03/12/15 食の安全に関する意見交換会(議事録)           輸入食品の安全確保に関する意見交換会                         平成15年12月15日(月)                         於:大阪厚生年金会館 【司会(磯貝)】  ただいまから輸入食品の安全確保に関する意見交換会を開催したいと思います。  私は、本日司会を務めさせていただいております厚生労働省食品安全部監視安全課輸 入食品安全対策室の磯貝と申します。本日、最後までよろしくお願いいたします。  確認でございますが、当方の手違いがございまして、看板に輸入食品の安全確認とい うことで1文字間違っております。これは安全確保でございますので、訂正させていた だきたいと存じます。  まず、本日の配付資料の確認をさせていただきたいと存じます。お手元にございます 輸入食品の安全確保に関する議事次第、1枚紙がございます。その下のほうに配付資料 一覧がございます。それに沿って説明させていただきます。  まず、資料1といたしまして輸入食品の監視ということで、ホッチキスどめになって おります。それから資料2−1、輸入食品監視指導計画(案)ということで、これもホ ッチキスどめでございます。それから資料2−2、平成16年度輸入食品監視指導計画 (案)でございます。それから資料3、農林水産省における輸入食品の安全対策につい て。それから資料4、食品の微生物学的衛生管理。それから資料5がございまして、輸 入食品の安全確保に関する考え方と今後の課題。それから資料6、輸入食品の安全確保 に関する意見交換会、事業者としての取り組み。それから資料番号は振ってございませ んが、2つほどございます。1つは事前にご質問やご意見をいただいておりますので、 要望に対する回答ということで横紙の表がホッチキスどめになっております。それから 今後の意見交換会の参考にさせていただくために、意見交換会に参加していただいた皆 様へという形で、アンケート用紙1枚紙を用意しております。これについてはこの会議 が終了した後、会議の受付の出口のところで回収いたしますので、よろしくお願いいた します。もし、資料に不足等ございましたら、事務局もしくは受付までお申し出くださ い。  続きまして、簡単に本日の議事進行を紹介させていただきます。本日は2部構成とさ せていただきます。第1部は、輸入食品の安全確保に関する行政や研究者側の取り組み に関する説明とさせていただきます。所要時間は約80分程度を予定いたしておりま す。それから第1部終了後、約10分間の休憩をいただき、3時35分をめどに第2部 の意見交換会に移らせていただきます。なお、会場の都合上、午後5時ごろには終了さ せていただきたいと存じますので、あらかじめ了承いただきたいと存じます。  それではまず、第1部の輸入食品の安全確保についての説明に入りたいと思います。 なお、第1部に関しまして質問等がございましたら、第2部の意見交換会の部で質問を されるようにお願いいたします。  まず東京検疫所の森田所長より、輸入食品の監視についての説明をお願いいたしま す。森田所長、お願いします。 【森田】  東京検疫所の森田でございます。  初めに、検疫所というのを、皆さん方はあまりなじみがないと思いますので、ちょっ とご説明したいと思いますけども、輸入食品の安全確保のための監視・指導、これを水 際でまず検疫所が行っております。関西では大阪検疫所もありますし、関西空港検疫 所、神戸検疫所があります。それでもう一つはSARSなどのように海外で発生して、 日本で発生していない感染症の侵入防止、ペストですとかコレラですとか、そういうよ うな感染症の侵入防止のための人の検疫、あるいは荷物、船の検疫、そういうようなこ とをやっているところであります。                  (スライド)  初めに、我々の食生活というのはどのぐらい海外に依存しているのかというのをちょ っとお話ししてみたいと思うのですけども、スクリーンが小さいので細かい字はテキス トで見ていただければと思います。皆さん方、よく我々の食生活はもう60%は海外に 依存しているという、いわゆる自給率は40%だといつも言いますけど、それは何を言 っているのかといいますと、ここの供給熱量総合食料自給率、いわゆるカロリーベース で60%を海外に依存しているということです。  こうやって個別に見ていきますと、米であれば95%、ほぼ100%これは自給でき るわけです。小麦の場合は11%、豆類は7%。小麦は大体630万トンを平成13年 度で消費していますけど、そのうちの国産は70万トンぐらいしかない。あるいは豆類 でいくと、大豆、これが510万トンほど消費していますけども、国内生産は27万ト ン、5%ぐらいしかないというような実態。ただし、ここでいきますと肉類は53%、 卵は95%、乳・乳製品は70%近くになる。そういう自給率があるのになぜ40%と 言うのかということなのですけども、これは我々が食べるものすべてエネルギー、カロ リーに換算して見ていきますと、動物性食品というのはえさで海外に依存しているので すね。そのえさの分を海外に依存しているのを換算していくとカロリーベースで自給率 40%ということなのです。                  (スライド)  例えば牛乳でいきますと、国内生産が800万トン、輸入が400万トン、大体70 %近くの自給率が重量ベースで言うならばあるのですけども、日本は大体1,200万ト ンのコーンを家畜のえさで輸入していますから、その家畜のえさの自給率というのは 乳・乳製品が43%、ところが卵にいくと10%に落ちてくるのですね。乳・乳製品は なぜ高いかというと、草を食べさせるから。草を食べさせているものについては、この えさの自給率が高い。それにしても、えさも切られてしまうと、牛乳は今の量の30% しかもう我々は食べられない。豚肉でいくと6%、卵でいくと96%の自給率で価格も 非常に安定していると言われていますけども、実際にえさを切られると10%、今の 10分の1しか食べられない。こういうことをカロリー換算していくと、先ほどの40 %となるわけですね。これだけ我々は海外にいろんなものを依存している。食品もそう ですし、家畜のえさもほとんど海外に依存しているということがおわかりだと思いま す。                 (スライド)  輸入食品の届出状況、輸入食品の輸入というのはどういう状況にあるのかということ になりますけども、162万件の届出が平成14年にあるわけです。どんどん届出件数 は増えてきています。重量は大体3,000万トン、胃袋の大きさは変わりはないわけで すから重量はそう変わらない。しかし届出件数が多いのはどういうことかといいます と、かつてと違うのは何かといいますと、海外で加工して小口化して輸入されてくると いうことです。それからもう一つは、野菜が海外でつくられて、特に東南アジアで野菜 がつくられて、以前、野菜の輸入状況というのは日本の端境期で、例えばトンガでカボ チャをつくって持ってくる、ニュージーランドから持ってくる、メキシコから持ってく る、ちょうど北と南が逆転しているものを持ってきたわけですけど、今はもう同時期で す。この時期に中国からネギが来ますし、シイタケは来ますし、そういうような野菜の 開発輸入が非常に増えてきている、海外で加工されて来るものが非常に増えてきている ということで、そういうことが重量は伸びないけど、件数は増えていくという、そうい う状況にあるわけです。                 (スライド)  それで、消費者の方は輸入食品に対してどういう意識を持っているのか。これは食品 安全委員会が先般公表したものですけども、食品の安全性の観点からより不安を感じて いるものは、農薬、輸入食品、添加物、汚染物質、微生物はここへ来るのです。大体、 農薬、添加物、汚染物質、化学物質に加えて、輸入食品という総くくりのものが、消費 者の不安の一番高いところに出てくる。これはあらゆる消費者の調査、アンケートをや っていくと、大体同じパターンです。微生物は下のほうにくるというのは、ここへ載せ ていませんけども、平成12年の雪印乳業が食中毒を起こしたまさにそのときに東京都 のモニターに聞いたときにも、微生物は下にくるのですね。やっぱり添加物、農薬のほ うが、現に大規模食中毒が起きている最中でも、消費者の方は第一に化学物質を挙げて くる。                 (スライド)  これは国民生活モニターの調査ですけど、生鮮食品、加工食品の新鮮さを求める、安 全性を求める。                 (スライド)  表示を見るときはどこを見るかというと大体日付からまず見て、鮮度がいいかどうか 見ていくというのが、どこのやっている調査でも同じパターンが出てきた。                 (スライド)  これは同じ国民生活モニターですけども、輸入品と国産品でどっちを買いますかとい うと、生鮮食品でいうならば90%が国産です。加工食品でも84%が国産です。輸入 食品をいいという人は、加工食品で少し出てくる。これはフランスのワインがいいと か、ヨーロッパのチーズがいいとか、そういう人たちはここへ。ですから実際に消費者 の皆さん方はできるだけ国産品を買いたい。ここにある価格による選択、例えば2本 100円の中国産のネギと国産の2本で200円のネギ、どっちを買いますかというよ うな、倍価格が変わっても国産を買いたいという人が50%。それだけ国産のほうが有 利な状況にあるわけです。                 (スライド)  これは読売新聞、同じように国産のものと輸入のものを、米、肉や野菜などを比較し て、おいしい、安全性が高い、輸入品は安全性が低い、こういうようなパターン、これ も同じようなパターンが出てくる。                 (スライド)  これはセゾンが昨年調査したやつですけども、どういう人を信頼しているか。今信頼 している、以前は信頼していたけど今は信頼していない、もともと信頼していないで、 国内生産者の方はずっと信頼が高い、生協の方も信頼が高い。低いのは海外生産者、も ともと信頼していない人が食品輸入業者、このときは行政ももともと信頼されていない と。一方ではしかしこういいながらも何に期待するかといったら、こういうアンケート のときには、実際に期待することは安全性確保のために行政ということになるのですけ ど、その信頼度という意味では低い。                 (スライド)  これが輸入食品の流れですけども、輸出国において生産、加工、製造されたもの、あ るいはA国で生産してB国で加工、製造して輸入時に入ってきて、国内で製造、加工す るものもあれば、そのまま消費者のところへいくもの、野菜の場合はこういうふうに直 接いく、あるいは原料を輸入して国内で加工するものもあるわけです。安全確保の対策 としては、輸出国における安全確保というのが実際には非常に重要になるわけです。輸 入時においては、もちろん輸入者の人はしっかりやってもらわなきゃいけませんし、あ るいは検疫所の取り締まり、国の取り締まり、監視、指導というのをしっかりやってい かないかん。国内においても地方自治体あるいは営業者の皆さん方の対策をやることに よって、消費者に安全な輸入食品を供給していくということになるわけです。  ただし、どうして消費者の方は輸入食品に不安を持っているかというと、ここから先 が見えないのですね。中国でネギをどうやってつくっているのだろう、あるいは農薬を どういうふうにまいているのだろう、シイタケはどういうふうに栽培しているのだろう という見えないところに対する不安。それと、こういう国というのは行政の規制がどう いうふうにされているのか、そういうことも全然わからない。もう一つは、輸入時の監 視というのもどういうふうにしているのかなかなか説明がない。きょうはこういういい 機会になっているわけですけども。  輸入食品の現在のパターンを見ていきますと、非常に変わってきている。要は外国の 安い労賃で加工して、日本に持ってこようというような動きが強いわけです。極端な例 は、インドネシアからエビを輸入して中国に持っていって、中国で殻をむいて5センチ ぐらいのエビに切り目を入れて伸ばして10センチぐらいにする、そういう伸ばしエビ というの。これはなぜそうするかと、天ぷらにするときに5センチじゃ先が衣だけにな るから、全体を10センチにするのに刻む。だから中国の人は日本人っておかしな国だ と思っているのでしょうね。エビを何でこんなところを切っていくのか。そういうよう ないろんな加工が外国の低賃金のところに持っていくようになってきている。                 (スライド)  輸入食品の検査というのはなかなか皆さん方はイメージがわかないと思いますので、 簡単にまずお話しして。営業上使用しようとする食品は、すべて検疫所に届けなきゃな らないのです。それが先ほど言った160万件の届出。それで届出された場合、食品衛 生監視員、これは専門家です、食品衛生に関する専門家が書類を審査して、試験成績書 の提出を求める。これは営業者の方の責任でこのデータを持ってきてくださいよと、そ ういうデータの提出を求めるもの。それから食品衛生監視員が倉庫に出向いていって現 物を検査し、試験検査のためのサンプルを採取し、国の経費で検査するもの、これはモ ニタリングと言っています。それから書類審査で、これは大丈夫だと、そういうふうに 分類していくわけです。そして書類審査、現物の確認、試験検査の成績などによって安 全性が確認されたもの、食品衛生法に適合していることを確認されたものが、初めて輸 入されるということになるわけです。                 (スライド)  その流れを見ますと、飛行機と船で入ってきたものが届出をされて、ここで専門家が 審査して、先ほど言った、これは命令検査、あなたは試験検査データを持ってきてくだ さい、それは輸入者の方の経費、負担で成績書を持ってこない限り、まず輸入は認めま せんよと。そして合格になった成績が出てきて初めて、手続にいきますよと。不合格に なりますと、積み戻しか廃棄ですよというふうになっている。  もう一つは、モニタリングというのがあるのですけど、これは荷物の通関を認めます けども、国のお金で検査をして1週間以内にデータを出して、ここで不合格になったら どうするのという問題があります。直ちにこの人、輸入者に回収命令をして、回収して もらうという手続をやっております。ここで違反が出てくるとこっちの命令検査のほう に移して、営業者の責任で、あなたは検査したデータを持ってきてくださいよと、そう いうのに変えるわけです。                 (スライド)  これは命令検査という、先ほどから言っている営業者の責任で、厚生労働大臣が違反 の可能性が高いという食品について検査命令を出す。例えば中国のケールという野菜の シベルメトリンという殺虫剤、こういうものについて検査したデータを持ってこない限 り、この輸入は認めませんよという、そういう命令検査で、検査はどこでやるか、指定 検査機関で多くは行われています。この指定検査機関というのは、厚生労働大臣がここ は正しいデータを出すところですよというふうに指定しているところなのです。現場に 行って検体をとるのも、ここの職員の人が行ってサンプリングしてくる。輸入者の自由 自在なサンプリングじゃなくて、ここの検査をする人が適正なサンプリングをしてくる ということも行われています。そういうようなことを命令検査といっているわけです。                 (スライド)  このモニタリング検査というのは、食品の種類ごとに輸入量、輸入件数、違反率、こ ういうようなもの、危害度を勘案して年間計画をつくって、国の責任でこの部分につい ては検査をして、違反が出てきたら今度は輸入者の責任で命令検査に変えていくと、そ ういう仕組みになっているのです。これは幅広くモニターしていきながら、違反の食品 をどんどん拾い上げていく、そして命令検査にほうり込んでいくと、そういうような仕 組み。モニタリング検査数は、平成14年度で5万2,000件、平成15年は 7万3,000件、全国の検疫所で毎日遅くまでこの数をこなすために頑張っているとこ ろなのです。                 (スライド)  これはテキストにはない部分です。輸入に際して非常に重要なことは、初めて輸入す る場合は事前に相談してもらうのが一番いいのです。事前に相談してもらうのですけど も、これをよく勉強して相談してもらいたい。ここに来て全然勉強していなくて、これ は輸入できますかと来たって相談にはならないのです。輸入者の方が自分で勉強して、 これが法律に適合するかどうか、食品衛生法に適合するかどうかを相談。こっちは相談 をしている人、こっちは受ける人。                 (スライド)  相談をした上で、輸入しようとして、今度は初めて届出が出てくるわけです。これは ほとんどコンピューターで入力することによって、紙で持ってくるのも認められていま すけども、東京検疫所でいうならば90%はこのFAINSというコンピューターで入 力してくる届出があります。東京検疫所の場合、1年間の届出件数が、1つの課で34 万件あって、1日に1,500枚か2,000近くの届出があるわけです。膨大な書類審 査をまずやっている。                 (スライド)  これは冷凍の鶏肉を検査するために、マイナス20度のところでやるわけです。冷凍 のかんかんのものからサンプリングしてくるわけですから、これはのみでやらないと。 そしてこれは無菌的にやらなきゃいけませんから、鋸なんかでやると消毒できないです よね。そういう意味でのみが一番いい。大変なのです。手をたたいたり、けがしたりと いうのもあって、現場も非常に苦労しながらやっている。                 (スライド)  これは輸入米の検査。これも農薬の検査をするために、こういうふうに検体をとって きて、1つの袋からじゃなくていろんな袋から検体をとって、ここで1検体とする。                 (スライド)  これはオレンジ。箱を抽出して、その中からまたここに2キロぐらいを入れて、それ で試験検査機関へ持っていくわけです。                 (スライド)  試験検査。これは横浜と神戸に大きな検査センターがありますし、あるいは大阪検疫 所、関西空港検疫所にも検査室があって、添加物やなんかを検査するようになっていま す。これは検体を持ってきて、前処理をして、前処理をするということは化学物質を抽 出しなきゃいけませんから、そういう前処理をして。                 (スライド)  こういうようないろんな抽出、濃縮して抽出して検査にもってきているのです。                 (スライド)  これはガスクロとか液クロで試験検査をして、コンピューターにデータが出てくる。 こういう機器分析をやっているわけです。                 (スライド)  もちろん微生物も同じように検査をやっているわけです。届出件数に対する違反状況 をちょっと見てみたいと思います。平成14年は160万件の届出のうちに、検査総数 は13万6,000件やっているんです。行政検査はどのぐらいやっているか、 6万3,000件。先ほど言った命令検査にかかってくるものを含めて指定検査機関でや っているのが7万8,000件。外国の公的検査試験、外国の検査機関でも日本政府がこ こは正しいデータを出すところですよと認めているところからデータを持ってくるのが 6,000件。ですからこれでいくと13万件。結構な検査をしているわけです。 160万件出して、13万件ですから、8%近くやっている。毎年見ていただくとわか るとおり、違反が1,000件程度なのですね。パーセントでいくと0.06%。非常に 違反というのは低いのだなというのがおわかりだと思うのです。                 (スライド)  どういう違反が多いのかということになりますけども、一番多いのは国と国の制度が 違うということで、法7条という、例えば野菜、冷凍野菜の成分規格違反、農薬の基準 を超えていたとか、特に冷凍ほうれんそうの農薬の基準を超えていたとかそういうのが 多い。あるいは水産物及び加工品の成分規格違反、抗生物質、鰻から抗生物質が出たと か、エビから抗生物質が出たとか、そういうようなものです。それから添加物の使用基 準、対象外使用のもの、これは使っちゃいけない、日本国内では使ってはいけないもの に使ったと、それは安息香酸だと、あるいは二酸化硫黄のようなものをこれよりも超え て使っていたというような、要は制度の違いが原因のもの。  それから次に多いのは、日本では添加物として認められていない添加物が使われてい た。これを見ていただくと、多くのもの、例えばサイクラミン酸、ポリソルベート、パ ラオキシ安息香酸、これらのものは国際的にはもう安全性が評価されて、各国で使用を 認めているものがたくさんあるわけです。ただ日本が使用を認めていないために違反に なってしまうというものです。それからあとは4条で、例えばアフラトキシン、カビ毒 が出てきたとか、そういうようなものがありますし、また輸送途中で船が海水をかぶっ て米などにカビが生えてきた、腐ったとか、そういうものが結構あるわけです。                 (スライド)  今般、食品衛生法が改正されまして、非常にいろんな面で強化されて、特に輸入食品 でいいますと、ここの監視・検査体制の強化、ここのところの中にこの輸入食品も含め て強化されているわけです。                 (スライド)  その中身を取り出してみますと、命令検査の対象食品等の政令指定の廃止、これは非 常に大きな今回の前進なのです。どういうことかといいますと、今まで命令検査にかけ るのは、政令で食品を決めていたわけです。食肉ですとか魚介類ですとか決めていたわ けです。ところが今回それを廃止して、あらゆる食品に命令をかけられるようになった のですね。これは非常に大きな前進なのです。  それから、次に後で説明されます輸入食品監視指導計画の策定・公表。これは何が一 番重要かというと、こういうリスクコミュニケーションをやると同時に、透明性が出て くるわけです。すべて消費者に、国民の皆さん方に全部知らせながらやっていこう、そ して結果も知らせていこうという意味で、非常に透明性が出てきている。  それからもう一つは、厚生労働大臣により、輸入業者に対する営業禁停止処分。今ま では都道府県知事しかできなかったのです。今度は厚生労働大臣が、直接輸入者に営業 禁停止、違反を起こした人にはできるように変わった。これも非常に強いことになった のですね。  それから、指定検査機関の登録制への移行。これも今までは公益法人、社団法人、財 団法人、そういうところじゃなきゃだめですよと言っていたのですけども、もちろん利 害関係があったらいけませんけど、今後は民間の株式会社の方だって一定の条件に合え ば、この登録制で食品衛生法に基づく検査をやることができるのですよというふうに変 わったのです。  それから、モニタリング検査についてアウトソーシング。今全国の検疫所で検査して いますけども、そのキャパシティーを超えたらこういう登録検査機関にお願いして検査 をしてもらう。もちろん有料、お金は国が払ってやってもらうということも可能になっ た。ということは、急にモニタリングをたくさんしなきゃならないとなったときに、そ の全国のキャパシティーを超えるような部分については、民間に頼んででも、やはり緊 急を要するものについてやっていける仕組みができたということなのです。                 (スライド)  きょうはここのところの輸入食品監視指導計画の説明がこれからあるわけですけど も、全体的な食品衛生監視指導指針、これは地方自治体も含めてもう既に公表されてい ます。それで今自治体もこれをつくらなきゃいけないし、輸入食品に関しては今日説明 するということです。                 (スライド)  もう一つ、大きな改正が昨年ありました。これはどういうことかといいますと、昨年 中国産の野菜で農薬の違反がどんどん出ましたよね。そのとき現行の、改正以前の食品 衛生法では、入ってくるものは検査をして違反になって初めて止められたのです。とこ ろがこの規定ができたということは、いろいろ書いていますけども、違反の可能性が強 いものについては、その国の食品というのは輸入を全面的に禁止できるという非常に強 い権限が、厚生労働大臣に付与されたのです。  いろいろ手続はありますけども、例えば違反食品が相当数発見、60件の違反率5% ということは60件検査をして3件対違反が出たら、これは輸入禁止をかけられるので すよというぐらい強い、まだこれは適用はしたことはありませんけど、非常に強い、輸 出国にとっては非常に恐ろしい仕組み、抑止力になるということです。                 (スライド)  輸入者の責任も非常に強くなった。これは今回の改正で強くなったのです。輸入者は しっかり勉強してくださいよと、十分な知識を持って、海外の法律と日本の法律の違い を調べた上で、日本の法律に合うもの、それを輸入する、あるいはどこの国でどういう 事故が起きているのか、それを見た上で輸入してくださいよと。  あるいは記録の作成。これも非常にトレーサビリティーが問題にされていますけど、 特に輸入食品の場合はどこの国のだれからどのぐらい輸入したのか、そしてだれにどの ぐらい売ったのか、これをすべて記録しておいてもらうことによって、事故が起きたと きに被害の拡大防止ですとか、さかのぼり調査ができるということです。  それから危害発生時の措置として、輸出国でこういう事故が起きている、例えば平成 11年ごろベルギーでダイオキシンの鳥肉の汚染問題があった、そういう事件があった ら、知った人は直ちに行政庁へ情報を提供してくださいよと、こういう営業者の方に対 する規制も今回強化していくということです。                 (スライド)  輸入食品の監視員というのは、平成元年に89名ぐらいだったのです。それが今はも う283名、今年度も15名程度の増員をしています。これだけ定員管理が厳しくて人 が増えない中で、食品衛生監視員だけはどんどん増やしてきている。それはやはり皆さ ん方の先ほどのような不安もある。そういうことでしっかりした監視をしなきゃいけな いということで、監視員が増えてきているわけです。                 (スライド)  全国31カ所で現在そういう監視を行っております。ここの神戸と横浜に輸入食品・ 検疫検査センターを設けて、国がみずからモニタリングをやっていくということです。                 (スライド)  これは最後になりますけども、昨年、食の安全性に関する意識調査(食品安全委員会 )で、輸入食品の安全性確保のために行政に期待することは何か、72%の方が厚生労 働省の検疫所が行う輸入食品監視業務の強化をしてほしいということなのです。次に、 もちろん、輸出国の衛生管理ですとか、技術援助したほうがいいのじゃないかとかいろ いろありますけど、先ほど言ったように、やはり行政がしっかりやってくれることに期 待しているというのが、このあらわれなのです。  我々も今回の食品衛生法の改正で、輸入食品の規制が強化になりましたし、今後も皆 さん方が、カロリーベースで60%は海外に依存している輸入食品を安心して食べてい ただけるように、さらに監視をしっかりやっていかなければと思っているわけでありま す。どうもご清聴ありがとうございました。                 (拍手) 【司会(磯貝)】  ありがとうございました。  続きまして、食品安全部輸入食品安全対策室の桑崎室長から、輸入食品監視指導計画 (案)について説明いたします。よろしくお願いします。 【桑崎】  ただいまご紹介をいただきました桑崎です。パワーポイントは資料2−1、これが画 面に出ますので、これをごらん下さい。それから計画の本体は非常に小さな字で恐縮で すが、資料2−2に案をお示ししてございますので、これも用いながら説明を申し上げ たいと思います。                 (スライド)  先ほどの説明にもありましたが、輸入食品監視指導計画というのは何なのだというこ となのですが、読んで字のごとく、輸入食品に関して重点的、効率的に監視指導を実施 するための計画ということになります。ここに全体像が書いてありますが、なぜこうい う計画をつくることになったのかということについて、先ほどちょっと説明がありまし たが、輸入食品も含めて食品の安全性についてかなり消費者の方に不安がある。その1 つの要因として、一体行政は食品の監視指導ということについて何をしているのかとい うことが消費者に十分に伝わっていないのではないかということで、この計画をつくる ことによってそれを明らかにすることとされたところです。先ほど透明性の確保という お話がありましたが、同じ意味です。  計画は、既に策定された監視指導指針、監視指導の大まかな方向を既に定めているこ の指針に基づいて策定をされています。何を決めるのかというのは2つです。ここに書 いていますが、まず1つ目に、重点的に監視指導を実施すべき項目について定める。2 つ目に、輸入者に対する自主的な衛生管理の実施に係る指導に関する事項、どうやって 輸入者を指導していくのか、この2つについて決めることになっています。本計画は毎 年度厚生労働大臣が定めて、公表することになっています。  作成に当たりましては、今回のこの意見交換会もそうですし、現在パブコメで意見を 求めていますけども、広く国民の方々から意見を求めることになっています。  監視指導した結果はどうなのだということなのですが、結果を毎年度、翌年の6月ぐ らいを目途に、公表することを今考えていますし、それから1年待たずに中途でも公表 しようということで、半年に1度ぐらいはその結果の概要を公表しようというふうに今 考えているところです。                 (スライド)  基本的な考え方はどうなのだということですが、既に策定された食品安全基本法にも ありますけども、食品の安全性確保というのは、ここに書いていますが、国の内外の外 というのも入っているのです。国の内外における食品供給行程の各段階において、適切 な措置を講ずることによって行うのだと。したがって、輸入食品であれば輸出国におけ る生産から製造、もちろん輸入時のチェック、さらには国内流通時のチェックと、こう いう3段階のステップで安全性を確保するという必要があるのではないかということ が、その計画案の最初のほうに書いてあります。  特に、水際の話は今説明がありました。検疫所で一生懸命やるということであります けども、それ以外に未然に違反食品の輸入を防止するということから、輸出国における 対策も積極的に推進していく必要があるということで、これについても記載をしていま す。  それから、輸入食品の国内流通においては、各都道府県がつくります計画の中にも言 及されてくるだろうということで、この3段階でそれぞれ対策が必要だと考えていると ころです。                 (スライド)  次に、重点的に監視指導を実施すべき項目ということで、これは先ほどの説明と重複 しますので省略しますが、届出におけるチェックということの次に、モニタリング検査 を実施しているという説明が先ほどございました。件数でいきますと、14年度が 5万2,000件、15年度が7万3,000件、来年度は7万6,000件を一応予定し ているわけであります。このモニタリング検査で違反が発見された場合は、輸入時の検 査強化につながっていくということになっているわけです。                 (スライド)  この件数をどうやって定めたのだということなのですが、皆さん、CODEXという のをご存じだと思います。FAO/WHO合同食品規格計画で食品の規格基準を世界的 に作成している機関ということですが、このCODEXの分析・サンプリング部会で、 統計学的に一定の信頼度で違反を検出することが可能な検査数が示されています。  例えばここに95%の信頼度の例を挙げましたけれども、95%の信頼度の例をとる と、違反率が0.1%以下であることを確認しようとする場合には、2,995件の検査を 食品群について実施をする。違反率が1%以下であることを確認しようとする場合、特 定の食品群について299件、約300件の検査を実施する。これを違反率10%にす ると95%の信頼度で29件。  諸外国、特にアメリカ等においてはこれを踏まえて、95%の信頼度で違反率が1% 以下であることを確認できる検査件数である299件の検査をするということを基本に 検査を実施しています。  我が国はどうかというと、先ほど7万6,000件の話が出ましたが、95%の信頼度 で違反率1%以下であることを確認出来る検査数を基本としますけれども、これにその 食品群の過去の違反率、輸入件数が多い少ない、重量が多い少ない、それから違反の内 容で危害度が大きいかどうかというところを勘案して、食品群別に検査件数を設定して います。  したがって、問題のある食品は1%・299件じゃなくて、違反率0.1%以下である ことを確認できる2,995件を検査しています。さらに、あまり輸入がない、そういう ものについては違反率を下げて、少ない数のモニタリング検査を実施する。いずれにし ても一応基本は1%・299件であるけれども、濃淡をつけて、問題がありそうなもの は、もっと多く検査を実施し、また、これより少なくなる場合もあるということで、モ ニタリング検査を実施しているわけであります。                 (スライド)  モニタリングで見つかると検査の強化につながりますし、それから後ほど説明します が、都道府県で見つかっても実は1にカウントしているのです。ここのところを見てい ただくといいんですが、2段目、特に関心が強い残留農薬と動物用医薬品はどうなんだ ということですが、検疫所のモニタリング検査もしくは都道府県の検査で1回違反が見 つかると、その時点で当該食品の届出の半分、検査率を50%に上げて検査を実施する こととなります。この段階で違反が発見されると、2回目の違反ということになり、こ の時点で違反の蓋然性が高い食品ということで、全品検査命令を発動し、検査で合格を しないと輸入を認めないこととなります。それ以外に、外国で健康被害が出ていると か、そういうところで製造したものが日本に輸入されれば直ちに検査命令をかけて、安 全性を確認しています。  検査命令の解除ですが、ここに書いていますとおり、要件としては、相手国がしっか り対策を講じたということを我々はきちっと確認できた場合には解除をするという方針 で運用しています。                 (スライド)  次に大事なのは、モニタリング検査は幅広くいろんな食品に網をかけて違反がないか どうかを見つけるわけですけども、我が国はいろいろな食品を外国から輸入しています ので、海外での食品衛生上の問題の発生等、海外における食品安全の情報をいち早く、 確実につかむ必要があるということで、この体制の強化も行いました。今日山本部長が いらしていますが、国立医薬品食品衛生研究所に昨年度安全情報部という組織をつくり ました。ここがWHO等の国際機関、それから諸外国の衛生部局、さらにはいろいろな 文献から情報収集をして、その情報を提供してもらっているわけですが、この情報につ いては先週の金曜日から国立医薬品食品衛生研究所のホームページに食品安全情報とし て出ております。我々はこの様な情報も踏まえて、輸入時検査の強化をしているところ です。  それからもう一つは、食品安全委員会事務局も同じように情報収集しています。それ についても我々に情報提供いただいているということで、海外で何か食品衛生上の問題 が発生していないかどうかということを、この2つの機関を中心に情報収集をして、問 題があればすぐに、既に輸入されているものであれば流通状況調査をする、回収なども 行う、輸入時検査を強化する、というような対策を講じているところです。                 (スライド)  次に、輸出国における衛生対策の推進ということでありますけども、柱が3つありま す。1つは、まず輸出国に我が国の規制をよく承知してもらう。日本はどういう規制を しているのかよくご理解いただいた上で違反のものを輸出しないようにしてもらうのだ ということで、これは我が国の食品安全関連情報ということで、英語による情報提供と いうことになりますけども、厚生省のホームページをごらんいただくと、英語版情報が あります。そこにどういう食品がどのような違反状況にあるのかという情報が英語で提 供されています。それから在京の大使館にも情報提供する。さらには、我が国に食品を 輸出する国というのは開発途上国も多いので、そこの担当者に来日いただき、JICA などが研修会を実施しています。そういう機会を通じて、我が国の食品衛生事情をご理 解いただくということもやっています。  それから次に、特に検査命令が実施されている食品について、これはかなり強力に輸 出国に対して、違反の原因究明と再発防止策の確立ということについて要請をしていま す。その要請の中で、2国間協議を通じて、輸出国が必要な対策を構築した場合には現 地調査をする、特に農薬の場合には輸出時検査だけではなくて、生産段階からの農薬の コントロールが必要なものですから、そういうことや監視体制も要請するということ で、輸出国の衛生対策の強化を推進しているところです。                 (スライド)  実際、どういう国と2国間協議を行っているのか。これは最近の例をピックアップし ました。多くの国と2国間協議を実施しています。先ほど話が出ましたけども、中国産 の冷凍ほうれんそうについては今は2回目の輸入自粛中ですけども、中国側で今最終的 な対策を検討中と聞いていますし、イラン産のピスタチオナッツについても、必要な対 策を講じたという報告を受けていますし、我々も実態調査に行っています。国ごとに案 件はありますけども、2国間協議を一生懸命やっているところです。  最近では、台湾の養殖鰻から動物用医薬品が出ましたが、台湾からは生きた鰻の輸入 が非常に多いのです。生きた鰻について、輸入時にとめて検査をしています。ブラジル とコロンビアのコーヒーから食品衛生法に違反する残留農薬が検出しました。ブラジル については、現在検疫所の分析担当官がブラジルに行って、検査技術を伝達中です。コ ロンビアについては、向こうから技術者が来て、分析技術を研修する予定になっていま す。そういう対応を含めて、輸出国で必要な対策を講じてもらうということを推進して いるわけであります。                 (スライド)  輸入者への自主的な衛生管理の実施に関する指導ということですが、食品安全基本法 に、食品の安全性確保の第一義的な責任というのは輸入者を含めた営業者にあるのだと いうことが明記されています。それを受けて食品衛生法では、先ほども出ましたけど も、知識、技術の習得に加えまして、原材料の安全確保、さらには自主検査の実施に努 めるという規定が整備されたところです。                 (スライド)  こういう安全基本法もしくは食品衛生法を踏まえて、基本的な指導事項を資料2−2 の後ろのほうに、個別食品群別にどういうことを事前に確認したらいいのだろうか、初 回輸入時にはどうしたらいいのか、輸送時、保管時にはどういうことを確認したらいい のかということを、食品一般、農産物、畜産物、それから水産物、そういう大きな項目 ごとに、いわゆるチェックポイントみたいなものをお示ししています。最低限これぐら いは事前に確認をしていただきたい、もしくは輸入時に確認をしていただきたいという ことをお示ししています。今後こういう資料をもとに、輸入者に対して基本的な指導を していくことになります。例えば農薬に関しては、どういう農薬が使われているのか事 前に確認して欲しいということですし、定期的に確認する事項としては、食品衛生法に 違反していないかどうか試験検査を実施して確認してほしいということが規定をされて います。                 (スライド)  実際にどういう指導になるかといいますと、今申しましたように、基本的な指導事項 を踏まえて事前指導を実施する。特に先ほど話がありましたけども、初めて輸入する場 合、過去に違反があった食品の輸入の場合には、ぜひ検疫所に事前に相談をしてほしい という指導をします。その結果、違反が見つかった場合には改善をして、その結果がい いとなるまでは輸入をやめてほしいという指導もします。それから、自主検査、記録の 保存ということは先ほど言及したとおりであります。さらには、輸入者だけではなく て、実際に輸入通関業務を行うのは通関業者の方なのです。この方々にも十分な知識を 持ってもらおうということですし、貨物を保管している倉庫業者という方々も十分に食 品衛生に関する知識を持ってほしいということですから、講習会などに積極的に参加を するように指導していきたいと考えています。                 (スライド)  違反が判明した場合の対応ですが、輸入食品が仮に国内流通していたと。モニタリン グの場合には、検査結果が出たときには国内流通しているかもしれません。そういう場 合には、関係の自治体との連携をとりながら回収等の措置を実施するということです し、先ほどお話がございましたけども、都道府県で違反が発見された場合には、うちの ほうに通報いただくことになっています。その結果、輸入時の検査の強化を実施すると いうことも行っているわけでありますし、違反があった輸入者に対しては、違反原因の 究明を指導します。それから同じものを輸入する場合には、改善されて違反していない かどうか事前にサンプルを輸入して、確認していただきたいということも指導しようと 考えています。  これ以外にも、違反を繰り返す輸入者に対しては、どうもその輸入者の管理体制がよ くなく健康危害発生防止のために必要な場合には、輸入者の衛生管理体制が確保されて いることを確認するまでの間、輸入に係る営業の禁・停止をするということも、今回の 法律改正で入ったわけでありますし、厚生省のホームページをごらんいただくとわかり ますが、どういう食品がどういう違反だったのだと、輸入者はだれなのだということが すぐにわかるようになっています。こんな情報も開示をしながら、違反食品の輸入防止 に努めていただければいいのではないのかと思っています。輸入食品の違反情報の公表 は、今大体2週間に1度ぐらいホームページを更新しているわけですが、もうちょっと 早くならないかということについて検討したいと考えています。  以上が、輸入食品監視指導計画の概要です。                 (拍手) 【司会(磯貝)】  ありがとうございました。  続きまして、農林水産省消費・安全局古畑補佐より、農林水産省における輸入食品の 安全対策について説明をいたします。それではお願いいたします。 【古畑】  ただいま紹介いただきました農林水産省消費・安全局消費・安全政策課から参りまし た古畑と申します。よろしくお願いいたします。  本日は、輸入食品の安全対策ということでテーマになっておりますけれども、輸入食 品の安全というのは、一義的には厚生労働省が今回計画をつくって監視をしていくとい うことでありますが、我々農林水産省もそれに関係しているということで、そのかかわ りについて具体的に説明をしたいと思います。  厚生労働省と農林水産省とどう違うのだというご疑問もあろうかと思います。厚生労 働省の食品安全というのは、最終的な製品である食品について、口に入る際の安全を見 るということで、もちろんこの監視に当たっているということです。我々農林水産省 は、それに対して、安全な食料を安定的に供給するということを目的としています。例 えば生産資材の安全性の確保でありますとか、農林水産物の生産過程におきます安全性 の確保、またそれに関連する情報の提供というような観点から、その食品の安全性を確 保するということを担っております。そういう観点で、若干農林水産省と厚生労働省 と、それぞれの立場から食品の安全性の確保を図っているということがあります。  また、輸入という観点で見ますと、食品の安全性は厚生労働省の管轄であります検疫 所でその安全性確保を図っておりますが、農林水産関係では、例えば動物の病気が国内 に侵入しないようにということで、動物検疫所というものがございます。また、植物の 病気が国内に入らないようにということで、同様に植物防疫所というものが水際でそれ ぞれの職務についているということが背景にございます。  本日は輸入食品の安全性ということで、観点を絞ってご説明したいと思います。                 (スライド)  まず、一般的な話で恐縮ですが、背景を説明させていただきますと、輸入食品も含め て最近さまざまな食の関係の背景の変化というのがありますので、整理させていただき ました。  1つ目は危害要因の多様化というのがあろうかと思います。食中毒菌もさまざま、O 157をはじめタイプの違う病原性の高い食中毒菌が見つかったり、ダイオキシン、B SEといった新たな危害要因が見つかっているということがございます。  また、輸入もそうですけれども、食サービスへの依存度の高まり、流通の広域化・複 雑化、つまり原材料の調達が輸入を含めてグローバル化して、かなり離れたところから 鮮度を保ったまま持ってくるですとか、供給プロセスも分業化いたしまして複数にまた がっております。また、ただ店頭で売るだけではなくて、中食、外食といったような販 売の変化ということが見られております。  また、情報の関係で、技術の進歩というのもありまして、本来新聞報道が中心だった のがインターネットの普及によりまして瞬時に国内、海外含めて情報が入るようになっ たということもあろうかと思います。  また、科学の進歩というのも一方ではありまして、例えば分析技術の向上によりまし て、新たなリスクが見つかったりですとか、今まで検出できなかったような低濃度の有 害物質を検出するということが可能になっております。また、新たな技術革新で、遺伝 子組みかえ食品というものが世に出てきたり、BSEが人のクロイツフェルト・ヤコブ 病と関連する疑いがあるといったようなところがわかってきたりですとか、そういう新 たな知見が見つかっているということがあります。  また、これはすべて共通ですけれども、消費者の方にもそういう情報が入りますの で、健康に対する関心が非常に高まっているということがあろうかと思います。                 (スライド)  先ほどの発表にもありましたけれども、そういうことを背景に、行政のほうも見直し を図るということがございまして、本年7月から新たに食品安全基本法のもと、食品安 全委員会もできましたし、農林水産省、厚生労働省もリスク管理と言っていますけれど も、食品の健康影響を食品安全委員会は評価して、その結果を踏まえて、いろいろな対 策をとっていくという機関というふうに位置づけられました。その中に、先ほどありま したように、国の内外という言葉が入っております。輸入食品に関しても同様に安全確 保を図っていくということが確認されたわけです。                 (スライド)  もう一つ、同様に農林水産省も、さきの通常国会で法案改正を幾つもしております。 その中で、食品の安全性確保に係る農林水産関係法律の運用に関する件ということで、 1つ決議がありまして、国の内外における食品供給行程のあらゆる要素が安全性の確保 に影響を及ぼすおそれがあることにかんがみということで、国内の安全確保だけではな く、国外についても、具体的にはこうなりますけれども、輸出国におけるリスク分析の 状況や食品事故に関する情報収集でありますとか、農林水産物については国内のものと 同様に安全確保されるように関係機関が連携して適切に対処することと。つまり厚生労 働省でありますとか、食品安全委員会という機関と連携して、これに当たるようにとい うことが国会で検討されたということです。                 (スライド)  それを受けて農林水産省では、もうご存じの方もいらっしゃるかもしれませんけれど も、食の安全・安心のための政策大綱というものを本年6月につくっております。これ は昨年11月に省内にこの大綱を検討するための対策推進本部というものをつくりまし て、議論を重ねまして、本年2月に中間取りまとめを行いました。その中間取りまとめ をもとにパブリックコメントでありますとか、地方意見交換会というものを実施いたし まして、農林水産省が食の安全関係で今後何をしていくのかというものを基本方針とし てまとめました。  また、消費者に軸足を置いたという見直しをしたわけですけれども、意識がきちんと 変わるようにということで、1本の大綱というふうにまとめました。これもホームペー ジ等でごらんになれますので、ご関心のある方は見ていただきたいのですが、その1節 に、輸入食品の安全の確保という項目がございます。お手元のものを見ていただいたほ うが見やすいと思いますけれども、その中に幾つか具体的な農水省としてやるべきこと が書いてありますので、その中身についてご説明したいと思います。                 (スライド)  1つ目ですけれども、政府が輸入する外国産米麦の安全性確保体制。米麦に関して は、一部農林水産省が買い上げて輸入しております。その安全性確保について、農林水 産省が自主的に検査をしているということがありますので、ご説明したいと思います。  お米と麦に分けておりますけれども、お米については輸出国でそのお米を買いつける 際に、まず産地で検査を1度します。その検査で合格したものを船に積んで、日本の港 に到着しますが、それよりも早く本邦に着くように、積み込む際にサンプルを空輸して サンプル検査を国内で行うという、2段階で自主検査を行っております。実際到着した 貨物は一般の食品と同様に、厚生労働省の食品衛生法に基づいた検査を実施していま す。お米に関しては貨物の単位ごとにやっておりますし、麦についてはモニタリング検 査の対象になっておりますので、その頻度に応じて行っているというのが現状です。                 (スライド)  これを絵にしたものがこのスライドです。ちょっと小さくて見えにくいので、お手元 を見ていただければわかるのですけれども、お米と麦とに分けております。先ほど言っ たように、検査1というのは積み地の検査です。検査2というのは着地の検査、これが 農林水産省のほうで行っている検査です。その後行政側の検査ということで、厚生労働 省の検査を受けるという形で検査を進めております。                 (スライド)  その他の食品に関してですけれども、一部の野菜に関して農林水産省でも若干ですけ れどもサンプル調査をしております。本来食品に関しては厚生労働省の検査によりまし て検疫所のところで輸入時の検査、一般に流通しているものは地方自治体の保健所が行 いますモニタリング等の検査で、安全性の確保を図っているということです。  農林水産省は食品としての安全性の検査をしているわけではなくて、調査の目的の2 つ目の丸にありますけれども、安全な食品を供給するという観点で、どういう農薬が残 留しているかという情報を、輸入食品ですから実際に生産者に直接伝えることができま せんので、輸入業者を中心に情報提供をして、産地で安全なものをつくっていただくた めの情報を提供しています。ただし、食品衛生法に違反するような、食品としての安全 性に問題があるような食品が仮に発見された場合には、厚生労働省に情報提供してきち んとした対応をとってもらうという形で連携しております。一部の食品に関して、特に 輸入野菜を中心に、中国産ほうれんそうが話題になりましたけれども、安全性を図るた めの指導が必要だと思われるものを中心に調査をしております。                 (スライド)  具体的なやり方を説明します。  調査は、農林水産省が所管しています独立行政法人農林水産消費技術センターという 組織で、具体的にはさいたま市に本部がございまして、北から小樽、仙台、横浜、名古 屋、神戸、岡山、門司といった8カ所にございますが、そこで分析を行っております。 対象となる検体は、野菜ですとか、今年度から果物もやっております。あとは冷凍野菜 ですとかキノコといったもの、合計で約600検体程度の分析検査を行っております。 対象は86農薬を選定いたしまして、分析をしております。結果は四半期ごとに取りま とめて公表しています。ただし、残留農薬基準を超えるような違反があった場合には、 先ほども言いましたが、直ちに厚生労働省に通報するとともに公表するということにし ております。ですから、これでいきますと、12月で第3四半期が終わりますので、そ の結果を翌月1月に公表する予定にしております。                 (スライド)  これはお手元の資料を見てください。細かくて申しわけありません。調査対象として おります品目に関して、野菜ですとか冷凍野菜、果実、キノコといったものを、これだ け選定してやっております。具体的な結果は次のスライドです。                 (スライド)  平成14年度の調査結果です。平成14年度は、合計4検体から残留農薬基準を超過 する違反事例が見つかっております。生鮮野菜でいきますと、2段目、中国産というと ころで、スナップえんどうからシペルメトリンという殺虫剤の検出事例がございまし た。                 (スライド)  また、加工食品というくくりですが、冷凍ほうれんそう2検体からクロルピリホス、 カリフラワーから1検体、メタミドホスという同じく殺虫剤が見つかっております。合 計4検体ほど残留基準を超過する違反がありました。もちろんそのほか検出された農薬 の数はたくさんあるのですけれども、これもあわせて公表しておりますのでホームペー ジを見ていただきたいと思います。                 (スライド)  平成15年度の途中経過ですけれども、9月30日までの集計分です。まだ数も多く ないですし、残留農薬基準を超過した事例というのも現在のところありません。これは 生鮮野菜です。                 (スライド)  生鮮果実類に関しても同様です。                 (スライド)  キノコ、冷凍食品に関しても同様になります。                 (スライド)  食品安全に関する国際化対応ということで、先ほどまでの分析業務だけではなくて、 情報収集は今後ますます必要になります。そのために私が所属する消費・安全局が本年 7月にできましたが、その際に消費・安全局の消費・安全政策課に国際室を新たにつく りまして、食品の安全性に関する情報を主に収集しております。また、危機管理対応チ ームというのを局内に設けまして、関連する情報をきちんと判断できるようにというこ とでつくっております。また、関係する担当課もありますので、連携して情報収集に当 たるということで体制のほうを整えております。具体的には、各種会議へ出席したり在 外公館を通じて情報収集を行ったり、リスクコミュニケーションもそうですけど、消費 者団体との意見交換なんかを行ったり、図の右側になりますと、関係する行政機関との 連携というのもきちんととっていくということで、具体的にこの辺の体制ができました ので、どういうやり方をするかというのは見直しをしつつ、漏れがないようにきちんと 対応をしていこうということで、今取り組みを進めております。                 (スライド)  最後ですけれども、ホームページを見られないという方にはまことに申しわけありま せんが、これらの情報について、なるべくタイムラグのないよう農林水産省のホームペ ージに公表するようにしています。さらに、先ほども紹介しましたが、農林水産消費技 術センターが、食の安全・安心情報交流ひろばという食品の安全性関係の国の取り組み ですとか、関連情報を集めたホームページをつくりましたので、そういうところをごら んいただくと最新の情報がわかると思いますのでご紹介したいと思います。  以上で私の発表を終わります。どうもありがとうございました。                  (拍手) 【司会(磯貝)】  ありがとうございました。  続きまして、国立医薬品食品衛生研究所食品衛生管理部山本部長より、食品の微生物 学的衛生管理についてお話をいただきたいと思います。山本部長、よろしくお願いいた します。 【山本】  皆様、こんにちは。ただいまご紹介あずかりました山本でございます。  本日のお話の輸入食品で皆様方の特に関心があるのは、やはり農薬とか残留抗菌性物 質とかそういったものなのですけれども、微生物も結構汚染はございます。ただ、皆様 方があまり関心がないのはどうしてかなと思うのは、やはり熱をかければ死ぬという感 覚が強くあると。そこで自分たちで調理して食べれば大丈夫なんじゃないかということ もあるのですけども、やはりそういった加工食品とかお店でつくっているもの、どうい った管理をしていけばいいのかというようなことも含めて、それからまた家庭での食中 毒の予防ということについても、厚生労働省のホームページにもございますが、簡単に 抜粋しながらご紹介したいと思います。                 (スライド)  スライドが見にくくて申しわけございませんが、小さいので資料のほうもあわせてご らんになっていただければと思います。  食中毒の原因物質をしましては、細菌とかウイルスとかそういったものがございま す。これは微生物と言われているやつです。自然毒として植物の毒、キノコとか、それ から動物としてはフグ毒などで、自家調理したやつですがお亡くなりになることがあり ます。化学物質も意図的な場合もありますけれども、事故的に水に砒素がまざっていた とか、そういうことで起こるというものもあります。  圧倒的に多いのはやはり微生物です。細菌でサルモネラ、腸炎ビブリオ、腸管出血性 大腸菌、これは血清型でO157とか言われるのがよくありますが、あとカンピロバク ターとかいうもの、食品としては卵とか魚介類、牛肉、腸管出血性大腸菌の場合は牛肉 というよりは日本の場合は生レバーが多いようです。それからカンピロバクターと鳥 肉。ウイルスだと、ここ、SRSVと書いてありますが、今年度からはノロウイルスと いう呼び方に変わりました。それからA型肝炎なんかも結構入ってきてしまうわけです ね。そういったものが原因としてあります。                 (スライド)  これは見にくくて申しわけないので、お手元の資料を見ていただかないとだめなので すけれども、ただ色がこちらと対照ができませんのでその点だけちょっと色をこちらで 見ていただくということになります。  日本での細菌性食中毒の2大原因というのは、サルモネラと腸炎ビブリオと言われて いるやつですけども、多いときではサルモネラなんかは年間に1万6,000人も患者が 出たりしていましたが、現在では四、五千人、5,000人程度に落ち着いてきたと。そ れでもまだ5,000人の方がおなかを痛くしたりということがあります。それから、腸 炎ビブリオはこの青いラインです。ピークのときは1万2,000人ぐらいでしたが、現 在では3,000名ぐらい。この夏は冷夏でしたのであまり患者さんも多くはなかったよ うです。それから時々ぽつんぽつんとピークのように出ているのですけど、この平成8 年の堺の事件とか、そういうことでO157がたくさん出た年。  それから、これは加工乳です。大阪の乳業メーカーがつくってブドウ球菌の毒素が入 っていたと。これは熱をかければ死ぬということですけども、2つ問題があります。1 つはこの黄色ブドウ球菌の毒素です。これは耐熱性毒素で熱をかけても壊れません。で すから、残ってしまうとこのまま食中毒の原因になると。もう一つは、菌でも芽胞とい うものをつくるものがあります。これは大変強い耐熱性を持っていますので、なかなか 煮ただけでは死なないということになります。そういったものはほかの菌は死んでいる ので、自分が増殖しやすい温度になってくると、ほかの菌に邪魔されないので勢いよく 増えるわけです。そういった場合に、セレウス菌とかウエルシュ菌という言い方のもの があります。そういったものは熱をかけた後の温度管理の仕方、室温で長く置いている ようなことをしますとそれが増殖しやすくなるとか、そういうことがありますので気を つけてください。  最近多いのはノロウイルスです。この数が増えてきまして、14年度からは7,000 人を超えております。それが一番多い原因になってきております。日本の国内でもこん なような状況で、約3万人前後の患者さんが出ておりまして、これはどれぐらいかとい うと人口当たりですと4,000人に1人ぐらいが下痢を起こしていると、そんな状況で す。                 (スライド)  輸入食品によって、これまで微生物による食中毒というのはそんなにあったのかとい うことなのですけども、大きなのでいきますと、これは正確に言うと25年ぐらい前に なるのですかね、結婚式場で出したエビにコレラ菌がついていたと、27名ぐらい患者 が出たと思われます。そういうのも加熱が不足していたということで、菌が残ってしま った。  それから、つぎは原因が大アサリで、これはウチムラサキガイという貝なのですけど も、輸入したものです。中国料理店で使ったもので、これらは同じ事件です。1つはノ ロウイルスの下痢症というのが起こりました。これは潜伏期間が24時間、48時間と いうところですから、最初にそういった患者さんがわっと出たわけです。わっと出たと いっても二十数名、30名弱ぐらいです。その中で1カ月後にA型肝炎を発症した方が 居られました。これは4名ほど出ております。この場合もやはり加熱不足ということで す。  それから、つぎにカキが原因となっている事例なのですけど、2年ぐらい前に赤痢が 起こりました。この事例はその業者さんが輸入物のカキと日本国産のカキと両方扱って おられるので、完全に輸入であるということを証明したわけではないのですけが、おそ らく輸入であろうと、疫学調査上そういうことが言われている事例です。実際にその産 地へ行って調べてみるとやはり赤痢菌がとれたということから、そこの産地のほうも調 べを進めていくということがわかっているわけです。これはカキを生で食べたというこ とで赤痢になってしまったものです。ですからこういうこともありますので、加熱して 食べるもの、こういったものは輸入食品を含めて十分加熱して食べるということが必要 かと思われます。                 (スライド)  最近はやはり高度な衛生管理ということが世界中で必要とされてきておりますし、ま たこのリスクアナリシス、日本語ではリスク分析というような言い方をしておるようで すけども、そういったものが国際的には関心が高くなっております。  その背景としましては、やはり世界中でも食中毒というのは増加してきている。これ も微生物によるものが多くあります。それから新しい病原体といいましても、今までに 知られていなかったようなものが食中毒の原因になるということではなくて、腸炎ビブ リオにしましたら新しい血清型のものが東南アジアで出たと、それがいきなりアメリカ でまた同じ血清型が出ると、それが日本にまた来るというようなことが起こっておりま す。これは1つの原因としては船のバラスト水といいまして、港へ来たときにざっとそ れを捨てるということで海水で汚染が広がったのじゃないかという推測はされている と、そんな例があります。  それから、食中毒に対する高感受性集団の増加ということになりますと、これは高齢 化社会もありますけれども、やはり免疫不全の方が増えてきているというようなことで す。  それから、世界規模で食品貿易はどんどん増加しています。先ほども森田所長のほう からカロリーベースで自給率40%しかないということになりますと、随分輸入が増え てきているということです。  それから、食品産業そのものが結構大きくなっている。アメリカでは巨大な産業とい うのは結構ありますし、日本でも大型化していく傾向がありますが、食肉なんかですと ミートパテなんか、そういうのを何万トンという量を一遍につくっていくという産業も あるわけです。そういったところに例えばO157なんかが入っていますと大変な被害 が拡大するということになります。  高度な衛生管理ということでHACCPというやり方をとっていく場合が多くあるわ けですけども、ある食品の中でHACCPを産業の中でやっているだけではうまくいか ないということで、どこに問題があるかを分析するためにも、リスクアナリシスという のをやる必要があるのだろうということが、世界で言われてきているわけです。                 (スライド)  まず初めに、HACCPのことを少しご説明しておきたいと思いますが、これは総合 衛生管理製造過程というややこしい名前がついていますけれども、これは日本で食品衛 生法の中に取り込まれたときにそういう名前がつけてあります。これは平成7年の食品 衛生法改正のときにそういうことになったわけですが、それ以前はどうしていたかとい いますと、この施設の基準と管理運営基準ということでやっているわけです。あとは業 者が努力してやってきていたわけですが、そこにこのシステムを導入することで、一般 的に必要な衛生管理項目に関してもすべてやり方をマニュアル化して、記録をとって、 検証するということが入ったわけです。  書いてあることは、施設のこととか、人に対する衛生のこととか、ネズミや害虫をコ ントロールしましょうとか、使っている水はどうするかとかいうことですが、日本の中 にはちょっと原材料のことが項目としては入っていませんが、食品の衛生的取り扱いと いうことの中に入るのでしょうか。CODEXと先ほどお話がありましたけど、これは 世界中の食品の行政担当者の集まりといってもいいと思います。そういう会議で規格基 準を決めてあるのですが、そこでもHACCPの基本的なところというのは、ガイドラ インにあります。その中でやはり原材料というのをきちんと衛生的に確保するというこ とが入っております。  こういった一般的衛生管理項目、それからCCPといった重点管理項目、そこのとこ ろを管理するという形に一遍に2段階やったわけです。アメリカのほうではこれが缶詰 に関してわりと法律的に進んでいましたので、ここのところを上乗せするだけという形 だったわけです。日本のほうは全体的に法整備を整えるということで、これを導入した わけです。平成10年から乳・乳製品、加熱食肉製品、牛肉練り製品とか清涼飲料水と か、そういったものに入ってきております。                 (スライド)  HACCPそのものは、HAのところはHazard Analysis、これを危 害といいますが、危害分析をして、Critical Control Point、 重点的に製造行程上のポイントを管理するということで、その頭文字をとってHACC Pというわけです。                 (スライド)  ハザードという言葉なのですけども、これは健康の危害、人の健康に危害を及ぼすも の、悪影響をもたらすものをいうということで、生物学的なもの、化学的なもの、物理 学的なもの、原因物質または状態があります。  それから、生物学的なものは食中毒菌とか、化学的なものは残留農薬とかカビ毒と か、物理的なものは金属片。また、その状態といって、菌が生きている状態をいうとき とかは、腐敗なんかもそういうふうにありますし、pH、温度、そういったものも危害 として考えられます。                 (スライド)  HACCPは7つの原則でできています。危害分析を十分に行っていく。これは行程 上のどのポイントが一番危害の発生原因になるかということをよく考えて、そこにCC Pをつくるわけです。ここがCCPだということになりますと、そこでどんな管理をす るか。温度をかけるのであれば何度で何分、そういうことを決めるということです。  それから、そこでは連続的にモニタリングをします。  それから、そこでもし温度、時間がうまくかかっていなかったら再加熱をするのかと か、その商品を破棄するのかとか、そういうことを決めておく。それが改善措置です。  そういったシステムそのもの全体がうまく動いているかどうか。これをちゃんと調べ なきゃいけない。それが検証ということです。  それから、それが行われたということを確実に記録しておかなければいけない。  ですから、このHACCPの特色は、危害分析をするということと、それから検証を するということと、記録があると、これが新しくなっている部分です。あとはもうCC Pについてはそれを重点的に管理するだけの話ですので、特徴としてはこの3つがある ということになります。                 (スライド)  家庭での予防ということについて少しお話をしておきたいんですけども、食中毒とい いましても、食中毒菌の原因となっているような場合の予防としての原則は、その菌を つけないことであるし、増やさないことであるし、殺してしまうと、殺すというのは加 熱したりということで、凍らせたら死ぬ場合もありますけどもほとんど凍らせてはあま り効果がないことが多いですので気をつけてください。                 (スライド)  家庭でできる食中毒予防、これは長いですし、時間もありませんので、後でじっくり 読んでいただくことにいたしまして、簡単にポイントだけ紹介したいと思います。ポイ ントというのは6つあるのですけども、購入、保存、下準備、調理、食事、残った食品 について、これはホームページに載っておりますし、私のスライドでコピーしましたの は抜粋的に書き上げたものです。                 (スライド)  ここのところで予防の一番のポイントとしては、やはり手を洗うということ、それか ら肉や魚介類と生野菜や調理済み食品を別に扱う、菌をつけないということです。それ から調理後速やかに食べる、これは菌を増やさないことになります。それから冷蔵庫で 保存すること、これも菌を増やしていかないということ。それから75度1分の加熱、 これは菌を殺すということなのですけど、一体75度1分というのはどんな加熱かとい うのがよく言われるのですが、例としまして、ハンバーグの1センチぐらいの厚さのま だ未調理のものがあるとします。それを加熱して中の部分が薄茶色になって汁がほとん ど出ないと、それぐらいの状態になったのをいうわけです。中がピンク色とまだまだそ こまで加熱してしまうとおいしくないとかいう話もありますが、そこまで加熱しないと なかなか菌が死んでくれないことが多いということです。                 (スライド)  ずっと、あとは流してください。  先ほどのポイントのようなことがずっと書いてあるので、スライドを送っていってく ださい。これは後で読んでいただくということにしまして。                 (スライド)  最後に、リスクアナリシスとは何かということぐらいはお話ししておこうかと思いま すけども、あまり時間もありませんので簡単にだけ。                 (スライド)  リスクという言葉がよくありますけども、その食品の安全におけるリスクというの は、食品を食べたときにどれぐらい健康影響というか悪いことが起こるのかという確率 ですが、何回に何回というような頻度と考えていただいてもいいですけども、そういう ことと、それがもう死ぬような非常に重篤な病気になるのか、それとも簡単な軽い下痢 をするだけになるのかというようなことをあわせて表現をするということになっていま す。これが食品の安全性におけるリスクの定義ということになりますけど、そういった ものをはかるわけです。                 (スライド)  その仕組みとしては、リスクを下げる方向に全体が対策をとっていかなきゃいけない ということになります。リスクアナリシス、リスク分析というと、アセスメント、リス ク評価と間違えることがあるのですけど、アナリシス、分析そのものは全体の枠組みで 取り組むということが考えられています。マネジメント、リスク管理側は行政が担当す ることが多いわけです。それから、リスクアセスメントは科学者といいますか、我々み たいに研究所にいる人。それから、今年度といいますか7月からは食品安全委員会とい うところができました。これは内閣府に新しい組織ができたのですけども、そこがリス クアセスメントをやるということになります。それから、きょうやっていますのはリス クコミュニケーションという形です。これは、皆さんと情報を交換し合ったりとか、意 見を述べ合うと、そういう場です。お互いに共有することによって、リスクに対する認 識を新たにして、どういうポイントで行っていくのかということがわかります。  この矢印は、それぞれの間のリスクコミュニケーションを示しています。全体として リスクコミュニケーションが行われて、合意の上でリスクを管理していくというのが必 要になってくるという新たな取り組みなわけです。                 (スライド)  あとのスライドはざっと送っていくとしまして、これは、リスクアセスメントの流れ は、農場から家庭まで全部やっていくのだよというような、そうするとどのポイントで 抑えるとリスクがどう変わるかということがよくわかるということです。                 (スライド)  何個の菌を食べるとどれぐらいの人が発症するのかというような確率も知ることが必 要です。微生物の場合、問題なのはこの10のゼロ乗というのは1個です。1個の菌を 食べても病気になることがある。たった1個でも。ですから、言えば発がん物質と同じ なのですけども、ところが確率はむちゃくちゃ低いと、何百億回に1回ぐらいしかない というようなことであったとしても、ゼロではないということがあります。ですからそ の辺も含めて合意、このぐらいのリスク低減ならいいだろうというようなことも意見交 換の中で決めていかなければいけないということになります。  それから、ゼロにするにはコストが膨大にかかるということも含めて管理は考えてい かなきゃいけない。                 (スライド)  どういう集団を対象にしているのか、だれが食べるのかを考える。                 (スライド)  ということで、CODEX委員会といって、世界中の中で国際基準を考えるのですけ ど、日本は原材料としての食品を海外に依存していることが多い、そういったことで原 材料の安全確保ということ、輸入の際にそういうことをきちっとやるということとか、 相手国での衛生管理も国際水準でやってほしいということを言わなきゃいけないという ことで、リスクアナリシスをもとにした考え方で、これからの衛生を確保していこうと いうことになっているところです。  どうもご清聴ありがとうございました。                  (拍手) 【司会(磯貝)】  ありがとうございました。  それでは、第1部を終了いたしまして、10分程度ここで休憩させていただきます。  第2部は午後3時40分から開始したいと思いますので、それまでにお席の方にお戻 りいただきますよう、よろしくお願いいたします。  なお、前方に少し席があいておりますので、後ろのほうは多分きつきつになっており ますので、この間に移動なさる方は移動をお願いいたします。  パネラー、講師の先生は控室でしばらくお待ちください。                  (休憩) 【司会(磯貝)】  それでは、第2部の意見交換会をこれから開始いたします。  これからは、国立医薬品食品衛生研究所の山本部長に進行をお願いしたいと存じま す。山本部長、進行のほうをよろしくお願いいたします。 【山本座長】  ただいまご紹介いただきました山本でございます。  本日の意見交換会のコーディネーターといいますか、座長を務めさせていただきま す。よろしくお願いいたします。座って進めさせていただきます。  意見交換会では第1部でご説明をいただいた方に加えまして、パネリストとして消費 者及び事業者からご参画いただいております。順に、もう1度簡単に自己紹介をお願い したいと思います。 【神田】  こんにちは。全国消費者団体連絡会の事務局長をしております神田と申します。どう ぞよろしくお願いいたします。 【山本(宏)】  こんにちは。株式会社ニチレイで品質保証を担当しております山本でございます。よ ろしくお願いいたします。 【鈴木】  内閣府の食品安全委員会の情報・緊急時対応課の課長補佐をしております鈴木と申し ます。どうぞよろしくお願いいたします。 【外口】  厚生労働省大臣官房参事官の外口でございます。よろしくお願いいたします。 【桑崎】  厚生労働省の食品安全部輸入食品安全対策室、桑崎です。よろしくお願いいたしま す。 【滝本】  同じく検疫所業務管理室の滝本と申します。よろしくお願いいたします。 【宮川】  厚生労働省食品安全部基準審査課の宮川でございます。よろしくお願いします。 【磯貝】  輸入食品安全対策室の磯貝でございます。よろしくお願いいたします。 【古畑】  最後に、農林水産省から参りました古畑です。よろしくお願いいたします。 【森田】  最後の最後なのですけど、東京検疫所の森田です。よろしくどうぞ。 【山本座長】  自己紹介いただきましたけど、このメンバーで進めたいと思います。また、フロアの 皆様方からも積極的なご参加をいただきたいと思いますが、その前に外口参事官より、 まずコメントを少しお願いいたします。 【外口】  この7月から、食の安全の確保に関してのいろいろな施策が強化されてまいりまし た。その中でこのような意見交換会を厚生労働省だけじゃなくて、食品安全委員会も、 農林水産省もそれぞれ各地で始めております。もちろんその3者は連携して、どこが主 催しても必ず残りの2つが入るような形で進めております。  それで、私もきょうで大体この意見交換会が13回目ぐらいになるかと思うのです が、いろんなテーマでやっておりますけども、やってみると意見交換会は私は3つのス テージ、レベルといいますか、があると思います。  1つは、最初のステージで初級レベルは一方的説明というやつです。意見交換会の 形、第1部はほんとうの説明会なのですけども、こういった第2部をやって意見交換会 という形にしても、結局何か一方的な説明を前にいる人が言いっ放しになってしまうの が大部分だと。どうしてそうかというと、あとでアンケート調査をもらうと、そこにそ うやって書いてあるからきっとそうだったと思いますけども、そういう一方的説明の初 級レベルから、中級レベルはそれが質疑応答のレベル、意見のやりとりになるわけで す。今やっているのは、多分一方的説明と質疑応答の中級レベルの間ぐらいかなと思っ ているのですけども、最後にどこまで持っていきたいかというと、これをぜひ上級レベ ルの意見交換に持っていきたい。  上級レベルの意見交換は何を目指しているかというと、おそらくここに周りを見渡す と、例えばですけども、現場の状況を直接知る機会が限られている行政の人がいますよ ね。それから、必要な情報が十分に得られる機会に限りのある消費者の方。おそらく中 におられますよね。それから、製造とか流通の実態をなかなかわかってもらえない事業 者の方もおられると思います。それから、あと地方自治体の方が何人か来られています けども、意見交換会をやるのだと、国のほうで決められたけどもどうやってやっていけ ばうまくできるかというのを試行錯誤の段階にある地方自治体の担当の方もおられると 思います。  そういった方々がそれぞれ意見を出し合って、お互いの考え方を認識して、理解し て、とりあえず合意に達しないまでも共通の認識を持つというところまでいくと、そこ から必ず次のステップ、さらなる食の安全の確保に向けた施策のための知恵というの が、みんなの中から出てくるところへ持っていけるのじゃないかなと思って、そこを目 指したいと思っているのです。ところが、まだ一方的説明と質疑応答のとりあえず間な ので、いろいろな取り組みをしていますけども、そこが目標なのでよろしくお願いした いと思います。  じゃ、どんな取り組みをしてきたか。1つは質疑応答のやり方も7月ごろと大分変え てきました。質問を受けるでしょう。答えるでしょう。そしたらその質問した人に必ず 答えに対してのコメントをもらう。必要に応じては、もう1回やりとりをする。それか ら時間を確保するために、この間から始めたのですけども、事前に来た質問に対しては もう事前に文書で答えて配付しておく。  それから、あと細かいことを言えば、会議が終わったあとも我々は少しこっちへ残っ ていて、言い足りなかった人、言いたいけど言いにくかった人の意見もお聞きするよう にする。それから、あとは時間を確保するために、行政説明はできるだけだらだらとや らないとか、だらだらとしているという意見が最初のころは随分多かったので、わりと 1回当たりの説明は大分短くしています。それから冒頭の形式的なあいさつはできる限 りカットする。きょうもやっていません。というようなことを少しずつ皆様方のアンケ ートの結果を取り入れながら進めてきたつもりですけども、まだ中級レベルに届くかど うかなという実感を持っていますので、またきょうもアンケートの中で次のステップに 向けて進めるためのいろいろなお考えを、ご意見を書いていただければと思います。今 後の意見交換会の進め方もその線でお願いできたらと思います。どうぞよろしくお願い いたします。 【山本座長】  どうもありがとうございました。  上級レベルの意見交換会になることが望ましいわけですけども、とにかく初級レベル は最低脱したいということで始めたいと思います。  本日、神田様と山本様、お2人はまだご意見等いただいておりませんので、まず神田 様から、輸入食品の安全性確保に関する考え方と今後の課題ということでお話をいただ きたいと思います。それでは神田様、よろしくお願いします。 【神田】  それでは、資料5という形で提出しておりますけれども、5分という制限をいただい ておりますので全部お話しできないと思います。かいつまんだ話になると思いますけ ど、よろしくお願いいたします。  それから、前半の資料の1、2のところで、森田さん、桑崎さんがお話しくださいま したこととかなり重複するかなと思いますが、改めて私のほうからまたお話しさせてい ただきたいと思います。  今、食の安全問題というのは大変な関心事でございまして、中でも輸入食品に対して の不安というのが大きいというのが、本日配られております資料の1の中でもよくわか ると思います。例えば食品安全モニター意識調査をもう1度見てみますと、輸入食品に 対する安全性の不安というものが66.4%の方が不安があるよと言っています。1位が 農薬ですよね。農薬に非常に近い数字で2位なわけです。ですから非常に安全性に不安 を感じている人が多いと受け取っていいと思います。  国民生活モニター意識調査というのを見ましても、商品選択で重要と考える表示とい うのは原産国表示、これが2位なわけですけれども73.7%、1位は賞味期限といった ようなこれは表示を見る第1位、いつ調査してもトップでございまして、それを除きま すと原産国が1位なのかなと驚くわけですけれども、そういったことが出ているという こと。  それから、国産品と輸入品の選択はという問いに対しては、生鮮品においては90% 以上の方がどちらかといったら国産品が欲しいのだと答えておりますし、加工品につい ても84.2%という数字が出ています。  こういった答えが出てくる背景といいますのは、これも先ほど説明がございましたけ れども、製造者と私たち消費者の距離があまりにも遠いということだろうと思います。 世界に広がっていて、全く見えないといっても過言ではないくらいそういった感覚が私 たち消費者のところにはあるのではないかと思いまして、そこに不安が出てくるという ことだと思います。  そういったことの問題に加えまして、例えば中国の冷凍野菜の問題ですとか、許可さ れていない食品添加物の使用の問題ですとか、エビだとか鰻だとか鳥肉だとかといっ た、個別の問題についても次から次といった形でいろんな問題が出てくるとことを私た ちは知っているわけですから、輸入食品を一まとめにしてしまうのでしょうが、心配、 不信感が生まれると思っています。  それからもう一つ、せっかく提供された資料ですのでそれを見てみたいと思ったので すが、食品安全モニターの意識調査を見てみたいのですが、検疫所の輸入食品監視業務 の強化というのが多かったですよね、72.1%。それから、輸出国の衛生管理状況等の 情報収集をしてほしい、これも多かったと思います。これをひっくり返して、裏返して みますと、その検査業務が足りないと、もっとしっかりしてほしいと言っていることだ と思いますし、輸出国に対してのやっぱり不信感というものがあるので、きちっとそこ の対応をしてほしいということのあらわれの数字だろうと思っています。そういうこと があるので、原産国表示が重要と考えていますし、輸入品でないものを欲しい、国内品 が欲しいという意識にもなっているのではないかと思います。  このようなことをもとに考えますと、今後やっていくべきことあるいは強化してほし いことにつきましては、これも計画の中でお話がありまして、かなりお答えをもらって いるようなものではございますけれども、1つは検疫所の検査体制について、それから 食品衛生監視員の増員ですとか、検査機材の増強、監視員の能力の向上ということもあ ると思います。こういったことを強化していってほしい。強化していくよというお話は ございましたけれども、強化してほしいということが1つ。  それから、次には食品安全に関する海外状況の動向ですね、その把握をしっかり行っ てほしい。そして、その情報を関係機関に提供して、生かせるようにしてほしい。この ことは先ほど農水省の国際室ができましたというお話がございまして、きちっとつかん でいくよということがありましたけれども、ぜひその辺はよろしくお願いしたいと思っ ています。  この辺の具体的な話は、例えば食中毒の発生動向ですとか、疾病だとかそういうこと にかかわる日常的な海外情報といったものをぜひキャッチしてほしいと思っています。  それから、次にとても重要なこととして、やっぱり輸出国に対する衛生対策、あるい は貿易におけるルール、契約を守らせることの徹底というようなことにぜひ力を入れて ほしいと思っています。これはとても重要なことだと思っておりまして、検査の充実と いうことはもちろんでございますけれども、こうした輸入品が増えてくるということの 中で、検査だけではなかなかそれがカバーできないということはわかっていることでご ざいますので、その大もとである輸出国がしっかりとした安全なものを出荷するという ことが徹底できればよりいいのではないか、ここが重要なのではないかと思っておりま すので、安全なものを出荷するという、そういった関係づくりとチェック体制、もちろ ん日本からも現地を調査するというようなことも充実させていただきたいと思っていま す。  消費者は、相手国に対してやはり信頼していないという、そういった向きがあるよう に思います。包括的な輸入、販売禁止制度というものができましたけれども、そういう ことではなくて日常的な信頼関係というものができるような体制、対策をとっていって ほしいと思っています。  それからもう一つ、検査体制を強化するためにはということで、今回登録検査機関へ の委託ができるようになったというお話もございました。検査体制を強化していくため には、もちろん民間の活用ということも必要だと思いますけれども、検査の手法とか検 査制度の管理とか点検等について法的な義務づけをするなど、しっかりとした対応が必 要なのではないか、ばらつきがあっては困りますし、検査率がたとえ上がったとしても その信頼度が低ければ何もならないと思っておりますので、その辺のことは後でお聞き したいと思いますが、登録検査機関への委託ができるようになって、その辺のそういっ た検査体制の問題ですとか手法はどうなっているのか、きちっとルール化されているの でしょうかということがお聞きできればと思います。  それから最後にですが、監視指導計画というものが報告されました。かなりきめ細か に私たちの思いが詰まっているかなとは思いますが、法的にきちっと命令が出せるよう なものはいいと思いますけれども、これまでの私たちの経験からしますと、指導という ことについての信頼度の低さというものが残念ながらあるのではないかと思っていま す。実際徹底指導をしていたのにもかかわらず、いろんな問題が次々と起こるというの が今まででございましたので、指導ということについてどこまで実際どう指導力をつけ ていけるのか、あるいは指導を受ける側の受けとめ方が今までとどう変わるのか、そこ がちょっと見えないような気がいたしまして、指導というときにその実効性、実現性と いうものについてもう少しお話が聞ければいいなと思っています。  いろいろな中身のある計画を出していただきましたので、今の時点ではもちろんきち っとやってほしいと言うしかないような気がいたしますけれども、ぜひ成果を上げてい ってほしいと思います。この計画では、計画とか、実施結果について公表、発表をして いくというふうになっておりますので、それも中間でも発表するということもおっしゃ っておりますので、そういうことで期待をできるかなと、今の時点ではもちろん思って おりますけれども、実効性ということについてもう少し説明が欲しいと思っています。  ちょうど時間が来てしまいましたので、また後の質問のところでお話しさせていただ ければと思います。 【山本座長】  どうもありがとうございました。  続きまして、もうお一方、ニチレイの山本様から、事業者の立場ということで、その 取り組み事例をご紹介いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 【山本(宏)】  それでは、事業者の取り組み事例ということで、簡単にお話をさせていただきます。  先ほど各所長の方から、事業者の責任はますます厳しくなるのですよというお話をい ただいたと思うのですけども、私どもはまさにそうだと思っていまして、今さらそうい うお話をいただくまでもなく、絶えず厳しい姿勢で取り組んでいるわけですけれども、 そういった中から行政、その他に対する提案も若干含めてちょっとお話をさせていただ きます。                 (スライド)  まず最初に、私ども、今業界の中でもそうなんですけども、食品に関して安全・安心 という言い方が非常に強く言われているんですけども、そもそも私どもは安全と安心は 違うものではないだろうかと考えています。安全というのは、もともとは科学的な事実 だと思うのです。やっぱり科学的にいろんなことを検証し、チェックをして、これはリ スクが非常に小さいですよということが言える状態が科学的に安全性だと。それに対し て、安心というのは、これはあくまで消費者、お客様の信頼感の問題でございまして、 ほんとうに信頼していただけるのかどうかということだろうと思うのです。  かつては安全と安心というのは比較的近かったのです。ところが最近はどんどん離れ てきている。どういうことか。これはやっぱり事業者側にも問題があるし、行政にも問 題がある。そういったいろんなことが起こっているがために、安全と安心がどんどん離 れていっていると。やはりここは近づけていく必要があるだろうなと。私どもとして は、キーワードとして科学的事実に基づく信頼性の確保ということが、安全と安心をく っつける最大限の方策だろうなと考えております。                 (スライド)  この中で、食品産業を取り巻く環境というのは大変大きく変化していることは、皆さ んご存じだろうと思います。私ども痛切にそのことは感じていますけども、この中で特 に外的な要因の中で2番目に挙げました、食品流通の国際化における、特にいろんな国 の間で品質の物の考え方、管理レベル、そういったものに差が出てきていると。当然そ こを規制する基準だとかルールだとか、そういったことにも必ずしも整合性がとれてい ないと。この問題がやっぱり一番大きな問題だろうと思うのです。  とかくここの企業間の差というのは、どうもイメージが若干先行しているのじゃない だろうかと思いまして、確かに中国が必ずしもいい状態ではないということは事実です し、かといってアメリカから輸入する野菜から全く農薬が出てこないかというと、必ず しもそうじゃないのです。先ほどお話があったように、輸入食品の中からいわゆる添加 物が第6条違反で出てくる。これはCODEXの中できちっと安全性がある程度確保さ れているということで、外国では許可されている添加物がたまたま日本で許可されてい ないために入ってくると、こんな問題もあるわけです。  やっぱり国際間の基準、ルールの整合性ということに関しては、今行政の中で非常に スピーディーに進めていただいていますけども、ますますスピードを上げていただかな いと何分にも先ほど話がありましたように、60%輸入に依存している我が国の食料の 確保ということから、必ずしもうまくいかないなということがあるのだろうと思いま す。そのことが一番重要だろうと思います。                 (スライド)  ここでお話ししたいのは、そもそも食品の安全性、あるいは品質に影響を及ぼすファ クターというのはたくさんあるのです。先ほど国立医薬品食品研究所の山本先生のほう からあったように、どうもとかく微生物の問題は忘れがちですよと。実は微生物では年 間何十人か必ず死者が出ているわけです。そういった問題をどうするかということも含 めますと、とにかくあらゆる問題が安全性、品質、こういったもので影響が出てくる と。ここの表示に書きましたのは、そういった科学的あるいは技術的なファクターとし ての要因がたくさんありますと。当然食品ですからもちろん安全であるということは大 事ですけども、おいしくて、健康で、その他もろもろということがないと、食品として の必要な要素を兼ね備えないことになりますので、そういったことをきちっとすべて備 えて、食材として消費者の方に提供するということは、我々事業者の責務でございます ので、そこのところも大変苦労していると。  特に輸入食品の場合に我々が大変苦労しているのは、苦労していることを嘆いてもし ようがないのですけども、こういう科学的、技術的問題だけじゃなくて、それぞれの国 の生活、文化、習慣あるいは法律社会の体系、こういったものがその国で食品をつくる となりますと必ず影響するわけです。ですから単に科学技術だけの問題ですべてが解決 するわけじゃないと。ですから外国から食品を輸入しようとしてくると、必ず生活だと か文化だとか習慣だとかそういったものもきちっと把握しておかないと、なかなか安全 性、品質ということが完全に確保できないという問題もあるということだけは、ご承知 おきいただけるとありがたいと思います。                 (スライド)  これは我が社の中で品質保証という観点から課題として上げていることなのですけ ど、当然この中に海外で生産される原材料、加工食品の安全性確保という話が出てきま す。先ほど輸入食品がカロリーベースで60%ということは、国内で生産されている加 工食品についても原材料のかなりの部分は輸入品なのです。特に水産物というのは、今 日本の漁船がとってくるものよりも、外国の漁船がとって日本に輸入されてくるものの ほうが相当多いわけです。こういったものは、例えば環境汚染による安全性に関するリ スクというのは結構あったりするわけです。そういったことをどうやって回復していく のかということもあります。  それからもう一つは、ここでちょっと安全性と若干つながるかもしれませんが、先ほ ど検査という話がしきりに出てくるのですけども、現実には必ずしも検査だけをやって いても済むわけではないわけです。その検査自体も国内で多少事例があるのですけど も、輸入の段階で検査をされて合格だったと、だけど国内に入ってきて地方自治体で検 査をされたら不合格ですよと、おかしいじゃないですかというような事例もあります。 これはやっぱり検査の精度管理、それから信頼性、こういったところにもまだまだいろ いろ問題があるということは事実だと思います。特に検査の中で同等性という表現がと きどき出てくるのですけども、その同等性ということをだれが認めるのかといったこと も含めて、やっぱり国内で加工する加工品の原材料として入ってきているものについ て、どこまで信頼性を持って安全性を確認しているかということも大変気になるところ でございます。                 (スライド)  このスライドを最後に入れているのですけども、これも先ほど山本先生からありまし たけど、リスクアナリシスと、私どもはリスクアセスメントということを非常に重要だ と思っていますけども、物を輸入するときはやっぱり事前にそれがどういう過程でつく られて、どういう人たちがつくっているということを確認せずに、日本に物を輸入して くるのはもうおかしいと思うのです。検査の強化ということは、あくまで検査の強化で あって、その時点でもうつくってしまったものを幾ら検査して、いいとか悪いとか言っ てもしようがないわけです。  やっぱりここは、だれがつくって、どういうふうにつくられているかということを、 我々、もちろん事業者としてかなり真剣に考えてチェックはしています。ですけども、 中にはそうじゃないケースもあるようでございまして、そこら辺に対して行政がこれか らどれだけ力が入れられるのかと、あくまで国と国の話ですからなかなかそこまで相手 国政府に言ってもということはあるようですけども、先ほどそういったところにも力を 入れますという話が出てきましたけども、ここら辺はやっぱり行政としても日本の食糧 確保という責務があるわけですから、当然それぞれの省庁の中でそういったことをかな りきちっとやっていただかないといけない。ようやくやり始めていただけましたねとい うことがあるわけです。  そのときに大事なことは、そういうことをちゃんとやっている業者かどうかというこ との識別もやっていただきたい。それからもう一つは、日本社会が全体で輸入食品に頼 っているわけですから、自給率を上げようとしてもなかなかいかないわけですから、こ れはもちろん我々事業者、行政、場合によってはメディアの方、あるいは地方自治体の 方、地方自治体は行政に入るのでしょうけど、それから一般消費者の方、こういった方 々がそもそも安全性とは何なのだろうと、どうやってリスクアナリシスをやって、どこ まで安全性を確保することが必要なのか、妥当性があるのかということを真剣にそろそ ろ考える時期だろうと。そこがやっぱりいかないと、それぞれが一方通行でああだこう だ言っていてもなかなか進まないのではないかなという感じがしていまして、この辺を 事業者としては大変言いにくい話ですけども、あえて言わせていただいて、終わりにし たいと思います。 【山本座長】  山本さん、どうもありがとうございました。  大変貴重なご意見をいただきましたが、お二方から生産国の表示のこととか、輸出国 の検査体制であるとか、こちらのほうの検査体制の問題、各国の規制の整合性等、指導 等の実効性について数々ご質問等ありましたが、まず桑崎室長のほうから。 【桑崎】  まず、神田さんから幾つかのご要望とご質問をちょうだいしていると思います。  我々の説明の中にも幾つか答えになるものが入っているのですが、簡単にもう1回整 理をすると、検疫所の検査体制、それはマンパワーの増員確保、それから検査機器の整 備ということも含めてしっかりやってほしいということについては、当然ながらこれか らも引き続きやっていきます。ただ、こういう時代でどんどん人が増えるということ は、これは実際上なかなか厳しい。実情を申し上げますと、国家公務員を1人増やすと いうのは実は大変なことです。それは企業や自治体でも同じだと思います。そういう状 況の中、今年度、15名食品衛生監視員を確保したということがありますが、当然なが ら今後とも体制の充実強化ということについては努力をします。そういう厳しい状況の 中で我々も頑張っているのだということについて、少しご理解をいただくと助かるかな と思います。  それから海外状況の把握については、これはご質問の中にもお答えをちょうだいしま したが、ちょっとこの部分は今まで薄かったというのは事実です。そういう意味で国衛 研に情報収集の専門の部をつくった。もしくは食品安全委員会や農林水産省も情報収集 しているということで、かなり厚くなったのではないかと思いますが、引き続き努力を していきたいと思います。  それから輸出国における衛生対策の推進、貿易ルールの徹底ということですが、川上 対策ということについては何よりも重要ですが、権限という意味でいくと、我々が相手 国に食品衛生法の権限を持って踏み込んで、査察をするという権限はありません。した がって、基本的には2国間協議の中で相手国に必要なことを要請し、それを我々が確認 をし、安全なものを輸出してもらうということになるので、先ほど言いましたように、 いろんな国と今2国間協議をやっている最中で、それを引き続き推進していきたいと思 っております。  それから、検査体制の強化の一環で、モニタリングを民間の登録検査機関に委託でき るようになったということについて評価できる面もある一方、しっかりとしたデータが 出されるのかどうかということについてチェック体制はどうなのだと。ご承知のとお り、たしか指定検査機関は60機関、80施設ぐらいですが、検査命令が相当増えてい ますから、検査を頼んでもなかなか検査結果が出てこないという状況もあります。ま た、急遽何か問題があって検査を強化した場合に、検査機関を増やして短期間でしっか りした検査をしていくということも必要だろうと思っておりまして、そういうことも含 めてこのたびの法改正で登録検査機関を活用することにしたわけです。  それから登録検査機関の要件ですが、ハード面の要件、どういう施設・設備でなけれ ばならないのか、それからどういう資格の人が何人ぐらい必要なのか、こういう要件は 既に決まっているわけです。それから、これは業務管理基準と言っておりますけども、 正しいデータを出すための組織、それは信頼性確保部門であるとか、検査部門であると か、そういう組織、権限、役割の明確化、検査業務の管理に関する内部点検、内部精度 管理、それからもう一つは外部精度管理、これも必ず行っていただかなくてはいけな い。  外部精度管理について少し詳しく説明しますと、自分のやっている検査により正しい 値が出されているかどうかについて、外部の機関が作成した既知の物質を一定量含んだ 調査試料の送付を受けて、それを分析し、その分析の結果を調査試料を作成した機関に 送り返して、当該検査機関の技術水準を客観的に確認するというようなことについて も、既にルール化をしています。さらに、このたび民間も登録検査機関に入ることが可 能となったことを含めて、現在業務管理基準をもうちょっと厳しくしようということで 見直しをしている最中でありまして、一定のルールのもとで民間検査機関を活用してい くということについては、今後も方針は変わりないと考えています。  それから、監視指導計画を実効性あるものにしてほしいと。これはぜひこのリスコミ のテーマに非常になじむので、議論をしてみたいと思いますが、もちろん我々も実効性 があるものにするための努力を一生懸命するわけです。一方、法律上の制限もあるのも 事実です。先ほど申し上げましたように、例えば営業者は自主検査をしなくちゃいけな い、原材料の安全性を確保しなきゃいけないというのは、これは義務規定ではなくて努 力規定になっています。したがって、私が申し上げたいのは、食品の安全確保というの は、事業者がしっかり自覚をして対応する、そこのところをまず共通の認識を持って、 事業者が安全な食品をしっかり輸入してもらうという対応が必要ではないかと考えま す。  そういう事業者の責務を踏まえて、我々が計画に基づいて営業者に対して地道に何回 も何回も指導をしながら、安全なものを輸入してもらうということではないかなと思っ ています。何か追加のご発言があればお願いします。 【森田】  現実に現場で、毎日食品の監視業務をやっている立場から少しお話ししたいと思うの ですが、神田さんが提起されました職員の能力向上、これも非常に重要でありまして、 私どもも研修等に努めておりますし、またこれも全国的な研修の場もあるのですけど も、これは充実していかなきゃいけないなと思っております。  それと、やはり輸入食品の安全確保には、桑崎室長からステージ、輸出国、輸入時、 国内とあると思うのですけども、皆さん方は輸入時のどういう監視をしているのかとい うのはなかなか目に見えないところがあって、そこに対する不安もあると思うのです。 私は東京検疫所の場合ですけども、消費者団体の方が集まると、ぜひ見にきてほしい と、実際に輸入食品を検疫所に来ていただいて見てくださいよということで、結構消費 者の方に来ていただくのです。リスクコミュニケーションというのはこういう場もあり ますけども、現場でのリスクコミュニケーションというのも私は非常に重要だなと思っ て、できる限り消費者の方々、あるいは国内の生産者の方でもいいし、来ていただけれ ば、ほんとうに忙しくてそういうところに時間を割けないというところもないわけじゃ ないのですけど、私はそういうことの積み重ねが実際にリスクコミュニケーションとし て充実していくのだろうなと思っていまして、ぜひ検疫所、あるいは、国内の問題であ れば保健所にぜひ消費者の方々も皆さん見学に行ったらいいのかなと思っております。  それから、ニチレイの山本さんのご説明で、こういう企業ばっかりならほんとうに楽 だなと、現場として思うわけです。輸入者というのはだれでもなれるわけです。皆さん 方があしたでも何か輸入しようと思えば、輸入者になれるわけです。ですから、私ども としても輸入者の方に講習会をやって、まず自分で勉強してくださいよと。何でもちょ っとわからなくなると役所に相談に来る。そうじゃなくて、添加物を使えるのか使えな いのかなんて資料には幾らでもあるわけですから、そういう勉強をした上でご相談に来 てくださいよということを言っているわけです。ですから、輸入者の方の知識をどう普 及していくか、これも現場は非常に苦労しているところです。  以上です。 【山本座長】  どうもありがとうございました。  それでは、今の返事を受けて、神田様のほうからと、山本様は後でお願いします。 【神田】  ありがとうございました。  まず最初に、検査体制のことで、どんどん人が増えるのは難しいというお話がござい まして、もちろん私どももどんどん増やせと、限りなく増やせという意味ではなくて、 今現状を見たときにどうなのかという形で、もう少し充実をしてほしいということで申 し上げているつもりです。それでもちろん厳しい状況の中で頑張っているということ は、非常によく私たちもわかっておりますけれども、最初に触れましたように、非常に 輸入食品に対しての不安を持っていることが、こんな数字の上でも出ているということ がありますので、やはりそこはしっかりと受けとめて、必要な補強というのでしょう か、強化はもちろん、していってくださるということなので期待をしたいと思います が、していってほしいということが1つです。  先ほど最後に、現場を見に来てほしいという形で、私は今年の春だったか昨年だった かちょっと忘れましたが、成田の検疫所に見に行ったのですが、結構早い時間には行っ たのですけれど、もうその作業が終わっていて、お部屋だけを見る形なのです。せっか く予約をとって行ったのですが、実際には見られない。部屋を見ても、私からすると狭 くて幾つもないという中で、一体これでできるのだろうかと。成田というのは世界一輸 入品が多いと、扱っているところだと説明は聞いておりまして、行ってみるとそういう 状態だと。ですから、もしかしたら私はそこで正しい知識をつかんでこなかったとは思 いますけども、行ってもそのくらいしか見えないという状況があって、でも私は現場に 行ってみるということは非常にいいことだと思っていますので、そういう機会、見られ る機会をきちっとつくってほしいというか、もっと充実してほしいなと。邪魔にならな いようにしたいと思いますので、そういうふうに思います。  それから、輸出国のことですけれども、確かにもちろん権限をという形で、国と国の 話ですからおっしゃることはよくわかりますので、2国間の協議の中でするしかないと いうことは当然だと思います。そこをぜひうまくやっていただきたいと。それから、い ろんな取引をする中で、現場の調査ということも折々につけてしていただきたいなと。 最初に書類でやってしまってそれっきりということではなくて、してほしいということ です。これは改めて言うまでもなく、そのつもりでいると思いますけれども、そう思い ました。検査だけではほんとうに賄い切れないということは、目に見えてわかっている ことですので、よろしくお願いしたいと思います。  それから、先ほど検査を外部へ出していることについてのお答えがございました。ハ ード面は大分管理基準だとかいろんなことで整っているということがありましたが、1 つだけ私が申し上げたものでちょっとお答えがなかったかなというのは、今60とか 70とかおっしゃっておりましたけれども、そこの登録先ですか、そこのところの検査 レベルとか精度のレベルということの共通性があるのかどうかということがお聞きした かったことの1つなんです。もしよろしかったらお願いいたします。  いろいろ努力をなさってくださっているのはよくわかりましたけれども、よろしくお 願いしたいということと、指導ということについての実効性はどうなのかということに ついてお答えをいただきました。事業者が自覚をもって輸入をしてもらうのが第一だと いうお答えだったかと思いますけれども、あちらが先、こちらが後ということではなく て、同時に、事業者のところもそうですし、もちろん指導をせっかくこういった形で方 針を出して計画をつくったわけですから、今までの指導と質が違うのか、あるいはその 受けとめ側とのやりとりというのでしょうか、そういったことの充実をさせる、今まで とは違う指導の効力というのでしょうか、そういったものがどうなのかな、その辺をも うちょっと伺えたらよかったかなと思いましたけれども、トータルではありがとうござ いました。 【山本座長】  どうもありがとうございました。  神田様のご意見に関して、外口参事官のほうからお願いします。 【外口】  成田の検疫所を見に行ってくださいましてありがとうございました。  できれば横浜か神戸がお勧めだったのですよ。というのは、ご存じかと思いますけど も、検疫所というのは3つレベルがございまして、横浜と神戸に一番検査の体制を集中 させているのです。成田とかは第2段階のレベルになって、そのほか第3段階のところ もあります。第2段階、第3段階のところに着いた貨物は、すり抜けていくかという と、全然そんなことはないので、同じようにサンプリングをして、横浜とか神戸に送る のです。だから、入ってきたものは必要なだけちゃんと送られるので、検査の機械とか 設備がないから見逃しているというようなことは全くありません。今はクール宅急便で 送るとすぐその次の日に届きますので、横浜の検査センターとか、神戸もそうですけど も、朝早くからたくさん荷物が届いて、その中からちゃんと準備をして、前処理をし て、添加物だとか農薬だとか遺伝子組みかえ食品のチェックとか高度な検査をしていま す。  どうして集約させる必要があるかというと、1つの食品について多種多量なものを正 確に出していくためには、やはり集中させていく必要があります。1つの機械に1つ入 れれば全部出るわけじゃないのです。たくさんの機械で組み合わせてやっていくので す。それから精度管理もしていくわけだし、いろいろな人を検査の精度管理を含めて、 育てていってレベルも上げていかなきゃいけませんので、その2つで集中的にやって、 あとの第2段階は6カ所ありますけども、そこはもうちょっと簡易な検査、さらに高度 なやつはもちろん横浜と神戸に送ると、そういう仕組みで今やっております。  我々もこの中身をどうやって知ってもらおうかと思って、実は9月にテレビ番組で、 検疫所でどんな検査をしているか、ちょっと朝早かったのですけど放送してもらいまし た。やっぱり活字よりもこういうのは映像がいいですね。実はそれをビデオで撮って、 普及しようかと思ったのですけども、ちょっと我々の最初のやり方がまずくて、どうも ビデオがつくれなくて、そういった映像メディア等もこれから工夫していきたいと思っ ています。  それから、検査のレベル、精度管理、これは非常に大事なので、今研究事業等を含め て、例えば秦野にある食薬センターから共通の試験用サンプルを出して、みんなで精度 管理できるようにしたりとか、検査も効率のいい確実な検査をどうすればいいかという のを医薬品食品衛生研究所で開発したりとか、いろいろな取り組みをしています。これ もさらに充実させていく必要があると思っています。実際、検査する項目というのはも っと増えますから、これは大変重要なことだと思っています。  それから、実効性について一言追加で私が言いたいのは、事業者の自覚とかいろいろ 必要なことはあるのですけども、やっぱり透明性の確保というのがそれに加えて大事じ ゃないかなと。何が起きているかというのをみんなの目で見ていけば、これは実効性と いうのはかなり上がっていくのじゃないかなと思います。具体的にどうやってやるかと いうのは、これはいろんな工夫が要ると思っています。以上でございます。 【山本座長】  どうもありがとうございました。  神田さんは今のでよろしいでしょうか。 【神田】  横浜とか神戸とかそういう形、ぜひそういったことも含めて知らせることを工夫して いただきたいと思います。 【山本座長】  そうしましたら、フロアのほうからご意見等をいただきながら進めていきたいと思い ますので、どうぞ今までに関連したことでなくても結構です。じゃ、こちらから1番 目、奥の方が2番目で、3番目、4番目、5番目というふうにしたいと思います。それ ではどうぞ。 【質問者1】  意見じゃないのですけど、ちょっと聞き逃してしまいまして、もう1度お伺いしたい ことがあるのですけども、先ほどホームページの上で輸出するもとの国の人たちにわか りやすく、日本語じゃなくて日本の基準を紹介しているところがありますと言われたの ですけど、知識がなくて詳しいことがわかりませんので、どのホームページのどこを見 たらそれが出てくるのか教えていただきたいと思います。済いません。 【桑崎】  厚生省のホームページにあります。日本語の場合はホームページの左側に食品安全情 報という1つ小さな枠が、これも今までなかったのですがつくりました。 【質問者1】  BSEとか入っているやつですね? 聞くとBSEとか全部出てくる……。 【桑崎】  そうです。そこに輸入食品監視という項目があるはずです。英語版も同じページのと ころから入れます。それから基準ですが、JETROがつくっているホームページにリ ンクしているものですから、厚生省から飛べますので、そこはそっちのほうで確認をい ただくといいと。 【質問者1】  そこから飛ばすと出てくるのですか。 【桑崎】  はい。 【山本座長】  質問者の方、よろしいでしょうか。  それでは、向こうの奥の方、お願いします。 【質問者2】  大きく2つございます。簡単なほうからですが、1つは輸入食品の監視業務ホームペ ージに、違反事例の公開がされていますが、あの公開の措置の欄で、回収という指示に なった場合、どの程度回収をされたかという情報公開がないように思うのですが、でき ればそういう意味でも透明性を高めていただきたいというのが1点目です。  2点目が、ちょっと大きな問題になるのですが、先ほどから議論になっていますモニ タリング検査のいわば妥当性、あるいは透明性の問題に関してですが、公開をされまし た指導計画案の中にもかなり詳しく触れられております。この来年度計画の 7万6,000件の検体数というのが、果たして妥当なのかどうなのかということがよく わからないです。先ほどモニタリング検査の考え方のご説明をいただいたのですが、ち ょっとよくわからないです。そういう考え方に基づいて件数を決めているということだ ったのですが、透明性を高める意味でも、もっとわかりやすく公開をすべきではないの かと思います。  1つの提案は、輸入制度の中に事前届出制度ですとか計画輸入制度、あるいは継続輸 入の場合、事前確認の制度ですとかいろんな制度がありまして、実際には検査されずに 国内に流通するものもあるわけです。そういう中でどういう制度に基づいて、輸入され たものがどういうぐらいの頻度でもって検査対象になっているか、あるいはその制度以 外のものなのか、その辺のクロスされた情報がもっと出されてしかるべきではないのか と思います。  それから、89年から90年代ずっと統計によりますと違反事例の件数割合は0.1% となっています。ところが幾つかの経験で言いますと、97年から命令検査の統計が出 始めて、年々これは増えていますし、01年度では4万件を超えているということもあ ります。それから昨年の中国の冷凍ほうれんそうの検査でも、サンプリングの数を倍に するに従って違反検出率が上がっていったという、そういう経験もございます。そうい う意味では、今の7万6,000件というのがほんとうに妥当なのかどうなのかという検 証ができるような、そういう透明性を持った情報として出す必要があるのではないかと 思います。  済みません、もう1点ありますが、人員体制の問題ですが、今年度15名増員をされ まして、283名の食品衛生監視員の方が配置されております。伺うところによります と、来年度の予算要求で十数名増員の予算要求がされているかのように伺っているので すが、年々一挙に増やすということはできないとおっしゃいましたが、それでは適正な 人数を、例えば300人あるいは400人と思って、順次計画的に増やすというふうに 思っておられるのか、あるいは300名弱のところでとまってしまうのか、その辺の考 え方も聞かせていただければと思います。 【山本座長】  どうもありがとうございました。  それでは違反事例回収の情報についてということと、あとはモニタリングの妥当性、 透明性を確保するためにということで。 【滝本】  1つ目の違反事例の措置状況ですけども、先ほどご紹介ありましたように、厚生労働 省の輸入食品監視業務ホームページのほうで掲載をしておりますが、その措置状況につ きましても、それが流通して消費されたものか、あるいは保管されているものかという こともあわせて公開をしております。ただ中途半端に流通をしてしまったものというの は確かにタイムラグがあって、その部分については調査をして、その後に掲載をすると いうような方向で対応をしております。すぐわかるようなものについては、それは全量 保管されているとか、あるいはもう消費されているとかということもあわせて情報公開 をしているということでございます。  それから、一番最後にありました人員体制の件ですけども、現在283名の食品衛生 監視員が検疫所で輸入食品の監視業務に当たっているわけです。来年度に向けても、こ の部分についても増員するような形で考えております。ただ、検疫所における適正な食 品衛生監視員の人数というのは、これははっきり言って、なかなか難しい問題でありま して、これはその年あるいはその時代における輸入食品の違反の状況であるとか、ある いは輸出国の体制だとか、国内の都道府県との連携の状況だとかいろんなファクターを 考えて、適正人数というのは検討していかなきゃいけないと思うのですけども、その年 次計画、例えば5年計画で300人にするとか、10年計画で400人にするとか、そ ういう年次計画をもとにやっているというような現状にはありません。今の増員は、今 回の食品衛生法の改正で生じた新たな業務であるとか、あるいは平成17年2月に中部 国際空港が開港されますけども、当然それに合わせて食品衛生監視員の増員も必要だろ うというような、個別、具体的な増員の要素に応じて順次要求をしているという状況に なっております。 【桑崎】  7万6,000の検査が妥当かどうかを少しクロス情報も含めてということなのです が、少し詳しく説明をさせていただきます。  届出の種類によって、例えば事前届出があり、計画輸入があり、継続輸入というのは 届出というより検査の話で、それから事前確認制度もあるということなのですが、基本 的にはアトランダムに検査を実施しています。計画輸入については以前は少しモニタリ ングの当たる率が悪いということは確かにありましたが、そこも見直して、計画輸入で あってもモニタリング対象にしています。したがって、届出の形態等によって全然検査 しないという食品は基本的にはないということでモニタリング計画を立てています。  それで、ベースはどういうベースで件数を出しているのかということで、ちょっと先 ほど申しましたが、95%で1%の違反を間違いなく見つけるには299、それをベー スと申しました。ただ、問題がある食品についてはもっと検査をしますよと、問題がな い食品については少し件数を減らしていますよというので、どういうふうに積算をして いるかということについて詳しくご紹介を申し上げたほうがいいと思うのです。  見えづらいかもしれませんが、説明をしますと、表が4つあって、この4つの要素を 勘案して検査数を決めているわけです。信頼度95%の違反率1%という話はちょっと 置いておいて、まず過去の違反の状況、違反率で点数化をしている。違反率が高いのは 10点、ゼロはゼロということで10段階に分類をしている。これは過去のデータから この食品群はこれぐらいの違反率だとすぐにわかりますから、この表をつくっている。 それから、どれぐらい輸入しているのかということも、当然ながら重大なファクターで す。重量をゼロから5までの6段階に分類して、重量が多いのは5点、輸入が少ないも のは0点。それから輸入件数で、これも0から5まで分類をして、12万8,000件以 上のものは点数は5と、点数が1のものは2,000件までと、こういうふうにそれぞれ 分類をして、点数を配分している。ランクづけをしている。  重要度というのがありますが、これはその食品毎に過去に全然違反がないというも の、それから基準がある、違反の内容が危害度が大きいというのを1、5、10とこう いうふうに点数を配分して、これに基づいてその食品群は合計何点に該当するのかとい うのを決めて、合計点数により問題の多いものは、先ほど言いましたけども、95%の 信頼度で0.1%の違反が確認できる2,995件を検査する。また、点数により、違反 率0.5%以下の違反が確認できる件数ということで599件という件数も充てている と。こういうふうに食品群ごとにランクづけを過去のデータからして、それを積み上げ ていくと7万6,000件になります。このやり方は、ちょっと申し上げましたけど も、日本だけではなくてアメリカも同じように、ベースは95%の信頼度で1%の違反 を発見できる件数になっていますけども、やはり輸入重量、違反の案件を考慮して、同 じように点数化をして、ランクづけして決めていると聞いておりますので、そういう意 味でこのやり方は、CODEXや国際的な状況も踏まえて重要度をランクづけして検査 数を決めているというふうにやっているわけであります。  こういうふうな考え方で検査件数を決めているということについて、まず説明を申し 上げます。 【山本座長】  質問者の方はよろしいでしょうか。 【質問者2】  まだよくわからないです。どうやって決めているかはわかりました。今の出された数 字が、それに基づいて妥当なのかということについて、まだよくわからないということ です。また後でお話を伺えたらと思います。 【山本座長】  決めた後、それが果たして適正な数であったかどうかということの検証をどうするか という問題なので、かなり議論としては難しくなるかなと思いますが、ちょっとその議 論が続くとあれなので、次の質問者の方に移ってもよろしいですか。  じゃ、次の質問者の方、お願いします。 【質問者3】  基本的には情報提供ですけども、添加物に関しまして日本の規格と諸外国の規格が必 ずしも合致しないという場合があるかと思います。そういう添加物を使って日本に輸入 されるというケースが、多々とは申しませんけども、あると。  事例的に申しますと、着色料、私どもも扱っておりますけども、水銀規格が、一応自 主規格では我々1ppm以下ということに定めていますけども、過去諸外国での事例あ るいはサンプルを入手したことから経験的に申しますと、それを超える数ppmあるい は数十ppmというようなものが検出されております。  それから、これは中国あるいはロシアの事例ですけども、紅麹色素、これは1つの黄 変米、紅麹をつくるときに米を使ってするわけですが、カビ毒の一種、シトリニンとい うのですけども、そういう物質もそれについては危害があるということで、我々もある いは厚生省規格で0.2ppm以下というようなこともちゃんと規格として定めておる と。ところが中国とかロシア等でサンプルを入手しますと、それをはるかに超えるデー タが出ている。こういった事例につきましては、専門的になるかとは思うのですけど も、輸入者等の責任において、あるいはそれについての情報開示という面から、基本的 に周知していく必要性があるのかと考えていますけど、いかがでしょうか。 【山本座長】  ただいまのご質問ですと、これは磯貝さんのほうになるのかな。お願いします。 【磯貝】  おそらくはその基準があるものを、添加物、単体で入ってくるものについては検疫所 で当然検査というチェック、それを使った製品をどう監視していくのかということにつ きましては、少し今後の検討課題というか、よく情報を収集して対応したいと考えてお ります。 【山本座長】  今ので答えになっていますでしょうか。ちょっと外口参事官のほうから。 【質問者3】  確かに主成分等につきましては、これは日本で許可されていない着色料とか、そうい うものはあるかと思うのですけども、それに付随した規格、それについての監視といい ますか、それはやっぱり必要かと考えます。 【外口】  コメントを補足させていただきますけど、監視の充実についてはご指摘のようにいろ いろやっていきたいと思います。  それから、最初に国際的な整合性についてのご質問がありましたけども、そこをちょ っと補足させていただきますと、例えば添加物で申しますと、今までは使っている添加 物について、事業者さんのほうが申請したものについてリスク評価をして、基準を決め ていたのですけども、それでやると申請が上がってこないものについては諸外国と差が 出てしまうのです。それをどうにかしなきゃいけないのですが、そうはいってもやっぱ り安全性の確保というのは何より大事ですから、どうするかということで、今行ってい るのは、アメリカとかヨーロッパ、どっちかじゃなくて、どっちも広く認められている ものというと、まず国際的によく使われているものになるのですけども、もちろん国際 的な組織、例えばJECFAというところがありますけども、そこで安全性評価が終了 して、安全性が確認されているものについては、大体46ぐらい今あるかと思いますけ ども、それについては今度国のほうから検討を始めると。そうなっていれば認めるとい うわけじゃなくて、そうなれば安全性評価のスタートをする、そういった仕組みを今入 れているところであります。ちょっと補足させていただきました。 【山本座長】  そういうお答えですけども、あとは情報提供という形では、業者さんのほうで見つけ られたものというのがどういう形で上がってくるのかということなのですけども、それ は宮川さんのほうにありますか。 【宮川】  紅麹色素の例ではたしか業界から上がってきたというよりも、海外でそういう状況は あったということで、これは麹でつくられるものですから、実際そのシトリニンという のがどれぐらいだったかというのは、たしか厚生労働省なんかも調査をして規格をつく りましたよね。そういうふうに対策をとった。  ですから、粗悪な添加物を使って、海外で生産している食品はどうするのだというこ とがありますでしょうから、ただ食品からシトリニン自身を検出する方法とか、これも なかなか難しいのだと思いますので、それはやはりまず国内では添加物には公定書とい うのがあって、規格があるのですから、輸入者の方が海外で加工食品をつくる際に使わ れる添加物もその規格に合ったものでないといけないというのは、基本的にはそれはよ く理解してもらわないといけないと思います。 【質問者3】  ですから、輸入者に対して、かなり専門的なことになると思うのですけども、情報の 周知、徹底というのが必要じゃないかと思います。 【山本座長】  それは確かに必要なことだと思いますので、これからも情報公開という形では続けて いっていただけると思っております。  次の方。 【質問者4】  まず、冒頭に参事官がコミュニケーションを進化させていくと、こう言われたこと で、すごくいいことだなと思いました。  リスクコミュニケーションに関することになろうかと思いますけれども、その前提と して、先ほど数字の違反率の0.06%とか、それをどういうふうに算出するかは大体わ かったのですが、その違反率というのは国産品と比べたら、いろいろデータが違うから 何とも言えないのでしょうけれども、それはどうなのかなと。これはお答えいただく必 要はありません。というのは、次から言うことです。  私はこのさまざまなデータの中から、消費者がとても輸入品に対して不安を持ってい るというのが、さまざまなところへ出ております。そのときは絶対的に輸入食品に対し て不安を持っているのかというと、むしろそれは国産との相対性においてそういうふう に思っているというふうに思うのです。今回のこの規格は輸入食品に限ってお話をして いるわけですけれども、それはそれで私はいいと思うのですが、最終的には結局食べる 物の安全性がどうなのかというわけですから、いずれは国産との関係も含めたトータル の規格が1つ要るのかなと思います。  その中で、今システムとか数値の出し方を輸入食品に随分教えていただいたのですけ ど、それがどれほど進んでも、やはり国産との関係を話さない限り、なかなか輸入食品 に対する不安というのは解消できないと思うのです。私は基本的にはもちろん自給率が 上がることを望むわけですけれども、現実に加工食品の原材料は輸入が多いわけです。 そういう中にあって、やはり輸入原材料、輸入食品の社会的な需要といいますか、理解 というものを深めるためには、この消費者が持っている不安の内容をもう少し突き詰め て、単なる不安という一般的にとらえるのではなくて、この不安は具体的にいえばどう なのかなと、そういうことを深めた上で次の意見交換なり、リスクコミュニケーション を深めていく必要があるのではないかなと、私はそのように思っております。以上で す。お返事は格別要りません。 【山本座長】  どうもありがとうございました。じゃ、外口参事官のほうから。 【外口】  お返事が要らなくても言わせてください。  まず、規格については国産品であろうと輸入品であろうと同じ規格を満足してもらわ ないと、消費者の口に入っちゃ困るわけですから、そこはまずきっちりやっていきま す。  その関連で申しますと、今回輸入食品を中心にやっていますけども、国内で流通する のは輸入食品と国産のものとそれぞれの組み合わせたものといろいろあるのですけど、 それらすべてついて、それぞれの自治体で今監視指導計画をつくっている段階だと思い ます。ぜひそれにも参加していただいて、その地域地域の監視指導計画を実効あるよう にしていく、それから適切なリスクコミュニケーションの機会を開いていただくという ことが、ご指摘のような不安の解消の第一歩になるのかなと思います。  ちなみに、自治体に食品衛生監視員の方がどのくらいおられるかと。今検疫所は 283人と言いましたけども、何と7,400人おられるのですよ。もちろん全部が専従 じゃないのですけども、食品衛生監視の仕事もやっておられる方を含めての数になりま すけども、県によってやり方とか相当ばらつきはあるかと思いますが、それらの方々が 実効あるような仕組みにしていくために、ぜひまたご意見をそれぞれの地域でお出しい ただくとともに、我々にもここはよかったとか、ここはこういう改善をしたほうがいい ということもぜひ教えていただきたいと思います。以上です。 【山本座長】  じゃ、桑崎さん。 【桑崎】  輸入と国内両方を評価して初めて国民が食べる食品の安全性が評価できるというの は、まさしくその通りでございますが、手元にあるデータが古いのですが、モニタリン グ検査ということに関して申し上げると、私は輸入担当ですから輸入にフォーカスを当 ててしゃべっていますが、畜水産食品については輸入食品の他、国内も都道府県に検査 をお願いをしているのです。その結果については両方とも情報は既に開示しています。 違反率は一概に比較はなかなか難しい部分もありますが、双方とも違反が出ていてとい う実態はあるということだけはちょっと申し上げていたほうがいいかもしれません。 【森田】  それに関連して、昨年厚生労働省が発表した残留農薬の違反の結果なのですけど、こ れは平成11年の結果が昨年発表されたのですけども、国産品が12万件ぐらいやって いて違反は21なのですよ。違反の率が0.02%。輸入の農産物の農薬検査が同じぐら い12万やっているのです。で、35件の違反。率も0.03%。ほとんど差がないので す。私はほかのところでは言っているのですが、きょうは時間がなかったので言わなか ったのですが、こういう比較も必要だというのはおっしゃるとおりだと思います。 【山本(宏)】  今、席を外していまして、大変ありがたい質問であれなのですけど、全くそのとおり でございまして、安全性とはそもそも何なのですかというのを私は冒頭に申し上げまし たけど、やっぱりこの際もう1度、安全性というのはどこまでなのですかと、輸入と国 産とどう違うのか、安全性をどこまで求めれば国民生活そのものがどうなるのかといっ たことを、やっぱりそろそろ生産者、事業者、国、消費者、メディア、こういった国民 全体がきちっと理解をするということが、これから安全性を確保するために何をやれば いいかということのベースだと思うのです。どうも今までそれがうまくいっていなかっ たということに対して、これはもちろん私どもも反省すべきことはたくさんありますの で反省はしたいと思いますけども、そこがこれからベースじゃないかと思うのです。  そういう意味では、こういう意見交換会みたいなものがどんどん進んでいって、きち っとリスクコミュニケーションそのものができることをぜひ期待したいと思いますの で、そういう意味では大変ありがとうございます。 【山本座長】  ご意見、どうもありがとうございました。よろしいですか。  じゃ、もうお一方、次の質問の方。 【質問者5】  消費者ですけれども、2つ教えていただきたいのですが、先ほどから議論されており ますけど、民間検査機関の信頼度ということなのですけれども、輸入業者の方が民間検 査機関をつくるとかそういうことがあって、例えば輸入したものを自分のところで検査 をするとか、そういうことが起こり得ないのかとか、農産物なんかですと農産物のガイ ドラインなんかの認証ですと、生産者と認証が同じだとかそういうこともあるようなの で、その辺素朴な疑問を思っております。  それと、もう一つですけれども、先ほど添加物のお話も出ておりますけれども、ニチ レイの山本さんがおっしゃったのですが、CODEXの基準での整合性ということです けれども、やはりその後山本さんもおっしゃったように、民族性の違いとか国民性の違 い、いろいろありますので、例えば添加物一つにしましても、こちらの国で使っている からいいのだということで日本も大丈夫だということにほんとうになり得るのか、食べ 物が違うのだから、摂取する量も違ってくるのじゃないかとか、そういうこともありま して、その辺のこともお聞きしたいと思っております。 【山本座長】  どうもありがとうございました。  では最初の質問に関しては桑崎室長。 【桑崎】  輸入会社が仮に子会社として検査機関をつくったという場合にどうなのかと、それは 登録検査機関としては認められません。その他いろいろ要件があるのですが、認める場 合の基本的な考え方のひとつは、公正であること。公正な検査結果が担保できる会社で ないとだめだというのが大前提になっています。したがって当然関係があるところの親 会社、子会社は公正な結果は期待できない可能性があるということから、それは認めら れません。 【宮川】  添加物にいたしましても、農薬にいたしましても、2つといいますか3つぐらいの段 階で評価をします。1つ目はその物質の毒性がどうであるのかという評価を、物質ごと にやります。それでその物質ごとに毒性の評価をしたら、その次にそれを日本の人間が どのぐらい食べるのか、それを評価します。難しい言葉でいうと暴露評価というのです が、その結果、毒性の評価と暴露評価を両方見て、毒性評価の数字よりも暴露される量 が低いということが確認されれば、それは初めて使えるということになります。  確かに先ほど来参事官が申し上げましたけれども、46の添加物の評価を始めていま すと言っておりますが、これは私どもが資料を集めて、実際に実験をしたりする場合も あるのですけれども、動物試験なんかをやって毒性の評価を集めて、それをここにいら っしゃいますけど内閣府の食品安全委員会に渡して、そこで毒性の評価をしてもらいま す。毒性の評価をしてもらったら、その結果は私どものほうにもらうわけですが、私ど もは私どもで暴露評価をいたしますので、暴露評価というのは推計するわけです。例え ばポリソルベートならポリソルベート、今は日本で認められていないわけですけども、 これを使おうとする食品はどういう種類の食品なのか、それがどういう形で日本の人が どれぐらい食べるのかということを調べて、それならその毒性の量よりも十分低いのか どうなのか、それを比較して、最終的にこの添加物は使ってもいいですよ、悪いですよ というふうに決めます。これは国内で新しく使うようになる添加物もそうですし、海外 で今まで使われてきた、CODEXで使われていたというものであっても、日本で使用 を認めるか認めないかを判断をするときにはそういう制度でやっております。  安全率もそうですね。毒性の評価をした上で安全率を掛けてというのもありますけ ど。 【外口】  今、安全率という話がありましたけども、一般的には毒性の評価というのは動物でや るじゃないですか。動物と人間は違うわけですよ。そこで何か動物に影響が出る値、正 確には何段階かで検査して影響が出ない値、それをそのまま使うのじゃなくて、まず 10倍の安全率にするわけです。さらに個人差というのがあるでしょう。もちろん人種 差もそうかもしれませんけども、それもあるのでさらに10倍掛けるのです。一般には 何か影響が出る量の100分の1になるわけです。そこが基準に設定されるということ で、相当の安全率も含めてそういう設定をしているのが現状です。 【山本座長】  もっと危ないものについては500分の1にすることもあります。 【山本(宏)】  これは、1つはやっぱり科学的な根拠に基づいた安全性ということを、もっと行政が 一般の人たち、私なんかも含めて、わかりやすく説明してほしいということが多分ある のだろうと思うのです。例えばホウレンソウの農薬の例を挙げますと、クロルピリホス については日本の基準より中国の基準のほうがうんと甘い。ところが同じようにペルメ トリンという農薬については、アメリカのほうが日本より10倍緩いのです。アメリカ のまま、アメリカの基準のまま日本に持ってくると日本で合格しません。ですから何回 かホウレンソウをアメリカから輸入された方で、基準が通らなくてアウトになったこと もあります。  これは私どもは決して外国で使われているものをそのまま認めてくださいと言うつも りは全くありません。今宮川さんがお話しになったように、やっぱり最大無作用量から 始まって、1日許容摂取量をずっと計算していくわけです。で、マーケットバスケット という日本人の食生活の平均量から計算して、1日当たりの許容量を出して、さらにそ の100倍なり、山本先生は500倍とおっしゃったけど、私はよく知りませんけど、 物によって違うのだと思うのです、そういうことで安全性を決めているわけです。  そこのところをどうもきちっと国は、何か難しい言葉を使って安全ですと言うけれ ど、説明してくれていないのです。ですからそこのところを説明するのが、やっぱり行 政の義務だろうと、国の責任だということだと思います。決して私どもは、何でもかん でも外国で使っているものだから認めてくださいと言うつもりもありません。ただ、少 なくとも先進国も日本も同じ考え方でそういう安全性の評価をしているのだと、その結 果基準を決めているのだというベースだけは理解をする必要があるのだろうと思いま す。 【外口】  添加物の話で、影響が出る量の100倍じゃなくて、何段階かで検査したやつの影響 が出ない量の100分の1というのが正解なので、済いません。 【山本座長】  質問者の方、よろしいでしょうか。  それでは、もうお一方手を挙げられておられますので、時間が延びてきて申しわけあ りません、その方を最後の方にしたいと思います。それでまだご質問等ございますでし ょうから、ご質問なさりたい方、まだ厚生労働省関係の方も残られますので、前のほう に後で出てきていただいて、ご質問等をお伺いしたいと思います。  それでは、最後の方、どうぞ。 【質問者6】  3点あります。  まず1つは、古畑課長補佐さんになりますか、輸入飼料についての安全性確保につい ては、どのような体制で、どのような内容の確認というのですか、検査をなさっている のでしょうか。  それと、もう一つあわせて、先ほど農林水産省の神戸の技術センターで残留農薬の検 査をやっていると、何か600件ほどということがあったのですけども、そのときの代 表性の関係があるのですけども、例えば違反率で1%という厚生労働省、そういう考え 方でサンプリングをなさっているのかですとか、代表性をどのように考えてそれを抜き 取りなさっているのかというのが1つです。  それと今度、先ほどの毒性評価については、個々に単独の物質について今している、 これはやむを得ないといえばやむを得ないかもしれないのですけども、ところが幾ら不 確定係数と申しますか安全係数を100分の1から1,000分の1ぐらいに定めたにし ても、今出回っている化学物質といったら広げ過ぎるのですけど、残留農薬にしても、 それで十分対応できるのか、また複合汚染の影響というのも、これをもう少し研究して いく、どのような形で研究なさっているのか。それにあわせて今残留農薬の一斉分析法 とか、いろいろ提案されているのですけども、個々の評価というよりもそれらをグルー ピングするか、何か、ある総合的な影響評価をする指標、例えば最近であれば遺伝子の 技術を使うだとかバイオアッセイとか何かによって、モニタリングでもいいからそれを やる、研究が今どのように計画なさっておられるのかというのが2点目です。  それとあともう一つは、登録検査機関の関係についていえば、もう2月末日から改正 食品衛生法が施行される。そうすると指定検査機関制から登録制に変わるということ で、まだ十分な基準、先ほど考え方とかを示されたのですけども、精度管理、ほんとう に大事だと思うのです。極端なことをいったら、環境省がダイオキシンの検査の資格審 査をやったのですよ。そういうような、それに通らなければ登録検査機関として認めな いよとか、ちゃんとした精度管理というものを行政がこういう責任を持って、こういう 質の業者ならば安心して任せられるというような、そういう1つの基準をつくる。これ は同じ輸入業者に対しても今の単なる努力義務じゃなくて、ちゃんと義務化させるとい うのですか。例えば自主検査というのもこれは後できちんと審査できる、ここの登録検 査機関のデータならば相当の確度で信頼できるよというような、そういう面ではもうち ょっと行政が主導するというようなことを打ち出せないものでしょうか。いろいろ難し いことはあると思うのですけど、以上です。 【山本座長】  4点いただきましたけども、最初に輸入飼料の関係で農水省の方。 【古畑】  それでは、最初のご質問の輸入飼料、えさの関係でございますけれども、えさの安全 性、品質に関しては、農林水産省関係の独立行政法人の肥飼料検査所というところで調 査をしております。輸入品の飼料の原材料に関して調査をしているはずです。詳しいデ ータを持っていませんが、多分調査結果や方法などの情報も、肥飼料検査所のホームペ ージで情報があると思いますので、ごらんいただけたらと思います。  それと、農林水産消費技術センターで行っています調査の検査対象の代表性というこ とでしたけれども、まず考慮いただきたいのは、食品としての安全性は当然厚生労働省 のモニタリングなり水際の検査で行った結果、流通しているものを我々は調査していま す。さっきも言いましたけども、安全性の評価はそちらの調査結果で常にやっているも のを、我々は幾つかサンプルをとって、輸入業者を通して生産者に情報提供していくと いう、ある意味上乗せというかオプション的な調査になっています。ただ、残念ながら 予算の限りもあって、代表性をきちんと統計的にとっているのかというと、残念ながら そこまではいっていないというのが現状です。 【山本座長】  どうもありがとうございました。  それでは続きまして、検査、サンプリングのことに関して、複合毒性の研究のことが どこまで進んでいるかどうかについて、宮川さんのほうから。 【宮川】  農薬に関して申し上げると、非常に乱暴な試験は大昔といいますか5年、6年前に厚 生科学研究というのでやっていまして、乱暴なと申し上げるのは、ネズミにその基準い っぱいまでといいますか、複数の農薬、これを食べさせたらどうなるのか、基準のある ありとあらゆるものを全部食べさせたという実験を、病理の先生にやっていただきまし た。そのときは結果は何も出なかったのです。これはいかにも乱暴な話で、ネズミがい ろんなものを一遍に食べても大丈夫だというのは、これは科学的といえば科学的なんで すが、そういうこともありますので、毎年その毒性の作用の機序等々について、これは かなり専門的なんですけれども、国立医薬品食品衛生研究所の毒性部の先生方とかそう いう先生方にお願いをして、文献の調査をしてもらったり、実際にそれぞれの関連する 酵素でありますとか、そういうものについて個別に調べをしていただいている。  今の段階で、私も報告書すべてをよく見ているというわけじゃないですけれども、当 然のことながらそういうもので何か新たな知見が出てくれば、国際的にも今のところま だそういう複数のものをまとめてということにはなっていないですけれども、そういう ようなものも出てくるようであれば、よくそれに対応した形というのはやらなきゃいけ ないかなと。いずれにいたしましても、私どもは農薬についてはそういう研究をやって おります。研究の報告書は、これは基本的に公表されるものですから、見ていただこう と思えば見ていただけるものだと思います。 【山本座長】  その研究結果につきましては、厚生労働科学研究であれば国立保健医療科学院という ところの図書館がホームページに掲載することになっております。それは事業として続 いておりますので、現在の時点では13年度ぐらいまでのものしか入っていないかと思 います。もう一つは、研究報告書すべてが国会図書館にございます。調べるのは大変か と思いますけども、興味のある方はそこに原本が保管されておりますので、よろしくお 願いいたします。  あと、3点目の登録検査機関についてお願いします。 【桑崎】  登録もしくは指定をしっ放しということはありません。監視、査察の対象になりま す。これは地方厚生局が監視、査察を実施するということになりまして、基準はGLP 基準を適用するわけですが、GLPの重要なところは記録の保存です。したがって記録 の保存が義務づけられていますので、査察時に適切なことをしていなければ当然改善さ せるということで、そういう意味では、厚生労働省がきちっとリーダーシップをとっ て、しっかりしたところを指定し、また監視を実施することによって、検査機関の信頼 性を担保するということについては今後ともやっていきたいと思います。 【山本座長】  追加のご発言を。 【外口】  今の複合の農薬とか、添加物とかのご質問ですけども、これこそまさに安全と安心の ギャップの代表例じゃないかと思いますので、私どももよくリスクコミュニケーション の方法も含めて、どういうふうにしていけばいいかよく研究したいと思います。 【山本座長】  では、質問者の方はそれでよろしいですか。 【質問者6】  ありがとうございました。もう一つ、先ほどの精度管理という面で、土壌とか底質と かといった場合、標準試料というのが用意されていますが、食品の場合にも、例えば先 ほどの内部の精度管理、外部の精度管理というシステムをとるということをおっしゃっ ておられましたが、そういう精度管理の結果も反映させて登録の見直しをすると、そう いうことは想定されておりますか。 【桑崎】  標準試料について検査をするわけでが、その結果が適切でなければ、いきなり取り消 しということにはならないかもしれませんが、必要な措置を講じてもらうことになりま す。 【山本座長】  よろしいでしょうか。 【質問者6】  ちょっと甘いような気がしますが。  やはり精度管理というのはきちんとした信頼できる数値を出してもらおうと思えば、 あの改正食品衛生法での資格というのですか要件の中にはそういう文言が入っていない ですけども、改善命令とかそれができなければ認めないとか、今の測定の精度管理、そ の文言はなかったように思うのですが。 【桑崎】  GLPは、外部精度管理も含めてやらなければいけないと規定はされているはずで す。それは今と変わりません。今、指定検査機関に適用している同じ基準を民間にも適 用する。今ある基準は外部精度管理を含めてやらないといけないという規制になってい ます。 【質問者6】  だめな場合、成績が悪かった場合は登録を取り消します。もう1度ちゃんとしたレベ ルの技術水準が確保されたときに、もう1回申請して、検査を受けて登録をというよう なシステムじゃないと思うのですが。 【桑崎】  外部精度管理の理解は、悪ければすぐに取り消すということには確かになっていない と思いますけども、当然悪いわけですから改善はしてもらう必要があります。 【質問者6】  悪いなりにまた業としてどんどん検査をしているという、そういう記録は残っている ことになりますね。 【桑崎】  検査データの状況によりますが、データについて、どうも信頼性がないということが 確認できたならば、これまでの例でいくとその部門については少し改善をするまでお休 みいただくということも当然視野に入れた対応になると思います。 【質問者6】  はい。ありがとうございました。 【山本座長】  どうもありがとうございました。まだたくさんご質問等あると思いますけれども、前 のほうに残りますので、よろしくお願いいたします。  本日は司会の不手際でちょっと延びてしまいましたことをおわびいたしますが、最後 に外口参事官。 【外口】  最後に1つだけお願いします。  アンケート調査の自由記載のところをしっかり書いていただけると、次の意見交換会 がよりよいものになるのではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたしま す。 【山本座長】  それでは、私の司会の部分を終わります。  これで意見交換会を終了したいと思います。どうもありがとうございました。                  (拍手)                                 ── 了 ──