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資料4

法改正の評価と今後の課題


平成15年7月
日本生活協同組合連合会


法改正の評価と今後の課題

2003年7月
日本生活協同組合連合会
くらしと商品研究室
小沢 理恵子

1.法改正の基本評価

 (1)食品安全基本法
食品の安全性確保に関する包括的な法律として制定されたこと
基本理念に食品の安全性確保は国民の健康保護が最も重要である旨が規定されたこと
リスク分析手法の採用と食品安全委員会の設置
国民の意見反映、リスクコミュニケーションの義務化(第13条)など

 (2)食品衛生法
法の目的に、「食品の安全性を確保」「国民の健康保護」が明記されたこと。
国、地方公共団体等の責務規定が明記されたこと。
国民からの意見聴取規定が明記されたこと。
農薬、動物用医薬品等の残留規制にポジティブリスト制を導入すること。
安全性に問題がある、又は使用実態のない既存添加物について名簿からの消除が可能になったこと。


2.今後の課題

 (1)法制度全般を通じて
 新しい食品の安全に関する法制度が、国・地方のそれぞれの場で実効性をもってきちんと運用されることが重要。
 特に、国・地方とも基本法や食衛法に基づく施策の推進に関わって、体制整備や予算の確保が重要。

 (2)食品安全基本法
 「国民の健康保護が最も重要」とする基本理念に立ち、リスク管理機関への勧告等も実施する等の委員会の独立性が担保されることである。そのための要件として以下の事項が位置付けられる必要があると考える。

(1)食品安全委員会の独立性の確保
委員会運営への消費者参加と意見反映が担保されること。
(一例)
 ・7人の委員が行なう協議での消費者の意見反映
 ・専門調査会等への消費者参加と情報公開
施策の策定過程での公正性及び透明性の確保が保障されること。これは、委員会での会議・検討に用いた資料の公開、意見交換会の開催だけに留まらない。

(2)政策形成過程への消費者の参画、実効性あるリスクコミュニケーションの実現
 リスクコミュニケーションの義務化(第13条)中の「当該施策の策定に国民の意見を反映するため」の「関係者相互間の情報及び意見の交換の促進を図るために必要な措置」は、運用において実効性が担保されることが必要である。そのため、以下の事項が位置付けられる必要がある。また欧米で行なわれているような、規制や規格基準の検討原案時点から素案が公表され、国民との意見交換を行ないながら政策・規制を作り上げていく制度も実施されることが必要である。
日常的な消費者等との意見交換を促進するための場作り
各省庁、研究機関が保有する情報の一元的な集約と提供
議事録等の記録書類上の工夫(要約の作成、少数意見の記載等)
公聴会制度の実施

(3)コーデックス関係
 基本法第17条は、国の内外の情報の収集・整理及び活用について規定している。食品の安全性に関する規格・基準を検討する政府間機関であるコーデックス委員会への関わり方について、現行からの見直しがはかられるべきである。
コーデックスコンタクトポイントの文部科学省から食品安全委員会への移管
国内コーデックス委員会の設置と運営
コーデックスの諸会議に関する情報提供

 (3)食品衛生法

(1)法改正事項の実効性ある施策の具体化
残留農薬基準、動物用医薬品基準の完全なポジティブリスト化までの実施スケジュール
既存添加物の安全性評価作業の手順とスケジュール
使用実態のない既存添加物の洗い出しと削除の確定
「輸入食品監視指導計画」の策定スケジュールと、消費者参加や消費者意見の反映についての方法の具体化
「監視指導指針」の策定スケジュールと、消費者参加や消費者意見の反映についての方法の具体化
リスクコミュニケーション規定(第64条と第65条)中の、消費者の参画、消費者の意見反映に関する具体的手法の確立

(2)審議会運営の改善

以上


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