04/09/23 平成16年9月23日「食品に関するリスクコミュニケーション(牛海綿状 脳症(BSE)対策に関する意見交換会)」議事録            食品に関するリスクコミュニケーション          牛海綿状悩症(BSE)対策に関する意見交換会                    会議録               平成16年9月23日(木)                13:30〜16:30                  厚生年金会館   1.開会 ○司会  本日は、大変お忙しい中をご出席いただきまして、ありがとうございます。  ただいまから、食品に関するリスクコミュニケーション、牛海綿状脳症(BSE)対 策に関する意見交換会を開催いたします。  私は、本日の進行役を務めさせていただきます農林水産省消費安全局消費者情報官の 姫田でございます。  どうぞよろしくお願いいたします。   2.あいさつ ○司会  本日は、厚生労働省と農林水産省の共催でございますが、まず、両省を代表いたしま して、厚生労働省大臣官房の松本参事官よりごあいさつ申し上げます。  よろしくお願いします。 ○松本  皆様、こんにちは。  お忙しいところ、また、秋分の日、お彼岸の中日ということでお墓参りの予定の方も いらっしゃると思いますけれども、BSEに対する意見交換会にご参加いただきまし て、まことにありがとうございます。  意見交換会の開催に当たりまして、一言ごあいさつを申し上げます。  我が国のBSEの確認は、ちょうど3年前の9月10日に我が国で第1例が出ました けれども、それから3年が経過いたしました。  この間、死亡牛1頭も含めて12頭のBSE感染牛が確認されましたし、また、昨日 の新聞にありますように、奈良でBSEの検査で陽性の牛が出ました。確認につきまし ては、今日、明日中に専門家の先生方にお集まりいただいて、陽性であるかどうかの確 認作業を行うわけでございます。  そういう中で、牛から人への感染リスクにつきましては、現在、特定危険部位の除去 やBSEの検査によりまして、効率的に排除されていると考えております。  BSE感染牛から人への感染リスクを排除していくための方策は、大きく分けて三つ あります。一つは、えさの管理であり、食物連鎖による感染を断ち切って、新たな感染 牛をつくらないということです。この飼料規制の方法が確実に行われれば、我が国の中 からBSEの根絶が可能となります。二つ目は、BSE検査により感染牛を見つけて、 流通する前に排除することです。現在、スクリーニング検査で用いている方法は、実用 化されている検査の中で最も感度の高いグループのものを用いております。三つ目は、 特定危険部位、SRMの除去です。BSEに感染した牛の異常プリオンを除去すること によって、人への感染リスクをゼロに近づけていくことが可能となります。  もちろん、これらの方法一つ一つは、感染リスクを完全に遮断できるような安全なネ ットでありませんが、これらの三つの方法を段階的に組み合わせることによりまして、 3枚の安全ネットが我々を感染リスクから守っているわけです。  このたび、日本の現在のBSE対策につきまして、食品安全委員会に検証、評価をし ていただきました。それぞれ3枚の安全ネットについて点検をしていただいたわけで す。  厚生労働省と農林水産省は、食品安全委員会の検証、評価の結果に基づいて、今後の 対策について検討を進めております。対策がまとまりましたら、改めて食品安全委員会 に諮問し、対策案の評価をしてもらうことにしております。実際の対策が実行されるま でには、まだ幾つもの必要なプロセスがございます。  このような過程の中で、意見交換会を何度も開催しております。今回の意見交換会で 事前にいただいた意見の中には、さまざまなお考え、ご指摘が記載されております。た だ、意見は異なりましても、食の安全・安心を確保していくことが重要であるというこ とにつきましては、ここにご参集の皆様すべての共通の認識であると思っております。  本日は、今後のBSE対策についていかにあるべきかについて意見交換をしていく中 で、よりよい方策、納得の行く方策を考えていきたいと思っております。自分と異なる 考えの人がおられましても、反論や説得をするだけではなく、どうしてそのように思わ れるのか、また、相手の立場になって考えていただくということもお願いいたします。  また、きょう、発言されない方も、資料の中にアンケート用紙を入れておりますの で、そのアンケート用紙に忌憚のないご意見を記載していただきますようお願いいたし ます。食の安全は、科学的根拠に基づきながら、みんなの納得できる方向を目指してい きたいと思います。  最後に、国内対策の検証と輸入再開の問題の関係です。  マスコミ等で安全委員会の報告が出たときに、すぐにでもアメリカからの牛肉輸入再 開ということが書かれておりますけれども、国内の対策の検証と輸入の再開問題は全く 別の話であります。まず、国内の対策をきちんと確立する。今まで3年間やってまいり ましたけれども、それがどうであるのか、今後見直すときにいいのかどうかということ を、きちんと決めます。その後、我が国と同等の安全性を米国に求めていくことになり ますし、米国から、いろいろな措置が示されたら、それが我が国と同等の安全性を確保 することができるかどうかについて、改めて食品安全委員会で評価してもらう予定でご ざいます。  そういうことでありますので、新聞等ではそう書かれていますけれども、まずは、食 の安全・安心に関する我が国の国内対策がまず先であり、そのためのこのリスクコミュ ニケーションだということをご理解いただきまして、本日は活発な意見交換会にしてい ただきたいと思っております。  どうぞよろしくお願いいたします。 ○司会  それでは、ここで、参加者のご紹介をいたします。  まず、募集により多数の方にご参加いただいております。本日は、広くご意見をいた だくために参加者を募集させていただきました。期間はちょっと短かったのですが、3 日間の間に応募いただきました方が110名で、その後、応募いただいた方もいらっし ゃいますが、当初の予定内でございましたので、全員に参加いただいております。ま た、本日も新たに参加していただいている方がいらっしゃると聞いております。  きょうの参加者の紹介につきましては、お手元の参加者名簿にかえさせていただきた いと存じますので、ご了承ください。後から応募いただいた方については、名簿に掲載 できなかったことをおわび申し上げます。  それから、前の方に並ぶ者については、意見交換会の際に紹介させていただきますの で、よろしくお願いいたします。  議事に先立ちまして、資料の確認をお願いいたします。  お手元に議事次第という1枚紙、それから、資料1から5と参考資料、参考配付の食 と安全・安心トピックスを入れております。もし、不足等がございましたら、事務局、 もしくは受付まで申し出てください。  本日の進行について、ご説明いたします。  本日は、厚生労働省と農林水産省、いわゆるリスクの管理を行っている機関が行う国 内のBSE対策に関する意見交換会でございます。ですから、いわゆる国内のBSEの 対策についての今後の進め方、あるいは、先ほど参事官からお話がありました食品安全 委員会からいただいた評価の報告書に基づく国内対策の見直し等についてのご意見をい ただきたいと思っております。  まず、意見交換に先立ちまして、食品安全委員会の報告書にあります中間取りまとめ について、内閣府食品安全委員会事務局評価課の梅田補佐から20分程度説明をいただ きます。続きまして、農林水産省商品安全局の釘田国際衛生対策室長から、BSE根絶 のための飼料規制についてということで、国内の牛に対するBSE対策についての考え 方と今後の見直しの方向について説明いたします。次に、国産牛肉のBSE対策につい て、厚生労働省医薬食品局食品安全部監視安全課の桑崎輸入食品安全対策室長から30 分程度説明いたします。その後、5分くらい休憩をいただきまして、生産から消費の流 れに沿って意見交換をさせていただきます。  会場の都合上、午後4時半には終了いたしたいと思いますので、よろしくお願いいた します。  前半は、私どもからの説明となりますが、きょうのメーンは、皆さん方がご出席者で ございますし、意見交換が主題でございますので、積極的なご発言をよろしくお願いい たします。   3.議事 ○司会  まず、日本における牛海綿状脳症(BSE)対策の中間取りまとめについて、内閣府 食品安全委員会の梅田補佐にお願いいたします。  よろしくお願いいたします。 ○梅田  ご紹介いただきました内閣府食品安全委員会の事務局で評価を担当しております梅田 でございます。  私から、この中間取りまとめにつきまして20分程度お話しさせていただきます。よ ろしくお願いいたします。  スライドを用意しておりますが、皆さんの方には、参考資料として中間取りまとめそ のものをお配りしていますので、そちらもご参考にしていただければと思います。  まず、このスライドで申しておかなければいけないことが一つございます。  それは、私ども食品安全委員会の中にプリオン専門調査会というのがございまして、 その中で具体的に議論を行ってきましたが、この中間取りまとめの表題は日本における ということで、先ほどもごあいさつの中でお話がございましたように、あくまでも日本 におけるBSE対策についてということでございます。また、この取りまとめは、中間 と書いていますように、中間の取りまとめであること、まずこの2点を申し上げたいと 思います。  次をお願いします。  先ほど申し上げたとおり、プリオン専門調査会で議論してきたということですが、ご 承知のとおり、私どもは、BSE問題を一つのきっかけといたしまして昨年7月にでき た組織でございます。既存の管理省庁から独立してリスク評価を行うということで、厚 生労働省あるいは農林水産省から独立した組織を内閣府に設置いたしました。内閣府 は、政府全体が取り組むべき事項についてやることにしておりまして、そういう意味で は、食品の問題は国全体で取り組むべき問題として位置づけられたといってもいいかと 思います。  16の専門調査会がございますけれども、プリオン専門調査会が第一陣として発足 し、8月29日に第1回の専門調査会を開催いたしました。その際、座長から、我々は BSE問題を契機にしてできたということもあって、この専門調査会の中ではBSE問 題全般について幅広く議論していこうというお話がございました。それ以降、農林水産 省あるいは厚生労働省から諮問のあった個別の案件についても処理をしてきましたが、 第1回に話された全般的な議論をしようという方針のもとに情報収集をしてきました。 その中で、ご承知のとおり、12月の暮れにアメリカのBSE問題が起こったというこ とでございます。そういう意味では、我々の今回の中間取りまとめについても、即アメ リカの問題とリンクして考えられてしまうということがございまして、アメリカで発生 したBSE問題により、我々が議論をする上でなかなか複雑になった面もございます。  こうしたアメリカの問題も含めて情報収集を続けるとともに、全般的な問題について 幅広く議論をしてまいりまして、2月に入り、キム先生をお呼びして、アメリカの状況 についてお聞きしたり、SEAC、英国の牛海綿状脳症諮問委員会の委員長のピーター ・スミス博士をお呼びして、BSEとvCJDの問題についてご講義をいただくなど、 内外の専門家のお話をお聞きして勉強していったということでございます。  5月以降、ECにおけるリスク評価について、やはり、この問題については、欧州の 方が経験が豊富であるということもございますので、その科学運営委員会の中でリスク 評価もやっておりますので、そういったものを整理、分析いたしました。  6月に入りまして、日本のリスクについて議論を始め、7月に入ってたたき台を出 し、それ以降も議論を重ね、6月6日に中間取りまとめについて議論し、一応の取りま とめを行いました。そして、9月9日に、親委員会であります食品安全委員会に報告を いたしまして、そこで了承を得ました。  次をお願いします。  この中間取りまとめの取り扱いについては、9月6日のプリオン専門調査会で取りま とめられ、9日の親委員会で了承されたので、その日に、広く公表するとともに厚生労 働省、農林水産省のリスク管理側に対して通知を行いました。  中間取りまとめの構成でございますけれども、「はじめに」は、なぜこれを取りまと めたかといったことです。それから、「背景」は、これまで得られた知見、データを整 理をするということでございます。リスク評価については、事実、データをもとに我が 国におけるvCJDのリスクについて、後ほど申し上げますけれども、牛から人にBS Eが感染することによって起こるとされているvCJD、変異型のクロイツフェルト・ ヤコブ病のリスクがどういった程度なのかということを、定量的にあるいは定性的に、 今回、中身としては定性的な面が多いわけですが、そういうリスク評価を行っておりま す。それから、「結論」「おわりに」ということで閉めています。  次をお願いします。  そこで、「はじめに」の中ですが、どうして中間取りまとめの作業をすることになっ たのか、今、なぜ、中間取りまとめなのかとよく聞かれます。  一つは、我々食品安全委員会の設置のきっかけとなりましたBSE問題については、 最重要課題として取り組むべき問題と認識しています。その中で、我が国初のBSEの 確認から約3年が経過しました、そこで、これまで得られた科学的データ、知見を踏ま えて、牛から人へのBSE病原体の感染リスクの低減効果について検討しようというこ とでございます。  牛から人と言ってございますけれども、まずは、牛から牛にBSEが感染するリスク をいかに減らしていくかがBSEを撲滅するための根元的な対策であります。それも重 要なことであると書いておりますが、それに加えて、牛から人へのリスクをいかに減ら すかということを中間取りまとめの主題として置いています。もちろん、医療行為その 他によって人から人へBSE病原体が伝播する可能性があることがございますけれど も、そういったリスクについても念頭に置きながら、牛から人へのリスクについて考え てみようということでございます。それから、対策を検証することで、我が国の今後の BSE対策に活用していくことを目的としているわけでございます。  次をお願いします。  「背景」においては、取りまとめの視点ということで、今、得られているデータを整 理しております。その範囲は、BSE問題あるいはvCJDの事項についての最新の科 学的データ、知見を整理し、その中でわかっていること、わかっていないことを明確に した上で、どこまで、どういったことが言えるのかについて取りまとめたわけでござい ます。  そういう意味では、わかっていることを書いてございます。これまでにBSEがどれ だけ発生したかということでございますが、OIEの報告によれば、7月22日現在、 世界23カ国において19万頭弱という状況にあり、そのほとんどが英国で発生してい ます。  日本では、この時点で11頭で、既に12頭目を確認し、先ほどお話しがありました 奈良県の1例を加えれば13頭になるやもしれないところです。これは、ご存じのよう に2001年9月に1例目で、その後、と畜場での検査で9頭が発見されました。ま た、日本で特筆すべきこととしては、8例目、9例目のいわゆる若齢牛と言われている もので、特に8例目の23カ月齢については、それ以外のBSEのタイプとは違う非定 型的なBSEと言われているものです。かつ、その特徴は、異常プリオンたんぱく質量 がウエスタンブロット法で調べた限りにおいて、その他の例と比較して500分の1か ら1,000分の1と微量であったことが推定されております。  次をお願いします。  この図についてもわかっていることをあらわしました。BSE感染牛の体内の感染結 果の分布ですが、異常プリオンたんぱく質が蓄積する部位は、全身に一様に分布してい るわけではなくて、英国の実験例から確認されていて、いわゆるSRMと言っている部 分に異常プリオンたんぱく質が蓄積することがわかっています。したがって、当然のこ とながら、この部位を食物連鎖から排除することによって、人間がBSEに感染するリ スクは有効的に排除できることになります。牛個体の全体のうちの99%が、こういっ た部位に異常プリオンたんぱく質がたまるということが言われています。  ただ、それ以外の部位は、異常プリオンたんぱく質が全くたまらないのかという質問 をよく受けます。その点については、この実験結果からわかっていることとして申し上 げたもので、その根拠となる実験の症例数が非常に少ないこともありますし、検出限界 以下の問題もございますので、これ以外の部位に全く蓄積しないと断定はできないとい うことは言っています。ただ、これ以外に、脳と同じような感染性を持っている部位が 今後見つかるかというと、そういうことでもないことも認識としては一致しています。  次をお願いします。  今までは牛の話でしたけれども、これからは人の話であります。  これが、事実としてわかっていることで、全世界で157人、また英国に集中してい るのも牛の場合と同じです。日本では報告がないのはご承知のとおりです。  次をお願いします。  そういう事実を踏まえて、この報告書でリスク評価をしていこうということで、その 基本的な考え方をここに述べております。これは読んでいただければわかりますが、人 のBSE感染リスクを指標として考える、それから、2001年9月にBSEが発生し て、10月に全頭検査、SRM除去の体制が整ったわけですけれども、その前と後ろで リスクはどうなのか、あるいは、今後、対策を見直した場合にどうなのかといったこと を考えていきます。それから、リスク管理の実施状況を検証して、その効果を評価する こと、それから、検査データ等のこれまで得られた知見を整理することです。それか ら、科学というのは万全ではありませんから、先ほど、わかっていること、わかってい ないことを明確にすると言いましたけれども、そういう不確実性を念頭に置いた検討を 行うということ、それから、BSE対策は、十分なリスクコミュニケーションを経て、 リスク管理側によって最終的に決定されること、そういったことを基本的な考え方とし ました。  次をお願いします。  人のリスクを考えるに当たっては、こういう考え方に基づいて推定を行いました。過 去に、食物連鎖に入ってしまって、その原因になるBSE感染牛がどれだけあったかと いうこと、それから、将来発生するBSE感染牛がどれくらいあるのか。その推定の仕 方ですけれども、英国の推計がございますので、そういったものを使って単純に比例計 算するということをこの報告書では取り上げて使ったわけでございます。また、その遺 伝的な要因の補正を行うということでございます。  そういう考え方に基づいて、過去に対策をとる前に日本のフードチェーンの中にBS E感染牛がどれだけ入ってしまったかということを推定した結果、推定と言ってもいろ いろな考え方がありますが、いろいろな前提を置いた中での推定として5から35とい う数字を出しました。その数字を使って、イギリスで、最も悲観的に見積もった場合の 患者発生数として5,000人というのがありますけれども、それを使いました。ま た、BSE感染牛100万頭ということで、これは420万頭とかいろいろな数字がご ざいますけれども、リスクとして最終的に一番大きくなる数字を使ったということで、 この数字としては言われている一番小さい数字を使ったということでございます。それ で、単純にイギリスの事例と比較して考えれば、日本人1億2,000人の中で、今 後、将来にわたってどれだけリスクを負っているのかというと、こういう数字になると いうことでございます。  もちろん、これは、過去に我々がリスクとして負ったものでございますけれども、現 在においては、SRM除去検査といった対策がとられていますので、このリスクはそれ 以上ふえないということが報告書の中でも述べられています。  次をお願いします。  今の状況においては、この対策によってリスクはほとんど排除されていると書いてご ざいます。  次をお願いします。  後ほど農水省、厚労省の方からお話がございますけれども、発生源対策として、飼料 管理、トレーサビリティーの管理、肉骨粉の問題、と畜場での衛生的な取り扱いも含め てやっています。  次をお願いします。  管理措置によるリスクの低減ということで、我が国で講じられているBSE対策の中 で、と畜場におけるSRM除去やBSE検査が、牛肉や牛内臓と接触することにより人 のBSE感染リスクを直接的に低減させることに大きく貢献しているということで、牛 から人への対策という意味では、SRM除去の検査が有効であるということを言ってい ます。  それから、牛から牛への発生源対策でございますが、飼料管理、規制、トレーサビリ ティー、リスク牛と、先ほど図で示したそれぞれの項目について、リスク管理側できち んとなされていることがリスクの低減につながっています。  SRM除去によるリスクの低減と検査の限界でございます。報告書の中では、現在の と畜場におけるBSE検査の意義として、感染牛を食物連鎖から排除することに有効で あったこと、BSE汚染の程度を把握すること、先ほど一連のパッケージとしてのBS E対策がいかに有効に働いているかということを、その検査で検証することができると いう意味において、このBSE検査が有効であったということを書いてございます。  次をお願いします。  BSE検査の限界です。検出可能な月齢でありますけれども、それを検討するのに必 要な情報、事実は断片的なものしかないということでございます。それが、英国におけ る感染実験、経口投与後32カ月ごろに検出限界以上の異常プリオンたんぱく質が蓄積 するという事実、それから、日本のと畜場において約350万等の牛の検査をやった結 果、11頭の感染牛を確認した。そのうち若齢牛である21、23カ月例齢の2例が見 つかった。しかも、その異常たんぱく質量は500から1,000分の1という微量で あった。そういう事実をもとに考えますと、20カ月齢以下の感染牛を現在の検査で発 見することは困難であると考えられるということです。この書き方もきわめて慎重とい いますか、微妙な言い方でございますが、困難であるということで、決して見つからな いと断言しているわけでもなく、また、20カ月以下の牛が全く安全だと言っているわ けでもありません。  今は説明しているのは検出限界についてであって、検出限界の話と月齢の話を議論の 中で結びつけるのは断片的な事実しかないためになかなか難しいという意見もございま す。ただ、こういう事実を考えれば20カ月以下の牛を現在の検査で発見することは困 難であるという認識は一致したということでございます。  また、英国では20カ月齢の発症牛がありまして、議論の中でも委員から紹介されま して、実験結果から言えば、20カ月齢でも発症の3カ月前であれば検出できるのでは ないかということが言われております。実際に、今まで英国で発生した18万頭の中 で、最も若い発症牛、これはあくまで発症牛ですが、20カ月齢というのがございま す。そういうことから考えると、17カ月であれば、もし検査をしていれば見つかって いた可能性があるということを報告書の中に報告されていますが、そういうことも議論 として紹介されました。  ただし、ご承知のとおり、英国のBSEの数の違いなども踏まえれば、日本と状況は 極めて違うということですから、それが直ちに日本に当てはまるものではないというこ とも調査会の議論としてございました。  次をお願いします。  SRM除去によるリスクの低減ということで、もう一つのと畜場における対策とし て、SRM除去がございます。報告書の中でも、SRMは食品として利用することを禁 止していまして、SRMに異常プリオンたんぱく質の99%以上が集中していることを 踏まえれば、これを確実に排除できればvCJDリスクはほとんど低減されるというこ とです。  ただし、理論上はそうですけれども、常にSRM除去が完全に行われているというこ とは現実的でないと思われること、また、SRM以外の組織で蓄積する組織があるかど うかということについては現時点では判断できないということも触れております。  次をお願いします。  また、その報告書の中で背割りによる枝肉汚染の懸念、ピッシングによる問題、スタ ンガンによる可能性の指摘があるというヨーロッパでの報告を紹介したものがございま すので、それを盛り込んでこういうこともあり得るということにも触れております。  管理措置オプションによるリスクの増減では、と畜場でのSRM除去及び検査が人の BSEリスクを低減させることに大きく貢献していることは一つの大きな事実であり、 SRM除去が有効な管理措置であるので、今後も確実な実施を維持されるべきであると いうことを書いてございます。  それから、と畜場でのBSE検査でございますけれども、科学的なことで言えば、検 査法には必ず検出限界がある。ですから、検出限界以下の牛を検査対象から除外しても リスクを高めることにはならないということでございます。  しかし、検出限界の牛はどのくらいの月齢の牛なのかということは、現在の知見では 明かでない。21カ月以上の牛でも実際に見つかった事実からすれば、検出される可能 性があるということも書いてございます。  スライドは以上で終わりますけれども、このような内容でございまして、先ほど申し 上げたとおり、9月9日に両省に通知いたしました。  今後とも、私ども安全委員会としては、これは中間取りまとめですから、幾つかの項 目で出てきますように、定量的な評価は今後も続けていくということでございます。科 学が万能ではないという中で、この中間取りまとめが現時点における議論の末に生まれ たということでご理解いただければと思います。  どうもありがとうございました。 ○司会  どうもありがとうございました。  続きまして、BSE根絶のための飼料規制について、農林水産省の釘田室長からご説 明いただきます。 ○釘田  農林水産省の釘田と申します。よろしくお願いいたします。  私の方からは、ここにありますBSE根絶のための飼料規制についてご説明させてい ただきます。  ただいま、食品安全委員会からご説明がありました中間取りまとめの中で、BSE対 策についての評価を行っていただいたわけですけれども、この中に、現在、これまで日 本で行われているBSE対策について幾つかの指摘がなされております。  その中で、リスク管理省庁として農林水産省と厚生労働省が幾つものBSE対策を行 っていますが、農林水産省は、牛の病気としてのBSEをなくすための対策をやってお ります。厚生労働省の方は、人へのリスクをなくすための対策として、食品の安全性を 確保する対策をとっているわけですが、私どもは、そのもとになっている牛の病気とし てのBSEをなくす対策をとっております。  この対策の中にも幾つかありますが、BSEを起こすもともとの原因がプリオンとい う物質で、これがえさを通じて牛に感染する、伝達されますので、最も大事な対策とし ては飼料規制ということになります。  その内容についてご説明したいと思いますが、あわせまして、農林水産省では、国内 に病気がどの程度あるのかといったことを見るためにサーベイランスということもやっ ておりますし、さらに、病気が起こった際にさかのぼって、その原因を追跡するための トレーサビリティー、牛の個体識別ということについても対策をとっております。  本日は、最も直接的な対策でありますBSEをなくすための飼料規制に関する私ども の検討状況について、ご説明させていただきます。  次のスライドをお願いします。  これは、BSEの発生状況で、既に先ほどのご説明の中にもありました。イギリスが 約20年前でございますが、当初、この病気は、理由がよくわからず、なおかつ牛の病 気ということで人との関係は余り言われていませんでした。しかし、現在では、異常プ リオンたんぱくが原因だと考えられており、これは、と畜場での牛の処理の後、残渣物 が肉骨粉として牛のえさとして使われていますが、それが牛の口に入って病気がふえて いることがわかってまいりました。  日本では、3年前まで発生はなかったのですけれども、その後、ここにありますよう に12頭、さらに、まだ確認されていませんが、13頭目の牛も見つかっている状況に ございます。  次をお願いします。  日本で見つかったBSEにつきまして、私どもは、感染症の専門家等から成ったBS Eの疫学検討チームをつくりまして、この感染の原因を詳しく調べていただきました。 その中で、その原因といたしましては、牛用飼料への製造・輸送段階での肉骨粉の意図 しない混入による感染の可能性が高いという報告をいただいております。  これは、第1例目から7例目までの牛がどのようなえさを食べていたかということを 詳しく分析いたしまして、幾つか考えられる可能性があったのですけれども、いずれに しても、これらの牛は、牛を飼っていた方々すべてが意識して肉骨粉を与えたことはな かった、あるいは、与えたえさの中に肉骨粉が入っていたという事実も確認できなかっ たわけです。  しかし、現実に、BSEという病気にかかってしまったわけですから、意図しない形 で食べたもののどこかに、プリオンという病原物質が入っていたのだろうと言われてい るわけです。これを意図しない混入と言っておりまして、難しい言葉で交差汚染という 言葉を使っております。クロスコンタミネーションという言葉ですが、日本において は、この交差汚染が原因となってこれまで病気が発生していると考えられています。  次をお願いします。  これは、先ほども出ておりましたが、BSEの発生サイクルとその遮断ということで す。BSEという病気は、プリオンという物質を牛が口から食べてかかりますので、ほ かのウイルス性の感染症のように、空気感染するとか接触感染するといったことはあり ません。ですから、まず、牛がそういうものを食べない対策をとれば、この病気は広が ることがありませんから、とるべき対策は非常に単純明快です。  ただ、放っておきますと、こういう病気の牛がサイクルの中に一たん入ってしまいま すと、どんどん病気の牛が広がります。それが、現実にイギリスで20年前くらいから 起きて、現在まで19万頭くらいの牛が確認されました。これははっきりわかっており ますから、このサイクルを遮断すればいいということになりまして、日本におきまして は、海外から入ってくることを防ぐことが大事ですので、まず輸入される肉骨粉を禁止 いたしました。  既に、すべての国からの肉骨粉の輸入を禁止しておりますし、さらに、BSEの発生 のある国からは、生体牛や牛肉の輸入も現在停止しております。その上で、国内の丸く なったサイクルの部分ですが、まず、牛がと畜場で処理されまして、特定危険部位は焼 却されることになっていますが、さらに、食肉にならない部分がと畜場から残渣物とし て肉骨粉の製造工場へ行き、これが、従来ですと資源のリサイクルという形でえさ工場 へ行って、えさになって牛に与えられるというサイクルがありました。  しかし、現在、この肉骨粉を牛へ与えることを禁止しておりまして、肉骨粉製造工場 でつくられたものもすべて焼却されています。ですから、現在、肉骨粉が牛の口に入る ことはないことになっております。  ただ、こういう対策がとられる前に食べてしまった牛がまだ残っております。例えば 今、確認中であります第13例目になるかもしれない牛は、平成8年くらいに生まれた 牛ですから、こういう対策が講じられる大分前に生まれた牛がまだ残っております。世 代が変わるうちにそういう牛がいなくなれば、あとは、新たな感染牛をふやさないとい う対策をとることによって、基本的には国内からBSEをなくすことが可能だと考えて います。  ただ、それほど単純でないのは、先ほど申し上げました交差汚染がありまして、目に 見えない形で病原物質がどこかで紛れ込んで牛の口に入ることがございます。これは、 ヨーロッパなどの経験でも、こういう飼料規制をとった後に生まれた牛からも現にBS Eの発生が見られております。それは、こういった対策の有効性がどこの国でも問題に なっておりまして、とった対策の有効性を保証するようなチェックシステムが非常に重 要になってまいります。  次をお願いします。  現在、私どもがとっている飼料規制の基本的な考え方は二つございます。まず、感染 源となるものの飼料利用の規制で、これは、飼料の原材料としてプリオンを含み得るよ うなものを利用しないという原料規制になります。入り口でそういうものを排除すると いう対策が一つです。それから、製造して、保管し、輸送して農家が使うという段階 で、ほかのえさとまざらないような対策をとることで、飼料の分離という対策です。こ の二つの対策によって、プリオンが牛の口に入るのを防ごうということを現在やってお ります。  次をお願いします。  この表は、その二つの対策のうちのまず一番目、飼料原料の規制をあらわした表で す。飼料原料としては、動物由来のものとしていろいろなものがございます。最もプリ オンが入り得るものは肉骨粉、あるいは獣脂かすです。たんぱく質ですから、感染牛か らこういったものをつくった場合には、そこに肉骨粉が入ってくると考えられていま す。ですから、牛由来の肉骨粉は牛には与えてはいけません。これを与えたら、さっき の感染のサイクルに入って感染牛がどんどんふえますので、牛には与えないようにして おります。  あわせて、豚、鶏、魚にも与えないという対策をとっています。これは、豚、鶏に与 えると病気になるという意味ではなくて、そういった利用を認めていると間違って牛の 口に入るおそれがありますので、ほかの家畜への利用も現在は規制しています。さら に、豚、馬由来の肉骨粉も、同じ趣旨で、豚が原因になるということではなく、そもそ も肉骨粉を使っていると交差汚染の原因になりますので、これも規制の対象にしており ます。  さらに、チキンミール、フェザーミール、動物性油脂、これらの物質も基本的にはプ リオンを含む物質ではないのですが、牛に対しては交差汚染を防止する観点から利用規 制をかけています。  次をお願いします。  二つ目は、ほかの飼料と牛の飼料がまざらない対策です。これは、その中の製造段階 の対策を例示しておりますが、飼料製造工場は、牛専用の工場をつくるか、そうでない 場合は、牛専用のエリアと豚、鶏用のエリアを完全に分ける対策をとっていただくこと にしております。飼料工場の方ではもう既に分離対策を進めていただいておりまして、 今年度の末までにはすべての工場でこうしたライン分離措置がとられることになってお ります。  今申し上げたような対策をこれまで農林水産省としてとっているわけでございます。 それに対して、食品安全委員会の中間取りまとめの評価といたしましては、ここにあり ますように、現在行われている飼料規制によりBSE発生のリスクは極めて小さいと考 えられるという意味で、私どもが現在とっている飼料規制対策は、規制対策の内容自体 は有効なものだと考えています。  しかしながら、若齢のBSE牛は、飼料規制が行われた直前直後に生まれた牛でござ いまして、そういった牛が生まれていることも踏まえ、飼料規制の実効性が保障される よう行政当局によるチェックを引き続き行うことが重要という指摘をいただいておりま す。  つまり、私どもは、先ほどご説明したような内容の飼料規制をとっており、その規制 自体は有効なものだと考えていますが、それが現場で実際に守られているかどうか、あ るいは、それを十分知らない人が間違ったことをやっていないかどうか、そういったチ ェックをきちんとやっていく必要があるということを指摘されています。そこで、私ど もとしては、何ができるかということを今後検討していきたいということでございま す。  次をお願いします。  その前提としまして、まず、牛はどんなえさを食べているか。これは、改めて申し上 げるまでもありませんが、乳牛のえさを代表的なものとして示しておりますけれども、 カロリーベースで約半分は乾牧草を食べていて、残り半分が濃厚飼料で4割程度が配合 飼料を食べております。そのほかに、植物油、かす類、穀類、そういったものを食べて おりまして、特に配合飼料や濃厚飼料は輸入に大きく依存しておりまして、そういった ものの中に病原物質が紛れ込んでくるおそれもあります。  次をお願いします。  現在、飼料検査体制がどうなっているかということを示したものです。現状では、輸 入肉骨粉なり魚粉の輸入については動物検疫所が担当しておりまして、肉骨粉はそもそ も輸入を禁止しております。魚粉については、たまにこの中に肉骨粉、哺乳類のたんぱ くがまざっているようなものが輸入されてまいりますので、そういったものが動物検疫 所で検査して見つかった場合は輸入を認めないという対策をとっております。それか ら、配合飼料工場には飼料検査所が立ち入りし、農家、販売店には都道府県が同じよう に検査をしているというのが現状です。  次をお願いします。  先ほど申し上げたような現状の中で、私どもとして検討中のことが三つございます。  まず、一つ目として、輸入段階でございます。現在は、輸入業者が届け出をする際 に、取り扱う飼料の種類を届け出てもらうのですけれども、その原材料にどのようなも のが用いられているかについての届け出までは求めておりません。しかし、今後は、取 り扱う飼料の原材料についても届け出を義務づけたいと思っております。あわせて、そ ういったリスクを持つようなえさの原材料がある場合には、飼料検査所が重点的にそう いったものも検査するということでやっていってはどうかと考えております。これが一 つ目です。  次は、販売段階でございます。販売業者についても業者の届け出が必要になっており ますけれども、現在では、卸売業者からのみの届け出を行っていただいており、主に袋 詰めのえさを取り扱っている小売業者は届け出の対象になっておりません。今後の方向 といたしまして、小売業者についても届け出をしていただくように義務づけし、その上 で、小売店でも交差汚染が起きないように都道府県による検査、監視・指導といったチ ェックを行えるようにしていきたいというのが二つ目でございます。  次をお願いします。  三つ目の柱が、農家段階でのチェックになります。現在でも、牛を飼っている農家に ついて、都道府県の担当課による監視・指導が行われておりますが、何しろ全国に約1 3万戸の飼養農家がいますので、そういったチェック体制が十分かどうかという懸念が ございます。そこで、今後につきましては、国の組織であります地方農政局から農家の 方々に、規制について十分周知徹底していただくような対策、さらには、都道府県と国 とがうまく連携して、農家における飼料の間違った利用が行われないように指導・監視 を徹底する方向性を検討しているところでございます。  次をお願いします。  以上、三つのチェック体制の強化という方向を現在検討しておりまして、これは先ほ どお示ししたスライドですが、ここに矢印を入れてください。赤い矢印が入りましたけ れども、この部分を今後は強化していってはどうかということを検討しています。  一つは、輸入段階でございまして、輸入業者が扱う混合飼料の原材料についてもきち んと検査していける体制をつくること、二つ目は、販売店についても、従来対象になっ ていなかった小売店も含めてチェック体制をとっていきたいということ、さらに、農家 については、地方農政局等とも連携を図りながらチェック体制を強化していきたいとい うこと、こういった内容の飼料検査体制の強化を今後検討してまいりたいと思っており ます。このことによりまして、規制が始まる前に生まれた牛は世代が変わればそのうち いなくなってまいりますので、今後、生まれてくる新しい世代の牛にこの病気が感染し ないような対策をきちんととっていきたいと思っております。  その対策が有効かどうかについて、最後のスライドをお願いします。  私どもは、農家段階におけるリスク牛のサーベイランスを行っておりますが、このサ ーベイランスの結果で、こうした飼料規制の対策が有効かどうかということをあわせて チェックしていきたいと思っております。ここにありますように、現在までにサーベイ ランスの中で2頭の感染牛が見つかっております。今年度の4月からは24カ月齢以上 の農家段階の死亡牛はすべて検査対象としておりまして、こういった中から感染牛が見 つからないかどうかということをやっていくことにより、先ほどの飼料規制の対策とあ わせ、我が国からBSEをなくすという目標に向けて引き続き努力してまいりたいと思 っております。  私からの説明は以上です。  ありがとうございました。 ○司会  釘田室長からは、我が国からBSEの感染牛をすべてなくしてしまう努力をすること によって食の安全を確保していこうというお話でございました。  続きまして、国産牛肉のBSE対策について、厚生労働省の桑崎室長から説明をお願 いいたします。 ○桑崎  ただいまご紹介をいただきました厚生労働省の桑崎でございます。  それでは、現在行っております食肉の安全性を確保するための国産牛肉のBSE対策 の概要と、食品安全委員会の中間取りまとめを受けて、今後の見直しの方向ということ についてご説明を申し上げたいと思います。  次をお願いします。  BSE対策ということで、先ほど参事官からもお話がございましたが、大きく三つの 柱があります。農林水産省からもご説明がございましたが、一つは、飼料の安全対策を 徹底することによって新たなBSE感染牛をなくするということです。それから、食肉 の安全対策として二つの柱がございます。一つは、BSE検査です。BSEに罹患した 牛をフードチェーンに入れないための検査です。もう一つは、SRM、特定危険部位の 除去、焼却、この三つがBSE対策の大きな柱でございます。  次をお願いします。  国産牛のBSE確認に伴う対策ですが、先ほど来、話が出ているとおり、平成13年 9月に我が国で第1頭目のBSEが確認をされました。それから、約1カ月後になりま すけれども、10月18日から、と畜場でと畜解体される牛について全頭BSE検査を 開始いたしました。あわせて、と畜場における頭部、脊髄、回腸遠位部の除去、焼却に ついてもあわせて義務づけをし、さらに、平成16年2月から、BSE発生国産の牛脊 柱の食品使用禁止も実施しているところでございます。  脊柱という言葉が先ほど食品安全委員会からも出ておりました。これは何かという と、背骨のことです。背骨に脊髄が入っていますが、それはもちろんSRMですが、脊 髄から神経が枝分かれをして、骨に出る手前でふくらみをつくります。そこが背根神経 節で、ここの部分にSRMが蓄積するということで、この背根神経節は骨の中に入って いますから、そもそも牛脊柱を食品に使用することを禁止いたしました。  次をお願いします。  と畜場におけるBSE対策のフローでございますけれども、先ほど来説明していると おり、すべての牛の頭部、脊髄、回腸遠位部を除去、焼却しております。  さらに、BSE検査ということで、まず最初に、全頭についてスクリーニング検査を 実施しています。このスクリーニング検査で陽性になったものについては、確認検査に 回ります。確認検査は、二つの方法で確認検査を実施することになっております。一つ はウエスタンブロット、もう一つは免疫組織化学検査という二つの検査を実施すること になっています。この二つの確認検査については、現在、国立感染症研究所、北海道大 学、帯広畜産大学の3カ所で実施しております。  このウエスタンブロット法、または免疫組織化学検査のいずれかが陽性になった場合 には、BSE検査の専門家会合を開催いたしまして、そこで確定診断をすることになっ ております。確定診断されてBSE陽性となりますと、当然ながら、その牛由来のもの については焼却になります。  次をお願いします。  実際に、都道府県の食肉の検査体制ですが、今現在、牛を処理すると畜場は公営も私 営も含めて全国に161ございます。実際に食肉の検査をする自治体の機関としては、 食肉衛生検査所というところが地方自治体の機関として検査を実施しておりまして、現 在115機関設置されています。実際には、食肉衛生検査所に所属すると畜検査員が検 査を実施することになりますが、これは公務員であって、獣医師の資格を有する者が食 肉の検査に当たっています。もう一つ大事なことは、このと畜検査員は、実際に検査を する、もしくはSRM除去の管理について目を光らせるという業務をと畜場に常駐して やっています。  次をお願いします。  これは、食品安全委員会における検討の経緯でございますが、先ほどご説明がありま したので省略をさせていただきます。  次をお願いします。  ここからSRM対策の具体的内容について少し言及をいたしますけれども、食品安全 委員会の中間取りまとめにおきましては、BSE感染牛が食物連鎖に入り込んだ結果と して、人への感染を起こすリスクは、現在のSRM、特定危険部位除去及びBSE検査 によって効率的に排除されているものと推測されると記載されています。  次をお願いします。  日本、米国、EUを比較しておりますけれども、実際に、各国のSRMの範囲は具体 的にどうなっているのかについて表でお示ししています。ごらんいただくとおわかりの とおり、ほぼ特定危険部位の部位という意味では、各国同一でございます。ただし、腸 のところをごらんいただくといいと思いますが、日本では、回腸遠位部をSRMとして 指定をしています。米国、EUにおいては、小腸全部、もしくは腸全部をSRMとして 指定をしているわけであります。  これは、回腸遠位部に感染性があるわけですけれども、それ以外の部位に感染性があ るということではなく、ヨーロッパ、米国とも腸を食べる習慣がないため、経済価値が 非常に低い。そうすると、回腸遠位部というところに着目をしてSRMを管理するとい う面倒くさいことはせず、全部捨てるという方式をとっています。  もう一つ、SRMの月齢が各国で異なっています。日本は、全月齢についてSRMを 除去しているわけですが、米国は、頭蓋から脊柱まで30カ月以上を対象にしていま す。EUについては、12カ月以上を対象にしております。  米国との実務者会議の中でもこの話が出ました。米国は、イギリスにおける感染実験 結果をもとに30カ月以上であれば大丈夫だという説明でありましたが、我々は、英国 における感染実験例の個体数が非常に少ないということから、全月齢についてSRMを 除去しています。  次をお願いします。  具体的にどういうものか、ごらんいただくとわかると思いまして、スライドをお見せ します。  まず、頭部です。これは逆になっていまして、上の方があごの部分です。それから、 脊髄、背根神経節です。ちょっとわかりにくいですが、これが背根神経節で骨の中に組 み込まれていることがわかると思います。これは、回腸遠位部で、回腸の遠位部は盲腸 につながっています。したがって、今、盲腸から2メートル先の部分をSRMとして処 理をしています、また、先ほど言いましたように、背骨もSRMになっています。  次をお願いします。  SRM除去の現状でございますけれども、と畜場法、と畜場法に基づく規則、さらに は、それを踏まえた特定管理要領を策定しておりまして、これに基づき処理しているわ けでございます。  SRMにつきましては、周囲を汚染しないように除去するとともに、専用の容器に保 管し、さらには、と畜検査員による確認のもと焼却を行わせておりますし、SRM処理 に利用した器具につきましては洗浄消毒も求めております。  個別のそれぞれの部位で申し上げますと、例えば頭部は、扁桃を含みますけれども、 頭部の舌とほほの肉については食用を認めております。また、舌の部分は、舌の根っこ の部分は扁桃に近いということがあり、扁桃はSRMになっていますので、そこのとこ ろは扁桃に接触しないように除去することについても求めております。それから、回腸 遠位部につきましては、先ほどご説明いたしましたとおり、安全率を見込んで盲腸から 2メートルを除去しています。  脊髄のところを読みますと、背割り前の脊髄除去(と畜頭数ベースで9割)、それか ら、高圧洗浄により汚染防止と書いています。  これでは具体的にイメージがわきにくいのではないかと思いまして、次のスライドで す。  まず、これが個体です。頭がなくて、この時点では内臓がありません。足も一部切っ ています。脊髄の除去を検討する際に、どういう方法でこの脊髄を除去することが枝肉 の汚染を防止できるのかということについて、研究班を設置し、比較いたしました。ポ イントは二つありまして、基本的には、次のステップとして背骨から真ん中に切ってい き、これで二分割されるわけですが、この背骨を切る前の段階で脊髄を吸引除去しま す。それによる汚染低減化効果はどうなのか、さらには、事前にあらかじめ脊髄を除去 しないで、背割りの後に器具と人の手で丁寧に脊髄を取って、その後に、高圧洗浄で洗 浄することの効果はどうなのかということについて、研究班でご検討をいただきまし た。  一つ前に戻ってください。  検討をした結果、ここに書いておりますとおり、脊髄をあらかじめ除去しなくても、 その後、丁寧に背骨から脊髄を取って、その後に高圧洗浄をすることで除去の効果があ ることがわかりました。しかし、予防的な観点から、やはり、背割り前に脊髄を除去す る方がいいということで、背割り前の脊髄除去について指導し、今、実際上はと畜頭数 ベースで9割の牛について事前に脊髄が除去されております。  脊柱につきましては、先ほど申しましたように、脊柱にくっついて肉があるわけです から、脊柱にある背根神経節が肉に行かないように処理方法を規定しております。  次をお願いします。  ここで、ピッシングという言葉が出てまいります。牛がと畜場に搬入され、その後、 スタンガンで頭部に穴をあけて失神させます。そこで、倒して以降、放血する、その 後、解体工程に入ることになります。実は、倒した後に放血をし、つり下げるわけです が、そのときに足の反射運動が起きます。したがって、その牛のと体の近くで従事して いる従業者は、牛の反射運動によって負傷するおそれがありますから、今、日本では、 約7割のと場において、スタンガンで穴をあけた中にワイヤーを差し込んで脳組織を破 壊し、反射運動をなくするという行為を行っています。  一方、安全委員会の報告書にもございましたけれども、ワイヤーを入れて脳組織を破 壊するということは、脳組織が血中に入るおそれがあるのではないかという指摘もあり ます。そういう意味で、従事者の安全確保を図りつつ、何とかピッシングという行為が 中止できないかということで、関係自治体にも協力をいただき、できる限りやめていた だくよう指導をしている現状でございます。  次をお願いします。  SRM除去ですが、先ほど背割りという話をいたしました。背割りをすると、当然、 のこくずが出ます。その中には、場合によっては脊髄範囲も入ってくるかもしれないと いうことで、回収スクリーンで改修し、焼却をさせております。  それから、ここの人は何をしているかというと、脊髄を包んでいる硬膜があります。 それを丁寧に器具ではぎ取っていますし、ここの部分は、枝肉の洗浄水からのこくずの 破片を回収しています。  次をお願いします。  先ほど申し上げたように、洗浄後に検査員が枝肉に脊髄片が付着していないかどうか のチェックをすることになっておりますし、さらには、解体に使用した刀、器具、長靴 等は専用の容器に保管しています。  次をお願いします。  そういうことを踏まえまして、食品安全委員会の報告書の中では、検出限界以下の牛 を検査対象から除外するとしても、現在の全月齢の牛を対象としたSRM除去措置を変 更しなければ、それによる変異型クロイツフェルト・ヤコブ病のリスクが増加すること はないとレポートの中で記載されていますので、今後の方向としても、引き続き、全月 齢からSRM除去を継続するということを考えているところでございます。  また、報告書の中では、引き続き、適正なSRM除去、交差汚染防止の指導を行うと ともに、その実施状況を定期的に検証するなど適正な実施が保障される仕組みを構築す べきだというご意見もちょうだいしています。これにつきましても、と畜場におけるS RM除去の定期的な検証、さらには、SRMによる枝肉等の汚染防止措置の評価方法を 研究、開発し、実際の現場での実用化についても考えていきたいと思っています。  次をお願いします。  続いて、BSEの検査を少し細かくご説明申し上げます。  日本、米国、EUと比較していますが、日本のBSE検査の目的は、感染牛をフード チェーンから排除をするという食肉の安全確保のための措置です。加えて、措置の有効 性の確認、もしくは広がりの確認ということもありますが、目的としては食肉の安全性 確保ということでございます。米国は、そういうことではなくて、措置の有効性、対策 の有効性、さらには、どれくらいBSEが広がっているのかということの確認のために 行うのだというのが検査の目的でございます。EUは、日本型と言えます。  対象の牛は、日本はご承知のとおり健康牛もリスク牛もすべて実施していますけれど も、アメリカでは、健康牛については30カ月以上で2万頭くらいやる、リスク牛につ いては、今後、1年から1.5年くらいで、20万頭くらいの抽出検査をすることを決 めています。EUについては、国によってちがいはありますが、健康な牛で30カ月、 リスク牛については24カ月以上ということで対応しています。  次をお願いします。  なぜ、BSEの全頭検査が始まったのかということについて少し言及しておきます。  平成13年10月から全頭検査を開始しているわけでありますが、そのときの状況を 振り返りますと、一つは、今はもちろん違いますが、その時点では牛の月齢を正確に把 握することが難しかったということです。  それから、9月に1例目が発見されましたが、国内初のBSE感染牛が発見された直 後で、検査をしている肉と、していない肉がお肉屋さんに並ぶということ自体、大変、 消費者の方々の不安がありました。こういうことを背景として、BSEの全頭検査を開 始したわけです。  次をお願いします。  と畜場においてどうやっているかについては、先ほどと同じですので省略させていた だきます。  と畜場においては、どうやってBSEの検査をしているのかということであります が、これは延髄部分でございます。これをスプーンのようなもので引っ張り出して検体 にしています。実際には、延髄の閂部というところを検査していますが、安全委員会の レポートに書いていますとおり、ここの部分については、異常プリオンたんぱく質の蓄 積が最も多いところですから、検査に適していることになります。  これは、エライザというスクリーニングの検査を実施しています。安全キャビネット で作業をしています。  次をお願いします。  どういう検査キットを使っているかですが、EUにおいては、プリオニクスのウエス タンブロットとエライザ、プラテリアのエライザ、エンファーのエライザ、CDIとい うものが認められています。  日本においては、BSE検査に関する専門会議で、その感度、精度を評価いただい て、今3種類について使用を認めています。実際に多く使われているのは、プラテリア のエライザです。  ここで、CDIについて少し言及をしておきます。  CDIにつきましては、いろいろ報道がございまして、CDI自身は、プリオン病で ノーベル賞を受賞されたプルシナー博士のグループがこの検査法を開発しています。  今、EUで認められているCDIは、感度的には既存のものと変わらないというふう に聞いております。ただ、そのグループは、今後、より感度のよい検査法を開発すると 言っておりますけれども、今のところはまだ実用化されていないと聞いています。  次をお願いします。  BSE確認検査の陽性事例でございます。先ほど言いましたように、エライザでスク リーニング検査をして陽性のものについてこちらに回ってきます。それで、ウエスタン ブロットによる検査と免疫組織化学による検査を実施します。ごらんいただくとわかり ますが、3本のバンドが出ております。これは、BSE感染牛では分子量の異なる3本 のバンドが著明に出るということで診断できますし、さらには、免疫組織化学検査とい う方法を用いますと、全体に茶色っぽいものをごらんいただけると思いますが、これは 異常プリオンたんぱく質だということで、こういう二つの検査を用いて確認検査を実施 しています。  次をお願いします。  と畜場におけるBSE検査の結果ということで、と畜場においては現在までに10頭 ということでございます。  次をお願いします。  年次別に並べましたが、平成13年9月に1例目が見つかり、直近では、12例目と いうことで、9月13日に、熊本だと思いますが、ホルスタイン種で1頭、62月齢で 見つかっております。  先ほどちょっと話が出ましたけれども、奈良で見つかった事例は、まだ疑いの段階で ありますが、月齢は103、8歳7カ月ということでございまして、これが確定診断に 至ると今までの中で一番高齢の牛が見つかったことになります。  次をお願いします。  感染牛の出生年度分布ですが、一つは、平成8年以前に大きな山があります。平成1 1年は、これは熊本事例です。平成13年度については、いわゆる若齢牛で21カ月、 23カ月の例がこのグループに入ります。  次をお願いします。  これをプロットしたものでございます。月齢と、横軸には確認年度を入れております が、こういう大きな分布になっているのが見ておわかりいただけると思います。  次をお願いします。  安全委員会におきましては、検出限界以下の牛を検査対象から除外するとしても、現 在の全月齢の牛を対象としたSRMの除去を変更しなければ、それによるvCJDのリ スクが増加することはないということが一つです。  それから、もう一つは、21カ月齢以上の牛については、現在の検査法によりBSE プリオンの存在が確認される可能性があるという記述がございます。  次をお願いします。  このパワーポイントのように、安全委員会は、次のことは今後の我が国のBSE対策 を検討する上で十分に考慮に入れるべき事実ということで、1番目が21、23カ月例 で発見された2頭のBSE感染牛における延髄閂部に含まれる異常プリオンたんぱく質 の量がごく微量であったというのが1点目です。さらには、2番目として、我が国にお いては約350万頭の検査をしておりますが、その検査により20カ月齢以下のBSE 感染牛を確認することができなかったということが報告書の中で記載をされておりま す。  厚生労働省といたしましては、食品の安全規制は科学的な合理性を持って行うことが 重要であると考えておりまして、検査対象月齢の検討に当たりましては、食品安全委員 会が科学的見地から取りまとめた報告書について、これを尊重すべきではないかという ふうに考えているところでございます。  次をお願いします。  次に、BSEに関する調査研究事業でございます。  現在、感染研の佐多部長を主任研究者とするプリオン検出技術の高度化及び牛海綿状 脳症の感染・発症機構に関する研究班が設けられています。具体的には、プリオンの高 感度・迅速検査法の開発であるとか、さらには、BSEに関する感染牛由来材料及び実 験動物を用いた感染及び発症機構の検討、さらには、と畜時の食肉汚染防止法の検討と いうような研究をしているところでございます。  次をお願いします。  安全委員会のレポートの中には、検査法につきましては、検出限界の改善や牛の生体 から採取した組織、血液等を用いた生前検査法についても開発をすべきだというご意見 もちょうだいをしています。これらを踏まえて、今後とも、高感度・迅速検査法の研究 開発、さらには、BSE感染のメカニズムということについて積極的に研究事業に取り 組んでいきたいと考えているところでございます。  次をお願いします。  全体を通してということになりますが、厚生労働省の今後の方針としては、9月9日 に食品安全委員会が中間取りまとめとしてまとめられた安全委員会の評価・検証結果を 十分尊重した上で、今、その管理措置について、リスコミを通じていろいろな方々のご 意見を十分お聞きしながら、SRM、検査、調査研究について具体的に方針を決めて、 食品安全委員会に具体案を諮問申し上げたいと考えているところであります。  以上です。 ○司会  どうもお疲れさまでございました。  私どもの方からの説明は、これで終わります。  この後、5分程度の休憩をいただいてから、意見交換をいたします。                 〔  休憩  〕 ○司会  それでは、議事を再開し、意見交換に入ります。  まず初めに、前列の説明者の紹介をいたします。  皆さん方から向かって一番右は、内閣府食品安全委員会事務局、評価課の梅田補佐で ございます。  続きまして、主催者側でございますが、中央から皆様方の左に向かって、厚生労働省 大臣官房の松本参事官でございます。  その隣が、食品安全部監視安全課輸入食品安全対策室の桑崎室長です。  また、中央に戻りまして、皆様の右の方に向かって農林水産省大臣官房の高橋審議官 でございます。  その隣が、消費・安全局衛生管理課国際衛生対策室の釘田室長でございます。  本日、コーディネーターを務めます私の隣が、厚生労働省食品安全部企画情報課の広 瀬補佐でございます。  私は、先ほどから司会をしております姫田でございます。どうぞよろしくお願いいた します。  それでは、広瀬補佐に議事をお願いします。よろしくお願いいたします。 ○広瀬  ただいまご紹介いただきました企画情報課の広瀬でございます。よろしくお願いいた します。  これからの意見交換については、生産から消費の流れに沿って進めていきたいと思い ますが、その前に全体のプロセスについて、皆様方からご意見があれば少し議論させて いただきたいと思います。  といいますのは、昨今、私どもの方では、このような国内対策の評価を内閣府食品安 全委員会の方からいただき、国内対策について、今までの管理措置をどのように見直し ていくかということを進めているわけですが、一方では、マスコミなどにおいて、米国 との動きを絡めたような報道がなされているところでございます。その辺のところで、 東京会場、その他の会場でも幾つか意見をいただいておりますので、今行っている進め 方について全体的なご意見があれば最初にお受けしたいと思います。これを10分程度 させていただき、その後に、生産から消費への流れということで、飼料等から、順次、 意見交換を進めていきたいと思います。  まず、全体についてご意見を伺いたいと思いますが、発言をご希望される方はいらっ しゃいますか。 ○フロア  北海道生協連の佐藤と言います。  基本的には、意見だと思いますけれども、安全委員会の方から答えていただければと 思います。  今回のBSEの見直しについて、輸入との関係で中間報告が政治的に使われていると いう批判をされる方が結構多いわけですけれども、アメリカからの輸入を再開するかど うかという問題になったときには、やはり、安全委員会がアメリカのBSE対策につい てきちんとリスク評価をするという姿勢を表明することが、マスコミに対しても一番ア ピールできる中身ではないのかなと思います。その点についていかがか、ぜひご回答を いただきたいと思います。 ○広瀬  同じような形で、会場の方から二、三の意見をいただいた後、こちらの方で対応させ ていただきたいと思います。 ○フロア  江別の塩越と申します。  今、国内の問題と輸入の問題は切り離して考えるということでお話がありました。  ただ、私どもが一番気にするのは、国内の基準が緩和された場合に、それに対して、 アメリカからそのすき間を縫って検査をしない肉が入ってくるのではないか。つまり、 一つの事象からいろいろなところに発展して物事は考えられていくのではないかと思い ます。  確かに、マスコミを見ますと、牛丼の原料がなくなったから急いで入れたがっている のではないかという書き方もありますけれども、それに限らず、消費者としては、検査 された牛か、されていない牛か、そこが一番のポイントになってくるのではないかと思 います。また、それをどう見分けたらいいのかということも大きな問題になるのではな いかと思います。  過去におきましても、そういうことが原因で牛肉離れが起きております。消費者とし ては、安全というよりも安心して物を食べたい面があるから非常に気にしているのでは ないかと考えます。その辺についての考え方をいただきたいと思います。 ○広瀬  ありがとうございました。  ほかにご意見はございますか。  一番左の列の方、お願いします。 ○フロア  農民運動北海道連合会の野呂と言います。  8月11日に厚労省に伺いましたときに、食品安全委員会の議論について、私どもが 厚労省が安全委員会に諮問したのかと話したら、「そういう経過はない、あれは安全委 員会が勝手にやっていることだ」という話でした。安全委員会が報告を出したら、厚労 省はそのとおり進めなければならないものなのか、その辺を示していただきたいと思い ます。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、ここで少し整理をさせていただきます。  まず、一番最初にいただいた意見で、アメリカからの輸入再開に当たっては、やはり 安全委員会の方できちんと評価すべきではないかということですが、松本参事官から管 理機関としてのコメントをいただいた後、安全委員会の梅田補佐からも、それを受けて ということでコメントをいただきたいと思います。 ○松本  私からのごあいさつのときに申し上げましたけれども、今回、安全委員会で評価いた だいているのは、国内におけるこれまでのBSE対策の評価であります。これについ て、強化すべきところ、あるいは見直していくところについて、9日に安全委員会から ご報告を受けて、それを尊重しながら、また、リスクコミュニケーションでいろいろな 方々のご意見を聞いて、今、検討しております。それが固まったところで、安全委員会 に諮問をし、いろいろ注文もつくと思いますが、それを受けて国内の対策をどうするか ということが決まります。  それが決まらない段階で交渉はできません。決まったところで日米交渉になります。 当然、これまでも言っていますけれども、国内の安全性と同等の安全性が担保できてい るかどうかということが大きなところでありまして、それについては、当然、交渉のと きも求めていきますし、その過程で、米国側からその状況を満たすような具体的な措置 について提案があった場合には、食品安全委員会に諮問して、評価いただくことになる と考えておりますし、そのように進めていきたいと考えております。 ○広瀬  ありがとうございました。  続いて、梅田補佐からお願いします。 ○梅田  今、松本参事官からご説明がございましたように、今回の中間取りまとめは、ご承知 のとおり、日本におけるBSE対策を検証したものであります。  つまり、アメリカにおけるBSE対策を検証していないということでありまして、米 国におけるBSE対策については、日本の状況と異なっていることは自明であろうかと 思います。そういうことを踏まえまして、やる際には別途の検討が必要になると食品安 全委員会としても考えております。  ただ、それに関連する情報もこれまで収集に努めてまいりましたけれども、基本的に は、リスク管理側から具体的なリスクの管理措置についての内容が提示された上で、私 どもとして、要請があればリスク評価を行うべきものだというふうに考えております。 ○広瀬  ありがとうございました。  続きまして、2番目の意見は、検査をした肉としない肉の見分けをどのようにつけた らいいのかというご意見をいただいていますが、こちらの方は、検査の話題のときにも う一回、取り上げさせていただきたいと思います。  3人目の方から、安全委の報告が出たことで、安全委として自発的に評価をしている のだから、これを受けて管理機関が何かアクションをとる必要があるのかどうかという ご質問をいただいています。  これについては、桑崎室長、お願いします。 ○桑崎  先ほどもご説明をしましたが、これは、BSE対策を含めてということだと思います けれども、食品安全行政は、基本的に科学をベースにして規制し、実行するということ が極めて重要だろうと私は思います。そして、今回の安全委員会の報告書は、日本の第 一線のBSEの研究者が入って、科学的な見地から取りまとめられたものだというふう に理解をしています。  そういう意味で申し上げますと、我々は、その報告書を尊重した上で、今どういう管 理措置を見直すべきかということについて、いろいろな方のご意見をお聞きし、まとま りましたら、再度、まとまった案について食品安全委員会に諮問し、これでいいのかと いうことについてお伺いする、こういうプロセスを考えているところでございます。  したがって、その方向性ではなくてはいけないのかという質問については、科学をベ ースに考えると、私は、その方向で、尊重しつつ対策を検討する必要があるのではない かというふうに思っています。 ○広瀬  ありがとうございました。  参事官からも補足をお願いします。 ○松本  今、室長から申し上げましたように、やはり、食品安全の規制は科学的合理性に基づ いていることが大前提であります。  さはさりながら、消費者としては、科学はわかるけれども、漠然とした不安はあると いうことを多くの消費者がおっしゃいます。それについては、科学的な安全性を確保す ることを前提として、それについて信頼を醸し出すといいますか、それが非常に重要と 考えております。そのため、リスク管理官庁としては、安全委員会の報告が出る前の9 月3日にメルパルク札幌でこのような意見交換会を開き、今回も開きました。もちろ ん、科学的な安全性を確保することが前提となりますが、これから先もまだまだこうい うことを行い、皆さん方にいろいろなご意見を聞きながらリスクコミュニケーションを 行うことで、これから先も信頼を醸成する努力を進めていこうと考えております。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、お時間の関係もありますので、先に進めさせていただきます。  時間があれば、最後の方でまた全体を通じて議論させていただく時間を設けたいとい うふうに思います。  それでは、これからの意見交換については、まず、いただいた意見について、それと 同趣旨の意見で補足するような意見がある方がいらっしゃれば、二、三人に追加の意見 をいただきたいと考えております。その後で、別の意見の方がいらっしゃれば、また、 同じような趣旨の方に二、三人からご発言いただいて、それを繰り返すような形で意見 交換を進めていきたいと思います。必要に応じて、行政の担当者から発言をさせていた だければと思っております。  質問や意見については、時間を有効に活用する観点から、ご質問、ご意見ともお一人 様2分以内でお願いいたします。できるだけ多くの方に発言いただきたいと思いますの で、ご協力をお願いいたします。  1分30秒のところでベルを1回鳴らし、2分たちましたら2回目を鳴らしますの で、そこでまとめていただければと思います。  それでは、意見をお受けしたいと思いますが、まず、BSE根絶のための飼料規制に ついてご意見、ご質問があればご発言いただきたいと思います。  どなたか、いかがでしょうか。  BSEについては、割と検査の方に話題が向きがちですが、飼料をきちんと規制する ことによって、本当に牛への感染、病気の蔓延を防ぐことができ、まさに日本からBS Eがなくなるとも言われております。  いかがでしょうか。  それでは、お手元の資料5に、飼料について事前にいただいた意見がございますの で、少し紹介いたします。  まず、感染経路の解明の関係です。  読み上げさせていただきます。  12頭目のBSE牛が発見され、まさに、今13頭目の疑いのある牛が出ています が、感染ルートの追跡調査について農水省ではどういう体制、人数で取り組んでいるの でしょうかということです。  同じ方がピッシングについても書かれておりますが、これは、また次の話題のときに 触れたいと思います。  質問された方で、もう少しこういうところを聞きたいと何か補足することがあります か。 ○フロア  前回は参加していませんので、お話が出たかもしれませんが、今現在、飼料の中で、 原因はどういうところに的が絞られているのか。  それから、今、飼料を分離して、交差しないようなことを行っておりますけれども、 そういう中で、食べ物からの感染と、もう一つ、OIEでは突然変異性もあるのではな いかということがたまに載っております。そこで、現在、委員会としてはどちらの方を 有力として検討されているのか、その辺も含めてお話しいただければと思います。 ○広瀬  ほかにも、同じような趣旨でのご発言はありますか。 ○フロア  私の意見は資料に載っていますので、余り詳しくは話しませんけれども、飼料につい ては入り口から規制するということです。私は、粗飼料中心の牛の飼い方をすれば一番 いいと思っています。私は、BSEにかかわりなく、牛の生理からいって粗飼料中心の 牛の飼い方をすべきだと思うし、農水省の仕事としてそういうことを進めていくべきだ と思っています。  それから、肥飼料検査所のデータですが、私は今まで農林弘済会から買っていたので すけれども、最近は発刊停止になったのか、全然見ていませんが、検査のデータもすこ ぶる不十分だったような気がするので、もう少し速やかに公表していただきたいと思い ます。 ○広瀬  それでは、釘田室長からまとめてお願いします。 ○釘田  できるところだけお答えさせていただき、足りない点は補足していただきたいと思い ます。  最後におっしゃられた畜産のあり方といいますか、特に酪農なり肉牛は粗飼料中心で やるべきというのは全くそのとおりだと思っておりまして、農林水産省でも、この飼料 自給率を高める施策ということで努力していることはご存じのとおりかと思います。そ の点については全く異存ございません。さらに努力していきたいと思っております。  飼料検査所のデータについて、私はちょっと承知しておりませんので持ち帰りたいと 思いますが、どなたかお答えいただければ補足をお願いします。  それから、あらかじめ出されています感染ルートの追跡調査についてです。農水省 は、去年の7月に組織がえになりまして、それ以前は生産局でやっていましたが、現在 では、消費・安全局の衛生管理課の中に薬事・飼料安全室というところがありまして、 この中の専門の班がその役割を担っています。  当然のことながら、この追跡調査は、発生がありましたときに、その発生農家、ある いはそれをさかのぼって、その牛が飼われていたところすべてについて、どのようなえ さが与えられていたか調べることになります。それに当たっては、都道府県の方々のご 協力、あるいは飼料検査所、さらには飼料メーカーの方々に大変なご協力をいただいて やっているところでございます。  現在、1例目から7例目までは、先ほどもご説明しました報告書で取りまとめられて おります。その後、若齢の牛が出たり、さらに最近でもぽつぽつと出ており、これらに ついても追跡調査をやっているところです。ただ、交差汚染の可能性が言われているこ とにより、さらにその調査範囲が広がっていまして、限られた労力で調査を進めている ところでございますが、その後の感染経路について最終的な報告書の取りまとめまでは 至っておりません。これについても、取りまとめ次第、公表にしていくことになると思 います。  それから、原因について、どこに的を絞っているのかというご質問がございました。  これは、先ほど来、ご説明しておりますように、従来の7例についてもそうですし、 その後のものについてもそうですが、明かな形で肉骨粉、あるいはこれが原因だとわか るような形で牛に与えた例はないわけです。なおかつ、今現在では、特に若齢の8例 目、9例目は法的に飼料規制が導入された以降に生まれた牛ですから、規制が遵守され ていればなおさらのこと、そういったものが与えられていることはないのです。  しかし、これも先ほど申し上げましたが、海外の事例を見ても、法規制が行われて も、そういった趣旨なり制度が浸透してそれが末端で遵守されるまでには時間がかかる ことと、それが浸透した後でも、意図しないところで交差汚染が起きるわけですから、 なかなか防げないということがございます。ですから、現在、私どもがとっている規制 の内容もやや過剰規制と見える部分もありますが、こういった体制をもうしばらく続け ていって、さらに、そういった対策が有効に機能しているかどうかのチェックも欠かせ ないと考えています。  これも、プリオン調査会の専門家の中でも議論されていますが、イギリスでの感染実 験で、感染した牛の脳を、最初のころは100グラム与えていましたが、どんどん減ら していきまして、今では1ミリグラムの投与でも感染が成立することが報告されていま す。1ミリグラムとか10ミリグラムという目に見えるか見えないかぐらいの量でも、 えさの中に紛れ込んでしまうということがどこかで起きているのではないかと思います ので、そういったことを徹底的に排除する対策を続けていくしかないのだろうと思って います。  あと、えさ以外の原因があるのではないかというお話です。  これも補足していただきたいと思いますが、人の世界でも100万に1人くらい孤発 性のヤコブ病があるそうです。牛の世界では、そのデータも余りないし、そういうこと が証明されているわけではないと思いますけれども、牛の中でも孤発性が、つまり突然 変異といいますか、原因がはっきりわからないですが、起きている可能性はあろうと思 います。  しかしながら、これまでの日本の例も、あるいはヨーロッパの例でも、疫学的には、 最初はイギリスで起こった羊のスクレーピーという病気から来たのだと思われます。そ れがどんどん拡大していって日本にも持ち込まれたものだということは、まず間違いの ないところだろうと今のところは考えています。 ○広瀬  ありがとうございました。  梅田補佐からも補足をお願いします。 ○梅田  最後のお話にございました原因ですが、肉骨粉以外の原因があるのではないかという ことについて、プリオン調査会の先生方の議論でも肉骨粉以外の原因もささやかれてい るということはございます。  先ほどご紹介がありましたように、人の世界で、スプラディックに孤発性のCJDが 100万人に1人の割合で発生するということで、人間である以上はそういう宿命を負 いますから、日本でも100人程度は発生するということになっていて、そういうこと が牛の世界でもあるのではないかというのは前から言われております。  ただし、それは証明されているわけではなく、一つの仮説にすぎません。  では、イギリスで18万頭出ていて、もともとどこから来たのかということが問題に なりますけれども、それもまだ推測の域を超えていません。一説には、初めの牛は孤発 性で出たのではないかという仮説もあれば、羊から来たのではないかと言われて、今は 羊から来たのではないかというのが有力視されている状況でございます。  いずれにしても、それは推測であって、結論はまだ得られていない現状であることを つけ加えさせていただきます。 ○広瀬  ありがとうございました。  姫田情報官からも、補足をいただきたいと思います。 ○姫田  少し補足いたしますけれども、今の件につきまして、きのう同じような質問が出て、 食品安全委員会のプリオン専門調査会の金子先生から、プリオン肉骨粉説は、ほとんど 「説」をとってもいい状態ではないか、世界的な科学者の間でプリオン肉骨粉説はほぼ 認められて、仮説と言っているけれども、もう仮説ではないという考え方だとおっしゃ っておりました。  それから、感染原因については、今、原因究明の方で三つの可能性がありましたけれ ども、一つはいわゆるクロスコンタミ、それから、80年代に生体牛の輸入があってそ れが回ったのではないかということ、それから、オランダから来た油脂が代用乳にまじ ったのではないかということでした。そのうち、オランダから来た油脂については、オ ランダでの状況から見ても、あるいは油脂の中での乳牛に対するたんぱく質のコンタミ からしても、先生方のご議論ではまず難しいのではないかということが言われておりま す。それで、今現在、主として、えさ工場でのクロスコンタンミの意図せざる混入が一 番大きいのではないか言われております。  最初から発生までは、えさの保存期間が2年間だったものですから、なかなか追いか けていけなかったということがございます。発生直後に法律改正いたしまして、今は8 年間の保存期間になりました。ただ、8年間の保存期間と言っても、今はまだ5年しか 保存できておりませんが、飼料の情報の保存期間が長くなるので、今後、究明は進んで いくのではないかと期待しております。  それから、粗飼料中心ということですが、私どもは、公共事業で草地造成整備に毎年 200億円くらいのお金を使っております。そのうち100億円を北海道の道東を中心 にして投入していますが、国民の税金は、BSE対策だけではなくて、草地酪農あるい は草地畜産を進めていきたいと思って使っておりまして、むしろ、道全体からそういう 機運を盛り上げていただきたいと思っております。また、いわゆる集約放牧という新し いタイプの放牧形式もどんどん進めているということもありまして、国はどちらかとい うとやりたいのですけれども、取り組んでくださる農家の方がなかなか少ない現状です ので、ぜひそういう気持ちでやっていただきたいと思います。  肥飼検の検査データについては、できる限りホームページに出させていただいていま すので、不足があれば、また肥飼検の方に言っていただければと思っております。 ○広瀬  それでは、先ほど、真ん中の列の後ろの方で手を挙げられた方にお願いします。 ○フロア  企業体でつくっている北海道食肉管理業BSE対策会議と申します。  質問者が2分だったら、答える方も2分で的確に答えるようにしてもらった方がいい と思います。  まず、資料4の12ページですが、これを見てもわかるように、平成8年3月、4月 のものが集中的に出ているという発生の科学的根拠を見ると、明らかにこの原因究明と いうのはわかっているはずなのです。  私たちは十勝ですけれども、今回も奈良の牛は十勝の士幌で生まれた云々と出ている のだけれども、明らかに、平成8年3月、4月の原因説が有力だと思うので、突然変異 説など、そのようななまっちょろいものではなくて、これは根本的な問題だと思いま す。  自分たちの企業もダメージを受けたし、生産者もダメージを受けたことについて、こ この原因究明は徹底して何なのかがはっきりしないと、今後の部分に対しての対策は全 然とれないと思います。  ここのところははっきりわかっているのだし、飼料関係の制限を含めて、本来どうな っているのか、平成13年、14年の若い牛がどうなっているのかというのが、飼料の 制限要因というか、政策として徹底した巡回をどこまでやっているのか、毎日のように 入っているのかと。  そこのところは不安があると思うのです。だから、どこまで巡回をされているのか。 それから、原因究明を本当に真剣にやる気があるのかどうか。そこのところを強く望み たいです。まだ、平成8年の牛はたくさんいますから、追跡調査などを含めまして、科 学的な根拠が欲しいのです。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、情報官からコメントをいただきたいと思います。 ○姫田  おっしゃるとおり、都道府県と協力しながら具体的な追跡調査を一生懸命やっている ところです。残念ながら、先ほども申し上げたように、保存期間が2年だったというこ とでいろいろなところで壁に突き当たっているということが確かな事実です。  それからもう一つは、15年の21カ月齢、23カ月齢の件につきましては、いわゆ るフィードバン、飼料の対策をとった後ということで、どこかにアリの小さな穴があっ たのだろうということがあります。それは、我々も今努力をしているところですが、先 ほど釘田室長からご説明いたしましたように、そういうアリの小さな穴であってもとに かくふさがなければいけないということで、今後、対策を強化していこうではないかと いうことがきょうの説明であるとご理解いただければありがたいと思います。 ○広瀬  ありがとうございました。 ○フロア  宗谷岬牧場で肉牛をやっている氏本と言います。  今まで発生した例を見ますと、特定の品種に固まっているということは、今、皆様が おっしゃっているようなえさを通じた交差感染であろうという過程の中で、特定の品種 にというのは整合性を持った説明がし切れるのでしょうか。その辺について、ご意見を ちょうだいしたいと思います。 ○広瀬  釘田室長、お願いします。 ○釘田  同じようなご質問をほかの会場でもいただいていますが、確かに、日本で今まで12 頭、13例目もホルスタインと、すべてホルスタインです。  しかしながら、海外の例を見ましても、必ずしもホルスタインだけではなく、肉牛か らも出ています。また、品種ごとに感受性の差があるかどうかですが、多分、実験デー タも何もないと思いますけれども、これまでの得られた知見からすると、牛の品種間で それほど大きな差があるとは考えられないと思います。  ですから、これは、あくまでも飼養形態の違いから起こっているのだろうと思いま す。ホルスタインは、子牛のときに親から離されて人工的なえさで育てられますから、 肉牛の場合より、その間にこういった原因物質が紛れ込んだえさを口にする機会が多い のだろうと思います。  ただ、肉牛でも海外では発生例があります。今後、日本の和牛では発生がないのでは ないかということをおっしゃる方もいますが、私どもは、必ずしもそういうふうには思 っておりません。  先ほど来、原因がはっきりわからない、わからないから交差汚染なのだろうというよ うなご説明しかできなくて、その点については、聞いていらっしゃる方々は大変フラス トレーションがたまるのではないかと思います。ただ、これは、よその国も含めて、原 因がはっきり特定された例はほとんどありません。潜伏期間が長いですから、見つかっ たときは既に数年さかのぼって調べなければいけないという制約もありまして、原因を ぴたりと特定することはなかなか難しいのですが、やはり、この交差汚染を防ぐことが 唯一の飼料対策だと思っています。 ○姫田  一番感受性が高いのは、6カ月齢までの若い時期なので、その時期、和牛はお母さん の母乳と牧草とか稲わらくらいしか食べていないという事実が特に我が国の場合はあり ます。それがすべての飼養形態ではないですが、そういう意味で和牛の発生頻度が低い ということが理解できるのではないかと思います。 ○広瀬  ありがとうございました。 ○フロア  事前の意見、質問で追跡ルートについてアンケートに書いた者ですが、釘田さんに回 答をお願いしたいのです。人数、体制はどうなのだと聞いているのですから、人数くら いは答えていただければと思います。  なぜそういうことを言ったかというと、私は、BSEの発生のときからこういうもの にほとんど毎回出ていますけれども、原因追及を言うと、世界で感染ルートがわかった ためしがほとんどないのだということが行政の方から結構出てくるのです。  では、日本で一番厳しい検査をやるのだったら、世界で最初にその原因究明をできた というくらいの体制をどうしてつくらないのか、農水省はどうしてそれに全力を挙げて やらないのかと、その都度、私は、そういう話を言わせていただいています。それに対 して、体制、人数、これだけの金を使ってやっていますという話がどうしてできないの かということで、あえてきょうも言わせていただきたい。 ○広瀬  室長、お願いいたします。 ○釘田  ご指名を受けたので答えたいと思いますが、これも姫田さんに補足していただきたい と思います。  今現在の体制は、本省では、衛生管理課の中で、いろいろな仕事を抱えながらやって いますからこれが専任という人間はいませんが、いるとすれば係長1人が専門だと思い ます。役所の仕事のやり方は、みんないろいろな仕事を抱えながらやっておりまして、 先ほど言いました薬事・飼料安全室の中に一つの班がありまして、その上に専門官もい ますが、一つのチームを組んでやっていまして、主にこの問題を担当している人間が1 人はおります。しかし、彼はほかの仕事もやっています。ですから、人数は何人かと言 われると非常に答えにくい面もありますが、3人くらいのチームでこの問題をフォロー しています。ただ、その人間が中心になりながら、いろいろな方々のご協力を得てやっ ておりますので、全部で何人になるのかと言われると数字を申し上げることができませ ん。 ○姫田  まず、7頭については、先ほども申し上げたように、追跡できるところは追跡すると ころまで全部行ってしまって、その結果がこの間の報告書になっております。その後の 8頭目以降については、今、釘田が申し上げたように、都道府県の方とか肥飼検の職員 の協力を得ながら追跡しておりますが、結局、それぞれのところで最後はこれ以上の情 報をつかめないというところまで行ってしまっています。今回、新しいのが出たので、 それも全部調べられるところまで調べていくと、そういうことをやりながら、追跡チー ムの先生方にご議論いただいて、原因を究明していこうという状況になっております。  日本でできないのかということですけれども、また同じことを言ってしまうことにな りますが、海外で何百頭、何千頭、あるいは18万頭出しているところでも原因究明で きていないので、残念ながら、今の12頭の数字ではなかなか難しいこともご理解いた だきたいと思います。 ○高橋  今、追跡の体制がちょっと弱いのではないかというお話を伺いました。  ちょっとごらんいただきたいのは、これは私どもの資料ではございませんが、食品安 全委員会の中間取りまとめが最後に参考資料としてあります。それを開いていただく と、図1がありまして、今まで国内で確認されたBSE牛の出生時期が載っています。 これは、横軸に西暦で1995年、平成7年から今までの年次があって、どの時点に生 まれた牛がBSEとして確認されたかが載っています。  これをごらんいただくとわかるとおり、95年、96年生まれのところに一つのグル ープがあります。これは、私ども農水省では、平成8年4月に通達でえさの規制はやり ましたが、後で通達では弱かったという大変厳しいご批判を受けましたが、そこで1回 やりました。それから、次の区切りは平成13年10月時点で法律によるえさの規制に なりますけれども、その前後で8例目と9例目が2例発生したわけであります。また、 先日、熊本の後に奈良で疑いが出ましたが、今、連絡がありましたけれども、奈良のも のもBSEだということで13例目になっています。これも、96年の春の生まれです から、最初の第1グループに入ります。ただ、熊本で見つかった12例目は、平成11 年、1999年生まれになりますので、この熊本の事例だけは95年、96年のグルー プあるいは2001年グループとはちょっと違う真ん中のグループにいます。  感染ルートについては、釘田室長からご紹介申し上げましたが、昨年の調査報告書は 7例目までのものということで、それは95年、96年の出生の牛についてどういう感 染ルートがあったかを調べ上げました。8例目と9例目については、今いろいろ調べて います。やっぱり、交差汚染かなくらいですけれども、まだ完全な結論には至っておら ず、まだ調査中です。11例目、12例目もそうです。  それで、7例目までの追跡に関してはちょっと体制が弱いというお話がございました が、対策を打つ場合に、これは人間の病気もそうだと思いますが、この患者さんが何で 死んだかという話と、この病気に対してどういう対策をとるかというのはちょっと分け て考えなければいけないと思います。7例までの牛について、最初の牛、2番目の牛が どのルートで感染したかは、確かに突き詰めて考えなくてはいけませんが、ただ、この BSEという牛の病気が人間に対してどう移るかというものに対しては、より一般的に 広い疫学的観点から、公衆衛生上の観点からほかのルートも当たって見なければいけな いわけです。  そういった意味では、直接的には、肉骨粉ないしBSEに感染した牛の組織を次の牛 が食べているということですが、肉骨粉をそのままとったか、あるいは肉骨粉がまざっ たいろいろなものをえさの中にたまたま入れたか、あるいは誤って入ったか、これはい ろいろなことがあります。あるいは、可能性はほとんどないだろうと言われていますけ れども、7例目までについては代用乳という話も出てはいます。これは否定されていま すが、私どもはそのようにルートの可能性を全部つぶしています。  そういった意味で、今回、もう一つ対策として加えようというのは、肉骨粉そのもの ……(「意見を述べさせてくれや」と呼ぶ者あり)  済みません。  そういう意味で、いろいろなルートの可能性を全部つぶしているということで、対策 の話とそれぞれの原因究明はちょっと分けて考えていただきたいということでございま す。 ○広瀬  左の列の方、お願いします。 ○フロア  網走管内の生産者の斉藤と言います。  今、えさの関係で説明があるわけですけれども、飼料給与禁止は2002年のちょっ と手前で平成14年です。それで、先ほど来、科学的根拠に基づいて若齢牛のBSE検 査は外すと。ところが、平成14年直近で骨粉の禁止をして、それから、まだ2年足ら ずくらいです。言ってみたら、交差汚染が心配だとおっしゃっていますけれども、その 牛がこれからどんどん出荷して肉になっていく過程なのです。  先ほどから、科学的根拠、専門家の意見だと20カ月以下はいいのだ、頭数的には3 60万頭検査した、だからいいのだと。これは、交差汚染を心配しながら、まだわずか 2年間ですよ。それで全頭検査しましたが、世界から日本の全頭検査はすばらしいと言 われています。しかし、それをもうやめようというのですから、専門的見地も結構です けれども、あのBSEが出たときの日本国内のパニック状況をもう一度思い出して、こ の見直しはもう少し時間をかけてやっていただきたい。  いかがですか。 ○広瀬  ありがとうございました。  多分、同趣旨の意見の方があると思いますが、検査の話に入っていますので、飼料の 方はこの辺でやめさせていただいて、次のピッシングとかSRMの除去とか、検査、研 究の方の話題に移りたいと思います。  まず、ピッシングについて事前に意見をいただいていますので、これについて桑崎室 長から簡単にコメントをいただいて、少し議論したいと思います。  お願いします。 ○桑崎  先ほどもちょっと申し上げましたが、ピッシングの禁止は法令で決めるべきではない かということについては、私どももできればそういう方向で考えていかなければいけな いということだと思います。  ただ、実際に、これはある県の事例ですが、一度ピッシングをやめて、その後、事故 が起きて、またピッシングをやることに戻ったという事例があります。  そういう意味で、非常に難しいのですけれども、労働衛生というか、どうしてもこの 面は従事者の事故防止もあわせて取り組んでいかなければいけないものです。方向的に は全く異論はありませんが、今後、どうやってピッシングを減らしていくのかというこ とについては、少し知恵を絞って、みんなで考えながら前に進めていかなければいけな いのではないかと思っています。 ○広瀬  参事官からもお願いします。 ○松本  桑崎の方からご説明しましたけれども、ピッシングをやめたところが3割で、まだや っているところが7割あります。これは、作業に当たる方は、素手やっているわけでは なくて、よく切れる刃物を持っているものですから、結構、事故があるということで、 それを防ぎながらどうするかということであります。  さはさりながら、これまで、ほとんどのところでやっていたピッシングを3割のとこ ろがやめたと。それは、それなりに苦労されたと。そこで、規模もそれぞれ違います が、これから我がやろうとしているのは、成功事例のところはどういう工夫をしてされ たかということを集めて、まだピッシングを続けているところに、こういう工夫で改善 されたらどうですかということを示していく取り組みをしたい、そういうふうに進めて いきたいと考えています。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、事前にいただいている意見の中でも、検査に関するところが非常に多かっ たので……(ピッシングについて発言を求める者あり)  では、ピッシングについて、もう1点だけ、どうぞ。 ○フロア  今、日本では3割だという話だったのですけれども、アメリカではもう禁止されてい ますね。ヨーロッパでもしていない方がずっと多いのでしょう。ということは、世界的 に見れば、圧倒的にピッシングは禁止されていると思った方が正しい理解ですね。日本 だけ、労働災害の関係もあったのかもしれませんけれども、例外的にまだ3割しか進行 していないという理解ですね。それであれば、世界で主流になっているやり方を日本で 導入すれば済むことだと思うのですけれども、それをまだ入れられないというのは、や はり怠慢としか言いようがないと思うのですが、そうではないのでしょうか。これはお 金がかかることなのですか。 ○松本  設備、構造の問題や、余分に人がかかるというところもあります。例えば設備、構造 ですと、つくり直さなければいけない場合は、どこかに引っ越してできるかというと、 それはなかなか難しいとか、それぞれの事情があるようです。そこのところは、建て直 しなどをせずに成功している事例もありますので、そういうところを含めて成功事例を 示し、できるだけ早くピッシングの中止に取り組んでいただくよう指導していきたいと 考えております。 ○広瀬  きょうは道庁の方も見えられていると思いますので、コメントをいただければと思い ますが、いかがでしょうか。  食品衛生課の方、お願いしてもよろしいですか。  では、最後にでも、ちょっとコメントをいただければと思います。  検査のところで非常に意見をいただいておりまして、最初にご質問をいただいた方 も、検査した牛としない牛をどう見分けたらいいのかというご発言をいただいておりま すし、先ほどご発言いただいた方は、飼料の完全な禁止が終わってからまだ2年間くら いしかたっていない中で、もう見直しをするのかというご意見をいただいています。  そのほか、検査について、似たような趣旨での意見があればお願いします。  それでは、3名にご意見をいただいてから、整理させていただきたいと思います。 ○フロア  私は、道内の新函館農協で酪農畜産を担当しております。500戸ほどの畜産農家も おりまして、この問題については非常に関心が高くなっております。  そこで、まず1点、お伺いしたいのは、食品安全委員会として、当然、検出限界につ いては科学的に調べられるのでしょうけれども、検査にはそもそも検出限界がつきもの ですから、これは初めからわかっていると思います。ただ、これをもって、これ以下の 月齢は検出限界以下だというのは現在の知見であって、これから原因究明をいろいろ進 めていったときに、それをどうとらまえるかというためにも全頭検査を維持すべきで す。13年のときには、月齢もわからなかったし、非常に不安も多かったのです。  特に生産者の方としては、全頭検査のときにも、いろいろ意見があったと思います し、いろいろ知見もありましたが、あえて全頭検査をした。そうしたら、先ほどの意見 のように、ここまでのことはわかったけれども、二、三年おいてから具体的な見直しを すると、そういう方向で問題は取り扱われるべきですけれども、なぜ今ここであえて検 査の見直しまで立ち入るのか。また、その辺の根拠について、私どもとしてはこの取り 扱いの理解に苦しんでおります。  それから、もう一点、アメリカでは30カ月と言っていますけれども、この月齢の判 定方法がどのように検証されているのか、この問題について明確にお答えください。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、右の列の方にお願いします。 ○フロア  私は、北海道チクレン農業協同組合と言いまして、生産者団体に勤務しております伊 藤です。  この資料の3の2の意見を出したのは私ですが、ちょっと誤植がございます。  先ほど来、食品安全委員会の中間取りまとめについては、非常に科学的に評価をして いかなければいけないというお話がありましたけれども、中間取りまとめの結果を受け て、どうも月齢によってBSE検査を今までと変えていく方向に向かっているとしか感 じられません。私たちの系統の生産者から出荷される牛は、ホルスタイン種の去勢牛に 限って言いますと、年間9,000頭以上で、月齢が20カ月齢以下がほとんどです。 もし、BSE検査の月齢による区分が中間取りまとめのとおりになりますと、BSE検 査を受けたくても受けられない形になると思います。  今、小売店では、全頭検査をやっているにもかかわらず、BSE検査済み証を掲げて 売っているところがあります。もし、BSE検査の体制が変われば、検査をしていない 牛肉は店頭に並ばない可能性もあります。生産者は、一生懸命育てた牛が正当な評価を 受ける機会すら与えられない、そうなるのではないでしょうか。検査の見直しは、ぜひ 取りやめていただきたいと思います。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、真ん中の列の方にお願いします。 ○フロア  私も、同じく考えております。先ほどご説明いただきましたように、13頭までホル スタインであり、今、出荷されている20カ月以下の牛が育成牛であるということであ れば、今までの実績からいけば、ホルスタインの育成牛に対しては今後も極めて慎重に 検討していく必要があるのではないかと思います。  ところが、今、20カ月齢以下は検出が難しいからということで切ってしまおうとい う発想ですが、これは、科学的と言えるのかなと、聞いていて私も思いました。それで は、牛に異常プリオンを埋め込んで繁殖させ、その中で何カ月齢まで検出できるのかと いうデータはとったのでしょうか。そういうことがあって初めて科学的、客観的なデー タと言えるのではないかと思います。その辺までやっても検出しないから検出限界だと 言うのであればわかります。現在は、たまたま20カ月齢以下にBSE牛がいなかった のかもしれません。その辺を確実につかんで科学的と言われているのか、そこも含めて 教えていただきたい。  そういう意味から、21カ月齢以上しかわからないからそれ以下は検査しないで出す ということになりますと、現在の牛のトレーサビリティーと相まって、消費者はそうい う牛を全部調べて買わなくなる可能性があるのではないかと思っております。ですか ら、そうした検査はもうちょっと続けていただければと考えております。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、行政の方から、参事官にコメントをお願いしたいと思います。 ○松本  確かに、BSEの第1頭目が出て騒がれて、牛肉売り場のところに人がほとんどいな い、かつ、13年10月18日に、私は今の仕事と別なところにおりましたが、たまた ま焼肉屋に行きましたら、焼肉屋にいたのは私たちともう1組で、あとはがらんとした 状況だったというのは今でも鮮明に覚えています。  そのときに、どうして全頭検査を始めたかというと、その当時、BSEの発生頭数が 一番なかったヨーロッパでは、30月齢以上を検査対象としていたということで、30 月齢でいいではないかというところで議論されました。ただ、そのときは牛の月齢がは っきりしないということが一つありました。今は、戸籍ができていますからわかってお ります。  一方、マーケットなどに検査済みのものと検査しないものがあったときに消費者が非 常に混乱するということで、科学的とは言えないけれども、まず、皆さん方に安心して もらうために全頭検査を始めましょうということでした。もちろん、検出限界があると いうことはわかっておりましたけれども、どの程度まで出てくるかはよくわからないか ら、とにかくやろうということで始めました。確かに、13年10月くらいに、「検査 をやっていますから安全です。牛肉を食べてください」と政府公報で出したことは、記 録として残っております。  それから、2年半が過ぎてどうかというと、食品の安全については、世界的には、リ スクはゼロではないから、いろいろな方法を使ってリスクを減らしていく方向で取り組 もうということであります。今回、安全委員会で客観的に評価され、21月齢以上はひ っかかるけれども、それ以下については困難だということでしたが、ある面では、牛肉 の安全を保つのに一番大事なのは、現時点では、全頭から特定危険部位の除去すること であって、それを補完するものとして検査があるということです。  結局、21月齢が見つかったというのは、全頭検査をやったからそれなりの成果があ ったわけです。しかし、約40万頭やって検出できなかったことも厳然たる事実であり ます。ですから、そこのところは検出限界であろうと。言い方はきつい言い方かもしれ ませんが、ある面では、やってもやらなくてもいいようなことをやっていたというのが 全頭検査の評価です。  では、今後どうするかですが、逆にリスクが大きくなるようなことをやってはいけま せんし、当然、減らさなければいけません。私も、ごあいさつのときに申し上げました けれども、リスクを減らすのは、一つは飼料の規制と検査、SRMの除去があります。 飼料規制は今以上に強化され、これによってリスクは今より下がってくるだろう。SR M除去は、ピッシングの問題などがありますが、これは徹底していくということで進め ることにより、少なくても今よりリスクは下がってくるだろうと。  では、検査の部分はどうかといったときに、今まで全頭検査をやっていましたけれど も、やってもやらなくてもリスクは変わらないということが今回の報告でした。全体と して、飼料規制、検査、特定危険部位の除去という三本柱を進めることによって、全体 にリスクを下げていく。ですから、確かに、20カ月齢以下のところを仮に緩和した ら、何だか後退したような感じではないかと皆さん方は思っていらしたと思います。確 かに、私もそういう感じは受けます。  しかしながら、検査については、はっきり申し上げて、やってもやらなくても、結 局、見つけられないところでやっていたのが事実でして、これについては、一度見直し てはどうかという意見が今回の報告書であろうと我々は受け取っています。  ただ、全体としてリスクを下げなければいけない。それは、飼料規制であり、検査で あり、SRMの除去の徹底というところで、全体としてのリスクは下がってくるという ことで進めていってはどうかと考えています。  ただ、おっしゃるように、消費者の方がどう考えるかということがあります。今、私 が申し上げたように、きちんとしたSRMの除去と検査月齢を見直すことをやったとき に、その肉のリスクについてはほとんど変わらないということを、いかに消費者あるい は国民に理解してもらうかということが必要です。そのためには、これからもこうした リスクコミュニケーションをいろいろな場所で開いてお話をしながら、理解を深める努 力をしていかなければいけないのかなという感じであります。ただ、漠然とした気持ち の悪さといいますか、それがあるのはわかります。(発言する者あり) ○広瀬  その前に、研究の話が出ていましたので、梅田補佐の方から研究の現状について…… (発言する者あり) ○広瀬  そこは疑問を残したままいっても……(発言する者あり) ○広瀬  質問していただいた方に対しては答えなければいけないと思っているので、そういう ふうにさせていただいております。(発言する者あり) ○広瀬  では、先に消費者の方にお願いします。 ○フロア  私は夕張の消費者の団体から来たものですが、今、私どもは、市民の皆さんにも全頭 検査が徹底していることを誇りとして今までやってきたのですけれども、今お話を聞く と、今度は全頭検査はしないという感じに聞こえますから、消費者の側としては、購入 するときにどこに目安を置いていいのかちょっと混乱します。やはり、安全というより も、安心して買えないという不安が残っています。  余り難しいことは私自身はわかりませんが、そういう意味では、大変、不安を隠せな いので、もう少し消費者にもわかるように、検査の結果なり何なりをきちんと報告をし てもらいたいと思います。  私は、急に資料が来てここに参加したのですけれども、新聞とかマスコミを聞いてい ると、輸入を促進するための手段でこういうものを開くのかなというような考えを持っ て参加しましたので、あえて発言をさせていただきました。 ○広瀬  ありがとうございました。  左の列の方、お願いします。 ○フロア  北海道食の自給ネットワークの大熊と申します。  たしか先月だったと思いますが、日本農業新聞の第1面に、検査方法についての記事 が載っておりました。異常プリオンを発見したということで、ノーベル賞を受賞したア メリカのカリフォルニア大学のプルシナー教授とセーファー教授の記事だったのですけ れども、非常に検出感度の高い検査方法を開発したという記事でした。  今までのご説明ですと、月齢20カ月以下の牛はなかなか検出が難しいというお話だ ったのですが、その検査方法ですと、月齢が非常に若い牛でも、あるいはもしかしたら 生きたままの牛からも検査が可能かもしれないと。そして、イギリスやドイツなどで は、民間企業で試験運用をする運びとなっているという記事が載っていました。  今までのご説明ですと、やはり、検査技術に限界があるので、20カ月以下がほとん ど不可能であるからやめるというご回答であったかと思いますが、こういった検査方法 が開発されて、数カ月後には、もしかしたら運用が可能かもしれないという見通しがあ る中で、どうしてここで線引きをしてしまうのかと思います。やはり、圧倒的に全頭検 査を続けてほしいという要望が国内でも高いですし、プルシナー教授もセーファー助教 授も日本は全頭検査を続けるべきであると。これからもわからないことを究明するため にも、安全確保のためにも続けるべきであるというご意見も出ているというふうに伺っ ていますが、その点に関してはいかがでしょうか。 ○広瀬  それでは、検査について室長からお願いします。 ○桑崎  検査法を改良することは非常に重要なことであるということは、先ほど申し上げまし た。それで、厚生省の研究班でも検査法の開発を行っています。  今の話はCDIのお話だと思います。先ほどもちょっとご説明しましたが、第1世代 のCDIは、既に実用化されていてヨーロッパでも認められていますが、感度は今まで のものとほぼ一緒です。農業新聞の話は、より感度の高い第2世代、第3世代の検査法 の開発だと思いますが、私が今知っている範囲では、まだ第2世代、第3世代は実用化 にはまだ遠いということだと理解しています。  ただ、いずれにしても、おっしゃっているとおり検査法の感度の改良ということは極 めて重要だということについては、我々も積極的に取り組んでいきたいと思っていま す。 ○姫田  きのう、神戸で同じ質問が出まして、プルシナー先生のお弟子でもあるプリオン専門 調査会の金子先生からお話がありましたが、まだ開発段階だと。科学というのは1人の 方ができたと言っても、ほかの人がきちんと検証しないと認められませんが、今、でき たかどうかということを科学者の間で検証しようとしている段階なので、まだ実用化に は相当時間がかかるというお話しでした。ですから、今すぐという話にはなかなかなら ないのではないかということでございます。 ○広瀬  また、会場の方から意見をいただきたいと思います。 ○フロア  北海道庁の農政部ですが、一言、要請方々お話をさせていただきたいと思います。  国内でBSEが発生して、今お話しのようにと畜場における全頭検査、SRMの除 去、肉骨粉の牛への規制、この3本柱を中心とする対策によって、BSE発生以降、国 内産の牛肉消費が落ち込んでいたものが回復してきたと。これは、基本的に、皆様が行 われてきた国内対策に対して、消費者の皆さんがきちんとした評価をして、信頼を得た 結果だというふうに北海道庁としても認識しております。  ですから、この見直しに当たっては、信頼をかち得たものの見直しをするわけですか ら、十分にリスクコミュニケーションをして、消費者の意見を十分に聞いて、また、そ ういう説明を十分にして、消費者を初め流通業者の方々が納得と理解をした上でこれら の見直しをされるようお願いを申し上げます。 ○広瀬  いろいろ意見をいただいておりますが、関係者の方で意見交換をするということが趣 旨なので、消費者の方、生産者の方にいただいたところですから、外食産業の方からも 少し意見をいただきたいと思いますが、どなたかご発言いただけますでしょうか。  では、奥の方と、こちらの方という順番でお願いします。 ○フロア  今のお話の前に手を挙げましたが、伝わらなかったので、一度、聞いていただきたい と思います。  上川町で肉牛を生産しています。  先ほどからお話を伺っていると、科学的見地から判断をして、その上で、これはやっ てもやらなくても意味がない、お金のかかることはやめたらいいというような感覚に聞 こえてくるのです。そうだとすると、当然、輸入再開に対してもそれがハードルとなっ て、アメリカがそれをクリアしてきたら入るというように受けました。  では、感染ルートは何ですか。そういうものを分析するときには、全部並べて、全部 がわかって答えが出るのですね。ルートははっきりしていなくて、それはまだ見つけら れない、多分、骨粉ではないかと。農水省、厚労省の通告がおくれて、国内で流通した のは確かです。そこまではわかっています。ただ、感染ルートが確定して、あの時期 の、あのメーカーの、あのえさです、これがルートだったから、今の状態で20カ月以 下はやらなくてもいいというのであれば納得がいきますが、それが出ていないのに、答 えが出たような感じで、科学的な見地からあけますというのはちょっと納得できないの です。お答え願いたい。 ○広瀬  それでは、先に今の質問が終わってから外食の方の意見を聞きたいと思います。  行政の方はいかがでしょうか。  では、釘田室長お願いします。 ○釘田  同じような話になって恐縮ですが、えさ規制の話は、あくまでも国内で病気をなくす 対策です。それに向けて、我々は最大限の努力をします。さらに、チェック体制の強化 といったことでやります。  それで、原因究明も非常に大事だと思っていまして、最大限に努力しますが、これは いろいろな制約でなかなか難しいです。ご期待されるように、ピンポイントでこれが原 因だったということを見つけ出すということは今後ともかなり難しいと思います。  そういう問題と、食肉の安全性をどういうふうに考えるかという問題は、一応、切り 離して考えることだと思います。確かに、病気をなくす努力は我々は一生懸命やります が、その一方で、肉が安全かどうかということは別な基準がまたあるのです。それは、 その牛がBSEにかかっているかどうか、あるいは、病原体が蓄積する部分をきちんと 排除できるかどうかという問題です。これをリンクさせたら、早い話が、国内の牛肉も 食べられなくなります。国内にはBSEがあります。しかしながら、きちんとした対策 をとって、我々は食べているわけです。ですから、BSEをなくす対策と検査の体制は 分けて考えましょうという議論だと思います。そこをごっちゃにしてしますと、何もで きなくなります。食べられなくなります。 ○フロア  だから、全頭検査なのではないですか。 ○釘田  全頭検査をやっても、技術的な限界があるということを安全委員会の報告書の中でお っしゃっていただいているわけです。 ○フロア  それは分けられないでしょう。生産と食とは流れは一緒ではないですか。生産者が生 産したものを消費者が消費するわけでしょう。それを切り離すことができますか。 ○広瀬  要するに、BSE感染牛がいても検査で見つかるところは見つけて排除して、見つけ られないものについては、SRMを除去することで安全を確保するというふうにおっし ゃっているのです。(「それはお役人の考え方でしょう。今ここに集まっている生産 者、消費者というのは……」と呼ぶ者あり) ○姫田  済みません。ここは大衆団交の場ではないので、手を挙げて順番にお話をお願いした いと思います。ここは、生産者大会でも何でもございません。リスクコミュニケーショ ンの場ですから、きちんとお話をしていきたいと思います。(「話し合いになっていな い」と呼ぶ者あり) ○広瀬  それでは、外食産業の方、ちょっとご発言いただければと思います。 ○フロア  焼き肉店に勤めております新田と申します。  見てのとおりの若輩者ですので、私の感じていることで、消費者として感じているこ と、また、BSEの国内の問題が起こったときに消費者に対して最前線で感じたことと いう点で少しお話しさせていただきます。  まず、私自身が消費者として考えていることは、食の安全、安心というのは本当に切 ってはならないものだと考えております。  では、何をもって安全・安心かというと、これは千差万別でいろいろな価値観の中で それぞれが構築する部分でありますが、私自身が食事をする際に、目の前の食べ物を安 心・安全かどうかと判断するときには、この食品がどのような検査を通ってきたかとい うところではなくて、どこでどのようにつくられたものが、どのように加工され、どう いう流通ルートでここにあるのかという方が個人的には気になります。  今、生産者の方も食肉のいろいろな流通業者の方も、道内の方はトレーサビリティ法 で本当に頑張っていらっしゃると思います。検査ももちろん大切だと思いますし、それ が安心・安全につながるのであれば、それをもっともっとアピールしていくのも確かに 必要だと思います。しかし、本当の消費者の一人として、履歴というものをもっとアピ ールしてもいいのではないかなと思います。  最終的に、国内BSEが発生したときに感じたのは、もう履歴を通り越した部分でし た。「おれの友達は酪農家だから、おれは焼き肉を食べるのだ。信頼しているのだ」。 その言葉がお客さんを焼肉店に運んだ原動力です。やはり信頼されるためにはどうする か、そのためには何が必要か、その根本を考えることが本当の食の安心・安全、また、 海外のいろいろな輸入作物との競争にも打ち勝てるのではないかと私自身は考えており ます。 ○広瀬  ありがとうございました。  ほかに同趣旨の意見の方がいらっしゃれば伺いたいと思いますが、いいですか。  そろそろお時間になりますので、恐縮ですが、1人1分くらいで5人くらいの方にご 発言いただいて、まとめに入りたいと思います。  ご意見のある方はいますか。  それでは、左の列の後ろの方と、真ん中の列の方の2名で終わりにしたいと思いま す。 ○フロア  清水町から来ました池田と申します。  3日のときもお尋ねしたのですけれども、そのときは、国の方は全頭検査を見直すと いう想定はしていないということでしたが、何か話を聞いているとも、もうそのように なっているみたいです。先ほど畜連の方がおしゃっていましたけれども、結局、そうな ると検査済みの肉と検査していない肉が並ぶということですね。  もうこれは聞いてもいいと思うのですけれども、そうすると、この前も、消費者の方 はほとんど検査済みを選ぶだろうと。では、生産者、流通はどうするか。そうすると、 自分でやるしかないということになろうかと思うのです。  府県によっては、岐阜とか、我が北海道もいち早く全頭検査を続けると言っています ので、財政的に非常に厳しいので大丈夫なのかなと思いますけれども力強いと思いま す。結局、そういうことを、国としてはどう考えるのかということをお聞きしたい。お 上の意向に逆らって各地でやるわけですから、あなたたちが好きにしなさいという形に なるのか、その辺の国の考え方をお聞かせ願いたいと思います。 ○フロア  先ほどの質問にちょっとお答えいただいていないのですが、明らかに発症した20カ 月齢の牛を検査して出ないのか、そのデータをお持ちかどうか、それだけをちょっとお 聞かせいただきたい。もし持っていなければ、その辺はもうちょっと慎重に考えてほし いと考えます。 ○広瀬  では、この2点ということで、まず、最初の方の検査した肉、しない肉についてと、 県でやることに対してどうお考えかということについてお願いします。 ○松本  今、安全委員会の報告が出て全頭検査の月齢をどうするかという話ですが、もし、2 0カ月齢以下の部分で検査対象が変わるのであれば自治体によっては独自に検査を続け るという話は承知しております。  厚生労働省といたしましては、安全委員会の意見を尊重しながら、また、東京、大 阪、神戸、北海道、あす熊本でやりますが、各方面のご意見を伺いながら、これから検 討しているというところであります。自治体の方のご意見についても十分伺っていきた いと思っています。  今、お尋ねがありました岐阜県のように、地方自治体が将来的に独自の対策をとられ ることについては、現時点では見解を述べることは適当でないと考えておりますので、 ご了承いただきたいと思います。  それから、20月齢のところのデータがあるかということについて申し上げますと、 今まで20月齢以下の牛については約40万頭やっておりますが、それについては全く ひっかかっていないというところが事実です。 ○フロア  そういう意味ではなくて、本当に感染がわかっている牛できちんとした結果があるの かどうか。 ○松本  それは、イギリスの感染した実験で、プリオンが検出するのは30月齢……。 ○桑崎  梅田さんから、この報告書に基づいて説明した方がわかりやすいかもしれません。 ○梅田  報告書の18ページの上の方を見ていただきますと、英国の発症事例で、今まで18 万頭出ていますが、その中で20カ月齢で発症した牛が確認されたというのがございま す。その4行目に、17カ月齢で感染性が検出され得ると。  ただ、これはあくまで推定でありまして、英国の中では、症例数も少ないのですが、 感染実験の結果で、発症する3カ月前であれば検出が可能であったということですけれ ども、そういう実験結果から推定すれば、もし一番若い20カ月齢の牛で検査をしてい たらという仮定で、17カ月齢であれば検出され得るという推定でございます。英国に おいても、これをやったという確証はございません。 ○広瀬  よろしいでしょうか。  では、最後に一言だけ、前から3列目の方。 ○フロア  北海道庁酪農畜産課の田辺です。  今、士別の池田さんが北海道で全頭検査をやるとかやらないという話をされましたけ れども、北海道は、まだ全頭検査をするかしないかというのは決めておりませんので、 誤解のないようにお願いします。 ○広瀬  今、後ろの方が手を挙げられていますので、その方を最後にして終了させていただき たいと思います。 ○フロア  私も酪農家です。  今までの話をじっと聞いていますと、みんなからいろいろと意見があったのですけれ ども、さっぱり聞いてもらっていない、ただ、押しつけではないかというように聞こえ るのです。  先日の新聞報道で、小泉さんとブッシュさんが牛肉の輸入の早期再開に向けて合意し たとかなんとかというのがありましたけれども、意見交換ではなくて、それに向けての 単なるパフォーマンスかなという気もします。そんなことにはしてほしくないなと感じ ていますので、よろしくお願いいたします。 ○広瀬  ありがとうございました。  一応、安全委員会の方で示された科学的事実をまず前提にした上で、そちらとこちら と意見交換をしたいというのが本来の趣旨でございますので、そこはご理解をいただけ ればと考えております。  それでは、司会の不手際で時間が延びまして申しわけございません。マイクを情報官 にお返しいたします。(発言する者あり)  済みません。会場の方から質問に答えていただいていないものがあるとクレームが来 ています。  要するに、米国の月齢の検査をどうしているかという部分ですね。 ○釘田  簡単に答えますが、米国では、と畜場において、30カ月齢以上のものを歯の生え方 で検査しています。乳歯が永久歯に生えかわる時期は、人間でも一緒ですが、ある程度 年齢と相関があるということです。アメリカの見分け方は、切歯が1列ずつ右左に生え て、2列目のどちらかが生えたものは30カ月を超えるとみなしています。これは、何 千というデータがございまして、もちろん6カ月くらいの幅があるのですが、一番遅く ても30カ月齢の前に生えかわるというデータがございますので、余裕を見て、生えて いれば30カ月は超えていると見ましょうということでみなしていると理解していま す。 ○広瀬  ありがとうございました。  それでは、マイクをお返しします。 ○司会  それでは、皆さん、お疲れさまでございました。  残念ながら、ここの場は酪農大会でも生産者大会でもございませんので、できるだけ いろいろな皆様方に、ぜひ静かな意見交換を進めていただきたいと思っておりまして、 我々は、何度もこういうリスクコミュニケーションを積極的に開催してまいりたいと思 います。また、北海道は一番集まりの悪いところでございまして、本日は250名を予 定していましたが、100名余りということで残念なことになっております。ぜひ、お 誘い合わせの上、またお越しいただければありがたいと思っております。   4.閉会 ○司会  それでは、最後になりましたが、お礼のあいさつを兼ねまして、農林水産省の審議官 の高橋から全体を通して一言申し上げます。 ○高橋  本当に長い時間、どうもありがとうございました。  途中いろいろなご意見が出ました。私も今月3日に来て、きょうは2回目でございま すけれども、北海道は日本でも酪農が大きいところでございますので、生産者の方々も いろいろなご意見があると思いますし、もちろん、消費者サイドのご意見もいろいろ伺 っております。  私ども、きょう、るる申し上げていますが、これまでBSEの国内対策をやってきて 3年ほどたつわけでありますが、その中で得られたこれまでの経験というものを考え て、現在、食品安全委員会からのご意見をいただいて、対策の見直しをやっているとこ ろでございます。このリスクコミュニケーションは全国でやっておりますけれども、皆 様方からいただいたご意見を受けて、また政府として、私どもと厚生労働省で対策につ いての検討を行っていきたいと思います。  きょうは、長時間、ありがとうございました。 ○司会  どうもありがとうございました。  まず、皆様方にお願いですが、お帰りの際にアンケートを回収いたしますので、ご協 力をお願いしたいと思います。  それから、お手元に、食の安全・安心トピックスというものを入れております。これ は、農林水産省、厚労省、3省から皆様方に、直接、情報をお届けするもので、ぜひご 加入をください。  それから、安全委員会から一言あります。 ○梅田  食品安全委員会でございます。  きょうは、ありがとうございました。  まだ言い足りない方がいると思いますけれども、今度は、10月8日金曜日に札幌プ リンスホテルの国際館パミールで、この中間取りまとめについてが中心でございますけ れども、意見交換会を予定しております。お申し込みはファクスで受け付けております ので、ぜひよろしくお願いいたします。 ○司会  どうもありがとうございました。                                      以上