圧洗浄という工程もあるということなん ですが、そういう過程でせき髄がやっぱりどの程度確実に除去されているのかどうか、 その点についてお教えいただきたいと思います。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  何名かの方に伺おうかと思ったんですが、数も多いので行政の方にお答えいただこう かと思います。  まず、米国牛について、別途諮問するということですが、確実にそうかという部分に ついて松本参事官の方から。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  米国産の牛肉の輸入再開に当たりましては、基本的な立場として、我が国と同等の安 全性が確保されているということが大前提であると考えております。現在、我が国での 対策の見直しを諮問しておりますが、食品安全委員会から答申が出ますと、それで我が 国の対策の見直しがきちっと定まります。それを見て、米国が、こういう措置をとれば 日本が求めているのと同等の安全性が担保できますよということで具体的な措置につい て提案があると思いますが、その提案があった場合には、食品安全委員会にリスク評価 をお願いしようと考えております。ですから、まだ我が国での対策の見直しの諮問とい うことですので、その答申が出た後、米国がそれを見て具体的な措置を示してくるとい うことになりますので、手続はそういうことになるということであります。 ○コーディネーター  それから、安全委員会の機能と役割の中で、これは寺尾委員にお願いします。 ○寺尾食品安全委員会委員  諮問がなければ、BSEに関しまして安全委員会は何も議論しないという話ではござ いませんで、諮問がなくても当然これはやることができます。現に、今説明しました 「中間とりまとめ」というのは、別に厚労省から、あるいは農水省から諮問を受けてや ったわけではございませんで、これは独自に私どもが始めたものであります。  それと、先週食品安全委員会がありまして、その中で、これから各国の牛の安全性、 BSEに関します、それについての独自の、何ていうか、評価をやっていこうというこ とが議論されまして、それを進めるというふうになっております。  それで答え、よろしいんでしょうか。 ○参加者4  はい、ありがとうございます。 ○コーディネーター  それから、ピッシングの関係で、廃止の方向で指導ということですけれども、こちら についても。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  厚生労働省の立場としましては、13年10月からピッシングは中止の方向で指導をして おります。ただ、今ごらんになったように、と畜場で働く方々の安全衛生の確保と両立 というのが必要でございまして、そこのところがなかなかうまくいかない、やむを得ず 中止までは至ってないというところがあります。しかし、3年前はほとんどのと畜場で やっておったピッシングを、3割のところは中止していただいたということであります ので、それなりに工夫があるわけでございます。その工夫した事例を集めまして、それ をまだ中止してないところに示すことによって、実際に実行できるやり方をとって、中 止の方向でやっていただきたいということで指導していきたいということであります。  あと、岡山県の部分については、ちょっと私ではお答えできませんので、どなたか岡 山の方が。 ○コーディネーター  谷口課長の方からお願いいたします。たしか高圧洗浄の効果とかその辺も含めてとい うことだったと思います。 ○谷口岡山県保健福祉部生活衛生課長  岡山県保健福祉部の谷口でございます。  先ほど、ピッシングのお話が出ておりましたけど、岡山市のと畜場を見学されたとか ということで、ピッシングされておったということでございますけれども、岡山県の所 管しております津山市、それから井原市におきましては、ピッシングは既に廃止いたし ております。 ○コーディネーター  あと、高圧洗浄の効果。背割り前にせき髄除去をしてますけれども、一応7割程度の 除去率で、残り3割は背割りした後、人の手でということで。高圧洗浄もありますけ ど、その効果はどの程度なのかと。 ○谷口岡山県保健福祉部生活衛生課長  高圧洗浄のことが御質問にあったわけですが、背割り前にせき髄を吸引いたします。 ただ、完全には取れませんので、せき髄は若干外しまして背割りをいたしまして、後、 高圧洗浄をいたします。ただ、十分まだ高圧洗浄でも取れないという、肉眼でまだひっ ついておるというふうなものも見受けられる場合は、検査員が目で見てそれを除去して おるという状況でございます。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  御質問いただいた方、よろしいでしょうか。 ○参加者4  ありがとうごさいました。 ○コーディネーター  それでは、ほかに御質問、御意見のある方。  真ん中の列の前から4番目の女性の方。 ○参加者5  今回、いろいろBSEに関して農水省の方や厚生労働省の方、食品安全委員会の方か ら御説明いただきましたので、そういう十分なリスク評価が必要だということもわかり ましたし、管理も必要だということがわかりました。  今回、質問の中にも、アメリカの輸入再開についての御意見、質問が出されています けれども、どういうようなリスク評価がなされるんだろうかということは一つお聞きし たいと思います。  それから、多くに寄せられる意見として、参考ということで、一番最後に、早期に米 国産牛肉の輸入を再開してほしいという項目があります。確かに安くておいしいアメリ カ産の牛肉の輸入の再開を待つ声も一方ではあると思います。ですが、今回のBSEの 問題に関しては、人から人への感染ということを視野に入れて考えますと、そう簡単に 消費者の選択として米国産の輸入を、安いから、おいしいからということで輸入再開が 判断されることに関しては、とても慎重に考える必要があるのではないかと消費者とし て思っています。消費者の権利として、いろんなそういう選択があるということは必要 だと思いますけれども、食品安全委員会の以前の御説明の中では、食品安全委員会とし ては、牛から人、食品のそのところを入れるというふうに言われてましたけれども、人 から人への感染を含めたリスク評価っていうものはどちらがなさるんでしょうかという ことも含めてお聞きしたいと思います。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、輸入の関係を中心にちょっと御質問、御意見いただいておりますので、同 じように輸入のところで少し補足されるような意見があれば受けたいと思いますが、い かがでしょうか。  米国産のあたりは、この辺の意見で出尽くしたといいますか、そのぐらいでよろしい ですか。  あちらの方。 ○参加者6  皆さんにお考えいただきたいと思うんですが、本当に検査で安全が確認できるかどう かということなんです。3年たちまして、当初はもうそらパニックになりましたから、 全頭検査をやって、全頭買い上げやって、これで安心だと思ってました。ところが、こ の半年前ですか、わかってきたことは、全頭検査をやっても検査は安全ではない。なぜ かといいますと、要するに感染しても発症しないという、潜伏期間が異常に長いと、こ の「中間とりまとめ」にもありますが、2年から8年潜伏しておる。平均5年の潜伏期 間があって、60カ月ですね、これは、これに対して20カ月どうのこうの言ってますが、 30カ月にしたって、まだまだ、これ至らんわけですね。ということは、感染していて も、検査でパスしてしまう、通ってしまうんです。これが、約半分あるというふうに言 っておりますが、半数もパスするようなことで、何が安全だということなんでしょう か。本当の安全対策は何かということを皆さんにもじっくりと考えていただきたいと。 全頭検査というと、響きはいいですから安心する材料にはなるかもしれませんが、安全 対策ではないということは、もう明確になっておると思います。  アメリカの輸入の牛肉も同様でありまして、検査を前提に考えると話は間違ってくる ということなんでありまして、あくまで、スライドにもありましたけど、特定危険部位 を除去する、ほってしまう、つまりフグと同じような発想になりますが、特定危険部位 を除去するということの徹底が、当面としては、これが検査よりも絶対的な安全対策で ある。  だけど、もっと根本的には、スライドもありましたけども、要するに肉骨粉をやめ る、これフィードバンというわけでありますが、フィードバンを徹底することによれば BSEはなくなると、検査もSRMの除去も必要ないということになると私は思いま す。まだ国際的にも断定はしておりませんが、肉骨粉やめたらBSEが、もうこれは激 減したということは事実でありますんで、完全に肉骨粉のほかのえさがまざるというこ とを防止すれば、日本のBSEも世界のBSEもなくなる。なくなれば何も問題ないわ けでありますんで、そこら辺に視点を当ててもらいたい。  そういうことを、消費者の一人として考えるわけでありますが、皆さんもその辺をじ っくり考えてもらって、ただ全頭検査、検査、それで安全なんだという信仰みたいな話 は違うということをじっくりと認識をしてもらいたいということであります。  ほかにまだ発言ありますが、後にします、時間がありませんから。  以上であります。 ○コーディネーター  はい、すみません。発言の方を2分以内でなるべくまとめていただけるようにお願い したいと思います。  ほかに何か、輸入牛肉とかの問題で御発言される方、いらっしゃいますでしょうか。  あちらの方、お願いします。 ○参加者7  詳しいことはよくわかんないですけど、何か聞いてると1億2,000万分の1の確率で こんなに、大切なことではあるけど、論議になるのかなという。私も親ですから子供が います。子供に対して安全なものを食べさせてやりたいという気持ち、本当強いんだけ ど、でもそれって、イギリスやアメリカ、世界でBSEが発生した国々の親も同じよう な気持ちじゃないかなという気がするんです、私たちだけじゃなくて。じゃあ、その人 たちって、その国の安全基準で、それを信じてやってる。一体何が正しいのかっていう ゼロリスクっていうのが今ない中で、自分の身を守るのは、やっぱり最終的には自分じ ゃないかなっていう気がしてます。実際、スーパーあたりでも、私買い物に行くんです けど、えらいまずい肉がえらい高く売られてるという状況か何かあって、これって本当 に食糧自給率とかいろんなマクロ的なものを考えていくときに、何でここだけがこんな ふうに取り上げられてるんだろうなっていう。アメリカの人たちも、お母さんが子供た ちにお肉を食べさせて、それが本当にいけないものっていうか、安全でないものだった ら、食べさせるはずがないと思うんですよね。  その辺のところをちょっと理解していただきたいのと、あと、やっぱり人間が自然界 の法則をことごとく破っていく中で起こった問題じゃないかなと。根本的には、やっぱ りそういう部分も是正していかなきゃいけないんじゃないかなと。  それと、一つちょっと疑問なんですが、人間でBSEと似たような症状というか、B SEと同じ症状であったというふうにちょっとお聞きしてるんですけども、これ人間が 人間を食べちゃったということで、それをなくすことによって、それなくなっちゃった ということなんですが、これBSEもやっぱり同じことが言えるんでしょうか、どうで しょうか。 ○コーディネーター  それでは、この辺で行政の方からコメントをいただきたいと思いますが。  これからアメリカ牛のリスクについて評価されていくということでございますけど も、どういうふうに安全委員会で評価をしていくのかということとか、それから幾ら選 択といっても、やはり安いからよいからということではなくて、慎重に評価をしてほし いというような意見をいただいております。  一色次長の方からお願いいたします。 ○一色内閣府食品安全委員会事務局次長  今御質問がありました、もし米国からの牛肉の評価について、厚生労働省、農林水産 省から依頼があったときのリスク評価または独自に行う場合のリスク評価、これをどう するのかということですけど、プリオン専門調査会にお任せいたします。これは、食品 安全委員会の方針になると思います。つまり、12名の日本のプリオンの専門家の方を調 査会にお招きしております。これまでの議論も、いわゆる自由に議論していただきまし た。これからもどのようなリスク評価にするかというのは、専門調査会の方で決めてい ただくことになると思います。ただし、諮問の内容がどのような諮問、要するに意見を 求めますというんですけど、どのような意見を求めてくるか、その文章が一つの方向づ けにはなるとは思いますけれども、原則としては専門調査会にお任せして、自由に議論 していただくということになると思います。つまり、食品安全委員会に求められており ますのは、科学的な議論でありますけども、中立公正で自由な議論という、そのあたり できちんとやっていきたいというふうに考えております。 ○コーディネーター  人から人のところは、参事官お願いします。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  人から人へのBSE感染ということですけども、vCJDと言うべきかもしれませ ん。それも可能性として、BSEが大量に発生して、その後、牛から人へ移って、今ま で百五十数名の方がその感染症にかかられておりますけども、当初から人から人への感 染のおそれもなきにしもあらずということで、BSE汚染の強い国にいらっしゃった方 々、英国、アイルランド、イタリア、オランダ、スイス、スペイン、ドイツ、フラン ス、ベルギー、ポルトガルに6カ月以上滞在された方については、1980年以降ですけど も、留学等で1年近く留学された方も含めますが、そういう方々については、我が国で 献血は御遠慮くださいということで献血対象者から外しておりますし、それより汚染度 は低いけども可能性のあるというところについては、5年以上滞在した方については献 血を見合わせていただきたいということでお願いしております。それで我が国での人か ら人への感染を防止しています。基本的には、人から人へというのは、血液や体液等を 介さないと感染しないので、献血を遠慮していただくという対応をとっています。 ○コーディネーター  あと、変異型ではなくて狐発性やクールー病のことも含めて、説明していただけます か。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  もともと人に出てくるので、狐発性のクロイツフェルト・ヤコブ病というのがあるん です。これは大体発症率が100万人に1人ぐらいですから、我が国においては人口が1 億2,300万人ほどいますから、大体年間100名ほど発生してるということになります。  これについて歴史的に見ると、ニューギニアでクールーという非常に奇妙な病気が見 つかりまして、調べたら、亡くなった方の脳を食べる習慣があって、それで感染したの であろうということで考えられました。それをやめたら、ヤコブ病が発生しなくなった ということなので、人から人へのクロイツフェルト・ヤコブの感染ということで、そう いう亡くなった方の脳を食べて感染したということで報告はされております。それは人 から人に、人のクロイツフェルト・ヤコブ病が感染したものです。 ○コーディネーター  同じように、先ほど御発言いただいた方の中でも、飼料規制を行ったことでBSE発 生牛が少なくなっているということは確かにイギリス等でも報告されております。  また、今の、現在のリスクの管理について、いわゆる検査だけでなくて、SRMの除 去というものもあるということから、要するに検査だけですべてを判定をしているわけ ではなくて、検査でもすり抜けてしまうようなものがあっても、そこは特定危険部位の 除去がきちんとされているから、それによってリスクは低いというのが今のシステムな んだというふうに思います。  ほかに。  寺尾先生。 ○寺尾食品安全委員会委員  先ほどの人から人へなんですけど、たしか岡山でこの前やったときも同じ質問を受け たと思うんですよ。何かネズミ算的に広がっていくんだっていうことをたしかおっしゃ ってましたけど、それは間違いで、松本さん御説明しましたように、輸血を受けた人は 献血できないということで、できないんですよ。私も以前に献血しようかと思いました ら、輸血を受けたことありますかと言われまして、昔受けましたって言いましたら、じ ゃあだめだって言われて献血できなかったことがあるんですよ。ですから、正直であれ ばそこで献血できませんから、ネズミ算的に増えるということはないということです ね。ですから、感染した人が何回も何回も知らないで献血していれば、それは何人かそ ういう感染する可能性があるかもしれませんけども、少なくともネズミ算的に猛烈な勢 いで増えていっちゃうということはあり得ないと、我が国では。そういうことです。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、また会場の方から意見を受けたいと思いますが。  それでは。 ○参加者8  BSEに関するお話が書いてございますが、肉の輸入の場合、検査体制がBSEだけ の検査になっているのかどうか。アメリカの農務省の高官が言われるのには、輸出する アメリカの牛肉につきましては、O157に感染してるのが半分以上あるんだというふう なことを聞いたことがあるんです。検査はどの程度やられていますか。 ○コーディネーター  参事官の方からお願いいたします。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  BSEについては、BSEの発生国から牛肉あるいは特定危険部位のものは全部輸入 停止しております。あとは、食品一般、肉もそうですけども、そういう感染とか、O157 とかそういうものについて汚染されてないかというものについては、先ほど申し上げま した、サンプリング調査、特に必要なものについてはそういう検査もやっております。 ○コーディネーター  質問いただいた方、よろしいでしょうか。  それでは、そちらの列の。 ○参加者9  先ほどの質問とも関連するんですけども、先週の週刊誌、どこの週刊誌かちょっと記 憶にないんですが、BSE発生国で生産された牛肉が、第三国を経由して国内に入って くるのではないかという報道があったというふうに記憶をしてます。そういう可能性が ないというふうに言い切れるかどうかということが少し不安でありまして、その場合も 米国産牛肉が多分メキシコだったというふうに思うんですが、そういう場合に、日本で きちんと排除できるような状況にあるのかどうかというのが少し不安があるんで、その 点お願いします。 ○コーディネーター  参事官、お願いします。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  基本的には輸出国の衛生証明書というのが必要でございますので、そういう第三国を 回ってきてないことを証明していただくということになります。ですから、書類の段階 での審査ということになります。 ○コーディネーター  よろしいでしょうか。 ○参加者6  全頭検査、検査で本当に安全なら、もう繰り返しませんが、私も賛成します。ところ が、客観的な事実、科学的な知見で、検査ではだめなんだと、すり抜けてしまうからか えってリスクになるんだということはもうはっきりしております。ですから、そういう 点において、都道府県で自主的にやるなら国が金を出すということも、これも事実上二 重基準を作ることになりますんで、これも非常におかしいと思います。  それからもう一点は、日本のマクロで国益を考えたときに、我々大騒ぎしてBSEで やいやい言ってますが、病人は一人も出ていない。SRMの特定危険部位を除去すれ ば、1億2,000万分の、つまり日本人全部の0.004人の確率で変異型のヤコブ病になるお それがある、こんなような問題で、誰一人病人も出たわけでも何でもないのに大騒ぎを してやっておる。いまだにまだ全頭検査といってぎゃあぎゃあ言っておるんですが、ア メリカの方から見れば、アメリカは、例えば2002年のデータで、BSEの前であります が、年間12万トン生産をしとるんですが、日本の輸入は何とたったの1.8%、今は停止 してますんでゼロでありますが、正常なときで1.8%しか日本は米国牛を輸入していな いということは、日本の食糧安保から言うと、一体どう考えたらいいのか。60%は輸入 をしなければ日本の国民は食っていけないという状況を考えたときに、日本だけの基準 でわあわあ言って、全頭検査のどうのこうの言って禁輸をずっと続ければ、最悪の場 合、アメリカの方が日本に買ってもらわんでいいよ。1.8%であれば、もうこれなしに 等しいような数字でありますんで、日本の食糧安保という観点からも考えて、マクロで 皆さんも判断願って、輸入しなきゃ食っていけない日本がいつまでも米国牛肉を輸入禁 止、ついでに、じゃあ麦も、トウモロコシも全部売りませんと、アメリカは言ってませ んが、もしそういうことを言い出したら、日本はどうするんですか。そういう国益とい うこともひとつ考えてお互いに……。 ○コーディネーター  すみません、そろそろまとめていただけるようにお願いします。 ○参加者6  わかりました。  個人の事情とか業界の利害とか都合だけじゃなくて、国益ということもやはり一国民 として考えていきたいということです。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございます。  全頭検査ばかりにやはり注視したやり方というのはよくないのではないかという御趣 旨の意見だったかと思いますが、同じような趣旨の意見で、ほかに何か補足するような 方、いらっしゃればお受けしたいと思いますが。  あちらの方。 ○コーディネーター  それではまずそちらの列の方に発言いただいて、その次にそこの、今手を挙げていた だいた女性の方にいきたいと思います。 ○参加者3  最近の新聞で、日米における牛肉の安全対策ということで2つ問題が提起されており ます。1つは、日本では全頭検査を制度ということ、それからアメリカでは生後30カ月 以上をやると。しかし、それを踏まえて両者で協議をした結果、検討中と書いてありま すけど、大方の方向は、BSE検査は20カ月以上、それからアメリカではその検査は肉 質を見たらわかるというような非科学的な判定をするような提案があるんです。  20カ月ということは、現在生まれた牛をチェックしておけば、20カ月後には結果がわ かるわけですから、今でも20カ月以内ということは、ある部分わかってるわけですか ら、そういうものを20カ月を保証する方法、技術というものを、話し合いができれば、 それが今後開けていく一つの道ではなかろうかと思うわけです。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  続きまして、そちらの女性の方、お願いします。 ○参加者5  私が御質問しましたのは、人から人への感染ということがイギリスで生じてるわけで すから、そのことも含めたリスク評価というものは一体どの機関がなさるんですかとい う質問なんです。  それともう一点、先ほど寺尾先生がお答えくださいましたけれども、ネズミ算式には 増えないかもしれませんけれども、今日本の対策で、今の感染、発症率だというふうな ことはわかります。ですが、例えばほかの国での関与も十分にわかっていない状況で、 日本で発症する確率っていうのはもっと高くなる可能性は十分あるわけですよね。おま けに潜伏期間が非常に長いわけですから、そのことを考えると、子供を持っている母親 を中心にして、じゃあ一体日本の食の安全はどのように守られるんだろうかっていう大 きな不安を抱えていて、そういう声がたくさん上がっているということを考えますと、 まだまだ解明されていないところが多い問題ですので、慎重に考えていただきたいとい うのが消費者の意見です。ましてや、問題は違いますけれども、エイズについてもワク チンが開発されてよかったと言ってながら、突然変異を起こしてそのワクチンが効かな くなることで、今そのことの問題についても苦労しているわけですから、不解明な部分 が多いものについては十分に、慎重に検討していただきたいと消費者として思っており ます。  以上です。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  人から人の部分は、恐らく医療での現場の話になりますので、同じ厚生労働省の方で のリスク評価ということになると思いますが、恐らく食品を通じて人の材料を食べると いうことはないので、食品という行政の中でのリスク評価の中には若干人から人への感 染というのは入ってこないのかなというふうに思います。そこは、またちょっと後から 補足いただきたいと思いますが。  それでは、先ほど質問いただいた中で、アメリカ産牛肉が輸入されるに当たっては、 きちんと21カ月以上というようなことが証明できればそういうところで折り合いがつく 可能性もあるのかなというような御意見いただいておりますし、また最初御意見いただ いた方からも、やはり検査だけでは十分でないというようなことで、検査がすべてでは ないのだというようなことだったかと思います。  行政の方からコメントをお願いします。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  このBSEというのは、異常プリオンたんぱく質を介して、それがもとで伝播してい るということでありますけども、不幸中の幸いといいますか、この異常プリオンたんぱ く質がたまるというところが脳であり、せき髄であり、いわゆるSRM特定危険部位と いうところがほとんどだ、99%だということであります。これがもし均等に分布してる ということであれば、それは特定危険部位の除去ぐらいでは済みません。少なくとも99 %ぐらいは特定危険部位の中に異常プリオンたんぱく質が入っているということで、ま ずそれを除去するのがリスクを下げる中で一番重要であるというぐあいに考えてます し、またBSEの汚染国であるイギリスやEUを見ても、実際にBSE対策を担当した 方あるいは学者も特定危険部位の除去が非常に重要であるということを言っておりま す。ですから、我が国でとっておりますように、まず特定危険部位の除去をやって、そ の後枝肉等が食品の中に回らないように検査をやっておるということでありますけど も、現在の検査というのは全頭をやっておりますけれども、リスクについて言えば、少 なくとも20カ月齢以下の牛についてやってもやらなくてもリスクは変わらない。  ですから、やってもやらなくても同じことをやっておるということで、むしろこれか ら先の食品行政はできるだけリスクを下げるという方向で詰めていく。リスクを下げる というのはどうするかというときに、3つの安全ネットの話を申しましたけど、飼料規 制の徹底、特定危険部位の除去の徹底、それと検査ということで、その3つを使ってリ スクを下げるということですけども、少なくとも検査について言えば、20カ月齢につい てはやってもやらなくても変わらないということでのそれは見直しで、全体としてリス クを下げるために特定危険部位の除去ということの徹底等を図ると。  御指摘がありましたようにSRM除去の徹底を図るけども、全部本当に完全にやれる とかどうかという検証が大事だということがありますので、参考の1の別紙の4ページ にありますように、きちっと遵守されてるかどうかということについて、今後定期的に 調査を行って、それについて結果を公表するということ。それと、ピッシングについて もすぐに廃止ということはなかなか作業員の安全との両立で難しいわけですけども、少 なくとも3割が中止してますので、そのところの事例を集めて、まだやむを得ず中止に 至ってないところについてはできるだけ早く中止していただくように指導するというこ とで、そういう点で特定危険部位の除去の徹底、あるいは特定危険部位による枝肉の汚 染というリスクを減らして、全体としてのリスクを下げていくということで進めていき たいというように考えております。 ○コーディネーター  それから、ヒト、ヒトのところのリスク評価、機関ということについてもお願いしま す。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  そこの評価自体は、どういうリスクというか、もともと対象は非常に少ないもんです からなかなか厳しいと思いますけども、リスクの評価もさることながら、やはり評価で きなくても対策がとれるんであれば対策をとる。そういうことで、動物の感染実験で動 物から動物へBSEが感染するということがわかっておりますので、じゃあ人でもあり 得るだろうということで、我が国にそういうBSEに感染した血液が入らないようにと いうことで滞在した方についての献血を御遠慮願っておるということであります。  それともう一つ、血液についてはBSEに限らずいろんな要因がありますけども、肝 炎の問題もありますし、まだよくわかってない部分がある。それについては、今多くの 人に献血をお願いしてますけども、将来的には健康で、病気のかかってない方々に登録 いただいて、常にその方々から定期的に献血をしていただくという。だから、多くの方 々でなくて、非常に健康な方々の集団、登録していただいた集団の方々から献血してい ただくという、そういう形に変えていくべきじゃないかということで検討はしておりま す。  そういうことで、評価、リスクというのは、恐らく計算しても難しいと思いますけど も、対策がとれるんであればまず対策をとるということで進めていきたいと思っており ます。  最後に、一言エイズのことで申し上げますと、そういう薬の問題もいろいろ改良され ておりますけども、我が国において若い方々に、性交渉で確実にエイズが増えておりま す。エイズは、予防できる病気でありますので、どうしてもやむを得ないときにはきち っとコンドームを使うということをきちっと教えるということがやはり大事であろうか と思います。 ○コーディネーター  それからもう一つ、食糧安保の観点から、日本だけ独自に厳しい基準というような御 意見もありましたけれども、これはちょっと畑違いかとは思うんですが、食糧安保とい うことですので、境室長コメントいただければと思います。 ○境農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室長  食糧安保につきましては、現在WTOの交渉の中でも我が国で強く要求してるわけで ございまして、私どものところの自給率はカロリーとして40%で、6割を輸入に頼って るわけですので、仮にWTO対応する場合には、当然のことながら輸出国にも安定供給 を義務づけると、そういったことを主張してるところでございます。  おっしゃるように、何でも厳しくして輸入できなくなれば、それは消費者の方はもち ろん不安はあるかもしれませんけども、一方で食肉の販売業者とか、あるいは外食産業 の方とか、そういった生計をそれに頼っておられる方もおられるわけでございます。 今、私どもが食品安全委員会に諮問しておりますのは、現在、例えば20カ月齢以下の検 査をやめても、そのリスクは何ら変わらないという、その前提に立ってこのリスク管理 措置の見直しをやろうということをしているわけでございます。その点を是非御理解い ただきたいというふうに思っております。わずかなリスクのために大変な国税を使うと いうことは、やはりその辺の合理性はないわけでございますので、その辺も含めて御理 解いただいておる。例えば、今肉骨粉、実は焼いてるわけでございます。豚も牛も今焼 いているわけでございますが、15年度に使ったお金は230億円です、そのためだけに。 それをずっと続けるということにはなかなかならないわけですので、現在厳しいことを やっておって、その中で安全策が担保されたものは徐々にあけていく。ですから、豚肉 骨粉も飼料利用できますとしていくということでございますので、その辺、我々はコス トとベネフィットもリスク管理機関としては考えないかんわけでございますので、この 辺の対応についても御理解いただきたいと思います。 ○コーディネーター  リスクを犠牲にして何か緩和していくということではなくて、安全性が確認できる範 囲で緩和していくということなんだと思います。  ほかに何か。そろそろお時間も、予定していた時間回りましたので、あと、そうです ね、最後にどうしても言っておきたいという意見があれば。  ほかにいらっしゃいますか。今の方で最後ということでよろしいでしょうか。  それではお願いいたします。 ○参加者10  各国のSRMの範囲というところをお開きいただきたいんですが、日本の場合は全頭 を除去して適正に廃棄されているようですけれども、アメリカの場合は、30カ月以上、 EUが12カ月以上、どういうふうに適正に除去されているのか、日本よりいいのか悪 いのか、あるいはそれ以下、30カ月以下とか12カ月以下のそういう特定部位に当たる ものはどういうふうな状況になっているのか教えていただければと思います。 ○コーディネーター  参事官、お願いします。 ○松本厚生労働省大臣官房参事官  私も詳しいことは存じませんけども、少なくとも何月齢から除くかというのは科学的 知見に基づいて各国で判断しているということであります。我が国の場合は、確かにE Uと同じでもいいのではないかという話はありますけども、やはり念には念を入れると いうことで、また食習慣の違いもありますので、全頭から除いておるところです。  ただ、腸のところが、EUとか米国は全部除いておりますけど、我が国は回腸遠位部 ということで、盲腸から2メーターのところまでで、残りの小腸は牛ホルモンとして食 べる習慣がありますのでとっておりますけど、EUとか米国は食べる習慣がないので全 部処理を簡単にするために全体を取り除いておるということはあります。  それと、聞くところによりますと、フランス、EUは12カ月齢以上のところで特定危 険部位を除去しておりますけども、11カ月齢以下のものについては、フランス人あたり は脳を食べるという習慣があるらしくて、実際は食べているということだそうです。 ○コーディネーター  ありがとうございました。  境室長からもお願いします。 ○境農林水産省消費・安全局衛生管理課薬事・飼料安全室長  ちょっと追加いたしますと、10月に行いました日米局長級協議の中で、米国から日本 に輸出される牛肉をとる牛につきましては、全月で全頭からSRMを除去するというこ とをアメリカが申し入れております。 6.閉会 ○コーディネーター  ありがとうございました。  それでは、以上をもちまして食品に関するリスクコミュニケーションを終了させてい ただきたいと思います。  本日は御参集いただきまして、本当にありがとうございました。  なお、出入り口におきましてアンケートの回収を行っておりますので、御協力いただ けますようよろしくお願いいたします。                                     <了>