03/09/26 食の安全に関する意見交換会(議事録) 食の安全に関する意見交換会(議事録)                      厚生労働省医薬食品局食品安全部                          平成15年9月26日(金)                          午後1時から5時                          於:中小企業会館 5Fホール 1.開会 2.行政の説明(内閣府食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省) 3.有識者からのご講演    千葉大学名誉教授 山崎 幹夫    順天堂大学医学部公衆衛生学教室教授 丸井 英二 4.消費者団体等からのご講演 5.意見交換・質疑応答 6.閉会 (議事録) 1.開会 ●司会  それでは、時間となりましたので、ただいまから「食の安全に関する意見交換会」を 開催したいと思います。  私は、本日司会を務めさせていただきます厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報 課の広瀬と申します。よろしくお願い申し上げます。  初めに、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。  お手元の資料の方に議事次第が入っているかと思いますが、議事次第の一つ下にアン ケートとが入っております。本日参加いただくに当たりまして、いろいろご意見等を記 載いただければと考えております。  それから、配付資料といたしまして資料1が「新食品衛生法の概要」、資料2が「食 品の安全性の確保に向けた取組」、資料3が「食の安全・安心のための政策大綱工程表 のポイント」、資料4が「食品添加物を考える」、資料5は「食の安全とリスクコミュ ニケーション」ということになっております。  それからもう一つ、パンフレットをご用意させていただいております。「食の安全・ 安心のための政策大綱」というものでございます。  もし不足等ございましたら、こちら右手の方におります事務局もしくは受付の方まで お申し出いただければと思います。  続きまして、簡単に本日の議事進行を紹介させていただきます。  本日は、大きく3部構成とさせていただきたいと思います。  第1部でございますが、行政からの説明ということで、所要時間といたしまして1時 間10分程度予定させていただいております。  まず、厚生労働省におきまして、7月1日よりリスクコミュニケーションを担当する ことになりました外口大臣官房参事官よりごあいさつを申し上げた後、食品安全部、高 井企画情報課長より、改正食品衛生法等の概要についてご説明申し上げます。  続きまして、食品安全委員会事務局勧告広報課、井ノ川課長補佐より、食品の安全確 保に向けた取り組みに関しご説明をいただきます。  その次に、農林水産省消費・安全局、姫田消費者情報官より、農林水産省における食 の安全・安心の取組に関しご説明をいただく予定となっております。  その後10分間ほどご休憩をいただきまして、大体2時20分〜25分程度を目途に第2部 に移らせていただきたいと考えております。  第2部におきましては、初めに「食品添加物を考える」ということで、千葉大学名誉 教授の山崎幹夫先生よりご講演をいただき、続きまして「食の安全とリスクコミュニケ ーション」につきまして順天堂大学医学部公衆衛生学教授、丸井英二先生よりご講演い ただきます。  ここでまた10分間ご休憩をいただきまして、3時30分を目途に第3部の団体等からの ご講演と意見交換に移らせていただきたいと思います。  なお、会場の都合上、午後5時ごろには終了させていただきたいと存じますので、あ らかじめご了承いただきたくお願いいたします。  それでは、第1部の行政からの説明に入りたいと思いますが、念のため、議事進行に 差しさわりのある行為等は慎んでいただきますようお願い申し上げます。  それでは、外口参事官、お願いいたします。 ●外口参事官  厚生労働省の大臣官房参事官、外口でございます。よろしくお願いいたします。  食品の安全性を確保するための法律であります食品衛生法あるいは健康増進法が新し く改正されました。あわせて、内閣官房あるいは農林水産省でも新しい法律や法律改正 が行われました。政府全体での食の安全に関する取り組みが充実強化されたわけでござ います。  これらの法律改正につきましては、皆様ご存じのようにBSEの問題、偽装表示の問 題、無登録農薬の使用、あるいは輸入食品の残留農薬基準違反、ダイエット用食品によ る健康被害、大企業による大規模な食中毒など、食品の安全に対する国民の不安や不信 の高まりに対しまして食品の安全の確保のための施策の充実を通じて国民の健康の保護 を図ることを目的としたものであります。  政府全体の食の安全への取り組みにつきましては大きく変わったわけですけれども、 そのポイントとしては、食品安全基本法という包括的な法律ができたこと、そしてリス ク分析手法という考え方が導入されたことが挙げられるのではないかと思います。  このリスク分析と申しますのは、消費者の健康の保護を目的といたしまして、国民や ある集団が危害にさらされる可能性がある場合に、事後の後始末ではなくて、可能な範 囲で事故を未然に防ぎ、リスクを最小限にするためのシステムのことであります。  このリスク分析の考え方に基づきまして、リスク評価を行う食品安全委員会が設置さ れました。また、リスクの管理を行う厚生労働省や農林水産省の法律が整備されて、食 の安全を守る体制が強化され、さらにはリスクコミュニケーションが義務化されたわけ であります。  このリスクコミュニケーションにつきましては、従来のいわば一方通行のような情報 開示とか説明会と違いまして、生産者、消費者、事業者、行政あるいは学者の先生方等 それぞれの立場の方が相互に情報と意見を出し合うことによりまして食の安全の確保に ついての理解を深め、だれもが納得できるよりよい方向を目指していきたいと考えてお ります。  厚生労働省では、この7月にこの動きに合わせまして食の安全についてのリスクコ ミュニケーション等を担当する参事官のポストを新たに設置いたしました。私が担当い たします。  今回の多くの法律改正が行われているわけでございますけれども、その中で食の安全 に最も身近な法律ともいえます食品衛生法につきましては、大きく分けて3つの視点に 基づいて見直しが行われました。  1つ目は、国民の健康の保護のための予防的観点に立ったより積極的な対応。すなわ ち、被害が出る前の段階での施策の強化であります。  2つ目は、事業者の方、食品を提供される事業者の方は、食の安全についての第一義 的な責任を持たれているわけですから、単に基準を守るということだけではなくて、自 主管理を促進していただきたいということであります。  3つ目は、農畜水産物の生産段階の規制との連携であります。BSEの問題では、農 林水産省と厚生労働省との、いわゆる縦割り行政が厳しく指摘されたところでありま す。農薬の問題、動物に与える飼料の問題、あるいは動物用医薬品などの問題につきま しても、これにつきましては農林水産業の生産段階の規制との連携が大変重要でありま す。  見直しの全体像につきましては後ほど説明いたしますが、法律の目的規定の見直し、 国、地方公共団体及び食品等の事業者の責務の明確化、リスクコミュニケーション、残 留農薬などの企画基準の見直し、輸入食品などの監視・検査体制の強化、食中毒など飲 食に起因する事故の対応の強化、あるいは罰則の強化等、大変幅広い範囲にわたっての 見直しがなされております。  今後の食の安全の確保をどのように進めていくか。これはやはり生産者の方、消費者 の方、行政、事業者の方、それぞれのお立場の方が、それぞれのお立場の方の意見を出 し合い交換し、そしてそれを反映させてよりよいものにしていくこと、これがやはりこ れからの施策の進め方として大変重要ではないかと考えております。どうぞよろしくお 願いいたします。  それでは次に、高井企画情報課長から法律の改正の内容について説明させていただき ます。  ありがとうございました。 <第一部> 2.行政の説明 ●高井企画情報課長  厚生労働省の食品安全部企画情報課長、高井でございます。  早速でございますけれども、お手元の資料に沿いまして説明をさせていただきたいと 思います。  資料1と書いてございます「新食品衛生法の概要」という横長の色刷りの資料をごら んいただきたいと存じます。  今回、五十数年ぶりの大改正という位置づけでございますけれども、食品衛生法等の 改正がこの5月に公布されております。このポイントをこの資料に沿いましてご説明を させていただきたいと存じます。  1ページをお開きいただきたいと思いますけれども、今回の食品衛生法及び健康増進 法の改正ということで、大きく、どういう点が、どういう視点で見直されているのかと いうのがこの1枚に書いてございます。  まず、目的のところをごらんいただきますと、今、外口参事官から申し上げましたよ うに、これまでのBSEの問題、偽装表示の問題などを契機として、食品の安全に関す る国民の不安や不信の高まりを受けまして、その矢印に書いてございますように、食品 の安全の確保のための施策の充実を通じて、国民の健康の保護を図る。この趣旨を法律 の目的に位置づけております。やはり法文上もこれ明らかにするということを行いまし て、この食品衛生法の基本的な位置づけを明確にしたということであります。  次の3つの視点に基づく見直しでございますが、今、参事官から申し上げましたよう に、(1)にありますように、予防的な視点に立ったより積極的な対応というようなこと。 事故が起こってからではなくということで、予防的な対応も考えていこうという点。そ れから、(2)にあります事業者による自主管理の促進ということで、当然いろんな基準 を守っていただくということは事業者の責務でありますけれども、自主的な対応も含め まして事業者の方にお願いをしていこうというのが2点目の視点であります。  (3)番目が、農畜水産物の生産段階との規制との連携ということで、これまでの縦割 り等の批判もありますけれども、こういうことを踏まえて対応していこうということで す。  具体的にはその見直しの全体像、これから説明する内容でございますけれども、目的 規定の改正でありますとか、その下にあります規格・基準の見直し、監視・検査体制の 強化、あるいは食中毒の対応というようなことを盛り込んだ内容になっているわけであ ります。  先ほど申しましたように、食品衛生法は昭和22年にできまして何度も改正は経ており ますけれども、今回のような改正は五十数年ぶりというような位置づけでございます。  もう1ページおめくりいただきます。2ページでございますが、今の食の安全への取 り組みについて政府全体でどうかということでありまして、2ページの上にあります食 品安全基本法あるいは食品安全委員会については内閣府の方から説明がありますけれど も、今、参事官申し上げましたように、食の安全に対しまして、そこの黄色く出ていま すが、リスク分析の対応というのが今回の大きなとらえ方であります。  リスク分析といいますと3つの要素に分かれまして、黄色く出ておりますけれども、 リスク評価、それからリスク管理、それからリスクコミュニケーションとこの3つの要 素によって食品の安全を確保していこうということであります。  リスク評価というのは、そこの括弧で書いていますが、食品の健康影響評価というこ とでありまして、食品の健康への影響がどういう確率でどの程度あるかということを評 価をするということで、これは食品安全委員会で行われるということであります。  その評価を受けて、厚生労働省、農林水産省でこのリスク管理を行うということでご ざいまして、きょうのテーマであります食品添加物の基準等について評価を受けて、リ スク管理という立場で基準をつくっていくというようなことが厚生労働省の職務という ことで位置づけられているわけであります。  それから、右側のリスクコミュニケーション。今、参事官申し上げましたように、食 の安全について評価あるいは管理の両面にわたっていろんな方々との間でリスクの情報 について意見交換をする、情報交換をするというようなことを大きく今回取り上げる必 要があると。これは、諸外国の手法ということで取り入れられている手法でありますけ れども、日本でもこうしたリスクコミュニケーションを位置づけていこうということ で、食品衛生法の中にも、後ほど説明いたしますが、位置づけられているわけです。  下の方で、そういうことを受けて、この食品衛生法等の改正を行ったということであ ります。  もう一つ具体論に入ります前に、3ページでございますけれども、具体的に食品衛生 行政はどのように行われているか、あるいはこれからどのように行っていくかというこ との図でございます。左の上の方に食品安全委員会あるいは農林水産省があって、我が 方の厚生労働省についての体制、行政の展開の図でございますけれども、幾つかの組織 を持って食の安全に対応していく。  例えば図の右側の方をごらんいただきますと、輸入食品の監視指導ということが書い てございます。食品を輸入した場合に、全国31カ所にございます検疫所におきまして、 輸入業者から届け出がある。これについてモニタリング検査をする、あるいは違反がふ えた場合には検査命令を行うというような形で、検疫所の方で輸入食品の検査をしてい るという流れが一つあります。  ちょっと左側にいきますと、地方厚生局というところでハサップといいまして、後ほ ど説明いたしますが、高度な製造管理をしている施設の承認・検査を行っている。  それから、左側の都道府県、保健所設置市、特別区と書いてございますが、ここはや はり厚生労働省関係のリスク管理の多くを担っているところでございますが、地方自治 体において、その下の保健所を通じた形で営業の許可でありますとか、立入検査をした り、食中毒の調査をするというような形で食品衛生行政が展開をされているわけであり ます。都道府県、それから保健所設置市、57市ありますけれども、そういう形で保健所 が全国に576カ所ある。これを通じて食品衛生の取り締まり等を行っているということ であります。  今回、その左側に薄くピンク色で矢印が2本大きく書いてございますけれども、先ほ ど言いましたリスク管理等に関して、リスクコミュニケーションもあわせて進めるとい うことが今回定められております。  その薄い矢印のところに書いていますけれども、施策の実施状況の公表と国民からの 意見の聴取。これは厚生労働省と消費者の間、あるいは事業者の方も含めてであります けれども、そういうリスクコミュニケーションを行う。それから、都道府県や保健所設 置市との間で施策の実施状況の公表、住民からの意見の聴取と、こういった形のリスク コミュニケーションをこれから進めていこうではないかというような位置づけでござい ます。こういう全体の行政の展開の状況、図式になっているという図でございます。  具体的に今回の食品衛生法の改正でございますが、まず4ページでございます。先ほ どから出ておりますように、食品衛生法の目的の改正ということでございます。改正前 は上の方にございますように、飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止して、公衆衛 生の向上、増進に寄与するという規定であったわけでありますけれども、今回、食品の 安全性を確保して国民の健康の保護を図ろうと。このところを特に強調しようというこ とで、赤い字のところが今回の改正でございますけれども、第1条というところに安全 性の確保、国民の健康の保護ということをうたうことにいたしております。  後ほど説明があろうかと思います食品安全基本法においても、この認識、規定ぶり、 共通のものということにいたしておりまして、第1条から国民の健康の保護ということ をうたって、全体に通じる基本理念にしていこうということでございます。  それから、総論的なことが続きますけれども、次の5ページでございますけれども、 国や地方自治体の責務というものを新しく規定をいたしました。これまで進めてきてい るものも多くあるわけでありますけれども、やはりこの際、国、自治体の責務というも のをきちんと位置づけて、方向性を持って施策を進めていこうということであります。  この5ページの、実は見にくいんでございますが、全体が国の責務のような形になっ ております。その一部というんでしょうか、多く地方自治体の責務と重なっているとこ ろがございまして、上の方でございますけれども、国の責務でもあり、地方自治体の責 務でもあるという形で、そこのところをごらんいただきますと、教育活動とか広報等を 通じて知識の普及を進める、情報の収集等々研究を進めるというようなことが書いてあ りますし、次の真ん中の丸においては、総合的・迅速な施策の実施のために地方自治体 との相互連携を図るというふうなことが書いてあります。  例えば食中毒の対応におきましては、国と自治体との関係、さらに広域な場合におい ては自治体との連携、自治体同士の連携というのが重要であるというふうなことで、こ のような規定を設けておりますし、その下の方では、国の責務といたしまして情報収集 や研究・輸入食品の検査の体制整備ということで、先ほど申しました輸入食品の検査の 予算的、人的な面も含めた体制整備を進める責務をうたったり、次の丸にあります国際 的な連携な確保ということで、いろんな基準につきまして、例えばコーデックスという 国際機関がありますけれども、そこで基準を定めるということを進めております。そう いうところとの意見交換、情報提供を行っていくということであります。最後は、地方 自治体に対する技術的援助というようなことで、国の自治体に対するの責務を規定いた したものであります。  次の6ページは、食品等事業者の責務ということでございまして、これも新たに規定 いたしまして、6ページに3つ、通常時の措置、2番の記録の作成・保存、3番、危害 発生時の措置ということで、通常時においても技術の習得、安全性の確保、それから自 主検査の実施等に努めていただくということをうたっておりますし。  2番でございますが、今回、特に記録の作成・保存というものも置いております。そ の説明にございますように、必要な限度において、仕入元の名称等の記録の作成・保存 に努めていただくと。これが食中毒発生時の原因究明・被害拡大防止の活用につながる というようなことで、この2番の記録の作成・保存について規定をしたわけでありま す。  次の7ページをごらんいただきますと、この関係をまた図式しておりますけれども、 万が一食中毒が発生した場合に、できるだけ迅速にその原因を追及する、あるいは対策 がとれるようにしようということで、通常は7ページの上の流れでございますが、生産 者から、あるいは輸入業者から加工業者や卸、小売業者の方から流れて消費者に届く と。この際に、仕入元の名称等の記録をとっていただくということにしていただきたい と。努力義務でございますけれども、こういうことを規定したわけであります。  食中毒が発生した場合には、今度は逆の流れ、下の赤い流れでございますけれども、 こうした記録を通じて迅速な対応ができるということであります。  一番上にありますけれども、記録保存の努力義務と書いてございますが、やはり努力 義務ということでありますけれども、保健所等の指導、助言のもとに、こういう形で食 中毒の対応をできるようにしていただく。  最近では、食品の供給行程というような形でフードチェーンというような言葉が使わ れますけれども、食品の流れというものをつかんでいこうというようなことが言われて いるわけであります。  今回、右の上にございます、8月の末に施行されておりますけれども、こういう形で ガイドラインをつくっておりますのでごらんいただければと思います。  8ページがリスクコミュニケーションの関係でございまして、先ほど参事官から申し 上げましたように、リスクコミュニケーションを重視していくということが8ページの 上にありますBSEの問題の報告、あるいは関係閣僚会議でも指摘をされているところ でございます。  その下の2つございますが、食品衛生法を改正いたしまして、大きく2つリスクコ ミュニケーションを進めていこうということで、一つは、厚生労働大臣が食品の規格・ 基準等を定めるに当たりまして、これを公表して国民・住民の意見を求めるという流 れ。あるいはもう一つ、都道府県知事の場合は、監視指導計画をつくるということに今 回なりますので、そういうものについて意見を求める。個別のいろんなケースについて 意見聴取を、リスクコミュニケーションをしていくということ。  それから2番目は、定期的な意見聴取ということで、食品衛生の実施状況を公表し て、それについてリスクコミュニケーションを進めるというような規定がなされており ます。  本日のこの会もリスクコミュニケーションとの位置づけをしておりますけれども、こ れからこれをどのように充実していくかということが我々の課題というふうに認識して おります。いわゆるリスクコミュニケーションを通じて、私どもの方ではリスク管理に ついていろんなご意見を反映させていくということが必要であるというふうに認識をし ているところであります。  次の9ページは、具体的にどのようなスケジュールなのかということでございます。 左側に意見交換会という形のものを予定をさせていただいておりまして、9月のところ にありますのがきょうの意見交換会でありますけれども、その上にあります法改正の施 行に向けての意見交換会でありますとか、いろんなシンポジウムをこれから進めていこ うと思っておりますし、9ページの右側にありますように、いろいろなホームページを 使っての情報提供、あるいは政府広報によります情報発信というようなことも考えてい るところであります。まだまだこれからこの進め方について研究、工夫をしていきたい というふうに思っているところでございます。  それから、10ページでございますけれども、今度は食品に残留する農薬等の関係の制 度改正でございます。10ページの左の方に現行の規制ということで、現在の農薬、飼料 添加物、動物用医薬品の規制の仕組みを書いてございますけれども、左側の上の方にあ りますように、食品の成分の規格が定められているものについては、現在、229農薬、 26の動物用医薬品でございますけれども、これを超えた食品の流通が禁止されている。 しかし、左の下にありますように、定められていないものについては基本的には流通の 規制がないということになります。  かなりの濃度でなければ規制できないということでございますけれども、今回これを 改めまして、右側のポジティブリスト制への移行ということでありまして、1つは、右 側の3つの流れがあるかと思いますけれども、食品の成分に係る規格(残留基準)が定 められているものについては基準をつくって、その基準を超えるものについては流通を 禁止していく。それから、規格・基準がないものについては、健康を損なうおそれがな い量として厚生労働大臣が一定量の告示をして、それを超えるものについて禁止をす る。それから、明らかに健康を損なうおそれのないものについては、また別途指定をす るというふうな形で、こういう形で基準をつくっていこうということが今回大きく変わ ったわけであります。  現在、この左にあります229農薬、26動物用医薬品でございますけれども、世界的、 国際的には農薬は約700ぐらい使われているということでありますので、3年後施行と この部分はなっておりますので、急ぎ対応を進める必要があるというところでありま す。  次の11ページは、添加物の問題でございますけれども、添加物は厚生労働大臣が指定 をしなければ使えないということでありますけれども、左の上にあります天然添加物に ついては平成7年の食品衛生法改正で、既存の添加物489品目について引き続き使用が 可能になっているということでありますけれども、安全性に問題がある場合には名簿か ら消除ができるようにしておくべきではないかというようなことが指摘されていました ので、今回、それができるように改正をしたものであります。  急ぎますけれども、12ページ、13ページは少し毛色が変わりまして、12ページは特殊 な方法により摂取する食品の暫定流通禁止措置というような形が書いてあります。例え ば中国で製造されましたダイエットを目的とした食品、これによりまして肝機能障害が あったというようなことが言われたりいたしております。そういう場合に、例えば12ペ ージの左側にありますような錠剤やカプセルに使われる場合に、人の健康を損なうおそ れがない旨の確証がない場合に必要な手続をとって食品を暫定的に流通を禁止する措置 がとれるように今回いたしているものであります。  アマメシバという沖縄でつくられている生鮮の食料品がありますけれども、これを粉 末の形でとっていた方の健康被害が報告されておりますので、今回、アマメシバの粉末 ・錠剤等について暫定流通禁止措置を発動をしているところでございます。  また13ページは、健康の保持増進効果について虚偽・誇大広告がある場合に表示を禁 止するというような規定を新たに設けております。最近では、ダイエット目的であると か、がんが治るというような形で非常に人を誤認させるような形での広告等が少しずつ ふえているように思いますけれども、こういうものについての禁止の規定を設けたもの であります。  それから、14ページ以降は監視の関係がつながっております。14ページは、食品衛生 の監視指導を強化をするというような観点から、国が食品衛生監視指導指針をつくる。 下の方でございますが、右側にあります都道府県においてはこれを受けた形で重点的に 監視指導する指導計画をつくっていただこうというものです。左側は、国においては輸 入食品の監視指導計画をつくって、これを事前に公表して、先ほど言ったリスクコミュ ニケーションの形でご意見を聴取して、計画を策定して、公表して、監視を進めていく と、このような制度をつくったわけであります。例えば輸入食品の監視についても、具 体的に監視の方針を示して公表をしていくという方針でございます。  15ページからは、輸入食品の関係でございますけれども、今回、この輸入食品をめぐ る課題に対応するということで、また幾つかの強化をいたしております。15ページの左 側にありますように、昨今、この輸入食品の届け出件数は相当ふえております。大体届 け出件数でいきますと、年間で160万件。重量でいきますと3,300万トンということでご ざいますけれども、この輸入食品に対して、右側にございますように検査の関係あるい は指導の関係を強化できるようにいたしております。  技術的な面がありますけれども、(1)にありますように、問題がある輸入食品につい て命令検査を行うということについて、政令指定の要件を外すということで機動的に対 応できるようにしておりますとか、(2)番目の、先ほど申しました輸入食品の監視指導 計画を策定をして強化をしていくというようなこと。それから、(3)番目にあります輸 入業者に対して、これまで都道府県知事が営業停止等が行われるようになっておりまし たのを、厚生労働大臣も行われるようにしたというような改正をいたしているところで ございます。  16ページに、それを踏まえた流れが書いてございます。今回、今申しました点も含め まして、さらに16ページの下の方にモニタリング検査でありますとか、命令検査のとこ ろに青字で書いてございますけれども、登録検査機関を活用するということで、さらに 充実した検査、機動的な検査ができるというような改正をいたしております。  ちょっと先に急ぎますけれども、17ページが昨年改正されたものであります。中国製 の冷凍ホウレンソウの問題がございました。違反食品が相当数発見された場合に、その 特定の国から特定の食品について検査を要せずに、包括的に輸入・販売を禁止できる仕 組みが昨年から位置づけられているということでございまして、この辺までが輸入食品 の改正ということであります。  18ページでございますけれども、HACCPということで高度な製造管理の過程、そ ういう方式が平成7年から導入されておりますけれども、これについて平成12年に、18 ページの右側にありますように重大な事件が発生したということでございます。今回、 HACCPについても見直しをして、更新制を導入したり、あるいは食品衛生管理者の 設置を義務づけるという形で見直しをするHACCPについても、逐次その確保をして いくという制度を導入しています。  食品衛生管理者の関係もありますが、次の19ページにおきましては、現在、乳製品で ありますとか、ハム・ソーセージ等の製造に当たりまして、食品衛生管理者、工場長さ んがなられていると思いますけれども、食品衛生管理者を設置するということになって おります。その方が製造過程について責任を持って指導をするという位置づけでござい ますけれども、今回、食品衛生管理者の方に、その中央あたりにございますけれども、 営業者に対して必要な意見を述べるということができるようにいたしております。やは りいろんな法令の遵守というのが昨今言われておりますけれども、そういう法令の遵守 について、食品の営業をしている方に対しても食品衛生管理者から意見を述べて、営業 者がその意見を尊重しなければならないという形で法令の遵守がよりなされるような形 の法改正をしたわけであります。  話が随分先へ進んで恐縮でございますけれども、20ページが今度は食中毒の対応の強 化ということでございます。20ページの上にございますけれども、近年、流通の多様化 によりまして食中毒の大規模化・広域化というのが見受けられるところでございます、 こういうことから、一つは、厚生労働大臣が都道府県の方に調査の要請ができるという ようなことにいたしております。  下の図にございますけれども、都道府県知事の調査の要請。例えば500人以上の食中 毒患者が発生している場合、あるいは広域の場合にこういった調査の要請を行うような ことを規定をしたり、あるいは保健所長の方が医師から具体的な届け出がなくても、原 因究明の調査ができるというような規定とか、その下の流れにありますように、保健所 や都道府県への報告などについても速やかな報告をお願いするというふうなことで、食 中毒への迅速的な対応ができるように制度改正をしてございます。  21ページは罰則の強化ということで、これまでいろいろと罰則のあったものについて 強化をしていくということで、例えば、右側の(2)番目をごらんいただきますと、食品 の表示義務違反の場合には、これまで6カ月以下懲役、30万円以下の罰金だったもの を、22年以下の懲役、200万以下の罰金、法人の場合は1億円以下の罰金というような 形で強化をして、衛生行政の確保を図るということでございます。  22ページは関係の予算でございまして、先ほど申した残留農薬の基準の設定の推進、 あるいは添加物について既存添加物と申しますが、天然添加物について、これの安全性 を確認していくというような作業、あるいは輸入食品の検査の強化というようなことで 予算を逐年拡充をしているということのご紹介でございます。  23ページは、組織的な改編もしたということでございます。  最後のページは、今、厚生労働省の方でホームページにおきましていろいろなご紹介 あるいはいろいろなご意見をちょうだいするということでページを設けておりますので ご紹介させていただきます。ご活用をいただければ大変幸いでございます。  はしょりまして恐縮でございますけれども、以上でございます。 ●司会  ありがとうございました。  続きまして、食品安全委員会事務局勧告広報課、井ノ川課長補佐、お願いいたしま す。 ●井ノ川課長補佐  内閣府食品安全委員会事務局勧告広報課の井ノ川と申します。よろしくお願いいたし ます。  それでは、食品安全基本法と食品安全委員会につきまして、資料2に基づきましてご 説明させていただきます。  資料2、1枚めくっていただきまして、まず食品の安全性の確保に向けた取組という 図がございます。近年、食を取り巻く環境といいますか状況が大きく変化してきたとい うことでございます。  まず1点目が、食品に含まれる危害の多様化、複雑化ということでございます。利便 性の追求に伴う危害の多様化、複雑化。それから、新たな危害の判明。それから、分析 技術が向上いたしまして、ゼロリスクの達成が非常に困難になったということでござい ます。  それから、食品安全に関する国際的動向といたしましては、食品の安全には「絶対」 はなく、リスクの存在を前提に制御するという考え方が国際的に一般化してきたという ことでございます。ということで、海外でもリスク評価機関の設立が以下のようになさ れているわけでございます。  それから、国内における、これも近年、さまざまな問題の発生でございます。まず一 番大きかったのはBSEの問題でしょうけれども、あと加工乳による大規模食中毒、そ れから輸入野菜の残留農薬問題、それから無登録農薬問題、指定外添加物の使用等の問 題がございました。  こういうことで、食を取り巻く環境が大きく変わったということでございますが、一 番大きなBSEの発生を受けまして、厚生労働大臣と農林水産大臣の私的懇談会である BSE問題に関する調査検討委員会というのが設けられまして、そこでご提言があった わけでございます。何点かございまして、生産者優先、消費者保護軽視の行政を改めよ ということ。それから、専門家の意見を適切に反映していないということでございま す。それから、事故を未然に防止し、リスクを最小限とするシステムが欠けている。そ れから、正確な情報提供と透明性の確保が不十分というご指摘を受けました。  それとあわせまして、食品安全の確保のための新しい法律の制定、それからリスク評 価を行うための組織の設置ということが提言されました。  これを受けまして、内閣総理大臣の指示により、食品安全に関する関係閣僚会議とい うのが設けられまして、昨年の6月4日だったと思いますけれども、食品安全基本法を 設けること、それから食品安全委員会(仮称)を設けることというご提言を得たわけで ございます。  それで、同日付で内閣官房に食品安全委員会(仮称)設立準備室というのが設けられ まして、いろいろ法案の準備等をいたしまして、ことし2月に食品安全基本法を国会に 提出しまして、本年5月成立いたしまして、7月1日施行、同日付で食品安全委員会が 設立されたというところでございます。あわせまして、厚生労働省関係の2法案、それ から農林水産省関係の5法案も改正されたということでございます。  1ページめくっていただきまして、次に、食品安全基本法の概要でございます。  この法律は、食品安全行政を進めていく上での憲法のような法律でございまして、目 的や基本理念、それから関係者の責務、役割、それから行政が講じなければいけない施 策等について定めた法律でございます。  まず目的でございますけれども、食品の安全性の確保に関し基本理念を定め、それか ら関係者の責務、役割を明らかにするとともに、施策の策定に係る基本方針を定めると いうことでございます。  それから、基本理念といたしまして第3条から第5条まで定められておりまして、一 番重要なことは、国民の健康の保護が最も重要であるという基本認識のもとに必要な措 置が講じられることでございます。それから2番目といたしまして、食品供給行程の各 段階において必要な措置が適切に講じられること。それから3番目といたしまして、国 際的動向、それと国民の意見に配慮しつつ、科学的知見に基づき食品の安全性の確保の ために必要な措置が講じられること、この3点が基本理念でございます。  基本理念にのっとりまして、それぞれ国の責務、地方公共団体の責務、それから食品 関連事業者の責務、それと消費者の役割ということで6条から9条まで定められている わけでございます。  国の責務といたしましては、基本理念にのっとり施策を総合的に策定・実施するこ と。それから、地方公共団体の責務といたしましては、基本理念にのっとり国との適切 な役割分担を踏まえて施策を策定・実施すること。それから、食品関連事業者の責務と いたしましては、基本理念にのっとり、まず食品の安全性の確保について一義的な責任 を有することを認識し、必要な措置を適切に講ずること。それから、正確かつ適切な情 報の提供に努めること等を定めております。それから、消費者の役割といたしまして、 食品の安全性確保に関する知識と理解を深めるということと、施策について意見を表明 するように努めること。そして、積極的な役割を果たすと定めております。  それから、11条から21条につきましては、先ほど施策を総合的に推進とか、必要な措 置が講じられることと申し上げましたが、これに関しまして基本的な方針を定めており ます。10ございます。先ほどリスク分析手法の導入につきましてはご説明がございまし た。  (1)がその部分のリスク評価の部分でございます。それから(2)、それがリスク管理の 部分でございます。それから、(3)がリスクコミュニケーション。リスク評価及びリス ク管理それぞれの段階において、リスクコミュニケーションを行うと定めております。  そのほか、緊急の事態への対処・発生の防止に関する体制の整備等、それから関係行 政機関の相互の密接な連携、それから試験研究体制の整備、研究開発の推進等、それか ら国内外の情報の収集、整理、活用等、それから表示制度の適切な運用、それから、教 育・学習の振興、広報活動の充実、環境に及ぼす影響に配慮した施策の策定等を定めて おります。  それで、21条におきまして、措置に関する基本的事項につきまして、政府は、上記に より講じられる措置の実施に関する基本的事項を策定しなければならないと定めており まして、内閣総理大臣が食品安全委員会の意見を聞いて案を作成すると定められており ます。  次に、食品安全委員会の概要でございます。  食品安全委員会は、ここに定めておりますうち、まずリスク評価を行うこと、そして それに基づき勧告等を行う、それからリスクコミュニケーションを行う、それから緊急 時の対応等を主な任務としているところでございます。  組織の概要ですが、1ページめくっていただいて、別紙1、委員は7名で構成されて おります。次のページに委員の名簿が載っております。上から4人目、見上先生までが 常勤の先生でございます。一番上、二重丸がついている寺田先生が委員長をなされてお ります。元財団法人先端医療振興財団副理事長、その前は国立がんセンターの総長でご ざいました。3番目の寺尾委員が委員長代理という形になっております。下の坂本先 生、中村先生、本間先生、このお三方が非常勤でございます。  それから、委員会のもとに委員会を支援する組織といたしまして、延べ200名程度の 専門委員から成る専門調査会を16設けてございます。上の3つ、企画、リスクコミュニ ケーション、緊急時対応、これが横断的な事項を調査、審議する専門調査会でございま す。その下に評価チームとして化学物質系、それから生物系、新食品等評価と13ござい ますが、これは科学者のグループ、危害要因ごとの評価チームでございます。  それらを支える事務局の組織といたしまして、職員54名、それから消費生活アドバイ ザー等の資格を持った技術参与という形で25名の方がいらっしゃいます。事務局は、局 長、次長、それから4課、それからリスクコミュニケーションを行うリスクコミュニケ ーション官1官で構成されております。  次に、主な業務でございます。先ほどの2枚目の食品安全基本法の概要にちょっと 戻っていただきたいんですが、右端の近くに食品安全委員会の設置ということで、食品 安全委員会の所掌事務等について定められております。  まず1点目が、食品健康評価、リスク評価を実施するということでございます。これ は、科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に評価を行うということでございます。 具体的には、リスク管理機関である厚生労働省や農林水産省からリスク評価の要請を受 けて、またみずからの判断で科学的知見に基づき委員会でリスク評価のための調査を 行って、その結果を関係省庁に通知するということでございます。  それから2点目といたしまして、リスク評価の結果に基づき関係大臣に勧告をすると いうことでございます。  それから、勧告をした後、実際にリスク管理機関での講じられた施策の実施状況をモ ニタリングして、監視でございますが、再度勧告するという場合もございます。  それから、関係機関に対する意見の具申、それから科学的調査及び研究の実施、それ からリスクコミュニケーションを行うこと、それから資料提出の要求や緊急時の調査要 請等を行うこととされております。  このうち、リスクコミュニケーションにつきましては、私どもホームページ等をまだ 3カ月たったばかりで、まだこれから充実させていかなければならない部分もあるわけ でございますけれども、委員会の審議概要や専門調査会の審議概要等につきまして、ホ ームページ等を活用いたしまして幅広く国民の皆様に情報を提供していくということ。 それから、今検討中でございますが、こういった意見交換会を全国各地で開催していく 方向でございます。  それから、470名の食品安全モニターを9月に初めに依頼いたしました。それで、既 にもう活動が始まっております。それともう一つ、消費者の国民の皆様から情報提供や 意見の申し入れ等を受け付ける食の安全ダイヤルというのを設けております。  こういったさまざまな手法を活用して情報を提供するとともに、皆様からの意見を反 映させていきたいというふうに考えております。  それから、緊急事態の対応でございますが、緊急時に政府全体で危害の拡大や再発防 止に迅速かつ適切に対応するため、常に国内外の危害情報等を収集して、これを消費者 や事業者等へ情報提供を行っていきたい。それから、関係各省への緊急の助言や迅速な 対応の要請を行ったり、緊急時対応の事後の評価等を行うなど、その要となる役割を 担っていくこととなると思います。  それで、7月にスタートいたしまして、ようやく体制を整備してまだ3カ月でござい ますけれども、委員会は毎週1回木曜日に開かれております。公開で行われておりま す。1回目のときは当然のことながらマスコミ関係者もたくさん来ましたんですが、2 回目以降どうなるかと思っておりましたら、いまだにマスコミ各社20社ほど来ておりま す。それから、一般の方も常時25人ぐらいは傍聴されております。ということで、非常 に関心が高いと思っております。  今後、着実に評価を進めていくとともに、全国各地で私どももこういった意見交換会 を開催したり、あるいは関係行政機関と連携をとりながら多面的に取り組んでまいりた いと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。 ●司会  ありがとうございました。  続きまして、農林水産省消費安全局、姫田消費者情報官、お願いいたします。 ●姫田消費者情報官  農林水産省の消費・安全局の消費者情報官の姫田でございます。どうぞよろしくお願 いします。  役人の話は私で最後でございますので、もうしばらくおつき合いお願いいたします。  法律についてはもう大体、あるいは食品安全委員会と厚生労働省あるいは農林水産省 との関係というのは、今までのところでお話がありましたのであえてお話ししません が、私どもは、いわゆる食の安全・安心のためのリスクの管理をやっていくということ になりました。今までは、いわゆる生産サイドでリスクの管理も評価も自分たちでやっ ていたわけなんですけれども、それがやはりBSEのときに「おまえたち、生産者寄り じゃないか」と言われて、そういうようなご指摘があったことを踏まえて新しい組織に 変えるということ、そして我々は食の安全のためのリスクの管理をやるということにな りました。  それで、15年の6月、新しい組織になる前の月に、お手元のパンフレットの方でござ いますが、「食の安全・安心のための政策大綱」をつくりました。その中で、一番最初 に申し上げた食品安全委員会、農林水産省、厚生労働省との関係が書いてございます。  その中で、やはり一番下に書いてございます消費者の視点に立った安全・安心な食料 の安定供給、政策づくりへの国民の参画ということを、こういうことを意識改革をしな がらやっていこうということでございます。  パンフレットの方をめくっていただきまして4ページ目でございますが、「食の安全 ・安心をめざし、次のような施策に重点的にとりくみます」というところがあります。 色刷りのパンフレットの方でございますが、右の下の方に新しい組織というようなこと が書いてございます。消費・安全局。実は今までは左の方に書いてございます生産局と か総合食料局で生産の振興もやってきた。一方で、リスクの管理も評価もやってきたと いうことでございまして、それがやはり我々甘くなっているとは思っておりませんけれ ども、やはり確実にきちっとリスクの管理できていたのかというようなご指摘もござい ました。それを踏まえまして、我々の省の中でも生産局、総合食料局にありましたリス クの管理部門を消費安全局の方に出しました。そして、ここに総務課もありますから、 全部で5課1官でリスクの管理をやっていこうということで、これは生産振興とかそう いうことに関係がない局になりました。  食糧庁、皆様方も親しみがあったかと思いますが、いわゆる各県に食糧事務所がござ いましたが、これも廃止いたしまして、地方組織としては地方農政事務所。ここ石川は 農政事務所じゃなく、北陸全体のブロック機関である北陸農政局の中の消費・安全部、 あるいは食糧部ですが、食糧事務所が今までやって来たお米の検査から、いわゆる食糧 の流通などの、今までの仕事に加えて、新しく食の安全・安心を守るための組織に生ま れ変わりました。大体今まで6,000人余りいたものですけど、そのうちの全国で2,100人 余りが食の安全・安心に携わるようになりました。  そういうような形で、新しい組織をつくりました。そして、私どもそれを具体的にど うやっていこうかということでの政策大綱をここにつくりました。ところが、また7月 に役所のことですから、大綱をつくってやりますと言ってなかなかやらないのじゃない のというようなことを皆さん思われるのではないかということで、まずとにかく農林水 産省がきちっと変わっていくんだということを皆さんにお示ししようということ、そし て消費者に軸足を置いた農林水産省になろうということを考えております。  まず一つは、局の名前ですが、消費・安全局ということで、中ポツが入っておりまし て、これは消費の安全を図るということじゃなくて、消費者に重点を置いた消費者の消 費に対する仕事をやるという局と、それからリスクを管理していく局、この2つの意味 で消費・安全局ということにしています。  私は、消費者情報官ということで、私は消費者の窓口もしております。全国48ある消 費者の相談窓口というものが金沢の農政局にもありますが、窓口の担当もしておりまし て、消費者の相談窓口ということで電話でもメールでも幾らでもお問い合わせいただき たいと思っております。  消費者に軸足を置いた農林水産行政をやっていこうということ、そして安全をきちっ と管理していこうと。それに加えて、安全だけじゃなくて、ダイオキシンの話でも、古 くは埼玉のダイオキシンの話、あるいはBSEのときでも、いわゆる安全ということが 守られても必ずしも消費者の皆さん方の安心という気持ちにならなかった。今回もかな り我々も苦悩しておりますけれども、いわゆる長崎のトラフグのホルマリン、これは安 全ではあるんですけれども、皆さん方の安心というものに対しては非常にきちっとこた えられていないものだろうと思っております。ですから、安全だけじゃなくて、さらに 安心ということをつくっていこうということで活動しております。  お手元に、そういう形だけつくってと言われては大変だということで工程表というの をつくりました。これはお手元の資料3になります。「食の安全・安心のための政策大 綱工程表のポイント」ということで、工程表というのは皆様方にもお見せして、こうや っていきますということですので、逆に言いますと、後でやらなかったじゃないかと。 何か最近は政治家の方々もマニフェストというようなことでちゃんと公約というのを守 ることにするということも、今まで公約というのは守られなかったのが普通なんですけ れども、公約を守るということにするということでございます。そういうことがはやっ ておりますが、我々はきちっとそれぞれやっていくことというのをこの工程表の中に入 れて、そして今後も皆さん方やマスコミにチェックいただきながら自分たちでもきちっ とチェックをしていこうということで、これがどれだけ進んだかということをやってい きたいと思っております。  少し具体的に説明させていただきますと、まず食品安全委員会と適切な関係の構築と いうようなことで、まず食品安全委員会だけじゃなく、厚生労働省と食品安全委員会と きちっと連携を図りながらやっていこうということが基本でございます。いろんな形で の取り決めもやっておりますが、ここにおられる外口参事官や安全委員会とも2週間に 一度我々のレベルでも連絡会議を開いております。あらゆるレベルでそういうふうな形 で連絡会議を開いたりして、意見交換あるいは連携を図っております。  それからその次は、いわゆる家畜の飼養衛生管理基準や特定家畜伝染病の防疫指針に ついて審議を開始しますというようなことで、BSEも人畜共通伝染病ですけれども、 人畜共通伝染病に対しても非常に不安感があるということで、やはりまず家畜をきちっ と飼っていこうということ、こういう管理基準をつくっていこうじゃないかということ で、こういうことも行っていきますし、そういうことをいわゆる消費・安全分科会とい うものを起こしまして、そこで家畜の衛生を中心に審議をしてまいります。これは学者 を中心とした、消費者も入っていただいた、生産者、消費者、学者の方が入っていただ いた委員会での審議をしていただくということにしました。  それから、農畜水産物の食品の安全性の確保ということで、これはいわゆるBSEも 飼料がきっと問題であったというようなこと、また、きちっとやっているわけですけれ ども、どうも皆さん方、消費者の方々に聞くと農薬に対する不安感が高いというふうな こと。そして、いわゆる農業生産資材というものについてリスクの管理だけじゃなく て、管理の中でやはりきちっと検査していこうというようなこと。あるいは、今までは 農薬検査所とか肥飼料検査所というようなところがやっておりましたが、これからは農 政事務所がやっていくということで、これはまた7月にできたばっかりなので、今一生 懸命研修しながら、今後どんどん立入検査とか指導をやっていって、農薬、肥料、飼料 の適正な使用を指導していきたいと思います。  それから、食品、抗菌性の飼料添加物、いわゆる抗生物質、そういうものについても 見直しを図り、あるいは基準をつくっていこうということ。そして、もちろんその結果 について公表させていただく中で、また先ほどの上のように立入検査も具体的にやって いこうというふうなこと。  さらに、生産資材、農家が実際に使うもの、意識的に使うものだけじゃなくて、天然 のものは何でも安全かというとそうではございませんでして、カドミウムですかとか鉛 ですとか水銀、かび毒、こういうようなもの、あるいは生産資材などの残留農薬につい てもきちっとリスク管理していかないといけないじゃないかということで、いろいろ具 体的にはサンプリングとかモニタリングをどんどん進めていこうというようなことを 図っていきます。  また、それぞれ畜産物についても衛生のガイドライン、すべての生産資材について、 様々な農畜産物について衛生的な管理のマニュアルを作り、農家が衛生的に作っていく ようなことをご支援していこうということでございます。  それから2ページ目でございますが、食品の製造・加工、流通における取組の促進。 これは、先ほどHACCPの説明もございましたが、やはり食品産業に対してコンプラ イアンス、法令の遵守ということですが、要するにモラルです。1つは、税金もインチ キして取ったりしないでよねというような話もございますし、それから法全体の体系と して、企業があるいは生産者がまじめに法を守っていくということがなかったら、それ らの消費者の安心というのは得られないと思っております。我々が幾ら厳しく、取り締 まりとか規制をかけても全然ひっかからないという状態が一番いいわけなんで、そうい う状態をつくっていきたいと思っています。  それにはやはり企業の方々に法令遵守という気持ちを確立することをお願いしている わけですが、こういう安全とかに対してやはりまだ企業によっては格差がありまして、 いわゆる代表権のある方、あるいはそれに準じたような方がこういう安全のための対策 本部長をやってきちっとやっているところと、まだお客様相談窓口の室長さんがそうい うことをやっているところ、まだいろいろあります。やはりそれを企業そのものに対し て、我々国だけじゃなくて、企業もそういうことを守っていけるような意識改革を進め てまいりたいと思います。  それから、輸入食品の安全の確保ということは、これは厚生労働省と協力しながら やっていこうというふうなことをやっております。  それから、国際機関への活動への参画ということ、これは厚生労働省と協力しながら やっていかないといけないと思っていますが、なかなかやはり我々日本人シャイでした ので、国際的な機関への活動というのがおくれておりますので、やはり国際機関に諮っ てきちっとやっていこうということ。もちろん国際的な基準はきちっと守っていこうと いうふうなことを考えてございます。  次のページでございますが、人畜共通感染症を含む家畜防疫体制の強化というような ことで、これは先ほど申し上げたように、衛生管理基準をつくるということ。それか ら、牛については2年前の10月18日から厚生労働省の方で屠畜場での全頭検査というこ とをやりましたが、その後、病気とか事故で死んだ牛については、もちろんこれは従来 から全く食用に回ってはおりませんけれども、これについても日本のBSEの状態を確 かめるために、もう始まっておりますが、最終的には来年の4月には完全に死亡牛を全 部BSE検査していこうということで、日本のBSEの状態つまりスターテスが確認で きるということにします。  また、食品の表示、JAS規格の適格化ということで、いろいろと食品表示について の徹底を図っていこうということ、それから厚生労働省と共同で、今回も賞味期限に統 一させていただきましたけれども、いわゆるわかりやすい食品表示をやっていこうと。  それから、お米が今年は不作でございまして、おとといですか公表させていただきま したけれども、米の表示の適正化について特別調査をやるということで、お米のまぜ 方、ブレンド米は使っていただかないとしようがないと思っておりますけれども、やは りこれからの産地表示とか年産表示なんかについてもきちっと調べていこうということ で、今回、特別調査をさせていただくということにしております。  それから、トレーサビリティシステムの確立。下の方から説明しますが、牛肉のトレ ーサビリティ法というのが12月1日に生産段階で施行。来年の12月が流通段階です。牛 肉については10けたのコード番号を入れることによって生産履歴が全部わかるように、 今でもかなりハード的には進んでおりまして、今一部のスーパーでも10けたのコード番 号が売り場に表示してあったり、それからパックに表示してあったりしますが、それを インターネットのホームページで入れていただくと、牛がどこの産の牛だというような ことがわかるようにしております。これを12月1日からまず生産段階で完全に実施する ということで、牛が6,000頭から7,000頭近く毎日生まれますので、それの情報を生まれ たとか登録したとか、売買されたとか、屠畜されたとか、そういう情報を入れますと1 日3万件ぐらいの情報を集めて提供するような形になっております。  ただ、食品一般ということでは、トレーサビリティというのは、やはりきちっと何か があったときにやっていくということでございまして、そのときに何かがあったときに わかればいいということを考えております。というのは、牛については皆さんがBSE の問題で農畜産業振興事業団のお金でこういうようなことをやっておりますが、野菜と かお米とかすべてのものについて10けたか何けたかわかりませんけれども、番号を入れ たらわかるようにするというシステム、これをやりますとかなりのコストアップになり ます。  もしコストアップになった場合は、消費者の負担になるのか、国民の税金の負担にな る。いずれにしても国民に返ってくるということで、それは安全性じゃなくて、安心の ためにそれだけお金払うのかということがございます。ですから、きちっとした帳簿を つけて、もし何かあったときにそれがさかのぼれるというシステムをつくっていくとい うこと。  それで一部、やはり消費者のニーズということもございますので、今一部のスーパー で始まっているように、番号を入れれば牛肉と同じようなトレースができるようなシス テムというのも簡単にできるようなことを考えておりますが、それを全部の食品に当て はめるということじゃなくて、それをしたいところが一つの付加価値的なものとして やっていただくということは、消費者の選択の幅が広がるということでやってまいりた いと思っております。  それから、4ページ目でございます。リスクコミュニケーションの推進ということ で、私も外口参事官と同じでリスクコミュニケーションの担当ということで新しくでき たポストでございますが、こういうような場で、あるいは9月10日と30日には私どもの 東京で農薬に関するリスクコミュニケーションということで、消費者の方々を公募しま して参加していただいて、消費者の皆さん方と我々、あるいは今度は生産者の方々との 意見交換会をさせていただいたということで、そういうようなことを今後も順次、こう いう場も含め、地方農政局の地域ごとに、そして厚生労働省、食品安全委員会と連携し ながら進めていきたい。  こういう中で、やはり食に対する関心あるいは知識をもっと含めて、安全だけじゃな くて食生活や食習慣、そして安全だけじゃなくて適正な食べ物というようなこと、そう いうことを知識として得ていただくということを含めて、やはり食育というものを進め ていきたいと思っております。  こういうことを全面的にシンポジウムをやっていくとか、料理教室をやっていくと か、体験学習あるいは学校給食の時間に地域の産品を使っていただく、そういうような ことも含めて、食に対する関心を高めていきたいと思っております。  こうしたことをこれからも我々が行っていくということで、これは工程表の中で書い てございます。  最後になりますが、最初のパンフレットの最後の方に私どものホームページなり電話 番号を書いてございますので、いろんなことがございましたらそちらの方にお問い合わ せいただければ確実にお答えできると思っておりますし、あるいはこちらの北陸農政局 の方にお問い合わせいただくことも幾らでも我々の担当窓口をつくっておりますので、 答えたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。  以上でございます。 ●司会  どうもありがとうございました。  それでは、ここで10分程度休憩を設けさせていただきたいと思います。  第2部につきましては、午後2時25分から開始したいと思いますので、それまでにお 席の方にお戻りいただけますようよろしくお願いいたします。 〔休憩〕 <第2部> 3.有識者からのご講演 ●司会  それでは、第2部の方を開始させていただきたいと思います。  第2部におきましては、消費者の方の関心の高い食品添加物のお話と最近の取り組み でありますリスクコミュニケーションにつきまして、お2人の有識者の方からのご講演 を賜りたいと存じます。  まず、初めは千葉大学名誉教授の山崎幹夫先生でございます。  山崎先生は、東京大学大学院をご卒業後、国立放射線医学総合研究所を経て、千葉大 学生物活性研究所、それから大学の方に移られ、教授等をされて、平成9年に退官さ れ、名誉教授というふうになられております。  厚生労働省の薬事食品衛生審議会の前身に当たります食品衛生調査会では、添加物部 会長をされております。  それでは、山崎先生、よろしくお願いいたします。 ●山崎名誉教授  きょうは食の安全を考えるという課題で、先ほど参事官、課長等から食の安全を強化 するという意味で、いろいろ法律改正等のお話がございました。大変結構なことだと思 います。  私もしばらくの間、食品衛生調査会、あとの薬事食品審議会で食品添加物の部会長を やらせていただいておりましたが、食の安全というときに、まず風当たりが強いのが食 品添加物なんですね。なぜそういう余計なものを国が認めて使わせるのかという声が非 常に強く寄せられていたことを感じておりました。  今日は、食品添加物を考えるということで、多少いろいろなお話を交えながらできる だけご理解をいただけるような形をとっていきたいと思います。  大体、今日ここに映しますスライドのコピーは、そのままお手元にお渡ししてござい ますので、後ろの方ちょっと見にくかったらお手元の資料を参考にしながらお話を聞い ていただければと思います。  では、早速、スライドをかえていただきたいと思います。 〔スライド〕  一番最初のスライドは、地球の歴史が45から46億年、その間にホモサピエンスが今か ら、1万5,000年前ぐらいのところで生まれてきている。45億年とか46億年といっても 想像を絶する時間でございますので、今現在をゼロ秒、大晦日に我々がいるとします と、これを365日に換算してみました。  そうしますと、ホモサピエンスが生まれましたのが大晦日の70秒前なんです。「紅白 歌合戦」が終わり、「ゆく年くる年」の除夜の鐘が鳴り始めるあたりに人類が生まれて きているということでございます。  したがいまして、我々人類は非常に新参者なわけでございます。類人猿1,800万年。 400万年ぐらいのところの類人猿がやっと何か道具を使い始めたとか、木の上に生活し ていたのが地上におりたということが言われてございます。 〔スライド〕  こういうような地球の歴史の中で人類が生まれたということで、まず最初の生活単位 は個。個というのは家族の単位です。つまり、お母さんが赤ちゃんを出産して、そこで 家族というものが生まれるわけですが、その時点では、遊牧という生活の場というのは 流動てきであったというふうに考えられます。食料を求めての流動なわけです。そこに あるものを手に入れて、暮らしていくということであったわけです。  それがだんだん群れをなしていく。つまり、姻戚関係でありますとか、部落を形成し ていく。自然にそこで農耕とか牧畜、自然の中から拾っていたものを栽培するとか、あ るいは動物を集めて飼うというような形で、ある意味での定住生活が始まってきたとい う経緯がございまして、さらにそれが大きな集団になりますと民族が集まる。あるい は、都市のような集団生活が発生して、国家のようなものが形成されてくる。  そうしますと、こちらで考えますと猟をしたり、海から魚をとったり、あるいは木の 実を拾ったりという生活から、それを生産する形態ができ、それが、さらに生産する場 と、それを消費する場というのがだんだん離れてきて、その間に流通というものが起き てくる。現在に非常に近い大都市というものが形成されてきますと、大勢の人が住む都 市に集中し食料が流通、つまり運び込まれていくというような我々の生活体系というも のができてくるわけでございます。 〔スライド〕  ところで、その当時、病気というものをどう考えていたかというと、悪いことをした ときの神の戒めとか悪霊のたたりであった。したがってこれを治すためには祈りとかま じないをする。これがだんだんに宗教の方向にいって、巫医と書いてございますが、お まじないをして病気を治していく。つまり、神の戒めであれば神様に対して謝る。「ご めんなさい。悪いことしません」 悪霊のたたりであれば、体の中に入った悪霊を追い 出さなければいけない。そのために、周りで火をがんがんたいたり、おでこにおまじな いを張ったりということがあったわけですが、一方で食べ物とか薬で病気に対応してい こうという形があらわれてきました。  例えば、体の中に入った悪霊が病気を起こすとすれば、悪霊を早く体の外に出さなけ ればいけない。食べ物の中に食べると吐いてしまうとか、下痢をしてしまうとかという 食べ物を発見するようになりました。そういうものを使って悪霊を体の中から追い出し て病気を駆除していこうと。さらに、積極的にその中から、例えば今度は逆に下痢を治 す、腹痛をとる、頭が痛いときにその痛みをとるというような薬効、つまり薬の効き目 を持った食べ物が探し出されて、これが現在の医療の方向に進むわけです。そこに薬師 とか医師、これが今の医師と薬剤師を一緒にしたような、あるいは看護師も一緒にした ような形での医療担当者が出現するわけでございます。 〔スライド〕  きょうの主題は食の安全でございますので、薬の話はちょっと置いておきまして、食 べ物の方でこの話をしていきますと、今までお話ししたところのもう一回繰り返しにな りますが、まず人類の先祖は樹上で暮らしていた。自分の身を守っていったわけです。 そこで昆虫や木の実、あるいは葉っぱとか根、そういうようなものを探しながら食べて いた。これは先ほど言った流動の段階での生活です。  平地におりてきまして、そこで獣をとる。植物を採取する。あるいは、海に潜って魚 をとるとか、あるいは貝を探す。魚介類です。小動物、可食植物を入手して、自分の食 生活を確立させていった。  さらに、土器、石器、骨器──骨でつくった器具、こういうものを使うようになりま すと、動物を解体する、あるいは植物を解体する。さらにそれを加工するようになっ た。  例えば土器です。これで煮たり、蒸したりするようなことができてくる。この作業は 火の利用と同時に進んでいくわけですが、まずここで解体、加工するという知恵が始ま るのと、先ほどお話ししましたように農耕、つまり穀物が主食になっていく。この時点 で、狩猟で動物を食べていた時代。動物の血液の中にはいろいろな、例えばカリウム、 ナトリウムを初めとしてそういう栄養素が入っていたわけですが、植物になりますとそ こでさらに塩を使わないと、例えばナトリウムの補給が途絶えてしまうというようなこ とがありまして、塩が利用された。  それから、道具がさらに開発されてきますと、食品を加工する、あるいは調理をする という技術が加わってくるわけです。調理・保存の知恵と努力というのがそこに加わっ てきますと、まず盛んになったのは火の利用です。  この火の利用というのは、実はこれはかなり早い時期に火を使っていた痕跡が見つか っております。焼く、温める、いぶす、これは燻製です。それから乾燥する。それか ら、塩は塩味をつけるというような味つけ。同時に、保存する形での塩づけということ が始まってくるわけです。  ここでの塩というのは岩塩、山からとれてくる塩です。それから、海水の利用。さら に、火が利用できるようになりますと海水を煮詰めていくというような意味で、積極的 に塩をつくるというような作業も始まってくるわけです。  それから、当然のことながら、天日を利用して干物をつくる。肉なども乾燥して保存 するというようなことが始まります。  日本の古代にはナウマン象という象がたくさんいたそうでして、この象というのが大 変多く食べられたそうですが、ナウマン象1頭すぐには食べ切れないわけですから、し たがって、そこで乾燥肉をつくるというようなことが始まったということがものの本に は書いてございます。  それから、大事な技術として発酵が利用される。魚醤(うおびしお)、それから穀醤 (こくびしお)です。いろいろな穀物を塩と一緒に発酵させて醤油をつくっている。そ れから、酒。酒もこれは穀物からつくった日本酒のような酒。大麦からつくったビー ル、あるいはブドウを使ったワイン、そういうようなものがこの酒という中には一括し て入っておりますが、さらに発酵が進んだ状態では酢もできてまいります。  そうしますと、こういうような醤油のたぐい、あるいは酒のたぐい、酢のたぐいが食 物を保存するためにさらに添加されていくという作業が加わってくるわけでございま す。  それから、乳製品です。牛乳というのは割合すぐ腐りますけれども、それを発酵させ てチーズにする、ヨーグルトにする。あるいは、大麦の粉をイーストで発酵させてパン にする。さらに、そのパンを発酵させて大麦パンからビールをつくるというような作業 が始まってきているわけでございます。  ですから、この発酵という技術を手に入れた人類の食に対する進歩というのは、かな りここで進んだ。  さらに、スパイスの利用というのがありまして、例えば肉の臭みを消すためのコショ ウ、ニクズク、チョウジ、サンショウ、こういうものは肉食に欠かせないスパイスとし て賞味されたわけですが、ショウガとかミョウガとか、これは日本人が生の魚を食べる ときに今でもこれは薬味として刺身のわきに添えられております。そういう形で利用し てきた過程がございます。 〔スライド〕  これは、2世紀から3世紀のころの日本人、そのころ邪馬台国というのがあったよう ですが、その風習を記した中国の文献、3世紀の中ごろぐらいにつくられというふうに なっています。倭の国、これは日本のことですが、特に九州地方、邪馬台国は、気候が 温暖で、夏、冬でも生菜、生野菜を1年を通して食べている。漁師は海に潜って魚介類 をとる。  人々は稲、麻を栽培し、桑を植えて蚕を飼う。つまり、このころにもう絹をつくって いたんです。食べ物は高杯に盛って手づかみで食べる。真珠、青玉を産し、山には葛、 橡、木瓜、杉、樫、山桑、桂、それからそのほかに橘なんかも入っていたように思いま す。  篠竹、矢竹、生姜、山椒、茗荷もあるけれども、倭人はこれらの滋味を知らないと、 こう書いてあるんです。情として酒を好む。この酒を好むということは、既に発酵して お酒をつくって飲んでいたということになるわけです。  このところで、こういうようないわゆるスパイスがあるのに、日本の人たちはこの滋 味を知らないと書いてあります。つまり、中国に比べるとまだ生活のレベルがプリミ ティブだということをこの『魏志倭人伝』が言っているように思われます。 〔スライド〕  日本の食品添加物ということで表示してみたんですが、例えば狩猟の時代、これはナ ウマン象をとっていた時代です。あの野尻湖のところからナウマン象の骨が見つかった という話もございますけれども、獣肉を食べていた時代。その時代に既に山椒とか野蒜 とか三つ葉とか、こういうような香気野菜、いわゆるスパイス、これも使っていたとい う形跡があるので早い時期に、例えば『魏志倭人伝』の時代に九州地方に来た中国の方 たちの知見というのは、そういうようなスパイスを使う知恵を日本人はまだ知らないと いう記述があったかもしれませんけれども、実際には日本でもかなり早い時期にこうい うような香気野菜も使っていたらしい。  奈良、平安時代になりますと、これは積極的に漁労・農耕の時代です。そうします と、薬味というのはこんなにたくさん、今使っているのと同じような山椒、生姜、大 蒜、芥子、紫蘇、葱、胡椒、茗荷、山葵、それから柑橘類、それから甘味が要りますか ら干柿、飴、甘葛煎。甘葛煎というのは余りなじみがないかもしれません。これは汁を 煮出して煮詰めたものに甘味があって、例えば『枕草子』にはかき氷に甘葛煎の汁をか けて食べたというような記述もありますし、昔のごちそうだった芋がゆ、芥川龍之介の 小説なんかにも出てきますが、それにもこういうような甘味を加えて、ごちそうに味を 添えた。それから、蜂蜜はこれは非常に重要な甘味製品だった。  そのほかに色つけた。くちなしで色をつけるというのがありました。それから、豆腐 をつくるときににがり、これは主として海水を使ったようですが、豆腐を固める。ある いは、消石灰を使って蒟蒻を固めるというような知恵もかなり早い時期に、もう既に奈 良、平安時代にできていた。  この時代に既に発酵という技術も入ってきて、先ほど酒を好むという『魏志倭人伝』 に既に出ていたと申し上げましたけれども、味噌、醤油、納豆。この技術は大体中国か ら渡ってきておりますが、酒、酢、塩辛、鮨、漬物、甘酒。蘇というのはヨーグルトと チーズです。こういうものも既にこの時代の文献に出てきておりますので、食品に添加 するということも行われていたようでございます。  鎌倉、江戸時代になりますと、これは中国文化だけでなくて、南蛮、紅毛、つまりポ ルトガルとか、あるいはオランダ、イギリス、そういうところから文化が伝来してきて 食文化、つまり各種の調理法・加工法というものが格段の変化を遂げてきたというよう なことで、保存、調味料の利用が高まってきたという形跡もございます。 〔スライド〕  現代にだんだん近くなりますが、近年、明治時代になりますと、もう既に文明開化で ありまして、いわゆる洋食文化というものがどんどん入ってくる。食材が変わる。調理 法も変わる。そこに肉、つまり牛肉なんかをどんどん食べるようになってきた。乳製品 を使う、洋野菜が使われるというようなことになりまして、加工食品が普及する。と同 時に、食品衛生に対する法規制が明治政府によって行われるようになったという経緯が ございます。  昭和22年に、先ほどご紹介がありました食品衛生法という法律ができ、食品衛生行政 が内務省から厚生省、今の厚生労働省に移管されてきて、ここで食品添加物に対する法 規制が行われたという歴史的な経緯がございます。 〔スライド〕  そこで、食料保存の歴史ですが、今までのお話の中で申し上げましたが、穀類、それ から魚・肉類。穀類の場合には当然乾燥させる、あるいは粉に挽くという技術が入った わけです。砕くとか引き割りするとか、すり潰すとか、あるいは調理加工でも加熱す る、焼く、茹でる、蒸かす、それから発酵という、今お話ししたようなことで穀類を処 理するということが行われてまいりました。  例えば大麦からパンをつくる、小麦からパンをつくる、米からもちをつくるというよ うなことが始まったわけですが、魚のたぐい、これも例えば天日干しをする、あるいは 加熱干しをする、直火とか燠火とか蒸し焼きとか、それから燻す、燻製をつくる、それ から揚げるという油を使う技術も出てきているわけです。それから、塩を使う。これは 塩蔵だけじゃなくて、塩水につける。先ほど申し上げました魚醤、肉醤、それから穀 醤、いわゆる我々が普通に売っている醤油、それから亜硝酸塩を加えるというようなこ とも、例えば肉を保存するというようなときに使われてきているわけでございます。そ れから、スパイスの利用というものがあります。  発酵については、今までお話ししたようにアルコール、酒をつくる、酢をつくる。乳 製品については、チーズ、ヨーグルトをつくるということです。  そのほかの技術としては、何かを添加していくとか、あるいは干すという以外に冷蔵 をするとか、冷凍をする方法がある。冷蔵というのは、これはかなり早い時期から行わ れていたんです。冬できた氷を保存してそこに食料を蓄えるとか、あるいは穴を掘っ て、穴の中というのは1年を通じて温度が一定ですので、そういうようなこと、穴の中 にしまっていくというのが冷蔵の中に入るというふうに理解していただきたい。  それから、冷凍する。これは機械的に冷凍する技術が始まってからの話です。缶詰、 瓶詰というような技術も同じです。 〔スライド〕  そのほかに19世紀になりますと有機化学が展開されてきます。そうしますと、例えば 酢酸とアルコールを有機化学的にくっつけます酢酸エチルエステルというような化合物 が合成されてきます。酢酸だけでなくて、いろいろな有機酸のアルコールエステルが合 成されてきますとこれが、えも言われぬ香りを持つというようなことで香料として使わ れた。酢酸エチルエステルはロンドンの第1回目の万国博覧会に展示された。そのほか に、ベーキングパウダーが開発されて、クッキー、ケーキがおいしくなったとか、ある いはタール色素が合成され、食品に彩りを添えたとか、あるいはサッカリン(甘味料) が合成されて、砂糖の、例えば糖尿病の方に供給されるようになったとか、あるいはこ れは割合最近の話ですが、ビタビンB1が発見された。そのほかにも各種のビタミン類 が次々に発見され、合成されて、こういうものが酸化防止、抗酸化作用があるとか、あ るいは栄養強化というような目的に使われるようになってきたという経緯が、この辺に なりますともう我々の知っている範囲の年代でございますけれども。 〔スライド〕  実は私は大学で現役のときにカビ毒の仕事ちょっとやっておりましたので、関連の話 題をちょっとご紹介したいんですが、中世以前から近世にかけての北ヨーロッパで、ラ イ麦のパンを食べている地域の人たちに時折けいれんを伴う神経症状と手足の指の先が 壊疽を起こし黒くなってもげてしまうという奇病が発生したんです。長い間原因がわか らなかった。これも先ほどスライドでお見せしたように神のたたりというので、聖アン ソニー寺院というところにお参りすると治るというので、アンソニーの火とか、あるい は地獄の火に焼かれるとかいうふうに呼ばれていたものなんですが、だんだんにパンの 原料になるライ麦、これにカビの一種、バッカク菌が寄生してつくるバッカクアルカロ イドという成分に汚染されたライ麦パンを食べたことによる食中毒であるということが わかりました。  次は日本での事件ですが、戦後間もなくの時期です。食料難で諸外国から米を緊急輸 入したんです。そうしますと、船に積んで日本にはるばると来るわけですが、その途中 でカビがついた。米がカビのために黄色く染まったために黄変米事件ということで、こ れは日本の研究者が米につくカビの研究を営々とやっておられて、その方がこういうカ ビには肝臓に対する毒性、腎臓に対する毒性があるから、これを国民に配給して健康を 害することはもってのほかだということをかなり身を挺してこれを政府に提言して、十 数万トンに及ぶ汚染米というのを廃棄したんです。あの食料難の時代にこういうことを 研究して政府に提言した研究者と、それを受け入れてこれだけの米を廃棄した政府の態 度というのは大変注目すべきことだったと思うんです。  それから大体10年ぐらいおくれて、イギリスで1960年ですが、ロンドン郊外で飼って い七面鳥に奇病が発生したんです。ばたばたと十数万羽が死んでしまった。そこで、政 府機関を挙げて調査活動をした結果、どうも死んだのは限られた工場でつくったえさを 食べた七面鳥だった。そのえさを調べてみると、ブラジルから輸入したピーナッツミー ルなんです。ブラジルからイギリスまで運ぶ輸送の段階でカビが生えて、そこでアフラ トキシンという強い肝毒性、致死毒性を持つ毒ができたということが判明した。  このことは何を意味するかというと、我々の身近にある毒というものは時代によって 変化する。それは先ほど冒頭にお話しした生産地と消費地が離れ、時として赤道を越え て船で運ばれるときに、我々がかつてそれ以前には体験したことがないような毒による 食物汚染を受けることになった。  ですから、この場合は3つの事件に共通ですが、食品を汚染するカビ、カビに汚染さ れた食品、そこで生成するカビ毒を除去しなければいけない。言うなれば、防黴的な、 防黴というのはカビを防ぐことですが、そういう処置をする必要が出たという新しい食 品保存への認識が必要じゃないかということになったわけです。 〔スライド〕  そこで、食品添加物がこういう事件の発生を通じて、食の保存、安全を守るという場 合に必要である。もう一つは、食べにくい食品を食べやすくするというような目的に、 そういうような役割をもって登場してきたわけですが、先ほど申し上げましたように日 本では明治の時代に食品添加物にも法規制が行われてきまして、指定添加物、既存添加 物、天然香料、一般飲食添加物というふうに分類されました。これ一つ一つにはそれぞ れ説明があるんですが、ちょっと時間が足りなくなるといけませんので、これについて はまた後で、きょうは厚生労働省の方も農水省の方も来ていらっしゃるので、これは私 の話からはちょっと飛ばします。 〔スライド〕  こういうような法規制のもとに認められている食品添加物、どういう条件があったら それが指定されるのかということですが、まずは安全性が実証、確認されている。それ から、使用によって消費者に利点を与える。何の利点もないものを幾ら安全だからと いって使う必要はないということですね。それから、既に指定されているものと比較し て同等以上、あるいは別の効果を発揮するということ。それで、原則として化学分析等 により、その添加を確認できる。つまり、そこに添加物があるということがわからない ような状態で添加されると何が入っているかわかりませんから、それは危ないというこ とになるわけですね。 〔スライド〕  次に、どういうものがあるかというと甘味料、着色料、保存料、それから栄養強化剤 とか、ここに表示したような種類があるわけですね。それぞれの役割に従って、これら の添加物が消費者にとって利点があるという視点、それで、あくまでも使っても安全だ ということの安全性の確認、そういった条件のもとで使われるわけです。 〔スライド〕  一つの例を持ってきました。アイスクリームというのは、私たちが大変好むデザート でして、私の孫なんかは毎日アイスクリームがないと生活できないみたいことをいって おります。アイスクリームとアイスミルクとラクトアイスがありますが、これは脂肪の 率によって違う。ラクトアイスというのは脂肪性の油を使っているということだそうで すが、ここで牛乳のほかにこういうようなバター、粉乳、卵、砂糖、水飴、それからそ の他乳化剤、安定剤、香料、着色料、などを添加するわけです。フルーツエッセンス、 バニラフレーバー、こういうようなものが香料になる。  着色料ですが、これも例えばチョコレートアイスクリームとか、ストロベリーアイス クリーム、そういったときにフルーツのエッセンスというか、フルーツそのものを入れ ることもある。このミックスをホモジナイザーにかけて、低温にして、フリーザーにし て、ソフトクリーム状にして、アイスクリームができるわけですが、ここで、乳化剤、 安定剤というのは何に役立っているかというと、口溶けがよくて、型崩れくずれしな い、そういうような組織をつくって、細かな気泡をアイスクリームの中に加えていくと いうことで舌触りを良くし、我々が食べておいしいと言っているアイスクリームができ るわけでございます。 〔スライド〕  安全な食品添加物という条件ですが、これはもう私が今さらお話しするまでもないん ですが、定義というものがきちっと決まっております。これは食品衛生法第2条に規定 されていますが、目的というものがしっかりしている。健康を損なうおそれがなくて、 何らかの利点を与えるということは先ほど申し上げました。それから指定添加物、先ほ どスライドでお示ししました。成分規格とか使用基準というものが成分規格基準、こう いうような基準がきちっと決まっておりまして、何でも色がよくなるとか、あるいは匂 いが良くなるとかの容易な目的に使えるものではない。  それから、摂取限度量がきちっと決まっているということを理解していただかなけれ ばいけないと思います。こういうような製造基準とか保存基準に違反した場合は回収、 営業停止になった。先ほどご紹介ありましたね。罰則の対象になる。 〔スライド〕  これはちょっと変わったデータですが、参考までにお目にかけます。日本の主婦の方 には、食品添加物ががんの原因になるという理解をしていらっしゃる方が非常に多いん です。それから、農薬、たばこ、大気汚染、お焦げ。黄色い方は、これはアメリカの疫 学者です。専門家です。そこでは食品添加物によってがんが起きるという比率は、これ しかないんです。それにかわって、普通の食物の中にがんの原因になるものがあるとい う意見がこれだけある。そのほかにたばこです。これは非常にこのごろよく知られてき ましたが、そのほかにウイルスとか、性生活・出産、それから職業、アルコールという ような順番で、主婦の方たちがお考えになっている危険感と専門家が持っていらっしゃ る意見の間の食い違いというのがこういうような図になっております。 〔スライド〕  このスライドが最後だと思います。食品添加物を使うときには本当に必要なときに必 要な量だけを使うということが原則だと思います。それから、添加物は品質が確かなも のでなければいけないということですね。安全性を確かめて使う。こういう条件を包含 して、我々日本人が使う食品添加物はこれだけですよということを決めているのが、先 ほど前のスライドに示した添加物の種類だというふうにご理解いただきたいと思いま す。  ちょっと時間を超過いたしまして失礼しましたが、ご清聴ありがとうございました。 ●司会  山崎先生、どうもありがとうございました。  続きまして、順天堂大学医学部公衆衛生学教授の丸井英二先生より、講演を賜りたい と思います。  丸井先生は、東京大学大学院をご卒業後、東京大学の教授をされ、その後、国立国際 医療センター研究所、地域保健医療研究部の部長をされております。現在は順天堂大学 医学部公衆衛生学の教授をされております。  それから、薬事食品衛生審議会の方では表示の部会長などもしていただいているとこ ろでございます。  また、最近では、厚生労働省の研究班におきましてリスクコミュニケーションに関す る研究等を行っていただいているところでございます。  それでは、丸井先生、よろしくお願いいたします。 ●丸井教授  きょうは金沢での意見交換会、テーマは食の安全・安心、それともう一つはリスク分 析ということで、特にリスクコミュニケーションをこれから進めていくという厚生労働 省、農林水産省、そしてリスク評価に携わる食品安全委員会の方からいろいろお話があ した。  私は、これからの時間で食の安全と安心について少しお話しします。それからもう一 つは、リスク分析あるいはリスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーションという 言葉がたくさん出てきましたけれども、もう一度もとへ戻ってリスクとは何かというこ とをもう一度考えてみます。この2つを今日お話ししたいと思って来ました。 〔スライド〕  今、山崎先生からお話しありましたように、食の問題というのはさまざまな側面があ ります。ここで挙げようと思っていますのは、「安全と安心」という言葉です。先ほど の農林水産省の方からもお話しありましたように、安全というのはモノの話です。ここ のところを少し区別して考えた方がいいなと思います。  つまり、安全なものというのを提供することはできると思います。ですから、生産す る側あるいは販売する側、消費する側というものがあるとすれば、生産する側は何がで きるかというと、安全なものを提供することができるし、またそれが食べ物を生産する 側の責任でもあると思います。  一方、安心というのは、どんなに安全なモノを提供しても、実際それを使う方、消費 者、食べる方が安心できないといえば、もうどうしようもないわけです。ですから、安 心するか、あるいは安心できるかというのは、あくまでも消費者、人の問題であると考 えることができます。  前提として安全な食品があって、それが供給されていきます。供給されるというの は、実際に販売するというようなことが必要ですが、そして消費者が安心するというこ とになります。  ですから、安心する前提としては安全な食べ物がなければいけない。けれども、安全 な食べ物があっても安心できるかどうかはわからないということになります。  というわけで、安全と安心を考えるときには2つの要素があります。人の問題とモノ の問題という、つくる人間、売る人間、買う人間、食べる人間がいて、その間を流れる モノがあるということになります。そのモノと人の両方を考えていく必要があります。 というわけですから、「食品の安全」という言葉を使いますけれども、人とモノと両方 を考えることが「食の安全」だということになると思います。 〔スライド〕  さて、それで、先ほど山崎先生からお話がありましたが、食べ物にはさまざまな歴史 があります。私がお話ししたように、食べ物は安全ではないということです。食べ物が 安全というのは神話で、もともと安全な食べ物はないということが考えられていいので はないかと思います。  もちろん、山崎先生は毒の専門家でもありますので、ここであえてつけ加えませんけ れども、自然の食べ物というのは安全かというと、もちろん、そんなことはありませ ん。毒キノコがあったりしますし、どのようにして食べるかというので、さまざまな毒 のある食べ物を選ぶとか避ける、あるいは少し細かくお話しありました調理・加工に よって毒をなくすことをしてきました。例えば、さまざまな芋類とか蘇鉄とか、そのま ま食べては毒になるけれども、水にさらして使えば栄養になるというようなものもある わけです。そういう技術が成立し、それが文化、食文化として今までずっと伝承されて きたわけです。保存料であったり、あるいは添加物というのもこういうところに加わる わけです。  けれども、食べ物というのは体にとってはもともと異物です。体の外から来るもので すから、これは何らかの形で体はそれを拒否しようとするわけです。もし異物が体にぐ あいが悪ければ、別に毒が入っていなくても体の調子が悪かったら下痢をしてしまっ て、早くその食べ物を外へ出してしまおうということになります。  そのようにして、体にとって必要なものは取り入れるけど、必要ないものはできるだ け早く出してしまいたいということになります。  そして、自然は危ないというのがもう一つあると思います。自然食品だったら安全か というと、そんなことはもちろんないわけですね。添加物が入っていないということ は、これは腐敗しているかもしれないということです。腐らないようにするために、日 持ちをよくするために添加物を入れたりるするわけですから、添加物を100%拒否する のではなくて、自然のままも危ないかもしれない。  というわけで、そこから出てくることは、一つは、安全な食べ物こそ危ない。つま り、安全な食べ物があると、これは添加物も入っていないし、腐ってもいない、大丈夫 だと思うとどうなるかというと食べ過ぎたりするわけです。食べ過ぎてお腹を壊した り、あるいはさまざまないわゆる生活習慣病、ぜいたく病と言われるような糖尿病に なったり、痛風になったりします。安全な食べ物であるからこそ人間は油断して、モノ は悪くないのに人間が食べ過ぎるという、そういう問題が起きてきます。 〔スライド〕  というわけで、モノと人と両方考えようということです。人に関していうと、外部依 存というのがどんどん進んできています。これは私風に言えば「人任せ」ということに なります。建物、人間の衣食住を考えてみましょう。建物は昔、自分たちで造ったりし ていましたが、大工さんに全部頼むようになり、それから着るものもしばらく前までは 親が子供のものを縫ったりしていたんですが、それも全部買ってくるようになりまし た。食べ物だけは家で生産するんだ、つくるだろうと言われていたものが、これも外に 任せるようになってきまして、外食がふえて、あるいは中食と言われるような外ででき たものを買ってきて家で食べるというようなことがどんどん行われてきて、自分の家で 何かを調理するということは少なくなってきました。  あるいは、家庭でなくても地域でも、よその地域から食べ物をどんどん入れます。生 産物を入れるます。これに対しては、最近、例えば地産地消というような形で、むしろ 自分のところで生産したものを自分のところで使おうという逆の動きがあります。  あるいは、国全体として見ると、現在、日本の自給率が非常に低くなっています。も う40%になってます。半分以上を他の国へ依存しているわけです。そういう形で次々と 外に依存をする。そのあげくどうなるかというと、外から来たものが気に入らないとい うことが起こってきます。 〔スライド〕  ここ数年、アメリカのマック裁判というのがありました。ことしの1月にアメリカで は結論が出ました。これは何だったかといいますと、マック、マクドナルドです。ハン バーガーです。これは8人のティーンエージャーだったんですが、その中の一人が身長 165センチ、体重122キロというすごい大きい。そういう人たちが、自分が太ったのは マックのハンバーガーのせいだと主張したのです。マクドナルドのハンバーガーは低カ ロリーだという宣伝をしているじゃないか。低カロリーだから、だからたくさん食べた んだと。そしたら太ってしまったじゃないか。これは、そういう低カロリーを宣伝した マックが悪い。危険性を消費者にちゃんと警告しなかったマクドナルドが悪いんだとい うので、マクドナルドを訴えたわけです。それで、結局どうなかったといいますと、詳 細は省きますが、ことしの1月に裁判所は訴えを棄却して、食べた方が悪いという、こ れは個人責任であるということで決着が一応はつきました。  つまり、モノに罪があるかどうか。それを売る側がどこまできちんとその内容と食べ 方とまで表示をしたり、あるいはこの後の言葉でいうとリスクコミュニケーションとし てどこまで相手の納得を得られるかと。この中で個人の選択、実際に食べるというのは 個人がどう行動するかですから、どこまで責任をとれるかという問題になったわけで す。 〔スライド〕  もう一つ、そこでリスクですけれども、このリスクがあるのにマックのハンバーガー を食べさせられてしまったというふうに先ほどの原告の人たちは言ったわけですが、リ スクというのは、きょうも何度も何度もリスク分析とか、リスクコミュニケーション、 リスク管理、たくさん出てきましたが、リスクっていうのは何でしょうか。そもそもリ スクとは何かというのをもう既にご存じの方いらっしゃると思いますけれども、リスク というのは、2つに分けて考えられます。  リスクは、これは統計的な期待値と言われています。リスクの中身を2つに分ける。 つまり、中学や高校で数学で因数分解というのをやりましたが、何か式を2つの掛け算 に変えるというものですが、それみたいなものです。リスクというけれども、リスクと して全部総まとめで来ると何だかわからなくなる。その中身は何かというと、危害の大 きさ、これはHの部分、これはハザードと言われるものですが、それから起こる確率、 この2つを掛け合わせたものがリスクだということになります。危害の大きさ、これを 起こすものがハザードです。これが先ほどお話ししたところでいえば、いわばモノで す。モノがどれぐらい危ないかという、これが危害の大きさです。ハザードをどんどん 小さくできればそれだけ安全な食べ物になります。そして、それがどれぐらい起こるか です。ですから、一回起きたときにどれぐらい大きい被害があるかというのがこちらで す。この確率は、それがどれぐらい起こりやすいかということになります。  よく言われますが、飛行機の事故は一回起こると何百人もの人が亡くなるけれども、 めったに起こらないんだと言います。自動車の事故の方は、一回数人だけれどもしょっ ちゅう起こる。だから、実際に起こる一つ一つの大きさに、どれぐらい起こるかという 確率あるいは頻度を掛け合わせると、実は自動車の方が危ないんだという説明がありま す。ですけれども、我々の一般的な感覚では、いや、飛行機は怖いというのがどうして もあります。それはどうしてかというと、こちらのハザード、危害の大きさだけを考え てしまうからです。実際に起こる確率はとても小さいらしいということになります。  あるいは、これは逆に言えば宝くじのようなもので、当たったときにどれぐらい大き いか。1億円、3億円が当たるのか、けれども非常に当たる確率が低い。あるいは自転 車しか当たらないけれども、当たる確率は非常に高いという場合があります。そのと き、どちらのくじを引くかというようなものです。  ですから、リスクというのは、ただ「リスク」という言葉でつかまえるのではなく て、実際に起きたときにそれがどれぐらい大きいかということと、どれぐらいの確率で 起こるのかというその2つに分けて考える必要があるのです。  そういうわけで、リスクのコントロールをどうするかというと、一つはハザードを小 さくする。実際何か起きたときの影響を小さくする。これがモノの管理の方です。です から、先ほど来、HACCPの話もありましたけれども、いいモノをつくり、それを食 べても大丈夫であるということにして、モノの管理を、モノの安全を高めていくという のがハザードを小さくする。これはどちらかというと、生産側の責任でもあります。  そして、起こる確率を小さくするということがもう一つの問題になります。これは、 例えば危険分散とか、さまざまなやり方があります。先ほどの例えばマックの例で言え ば、マックのハンバーガーだけを毎日毎日食べ続けるということをするとこの確率がど んどん高くなったわけです。ですから、あるときはハンバーガーを食べ、あるときには 刺身を食べ、あるときには野菜を食べ、当然それをいろいろ組み合わせて食べるという ような食べ方をしていくと確率は小さくなってくるわけです。当たる確率は小さくなり ます。  そういうわけで、個人と環境の問題が確かにあります。何が手に入るかというような 問題がありますけれども、もう一つは先ほどからの人の方の問題としての、食構造で す。どういうものを選んで食べるかという賢い消費者というのがもう一つの要素になり ます。  ですから、リスクというのを一つの丸ごとで考えるのではなくて、このものはどれぐ らい何かがあったら危なそうか。つまり、腐敗したものだったら、当然、これは危な い。だけれども、新鮮なものだったらハザードは非常に小さい。とはいっても、それを 余りにも食べ続けるとどこかで何か起こることがあるというようなこともある。ですか ら、この2つの掛け合わせだというふうに考えていくとわかりやすくなると思います。 〔スライド〕  さて、評価も大きく2つあります。いわゆる評価と言われるものが、先ほど来の食品 安全委員会が請け負った部分です。客観的な評価です。科学的、客観的な評価がありま す。これはもちろん、モノとしてどれぐらい危ないのかということと、それをどれぐら いの頻度で食べるかというその両方があります。  もう一つは、リスクの認知というのがあります。認知というのが、これはどちらかと いうと安心感に近いものです。人々による主観的な評価ということになります。  例えば、山崎先生のお話に、日本の主婦は添加物が危ないと思っているが、専門家 は、添加物よりはもっと普通の食品の方が危ないというふうに考えているという指摘が ありました。  それで、こういう主観的な評価、どうも何かよくわからないけど恐ろしいとか、わか らないけど何かよくわからないから怖い、というのがあります。例えば食物アレルギー などもそのようなものです。あるいは、遺伝子組みかえ食品などはやはり何か怖い。こ れらはよくわからないから怖い。あるいは、先々どうなるかわからないから怖い、とい うものがあります。もう一つは、リスクにさらされる人数が多い。これは先ほどの前の スライドで言うと確率が高いというものです。つまり、自分の周りの人たちがあの人も この人も何か経験したらしいとかという話を聞くと怖いというものです。一人の人だけ がかかるのではなくて、何人も自分そういう例を知っているというと怖い。そういう、 いわば経験的な、主観的な評価、これが人々のリスクの認知です。  ですから、実際に安全なものだったら、安全ですよというだけではリスクコミュニケ ーションは成立しなくて、実際に受けとめる側あるいは食べる消費者の立場に立って一 体どういうふうに考えられるのかというところを、きちんと納得のいくように説明をし ていくというのがリスクコミュニケーションの一歩だということになると思います。 〔スライド〕  リスクというのを考えると、先ほどの安心感というものの一番基盤にあるのは信頼で す。よそから来たモノ、遠くから来たモノ、生産者がうんと遠くにいるとそれがどんな ものかわからないわけですが、近所での農家でつくったモノを買うとすれば、これはあ のおうちでつくっているモノだから大丈夫だろうという信頼感があります。ですから、 昔はリスク管理が余り問題にならなかったのは、そういうことが理由としてあります。 外に依存していなかった。先ほど言ったように人任せにしていなかったわけです。自分 の目に見えるところでモノを調達していたので安心ができていたのですが、それは人と 人との間の信頼関係があったからです。ですから、どんな会社、どんな遠くにある会社 でも、あの会社のモノは大丈夫だという信頼感があれば、これは安心して消費者は買え るということになります。  信頼はつくりあげるのは非常に時間がかかりますが、BSEのときなどで偽装表示な どでわかったように、壊れるのはごく簡単です。ですから、生産する側、販売する側は この信頼をどうやってつくっていく、地道につくっていくかということは非常に大きい 問題で、そのためにさまざまなことをしているわけです。生産者の顔が見えるようにと か、実際ジャガイモをつくった方の写真と名前が入ったものを直接送るとか、あるいは 先ほどからの幾つかのトレーサビリティの確保というようなのも、この辺のところに関 係してきます。  いわゆる風評被害というのもありますが、あの人はいい人よというのは余り影響力が ないけれども、危ないわよというと急に怖さが広がるという、そういうところがありま す。そして、それを客観的に見ていくのが専門家ですが、専門家にもいろいろありま す。自信を持って「これしかありません」という専門家は大体怪しいんです。本当のよ く知っている専門家は、「いや、実はこういうこともあるんですが」とあまり歯切れが よくなくて評判がよくないこともあります。専門家の間でもいろいろ出てきます。「添 加物は安全だ」と言う専門家と「いや、危ない」という専門家とがあります。「原子力 発電所はいいんだ」と言う人と「そうじゃない」と言う人が出てくるように。ですか ら、信頼される情報と正しい情報というのは、これはちょっと違うというさまざまなず れがあります。  けれども、大事なことは、参加しているという感じと自分たち側の意見がきちんと伝 わっている、それが反映されているという感覚です。そしてもう一つは、公平に物事が 動いているんだということがきちんとわかることですね。ですから、参加感と公平感、 これが消費者の方できちんと持つことができれば、これは信頼関係が販売あるいは生産 者に持つことができるということになると思います。 〔スライド〕  リスクコミュニケーションでは、もちろんリスク管理をしていく上で一体何を送る情 報かということをきっちりとさせること。そして、送り手と受け手がいて、だれが受け 手なのかということを考えること。どういうような手段でいくかということです。それ に関連していけば、受け取り側が先ほど認知するという、怖いと思ったり、安心できる と、そういう認知度とどんなことを期待しているか。それから、受け取る側がどれぐら い知識を持っているかということですね。  先ほどのマクドナルドの裁判でも、食べりゃ太るに決まっているじゃないかと。その ことは当然じゃないかというふうに情報を出す側は思っても、受け取る側は低カロリー だから大丈夫と言ったから食べたんだという知識や認知の差があると、これが誤解のも とになります。  そしてまた、今、日本を含めて世界、マスメディアの役割というのは非常に大きいの で、このマスメディアがどのように動くか。あるいは、マスメディアに行政がどのよう に情報を出しながら受け取り手に正しい情報を間違いなく送るかというようなこと。そ して、行政の方でも努力されているということでしたが、コミュニケーションは一方向 でなく双方向で進めていきたいということがあります。信頼をきちんと確保することが 大事です。信頼しないと相手の言うことも聞かないです。はなからあれはうそに決まっ ているというふうに思うと、もうそこで次の言葉は入ってきません。ですから、この話 を聞いても大丈夫だと、安心できるという信頼感、これが双方向で先ほどのように自分 がきちんと参加できている、あるいは公平になって動いているという、そういう条件づ くりの中でリスクコミュニケーションが可能になっていくと思います。 〔スライド〕  今、健康ブームの中です。先ほど安全なものはないんだと言いましたが、リスク回避 というのは、実は現実的ではないんですね。大体の場合には受け入れられる、つまり納 得して、これでいいでしょうということにしてアクセプトする。需要できるリスクか、 あるいはこれだったらしようがないけど我慢しようという、そういう我慢する、耐えら れるリスクということになります。この辺のところで大体合意が成立してくるわけで す。  特に健康や食に関して言いますと、先ほど言いましたように、健康や食、外にいろい ろなものを最近「他人まかせ」にしてきていますので、それだけ外部に対する要求が高 くなっています。それと同時に、健康増進法に健康は国民の責務であという新しい概念 が入ってきましたが、やはり再び言いますが、先ほどのマクドナルドの裁判ではないん ですが、やはり食べることは最終的な選択は個人にあります。あるいは家庭にありま す。ですから、自己責任というものを抜きにして、全部人のせいにして、危ないものを よこすのがいけないというだけでは済まないと思われます。 〔スライド〕  そういうわけで、リスクコミュニケーションといっても、やはりさまざまな書いた情 報だけでは一方向になりがちですので、こういう機会も含めて双方向に言いたいことを きちんと言えるという場をつくっていくということが大事だと思います。  さらに、繰り返しますが、食べ物については個人的な選択というのが一番大事なこと なので、最終的に自分が食べるか食べないかを決めることができます。  最後に、リスクに関してややこしいのが、社会的にそれがどうかということです。自 分は反対なんだけれども、多数決でこれを受け入れることになった。例えば、原子力発 電所を町で受け入れるかどうかというようなことを投票して決めるというようなことが 起きます。あるいは、遺伝子組みかえ食品そのものを認めるかどうか。あるいは、ある 食品を社会に流通させるのかどうかといううようなことです。ごく最近、先ほどお話し にありましたアマメシバを販売禁止にしましたけれども、そういうふうに個人の選択以 前の問題としてこれは止めるべきだというような社会的な論争をして、社会的に、ある いは政策的に決めなければいけないことというのもあります。  ですから、リスクコミュニケーションの結果としてのタイプは、個人がどう納得して 決めるかということと、社会がどういうふうにそれを決めるかと。社会みんなに影響が 及ぶようなものと、その辺のところが分かれてくるという難しさがあると思います。 〔スライド〕  これは最後ですが、食品表示についてはさまざまな場面で報道されています。私自身 は食品表示というのはリスクコミュニケーションの一つの手段であろうかと思います が、食品表示をしないで済むというのはどういうものかというと、例えば対面販売なん かはそうです。加工食品でも直接相手にこれは何ですかと聞き返せるような場面であれ ば表示というのが余り要らないわけです。ですから最近、生産と消費が非常に、特に外 国からも含めて距離が長くなっていますけれども、できるだけ近いところで生産された モノを、あるいは加工されたモノを自分が納得して食べるというようなことができてく ると、表示の問題も摩擦が減ってくるのではないかと思っています。  というわけで、きょうは、まず安全と安心というのが、モノと人の両方で決まってく るということと、リスクというのは、起きたときの出来事の大きさとそれの起こり方、 どれぐらい頻繁に起こるのかという2つから決まる、ということを少しずつ社会や個人 が納得していく、そういう手段としてリスクコミュニケーションがあるということをお 話しさせていただきました。  では、これで終わります。 ●司会  丸井先生、どうもありがとうございました。  それでは、ここでまた10分ほど休憩を設けさせていただきたいと思います。  第3部でございますが、午後3時45分から開始したいと思いますので、それまでにお 席の方にお戻りいただきますようよろしくお願いいたします。 〔休憩〕 <第三部> 4.消費者団体等からのご講演 ●司会  それでは、第3部の団体等からのご講演と意見交換という形で始めさせていただきた いと思います。  第3部では、1部、2部でご講演いただいた方々に加え、各種団体の代表的な方にご 参画をいただいているところでございます。  1部、2部の方も含め、簡単にご所属等の紹介をさせていただきたいと思います。  まず、こちら側、舞台左側になりますが、外口大臣官房参事官でございます。  その左になりますが、高井企画情報課長になります。  それから、基準審査課の蛭田課長補佐になります。  続きまして、内閣府食品安全委員会、井ノ川課長補佐になります。  農林水産省消費安全局、姫田消費者情報官になります。  千葉大学名誉教授、山崎幹夫先生。(拍手)  順天堂大学医学部公衆衛生学教室教授、丸井先生。  続きまして、右手の団体からの方になりますが、それぞれお一方ずつ意見交換会に臨 むに当たり、簡単に一言、二言ずつご講演、お話をいただければというふうに思いま す。  それでは、右側の中央の方から、石川県婦人団体協議会会長、沖野美智子様になりま す。(拍手) ●沖野会長  よろしくお願いいたします。  きょうは消費者の立場で一応お話をさせていただきます。  このお話をお受けしたときに、一応私たちの団体のことを少しと、それから活動して いること、それから国に対しての何か要望がありましたらというお話でしたので、そう いうことについてお話をさせていただきます。  私たちは、一応社会教育関係の団体でありまして、地域を基盤として活動しておりま す。ぬくもりある地域づくり、人づくりを大切にしておりまして、地域の連帯というこ とを一番重視しております。  私たちは、環境、教育、消費、福祉など多岐多様にわたっての活動をしておりますけ れども、特に昨年は次々と発生する食品に関する不祥事に食品の安全性について学習す る必要があるのではないかということで、食品の安全・安心に関する講演を聞きに行っ たり、意見交換会に参加したり、それからまた実際に工場見学もいたしましたし、アン ケートもとりました。そして、そういうふうにして食の問題に昨年は取り組んだわけで す。もちろん、ことしに入ってからもそれは継続いたしております。  会員の多くが私たちは家族の生命と健康を守るため、真剣にこの食の問題について考 えなければならないという危機感に襲われたというわけであります。  振り返ってみますと、昨年発生しました大きな問題は雪印乳業の牛乳に雑菌が入った 管理ミス、狂牛病の牛が日本でも発見されて牛肉に対する不安が高まって、それによっ て表示偽造問題、うそ、隠蔽問題等が発覚したこと、それからお米の表示問題など食の 安全に対する信頼が昨年は崩れてしまいました。  もちろん、私たち消費者も食品に関しての勉強不足ということは大いにあったと思っ ております。それはまた、私たち消費者は、事、食品に携わっている人たちを全く信じ 切っていた。食に対することは安心という考えがあったのも確かです。  学習をしてみますと、添加物の表示、見方についてちゃんと知っていたか。また、合 成着色料についてどれだけ知っていたか。農薬のこと、外国から輸入する食品、これは 最近特に心配なことになりますが、そうしたこと、いろんなことを私たちは余りにも知 らなかったということにも気づかされました。  複雑に加工された食品の多いことも問題ではないかと思っております。しかしそれ は、消費者がよりそういうものを求めるということもあると思います。複雑に加工され ている食品には添加物、着色物が使用され、それによってより味がよくなったり、より 見た目も美しくなります。消費者はそれをやはりそういうものに引きつけられるんで す。  昨年から食品の安全・安心に関する会議がよくありました。私もそうした会議に参加 し、そういう機会がたくさんありました。消費者第一のフードシステムを確立しなけれ ばならない。今回の新食品衛生法の概要には、「食品の安全性を確保することにより、 国民の健康の保護を図ることを目的とする」とあります。そして、トレーサビリティシ ステムの導入、リスクコミュニケーションの必要性、消費者と生産者をつなぐ地産地消 について、JAS法改正で食品表示の信頼を回復しなければならない。意見交換は本当 に熱を帯びたものでした。  昨年からことしにかけて食の安全について各方面に与えられた影響は大きく、生産者 も業者も消費者も行政も真剣に取り組みました。しかし、その再生プランができ上が り、それが何年かたつとつくり上げたそのときの緊張感が失われて、また同じ失敗を繰 り返すのではないか、そういうことが一番心配であり、今後それが一番大切なことだと 思います。  リスクコミュニケーションについて定期的な意見聴取ということも大事なことだと思 います。また、生産者、事業者、消費者、行政がともに信頼の糸で結ばれ、バランスの とれたよい設計図をつくり上げ、推進することが大切だと思います。それから、子供た ちに食の大切さ、ありがたさを教える食育に力を入れてほしいと願っております。  さきに米の表示不正問題を挙げました。ことしは特に米の不作が発表され、既に悪質 な表示事件が続出しております。米に限らずブランド作物、石川県でも五郎島のサツマ イモ等が盗まれたとか、以前には考えられないことが起きております。こうした事件に 対して、国の方でもきちんとした対策を立ててほしい。厳しい監視が必要なのではない でしょうか。  最後に、最近、食の問題だけではなく、原子力の問題でも信頼を失うようなことがよ く起きております。そうしたとき、私はいつもこの言葉を頭に浮かべるんです。それ は、大井健三郎さんがおっしゃった「日本はそれぞれ開発されて進歩している。しか し、それをまとめる魂が不足している」という言葉を私は最近しみじみ感じます。  以上です。 ●司会  ありがとうございました。  続きまして、石川県生活協同組合連合会専務理事の表重雄様になります。 ●表専務理事  私たち生協のまず活動の方から報告させていただきたいと思います。  どんな取り組み、食の安全の取り組みをやっているかということなんですけれども、 まず、商品活動の取り組みですけれども、生協では食の安全・安心を確保するために生 協独自のいろんな基準をつくっております。例えば食品添加物、それから残留農薬、そ れから微生物検査、それから食品表示、遺伝子組みかえ、ダイオキシン等々、いろんな 基準をつくって運用をしております。  それから、安心を確保するための産直活動も取り組んでいます。それから、これは昨 年からですけれども、トレーサビリティ情報を組合に提供しております。中身として は、現在、産直牛、それからいわゆる産直野菜なんですけれども、我々は元気野菜クラ ブと言っておりますけれども、合わせて48品目の情報をホームページで公開しておりま す。  それから、残念ながら我々の扱っている商品の中でも偽装表示の問題がありましたの で、新安心宣言ということで新しく認定基準をつくっています。それから、組合員さん には、ここに持ってきてある、こういうパンフとか、それからチラシなんかを共同購入 時に組合員さんに配り、情報提供を行ったり、それから組合員活動、いわゆる学習に 使っていただいております。それが商品活動の取り組みでございます。  それから、組合員活動の取り組みとしては、先ほども食品衛生法の改正案の説明があ りましたけれども、我々は食品衛生法の改正に向けて、実は2000年度から取り組みを開 始しました。そして、全国では1,300万筆の署名を集めましたし、石川県内では26万筆 の署名を集めました。それから、改正に向けては、県選出の国会議員との懇談会、県議 会への要請講座などの取り組みを進めてきました。そして、今年の5月、食品基本法の 成立し、それから食品衛生法の改正案が可決されたわけですけれども、その後、我々は 石川県の食品安全基本方針の策定に向けて懇話会に参加しております。懇話会で基本方 針をつくるに当たって、少しでも多くの生協の組合員さんの声を生かせるようにしてい きたいと考え、コープいしかわで「食の安全を考える会」という会を設置していこう と、今現在、準備を進めております。  それから、横にJA中央会の山本専務おいでますけれども、JA中央会の働きかけで アグリフォーラムいしかわを設置しました。そして、8月に食と農に関するシンポジウ ムを開催するなど、我々はこのような活動を進めております。  そういう中で、きょうのこの意見交換会に当たっての我々の質問ですけれども、6点 あります。特に食品衛生法の改正に当たっての質問が中心になります。  1つは、残留農薬とか、それから動物用医薬品規制のポジティブ化は非常に我々が要 望していたことであり、非常に評価できるし、我々は喜んでいるわけですけれども、そ れに当たっての移行までのスケジュールはどのように考えているのかを一つは説明して いただきたいなと思っております。  それから2つ目としては、既存添加物のリスク評価を進めることになっていると思い ますけれども、安全性評価作業の手順とスケジュールはどのように考えているのかをお 聞きしたいと思います。  それから3つ目なんですけれども、使用実態のない添加物も多くあるんでないかなと 思います。削除までの進め方についてどのように考えているのかをお聞きしたいと思い ます。  それから4つ目なんですけれども、監視指導指針策定までのスケジュールの明確化 と、それから消費者がどのように参加し、意見が反映できるように考えられているのか というところをお聞きしたいと思います。  それから5つ目はリスクコミュニケーションですけれども、厚生労働省としてどのよ うに進めていこうとしているのかをお聞きしたいと思います。というのは、石川県内で は、いわゆる農水省関係のリスクコミュニケーションというのはかなり進んでいるんで はないかなと思っております。実は先日、北陸農政局と消費者団体の意見交換会があっ たわけなんですけれども、これなんかは本当に時間をオーバーするというぐらい本当に いろんな意見が出されまして、本当によかったなと我々は感じているわけなんですけれ ども、それに比較して、厚生労働省とのいわゆるリスクコミュニケーションというのは 今回が初めてなんです。やはり進めていこうというような方針が出されておりますの で、具体的にどういうふうに、きめ細かなリスクコミュニケーションをすすめていこう としているのかをお聞きしたいなと思います。  そして最後なんですけれども、食の安全行政を進めるには国と自治体との連携という のが非常に大切でないかなと思っております。特にきょうの説明にもありましたけれど も、事業者の責務として知識及び技術の習得があるというふうに書かれておりますけれ ども、きめ細かな連携がないと、なかなか理解していただくことが不可能でないかなと いうふうに私は感じるわけなんですけれども、そういうところをどんなふうにお考えな のかというところを最後にお聞きして、私の発言を終わりたいと思います。  以上でございます。 ●司会  ありがとうございました。  続きまして、石川県農業協同組合中央会専務理事、山本幸雄様、よろしくお願いしま す。 ●山本専務理事  きょうはJAももちろんそうですけれども、生産者という立場できょうこの意見交換 会に臨ませていただきました。ついては、「おいおい、そう言うけれども、おまえさん とこ一体、今までにいろいろ話題がたくさんあったはずだけれども、どうなっとるんだ よ」ということが、私どもとしても非常に今重視をしておるところですから、そういう 意味で直近のことだけをちょっと申し上げておきたいと思います。  私どもJAの方では、昨年の12月あたりから、それまでに今、話題があったいろいろ な問題を踏まえて、それを教訓にする。私どもとして、組織としても教訓にしていこ う。生産者としてもそこを教訓にしていこうということで、農産物の安全・安心という ことをもう一遍取り組み直そうということで、その食の安全・安心のための対策本部と いうのを昨年暮れから設置をして、今、その取り組みをスタートしておるところです。  いろいろな仕事を今考えておる、あるいは仕組んでおるところですけれども、一番今 注目されておる、あるいは問題になっているところでいえば、例えばお米についての安 全・安心なお米ということを表に大々的にやっぱり打ち出していかなきゃいかんだろ う。それを消費者まで明確におわかりいただけるような仕組みをつくろうということ。 それから、県内で生産されるそのほかの農産物についても生産履歴をきちっと記帳をし ていこうことを運動として仕組んでおるところです。これも昨年暮れあたりから、それ ぞれ生産者向けのいろいろな研修会とかPRとか指導方針とかというのを順次出しなが ら、それぞれ農家の方々に今工夫をいただいておるところです。  正直なところ、そう言っても農家の方々、今まであんまり帳面をつけるとか、いろん なことを記録をして残していくということは決して得意じゃない面があります。したが って、相当恐らく時間かかるなと。このことがきちんと定着をしていくにはこの1年で 簡単にできるということにはならんだろうというふうには思っています。しかし、でき るだけ短期間に、私どもの思いとしては3年ないし4年ほどの期間の中でこういう体制 をちゃんと確立していこうということで、いろいろ今取り組んでおるところです。  ということは、農産物が消費者のそれぞれ皆さん方のところへ届くまでの間に、先ほ どの資料にありましたけれども、一番、第一義的にやっぱり生産者にかかわるいろんな 説明責任というのがあるだろうというふうに私どもも思っています。そういう意味で は、生産段階での説明責任というのをきちっと果たしていく体制を早くつくろうという ことでございます。  もちろん、私どもの生産段階でのそういう説明責任がここ数年で確立されていくとい うことになれば、それを受けて流通とか加工の段階でそれをさらに引き継いで、最終的 には消費者の方々へこの情報が正確に伝わる。必要な説明責任がトータルとして果たせ るという形にやっぱりなっていくんだろうと思います。  だから、そういう意味で、私どもとして今、これは県内でも食の安全にかかわるいろ んな検討会等がいろいろやられておりますけれども、今までの論議の経過を見ています とどうしても私どもとして気になるところがあります。というのは、説明責任というこ とを考えていって、生産者の段階と今まで消費者の方々にいろいろな不安とか、あるい は信頼に問題を起こしてきたというところを見ると、生産者のところで何をしなきゃい かんか、あるいは生産者の責務というのは何なのかということと、流通確保というとこ ろの責任が何なのか、責務は何なのかということはおのずと違う。したがって、対策も そういうところをきちっと分けた対策を明確にしていかないかんのだろうというふうに 思っています。そういう意味では、きょういろいろ出てきた冒頭の説明等も含めて、も う少しそこのところを明確に打ち出す必要があるんじゃないかなということを私どもと して思っています。  もう1点だけちょっと触れさせていただくと、今、国内の食料の自給率、ご承知のよ うに極めて低い状況です。こういう中で、食の安全ということを考えるときに、輸入の 部分をどうするか。きょうもちょっと出ていますけれども、輸入の部分をどうするかと いうことが非常にやっぱり大きな問題になってきているというふうに思っています。  国内の農産物なら、例えば生産する地域が違った、北陸でできるものとか、あるいは 関東とか東海でできるものがそれぞれ違ったところで生産をしたとしても、基本的には 例えばそれを律する法律とか制度とか、あるいは物の考え方というのはあるベースが ちゃんとあるわけですけれども、ところが輸入されてくる農産物というのは世界各国そ れぞれ全く違った形で、違った風土の中で生産をされてきておる。このことについて、 安全をどう確立していくかというのがやっぱり私どもも非常に関心が高い。国内で農産 物を生産しておる我々の立場からいっても、非常に今関心が高いところです。そのこと について、やっぱり先ほどの厚労省からの説明の中でも食品衛生監視員をもっとふやし ていくという話がありましたけれども、ここのところも今出されておる計画で十分なの かどうかということについても非常に私どもとしても今関心を持っておるところでござ います。  以上です。 ●司会  ありがとうございました。  続きまして、石川県スーパーマーケット連絡協議会代表幹事の松川治彦様になりま す。よろしくお願いします。 ●松川代表幹事  石川県スーパーマーケット連絡協議会といいますのは、石川県内に本社を置くローカ ルスーパーの集まりでございます。そういう形なものですから、それぞれ経営母体は独 立しております。そこで我々もひとつ、いろいろ協議会ということで組織化はしている んですが、なかなかその辺のところで意見が統一しないといいますか、大中小といった ような感じで分かれておりますので難しい部分はあります。とはいっても、それぞれの 独立された方たちがまた全国組織に加盟しておりまして、その全国組織の中で食の安全 ということをそれぞれでお考えになっております。  そういうことで、ちょっと我々の団体の説明をしにくいんですけれども、早速です が、私のきょうの質問事項といいますか、2点したいと思います。  今ほど山本さんもお話しされました。先ほど丸井先生からもお話ありました。私も仕 事柄、農業に従事される方、漁業に従事される方とお会いする機会が多いんですけれど も、非常に年配の方が多うございます。果たして日本の今後、自給率を考えた場合に向 上できるのかどうかということです。それに伴う後継者の方がいるのか、いないのか。 お聞きしますと、いないというのが答えみたいです。そういう中で、今、先ほど山本さ んがおっしゃられた6割は海外商品なんです。その海外商品の中で事あるたびに海外商 品をバッシングしていった場合に、果たして我々日本人食べていくものがあるのかとい うような疑問を持つわけです。それにつきましてどういうお考えか、お聞きしたいと思 います。  もう1点は、これは直接関係ないかもしれませんですけれども、我々も魚、そして青 果物は金沢の中央市場を中心に仕入れをしております。そのときに感じますのは設備の ことなんです。例えば今、JAさんのお話がありましたけれども、JAさんの品物が生 産者から市場へ行くまでの流通はトレーサビリティがきちんとなっていても、市場へ着 いたときの状態がどうかということです。いわゆる、もう秋になってきましたけれど も、夏場は炎天下にさらされている。そういったような状態でトレーサビリティが果た してお客様の口まで届くまでにきちんとやれるのかという疑問もございます。そういう 環境の整備といいますか、そういうことにつきましても2点目として質問したいと思い ます。  きょうは2点の質問にかえさせていただきたいと思います。  以上です。 ●司会  ありがとうございました。  続きまして、石川県食品協会理事の本城邦三様、お願いいたします。 ●本城理事  石川県の食品協会理事ということですが、仕事の方は広報委員長というお仕事をさせ ていただいております。  私ども石川県の食品協会ですと、みそ、しょうゆ、酢、あるいはお菓子だとか、豆腐 だとか、魚だとか、あるいは麸だとか、つくだ煮だとか、いろんな業種の方が入ってご ざいます。私、鶴来の方でちっぽけな冷凍食品会社をやっておりますが、実は食品の関 係者というのは今は非常に肩身の狭い思いをしているんじゃないかなというような気が いたします。  ここ数年の間、例えば腸管出血性の大腸菌、俗にいうO−157H7ぐらいだったか なと思いますが。それから、先ほどもちょっとお話出ました大手の乳業メーカーのブド ウ球菌、要するにエントロトキシンが発見されて数万人の方が食中毒に遭った。あるい は、狂牛病だとか、食品偽装の問題、あるいは使用してはならない添加物。  ついせんだっても、中国の鶏のインフルエンザが5月12日にだめだぞということで農 水省から発表されました。そうしましたら私どもの業界では、あっという間に2割から 3割鶏肉の値段が高くなりました。  それから、ホウレンソウの問題です。これはその1週間ぐらい後の5月20日でした。 クロルピリホスが発見されたので使用禁止というような通達が出ました。さあ、市場の 値段も冷凍のホウレンソウも大変な勢いで、わずか1週間か10日の間にもう倍ぐらいの 値段になってしまいました。  こういうことで、非常に苦い思いを、苦しい思いを日々感じております。  きょうは、食品協会全般については範囲が広うございますので、一番大きな問題とい いますか、アレルギーの表示問題について少しお話をさせていただければなということ を思っております。  このアレルギーの表示問題も13年3月15日公布されました。それから、4月1日から 施行だぞということなんですが、1年間の猶予ということで、14年の3月31日までとい う1年間が決められたんですが、去年の4月1日から3月20日現在のところで日本全国 で9社、ある1社なんかはもうつぶれそうになるほどやられました。9社ひっかかって おります。  これについては、私どもも13年の暮れから調査に入ったんですけれども、実のとこ ろ、最初問い合わせしましたところ、1週間たっても2週間たっても3週間たっても返 事が来ませんでした。そして、若い女性方に担当者を決めてやらせたんですが、13年に は全くその当時は進まなかったんです。現在ですと、速いところは5分ぐらいでアレル ギー物質が入っていますよというのがすぐ来るんです。遅くても1時間以内にはみんな 来ます。ところが、当初は3週間も、ひどいになると1カ月ぐらい来なかったというの が現状です。  ですから、9社かかった中には、そういうことでおくれて、あるいは大量に生産して いたので、そういうアレルギーの物質が後で発見されて大変な思いをされたんではない かなと、私どもは同じ生産者としては想像でございます。  その品目でございますけれども、皆さん既にもうご存じだと思いますけれども、特定 原材料に5品、それからそれに準ずるものが19品、今、近江町市場へ行きますと台の上 に勇ましく並んでおりますマツタケがだめです。山芋だめです。あるいはおいしいお 魚、私の大好きなアワビもだめです。イカ、エビ、イクラ。こういうことになってきま すと大変悲しい思いをするんですが。特にその中でも卵と乳と小麦、それは多くかかる ものですが、もっと危険なのは落花生とそばでございます。そういう24品がひっかかる わけなんですけれども。  これも、こういう品物は書いてあるんですが、その中の量がどれだけ入っていたらだ めなのかということを意外と皆さんも知らないんです。あれを見ますと0.1ppmと書いて あります。1ppmは100万分の1でございますので、100万グラムの中に1グラムそれ入 っていたら、もう書かないと違反なんですよということなんです。ここにも罰金が幾ら ということが書いてございました。それが0.1グラムですので、1,000万グラムの中に1 グラム入ったらもう違反なわけなんです。  皆さんちょっと考えていただきたいんですが、1グラムということが100万というこ とになると、1グラムが1,000個集まって1キロです。その1キロが1,000個集まって1 トンです。10トンの中に1グラム入っていたらそれは違反だということですから。  ゆうべ私のうちのおふろをちょっと見てきました。我が家のふろは、60センチの110 センチ。深さが50センチでした。ちょうど330リッター、0.33トン入るわけなんです。 これが3日間で1トン。30日でちょうど10トンなんです。その10トンの場合には書か なきゃだめなんですけれども、31日おふろ沸かしたその中に1グラム入ったら書かなく もいいと、こういうことなんです。果たして、そういう特定の原料がこういう0.1ppmの その根拠のことについて、ひとつ先生方にお聞きしたいということです。  また、これ、私ども勉強させていただきまして、いろんな笑い話だとか、何だこんな もの入っているのかというようなことで、全製品を調べさせてもらったんですが、中に はこういう笑い話がありました。若い社員が「社長、ガザミというのは何ですか。さび たはさみでしょうか」と。それから、「かつおぶしやさばぶしはわかるんですけれど も、とこぶしって何ですか。何でつくるんですか」。皆さんおわかりでしょうか。アワ ビとよく似たのがとこぶしなんですが、とこぶしというのは息をするところに7つか8 つ穴あるんですし、アワビは4個か5個なんですが、そういうことが若い人たちに大変 勉強をさせてもらった材料でした。  中には、意外にこんなものにこんなものがというのが入っておりました。私ども大豆 油も使っておりますが、意外と大豆油の中にダイズユがまざっているということが発見 されました。それから、だしですけれども、だしもうっかりしておりますと、その中に 一つの製品の中です。小麦粉、乳、大豆、あるいは鶏、サバ、こんなものが入っており ますし、それから紅ショウガなんかも私どものいろいろ調べてみたんですが、やっぱり リンゴ酸だとか小麦粉が入っておりました。  それからペクチン、皆さんジャムのお好きな方なんかもいらっしゃると思いますが、 この中にもいろんなペクチン使っておりますけれども、やはりリンゴ酸を使って、リン ゴ以外のものを入っているというのを発見されました。  特に驚きましたのは、コショウの中にそば粉が入っていたということです。ですか ら、そうしますと、若いお母さんが子供を連れてラーメン屋さんに行って、うちの子は そばアレルギーだから、そばをやめてラーメンにしようと思ってコショウをかけたら、 その中にそば粉が入っているというような、そういうことも起こるんじゃないかと思い ます。  その辺のことをどう行政の方では考えていらっしゃるのか。こういうことも十分これ を検討する必要があるなということを考えております。  ちょっと時間が長くなりましたが、もう1点です。  私どもは小さな会社ですが、実は卵を一日にやっぱり1.5トンほど使うことがありま す。1.5トンと言うとうん? と言うんですが、Mに換算しますと数が3万個です。そ れを一人が一日、毎日毎日、朝昼晩食べて千九十幾つ。この3万個の勘定をしますと約 28年にちょっとの量、一日にそれぐらい使うわけなんです。家族4人で使いますと7年 ちょっとぐらいでしょうか。これだけの量のものを使っておりますと、大変注意はして いるんですけれども、先ほど言いました10万グラムに1グラムの勘定ですから、作業員 の作業服にしてちょっぴり入りはしないか。あれが入ったときはどうするんだというこ ともどうして調べるんだということも、これもあわせてお聞きしたいなということを 思っております。  ちょっと長くなりました。失礼します。 ●司会  ありがとうございました。  続きまして、石川県農業短期大学教授、矢野俊博先生、お願いいたします。 ●矢野教授  石川県農業短大の食品科学科で応用微生物を担当しています矢野と申します。どうぞ よろしくお願いします。  団体としての取り組みということなんですけれども、今までお話しなられました5名 の方とは違いまして、大学ですから団体としての取り組みがほとんどないわけです。と ころが、私どもの大学は平成17年に四年制の大学に移行いたします。そういたします と、我々食品科学科では、きょうのお話ではないですけれども、食の安全・安心に力を 入れていこうということで食品衛生系という系を設けまして、そこに3研究室を設けて 食の安全・安心に取り組んでいこうというふうな考え方で現在動いております。  だから、現在では大学としての動きはほとんどございません。ただ、私個人的に、 きょうも出席されていますけれども、食品衛生協会あるいは食品協会等々の講演で、 きょうのお二方の先生講演されましたけれども、ああいう形で微生物あるいはほかの食 中毒といったような関係の講演をすることによって、皆様にその危険性のことをお話し するというふうなことをやっております。  もう一つは、きょうもちょっとHACCPというお話が出ていたんですが、私ども北 陸HACCPシステム研究会というのをやっております。これは、北陸三県で大体130 前後の会社が参加していただいておりまして、年三、四回の講演をやっておりまして、 東京からとかいろんなところから先生に来ていただきまして、また地方厚生局の先生方 も講演に見えておられますけれども、そういう形で主に生産者サイドに目を向けて食品 の安全・安心を進めていくというふうなことをやっています。  また、私ども卒業生が石川県あるいは富山、福井の食品企業に努めております関係か ら、その関係で卒業生あるいは就職先の会社の方々からいろんな質問に答えるというふ うな考え方で取り組んでいるというのが現状でございます。  きょう本日、今までかなりの方がご質問ということでお話しされたんですが、大分あ れなんで、私、3つぐらいをちょっとお尋ねしようかなと思っております。  1つは、食品、これは最初の資料1の6ページのところに該当するわけなんですけれ ども、食品と利用者の責務というところがあるんですが、そこで自主検査の実施という ふうなことが書かれております。これは、もっと詳しく話されたらわかるとは思うんで すが、これは自社でやるのか、それとも登録機関等々で分析をするのかというのが一 つ。  それから一つは、我々、企業とちょっとお話しする機会がありますと、いわゆる流通 業界、スーパーあるいはコンビニさん、そういうところと取引をされている場合、各社 各社が検査に回っている。そのたんびに検査料みたいなものを取られるというふうなこ とを聞いております。こういうようなのも厚労省あるいは農水省だけではなくて通産省 関係が参加されまして、流通業界一本の基準をつくっていただければ生産者、いわゆる 食品企業の方々は助かるんではないかな。一つの規格、ばらばらのスーパーあるいはコ ンビニがばらばらな規格を持っておるんです。そうすると、そのたびに検査料が要る。 だから、そういうきっちりした管理基準というものをつくっていただきたいというふう なことを考えております。  それからもう一つは、先ほどちょっとポジティブ制度というふうなお話がございまし た。この農薬というのは、今まで日本で229種というお話なんですが、ホウレンソウ事 件以来、外国で認められている農薬も少しは認めていこうという動きが確かに出ていた と思います。そういう関係で、229種類の農薬がふえていくのではないか。あるいは、 一部禁止されて生産中止とかそういうふうなことに動くわけなんですけれども、そうい うときの回収とか廃棄をどういうふうにされていくのかということをちょっとお聞きし たいと思っております。  それからもう一つは、19ページ、これはきょうはちょっとご講演がなかったんであれ なんですが、これは大学人としてちょっとお聞きしたいわけなんですけれども。いわゆ る食品衛生管理者の養成施設、講習会について、指定制度から登録制度に改めるという ふうなことが書かれています。私ども先ほどお話ししましたように、四年制になった場 合に食品衛生管理者という資格をぜひ取らせたいと思っております。したがいまして、 この登録制度というのが、私が勉強すればいいんでしょうけれども、どういうものかと いうものをちょっとお話ししていただきたいというふうに考えています。よろしくお願 いいたします。 ●司会  ありがとうございました。 5.質疑応答・意見交換 ●司会  それでは、具体的な意見交換の方に入らせていただきたいと思いますが。  今回、意見交換会の参加申し込みをいただくに当たって、事前にいただいている意見 が幾つかございます。まずは新しい食品、食の安全の取り組みというところから意見交 換を始めていきたいと思うんですが。  その関係のご意見といたしましては、まず、いわゆる食品安全委員会、事務局の方で すけれども、農水省、厚生省の職員で構成されているというような話を聞いているわけ なんですが、私たち消費者としては食品安全委員会が機能したときに何も知らなくても 真に安全な食品がだれでも手に入る状態になってほしいというようなお話がございま す。  もう一つは、食品安全基本法の精神を考えますと、HACCPとトレーサビリティと いうのはやはり車の両輪というふうに考えているわけですが、流通、製造、生産の現場 というのは非常に厳しい現状があるということで、いわゆる何でもかんでも生産者の方 にいろいろやっていただくというよりは、消費者の方もいろいろ理解をしていく必要が あるんじゃないかというようなご意見等も来ているところでございます。  食品安全委員会の関係でもございますので、できれば井ノ川補佐の方からちょっと一 言いただければと思いますが。 ●井ノ川課長補佐  まだ発足して3カ月目でございますが、これは委員長がよく言われるんですけれど も、信頼されるためには、要するに「信なくば立たず」とか言われて、そのためには地 道な努力をしていく必要があるだろうと言われております。そのために私どもその委員 会も公開制にしておりますし、その提供できる情報はホームページ等さまざまな機会を 通じて提供していこうと考えております。  それと、情報を関係者の皆さんと要するに共有する。共有の高さというんですか、そ れを高く、厚くしていく必要があるんじゃないかというふうに考えております。今後と も皆様方に信頼される食品安全行政確立のため、委員会のもと私ども努力してまいる所 存でございます。  それから、私ども事務局の職員でございますけれども、親元どこかといいますと農 水、厚生両省の職員で構成されるというお話ございましたけれども、農水、厚生の方と 私、内閣府でございます。あと県の方も来られております。それで、こういった構成に なっているというのは、まず一つはリスク評価の具体的手法に加えまして、私どもがリ スク評価を行って、それを結果をリスク管理機関に通知して、リスク管理機関では具体 的な施策を実施されるわけでございますが、リスク管理機関の施策に精通した人もやは りそういった専門的な知識を持った方も必要であるということで来ていただいているわ けでございます。  私どもリスク評価を関係機関から独立した立場で行う食品安全委員会のもとで、その 食品安全委員会を支援する立場でやっておりますので、どこの役所の出身の者であろう とも、そういった気持ちで仕事を進めているつもりでございます。  以上でございます。 ●司会  ありがとうございました。  また、これにつきまして会場の方からもご意見等をいただければと思いますが、お時 間も余りございませんので、もしご意見等ございます場合には、お一人様1つというこ とでお願いしたいと思います。  まず、今の食品安全行政の安全委員会とかのお話の関係でもしご意見等あります方お られましたら挙手をお願いできればと思いますが。  そちらの方。 ●質問者  1問ご質問をさせていただきたいんですが、先ほどから出ていますきょうの資料の資 料1の15ページにございます、また1ページ目でございましたが、食品衛生法の改正内 容ということで、実は私ども、ここのところに出てきます(4)番、(5)番に該当します民 間検査機関でございます。この民間検査機関がいわゆる登録制に移行していき、そして その登録を取得しますとどのような効力といいますか力といいますか、また責務を負う 形になるのかということをお聞きしたいのと、具体的にそこの登録の基準、いつから登 録の受け付けをどこの窓口で、またそれを生かすための条件は一体どういう条件である のか、この辺をちょっとお聞きしたいと思います。 ●司会  ちょっと、質問の趣旨から少し外れてしまったんですが、参事官の方からお答えをお 願いします。 ●外口参事官  お答え申し上げます。  今度、検査機関について公益法人だけじゃなくて、もちろん検査の必要な件数が次々 ふえていく状況にあるわけですから、それを充実強化するために民間の検査機関の中で 一定の条件を満たす検査機関については指定の検査機関が今までだったんですけれど も、今度は民間の検査機関も登録制ということにして、モニタリング検査だとか命令検 査だとかをやっていただけるようになるようになります。それはいつからかというと、 これは5月に法律が公布されてから9カ月以内の施行ということになりますので、来年 の春、2月末、それまでにやる。  どうして時間がかかるかというと、やっぱり一定の準備が要るわけなんです。どうい う準備かというと、民間の方参入されるわけです。もちろん信用しないわけじゃないん ですけれども、やっぱり大事なのは公正性、中立性、それが一つあります。  だから、例えばそこの検査機関の資本関係だとかいろんなことが、どこかの例えば食 品の輸入の会社だとか何かいろんなところと特別の関係がないかどうかということを やっぱり一定の要件で担保するという基準をつくる必要があるわけです。それからあと は、今までの実績とか、どのぐらいの検査の能力があるか、そういうのも一定の基準を つくる必要があるわけなんです。  そういう基準を今実はつくっておりますので、それができ次第、またお知らせできる ことになりますので、もうちょっと時間かかりますのでそれをご参照いただきたいと思 います。  それから、先ほどいろいろ出ていた意見に最初にまずお答えしたいんですが。 ●司会  まず、食品安全委員会の関係でちょっとご意見があったので、井ノ川補佐からお答え いただいたんですけれども、それに対するご意見があった場合を尋ねさせていただいな ものですから。  順次、意見交換については進めていきたいと思いますが、途切れてしまうのもあれな ので、食品安全委員会の関係で井ノ川補佐からのお答えに関して、また何かお返しする ようなものがあった場合に、ご意見されたい方おられれば挙手をお願いしたいんですけ れども。  特にはよろしいでしょうか。  では、次のご意見に行きたいと思うんですが。  先ほど生協の表様から6点ほどご意見をいただいておりますので、これにつきまして 外口参事官の方からご回答をいただければと思います。 ●外口参事官  それでは、表さんの質問に答えさせていただきます。さすがに厳しいご質問がたくさ んで、ありがとうございました。  それで、まず残留農薬のポジティブリスト化の話なんですけれども、表さんもちろん ご存じだと思いますけれども、ちょっと簡単に解説しますと、ポジティブリスト化とい うのはどういうことかというと、今、残留農薬の基準が決まっているのは229なんです。 それで、実は基準が決まっていればそれをオーバーしたら当然流通禁止なんですけれど も、実際に国内で農薬取締法に基づいて登録されて使用できる農薬の数というのは350。 もう既に229を超えているわけです。  現在、国際的に使用されている農薬、それらを含めてですけれども約700あって、実 際それが流通しているわけなんです。じゃ、そういうものをどうして禁止できないかと いうと、高濃度に残留していて、健康被害のおそれがある場合は、これは流通規制はで きます。ただ、そうじゃない場合は、今の仕組みでは少しだけ入っているような場合 に、それを明確に流通の規制するようなうまい仕組みがないわけなんです。それでどう するかということで、ポジティブリスト化にして、そこの基準を全部決めて、基準に出 ていないもの、あるいは基準をオーバーしたものは全部流通が禁止できるようにしよう と。そういうことをしようというのがポジティブリスト化なんです。  これをつくるのは実はちょっと時間がかかります。それで、3年間というお時間をい ただいたというか、約束しているんですけれども、そう言うと「3年間、そんなもたも たしていちゃだめだ」と多分言われるとは思うんですけれども、実は国際的な話にもな りますので、WTOに通報して、各国の意見を聞く。例えば、日本にだけ有利に見られ るような基準をつくっては国際的な常識がやっぱり許してくれないわけです。それから あと、どうして時間かかるかというと、もちろんパブリックコメントをとる時間とかい ろいろあるんですけれども、物理的な作業量というのがすごいです。たかが数百じゃな いかと言われるかもしれませんけれども、実は作物ごとに決めるんです。だから、数百 掛ける作物の数だから、物すごい数になるわけです。  それから、実際どうやってつくるかというと、暫定的基準として国際基準をベースに してコーデックスの基準だとか、EAの基準だとか、アメリカ、カナダ、オーストラリ ア、ニュージーランド、EU、そういうところを参考にしてつくるんですけれども、そ このどこにも基準がつくられていないやつは、これはまた一定の科学的根拠を持ってつ くらなきゃいかんわけですから、そういうような作業が実は大変で、もうかなりのハー ドワークを始めておりますけれども、やはりそれだけ時間がかかることをご理解いただ きたいと思います。  もちろん、進捗状況等は次々と我々情報提供できると思いますし、それから審議会の 中でもこれは審議をしておりますし、その方法とかについてホームページ等も出ていき ますので、そこでまたご意見等いただければと思います。  それから2番目、既存添加物ですけれども、既存添加物というか添加物全体の話なん ですけれども、普通一般的な食品というのは問題があったときに初めて流通禁止になる んですけれども、食品添加物というのは指定制度というのがあって、厚生労働大臣の指 定を受けていなければ販売などを行うことはできない、そういう仕組みになっているわ けです。  平成7年に天然添加物という今まで普通に使っていたのをどうするかということで、 平成7年にこれが指定の制度に入ったんですけれども、一応それは既存添加物として指 定制度の例外として、今まで食経験があったからということで、従来は引き続き使用可 能だったんです。それを今度、法改正しまして、既存の天然添加物だといってもやっぱ りいろいろあるだろうということで、安全性に問題のあることが確認されたもの、ある いは既に使用実態のない既存添加物については名簿から削除して使用禁止にすると、そ ういった仕組みができたわけなんです。  どうやってやるかなんですけれども、既存添加物は489あるんです。489あって、これ もいろいろ区分けができます。国際的にもう安全性の確認されているようなもの、ある いは科学的な文献がある程度そろっているもの、そうじゃないもの。そうじゃないもの などの中に現状の使用実態がよくわかっていないものもあります。そういうものについ て、使用実態調査も今考えていますので。  それで調査して、例えば消除、削除のことですけれども、そういうのをある程度念頭 に置いた添加物については、そういうものを一定期間公示してご意見を聞いてというプ ロセスを踏みながら、消除すべきものは消除すると、そういうステップに入っていくと 思います。  これは計画的、段階的にやっていきますので、少しずつのステップを踏んでいくこと になると思います。やっぱり数年ぐらいかけて順番にやっていくのかなと思っていま す。  それから、監視指導指針についてですけれども、これは監視指導指針というのは1の 資料のところにもありましたけれども、監視指導指針自体は実はもう8月29日にできて います。それに基づいて指導計画ができるわけなんです。監視指導指針は、8月29日に 厚生労働省告示第301号というのが監視指導指針なんですけれども、厚生労働省のホー ムページを開いていただきますと一番左側のところにいっぱい書いてありますけれど も、一番わかりやすいのは、関係ないんですけれども求人情報の欄が割と大きい欄で す。その上に食品安全情報というのがありますから、そこを目印にして、そこをクリッ クしていただくと食品安全情報の欄が出ます。  そこから食品安全情報の欄を出して、今度は右側に法令検索の欄がありますので、そ この通知等というところから入っていただくとたどりつけると思います。かなりのボ リュームになります。  その指針の中に、例えば行政とか事業者とか消費者の役割分担とか、フードチェーン の各段階における監視指導の実施だとか、生産段階の食品安全規制との連携の確保とか いろいろ書いてありますので、そういった指針とかガイドラインに従ってそれぞれの自 治体が具体的な計画をつくっていくことになるわけです。  もちろん、計画をつくるに当たっては、リスクコミュニケーションのところの法律の ところにもちゃんと書いてありますけれども、消費者の皆様方初め意見を聴取してしっ かり反映させていいものをつくっていくと、そういう仕組みになっています。恐らく具 体的な取り組みはいろいろ自治体がこれから始めていくことになると思います。  それからあと、厚生労働省はリスコミをどのように進めていくかと。農水省に比べて よく見えないよというように私は受け取れたんですが、実はリスクコミュニケーショ ン、厚生労働省も農林水産省も食品安全委員会も全部これやっているんです。今、結構 同じようなテーマです。法改正が中心になって、それからだんだんテーマ別にいくんで すけれども。これを別々にやるとまた縦割りやっていることになりますので、今回のよ うにどこで何をやるかというのを、今実は我々2週間に1回集まって調整していますの で、きょうも金沢でやるということをうちが決めて、ここに書いてありますように、主 催、厚生労働省、共催が農水省と食品安全委員会なんです。出ていただいて、その逆の ケースもやっていますので、そういったことを組み合わせて、同じのを1回ずつやるん じゃなくて、3回やればどこかが添加物の話を中心にできて、どこかが農薬中心にでき てという奥も深まりますし、やり方も変えられますので、そういった工夫をしていきた いと思っています。  それからあと、国のレベルだけじゃなくて、自治体はもちろん懇話会とかもう始めて おられるようですけれども、それぞれの立場でやります。  実際、前回どこでやったときだったかな、神戸だったかな、そのときも参加者のアン ケートの中に自治体の職員の方が、自分たちでやるときの参考にしたいからということ をコメントとして書いていただいておりましたので、それぞれの自治体でいろいろ工夫 してやってくださると思います。ここの自治体のこういうのがいいよというのがあった ら、それを私たちにも教えていたげればもっといい方向にいくんじゃないかなと思って います。  それから6番目、連携の話です。自治体との連携、やっぱり現場は自治体ですから大 変重要だと思います。  実は私もここ1時から始まったんですけれども、きょうはお昼前に県庁行ってきまし て、谷本知事と中西農政部長と大井健康福祉部長とちゃんときょうの意見交換会の趣旨 を説明してまいりました。それから、食品安全対策室、大川次長さんにもちゃんとそこ に座っていただいておりますので、しっかり連携とっていきますので、よろしくお願い します。  以上が表さんの方に対する答えです。  それからあと、アレルギーの話が表示にありましたけれども、今どういう仕組みに なっているかというと、表示されるアレルギー物質というのは、必ず表示されるのが5 つあるんです。卵と乳、ミルクです。それから、小麦、そば、落花生。それからあと、 表示が進められている品目というのは19あって、これに準じたものとしてアワビ、イ カ、イクラ、エビ、オレンジ、カニ、キウイフルーツ、牛肉、クルミ、サケ、サバ、大 豆、鶏肉、豚肉、マツタケ、桃、山芋、リンゴ、ゼラチン。こういうのもみんなホーム ページに出ていると思いますけれども、そういったことになっておりまして、こういっ たものが原材料に入っているときには表示をすることになっています。  それで、食物アレルギーというのはごく微量でも発症するわけですから、例えば加工 食品1キログラムに対して数ミリグラムというようなかなり微量なレベルでも、それ以 上のときには表示されることになっています。  この表示の方法とか中身についても、適宜、必要に応じて見直していくことになると 思いますので、またこれについても現場からのご意見を教えていただければと思ってお ります。  それから、講習会の登録の話が矢野先生からありましたけれども、これも今ちょうど 基準をつくっているところですので、またでき次第、ホームページ等も含めて表示をし て、恐らく意見をいただいて再検討してから最初のものにすると思いますので、またよ ろしくお願いいたします。  以上でございます。 ●司会  ありがとうございました。  それから、さっきは農薬のポジティブリストの関係では、矢野先生から回収のお話と かもご質問いただいているんですけれども、姫田情報官の方からお答えいただいてもよ ろしいでしょうか。 ●姫田消費者情報官  矢野先生からの農薬の回収の話でございますが、要するに残留基準がないものについ てはポジティブリスト化の中で農薬の登録をやっていこうと。3年間の中で農薬の登録 をやるということは、すべてのマイナーアイテムに対しても全部やっていかないといけ ないですから非常に金がかかるということになります。ですから、そういう意味では農 薬会社がやめちゃう可能性もあるので、これはできれば、いわゆる同じような農産物に ついてグルーピング化ということで使えるようにしていきたいということ。それから、 協議会をつくって、できるだけ使えるようにということでみんな登録しましょうという ことです。  ただ、農薬会社もこんなに少ししか売れないものに大金をかけて登録するのは大変だ ということで登録をやめるかもしれません。ただその場合も、既存のできているものの その農薬がすべての作物に合わないということじゃなくて、既に登録できているものに ついてはできるわけなんで、そこは残らないと思っています。  ただ、万が一残ったものについてということですが、これはむしろ、現在の話じゃな くて、過去の古いもののことの方が大きい課題かと思っております。それは、一部まだ コンクリート詰めして土の中に埋めているものもありますが、そういうものについても 順次、無毒化していって、安全に処理できるような方向で今現在研究しておって、来年 度からまたそれを推進するような形で事業を立ち上げるようなことも考えておりますの で、よろしくお願いいたします。  それからあと、私ども安全ということでの生産振興の話はやらないことにしていたん ですけれども、質問があるので、松川さんからのお話でございますが、ついこの間まで 生産振興サイドにいたものですからお答えさせていただきますと、自給率の向上につき ましては、自給率の低い原因というのがほとんどが油脂、それから中小家畜、いわゆる 鶏とか豚のえさ、それから加工用の小麦、大麦。麦、大豆、飼料作物、この3作物でご ざいます。ほかのものをかなり輸入農産物が目には触れておりますが、まだまだそこの ところはそんなに低くないんですけれども、いわゆる麦、大豆、飼料作物をどうふやし ていくかということが課題です。  ただ、大豆について、例えば大豆の皆さんの目に触れるのは納豆とか豆腐の大豆なん ですが、これらは国産化というのはかなり今一生懸命進めております。それで、品質と かいろんな面でまだ問題があるので、これをどうやっていくかということ。ただ、ほと んど大豆の輸入が多いのは、油用のものです。サラダオイル用なんで、これについては コスト面でなかなか難しいということがございます。  それから、小麦については、実は品質面でこれ以上国産をふやすとちょっと使いづら いなというような議論もございまして、ただその中で品質向上をさせるとか、あるいは 学校給食で国産の麦を使ったパンを使っていただくとかというようなことをやっており ます。  それから、家畜のえさということではなかなか、乳牛が食べるような草とかは自給を 一生懸命図っているわけなんですけれども、鶏や豚肉ではなかなか難しいという点がご ざいます。  もう一方で、沖野さんから食育というお話ございましたので、やはり油脂が多いとい うのは実は袋菓子をたくさん食べられるからとか、そういう面がございます。ですか ら、そういう意味で御飯食、いわゆる昭和55年代成立していた日本型食生活というもの をどう定着化させていくかというようなことを、その消費面からもその自給率を上げて いくというふうなことも含めてやっていきたいと思っております。  それで、食育については、今回も首相がきょう多分、所信表明演説で食育の振興とい うような話もしているはずでございますが、我々国挙げて厚生労働省あるいは文科省と も連携図りながら食育の推進を図ってまいりたいと思っております。  それからあと市場の問題ですが、中央市場の整備ですが、これは我々、農業者よりも 少し補助率下がりますが、いわゆる補助のメニューの中にはございます。ただ、これは 補助事業でございまして国営事業じゃないものですから手を挙げていただかないとでき ないということで、それはやはり市場でございますと地方自治体のご判断になるかと 思っております。ただ、それぞれ市場の近代化ということについては積極的に進めてま いりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 ●司会  ありがとうございました。  それから、矢野先生からのご質問の中でもう一つ、食品と事業者の自主検査のお話が ございましたけれども、こちらの方、高井企画情報課長の方から説明お願いしたいと思 います。 ●高井企画情報課長  十分受けとめているかどうかでありますけれども。  まず、6ページに書いています自主検査の実施というのは、食品等事業者の責務とし てうたわれているわけでありますけれども、具体的にこれをやらないといけないという ことではなくて、やはりどういう食品をつくっているか、あるいは流通させているか、 いろんなどういう段階にあるかというそれぞれに応じて、保健所と相談しながらやって いただこうということでありまして、もちろんこれは自主検査もあるし、いろんな安全 性の確保もあるし、いろんな技術の習得もあるということで、こういう責務を努力義務 として規定しているということです。  また、輸入食品なんかは特に自主検査、例えばどういう農薬が入っているかというの は出てくる場面もあるんではないかなというふうに思いますけれども、やはりそれは ケース・バイ・ケースではないかなというふうに思います。その中でそれぞれが判断し ていただければいいと思います。  それから、具体的にこの辺が、例えば先生言われたように統一的な基準というお話 あったんですけれども、私わかりませんけれども、具体的にこういうのがあったけどど うだという提言があればまたいろいろ関係省庁とまたお話を聞かせていただければとい うふうに思いますけれども。  以上です。 ●司会  ありがとうございました。  今の一連の質疑に関しまして何か追加のご意見、ご質問などございます場合には挙手 いただければと思いますが。 ●質問者  静岡県の消費者団体連盟と申します。  きょう、法の整備がされているということは学習してよくわかったわけですけれど も、今いろんなお話伺っていて、また今回の会議のテーマ、意見交換会というテーマだ ったと思うんですけれども、実は地元でも県レベルの意見交換会というのは何度か開催 されているんですが、ほとんどが半分以上説明に終始しまして、確かに説明を聞かなけ ればわからないとは思いますし、わからせたいというのはわかるんですけれども、しか し参加者、県レベルの参加者、事前に行われた会議の参加者からも不満が出ていたんで すが、もっと意見交換を活発にしたかったと。説明を聞くという機会はまた別につくる にしても、意見交換会というものならばもう少し意見交換ができるような設定にしてほ しかったというのがありました。  今気になったのは、今回、一本化されて機能するかどうかというのを、先ほどちょっ と出た私の方の質問をさせていただいたのを最初に読まれたんですけれども、縦割り行 政がなくなって、消費者の目に見えたものとしては、ただ一つだけ賞味期限と品質保持 期限が統一されたぐらいしか、本当に一般消費者の立場でわかるものはそれぐらいしか ないんです。一体どれだけのことを果たしてくれるんだろうか。本当に機能してくれる んだろうか。食の安全委員会に消費者の代表を入れなくてもこんなのは関係ないやとい うことを言われたわけですけれども、その意味は違うんだと。代表が入っている、入っ ていないは関係なく、ちゃんと機能するんだから大丈夫だよということを言われている わけなんですけれども、消費者の視点は本当に拾い上げていただくにはやっぱり意見交 換会、先ほどリスクコミュニケーションをどのように進めるかという生協の方も質問さ れましたけれども、今後やっぱりどのようにするかというのをもう少し考えて行ってい ただきたいというのと。  先ほど講演された山崎先生でしたか、資料でちょっと気になったんですが、やっぱり 消費者の視点というのをどういうふうにとらえているかということで、食品添加物はが んの原因かというこのグラフですけれども、これはもう10年ぐらい前から同じようなグ ラフを、何か食品添加物の説明をされるたびに見せられています。  その辺が消費者というのはずっと意識が変わっていないものなのかどうか。これが一 体いつのデータなのかというのもちょっと気になったんですけれども、本当に2003年に 調べたらこのデータだったのかというのも知りたいなと思ったんですが。  そういった意味で、消費者を教育することも必要ですが、消費者の意見を本当に知ろ うとする姿勢をもう少し欲しく思います。  以上です。 ●司会  ありがとうございました。  外口参事官。 ●外口参事官  意見交換会、私の責任分野でございます。  それで、意見交換会が一方的な説明のようになっているじゃないかというのを、実は 今まで3回か4回いろんなところでやってきたんですけれども、それぞれの場所で実は 言われています。ただ、食品衛生法の概要みたいなテーマにして、きょう150人ぐらい の方来られていますけれども、やっぱり200人ぐらいになると事業者の方と消費者の方 といろいろとご参加いただくとどうしてもこういう形式に今はとりあえずなっていま す。  ただ、次のステップとしては、これはアンケート調査のときにいつも聞いているんで すけれども、次どういうテーマがいいですかと。それから、持ち方どういうのがいいで すかとかそういうのも聞いていますので、そうすると、農薬について中心的に議論した いとか、遺伝子組みかえ作物について中心的にやりたいとか、表示についてとか、そう いったのがご希望としてありますので、テーマを絞っていくというのが一つあると思う んです。それからあと、人数をもうちょっと少なくというか、一人の質問が何回か繰り 返せるようにしていくとか。1回目のときはもっと質疑の時間とか意見交換の時間が少 なくてもっと不評だったんですけれども、だんだんよくなっていると私は思っているん ですけれども。それで、そういった意見をいただきながら、いろんなやり方を試行錯誤 でやっていきたいなと思うんです。  例えば農水省さんの方では、残留農薬を中心にして9月10日やって、今度30日に続き やるんですよね。というように、中を深めていくような取り組みも今試みていろいろ やっております。  大体そういうところでありますので、よろしくお願いします。  実際、やっぱりリスクコミュニケーション繰り返すしかないと思うんですけれども、 7月10日に神戸でやったときのアンケートの結果だったんですけれども、ある方はある 程度専門用語とか知っている人、法律とかも一回読んだことがある人を対象としている ようなので説明がわかりにくいと。しかも早口でというようなことを書いていました。 同じ会場にいたもう一人全然別の人は、説明したことはホームページ見ればわかること ばっかりで何も内容がないじゃないかと、こういうような段階でもありますので、これ をどの人も納得できるような形に持っていくというのはやっぱりいろんな工夫をして回 数を重ねてやっていくような仕組みが必要なんじゃないかなと思いますので、また意見 をいろいろ教えてください。  ありがとうございました。 ●司会  どうもありがとうございました。  ほかに何か追加のご意見等ございますか。  どうぞ。 ●質問者  富山県の製造業者なんですけれども、このような会合に出てこられる、いわゆる食に かかわる製造者あるいは生産者というのは、ある意味でこの法律をきちんと学び、きち んとそれをやっていこうという意識レベルの方々ばっかりだと思います。でも、現実に おいて食の生産にかかわる、あるいは制度にかかわる場合に、もともと食品衛生法上の 製造業の許認可、たしか三十幾つぐらいの品目しかございませんので、そこに該当しな い業種というのは全くこのようなことを知らないで過ごしている可能性もあるかと思い ます。その点で、今後そのような食にかかわる製造、あるいは生産にかかわる部分で何 らかの許認可じゃないですけれども、これを行政がどのように把握されるかということ を少し教えていただきたいんですけれども。 ●司会  参事官、お願いします。 ●外口参事官  お答えになるかどうかわかりませんけれども、確かに国から何人か来て、出てこられ る人だけ集まってという形で伝わる情報量、それからその情報の広がる量というのは やっぱり限られたものであると思うんです。ただ、食の安全というとご指摘のように物 すごく幅広い分野でやっているわけですけれども、それをどう埋めていって、消費者の 信頼にこたえる仕組み、あるいは情報の流通にしていくかということについてはやっぱ りいろんな取り組みが要ると思うんです。  やっぱり我々としては、情報の発信としても例えばホームページとかという手段もあ るし、それから映像メディアとか活字メディアとかいったものを使っているんですけれ ども、それと別に、最近の動きとして各自治体でかなり細かいNPOレベルの取り組み だとか、いろんなモニター制度だとか、ボランティア的な食の安全に関するボランティ アさんみたいな、そういった取り組みが今進んでいます。  それから、保健所が今、全国576ぐらいあると思いますし、農水省さんの方も今度 2,000人ぐらいの組織になっているわけです。ちょっと話戻りますが、保健所というの は食品安全監視員の方、全国に7,400人いるんですよ。そういった幅広いところがうま く情報の連携をしていい方向に動いていって、消費者の方たちとリスクコミュニケー ションとか、それぞれの現場、それぞれの地域でやっていくことによって、恐らく今全 く物理的に把握できないような状況に対しても、何か手がかり、やり方というのが少し アイデアとして出てくるんじゃないかなということを期待しています。  ちょっとお答えになっていないかもしれませんけれども。 ●司会  ありがとうございました。  姫田情報官、よろしくお願いします。 ●姫田消費者情報官  ちょっと補足なんですが、今の現場の状況ということで、今の表示と今度牛のトレー サビリティがございますので、例えば今、牛のトレーサビリティ、焼き肉屋さんがどこ にあるかということを確かめないといけないということがございます。それで、来年の 12月に向けて、焼き肉屋さんとか肉の販売店とかをどう把握するかということで今必死 になってやっているという状況です。あるいは表示についても、表示の今店舗数をかな りふやして調査しておりますけれども、これもそれぞれ保健所さん、あるいは地方自治 体と協同して連携とりながら地方農政事務所、ここでいいますと北陸農政局ですが、一 生懸命足で稼いでいるというような状況でございまして、これからもまだまだ整備しな いといけないところがあると思っておりますので、ぜひご協力の方もよろしくお願いい たします。 ●司会  ありがとうございました。  何かほかに意見のございます方ございましたら。 ●質問者  消団連でございますが、先ほども農薬関係、要は安全・安心の問題でございますが、 農薬の残留関係でございます。したがって、いろいろの病虫害予防のためには農薬を使 わなきゃならないわけでありますが、ここに石川県の担当の先生もおられるわけです が、その農薬を使用する時期、イコール収穫期というものは、これも避けて通れないも のでございますが、もちろん虫についてもそうであるし、各農作物の病気についても、 抵抗力がつきまして、先般の国際的に騒がれたSARSではございませんが、わからん 部分が出てくるという状況の中でございます。  したがって、やはり収穫期、何カ月前、何週間前に使用しなさいとか、いろいろ能書 きはあるわけでございますけれども、ことしのように異常天候の場合はなかなか使用期 間、使用時期が難しいと思うんです。したがって、トマトとかナス、あるいはまたキュ ウリ、キャベツ等については、さあ、消毒はしたけれども、天候不順だから大きくなら ないだろう、収穫できないだろうと思いつつしたり。そのあげくに、天候がよくなって どんどん成長するというと商品にならないという。要はトマトなら割れるというか開く という形でございますけれども、キャベツもそうでございますが、それはやはり東京 の、要は霞が関の机上でのそういうものではなかなかいけないんじゃないかなと思うん です。やはり地方に合ったような農薬の使用というものをこれから研究する必要がある んじゃないかというふうに思って、消費者の一人として残留農薬の、大変どこに障害が あるか、障害がないというような、健康に被害がないという言い方もございましたけれ ども、その辺がやはり安全というものが生まれてくるんじゃないかなというふうに思っ ております。  もしお答えできるようでございましたら、お願いいたします。 ●司会  姫田情報官からお願いします。 ●姫田消費者情報官  生産サイド等と消費サイドを分けたということでございまして、我々、やはり安全と いうのがまず第一だろうと。だから、私ども従来から生産振興やってきたわけですけれ ども、それが生産振興サイドに迷惑がかかって、安全ということがまず第一に守ってい かざるを得ないと思っております。ですから、厚生労働省さんで農薬の残留基準を決め ていただいて、それに対して農薬の施用方法なり、施用回数、これをきちっと守ること によって農薬の残留基準が確保されるということになりますので、やはり当然、実際は 今の状況ですとほとんど生産に問題ないと思っておりますけれども、生産に万が一被害 があったとしても、それは安全ということからいうと、そこで運用ということになりま すとまた農林水産省、生産と安全が一緒になっちゃっているということになりかねない と思っておりますので、そこはなかなか難しいんじゃないかと思っております。 ●司会  ほかにご意見等ございますでしょうか。  それでは、2つ目のテーマで、今回、添加物について山崎先生の方からご講演いただ いておりますけれども、添加物の関係でちょっと事前にいただいている質問の中に、天 然添加物の危険性について気になっているというお話とか、毎日何種類かの添加物が体 内に入っているということで相乗効果が心配ですというようご意見、事前にいただいて おりますので、こちらの方を基準審査課の蛭田補佐の方からお答えいただければと思い ます。 ●蛭田課長補佐  事前にいただいているご質問、天然添加物の危険性について気になっておりますとい うことで、先ほど参事官の方からお話がございましたけれども、既存添加物につきまし ては、この制度ができた当初から安全性の早急な見直しというのが求められておりまし て、これまでも必要性の高い既存添加物、先ほど参事官の方から区分けができるという ことで今4つに分類されておりまして、その中で既存製法から見て早急に安全性を見直 すべきというのが139品目ございます。その品目を中心に毒性試験の実施等をこれまで も行ってきているところでございます。平成15年度予算におきましてはかなり大幅な予 算をいただいておりまして、計画的にデータの作成を行っていきたいということでござ います。  結果、その安全性について問題がありそうなものにつきましては、食品安全委員会の 方でリスク評価をいただきまして必要があれば。コウジ酸が最近国が行った安全性の見 直しの中でどうも発がん性が否定できないということで使用が禁止の措置がとられる予 定でございますけれども、そのような対応をとっていくのかなというふうに考えており ます。  もう一つ、相乗作用のご指摘でございますけれども、相乗作用の問題につきまして は、これは農薬も添加物も化学物質もすべてそういう懸念が言われているところでござ いますけれども、これにつきましては、少なくとも添加物につきましては昭和40年代か らそのような調査研究を行っておりまして、現在までにそのような相乗的な悪影響を及 ぼすというような事実、データは得られておりません。さらに、添加物、農薬も含めま していろいろな公表論文、私どもも調査しておりますけれども、そのような情報は現在 のところないというふうに承知しております。  したがいまして、現時点で早急に何らかの対応等をとらないといけないというような 状況ではないというふうに承知しておりますが、何分、化学の問題はすべて100%わか っているようなものでもございません。いろんな影響が添加物だけではなくて、いろん な汚染物質でありますとか、先ほどの食品、たばこ、いろんな影響も含めまして、そう いう悪い影響をしているんではないかというようなお話もございます。私どもといたし ましては、引き続きまして相乗効果的なものにつきましても情報収集を行いまして、必 要に応じて適切に対処していくのかなというふうに思っております。  実際にそのような情報収集いたしまして、私どもといたしましては7月1日以降、食 品安全委員会が設置されておりますので、食品安全委員会の方にそのリスク評価をお願 いしてまいりたいというふうに考えております。  簡単ではございますが。 ●司会  ありがとうございました。  ほか添加物の関係でご質問等ございますでしょうか。 ●質問者  済みません。去年以来、連日のように、いわゆる国内で認められていない添加物を使 用したという回収広告、新聞等に出ておりますけれども、海外との添加物の整合性の部 分。それともう一つ、例えば海外での安全性の確立されているといったら、もしかした ら一部のところではそうではないという意見があるかもしれませんけれども、そのよう なものに対して日本国内での取り上げ方とおかしいんですけれども、それを認可するま での経費的なもの、あるいは時間的な経過というのは、今現在、非常に長い時間と非常 に莫大な経費がかかるというふうに聞いておりますけれども、そのあたり、例えば医薬 品のように海外での安全性が確立されたものが割とスムーズに認可されるというような システムも取り入れられてきておりますけれども、添加物に関してはそのようなシステ ムというものは今後お考えになっていらっしゃるのでしょうか。 ●蛭田課長補佐  昨年の指定外香料でありますとか、指定外添加物が使用された食品の回収の騒ぎ、問 題があったわけでございますが、その中で私ども昨年、フェロシアン化物という塩に固 結防止剤で使用されている添加物が、塩という根幹の食品に使われていたということで かなり問題、影響が大きいというようなことで、私どもの薬事食品衛生審議会の方でそ のような添加物の取り扱いについてご審議いただきまして、結果的にご承知の方も多い かと思いますけれども、国際的に安全性が確認され、かつ繁用されている添加別の取り 扱いについては、要は国際的にJECFAという安全性の専門家会議がありますけれど も、そういったところで一定の安全性が確認されて、欧米等で広く使われているという ようなものにつきましては、国がデータの収集整理を行って、指定に向けた手続を行う というようなことを医薬食品衛生審議会の方でご了承いただいて、私どもの考え方に 従って現在作業を進めているところでございます。  ただ、実際に添加物の指定等に当たりましては、安全性のデータ、過去いわゆる国際 的に繁用されているものというものは、要は海外ではかなり昔に指定されたようなもの が多く、データを現在の科学水準で見ますと必ずしも十分でないようなものが多いとい うようなものでございますとか、規格につきましても一概に現在の科学水準の目で見る と十分なものではない等々ございまして、実際には既に食品安全委員会が設置される以 前に私どもの審議会でご審議を一部いただいているところでございますが、資料の追加 の収集等を行っておりまして、必ずしもデータ、過去に海外で指定要請に用いられた資 料を使ってスムーズにいくかといいますと、いろいろそれは現在の科学水準で見ると問 題があるものが多いので、慎重な審議を行うために現在資料を収集しているということ でございます。 ●司会  ありがとうございました。  そろそろ大分時間の方も経過してしまいましたが、全体的に何かこれは言っておきた いということございましたら、お手を挙げていただければと思いますが。 ●質問者  石川県ですけれども、一般消費者の立場としてこれからぜひお願いしたいことは、こ こにいらっしゃいます、きょう本日出席されました殿方の果たして何%が自分の食べる 物の安全性に自覚して、一々、この食品は何が入っているかということを自覚して食べ ていらっしゃる方がどれだけいらっしゃるかなという思いをしております。  というのは、食の安全といいますとやはりどうしても主婦にその権限がいってしまい まして、ほとんどの方は奥様の出されたものを食べて、それでお休みというスタイルで はないかと思います。  そういう中で、今、こういう会合はもっとすそ野を広げて、一般主婦も、若い人、そ れから年配の方、みんな含めていただいて、そしてもっと積極的にやっていただかない と、今本日、所信表明されました食育ということにはちょっとつながらないかなと思い ます。  どうしてでも食というのは主婦の手にゆだねられておりますので、そこを幅広く、根 気よく教えていただければ助かるかなと思います。 ●司会  ありがとうございました。  姫田さんの方から一言。 ●姫田消費者情報官  食育ということで、今、これはまずリスクコミュニケーションということで安全性に ついてだけをお話しするような会議です。食育というのは食のあり方とか、伝統文化の 話、そして食の安全の話、これらを含めて教育していこうということで、今までどうも 小中学校に偏って、あるいはお母さん方の活動に偏ってということでやっておりました けれども、この後、15年度も16年度もむしろ今後やっていく予算の話でございますけれ ども、いわゆる若い独身の人たち、これは男性だけじゃなくて男女ということに、いわ ゆる食育をきちっとやっていけるかということで、例えばコンビニエンスストアで見た ときにできるようなやり方はないだろうかということ。それから、一番どうも食に対し て鈍感なのは我々よりちょっと上の男性、ぼつぼつリタイアしかけている男性かなりい らっしゃいますが、こういう人たちをどうターゲットにしていこうかということで、 今、我々もどういうふうにこの人たちの関心を食に持ってこようかということも含めて 考えております。  また、いろいろご意見ございましたら、アイデアも含めてお聞かせ願えればありがた いと思っています。 ●司会  ありがとうございました。 6.閉会 ●司会  そろそろ意見交換会の方を終了させていただきたいと思いますが、閉会に当たりまし て高井企画情報課長より、簡単に締めのごあいさつをお願いしたいと思います。 ●高井企画情報課長  どうもありがとうございました。本日、このように多くの方にご参加いただきました けれども、ご案内のように意見交換会の持ち方、まだまだこれから研究工夫の余地がご ざいます。我々はこの新しい法律のもとに食の安全の確保のために努力をしてまいりた いと思いますので、今後ともご協力をいただきたいと思います。  それでお願いでございますけれども、1枚アンケート用紙が入っておりますので、 きょうの感想を書いていただければ大変ありがとうございます。  どうもきょうはありがとうございました。 ●司会  以上をもちまして、食の安全に係る改正法の意見交換会の方を終了させていただきた いと思います。  司会の不手際もございまして時間が大幅に延長いたしましたことをおわび申し上げま す。  本日はご参集いただきまして、まことにありがとうございました。  アンケートの方を回収箱がございますので、もしくは事務局の方にお渡しいただけま すようお願いいたします。  どうもありがとうございました。