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平成24年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について

平成25年11月18日
医薬食品局食品安全部
滝本監視安全課長
担当:塩川・西城(4241・4242)

平成24年度食品からのダイオキシン類一日摂取量調査等の調査結果について

 我が国の平均的な食生活における食品からのダイオキシン類の摂取量の推計や個別食品における汚染実態を把握するため、従来より、国立医薬品食品衛生研究所を中心に調査を行い、その結果を公表してきたところです。今般、平成24年度の調査結果が取りまとめられましたので、お知らせします。
 平成24年度における食品からのダイオキシン類の一日摂取量は、0.69 pg TEQ/kg bw/日(0.22〜1.22 pg TEQ/kg bw/日)と推定され、日本における耐容一日摂取量(TDI) 4 pg TEQ/kg bw/日より低いものでした。また、一部の食品を過度に摂取するのではなく、バランスの取れた食生活が重要であることが示唆されました。
 なお、本調査結果については、平成25年10月30日に開催された薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会において報告されています。

 本調査は、厚生労働科学研究(食品の安心・安全確保推進研究事業)「食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究」(研究代表者:松田りえ子 国立医薬品食品衛生研究所 食品部長(当時))により実施されたものです。

平成24年度食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価と
その手法開発に関する研究(概要)

1 目的

 ダイオキシン類は焼却炉や産業廃棄物の野焼き等で生成されたり、過去に使用されたポリ塩化ビフェニル等に由来することが知られている。ダイオキシン類は土壌や海底の泥等に蓄積され、動物体内では脂肪に蓄積しやすく排泄されにくいこと、また急性毒性の他に発がん性、催奇形性、免疫毒性の疑いがあり、内分泌攪乱作用により生殖障害を起こすおそれもあるなど、人体への影響が懸念されている。
 本調査においては、平均的な食生活における食品からのダイオキシン類の摂取量を推計するとともに、ダイオキシン類の摂取の寄与が大きい食品のダイオキシン類の汚染実態を把握する。

2 方法

(1)ダイオキシン類一日摂取量調査(トータルダイエットスタディ)

 全国7地域8機関で、購入した食品を平成20年度国民健康・栄養調査の地域別食品摂取量を踏まえて調製を行い、13群に大別して、混合し均一化したもの及び飲料水(合計14食品群)注1を試料としてダイオキシン類注2を分析し、平均的な食生活におけるダイオキシン類の一日摂取量注3を算出した。

(2)個別食品等のダイオキシン類の汚染実態調査

 個別食品について、(1)と同様にダイオキシン類を分析した。

3 結果の概要

(1)ダイオキシン類一日摂取量調査 (トータルダイエットスタディ)

 食品からのダイオキシン類の国民平均一日摂取量は、0.69 pg TEQ/kg bw/日(0.22〜1.22 pg TEQ/kg bw/日)と推定され、平成24年度の結果は前年度とほぼ同程度であった。摂取量推定値の最大値(1.22 pg TEQ/kg bw/日)の場合でも、日本における耐容一日摂取量(TDI:4 pg TEQ/kg bw/日)より低く、その30%程度であった。


図 ダイオキシン類一日摂取量の全国平均年次推移

(2)個別食品等のダイオキシン類の汚染実態調査

 畜肉類(7種28試料)及び魚介類(2種8試料)を調査した結果、 それぞれ0.000030〜0.41 pq TEQ/g(中央値0.0067 pg TEQ/g)、0.000090〜2.4 pg TEQ/g(中央値0.86 pg TEQ/g)であった。これらのうち最もダイオキシン類濃度が高かった食品はハマチであり、そのダイオキシン類濃度は1.7〜2.4 pg TEQ/g(中央値1.9 pg TEQ/g)であった。
 畜肉類を含む冷凍・レトルト食品(8種24試料)及び魚介類を含む冷凍・レトルト食品(2種6試料)を調査した結果、それぞれ0.000020〜0.042 pg TEQ/g(中央値0.00045 pg TEQ/g)、0.098〜0.52 pg TEQ/g(中央値0.21 pg TEQ/g)であった。これらのうち最もダイオキシン類濃度が高かった食品はサバ煮付け(0.52 pg TEQ/g)であった。
 また、平成23年度の調査結果においてダイオキシン類が比較的高濃度に含まれていることが判明したタラ肝臓(燻製)及びサメ肝油加工食品の2製品についてフォローアップ調査(各2試料)を実施したところ、それぞれ7.0〜19 pg TEQ/g及び67〜73 pg TEQ/gであった注4。このサメ肝油加工食品について、製品に記載されている最大摂取量に基づきダイオキシン類摂取量を推定したところ、129〜140 pg TEQ/日となり、TDIの64〜70%注5に相当したが、本年度のダイオキシン類一日摂取量調査結果(34.6 pg TEQ/人/日注6)を考慮した場合でもTDIを超過することはないと考えられた。
 以上より、ダイオキシン摂取量は経年的に減少傾向にあるが、一部の魚介類等からは依然として比較的高い濃度が検出されており、今後も調査を継続し動向を見守る必要があると考えられる。

注1 ダイオキシン類摂取量への寄与が大きい食品群(10群(魚介類)、11群(肉類、卵類)及び12群(乳、乳製品))について3セットずつ試料を調製し、それ以外の群は1セットの試料を調製した。

注2 世界保健機構(WHO)により毒性等価係数が定められているポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(PCDDs)7種、ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDFs)10種及びコプラナーPCB (Co-PCBs)12種の合計29種。

注3 算出にあたり、毒性等価係数はWHO 2005 TEFを用いた。

注4 当該2製品の平成23年度における結果は、タラ肝臓(燻製)が54 pg TEQ/g、サメ肝油加工食品が67 pg TEQ/g。

注5 体重50kgと仮定した場合のTDI(200 pg TEQ/日)に対する割合

注6 平成24年度のダイオキシン類の一日摂取量調査結果(0.69 pg TEQ/kg bw/日)に体重50kgを乗じた値

<表 平成24年度 個別食品中のダイオキシン類の濃度>
平成24年度 個別食品中のダイオキシン類の濃度

【用語説明】

・ダイオキシン類:
 ダイオキシン及びコプラナーPCB

・ダイオキシン:
 ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン(Polychlorinated dibenzo-p-dioxins/PCDDs)
 ポリ塩化ジベンゾフラン(Polychlorinated dibenzofurans/PCDFs)

・コプラナーPCB(Coplanar polychlorinated biphenyls/Co-PCBs):
 PCDDs及びPCDFsと類似した生理作用を示す一群のポリ塩化ビフェニル(PCB)類

・トータルダイエットスタディ:
 人が通常の食生活において、食品を介して化学物質等の特定の物質がどの程度実際に摂取されるかを把握するための調査方法。トータルダイエットスタディには、「マーケットバスケット方式」と「陰膳方式」の2種類あり、本調査では「マーケットバスケット方式」を採用している。

・マーケットバスケット方式 
 広範囲の食品を小売店等で購入し、必要に応じて摂食する状態に加工・調理した後に分析し、食品群ごとの化学物質等の特定の物質の平均含有濃度を算出する。これに、特定の集団(例えばすべての日本人)におけるこの食品群の平均的な消費量を乗じることにより、食品群ごとに特定の物質の平均的な摂取量を推定する。この結果を全食品群について足し合わせることにより、この集団の特定の物質の平均的な摂取量を推定する。

・TEF(Toxic Equivalency Factor/毒性等価係数):
 ダイオキシン類は異性体により毒性の強さがそれぞれ異なっており、ダイオキシン類として全体の毒性を評価するためには、合計した影響を考えるための手段が必要であることから、最も毒性が強い2,3,7,8-TeCDDの毒性を1として他のダイオキシン類の仲間の毒性の強さを換算するための係数のこと。なお、今回は2005年にWHOで再評価されたTEFを用いている。

・TEQ(Toxic Equivalent/毒性等量):
 ダイオキシン類は通常、毒性強度が異なる異性体の混合物として環境中に存在するので、摂取したダイオキシン類の量は、各異性体の量にそれぞれのTEFを乗じた値を総和した毒性等量として表す。

・TDI(Tolerable Daily Intake/耐容一日摂取量):
 長期にわたり体内に取り込むことにより健康影響が懸念される化学物質について、その量まではヒトが一生涯にわたり摂取しても健康に対する有害な影響が現れないと判断される一日当たりの摂取量。
 ダイオキシン類のTDIについては、1999年6月に厚生省及び環境庁の専門家委員会で、当面4 pg TEQ/kg bw/日(1日、体重1 kg当たり、4 pg TEQの意味。体重50 kgの人であれば、4 pg TEQ×50 kgで計算し、TDIは200 pg TEQとなる。)とされている。

平成24年度厚生労働科学研究補助金 食品の安全確保推進研究事業
食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究
分担研究報告書

食品からの塩素化ダイオキシン類の摂取量調査研究
塩素化ダイオキシン類のトータルダイエット調査

研究代表者 松田 りえ子 国立医薬品食品衛生研究所食品部
研究分担者 堤 智昭 国立医薬品食品衛生研究所食品部

研究要旨

 マーケットバスケット方式によるトータルダイエット試料を用いて、ダイオキシン類(PCDD/PCDFs及びCo-PCBs)の国民平均1日摂取量を求めた。国民健康・栄養調査の地域別国民平均食品摂取量に基づいて食品を購入し、飲料水を含め14群から成るTDS試料を全国7地区8機関で調製した。ダイオキシン類濃度が高い食品を含む第10群(魚介類)、11群(肉・卵類)および12群(乳・乳製品)については、各機関がそれぞれ各3セットの試料を調製し、その他の食品群は各1セットの試料を調製した。10−12群については試料毎にダイオキシン類を分析し、その他の群は全地区の試料を混合して分析し、ダイオキシン類の1日摂取量を求めた。その結果、ダイオキシン類の国民平均1日摂取量は0.69 (範囲:0.22〜1.22) pgTEQ/kg bw/dayと推定された。これは、平成23年度の調査結果とほぼ同等であった。摂取量推定値の最大は1.22 pgTEQ/kg bw/dayで平均値の約1.8倍であったが、日本における耐容1日摂取量(4 pgTEQ/kg bw/day)の30%程度であった。機関及び試料によって推定される摂取量は大きく異なり、特に魚介類におけるダイオキシン類濃度の分布が広い範囲に渡っていることが要因と考えられた。
【分担研究報告書】全体版 [228KB]

食品からの塩素化ダイオキシン類の摂取量調査研究
塩素化ダイオキシン類の個別食品汚染調査

研究代表者 松田 りえ子 国立医薬品食品衛生研究所食品部
研究分担者 堤 智昭 国立医薬品食品衛生研究所食品部

研究要旨

 畜肉類(28試料)、魚介類(8試料)、畜肉及び魚介類を含む冷凍・レトルト食品(30試料)について、ダイオキシン類濃度を調査した。畜肉類28試料(牛肉、豚肉、鶏肉、鴨肉、牛肝臓、豚肝臓、鶏肝臓について各4試料)を調査した結果、ダイオキシン類濃度は0.000030〜0.41 pg TEQ/g(中央値0.0067 pg TEQ/g)の範囲内であった。魚介類8試料(ハマチ、ホタテについて各4試料)を調査した結果、ダイオキシン類濃度は0.000090〜2.4 pg TEQ/g(中央値0.86 pg TEQ/g)の範囲内であった。畜肉類を含む冷凍・レトルト食品24試料(カレー、ミートソース、牛丼の具、ハンバーグ、ミートボール、唐揚げ、餃子について各3試料)を調査した結果、ダイオキシン類濃度は0.000020〜0.042 pg TEQ/g(中央値0.00045 pg TEQ/g)の範囲内であった。魚介類を含む冷凍・レトルト食品6試料(サケ塩焼き、サバの煮付けについて各3試料)を調査した結果、ダイオキシン類濃度は0.098〜0.52 pg TEQ/g(中央値0.21 pg TEQ/g)の範囲内であった。
 また、平成23年度の調査結果により、ダイオキシン類が比較的高濃度に含まれていることが判明したタラ肝臓(燻製)及び鮫肝油加工食品の2製品について、フォローアップ調査を実施した。平成24年度は該当製品について各2試料を購入し、ダイオキシン類濃度を調査した。タラ肝臓(燻製)のダイオキシン類濃度は7.0 pg TEQ/g及び19 pg TEQ/gであり、平成23年度の調査結果と比較すると顕著に低い濃度であった。一方、鮫肝油加工食品のダイオキシン類濃度は67 pg TEQ/g及び73 pg TEQ/gであり、平成23年度の調査結果とほぼ同じ濃度であった。
【分担研究報告書】全体版 [210KB]


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