03/07/10 食の安全に係る改正法の施行に向けて〜意見交換会〜(議事録)      食の安全に係る改正法の施行に向けて〜意見交換会〜(議事録)                         厚生労働省医薬食品局食品安全部                 日時:平成15年7月10日(木) 13:00〜16:30                 参加者:166名(消費者56名、事業者41名ほか)                 場所:ラッセホール(神戸) 議事次第  1.開会  2.行政の説明(厚生労働省、農林水産省、食品安全委員会)  3.有識者からのご講演(日本生活協同組合連合会 小沢理恵子先生、             食品産業センター 岩崎充利先生)  4.質疑及び意見交換  5.閉会 (議事録) ●司会  ただいまから、食の安全に係る改正法の施行に向けて、意見交換会を開催したいと思 います。  私は本日司会を務めさせていただきます厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課 の広瀬と申します。よろしくお願い申し上げます。  初めに、配付資料の確認をさせていただきたいと思います。まず、本日資料をお配り しておりますが、配付資料の方、項目の読み上げは、省略させていただきたいと思いま すけれども、右上の方に資料番号が振ってございまして、資料1−1から1−2、1− 3と、それから資料2、3、4、5、こちらがメインの資料となっております。このほ か、現在食品衛生法施行令など、パブリックコメントを受け付けているものがございま して、これはNo.1からNo.6までございます。もし、不足等がございましたら、壁側に おります事務局もしくは受付の方までお申し出いただければと思いますが、よろしいで しょうか。  続きまして、簡単に本日の議事進行を紹介させていただきます。  本日は、大きく3部構成とさせていただきたいと思います。  第1部になりますが、行政からの説明とさせていただきます。所要時間は1時間20 分程度を予定いたしております。  まず、厚生労働省におきまして、7月1日よりリスクコミュニケーションを担当する ことになりました外口大臣官房参事官より、ごあいさつを申し上げた後、食品安全部、 吉岡企画情報課長及び林補佐より、改正食品衛生法等の概要及び国会審議の状況等に関 しまして、ご説明を申し上げます。  続きまして、食品安全委員会事務局、西郷リスクコミュニケーション官より、食品安 全基本法に関し、ご説明をいただきます。  その次に、農林水産省消費・安全局消費・安全政策課、中村企画官より、農林水産省 における食品安全行政に関し、ご説明をいただきます。  ここで10分間の休憩をいただきまして、2時40分を目途に、第2部に移らせてい ただきます。  第2部におきましては、改正食品衛生法等の評価や、今後の食品安全行政の課題など につきまして、まず、日本生活協同組合連合会暮らしと商品研究室長の小沢理恵子先生 より、続きまして、財団法人食品産業センター理事長の岩崎充利先生より、それぞれご 講演をいただきたいと思います。  引き続き、3時20分を目途に、第3部の質疑及び意見交換に移らせていただきま す。  なお、会場の都合上、午後4時10分ごろには終了させていただきたいと思いますの で、おあらかじめご了承いただきたく存じます。  それでは、第1部の行政からの説明に入りたいと思いますが、念のため、議事進行に 差しさわりのある行為等は謹んでいただきますよう、お願い申し上げます。  それでは、外口参事官、お願いいたします。 <第1部> ●外口参事官  厚生労働省の大臣官房参事官の外口でございます。  食品の安全性を確保するための法律が新しくなりました。厚生労働省でもそのための 体制を整備いたしました。その一環として、食品保健部と言っていた組織は食品安全部 に変わり、主にリスクコミュニケーションを担当する参事官のポストが7月1日に新た に設置されました。私が担当いたします。せっかくできたよい法律、よい法改正だと思 います。大事なことは、こういった改正が実効性を持って運用されることだと思いま す。努力してまいりますので、どうかよろしくお願いいたします。  新しい法律の内容、あるいは法改正の内容につきましては、後から別途説明をいたし ますが、食品の安全性の確保については、国民の健康の保護が最も重要であるというこ とが基本であります。繰り返して強調いたします。食品の安全性の確保については、国 民の健康の保護が最も重要であることが基本であります。  ここで、特にリスクコミュニケーションについて申し上げれば、皆様もご存じと思い ますが、昨年まとめられましたBSE調査検討委員会報告書、大変評価の高いものであ りますけれど、この中でもリスクコミュニケーションについて、具体的に制度化する必 要があるとされております。そして、それが今回新しく制定されました食品安全基本法 の中では、第13条において、情報及び意見の交換の促進の義務として明記されまし た。  また、改正された食品衛生法におきましても、お手元の資料1−1、色刷りの横長の 資料ですけども、8ページをちょっとご参照願いたいと思います。8ページの下の段の ところ、1番に厚生労働大臣は規格・基準の策定等において、都道府県知事等は監視指 導計画の策定等、必要な事項を公表し広く国民または住民の意見を求めなければならな いと規定されました。これに関しましては、お手元の資料の1、2、3、4、5の次 に、ご意見募集関係資料一覧というのがあると思いますが、その4番目に、食品衛生に 関する監視指導指針(案)の中でも触れられておりますので、後ほどご参照いただきた いと思います。  また更に、先ほどの色刷りの資料の8ページに戻りますが、その2番目のところに は、厚生労働大臣及び都道府県知事等は、食品衛生に関する施策の実施状況を公表し、 当該施策について広く国民または住民の意見を求めなければならないとも規定されまし た。これはいわば、日常の食品安全行政のあり方についてのリスクコミュニケーション の重要性が法律で位置づけられたものであります。  こういった法律改正を受けまして、厚生労働省におきましては、本年度は先週金曜日 に東京で開催したのに引き続きまして、本日、神戸での開催、こういったことを手始め に、秋以降、全国で意見交換会やシンポジウム、厚生労働科学研究の報告会などを開催 する予定としております。もちろんこれは都道府県等でも行われていくものと思いま す。  また、意見交換の方向につきましても、今回は法改正等の説明が主体という構成に なっておりますが、今後どのようなやり方がよいのか、いろいろと工夫していきたいと 思いますので、アドバイスをしていただければと思います。関連しまして、お手元にア ンケート調査の紙が行っていると思います。意見交換会に参加いただいた皆様にぜひ書 いていただきたいと思います。今後の参考とさせていただきたいと思います。  一方で、食品のリスクに関する情報の発信、これも大変大事なテーマでございます。 BSEやO−157、最近では水銀を含有する魚介類等の摂取に関する注意事項などの 例がございますが、消費者の方あるいは事業者の皆様に正確な情報をわかりやすく伝え る方法については、まだまだ検討を重ねていく必要があると思っております。  先週の意見交換会の中で、厚生労働省のホームページは、見たい情報が探しにくいと いう意見をいただきました。早速、見にくいところを変えようと思って検討をしており ます。  こういったリスクコミュニケーションの事業内容、そして食品のリスクの情報発信の 方法や内容について、私どもといたしましても諸外国での事例の研究を含め、研究を重 ねていくこととしておりますが、やはり行政担当者の発想の限界というのもあります。 東京の会場でも同じことを言ったら、前の方の方がうなずいておられて、うんと思った のですけども、ここでも一緒でした。皆様方にもぜひご協力、ご参加いただきたいと思 います。国民の健康の保護という目標に向かって、よりよい方向で確立していきたいと 思っております。  本日は、食品安全委員会、そして農林水産省からも担当の方にご参加いただいており ますが、三者がそれぞれの役割分担に応じて、お互いに緊張関係を保ちつつ、国民の健 康の保護がもっとも重要という共通認識のもとで、よく連携し、今後の食品安全行政を 進めていきたいと考えております。  それでは次に、厚生労働省医薬食品局食品安全部企画情報課長の吉岡より、改正食品 衛生法に関する国会審議の状況と附帯決議などについて、ご説明申し上げます。  ありがとうございました。 ●吉岡課長  企画情報課長の吉岡でございます。  20分ほどちょうだいいたしまして、お手元のカラー刷りでございます新食品衛生法 の概要、これに従いまして、今回改正されました食品衛生法の概要をご説明いたしたい と考えております。  なお、この法案は、ことしの2月に国会で政府提案、厚生労働省の政府提案という形 で提出をされましたが、7月1日に食品安全委員会を立ち上げるということで、新しい 食の安全行政が急がれましたが、幸い国会ではスムーズにご審議いただきまして、衆議 院、参議院とも全会一致で政府提案どおりご可決をいただいたところでございます。何 回かにわたって施行していきます。大きな動きとしては、8月の下旬を目途に関係の政 省令を改正いたしまして、施行に移りたいと考えております。  まず、このカラー刷りの1ページをお開けいただきたいと思います。黄色い、後にも ございますけど、食品衛生法等及び健康増進法の一部改正、この食品衛生法等の等とい いますのは、一番下に書いてございますが、やはり食品の安全に関する法律ということ で、関連としてございますと畜場法、これは現在BSE検査をしておりますが、最近で は国民の間でもおなじみのものになって参りました、あるいは食鳥処理に関する法律、 これらもあわせて改正いたしまして、それから健康増進法の一部改正、これはいわゆる 健康食品などの虚偽、誇大広告の禁止をすることもあわせて、都合4本の法律を改正い たしたわけでございます。  この1ページの一番上に赤く囲んでおります目的のところがございます。先ほど参事 官からも説明いたしましたが、BSE問題あるいは偽装表示問題、これらを契機に、国 民の食の安全行政に対する不安や不信が高まりました。矢印の先に書いてございますよ うに、この新しい法律の位置づけとしては、食品の安全の確保のための施策を通じまし て、国民の健康の保護を図るということを法文上も明らかにしたわけでございます。  今回の見直しは、ほぼ食品衛生法全体にわたるものでございます。食品衛生法は戦後 すぐの時期の昭和22年に公布された法律でございまして、50数年の歴史があるわけ ですが、目的も含めた今回の改正は、戦後初めての大改正ということでございます。  それに際しましては、私どもは3つの視点に基づいて、見直しをしたつもりでござい ます。そこに整理してございますが、1つは繰り返しますけれども、国民の健康の保護 のための予防的な観点に立ったより積極的な対応。国民の健康の保護が目的ですから、 被害が出てからでは遅いわけでございまして、法的視点も入れて、いろんな施策を講じ ることといたしました。  2つ目には、事業者の方、国民に食品を提供される事業者の立場、これは大変重いも のでございます。食の安全についての一義的責任を有されるということで、食品安全基 本法にも明記されております。こういう事業者の方々には、国の基準やあるいは自治体 の指導を守っていただく−これは当然なことですけれども、それだけではなくて、それ ぞれがより安全な食品の提供に向けて、いろいろなご努力をいただくと。例えば、自主 的な検査、あるいはオリジナルの研究等です。  3つ目は、これはBSEの問題で、農林水産省と厚生労働省のいわゆる縦割り行政の 問題も大変厳しく指摘されました。農林水産省におきましては、後ほどご説明あろうか と思いますが、例えば農薬の管理でありますとか、あるいは動物に与える飼料が安全と か、そういう生産段階の規制をそれぞれの法律で行っておられます。これとの連携とい うことを念頭に置いて、今回も法律の改正をしたつもりでございます。  次のページを開けていただきます。  2ページ目、後ほど食品安全委員会からのご説明が主になりますが、政府全体の食の 安全への取り組みにつきまして、この上半分に書いていますように、新しく食品安全基 本法ができ、おおよそ食べ物の安全についての評価、どこまでだったら大丈夫、あるい はどこから以上は要注意なのかと、そういった科学的な評価を行う役所として、去る4 月に食品安全委員会が立ち上がりました。ここで食べ物の安全の評価をしていただいた 上で、その下の矢印に書いていますように、厚生労働省と農林水産省はこれからリスク 管理という仕事、すなわち食品安全委員会で行われましたリスク評価を受けて、具体的 に例えれば、残留農薬の基準をどうすべきであるとか、あるいは添加物の使用量をどこ まで認めるのか、こういう具体的な安全を確保するための様々な手だて、基準をつくっ たり、それを守っていただくということになります。違反があった場合には、流通の禁 止をしたり、罰則ということもございますが、そういうもの一連を含めて、リスク管理 という言葉を使っております。厚生労働省は、従来は評価と管理を両方行っておりまし たが、BSE検討委員会の報告を踏まえ、両者を分けまして、これから厚生労働省は食 品の安全に関するリスク管理の仕事を農林水産省と受け持っていくということで、ご理 解をいただきたいと思っています。  その次のページでございますが、そのリスク管理機関として、新たに出発します厚生 労働省の仕事の体系をここで整理をしております。真ん中にも赤く厚生労働省の(リス ク管理)としておりますが、右の方から見ていただきましたら分かりますように、厚生 労働省もいろんな機関がございます。一番右には輸入食品の監視指導という大事な仕事 をしております。これは全国で31カ所の検疫所で輸入食品のモニタリング検査、ある いは検査命令等の仕事をやっており、これは国の直轄機関でリスク管理を扱っておりま す。ここは国家公務員である食品衛生監視員が働いております。  その左にいっていただきますと、地方厚生局、これはこのたびの省庁再編で全国7カ 所を設けられておりますが、ここにもそれぞれ食の安全を監視する職員が担当しており ます。自治体と連携しながら食の安全を確保していきます。  以上が国の機関でございますが、食品衛生法の1つの特徴は、食の安全についての新 しくできたリスク管理がございますが、その多くを自治体、都道府県あるいは保健所を 設置される市、特別区でやっていただいております。皆さんご存じのとおり、その下に 書いていますように、全国で576カ所の保健所、ここには食品衛生監視員あるいは獣 医等がおられまして、皆さん身近なところでいろいろ食べ物の安全をチェックをした り、あるいは業者への指導、食品営業者の指導等を行っております。こういうことで国 の直轄機関と都道府県あるいは保健所設置等の自治体と両方が連携をして仕事をしてい るというのが、厚生労働省のリスク管理の特徴でございます。  一番下に2つ、消費者と食品等事業者というのがございますが、これはちょっと左側 に薄い矢印がございます。自治体のところへ消費者との間に結ぶ矢印と厚生労働省とを 結ぶ矢印、それぞれ施策の内容につきまして、消費者、あるいは事業者の方々と意見交 換を行い、その上で食の安全のための施策を形成していきます。いわゆるリスクコミュ ニケーションの考え方、これは2段階がございまして、国としてリスクコミュニケー ションをし、また各都道府県にもそれぞれの地域でリスクコミュニケーションをしてい ただくことをここで指導しております。これによりまして、食品等事業者から消費者に より安全な安心できる食品をこれから提供していくのが新しいリスク管理の仕事でござ います。  以下、今回の食品衛生法の改正の主立った点につきまして、資料に応じて説明をさせ ていただきます。  4ページをお開けいただきたいと思います。  これは先ほどございましたけども、食品衛生法の第1条の目的の規定を今回改正した ものでございます。改正前は「この法律は飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止 し、公衆衛生の向上及び増進に寄与する」となっていましたが、改正後は、より明確に するため赤く印刷した2つのキーワードがございます。1つ目は「この法律は食品の安 全性の確保」、このためにいろいろな施策を講じることにより、2つ目の「国民の健康 の保護を図る」ということを法律の看板とも言える第1条に明記をしたところでござい ます。  それから、その次のページ、総論規定といたしまして、実は具体的に国民の健康の保 護のために、国と都道府県、あるいは保健所設置市等は何をするのかということも、こ のたびの法律に明記をしたものでございます。  1つは国の責務ということは全体を囲っておりますが、自治体との共通の責務とし て、教育活動等を通じた正しい知識の普及、情報の収集・整理・分析・提供、研究の推 進、検査能力の向上、人材の養成・資質の向上、あるいは総合的・迅速な施策の実施の ための自治体との相互連携を図ります。特に広域の食中毒が出たときには国との連携も 大切ですが、自治体の横のつながりも重視をされるものでございます。こういうことも 責務として追加したところでございます。  それから下の3つは、これは国の固有の責務ということで、特に情報収集等は共通で すが、輸入食品等の検査に係る体制整備、これは検疫所の体制と、今回食品衛生監視員 を15名増員いたしました。こういうことも国の責務でございますし、それから国際的 な連携の確保と、お聞きよりあるかと思いますけども、コーデックスという国際的な機 関がございまして、ここでに多くの国が参加し、共通の基準をつくったり、意見交換、 情報交換等を行うという機関がございます。こういうところとの連携が必要でございま す。  それから、自治体に対します技術的援助ということで、最近の例では、BSE検査に ついて、国から自治体への支援等、技術的なこういうものは今度は国の固有責務という ことで、今回位置付けたわけでございます。  次の6ページに、本来食品等の事業者の責務として、先ほど事業者による自主管理が 今回の法律の3つの見直しとしてお示ししていこうと申し上げましたが、今回、食品衛 生法では事業者にお願いすることを整理をいたしました。特に大事な点は、2番目の 「記録の作成、保存」ということでございまして、食中毒発生時等の原因究明、あるい は被害の拡大の防止に活用するため、各段階の食品等に係る事業者、これは国内で食品 を生産される方、あるいは卸の方、小売の方、あるいは輸入される方、すべてを含みま す。そういう方々に、これはあくまで努力義務ではございますけれども、例えばある食 品等事業者が卸の方であれば、メーカーからいつ、どういうものを仕入れたかという記 録を保存していただくことが、これから健康被害を防ぐために大事なことですので入れ ました。最近はトレーサビリティという言葉がございまして、消費者の食卓に届く食べ 物を順番にさかのぼることによって、安心を実現するという考え方もございますが、私 どもはその概念を取り入れまして、食品衛生法において、トレースバック、だんだん逆 にさかのぼることによって、食中毒を完全に防ぐのはなかなか難しい問題でございます が、より被害を小さな段階で食いとめることができるのはないかと考えております。  具体的には、その次の7ページをごらんいただきますが、この記録保存は1つ概念的 に整理いたしました。通常はこの7ページの上半分、生産業者、輸入業者から始まりま して、加工業者さん、卸売業者さん、小売業者、そして消費者に食べ物が届くわけでご ざいますが、万が一、消費者の段階で食中毒事故等が発生した場合、それを今度は逆に 赤い矢印でございますけども、右じゃなくて左の方向に、順番にその食べ物はどこで売 られたものか、その小売業者はそれをどこから仕入れたかとか、それで卸売業者はどこ の加工業者から仕入れたか。順番にさかのぼって、これはさかのぼる時間が早ければ早 いほど、被害の拡大が防げるわけでございます。こういう形で最近はフードチェーンと いう言葉がございますが、要するに国民への食品の提供にかかわるいろんな事業者さん の方々にそれぞれの立場に応じて、記録保存等お願いいたしまして、万一事故があれ ば、自治体等から記録の提出といいますか、情報提供をお願いすると、これをもって被 害の拡大を防ぐということを考えています。後ほど具体的な考え方につきましては、現 在パブリックコメントを受けります担当の補佐から、ご説明をさせていただきたいと考 えております。  8ページでございますが、このリスクコミュニケーション、先ほど参事官の方から、 詳しくご説明をいたしました。重複は避けますが、これは食品衛生法の規定て今回入れ ました。すなわち、その矢印の下に書いてございますように、国や自治体については例 えば規格、基準をつくる段階について、あるいは後ほど言います都道府県知事等につい ては、それぞれの各地域ごとに食品の監視指導計画を新たに策定することを平成16年 度から義務づけられますが、そういうものをつくる際に事前に、例えばあらましを地域 住民等に提供して意見を聞かなければならない。それを、意見を聞いた上で、計画をつ くり、その計画に従って、食品の安全の監視をしていただくということになります。こ れは1番でございますが、それ以外にも日常、食品安全行政、これはもう国の行政、例 えば輸入食品の安全、監視も入りますし、自治体におけます流通段階での監視も入りま す。そういうことについて、国民あるいは住民からの意見をいろんな形で吸い上げてい くこととなります。これは国と自治体、両方の責務として、法律上位置づけました。 何々しなければならないということで、国と自治体の義務として、この法律に規定を新 たにしたわけでございます。  9ページは、残留農薬の問題です。現在、輸入品も含めまして、農産物に使われてい る農薬が今700種類あると言われておりますが、残念ながらまだその残留基準、残留 基準は一旦決め、これをオーバーすれば流通を中止できると思います。逆にいうと、基 準がなければ具体的に被害が発生したときに、立証できなければストップできません。 したがいまして、私どもの責務として、とにかく早く700−229、四百数十の残留 基準を早くつくならないといけない。これは急ぎますので、諸外国でもう確立された基 準とか、あるいは外国で広く受けられている基準も参考にしながら、向こう3年、とい いますのも、5月からスタートしまして、来年、再来年には作成しなければならあいと 思っております。3年後も、このような時期までにつくっていき、その段階で基準のな いものが検出されればストップすることとなります。したがいまして、事実上3年後に は残留基準が設けられていない農薬につきましては、流通は難しくなるということで、 事業者さんにもご理解いただいております。私どもとしてはフル回転で、諸外国の基準 等を勉強しまして、国内の基準と審議会に図るわけでございますして、その準備をして おります。3年後にはいろいろなポジティブリスト制を導入することで、法律の中にそ の仕組みは含まれているわけでございます。  それから、次に10ページに移ります。少し駆け足で恐縮ですが、これも消費者団体 等からの制度改正するよう、大変多く言われましたが、いわゆる既存天然添加物、植物 や動物から由来するものは、法律改正前の時点では489種類ありますが、ここに書い ていますように前回の法律改正で、大臣の指定を受けなくても使ってもいいという整理 をしたわけですが、消費者団体等から、きちんと安全を確保できなかれば天然物といえ ども不安であるということで、私どもこれから数年間で、特に海外等の文献など整えて 約100種類の既存天然添加物につきまして、安全評価をいたします。万が一、人の健 康に影響するものが出れば、その使用を将来に向けてストップするということで、大幅 な方針の転換を図る考えでございます。  その次は11ページでございますが、これはいわゆる健康食品も含まれます特殊な方 法により摂取します食品の暫定流通禁止措置、昨年5月以降、いわゆる中国産のダイエ ット食品で肝機能障害を起こした事例が報告されています。これまでの措置としては情 報の公開であります。情報の公開といいますのは、消費者への警告という措置しかとれ ませんでしたが、今回は関係審議会の意見を聞いて同じようなことが起これば、場合に よって暫定的な流通禁止も行えるという法律上の仕組みを導入しました。  関連で12ページですが、先ほど言いましたように、健康増進法の改正で、こういう ダイエット食品等、いわゆる健康食品も一部入っていますけども、そういうものについ ての虚偽、誇大広告の禁止、これは後ほどガイドラインにつきまして担当の補佐から説 明をさせていただきます。  次の13ページ、先ほども触れましたけども、新たに食品の監視指導計画の概念を今 回導入いたしました。これは1つはまず13ページの上に書いていますように、国が食 品衛生監視指導指針、そこに書いていますような基本的な方向とか、監視指導の基本的 事項等、こういうものを定めます。これを受けまして、下にございますように、左側国 自身が作成します輸入食品の監視指導計画でございます。来年度から監視指導計画をモ ニタリング検査の内容等を全部計画をつくって、これも計画をつくる段階で国民の意見 聞く予定をしています。右側が自治体が作成することになります都道府県等食品衛生監 視指導計画、自治体も同じようにそれぞれの地域で指導計画をつくりまして、監視指導 計画をつくりまして、それに従って16年度から仕事をやっていただくこととなりま す。計画の内容につきましても、やはり自治体におきましても、事前にリスクコミュニ ケーションの一環として、制定していただくことでございます。  残りの時間、もう14ページ、15ページ、いわゆる輸入食品の監視体制の強化につ いて、簡単にご説明いたします。  今回、輸入食品の監視につきましても、14ページの右の欄に書いています5点の法 律改正を今回いたしました。1点目はご案内のとおり、検疫所ではまずモニタリング検 査というのをやりまして、例えば輸入食品が、ある国から来てる輸入食品について、ほ ぼ100に対し5%程度につきまして、サンプルの調査をします。それによって違反の 状況を大まかに把握します。これで違反の率が高ければ、次に全数検査ということにな り、輸入業者の負担ですべてのロットについて検査をしていただいて、合格しなければ 通関をさせないという強い措置がとられてございますが、従来は一々政令を改正しなけ れば、この発動はできなかったという反省もございまして、今回の法律改正では、政令 指定を廃止し大臣が判断すれば、臨機応変に命令検査をかけることができるいうように いたしました。  2点目の監視指導計画については先ほど申し上げたとおりでございます。  3点目に輸入業者に対しまして、国自身が場合によっては、営業の禁停止ができると いう規定も入れました。  それから4点目は、これは現在、指定検査機関と称しておりますけども、公益法人が 検査機関として、命令検査を受け輸入業者にかわり、国にもかわりまして検査をしてお ります。これは現在、80数カ所しか全国にございませんで、なかなか機動的に命令検 査の検査が実行ができないということで、すそ野を広げるという意味、あるいはより輸 入食品の安全監視体制を強化するという考え方から、今回、公益法人要件を撤廃いたし ました。すなわち民間の会社であっても中立公正がきちんと守られて、検査能力の高い ところは、登録検査機関ということで参入できます。こういう仕組みをいたしました。  これに関連しまして、5点目でございますけれども、検疫所が行いますモニタリング 検査につきましても、農薬の検査等は、しっかりした登録検査機関にアウトソーシング できると。それによって、検疫の体制、モニタリング体制を強化したいと考えておりま す。  その関係の資料、次の15ページにございますが、時間の関係で説明は省略させてい ただきます。  次の16ページでございますが、ハサップの制度でございますけども、従来一度、大 臣承認を受けますと、ハサップの表示を無期限にできるということでしたが、ハサップ を受けた企業から平成12年に重大な問題が起きました。この反省ふまえまして、これ からハサップにつきましても3年に一度更新をしていただくこととしました。更新をし てもう一度ハード面、ソフト面で足元から見直しをしていただいて、また新しい管理に 努めていただくという考え方で改正をいたしました。  次の17ページは食品衛生管理者の責務でございますが、従来、もう各製造業者等の いわば工場長さんに当たる方を食品衛生管理者として任命しておりますが、従来のよう に自分の部下に対してだけではなくて、自分のいわば雇い主、上司であります社長さ ん、営業者に対しましても、最近、コンプライアンスという言葉がございますが、法令 の遵守、あるいは製品である食品の安全の管理について、意見を言うということを法律 上書きました。意見を言われた営業者は、これを尊重しなければいけないということ で、いろんな被害の未然の防止を図ってていただきたいと考えております。  最後に18ページ、これは事業者がこういう違反を行った場合には、これは30年ぶ りに見直しましたけども、罰則の大幅な強化を図りました。  19ページ以降はご参考までに後ほど見ていただきたいと思います。予算あるいは組 織の改編点。  最後に1点だけ、ちょっとカラー刷りから外れましたけど、1枚目は実は今回の食品 衛生法改正じゃなくて、緊急に昨年の通常国会でご記憶の方あるかもしれませんが、い わゆる中国産冷凍ほうれん草の問題で、非常に違反率が高かった。どうも産地でござい ます中国側の衛生管理に問題があったようです。基本的には輸入ルールとしては、安全 検査をして安全であるものは、これは通さなければいけないということがルールでござ いますけども、EUの法律に習いまして、昨年の法律改正でございますが、非常に違反 率が高い、5%を超えるような場合には、安全であるかどうかは問わず、一時的に輸入 そのものをストップできるという仕組みを法律上、これは去年の9月に施行しておりま す。この法律を背景にこの半年間、中国といろいろな形で、冷凍ほうれん草の安全管理 を交渉して参りました。時々まだ出ておりますけども、私ども知る範囲では相当中国の 国内法制の改正をされまして、安全管理がもう一歩というところまでになったと聞いて おります。これは1つは、こういう法律ができたことが背景になるんではないかと思っ ております。こういう点も含めまして、これから食品の衛生管理に努めていきたいと 思っております。  駆け足でございますが、私の説明については以上です。 ●林補佐  続きまして、私、食品安全部の監視安全課におります林と申します。  お配りしている手元の資料の私からは、No.1からNo.6というふうに右肩に付してあ る資料が最後にあると思います。今、吉岡から説明を申し上げました法律改正に伴っ て、必要な政令〜政令と申しますのは、法律に基づいて政府が決めるルールです〜あと 省令〜厚生労働省の方だけで決められるルールです〜あるいはその通知、ガイドライン 等、もっと細かい事項を定めたもの、こういったものを法律の実施に当たって、つくっ ていく必要がございます。今回、法改正は基本的には法律が公布されてから、3カ月後 に施行ということで、ことしの8月の末から実際に今ご説明申し上げた法律の大部分が 実施に移されるわけですけども、その前に先ほどから説明に何回も出てくるリスクコ ミュニケーションを図って、やはりそういう具体的な中身も決めていく必要があるだろ うという考え方にのっとりまして、早速、案の段階で具体的な中身を先週金曜日からお 示ししているというものでございまして、分量は結構あると思います。私に与えられた 時間は限られておりますので、全部を細かくご説明はできないのですが、今、説明した 事項との関連を中心に、どういったことをそれぞれ決めようとしているかという概要を ご説明したいと思います。  まず、No.1とございますが、これは今申し上げた政令と省令、法律に基づいてつく る政令、省令の中身について、示しているものでありまして、具体的な中身は3ページ 以降でございますが、政令、省令、この中で決めている事項は実は余り直接、消費者や 事業者の方に関係あることは少なくて、食中毒調査とと畜検査の関係、主にその行政が 行う食中毒の調査の報告、国に対する報告の事項、やり方、あるいはと畜検査について は、主にBSEの検査を今、県が一次的に検査をしまして、BSEにかかっている疑い があるというものは、国がその後検査を行うという枠組みになっておるのですが、そう いった枠組みについて、法律上明確に位置づけるという内容が主なものでございますの で、細かい説明は省略させていただきたいと思います。それがNo.1の内容になります。  続きまして、No.2の方でございますが、記録の作成、保存に係る指導ガイドライン (案)とかいていると思います。先ほどの色刷りの説明で吉岡からも申し上げました が、ちなみに色刷りでいいますと、6ページ、7ページのところでございますが、食品 と事業者の責務として、仕入れ元等の記録の作成、保存の努力義務を新たに設けさせて いただいたということで、趣旨としては、食中毒が万が一発生した場合のその原因究 明、追跡調査を迅速にして、問題食品を早期に特定すると。そういう趣旨だと申し上げ たと思いますが、その具体的にどのような事項の記録をどの程度お願いするかという考 え方をお示しするという内容のものでございます。  3ページ以降が具体的な内容になってございますが、もともと努力義務でございます ので、これのとおり実施しなければ罰則がかかるというのものではありませんが、実際 には各事業者さんに地域の保健所などがお願いする際の考え方を示したという性格のも のであるといったようなことが書いてございます。  具体的な内容については、4ページ以降になります。4ページの3番として保存が必 要な記録の範囲というところがあるかと思いますが、これ以降になります。ポイントだ け申し上げますと、1)の対象事業者の区分は、要は農林水産物の生産者から末端の小 売、飲食に至るまで、よく言われる川上から川下まで、基本的にすべての事業者を対象 にするという考え方になっております。注2の内容ですが、一方でそうは言いながら も、実際にはすべての事業者に同じだけの記録を同じだけの程度、頑張って取り組んで いただくというのは現実問題なかなか難しいところもございます。また、その実際に事 故が起きた場合の影響の大きさという面からいっても、やはり大企業をまず中心に努め ていただくということも必要かと思いますので、中小規模の事業者については、記録の 作成、保存の求める程度の度合いを少し下げてお願いするという考え方に立ってござい ます。具体的な中小規模の事業者の範囲は、この注2の(1)から(5)に書いてあるような ものになります。  5ページ目に続きまして、注3で同様な考え方でございますが、器具、容器包装につ いても、食中毒という面から見ると、それほどリスクが高くないということでございま すので、中小企業と同様に求める程度の度合いを少し下げて、お願いしようというふう に考えてございます。  2)の記録の方法以下、具体的な記録事項等を定めておりまして、基本的にお願いす る記録事項としては、その食品の仕入れ年月日、仕入れ元の名称、所在地、いつだれか ら買ったか、どういったものを買ったか、品名でございます。ロット確認が可能な情報 といいますのは、例えば賞味期限が年月日表示であれば、それでも構いませんし、その 食品を製造しているところのロット番号が写してあれば、そういった番号でも構いませ んが、そういった番号を保存してもらう。そして小売あるいは飲食店営業者には求めま せんが、販売年月日と販売先、どこにいつ売ったかということもあわせて基本的に記録 をお願いするという考えでございます。これらはあくまでも記録でありますので、別に 商品に表示するというものではございません。また、かつ、このために特別に帳簿をつ くってすぐ見られるようにしておけとまでは言いませんので、既存の台帳でありますと か、注文書等々の写し、記録の残し方としては何でもいいという考え方をIIのところに 書いてございます。  また、保存期間といたしましては、実際にはそこの各事業者さんが取り扱います食品 がどのくらいで消費されるかということに基づいて決めれば、例えばそこで扱う食品が 1年で全部食べられてしまうのであれば、1年とちょっととっておけば、記録は要らな くなるわけでありますが、実際にはそれぞれの事業者さんいろんな種類の食品を取り扱 っておりますので、なかなかそう決めがたいだろうということで、事業者の区分ごとに 下にありますように、一番末端の小売、飲食店以外は1〜3年を基本として設定してい ただきたいと。販売段階の小売、飲食店のことでございますが、これについては1〜3 カ月を基本として設定していただきたいということをお示ししてございます。  具体的に、各事業者の分類ごと、つまり生産者であるか、製造加工者であるか、ある いは流通であるか、小売であるかということ、こういった区分ごとに具体的にどんな記 録をお願いするかというのは、以下、丸と三角で書いております。丸はこういったもの はできるだけ記録してほしいなということで、三角で書いてあるのは、全部やってもら うのは難しいですけども、できたらやってほしいなという意味で、丸と三角と使い分け ておりますけども、それぞれ示しておりますので、後でごらんいただければと思いま す。  最後7ページの4に指導に当たってというように書いています。これは保健所に対し て、国から出すもので指導に当たってと書いておりますけども、留意事項として努力義 務であるから、協力を得た上でというようなことでありますとか、8ページの上になり ますけども、食品の食中毒の発生、可能性といったことも考慮して、危なそうなものか ら優先的にやっていただきたい。そんな趣旨のことが書いてある、これがNo.2の内容 であります。  続きまして、No.3と右肩に付しているものでございまして、食品衛生法、4条の2 のよる販売禁止、運用指針と書いてございます。これは先ほどの色刷りの紙でいいます と、いわゆる健康食品関係としてご説明したと思います。11ページになりますが、特 殊な方法により摂取する食品等の暫定流通禁止措置ということで、一定の場合には審議 会などの意見を聞いて、販売禁止を国の方でできるという規定を新たに設けさせていた だきます。この実際の運用に当たって、どういった対象のものをどういった手続で販売 禁止していくかということについて、考え方をまとめたものがこのガイドラインでござ いまして、具体的な内容は3ページ以降、書いてございます。最初の方は改正の趣旨が 3ページ、4ページといったところは書いてございますので、先ほど概要はざっと申し 上げたようなところでございます。  5ページ以降は、まず本条第2項による暫定禁止措置ということで、先ほどのカラー 刷りの11ページのポンチ絵で言いますと、左側の濃縮等した成分を錠剤、カプセル化 する等により、云々書いてあるものでして、このどういったものを対象にするかといっ たことについて、ここで書いてございます。ちょっと時間がございませんので、細かい 説明は割愛させていただきます。  8ページ以降の3と書いてある本条3項による暫定禁止措置というところ以降が、先 ほどのポンチ絵と右側の方の健康被害が現に発生した場合の考え方を整理していくとい うものでございまして、ここはご興味がありましたら後でお読みいただきたいというふ うに思っております。  続きまして、No.4でございますが、食品衛生に関する監視指導指針(案)について でございます。監視指導といいますのは、国内で流通する食品、あるいは国内で製造加 工、あるいは販売する事業者の取り締まり、指導というものは、都道府県、保健所設置 市、特別区の保健所を中心にやっていただいているわけでございますが、その監視指導 の具体的などういうふうなやり方で、どんなところにどの程度の回数、立ち入るかと いったようなことについて、計画を16年度からスタートするということになります。 その計画は国が定める食品衛生監視指導指針にのっとって、定めるということになって おりますので、これがその国が定める監視指導の基本的な考え方を示したものでござい ます。  ちょっと内容が非常に分量が多うございますので、ざっと何をどんなことを趣旨のこ とを書いてあるか、ご説明をしたいと思いますが、4ページ目以降が具体的な中身でご ざいますが、第1としては監視指導の実施に関する基本的な方向として、行政と事業者 と消費者の役割分担、ありていに言いますと、行政だけで食品の安全というのは守られ るわけではございませんで、第一義的には事業者さんの責任でありますので、そういっ た考え方、あるいはそれについて監視指導はどういう役割になっているのかということ を書いてございます。  2といたしましては、国と都道府県の役割分担ということで、先ほど吉岡からも説明 しましたが、輸入時が国と、国内流通が県という考え方でございます。  3といたしまして、フードチェーンの各段階におけるということで、特に生産段階の 規制との連携というのは強く言われておりますので、そんなところを次の4とも関係し ますけども、念頭に置きながら考え方を示しているものでございます。  6ページの第2として、監視指導の実施体制についてございますが、これは先ほど現 状なり、検疫所がやっているといったことを説明しました。そのあたりのことを書いて いるということと、3にありますように農林部局との連携、あるいは4にありますよう に、試験検査機関というのも重要でございますので、その辺の話も触れさせていただい ております。  7ページの第3以降が都道府県がつくる計画についての策定、あるいは実施に当たっ ての留意事項ということで、一番目として、重点的に監視指導を実施すべき項目とし て、規格基準に定められている事項を中心にやるということと、次の8ページ以降は、 食品の種類ごとに、またフードチェーンの段階に分けて、どういった事項を中心に監視 指導をやっていけばいいのかといったことを整理してお示しする内容になってございま す。  また、10ページになりますが、具体的に県の保健所が監視指導といいますと、3に あります施設への立ち入り検査というものと、次の11ページの上に4とありますが、 食品の収去検査等、食品自体を持ち帰って検査をすると、これが大きい2本柱になりま すが、それぞれについてどういった計画を立てればいいのか、過去の食中毒の発生状況 なんかを踏まえてやるといったような趣旨のことが書いてございます。  またその他、いろいろ書いてございますが、12ページまで県の計画の関係を書いて ございます。  また、13ページ以降は、今度は国が輸入時に監視指導を行います。輸入食品の監視 指導計画、これは国の方が定める。この指針に従って、もっと具体的なものを国が決め るということになりますが、その基本的な部分をここに規定しておりまして、例えばモ ニタリング検査、先ほど言いましたそういったものの予定数、項目なんかも輸入食品の 計画で具体的に位置づけるようにといった内容なども規定してございます。  その他、14ページ以降は事業者の自主的な衛生管理、またリスクコミュニケーショ ンの関係、最後に人材の育成の関係ということで、第7まで大きく7本の柱で一応整理 をさせていただいているものでございます。  続きまして、第5でございますが、これは消除予定添加物名簿に関する省令でござい ます。先ほどのご説明、10ページに既存添加物名簿関係の説明をしたと思いますが、 それの実態がない場合に消除をするとなっています。それの手続を決める内容でござい まして、説明は省略させていただきます。  最後No.6でございますが、これはいわゆる虚偽、誇大広告の禁止に関するものでし て、先ほどの色刷りのポンチ絵ですと、12ページというところでご説明した内容でご ざいます。健康の保持増進効果等について誇大な広告をした広告をしてはならない。広 告には表示も含みますが、そういった規定を新たに設けましたので、具体的にどんな広 告や表示がこの禁止に反しているというふうに見られるのかといったようなことを定め ている内容でございます。  ちょっと時間がございませんので、恐縮ですが、具体的な内容としては、「指針」 と、より細かい事項を定めて規定する「留意事項」に分けておりまして、8ページ以 降、具体的に禁止の対象となる著しく事実に相違する表示とか、誤認させる表示という のはどういったものか。8ページ、9ページのあたりに書いてございまして、さらに具 体的にどんな具体例がこういうものに当たるかということは、16ページ以降、健康増 進法32条の2、該当性の判断基準の明確化として、以下表にしていろいろ表示例とい うものと、考え方というように対して書いておりますが、ここに表示例あるようなもの は基本的には禁止規定に反するおそれが、懸念があるという例として挙げております が、以下ずっと続いております。ちょっと、この時間では細かくご説明できなくて恐縮 ですが、ご関心がある方は後でお読みいただきたいと思います。  以上の内容は、先週金曜日にホームページを通じて発表させていただいたばかりでご ざいまして、ちょっと今日もかいつまんだご説明で終わってしまったわけですが、後で ゆっくりお読みいただきまして、7月の23日の水曜日までにいろんな幅広いご意見を いただきたいということでお願いしておりますので、提出の方法はそれぞれの資料の表 側に書いております。ファクスでも郵送でもメールでも構いませんので、所定の方法で お寄せいただきたいというふうに思っております。  私からの説明は以上でございます。 ●司会  ありがとうございました。  続きまして、食品安全委員会事務局の西郷リスクコミュニケーション官より、お願い いたします。 ●西郷リスクコミュニケーション官  皆さん、こんにちは。ご紹介をいただきました食品安全委員会事務局の西郷でござい ます。よろしくお願いします。  食品安全委員会はこの7月1日にやっとできまして、今日で、10日目でございます が、何とぞひとつよろしくお願いしたいと思います。  それでは、資料の2というものがございます。これに基づきまして、ご説明をさせて いただきます。  1枚めくっていただきますと、「食品の安全性の確保に向けた取組」とありますが、 もうここにお集まりの方々、もう非常に関心の方が高くて、もう先刻ご承知のことかと は思いますが、若干こういうふうなものになってきた経緯につきまして、おさらいをさ せていただきたいと思います。  一番左側、これは現行の施策と書いてある。実はこれまでの施策ということになりま して、7月1日以降はちょっと変わっているということでございます。要するに今まで は先ほど来、ご説明がありましたとおり、要するに食べ物、農林水産物をつくる段階、 あるいは製造、流通の段階、あるいは食品表示をする段階など各段階で当然のことなが ら制度がございまして、施行されていたわけでございますけれど、言ってみればちょっ とばらばらだったというふうなことがあったわけでございます。それから食品、真ん中 のところに「食品行政を取り巻く状況の変化」でございますけども、ここ数年いろんな 今まで経験しなかったような食品の事件と申しますか、被害、心配事、あるいは本当の 事件が起きてしまったと。ちょっと書いてございますけども、O−157、プリオンな どがございます。それともう一つは何と申しますか、今までわからなかったことで、分 析技術が非常にいい機械ができたような結果、今までわからなかったこういったことを 例えばこの食品ではこんなものが入っていたとか、そういったことが非常に鋭敏にわか るようになってきたということでございます。逆に申しますと、もう全く危ないもの は、全く本当に全然入ってないということはないんだという、そういうリスクとつき合 っていくかということを考えて、うまくやっていかなくちゃいけないというふうになっ ています。  それから、リスクの存在ということでは、諸外国ではそのようなことが起こっており ます。諸外国では、ヨーロッパの例ばっかり書きましたけども、フランスあるいはヨー ロッパ、ドイツについても、そのリスクをどのように、我々の生活に、本当の被害にな らないようにというふうことをここで運営していくということになっています。  それで、先ほどからもご説明にありました特にBSEの問題で、こんなことが起こっ たのか。どこに問題があったのか、どのようにしていったらいいのかといったようなこ とが、BSE問題に関する調査検討委員会の報告書で答えが出たわけでございますけど も、そこにいろいろございます。生産者優先で消費者の方を向いてなかったと。専門家 にわかっていた人がいるのに、そういった意見が全然行政に反映されなかったとか、あ るいはいわゆるリスクだとか、後はこういったことを含めていくという考え方がシステ ム的に行政に入ってなかったということだと思います。透明性の問題についてございま すけども、そういったことを改善していくために新しいシステムが必要だというふうな 調査検討会の手を借りまして、一番右側でございますけども、食品安全基本法をつく る、あるいはそのリスクの管理をしていただく厚生労働省、農林水産省の所管の食品関 係の法律につきましては、大きな改正を待つということになったわけでございます。  1枚めくっていただきますと、今度は食品安全基本法が5月にできまして、7月1日 から施行されたわけでございますが、どんなものかと申しますと、食品とは何だと話に また入るのですけども、言ってみれば、簡単に言いますと、食品というのは口から入る もので、お薬でないもの。医薬品と医薬部外品でないものということでございます。そ れについて、食品の安全性を確保しなければいけないと。そのためにはどんな考え方か と申しますと、目的のとこにはそう書いてありますけど、基本理念、2つ目の四角を見 ていただきますと、3つの基本的な考え方ということが書いてございます。(1)はこれ は当たり前でございますけども、国民の健康の保護が最も重要であるということが、基 本的な考え方ですということです。それから2番目、食品供給行程の各段階、これは ちょっと耳慣れない言葉でございますけども、食品がどのようにやってくるかと考えた ときに、生産でつくるとこです。農家あるいは魚をとったりとか、そういうつくるとこ ろから、あるいは我が国の場合だと輸入してくるとかがございまして、次に加工、流 通、販売といったところまでが、そういった各段階についてちゃんと措置が講じられる ようにしなきゃいけないと、今のままではいけないという考え方でございます。  (3)でございますけども、国際的動向とは何だと、先ほどちょっと申しましたけど、 我が国は非常に自給率が低いというお話も先ほども出ましたけども、非常に遠くから 入ってくるわけでございますので、そこでどのようなことになっているかと。ある国の 食品は、ある国のつくっている作物はどうなのか。あるいは国際的な取り決めはどうな っているのかといったようなことの動向にはいつも気にしてなきゃいけないと。当然の ことながら国民の意見に配慮するということ。これがリスクコミュニケーションという ことで後でまた出てまいりますけど、こういったことで施策を立てていかなければいけ ない。これが基本的な理念ということになってございます。  それでいろんな安全モニターとか、そして安全のために活躍というか、やらなきゃい けない方が出てくるわけでございますけども、その責務や役割を書いたのが、その次の 四角でございます。まず最初、国でございますが、これ当たり前でございますけども、 今申し上げた3点の基本理念にのっとって、施策を総合的に無理のないように、いろん なところでつくっていくということでございます。それから当然、地方公共団体は、一 番身近な行政機関ということになりますので、国との役割分担ということでございま す。国は基本的にはナショナルミニマムと言われるものを決めていくわけでございます けども、地方にはそれなりの特色がある。例えば、気候が違ったりとかあるかもしれま せん。そうすると食文化の違うことがあるでしょうと。それについては基本的には基本 理念に則っていただくわけでございますけども、国との役割分担を踏まえた上で地方独 自の施策を講じていただくということにもなります。  それから食品関連事業者、これは何だということですけども、これはつくる人、農家 も全部も当然入ります。農家、漁師の方もそうですし、あるいは林の中でキノコを採っ ているという方も入るかもしれません。農林水産業、それからそのための資材をつくる 人、肥料をつくる人、農薬をつくる人、あるいはえさをつくる人たち、輸入してくる人 たち、それから流通関係者、加工する人、あるいは売る人といったところが入るかと思 いますけども、食品関連事業者、この方々、食品を提供するのにどこかで使命を果たし てらっしゃるということで、安全性の確保については当然皆様の口の前に並べるものを つくるわけでございますので、一義的な責任を有するという考え方でございます。おの おの必要なことをやっていただくということになっております。  また、どのようなことをやってらっしゃるということについての正確な情報をなるべ く出していただくということになっております。それからもちろん、国とか地方公共団 体には協力をしていただくということになってございます。  最後に、消費者の役割というのが出てまいります。これはどういうことかと申します と、先ほど国民の意見に配慮しつつと申しましたけども、要するに消費者の方からいろ んなことを言っていただかないと、やっぱり国だけで、あるいは行政だけではわからな いということがございます。あるいは、例えばその意見も時を追うに従って、ますます 有効な意見になっていくように、消費者自身の方が自分の食べていくものについて知識 とか、理解を深めていただくといったことによって、この役割を果たしていただけるの ではないかと、こういう考え方でございます。  じゃあ実際、施策としてどのようなことをやっていけというふうに基本法は言ってい るかと申しますと、下の左側半分の四角でございますが、その中のまた一番左でござい ますけども、食品健康影響評価、ちょっと聞き慣れない言葉でございますが、これがよ く言われているリスク評価と言われているとこでございます。食べるものについて、ど の程度危ないのか、どういうふうにしていれば、大丈夫なのか、ということつきまし て、評価を実施することになってございます。その中にいろいろございまして、よく食 品安全基本法の中にいうと、ご批判をいただく中に未然防止措置、あるいは未然防止と いうか、予防原則がちょっと薄いのではないかというふうなことです。一応、緊急を要 する場合には、そのリスク評価を終わってなくても、施策をしてくださいというふうな ことを申し上げておるというふうなことをしております。当然ですけど、緊急時対応だ けで放っておかないで、その後、時間ができたらちゃんと評価をするということになっ てございますけども、ここで基本的予防原則的なところは、要するに予防的なアプロー チと申しますか、こういったことはちゃんと反映されているのではないかというふうに 思ってございます。  それからもう一つ、(2)に書いておりますそのリスク管理というものを各省庁にして いただくということでございます。  それから、情報の提供、提供するだけではなくて、意見をいただいて、またいろんな 食品の安全にかかわる活動と申しますか、施策もそうでございますけども、それをより よいものにしていくというためのコミュニケーションをリスクコミュニケーションと言 っているのでございますけども、そういったことを実施していくということでございま す。  その他、右の四角の中に、それをするために必要な例えば緊急事態の対処でございま すとか、関係行政機関と相互な密接な連携だとか、これも当然のことながら、連携とい うのは別になあなあでやるということでなくて、おのおの役割をきちんと果たしてやっ ていくということでございますけども、当然のことながら、試験研究体制とか、それか ら情報収集、表示もきちんとこうなってくださいよということとか、あるいは食育など ということが最近よく言われますけども、そういった問題だとか、当然のことながら食 品の安全だけをやっていて環境が悪くなったのでは困りますので、施策の策定によって は環境についても考えましょうというようなことになってございます。  こういったことをまとめまして、基本的事項ということで、内閣総理大臣が出すこと になってございますけども、これも食品安全委員会の意見を聴いて出すという仕組みに なっているわけでございます。  右側に出ています食品安全委員会というのが何点かございますけども、その仕事が書 いてございます。要はリスク評価をするというのが、先ほど来、ご説明があったと思い ますけども、それが一番大きな仕事かと思います。それだけではなくて、いろいろ関係 大臣に勧告を行うとか、みずから調査審議を行って、行政機関の長にこうしたらどうだ ろうかという勧告を行うということもあり得るという話になってございます。それと、 リスクコミュニケーションというんですか、先ほど言ったような、要するに食品の安全 に関する国民の意見をなるべく全国民が同じ意見になることはないでしょうけど、立 場、立場で当然異なるわけでございますけども、ただ、それが例えば安全性とかとは、 ここまで安全なんだということがわかるようにしていくということでございます。  組織等につきましては、もう1枚とめくっていただきますと、食品安全委員会の構成 というのがございます。これは委員会でございますから、委員が7名いらっしゃいま す。いろいろこういった専門家がいればいいなということで、様々な専門分野が書いて あったのでございますけども、実際は委員が7月1日に任命されております。次のペー ジにお名前が出ております。7名のお名前が出ておりますが、こういった方々が入って おります。7月1日に最初の委員会がございまして、互選をされまして、この一番上に 書いてあります寺田雅昭委員が委員長に就任されております。それからきのう、第2回 目の委員会がございまして、3番目に書いてあります寺尾委員が寺田委員長の指名によ り、委員長代理と。要するに委員長が何か事故があったとき、委員長のかわりをすると いうことなのですけども、指名されております。  それから7人委員がおりますが、4人が常勤で毎日、毎日、出勤されるわけです。要 するに何か起きたときに委員がいないと困るということもございまして、4人がまいり ますが、この上から4人、寺田、小泉、寺尾、見上の4名が常勤の委員でございます。 以下、坂本、中村、本間の各委員が非常勤ということなっております。  ちょっとまた1ページ戻っていただきますと、この7人で何でもかんでも決めるとい うわけにはなかなかまいりませんものですから、専門調査会といったものを設けること になってございます。これ、今実は委員会ができて10日目なんですけども、早くつく らなくちゃいけない。作業はしているんですが、一応そこにいろいろな企画とか、リス クコミュニケーション、あるいは評価チームとして、添加物とか、微生物とかいろいろ 書いてございますけども、こういうものを全部含めますと、200人ぐらいにはなるの ではないかというふうなことになってございます。これにつきましては、やっぱり総理 大臣、内閣総理大臣が指名をして、どのチームに入っていただくということについて は、委員長に決めていただくということになるんですけども、こういったもので次々と リスク評価、あるいはリスクコミュニケーションといったものが進められていくことに なるはずでございます。  それから事務局でございます。私も事務局の職員でございますけども、委員会をお支 えする事務局として、やっぱり7月1日から54人の事務局ができております。そこに 事務局長、次長、4課1官と書いてありますけども、課と官はここに書いてある総務 課、評価課、勧告広報課、情報・緊急時対応課、リスクコミュニケーション官だと、こ ういうふうな形で委員をお支えするというふうな形でスタートしたばかりでございま す。  こういったことで、始めるわけでございますけども、当然食品安全委員会、いろいろ 例えば、ヨーロッパの組織と比べると非常に弱いのじゃないかなとか、あるいは規模も 小さいとか、いろいろ言われることもあるのでございますけども、委員の7名の方は非 常に頑張っていらっしゃいまして、それぞれいろんな世界では有名な専門家の方でらっ しゃるわけでございますけども、自分の最後のとおっしゃった方がいらっしゃるのです けども、食品の安全のために尽くしたいとおっしゃる方ばかりでございますので、それ を支えにして食品の安全の確保を図ってまいりたいと思っておりますので、よろしくお 願いしたいと思います。  ありがとうございました。 ●司会  続きまして、農林水産省消費・安全局消費・安全政策課、中村企画官より、お願いし たいと思います。 ●中村企画官  農林水産省消費・安全局消費・安全政策課、企画官をしております中村でございま す。よろしくお願いします。  それと私事で恐縮でございますが、実は私4月に本省に戻りまして、3月まで2年間 京都にあります近畿農政局というところで、消費生活課長を2年やりました。拝見しま すと、ちらちらお会いした顔を拝見しますし、見たことがあるやつだなという方もいら っしゃるかもしれませんが、よろしくお願いいたします。  農林水産省は、この7月1日に大規模な組織再編を行いました。消費安全局というの も、この7月に発足したばかりでございまして、まず第一歩を踏み出しました。まだ省 内引っ越しをしておりまして、荷物も全部ほどけておりません。電話も電話回線を引い ているのだけど電話がないとか、大変な混乱の中で仕事をしております。  そういう中で、きょうは資料の3がお手元にあったと思います。裏表の印刷になって おります。本来ならカラー刷りのパンフレットになる予定で、きょう間に合うかなと 思ったのですが、間に合いません。コピーで大変失礼いたします。  食の安全、安心のための政策大綱、副題といたしまして、食の安全、安全を目指した 農林水産省の取り組みというふうについております。この大綱をなぜ、つくったかとい いますと、まさにこの組織、再編を踏まえまして、食の安全、安心に向けた農林水産省 の取り組みの姿勢を世の中に示そうというものでございます。というのは、新しい局が 進むためのひとつの指針というものになるわけでございます。冒頭は今ご説明がありま した食品安全委員会を中心といたしまして、農林水産省、厚生労働省、それぞれがそれ ぞれの立場で連携を取りながら、リスクコミュニケーションをとっていこうというのが 1枚目の紙でございます。  2枚目からご説明をいたします。2ページ目をごらんください。  まず大綱で何をやるかということでございますが、1つが国民が安心、信頼を実感で きるように取り組みますということでございます。施策を企画する段階から、関係者と の対話を大切にしていきたいということでございます。今回、このような考え方は今初 めて出てきたわけではございません。4年前、遺伝子組みかえ食品がいよいよ我が国に 入るということで、大きな社会的関心を呼んだことがございます。そのときに遺伝子組 みかえ食品の表示をどうしようかということで、検討会を農林水産省で設けたわけです が、そのときに実験的でありましたけども、初めて冒頭からすべての委員会を公開する ということをやらさせていただきました。マスコミ関係の方々を入れるのはもちろんで すけれども、一般消費者の皆様方にも公募によりまして、応募された方、抽選で傍聴い ただくということをして、3年間議論をしたわけでございます。ご案内のように遺伝子 組みかえ食品につきましては、安全性であるかないかということよりも、消費者がみず からの選択のために表示が必要だという結論になったわけでございます。結果、遺伝子 組みかえのDNA、それからそのたんぱくが残っている食品については、今現在表示が 義務づけられているわけでございます。今までもやっておりますけども、これもこれか らはさらに徹底させて、リスクコミュニケーションを図りながら企画の段階からこれを 実行しようというものでございます。  それから、産地から食卓までのすべての関係者が協力して、取り組める施策をつくり ますということでございます。産地におきましては、生産環境を良好に保つ農薬などを 適正に使用、生産方法の改善を図る。流通加工段階におきましては、企画や基準にあわ せて適切に取り扱う、正確でわかりやすい表示を行う。小売段階におきましては、正確 でわかりやすい表示、衛生的な保管。消費者におきましては、食品に関する知識の向 上、衛生的に保存、調理。そういうことでございますが、当然行政といたしましても、 積極的に情報を提供していくという役割があるのだろうというふうに考えております。 リスクコミュニケーションという言葉がいろいろ使われておりますけれども、京都にい るときに一昨年、BSEが発生いたしまして、大変な騒ぎになったわけでございます。 続いて2頭目、3頭目というところも非常に大きな問題がございました。そのときにや はり情報がないというのが非常に社会的不安をあおったということを身をもって体験し たわけでございます。当時は近畿管内自治体の皆様はもちろんですけれども、消費者団 体の皆様、それから日生協関西地連が中心となって、情報提供等にご協力いただいたわ けでございますけれども、その後、ことしですか、和歌山で6頭目が発生したというこ とがございました。関西は牛肉文化ですから、地元で6頭目が出たら大変な騒ぎなるで あろうということで、我々も朝からスタンバイをして準備をしたのですが、1頭目、2 頭目が出たときに、一斉に鳴って鳴りやまなかった電話が6頭目の和歌山のときは、実 は1件も電話がなかったというのがあります。これはまさにBSEというものがどうい うものであるのか、あるいはそのための対策をどうとっているのかということが、広く 国民に理解ができたということの結果ではないかというふうに考えております。この情 報の提供の必要性というものを実感しているわけでございます。  次は3ページでございます。  食卓に安全な食品を届けるための仕組みをつくり、生産者、事業者の取り組みを進め ますというところでございます。農水省といたしましては、規制など仕組みづくりと監 視、JAS法の罰則等の強化、あるいは仕組みや表示の見直し等、今進めているところ でございますけども、それから規制などの内容や取り組みの状況についての情報提供、 それから新技術の開発、普及、これを行いまして、実質的な取り組みの促進を図ろうと いうことでございます。生産者、事業者におきましては、モラルに沿った活動、これは 極めて当たり前のことでございますけれども、やはりさまざまな問題が発生していると いうのも現実でございます。それから、栽培、飼養、養殖技術の改善、養殖の現場でも 今さまざまな問題が起きているのはご承知のとおりでございます。それから、高度な衛 生管理の導入、こういうことに自主的に取り組む、それが安全、安心の食料の供給とい うことで、消費者に供給できるというふうに考えております。それから、内外から情報 を広く収集する。そして危機の回避に努めるということでございます。これは農水省だ けではできる問題ではございません。安全委員会、厚労省、農水省、これが一体となっ て連携して、これらの対応を進めていく必要があるのだろうというふうに考えておりま す。  4ページをごらんいただきます。食の安全、安心を目指して、次のような施策に重点 的に取り組みますということを書いてございます。体制や施策を強化し、他省庁との連 携を図るということでございます。下に新しい組織の図が書いてありますけれども、農 水省の今回の組織改革、非常に大きな特徴というのが、産業振興とリスク管理の分離と いうことでございます。下の左側にこれまでの組織というふうに書いてございますけど も、例えば総合食料局というのがございますが、ここではJASであるとか、あるいは そのJAS以外のガイドライン等設けております食品を監視するところと、例えば食品 の生産、流通の振興策を図る部局が一緒になっていたわけです。生産局というのは農薬 とか肥料とか取り締まりを監視するところと、やはり生産部門の振興を図るところが一 緒になっていたというものでございますけども、これらを切り離して、新たに消費安全 局というものをつくりまして、食品のリスク管理を統一的に実施するということを行っ ております。それから監視部門等を強化するわけですけども、そのために左にあります 食糧庁、歴史と伝統がある組織があったわけでございますけれども、この食糧庁を廃止 ということでございます。  次に移らさえていただきます。5ページですが、産地、港から食卓までの段階での監 視を強め、生産者、事業者の自主的な取り組みを進めますというところでございます。 農水省といたしましては、さまざまな問題になりました農薬の問題がありますが、農薬 などの使用規制、それから安全な生産資材のみが生産流通し、適切に使用されるような 指導、リスク管理などの情報提供、生産者、事業者の自主的な取り組みの支援、調査、 監視など強化、関係者の意見や情報の受け付けといったものを図ります。産地生産者に おきましては、土壌や漁場の環境の保全、安全、安心のためには単にそのものも大事で すけども、やはり生産現場の環境を守るということが非常に大切だというふうに我々は 考えております。それから栽培、飼養、養殖技術の改善、農薬などの適正使用、簡易分 析による自主検査、これらの普及というものが図ります。事業者におきましては、食品 衛生法などの遵守、それからHACCPなどの高度な衛生管理手法の導入、適切な企業 行動の促進というものを図っていく必要があるのだろうというふうに考えてございま す。  それから6ページでございます。安全な農薬の使用に向けてということでございま す。昨年、無登録農薬が各地で使われていたという話がございました。45都道府県で 約270の業者が無登録農薬を販売していたということ。それから4,000戸の農家 がそれを使用をしていたということがございました。我々としても非情なショックをわ けでございます。これを踏まえまして、農薬取り締まり法等改正をいたしたわけでござ います。農薬につきましては、登録制度によって、毒性試験のデータなどをもとにして 安全性のチェックがされているわけですけれども、これを改正、農薬の取り締まりの改 正によりまして、安全性の確認されていない無登録農薬の製造、輸入の使用、販売から は従来から禁止されましたが、これを禁止する。それから農薬使用基準に反する農薬の 使用、これも禁止するということになっております。もし、守らない場合は守るべきの 勧告、勧告に従わなければ命令、それから輸入者、販売者、使用者に対して、それぞれ 規制するとともに、新たに緊急時の回収命令ができるということになっております。  7ページをお願いいたします。  消費者と生産者、事業者がお互いに理解して信頼を高めるように努めますということ です。わかりやすく適正な食品表示の実現、やはり食品表示というのは、消費者がやは り食品の情報を得る一番有効な手段だと我々は考えております。当然ながら、この表示 は正しくなければいけないというのは、もうすべての前提条件であります。その表示を きちんとしていただくということでございます。ただ、さまざまにご批判もいただいて おります。例えば、賞味期限、いろいろな表示含め等々、表示について省庁が違えば言 い方が違う等々の問題がありました。これにつきましては、今共同会議というものを厚 労省等々開いておりまして、できるものから統一し、これを訂正していくという作業を 進めております。それから、相談窓口の一元化というものがあります。消費者が相談を いたしましても、農水省は衛生関係は保健所に行ってくださいと言うし、衛生関係を行 くと生産関係は農水省に聞いてください等々で、窓口がばらばらで困るというご批判が ありました。これはまだ2カ所だけですけれども、厚生労働省と共同で統一窓口を今設 置しております。それから都道府県の段階では、既に衛生部局、それから農林水産部 局、一緒になった窓口をつくっているところも数多く見られるところであります。それ から、共同で共通のパンフレットの作成等々、これも既に進めているところでございま す。それから、表示の監視体制の強化ということで、国による監視体制の強化、先ほど 国の組織、職員の増員ということを行いました。全国で2,000名の食品表示Gメン というのがいることになるわけでございます。それから食品表示の分析、検証技術の向 上、さらには食品表示ウォッチャー、これは一般の皆様に公募でお願いしておりまし て、全国に食品表示ウォッチャーの方がいらっしゃいます。それから、行政の窓口には 食品表示110番というものも設けられているわけでございます。それからJAS規格 の見直しということで、やはり新しいニーズに対応したJAS規格というものを今後必 要であろうということでございます。それから品質表示基準の見直し、これも進めてま いります。それから、新しい特別栽培農産物、これらの表示制度につきましても、その 普及を図っていこうというふうに考えております。  それから8ページでございますけれども、トレーサビリティシステムでございます。 これは大変恐縮でございますが、先般わからない片仮名語というものが出まして、トレ ーサビリティがたしかワースト6だったのです。うちの家内に聞いてもよくわからない と言われて、どういう日本語がいいか大分考えているのですが、どうもぴったりとした 日本語がありません。どれを使ってもちょっと違うなという感じでございまして、しば らくトレーサビリティシステムということでご勘弁をください。これは下に表がありま すけれども、生産者から消費者まで、食品とその食品の情報、これをつなげていくとい うことでございまして、ものの流れを川上と川下というふうに例えますと、川下にする 消費者からはその食品の流れとその情報が川上に向かって遡及できると。生産者からは 逆に川下に向かって自分の出した食品とその情報が後押しされた遡及ができる、追跡が できるということでございます。この期待される効果ということでございますけれど も、1つはリスクの管理というものがございます。直ちに問題が起きたときに、問題な る食品の回収が容易になるということでございます。具体的には食品表示問題がさまざ まあったわけでございます。意図的な改ざん等は別にいたしまして、中には機械のミ ス、あるいは人為的なうっかりミス等々で、結果的に消費者に間違った情報を提供して しまったというような場面も少なくないわけでございますけれども、それが問題の発生 したロットがどの部分にあって、いつ出荷したもので、どこに流れていくかということ がわかれば、その部分だけの手当て、回収で済むという場面になるのですが、その辺が 不明確ですと、結果的に新聞広告等を出して、全面回収をしなければいけないという場 面にもなるわけでございます。現にそれによって、大変な損失、あるいは企業の経営そ のものに影響を与えるという事例もあるわけでございます。それからもう一つは、消費 者と生産者、事業者の顔の見える関係づくりになるということでございます。トレーサ ビリティシステムを使いまして、消費者が求める情報を積極的に提供していくと。ある いは生産者からは消費者に伝えたい情報を積極的に食品に情報として乗っけていくとい うことも可能であろうというふうに考えております。それから消費者の信頼や安心の確 保につながると書いてありますけれども、やはり表示なり商品がトレーサビリティシス テムの裏づけがあるものであるということで、やはり消費者に安心を提供できるのでは ないかというふうにも考えているわけでございます。  下に牛の個体識別情報の伝達制度が書いてございます。牛につきましては、個体情報 と基本的なものについては、いわゆる牛トレーサビリティ法が成立いたしまして、これ が義務づけられます。実施はまだ先のことですが、既に10桁の番号がわかれば、ご自 宅のパソコンからでもその牛の経歴がわかるように、家畜改良センターのホームページ で出ております。家畜改良センターということで検索すれば、すぐわかりますので、ぜ ひお試しいただければというふうに考えおります。  それから9ページでございます。  食育という言葉、最近使われていると思いますけれども、やはり知育、体育、食育と いうふうに、私どもは大切と考えておりまして、農水省としてはこれを非情に重要視し ております。最近、食卓の絵を子供にかかせますと、自分と食卓とおかずとテレビをか く子供が非情に多いというふうに思います。いわゆるテレビが食卓の中に入り込んでい て、いわゆる団らんというものが見えてこないという話を聞くところでございます。そ れから、特に農水省としては、食卓の先にあるもの、ピーマンとかトマトとかキュウリ とか、どういう状態で実がついているのかわからない子供が今非情にふえているわけで す。それをやはり我々としては、何とかしたいなということで、この近畿管内でも出前 講座等称して、総合学習等々一体化して、学校の栄養士さん等々、子供たちの直接授業 を行うというような活動も今しているわけでございます。これを今後、大いにやってい こうということでございます。  それから10ページでございます。  先ほど言いましたやはり食の安全、安心のためには、関係者が協力して、食の安全を 知るための環境保全、これが非情に大事だろうというふうに考えております。今さまざ まな問題がありますけども、やはりものをつくる農地、それから漁場、これの環境保全 というものを本格的に力を入れていかないといけないというふうに考えているわけでご ざいます。  それから11ページでございます。  安全、安心を支える研究開発、これも積極的に取り組みということでございます。独 立行政法人だとか、あるいは民間、大学、公立試験場、人材、技術、情報を結集いたし まして、やはりリスク管理をささえる研究開発、こういうことが必要ではないかという ふうに考えております。この安全、安心大綱につきましては、下にありますけれども、 農水省のホームページに全文が掲載されております。また、ご関心のある方は、ぜひご らんいただきたいと思います。  一番最後に、12ページに大綱の全体のポイントを箇条書きに書いてございますが、 実は7月1日に新たな組織が発足するときに、私どもの亀井農林水産大臣が職員に対し て3つの要求をいたしました。これは庁内放送でも流れ、それから職員一人一人にメー ルで配信されたわけでございますけども、この要求された3点をご紹介して終わりたい と思うのですが、1つが、職員一人一人のみずからの意識改革ということでございま す。特に食品安全行政においては、政策立案、行政執行のあらゆる場面で、消費者視点 の重視の考え方に取り組むことをお願いしたいということを言っております。  2番目が、縦割り行政の弊害をなくすということでございます。これまで以上に食品 安全委員会、それから厚生労働省、関係都道府県、私どもの出先機関を含めまして、連 絡を密にして迅速な対応がとれるよう連携して業務を行えということでございます。  3つ目が、わかりやすい行政の推進ということでございます。きょうの説明がわかり やすいかどうか、非情に心配ですけれども、やはりわかりやすい言葉で、国民に十分説 明して、国民の意見をしっかりと反映させると。これがなければ今後の行政展開という のは、なかなか難しいだろうということでございます。  この3つの大臣からの要求というのは、消費安全局に働く私ども職員一人一人の決意 でもあります。  以上で私の説明は終わります。どうもありがとうございました。 ●司会  ありがとうございました。  それではここで、10分程度休憩を設けさせていただきたいと思います。  第2部でございますけれども、2時45分から開始したいと思いますので、それまで にお席の方にお戻りいただけますよう、よろしくお願いいたします。                   (休憩) <第2部> ●司会  それでは第2部の方を開始させていただきたいと思います。  第2部におきましては、改正食品衛生法等の評価や、今後の食品安全行政の課題など につきまして、お2人の有識者の方からご講演を賜りたいと思います。  まず、日本生活協同組合連合会、くらしと商品研究室長の小沢理恵子先生よりお願い いたします。 ●小沢先生  ご紹介いただきました日本生協連、小沢でございます。  今回の新しい法律について、法律の制定なり、法改正の評価と今後の課題ということ でお話をさせていただきたいと思います。基本的には消費者の立場とそれから食品の衛 生にかかわる審議会にかかわらせていただいている立場からということなのですが、今 回の法律の制定なり改正なりをどう考えるかということで、中身については、今それぞ れご報告をいただいたところですので、ちょっと振り返って、消費者の立場から少し感 想めいたことをお話しさせていただきたいと思います。  一口に言えば、ようやく私たちが望んでいた法律が制定、あるいは改正されたという ことで、よくここまで来たなという思いがございます。それで、本物の中身づくりは、 いよいよこれからかなというふうに思っておりまして、ちょっと振り返りますと、 1995年、さかのぼりますが、23年ぶりに食品衛生法の改正がありました。このと きのきっかけというのは、かなりWTOが設定されたりいたしまして、食品の安全をめ ぐる状況がかなり国際的に変わってきたなということが一番大きなきっかけであろうか と思いますが、そのときに既に多くの消費者団体が法の目的に食品の安全の確保及び国 民の健康の向上・増進という言葉をそのときにも使っておりました。この言葉でその目 的を明記してくださいということをまず第一に、あと並べて8項目の要望を当時の厚生 大臣にお出ししておりました。この改正のときにも、消費者団体は随分頑張ったのです が、残留農薬の規制を強化するなど、一定の前進はございましたが、本当に願ってい た、要するにその目的をはっきりしてくださいということについての改正までには至ら なかったという隔たりがございました。その隔たりというのは今ある法律が本当にそう いう食の安全をめぐる大きな情勢の変化に対応し得るかどうかということで、1つはそ ういう国際化の問題、あるいは科学物質が身の回りでいろんな問題が起きてきて、知ら なかったことがいっぱいあるのだねということに、消費者も気づいたということだと か。例えば、ダイオキシンだとか、環境ホルモンといったような今まで聞いたこともな かったような問題があるのだねということがわかった。あるいは安全性評価のあり方が 今のままでいいのだろうかということだとか、それからO−157、大規模な食中毒事 件が起きてきたというふうなことがあって、今のその食の安全をめぐる社会システムだ けで十分なのだろうかということがあって、それでじゃあ消費者が安心できるシステム をつくろうとすると、やっぱり法律を変えるしかないのじゃないかというふうなことが ございました。一番最初、そもそもそういうときに、食品衛生法ってどうやってできた のだろうねというふうなことを一生懸命勉強いたしまして、そもそもが1947年にで きた法律ではないかと。今まで続いたその目的の中にずっと生きてきたわけですが、食 品による危害の発生の防止のために国・行政が、事業者を取り締まるための行政のルー ルを目的とした法律だと。これでは予防対策が取りにくいし、起こった事故に後追いに なるというふうなこともありましたし、それから国際的にはリスクアナリシスという考 え方が定まりつつあるようだというようなことで、リスクアナリシス、日本語にどうも 置きかえにくそうだけれども、リスクアナリシスというのは一体どういうことだろうか というふうなことについても、あっちこっちで勉強会を開いてまいりました。こういっ たことの認識についても行政はやっぱりかなりおくれていたのではないかというふうに 思っております。やはり、食品の安心、安全を確保する上で、もちろん行政に期待され る役割というのは非常に重たいのですが、事業者、それから消費者など、それぞれかか わる人が全部一体になってかかわり合ってこそ、本当に安心、安全が守れるのではない かというようなことをずっと勉強しておりました。  それから消費者を始め、各層の人々が参画することが法律で、この法律でということ が非常に大事だと思うのですが、参画することが法律で位置づけられることがあってこ そ、透明で公開されたリスク管理が行われるのではないかというふうなことをずっと勉 強してまいりまして、そういったときにBSEの問題が起きて、先ほども中村企画官が お話をなさっていましたけれども、BSEの取り組みの中で私たちが得た教訓というの はやっぱり非常に大きかったというふうに思っております。そういった中でやっぱり法 律を変えなくちゃということで、実に精力的な署名なり何なりの運動をしてまいりまし て、BSEの事件が起きる前に、既に1,400万筆近い署名が集まっておりました。 やはりそれだけ消費者の食品の安全に対する願いが大きかったということのあらわれだ というふうに思っています。そういった運動の中で、大半の国会議員の方が賛同をして くださるというふうなこともありまして、ようやく今日の法改正に至ったのだなと思っ ております。  その法改正の中身について、どういうふうに評価するかという点については、お手元 の資料の4に項目を並べてみました。先ほどご説明くださったポイントがほぼ入ってい る状況でございますが、1つはやはり食品安全基本法という、その包括的な法律ができ たということ、これはもう本当に欲しかった法律でございます。その基本理念に食品の 安全確保は、国民の健康保護が最も重要であるということがきっちり規定の中にうたわ れたということ。それからリスク分析手法という考え方が採用されて、食品安全委員会 の設置がともあれ、なされたと。今後はいろいろまだ宿題が残っていると思っておりま すが。それから国民の意見を反映することと、それからリスクコミュニケーションの義 務化、これもどういう形がふさわしいのかというのも、これも今後の宿題になるとは思 いますが、とりあえずそういうことが位置づけられたということがございました。それ から食品衛生法、これはずっと変えてほしかった法律で、これもようやく改正がなされ たということで、食品安全基本法と同じように、法の目的に食品の安全性を確保すると いうことが入り、国民の健康保護が明記されたこと。  実は、この目的がきっちりするということは、従来私が思っていたこと以上に本当に 大事なことだというふうにつくづく思っております。と申しますのは、私のささやかな 経験からしても、先ほども出ておりました遺伝子組換えの表示の問題がございました。 最初、消費者団体は食品衛生法で遺伝子組換え食品の表示を義務づけてほしいというこ とを、申しておりましたけれども、やはりその目的との関係で、どうもなかなか難しい と。審議会の表示部会の中でもいろいろ議論を重ねましたけれども、消費者の選択に資 するということが、この法律の目的と合致するのかしないのかということで、法律家の 先生もいらっしゃったのですが、かなりそこの解釈の問題で意見が違って中間報告で は、両論併記という結論しか出せなかったと。その後、スターリンクのことがあって、 安全性の審査の義務化をされた途端に、やはり表示が必要だということを今度行政の方 が言い出すというようなことがあって、やはり目的の中で何がうたわれているかという ことは、非常に大事なのだなということをつくづく思った経験がございました。  それから、国と地方公共団体などの自治体、それからそこの責務規定、つまり何をし なければいけないかということがはっきりうたわれたということが、非常に大事だとい うふうに思っています。それから、あわせて消費者の役割ということもきっちりうたわ れていて、やっぱり消費者もしっかり勉強して意見をちゃんと言っておかなくちゃいけ ないのだよということが、役割としてうたわれたことも非常に大事なことだというふう に思っております。  それから、国民からの意見の聴取規定が明記された。あるいは兼ねてからずっと改善 の中身として申し上げてきた農薬だとか、動物用の医薬品の残留規制にポジティブリス ト制、これも言い続けてきたことでございましたので、ポジティブリスト制が導入され るようになったこと。それから先ほどご説明があったように、既存添加物についての名 簿からの消除が可能になったというようなことで、天然添加物の安全性の見直しという のは、技術的にもなかなか難しいところがあるのですが、それが少しずつは進められて いるということと、やはり消費者の気持ちからすると、使われていない添加物だったら 消しちゃったらどうというのが非常にわかりやすい考え方だと思うのですが、それがよ うやく既存添加物についてはできるようになるということで、兼ねてから申し上げてき たことが組み入れられたということでは、非常に大きな前進だというふうに思っており ます。  ただ、今後の宿題ということで、何点か私が思っていることを申し上げますと、1つ は、食品安全委員会というリスクの評価をする場所ができたということは、非常に大き な前進だと思うし、それから消費者からの期待は非常に大きいのですが、どうやって動 き出すのかというところがまだまだよく見えません。7人のお顔ぶれと、まだ10日で すから、これからいろんなことが決められていくのだと思うのですが、決められていく 過程に消費者がどういうふうに意見反映できるのかなというのがよく見えなくて、でき ればその食品安全委員会に消費者も入れてくださいということも、かなり消費者団体と しては言っていましたが、リスクを評価するというところは科学的に公正に判断をする ところであるので、利害を調整する場ではないということで、消費者の意識などについ てのご専門という形では入っておられますが、消費者の代表という形で位置づいた方は いらっしゃらないということで、今後、専門調査会の中で、企画の調査会なりリスクコ ミュニケーションの調査会の中に、どんなふうに委員として反映されるのかということ もあるのですが、要するにリスクアセスメントとリスクマネジメントとリスクコミュニ ケーションという考え方が、実際にどんなふうに具体的に場面として成り立っていくの かということが、まだまだ消費者にとっても行政にとっても中身が見えていないなとい う気がいたします。ですから、リスクコミュニケーションもどちらかというと、伝えれ ばいいのでしょうというふうな関係に言われがちです。丁寧に詳しく正確に話せばいい のでしょうというふうにも伝えられがち。実は私はそのことは大前提としてものすごく 大事なことで、それぞれリスクコミュニケーションご担当の方が今度設けられたという ことは、非常に大きな前進だと思っておりますけれども、リスクコミュニケーションと いうのは、それぞれリスク評価の場面でもリスク管理の場面でもコミュニケーションと いうのは必要ではないか。例えば、食品安全委員会でリスク評価をするときに、専門の 先生たち、もちろん優秀な専門の先生たちがリスクの評価をなさるのですが、それだけ ではなくて、そのことに対して、国民なり事業者が意見の反映というのがどうできるの か。例えば、もっと別にいらっしゃる科学者なり、専門家の方が私たちはこう考えるの ですよということが、その場にも伝えられるみたいなシステムというのもあっていいの ではないかというふうに思っておりますし、それからリスク管理の場面でも同じような ことがいえて、厚生労働省でいえば、審議会の役割もリスク評価はしなくなって、それ は食品安全委員会の仕事になるわけですから、リスク管理の場面で今度コミュニケー ションというのがどういうふうになっていくのか。例えば、今度今ある審議会がリスク 管理を担うとしたら、そこに持ち込まれる情報や、そこにいる人のお顔ぶれなども場合 によっては、やっぱり変わっていく必要があるのではないかというふうに思っておりま す。その辺のところが非常に明確になったのはいいのですが、機械的になってはいけな いなというふうなことを思っております。  それからもう一つ、リスク評価をするテーマを一体だれがお決めになるのか。優先順 位をだれが決めるのかということについても、今までも持ち越してきたこれからの残留 農薬基準の設定だとか、添加物の安全性の評価など、もうすることは山ほどたまってい るはずですから、そのことがまずリスク評価の大きなテーマになっていくのはわかる話 なのですが、そういった場面でリスク評価する、その優先順位、リスクのプロファイル をだれがするのかということがもう一つ、もちろん食品安全委員会自身でなさるという こともあると思うのですが、そのことについて消費者がどういうふうに意見を言えるの かなということもまだよくわからない、宿題かなというふうに私は思っております。  それから、情報公開ということについては、少しずつ前進をしてきているなと思いま すが、その辺がとても大事になっていて、先日厚労省ホームページにあるとおっしゃる けど、一般の普通の人が開けられるようなホームページになっていませんよというふう に申し上げたら、早速、その辺はわかりやすくというふうに、ご検討くださるというお 返事をいただいておりますけれども、そういった本当に細かな問題で、だれに伝えたい 情報で相手がわかる情報になっているかどうかという、配慮が非常に大事だというふう に思っておりまして、知らせたからいいでしょうという関係ではいけないというふうに 思います。  外国では、例えば情報がこれだけ国際化されますと、イギリスの食品のスタンダード をつくっている省庁でも、あるいはアメリカのFDAでも本当に私たちでも開けること ができるのです、ホームページ。そうすると、本当に一般の人が知りたいことが、ここ を開ければわかるようにということが実に丁寧になされていることがわかるということ がございます。ぜひ、そういうわかりやすい情報の出し方というのを私たちの意見も反 映していただきながら、つくり上げていく必要があると思います。  いずれにしても、風通しをよくしてほしいなと。私のささやかな経験の中でも、行政 の方は今どうしてできないかとを説明するのは非常にお上手です。それから現状がいか に正しいかというか、こういうことなんだということを説明するのもすごくお上手で、 それ以上は私は二の句を告げなくなることがよくあるのですが、そうじゃなくて、コ ミュニケーションというのはやり取りの関係ですから、ああそうですか、そういうふう に言うのだったら、ちょっとこういうふうにしてみましょうかねという、こういう関係 ができると一番いいなと。だから、こういうリスクコミュニケーションの場も、ご質問 にお答えしますという関係じゃなくて、そういういいご意見があったらぜひ酌み取って みましょうみたいな、そういう双方の関係をぜひつくれるといいなというふうに思って います。  それから、ちょっと話が変わりますが、先ほど申し上げたように、食品の安全をめぐ る動向というのは、これだけ私たち輸入食品に頼って生活せざるを得ない状況ですか ら、国際的な動向と切り離すことができない状況になっています。国際的にはいろんな 食品の安全の基準などは、先ほどお話も出てきていたように、コーデックス委員会で、 決められていくわけです。そのコーデックス委員会について、国内の窓口をコーデック スコンタクトポイントというふうに言うのですが、いろんな経過の中で、日本では最初 科学技術庁にあって、それが文部科学省になったので、今文部科学省の中にあるので す。そういう国際的な基準策定に対して、日本の政府がどんな考え方を持って、国際会 議に臨むかというふうなことの議論のプロセスもなかなか今までよくわからなくて、と りあえずは連絡協議会というふうな形も今はあるのですが、そういったコーデックスの コンタクトポイントもできれば、できればですが、食品安全委員会が国際的な情報に目 を光らせて、情報収集していくのだよということが仕事になっているのだったら、そこ に移してくださるといいかなというふうに思っております。  あと、いずれにしても、とにかく情報公開と透明性ということの2つのキーワード、 そしてリスクコミュニケーションの本質的な運用ということで、ぜひ今後、消費者と事 業者と行政と3つ力あわせながら、進めていく必要があると思っています。  それから今回の法律の中では、それぞれの責務の中で、地方自治体というか、都道府 県の役割が非常にきっちり明記されました。そういう意味では、都道府県の段階でも人 の確保なり予算の確保なり、消費者とのコミュニケーションというのをぜひこれまで以 上に前進をさせていただきたいなというふうに思っております。  以上でございます。 ●司会  ありがとうございました。  続きまして、財団法人食品産業センター理事長の岩崎充利先生よりお願いいたしま す。 ●岩崎先生  ただいま、ご紹介賜りました食品産業センターの岩崎でございます。  私ども食品業界といたしましては、食の安全、安心の確保ということが一番大切であ るということで、これまでもハサップの導入なり、衛生管理の徹底というようなこと 等々につきまして、業界を上げて取り組んでまいりました。申しおくれましたが、食品 産業センターというのは、業種別団体の集まりということで、個別の業界の問題という ことよりは、業種横断的な共通課題に取り組むということで、環境問題とか、技術開発 の問題とかということでございますが、その中でも特に食の安全、安心の問題につい て、一番重点を置いて取り組んできたところでございます。  この点につきまして、私の方からまずこれまで取り組んできた食の安全、安心につき まして、2点ほどご説明させていただきたいと。その後、食品安全基本法についての考 え方、それから3番目が食品衛生法の改正についての考え方について、ご説明させてい ただきたいというふうに思っております。  それでまず、第一の私どもの取り組み状況でございますが、2つございます。第一は ご案内のとおり、平成12年にかなり大規模な食中毒等々が起こりまして、それに引き 続きまして、いろいろ問題が出てきたわけであります。このときにやはりご指摘があり ましたことにつきましては、品質管理実施体制がマンネリ化していて、なかなか品質管 理に甘さがあったのではないか。あるいは事故時の対応につきまして、対応がおかしか ったのではないかと。原因究明の難しさというようなご指摘がありました。それとあわ せまして、食の安全性の確保ということからいきますと、生産から消費まで、製造行程 というのももちろん重要ですけども、農場から食卓までの安全性の確保をどう確保して いったらいいのかというような、いろんな問題提起がなされました。私ども、そういう 情勢の中で、早速、食品製造業者のほかに、消費者団体の方、また食品流通関係者、報 道関係者、学識経験者等の参画を得まして、食品事故防止対策委員会というものを開催 いたしまして、ちょっと前でございますが、平成13年でございますが、消費者に安全 な食品を提供するための提言というものを取りまとめまして、食品業界の周知徹底を 図っているというところでございます。  その内容として、やはり食の安全というのは、農場から食卓までの各段階で関係する 事業者などがそれぞれ責任を持ちながら、しっかりやりましょうよというのがまずござ います。それから何と申しましても、大きなのは未然防止を図っていくということであ りますから、経営者のリーダーシップの発揮や品質管理体制の整備とか、安全管理シス テムということをしっかりやりましょうというのがございます。  更に、事故が起きた際に消費者への被害をどう最小限に食いとめるか等々で、影響を 最小限度にとどめるための対応というようなことを中心とした中身ということになって おりまして、これまでもいろんな形でハサップ等の導入促進等々ございましたが、もう 一度、基本に立ち返って、徹底した品質管理が消費者の安全を保障するのだという考え のもとに、品質管理の基礎から再構築していく、業界挙げてこの問題に取り組んでい く、という取り組みでございます。  それからもう一つは、食品の不当表示の問題への取り組みであります。これにつきま しても、これは食品の表示問題ということであると同時に、企業のコンプライアンスの 問題でもあります。それで、そのときもいろいろ言われましたが、よく言われたのは食 品産業の社会的使命というのは何だということです。企業社会的使命というのは何だと いうことが問われたわけであります。これについて、私どもは2つあると考えておりま す。  その1つは、やはり社会のニーズにこたえまして、安全で品質のよい食品を安定的に 供給すること。これが当然の1つの役割であります。  それからもう一つは、やはり企業というのも、社会の一員であるのだから、そういう 一員の中でどう社会貢献をしていくこと。こういうことではないかと。それで企業の行 動規範というものは、そういうような社会的使命を果たすための基本的なよりどころと なるものであるから、そういう企業の行動規範というものをしっかりつくって、それに 基づいて対応していきましょうということであります。  そこで、私ども食品企業の行動規範及び行動指針策定の手引きというものを作成しな がら、これも事業者の内部におきまして、その周知徹底を図ってきて取り組んでおりま す。内容的にはただいま申しましたように、命の源である食を扱うという食品企業とし て、食の安全、安心ということに関することと、法令倫理とか、社会倫理に関するこ と、それから必要に応じて社会貢献をどうするかというようなことでありますが、どう いう形でこれの実行確保を図っていくか。絵に描いたもちになってはいけない。ただ描 けばいいというものじゃないよということから、行動規範を実施するためには、体制づ くりというものをどうするか。特に経営トップが率先垂範すること、それから趣旨を従 業員の方々にどう伝えていくかが重要と考えております。  それからもう一つ大きいのは、ホットラインというものを設けて、下の考え方という ものを上部が吸い上げる仕組みというものをしっかりしていけば、対応し得る部分とい うのは相当あるだろうというようなことで、各企業、取り組んでいます。ただ具体的に どうかというと、ある企業の担当者と話をしたときは、単純に言うと、従業員の方、あ なたが今会社でやっているということを家に帰って、奥さんとかご家族の方に言えます か、言えることをやればよろしいのですという言い方をすると、大体わかってくれると いうことでした。特に上司よりも、やっぱり今は奥様の方が恐いようでございまして、 大体そういうように家に帰って、奥様に言えることをやるのだ。そんなふうに今しっか り対応していくようにやっておる次第でございます。よろしくご理解のほど、お願い申 し上げます。  次に基本法の問題、食品安全基本法の問題でございます。これにつきましては、先ほ ど小沢さんの方からお話がございましたと思うのですが、やっぱり一番大きな意義があ るということは、食品の安全につきまして、基本的な方向づけをしたと。それも法律的 にそういうことをしたということに、制定の一番大きな意義があるのではないかという ふうに、今私ども受けとめております。また、国民の健康の保護ということが一番重要 だということ、それから食品供給行程の各段階、フードシステムの中でしっかり対応す ることが重要だとし、それから国際的な動向、国民の意見、それから科学的知見という ことが言われております。国際的動向等々につきましても、やはりコーデックスとか、 JECFAとか、そういうような動きも十分対応していただければというふうに思って おる次第であります。。  それか二つ目は、関係者の責務というか、事業者の責務も含めて、関係者の責務とい うことがうたわれております。もちろん私ども事業者の責任ということにつきまして は、第一義的な責務を有するということでありまして、そのことは重要なものとして受 けとめていきたいと考えております。  更に、的確かつ適切な情報の提供ということがございます。消費者の役割としても、 その食品の安全活性確保に関して、知識と理解を深めるということでありますが、私ど ももできる限り情報を提供をして、消費者の方々の理解と協力を求めていきたいという ふうに思っておりますので、よろしくお願いしたいと。  それからその三つ目が、リスク分析手法の導入ということで、これも小沢さんがお話 になりましたけれども、リスク分析の手法というのが、今回これは恐らく初めて法律に 明記され、これまでも、そういう考え方はあったわけですが、法律に明記されてきたと いうことだろうと思っております。リスク分析手法というのは、そもそも食につきまし ては、完全な安全ということはない、100%安全はないということを前提とした上 で、どういう形でその食の安全を確保していくかということで、このリスク分析手法の 導入と、リスク分析手法ということがとられてきたと理解してます。それでこれもご案 内のとおりでございますが、FAOという国際機関と、WHOという国際機関のもとに コーデックス委員会、これは委員会で国際的な規格、食品規格をつくるというところが ございます。そこでも各国に分析手法の導入をしなさい、ということを勧告しておりま して、これが国際的にリスク分析手法の導入が検討されていると承知しております。中 身はもうご存じのとおりでございますが、その中で、1つはリスク評価ということがご ざいます。リスク評価というのは科学的な知見に基づくとか、あるいはそのあらゆる利 害関係から独立していること。それから評価について透明性が確保されているというこ とが非常に重要な課題でございまして、それを取り扱う機関が食品安全委員会だという ことになり、私どもは食品安全委員会のこれからの活動に大いに、その意味では期待を 寄せています。本当に安全であるけど、なかなか安心しないというようなこともござい ますが、安全性の確保につきまして、こういうところで今のような形の中で、評価して いただくということがやっぱり一番重要なのかなと思っております。  食の安全委員会というのができて、その委員につきましても、既に7人の方が選任さ れておられます。その下に専門委員というものができますが、その中にはやっぱり私ど も食品の製造行程等々に詳しい方を参画するような形にしていただけないかというよう なこともお願い申し上げたいと思っております。  更に、施策の充実というのがございます。行政機関双方の連携というようなことがご ざいまして、これも厚労省なり農林省等々が連携することになっております。  それから、試験研究の問題であります。食の安全性の問題につきましても、試験研究 なり技術開発ということは、ある意味では非常に重要なことになってきております。た だ、私どもの食品産業というのは、中小企業のウエートが非常に大きく、ほかの産業の 製造部門に比べると技術開発への投資というのは非常に少ない状況でございまして、こ れらにつきましても、いろんな形で拡充について、国の方でもいろいろ考えていただけ ればありがたいと考えでおります。  更に、表示制度の適切な運営でございます。私どもは今かなり義務表示の数が多くな ってきておりまして、なかなか対応するのが非常に難しい問題もございます。私どもと しては、義務表示につきましては、できるだけ必要最小限にするのが望ましいと考える 中で、単にラベル表示ではなくて、消費者への情報提供というのは、いろんな形でやっ ていける方法があるのではないかというようなことを申し上げております。  それから一番私どもの中で問題となりますのが、風評被害でございます。時には風評 被害によりまして、食品企業としては、命を絶たれる場合もあるわけでございますの で、行政庁には公表の際には、意を尽くしたお話し方をしていただきたいということを お願いしたといと思っております。これが基本法に関する私共の考え方であります。  次に、食品衛生法の抜本的改正についての問題でございますが、1つは国、地方公共 団体の責務の明確化ということがございます。特に食品というのは全国流通するもので ございまして、各都道府県なり各保健所で解釈の違い等々がございますと、企業として 十分対応し受け切れないことも出てまいりますから、その辺のところを常々しっかり対 応していただいていると思いますが、十分その点に留意していただければというふうに 思っております。  それから、事業者の責務の明確化ということの中で、先ほどもご説明ありましたが、 記録をして保持する、これを保持するということであります。私どもは、事故が起きた ときの原因究明等々につきましての重要さというものを十分認識しておりまして、現時 点でも、最大の力を入れておりますが、先ほども申しましたように、中小企業が相当の 部分を占めますので、中小企業の場合に過重な負担にならないように配慮していただけ ないかと考えております。もちろんその重要性というのは十分認識して、できるだけの ことはしたいというふうに思っておりますが、その辺のところのご理解を賜りたいとい うふうに思っております。  それからもう1点は、農薬等の残留規制の強化で、私どもとして大きな問題と考えて おります。というのはこれまでと原則が変わってくるということから、私ども懸念いた しておりますのは、一つは農薬の登録がされているものと、残留基準が決まっているも のと数で相当差がございますし、また国際的に流通しているもの、国際的に認められる ものと、それから現時点での残留基準が今決められているものとの差があるというよう なことと、それからもう一つは、残留農薬を決める場合に農薬の種類だけではなくて、 作物によっては使えないというようなもの等々がございます。それでこれらのことを踏 まえて、先ほど課長の方から実施まで3年あるということなのですが、恐らくあっとい う間の3年ではないかと懸念しております。  見切り発車ということではなくて、しっかりした体制を整えた上で実施していただき まして、混乱がないようにしていただきたい。生産段階では今度の法改正でも、農薬の 登録されたものについては、残留基準が決められているとの対応をなされましたが、国 際的な対応等も含めて、よろしくお願いします。  また、食品添加物規制の強化の問題がございます。これは既存添加物につきまして も、使用実態等十分調査の上で安全性に問題のないとなれば指定していただきたい。そ れから、近頃香料問題等を含めて、食品添加物の問題が出てきておりました。私ども は、いろんな形でいろんな問題が出ておりますが、添加物業界なり香料業界等々には、 十分指導をしていただくということとあわせて、国際的に広く使用されていたり、ある いはJECFA等でやられている安全性の評価も含めて、そういうものとの対応も早急 に図っていただけないものかということ思っております。  更に、輸入食品の監視体制の強化でございまして、この問題につきましては、これだ け食品というのか、輸入が多くなってきているということからいきますと、やっぱり水 際での検査というものにつきまして、十分対応していただきたいということをお願いし ております。  そのほかいろいろございますが、今回の法改正については時宜を得たものではないか というふうに思っております。いずれにいたしましても、今回の食品安全基本法、また 食品衛生法の抜本的改正ということにつきましては、私どももなんですが、国民全体に とって、非常に意義のあることではなかったのかと受け止めております。私ども食品業 界からすると、現在これだけ長引く不況の中で、売り上げの低迷というよりは、むしろ なかなか売り上げ減に歯どめがかからないというような状況の中で、食の安全と安心の 問題は非常にコストのかかる問題であります。ただ、コストはかかっても、やっぱり食 の安全というのはどうしても守っていく、守っていかなければならないということでご ざいますので、私どもなりに一生懸命努力させていただきたいと思っておりますが、ひ とつ消費者の方々に、ある意味ではご理解を賜らなければならないというようなことも あるのだろうと思っております。いずれにいたしましても、行政や消費者の方々とも充 分にコミュニケーションを図りながら、その責務を果たしていきたいというふうに思っ ております。  また、食品企業関係者の方も数が多かったり色々な地域にあるとかの事情もあるもの ですから、こういうような企画につきましては、いい催しを開いて頂いたと私ども受け とめておりますが、なお、その法律や制度の解説なり普及というようなことにつきまし て、私どもも含めて、更にできるだけ周知徹底を図っていただきたいということと、こ れから実施、実行にあわせまして、消費者の方々の意見も十分聞くこととあわせて、私 ども業界ともひとつ十分意見交換も図っていただきたいというふうに思っております。 以上のようなことで、これからも大いにしっかり頑張っていきたいというふうに思って おりますので、今後ともひとつよろしくお願い申し上げまして、私の話を終わらせてい ただきます。どうもありがとうございました。   ●司会  ありがとうございました。 <第3部>  引き続き、第3部の方に移らせていただきたいと思いますが、若干の準備の時間をい ただきたいと思います。本当に申しわけございませんが、なるべく着席のままでお待ち いただけますようお願い申し上げます。  第3部の質疑及び意見交換を開始いたします。  限られた時間の中でできるだけ多くの方々にご発言いただいたいと考えておりますの で、ご質問、ご意見につきましては、お1人様2分間でお願いできればというふうに考 えております。1分30秒の経過時点で予鈴として、鐘を1回鳴らさせていただきま す。それで2分経過時に鐘を2回鳴らさせていただきますので、その2回目のときに は、ご終了いただきますようにお願いしたいと思います。  ご発言をいただく際には、挙手を求めますので、一応発言を希望される方は、挙手を お願いいたします。手を挙げられた方の中から、司会の方で発言される方を指名させて いただきます。指名された方のところへ係の者がマイクを持って順番に伺いますので、 差し支えなければ、ご職業とお名前をおっしゃられた上で、ご発言をお願いいたしま す。  また進行の都合上、あらかじめ司会の方からまとめて3名の方を指名させていただき ます。3名の方からまとめてご質問いただきまして、その上で説明者席の担当官、ある いはご講演いただいた両先生からお答え申し上げます。  それでは、挙手をお願いいたします。  まず1番目の方、そちらの方と、あと2番目の方、真ん中の列の方、3番目は奥の席 の、はい。 ●質問者1  指定外添加物とか、香料問題とか、そういう場面に身を置いている者として、2つほ どお聞きしたいと思います。  トレースバックとか、フードチェーンの中でトレースバックは大変重要だと思います けども、記録保存の意味で、中小を外すというのは、私たち香料や添加物は中小多いわ けですけど、中小企業の場合はそういうものを外せば、そういう実効性が乏しくなると 思われるのですけども、それは一体いかがなものか。  それからもう一つは、専門家というのか、そういう話ですが、いつもこの添加物の議 論とかそういう中に、添加物をつくっている専門家というのはいつも入れていただけて ないようなのです。その辺、自治体や省庁の方が第一にどう思われているのか。 ●司会  2番目の方、質問の方お願いいたします。 ●質問者2  3つ、よろしくお願いいたします。  1つ目は、ことしの5月6日に遺伝子組換え微生物を、食品添加物10品目が認めら れたようですけど、その10品目の名前を教えていただきたいということと、その食品 添加物は全面表示になっておりますけど、これらは微生物を使ったということで、チョ ウボウホウ扱いになっているのか、表示があいまいだと思います。でも、遺伝子組みか えされたものであれば、例えばバイオキモシンというような書き方で、はっきりと組換 え表示をしていただきたいと思います。  それから第2番目は、農薬使用基準についてですけど、抗生物質はどのような基準が 設けられているのですか。和歌山の桃とか梅などは、今問題になっております。  それから3つ目は、農薬の回収、これは回収は義務づけられましたけど、大阪のある グループに行きましたときに、なかなか回収に来てくれない、農協が来てくれないとい うふうなことを聞きました。これではスムーズに回収できなければ、また次回家にある ものを使うというふうなことになりかねません。  以上、よろしくお答えお願いいたします。 ●司会  それでは3番目の方、質問の方お願いします。 ●質問者3  島根県から来ました。  2点ありますので、よろしくお願いいたします。  1つは、リスクコミュニケーションということで、消費者の意見をこれから聞いてい ただけるということで、それも大変にありがたいというふうには思っております。やは り消費者にとりましては、安全を確保するという点で、食品の表示というのは大変大き い役割を果たしております。私もメーカーさんと現場で渡り合っているような仕事して いるわけなのですが、実際問題、適正な表示がされていない食品がたくさん出回ってお ります。例えば一括表示のところで、原材料と実際に使っている原材料の配合とか、あ るいは表示が違っているところですね。あるいは栄養強調されているもので、栄養成分 表示がないとか、そういうようなことでいっぱい起こっております。それでその原因と しましては、やはりこの間、法律がどんどんどんどん変わっておりまして、この間で見 ましても、アレルギーの義務づけでありますとか、あるいは栄養表示法、改善法、ある いは農水省の方の関係では表示基準、これの全食品の適用みたいなこと、あるいは原産 地表示ですか、そういうものが義務づけがされる。こういうふうにどんどんどんどん法 律が変わっていく関係で、はっきり言ってメーカーさんは対応できていないというのが 現状だと思うのです。今ここで説明がありましたけれども、メーカーさんの方で今後は リスクコミュニケーションがあるとしまして、自主管理であるとか、監視強化だとか、 そういうことをおっしゃられましたけども、やはり私はもっとメーカーさんに法律の中 身を知らせるような、そういう広報活動というのですか、あるいは周知徹底する、そう いうようなことをやっぱり役所としてまずやるべきなのではないかということなので す。  例えば、一つ一つのメーカーさん無理だったら、業界の方とかきょうおられますけど も、業界と協力されてそういうことをどんどん役所はもっと役所としてやっていただき たいというふうに、それがなかったら実際現場では、そういうような不正表示はいっぱ い出てくるということだと思うのです。  それから既存添加物のことで、今やはり問題になっている添加物としまして、カンゾ ウとカラギーナンとステビアですか、これ我々にとっても大変今問題になっているの で、この辺の評価をきちっと出していただきたい。詳しくもっと言いたいのですけれど も、時間が来ましたのでやめます。よろしくお願いします。 ●司会  それでは、ただいまのご発言につきまして、回答の方お願いしたいと思いますが、回 答の方もなるべく手短にお願いしたいと思います。 ●林補佐  厚生労働省の林でございます。  最初の方の中小企業の記録の保存、負担義務から外すのは問題があるのではないかと いうご発言でしたが、説明が不十分だったかもしれませんが、努力義務ということであ りますが、努力しなくていいという意味で、中小企業を取り扱っているわけではなく て、まずは中小でない大企業のところから重点的にお取り組みいただきたいという趣旨 でございますので、中小であるから全くそういう努力をやらなくていいというつもりで はないと。ただ、先ほど食産センターの岩崎理事長からもご発言があったように、実行 可能性と、実際に取り扱っている食品の流通量、影響量からしても、中小も大企業も全 部一律に押しなべて取り組んでいただくというのは実効性からいって難しいということ で、こういう分け方をしてまずは取り組みたい。今後の定着の状況を見てどんどん対象 を広げていって、定着を図れたらいいなという考え方でありまして、その点をご理解い ただければというふうに思います。 ●植村補佐  最初の方の2点目のお話ですが、添加物の製造の事業者の方のご意見ということで、 ご指摘、ご意見をいただきましたのですが、添加物については、添加物部会と毒性部会 の合同部会というのを薬事・食品衛生審議会に組織して開催いたしまして、そこで添加 物についての専門的なご議論をいただいております。そこで学問的なご議論をいただい ていまして、科学的見地に基づく安全性の評価、それから有用性の評価について審議を させていただいております。ご意見の趣旨は事業者の方が、例えば添加物行政のあり方 とか、添加物というものに対してのご意見というようなことであろうかと思いますが、 例えば今日の意見交換会もそうでございますし、昨年、法改正の骨子をお示し申し上げ ての意見交換会、あるいはご意見をたくさんいただいて、ホームページでご回答申し上 げるような際にも消費者の方だけでなくて、事業者の方からもたくさんご意見をいただ いておりまして、添加物の製造なり、流通なりにかかわっている方からのご意見もいた だいております。また、先ほど、施策の説明の中でもございましたように、添加物の指 定であるとか、使用基準の設定といったことに関しても、皆様のご意見を伺いながら進 めていくというリスクコミュニケーションの充実ということに取り組まさせていただい ております。  また、施策全般にわたってのあり方にもご意見をいただく機会を設けて進めてまいり たいと思っていますので、こういう機会をぜひご活用いただいて、いろいろご意見をい ただければとお願いしたいと思います。  それから、2人目の方の遺伝子組換えの具体的な製品を教えていただきたいとのご指 摘ございますが、たしか遺伝子組換え品目は、それぞれ審議会で審議をいたしまして、 私どものホームページ中にそれぞれその評価をされたものの一覧を示させていただいて おります。ホームページをご覧いただいて検索いただくか、あるいは直接お知りになり たいということであれば、お問い合わせいただければご回答申し上げられると思ってお ります。  それから、添加物の表示につきましては、原則、添加物の物質名を表示していくとい うやり方で、今までさせていただいております。添加物の表示についても、これまでた くさんのご議論をいただきいてきた中で、物質名を表示していくというやり方をとって おります。遺伝子組換えという表示ができないかというご指摘であろうかと思います が、表示制度については、消費者へのわかりやすさの問題、あるいは情報提供の仕方と いう点でのあり方の問題等ございまして、私ども今、農林水産省と共同で共同会議とい う場でそういった個別のテーマについて取り上げさせていただきながら議論を進めてま いっているところでございますので、またいろいろご意見いただく中で検討させていた だければと思っております。  お2人目の方の抗生物質についての規定がどうなっているかということでのご質問で ございますが、現状の食品衛生法の規定を申し上げますと、食品に抗生物質を含んでは ならないという一般的な規定を置く中で、別途規格基準を定めているものについては、 その規格基準を守っていただくことで、安全性の確保を図っていただくことを規定をさ せていただいております。おっしゃられたのが抗生物質なのか抗菌性物質製剤なのか、 あるいは農薬の殺菌剤のようなもののご質問なのか、いろいろあろうかと思いますけれ ど、それぞれ規格基準を設けて対応していくということですので、そういった内容をご 参照いただければと思います。 ●中村企画官  農林省の関係で3件ほどあったかと思います。1つは農薬の回収でございますけれど も、多分回収はその違法な農薬の回収と、それから使わなくなった農薬を引き取っても らうという回収の仕方とあるのですが、多分農協さんが集めて回るというのは、そちら の方ではないかと思うのですけど、それはちょっと多分その農協の作業を受けているの だろうと思いますけれども、そういう意見があったことを伝えたいと思います。この法 律の回収というのも緊急回収ですから、農協がまだ来てくれないというのは、多分そう いう状態ではないものというふうにご理解をください。  それと原料原産地等々、表示がなかなかわかりづらいという話がありました。私の方 にも例えばウナギの原料、ウナギの蒲焼きには原料原産地があって、アナゴの蒲焼きに は何でないのだというようなご指摘をいただいております。つくった背景といたしまし ては、例えば輸入ウナギの安全性の心配というようなものが背景にはあったわけでござ いますけれども、やはりこれらにつきましては、今後、物別にいくのか、あるいは特定 の条件について輸入原産地が必要なのか、その辺についての検討を進めたいというふう に考えております。  それから次々表示の規制が変わると。五月雨的な改正はやめてくれという声も私ども の方に届いておりますので、その辺についても今後検討をさせたいと思っております。  それから、業界等への周知徹底が足らないじゃないかというご指摘でございます。こ れもやはりいただいているところでございます。ただ、業界の組織等々、きょうセンタ ーの理事長もいらっしゃいますけれども、問題もありまして、かつてのように地方団体 に言えば、全国津々浦々を同じ要旨伝わるという状況では今なかなかありません。です から団体を通じてもご連絡申し上げますし、自治体を通じてもご連絡申し上げると。そ れから昨年7月は、関西でも表示の説明会を行って200人の会場、申し込みが殺到し て、4回転でやったわけですけれども、やはりそういうことを繰り返しながら皆さんに 啓発していきたい、周知徹底を図りたいというふうに考えております。  以上でございます。 ●植村補佐  3番目の方の一番最後に既存添加物の見直しのご指摘で、具体的にカンゾウ、カラギ ーナンと物質名を挙げていただきましたですが、既存添加物は先ほどご説明申し上げた ように、489のものが平成7年当時流通していたということと、天然由来であること から、それまで使用が認められていたということ、現状引き続きその使用を認めている 訳でございますが、天然由来といっても食経験の少ないものもあるということから、科 学的な情報を集めてその安全性の総点検を当時から取り組まさせていただいているとこ ろでございます。  まず、厚生科学研究で、情報科学的な文献を収集いたしまして、各天然添加物489 のうち、安全性に疑問があるのかどうかという絞り込みの作業を鋭意続けてまいってい るところでございます。そういった内容で進めていく中で、やはり科学的にデータをと って確認しておくことが必要ではないかというものは、今段階的に進めさせていただい ております。私どもこの食品衛生法の改正の併せまして、今年度財務省から予算も大幅 にいただきまして、既存添加物の安全性の点検の中で、どうしても試験の必要なもの、 さらに特に動物試験で検討しておくことが必要なものの数を絞り込んだ上で、その点検 を今進めているところでございまして、その内容について公表してまいりたいというふ うに考えております。 ●司会  それでは、次の質問を受け付けたいと思いますので、一番あちらの列の後ろの方の1 人目、それから2人目は真ん中の列の前から2番目の方……。 ●質問者2  先ほどの質問、省けたんです。それがまだもらえていません。その質問に・・・・。 ●吉岡課長  先ほどの抗生物質のご質問の件は、農産物で生産段階での使用のお話。 ●質問者2  そういうことを聞いていたのですけども、そういったものの使用期限ですとか。 ●植村補佐  農林水産省さんの方で、例えば農産物であれば農薬で抗菌剤の使用という農薬の使用 についての農薬取締法に基づく規定というのがございます。動物用の医薬品であれば薬 事法に基づく動物医薬品の使用ということで、使用段階の規制として、どういうふうに その薬剤は使われるのかということの取り決めが農林水産省さんの方で決められており ます。私どもは最終的に食品として流通する際に食品として安全性の確保されるものが 供給されるように、残留基準を定めるということをいたしておりまして、この両者の連 携、あるいはそういったものを同時に設定していくというようなやり方に取り組まさせ ていただいております。  今回、食品安全委員会も発足して、基本的な安全性の評価、リスク評価を安全委員会 で行った上で、厚生労働省と農林水産省と両方がそれぞれの施策を連携してやっていく という仕組みで、この7月からスタートしたというところでございまして、生産段階に おける施策については、農林水産省さんの方で、例えば薬剤の使い方であるとか、その 休薬期間の規定であるとか、そういったことが決められることで連携を図っているとこ ろでございます。 ●司会  よろしいでしょうか。  それでは3番目は前からその方で。それでは1番目の方から、ご質問お願いしたいと 思います。 ●質問者4  私、生協にかかわる者でございます。  2点ですが、時間もありませんので、お答えは別に結構です。意見とそれから問題意 識というふうに受けとめいただきたいと思います。  1つはリスクコミュニケーションのことでございますけれども、これからにスタート するリスクコミュニケーションですが、やはり理解とか納得をいただくためのものとい うふうな、そういう部分が非常に強いのですが、小沢さんのお話にもありましたよう に、やはりリスクコミュニケーションというのは、一定の合意形成の1つのプロセスだ というふうに思うわけです。そういったものも込めたようなリスクコミュニケーション を進めていただかなければいけないわけですから、これはそのマニュアルでできるもの ではなくて、1つのソフトのようなものだと思うのです。ここでは西郷さんのようにリ スクコミュニケーション官ですか、きょう初めてお聞きしたのですが、いらっしゃるよ うでございますけれども、実際の現場は地方自治体でそういうふうなことが非常に求め られる実際の現場は、そこに非常に多く求められると思うのですが、そういう自治体の サポートのようなもの、あるいはそういう人材育成のようなものの計画があったらいい なと思うのが第1点でございます。  それと第2点は、これは私の問題意識ということですが、岩崎さんの最後のお話の方 に風評被害というものがございました。今回、予防的観点ということがうたわれている わけですけれども、これをする限り必ずそういう側面というのは、どんなに意を尽くし ても起こると。これはそのとおりだと思うのです。例えばキンメダイにしてもそうです し、この間は厚労省が敗訴をなさったと、貝割れ大根で損害賠償を請求されると。こう いう事態というのは将来的に予防的観測からすれば、必ず起こらないようにしたって、 起こるわけですから、こういうときに一体どうするのかなということを官庁の方もそう ですし、私たち消費者が予防的原則というのをどんどん言うわけですけれども、実際起 こったらそういうふうになったとき、じゃあ消費者はそれをどう考えるのかということ も、これまた次の新しい課題として、話し合いを進めていく必要があるのではないかな というふうに思います。  以上、2点でございます。 ●司会  それでは、2番目の方お願いします。 ●質問者5  1つ目はBSEの原因は、今どういうふうに解釈されているのですか。  2つ目は、食品安全委員会の方へ消費者もしくは消費者団体から意見を出す、質問は 出すことができるのですか。  3つ目は、刺身の表示なのですけども、1品の場合は品名産地、養殖かどうか、解凍 かどうかを書かなきゃいけないのですけども、盛り合わせの場合は、加工食品であるの で書かなくてもいいと。その言いわけは非常におかしいのです。刺身は何で加工食品な のかということで、そこはやっぱり消費者が選択するために、表示はちゃんとしてほし いと思います。  先ほど、添加物は物質名表示と言われましたけども、化学調味料を使った場合は調味 料(アミノ酸)もしくはアミノ酸等となっております。最近、アミノ酸がいいというふ うなことを薬局なんかの広告で出ていますけども、これは本当は、化学調味料(ビタミ ン酸ナトリウム)とかイノシン酸とか書くべきではなかったのですか。保存料も着色料 もそれから甘味料も合成と天然は書かないで何も頭につかないで、保存料とか、合成で も天然でも両方つけていないと思います。それはやっぱり消費者にわかるように、ちゃ んと合成のものは合成、天然の場合は書くか書かないかは、また議論があると思います けども、以上です。 ●司会  それでは、3番目の方お願いいたします。 ●質問者6  食品安全委員会と従来からあります薬事食品衛生審議会との違いといいますか、役割 の違いについて、ご説明をお願いしたいと思います。 ●司会  ありがとうございました。  それでは、コメントの方をお願いしたいと思いますが。 ●西郷リスクコミュニケーション官  食品安全委員会でございます。  食品安全委員会に消費者のご意見が言えるのか言えないのかという話ですけど、当然 いろんなことで言っていただけることになると思います。今具体的には一応、必ずしも 全員ご希望をきくわけにはいかないので、いろいろ考えてございますけども、食品安全 モニターといったことをやろうかというようなことを思っております。これは一応食品 安全モニターに手を挙げていただいて、いろんな食品のリスク管理の施策、あるいは評 価についてどうやろうかと、こちらから問いかけをいたしまして、それはこう思うと か、あるいはこの地方ではこうなっていてよくないということにつきまして、情報を吸 い上げるというものを今一応予算上では全国470名ほどでお願いしようかと思ってお ります。470人というのは47都道府県掛ける10という、予算上であり、別に各県 10人じゃなくてはいけないということではないのですけど、一応それだけの予算を とっております。  それとあと、この食品安全委員会のことについて、先ほど申しました専門調査会とい って、いろいろ本当の科学技術的な評価を添加物なり、あるいは微生物なりするグルー プと、あるいはリスクコミュニケーションだとか、あるいは安全委員会そのものをどう していこうかということを議論する企画委員会などが、一応できるのですけど、そうい うところに評価する科学技術チームの方は科学技術の専門家でなきゃ困りますけども、 リスクコミュニケーション専門調査会とか、企画関係の専門調査会には、何らかの形で 消費者の代表の方には入っていただくように、どのようにしたらいいのかというような ことを消費者の方々、団体の方とも相談を始めようかということは、内々事務局では検 討しているところでございます。  その他、そういった枠組みにとらわれずに、様々なことを言っていただければと。言 い方につきましては、手紙でも電話でもあるいは今の準備中でございますけども、ホー ムページを用意いたしますので、そこに書き込んでいただいても結構ですし、そういっ たことで何というのですか、いろいろご意見は承るようなチャンネルを用意したいと 思っているところでございます。  以上でございます。 ●中村企画官  まず、BSEの原因のお話が1つございましたけれども、可能性としては、報道にあ るとおりいろいろ言われておりますけども、断定できるまでには至っておりません。も ちろんこの原因を探る作業は今後も続けていくというところでございます。  それから刺身の表示、これもこういう会場にまいりますと、必ず言われる問題なんで す。ただ、やはり生鮮食品と加工食品というと、商品特性はこれは明らかに違う。両極 端にいえば、例えばお砂糖からマグロの刺身というのがあるわけですけども、どこかで 加工食品に分類するか、生鮮で分類するかの線を引かざるを得ないというところなので す。それを単品の刺身、盛り合わせ、この間で線を引いたというところなのです。じゃ あ、それはどこで線を引くかと、盛り合わせが2つか3つか、じゃあ、握りのお寿司に したらどうなんだみたいなことがあるのですが、とりあえず行政としては、その盛り合 わせの段階で引かさせていただいたと。  それからもう一つ、盛り合わせというのは、中小のお店では特にお客さんの顔を見な がら、どんどん刺身の盛り合わせを変えていきますので、売れ筋を見ながら変えていく ものに、一々いわゆる生鮮食品に義務づけられているようなもの養殖あるいは水域等を ラベルで、あるいはポップでやるというのが、これ現実的になかなか難しいというとこ ろで、こういう整理をさせていただくというところでご理解ください。 ●植村補佐  添加物の表示で、ただいまのご指摘は一括名という、例えば調味料(アミノ酸等)と いうような表示についてのご指摘であったかと思いますが、原則物質名を書くという表 示のルールの中で、保存料であるとか、調味料のようなケースについては、こういった 一括名の記載を幾つか認めているところでございます。こういった表示の内容について の課題については、昨年私どもと農林水産省と共同で、表示制度のあり方についての懇 談会というのを開催して、その場でもこういった一括名の議論がございました。物質名 を書くとき、物質名を知りたい方に物質名がわかるように、物質名を全部書くべきでは ないかというご意見もあり、それでは物質名を書くとなると、長い化学名を全部片仮名 で書くのか。それだけのスペースが商品に確保できるのか。活字が小さくなって、かえ って読みにくくなってしまうのではないかというわかりにくさの問題とか、簡単にはい かない問題があるといった議論が昨年の懇談会でもございまして、そういう議論の中で 表示の役割というものは、実際の商品に表示されていて、消費者の方が手に取ってその 表示を見て内容がわかるというやり方もあれば、表示ということだけではなくて、例え ばその表示を手がかりにして問い合わせをすれば、知りたい人にはそういった詳しい内 容がわかるというような仕組みのやり方もあるのではないかと。  IT技術も進んできて、より詳しく知りたい方に情報が提供される仕組みというもの も考えてもいいのではないかというようなご意見もいただいたところでございます。表 示のあり方、あるいはその制度の工夫という部分については、まだまだいろいろな課題 がございまして、具体的な課題については、今、共同会議で進めさせていただいており ますが、ご意見を広くいただければ、実施可能なもの、あるいはどういう形の方が消費 者にわかりやすい表示なのかというようなことで、さらに議論を進めさせていただけれ ばと思っております。 ●吉岡課長  それから最初のご質問、ご要望にとどめるということですけども、ちょっと考え方を お話し申し上げます。  先ほど申し上げましたように、リスクコミュニケーションは、これは国だけではなく て、各自治体の義務ということで、法律上の位置づけになったわけでございます。じゃ あ、具体的にどんな形でやっていくのか。こういう対話形式がいいのか、あるいは常駐 の機関で代表者が集まる形がいいのか。その辺は実は私どもまだ試行錯誤の段階でござ いまして、いずれにしても国と自治体が両方やらないといけないと。最近、お聞きして おりますのは、例えば大阪府の食の安全府民会議とか、○○県の安全会議とか、自治体 それぞれの独自の取り組みがございます。私自身もまたこういう形も参考にしたいと 思っておりますし、私も国としてのリスコミのやり方については、各自治体のご参考と いう形でこれからも周知をしていきたいと。  また、こういうリスコミ自身も、自治体では食品衛生監視員という方が中心になって やられると思うのですけど、これのサポートという意味では、食品衛生監視員の人件費 は、国の補助金じゃございませんので、地方交付税措置ということになっております。 今回、リスコミに限らず、各自治体の体制の強化が法律上、求められますので、私ど も、旧自治省、総務省とも、こういう地方財政措置という面から、食品衛生監視員の確 保が何とかできないかということで、昨年から相談しております。いろんな形でサポー トをリスコミの仕方も含めて、これから考えていきたいというふうに考えております。 ●外口参事官  ちょっと補足させていただきますけど、自治体でも恐らく手探りでいろんなことこれ から始めると思うのです。その段階で、皆様方、参加なさったときに、これはよかった とか、ここはよくなかったとか、そういう意見を全部お寄せいただければと思うのです が、例えば国のレベルでやったときにそういった意見を教えていただければ、いい例は こういう例ですというのをまたフィードバックできると思うので、そういった中でより よい形を確立していけるのではないかなと思います。よろしくお願いいたします。 ●西郷リスクコミュニケーション官  あと、食品安全委員会とそれから従前の審議会の違いについて、お尋ねがありまし た。食品安全委員会、先ほどご説明をしたとおり、食品の健康影響評価、いわゆるリス ク評価をもらうと。要するにこの食品を摂ったときに、これはどのような摂り方によっ て、どのようなリスクが生じるのかといったリスク評価を行うというのが食品安全委員 会の使命。これはもちろん科学的に行うということでございます。  その評価に基づいたことにつきまして、各省の審議会なりでリスクをどう管理してい くかといったことについては、各省でお願いするというふうな仕組みになっておりま す。もともとそのリスク評価と管理とは渾然一体としてやっていたのがいけないという のがBSE調査検討会の何と申しますか、報告書にも書かれておりまして、透明性、あ るいは独立性を高めるためにも分離したということでございます。 ●司会  それではまた、次の質問受け付けたいと思います。それでは、ちょっと時間の関係で 大分短くなってきましたので、今質問のある方、全員もう一回、また手を挙げていただ けますでしょうか。全体を把握したいと思いますが。大体、この4名ぐらいの方です か。では、4名一遍にお願いしたいと思います。  それでは、一番最初に真ん中の、次がその横の方でよろしかったでしょうか。4名 ちょっと確定したいと思いますので、その次が一番奥の列の前から2番目の方とその隣 の方という順番で、それではお願いをしたいと思います。  最初の方から、質問の方お願いいたします。 ●質問者7  いつもお世話になっております。  時間ちょっとございませんので、いろいろとお話も聞きたいし、また質問したいと思 いますが、2点に変えさせていただいて。1点は、この厚生労働省の方の検疫、水際作 戦、さっきおっしゃった。我々、食卓は国際化になっておりまして、60%以上が輸入 食品、40%弱が国内産となっておりますので、この方の検疫所を我々の主婦の安全化 をしっかりとやっていただきたいということで、あっちこっちの、関西ですが、検疫所 を見学しました。どうでしょう。現場はよくご存じだと思うのですが、非常に手狭でい ろんな機械を置いていらっしゃるし、非常に優秀なことで検査なさっていますけど、非 常に狭いのと我々見学しましても、わかりにくい点が多々ございました。後でいろんな 説明も聞いたようなことですが、検疫のお仕事の中にいろいろとございますが、輸入食 品の相談係とか、あるいは指導係とかいう部門がございます。これでしっかりと輸入す る食品について、持ってまいりましたものをいろいろとって、そこで水際作戦をしてい ただいたら、後の検査はこれは楽ではないかと、そういうことを感じましたので、いか がでしょうか。  それと、トレーサビリティの問題でございますが、この情報を把握されたのは、我々 の消費者にどういう形で情報を公開していただくのでしょうか。これはとても大事に、 生産地から食卓へ、食卓から生産地の見える食品であってほしいということでございま すので、問題が起きてから、食品の回収がオンになる。これじゃ遅いと思います。どう ぞ、そういう点でよろしくお願いします。 ●司会  ありがとうございました。  それでは2番目の方、お願いしたいと思いますが。 ●質問者8  同じ質問なのですが、輸入食品のことについて、モニタリング検査、サンプリングを 取って検査する方法、サンプリング以外は市場に流通してしまっているので、検査結果 が出たときにはもう私たちの口に入っているというようなやり方と、それから命令検査 というのがありまして、違反の可能性の高いものに限るというふうになっていますけ ど、その違反の可能性の高いものというのは、どんなところで、それと指示するのか、 その辺のところも教えていただけたらなと思います。 ●司会  ありがとうございました。  それでは3番目の方、お願いします。 ●質問者9  和歌山からまいりました、主婦です。  まず、緊急時の情報収集なのですけれども、アメリカではO157の事故が起こった ときに、その原因究明について非常に情報収集が早かった。そういう委員会があったと いうふうに聞いています。そのことに関連してですけれども、じゃあ、日本ではどうい う対応、今のままで果たしてそういう早急な緊急時の事故対応というのができるのかど うかという不安を感じています。  雪印のときでも、例えば窓口に牛乳、こんなふうにお腹が痛くなりましたという電話 があったとことを、例えばどこかに届ける義務、今の法律のままであれだけの事故拡大 があったわけですから、それに対応するだけのことをこれから国はできるのだろうかと いうことをそれを消費者として思っています。  それから、コーデックス委員会ですけれども、これは縦割り行政の弊害をかなり感じ ています。食品安全委員会というせっかく消費者の信頼を寄せるそういう機関ができな がら、食品にかかわるコーデックス委員会がそれ以外のところ、文部科学省にあるとい うことは、国民から見て消費者から見て、やはり足りないなというのが、どう考えてい るのかなというふうに映るのです。早急にそれは改善していただきたいと思います。  それから、食品安全委員会の7人の委員に消費者が入っていません。これは欧州の食 品部局とは全く性質が異なっています。そういう点で消費者として納得をいきません。  例えば、テレビの討論会などでいろんな原因を聞いたり、連絡で直接意見を聞いたり という設定されていますけど、それと同じように食品安全委員会でも当面されているわ けですから、そばに消費者のちゃんとオウジョウできて、食品安全委員会の委員が意見 を聞きたいときには、例えばその時々に直接聞けるというような、そういうシステムを 考えていただきたいなと思っております。  以上です。 ●司会  ありがとうございました。  それでは4番目の方、お願いします。 ●質問者10  まず2点、ちょっとお教え願いたいのですけども、まず1点は監視指導計画、これを 業界、それから消費者の方に広くリスクコミュニケーションしながら決めるということ ですけども、私どもは以前からメーカーにいつ立ち入れるか決めているわけですけど も、それを業界の方に広く意見を聞きながら進めていくこととなるわけですが、施設や 幾つどこへどんな業者に入っていくか、もう1点は、その収去、いつどんな品物を収去 するかということをいう場合に、私、性悪説に立っているのかもわかりませんけども、 そういうことを事前に明らかにするということが、良いことなのかどうかのか疑問があ ります。  食中毒にしてもそれから食品衛生法のいろんな食の安全、安心の推進にしても、やは り消費者それから食品の販売、それから生産の業者、業界の方、それから行政、これ三 位一体でなかったら、そんな食の安全守られません。それはよくわかっているのですけ ども、いつ立ち入りをするのか、それから監視結果を明らかにするということが果たし て良い方向に進むこととなるのか。  もう1点は、17条に食品収去という項目がありますが、これが無償ということが書 いてあるのですけども、結局この不景気になりますと、なかなか自分の目的とするもの を収去できないということがあるのです。これは金額が高いからやめてくれということ もあるのです。だからこれをいわゆる税金で有償にしてもらえば、もっといろんな品物 が、こちらも必要とする品物が検査することができると思うのですけども、その辺を国 のほうから財政支援についてもお願いできないでしょうか。 ●司会  それではコメント方、お願いしたいと思います。 ●滝本補佐  検疫所業務管理室の滝本と申します。  検疫の関係、あるいは輸入食品の関係で2点ほどご質問いただきましたので、その関 係について、ご説明をしたいと思います。  まず、お1人目の検疫の体制でございます。説明の中でもありましたように、本年度 15人ほど増員をいたしました。それから過去10年間を見ると、100人以上の食品 衛生監視員を増員しているというような状況でございます。また単に人員をふやすだけ ではなくて、いかに効率的に水際の検査をするかとこういうことが重要でございまし て、ここ神戸にも輸入食品・検疫検査センターを設けておりますけども、農薬でありま すとか、遺伝子組換え食品、そういった検査は高度な機器も必要でし、それから検査員 の腕も必要ですし、そういったものを集約的に効率よく検査をしようということで、神 戸と横浜に検査センターを設置し、そのような体制でやっております。結果的に事務所 なりが手狭になっているというご指摘もあろうかと思いますけども、そのあたりの改善 も必要なのかなと思っております。  それから相談指導が重要だと、まさにご指摘のとおりだと思います。水際検査するだ けではなくて、違反するような可能性がある食品を輸入しない。事前にそういったこと を勉強していただいて、そういったものを日本にそもそも入れないというような対応が これまた必要であろうと思っております。現在、検疫所の本所が13カ所ほどありま す。そのうちの6カ所、神戸にもございますけども、輸入相談室、相談の受けつける室 が設置されておりますが、まだ半数以上の検疫所にそういった室が置かれていないとい う現状にございますので、我々の方としても関係省に対して要求をしていきたいなとい うふうに考えております。  それから、輸入食品の検査、モニタリング検査と命令検査の関係でございますけど も、基本的に輸入される食品すべてについて、モニタリングの検査の網をかけておりま す。本年度でいうと7万件ぐらい検体をサンプリングをして、検査をいたします。その モニタリングの検査の結果、違反が見つかった場合には、そのモニタリングの頻度を上 げまして50%にします。要するに2件に1件、モニタリング検査をします。それでも なおかつ違反になるといったものについては、次回から命令検査をする。すなわち輸入 時検査をしなければ通関を認めないというような制度に移行というような形になってお りまして、基本的にすべての食品について、そういった網の目をかけているというよう な体制で輸入時の水際検査をやっているということです。 ●西郷リスクコミュニケーション官  緊急時の情報収集について、お尋ねがございました。大変重要なことだと思いますけ ども、実際問題として、東京におりますと、最初に報道で知るというのが多いというこ とがいろんな危機管理の中では実例としては出ておるようでございます。ただ、食品安 全委員会といたしましては、その関係省庁としょっちゅう情報交換などをして、情報収 集がスムーズに行われるようにしたいというふうに考えてございます。  それからメディアの方々とも、そういったような協力ができるようにということを平 常のときから心がけたいというふうに思っております。全国的な連絡網をつくる必要が あるのでございますけども、こういうときにはどこに連絡するかということにつきまし ては、早急に整備したいと思っております。  それから、コーデックスへの国内対応のコンタクトポイントを食品安全委員会に全部 移すべきだという、いろいろご意見を小沢先生の方からもございましたし、今いただい たのでございましたけども、食品安全委員会は、今後、コーデックスに対しては、非常 に関与を深めていかないといけないと思っています。特に安全性の件に関しましてはい ろんな対応をとりたいと思いますが、コーデックスそのものは安全性のことばっかりや っているのではなくて、食品の規格全体のことをやっているわけです。例えばキムチと はどんなことを言うとか、つくり方は韓国でつくっているような方でやらないといけな いとか、キムチの元をかけたやつはキムチと呼んではいけないとか、そういうような議 論があるなど、要するに食品全体の規格をやって、必ずしも安全性に関係あるものだけ ではないというところがございますので、そういう点については、もう食品安全委員会 がまとめるということにつきましては、少々過大なマンデートでございますし、なので そこはいろいろ政府部内の分担の関係を考えて、やっていくのが適当ではないかなと 思っております。  それと、7人の委員の中に消費者の代表がいないのではないかというお怒りは、多方 面から聞くのでございますけども、7人の委員につきまして、先ほど申しましたよう に、委員会そのものの第一の使命はリスク評価、これは厳然たる科学的評価をするとい うのが使命でございまして、そういった点では、逆に言うと、業界の方も入ってらっ しゃらないし、そういった点で本当に科学者、専門家ということでございます。ただ し、ただの専門家ではなくて、当然のことながら食品のことに関してはもう高い意識を 持ってらっしゃる。これは大前提でかつ専門家だということでございます。要するにオ ペレーションの問題で、その委員会の全体のオペレーションの問題で消費者の方々の関 与、あるいは考え方を反映することが非常に重要だということは当然でございますの で、先ほど申しましたとおり、このオペレーションに関しまして、企画専門調査会とか リスクコミュニケーション専門調査会につきましては、消費者の方にも入っていただけ るように検討しているところでございますので、そういった点でバランスのとれた運営 ができるのではないかというふうに思っております。  以上でございます。 ●中村企画官  トレーサビリティの情報をどのように公開するのかというお話がありました。一言に トレーサビリティと言っておりますけれども、頭の中を3つに整理していただきたいと 思うのですが、1つは法律で義務づけるトレーサビリティというのがあります。これが 牛肉です。これは法律で義務づけられますので、最低限の情報、固体、あるいは一部ロ ットになりますけれども、その情報を消費者に伝えなければいけないということです。 その裏づけとして生まれたところ、シーピタところの情報があるということです。  それからもう一つ、特に指定ありましたけども、オプション情報と言っておりますけ ども、例えばどういうえさを食べたか、給餌情報、どういう薬を使ったか、投薬情報、 これも載せるべきだというお話があったのですけれども、やはり法律で義務づけるの は、なかなか厳しいだろうということで、この辺はJASで補完をいたしまして、生産 情報公開JASということをいたします。これはJASをするかどうかというのは任意 ですけれども、JASを適用する場合には第三者認証を受けますので、それとセットで 牛肉が動いていくことになります。生産情報公開JASは、ほかの品目にも今後広めて いくということでございます。  それからもう一つが、自主的な取り組みです。これは一番簡単なのは、いわゆる表示 の裏づけとなるべくトレーサビリティをきちんとするという最低限の世界。  それから、さらにはもっと高度に、例えば中間段階の温度管理、リアルタイムに記録 するとか、さまざまあると思うのですけれども、そのすべてを消費者に情報公開するか どうかというのは、またちょっと別だと思います。  それから、当然高度な情報を公開するためには、それなりのシステムが必要というこ とで、最近新聞に例えば、ゴマよりも小さいICチップというようなものが載ってい て、将来大根もこれで管理できるというようなことが出ておりますけれども、今あれを 使うと1枚50円なのです。じゃあ、大根に50円のICチップを使えるかというのは ちょっとこれは現実問題として、これからの検討、量産しても5円ぐらいかかると言わ れていますので、そういう新しい技術をどう使っていくかというのをこれから検討して いくということでございます。 ●林補佐  緊急時の対応は、今、安全委員会から答えがあったと思いますが、厚生労働省から追 加してお答えをさせていただきたいと思います。  まず、食中毒が発生した場合なのですが、法律上食中毒かどうかというのは、お医者 さんが診断してわかるということになりますので、実は診断した医師に保健所へ届け出 をするようにと法律上の義務を課しておりますので、一義的にはそちらから情報が入っ てくることになります。情報を得て察知した保健所は、すぐに食中毒の原因調査という ものを開始しなきゃいけないということも、これも法律上定められておりますので、そ ういったルートで調査が進められているということになります。  ただ、お医者さんが必ずしも届けないという場合もあり得ますので、実際上はそうい った食中毒が疑われるような場合については、届け出を待つことになく保健所が調査を 行う。実は今回の法改正、細かい内容ですけども、こういった疑いがある場合もきちっ と調査をやるということ法律上位置づけております。調査を開始して原因をだんだん究 明して、これが怪しいということになればその食品をだんだん特定していって回収等の 措置を講ずるということになりますが、この措置を講ずるに当たっては、特に雪印乳業 などの大きい、大規模が広がりを見せるような事件については、各自治体間で連携をと っていく必要でございますし、特に広域なあるいは大規模なものについては、国が指揮 をとって、対応しなきゃないということ、これが雪印乳業の食中毒事件の教訓の一つで あったと思います。  それで、今回の改正でこういった大規模広域な食中毒、具体的には県をまたがるか、 あるいは500人以上患者さんが出ているようなそういった事件については、国が自治 体の調査が十分に行われていないと認める場合には、自治体に対して調査を指示ができ るようなそういった規定を設けるというような改正をして、できるだけそういう緊急時 対応が迅速にできるように、いろんな改正をしているところであります。  あと、緊急時の情報収集につきまして、食中毒に限らずに海外も含めて、こういった 事故が発生しているのではないかというような情報の収集というのも大事だと思いま す。そういった意味で厚生労働省としても、そういった情報収集能力を高める必要があ ると思っていまして、たしか今年度からだと思いますが、うちの国立の医薬品食品衛生 研究所という研究所がございます。そちらに安全情報の収集を専門に行う部署を設けて おりまして、現に我々職員には、その関連の情報をメールで配信しております。いろい ろとインターネットを通じて、国際的な情報を含めていろいろ飛び交っておりますの で、そんな情報を収集して、必要に応じて対応していくと。そんなことを今やっている ところでございます。  最後の方のご質問でございますが、1つ目は計画を内容を事業者と話をするという と、実際にばれちゃうじゃないかということでございますが、具体的に何月何日に行く というところまで、計画に記載するということは想定しておりません。大体どの施設に 大体年間何回行くかぐらいが、きちっと書いてそのぐらい。あるいはこの種類の施設は 年間何回という書き方をすることも、あり得ると思います。ということでありますの で、いつ行くということまではわからないということで、抜き打ちの検査もできるので はないかというふうに思いますので、そんな運用をやっていただければいいのではない か。  ただ、一方でその保健所がどういった行政をおこなっているのか、特に消費者の方に は実はあんまりPRがうまくいってないような部分もあるのかなと、そういうものがあ ると思いますので、今後はリスクコミュニケーションということで、消費者も事業者も 入れた場でいろいろ話し合っていただいて、計画を策定いただければいいのではないか というふうに思います。よろしくお願いいたします。  最後は、無償で収去というけども、なかなか高額な食品は収去できないという実情を おっしゃりましたが、法律上は今おっしゃったように、収去が必要であれば無償で収去 できるという規定でございます。そういった規定でございますので、遠慮するというも のではなくて、やはり危ない食品、危険性があるような食品はきちっと検査をしていく という考え方に立って、運用をしていただきたいと思いますし、現に先ほどご紹介しま した検疫所の輸入時のモニタリング検査については、別に高い食品だからといって遠慮 せずにサンプリングして、5%程度の低いかもしれませんけども、国の方でモニタリン グ検査を実施しておりますので、参考としながら実施いただきたいと思います。  以上でございます。 ●司会  ありがとうございました。 <閉会>  それでは、そろそろ意見交換会の方を終了させていただきたいと思いますが、その前 に本日、ご講演いただいております小沢先生と岩崎先生から最後に一言ずつ、まとめの ご発言をいただければと思います。  それでは小沢先生、よろしくお願いいたします。 ●小沢先生  まとめということでもないと思いますが、新しい法律の中で消費者の役割というのは きっちり位置づいたわけです。役割を発揮するためには、正確なわかりやすい情報が提 供され、それが消費者と事業者と行政の間できっちり共有されていくということと、そ れからそれに基づいて先ほどリスクコミュニケーションの話が出ましたけれども、その 意思決定のプロセスに反映されていくということが非常に大事だというふうに思ってお ります。法律自体は新しくできたばっかりだったり、改正されたばっかりで、まさに外 口さんが一番最初に言われたように、実行ある中身づくりはこれからだということです ので、お互いに三位一体というふうなご発言もありましたけれども、消費者は消費者の 立場から役割を発揮していきたいというふうに思っております。  以上でございます。 ●司会  ありがとうございました。  それでは岩崎先生、お願いいたします。 ●岩崎先生  ちょっと私の方から3点だけお話させていただきたいと思います。  1つは表示の問題でございまして、どなたかおっしゃいましたけども、次々に新しい 義務表示が出てくる一方で、業界も本当に零細企業も含めますと相当な数にであり、未 消化の段階があるということも事実でございます。私どもとしては義務表示ということ については、できるだけ限定的に考えていただきながら、情報提供とはラベル表示だけ じゃなくて、いろんな形での情報提供というものをやらせていただけないかというよう なことも言っております。私、この前、厚労省と農林省の方からいただいたのですが、 知っておきたい食品の表示というパンフレットが出まして、びっくりしたのは名前が厚 生労働省、農林水産省、公取委員会という、三者でこういうのを出していただいたこと であります。これは初めてのケースじゃないでしょうか。これからも表示につきまして は、それぞれ厚労省とか農水とか、公取とかということで指導いただけるし、受ける方 は1つでございます。だからやっぱり受ける側に立っていただきながら、こういうよう なものをどんどん出していただいて、やっていっていただければありがたいというふう に思っております。このような試みは非常にいい試みではなかったのかなということを ご紹介だけさせていだたきます。  もう一つは、食品添加物の問題で、社会が非常にこれだけ複雑になってきて、社会の ニーズにどうこたえていくかということになりますと、なかなかいろいろご異論もある のだろうというふうに思っておりますが、食品添加物の果たす役割、香料問題も含めて ということもひとついろいろな意味で考えていただきたいと思っています。  もう一つは、私、この前フードシステム学会というのがありまして、そこに呼ばれて 食品というか、企業食品の関連する食品産業の社会的使命とは何かという討論したこと があるのです。その中で、言われましたのが、食品産業というのは、いただきますの精 神でやろうよということを言われました。いただきますの精神というのは、2つ意味が あるのだろうというふうに私は思っておりまして、1つは食品というのは、動植物の命 というものをいただくということであるわけです。非常に重い意味があるのだろうとい うふうに思っております。二つ目の意味は、それらの命を人の命につなげるということ でございまして、食品産業に携わる者というのは、これらの精神で、これからもしっか り対応していきたいというふうに思っておりますので、今後ともひとつよろしくお願い 申し上げまして、最後のあいさつとさせていただきます。 ●司会  ありがとうございました。  本日、皆様よりいただきましたご質問やご意見につきましては、今後、食品衛生法や 食品安全基本法、それから食の安全大綱などの運用参考にさせていただきたいと思いま す。  それから、本日、お願いさせていただきましたアンケートでございますが、今後の意 見交換会の参考にさせていただきたいと思います。入り口のところに回収箱を設置させ ていただきましたので、ご協力のほどよろしくお願いしたいと思います。  以上をもちまして、食の安全に係る改正法の施行に向けて意見交換会の方を終了させ ていただきたいと思います。  司会に至らぬ点もあったかと思いますが、この場を借りてお詫び申し上げます。  本日はご参集いただきまして、まことにありがとうございました。