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    令和元年11月28日作成
    令和 元年12月26日訂正(*)
    令和 3年12月4日訂正(**)
    

    医療機器回収の概要

    (クラスII)

  1. 一般的名称及び販売名

  2. 一般的名称: 放射線治療計画プログラム
    販売名  : 放射線治療計画ソフトウェア RayStation
    
    
  3. 対象ロット、数量及び出荷時期

  4. RayStation4.7 対象バージョン「4.7.4」
    RayStation6 (RayPlan2) 対象バージョン「6.1.1」 「6.2.0」 
    RayStation7 (RayPlan7) 対象バージョン「7.0.0」
    
    数量:201ライセンス
    出荷時期:平成28年2月17日〜令和元年11月17日(**)
    
    
  5. 製造販売業者等名称

  6. 製造販売業者の名称 : レイサーチ・ジャパン株式会社
    製造販売業者の所在地: 東京都千代田区内幸町1‐3‐1 幸ビルディング
    許可の種類     : 第一種医療機器製造販売業
    許可番号      : 13B1X10249
    製造業者:RaySearch Laboratories AB
    輸入先国名:Sweden
    
    
  7. 回収理由

  8. 海外製造元での検証結果によって当該製品に下記次の事象(1)から(6)のバグがあることが確認され、バグに
    より不具合が発生するおそれがあることが判明した。また、事象(7)は、本品のバージョン6以降に含まれ
    る「MR-based planning機能」が未承認であるものの、ライセンスブロックが付与されていない製品が出荷された
    ことが分かった。これにより、(1)から(6)のバグを対策し、(7)のライセンスブロックを付与したソフト
    ウェアパッチならびに次期バージョンへのバージョンアップをすることとした。
    (1)Center Beam in Field機能での照射領域設定の不具合 FSN25955
    対象バージョン 「6.1.1」「6.2.0」 「7.0.0」
    対象施設数 87施設   ライセンス数 177
    
    本事象はこれまでに外国で1件の不具合報告があった。本事象は、提示された計画画面でアイソセンタや照射領
    域が明確に表示され、使用者による確認の後、計画の承認を確定するため、検出が可能であったが、使用者が確
    定前の確認を行わなかったため、誤治療が発生した。本不具合による健康被害は発生していない。本事象は、本
    品のCenter Beam in Field機能で発生した。Center Beam in Field機能は、可能な限り照射領域を同一に保ちな
    がら、ビームのアイソセンタを調整するものである。同一のアイソセンタに複数のビームを定義付けた際、追加
    で定義付けられたビームはアイソセンタ編集のデフォルト手順に従うため、照射領域はアイソセンタと共に移動
    するが、使用者がこれを想定していない場合があることが分かった。本品の機能が仕様から逸脱したために生じ
    た不具合ではなく、設計で想定していなかった使用方法により発生したものであるが、取扱説明書等に設計や機
    能の詳細が記載されていなかった。これに対し、誤使用を防ぐ目的で、製造元がソフトウェアを改善し対策を行
    うこととした。
    
    (2)LINACタイプの治療計画時の領域値誤計測 FSN28672
    対象バージョン 「6.1.1」「6.2.0」
    対象施設数 6施設   ライセンス数 11
    
    本事象は、製造元による検証で検出された。これまでにユーザーからの不具合報告はない。
    本品で特定のLINACタイプの治療計画を立てる際、領域値計測に誤りが生じるおそれがある。
    本事象は、MLCi/MLCi2を搭載したElekta Synergy等、MLCがXジョウ及びYジョウよりも線源に近い装置のビーム
    コミッショニングに影響を及ぼすことがある。また、特定の治療計画を上記と同種類の装置や、Elekta BMおよ
    びVeroなどの固定ジョウ(Fixed Jaw)を有する装置で実施した場合、線量計算に影響を及ぼすおそれがある。
    
    
    MLCi/MLCi2を搭載したElekta Synergy、または同様のコリメータを設定したLINACを「MLCのみ」の測定条件で
    コミッショニングした場合、Output Factor Corrections(出力係数の補正、以下「OFC」とする)およびビーム
    モデルの線量正規化にエラーが生じるおそれがある。これにより、治療計画及びビームモデルOFCの典型的な変
    動に0〜2%の系統誤差が生じることが考えられる。また、MLCi/MLCi2を搭載したElekta Synergy、Elekta BMおよ
    びVero、同様のコリメータを備えたLINACなどの装置で治療計画を行うと、特定の治療計画に限り、正しいビー
    ムモデルを使用した場合でも同程度の誤差が生じることがある。
    
    (3)光子線治療計画時の誤計算 FSN32484
    対象バージョン 「4.7.4」「6.1.1」「6.2.0」 「7.0.0」
    対象施設数 40施設   ライセンス数 93
    
    本事象は、これまでに外国で1件の不具合報告があった。光子線でSliding WindowのDMLC計画を行う際、著しく
    非対称な第一線源を有するビームモデルである場合、コリメータ回転時に非対称な線源がDMLCフィールドの計算
    で正確に考慮されず、誤計算が生じるおそれがある。本事象は、ソフトウェアの設計不良(設計限界)に基づく
    事象である。
    
    (4)ロバスト最適化機能使用時の線量計算方法の誤表示 FSN35469
    対象バージョン 「4.7.4」「6.2.0」 「7.0.0」
    対象施設数 79施設   ライセンス数 174
    
    本事象は、製造元による検証で検出された。ロバスト最適化(Robust Optimization)機能を使用して治療計画
    を作成する際、通常では擾乱線量シナリオの場合に背景線量(background dose)を考慮せずに最適化を行う。
    今般、特定のケースにおいて背景線量を含めて最適化が行われたような表示がされることが製造元における非臨
    床の評価を行う中でわかった。実際の計算には背景線量は考慮されていないため誤表示に気が付かずに最適化を
    承認すると、実施よりも高い標的線量を割り当てることに繋がるおそれがある。なお、取扱説明書に従い、本品
    のPlan Evaluationモジュールで擾乱線量の評価を行うことで、標的線量が想定よりも高いことは明確に認識す
    ることが可能である。本事象は、設計不良により生じたものである。
    
    (5)アイソセンタシフトの設計不良 FSN37483
    対象バージョン 「4.7.4」「6.2.0」 「7.0.0」
    対象施設数 56施設   ライセンス数 65
    
    本事象は、製造元による検証で検出された。本品のDose Trackingモジュールで分割線量の推定を行う際、使用
    者がアイソセンタシフトの値をEstimate Fraction Doseダイアログに入力することができる。その際、DICOM患
    者座標系で変換を行う一方、取り扱い説明書では、IEC患者座標系に準じて値を入力する手順となっているた
    め、Y軸とZ軸の方向の違いにより、分割線量の推定に誤りが生じる可能性がある。本事象は設計不良により生じ
    たものである。
    推定分割線量は適応治療計画の背景線量として用いるため、アイソセンタシフトの誤りを修正せずに用いた場
    合、適応治療計画に誤りが生じるおそれがある。
    なお、アイソセンタシフトはDose Tracking モジュールの画面に表示されるため、本事象が発生した場合、目視
    で確認することができる。
    
    (6)陽子線治療計画時の誤計算 FSN45758
    対象バージョン「7.0.0」
    対象施設数 3施設   ライセンス数 6
    
    本事象は、製造元による検証で検出された。本品でレンジシフターを使用した三菱電機社製Uniform Scanning照
    射システムの陽子線線量計算を行う際、ラテラル方向の位相領域(角度分布)におけるエネルギー損失が適切に
    考慮されない。これにより患者体内の散乱線量が過少評価されることがあることが分かった。三菱電機社製
    Uniform Scanning照射システムでは、レンジシフターのエントリー部分で平均陽子エネルギーにレンジシフター
    が関連付けられた後に、ラテラル方向の位相領域が生じる。その後、ラテラル方向の位相領域は患者体内を通っ
    て輸送されるが、正しい値よりも高い初期エネルギーから始まるため、正しく実施されたときよりも患者体内で
    の散乱量が少なくなる。この事象は、レンジシフターで作成されたすべての治療計画に影響し、偏差はレンジシ
    フターの厚みに応じて大きくなる。
    
    (7)未承認ライセンスの未ブロック
    対象バージョン:「6.1.1」「6.2.0」「7.0.0」
    対象施設数 76施設   ライセンス数 76
    
    本品のバージョン6以降に含まれる「MR-based planning機能」は承認事項に含まれていない機能であり、ライセ
    ンスによるブロックにより機能の使用を制限する予定であったが、出荷された製品は、ライセンスブロックが付
    与されていないものであることが製造元の検証により分かった。
    
    
  9. 危惧される具体的な健康被害

  10. (1)から(6)の不具合が発生し、誤った線量計算結果を使用して治療を行った場合、患者様への過剰照射や過
    少照射といった誤照射が生じる可能性がある。自主回収に先立ち、当該不具合内容及び対処方法に関して、医療
    機関に「安全性情報通知」ならびに情報提供を実施し連絡を行った。
    当該製品で策定した治療計画は、放射線治療機で実際に患者様に使用される。従って、治療での使用前検証工
    程で当該不具合を検出することが可能である。また、「安全性情報通知」に記載された不具合への対処方法を実
    施することで、当該不具合の発生を防ぐことができるため、重篤な健康被害が発生するおそれはないと考える。
    
    安全性情報通知(Field Safety Notice)」による注意喚起の実施
    (1)  平成30年1月26日に本邦で配布した。本邦で本事象の発生は確認されていない。
    (2)  平成30年3月29日に本邦で配布した。本邦で本事象の発生は確認されていない。
    (3)  平成30年6月29日に本邦で配布した。本邦で本事象の発生は確認されていない。
    (4)  平成30年9月21日に本邦で配布した。本邦で本事象の発生は確認されていない。
    (5)  平成30年11月12日に本邦で配布した。本邦で本事象の発生は確認されていない。
    (6)  令和元年7月2日に本邦で配布した。本邦で本事象の発生は確認されていない。
    
    (7)の未承認機能は、使用者に本品のインストール、バージョンアップの際、当該機能の説明を実施し てい
    ないため利用されるおそれはないものと考える。また、本承認書上、当該機能の記載はない。万が一、使用した
    場合でも、本品のパラメータ解析機能等を用いて最終的に治療計画の有効性を使用者が確認し、治療計画の承認
    をする必要があるため、誤治療に繋がるおそれはないことから、当該機能による重篤な健康被害が発生する可能
    性はないと考える。尚、使用者に対して当該機能を説明するとともに使用しない旨の注意喚起を実施すること
    で、対策済みバージョンをインストールするまでの間、適正な情報提供を行う。
    
    
  11. 回収開始年月日

  12. 令和元年11月28日
    
    
    
  13. 効能・効果又は用途等

  14. 当該プログラム(ソフトウエア)は、医用画像を利用し、医師が指定した放射線治療領域等の設定情報および使
    用する放射線治療装置の照射情報を用いて、その体内の線量分布を計算および表示放射線治療計画の決定を支援
    する。
    
    
  15. その他

  16. インストールした当該医療機器ソフトウェアおよびインストール済みの汎用PCの動作確認を実施
    し、仕様どおりに動作することを確認する。
    
    
  17. 担当者及び連絡先

  18. 担当者 : レイサーチ・ジャパン株式会社 薬事・品質保証部門
          及川
    連絡先 : 東京都千代田区内幸町1-3-1 幸ビルディング
    電話番号: 03-4405-6902
    FAX番号 : 03-4586-9618(*)