04/08/06 平成16年8月6日「食品に関するリスクコミュニケーション(リスク分析 の概念を踏まえた食品安全行政の取組や健康食品についての意見交換会)」 議事録            食品に関するリスクコミュニケーション  リスク分析の概念を踏まえた食品安全行政の取組や健康食品についての意見交換会    日時  平成16年8月6日(金) 13:00〜    場所  南海放送本町会館 キャッスルホール(松山市本町1丁目1−1) 1 開会                                 午後1時 開会  司会(橋本麻衣子)  ただいまから食品に関するリスクコミュニケーションを開催したいと思います。  私は、本日司会を務めさせていただきます愛媛県保健福祉部健康衛生局薬務衛生課・ 橋本麻衣子と申します。よろしくお願い申し上げます。(拍手)   配付資料の確認  初めに、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。  資料1、食のリスク分析の枠組と食品安全委員会の取組について。  資料2、「健康食品」の賢い使い方  資料3、食品に関するリスクコミュニケーションにおける事前意見・質問について。    資料4、愛媛県の食の安全・安心確保の取り組みについて。  資料5、松山市の食の安全確保の取り組みについて。  参考資料といたしまして、食品の安全確保に関する取組。食品の安全性に関する用語 集。食の安全・安心のための政策大綱。食の安全・安心トピックス。安心を食べてほし いから。見守っています、食の安全というパンフレット。遺伝子組換え食品の安全性に ついてというパンフレット。食生活指針についてというパンフレット。  以上でございますが、不足等ございましたら、事務局もしくは受付までお申し出くだ さい。  続きまして、簡単に本日の議事進行を紹介させていただきます。  まず愛媛県知事よりご挨拶を申し上げた後、基調講演として食のリスク分析の枠組と 食品安全委員会の取組について、というタイトルで、内閣府食品安全委員会 寺尾允男 委員よりご講演いただきます。所要時間は、40分程度を予定いたしております。  続きまして、「健康食品」の賢い使い方、につきまして独立行政法人国立健康栄養研 究所健康影響評価研究室 梅垣敬三室長よりご講演いただきます。所要時間は40分程度 を予定いたしております。  ここで10分間の休憩をいただき、2時40分をめどにパネルディスカッションに移らせ ていただき、その後、全体についての意見交換を行うこととしております。  なお、会場の都合上、午後4時30分ころには終了させていただきたいと存じますの で、あらかじめご了承いただきたく存じます。  それでは、愛媛県知事お願いいたします。 2 知事挨拶  愛媛県知事代理・藤岡 澄 保健福祉部長  皆さんこんにちは。愛媛県保健福祉部長の藤岡でございます。多くの方にお集まりい ただきまして、本当にありがとうございます。  開催県といたしまして、知事の参加を計画しておりましたが、日程の都合上私が代わ って参っております。知事の挨拶を託されておりますので、お許しをいただいて私のほ うからお伝えをさせていただきます。                ‥‥知事挨拶 代読‥‥  本日、多数の皆様方のご出席をいただき、食品に関するリスクコミュニケーション が、厚生労働省を初め、政府関係機関とともに盛大に開催できますことを、大変うれし く存じております。  平素、皆様方には、県政の推進に格別のご理解とご協力を賜っており、厚くお礼申し 上げます。  さて、近年BSEや高病原性鳥インフルエンザの発生、食肉の偽装表示など、食品に対 する信頼を損なうような問題が相次いで発生し、食の安全・安心に対する国民の関心が 大いに高まっており、本県におきましても、食に対する県民の信頼を回復し、食の安全 を確保していくことが重要な課題となっております。このような中、国におかれまして は、食品関連事業者、消費者、行政、そして専門家の方々が情報や意見を交換し、食の 安全の確保についての理解や信頼関係を深めるリスクコミュニケーションに取り組まれ るなど、各種の施策を推進されており、誠に心強く存じております。  愛媛県におきましては、昨年設置したえひめ食の安全・安心推進本部を中心に、生産 から流通、消費に至るまでの各段階において、県民に安全・安心な食品を提供していく ため、関係部局が一丸となってさまざまな施策を推進しているところであります。  そしてこのたび、本県で多くの関係者の方々が一堂に会し、このように意見を交換す る機会を持つことができますことは大変意義深く、県といたしましても、皆様方のご意 見を今後の 施策に反映してまいりたいと考えております。  どうか皆様方には、この機会に食の安全・安心に関する理解をさらに深めていただき ますとともに、自由で活発な討議をしていただくようお願い申し上げます。  終わりになりましたが、開催に当たり格別のご尽力をいただきました関係者の方々に 厚くお礼を申し上げますとともに、ご参集の皆様方のご健勝、ご活躍をお祈り申し上げ まして挨拶といたします。       平成16年8月6日                      愛媛県知事 加戸守行  代読をさせていただきました。(拍手)  本日は、ご苦労さまです。しっかり勉強いたしましょう。どうぞよろしくお願いいた します。  司会(橋本麻衣子)  ありがとうございました。  続きまして、内閣府食品安全委員会寺尾先生より「食のリスク分析の枠組と食品安全 委員会の取組について」ご講演いただきたいと思います。  寺尾委員は、東京大学大学院化学系研究科薬学専門課程を修了、東京大学薬学部助教 授、国立医薬品食品衛生研究所所長等を歴任され、昨年7月に内閣府食品安全委員会の 委員に就任されました。  寺尾先生、よろしくお願いいたします。 3 基調講演(1) 食のリスク分析の枠組と食品安全委員会の取組について            内閣府食品安全委員会  寺尾 允男  ただいまご紹介いただきました食品安全委員会の委員をやっております寺尾でござい ます。  本日は、私の演題は「食のリスク分析の枠組と食品安全委員会の取組について」とい うふうになっております。  この食のリスク分析というのは、多分皆様方あまり聞きなれないような言葉だろうと 思いますけれども、これは言葉といたしましては、食品安全行政の枠組みというような 言葉に置きかえていただいても、全然問題がないというふうに思っております。  我が国では、昨年7月から食の安全行政の体制が、それまでとは大きく変わっており ます。これは食品安全基本法というものが、昨年の5月に議員立法で成立いたしまし て、その施行が7月から始まりまして、この法律に基づきまして、食品安全委員会とい うものが内閣府の中に設置されました。これまで厚生労働省あるいは農林水産省で行わ れてまいりました食の安全性の評価の部分ですね、管理の部分というのではなくて、評 価の部分を管理の部分と切り離しまして、この独立した食品安全委員会というところで 評価だけを行うという、そういう体制をつくったわけでございます。  この新しい体制は、昨年7月1日から始まったわけですけれども、もうすでに1年た ったわけですけれども、これはなかなか国民の皆様方の間では浸透していかないという ところがございます。いろいろな調査を見ましても、国民の皆様方の大部分の方は、食 品安全委員会という評価をやるその機関の存在すら聞いたことがないという方が非常に 多いということでございます。私ども国民の皆様方が日ごろ食べておいでの食品につき まして、安心していただくためにも、どうしてもこれ我が国の食品安全行政、安全確保 行政全体についてご理解をいただきまして、食品安全委員会はもとより、食の安全確保 行政全体を信頼していただくということが非常に大切であると思っております。  そういうわけで、これまでにも本日のような、こういう意見交換会に出席いたしまし て、これは全国でいろいろ行われているわけでございますけれども、そういうところに 出かけて行きまして、説明をしてまいっております。  そういうようなわけでございまして、本日の私の話もこれまであちらこちらでお話を してきたことの内容とほぼ同じことを、また繰り返すということになりますけれども、 もしかしたら、この会場の中にも、その話だったら以前どこかで聞いたことがあるぞ、 というような方がいらっしゃるかもしれませんけど、もしそういう方がいらっしゃいま したらお許し願いたいと思います。  次のスライドをお願いいたします。 ◇‥まず、話に入る前に、ちょっと説明しなければいけないことがあるんですけれど も、食品に含まれる危害要因が最近は非常に多様化してきておりまして、なおかつ複雑 化してきているということが言えると思います。 ◇‥これはどういうことかといいますと、今、科学が非常に進歩しまして、一方で利便 性を追求するというような要求が非常に高まってくるというわけで、これに伴いまし て、添加物にいたしましても農薬にいたしましても、次から次へと新しい物が開発され てきて、使われるようになるというようなこと。それから、バイオ技術の応用が盛んに なる。このバイオ技術というのは、遺伝子組み換え食品が代表的なものでございますけ れども、そういうような今までなかったような性質を持ったような食品が登場してくる というようなこと。  それから、ちょっと話は毛色が変わるんですけども、今、食のグローバル化によりま して、輸入食品が非常に増加してきているということ。これはご存じのように、我が国 はカロリーベースで自給率が40%ぐらい、約40%ということになっておりまして、60% は外国から輸入してくるわけですけれども、その輸出先においてどういうような安全性 に関します管理がなされているかということがなかなか見えないということでありまし て。我々日本人の間では、輸入食品というのは本当に大丈夫だろうかというような不安 が非常に高まってきているというようなことです。  こういうようないろいろな物が入ってくるわけですけども、必ずしもいろいろな危害 要因が増えたから、危害がそれに伴ってその割合で増えるという話ではありませんの で、もしかしたらそれほど心配することはない、むしろ危害そのものは昔に比べたら少 なくなっているんではないかなというふうには考えられますけれども、要因といたしま しては、何か害になる可能性のあるものという種類とか、そういうものにつきまして は、昔に比べたら非常に増えているということですね。  それから、2番目のところに、新たな危害要因の発生ということが書いてございまし て、これは人獣共通感染症が起きているということであります。代表的な例は、今盛ん に議論されておりますけども、牛肉の問題、BSEの問題ですね。こういうような今まで そういう異常のプリオンによって牛を介して人が感染するというような、そういう事態 というものがなかったわけですけれども、ここ10数年前からこういうようなものが世界 的に大きな問題になりつつあるということです。  それから、次に書いてあります高病原性鳥インフルエンザが書いてございますけれど も、これは食を介してこの鳥のインフルエンザが、今の時点で食を介してインフルエン ザが人に移るというようなことは心配しなくていいと思うんですけれども、こういうも のも非常に高病原性のインフルエンザが世界的にあちこちで感染例が起きてきますと、 いつか人に感染するように変異を起こす可能性があるという、そういうような恐れがあ るというようなことです。  それから、その次に書いてあります、変異あるいは常在菌による食中毒ということ で、この腸管出血性大腸菌O157というやつは、これは以前は知られていなかったわけで すけれども、やはり最近10何年前か、正確なことはちょっとわかりませんけれども、日 本では堺市で集団食中毒事件が起きたように、非常に我が国でも問題になってきてい る。これは新しいタイプの変異を起こした病原菌であるということ。あとは以前からあ りますカンピロバクターとかいろいろこういうものがありますけれども、こういうよう なものがだんだん広まってきているということです。  それから、3番目に分析技術の向上ということを挙げておきましたけども、これは危 害要因という話とちょっと視点が違いますけれども、科学技術の進歩によりまして、化 学物質の検出感度が非常に上昇してきておりまして、例えば発ガン性物質ですと、その 食品の中に発ガン性のある例えば農薬とかそういうものがあったとき、添加物でもいい んですけれども、存在してはならないというような規定になっていて、その当時、それ を決めた時点においては確かにその当時の分析技術では、確かに存在しないということ が証明できても、今の技術を用いますと、さらに微量のものが検出できるようになって きておりますので、やはりあるではないかというような話になります。規定として残留 がゼロであるというような規定の仕方というのは、非常に非現実的な状況になってき て、これは将来どういうふうにしていったらいいかというような問題も残るというわけ です。  このように、食品に含まれます危害要因が非常に多様化すると同時に、複雑になって きているということでありまして、2001年の9月、BSEが我が国で最初に見つかったそ の事件を契機といたしまして、食品安全基本法というものが制定されました。  次、お願いいたします。 ◇‥この我が国の食品の食の安全確保行政というものは、今では食品安全基本法という ものをもとにいたしましてすべてが決められていて、行われているということでありま すので、この食品安全基本法のポイントというものを少しご説明申し上げたいと思いま す。  基本理念といたしまして、これは非常にここは大事なとこなんですけども、国民の健 康の保護が最も重要であるという基本的な認識のもとに必要な措置を実施するというこ と。  とにかく国民の健康保護がまず最優先であるというのをまず第1の基本理念としてい るということ。  それから食品の供給行程の各段階において安全性を確保しろということがうたわれて いるということですね。食品供給行程の各段階というのは、生産段階から消費の段階に 至るまで幾つかの行程があると思いますけれども、その各段階において安全性を確保し なければいけない。つまり、最終的な消費の段階において、その食品が安全であればそ れで構わないんだというような、そういう考えはとらないということであります。  それからもう一つは、国際的な動向及び国民の意見に十分配慮して、科学的な知見に 基づき必要な措置を実施するというようなことが基本理念としてうたわれているという ことであります。  この食品安全基本法は、関係者の責務・役割というものもちゃんといろいろ書かれて おりまして、例えばこの最後のところに、消費者の役割、これは責務ではなくて役割で すけれども、役割というものが書かれておりまして、消費者は食の安全に関しまして知 識を十分に蓄えて理解を深めなきゃいかん。それから、積極的にその安全確保に対して 意見を言う必要があるとか、役割というものがうたわれております。  ですから、消費者も食の安全確保に対しては一翼を担って当事者であるという認識を 持って当たらなければいけないということをうたっていると思います。  それで、さらに施策の策定に係る基本的な方針ということがあるんですけども、そこ を見ますと、リスク分析手法を導入しろというわけです。これはリスク分析手法という のは一体何なんだということをよく言われまして、非常に聞きなれない言葉でありまし て、これはこの後ご説明申し上げますけれども、こういうリスク分析手法というも作っ て導入しろということであります。  それにはリスクの評価を行うということ。それから、リスク評価の結果に基づきまし て、施策を策定していけと。それから、同時にリスクコミュニケーションを十分に行え というようなことが書かれているわけです。それと同時に、この食品安全基本法の中に は、食品安全委員会というものを設置して、このリスク評価を行う機関として食品安全 委員会を設置しろということがうたわれておりまして、このリスクの評価を行うところ とリスクの管理、つまり施策を策定してリスクの管理を行うところというのは、切り離 しておのおの独立したところで行えということがうたわれているということです。  次のスライドをお願いいたします。 ◇‥それで、そのリスク分析というちょっと聞きなれない言葉をご説明申し上げますけ れども、まず、リスクとは何かということなんですけども、リスクというのは、食品が 有する危害、つまり、これは食品の中に入っている何か健康に悪影響を及ぼすような物 質と考えていただいていいと思いますけど、物質あるいは微生物でもいいんですけれど も、とにかくそういうようなものである。そういうようなものが入っている場合に、そ れが入っているために、我々がその食品を食べたために、どのくらいの確率でその危害 を受けるか。あるいはその程度というのが、ただ単に下痢をするとか、少し体調を崩す とかいうことなのか、あるいは命を落とすような事態になるのか。その危害の程度を示 すものであるというふうに定義されております。  それでは、リスク分析というのは何かといいますと、ただ単に、このようなリスクを 分析して、どのくらいの確率でどの程度体に影響が出ますよということだけを調べれ ば、検討すればいいのかといいますと、それは今ここで言っておりますリスク分析とい うのは、それだけではありませんで、その食品の摂取により健康に悪影響が生ずる可能 性がある場合に、可能な範囲でその悪影響の起きるリスクを回避または最少にするとい うことを目的として実施するシステムであるということでありまして、つまり、分析を しっ放しで終わりという話ではなくて、ちゃんと管理のところでも、リスクを回避また は最少にするような管理をすることまで含めたものがリスク分析ということでありま す。  結局、このリスク分析というのは、現在は3つのプロセスから成り立っているという ふうに、これは国際的に共通認識になっておりまして、一つがリスク評価であるという こと。もう一つがリスク管理であるということ。それから、このリスク評価あるいはリ スク管理を国民全体によく説明をして、双方向で意見の交換をするというリスクコミュ ニケーションですね、この3つから成り立っているというふうになっております。  このリスク評価を行うところが食品安全委員会でありまして、リスク管理を行う機関 が厚生労働省とか農林水産省であると。で、リスクコミュニケーションというのは、当 然のことながらこの食品安全委員会も厚生労働省も農林水産省も、おのおの自分の守備 範囲、責任範囲について十分に国民の皆様方と意見の交換をして、認識を共有するとい う必要があるということであります。  次、お願いいたします。 ◇‥これは体制全体、食品安全確保行政全体を示したものがこの図でありまして、ここ に食品安全委員会がありまして、ここが今申し上げましたように、リスクの評価をや る。それからリスクのコミュニケーションをやるという責任があるというわけですね。 この厚生労働省あるいは農林水産省というのは、リスクの管理機関ということでありま して、この食品安全委員会で行いましたリスク評価に基づきまして、どうしたらそのリ スクを回避することができるか、あるいは低減することができるかというような、そう いう施策を考えるところであるとご理解いただければと思います。  それで、普通の場合は農薬にいたしましても、食品添加物にいたしましても、動物用 医薬品にいたしましても、その認可を求める場合には、厚生労働省あるいは農林水産 省、その物によって違うわけですけれども、ここに申請が出されるわけですね、いろい ろの資料とともに。  そうしましたら、厚生労働省とか、あるいは農林水産省は、安全性の評価の部分だけ の資料をつけて、安全委員会の中にその安全性の評価、リスク評価、いろいろの言葉が ありますけど、同じ意味です。健康影響評価とも言いますけれども、こういうような評 価を求めるということが決まりになっております。当然ここで評価した結果は、こちら に諮問に応じまして答申という格好でこちらに返す義務があるということになります。  この図は非常に誤解を招く図でありまして、実はここのところに食品安全委員会、当 然これは私どものスライドですから、ここのところに置くことになるんですけれども、 そうしますと、世の中の方は、何か厚生労働省とか農林水産省より一段上のところにこ の委員会があるんではないかというふうに誤解をされる方が多いんですけど、これは別 に上に書いてあるから、これはこういう機関より上位にあるという話ではありません で、ここは評価をするところであり、こっちは管理をするところでありまして、これは 何と言うか、横並びとお考えいただければよろしいかと思います。  ただ唯一違うところは、ここに勧告という言葉がありますけれども、これは評価を行 ってそれに基づいて厚生労働省とかあるいは農林水産省がどういうふうに管理するかと いうことをお決めになったときに、それが我々のほうの評価と非常に違いがあるような 場合には、それは違うんではないか、というような勧告をすることができるという権限 を持っているということだけであります。あとは担当大臣がいて、厚生労働省にも農林 水産省にもそれぞれ担当大臣がいらっしゃいますけれども、私どものほうにも食品安全 担当大臣というのがいるということであります。  次お願いいたします。 ◇‥ということで、これから食品安全委員会の機能、それから今まで何をやってきたか というようなことをちょっとご説明申し上げますけれども。食品安全委員会というの は、何分にも委員は7人しかおりません。それであらゆる問題につきまして、この7人 で1から始めて評価をするというのは至難の業でありますし、非常に効率が悪いという ことがあります。そこで、委員会の下にいろいろの専門調査会というものをつくってご ざいまして、全部で16専門調査会がございます。企画専門調査会、リスクコミュニケー ション専門調査会、緊急時対応専門調査会、それからあといろいろの物質の仕分けによ りまして、添加物であるとか農薬とか、こういうものの安全性を専門に審議するような 専門調査会というものがありまして、ここは13あるということになります。  それで、まずはここで評価をして出た結論につきまして、後で申し上げますけれど も、これはいきなりこちらに上がってくるわけではありませんで、一度パブリックコメ ントと言って、最終決定をする前に、世の中の方からいろいろな意見を伺って、それで この専門調査会での評価、もし意見が出てきて非常にもっともなご意見であるという話 であれば、ここでもう一度その評価のあれを修正をして、この食品安全委員会に上げ て、ここで最終的にその専門調査会の結論について検討をして最終決定をして、これを 諮問機関にお渡しをすると、答申という形で農水省あるいは厚生労働省にお渡しすると いう、そういう仕組みになっております。  次、お願いいたします。 ◇‥食品安全委員会の役割というのは何かといいますと、今、大分申し上げたわけです けど、一番の大事なあれは食のリスク評価であるということです。これは法律、食品安 全基本法では、食品健康影響評価という言葉で書いてありますので、そういう言葉を使 ってありますけれども、とにかくリスク評価を行うということでありまして、ここにご ざいますように、食を介して入ってくる可能性のある化学物質や微生物等の要因につい て、その健康に及ぼす悪影響のリスクを科学的な知見に基づきまして、客観的かつ中立 公正に評価する。つまり、科学的な知見に基づくで、科学的なデータに基づきまして、 中立公正に評価をするということが大事であるということ、これが食品安全委員会の役 割の一番大きなものですね。  それからもう一つは、先ほどから申し上げておりますリスクコミュニケーションとい うものでありまして、リスク評価の内容等に関して、消費者、食品関連事業者など、関 係者相互間における幅広い情報や意見の交換を、これらの意見交換会、本日のようなこ ういうあれですね。あるいはホームページ等を通じて行っているということでありまし て。  これは意見の交換でありますので、これは一方的に我々のほうから消費者あるいは食 品関連事業者のほうに情報を流すという話でありませんで、その流した情報に対して何 かいろいろな意見があったら、当然こちら側からも我々のほうにいろいろなことを言っ ていただくということが大事であるということであります。  リスクコミュニケーションというのはなかなか1年間やってまいりましてうまくいか ないというか、非常に難しいところがあるんですけれども、これは今まで我々日本人は 余り慣れていないようなものでありますので、地道に我々も努力をして、国民の皆様も 非常にこういうものをご理解いただいて、意見をどんどん言っていただければ非常に幸 いであります。  それからもう一つは、緊急の事態への対応ということでありまして、これは何か食を 介して大きな事件が発生した場合には、国全体でもって対応しなければいけないという ようなことも起こり得るわけでありまして。そういう場合には私ども食品安全委員会が 事務局的な役割を担って、いろんな情報を、国の内外から情報を広く集めて、関係各省 との連携によりましてそういう事態に対応するということ。それと同時に国民の皆様方 に情報を提供するというような役割を担っているということです。  幸いなことに、このような事態がまだ発足以来1年1カ月ほどたっていますけれど も、まだそういう事態に一度も遭遇したことがないということであります。  次お願いいたします。 ◇‥それで、では能書きばかり言っていて、じゃ何をやったんだという話になりますけ れども、今までに厚生労働省あるいは農林水産省から、全部で296品目につきまして、 諮問を受けております。そのうちの評価が終了したものが90というわけで、まだ3分の 1しかやっていないではないかというおしかりを受ける可能性があるんですけれども、 実を言いますと、ここのところに120とか49とかという非常に大きな数字が出ておりま すけれども、これの数字の大部分は、飲料水に含まれてまいります農薬あるいは汚染物 質、これは今の飲料水の規格の中に、非常にたくさんの農薬とか汚染物質があるんです けれども、そんな規格を見直すという、これは飲料水の規格が変わるということで見直 さなければいけないわけで、一遍にこれが飲料水の農薬が93ぐらいだったですか、汚染 物質が46〜7ありまして、この大部分は一度にどんと私どものほうに諮問が来まして、 実を言いますと、これだけたくさんありますと、委員会で議論するための資料を整える のに非常に時間がかかるので、まだこれはほとんど終わっていないということでありま して、ここの占める割合が非常に大きいということであります。  ですから、ほかの、このうちの半分ぐらいはそういう特殊な事情で来ているものであ りまして、1年たってかなりのスピードで作業をこなしているということも言えるよう な、言えなくもないということであります。  次、お願いいたします。 ◇‥それで、今のやつは食品の健康影響評価、リスク評価の話ですけれども、じゃ、実 際にリスク評価というのはどういうふうにしてやるんだということを、一つだけ。農薬 を、これは食品添加物でも同じでございますけれども、こういうふうにしてやるんだと いうことをご紹介いたします。  あるいはご存じの方は非常に詳しくご存じの方も多いと思いますけれども、一応説明 させていただきますと、新しい農薬は、これは日本で使うという場合、申請が出される わけでございますけども。そうしますと、安全性に関しましては、いろいろの動物を使 いました毒性試験というもののデータがついてまいります。その毒性試験というのは、 ガイドラインがありますから、そこにいろいろのこういう試験をやりなさいというよう な、いっぱい毒性試験の種類の異なる毒性試験がありますね。急性毒性試験とか反復投 与毒性試験、急性毒性というのは、大量を一度に与えてすぐにどういう変化が起きるか ということを見る。反復投与毒性試験というのは、比較的少ない量を長期にわたって動 物に食べさせて、有害作用が出るかどうかというようなこと。それから、発ガン性試 験、これもガンが出るか出ないかということですから、長期にわたって試験をやる。あ と変異原性試験、遺伝子に何か傷をつけるかどうかというふうな試験、それから催奇形 性を起こすかどうかというような試験、それから体内でどういうふうに代謝されるかと いう、こういうもろもろの毒性試験の一連の試験の結果が動物について付いてまいりま す。  この試験の結果を見まして、どこまで投与量をおさめていったらば、これ以下であれ ばもう副作用といいましょうか、毒性が出ないという、そういうレベルを探します。つ まり、毒性試験の結果に基づきまして、定められる有害な作用を示さない物質の最大量 ということで、もうこれ以下だったら大丈夫ですよと、一生食べても大丈夫ですよとい う、その量を出すわけですね。これが無毒性量、NOAELという言葉で呼んでおりますけ れども、そういうものを出すわけです。  次、お願いいたします。 ◇‥それでは、この動物の試験の結果をどういうふうにして人に外挿していくかという ことなんですけれども、今、出しました無毒性量から人への外挿量というものを出しま すけれども、それが1日摂取許容量ADIというものを設定いたします。これは動物試験 から出すわけですから、当然それなりの動物の結果を人に外挿するということがありま すので、安全係数というものを使います。安全係数は通常動物から人へということで、 これはまず10倍、10を掛けたり、10という数字を持ってきます。それから、人は非常に 遺伝的にいろいろなタイプの人がありますから、代謝形が違うとかいろいろある意味で はまちまち、個人差が大きいですから、これも10といたしまして、10掛ける10で安全係 数を100とする。通常は100とするのが一般の習わしなんですけれども、この係数を使い まして、無毒性量をこの安全係数で割るという、100で割るということですね。で、こ の1日摂取許容量というものを定めると。この1日許容摂取量というのはどういうもの かといいますと、認められるような健康上のリスクを伴わず、人が生涯にわたって毎日 摂取することのできる体重1kg当たりの量という、こういうものですけれども、こうい うADIという数字を出すという。ここまでが農薬に関しましては、食品安全委員会が責 任を持ってやるということであります。  この値を、ADIをもとにしまして、リスク管理機関、農薬の場合もありますし、食品 添加物の場合もありますけども、これは厚生労働省あるいは農林水産省が使用基準とい うものを設定するということですね。使用基準の場合、農薬ですとどういう農作物に対 して残留基準値をどのくらいということで、1種類の農薬がいろいろの野菜とか果物と か、お米とか、そういうものに使われますので、そういうものを全部平均的に食べた場 合にも、そのトータルの額でその農薬がADIを超えないように残量基準値を決めるとい う、これが行政といいましょうか、管理機関の対応ということになります。  次、お願いいたします。 ◇‥以上がリスク評価の話でございますけど、今度はリスクコミュニケーションという ことで、今、我々いろいろのことをこれまでもやってきているわけでございますけれど も、リスクコミュニケーションいろいろの取り組み方がありますけど、1つは委員会は 原則公開で行うということであります。  ですから、食品安全委員会は毎週木曜日2時からやっておりますけれども、これはど なたでもおいでいただければお聞きになることができるということであります。当然こ れはその後議事録というものをつくりますけれども、これも私どものホームページで公 開しております。  それから、ここは食品健康影響評価等に関して、国民一般からの意見、情報の募集と いうことでございますけれども、これは先ほど申しましたように、専門調査会で専門家 が決めた、決めたといいましょうか、出した結論につきまして、国民一般の方からいろ いろ議論とか賛成、反対いろいろあると思いますけれども、そういうようなご意見を伺 うということを行っております。  これは原則すべての専門調査会で行うものにつきましては、すべてのものについて公 開すると。非常に緊急な場合には省くと言いましょうか、ゆっくりここで意見を聞いて いるっていうことのできない場合もありますけども、普通の場合はこれは意見は必ず聞 くことになっております。今年の7月5日まで、つまり、1年ぐらいたったところで41 件を聞いていまして、あと、食の安全に関する意見交換会という、このような意見交換 会を全国の主要な都市で行ってきておりまして、今までに48回行ってきておるというこ とであります。  それからもう一つ、ここに私ども食の安全ダイヤルという電話窓口が設置されており まして、電話番号はここに書いてありますけども、ここにいろいろなご質問とかご意見 でも、何でもいいんですけれども、何かございましたらここにお電話いただければ、必 ず対応するようにしております。  ただ、残念なことに、これはフリーダイヤルではありませんので、フリーダイヤルに しろという声も非常に強いんですけども、なかなか予算の関係でそういうこともできま せんので、一応お掛けになった方の電話代負担ということでお電話いただくということ になっておりますので、積極的にご利用いただけると思います。  次、お願いいたします。 ◇‥それから、3番目の役割といたしまして、緊急事態の対応ということでございます けれども、これは簡単に申しますけれども、今、食品安全関係府省緊急時対応基本要綱 というのと、それから食品安全委員会緊急時対応基本指針と、この2つの要綱と指針1 つずつをつくってございまして、いろいろな府省を横断的に対応しなきゃいけないもの は、ここに書いてあるマニュアルに従いまして、行動をする。  それから、食品安全委員会の中だけで何か緊急時にやらなきゃいけないようなことが 起きた場合には、こっちの基本指針にのっとって、ここに書いてあるマニュアルに従っ て我々が対応するという、そういう次第になっております。  次、お願いいたします。 ◇‥それから、実を言うと、今日、実はプリオン専門調査会というものが私どもの専門 調査会の中にありまして、日本のBSEの問題全般につきましての議論をずうっと2月か らやっておりまして、いよいよ大詰めに非常に近づいておりまして、実を言いますと、 今日5時からプリオン専門調査会、今日で12回目か13回目になりますけれども、やるこ とになっておりますけれども。このBSEのことについてご説明をしたいと思います。  BSEというのはご存じのように、プリオンというタンパクがありまして、これは我々 人間でも牛やほ乳動物、その正常プリオンというのがあって、そういうのは必ず持って いるんですけれども、その正常プリオンが何か異常になってしまうと、突然クロイッツ フェルト・ヤコブ病というものが起きるという話。問題は、この異常プリオンが、牛が そういう異常プリオンを持った場合に、ある特定の分野を取りますと、人間に感染をす るという、そういうやっかいなものになるわけです。  どういう状況なのかといいますと、大体、牛がBSEを発症しまして、これは異常プリ オンを非常にからだの中に蓄えて発症するわけですけど、それからつくった肉骨粉とい うものを、多分子供のときということなんですけども、仔牛のときにそれを食べさせま すと、そうしますと感染をするわけですね。で、ずうっと生きているわけですけども、 まあ平均5年ぐらい経ちますと、その食べた感染をした異常プリオンというのが増えて きまして、脳のところで非常に増えて、ここでBSEというものを発症する。ですから、 検査ではこの脳を使って検査をするわけですけれども、ここで脳を使って検査するんだ けれども、どんな牛でも感染していれば必ず脳で感染が発見できるかというと、そうで はありませんで、発症を起こす数カ月前、多分数カ月前ぐらいに非常に急速に増えてき て、ここの数カ月前の脳しか今の検査法では検査が不可能、見つけ出すことができない わけです。  ですから、感染して潜伏期間がこの期間ずうっとあるわけですけども、この間幾ら検 査をしても見つけ出すことができないという、非常にやっかいな問題になっておりま す。  次、お願いいたします。 ◇‥問題は、ここ口から入って回腸の遠位部、この特殊な腸の構造をしているところ、 ここから多分感染といいましょうか、異常タンパクが入っていって、非常に長い、数年 かかってここに移ってきて、ここで非常にたくさん異常プリオンが集まってというか、 正常プリオンが異常プリオンに変化するんですね。で、牛が発症するということです。  プリオンというのは大体神経系の細胞に非常にたくさんあるということがわかってお りまして、結局今までの検査をやりますと、こういうここに書いてあります脳であると か脊髄であるとか、それから扁桃、こういうようなところに大部分、99.何%、ほとん ど100%近くここに存在しているということであります。  ですから、今私どもが言っているのは、ここの部分を非常にまず取り除けば、まずBS Eが人間に感染する可能性というのはほとんどゼロに近いということでありまして問題 ないだろうと。まして非常にまだ潜伏期間で、若いと言いましょうか、ある年齢以下の 場合には検出することもできないけれども、まずその肉を食べても安全であると。です から、そういうような若い牛は検査をやらないでも、まず人間が異常プリオンに感染を して病気になる可能性というのは、限りなくゼロに近いはずであります。そういうこと を今しているというところであります。  次、お願いします。 ◇‥もう一つ鳥のインフルエンザ、今おさまっておりますけれども、また秋になります と、日本でも起きる可能性がありまして、それにつきましてちょっと申し上げますと、 これはもう前にも、今までもずっと我々そういう情報発信をしておりましたし、前から も新聞か何かに出していこうという広告を出したことがありまして、あれなんですけれ ども。鳥インフルエンザというのは、本質的にはこれは鳥の病気であって、人間の病気 ではないということでございます。ですから、鳥の肉とか卵を食べたからといって、今 まで世界中探しても、肉とか卵から感染した人はだれも、一人もいない。非常に特殊な 濃厚感染、濃厚にインフルエンザウイルスを浴びた人は感染した人はいますけど、これ は肉とか卵とは関係ない感染の仕方であるということであります。  だから安全であるということでありまして、何で安全かという科学的な根拠というの は、一つはこのウイルスは酸で死滅するということがわかっておりまして、胃の中に入 れば、胃酸のある人であれば死滅するということ。  それからもう一つは、ウイルスが人の場合は、動物でも何でも同じですけども、人を 例にとれば、人の細胞にウイルスが感染する場合には、受容体という特殊な構造、細胞 の表面にあります受容体というところにまず取りつかなければいけないですけども、そ れが鳥インフルエンザの受容体というのは、人の細胞は持っていないということがあり まして、まず取りつくことがないから感染することはまず考えられないということで す。それから後は、加熱すればこれはころころ死にますから大丈夫ですということで す。  最後のスライドをお願いいたします。 ◇‥最後に、食品安全委員会は今後何をやったらいいかというようなことなんですけど も、今ここにいろいろ書いてございますけれども、一つだけ申しますと、ここに、委員 会自らの判断による食品健康影響評価を行うべき対象の検討ということが書いてござい まして、これは何かといいますと、今我々が安全性の評価をやってきたものは、厚生労 働省あるいは農林水産省から諮問を受けたものが大部分なんですけれども、それ以外に 諮問を受けなくても我々独自の判断で、いろいろな物に対しまして食品健康影響評価を 行うことができるということでありまして。現在、一応対象を6つに絞りまして、これ からどういう点検、検討をやっていくかということを考えているところであります。6 つといいますのは、リステリアという細菌ですね、これは欧米では非常にたくさん感染 者がいますけれども、日本では少ない。けれども、日本でもこれから増えるのではない かということを予想しています。  あるいはトランス脂肪酸と言って、健康を害するような脂肪酸が食品の中に入ってく る可能性があるので、それをどうしようかとかいうのが、6つぐらいあります。  それから、この意見交換会が1年やってなかなか思うように成果が上がってないんで はないかということがありまして、これからどういう意見交換会をやったらいいかとい うようなことを少し計画的に考えてやる必要があるのかな、というようなことを考えて おります。  大分時間がオーバーしてしまいまして、申しわけございません。  以上でございます。どうもありがとうございました。(拍手)  司会((橋本麻衣子))  ありがとうございました。  続きまして、独立行政法人国立健康・栄養研究所健康影響評価研究室長梅垣先生よ り、健康食品の賢い使い方についてお話いただきます。  梅垣先生は、静岡薬科大学大学院薬学研究科博士課程を修了し、平成13年5月に独立 行政法人国立健康・栄養研究所食品保健機能研究系食品表示分析・規格研究部健康影響 評価健康研究室長に就任され、現在に至っております。  では、お願いいたします。 3 基調講演(2)  「健康食品」の賢い使い方     独立行政法人 国立健康・栄養研究所             健康影響評価研究室長  梅垣 敬三  皆さんこんにちは。ただいまご紹介いただきました独立行政法人国立健康・栄養研究 所の梅垣でございます。  今日のお話は、「健康食品」の賢い使い方。この健康食品というのはかぎ括弧の健康 食品で、行政的に健康食品という明確な定義はないので、いわゆる健康食品と、それか ら保健機能食品を含めたものというように理解してください。  それでは、次お願いします。 ◇‥今日お話しますのは、まず3つの項目についてです。  賢い使い方というように書いてはあるんですが、健康食品にはこのような問題があり ますよということ、それから対処方法など、一つの考え方をご紹介します。  まず、1番目に保健効果を期待させる食品の種類と内容についてお話します。この中に は厚生労働省が許可しています保健機能食品、特定保健用食品、栄養機能食品というの があります。  2番目に、「健康食品」に関する基本的な事項と安全性・有効性、それから科学的根 拠はどういうものかということについてお話します。  3番目に、健康食品の安全性・有効性情報と、厚生労働省と私の所属する研究所で連 携してつくりました情報ネットのホームページのお話をします。  次、お願いします。 ◇‥先ず「健康食品」の現状というのはどのようになっているかをご紹介します。テレ ビや雑誌で非常に不確かな食品成分に関する健康情報が、雨のように降り注いでいま す。一方、土壌になる食生活の乱れや運動不足などの生活習慣の問題があります。私た ちは忙しいですから、わかっていても正しくきっちりした食生活ができないという状況 にあります。このような条件が相まって、雨後のタケノコというふうに私は言ってます が、いろんな健康食品がどんどん出てきているという状況です。中には良い健康食品も あるのでしょうが、非常に問題のある健康食品もあります。これが今の健康食品をとり まく現状です。  次、お願いします。 ◇‥それでは、保健機能を期待させる食品の現状はどのようになっているか、具体的に 考えてみますと、期待させる作用に科学的な根拠がないというのが非常に多いです。例 えば試験管内実験や動物実験のデータをそのまま人に外挿している。要するに、私たち が何かの食品がいいよと言われても、どれだけとればいいか、それからどういうふうに とればいいかというのが、試験管内実験や動物実験ではわからないわけです。試験管内 や動物実験というのはヒトでの影響についてわからないところが非常に多いということ です。ただ、ヒトに対するいろいろな効果を調べるときには、このような実験が必要な んですが、いきなりヒトに対してじゃどうなのか、ということになると、答えがでない ということです。しかし、現実にはこのような試験管内実験や動物実験のみのデータを もとにして商品が販売されています。  それから、体験談のみを利用しているということです。体験談というのは非常に貴重 なことはわかるんですが、科学的ではありません。私は効くけどあなたは効かないと か、あなたは効いたけど私は効かないというのは、往々にしてあるわけです。  次に、原材料のイメージを前面に出している。例えば非常に過酷な環境で育った植物 から得た成分であるから何か特別な効果があるとか、とても成長が早い植物からとった エキスだからすごく効果がある、などと言われているものがありますが、実際にはその ようなイメージと効果は一致しません。このように原材料のイメージが前面に出ている 食品が非常に多いのです。  また、価格と効果が一致していない。私たちは値段が高ければ効果があるというよう に思っていますが、実際はそうではありません。しかし、そのように私たちも判断して いますし、商品も出回っているという状況にあります。  最後に、品質の問題です。これは非常に重要なことです。品質というのは、食品の安 全性を考えるとき重要なことです。中には希ですが、医薬品を添加したようなものも出 回っています。  このような健康食品の情報がいろんなところで出ているんですが、その本質は一般消 費者には理解されていないと思われます。ある程度実験をしている人は、試験管内実験 や動物実験のデータをそのまま人に外挿するには、慎重にならなければいけないことが わかるんですが、そのような考え方は消費者の方にまでは伝わっていないと思われま す。  次、お願いします。 ◇‥では、どういう食品があるかという分類を紹介してみたいと思います。  保健効果を期待させる食品の種類、これは私のところで分類した考え方です。厚生労 働省が表示を許可しているものがあります。それは特別用途食品と保健機能食品です。 特定保健用食品はこのマーク、特別用途食品はこういうマークが付いています。このよ うなマークが付いて商品は、厚生労働省が表示を許可し、有効性、安全性を審査してい るものです。  もう一つ、日本健康・栄養食品協会が承認しているJAFAマークがあります。これは有 効性の保証はしていないんですが、品質の保証をしています。安全性を考える上では、 やはり品質が非常に重要だということで、このマークはそれなりの意味があると私は考 えています。  最後に、その他の食品、例えば無承認品、無許可品、それから中には希ですが医薬品 を添加したようなもの。この分類の中には良いものもあるとは思うんですが、どのよう なものがあるかはあまり分類されていないという状況になっています。  それでは厚生労働省が表示を許可している保健機能食品はどういうものかというのを 実際に見てみたいと思います。  次、お願いします。 ◇‥これは保健機能食品の説明図です。こちらに医薬品、こちらに一般食品といわゆる 健康食品があります。厚生労働省が認めていない健康食品というのは「いわゆる」とい う名前になっています。この間を埋めるものとして保健機能食品があります。保健機能 食品は、それぞれの食品毎に評価する特定保健用食品(個別評価型)と、ある一定の規 格に合ってればいいという栄養機能食品、この2つを合わせた名前のものです。  特定保健用食品には、必ずこのマークが付き、厚生労働省の審査が必要なものです。 栄養機能食品は、厚生労働省への届出や審査は必要ありません。ただし、ビタミンKを 除く12種類のビタミンとミネラル5種類、これのみ栄養機能食品として表示をしていい というものです。重要なことなんですが、栄養機能食品は厚生労働省の審査はしていま せん。ですから、マークがついてません。  次、お願いします。 ◇‥では、特定保健用食品は、最近はかなり認知されていますが、この定義は「食生活 において特定の保健の目的で摂取する者に対し、その摂取により当該保健の目的が期待 できる旨の表示をする食品」ということで、食品の三次機能に着目した食品です。  食品には3つの機能があります。一次機能は栄養機能で生命を維持する機能、二次機 能は、味覚、食事を楽しむこと。三次機能として、体調調節作用があります。体調の調 節や疾病予防などの効果も食品の中にはあるということで、この三次機能に着目した食 品が特定保健用食品です。  次、お願いします。 ◇‥これは特定保健用食品が創設された背景です。この制度は1991年にできました。創 設された背景としては、現在の変わってないんですが、高齢化社会への対応、それから 生活習慣病の予防という、社会的なニーズがある。それから、日本は非常に食品の研究 が進んでおり、食品分野における研究の進歩とうファクターがあったわけです。このこ とから保健作用を期待する食品を何とか活用したいという考え方が出てきました。  ただし、機能性食品とかいろいろな名前で呼ばれていたわけです。その機能性の情報 は本当に確かかどうかはわからない。また、医療上の問題があるものもあります。その ようなことから、食品の選択における不正確、あるいは非科学的な情報の混乱防止のた めに、国は科学的根拠に基づく情報提供を積極的に行う必要がありました。そして特定 保健用食品の制度が創設されました。今もこの食品は何とかに効くという、非常に多く の情報が出回っています。そのため、今こそ、特定保健用食品は有効性、安全性をしっ かり評価したものだということを、一般の人により理解していただきたいと思っていま す。  次、お願いします。 ◇‥では、どういうところが普通の食品と特定保健用食品では違うのかというのを考え てみます。一般の方が認識されている健康食品、機能性食品と特定保健用食品の違い は、まず、一般の方が何か健康にいいよというように思われているのは、この外側の輪 です。この中の一つとして特定保健用食品があります。  では、どこが違うのかというと、保健作用に科学的な根拠があります。特定保健用食 品は、保健作用の科学的根拠がなければ、許可されません。それから、ヒトにおいて有 効性や安全性が評価されています。動物の実験もありますが、最終的にはヒトに効果が あったかどうかというのがチェックされているわけです。当該食品でも検討されていま す。要するに、食品の中に何か良いというものを入れても、本当に効いているかどうか はわからないです。消化吸収の段階もあります。例えば吸収が阻害されるという問題も あります。その食品が本当に効くか、効果が期待できるのかどうかというのが問題であ って、特定保健用食品はそれを食品ごとに個別に審査しています。4番目に、摂取量の 目安があります。食品はイメージで売られていますから、ほんの少し、臭い程度何か良 い成分が入っていれば、効果があると私たちは思いますし、また、沢山入っていても、 食品と名が付いていれば安全だという思うんです。でも実際はどれぐらい摂取すればど れぐらい効果があるかという、摂取量と反応、生体影響の反応は必ずあるはずです。そ れが特定保健用食品はしっかり評価されているわけです。  はい、次お願いします。 ◇‥これは厚生労働省のホームページで出されている内容ですが、平成16年6月30日の データを見ますと、424の特定保健用食品があります。おなかの調子を整える、血糖値 が気になる方、血圧が高めの方の食品、コレステロール、中性脂肪、ミネラル、骨の健 康など、いろいろな食品が出ています。  次、お願いします。 ◇‥では、特定保健用食品についてお話しましたが、栄養機能食品はどうかということ で、栄養機能食品についてお話します。  次、お願いします。 ◇‥栄養機能食品は、身体の健全な成長、発達、健康の維持に必要な栄養成分の補給・ 補完が目的です。これには上限と下限があります。規格基準型の食品ですから、下限は 栄養所要量の3分の1を満たす量。要するに、3食分の1食分以上ないと栄養機能食品 として表示はしてはいけないということです。上限は、とにかく安全性を含めて必要以 上の過剰な栄養成分を含まない考えに基づいて設定されています。許可されているのは ビタミン12種類。ビタミンは13種類ありますが、その中のビタミンKを除くビタミンは すべて栄養機能食品の対象成分となっています。それからミネラルの5種類。栄養機能 食品の制度は3年ぐらい前にできたんですが、そのときのミネラルは鉄とカルシウムだ けでした。しかし、今年の4月からマグネシウム、亜鉛、銅の3つのミネラルが栄養機 能食品の対象成分になりました。重要なことは、この許可成分、ビタミン、ミネラルと いうのは、ヒトにおける有効性・安全性の科学的根拠が非常に多いため、規格基準型の 食品として流通させることができるという考え方です。  次、お願いします。 ◇‥栄養機能食品は、栄養機能表示をしてもいいということになっています。例えば、 ビタミンAの例ですと、ビタミンAは夜間の視力の維持を助ける栄養素です。ビタミン Aは皮膚や粘膜の健康維持を助ける栄養素です、などと表記できます。ただし、もう一 つ重要なことは、注意喚起表示です。本品は多量摂取により疾病が治癒したり、より健 康が増進するものではありません。1日の摂取量の目安を守ってくださいと表記するこ とです。  要するに栄養機能食品の定義は、栄養素の補給・補完です。沢山摂取して何かの効果 を期待するというものではないということです。ここに紹介した表示、栄養機能と注意 喚起表示がそれぞれのビタミンやミネラルにはあるわけです。  次、お願いします。 ◇‥一つ最近問題になっているのは、栄養機能食品の表示に関する問題です。何度も言 いましたが、許可されているのはビタミンKを除くビタミンの12種類と、鉄、カルシウ ム、銅、亜鉛、マグネシウムのみなんです。ところが、いろいろな所で調べますと、保 健機能食品(栄養機能食品)というラベルが張ってあり、何とかエキスという別の名前 が商品の前面に出ているものがあります。そうしますと、消費者の方は、この何とかエ キスというものが栄養機能食品の対象成分だと誤認しているところがあります。これは 非常に問題です。本来なら前面に大々的に、例えばビタミンCとかカルシウムとか書く べきなんですが、それが行われていない。栄養機能食品の対象成分以外の成分をこの商 品の前面に出して、保健機能食品と称して商品を販売している事例がかなりあります。 これは一般の方には非常に混乱しやすいのです。特にここに出ているのは、一般的に何 かに効くという情報の成分なんです。全く効かないような成分だとわかるんですが、何 とかに効くと言われる成分で、保健機能食品(栄養機能食品)というラベルが付いてい ると、非常に混乱してしまいます。  次、お願いします。 ◇‥これで最初の話は終わります。次に「健康食品に関する基本的な事項」ということ をお話ししたいと思います。  次、お願いします。 ◇‥科学的な方法で検討する必要性というのがここにありますが、どういうことかを、 体験談を例にしてお話しします。  このように、例えばこの赤の人が効果があったと話している。なぜ体験談が問題だと いうと何人中何人効果があったかと、この分母がわからないわけです。これは例えば10 人に1人だったらいいんですが、1万人に1人の確率の場合もあるわけです。そうする と、1人は効いたけども、9,999人は全く効果がなかったということも言えるわけです。 それから本当に摂取した物質の影響かというのがわからない。私たちも何か効果があっ たという話を聞くのですが、よく聞いていくと、医薬品を一緒に摂取していました、と いうことが出てきます。そうするとよくわからないということになります。要するに、 科学的な方法で検討する必要があるということがここでわかります。  では、どうやって科学的に検討するかということですが、一般的に行っているのは、 摂取する人と対象群、この2つの群を作り、何らかの成分を摂取してもらいます。その とき摂取する人を、例えば性、年齢、食生活なども考慮してこの2つ群に分けます。そ れから、測定する条件も、例えば同じ測定者、同じ器具で測定します。例えば、このよ うなことに配慮して、本当に効果があったかどうかということを統計的に判断します。  次お願いします。 ◇‥科学的根拠という話をしますが、科学的根拠のある情報というのはどのようなもの でしょうか。まずいろいろな実験をします。試験管内の実験、動物実験、ヒトの実験が あります。この特性を見ますと、試験管内の実験というのは何回でも実験できますか ら、再現性は非常に高い。ただし、ヒトでどうかというとわからないわけです。最終的 にヒトにおいて有効性を判断するには、信頼できるヒト試験が必要です。最終的にヒト で効果があるかどうかというのは非常に重要なことになるわけです。ですから、ヒト試 験が最終的には必要です。ヒト試験にもいろいろありますが、最終的には無作為比較臨 床試験、これが非常に信頼性が高いといわれています。  次、お願いします。 ◇‥科学的根拠を調べるときに、私たちは論文を調べます。科学論文から得られる情報 とその内容を少し考えてみます。多くの人が研究をして論文を出すわけです。そのとき に、何か効果があったという論文は非常に科学論文になりやすいです。何か効果がなか ったという論文は、科学論文にはなりにくいということがあります。例えば、ある同じ 実験がいろいろなところで行われ、9回はうまくいかなかった、1回はうまくいった。 その上手くいった1回の実験が、科学論文として学術雑誌に掲載されるわけです。でも、 それが本当に確かかどうかわからないわけです。では、どうしたらいいかというと、い ろいろな研究機関から出た情報が積み重なり、複数の科学的情報が出てきて初めて、こ れは信頼性が高い情報だと判断できるわけです。それでも将来いろんな科学技術が発達 して、測定方法等が変わってきますと、その情報が間違っていたということもあり得る わけです。そのため私たちが知り得るのは、今の時点で得られている情報であって、10 年後に見直したら、全く間違っていたという例もあるわけです。例えば、ベーターカロ テンがその良い例です。ベーターカロテンは10年前、肺ガン予防に良いという情報が出 ていました。でも、最近はガン化しやすい人、たばこを吸う人やアスベストに曝露され た人は、ベーターカロテンを単品で摂取すると余りよくないという情報も出ています。 10年前はそんなことは思わなかったわけです。緑黄色野菜を摂取している人は、血液中 のベーターカロテン濃度が高く、そのような人はガンになりにくいというデータがある わけで、その結果からベーターカロテンは、ガン予防にいいんだという考えが出てきま した。そこで実際に本当にそうかというのを、ベーターカロテンをそのままヒトに投与 した実験が行われ、期待した結果は得られなかったわけです。基本的に正しいのは緑黄 野菜をとっていてガンになりにくいということで、このデータは間違いはないと思いま す。でも、そこから一っ飛びして中の成分、ある特定の成分に効果があるんだというと ころまではいかなかったということです。このように時間がたつごとによって多くの科 学情報が出てきて、もとの情報が変わってきたという例です。  次お願いします。 ◇‥安全性に影響するいろいろな因子というのを考えてみますと、通常、食品の成分と いうのは有害なものはない思います。食経験がありますし、普段食べていますから。し かし、健康障害が起こる例があります。どこが問題かというのを考えてみますと、成分 自身に有害作用はなくても、例えば利用方法の問題、大量に長期に摂取したり、全く目 的外の利用をしていた場合、利用者側に感受性の高い人、高齢者、乳児、アレルギーを 持っている方などがあり、そのような方で健康障害が起こる可能性があるわけです。そ れから、品質の問題です。不純物が入っていたり、有害物質が入っていると健康障害を 起こす場合もありますし、例えば医薬品を摂取していて相互作用が起こる場合もありま す。このように、普通の人では害が起こらなくても、特定の条件が重なれば健康障害を 起こす場合があるわけです。不確かな情報の影響もあります。全く根拠がないものを効 果があるとして情報がもし流されたら、例えば、もっと効果を期待したいと考え、長期 に大量に摂取してしまいます。そのようなことで健康障害を起こす可能性があります。 ですから、もともとの食品の成分というのはそんな有害なものはないと思いますが、こ こに示した因子が修飾すると有害な作用がでる。そのようなことを考慮しないと安全性 が確保できないということです。  次、お願いします。 ◇‥私たちは健康食品に対して非常に有効性を追い求めます。しかし、有効性よりもま ず食品ならば安全性を考えるのが第1です。有効性の情報は、ある程度期待できないと いけないというので、科学論文をいろいろ見て最終的に判断します。非常に慎重になら なければいけないということです。一方、安全性、被害情報はどうでしょう。あるとこ ろで1,000人に一人でも被害が出たとしたら、その情報は、例えば高齢者の方が摂取し た、医薬品を同時に摂取していて害が出た、何か不純物があったというもので、そのよ うな情報は非常に重要です。例えば、論文が一つであっても同じ間違いをしないため に、被害情報はしっかり把握しておくことが重要です。  次、お願いします。 ◇‥過去の事例情報の重要性です。過去にヒトで何か害が起きたという情報は非常に重 要です。同じ情報、同じ問題を繰り返さないためには、過去の情報を蓄積していく必要 があります。私たちは今何か問題があり、それがマスコミなどに取り上げられると、そ のときは覚えています。しかし、例えば2、3年たったら忘れてしまいます。そういう 意味では過去の情報をきっちり整理して把握しておくことが重要です。例えば有害物質 が混入した例、臓器障害を起こしたという例もありますし、医薬品成分が添加された過 去の事例です。過去にはそのようなこともあったと、使う人が注意しておくことが重要 だと思います。  次、お願いします。 ◇‥食品の形態をしている「健康食品」は過剰摂取の歯止めになっているということを お話します。  食品には、これは容量、ボリュームがあります。それから味やにおいがあります。こ れは非常に重要なんです。どういうことかというと、食品の形態をしていると、毎日同 じ物を摂取する可能性は低いということです。どんな好きな物でも、毎日沢山食べると いうことはまずないと思います。ですから、過剰摂取に伴う問題は非常に少ないです。 食品の形態をしているものは、過剰摂取のことを余り気にしなくてもよいのです。しか し、最近出ています錠剤、カプセル剤の場合は、容易に過剰摂取、毎日同じ物を摂取す ることができます。特に私たちは食品は安全、医薬品は危ないという認識を持っていま すから、食品として販売されていれば過剰摂取してしまう傾向があるわけです。錠剤や カプセルが全部悪いというわけではありません。例えばたくさん食べることができない 方も中にはいらっしゃいます。それで適切に利用されれば良いわけです。しかし、すべ ての人がみんなこの錠剤、カプセル剤を飲む必要はないと我々は考えています。  次、お願いします。 ◇‥食品から摂取すると過剰摂取の影響がないという例です。横軸は摂取量で、縦軸は 生体影響です。そうしますと、大体食品の場合は幾ら摂取しても有害な作用がでる摂取 量にはなりません。ある成分のある程度の摂取量では有効な作用も出てきますが、もっ と摂取すれば、例えば下痢を起こすとか、ひどい場合は臓器障害を起こす可能性もあり ます。有害な作用も絶対出てくるはずなんですね。食品として摂取すれば、せいぜいこ の範囲にとどまってしまうわけです。何か良いと言われるものでも、たくさん摂取して しいますと、幾ら良いと言っても過剰摂取は問題です。単一の成分や単一の効果のみに 注目すると、食生活全体のバランスが崩れてくる可能性もあります。本来食品というの はいろいろな成分が含まれています。私たちが今知っているのはほんのわずかで、良い 効果を持っているわからないものが食材の中に含まれているわけです。ですから、やは り基本的には食材を通して摂取するのが安全で有効な方法ではないかなと思います。  次、お願いします。 ◇‥もう一つ問題は、安易に特殊な食品を選択するということです。安易に特殊な食品 を選択するのではなく、原因を除去することが重要です。例えばこの女性の方がストレ スを受けて胃が痛くなっているとします。そして、だれか友だちに「この健康食品がい いよ」と言って勧められてこれを飲む。すると、私たちの体にとっては、健康食品とい っても異物ですから、肝臓で代謝されるため、肝臓の機能がどんどん損なわれる可能性 があります。そのため次に肝臓に良い健康食品を摂取する。次に腎臓が悪くなったら、 今度は腎臓というふうに、だんだん健康食品は増えてくるわけです。健康食品を利用し ている人の状況を見ると、大体複数の健康食品を使われているようです。ではどうする かというように考えれば、この場合はやはり原因となるストレスを除去するというのが 効果的です。健康食品を利用せずにこの問題を解決することができるわけです。ですか ら、基本的なところを忘れがちになりますが、原因除去ということを重要視するべきだ と思います。  次、お願いします。 ◇‥最後に、健康食品の安全性・有効性情報ネットについてをお話します。  次、お願いします。 ◇‥健康食品の安全性に関する情報ネットワーク構築プロジェクトというのを研究所で 1年少し前につくりました。この目的は、食品、栄養などが関係した健康障害から一般 消費者を守るために、食品栄養を専門とする職業人が、お互いに協力して必要な情報の 収集、把握、蓄積を行い、情報を共有して活動しやすくするためのシステムをつくると いうことです。それから、ネットワークを利用して各人が食品、栄養に関する知識をさ らに深め、一般消費者に対して適切な助言や指導を行い、健全な食生活の推進が図れる 体制を整えていこうということです。このような考え方で情報ネットワークを動かしま した。  次、お願いします。 ◇‥現在の情報のどこに問題があるかを説明します。例えば専門家には、食生活の専門 家、それから食品、薬、栄養、制度、医学の専門家の方がいます。こういう専門家の方 が考えていることと、消費者の方が考えていることには、かなりズレがあるわけです。 科学的根拠にしても、一般の方は、テレビで出ているから科学的根拠があると思われま すが、専門家はそんなことは絶対ないことがわかっているわけです。このギャップを埋 めるのが必要であり、そのために「健康食品の安全性情報ネット」というのを立ち上げ ました。  次、お願いします。 ◇‥基本的な考え方は、次のようなことです。いろいろな情報を把握して、専門家の間 で共有しようということです。いろいろな情報が出ていますから、専門家であっても本 当に正しいかどうかは、調べてみないとわからないわけです。そういう状況があります ので、正しい情報をまず専門家の間で共有しようということです。それから、情報を個 別に消費者の方に伝えれば正しく理解してもらえるわけです。専門家の方が1対1で説 明していただければ、きっちりした正しい情報が伝わるという考え方です。例えば、こ の図で示す専門家の人が1万人いたとして、それぞれが10人に情報を伝えれば、10万人 にはきっちりした正しい情報が伝わるという考え方です。そのような中で正しい食生活 を考え、専門家の間できっちりした情報を把握して、それらを一般消費者の方に伝えよ うというわけです。  次、お願いします。 ◇‥この情報ネットは私どもの研究所にあります。インターネットのホームページを使 って情報公開等をしています。まず、一般公開ページというのがあります。それから、 会員のページ、これは専門家のサイトで登録制です。栄養士、管理栄養士、薬剤師、医 師の方に入ってもらっています。このような専門家の方に個別に消費者に情報を伝えて もらうのです。もう一つは、いろんな情報が現場にありますので、現場の専門家の方々 がその情報をこちらに上げていただく。それで、その情報をみんなで共有するというシ ステムをとっています。それから、一般公開ページがありますが、この情報は、誤解さ れるような書き方をしている場合もあります。また間違っている場合もあるかもしれま せん。そういうところをこの専門家の方々に会員サイトを介してチェックしていただき ます。このようにしてより公平な情報が掲載できるようなシステムにしようと動いてい るわけです。これだけいろいろな情報が出回っているときに、何が本当に正しくて、新 しい情報であるかを把握することはとても難しいです。そういうときに、いろんな専門 家の方がいらっしゃいますから、各専門家の方がご自分の専門分野ではっきりしている 情報を教えていただくわけです。そしてその情報をこの一般公開ページに移して生かし ていこうという考えです。健康食品の問題だけでなく、基本的にきちんとした食生活や 運動などの情報も流したいということで、このホームページは栄養研究所のサイトの中 に置かれています。  次、お願いします。 ◇‥これが実際に動かしているページです。厚生労働省と連携して情報を提供していま す。項目として、「利用に関する基礎知識」、「安全性情報・被害関連情報」、「話題 の食品成分の科学情報」、それから「健康食品の素材情報データベース」があります。 これは完成品とまではいっていません。今始めたばかりであり、今からいろいろな情報 をどんどんアップしていくつもりです。このページをサポートする会員ページがあり、 ここに栄養士、管理栄養士、薬剤師、医師の方に入っていただき、いろいろ書き込んで いただきます。そのような対応によりより公平な情報につくり変えることができると考 えています。  次、お願いします。 ◇‥健康食品の安全性、有効性情報のページで重要視していることは何かというと、基 本はやはり正しい食生活の推進と健康被害の防止ということです。また、消費者の立場 で考えて情報を作成することです。安全性をより重要視して、有効性については、ヒト における信頼できる科学的情報を重要視しています。例えば動物とか試験管内の実験は 参考程度にしています。もう一つは、現時点で調査できた情報を掲載していきます。今 後も継続的な追加や修正を行っていきます。また、専門家から構成する会員サイトです が、先ほどご説明しました会員サイトで掲載情報に関する意見募集を行い、より公平な 情報になるようにしています。  次、お願いします。 ◇‥例えば、イチョウ葉エキスというのは、ヨーロッパでは医薬品、安全で有効でしょ うかと、一般の人に聞かれたとします。このようなとき、ネットの情報等があれば、安 全性を確認しましたかとか、過大な期待をすると問題ですよとか、病気のある人はやは りお医者さんに相談してください、というアドバイスができるわけです。そのような対 応ができることを目指して今情報ネットを運用しているところです。  次、お願いします。 ◇‥健康食品の摂取と健康障害発生の因果関係を証明するためには、些細な危害情報の 収集解析と蓄積を行うことが重要です。健康食品の問題というのは、例えば、医薬品が 混入していた、食品衛生法違反で何か不純物が入っていた、などという場合以外はなか なか取り上げられません。例えば、下痢をしたとか発疹が出たという情報もいろいろあ ると思うんです。もしそのような些細な情報を集めていくことができれば、将来、ある 健康食品で何か健康障害が発生したとき、その原因を究明することができると思いま す。だから、どんな些細な情報でもその状況を、例えば品質に問題があったか、偏った 食生活をしていたか、医薬品を併用していたのか、体質に問題があったのか、などとい うようにきっちり整理して、その情報を蓄積していけば、将来何か問題があったとき に、すぐに対応できます。そして健康食品で障害が出たということがはっきり証明でき るようになると思います。このようなことも先ほどご紹介した情報ネットがうまく機能 していければできるのではないかと期待をしています。  次、お願いをします。 ◇‥一般の方に、選択利用において留意していただきたい事項を示しました。まず健康 食品を選択するとき、次のことをチェックしてほしいと思います。バランスのとれた食 生活を行われていますか、本当に必要ですか、商品の品質に問題はありませんか、とう いようなことです。研究所が出している情報は素材の情報であり、商品の情報ではあり ません。商品の情報は、製造方法にもよりますし、商品中に共存する物質の問題もあり ますので、研究所で商品が良い悪いという判断ができません。個別商品については消費 者の方が、チェックされなければならないと思います。もし利用されるときは、有効性 とともに安全性、利用時に注意する点も考えてくださいと言うことです。  それから、バランスのとれた食生活、それから運動、休養が重要であることを忘れな いでくださいということです。また、すべての方に効果が期待できるわけではありませ んので、過大な期待はしないでほしいということです。中には体質的に合っている方も いらっしゃると思いますが、合わない方もいらっしゃるわけですから、そういうことも 理解して摂取してください。また、病気の方は医師の方などの医療関係者のアドバイス を受けていただきたいと思います。健康食品を利用する人は、医師の方に黙って使われ る場合が非常に多いらしいですね。そういうことをすると、逆に不健康になる場合もあ りますので、これは注意してほしいです。それから、利用中もし体調に異常を感じたと きは、摂取を中止し、必要ならば医療機関で受診し、保健所にも相談してほしい。この ようなことを消費者の方にお願いしています。  次、お願いします。 ◇‥最後になりますが、基本的に健康の保持増進は、食品だけでは絶対に達成できませ ん。食品とともに適度な運動もする。それから適度な休養もとる。このようなバランス がとれないと絶対に健康というのは維持できないと思います。基本は、運動、栄養、休 養のバランスと生活リズムを重要視することです。こういうことを考えながら、よい健 康食品があればそれを利用すると有効に活用できると考えております。  以上です。どうもありがとうございました。(拍手) ○司会 ありがとうございました。  それでは、ここで10分程度休憩を設けさせていただきたいと思います。  パネルディスカッションは、午後2時50分から開始したいと思いますので、それまで にお席のほうにお戻りいただきますよう、よろしくお願いいたします。                               午後2時39分 休憩 7.パネルディスカッション                               午後2時50分 開会 ○司会(橋本麻衣子)  時間となりましたので、パネルディスカッションに移らせていただきたいと思いま す。  パネルディスカッションにつきましては、コーディネーターに進行をお願いしたいと 思います。よろしくお願いします。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  本日、意見交換会のコーディネーターを務めさせていただきます厚生労働省医薬食品 局食品安全部企画情報課の広瀬と申します。  よろしくお願いいたします。  はじめに本日のパネリストについてご紹介させていただきます。  皆様方から向かって一番左手のほうから   有識者の代表として、先ほどご講演いただいた内閣部食品安全委員会 寺尾允男委 員でございます。(拍手)  そのお隣が独立行政法人 国立健康・栄養研究所健康影響評価研究室 梅垣敬三室長 でございます。(拍手)  本日は事業者代表の方ということで、社団法人愛媛県食品衛生協会の小泉泰方会長で ございます。(拍手)  また、消費者の代表というお立場で、コープしこく事業連帯機構商品部品質管理室の 松崎嘉之マネージャーでございます。(拍手)  また、行政機関ということで、厚生労働省大臣官房参事官 松本義幸参事官でござい ます。(拍手)  そのお隣が、農林水産省消費・安全局消費者情報官室の中山直子補佐でございます。 (拍手)  本日は自治体のほうからもご参加いただいておりまして、愛媛県保健福祉部健康衛生 局薬務衛生課の田頭和恵課長でございます。(拍手)  また、まさにこのご当地の松山市保健所生活衛生課の関谷安正主幹でございます。 (拍手)  よろしくお願いいたします。           リスク分析の概念を踏まえた食品安全行政の             取組や健康食品についての意見交換会 【パネリスト】 内閣府食品安全委員会委員                 寺尾 允男 独立行政法人 国立健康・栄養研究所 健康影響評価研究室長  梅垣 敬三 コープしこく事業連帯機構商品部品質管理室マネージャー   松崎 嘉之 社団法人愛媛県食品衛生協会会長小泉((株)小泉製菓代表取締役)小泉 泰方 厚生労働省大臣官房参事官                 松本 義幸 農林水産省消費・安全局消費者情報官補佐           中山 直子 愛媛県保健福祉部健康衛生局薬務衛生課長          田頭 和枝 松山市保健所生活衛生課主幹                関谷 安正 【コーディネーター】 厚生労働省食品安全部企画情報課課長補佐          広瀬  誠 ○コーディネーター(広瀬 誠)  これから、パネルディスカッションに入らせていただきますが、パネルの実際の意見 交換会を始めます前に、まず、地元での取り組みということで、愛媛県と松山市の取り 組みについて、簡単にご紹介いただきたいと思います。  よろしくお願いいたします。 ○田頭和恵(愛媛県)  それでは、愛媛県の取り組みということで、せっかくの機会でございますから、愛媛 県のご紹介をさせていただきたいと思います。  私、先ほどご紹介いただきました、愛媛県の薬務衛生課の田頭でございます。  どうぞ、よろしくお願いいたします。  まず、資料4のほうに愛媛県の資料を固めてお渡ししておりますので、これをご覧い ただければと思います。  まず、愛媛県の取り組み「愛媛県の食の安全・安心確保の取り組み」というふうなこ とでございますが、まず資料の1枚目をめくっていただきましたら、パンフレットがあ るかと思いますが、食の安全・安心確保対策の基本方針ということで、先般、このパン フレットを作らせていただきました。  これにつきましては、先ほどの基調講演のほうにもございましたように、昨年の5月 の食品安全基本法の成立、これを受けまして、地方自治体の責務を果たすといったこと で、その10月に副知事を本部長といたします、「えひめ食の安全・安心推進本部」を発 足させまして、庁内の関係部局が一元的に取り組むことにより、効果的、かつ効率的に これが推進できるようにということで、庁内体制を整備したところでございます。  まず、この推進本部のほうでは、県民への安全・安心な食品の提供ということを目標 に掲げまして、関係施策の連絡調整、そして、充実・強化、また食に係ります危機管理 といったものを主な役割といたしまして、生産から流通、消費に至ります、総合的な食 の安全・安心施策を推進しているところでございます。  幸いにも、愛媛県ではBSEとか高病原性鳥インフルエンザ等の発生が見られておりま せんので、ということでございますが。もし、食に係る緊急事態が発生した場合には、 県民に適切な情報を迅速に提供して、健康被害や、風評被害を防止するといった役割 を、この推進本部が担って、的確な対応をとっていこうとしております。  また、推進本部では、パンフレットの中ほど、2ページ、3ページにございますよう に、6つの基本方針を掲げまして、県内で消費される食品、また、県内で生産される食 品は、安全・安心と、食に対する信頼感を高めていくための取り組みを推進いたしま す。  パンフレットの次の、「愛媛県の食の安全・安心確保に向けた取り組み」という資料 がございますが、これをご覧いただきますと、愛媛県では、その取り組みに当たりまし ては、消費者の視点、また、連携と協働の視点といった、基本的な考え方を基といたし まして、基本方針に沿った各種の事業を展開するということにしてございます。  もう1枚開けていただきますと、ここには、先ほどの6つの基本方針に、それぞれ重 点項目を設定いたしまして、平成16年度の食の安全・安心対策事業を検討、また体現化 いたしました。平成16年度の食の安全・安心推進計画の一覧でございます。  ご参照いただければと思います。  最後のページでございますが、平成16年度の主な取り組みをご紹介してございます。  まず、情報提供事業ということで、一つ目は、ちょうどこの6月1日から運用を開始 いたしました緊急食品情報提供システムでございます。  より、迅速に健康被害防止を図るため、まず、予め希望を募りまして、提供していた だきたいという業者さん、また消費者団体の方々に、不良食品の回収情報とか、食中毒 情報、そういったものをe−メールで配信し、いち早く情報提供できるようと仕組んだ ものでございます。  ちょうど、先ほど2時半過ぎかと思いますが、本日、食中毒注意報を発令いたしまし た。ここ、2日間ほど非常に気象条件が、高温多湿というふうなことがございまして、 本日もまたこれが続くというふうなことでございましたので、注意情報を発令したとこ ろでございます。  2つ目が、同じ6月1日に開きました、「えひめ食の安全・安心情報ホームページ」 でございます。これは、県庁のホームページのほうに開設いたしまして、食の安全・安 心に関しますいろいろな情報を、先ず正確で分かりやすく、といったことをモットーに 提供させていただいております。  3つ目は、食の安全・安心県民講座ということでございますが、本日の会のほかに、 この秋、9月ぐらいから県内の残りの4地方局で、それぞれ、県民講座を開催するとい った計画をしてございます。ここでは、食の安全・安心に関します最新情報とか、愛媛 県の取り組みといったものをもう少し詳しく情報提供いたしますほか、参加者の皆様か らのご意見をいただく場を設けまして、県独自のリスクコミュニケーションを進めてい きたいと考えておりますので、どうか積極的なご参加をお願い申し上げます。  ここで、皆様から寄せられましたご意見・ご提言につきましては、推進本部のほうで 再度とりまとめまして、今後の食の安全・安心施策に反映させていただきたいと考えて おります。  このほか、一番最初のパンフレットの最後のページにご案内しておりますが、6月1 日から、またこれも同じく「食の安全・安心総合相談窓口」といったことで、お隣にお 座りの松山市の保健所さんも含めて、県の保健所8つと、合計9つの保健所にこの相談 窓口を開設いたしまして、各所の相談を先ず、ワンストップで行えるといった体制をつ くったところでございます。  そのほか、遺伝子組み換え食品等の新規項目を加えた検査体制の整備、そして、今 後、食の安全に関します消費者意識の動向調査なども計画してございます。  こういったように、愛媛県ではこれまでは食品等の関係業者を中心としました監視指 導といったことで、食品の安全対策を行っておりましたけれども、これを、さらに充実 させるとともに、県民の方々への情報提供、そして、ご意見を施策に反映させるといっ た取り組みを、積極的に推進しようとしておりますので、どうかよろしくお願いいたし ます。  愛媛県からは以上でございます。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  引き続き松山市から、お願いいたします。 ○関谷安正(松山市)  松山市保健所生活衛生課の関谷です。よろしくお願いします。  松山市の食品の安全確保の取り組みについて、ご説明させていただきます。  先ほど、県の田頭課長さんが、県の取り組みについてご説明がありましたが、松山市 としても、基本的な考え方は県と同じで、足並みを揃えてやっていこうということで、 今日の話は具体的なお話をさせていただいたらと思っております。  県との違いというのは、指導の内容で農林水産部門の指導が、一部、権限委譲されて おりません。例えば、生産者に農薬の散布指導とか、抗生物質の使用などの指導です。  そのことから、県のえひめ食の安全・安心推進本部のような設置は、なかなか難しい のが現状です。そこで、県の推進本部にオブザーバーとして参加し、情報の交換をさせ ていただいています。  資料5が、松山市の取り組みについてです。  基本的な考え方ですが、まず、積極的な情報の収集及び提供ということで、市民への 講習会や、ホームページなどで情報の提供を行っています。  また、市民意向の施策への反映ということで、意見交換会の開催とか、アンケート調 査により意見を求めて施策に反映させています。  次に、監視指導強化については、製造、流通、販売における監視指導の充実を行いま す。  次に、適正な表示の指導や国産品から輸入食品も含めた、試験検査を充実させます。  それと、県や国などの関係機関との連携強化を図ります。  15年度の取り組みとしましては、まず、監視指導計画の策定に当たりまして、消費 者、事業者からアンケート調査を実施しました。  これは、ホームページでパブリックコメントを求めている自治体が多いと思います が、ある意見交換会で、あまりホームページは見ないというような意見もありまして、 まずアンケートを集めてみようということで、アンケート調査を実施しました。  参考に、その資料の最後に消費者のアンケート調査を抜粋しています。  その結果を一部紹介させていただきますと、まず「食品、食器、容器包装について感 じている不安」については、「残留農薬、薬品、細菌汚染、食品添加物、輸入食品」と の回答でした。  また、「不安を感じている食品」は、「輸入食品、食肉及び加工品、生鮮魚介類」で した。  このアンケート調査は、まだ高原病性鳥インフルエンザが発生してない時期に実施を しましたが、それでもやはり肉類が高いということは、BSEに対する不安が高いと思わ れます。  次に、「生産者、製造者、販売者に望む安全対策」は、「飼料・農薬の適正使用、食 品添加物の適正使用、農薬の情報、使用頻度の情報」などでした。  「食品の安全情報」の入手手段は、一番がテレビ、新聞、次に市の広報紙。インター ネットは低いのですが、10歳から30歳代は若干高くなったという傾向でした。  次に、消費者、食品等の事業者、行政との意見交換会の方法は、意見交換会の開催と いうのが40%を超えて、非常に多く、次は、保健所の講習会でした。また、齢層が高く なるほど、意見交換会の開催の要望が見られました。  これらのアンケート調査を参考に、今年度の監視指導計画は、残留農薬や抗生物質の 収去検査を多くし、食肉販売業、食鳥処理業の監視回数を増やしました。  あと、国、県との関係機関の連携強化ですが、資料のとおり愛媛県の「えひめ食の安 全・安心推進本部」との連携や表示の関係でJAS法の指導を行っている愛媛農政事務所 との連携を図っています。  16年度の取り組みですが、新たに監視指導の充実強化ということで、今後監視に活か すよう松山市内の施設情報収集を行っているところであります。  表示についても、先ほどの健康食品の話じゃないですが、医薬品の表示の問題もあ り、薬事との協働の監視も行いたいと思っています。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  それでは、パネルディスカッションのほうに入って行きたいと思います。  パネルディスカッションの進め方についてですが、まず、テーマ毎に進めさせていた だきたいと考えております。複数のテーマについてご意見がございます場合には、一度 に幾つものテーマについて、またがってご発言いただくのではなくて、それぞれのテー マ毎でご発言いただきますよう、お願いします。  また、パネラーとの意見交換を通じて、さらに機会を見て会場の方にも意見をいただ く機会を設けたいと考えております。  まず、テーマについてですが、「食品安全行政の枠組みについて」ということで、ま ず最初にさせていただいて、その後に「健康食品について」という形で進めさせていた だきたいと思います。  また、最後に全体を通じての意見交換の時間を設けたいと考えております。  それでは、「食品安全行政の枠組みについて」から始めていきたいと思いますが。ま ず、本日、意見交換会に参加いただくに当たって、事前に意見をお寄せいただいている ところでございます。  それにつきましては、お手許の資料3のほうにまとめさせていただきましたので、こ ちらをご覧いただければというふうに考えております。  当初、意見募集の際に、食品安全行政の枠組とリスクコミュニケーションを分けて、 項目を立てさせていただいたんですが、内容的に重なる部分も多く、リスクコミュニケ ーションというのは、いわゆるリスクアナリシスの枠組みの中の一要素になっています ので、このテーマの中に整理をさせていただきました。  それでは、まず、食品安行政の枠組みについてということですが、4点ほど意見が寄 せられております。そのうちの一番目と三番目のほうについて、今回、意見交換のテー マとして取り上げたいと思っております。  簡単に紹介をさせていただきますが、質問者は消費者の方からでございます。  安全な食べ物を子供たちにというふうに願って、この30年間、行動を続けています。 しかし、大気、水、土壌の汚染はますます進み、農薬をはじめとする化学物質、特に外 因性内分泌かく乱化学物質や、放射線照射食品、遺伝子組み換え食品、BSE、鳥インフ ルエンザの発生等々、人類存亡の危機を感じます。食品安全委員会のさらなるご活躍を 期待いたします。  ということでございます。  こちらの事務局のほうで、事前に準備させていただいた回答としては、食品安全委員 会の最も重要な役割には、食品の健康に対する影響を科学的な立場から評価する「リス ク評価」というものあります。  これは、本日、寺尾委員からもご紹介いただいたところでございますが。  その評価をもとに消費者や食品関連事業者などの関係者と、情報や意見を双方向に交 換する「リスクコミュニケーションの実施」というものもあります。  こうした活動の基本から、大切にしていることは、食品安全委員会に対して、国民の 皆様からの信頼を得るということでございます。  なぜなら、消費者が食品に求めている「安心」は、「安全」という科学的知見と、そ れを発信する食品安全委員会の信頼から生まれると考えるからでございます。  食品安全委員会は予断を持たず、プロセスを大事にして議論を進め、それを公開して 皆様に見てもらった上で結論を出します。  今後ともリスク評価を着実に実施し、引き続きホームページ等を通じた情報提供に努 めるとともに、リスクコミュニケーションの推進を図り、より多くの皆様の信頼を得ら れるよう努めてまいります。ということでございます。  それから、3つ目のものは、リスクコミュニケーションに関するものでございます が。  テレビ、新聞等で何度も取り上げられておりますが、理解度は低いと思います。食品 を手提供する側、消費する側が、同じ情報を持っているとは思えません。  やはり、提供する側の情報をどこまで公開するか、それを正しい情報をもって伝える か、消費者が正しく理解できるか、全てをクリアしないとリスクコミュニケーションと は言えないと思います。現在どの程度浸透していると考えますか。ということでござい ました。  行政側で、事務局側で準備させていただきました回答としては、ご指摘いただいてお りますように、リスクコミュニケーションは、関係者間で情報を共有し、それらをお互 いに正しく理解した上で、相互に意見交換を行うことで、本来の機能を果たすことがで きるものと考えています。  わが国における食品の安全に関するリスクコミュニケーションの現状は、まだ発展途 上にあると言えるのではないでしょうか。国も情報提供に努めているところですが、食 品等事業視者におかれましても関係者の正しい理解に役立つ情報の提供に努めていただ きたいと思います。というようなことでございます。  以上簡単に質問とそれに対するご回答を紹介させていただきましたが、この食品安定 行政の枠組みについてということで、何かパネラーの方からご意見を伺ってみたいと思 いますが。まずは消費者のお立場ということで、松崎様。 ○松崎嘉之(コープしこく)  はい、コープしこくの松崎です。  今日の寺尾先生のお話の中では、どちらかと言うと、食品安全委員会の総論的なお話 がなされただろうと思っております。  先ほど、愛媛県、松山市のところから、少し細かい形でのご報告があったとは思うん ですが、私ども、まあ私の場合は特に商品の点検とか、工場点検とか、取引先さんの研 修会とか、組合員さんの学習会なんかを、日常的に仕事をしております者でして。この 間、商品をいろいろ点検させていただいておりますと、多くの商品というのは正しい表 示とか、そういうことをやられているんですが。中にやはり法律違反、明らかな法律違 反というような商品がたくさんございます。  中には、その法解釈との関係もあるんですが。法律とか、いわゆる公正競争規約と か、そういうものと少し抵触するような商品などがたくさんにございまして、私どもは そういう面では摘発とか指導とかする立場にはございませんので、そのまま取り扱いを 停止させていただくなり、「こういう問題がございますよ」というふうなお知らせをさ せていただく程度になっておるんですが。  いま、愛媛県、松山市のところで、ご報告された中身をところで、検査とか監視とか いうのが非常に書かれているんですが、それだけではやはり、そういうことをなくして いくことは不可能だろうと。ほとんどの場合、私どもの経験からしますと、食品業者の 皆様方の無知と言いますか、いわゆる法律をご存じなかったりとか、リスクに対しての 認識が非常に低いというような面がございます。  そういう面で、大手の企業さんの場合は、コンプライアンス部門なり、私どものよう に品質保証室なり、品質管理室なりをお持ちになられておりますが、ほとんどの企業の 場合は中小でございまして、中小の皆さん方、社長さん自らが作業員の一人というふう な、限界をお持ちになられております。  そういう面で、少しそういうふうな食品関連業者さんへの取り組みの部分で、少し具 体的にこれからやろうとされているようなことがございましたら、お教えいただきたい なと。  あわせて、コープしこくといたしましては、今後とも行政の皆さん方、それだけでは なくて、食品衛生協会の皆さん方とも、ご一緒になって、そういうふうな取り組みもや っていく準備をしておりますので、そのこともご理解していただいた上で、少し食品業 者さんへの対応なんかをお教えいただけたらなと思います。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  行政側からお答えいただく前に、事業者の方からも続けてご意見をいただきたいと思 います。小泉様、お願いいたします。 ○小泉泰方(愛媛県食品衛生協会会長)  私は小泉でございますが、食品衛生協会という立場から先に発言をさせていただきま すと、食品衛生協会の目的がございます。目的につきましては、もうかれこれ古い、昭 和55年ごろに、この食品衛生法に従って、この定款ができて、最近、皆様ご承知のよう に、食品衛生法が改正されまして、まだ私どもの食品衛生協会の定款も過去のままでご ざいますが。目的としましては、「協会は飲食に起因する伝染病、食中毒、その他の衛 生上の危害の発生を防止するとともに、食品の衛生的技術、その他、食品衛生の向上を 図り、もって公衆衛生の増進に寄与することを目的とする。」 ということで、今、現 在活躍をしておるわけでございますが。  今、私どもが活躍の柱としておりますのは、食中毒の未然防止ということで、現在、 県、それから松山市のほうからのご指導をいただきまして、県のほうも先ほど、松山市 のほうも先ほど、発表がございましたように、いろいろの形で取り組んでいただいてお りますが。我々業者から自ら推進員、指導員を任命いたしまして、今、その食中毒の防 止とか、巡回指導を行うなりしていろいろ活躍をしておるわけでございますが。  最近のように、いろいろ食品の安全・安心の言葉が出てきまして、それなりのことを 勉強をせないかんということになってきまして、いろいろこれから、私も現在、皆様方 と相談をいたしておりますが。今後また県・松山市のご指導をいただいて、食中毒の防 止だけに携わるのではなくて、いろいろとこれから安全性の食品のこと、今日のような テーマにありましたリスクについての勉強もこれからして、いろいろ協会としての幅を 広げていきたいなと、かように思っております。  それから、今、松崎さんからご発言がございましたように、事業者の方々は大手メー カーにつきましては、それぞれの検査室なりを持っておりまして、1品1品、それから 素材につきましてもそれなりの検査をいたしまして、衛生品に仕上げてまいっておりま すが。中小、また中でございますとかなりのそういう施設も持っておりますけども、小 企業がかなりあると思っております。その小企業の方々は、これも松崎さんのお言葉を 借りると、こちらからご指導をいただいて、訂正をしていくような場面を、私もたくさ ん聞いておるわけでございますが。今後、そういうふうなことで、一次加工して、お送 りいただいて、事業者として二次加工で製品に仕上げて、皆様方にご提供していくとい うことでございますので。今後また一次加工の段階でもご指導をいただくようなことを していただかなかったら、小企業はどうしても検査ということができないので、日々の 仕事に追われまして、生産活動だけに従事しておるような場面が多うございます。  皆様方、ここでちょっと物を申すのは失礼でございますけど、テレビで発表がありま したんで、ちょっと申し上げますと。先日、あられのメーカーで、やはりちょっと失敗 があったということで、回収をいたしておりますが。これにつきましても、一次素材を つくる時点で、そこからもう信用して仕入れたものを使用して、今回のような回収命令 が出たというような結果もございます。  だから、今後も国につきましても、幅広く生産から最後までご指導いただいて、消費 者の方々に安全で安心な商品が提供できるように、お願いをいたしたいと思います。  それから、きょうもこういうような会を開いていただいて、非常にありがたいんでご ざいますけど。私からの提案ですと、消費者の方々の最近の食品の基本法の中に、消費 者の役割という場面がございますが。消費者の方々はなかなか事があればかなりご心配 をされるんですけど、普段はあまり衛生についての話はやってない。そういうようなこ ともございますので、何かの機会を通じて、大いに隅々まで情報が網羅できるように、 何とか考えていただきたい。ちょっとこれは私からのお願いをしたいと思います。以上 でございます。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  続きまして、行政側から何かコメントございますでしょうか。  松本参事官、お願いします。 ○松本義幸(厚生労働省参事官)  厚生労働省の食品担当をやっております松本でございます。今、松崎様、小泉様のお 二人からお話がありました。厚生労働省といたしましては、皆様方のお手許に資料ナン バーが入っておりませんけれども、「食品の安全確保に関する取組」という、こういう A4判横長のが入っておりますが、全体としての取組としては、7ページをお開きいた だきます。  このところで、「食品衛生行政の展開」というところでやっておりますけども、厚生 労働省といたしましては、農林水産省食品安全委員会とともに連携を、中央省庁でとっ ておりますし、地方自治体としては都道府県、あるいは保健所を設置しておりますとい うことで、そういうことで連携を取っております。  ただ、食品衛生法というのは、戦後出来たところで、基本的には食中毒の予防という ところが、まず大きなところがありまして、そこの保健所の下にありますけども、(1) から(7)までありますけども、営業の許認可ですとか。立ち入り、監視指導。収去検査、 検査命令、等々でどちらかというと、監視行政が主体であったということでございま す。  そういう中で、小さな中小企業あたりはなかなか大変だと。確かに食品衛生法ができ ましたときには、今日話しておりますような「リスク」とか、リスク会議という言葉が 流行ったのは、つい最近でございますし。いろんな添加物なんかにしましても、化学工 業の発達等において、かなりのものが増えてまいりましたし、農薬等についても、いろ んなものが分かってきたというところで、そういうものを一体どう対応するかという、 非常に化学食品にまつわる、化学技術進んでまいりまして、それに対応する技術も非常 に複雑になってまいりました。  そういう中で、そういう監視だけではなかなか駄目じゃないかと、もう少し指導のと ころをやるべきじゃないかというとこを、非常に示唆に富むお話で、一番最後の(7)の ところで、食品衛生の普及啓発というとこがありますけども、今後、やはりこういうと ころにもう少し力を注いでいくのかなということであります。  ただ、いかんせん、一番最初のところに1ページに食中毒の発生状況とありますけど も、決して減っているわけでもありません。消費者、一般の方々の身近なリスクが目に 見えるリスクでありますので、これについても、的確に対応しつつ、小泉様のおっしゃ ったように、生産段階から消費者のところまで、一貫していろんな指導が出来るように ということは、これは我々も考えておりますし、生産を担っていただいております松崎 さんの生協さんのほうでも。それに取り組んでいらっしゃるということで、限られた資 源のところを、かつまた民間の方々のお力をお借りしながら、取り組んでいきたいとい うぐあいに考えております。以上です。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  中山補佐、お願いします。 ○中山直子(農林水産省消費者情報官補佐)  農林水産省の中山でございます。こんにちは。  今、厚生労働省のほうからお話がありましたので、重なるところもあるかと思います けれども、私どもも、本日、資料の中に、「食の安全・安心のための政策大綱」と、縦 長のコピーを入れさせていただいております。  ページを振ってなくて申しわけございません。その3枚めくっていただいたところ に、先ほど松崎さんのほうからお話のありました、表示の話が載っております。私ども の消費安全局というのは、昨年6月に食品安全基本法が施行されてから、農林水産省と しては、生産部門とリスクを管理する部門、それが今まで一緒になっていたというとこ ろで、非常にBSE等のときにご指摘を受けまして、組織改編をいたしましてできた部署 でございます。  そこで、私ども消費安全局では、リスク管理を中心にやっております。ここのお配り させていただいているパンフレットの中には、私どもが食品のリスク管理で取り組んで いるものが載っているわけでございますけれども、その一つとして、適正な食品表示と いうものに、今、お話がありましたのでご紹介させていただきます。  ご指摘のとおり、これを見ましても、監視体制の強化と、そういうことがいろいろ書 いてあるわけなんですけれども、やはり表示というのはお話を聞きますと、難しい、非 常に複雑な仕組みになっていて、利用者の方々が一体どういうふうに、法律に違反をし ようと思うわけでないけれども、結果としてそれが理解できなくて、違反になってしま うとか、そういったことが、特に中小の企業の方では難しい問題であるというふうに聞 いております。  具体的な話になりますが、農林水産省の独立行政法人で農林水産消費技術センターと いうものが、全国に7カ所でしたか、あるんですけれども、そういったところで常時の 相談窓口をやらせていただいております。  そこの職員から話を聞きますと、やはり、こういう商品について表示をしたいんだけ れども、具体的にどういうふうにしたら違反にならないのか、というようなお問い合わ せが非常に多いそうです。  また、それに対する回答をするのも、なかなか個々の商品の特性と言いますか、そう いったものを踏まえて、ご回答するというのは、非常に難しいというふうに聞いており ますが、一応、そのような取組をしております。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  愛媛県と、松山市のほうで、何かコメントがございますか。  お願いいたします。 ○田頭和恵(愛媛県)  愛媛県のほうから少し監視とか、表示とかをどういうふうにしているかということ を、もうちょっと付け加えてお話しさせていただいたらと思いますが。  ちょうど法律が変わりまして、愛媛県のほうでも、愛媛県の実情に合わせた監視指導 計画というのを立ててございます。  これにつきましては、昨年、ちょうど消費者の方々、そして、食品関係業者の方々と 会を持ちまして、いろいろご意見をいただきまして、その非常に貴重なご意見をいただ きまして、その意見も中に入れ込んだといったことで、監視指導計画を立てたところで ございますが。  厚生労働省さんのほうのお話がありましたように、どうしても食品行政第一にはやっ ぱり食中毒の発生、これを防止するということが非常にございますが。監視指導に当た りましても、過去の発生状況、そしてまた流通経路が広域化、または特殊化してござい ますので、民間にどういう企業にどれぐらい監視を行ったらいいかといった回数を考え るといったときにも、そういった食中毒の発生状況だとか、流通の広域性だとか、特殊 性だとか、そういったものも勘案いたしまして、計画を立ててございます。  これにつきましても、現在、ホームページでご紹介させていただいております。  また、食品の検査、これにつきましても、もう長年、年間約3000件余りの食品を収去 いたしまして、残留農薬、そして、食品添加物、また微生物汚染がないかとか、規格の 決まっているようなものは、規格基準などのチェックをしているといったところでござ います。  そういうことですけれども、行政のほうで特に立ち入り監視指導をするのは、やっぱ り限りがございまして、ここにお座りの食品衛生協会さんのほうの、食品衛生推進員さ んのお力も借りて、業者のほうから自己努力と申しますか、そういったことでのご努 力、そしてそういう推進員さんという制度をもって、消費者の方にも、皆さんがホーム ページを見られるというような、まだ状態じゃないと認識してございますので、そうい う推進員さんのほうからチラシを配っていただいたり、お店に張っていただいたり、ま たスーパーのほうにそういう情報を提供したときに、張っていただくといったようなこ とをさせていただいております。  いずれにしましても、監視に当たりましては、フードチェーンと申しますか、生産か ら製造加工、そして消費まで、これを一連して監視指導をしていかなければならないと いうふうなことで、特に愛媛県でも水産のお立場にあります農林水産部のほうと非常に 連携を取りまして、また消費者の非常に人口が多いということで、松山市さんというお 立場でも、連携を取って進めているところでございます。以上でございます。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。どうぞ。 ○関谷安正(松山市)  現場の保健所の立場ということで、ひとこと言わせていただいたらと思います。  先ほど、松崎さんから、中小企業の指導は、どうようにおこなっているかとの質問で すが、当所では監視指導計画に食品事業者の自主的な管理の推進を行っています。具体 的には管理運営基準や自主管理についてのパンフレットを作成し、3月に製造業者に配 布し、自主管理の推進を指導しています。  また、営業所には、食品衛生責任者は必ず置くようになっております。その責任者 は、講習会を受けるようになっています。  昨年食品衛生法が改正され、自主検査や原材料の安全性確保の確認や記録の作成、保 管が義務付けされましたので、それらを指導しています。  また、先ほど小泉会長さんが、消費者の役割と言われましたが。食品安全基本法の制 定や食品衛生法の改正に伴い、食品営業者の責務も明確になっております。それをどう いうふうに意識付けしていくか、今後の監視のあり方ではないかと思っております。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  厚生労働省のほうでも、昨年は新しく食品衛生法が改正されたということで、今日開 催しているような意見交換会の中で、食品衛生法の改正の説明をしたりとか、そういっ た中で事業者の方、それから消費者の方にも、事業者の方で言えば自主的な管理の推進 でありますととか、消費者の方でも食品に関しての知識を深めていただくこととか、そ ういったことをいろいろ普及・啓発を図ってきたところでございます。  まだまだ、こういった取り組みが十分でないとこもございますので、今年度もリスク コミュニケーションの開催とかを、増やすことにしておりますが、今後とも進めていき たいというふうに考えているような状況でございます。  ただいまの食品安全行政の枠組みについてということで、ご質問を寄せられた方が、 本日、会場にいらっしゃってるかと思うんですが、今回のようなやりとりで、もう少し なんか私はこういうことが聞きたいというようなことがございましたら、ちょっとご発 言いただければと思いますが、もしいらしゃっておりましたら、挙手いただけますでし ょうか。 ○参加者1  それでは、「消費・安全局設置から1年間のとりくみ」と言って、今、さっき中山さ んのほうからご説明がちょっとありました分の、終わりから4枚はページが打ってある んですけれども、その1ページのところの下のあたり、「米国におけるBSEの発生への 対応」というところがありますけれども。  それの下から3行目、「本年夏を目途に輸入再開について結論を出すべく努力するこ とについて合意。」という文章が見えるんですけれども、私たちは、非常にBSEに罹っ たアメリカの牛肉の輸入について、非常に危機感を持っています。  愛媛では23日のいろんな新聞が、全部取り上げているんですけれども、「BSE全頭検 査に限界」とかという、こういう形でいろいろ載せているんですけれども、それ以前に も朝日新聞では、相当大きな広告を、私の記憶している限りでは7月の20日、24日、そ れから27日に、私が目に付いたのは3回ですけれども、一面全部を使って「正しい知識 を得ることがBSE問題の正解です」というような、こういう形で非常にアメリカの牛肉 は安全だというのを、朝日新聞でこういう具合な宣伝をしているんです。  私の認識では、BSEが発生した国はそれが、もう発生しなくなってからでも7年間は 輸出してはいけないという決まりを、国際的につくっていると思います。ですが、アメ リカだけがそれの決まりを破って、いいと思われますか。  なんか、この消費安全局の取り組みのこの文章を見ると、なんか輸入再開について結 論を出すというのは、輸入再開が始まるんではないかというような、とらえられ方を私 たちはしてしまうんですけれども。非常にこのことについての危惧を覚えます。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  BSEについては意見が多くの意見が出てくるかと思いますので、まず先に次のテーマ を終わらせてしまって、その後、BSEをテーマに少しお話をしたいと思いますけど、い かがですか。  多分複数のやりとりが必要なのではないかなと思われるので。  ちょっと先に、それでは健康食品のほうの話をご紹介させていただいて、その後にま とめてBSEの関係のやりとりをさせていただきたいと思います。  すみません、ご発言ありがとうございました。まとめて少しお時間を取らせていただ きたいと思います。  それでは、次のテーマとして、先に事前にいただいております健康食品の関係のご質 問等でございます。  まず、健康食品の取り扱い、今後の方向付け等について、食品安全委員会の見解をお 聞かせください、ということでございますが。  回答といたしましては、いわゆる健康食品について、食品安全委員会で、これまで 「アマメシバ」「シンフィツム」(コンフリーですね)の健康影響評価を実施し、厚生 労働省において、食品安全委員会の評価を基に、これらの加工食品等の販売を禁止する 措置が講じられました。  また、食品安全委員会では、特定保健用食品の健康影響評価も行っており、これまで 40品目の審査に取り組み、うち、23品目について、適切に摂取される限りは安全性に問 題はないとして、審査を終了いたしました。  これからも、人の健康に影響を及ぼす可能性のある健康食品については、必要に応じ て食品健康影響評価を行ってまいります。  なお、平成16年度食品安全委員会運営計画において、特定保健用食品の健康影響評価 についての考え方を整理することが決定したことを踏まえて、新開発食品専門調査会で は基本的考え方をとりまとめました。これは昨日、食品安全委員会でご紹介されたとこ ろでございます。  今後は同調査会における個別品目の審査について、基本的な考え方に基づいて行って いくこととなります。  それからまた、ご意見のほうですが、健康食品と言っても、食事とは違って栄養成分 を偏って多く摂取することが多いと思われるので、成分や飲み合わせが心配されます。 外箱への注意事項などはっきりと表示を希望します。健康食品は全くチェック機関がな いのでしょうか。  質問を続けて紹介させていただきたいと思います。  種類、価格等が多くて混乱する。同じ機能なのに、価格等にばらつきも多く、本当に 体によいものか、逆に摂取の仕方によれば害になることはないのですか。薬品ではない ので、どこが規制・管理しているのですか、というようなご質問でございます。  今日、梅垣室長から大分ご説明いただいているところですが。国で制度化してしてい る保健機能食品以外については、注意表示等義務づけてはいませんが、健康食品か一般 食品かを問わず、食品衛生法においては食品を供給する事業者が、自らの責任において 販売食品等の安全性を確認することとされております。  また「健康食品」については、国民の健康に関する関心が高く、このたび適切に食品 が選択できるようにするための一つの参考情報となるよう、「健康食品」の安全性・有 効性データベースを独立行政法人国立健康・栄養研究所のホームページに開設いたしま したので、参考にしていただきたいと思います。  3つ目の回答も、ホームページのような情報を参考にしていただきたいというような ことです。  どのような食品をどのような価格で販売するかは、事業者の任意となっている。とい うようなことでございますが。ご参考になればということで、ホームページの情報を紹 介させていただいております。  健康食品の関係で、また松崎様、小泉様も、何かご発言ありますでしょうか。 ○松崎嘉之(コープしこく)  健康食品と言うか、いわゆる健康食品と呼ばれるものですけども、先ほど梅垣室長さ んのほうからも、いろいろご説明いただいたと言うか、ご報告をいただきまして、この いわゆる健康食品と言われるものの問題点として、1つは、非常に多種多様な食品がた くさんある。その1つ1つが科学的検証がどこまでされているかというと、まちまちで もありますし、中には民間伝承と言われるような、非常にあいまいなものもたくさんご ざいます。  そういうふうな種類が多いというふうなことと、もう一つは、いわゆる供給者側とい うか、供給者側なり、マスコミなりの非常にいい加減としか言いようのないような、大 量の情報提供というか、ある面では企業活動としての情報提供がほとんどになっており まして、正確に消費者の手許に、正しい情報が届くというような状況には、今、まだな ってないだろうと思います。  また、専門家と言われるような方々、特に医療関係の方々を中心としてですが、ある 意味西洋医学の絶対論者の方々もいらっしゃれば、反対に後退論者の方でいわゆる経験 主義的な、あれで以前患者さんが良くなったら、この方にも使ってみよう、みたいな経 験主義的なところのことをお持ちの方もいらっしゃいます。  一方で、消費者の方々のところでも、自己判断、自己診断をして、「私はどうも調子 が悪い。だからこの私の調子の悪いのは、ここなんだわ。」と勝手に決めつけて、これ を飲みましょうというふうな、食べ方をされてる方も当然いらっしゃいます。  こういうふうな4つの大きな問題点があろうかと思っておりまして、こういうところ では、今後さらに、先ほどのご説明にもありましたように、こういう商品類は多くの消 費者の方々から求められてくるだろうとは思っております。  まさに、生協でもそういうふうな商品を取り扱ってはおりますが。先ほどのご説明の 中で、情報ネットワークのところで、少し進められつつあるんだというふうなことをお 聞きしているんですが。まだまだこれでは不十分なんだろうと。それを求められてる方 は、日本国民おそらく全員の方が求められている部分があろうかと思いますし、一方で 1000人、2000人のそういうふうな方々、専門家と言われるような方々では不足してい る。本来であれば、我々販売者側のところで、商品を供給する、生協ですから供給とい う言葉を使いますが、いわゆる販売する際に、双方向の非常に小さな単位でのリスクコ ミュニケーションが図られていくというふうなことが、ほんとは大事なんだろうなとい うふうに考えておりまして。  そういうふうなことに対して、少し厚生労働省のところなり、梅垣先生のところなり で、何か少し考えられてるようなことがございましたら、お教えいただきたいなと。  人的な育成だけではなくて、そういうふうなシステム的な、いわゆる我々をもっと勉 強させていただきたいというか、そういうふうな支援というようなことを、もしお考え になられてるようでしたら、お教えいただけたらなと思います。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  小泉様、何か発言ございますか。 ○小泉泰方(愛媛県食品衛生協会会長)  私はあまり健康食品のほうはちょっと弱いんですが、テレビをよう見ておりますと、 テレビショッピングで5,800円、2個買うてくれたら7,000円というようなことで、健康 食品なりが売られておるように思いますけれども。  今、やはり消費者の方々が判断、利口になっていただくというのが、やっぱり一番で なかろうかと思います。一方では、事業者につきましては、商いをしているわけですか ら、1個でも売って、そういうようなことを関連づけて、いろいろ宣伝文句を入れて売 っていくという、商売でございますから、それを頭から否定をしてどうのというのは、 なかなか世の中が難しいと思いますけども、1つ、消費者の方々が利口になっていただ くような工面、これをまた私からいろいろ国にお願いをしたいと思います。  よろしくお願いいたします。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  行政側、もしくは梅垣室長から、ちょっとコメントをいただきたいと思うんですが。 参事官、お願いいたします。 ○松本義幸(厚生労働省参事官)  健康食品というのは、いわゆる健康食品で、普通、法律なんかで健康食品とはこうい うものですという定義をするんですけど。これはいわゆる健康食品という格好で、法律 の中に定義があるわけではありません。  先ほどの横長の資料ですけど、14ページのところに、「健康食品」ついて、というと ころで、今、どんな取り組みをしているかということで、大まかなとこで書いておりま すけども、これは国民の方々の健康志向、あるいは非常に高齢化、あるいは食習慣も変 わってきたというようなところで、健康志向が強くなりまして、こういう健康に関する 食品に関する情報が溢れていて、その中にはいかがなものかというものがあります。規 制されてない分で非常にあいまいな表現で購買意欲をそそるようなところがあり、そう いう食品の中でいろんな実際、害も出てきておるということで、こういうもののあり方 については、やはり、いかにすべきかということで、昨年の4月から〔「健康食品」に 係る今後の制度のあり方について〕ということで、検討会が設けられまして、今年の6 月9日に提言への解釈、この提言の副題が、「国民一人ひとりが食生活の状況に応じ て、適切な選択ができるよう、正確な情報を広く提供する」ということが副題でござい ます。  松崎様、あるいは小泉様のおっしゃったように、やはり適切な情報を消費者がきちっ と判断できるようなものを出すということで、その中でどう取り扱うか。現在、機能性 食品、あるいは特定保健食品というのがありますけども、それ以外の野放しになったと 言いますか、そこの部分にもう一つ枠を設けて、好き勝手なそういう表示ができないよ うに。あるいは表示するに当たっての改正ということを、ひとつ取り組んでいこうとい うのが1つあります。  また、このいろんな情報ありますけども、今、梅垣先生がおっしゃったように、全国 で2,000ほどの専門家ということがあります。やはりこれだけでは、なかなか足りない と。その提言の中の普及啓発でも、多種多様な健康食品がいると、それまた消費者が自 分の食生活状況に応じた食品を安全かつ適切に選択することが、職域の観点からも重要 であると。  こうしたことを可能とするためには、これらの食品の持つ成分の機能、その必要性、 使用目的、活用方法等について理解し、正しく情報を提供できる身近な助言者の役割が 重要であることから、管理栄養士、薬剤師等のアドバイザリースタッフが積極的な役割 果たすことが必要だという提言が盛り込まれていました。  ただ、これを具体的に今後どうするかということについては、ちょっとこれからのこ とになりますけども、食品につきましては、我が省だけでなくて、農林水産省も力を入 れていらっしゃいますし、文部科学省とも力を合わせてやっていくということで、その 小さな食生活心という、この小さな思いがありまして、その裏に私もちょっと年を取っ て字が小さくて、見えなくて、辛いのでありますけども、食事を楽しみましょうとか、 そういう主食、主菜、副食を基本に、食事のバランスを、とかいうことで、やはり、こ の健康食品はあくまでも補助的なもので、やはり通常の食事をもっと重視しましょうと いうことでありますけども。こういうことも含めながら、こういう正しい、いわゆる健 康食品の使い方ということに普及啓発を図っていく必要があろうかと思いますけども。 アドバイザリースタッフを今後どうしていくかということについては、医療士会とか、 薬剤師会だとか、そういう関連のところも、どうも智恵を出し合いながら、進めて行き たいという具合に考えています。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  梅垣先生、お伺いいたします。 ○梅垣敬三(健康影響評価研究室室長)  2,000人という話が出ましたが、ネットの運営を開始して2,000人で、今からどんどん 協力していただける人を募集しているところです。実際はいろいろな予備的試験を行 い、1年かけてここまで来たということです。薬剤師会、栄養士会にも協力の依頼をし てますので、同じ考えを持って、消費者の立場で健康食品を考えてくれる人がどんどん 協力してくれているという状況です。もっともっと増えてくると思います。  7月14日に新しいホームページがオープンしてから今までに400人が登録され、いろ いろな書き込みなどができるような状態になってますので、今から期待したいと思って います。会員の中にはコープの方もいらっしゃいますし、国民生活センターの方もいら っしゃいます。いろんなところの方と連携を取って、うまくネットワークが動くように していきたいと考えていますので、会場の方で、協力していただける方がいらっしゃい ましたら、ぜひとも会員のページに入って、書き込みとか、いろいろ協力していただけ ればありがたいと思います。  それから、アドバイザリースタッフの件ですが、私どもの研究所で栄養情報提供者、 NRを養成をするように現在動いています。1回目の試験が先々月あり、約4百人がその 試験で合格されています。そういうNRのサポートも始まっています。私たちのネットの ページは、そのような専門職の人もサポートできる体制を構築しています。そのような システムが育つように、温かい目で見守っていただければありがたいと思います。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  それでは、先ほどのBSEの話が出てましたので、少し、時間の関係もありますので、 ここでお時間を取りたいと思います。  BSE問題につきましては、食品安全委員会において、そもそもプリオン専門調査会立 ち上げ当初から、国内BSE問題の対策のあり方というようなことで、検討を開始されて きている中にあるんですが、ここの昨年12月にアメリカでBSEが発生したこともあっ て、さらに少し混乱をしてきているような状況があるかというふうに思います。  それから、先ほど、何か7年間は輸出できないというようなお話もありましたが、そ のあたり、コメントをいただければと思うんですが。 ○中山直子(農林水産省消費者情報官補佐)  多分、おっしゃっていらっしゃることは、家畜の病気の世界の話で、例えばその国 が、その病気に対して清浄であるかどうかというのを、OIE、国際獣疫事務局という、 国際的な機関で、決めておりまして、その病気の潜伏期であるとか、そういった特性を 踏まえて、ある程度の期間を見ております。  おっしゃっていた7年間というのは、最終発生からBSEの場合7年間その国で病気 の発生がなければ、その国を清浄国と認めるというような意味のことだと理解していま す。  ですので、それをもって輸出入をしてはいけないか、というような判断とはまた別の 意味での7年間ということでございます。私ども農林水産省は動物検疫の立場から輸出 入の条件をやっているわけなんですけれども、OIEという先ほど言った機関でいろいろ な規定はありますが、基本的には2カ国間で衛生条件というのをとりまとめて、輸出入 ができるできないか、どういう条件であればいいのか、というのを決めております。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  それから、BSEのプリオン専門調査会の報告におきましては、昨今、とりまとめられ て、まさに8月4日に、東京のほうでそれをテーマとした意見交換会が食品安全委員会 主催で行われておりますので、寺尾先生からご紹介いただきたいと思います。 ○寺尾允男(内閣府食品安全委員会委員)  ただいまご紹介ありましたように、プリオン専門調査会では、今年の2月から日本に おけるBSEの全般的な状況を、1回ちゃんと検証しようという、これはBSEの問題という のは、我々が検討するのは、牛から人に病気がどのくらい来る危険性があるかというの が中心でありますけれども。それを今年の2月から始めておりまして、7月の幾日かで したか、20幾日ぐらいかな、大体、話がまとまってきまして、たたき台というのが出来 上がりまして、まずプリオン専門調査会でそれについて議論をやって、その7月のプリ オン専門調査会の時点では、結論がまだ出ていないというか、まだ、もう少し議論した ほうがいいという話になりました。  ただ、その時点で一度意見交換会をBSEに関してやったほうがいいということで、8 月4日、今、ご紹介がありましたように、8月4日に東京で意見交換会というのをやり ました。ここで意見を述べてくださる方というのは、公募で全部募集しまして、正確な 数字をちょっと今覚えてないんですけど。9人だそうですけれども、とにかく選びまし て、選び方というのは、ただ、応募してきた方から、抽選で9人選ぶというのでは、非 常に偏ってしまう可能性、意見の偏りがあるかもしれないというので、とにかく意見を 簡単に書いていただきまして、それで仕分けをしまして、賛成の人、たたき台に対して 賛成の人、反対の人、あるいはその中間の人もいるだろうけど、とにかくそういう幾つ かのグループに分けまして、その中から人を選びまして、大体、満遍なく意見が出るよ うに、人選をさせていただきまして、やりました。  一番の論点というのは、何かと言いますと、結局、日米のBSEの協議でも合意されて おりますけど。とにかくいくらBSEの検査を、屠場とかそういうところでやっても、ど うしても全てのBSE感染牛を見つけだすことはできない。  これは試験法そのものの問題といいましょうか、これは試験法というのは、全てそう いうBSEに限らずそういうものなんですけども。非常に微量にしか入ってないような物 は検出ができないということがありまして。先ほども私、ちょっとスライドでお見せし ましたけども、BSEの場合には潜伏期間が結構長いんですけれども、その潜伏期間のも のはほとんど検出できないという状況になっております。  もし、そういう検出が出来ない状況であって、しかも今まで日本では全頭検査という ことで、もう300万頭ぐらい検査をしておりまして、その中から今全部で11頭なんです けども、見つけだした、全頭検査といって、今の検査で見つけだしたのは9頭になるん ですかね。そのくらいのBSE牛を見つけだしたということでありまして。  そのくらいの汚染というか、感染の広がりの中であって、どうしても微量であって、 見つけだせないものが出てくるので、そういう牛は、もうコストベネフィットのことか ら考えれば、当然これはあまり効果と言いましょうか、効率が良くない。  もし、そういうものを非常に若い牛に、特に潜伏期間のまだ感染して間もないような 若い牛を検査をやらないとしても、検査をやらないとしたら、それによってどのくらい 人への、バリアントタイプのCJDという、クロイツフェルトヤコブ病が人に感染する可 能性のあるかという。その可能性というのはほとんどないだろうという考えなんですけ ど。そういうことがたたき台に書いてありまして、そこが一番の論点なんですね。  ですから、人によってはそういう、もうほとんど見つからないようなもの、しかも危 険性がほとんどないものは、もうやめてもいいだろうということを、賛成する人もいる し。そうは言うものの、やはり万が一ということもあるからだろうと思うんですけど も。やはり全頭検査をやるべきであるという意見と、いろいろな意見が、それは当たり 前の話で、そういういろいろの意見の人にみんな話をしてもらうために、意見交換会を やったわけですが。そういう意見が出たということであります。  その4日の議論を踏まえまして、実を言いますと今日5時から、プリオン専門調査会 が開かれることになっておりますので。またどういう進展になるのかというのは、ちょ っと私には分かりませんけども、今日、5時から開かれるということであります。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  厚生労働省、農林水産省のほうで、特に何か追加でコメントなど、ありますか。 ○中山直子(農林水産省消費者情報官補佐)  先ほどのご質問の件で、先ほど寺尾先生のほうからお話がありましたように、あくま でもプリオン専門調査会で国内のBSEについて評価をしていただきまして、その結果を もって国内のリスク管理を担当してる厚生労働省と、農林水産省が、国内のBSE対策を 決定していくということになろうかと思っております。  その過程においては、食品安全委員会がリスクコミュニケーションを行ったのと同じ ように、私どももリスクコミュニケーションをしながら、関係者の方からいろんなご意 見を聞く、リスク管理評価の結論だけで、それがそのままリスク管理に直結してしまう というものではありません。その間に例えばコストベネフィットの話ですとか、心情的 な問題ですとか、そういったものが入って、はじめて最終的にリスク管理というものを 決定してまいる、というような経過をこれから踏まえていくつもりでございます。  米国からの輸入問題につきましては、ここの一番上の「米国におけるBSEの発生の対 応」の下のこの太字で書いてある3行に書いてございますとおりに、「消費者の食の安 全・安心の確保を大前提に、米国産牛肉についても国産と同等の措置が必要との基本認 識の基で協議を進めていく」ということがございます。今後、やはり日本のリスク管理 のあり方を踏まえて、結論を出していくものと考えております。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  寺尾委員から、少し追加がございましたら。 ○寺尾允男(内閣府食品安全委員会委員)  先ほど私はコストベネフィットでどうのこうのということを言いましたけど。これは あくまでも意見を言った方がおっしゃったことでありまして、プリオン専門調査会で は、科学的に見て、日本のBSEいうのは、BSE牛から人がバリオンタイプCJDに感染する 危険がどのくらいあるかというような、そういうことを純粋に科学的に議論をしている ところでございます。  新聞ではいろいろなことを書かれるんですけども、例えば、アメリカの牛肉の輸入を 再開するために、一生懸命やってるんだとかというようなことを、書かれておりますけ ども、少なくとも食品安全委員会ではそういうアメリカのBSEの評価をやってるわけで ありませんで、あくまでもこれは日本のBSEの広がり具合とか、それから日本における 人へのCJD、VCJDの危険性とか、そういう評価をやっておるところであります。  ですから、非常に新聞を読んでますと、我々が全然思ってもないようなことをいっぱ い書かれると、ちょっと迷惑するところがあるんですけれども、それは新聞は勝手な憶 測で書いてもいいいのかもしれませんので、あれですけれども。実際には我々はあくま でも日本の問題を科学的に、純粋に科学的に評価をしてるということであります。  それだけ申し上げたいと思います。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  ほかにBSEの関係で。 ○参加者2  すみません、地元の一消費者なんですけども、声を聞いていただかなければコミュニ ケーションにならないのではないかと思いまして、先に指名されてはないんですけど、 手を挙げさせていただきました。  牛から人への感染リスクに関して、ただいま評価中であるとこをお聞きしましたけれ ども、家庭の台所を預かる者としては、感染してない牛が食べたいんです。私として は、もう牛はいっそ食べたくないと思っているんですけども、さほど認識をしてない家 族の者が、牛を食べたがります。  そのときに、家族内でリスクコミュニケーションをしていくのにも、ほとほと疲れま して、感染してない牛を入手したい。その場合に、牛から人への感染リスクについてお 調べいただいているのは結構なんですけども、確かもう一つトレーサビリティという手 段があったのではないかと記憶しております。  生産履歴を見ていって、子牛の時から感染しているリスクがないと思われる牛を選ぶ 方法はありますでしょうか。例えば、肉骨粉、牛の肉を牛に食べさせたがために起こっ た病気であるというふうに認識しているんですけども。それでは子牛のときから草しか 食べさせてない牛は、感染のリスクはゼロでしょうか。それを生産履歴で確認して、入 手しさえすれば、感染の危険のある牛を食べずに済むんでしょうか。そのあたりを知り たいんですが。  それと、ちょっと機会を与えていただいたついでに、しゃべらせていただきたいんで すけども。松山市の学校給食の献立表の下には、牛肉は使っているですけども、「ゼラ チンほか、牛由来の製品は安全のために使っておりません。」ということが、はっきり 書かれております。それを見まして、私、牛肉は使っているから安全なのかなと思うん ですが。ゼラチンも何かを不活化してしてあるので安全である、というようなことをホ ームページでは見たことがあるんですけれども。松山市の給食の献立の下を見ると、ゼ ラチンは安全じゃないのかと思って、情報がいろんなところから入って来まして、結 局、なるべくリスクはゼロにしたいんです。  ここの「小さな食生活指針について」というのにもありますように、「心とからだに おいしい食事を、味わって食べましょう。」この責務を家庭婦人は負って、食事をつく るのであるにもかかわらず、牛肉を食べたら、万一BSEになるかもしれない、とかいう ような心配をしながら、買い物をしている。この苦悩を分かっていただきたいと思いま す。  まあ、ちょっとついでなんですけど、食品衛生に関しましても、かなり世代間のギャ ップというのが出て来ておりまして、私どもがホームページを通じて入手する半面に、 「フグは食いたし命は惜しし」のような感覚で男の方、食べる方もいらっしゃいます。 ドジョウのおどり食いですとか、生レバーですとか、食べられるというのを聞いても、 信じられないんですけども、そういう方もいらっしゃる。そういう方たちに、もしかし たら食事を提供する立場になるかもしれない。そういう自分の思わない物を、自分が食 べて欲しくない物を食べたがるですとか、自分が食べて欲しくない物を、安全だと思っ て、売ってるものは全部安心と思って、子供なんかも買って食べてます。  まして、祖母の世代などになりますと、牛肉を切った後のまな板でキュウリを切っ て、内心やめてくれと思いながら、口に出せない。こんな、まあこれ牛だから安全だと 知っててやってたら、すごいんですけど。ひょっとして豚肉でもやってるかもしれない とか。そういったことまでちょっと情報が入りすぎて、心配になってしまうと、食とい うものの特性からしまして、自分ちの中だけで家族を囲んで食べさせるものじゃない。 自分ちの中だけで食べさせるものではない。縁日で食べさせたり、お祭りの炊き出しを 食べさせたり、両親の家に帰ったりとか、外食したりとか、いろんな機会がありまし て、自分ちだけが表示を見て安全なものを選べと、そこの責任を押しつけられても困る と思っております。  そのあたりは関係ないんですが、とりあえずBSEの感染していない牛を食べるために は、生産履歴を追って、草だけ食べてる牛を飼えば安全なのかと、そこだけちょっとご 質問としてお伺いしようと思います。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  恐らく、そもそも肉骨粉の給餌自体が禁止されていますので、そういう意味では草だ けと言わずも、恐らく生産履歴がしっかりしているものであれば、BSE感染リスクとい うのはほとんどないものと思われますが。農水省から、コメントはいただけますでしょ うか。 ○中山直子(農林水産省消費者情報官補佐)  生きた牛の個体識別と、牛肉のトレーサビリティということで、法律も出来ましてや っております。今、広瀬さんのほうから言っていただきましたとおり、まず日本では牛 の肉骨粉というものは、輸入物も含めまして、存在しません。日本の国内で屠殺された 牛も、食肉にならない部分につきましては、一部は処理のために肉骨粉にはするんです けれども、それは全て焼却しております。  それからあと、牛に食べさせる餌には、動物性のタンパク質、例えば、豚からつくっ た肉骨粉とか鳥から作った肉骨粉、そういったものも使わないことになっております。 一部ニワトリからニワトリへの肉骨粉など、そういったものは評価をいただいて、やっ ておりますけども、牛については、そういったものは今、エサの中には含まれておりま せん。ということで、ひとつ日本のBSE対策、いろいろ全頭検査とか、SRMとか、皆様 非常にご関心のあるところだと思うんですけれども、農水水産省としても、生産段階で まず感染している牛を作っては元も子もないので、エサの管理というのを、業界等にも 指導を厳しくしてやっているところだということを一つご理解いただきたいと思いま す。  また、トレーサビリティにつきましては、日本にいる全ての牛に耳票を付けて、厳し く管理しているという、世界でも類を見ない管理状況だと思うんですけども、たどって 行って、「あ、こういう状況で育った牛なのね」というようなことのうち、エサについ ては、残念ながら牛肉のトレーサビリティとしてやっているものでは、直接は分かりま せん。何かあったとき、例えば、不幸にして陽性牛が見つかったというときに、その牛 が、子供のときに飼われていた農場で感染したとか、そういうことから、疑似患畜とい うものを特定して排除しなくてはいけないということなどに、非常に役に立っていると いうことです。  それから、生産情報公表JAS、というものが牛肉について、すみません、昨年中だ ったと思うんですけども、始まりまして、そちらのほうでは、例えばどういった抗生物 質を使っていたとか、どういったエサを食べさせただとか、そういったことも、こちら のほうは事業者さんの努力でしていただいているます。そういった、JAS制度も始まっ ているところです。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  ほかもBSEの関係。はいどうぞ。 ○参加者3  今の肉骨粉のことなんですけどね。それは最近ですか、肉骨粉をエサに入れないよう にしたというのは。昔からですか。 ○中山直子(農林水産省消費者情報官補佐)  日本でBSEが発生しまして、以降の話です。 ○参加者3  そうでしょう、それ以前はずっとやっとったんでしょう。だからいけないんですよ ね、ほんとに。共食いはいけんのですよ、やっぱり、ねえ。  すみません、寺尾先生にちょっとお聞きしますが、お話の中で、危害食品のお話の中 で、「昔と比べて、その危害が少なくなっているとも考えられる。」というようなこと をおっしゃったんですが、それはどういうようなことかと。もっともっと今のほうが私 は危害が大きくなっておると思うんですが。  それは、ちょっとお話の中から申しますと、例えば、食品添加物におきましても、戦 後は恐らく60種類ぐらいだったと思うんですが、化学食品添加物ですね。それが今、 400種類ぐらい、345ですか。そのくらいになっておって、今、人工的なものが圧倒的に 増えておるというようなことですね。  あるいは農薬におきましても、単位面積当たりの散布量というのは世界で圧倒的に1 位だそうですね、日本は不名誉な。  そういうようなことで、そういうものが作物に入れば、当然人間にも入ってくるとい うようなことで、ものすごく増えておると。危険度が増えておると思いますし、添加物 の345種類ですか、そのくらいになったために、1人当たり、なんか1日に計算すれば、 10g、1年間に4kgぐらい入っておるだろうと言われておるんですが。  そういう化学的なものが入っておって、安全であるはずがないし、安全が増しておる ということは言えないと思いますし。  あるいはまた輸入食品におきましても、最近でもそういう許可されていない添加物が 入っておったとか。あるいは野積み、港に持って来られて、半年とか1年ぐらい野積み にされたままを、消費者に渡すというような、そういうような食べ物なんかも結構ある というようなことも聞きますし。  日本人に安心とか安全を与えて、この健康を守るということから考えた場合、例え ば、添加物だとか、あるいは農薬だとか、あるいは輸入食品だとか、そういうものを少 なくするような指導、そういうものが私は行政の務めじゃないかなというように思うん ですけども。  そこらへんについて、ちょっとお聞かせいただきたいなと思います。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  寺尾先生、いかがでございましょうか。 ○寺尾允男(内閣府食品安全委員会委員)  私は昔よりも危害が少ない、ハザードですね、被害件数はね。少ないんではないかと 言いましたが、まあこれは私の個人的な意見なんですけれども。  昔に比べますと今の安全性に関する試験法というのは非常に完備されてきまして。そ れで、最近新しく出てまいります添加物とか、あるいは農薬というのは、非常に毒性の 低いものが出来ているんですね。昔は結構危ないものあって、取り消しになったり、な んていう話もありましたけどもね。ですけど、今は、もうそういうことが起こり得ない ような、非常に厳しい試験で、厳しい審査が行われているので、現実の問題として、数 は増えたけれども、個々のものの危険性といいましょうか、毒性といいましょうか、そ れが非常に低くなっていると。そういう意味から申し上げたわけです。 ○参加者3  少量のものを毒性が少ないと申しましても、少量のものを複合的に何10種類も入って 来るわけですよね、日々においてですね。決して安全になっておると言えないと思いま すよ、私は。 ○寺尾允男(内閣府食品安全委員会委員)  数が多くて、それをある種類全部と言いましょうかね、どんどんたくさん我々が摂取 している、というふうにはならないですよ。必ずしも数が多いからと言っても。 ○参加者3  スーパーなんかに行きましたら、まあ裏を見てください、健康食品の。 ○寺尾允男(内閣府食品安全委員会委員)  添加物の話ですか。 ○参加者3  それは添加物ですね。まあ、農薬においても世界一でしょう。農薬の使用量。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ちょっと説明をさせていただくと、農薬は確かに単位面積当たり使用量は多いようで すが、年々使用量は減っているというような資料。 ○参加者3  減っておっても世界一でしょう。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  でもそれは昔に比べて減っているという。さらにこれからは減り続けるというふうに 考えておりますが。 ○参加者3  それを減らすような努力というのは大事だと思いますね。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  減らすような努力をされているので、どんどん減っているという状況だと思います。 ○参加者3  添加物は逆ですよね。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  添加物は種類は増えてきていますけれども、例えば、それは別に添加物が3つになっ たから、その3つの添加物を必ず1つの食品に使うということもないと思いますので。 ただ、いろんな種類は増えていますけれども、使うもの、減らすものとか、いろいろあ ると思います。 ○参加者3  例えば、添加物で言いましたらね、先進国では早うに、許可がもう禁止になっておる という、あの発色剤ですね。亜硝酸ナトリウムとか言うんですかね。それをまだ日本は 使っておると、今。こういうようなことも聞きますけども。どういうことでしょうか。 これなどを禁止しないということは。 ○寺尾允男(内閣府食品安全委員会委員)  亜硝酸ナトリウム、日本だけじゃないですよ。あれはソーセージとか、ああいうもの に使われるんですよね。これは日本だけが使ってる話ではなくて、あれは実を言います と、色を出すだけではなくて、ボツリヌスが繁殖するのを抑えているという、そういう 有用な面もあるんですよ。  だけど、亜硝酸が入っていますと、ニトロサミンができるから、だから危ないんでは ないかという話は確かに、おっしゃるとおりだと思います。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  いろんな方にもご意見をおうかがいしたいので、ほかの方いかがでしょうか。BSEの ほうはもうよろしいですか。  ではBSEの関係でご発言、どうぞ。 ○参加者4  失礼いたします。大変、今日、出席させていただきまして、勉強になりました。と、 申しますのは、大変高度な学術的用語、英語等を駆使してご説明いただきまして、大 変、勉強になりました。  それで、その後、考えたんですが、せっかく安全委員会等、それから農林水産省、そ れから厚生労働省のほうで、いろいろ、こうやったらいいだろう、こうやったらいいだ ろうというふうに、運んでくださっておりますので、こういうふうなことを検討してお りますよ、こういうふうな状況ですよというのを、もう少し国民に分かりやすく、例え ば、広報担当官でも置いていただいて勉強させていただけたらと思いました。  それで、BSEにつきましては、今、全頭検査ではコストが高いというご説明がありま したんですけれども、食の安全ということが、もう人間が生きていく上で大切なことな ので、例えばここで全頭検査の枠をはずしますと、BSEに罹っている牛が、例えば、国 内でも発見されておりますが、外国等から入って来た場合に、もう始末が付かないよう な状況になると思うんです。それで、コストが少しかかっても、全頭検査というのは、 安全と安心のために講じていただきたいと思っております。  それから、食品安全委員会の委員の方々が検討される資料というのは、どちらのほう で作成されるんでしょうか。それをちょっとお聞きしたくって、発言いたしました。失 礼いたしました。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。  寺尾先生、お願いします。 ○寺尾允男(内閣府食品安全委員会委員)  BSEに関しての資料ですか。全ての資料ですか。 ○参加者4  はい、そうです。 ○寺尾允男(内閣府食品安全委員会委員)  それはですね、安全性の評価は厚生労働省、あるいは農林水産省から、我々が諮問を 受けたときには、その資料は付いてきます。  その資料というのは、多分申請者が作った、作ったというのは付けてきた資料です ね。ですから、申請者が自分で試験をやって作った資料もあるし、ほかの科学者が論文 としてまとめたようなものもあるし、まちまちだろうと。まちまちというか、さまざま だろうと思いますけれども。それでいいですか。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  あと、BSEの全頭検査は是非というお話、コストがかかっても、というようなとがあ りましたけど、何か行政側からありますか。 ○松本義幸(厚生労働省参事官)  全頭検査は平成13年の10月18日だったと思いますけど。それからやってきました。そ の時点でなぜ全頭検査になったのかというのは、1つは、ヨーロッパではそのころ30月 齢ということでやられていましたけども。日本の牛の場合に、きちっとこの牛が何月齢 かということが十分把握する仕組みがなかっということ。それと、じゃあどこか出たと きに、ある肉は検査済み、あるものは検査なしということであれば、これはやはり市場 で混乱を起こすだろうというようなこと。  それと、全頭検査をやって欲しいというような、そういう声もあったということで、 学問的にはどうかという話も、その時点からありましたけども、そういう判断で全頭検 査をやってきております。  その後、先ほど農林水産省の中山さんのほうからお話がありましたように、それぞれ 牛1頭ずつ、その後も整備されまして、日本ではこの牛はいつ生まれて、今どれだけだ ということは、全頭分かるようになってきております。  一方、別のところで全頭検査のことにつきましては、今まで平成13年から始めまして 三百何十万頭をやっておりますが。それの部分につきまして、どういう体制がいいかか ということにつきましては、現在、食品安全委員会で科学的な立場から、評価・検証が 行われておるということで、その評価・検証とともに、いろいろ8月4日にも行いまし たし、その後も今後やっていくということになろうかと思いますけども、厚生労働省と いたしましては、そういうリスクコミュニケーションを含みます食品安全委員会におけ る評価・検証の議論を見守ってから、対応したいと考えております。 ○参加者4  ありがとうございました。食品安全委員会がせっかく発足したことですので、食品安 全委員会が各制度の各省庁と作用しながら、国民の食生活や、健康の安全のために関与 していっていただきたいと思うんです。  健康食品がいろいろ取りざたされておりますが、人々の意識の中に食べ物だけで今後 健康が維持されていくのかなという、なんか不安感がそこにあると思うんで。食品安全 委員会の方、それから政府の各省庁の方、よろしくお願いいたします。失礼いたしまし た。 ○コーディネーター(広瀬 誠) わかりました。ご意見として承りたいと思います。  まだお済みになっていない方がいらっしゃいますので、BSEについてということで。 ○参加者5  私も1消費者です。それで、先ほど言われました輸入の問題。7年間の輸入の問題 は、多分、WTOの指定であったと思うんです。最終の狂牛病が発生して7年間の輸出・ 輸入の問題は。ちょっとそこらへんをもう一度、私も曖昧な記憶ですので、調べていた だきたいと思います。  それを踏まえましても、輸入することが前提であるようなリスク評価であってもらっ ては、消費者としては非常に怖いということです。先ほど前の方の添加物の問題もござ いましたし、BSE問題もそうで。肉骨粉の問題は非常に前から疑われていたのに、日本 ではそれが使用されていて、そうなってしまった。  共食いの問題で言いますと、今、ニワトリに対しても、共食いのようなものが行われ ている飼料の問題で。  私たちは国民として、ここの国民として、消費者として、日本の国で売られているも のは、ある程度安全であるということを前提に、確かに今、トレーサビリティとか、い ろんな問題がありますけれども、ある意味では前提で食べるということをやっておりま すので。非常にそこいらのリスクに関しては、厳しい形で行政の方にやってもらいたい というのが、大きな問題です。  BSEの問題は、もちろん牛の問題、それから人間の問題というふうに、今、問題にな っておりますが、プリオンというのがどういう動きをするのか。例えば大地の中でと か、ほかの状況の中でどういう動きをするのかというリスク。それが食べ物のなかにど う、例えば、土壌でどういうふうなことになって、ウィルスとかそういうのだったら死 滅するみたいな話もありますけれども、それがどういうふうに今から先、動いて、我々 の食に関してリスクを、もしかしたらリスクがあるのかないのか、ということの問題っ て非常に大きいと思うんですよね、BSEの問題、全ての問題にもう、止まらないのでは ないかというのが、消費者としては非常に怖い問題なんです。  そこらへんのリスク、先ほどのお話を聞く限りにおいては、現在の問題のリスク、も っと一歩進んだ中で言えば、予防的なリスクというのは、一体どうなのかってというこ とは、ちょっとなんか、「あ、このリスク分析の中では不安だなあ」食品安全という中 で言えば、可能性としてあるものに対しても、それを食べていて、私たちが今後、10年 後に、私たちの子孫が100年後になるであろう可能性も非常に怖いわけですよね。そし て、日本がどういう動きをするのか。どういうものなのかということのリスク。今後の 情報の中でのリスクということについてはどうお考えなのか、食品安全委員会としての 見解を教えていただきたいと思います。 ○松本義幸(厚生労働省参事官)  まず、予防の観点からという点では、BSEに関して言えば、以前、人がだれか被害が 出てから初めて規制をするということではなくて、人に感染する可能性があるというこ となのでは、もう牛がそういう病気に罹ったという時点で食品に流通するのはやめまし ょうという点では、予防的観点からまさに措置が取られているということなんだと思い ますが。プリオンの自然環境における挙動みたいなものは、なかなかちょっと、大地の 中でどうなるのかという、そういうことを調べた人がいるのいないのかというのは、私 はちょっとわかりません。  というのは、そういう論文は読んだことがないので、みんな、牛とか、マウスとか、 人とかという、そういうあくまでも動物の体内でのことは、非常に研究されていますけ ど、環境の中でどうなるというのは、多分、やったことのある人というのは、世界中探 してもいないんじゃないかなという気がいたします。それしか、ちょっと分かりませ ん。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  あと、補足させていただきますと、BSEの感染が見つかった牛とか、それから特定危 険部位は、焼却されてますので、自然界にまた戻っていくというふうな流れにはなって ないと思います。見つかったものはどんどん焼却されているので、要するに自然界に出 るという、いわゆるBSEのプリオンが自然界の中で増えていくというようなことはない と思います。  日本において処置されてる牛はそういう状況です。外国で増えるかどうかは私たちは 分かりませんけれども。 ○松本義幸(厚生労働省参事官)  BSE感染牛であるというのが分かった牛については、もうこれは完全に焼かれて、消 えてなくなってしまいますからね。そこは問題ないんです。 ○参加者6  皮膚の学者さんの意見なのかもしれませんけれども、非常に今日本の中で、痴呆症と いうお年寄りが非常に増えていて、そして、それがヤコブ病とかの検査が行われてなく て、可能性としてはヤコブ病だった可能性もあるというお話をお聞きしたことや。それ と、ペットフード等に含まれる問題で、猫に同じような病気が発生したということがあ りますよね。という話を聞くんですけれども。ただ、医学的に非常に老人性の痴呆が行 われている場合に、脳の検査までしませんから、多分痴呆ということで、処理されてい る部分があるのではないかという話もありますけど。その点については、どうお考えで しょうか。 ○松本義幸(厚生労働省参事官)  私は専門でありませんけども、統一されたヤコブ病の場合には、大体、発症の例と か、発症の仕方、症状等が、通常のこのあたりで言う、血管の欠陥的痴呆ですか、血管 が詰まって閉鎖する。多くの痴呆とやはりパターンが違うということで、最終的には亡 くなられた後、脳を病理的に見てみないとわかりませんけども、大体、臨床的な発症の 仕方、症状の出方から、やはりヤコブ病らしいということは言えます。  後、プリオンの話ですけども、まだ分からないとこは多々ありますけども、プリオン というのは異常プリオンが、ああいう脳の空洞状態をつくらせるということで、プリオ ンがじゃ、人の体内に入ったりすると、人の中に正常なプリオンがある。それが何かの メカニズムで異常化してきて、起こるということで、ああいうバクテリアのように自然 界にあって増えるというものではない、というように一応聞いておりますけども。  ですから、自然界の中でどうなるかということについては、誰もそういう研究をやっ た例がないわけです。  ただ、メカニズムとしては、そういう生物体の中で、正常な通常持っている正常なプ リオンが 何らかの形で異常化してくるということで、出るということだということ で、今まで私の調べた範囲ではそういうことです。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  なかなか、議論が尽きないところかとは思いますが、時間のほうも実は予定していた 時間を超過しておりますので、あと、BSEだけで終わってしまってもあれなので、もう 一方だけ、何でも結構ですので、これだけは何か聞いておきたいということがございま したら、ご発言いただければと思いますが。 ○参加者3  食品添加物の中で発ガン性のある過酸化水素とかいうのがあるというわけなんです が、これは食品添加物から除けるとか、そういうことはやれんのですか。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  先のお話の食品添加物についても、いろいろデータを集めて、そういうことが明らか になった時点で、あるいは、以前と違って新たな知見が出てくれば、その時点で食品安 全委員会に評価をお願いして、その結論をもって決定する、というようなことになると 思っています。 ○参加者3  今使ってる発ガン性があると言われているものは、まだ大したことないから当分使う ということになるでしょうね。 ○松本義幸(厚生労働省参事官)  そういう、いろんな毒性等を含めて、かつ最低影響量の中にさらに、寺尾先生のおっ しゃるように、安全率を掛けて、通常のところというか、そういう実験をやって、それ から影響ないとうところまで引き下げたところで、認めていますので。 ○コーディネーター(広瀬 誠)  ありがとうございました。それでは時間を大分超過して申しわけありませんが、これ でパネルディスカッションのほうを終わらせていただきたいと思います。  司会のほうにマイクをお返しいたします。ありがとうございました。 7 挨拶 ○司会(橋本麻衣子)  ありがとうございました。  閉会に当たりまして、松山市・吉岡保健福祉部長よりご挨拶をお願いいたします。 ○松山市保健福祉部長  吉岡一雄 皆さん、長時間の会議、本当にお疲れでございます。私は、松山市保健福 祉部長の吉田でございます。  最後に、閉会に当たりまして一言簡単にご挨拶を申し上げます。  今回、松山市におきまして食品安全性確保のための取り組みと、健康食品などに関す るリスクコミュニケーションが開催され、このように成功裏に終えることが出来ました のも、関係皆様方のご協力と、ご参会の皆様方の熱心なご討議があったからだと、心か ら感謝いたしております。  当市におきましても、安全で快適なまちづくりを目指し、食の安全確保に取り組んで いるところでございますが、本日の意見などを参考にし、食に対する安心と信頼を回復 するため、真摯に取り組んでまいりたいと考えております。  終わりになりましたが、本日ご参会の皆様方のご健勝とご多幸を祈念させていただき まして、私の閉会の挨拶とさせていただきます。  本日は本当にありがとうございました。(拍手) 8 閉会 ○司会(橋本麻衣子)  以上をもちまして食品に関するリスクコミュニケーションを終了させていただきたい と思います。  本日はご参集いただき、まことにありがとうございました。                               午後4時42分 閉会