○特別用途食品の表示許可について |
特殊栄養食品制度の運用については、かねてよりご配慮を煩わしているところであるが、今般、特別用途食品(栄養改善法施行規則(昭和二七年厚生省令第三七号)第八条第一項第六号に規定する特定保健用食品を除く。以下同じ。)についての基本方針及び病者用のものについては、その標示許可基準を左記のとおり定めたので、貴管下関係業者に周知徹底を図り、本制度の運用に遺憾なきを期せられたい。
なお、昭和四七年九月一四日衛発第五六八号本職通知「低ナトリウムしょうゆ(減塩しょうゆ)及び低ナトリウムみそ(減塩みそ)の標示許可基準について」及び昭和四八年三月九日衛発第一三八号本職通知「低たん白質パン類及び低たんぱく質マカロニ、スパゲティ、乾めんの標示許可基準について」は廃止する。
第 | 一 許可すべき特別用途食品の範囲について |
1 | 特別用途食品の表示については、病者用食品、妊産婦、授乳婦用粉乳、乳児用調製粉乳及び高齢者用食品を栄養改善法第一二条第一項の許可の対象とする。 | ||||||||||||||||||||||||||
2 | 病者用食品のうち次に掲げる食品群に属する食品については第二に定める許可基準により特別用途食品たる表示の許可を行い、その他の病者用食品については第三に定めるところにより個別に評価を行い、特別用途食品たる表示の許可を行う。
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3 | 病者用のものについて、特別の用途に適する旨の表示とは、以下の各項のいずれかに該当するものである。従って、これらの表示がなされた食品が無許可で販売されることのないよう管下関係業者に対して指導を徹底されたい。
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第 | 二 病者用特別用途食品たる表示の許可基準について 第一の2の(1)及び(2)に掲げる食品群に属する食品(以下「許可基準型病者用食品」という。)に係る病者用特別用途食品たる表示の許可については、以下の基準により判断するものとする。 |
1 | 基本的許可基準
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2 | 概括的許可基準
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3 | 食品群別許可基準 食品群別の許可基準(規格、許容される特別用途表示の範囲及び許可された場合の必要的表示事項)は、別紙のとおりとする。 なお、この場合の必要的表示事項とは、栄養改善法施行規則第九条各号に定める表示事項のほか、特に記載すべき事項を列記したものである。 |
第 | 三 病者用特別用途食品たる表示の許可の個別評価について |
1 | 許可基準型病者用食品以外の病者用食品(以下「個別評価型病者用食品」という。)に係る病者用特別用途食品たる表示の許可については、以下の要件により個別に評価するものとする。 なお、この場合の「食事療法」とは、疾病の治療及び再発や悪化の防止を目的として、医師の指示により医学的、栄養学的知見に基づき、栄養素等を管理した食事を摂取することをいい、「関与する成分」とは、食事療法を実施するにあたり、疾病の治療等に関与する食品成分をいう。
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2 | 個別評価型病者用食品の許可の適否は、専門の学識経験者の意見を聴き判断する。 なお、検討会に関する事項は別に定める。 | ||||||||||||||||||||||
3 | 個別評価型病者用食品の許可された場合の必要的表示事項は、次に掲げるとおりとする。
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第 | 四 妊産婦、授乳婦用粉乳たる表示の許可基準について 妊産婦、授乳婦用粉乳は、次の各項に適合したものでなければならない。 |
成分 | 製品1日摂取量中の含有量 |
たん白質 | 10.44g以上 |
糖質 | 23.66g〃 |
脂質 | 2.30g〃 |
カルシウム | 650mg〃 |
ビタミンA | 456μg〃 |
〃 D | 7.5μg〃 |
〃 B1 | 0.86mg〃 |
〃 B2 | 0.76mg〃 |
ナイアシン | 0.29mg〃 |
エネルギー | 314kcal以下 |
第 | 五 乳児用調製粉乳たる表示の許可基準について 乳児用調製粉乳は、次の各項に適合したものでなければならない。 |
成分 | 標準濃度における組成 (100ml当り) |
備考(100kcal当りにおける 組成) |
エネルギー | 65〜75kcal | |
たん白質 | 1.5〜2.2g | 2.1〜3.1g |
灰分 | 0.25〜0.40g | 0.36〜0.57g |
ビタミンA | 53〜105μg | 75〜150μg |
〃 D | 0.7〜1.4μg | 1〜2μg |
〃 E | 0.5mg以上 | リノール酸1g当り0.7IU、 ただし100有効カロリー 当り0.7IU未満であっては ならない。 |
〃 C | 5.6mg〃 | 8.0mg以上 |
〃 B1 | 28μg〃 | 40μg〃 |
〃 B2 | 42μg〃 | 60μg〃 |
〃 B6 | 25μg〃 | 35μg〃 |
〃 B12 | 0.11μg〃 | 0.12μg〃 |
ナイアシン | 175μg〃 | 250μg〃 |
リノール酸 | 0.21g〃 | 0.30g〃 |
カルシウム | 35mg〃 | 50mg〃 |
リン | 18mg〃 | 25mg〃 |
マグネシウム | 4mg〃 | 6mg〃 |
鉄 | 0.7mg〃 | 1.0mg〃 |
ナトリウム | 14〜42mg | 20〜60mg |
塩素 | 39〜105mg | 55〜150mg |
カリウム | 56〜140mg | 80〜200mg |
第 | 六 高齢者用食品たる表示の許可基準について 高齢者用食品は、そしゃく困難者用食品(そしゃくを容易又は不要ならしめることを目的とするもの)又はそしゃく・えん下困難者用食品(そしゃくを容易又は不要ならしめるとともに、適当な増粘剤等を用いることによってえん下を容易ならしめ、且つ、誤えんを防ぐことを目的とするもの)とし、表示の許可については、以下の基準により判断するものとする。 |
1 | 基本的許可基準
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2 | 食品群別許可基準 食品群別の許可基準は、次表のとおりとする。 なお、簡易な調理を要するものにあってはその指示どおりに調理したあとの状態で当該基準を満たせばよいものとする。 |
食品群 | 規格 | ||||||
種別 | 形状 | 堅さ(一定速度で圧縮した時の抵抗) (N/m2) |
固形物の比率 (重量%) |
ゾルの粘度 (mPa・s) |
備考(堅さ、食べやすさの目安) | ||
そしゃく困難者用食品 | ゾル | 5×10^2N/m2以下 | ― | ― | かまなくてもよい | ||
ゾル中に固形物* | 固形物を含む全体を測定して5×10^3N/m2以下 | ||||||
ゲル | 5×10^4N/m2以下 | 舌でつぶせる | |||||
ゲル中に固形物* | 固形物を含む全体を測定して5×10^4N/m2以下 | 歯ぐきでつぶせる | |||||
固形物* | 5×10^4N/m2以下 | ||||||
そしゃく・えん下困難者用食品 | ゾル | 5×10^2N/m2以下 | ― | 1.5×10^3mPa・s以上 | かまなくてもよい | ||
ゾル中に固形物* | 固形物を含む全体を測定して5×10^3N/m2以下 | 50%以下 | |||||
ゲル | 1×10^4N/m2以下 | ― | ― | 舌でつぶせる | |||
ゲル中に固形物* | 固形物を含む全体を測定して5×10^4N/m2以下 | 50%以下 | 歯ぐきでつぶせる | ||||
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3 | 附帯的表示許可基準 エネルギー又は特定の栄養成分を豊富に含む旨を意味する表示をする場合は、食品一食分として当該栄養成分等の量がその栄養所要量(原則として、生活活動強度I、六〇〜六四歳の男性の数値を用い、栄養所要量が定められていない栄養成分等については、その目標摂取量とする。)に対して、次の割合の範囲内であること。
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第 | 七 特別用途食品の許可申請時に注意すべき事項 |
1 | 申請書の様式及び記載事項等については、昭和四六年四月八日衛発第二二二号本職通知「特別用途食品の表示許可について」の別添「特別用途食品の指導及び取扱い要領」によるものであること |
2 | 申請書には、次に掲げる書類を添付すること。
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3 | 個別評価型病者用食品の許可申請書の提出を受けた都道府県知事(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市長又は区長)は、様式2により書類上の不備の有無を点検の上、適切なものを厚生労働大臣に進達すること。 |
別紙 | 食品群別許可基準 |
食品群名 | 規格 | 許容される特別用途表示の範囲 | 必要的表示事項 |
病者用単一食品 | |||
低ナトリウム食品 | ナトリウム含量は、通常の同種の食品の含量(原則として四訂日本食品標準成分表による。以下同じ)の50%以下であること。ただし、しょうゆについては製品100g中ナトリウム量3,550mg(食塩として9g)以下とすること。 ナトリウム以外の一般栄養成分の含量は、通常の同種の食品の含量とほぼ同程度であること。ただし、低たんぱく質食品にあってはこの限りではない。 |
ナトリウム摂取制限を必要とする疾患(高血圧、全身性浮腫疾患(腎臓疾患、心臓疾患など))に適する旨 | 医師にナトリウム、(食塩の)摂取量の制限を指示された場合に限り用いる旨 ナトリウム、カリウム、塩素、塩化ナトリウムの含量 塩化ナトリウム一定量(例えば1g)に相当する製品の数量 「低ナトリウム」、「低塩」並びに「減塩」など低ナトリウムを意味する文字 医師、管理栄養士等の相談指導を得て使用することが適当である旨 食事療法の素材として適するものであって、多く摂取することによって疾病が治癒するというものではない旨 |
低カロリー食品 | エネルギー量は、通常の同種の食品の含量の50%以下であること。ただし、穀類製品については75%以下であること。 水分含量は、通常の同種の食品の含量とほぼ同程度であること。 |
エネルギー摂取制限を必要とする疾患(糖尿病、肥満症など)に適する旨 | 医師にエネルギー摂取量の制限を指示された場合に限り用いる旨 製品の一定量(例えば1個又は1片)当たりのエネルギー量 エネルギーを低減するために用いた原料(人工甘味料を含む。)の名称及び数量 「低カロリー」又は「低エネルギー」を意味する文字 医師等から指示されたエネルギーの範囲内で使用すべき旨 医師、管理栄養士等の相談指導を得て使用することが適当である旨 食事療法の素材として適するものであって、多く摂取することによって疾病が治癒するというものではない旨 |
低たんぱく質食品 | たんぱく質含量は、通常の同種の食品の含量の50%以下であること。 エネルギー量は、通常の同種の食品の含量とほぼ同程度であること。 ナトリウム及びカリウム含量は、通常の同種の食品の含量より多くないこと。 本品のたんぱく質は、栄養価の高いものであること。 |
たんぱく質摂取制限を必要とする疾患(腎臓疾患など)に適する旨 | 医師にたんぱく質摂取量の制限を指示された場合に限り用いる旨 ナトリウム、カリウム含量 製品の一定量(例えば1個又は1片)当たりのたんぱく質含量 たんぱく質のプロテインスコア 「低たんぱく質」を意味する文字 医師、管理栄養士等の相談、指導を得て使用することが適当である旨 食事療法の素材として適するものであって、多く摂取することによって疾病が治癒するというものではない旨 |
低(無)たんぱく質高カロリー食品 | 通常の同種の食品に比較してたんぱく質含量を50%以下に低減し、エネルギー量を高くしたものであること。 ナトリウム及びカリウム含量は、通常の同種の食品の含量より多くないこと。 本品のたんぱく質は、栄養価の高いものであること。 |
低たんぱく質高カロリー食を必要とする疾患(腎機能不全、透析療法など)に適する旨 | 医師に低(無)たんぱく質高カロリー食又は低(無)たんぱく質高エネルギー食の摂取を指示された場合に限り用いる旨 ナトリウム、カリウム含量 製品の一定量(例えば1個又は1片)当たりのたんぱく質及びエネルギー量 たんぱく質のプロテインスコア 「低(無)たんぱく質高カロリー食品」又は「低(無)たんぱく質高エネルギー食品」を意味する文字 医師、管理栄養士等の相談、指導を得て使用することが適当である旨 食事療法の素材として適するものであって、多く摂取することによって疾病が治癒するというものではない旨 |
高たんぱく質食品 | たんぱく質含量は、通常の同種の食品の含量の2倍以上であること。 本品のたんぱく質は、栄養価の高いものであること。 水分含量は、通常の同種の食品の含量とほぼ同程度であること。 |
たんぱく質摂取量を多くする必要がある疾患(肝臓疾患、ネフローゼ症候群、手術後、胃潰瘍など)に適する旨 | 医師に多量のたんぱく質摂取を指示された場合に限り用いる旨 ナトリウム、カリウム含量 製品の一定量(例えば1個又は1片)当たりのたんぱく質含量 たんぱく質のプロテインスコア 「高たんぱく質」を意味する文字 医師、管理栄養士等の相談、指導を得て使用することが適当である旨 食事療法の素材として適するものであって、多く摂取することによって疾病が治癒するというものではない旨 |
アレルゲン除去食品 | 特定の食品アレルギーの原因物質である特定のアレルゲンを除去したものであること。 除去したアレルゲン以外の栄養成分の含量は通常の同種の食品の含量とほぼ同程度でなければならない。 |
特定の食品アレルギー(牛乳など)の場合に適する旨 | 医師に特定のアレルゲンの摂取制限を指示された場合に限り用いる旨 食品アレルギーの種類又は除去したアレルゲンの名称を目立つように表示する。 除去アレルゲンの代替物の名称 ビタミン、ミネラルの含量 標準的な使用法 医師、管理栄養士等の相談、指導を得て使用することが適当である旨 食事療法の素材として適するものであって、多く摂取することによって疾病が治癒するというものではない旨 |
無乳糖食品 | 食品中の乳糖(又はガラクトース)を除去したものである。 乳糖(又はガラクトース)以外の栄養成分の含量は、通常の同種の食品の含量とほぼ同程度であること。 |
乳糖不耐症、ガラクトース血症に適する旨 | 医師に乳糖(又はガラクトース)の摂取制限を指示された場合に限り用いる旨 乳糖(又はガラクトース)の代替物の名称 ビタミン、ミネラルの含量 標準的な使用法 「無乳糖」を意味する文字 医師、管理栄養士等の相談、指導を得て使用することが適当である旨 食事療法の素材として適するものであって多く摂取することによって疾病が治癒するというものではない旨 |
病者用組合わせ食品 | |||
減塩食調製用組合わせ食品 | 複数の食品(包装されたものを含む。以下同じ。)を減塩食調製用として組合わせたものである。 1日又は1回分を単位として組合わされたものを1包装としたものである。 |
ナトリウム摂取制限を必要とする疾患(高血圧、全身性浮腫疾患(腎臓疾患、心臓疾患など))に適する旨 | 医師にナトリウム摂取制限を指示された場合に限り用いる旨 食事箋により使用すべき旨 「減塩食調製用組合わせ食品」と表示すること。 成分規格次の成分について目立つように太字で表示すること。塩化ナトリウムたんぱく質エネルギー量 組合わされた食品名 原材料の名称及び数量 減塩食の素材として適するものである旨 医師、管理栄養士等に具体的な献立指示を受けて使う必要がある旨 |
糖尿病食調製用組合わせ食品 | 複数の食品を糖尿病食調製用として組合わせたものである。 |
糖尿病食を調製するのに適する旨 | 医師にエネルギー摂取制限を指示された場合に限り使用すべき旨 食事箋により使用すべき旨 「糖尿病食調製用組合わせ食品」と表示すること。 成分規格次の成分について目立つように太字で表示すること。たんぱく質糖質脂質エネルギー量 組合わされた食品名 原材料の名称及び数量 糖尿病食の素材として適する旨 医師、管理栄養士等に具体的な献立指示を受けて使う必要がある旨 |
肝臓病食調製用組合わせ食品 | 複数の食品を肝臓病食調製用として組合わせたものである。 |
肝炎及び肝硬変に適する旨 | 医師に肝臓病食の摂取を指示された場合に限り使用すべき旨 食事箋により使用すべき旨 「肝臓病食調製用組合わせ食品」と表示すること。 成分規格次の成分について目立つように太字で表示すること。 たんぱく質塩化ナトリウムエネルギー量 組合わされた食品名 原材料の名称及び数量 肝臓病食の素材として適する旨 医師、管理栄養士等に具体的な献立指示を受けて使う必要がある旨 |
成人肥満症食調製用組合わせ食品 | 複数の食品(包装されたものを含む。)を成人肥満症食調製用として組合わせたものである。 1日又は1回分を単位として組合わせたものを1包装としたものである。 1包装(1日分)は、エネルギー700kcal±10%の範囲内、たんぱく質含量は60g以上(良質のたんぱく質を使用すること。)とする。 なお、1包装(1回分)にあっては、上記1日分の30〜35%の範囲内でなければならない。 |
肥満症食に適する旨 | 医師に成人肥満症食の摂取を指示された場合に限り使用すべき旨 食事箋により使用すべき旨 「成人肥満症食調製用組合わせ食品」と表示すること。 成分規格次の成分について目立つように太字で表示すること。エネルギー量たんぱく質炭水化物(糖質及び食物繊維をもって代えることができる。)脂質 組合わされた食品名 原材料の名称及び数量 成人肥満症食の素材として適する旨 医師又は管理栄養士等に具体的な献立指示を受けて使う必要がある旨 摂取上の注意(1) 1日分にあっては3回以上にわけて摂取する旨(2) ビタミン又はミネラルが不足をきたすおそれがある場合には、その補給の必要がある旨 |
様式 | 略 |