04/09/21 平成16年9月21日「食品に関するリスクコミュニケーション(牛海綿状 脳症(BSE)対策に関する意見交換会)」議事録            食品に関するリスクコミュニケーション         (牛海綿状脳症状(BSE)対策に関する意見交換会)                   日時:平成16年9月21日(火) 13:30〜17:00                   場所:三田共用会議所 講堂 1.開会 2.あいさつ 3.議事  (1)牛海綿状脳症(BSE)対策の検討について    (1)日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について−中間取りまとめ−    (2)BSE根絶のための飼料規制について    (3)国産牛肉のBSE対策  (2)意見交換 4.閉会 ○広瀬課長補佐  それでは定刻となりましたので、意見交換会を始めさせていただきたいと思います。  本日は大変お忙しい中、御出席いただきましてありがとうございます。ただいまから 「食品に関するリスクコミュニケーション(牛海綿状脳症対策に関する意見交換会)」 を開催いたします。誠に申し訳ございませんが、本日は休憩の時間を設けておりません ので、休憩の必要な方は回りの方の迷惑にならないよう御退出いただき、適宜休憩をお とりいただきますようお願いいたします。  本日は厚生労働省と農林水産省の共催でございますが、両省を代表し、厚生労働省医 薬食品局食品安全部の外口部長からごあいさつ申し上げます。 ○外口部長  厚生労働省食品安全部長の外口でございます。BSE対策に関する意見交換会の開催 に当たりまして、一言ごあいさつ申し上げます。  我が国初のBSEの確認から約3年が経過いたしました。この間、死亡牛の1頭も含 めまして12頭のBSE感染牛が確認されましたが、人への感染を起こすリスクは現在の SRMの除去やBSEの検査によって効率的に排除されていると考えております。  BSE感染牛から人への感染リスクを排除していくための方策は、大きく分けて3つ あります。  1つ目は飼料、えさの管理であり、食物連鎖による感染を断ち切って新たな感染牛を つくらないことであります。この飼料の規制の方法が確実に行われれば、BSEの根絶 が可能となります。  2つ目は、BSE検査により感染牛を見つけて流通する前に排除することです。現 在、国内のスクリーニング検査で用いております方法は、実用化されている検査法の中 で最も感度の高いグループのものであります。  3つ目は、SRMの除去です。BSEに感染した牛の異常プリオンを除去することに よって、人への感染リスクをゼロに近付けていくことが可能となります。もちろん、こ れらの方法の一つひとつは感染リスクを完全に遮断できるような安全ネットではありま せんが、3つの方法を段階的に組み合わせることにより、3枚の安全ネットが我々を感 染リスクから守っているわけです。  この度、日本の現在のBSE対策について食品安全委員会に検証、評価をしていただ きました。3枚の安全ネットについて点検していただいたわけであります。厚生労働省 と農林水産省はこの食品安全委員会の検証、評価の結果に基づいて、今後の対策につい て現在、検討を進めているところであります。対策の案がまとまりましたら、改めて食 品安全委員会に諮問をして対策案の評価をしてもらいます。実際の対策が実行されるま でには、まだ幾つもの必要なプロセスがあります。このような過程の中で意見交換会を 何度も開催してまいります。  今回の意見交換会で事前にいただきました御意見にはさまざまなお考え、御指摘が期 待されております。ただ、意見は異なりましても、食の安全・安心を確保していくこと が重要であることについては、ここにおられるすべての方の共通認識であると思いま す。今日は、今後のBSE対策についていかにあるべきか意見交換をしていく中で、よ りよい方策、納得のいく方策を考えていきたいと思います。たとえ御自分と異なる考え の方がおられても、単に反論や説得だけをするのでなく、どうしてそう思われるのか、 相手の立場に立って考えていただくことも是非お願いしたいと思います。  また、今日発言する機会のない方も、是非アンケート用紙に忌憚のない御意見の記載 をお願いいたします。科学的根拠に基づきながら、皆の納得できる方向を目指していき たいと思います。  最後に、国内の対策の検証と輸入再開問題の関係であります。先月18日の意見交換会 の際にもちょうどこの会場で申し上げましたが、これらは別の話であります。今後の日 米協議についてはまだ未定でありますが、いずれにいたしましても国内と同等の安全性 が確保できる条件が提示された場合、改めて食品安全委員会で評価してもらう予定で す。  それでは、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○広瀬課長補佐  ありがとうございました。  それでは、議事に先立ちまして資料の確認をお願いいたします。お手元に議事次第と いう1枚紙をお配りしておりますが、資料の方は1番が「出席者名簿」。  資料2が「日本における牛海綿状脳症(BSE対策)について−中間とりまとめ− 」。  資料3が「BSE根絶のための飼料規制について」。  資料4が「国産牛肉のBSE対策」。  資料5が「事前意見の概要」でございます。  そのほか、参考資料として「日本における牛海綿状脳症(BSE)対策について−中 間とりまとめ−」、参考配布といたしまして「食の安全・安心トピックス」という資料 を入れております。特に不足等がございましたら、事務局もしくは受付の方にお申出い ただけますようお願いいたします。  それから、本日の参加者でございますが、まず会場の方につきましては募集により大 変多数の方に御参加いただいております。本日は広く御意見をいただくため参加者を公 募させていただきまして、数えた時点で220名の応募をいただいております。当初予定 しておりました250名の範囲内ということでしたので、応募いただいた方全員に参加い ただいております。また、当日参加のお申出のあった方にも参加いただいているところ でございます。参加者の御紹介につきましては、お手元の資料1の参加者名簿に代えさ せていただきたいと思いますので、御了承いただけますようお願いします。  なお、資料作成後に応募のありました方につきましては名前を掲載できませんでした ので、おわび申し上げます。  続きまして、本日の進行について説明いたします。本日は牛海綿状脳症(BSE)対 策に関する意見交換とさせていただきます。  まず、意見交換に先立ちまして村上評価課長より「日本における牛海綿状脳症(BS E)対策について−中間とりまとめ−」につきまして20分程度説明いただきます。続き まして「BSE根絶のための飼料規制について」、農林水産省の栗本課長から15分程 度、「国産牛肉のBSE対策について」、厚生労働省の南課長から30分程度説明いたし ます。  その後、生産から消費への流れに沿って意見交換をさせていただきたいと考えており ます。  なお、会場の都合上、午後4時30分には終了させていただきたいと思いますので、よ ろしくお願いいたします。  それでは、これから議事に入らせていただきたいと思います。まず「日本における牛 海綿状脳症(BSE)対策について−中間とりまとめ−」につきまして、内閣府食品安 全委員会事務局の村上評価課長、お願いいたします。 ○村上課長  ただいま御紹介にあずかりました村上でございます。食品安全委員会がとりまとめま した「日本における牛海綿状脳症対策について−中間とりまとめ−」という報告書の内 容につきまして御説明をさせていただきたいと思います。本日は今、皆様がごらんいた だいておりますスライドに基づいてさせていただきたいと思っております。  資料2に、実は当初御説明の資料として使おうと思っておりましたスライドの原稿が ございます。プリオン専門調査会の座長、副座長と御相談をする過程で、今スクリーン 上にごらんいただいているスライド原稿に修正をされましたので、内容は全く同じでご ざいますけれども、ごらんいただいているスクリーン上のスライドに基づいて御説明を させていただくことにしたいと思います。  ですから、現時点では皆様のお手元にはプリントとしては配布しておりませんけれど も、スクリーン上のスライドについては内閣府の食品安全委員会のホームページにいず れ掲載をする予定でございますので、その際はそれをごらんください。  それから、資料2は内容については全く同じものだと申し上げましたけれども、1枚 不適切なものが入っております。5ページの下のスライドで「国内で確認されたBSE の発生状況」という図があるのですけれども、熊本にしかドットが打っていないほとん ど白紙のものがあると思います。これは、実は日本地図があって、熊本で今回BSEが 発見されるまでに発見されております11例について全部点が打ってあるような絵が本来 ここにあったのですが、編集をしている間に絵が消えてしまったということでございま すので、そういう絵だということを御理解いただきたいと思います。 (スライド)  前置きが長くなりましたけれども、平成15年7月1日に食品安全委員会が発足いたし ましたが、それ以来、もともと食品安全委員会ができたのは日本国内におきますBSE の問題が非常に大きなきっかけとなったものですから、日本のBSE問題全般について 議論をしましょうということを第1回のプリオン専門調査会で御議論をいたしました。 プリオン専門調査会は、そういう意味で食品安全委員会の下に置かれます専門調査会の 最初にできたものでありまして、ほかの専門調査会はもっと後の10月辺りから発足して いますけれども、プリオン専門調査会は7月1日の本委員会発足後、2か月くらいで発 足をしたというものであります。  それ以降、各案件についていろいろ議論をいたしましたけれども、特に日本におけB SE対策について、6月1日の第10回から日本国内の管理措置その他について議論を非 常に熱心に続けてきていただいておりまして、9月6日にはその中間とりまとめの案に ついて議論をして、9月9日に本委員会で中間とりまとめを承認したということになっ ているわけであります。 (スライド)  中間とりまとめの取扱いですが、先ほど申しましたように9月6日の議論を踏まえて 座長、座長代理の指示の下に採集とりまとめをして、それを9月9日に審議を行って、 この9月9日の食品安全委員会に提出された中間とりまとめの案を原案どおり了承した ものであります。それで、9月6日の同日に広く公表をいたしますとともに、厚生労働 省及び農林水産省に対してこの中間とりまとめを通知しているところでございます。 (スライド)  中間とりまとめの構成はこういう内容になっておりまして、「はじめに」ということ で、これはプリフェイスですが、2として一体科学的に何がわかっていて何がわかって いないのか。BSE、こういうプリオン病については非常に若い学問でございましてわ かっていないことがたくさんございます。そういうことをきちんと整理をして、何がわ かっていて何がわかっていないかをきちんと書こう。3番目として、しからばそのわか っていない中で我々が一体どれくらいのリスクを負っているのかということを評価しよ う。4番目として、現時点での結論というような構成になっているわけでございます。 (スライド)  こういう御質問もよく受けるわけですが、なぜ今、中間とりまとめをつくったのかと いうことでございます。これは、1つは我が国初のBSEの確認から、先ほども厚労省 の外口部長からお話がありましたように3年経過をした。この時点で、やはりこれまで に得られた科学的データ、実際に全頭検査によって350万頭を超える牛についてのプリ オンの検査結果等の大きな科学的データがございますので、そういうようなものを踏ま え、それからプリオンの科学自体が国際的に非常に進んできている。どのようにプリオ ンが体の中で動いていくのか。どういう組織にあるのか。あるいは、種の壁をどの程度 見込めばいいのかというようなことのいろいろな論文が出てきておりますので、そうい うことを全部踏まえて感染リスクを見積もり、かつ今の管理措置によってどの程度それ が軽減されているのかということを議論しよう。それから、それに基づいて我が国のB SE対策はどうかということを検証しよう。ひいては、今後のBSE対策に活用しよう ということで中間とりまとめを作成したというものでございます。 (スライド)  先ほど申し上げましたように、とりまとめの視点といたしましては現在の科学的デー タの知見の整理。BSE、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病、これは両方ともプリオ ン病ということになっておりますけれども、こういうものについて今わかっていること は何か、わかっていないことは何かを明らかにしようというものであります。 (スライド)  それから、その他のエビデンスというか、わかっていることとしては、世界23か国で 今までに18万8,760頭のBSEの牛が発見されております。そのうちのほとんどはイギ リスにおいて発見されておりまして、そのほかの国ではアイルランドで1,426、フラン スで914等となっておりまして、日本では11頭、今では12頭になっておりますが、確認 されております。2001年の9月に1例目です。ここで何で11頭と書いてあるかと申しま すと、中間とりまとめができた段階では11頭でございましたので、中間とりまとめに書 いてある頭数としては11頭です。ここはこのように書いてございますが、現在では12頭 になっております。 (スライド)  2001年9月、これはまだ全頭検査を行う前ですけれども1例目が発見されまして、こ れによりまして日本における検査の体制、あるいは特定危険部位の除去の管理措置がき ちんと整備をされて、その後、と畜場での検査、350万頭以上になるわけですが、その 検査で9頭見つかり、それから死亡牛の検査で1頭見つかり、こういうふうな感じで11 頭が見つかったというものであります。 (スライド)  それから、もう一つの事実といたしましては、11頭見つかった中の8例目と9例目が 23か月齢と21か月齢という比較的若い牛において異常プリオンが見つかったということ であります。ただ、その異常プリオンのたんぱく質の量は、その他の例と比較しますと 500分の1とか1,000分の1という微量であったということがエビデンスであるわけであ ります。 (スライド)  これは、BSEの発症時の体内の感染化の分布で、これは皆さんよく御存じのように 頭と脊髄と背根神経節と、あるいは回腸遠位部というところにたくさんあって、こうい うところを足し合わせると99%くらいがこの赤いところにあるということです。 (スライド)  もう一つはvCJD、恐らくBSEのプリオンが原因で人間に発生をいたします同じ ような脳の病気で変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の略でございますけれども、その 患者の発生数を見ますと全世界で157人、ほとんど英国でありまして、フランスでは6 人、イタリアでは1人となっておりますが、星印にありますように英国滞在歴のある人 がほとんどということでありまして、フランスでは5人、英国滞在歴はないんだけれど も、あった方がおられる。イタリアの1人は英国滞在歴はない。ほかの人は皆、英国滞 在歴があるということであります。日本では、今までのところ英国滞在歴のある日本人 も含めて報告がないという現状でございます。 (スライド)  リスク評価をどういうふうにやるかということですが、日本ではまだ幸せなことにv CJDの患者さんは出ておりませんので、どの程度のリスクがあるのかは推定をするし かないわけであります。それで、我が国のBSE対策の評価をする上でイギリスは一番 たくさん出ておりますので、BSEの牛がたくさんいて、かつ人にもvCJDが見られ ているということから、英国での試算を元に日本における感染リスクを考えようという ことになります。  それから、BSE対策の前後あるいは今後対策を変更した場合に分けて、どの程度リ スクが変わるのかということを検討する。それから、リスク管理についての実施状況を 検証しよう。検査データの知見を整理しよう。こういうようなことを基本的な考え方と して今回の中間とりまとめを行ったわけであります。 (スライド)  ですから、現在はいろいろ管理措置が行われて、相当セーフティネットを何重にも張 られている状況の中で我々は食生活を送っているわけでありますけれども、全頭検査と か、そういう管理措置が全く行われていなかった時代にもBSEに感染した牛がいただ ろうと想定されます。イギリスもそうですが、今はきちんと管理されているんですけれ ども、昔、管理されないときに食べてしまった牛肉によってリスクがあるということを 計算をしておりまして、我が国においても管理措置がきちんとできる前に食べてしまっ た牛によるリスクというものを推定をしなくてはならないわけであります。  先ほど申しましたように、日本ではもともと患者がおりませんので、英国における推 定から単純比例計算でやってみよう。それから、遺伝的要因というのはイギリスにおけ るvCJDにかかった患者さんの遺伝的要因が限られたタイプの人に集中しているとい うようなことから、そういう補正も行って考えてみようということでございました。 (スライド)  結果だけを申しますと、英国ではBSEの感染のうち約100万頭、先ほど18万頭と申 しましたが、あれはつかまえられた数でありまして、それ以前に検査をせずに感染した 牛を食べてしまった数がこれくらいいるだろうと推定されているわけであります。  英国の海綿状脳症諮問委員会においては、イギリスにおいて昔、食べてしまった牛に よってどれぐらい患者が出るのかという推計をしておりまして、これは非常に悲観的な というか、最悪の場合を想定した数字でございますけれども、現在は150人弱しかおり ませんから、これが急速に増えていくような悲惨な状況を仮定して最大5,000人という 見積もりです。これは相当大きく見積もった数字であります。このイギリスの数字を元 に日本における推定値を出しますと、かつて食べてしまったイギリス人の感染牛という のは大体5から35頭で、日本において昔、食べてしまったBSE牛が原因として、今後 出てくる患者の数としては0.1から0.9と推定をされているわけであります。  この黄色のところの値は、現在はBSE対策がきちんと行われているので、これは過 去に食べてしまったものに対する数字ですから、今、食べている牛肉からのリスクとい うことを計算すると、これより更に低いものである。だから、現状は安全性は確実に保 障されているだろうということでございます。 (スライド)  これは、後ほど厚生労働省さんあるいは農林水産省さんから御説明があると思います けれども、こんなふうに発生国からの食肉は入ってこないようにしてある。肉骨粉につ いても輸入は禁止。それから、日本国内でも牛の個体管理、死亡牛検査等をきちんとし て、飼料もきちんと管理して交差汚染が防止されて、飼料工場と製造工場の間の肉骨粉 の流入は禁止ということで、このサイクルはきちんとここで遮断されているというのが この絵でございます。これは後で管理の方々から話があると思います。 (スライド)  これは今、申し上げた管理措置でリスクがどういうふうに低減されているかというこ とですが、これも先ほど申し上げましたようにBSE対策の中でSRMの除去、BSE の検査の2つによって直接的にBSE感染リスクが低減されているだろうということで ございます。  それからもう一つは、飼料管理規制を行うことによってBSE根絶のための対策が講 じられているということであります。今後、トレーサビリティはもう始まっております けれども、こういうようなもの、あるいはリスク牛の検査、これらをきちんとやること によってBSEの根絶をすることができるだろうということでございます。 (スライド)  もう一つ大きな議論と申しますか、社会的に大きな関心を呼んだ部分は検査の限界と いうことでございます。現在のと畜場において行われていますBSE検査については、 BSE感染牛を排除する、それからBSE汚染の程度を把握するとともに有効性につい て検証する。この2つの理由から非常に大きな意義があるということでございます。 (スライド)  しかしながら、検査の限界がある。微量のプリオンについては検出できないという限 界があるということは明らかであります。ただ、英国における感染実験あるいは牛に経 口投与をいたしまして、その後、何か月か置きに実際にと殺をして検査をしたというよ うなテストがあるわけですが、大体経口投与を開始してから32か月後に検出限界以上の 異常プリオンたんぱく質が蓄積したというようなレポートがございました。  それからもう一つは、日本のと畜場における350万頭の牛の検査で感染牛が見つかっ ておりますけれども、そのうち若齢牛2例、21、23か月齢というものが見つかっている ということでございます。ただ、異常プリオンたんぱく質の量は微量だったということ でございます。これらのことを考えて、今の日本の汚染の状況の中では20か月齢以下の 感染牛を現在の検査で発見することは困難であると考えられるということでございま す。  ただ、これは英国のように非常に高濃度の汚染のある国では20か月齢で既に発症して しまう牛が発見されておりまして、高濃度の汚染のある状況ではこういうこともあり得 るということでありますが、これは直ちに日本のBSE対策というところでは当てはま らないという考えでございます。 (スライド)  もう一つの重要なリスク管理措置はSRMの除去ということでありまして、先ほど牛 の絵がありましたけれども、SRMにプリオンたんぱく質の99%以上が集中していると いうことなので、これをきちんとできればリスクのほとんどは低減できるだろうという ことですが、ただ、と畜処理工程における脊髄の残存の可能性あるいは飛び散った脊髄 が食肉の方に付着するという可能性等もあって、常にSRM除去が完全に行われている と考えるのは現実的ではないのではないかという指摘がございました。  それから、もう一つの可能性としては、今SRMとされている組織以外に異常プリオ ンたんぱく質がどこかにあるということがあるのかどうかは現時点では特定的に言えな いということであります。こういうことから考えて、SRMの除去は非常に有効な手段 で、きちんとやるということが非常に重要だけれども、検査もまた重要だということで ございます。 (スライド)  リスクの低減としては、議論の中では背割りをすることによって枝肉汚染、あるいは ピッシングによって神経組織が移行するというようなことで、ピッシングの扱いについ て検討する必要があるというような御指摘もございましたし、スタンガンの取扱いにつ いての御指摘もございました。 (スライド)  管理措置オプションによるリスクの増減ということでありますが、これは現在の2段 階SRM除去、BSE検査というのはリスク低減に大きく貢献しているということで、 SRMの除去は維持されるべきだ。ただし、検査の方では、現在の技術における検出限 界以下の牛を検査対象から除外してもリスクが高まることはないだろうということであ りますが、検出限界と月齢については直結する知見は明らかではない。ただし、先ほど 申し上げたように我が国の350万頭の検査によっては21か月齢以上の牛は検出されてい るという意味で検出できる可能性がある。  一方で、10か月齢以下は見つかっていない。かつ、21か月齢以上の牛について発見し たプリオンの量は非常に少ないというようなことは指摘されているわけであります。  以上、非常に早足で中間とりまとめの内容を御紹介いたしましたけれども、今、申し 上げたようなことがプリオン専門調査会において御議論いただいた内容でございます。 いずれにしても中間とりまとめの内容をお読みいただきますと、非常にたくさんのこと がまだ未解明な科学の分野であるということがおわかりいただけるだろうと思います。 その中で我が国の専門家が現時点での最も中立な考えとしてこういうようなとりまとめ を行ったということは意義のあることだと考えているということでございます。ありが とうございました。 ○広瀬課長補佐  ありがとうございました。  それでは、続きまして「BSE根絶のための飼料規制について」、農林水産省の栗本 課長から説明をお願いいたします。 ○栗本課長  御紹介いただきました農林水産省の栗本でございます。どうぞよろしくお願いいたし ます。  今からちょうど3年と少し前になりますけれども、平成13年9月10日に我が国で初め てBSEの牛が確認されました。それ以降、BSEという牛がプリオンを口にすること によってかかるとされるこの病気の根絶に向けまして飼料、えさの規制を強化してまい りました。先ほど御説明がありましたように、今月の9日に食品安全委員会から我が国 のBSE対策についての検証の中間とりまとめがなされました。この中で、飼料の規制 につきましてはチェックを引き続き行うことが重要とされております。これを受けまし て、飼料の安全性を更に高めるためにどのような取り組みを行ったらよいのか、現時点 で考えておりますことを御説明させていただきたいと思います。 (スライド)  御承知のとおり、BSEという病気は1986年11月に英国で初めて確認されておりま す。異常プリオンたんぱくを含む肉骨粉の牛への投与が原因となって、英国では先ほど もスライドで示されておりましたが、牛から牛への感染のサイクルに入ってしまって爆 発的に増え、これまでに18万頭以上発生しております。  日本では今月の13日に1頭確認されまして、全部で12頭になっております。これらの 牛たちも、どこかで何らかの形で異常プリオンたんぱくを口にしてしまっていたという ことになります。 (スライド)  その原因についてでございますけれども、BSEという病気は2年から8年と非常に 長い潜伏期間を持っております。原因究明につきましては、8年前までさかのぼって調 べるということが必要になってまいりまして大変難しいわけですけれども、獣医疫学や 感染症の専門家の方々によりますBSE疫学検討チームによって詳しく御検討をいただ きました。そして15年の9月、昨年の9月に報告書をとりまとめていただいております が、肉骨粉は意図的に給与されたものではないということから、飼料の幅広い原料につ いてあらゆる可能性を御検討いただきました結果、ここにございますように、牛の飼料 への製造、輸送の段階で肉骨粉の意図しない混入、これを交差汚染とかクロスコンタミ と言っておりますが、これが原因となった可能性があるとされております。BSEの発 生防止対策としまして、飼料の規制というものが極めて重要であるということが確認さ れたところでございます。(スライド)  これは、先ほども似たようなものが示されておりましたけれども、BSEの発生サイ クルとその遮断についての絵でございます。ここのところに飼料がございます。これが 牛の口に入るまでの間、プリオンに汚染されていないきれいな飼料が供給されなければ ならないわけでございまして、このことが根本的な解決策であると考えております。  そのために、まず輸入につきましては肉骨粉のような汚染の原因となる可能性のある ものについてはすべて輸入を止めて海外からは入ってこないようにしております。それ から、牛はと畜場へいきまして食肉になります。食べられない部分は肉骨粉になるわけ ですけれども、肉骨粉は現在すべて焼却処分をしておりまして、これが飼料工場の方に 行くことはないようにしております。更に、生きた牛ですとか肉になった形での食肉に つきましても発生国からの輸入はすべて止めております。  英国では、先ほど御説明をしましたここのところの感染サイクル、ここに感染牛が入 って病気が拡大してしまったわけですけれども、日本では平成13年の10月以降、ここと ここの2か所でしっかりと遮断をしておりまして、現在遮断をする前に既に感染してし まった牛がいるかもしれないわけですが、それは世代交代によってだんだんいなくなっ ていくということでございます。  それから、2つ前のスライドでごらんいただきましたけれども、我が国のBSE感染 は肉骨粉の給与ではなくて交差汚染によるものだと考えられております。こういったこ とも念頭に、2つの手法からなるフィードバン、飼料規制を実施しております。  1つ目は、BSEの感染源となり得るものの牛用の飼料への利用、原料の規制です。 肉骨粉あるいは肉骨粉が混ざっていてもわかりにくいような魚粉、あるいはわずかに動 物性たんぱくが混入する可能性があるような動物性油脂などにつきましては牛用飼料へ の利用を法的に禁止しております。  そしてもう一つ、これは交差汚染防止の徹底でございまして、牛用飼料とその他の飼 料の分離で、牛用の飼料とその他豚や鶏、魚用の飼料といったものの取扱いを原料の輸 入の段階から製造、保管、輸送、販売、使用の各段階で分離して専用化するというもの です。 (スライド)  恐れ入りますが、お手元の資料3をごらんいただいている方はちょっとページがずれ ているかもしれません。これはお手元の資料ですと5ページ目の上の絵になります。こ れにつきましては今、申し上げました1点目の飼料原料の規制についてお示ししたもの でございまして、BSEの原因とされます肉骨粉、それから油脂を精製するときに出て まいります獣脂かす、こういったものにつきましては牛用の飼料だけではなくて、豚や 鶏などのえさにも使うことを認めておりません。これは交差汚染を防止するという観点 から、ほかの畜種へのえさへの使用も認めていないということでございます。  それから、ここのところを見ていただきたいのですけれども、チキンミール、フェザ ーミール、これは鶏由来のものですし、動物性の油脂というのは脂なのでそれ自体は原 因とはならないわけですけれども、万が一、交差汚染があったような場合のことも考慮 しまして、これらは牛用の飼料用には利用を認めておりません。 (スライド)  これが、2つ目の交差汚染防止対策でございます。お手元の資料ですと5ページ目の 下のところになろうかと思います。これは、分離と専用化についてまとめた絵でござい ますけれども、製造ラインを専用化するという方法といたしましては、まず工場そのも のを専用化してしまう。牛専用工場としてしまうこともあるわけですが、工場内の製造 ラインを専用化して牛用のラインというものを別に設けるというやり方もあります。こ の絵はそれをお示ししているものでございます。牛用の入り口を専用化しまして、製造 施設、保管の部分ですとか包装工程、出荷の施設、これをすべて専用化しております。 ここでは赤い線になっておりますけれども、隔壁を設けまして、その他の飼料としっか りと分けているというものでございます。そして、ここまで入ってくる間、あるいはこ こから製品として飼料が出ていった後、牛の口に入るまでの間、ここについてもしっか りとした分離をしてもらうということにしております。  この取扱いについては、昨年までに配合飼料工場の半分以上のところで既に分離の措 置が終わっておりまして、今年度末までにはすべての工場で専用化していただくことに しております。 (スライド)  お手元の資料ですと、これは3ページの下のところに入っていると思います。順序が 前後しておりまして申し訳ございません。今、御説明させていただきました飼料の規制 につきまして、食品安全委員会の中間とりまとめでは、ここでごらんいただきたいと思 うのですが、BSE対策として現在行われている飼料規制により、BSE発生のリスク は極めて小さいものと考えられるが、若齢のBSEが確認されていることも踏まえ、飼 料規制の実効性が保障されるよう、行政当局によるチェックを引き続き行うことが重要 であるとされております。 (スライド)  実効性の保障のためのチェックにつきましてお考えいただく前に、そもそも牛は何を 食べているのかということをごらんいただきたいと思います。日本には乳を絞る乳牛 と、それから肉牛とおります。それから子牛や親牛、いろいろな大きさの牛がいます。 それから、地域などによっても与えられている飼料というのはさまざまなんですけれど も、この円グラフは日本の乳用牛、乳牛が平均的に何を食べているかということをカロ リーベースでお示ししたものでございます。右側の約半分は乾牧草、わらの類、草、粗 飼料でございます。それから、紫色の部分はトウモロコシや麦などを国内で混ぜ合わせ た配合飼料で、これが約4割を占めております。そのほか、大豆かす、菜種かすなどの 植物性の油かす、それから混ぜないで使う穀物、穀類など、そんなものが与えられてお ります。 (スライド)  これは、飼料規制の実効性の確認、検査の現状をお示ししております。まず我が国は トウモロコシ、大豆かすなど、飼料の原料のかなりの部分を輸入に依存しております。 飼料全体ですと約4分の3、先ほどごらんいただきました円グラフの左半分のところに 当たる濃厚飼料に限りますと、約9割を海外に依存しております。  肉骨粉は平成13年10月15日以降、輸入を法的に禁止しております。それから、魚粉に つきましても牛用に使用することを禁止しておりますけれども、交差汚染防止のために 動物検疫所が検査を実施しております。  それから、配合飼料工場には肥飼料検査所が立ち入り検査を実施しております。そし て、国内でできる肉骨粉、これは現在すべて焼却処分されております。そして、飼料の 卸売をする卸売販売店、生産農場、農家に対しましては、都道府県が検査や指導に立ち 入って不適正な飼料の保管や使用がないことを確認しております。このような現状であ るわけですけれども、更に強化した方がいいことがないかどうか検討をいたしました。 (スライド)  そして、飼料の輸入の段階、販売の段階、使用、それぞれの段階での対策、3つの強 化対策を考えております。これは、お手元の資料ですと6ページになると思います。  まず1点目でございますけれども、輸入の段階での対策でございます。輸入業者には 業者届を出していただくように義務付けておりますけれども、現在届出に際しまして複 数の原料があらかじめ混合されているような飼料、これが輸入飼料全体の0.5%程度あ るわけですけれども、こういうものにつきまして原材料の全部を届け出ていただくよう な仕組みにはなっておりません。これを今後、原材料の全部を届け出ていただくような 形に義務づけさせていただきまして、肥飼料検査所が行っております検査を重点的に行 えるような仕組みをつくる方向で検討をしていきたいと考えております。これが1点目 でございます。 (スライド)  次に販売段階での対策でございますが、販売業者に対しましても業者届を出していた だくようにしております。ただ、現在は卸売業者から届出をいただいておりますけれど も、主に袋詰めになっているような飼料を販売しておられる小売業者の届出は求めてい ないところでございます。今後、小売業者の方に対しましても届出をいただけるように 義務付けて、飼料の貯蔵が適切に行われているかどうか、交差汚染が生じていないとい うことを都道府県の検査員による検査指導によってチェックできる仕組みをつくる方向 で検討していきたいと考えております。  それからもう一点は使用の段階、農家の段階での対応でございます。牛を飼っておら れる農家、ここには都道府県の担当官が監視指導に回ってくれています。ただ、乳牛と 肉牛を合わせまして全国に約13万戸の飼養農家がございます。ですから、十分にこれが 行き届いているかどうかという懸念がございます。  そこで、都道府県だけではなくて、国の組織であります地方農政局などからも農家の 方々に、規制について忘れてしまったり、気を緩めたりしないように周知徹底を図って いくということ。それから、都道府県とうまく役割分担をして連携を強化していくこと で、農家における飼料の誤用や流用の防止を徹底していきたい。こんなことを検討して まいりたいと考えております。  以上、申し上げました3点をまとめてみますと、まず輸入の段階です。ここでは輸入 の業者届の届出制度を強化いたしまして、肥飼料検査所による検査が重点的に行えるよ うにしてまいりたいと思います。それから、流通段階につきましては小売店につきまし ても届出を出していただくということを義務付けまして、都道府県による監視指導を強 化できるようにしたいと思います。  それから、農家段階につきましては都道府県だけではなくて、国の機関であります地 方農政局と都道府県が連携をして誤用や流用の防止を更に徹底してまいりたいと考えて おります。  このように、チェックを強化徹底して飼料の規制の実効性を保障できるようにしてい きたいと考えております。そして、BSEという嫌な病気から日本の牛たちを守りた い。そして、二度と新たに感染させないようにしっかりとした対応をしていきたいと考 えております。また、飼料の規制の強化前に既に感染してしまった牛たちが今も飼われ ている可能性があるわけでございます。 (スライド) こういった牛につきましては、順次世代交代をしていなくなっていくわけですけれど も、農場の段階での検査、サーベイランスも引き続き徹底をして行っていきまして、国 内におけるBSEの広がり状況を正確に確認していきたいと思っております。日本から BSEという牛の病気を根絶してしまう、なくしてしまうことを目指して、またそのこ とをしっかりと確認できるように対応してまいりたいと考えております。以上でござい ます。ありがとうございました。 ○広瀬課長補佐  ありがとうございました。  続きまして「国産牛肉のBSE対策について」、厚生労働省の南課長から説明いたし ます。 ○南課長  厚生労働省監視安全課長の南でございます。資料4に基づきまして、国産牛肉のBS E対策、厚生労働省が担当しますリスク管理について御説明をいたします。 (スライド)  BSE問題の概要図でございますが、BSE対策としては2つ柱がございます。1つ 目は、牛がと殺・解体されますと畜場においてBSEの検査をする。2つ目は、と畜場 及び牛肉が分割・細切されます食肉処理場においてSRMを除去し、このSRMを焼却 することによってBSEの感染拡大サイクルを遮断するということ。それから、食肉の 安全確保による人の感染防止を図るということでございます。また、輸入牛肉について も国産肉と同等の安全確保を求めているということでございます。 (スライド)  これは、我が国で初めて国産牛にBSEが確認されたことに伴います対策でございま す。平成13年10月18日よりいわゆる全頭検査、それからSRMの除去焼却を義務付けた わけでございます。また、平成16年2月16日から脊柱をSRMに追加したということで ございます。この脊柱は骨の部分で中が空洞になった筒状のものでございまして、その 中に脊髄が収まっているということでございます。この脊髄のほかに、脊柱の骨の部分 の中にあります背根神経節がBSE感染性があるということがわかりまして、脊柱につ きましてもBSE発生国産のものについては、食品としての使用を禁止をしているとい うことでございます。 (スライド)  これは、と畜場におけるBSEの対策フローでございますが、まずすべての牛のSR Mが除去、焼却されます。次いで、頭部から取り出しました延髄を材料としましてスク リーニング検査が実施をされます。それで、スクリーニング検査で陰性と判断された以 外のものはすべて確認検査が行われます。確認検査はウエスタンブロット法と免疫組織 化学検査の2つの異なる方法で実施され、両方とも陰性でない限り、この牛は焼却され るということになっています。 (スライド)  これは都道府県等の食肉検査衛生体制でございますが、本年の3月末現在で2,152名 の獣医師の資格を持ちますと畜検査員が食肉衛生検査所などに配置をされ、検査を実施 しているということでございます。 (スライド)  これは、先ほど説明がありました。 (スライド)  これも、先ほど説明がありましたので省略いたします。 (スライド)  これは日本、アメリカ、EUにおきますSRMの範囲でございます。まず、のどの奥 にある扁桃と腸については各国とも全月齢についてSRMとしておりまして、部位では 日本は実験等で感染が認められている回腸遠位部を部位としています。それから、アメ リカとEUにつきましては腸を食べる習慣がないということもありまして、アメリカは 小腸、EUは腸全体、それから腸間膜についてもこれを除去することになっておりま す。  それから頭部、脊髄、脊柱、中枢神経系がある部分につきましては日本は全月齢、ア メリカは30か月齢以上である。アメリカは、イギリスにおける感染実験で30か月齢未満 では感染性が認められなかった。それから、イギリスにおけます発症牛の疫学調査によ りまして、極めてまれな確率でしか30か月齢未満では出てこない。それから、自国で発 見されたのはカナダから輸入されたものだということで、30か月齢以上で十分であると いう主張をしているわけです。EUは12か月齢以上としております。 (スライド)  SRMの種類でございますが、これは牛の頭の部分です。逆様になっていますが、こ こに目があります。これが歯でございまして、これは下あごです。頭部全体がSRMで ございますけれども、舌とほほ肉は除かれております。  それから、この部分が脊髄で回りが骨になっていまして、この部分とこの部分に背根 神経節があります。いわゆる骨の中にあります。これが回腸遠位部でございます。これ が脊柱で、既に半分に割られて肉が分離されている状態でございます。回腸遠位部でご ざいますけれども、牛の小腸は50 mから60 mあると言われております。 (スライド)  SRM除去の現状でございますが、SRMの除去の方法につきましては特定部位の管 理要領その他、通知等で示しております。また、基準でもございます。  まず、SRMは除去されたものは専用の容器に保管するということが決められており ます。また、SRMの除去に使用した機械器具類を洗浄消毒することになっておりま す。そして、除去され、専用の容器に納められたSRMについては、と畜検査員による 確認の下に焼却がされます。また、除去についてもと畜検査員による確認がなされま す。  頭部でございますが、先ほど説明いたしましたように舌とほほ肉は除きまして全体が SRMとしております。また、舌は扁桃に接触しないように除去することが義務付けら れております。  脊髄でございますが、背割り前の脊髄の除去の指導をしているわけでございます。こ の背割りと申しますのは、牛の解体の過程で牛のと体を電動ノコギリで脊柱に沿って縦 に二分をいたします。そうしますと、その脊柱に保護されていた脊髄が露出をするとい うことでございますので、露出した脊髄はその場で除去をして、その後、金具等を使い まして丁寧に取るという作業が従前は行われていたということでございます。  その2つになったと体、枝肉といいますけれども、枝肉は高圧水で洗浄されます。そ して、その後、検査官が脊髄が付着していないかを確認をするということでございま す。そういった従来の方法を用いましても脊髄の除去というのはできるということでご ざいますが、予防的な観点から背割りの前に脊髄をあらかじめ吸引装置で大部分取って しまうということを指導しているわけでございます。  それから、脊柱は枝肉からロースとかひれ肉を分割するわけでございますが、その際 に脊柱の中にある背根神経節が肉の方に出てこないように適切な作業をすることが定め られております。  それから回腸遠位部でございますが、盲腸から安全率を見込んで2 mを除去するとい うことになっております。 (スライド)  上の左ですが、牛の頭の部分です。と殺は、まずスタンガンというもので牛のおでこ に穴を空けて失神をさせます。その後、と畜場によってはワイヤーをその穴から入れま して脳組織を破壊をする。これがピッシングでございます。EUでは、ピッシングによ り脳組織の体内への拡散のおそれもあるということで中止をしておりますし、また米国 では一部の関係者から聞いたところでは動物愛護の観点からピッシングは行われていな いということでございました。いずれにしても、この問題はと畜作業をされる従事者の 安全確保とも関係する問題でございますので、関係者の理解を求めながら中止するよう 指導しているところであります。  これが、背割りの前に吸引機を使って脊髄を吸引しているところです。  これは、背割りです。電動ノコギリで縦に切ります。のこくずが飛ぶということです が、脊髄は柔らかい組織でございますので、これで飛び散るということはほとんどない わけでございます。髄液は飛びますけれども、感染性を持つ脊髄は軟組織であるという ことです。(スライド)  これは、背割りで出てきたのこくずを回収をする。  それから、ここは背割りした後に硬膜等がまだくっ付いていますので、硬膜や残った 脊髄をきれいに金具を使って丁寧に取る。  その後、高圧水で洗浄しますが、枝肉洗浄水からののこくず片等ををここで回収をす るということでございます。 (スライド)  左の絵は、洗浄後、枝肉に脊髄片が付着していないかを確認しているところです。右 は、SRMの除去に使った器具、長靴等を専用の容器に保管するといった場所です。 (スライド)  これは、食品安全委員会の報告書にあります検証結果を受けて、今後の施策の検討の 方向でございますが、引き続き全月齢からのSRMの除去を行っていく方向で検討をし ております。 (スライド)  更に適正なSRM除去、交差汚染防止をしっかりとやるために、と畜場におけるSR M除去状況の定期的な検証、それからSRMによる枝肉等の汚染防止措置の評価方法の 研究開発を行う方向で検討をしているところでございます。 (スライド)  次は、検査体制でございます。日本は検査の目的として公衆衛生上、衛生上の観点か らも食肉検査ということで、対象としては健康な牛、リスク牛をすべて行っているとこ ろでございます。アメリカにおきましては、検査の目的がBSEの広がりを見るための 検査だ、サーベイランスだということでございまして、対象としましても健康牛は30か 月齢以上のものは2万頭、そしてリスク牛についてはと畜場以外の場所でのサンプリン グを含めて20万頭から27万頭を1年から1年半かけて検査をするということでございま す。  EUですが、EUはサーベイランスと食肉検査の両方の観点から行っておりまして、 健康牛は30か月齢以上、リスク牛は24か月齢以上を検査をしているということでござい ます。 (スライド)  我が国でBSEの全頭検査が開始された背景でございますが、平成13年10月当時は牛 の月齢を正確に確認することができなかった。それから、国内初のBSE感染牛が発見 された直後で、検査をした肉と、していない肉が流通すること自体への強い不安があっ た。こういったことがあって全頭検査が開始をされたということでございます。 (スライド)  これは、先ほど説明しましたので省略します。 (スライド)  と畜場におけるBSEの検査です。左の上は、スプーンみたいなものを使って頭部か ら延髄を取り出しているところです。それから、左の下がキットを使って検査をしてい るところです。右は検査員がゴーグルとマスクを着用して、かつ安全キャビネットの中 でこの検査の操作をやっているところです。 (スライド)  BSE簡易検査キットでございますが、EUにおいて評価されているBSEの簡易検 査キットは4つございまして、プリオニクス、プラテリア、エンファー、CDIという ことでございます。このCDIはプリオン病の研究でノーベル賞を取られたアメリカの プルッシュナー博士のグループが開発したものでありまして、感度はほかの3つとほぼ 同等だということで評価をされております。日本におけます使用可能な簡易検査キット はこの3つでございまして、プラテリア、エンファー、フレライザBSEでございまし た。フレライザBSEが国民のものでございまして、最も多く使われているものはプラ テリアでございます。 (スライド)  BSE確認検査の陽性事例の画像です。ウエスタンブロットの画像ですが、BSE感 染牛では3つの異なる分子量、一番上が一番大きくてだんだん小さくなっていきます。 3本のバンドが、これはスタンダードですが、真ん中の辺りが検体です。このスタンダ ードと同じ位置に出てくるということでございます。  右が免疫組織化学検査の画像です。茶褐色に染色された部分が異常プリオンたんぱく 質でございます。 (スライド)  と畜場におけるBSE検査のこれまでの結果でございます。今年の9月11日までに359 万1,788頭の牛が検査をされ、そのうち10頭がBSEと確認をされています。 (スライド)  これは、BSEと診断された牛の確認年月日、出生年月日等でございます。すべてホ ルスタイン種でございます。また、1頭目と11頭目を除いて、すべてと畜場における検 査でBSEが確認をされています。8頭目と9頭目が若い牛ということでございます。 (スライド)  BSE感染牛の出生年度分布でございます。縦軸が頭数、横軸が出生年度でございま した。この部分でございますが、平成7年12月5日から平成8年4月8日の約4か月の 間に生まれた牛が9頭です。 (スライド)  先ほどのグループはここにいます。 (スライド)  これは、食品安全委員会の報告書で指摘されています検証結果でございます。この部 分でございます。21か月齢以上の牛については現在の検査法により、BSEプリオンの 存在が確認される可能性があるといったことが指摘をされております。 (スライド)  また、次のことは今後の我が国のBSE対策を検討する上で十分考慮に入れるべき事 実であるということで、1つは21か月齢、23か月齢で発見された2頭のBSE感染牛に おける延髄かんぬき部に含まれる異常プリオンたんぱく質の量が、ウエスタンブロッド で調べた結果では他の感染牛と比較して500分の1から1,000分の1と微量であった。ま た、我が国における約350万頭に及ぶ検査により、20か月齢以下のBSE感染牛を確認 することはできなかったといったことが指摘をされておりました。 (スライド)  これもBSEに関する調査研究でございますが、厚生労働科学研究、食品安全確保研 究事業におきまして、プリオンの高感度・迅速検査法の開発、BSEに関する感染牛由 来材料及び実験動物を用いた感染及び発症機構の検討、それからと畜時の食肉汚染防止 法の検討を実施をしているといったことでございます。 (スライド)  このBSEに関する調査研究の課題でございますが、食品安全委員会の報告書に指摘 があるわけでございます。検査法については検出限界の改善や、牛の生体から採取した 組織、血液を用いた生前検査法の開発も研究が進められるべきということでございまし て、厚生労働科学研究事業を推進する。特に高感度・迅速検査法の研究開発、BSEの 感染メカニズムの解明などを実施する方向で検討をしているということでございます。 (スライド)  最後のスライドになりますが、厚生労働省の今後の方針をまとめたものでございま す。基本としまして食品安全委員会の評価・検証結果を尊重をする。そして、リスコミ による各方面の意見を聴取し、検討を進めまして、その検討結果をSRMの除去の徹 底、と畜場におけるBSE検査、BSEに関する調査研究の推進、この3つの事項につ いて具体案を食品安全委員会に諮問するということにしております。以上でございま す。 ○広瀬課長補佐  ありがとうございました。  それでは、これから意見交換の方に移っていきたいと思います。前列の方を準備いた しますので、しばらくお待ちください。                   (準備) ○広瀬課長補佐  それでは、意見交換の方に入らせていただきたいと思います。  説明者の紹介をさせていただきます。  皆様方から向かいまして一番右側にいらっしゃいますのが、内閣府食品安全委員会事 務局の村上評価課長です。  続きまして主催者側になりますが、少し飛びまして中央から皆様方の左側に向かいま して、先ほどごあいさつをさせていただきました厚生労働省医薬食品局食品安全部の外 口部長です。  そのお隣が、大臣官房の松本参事官です。  そのお隣が、食品安全部監視安全課の南課長です。  そのお隣が、同じく監視安全課の道野補佐です。  また、中央から皆様の右の方に向かいまして、農林水産省消費安全局の中川局長で す。  そのお隣が、衛生管理課の栗本課長です。  そのお隣が、薬事飼料安全室の濱本飼料安全管理官です。  本日のコーディネーターは、私の隣の農林水産省の姫田消費者情報官が務めます。  私は、本日司会進行役をさせていただいております広瀬と申します。よろしくお願い します。  意見交換の方ですが、進行はコーディネーターの姫田情報官にお願いしたいと思いま す。よろしくお願いします。 ○姫田情報官  それでは、意見交換に入りたいと思います。先ほども御紹介いただきましたが、消費 者情報官の姫田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  既に御説明させていただいておりますが、今日はBSEに関する国内対策についての リスク管理機関であります厚生労働省と農林水産省のリスクコミュニケーションです。 先ほど安全委員会からリスク評価の報告書の御説明がありましたが、それの意見交換と いうよりも今、栗本課長あるいは南課長から説明していただきました今後のリスク管理 の在り方についてのリスクコミュニケーションをしたいと思いますので、よろしくお願 いいたします。  しかしながら、アメリカの問題とかいろいろ報道もされております。まず最初に少し 短い時間ですけれども、全体を通じて今までの在り方とか、そういうことについての意 見を簡単に短い時間でいただいた後、前半は栗本課長の方から御説明いたしましたBS E根絶のための飼料規制について、そして後半は国産牛肉のBSE対策についてという ことで意見交換をしたいと思います。皆さん方が大分御興味のある全頭検査ということ については後半のところでお願いしたいと思いますので、議事進行に御協力いただきた いと思います。  意見交換の方法としては、いつも同じでございますが、まず御意見をいただいて、同 趣旨の意見で補足する部分があれば2、3人の方に追加意見をいただく。それで、たく さん手が挙がってもとりあえず2、3人の方にいただいて、次に違う意見の方から2、 3人御発言をいただく。そして、また違う意見の方があれば御発言いただくということ で意見交換をしたいと思います。必要に応じて、行政の担当者から発言するということ もしたいと思います。  それでは、まず全体を通して総論というか、本日の議論の前提としてここは聞いてお きたい、あるいは意見ということをいただきたいと思います。まずいつものことでござ いますけれども、時間を有効に活用する観点から申し訳ありませんが、御質問、御意見 ともお1人2分で簡潔にお願いいたします。それから、3つのパーツに区切っておりま すので、原則としてそれぞれのパーツでは1人1回目の御発言を優先させていただき、 それぞれのパーツで2回目ということになりますとほかの方よりも優先度合いが落ちる ということにしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  御質問に先立ちましては、お名前と差し支えなければ所属もお願いしたいと思いま す。2分たちますと、事務局の方で鈴を鳴らしますので、ほかの方にお譲りください。  それでは、最初に全体を通して確認しておきたいというようなことがありましたらど うぞ。 ○山浦氏  日本消費者連盟の山浦と申します。  全般的ということで、今日は日米協議の話題も出ておりますので、若齢牛の検査に絡 めた全般的な質問をしたいと思います。  今日の御報告にもありましたけれども、20か月という数字が一人歩きしているような 状況もありますので、後で全頭検査の問題は触れたいと思いますけれども、ここでの議 論あるいはリスク管理のいろいろな政策というものがすぐに日米協議に結び付くような とらえ方というのはやはり違うんだということを是非確認していただきたいと思いま す。  というのは、この流れが食品安全委員会の21か月齢以上は検出できたけれども、それ 以下はできないといった部分のみが強調されて、リスク管理機関におかれましても今後 若齢牛の検査を外していくといった流れになりがちですので、それは違うんだというこ とを是非確認していただいて、もし米国との問題が今後行われる場合には、アメリカの BSE対策そのものを検証の対象にしなければいけないわけでして、それを抜きにして 今後日米協議が進んではならないというふうに私は考えます。 ○姫田情報官  ありがとうございます。それでは、次の方お願いします。 ○安田氏  日本有機農業研究会の安田と申します。  私は今回リスクコミュニケーションということでBSEの国内対策についてと再三お っしゃっていますが、消費者が強い懸念を持ってこれにたくさんの方が参加しているの は、日米のアメリカ牛の輸入解禁について、それがされそうだということについての懸 念で集まっていると思うんです。今日もその協議がされていて、20か月齢以下であれば これを検査なしで輸入するという話になっていることに対しての強い懸念であるわけで す。それを、この間のコミュニケーションの中では一切封じる形で議論しようとしてい ることに対して異議を申し上げたいと思います。  そして、食品安全委員会が出すべきは科学的な結論でありまして、20か月齢以下とい う話を出してきたのも非常に不自然だと思います。彼らが出しているのは、BSEの検 査の検出の限界値というものでは月齢では決められないというのが科学的結論だったの ではなかったのでしょうか。暴露量も違うし、個体差もあるし、計算方法もまだ開発途 上にあるというのが彼らの科学的な結論であって、突如20か月齢と出したのは日米の落 としどころを探るためである。  今日のNHKニュースでも、アメリカの視察団はアメリカの危険部位に際しては脊髄 などは手で除去していた。アメリカは3,500万頭も年間に処理していて、日本では年間 100万頭しかやっていない。そういう日本でさえまだ不足な部分があるのに、アメリカ のように日本の35倍以上もの大量の牛を処理するようなところでこういう輸入の話が始 まっている。それについての安全評価について、国民との意見交換を避けて通るという ことについて異議を申し上げたいと思います。 ○姫田情報官  ありがとうございます。  では、次の方どうぞ。 ○参加者1  全頭検査廃止については、食品安全委員会は日本のSRM除去と飼料管理の徹底を前 提に挙げている措置だと思いますので、飼料開始後に生まれた若いBSEが発生してい ることとかありますから、飼料管理の改善が終わってから、それから特定危険部位除去 がさっきは一部とありましたけれども、全と畜場で改善されていることを確認してから の話ではないかと思いますので、改善のスケジュールとその内容を全部公開していただ きたいと思います。改善が確認された上で全頭検査の廃止が行われるべきだと思いま す。  あとは、この20か月の区別云々の話は米国牛などの輸入牛には該当しない。まず使用 管理などの状況が全然違いますので、輸入牛には該当しないということを先日、外口様 が別評価をされるという話はしていたのですが、余りにもそういう報道をちゃんとしな いので、是非確実に文書にして国民に直接発信していただきたいと思います。  それから、BSEにはまだ次のような問題があって、現行のテストに用いるプロテア ーゼという物質で異常プリオンたんぱく質が分解するものもあるし、BSEの羊の輸血 での感染例もありますし、特定危険部位が増える可能性があるから、WHOが言う感染 牛を食べないことが一番大切な予防の原則なので、飼料管理の徹底と検査の向上を早急 にお願いしたいと思います。  あとは、米国牛輸入再開については我が国と同じく飼料の徹底管理、血液も飲んでい ない、交差汚染もしていない証明が取れる牛ということを輸入再開の条件に文書で入れ ていただきたいと思います。  あとは、プリオン病は決してフグ毒の食中毒と一緒にできるものではなくて院内感染 するもので、京大でさえこの間、内視鏡で感染事件を起こしています。これは別の病原 菌ですけれども、今BSE対策をきちんとしなければアメリカから血液製剤を日本は輸 入していて、血液製剤は大体2,000人から2万人の血液をフェブリナ菌の場合は集めて やっていますので、そういったことに対しても対策を早急にお願いします。以上です。 ○姫田情報官  どうもありがとうございます。できる限り2分以内によろしくお願いいたします。  それでは、そのお隣の方、お願いします。 ○原氏  日本生協連の原と申します。  今回の中間とりまとめでは、結論のところで20か月齢のところが修正が求められて、 プリオン専門調査会では修正されたわけですけれども、本文のところに残ったというこ とでマスコミでも20か月齢以下の若い牛の検査は事実上、外すことを認めたというよう な報道がされて一人歩きしていることは明らかなわけです。今日は食品安全委員会のリ スクコミュニケーションではないのでそれほど強調はしませんけれども、厚労省さん、 農水省さんもそれを規定事実のように受けないで、食品安全委員会での議論をきちんと 聞いていていただけば月齢を外すということはまだまだ難しいという議論があるという ことを踏まえていただきたいと思います。  そういったことが一人歩きする中で、日米の交渉でもそれを前提にして交渉が進めら れているようですけれども、やはりそこのところはきちんと月齢のところだけではな く、検査のことだけではなくて、アメリカの安全対策がSRMの除去、飼料対策等を含 めてきちんとなされているのかを確認されることが前提だと思います。今までそういう ふうに御回答はいただいているのですけれども、現時点でどういう認識でいらっしゃる のか。アメリカの安全対策についての情報をどの程度把握していらして、評価ができる 状況なのかどうか。今まで食品安全委員会での国内の対策について、国内の対策自体が きちんと検証されていないのではないかということで私たちは意見を申し上げてきたの ですけれども、アメリカでもそのようなデータが不十分なままに安全の検証がされたと いうような形で輸入が再開されると、非常に消費者としては不安ですので、現時点での 認識、それから今後どういうデータが必要なのかということを御説明いただければと思 います。 ○姫田情報官  どうもありがとうございました。  同趣旨でございましたらこれで少し答えたいと思いますが、そうではないということ でしたら、一番後ろの方でこの部分については終わりたいと思います。 ○参加者2  私は厚生省と農水省のお話を伺いまして、厚生省の資料4の15ページにありますが、 リスク管理の今後の方針のところで方針を一定程度検討されて、この中には食品安全委 員会の評価、検証結果を尊重と書いてあって、それから各方面の意見をチョイスされ て、また食品安全委員会に諮問されて設定をされるということなのですが、手続きにつ いてお聞きしたいと思っております。  なぜかというと、これはどういうスケジュール、つまり日程的にどれぐらいの時間を 取って、いつごろまでにこの最後の今後の方針の策定というところまでに持っていかれ るのか。今、設定されておられる日程を是非教えてもらいたい。  もう一つは厚生省になりますが、15ページの具体案を食品安全委員会に諮問とありま すが、SRMは除去の徹底となっています。それから、3番目のBSEに関する調査研 究は推進なんです。と畜場におけるBSE検査は一体検査の何なんですか。見直すんで すか、更に強化するんですか、どうするのかということをはっきり言って、その上で今 後のスケジュールを立てていただきたい。そのことについて確認をさせてください。  といいますのは、不安、心配がっているのは皆同じなんです。極めて日米交渉という 政治的な動きが周辺にあるわけです。それを前提にしておやりになるような雰囲気なの か。例えば、アメリカの大統領選挙の後くらいまでにはちゃんとやりますよということ なのか。全然意味が違ってくるんです。これで、この安全対策、安心して牛肉が食べら れるかどうかということに対する消費者の、あるいは生産者の信頼確保に向かって厚生 省や農林水産省、それから食品安全委員会が果たすべき役割を果たしているのかどうか ということが見極められるのだろうと思います。以上です。 ○姫田情報官  ありがとうございました。  それでは、先ほど戸谷さんからのいわゆるこの後のリスク管理のスケジュールなどが ありましたら、これはまたそれぞれリスク管理のところでお話をしていただきたいと思 っております。それで、今ほとんどの方がまず日米協議が行われているのではないかと いうことと、それについて今日のことが結び付くわけではないのではないかということ を確認したいということだったと思います。  それから、具体的に本日の国内のリスク管理対策をどうするかということについての スケジュールをどうするのかということがあったと思います。それぞれこれは基本的な 考え方ですので、同じことでも結構でございますから、外口部長、中川局長のお2人に お答え願いたいと思います。 ○外口部長  BSEに関していろいろ報道がされておりますし、それから直接いろいろな御意見も いただいております。  その中で多くある意見は、今いただいたような日米の輸入牛肉再開の問題と、この国 内対策の検証の問題はどういう関係なのか。極端に言えば、輸入牛肉再開の問題がある から国内対策の検証を急に始めたのではないかというような意見もいただいておりま す。  私は先月、8月18日にも申し上げましたし、今日も申し上げました。なかなか報道さ れないんですけれども、私どもの事務次官の記者会見の記録がウェブサイトにも載って いますが、そこでも同じことを言っています。これらは別の話です。今やっているのは 国内対策の検証評価でこれをどうするか。  それから、輸入再開の問題は、輸入再開するかどうかは別に入ってくるときの条件が 国内で流通するものと同じ安全性が保てるのかどうかを確認して決める話だから、それ は全然別の話です。もっと言えば、食の安全というものは科学的根拠に基づいて決める ものだから、ほかの要因で決めるものではない。これをはっきり言っておきたいと思い ます。  それからスケジュールですけれども、何月までにこれをやるとか、いつこれをやるか らこれをやるというのではなくて、大事なのはプロセスで、ここがこう確認できたから 次のプロセスへ進むということで今はやっているわけですので、途中のプロセスで時間 がかかれば時間がかかります。早く進めば早く進みます。だから、今、例えば来月こう する予定、年内にこうする予定ということは申し上げられません。言えることは、我々 の国内対策の考え方がまとまったら審問をして次のステップへいくと、決まっているの はこれだけです。以上です。 ○中川局長  それでは、私の方からも相当ダブりがあるかと思いますけれども、私どもが考えてい る今後のスケジュール感といいますか、手続きについてお話をしたいと思います。 今 日を皮切りにして、これから4回、全国各地でリスク管理官庁である厚生労働省と農林 省が主催をして、先般の食品安全委員会の中間とりまとめを踏まえて、国内措置をどう いうふうにしていくかという基本的な考え方をお話をし、それについての御意見を伺う ということをしたいと思っております。そういった機会にいただいた意見も踏まえて、 そして国内対策をこういうふうにしていくということが決まれば、それを食品安全委員 会に諮問をする。この過程で、国内のこれからのBSE対策をどういう方向に進めてい くかということがはっきりとリスク管理サイドとして立場が固まったと言えると思いま す。  もちろんこの新たな方向について食品安全委員会でまた評価をされるわけですから、 その評価を待たないと最終的なこれからの方向というのは決まりませんけれども、一応 リスク管理サイドとしてどういうふうに考えているかということは食品安全委員会に諮 問をするという段階で、およそ方向が見えてくると思います。  それからもう一つ、日米の関係でありますけれども、昨年の12月にアメリカからの輸 入をストップして以来、農林水産大臣も含めて政府は、国内の対策と同等のことをアメ リカに対しても要求していくということをずっと繰り返しお話をしていたと思います。 したがって、アメリカと今、協議が行われていると、マスコミにはそういう誤解が生じ かねない報道もされておりますけれども、日本の国内対策についてはっきりとこれから の方向が見えてからでないとアメリカと具体的な条件について協議をするベースができ ていないということになりますから、現在まだそういった状況にはないと思っておりま す。まず大事なことは、国内対策のこれからの方向というものについてきちんと固めて いくということで、日米交渉はその後でございます。 ○姫田情報官  どうもありがとうございました。それでは、この話は時間があればまた最後にしたい と思います。  そこで、前半のところでございますが、先ほど栗本の方から説明させていただきまし たBSE根絶のための飼料規制というところに入りたいと思います。お手元に既にいた だいた意見には余り国内の飼料規制については多く出ておりませんが、先ほど戸谷さん から8頭目、9頭目が出たんだからもっときちんと改善すべきであろうというような御 議論もありました。そのほかにどなたでも結構ですのでお手をお挙げいただけますでし ょうか。 ○参加者4  このBSEの発症牛を防止するという手段は、このえさの肉骨粉だけなのでしょう か。それについてお伺いしたいと思います。今のところ、規制の方法は肉骨粉を食物連 鎖の中から取り除くということがそのポイントになっていますけれども、狂牛病の発生 原因が肉骨粉によるだけということになっているのでしょうか。私ども日本有機農業研 究会ではもっと多方面の発症の要因についても調査研究をしまして、それについての発 症予防ということを打つ必要があると思うんですが、その方面の研究はどのようになっ ているのでしょうか。 ○姫田情報官  では、その後ろの方どうぞ。 ○原氏  日本生協連の原です。  やはり21か月、23か月の牛が出たことに関しては、飼料をきちんと禁止をした後の牛 ですので、それを重く受け止めて対策をしていただきたいということを要望したいと思 います。その中でニワトリですとかブタの飼料は検討中のものもあるかと思いますが、 緩和されてきているかと思いますが、工場での交差汚染の防止対策というのはしっかり 進めていただいていると思うんですけれども、現場での交差汚染防止対策が一番心配で すので、そこのところがきちんと確認されて進められているのかどうかを伺いたいと思 います。 ○姫田情報官  ありがとうございました。現場というのは農家のところということですね。 ○参加者1  輸入生体牛という牛がいると思うんですけれども、日本に来るまでに何を食べている か確認がとれていない牛がまだ日本にいると思います。米国は去年の12月まで輸入して いたと思いますし、カナダは5月まで輸入していました。その辺の管理だとか、トレー サビリティをどうされているのかということをお伺いしたいです。それは出生日がわか らないという牛もいます。  あとは、トレーサビリティになってしまいますけれども、日本の牛の登録日と出生日 が違う可能性もあるのではないか。7日間の猶予を設けたりとか、その辺がきちんとさ れているのかということも心配です。なぜならば、死亡牛を総埋めしてしまっている事 件があって、それも死亡届がきちんと管理されていないからそういうことができるので はないかということです。そうすると、出生日もちゃんと管理されているのかが疑問に なってまいります。その点をお願いします。 ○姫田情報官  それでは農水省の方から、1つは肉骨粉以外の防止というか、むしろ原因究明の方を お答えいただければいいかと思います。それから、ブタ、トリについての緩和をやって いくので、生産現場での交差汚染防止対策をどうするかというようなこと。それから輸 入の生体牛のこと、そしてトレーサビリティのいわゆる出生日のことについてお答え願 えますでしょうか。 ○栗本課長  それでは、お答えしたいと思います。  BSEの発生の原因につきましては先ほども御説明を少しさせていただきましたけれ ども、昨年の9月にまとめていただきました感染経路究明チームの報告の中で3つの点 が可能性として浮かび上がってきておりました。1つ目は英国から輸入された生きた 牛、2つ目はイタリアから輸入されました肉骨粉、3つ目は動物性の油脂の3点があっ たわけです。これをいろいろな角度から検証していただきました結果、英国から入って きた生きた牛が肉骨粉になって、これが国内でのえさのサイクルの中に入った可能性が あるということが1点。  それから、イタリアから入ってきた肉骨粉は加熱が不十分だった可能性があるという ことがあったのが2点目です。  3点目の油脂につきましては、相当の調査の結果、可能性は極めて低い、まず考えら れないという結論になっておりまして、日本では肉骨粉の対策を中心に考えてきており ます。ただ、御指摘のように油脂につきましても肉骨粉を取った裏腹のような性格のも のですので、これにつきましても動物性たんぱく質の混入がないというようなこと、あ るいは脊柱を原料としていたりするものがないような形での分離措置というのは徹底的 にやらせていただいておりますので、必ずしも肉骨粉だけということではないというこ とでございます。 それから、発症防止の研究はどうなっているのかという御質問がご ざいました。これにつきましても、日本では非常に発生したというか、確認牛は英国な どに比べますと圧倒的に少ないのでなかなか研究がやりにくいという実態もございまし て、現在動物衛生研究所にありますプリオン病研究センターの方で国内でわかった牛の 材料を使っての感染実験を、ネズミに打って調べるというようなことを進めておりま す。ここでうまく材料が増えればいろいろなことができるのではないかと思っておりま すが、現在そういう状況で実施はしておりますが、まだ具体的な見通しが立っている状 況ではないと思っております。  それから、飼料の対策を強化した後で2頭確認されているということで、正式には法 的な規制をしましたのは平成13年10月15日で、1頭は10月13日生まれということもあり ますので、本当に言いますと1頭なのかもしれませんが、確かに若い牛についての発症 があるということで、それは更に交差汚染のような形でどこかから何らかの形でプリオ ンが牛の口に入ったということがあると考えなければいけないと思っておりまして、先 ほども御説明いたしましたように交差汚染を本当に徹底的に防止するという観点で対策 を更に強化していきたいと考えております。  それから、輸入された生体牛につきましても輸入の時点で現在ではトレーサビリティ の中に入れておりますので、耳標が付いて同じような管理がされております。トレーサ ビリティ法、これは昨年の12月1日に生産の段階についての施行がされておりますの で、12月1日以降に生まれた牛については生まれた日が明確にわかっております。それ で、それよりも前に生まれた牛につきましては確かに御指摘のとおりいろいろな時点で 届出がされたというようなこともあると思います。これは現在、確認をしておりまし て、わかり次第修正していくというようなこともやっているところでございます。です から、12月1日以降に生まれたものについては確実に生まれた日に登録されている。こ れは法律に基づいた措置がされているということでございます。以上でよろしいでしょ うか。 ○姫田情報官  発生牛は発生国からは生体牛の輸入はどうなっているのですか。 ○栗本課長  BSEの発生国からは生きた牛の輸入は止めておりますので輸入されておりません。 ○姫田情報官  では、今のことに関して次の方どうぞ。 ○参加者1  農水省のトレーサビリティ班の牛の方に伺ったのですけれども、輸入生体牛に関して は耳標に付けるのは輸入年月日だけで、出生日は書かない。任意だというのがまず1点 で、本当の出生日がわからないということがあります。 ○参加者4  農水省さんが飼料規制されるということでお伺いしたいのですけれども、今後のいろ いろな検討方向で販売段階、あるいは生産者段階で規制をされるということですが、こ の監視指導の際に、例えば事前にそういった情報が伝わることなく抜き打ちの方法とい うものを是非実施していただきたいと思うんです。そういうふうな実効性のある規制と いうことを今後も是非とっていただきたいというふうに要望いたします。 ○参加者5  千葉から参りました木野村と申します。千葉市エコリーダーの代表をやっておりま す。  今日の資料3の1ページ目で、12頭目が上がったのが平成11年7月といいますと現在 16年ですから5年たっているわけです。21か月がどうのこうのという問題ではないで す。こういう点に前から落ち度があるのではないか。  資料4の5ページはSRMの除去の現状という形で、脊髄についてはと殺頭数ベース で9割がやっているとあります。では、残りの1割はやっていないのか。そうすると残 りの1割はどこでやっているのか。これが今、言った5年もたって出てくる原因になっ ているのかどうか。  そして、同じ資料4の8ページで、各国との比較の中で日本はすべて、すべてと書い てあるんだけれども、本当にここに書いてあるのは大丈夫かと疑問を持ちます。という のは今、お話を申し上げた5年、64か月との関係で何か今までやってこられた中にまだ 抜けている点があるのではないだろうかと心配になった点がございます。  そして、私は先月の8月18日にも参加させていただいているのですけれども、たまた ま私は千葉県なものですから堂本知事にも一応話はしておいたのですが、新聞情報によ りますと県から農水省と厚生労働省の両省に対していろいろ要望書を出しているという ことが8月18日、9月17日の朝日新聞に出ております。ちょうどこの内容を見ますと、 私が8月18日に発言した内容と同じようなことが書いてあるなと思っているので、その 点は今、御検討中だと思うのですが、もし中間でもわかりましたらお教えいただきたい と思います。以上でございます。 ○参加者6  ちょっとお伺いしたいのですけれども、イギリスで第1頭目のBSEが発症いたしま したときに既に5年後、30年の潜伏期間を経まして発症がどんどん増えるという学者の 説がございましたね。そのとき、異常プリオンは高熱でもなかなか破壊しにくい。ま た、地中でもなかなか破壊しにくいというような説がございました。その地中の異常プ リオンのお話はちっとも出なかったのですけれども、今回イギリスで17か月の牛が発症 したことで地中の異常プリオンは大丈夫なのか、どういうふうに解消されたのか、とて も疑問に思っております。  また、イギリスの発症いたしました牧場で飼育係をしていた方にCGDが3名も発症 されたという事例もありますね。そのことから考えまして、血液内の遺伝的なものは全 然心配はないのか。ただ、食肉からの単なる感染でほかの心配は絶対ないかということ をお伺いいたしたいと思います。よろしくお願いします。 ○姫田情報官  どうもありがとうございました。では、そちらの女性の方でこの部分は終わりたいと 思います。どうぞ。 ○参加者7  ただいまBSEに対する対策についていろいろ努力してくださいまして、消費者の立 場で食品の安全について大変感謝しております。もう一つ、最近、地球の温暖化で何か そういう菌が活性化するらしいとか、そういう情報を聞きましたけれども、それはどう なのかと思っております。  もう一つ、生物学的な見地から見まして、牛のBSE免疫を与える方法を講じたらい かがであろうか。私は大正13年生まれで昭和5年に1年生に入学いたしました。ちょう どそのころ種痘、天然痘の予防接種をしまして、私も今、二の腕にその跡がございます けれども、一生あんなほうそうなどにかからないのよと親が言っておりました。昭和5 年入学の私のころですとやたらと大勢ではありませんけれども、あちらこちらに顔じゅ う天然痘の跡でどうもお気の毒な方が随分おいでになったような気がします。  天然痘はWHOでは地上に存在しないということで安心はしましたけれども、BSE については昔の天然痘よりももっと怖い話だと思っております。そういう免疫を講じる 方法をおとりいただいたらどうか。食品の安全の上から消費者の立場でお願いする次第 でございます。終わります。 ○姫田情報官  どうもありがとうございます。  それでは、まず1つは先ほどのトレーサビリティで海外から輸入したものについて輸 入日はわかるけれども、輸入よりも前のことがわからないのではないかということの事 実確認と、それから指導について抜き打ち検査等を効率的にやるように努力をしてほし いということ。それから、異常プリオンについて地中に埋まっているものについてはど うなるのか、あるいは高熱処理でどういうふうに破壊されるかということ。これらにつ いて農林水産省からお願いします。  それから、御質問にあったと思いますけれども、血液でうつるのかとか、BSEに対 しての免疫をつくれないかというようなこと、温暖化の影響があるのかということ。そ れからちょっと確認ですけれども、最近になってイギリスで17か月齢のものが出たとい うことを言っておられましたが、そこら辺についての事実関係を安全委員会の方からお 答え願えますでしょうか。 ○栗本課長  それでは、私の方から答えさせていただきます。  輸入された牛につきましては、輸入の時点で耳標を付けるということになっておりま すので、そこは確かに御指摘のとおりだったと思います。ただ、国内で食肉になる場 合、あるいは農場で死亡してしまった場合の検査はきちんとやっていくことになります ので、その耳標を付けた後の管理は的確にできるということでございます。  それから、飼料の抜き打ち検査の関係ですけれども、現在も立ち入り検査というのは 基本的に抜き打ちでやっているわけでございますが、今後も今、御意見をいただきまし たように引き続き実効性を上げるような形で対応していきたいと思っております。  それから、プリオンの熱に対する抵抗性は御指摘のとおり大変強いものがありまし て、133度、気圧で20分以上かけないと不活化しないということもわかっております。 それは御指摘のとおりでございます。  地中の状況につきましても、そういったことについても配慮をしまして、例えばと畜 場から出てくる廃棄物のようなものが肥料になって農場にまかれないようにといったよ うなことにつきましても、例えば今回も12頭目が確認されましたけれども、その後どう なっているかというようなことについては確認をして、その辺についても注意を払って いるところでございます。私からは以上でございます。 ○姫田情報官  では、安全委員会からお願いいたします。 ○村上課長  プリオン病、vCJD、変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の病原体であるプリオン が感染する経路といたしましては、経口による感染のみが考えられると思います。それ で、もちろんクロイツフェルト・ヤコブ病、プリオン病については他の感染経路がござ いまして、例えば人の脳硬膜を人に対して脳外科のときに移植をしたところ、それが原 因でプリオン病が発生するということはあります。  ただ、今回牛のBSEを原因として起こる人の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病と いうことを考えるときには、経口による食品を経由して経口で感染をする経路を考えれ ば十分なのではないかと考えています。  それから、プリオン病については免疫のような人間がもともと持っている生態防御の システムが全くございませんで、例えば御指摘になっておられたような天然痘のワクチ ンをあらかじめ摂取しておくことによって病気から人間を守るというようなことはでき ません。もちろん将来的にはこのプリオン病を治療をする方法が見つかる可能性はある と思いますので、その点では科学的な研究がこれからも続けられるべきだと思います。  それから、米国において17か月齢で発症した、あるいは発見された牛がいるというこ とは承知をしておりません。そういう報告は受けておりません。以上です。 ○姫田情報官  ありがとうございました。  それから、先ほどのトレーサビリティの件についてお願いします。 ○中川局長  こちらの方からの御説明で補足をさせていただきます。  1つは、千葉県の男性の方から、今回の12頭目の生年月日が11年の7月生まれで5年 以上たっているということで、これは問題ではないかというお話がありましたが、えさ についての規制は平成13年の10月からきちんとした姿にしてきた。そういう意味からし ますと、えさについての規制が強化をされる以前に生まれたものでありますので、その こと自体はむしろある意味でかつてのまだ十分でない措置の時代に異常プリオン、肉骨 粉か何か、そういったものに摂取をして今回の発症に至ったということだと思います。 先ほども説明の中で、BSEというのは2年から8年の潜伏期間があって発症する。平 均5年と言われておりますけれども、そういうことからするとこのこと自体は特にこれ が何か異常なものだというふうには考えておりません。  それから、先ほどの疫学検討チームによります日本の感染経路の報告書の中にもあり ますけれども、今回これは九州で発生しましたが、日本の中で東日本ではなくて九州で も発生をする可能性があるということが一つのシナリオとして報告書の中に書かれてお りました。そういうことからしましても、もちろん原因究明はこれからきちんとしてい かなくてはいけませんけれども、このことが特別何か意味を持つということではないと 私どもは思っております。  それからもう一つ、これは厚労省さんと実際にこれからの措置を議論する際に詰めて いくことかと思いますが、輸入牛について、輸入したときにしか耳標が付かないのでそ こから後のことしかわからない。そうすると、既に先取りされてのお話かと思います が、将来どこかで全頭検査の月齢が議論される場合に、この輸入牛について輸入された 以降のことしかわからない。その輸入牛が何か月齢なのかわからないのではないか。そ ういう御心配ということであれば、それはそういった特別な例外的な牛ということにな りますから、それについての扱いをどうするかというのは細部を詰める際に、実施がそ ういうことだと決まれば、そういうことを議論する際によく踏まえておかなければいけ ないものとして受け止めたいと思います。 ○姫田情報官  それでは、その件ということでどうぞ。 ○参加者1  再度栗本様に確認させていただきたいのですが、日本の牛のトレーサビリティの現象 としてはちゃんとした規制は今年の12月からなので、現在では正確にまだ20か月で区切 れないさばを読んでいるかもしれない牛が存在するという認識でよろしいでしょうか。 ○栗本課長  トレーサビリティ法が施行されたのが12月1日ですので、それ以降のものは確実だと 考えていただいていいと思います。それまでのものについては確認でき次第、データを 入れ替えておりますけれども、確実にそうだということは御指摘のとおり今の段階では 言えない状況です。 ○姫田情報官  では、最後にもうお一方で終わりたいと思います。 ○参加者7  今日は農水省さんと厚労省さんのBSE根絶に向けての管理体制についてお話をお伺 いしておりますけれども、今までのところで私はまたいろいろと不安が生じてまいりま した。例えば飼料規制に関してで、輸入の段階における混合飼料等の原材料の種類の届 出の問題ですが、これなどもしっかりとしたトレースができるような体制を設けて、届 出のフォームなども皆、比較できるような、そしてそこに改ざんが行われないような仕 組みをつくっていくことがなければ、今後に向けて仕組みをつくる場合の抜け穴がたく さんできてしまうと思いますので、その辺の御配慮をいただきたいと思います。  それから厚労省さんのSRM除去に関する問題でございますが、ピッシングの問題… …。 ○姫田情報官  すみませんが、SRMのことについてはこの後やりたいと思いますので、お願いしま す。 ○参加者8  わかりました。それでは、先ほどの飼料の点についてよろしくお願いしたいと思いま す。 ○姫田情報官  どうもありがとうございました。それでは、農水省の方からお願いします。 ○濱本管理官  飼料の届出の件でございますけれども、これにつきましては飼料安全法に基づく省令 の形で明確に規定いたしまして、届出事項にそごがないようにしたいと考えておりま す。 ○姫田情報官  それでは、この辺りで厚労省の件になりますけれども、いわゆる牛肉のBSE対策と いうことで検査あるいは今お話が出かかりましたSRMの除去などについての御意見を いただきたいと思います。 ○石黒氏  農民連の石黒と申します。  20か月齢以下を見直すという点でございますけれども、これには科学的な根拠はない と思います。やはり20か月齢でイギリスでも見つかっておりますし、また当然これから 技術が発達すれば20か月以下でも見つかる可能性は強いので、是非全頭検査は継続して いただきたいと思います。  20か月齢を外しても、日本で外すのはおよそ7%くらいです。その程度ですから、全 頭検査をやってもほとんど変わらないわけで、せっかく皆に安心を与えている全頭検査 というものを継続する必要があるのではないかと思います。そうでないと、アメリカで 20か月齢以下というのはおそよ8割と言われておりますので、8割の牛が検査をしない で入ってくるという体制をいずれ容認するような感じを与えるわけでありまして、どう してもこういうやり方はまずいのではないかと思います。アメリカの方はトレーサビリ ティもないし、歯で月齢を検査するというようなことも言っておりますし、こういう点 で全頭検査をきちんと行っていくことが重要ではないか。  それから、検査体制についてはプリシュナー教授らがやっている方法なども取り入れ て、あるいは生きている牛でも検査できるような体制というものを早急に打ち立てて、 完全にBSEがなくなるようにしていくことが重要ではないかと思います。  それから、特定危険部位の除去の問題ですが、日本の場合には全部をやっている。こ ういう点では優れた制度だと思うんです。ところが、アメリカなどは皆30か月以上と か、そういうようなことになっていて、こんなものを認めたら実際に大変だと思います ので、私たちとしてはきちんとやっていく必要があるのではないか。  それから、肉骨粉の処理等についても完全に焼却するということをきちんとやってい くことがいいのではないかと思うんです。日本の今までとっている具体的な措置という のは非常に誇るべき内容だと思いますので、これを必ず厳守してもらいたい。堅持して もらいたい。それでアメリカがどう言おうが、小泉首相が輸入再開を急ぐというような ことを言っているようですけれども、そんなことに負けずにきちんと頑張ってもらいた いと思います。 ○姫田情報官  お時間の方をよろしくお願いいたします。  司会の不手際で申し訳ありません。今の意見に対してサポートするような方でお2方 ほどお願いしたいと思います。その後に、今度は反対側の意見をお待ちしておりますの で、少しお待ちください。 ○参加者4  今日の前半で村上評価課長の食品安全委員会の報告書の紹介があったわけですけれど も、私の考えとしましては食品安全委員会としては若齢牛の検査は必要ないとは言って いないと思うんです。この点について、リスク管理機関がそういった前提でもって事を 進めるのはよくないと思います。  結論から言いますと、全頭検査は継続した方がいいということだと思います。と言い ますのは、食品安全委員会のとりまとめの中において若齢牛からは発見できず21か月齢 以上は発見できたというふうに客観的な事実を述べただけでして、今後も全頭検査の体 制と、それから特定危険部位の除去は両方とも必要だと言っているわけです。  その根拠としましては、SRMの除去あるいはフィードバンも完全ではない。そうい うことを考えますと、日本のこれまでの体制はよかったと言っているわけですから、全 頭検査を継続すべきだという論理的な結論になると私は考えています。  それから、この中間とりまとめの中のトーンとしまして、不確実性な要素が非常に多 いということも強調しています。プリオン病の問題点が非常に多岐にわたっている。あ るいは、vCJDの発症のメカニズムでわからない部分があるんだというふうなことを 言っているわけですから、管理機関としては科学的に非常にまだまだわからない部分が あるんだという慎重な食品安全委員会の結論を評価して今後の慎重な対策を是非とって いただきたい。  結論といたしましては全頭検査を継続し、SRM除去を徹底する、あるいはフィード バンを徹底するということをお願いしたいと思います。 ○姫田情報官  ありがとうございました。では、次の方どうぞ。 ○参加者9  全頭検査については今のところ見直すということには反対です。これについては更に いろいろな御意見が出ると思いますし、今お2人から御意見が出ておりますので、ちょ っと違う点から質問をいたします。  望んではおりませんけれども、もし全頭検査を見直すというようなことが出てきたと きに今、新聞情報で各地方自治体が例えば全頭検査を見直すような事態になっても、自 分の県では全頭検査をやるということをはっきりと打ち出している県があります。たま たま新聞で見たのは岐阜県が一番早かったのですが、これはプレス発表の文章ですけれ ども、「県民の食の安心・安全の確保を図るため、特に安心の観点から本県は従来どお り飛騨牛を含めた全頭検査を進めていく考えである」。  そして、確認いたしましたら、別に県産牛だけではなくて岐阜県でと畜する肉牛につ いては全部検査をするということを担当の方から伺いました。更にほかにも同じような 県が出ているということを聞いておりますが、これはあくまでも各自治体に任せるとい うことを確認したいと思います。以上です。 ○姫田情報官  ありがとうございました。それでは、次の方どうぞ。 ○参加者10  1つはトレーサビリティの件です。今の点とも若干関わってくる問題でございますけ れども、仮にBSEの全頭検査を緩和いたしまして検査済みでない牛が出た場合、検査 済みの牛を私ども消費者が消費者の権利として、選択の権利で買い求めることが一体で きるのだろうかということでございます。私は無理だろうと思っております。  なぜかというと、牛肉のトレーサビリティ法が施行されております。ワンパックに入 る牛が50ロットという形で、これは本当にDNA鑑定ができてここのところについて確 認ができるのだろうか。予算と体制で少しはできたとしても、ほとんど無理ではないか ということでございます。  それから、毎回言っていますが、子どもが一番喜ぶハンバーグであります。そのハン バーグの素材でありますひき肉はDNA鑑定ができません。どんな肉が入っているかわ からない。ここら辺のところも含めて、きちんとトレーサビリティができてからやって も遅くはないのではないかと私は何回も言っていますし、思うのですが、どうなんでし ょうか。先ほど科学的という形でいろいろ言われておりますけれども、科学的というの はあくまでもその時点だけであります。まだわからない点はいっぱいあります。そうい うことも含めまして、是非御考慮をお願いいたします。 ○参加者11  本日の意見交換会についてでありますが、これは先ほど外口部長さんからのお話にあ りましたように安全委員会から球が投げられました。それに対して農水、厚労両省が今 後の対策をやるための意見を聞く会というふうに承知しております。ただいままでの意 見はなぜか消費者団体の方が圧倒的に多くて、いわゆる本当の意味でのサイレントマジ ョリティといいますか、一般消費者の意見が全く反映されておりません。  まずそのことに関してでありますが、アメリカの牛肉輸入禁止があたかも当然のこと のように言われております。しかしながら、日本の消費者にとって牛肉の3割が止まっ たまま、もう9か月になろうとしています。こういう実態を全く放置して牛肉の安全性 について議論すること、これは大事なことだと思うんです。それは学者の先生、それか ら中立的な学識経験者、こういう方々の御判断に任せるべきであって、今、国民の皆さ んが何に困っているか、何を望んでいるか。ここのところを考えた上での議論が大切で あると私は思います。  たまたま焼き肉店の関係者でありますので、そういう見地から言いますと、厚労省の 資料の8ページにあるEUのBSE対策、こういったものに対して日本の関係の皆さん はどのように評価をしているのか。この辺をお伺いしたいと思います。 ○姫田情報官  どうもありがとうございました。今の意見をサポートする方、あるいはもう少し付け 加える方、お願いします。 ○参加者12  今の御意見に基本的に賛成なんですけれども、私が一番言いたいのは、SRM除去と いうのが非常に大切だという基本路線をどういうわけか、皆さん履き違えていらっしゃ るといいますか、議論がどうしても月齢とかBSE検査の方になってしまうというのは 逆にちょっとおかしな論調ではないか。  確かに検査の大切さは私もよくわかっているんですけれども、どちらがより大切かと いうことを考えた場合、SRMの除去ということを前面に押し出すべきではないかと思 っております。月齢等々という部分についての議論を余りにもし過ぎると、消費者も含 めて、報道の皆さんも含めて、世論がまた違う方向にいってしまうのではないか。  全然話が別になってしまって申し訳ないんですけれども、今日インターネットを見て いましたら、日本の小学生の4割が地動説を信じているというニュースが出ていたんで すけれども、まさに同じような状況が起こりつつあるのではないか。BSEの問題につ いてはBSE検査が大切だと、世論がそのようになってしまうのが非常に怖いのではな いかと私は思ったものですから今日発言させていただきました。もう一度基本論にかえ って、SRMの除去ということを考え直すべきではないか。また、それに対してより有 効に経費を使うべきではないかと思っております。 ○参加者13  今日はリスク管理庁の主催のリスクコミュニケーションということですから、当然国 内措置の見直しに関しての意見だと思います。そういう視点に立ちますと、既に食品安 全委員会の中間レポートでは検査に限界があるというところを明確にレポートしている わけです。その他の項目の21か月齢、23か月齢の若齢牛の事例の牛の件は、既にこの2 回の東京と大阪でのリスクコミュニケーションでの説明、また質問の中でも答える形 で、それは事実を羅列しただけであると言われております。  確かに20か月の線引き論も一人歩きしておりますけれども、この辺についてはきちん と月齢で区切ることは科学的でないという検査の限界論から丁寧な説明をこの際、行政 は責任を持ってすべき段階にきているのではないかと思います。全国各地のリスクコミ ュニケーションでは、消費者団体のリーダーを中心にまだまだ全頭検査を下ろすことに ついての懸念の表明がありますけれども、しかしながらこの8か月間、牛肉が止まった 中でリスクコミュニケーションが行われ、そして全頭検査の見直しが行われたわけで す。この際、検査を導入したあのときの国の説明にかえって、検査の限界についての正 しい科学的な知見から今後の見直しの判断をしてほしいということを切に期待しており ます。以上です。 ○姫田情報官  どうもありがとうございました。  先ほど、司会の不手際から、全頭検査をやりましょうという方は4人お話をされたの で、もう1人くらい今の意見をサポートする方はいらっしゃいませんでしょうか。今の お3方の意見の補充意見ということでお願いします。 ○参加者14  私はフグの中毒で死んだり、いろいろと食品で亡くなっている方はたくさんいるわけ ですが、それと関連しましてBSEではないんですけれども、BSEに似た病気で死ぬ 方が昔からあったという学者の意見も聞きましたし、そんなに検査、検査と言って牛の 肉が心配な方は食べなければいいので、もっと安いアメリカの牛肉を食べたい人もいる と思いますし、ある意味でいろいろとこれだけ研究をしたわけですから、余り難しく考 えないでいいのではないか。  それからもう一つは、税金をそんなに使って検査、検査と言わないで、もっとほかの 対策の方に話を進めて、そろそろ安い牛肉が食べられるようにしていただけないかと思 います。学問的な意見ではなくて、一つの消費者としての意見として発言させていただ きました。 ○姫田情報官  今、8人の方から意見をいただきましたが、ここで質問があったと思います。今のと ころ見直すことは反対だけれども、もしやめた場合に地方自治体が単独でやるというこ とに対して容認するのかということ。それから、EUのBSE対策をどう評価するのか ということについて2点ほど御質問があったかと思いますので、厚労省、安全委員会の 方からお願いしたいと思います。 ○南課長  自治体が独自で検査をした場合どうかというお話でございました。現在、食品安全委 員会でまとめられた評価につきまして、具体的な対策の見直しについて皆様の御意見を 聞きながら今、検討をしている段階でございます。したがいまして、自治体の御意見に ついても十分伺いたいと思っております。  ただ、こういった安全基準につきましてはやはり全国統一的なものをすべきではない かとは思っております。それ以外の観点からのいろいろな自治体の事業についてはまた 別の観点からの検討もあるのではないかとは思うのでございますが、自治体が将来的に 独自の対策をとられるということについて、現時点ではまだ安全基準の全国統一的なも のは決まっていない段階でどうかと聞かれても、こちらの方のコメントを述べるのは現 時点では余り適切ではないのではないかと考えておる次第でございます。 ○姫田情報官  では、安全委員会の方からお願いできますか。 ○村上課長  各国におけるBSEに対する対策については、それぞれの国の状況に応じていろいろ な対策が講じられております。もちろん食品安全委員会では現時点ではそれぞれの国あ るいは地域の管理措置について評価をするということはやっていないわけでございます ので、食品安全委員会の専門家としての評価はこれからだということでありますけれど も、例えばイギリスであれば一番たくさん感染の牛が出て、vCJDの感染者も出た国 ですので、現時点では30か月齢以上の牛はすべて食用に回さずに捨てているんですね。 それを検査をして食用に供してもいいのではないかという議論は始まっておりますけれ ども、現時点ではなお結論が出ていない。  それから、EU域内でも24月齢以上で検査をしている国が幾つかありまして、30月齢 に上げてもいいのではないかという議論をして、実際に30月齢に上げた国もありますけ れども、まだ24月齢のまま検査月齢を維持している国があるということで、それぞれの 国の状況に応じて対策が講じられているということであろうと思いますので、科学的に 評価をということであれば、まだ我が食品安全委員会は評価をしておりませんので、今 コメントすることはできません。 ○姫田情報官  ありがとうございました。  それでは、今日は意見交換会ということですので、それぞれ意見を交換していただき たいと思います。先ほど4人の方から、例えば輸入の3割の牛肉が止まっているのはそ ろそろ放置できないのではないかということ。それから、SRMの除去が大切というよ うなこと。それから、検査に限度があるということを明確にレポートされているのでも っと丁寧に説明すべきということ。あるいは、消費者団体の方からは検査よりもほかの 別の対策にお金を回すべきというような御議論があったかと思います。  それに対して、そうではないとか、あるいはそれに関しては違うもっと別の意見があ るという方があればお手をお挙げください。 ○参加者1  フグ毒の話が出たんですけれども、フグ毒は院内感染をしませんね。ただ、BSEは 1人患者さんが出た場合に内視鏡だとか手術器具だとか、そういった医療現場で更に感 染をする可能性があります。血液製剤だとか、今イギリスでそれを多用されている方に そういう注意を出すというようなこともやっていますし、輸血での感染例も2例ありま すので、ヤコブ病は決して個人でリスクを選べる食中毒とは違うということがまず1点 です。  あとはSRM除去のことなんですけれども、特定危険部位はまだ増える可能性がある というお話を品川先生がされています。または、16年の2月まで背根神経節は除去して いなかったので、私たちは肉エキスとか骨脂とかの加工品でそういったものを摂取して いた可能性があるんです。そういうこともありますし、また特定危険部位が増える可能 性があります。  あとは、企業さんにお伝えしたいのですけれども、すき家さんがオーストラリアの牛 丼を出しましたね。そうやって頑張っています。企業さんも一つの国に頼るのではなく て、そういうリスク感覚を今後持つべきだと思います。というのは、OIEの前の基準 だと発生国から7年間は輸入しないのが当たり前だったんです。それを米国の圧力で輸 入再開という話があります。  それから、アメリカの精肉加工業さんのお話があったので聞きたいんですけれども、 精肉加工業の最大企業でこの間、民主党の調査団が行ったんですが、加工業の工場を見 せてもらえなかったという報告を出されて、山田正彦議員がそれをホームページに載せ ているのですが、そういったクリアでないことをどうやって信じたらいいかということ もお伺いしたいと思います。  あとは、税金が幾ら節約できるかという話はこれから全頭検査を分けることでライン を分ける手間もかかりますし、表示のコストもかかりますし、消費者の通知にチラシだ とかをつくる場合、前回の3年前は十数億をかけてチラシを作成したというふうに記憶 しています。またそういった別のお金がかかってくることを考えると、果たして今回節 約がどれだけできるかということが疑問です。 ○参加者15  まず消費者としての立場からいいますと、私も保育園の子どもと小学校の子どもがい まして、同世代の子育て世代の雰囲気を感じておりますと、とにかく安全対策について はこれまでどおり重視していただきたい。生物研究の立場を知っている者としてはウエ スタンブロット法にも免疫組織化学的検査にも検出限界があるということはわかるので すが、現状の検査体制は緩めていただきたくないというのが消費者としての率直な気持 ちです。  それで、これはどの枠にも入らない独自の発言だと思うのですが、重要なことですの で聞いていただきたいと思います。文部科学省の方にも伝えていただきたいのですけれ ども、今日せっかくいろいろな方が集まって議論していただいているのですが、ここに 参加されている方はある程度勉強をされているいろいろな立場の方がおられますからそ れなりにわかって議論されているとは思うのですが、多くの消費者はなかなかこの問題 自身がわからないんです。  例えば、私は高校の生物の教科書を点検してみたのですが、プリオン並びに狂牛病と いう言葉が入っていない教科書すらありますので、ほとんどの消費者はまともにプリオ ン病、狂牛病に関する知識を得る機会がないということで、是非学校教育の場所並びに 消費者教育の場所でプリオン病の正式な正確な知識、例えばプリオン病気の本質を知る ためには羊のスクレーピーから英国の牛の狂牛病に至り、そして新型クロイツフェルト ・ヤコブ病に至ったという感染経路とか、人のクールの例などをきちんとし、薬害ヤコ ブ病だとか、そこら辺も含めてきちんとプリオン病としての特徴を伝えていかなければ いけませんので、是非文部科学省とも協議の上、消費者教育並びに学校教育の場所でプ リオン病のことを正確に伝えていっていただきたい。それが議論の前提になると感じて おります。 ○姫田情報官  ありがとうございました。では、前の方どうぞ。 ○飛田氏  東京都地域婦人団体連盟の飛田と申します。  先ほど焼き肉店を営んでおられる方が、消費者団体の人ばかり発言しているとおっし ゃいましたので、一言そのことについてまず申し上げたいとい思います。私どもはNP Oで、私も家族の食卓を預かっております主婦でございます。私どもの団体というのは 各地の地縁で成り立っております地域婦人会で、私は東京の組織なのですが、沖縄から 北海道までございまして、食卓を預かっている主婦は皆、全頭検査をしてもらいたいと 考えております。  それはなぜかと申しますと、これはいろいろお話をお伺いして、私は今、発言する時 間的な余裕もあり、仕事を持って忙しくしていらっしゃる方に代わって申し上げている わけですけれども、我が国でBSEが発生して今まで一生懸命農水省さんも厚労省さん も根絶に向けて努力をしてこられたわけです。プリオン病の研究センターもやっと6月 に発足して21か月齢と23か月齢の微量の検出のものについて感染性があるかどうかの検 査を始めたばかりです。それから、と畜時の全頭検査だけではなくて死亡牛の全頭検査 が必要だということがかねてより言われていて、やっと今年の4月から全頭検査体制が 発足したばかりです。まだまだ我が国独自のデータをこれからつくり上げていかなけれ ばならないこの時期に、なぜそういうふうに急がれるのか。そのことが大変疑問です。  私が思い出しますのは、今年の1月にアメリカの第1次の代表団がお見えになったと きに偉い方が記者会見で、アメリカのと畜牛の平均的な状況というのは14か月齢から20 か月齢が87%くらいであり、全体を平均する18か月齢であるとおっしゃいました。まさ に国の代表団の方のお言葉ですから、それと今回の動きが妙に符合するんです。  私たちはなぜそうなったのかが大変不思議でございますし、今はまだ行政の皆さんが 例えばSRMにしましてもピッシングなどの問題で汚染があると言われていて完全除去 がどうかわからないので、これからしっかり体制を見ていかなければならないと言って いる。我が国もまだその途上にあるわけです。  アメリカは、ましてや後から出てきた国です。発生した国です。一生懸命努力をすべ き段階にあるわけです。私たちは汚染国からまたそれを輸入するということがどういう 意味を持つのか。真剣にこの致死性の高いクロイルフェルト・ヤコブ病、かかったら 皆、死んでしまうわけですから、我が国に入れないために努力するべきだと思います。  業者の皆さんには日ごろお世話になっておりますが、余りそういうことをおっしゃい ますと、何もそんなものは食べなくても私たちはほかの肉を選べるとか、不買運動につ ながりかねないということを警鐘申し上げますし、また検査しないものが出てくるので あれば、これは検査せずという表示をしっかりやっていただきたいと思っております。 消費者の声としてどうぞお聞き止めください。 ○姫田情報官  どうもありがとうございます。お時間の方をよろしくお守りください。  それでは今、消費者の方々から、1つは私の方で答えないといけないと思うんですけ れども、文科省などと協力してきちんとした基礎教育をするべきではないかという御議 論がありました。それから2つ目として、これはお答えしていただければということで 考えたいと思いますけれども、民主党の方がアメリカのパッカーさんに見せてもらえな かったというようなこと。それから、企業としてリスクをどう分散するのかというよう なことで、もしお答えがあればお願いしたいと思います。  まず、私どもの方で文部科学省、厚生労働省、農林水産省と共同して食育というもの をやっております。それは、食の一般的な教育と、それから安全についての教育という ものがございます。そういうものを積極的に進めていこうということで、3省協力して 今さまざまな活動をしているところでございます。特に文科省も栄養教諭というような 制度を新たに設けてというようなこともしておりますし、我々3省協力して食育という ものを進めてまいりたいと思います。BSEそのものがどれだけ教えられるかというこ とはわかりませんが、安全ということに対してしっかりとした基礎知識を与えるという のが食育論の1つの目的ではございますので、考えてまいりたいと思います。  それでは、今お三方からお話がありました。それともう一つは消費者ばかりお話をさ れているではないかということもありますが、私は手を挙げた方を当てておりますの で、是非また手をお挙げいただきたいと思います。今のお三方の意見に対してのお答 え、あるいはそうではないよという意見の方、どうぞお手をお挙げください。 ○問  今日は消費者の皆さん、そしてまた食肉に関連する皆さんの御意見をお聞きしたわけ ですけれども、生産者の立場として一言申し上げさせていただきたいと思います。  大変、今、私ども生産者も元牛の高さで大変な経営を圧迫されようとしております。 そういった中で食品安全委員会等でもろもろあるわけで、それが論議されているわけで ございますけれども、ただ、先ほど20か月未満の検査につきましては今、生産者の中で はやはり私どもは20か月未満でも自主検査をして、自分たちの負担でも検査をしようと いう声があることも事実でございます。  今、アメリカの牛肉の解禁というようなところも当然私ども議論はしておりますし、 今日のお話の中にもそれありきではないかというような声もございますけれども、た だ、このBSE以来、生産者も消費者も食肉の皆さんも大変な苦労をしてその信頼を得 てきたわけです。ですから、私はもっと議論をしまして、本当に皆さんから理解を得ら れ、せっかく取り戻した信頼を損なわないように、本当に最後の最後まで話し合って事 の解決に当たっていただきたいと思っております。  今、自給率40%という中で、私はこのことにつきましては消費者の皆さんも国民全体 がこういうことをきっかけに議論すべきではないかと思っております。まとまりません が、私の考えを申し上げさせていただきました。 ○姫田情報官  どうもありがとうございました。では、前のお2人の方と、ちょっと意見が違いまし たので後でと言っておりました方と3人続けてお願いいたします。 ○柴崎氏  食品産業に従事しております柴崎と申します。  先ほど来、消費者の方を中心にして全頭検査継続すべしという御意見がございまし た。私は先ほども意見がございましたけれども、今回の委員会の中間とりまとめに明確 に出ております検査に限界説、更には検査は安全性の条件ではないということをやはり 尊重すべきである。そうだとすれば、何で全頭検査の必要があるのかということになろ うかと思います。したがいまして、20か月齢ということすらも、何で20か月に線を引く のということになってくるわけです。SRMを除去すればそれで安全が担保できるとい うことの結論であれば、やはり20か月ということに線を引くこと自体がおかしいし、こ れは別問題ではありますが、アメリカに20か月齢を要求するのも筋が違うということで あります。  全頭検査ということの言葉のマジックで皆さんが誤解をしており、世論をミスリード をしているということは、大変僣越ではありますが、皆さん方行政のPR不足であり、 説明責任を果たしていないと言ってもいいのではないか。極めて厳しいぶしつけな意見 ではありますが、このSRM除去イコール安全性を担保するということの意見を世論、 マスコミを通じまして是非伝達、PRを徹底をしていただきたいというのが私の意見で あります。 ○旦 エスフーズの旦と申します。  9か月間のアメリカからの停止措置によって、それまで入っておりました国内の在庫 もほとんどなくなってきたという環境で、業界全体が非常に疲弊しております。評価と いいますか、今までの対策についての見直しということで我々は期待をしておるわけで あります。当然、輸入再開につながるということを考えるのは当たり前の話でありま す。それで、これから省令の改正等が行われるとは思いますが、これについては今おっ しゃった方の意見も踏まえて、何も月齢について明確な線引きができないというのであ れば3年前、10月18日の全頭検査、全頭SRM除去の導入直前まで決まっていた24か月 齢以上の症例牛と30か月齢以上の全頭のスクリーニング検査という厚労省の基本方針に 戻ってもいいのではないか。それをもってやらなければ、貿易そのものが成り立たない と思います。  確かにそれぞれの国の措置のとり方があるとはおっしゃいましたけれども、中川局長 がおっしゃいましたように内外無差別ということであれば30か月齢以上の全頭検査を求 め、それからSRMの全頭除去を求めるということをひとつ国内対策の見直しとしてこ れから決められるのであればそのように進めていただきたいと思います。 ○玉谷氏  吉野家に勤めております玉谷と申します。  今日ここで申し上げたいことは、皆さん全頭検査がイコール安全であるというような 表現をものすごく使われているのではないか。実は熊本での意見交換会に私も出させて いただきましたけれども、そのときに生産者の方が、何で同居牛は処理するんだ。全頭 検査をしているからいいであろう。検査で白であればOKだろうという意見が出されま した。ここら辺も考えますと、検査をするから安全であるということが皆さんの中に染 み付いている。そのように信用され、そのように考えられているのではないかと思いま す。  ところが、検査をすることによって発見できる牛は50%以下であるということが出て いますし、それから若齢牛での検査の限界というものも出ております。そういう中で前 の2人の方と同じ意見になりますけれども、厚労省並びに農林水産省、行政当局として そこら辺はSRM除去でこそ安全が確保できて、それをサポートするのは検査であると いうことを是非国民の皆さんに説明していただきたいということが1点です。  次に、このBSE問題というのはただ一つの問題ではあるんですけれども、日本は食 料を約60%輸入に依存しております。現在とろうとしているBSEの対策が世界ではい まだに奇異である。全頭検査から例えば20か月に見直されたとしても、世界で取ってい る国は日本だけである。その中で、やはり食料の安全というのは世界共通のものである と認識しております。  そういう面では是非このBSEの対策についても、これは逆に食品安全委員会にもお 願いしたいことでありますし、寺田委員長もたしか9月9日の本委員会で、21か月、23 か月の増殖テストが出る前にリスク強化を是非やってくれということをおっしゃったよ うに感じます。ですから、食品安全委員会といたしましても21か月、23か月ではなく て、ヨーロッパの24か月、30か月、日本の20か月、その検査とSRMの除去とのリスク の大きさ、差というものを是非評価していただいて、できる限り早く検査を含めたBS E対策をつくり上げていただきたいと思います。以上です。 ○姫田情報官  どうもありがとうございました。  今までのところ、いわゆる全頭検査についての科学的根拠がないとか、それから安心 のためにやはり続けていくべきというような意見、あるいはSRMの除去が大切とか、 あるいはヨーロッパなどの国並みにする、あるいは当初の考え方の24か月齢とか30か月 齢での検査とSRMの完全な除去をしろというような御議論があったかと思います。あ るいは、そういう中で生産者の方からしっかりと話し合いを続けていくべきというよう なことを御議論いただいたかと思っております。  ここら辺りでとりあえずと言ったら何ですけれども、厚労省の方から少し御疑問など についての考え方をお聞かせ願いたいと思います。 ○道野課長補佐  それでは、御質問になられたことすべてについて上手に答えられるかどうかわかりま せんけれども、順番にお答えしたいと思います。  1つは、安全委員会の報告書という部分もあるので安全委員会からまた補足をしてい ただくのも結構だと思うのですけれども、まず安全委員会の報告書の中では検出限界以 下の牛を検査対象から除外するとしても、現在は全月齢の牛を対象としたSRM除去措 置を変更しなければ、それによりvCJDのリスクが増加することはないと考えられる といった評価がされているわけです。  それから、同じ報告書の中で、SRM除去は人のBSE感染リスクを低減するために 非常に有効な手段であるということで、SRM除去についての評価というのは皆さん議 論を待たないところだと思います。  それに加えて、やはりBSE検査についても感染牛をフードチェーンなりフィードチ ェーンに入れないようにするという観点から言えば、これについてもその意義が認めら れるということは報告書に記載されているとおりだと考えておりますし、その点につい ては平成13年に全頭検査と全頭のSRM除去を決めた際にもそういったことを考えてス タートしたわけです。  先ほどおっしゃった中に、例えば24か月齢以上の異常を持つ牛と、それから30か月齢 以上の健康牛について検査をすればいいというふうに当初、厚生労働省が考えていたと いう御指摘もあったわけですけれども、たしか10月の初めに方針を最終的に決めたわけ ですが、先ほどのプレゼンテーションの中にもありましたけれども、当時月齢が確実に 確認できないというようなこと、それからもう一つはBSEの最初の感染牛が見つかっ たということもあって、検査をした肉としていない肉が混ざって流通するということ自 体にさらなる強い不安が発生してくるのではないか。そういった懸念があって始めたこ とです。  それで、先ほど申し上げたように、検出限界の牛を検査対象から外すということにつ いて、リスクを増やさないという報告書が示されたわけでありまして、こういった全頭 検査をスタートしたという経緯も考えますと、やはり全頭検査の在り方ということにつ いてもこの機会に考えていくことはやはり必要なのではないかと私どもは考えておりま す。  20か月齢云々ということはさて置いても、イギリスで20か月齢の感染牛がいたではな いか。これは発症したものですけれども、結局当時で言うSBOというか、今で言うS RMのコントロールがされていなかった時代のものですので、それをもって議論をする ということはなかなか難しいと思います。今の日本は、そういう意味でいうとSRM除 去だとか飼料のコントロールというものがされているわけですから、それをもってどう かというのは別ではないかと思います。  それから検査方法について申し上げますと、それも先ほどプレゼンテーションで御紹 介したとおり、現時点では国際的に見ても感度の高い方法を使っているわけです。もち ろん一部の方法ではもっとよく検出できるよとおっしゃっている研究者の方もいらっし ゃいますけれども、現時点においてはまだそれは実用化もされていないですし、見通し も立っていないという段階なので、安全委員会の報告もそうですし、我々の議論も、現 時点で使うことが可能な検査の方法を前提に議論をするべきだろうと考えています。  それから、先ほどのグループではなくてもう少し前の段階で御指摘が出たところで1 つありましたのは、背割り前の脊髄の除去という問題です。これも平成13年の10月に全 頭検査を始めたわけですけれども、その後からいろいろなテレビ番組とかで背割りの際 に脊髄が飛び散っているのではないかという議論がございました。実際に調べてみる と、やはりほとんどは背骨を切っているので骨のくずが飛んでいるんですけれども、そ ういうふうな表現もあっていろいろな議論がありました。  それともう一つは、当時フランスとスペイン辺りでたしか背割り前に脊髄を除去して 背割りをしたらいいではないかということで、そういったことの義務化という議論があ ったと記憶しています。その中で、日本でも一部そういった機械の導入の可能性がある ということになりましたので、厚生労働科学研究の方で実際に事前に背割り前に除去を した場合と、それから除去をしない場合とで、それぞれ当時どれぐらい枝肉の汚染が発 生するのか。器具の汚染が発生するのかということについて、厚生労働科学研究の中で 評価をしました。 結果としては、高圧洗浄によってほとんどその効果は変わりはな い。ただ、事前に除去していくということは予防的観点と申し上げましたけれども、結 局あらかじめ除去しない方が後の洗浄に多少の問題が生じても大丈夫だろうという二重 三重のというか、予防的な観点から言えばそれは好ましいことだろうと判断をしまし て、私どもの方で言えば公営のと畜事業に対する補助事業という形で、導入されるとき には財政的なお手伝いをしますということで推進をしてきて、それが結果として9割と いうことです。  要するに、背割り前の脊髄除去を義務化して遵守率が9割ということではなくて、そ ういった推進という形でやってきた結果として現在9割というような状況になっている ということを御報告申し上げたという次第でございます。 ○広瀬課長補佐  皆さんの議論を聞いていて素朴な疑問を受けたのは、厚労省の資料の7ページにあり ます14番のスライドで今、道野補佐からも説明があったのですが、要するに検出限界以 下の牛を検査から除外してもvCJDのリスクが増えないというふうに報告されている のですけれども、どうも皆様方の議論を聞いていると、検査をやめることによってリス クが増えるというか、危なくなるというふうに考えておられている方が多いのかなとい う印象を受けました。  その辺について皆さんから意見があればおっしゃっていただきたいということと、リ スクが増えないというところについてもう少し安全委員会の村上課長からお話いただい てもいいかと考えておりますが、いかがでしょうか。 ○姫田情報官  では、とりあえず一番前の方からお願いして、その後に村上課長にお願いします。 ○山浦氏  今、広瀬さんがおっしゃった疑問というのは、食品安全委員会の報告書を読めば両方 必要だと言っているわけです。というのは、SRMの除去とかフィードバンの徹底とい ったことはできない可能性があるから、市場から異常プリオンを排除するためにはその 検査を徹底するということも必要だったんだ。それで、今後も必要だと言っているわけ です。つまり、リスクを低減するためには両方が必要だということだと思うんです。で すから、SRMの除去だけでいいということにはならないと思います。 ○姫田情報官  では、安全委員会の方からお願いします。 ○村上課長  余り付け加えることはないのですけれども、私どもの報告書の結論部分の中に、人へ の感染を起こすリスクは現在のSRM除去及びBSE検査によって効率的に排除されて いるものと推測されると結論の(1)に書いてありまして、やはりこの2つが相まって 効率的に排除されているものと推測されるというのが専門家の御結論だったのではない かと考えております。  その一方で、21か月齢以上の牛については現在の検査法によりBSEプリオンの存在 が確認される可能性があるという御指摘もあり、かつ350万頭に及ぶ検査によって21か 月齢以下の牛は確認できなかった。それから、21か月齢の牛の持っていたプリオン量が ほかの牛に比べて500分の1から1,000分の1と非常に微量だったということから考え て、今後のBSE対策を検討したらどうかという提言になっているということを繰り返 させていただきたいと思います。 ○姫田情報官  ありがとうございました。このままずっと議論を続けていてもなかなか…。 と言っ ても、しっかり議論しろというお話もございましたが、この辺りで全頭検査については ひとまず締めまして、この後、最後に全体を通してのお話をいただきたいと思います。 時間もかなりまいってきておりますので、すみませんが1人1分以内で先着7名様とい うことにさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。まず、初め ての方を優先したいと思います。 ○問  医薬品メーカーの者なんですけれども、今、食品ということで参考までに聞かせてい ただきたいのですが、今回のものについては食品のゼラチン関係と医薬品のゼラチン関 係という感じで参考に聞かせていただいたんですが、今回この場では関係ないとは思い ますけれども、医薬品と食品という意味で少し基準が違っていると考えておりますの で、同じ医薬品も食品というふうな形を継承して統一していただくような感じで考えて いただきたいと思います。  あとは、これは本当にこの場では申し上げてもしようがないと思うんですけれども、 医薬品に関するリスクコミュニケーションということでも厚労省の方にお願いしたいと 思います。以上です。 ○問  この問題は、厚生省も農林省もばったり行政からこういう問題が起こったと思うんで すが、BSEの問題が発生してから産地間の肉の値段が同じ等級の牛でも非常に違いま す。というのは、銘柄が確認された松坂牛と言われる三重県だけであっても松坂牛の地 域を一点に絞ったがために、そこから外れたところは今までの2分の1、そこに当ては まったところは倍もするという異常な事態が起こっています。  まして狂牛病が発生したときに、先ほども紹介されたと思うんですが、日本の和牛で は1頭も狂牛病が発生しておりません。全部もともとは外国から輸入された牛です。で すから、ばったり行政の中で全頭検査ということが始まったのですから、岐阜県のよう に全頭検査をやるという県とやらないところがあったのでは、また産地間の格差が出て しまって、生産者にはかなりの痛手だと思います。我々もBSEが出た当時、何千万と いう赤字を出しまして、農林水産省はとにかく月に1頭10万円の金を貸すからやめない でくれと言ったにもかかわらず、2年間でその金を返せと、そういうもうかる商売が世 の中にあるのならば栗本さんに教えてもらいたいです。実際に2年間で借りた金が返せ るのが現状なんですか。その辺のばったり行政が今のこういうBSEの問題を根深くし ているんだと私は思います。 ○亘氏  日本生態系農業協会の亘昌子です。  8月18日、また今日もございましたけれども、消費者のプロ目、プロの消費者目、サ イレントマジョリティこそ消費者だという御発言が大変高くございました。さて、その ことについてちょっとお尋ねしたいんですけれども、食品安全委員会のある方が消費者 団体は消費者とは認めていないんだという御発言があったように聞いております。そし て、サイレントマジョリティこそ消費者の消費者なんだという御発言も私の耳に聞こえ ておりますが、それは本当なんでしょうか。それが1点です。  2点は業界のリスク管理についてです。原料の原産地表示運動に十数年前に取り組み またときに、業界の方の最大の反論は自然環境や天候不順、その他政治的な問題も絡ん で生産業の多いA国、B国、C国、D国、E国と、さまざまなところでリスク管理をす るのが商人としての道徳であり、それなしに我が国におけるビジネスはあり得ないんだ という御発言がありました。牛に関しては一国だけにしがみつくのはいかがなものなの か、是非教えていただきたいと思います。 ○問  今、焼き肉業界で働いている者です。  お客様から、どうしても安心であったり安全という部分で質問されることが多いので すが、私は実家では牛乳屋をやっておりまして、牛乳を例に挙げますと、最初に事件が 出た後に、牛乳は安全ですと一言言っていただいたお陰で私の稼業の方はつぶれること なく続いています。今、焼き肉業界にいて、筋肉に関しては問題ないとこの前の食品安 全委員会の先生もおっしゃられていたんですけれども、牛乳でも可能性が全くないとい うわけではない。ただ、筋肉も同じくらい大丈夫ですということをおっしゃられていた のですが、そのことをもう少し強く消費者の方に訴えていただきたい。  今、焼き肉屋をやっている中では、どうしても肉を食べると危ないのではないかと言 われることが多いのですけれども、SRM以外を食べなければ問題ないんですというこ とや、BSE検査を通ってきている肉に関しては問題ないんですともう少し強く訴えて いただきいということがあります。以上です。 ○安田氏  安田です。日本の消費者が今、国内牛を安心して食べられるようになったのはフィー ドバンと、SRMの除去と、全頭検査と、この3点があって初めて安心して食べられる ようになったということは動かすべきではないということがまず第1点です。  それから、厚労省の御説明にありましたSRM除去の現状というところでお尋ねした いのは、特定部位の管理要領というふうに書いてありますが、これはガイドラインとい う意味ですか。私はこれは統一基準として、罰則のあるきちんとした基準として設定さ れなければ、SRMの除去をしているということの安心にはつながらない。そこは是非 とも基準にしてほしい。そして、それに伴う両輪として抜き打ちの査察を合わせて行う ことでSRMの除去は日本ではちゃんと行われていると初めて言えると思います。それ について是非導入をされる必要があると思います。これは、もちろん全頭検査をしての 上ですけれども。 ○高野氏  全国消団連の高野と申します。  厚生労働省の最後の方のまとめのところにありますように、安全委員会の見直しを遵 守するという形であるとすれば、先ほどからも出ていたようにSRMの除去、それから 全頭検査ということで、どちらも片方だけが突出してよくて、どちらかが補完だという ふうに私は考えておりませんので、どちらもそろってできる体制を続けていっていただ きたいと思います。これも確かに未来永劫ずっと続けていけばいいということではない と思いますが、今の時点でまだ2年、それからトレーサビリティ、中間とりまとめでも 指摘があるように、まだまだきちんとしていないものが多いという中では、体制をきち んとそろえてということで遅くないかと思います。  それから19日の共同通信のところで出ておりましたが、やはり最初に前段で言いまし たマスコミとか報道の在り方のところで、やっとリスクコミュニケーションでこれから というふうになっているにもかかわらず、もう決まったというような報道がなされる。 せっかくこれからいろいろな議論をしていきたいというところの気をそいでしまいます ので、きちんとした情報の在り方、またはここに来られない人たちへの報道ということ もきちんと気をつけていただきたいと思います。 ○山崎氏  全国消団連の山崎と申します。  今日の議論を聞いておりましての感想ですけれども、やはりどうしても輸入再開問題 ということがついて回っている議論だと思います。これについては今までたくさん述べ られておりますのでそのとおりだと思うんですけれども、行政の方では先ほど事務次官 の記者発表でも輸入問題とは別だと述べているというふうにお答えになっております。 インターネットで私も見ました。マスコミの方の聞き方も問題があろうかと思ったりも します。  しかしながら、結局私たちは食の安全・安心を求めているわけですけれども、こうし たコミュニケーションを続けていく中でますますその不安が増幅されているのではない か。安全・安心を求めながら、結局は不安が増大している。この会議が行われるごとに 新聞報道、マスコミでそういうことがされる。不安が増幅している。これについて、こ のまま私はやることをやっていますからということではなくて、政府として、あるいは 首相を含めてどうしていくんだということをきちんと表明されることが、この不安を解 消する重要な行政の役割だと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。 ○姫田情報官  どうもありがとうございました。  今いろいろありましたが、医薬品については後で直接担当とお話をお願いしたいと思 います。  それから、安全委員会ではサイレントマジョリティ云々ではなくて多分、今、来てお られる方が言ったわけではなさそうなので、後でもう一度安全委員会の方からどこかの 席でお答え願って、このホームページの議事録には載せさせていただきたいと思いま す。  それから、1つはSRMの管理基準がガイドラインかということ。それから、抜き打 ち検査が重要ということ。それから情報についてはまた最初の方に戻りますが、それは 最後の締めのところで外口部長なり中川局長からお話をさせていただければと思ってお りますので、SRMの除去について厚労省からお願いできますでしょうか。 ○道野補佐  SRMの除去のお話で、さっきの特定危険部位の管理要領の位置付けですけれども、 これは平成13年の10月にと畜情報の厚生労働省令に衛生管理基準というものがありま す。それは、と畜場の設置者に対する義務と、それからと畜業者、要するに処理の過程 でのいろいろな義務ということの内容を改正していまして、その中には箇所部分に汚染 をしないようにということが省令上規定されていますし、それから専用の廃棄容器に収 めてそれについて焼却をするということも義務化しているし、記録などの保存というこ とも義務化しています。それの運用面の解説というふうな位置付けと考えていただけれ ば結構だと思います。そういった意味で、SRMの管理については既に法律に基づく義 務ということで、制度として13年に導入したというふうに御理解いただければいいと思 います。  それから、若干ですけれども、医薬品と食品の基準の若干の違いがあるという点なの ですが、一般的な御説明としてはやはり医薬品につきましては特定成分の濃縮であると か、食品と違ってそういったことが行われる。それからもう一つは、投与の経路が経口 だけではなくて、要するに静注であるとか、そういったことも含めた浸襲経路というも のがかなりリスクを見込まれるような場合があるということで、基本的にそういった意 味合いが食品と医薬品で少し異なる部分がありますので、規制について異なっている部 分があるというふうに御理解いただければと思います。 ○姫田情報官  それでは、まだまだ御議論は続きそうなのですけれども、時間も大分過ぎてしまって おりますので、私の不手際でかなり延びてしまいましたことをおわび申し上げます。ま だ最後に中川局長からきちんと終わりのあいさつはしますが、その前に外口部長なり中 川局長から全体を通して、あるいは今、情報の提供の仕方等についても大分あったかと 思いますので、そういうことも踏まえてよろしくお願いします。 ○外口部長  情報の提供の仕方についてですけれども、私どもはウェブサイトを使ったり、いろい ろ工夫はしているつもりですが、やはりこれには限界がありますので、今日メディアの 方はたくさん来られています。是非解説記事をしっかり紙面を割いて書いていただける とありがたい。見出しと断片的な知見だけだとなかなかわかりにくいということがある んです。だから、解説記事で週末くらいにぼんと書いていただくとか、社説もすごく役 に立つので、そういうことをしていただけると私どもは大変ありがたいと思っておりま す。よろしくお願いいたします。 ○姫田情報官  それでは、この辺りで時間も大分過ぎましたので意見交換を終わりたいと思います。 マイクは司会の方に戻させていただきます。今日はどうもありがとうございました。 ○広瀬課長補佐  ありがとうございました。  それでは、最後に全体を通してということで中川局長からごあいさつをお願いしま す。 ○中川局長  まだ十分に意見交換ができたとは言いかねると思いますけれども、これからリスク管 理サイドが主催をして全国各地でこういった意見交換会を続けたいと思いますので、ま ずは今日のこの意見交換会を私が総括をしてごあいさつをさせていただきたいと思いま す。  今日の議論の中で、まず最初の方では今回の国内措置の見直しと、それからアメリカ からの牛肉の輸入再開問題について、その関係が非常に不透明だといった趣旨の御意見 がございました。むしろ私の方からここで強調させていただきたいのは、何よりもこの 食品安全委員会のリスク評価、それに基づきまして我々がこれからの措置を考えており ますのは繰り返させていただきますけれども、国内措置の見直しでございます。これに ついて具体的な方向が決まらない限りは、アメリカと私なり、あるいは隣にいる外口部 長が先頭に立って交渉をするベースがないわけであります。その点は何度も繰り返し申 し上げます。ここにマスコミの方もいらっしゃいますけれども、そういった点について も改めて正確に報道していただきたい。これはお願いを申し上げたいと思います。  まずは日本の国内について改善すべき点があるならば、その改善したものが決まって から、それをベースにしてアメリカの牛肉輸入についても国内と同等の措置を要求して いくということが基本でございます。  それからリスク管理、さまざまな国内の措置についての改善の方向についても御議論 がございました。特にBSEの検査については一番議論があったところでございます。 この点につきましては、食品安全委員会の中間取りまとめを十分尊重して、また今日の 皆様方、あるいはこれから意見交換を予定しておりますが、そういったところで出され る意見を十分踏まえて慎重に判断をしていくというのが私どもリスク管理サイドの姿勢 でございます。  それから、それ以外の、例えば私ども農林水産省で言えば飼料規制、えさのコントロ ールの在り方、あるいは厚生労働省が所管をしておりますと畜場でのそれ以外のリスク 管理措置につきましては、改善すべき点があるのであればそれをきちんと改善してい く。そのことによって、従来日本の国内でとってきていたリスク管理のレベルが更に上 がるわけです。例えばえさについて言いますと、配合飼料工場での抜き打ちの検査など も含めて措置はされておりますけれども、その川上の海外から入ってくるところ、川下 の販売ルートのところ、あるいは農家、農場での使用の面でのチェックといったところ は、正直言いましてまだ必ずしも十分ではなかった。その点については改めて見直し て、より強化をしていくことにしたいと思っております。同様に、と畜場においてもそ ういった改善措置を考えていくというのがこれからの方向でございます。  こういうことについてきちんとすれば、今よりもリスク管理のレベルは向上し、より リスクは低減をするということになります。BSEの検査のうち、一部分についてどう いう扱いをするかというところは更に検討をいたしますけれども、これも含めて全体と しての日本のBSE対策の質が上がるということを我々は目指して、そして見直しをし ていきたい。このことだけは繰り返し申し上げたいと思います。  そうして、よりレベルの上がったリスク管理措置をベースにしてアメリカとの交渉に 当たるということが私どもの姿勢でございます。この点については、本当に誤解がない ように是非消費者の方々、それから生産者、流通業界あるいは食品産業に携わっておら れる方々にもご理解いただきたいと思います。リスク管理官庁である、厚生労働省、農 水省の基本的な考え方は一致をしておりますで、この点を強調させていただいて今日の ごあいさつにさせていただきます。本当に今日はありがとうございました。