歯科医師臨床研修制度の新旧比較

【法制度】編
区分 新制度 旧制度
臨床研修 診療に従事しようとする歯科医師は、1年以上、歯学若しくは医学を履修する課程を置く大学に附属する病院(歯科医業を行わないものを除く。)又は厚生労働大臣の指定する病院若しくは診療所において、臨床研修を受けなければならない。(歯科医師法第16条の2第1項) 歯科医師は、免許を受けた後も、1年以上大学の歯学部若しくは医学部の附属施設である病院(歯科医業を行わないものを除く。)又は厚生労働大臣の指定する病院若しくは診療所において、臨床研修を行うように努めるものとする。
専念規定 臨床研修を受けている歯科医師は、臨床研修に専念し、その資質の向上を図るように努めなければならない。(歯科医師法第16条の3)
修了時の手続き等 厚生労働大臣は、臨床研修を修了した者について、その申請により臨床研修修了した旨を歯科医籍に登録するとともに、臨床研修修了登録証を交付する。(歯科医師法第16条の4) 臨床研修施設の長は、当該病院又は診療所において臨床研修を行った者があるときには、当該臨床研修を行った旨を厚生労働大臣に報告するものとする。
診療所の開設 臨床研修修了歯科医師でない者が診療所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事等の許可を受けなければならない。(医療法第7条第1項) 歯科医師でない者が診療所を開設しようとするときは、開設地の都道府県知事等の許可を受けなければならない。
病院等の管理 病院又は診療所の開設者は、その病院又は診療所が歯科医業をなすものである場合は臨床研修修了歯科医師に、これを管理させなければならない。(医療法第10条第1項) 病院または診療所の開設者は、その病院又は診療所が歯科医業をなすものである場合は歯科医師に管理させなければならない。
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【指定基準】編
区分 新制度 旧制度
研修プログラム
  • 臨床研修の実施に関する計画をいう。
  • 省令第2条に規定する臨床研修の基本理念にのっとっていること。
  • 研修歯科医が積極的に研修プログラムを選択し、臨床研修に取り組むことができるように、地域や施設の特色をいかし、更に臨床研修を充実させるために活用すること。
  • 届け出た研修プログラム以外の研修プログラムに基づいて臨床研修を行ってはならないこと。
  • 研修施設・研修施設グループ単位で、1年間を通じての統一的な研修プログラムが作成されるように留意するものとする。
研修方式
  • 単独臨床研修方式:臨床研修を行う病院又は診療所が、単独で又は研修協力施設と共同して行う研修。
  • 臨床研修施設群方式:管理型臨床研修施設及び協力型臨床研修施設が共同して行う研修。
  • 単独研修方式:単独の研修施設で行う研修。
  • 複合研修方式:主たる施設と従たる施設とが連携して行う研修。
研修体制
  • 単独型臨床研修施設
  • 管理型臨床研修施設┐臨床研修
  • 協力型臨床研修施設┘施設群
  • 研修協力施設
  • 主たる施設
  • 複合研修方式の主たる施設┐複合研修
  • 複合研修方式の従たる施設┘施設群
臨床研修施設の指定方法
  • 臨床研修施設群として指定
  • 複合研修方式の場合、主たる施設と従たる施設をペアで指定
研修期間
  • 単独臨床研修方式:原則として合計1年。
  • 臨床研修施設群方式:原則として、連続した3月以上の研修を管理型臨床研修施設で行い、3月を超える期間については、1月を単位として連続しなくてもよい。各協力型臨床研修施設において、連続した3月以上の研修を行う。
  • 単独研修方式:1年間。
  • 複合研修方式:原則として、従たる施設での研修は8か月、従たる施設での研修は4か月。
歯科医師数
  • 単独型臨床研修施設:常に勤務する歯科医師数が3人以上であり、指導歯科医を常勤で置くこと。
  • 管理型臨床研修施設:常に勤務する歯科医師数が2人以上であり、指導歯科医を常勤で置くこと。
  • 協力型臨床研修施設:常に勤務する歯科医師数が2人以上であり、指導歯科医を常勤で置くこと。
  • 主たる施設:常に勤務する歯科医師数は3人以上であること。受け入れる研修歯科医数の半数以上の指導歯科医が確保されていること。
  • 従たる施設:常に勤務する歯科医師数は2人以上であること。受け入れる研修歯科医数の半数以上の指導歯科医が確保されていること。
診療科
  • 歯科又は歯科口腔外科を標榜していること。
  • 歯科を標榜していること。
病床数・患者数
  • 臨床研修を行うために必要な症例があり、かつ必要な分野の研修が可能であること。ただし、共同して臨床研修を行う場合は、当該病院又は診療所と研修協力施設の症例とを合わせて、必要な症例があること。
  • 入院症例の研修が実施できること。なお、病床を有さない診療所においては、入院症例の研修体制が確保されていること。
施設・設備
  • 当該医療機関の開設歴が3年以上であること。
  • 臨床研修の実施に関し必要な歯科主要設備(歯科診療台、歯科用エックス線装置、パノラマエックス線装置、オートクレーブ、超音波歯石除去器、生体モニター、口腔内画像処理システム、吸入鎮静装置等)のほか、臨床に必要な図書又は雑誌を有しており、また、原則として、インターネットが利用できる環境(Medline等の文献データベース、教育用コンテンツ等が利用できる環境)が整備されていること。
  • 以下に掲げる施設及び設備を備えていることが望ましいこと:研修歯科医のための歯科診療台、研修歯科医のための宿舎及び病院又は診療所内の室、医学・歯学教育用シミュレーター(ファントム、切開及び縫合、一次救命装置、心音又は呼吸音の聴診等の訓練用機材等)、医学・歯学教育用ビデオ等の機材。
  • 当該医療機関の開設歴が3年以上であること。
  • 歯科主要設備(パノラマエックス線装置、オートクレーブ等)を保有し、研修歯科医の診療台が確保されていること。
  • 研修・研究に必要な図書、雑誌が整備されており、研修・研究活動が活発に行われていること。
  • 充実した臨床研修を図るためには宿舎の整備が望ましいこと。
病歴管理
  • 患者の病歴に関する情報を適切に管理していること。
安全管理体制
  • 医療に関する安全管理のための体制を確保していること。
  • 医療に係る安全管理のための指針の整備、委員会の開催(病床を有さない診療所においては職員会議)職員研修の実施を行うこと。
  • 医療機関内における事故報告等の医療に係る安全の確保を目的とした改善のための方策を講ずること。
  • 医療に係る安全管理を行う者を配置し、病院においては安全管理部門を設置すること。
  • 患者からの相談に適切に応じる体制を確保すること。
管理体制
  • 研修プログラムの作成、研修プログラム相互間の調整、研修歯科医の管理及び研修歯科医の採用・中断・修了の際の評価等臨床研修の実施の統括管理を行う研修管理委員会を設置していること。
  • 研修管理委員会の構成員には、当該臨床研修施設及び研修協力施設以外に所属する歯科医師、有識者等を含むことが望ましいこと。
  • 単独研修方式:研修プログラムの管理及び評価を行うため、臨床研修全体についての研修責任者及び研修委員会を置いていること。
  • 複合研修方式:合同の研修プログラムの管理及び評価を行うため、臨床研修全体についての研修責任者及び合同研修委員会を置くなど、主たる施設の研修における責任が明確であること。
指導体制 プログラム責任者
  • 研修プログラムごとに配置されていること。
  • 20人以上の研修歯科医が一つの研修プログラムに基づいて臨床研修を受ける場合には、原則として、プログラム責任者とともに、副プログラム責任者を配置し、プログラム責任者及び副プログラム責任者の受け持つ研修歯科医の数が一人当たり20人を超えないようにすること。
  • プログラム責任者は、単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の常勤の歯科医師であって、指導歯科医及び研修指導歯科医に対する指導を行うために必要な経験及び能力を有しているものでなければならないこと。
  • プログラム責任者は、研修プログラムの企画立案及び実施の管理並びに研修歯科医に対する助言、指導その他の援助を行うこと。
指導歯科医
  • 適切な指導体制を有していること。
  • 指導歯科医は研修歯科医に対する指導に関する責任者又は管理者の立場にあるものであり、指導歯科医が研修歯科医を直接指導することだけでなく、指導歯科医の指導監督の下、上級医が研修歯科医を直接指導すること(いわゆる「屋根瓦方式」)も想定していること。
  • 指導歯科医は、研修歯科医に対する指導を行うために必要な経験及び能力を有しているものでなければならないこと。すなわち、一般歯科診療について的確に指導し、適正に評価を行うことができ、以下の(ア)、(イ)のいずれかの条件に該当する者であること。なお、臨床経験には、臨床研修を行った期間を含めて差し支えないこと。
    • (ア) 7年以上の臨床経験を有する者であって、指導歯科医講習会(財団法人歯科医療研修振興財団主催又は「歯科医師の臨床研修に係る指導歯科医講習会の開催指針」(平成16年6月17日付け医政発第0617001号)にのっとって開催されたもの)を受講していること。なお、都道府県歯科医師会会長の推薦があることが望ましいこと。
    • (イ) 5年以上の臨床経験を有する者であって、日本歯科医学会・専門分科会の認定医・専門医の資格を有し、指導歯科医講習会(財団法人歯科医療研修振興財団主催又は「歯科医師の臨床研修に係る指導歯科医講習会の開催指針」(平成16年6月17日付け医政発第0617001号)にのっとって開催されたもの)を受講していること。
  • 指導歯科医は、臨床研修指導のための研さんを続けなければならないこと。
  • 十分な指導力を有する指導歯科医を置くこと。
  • 指導歯科医の資格は原則として次の(1)及び(2)の条件に該当し、かつ(3)、(4)、(5)のいずれかの条件を満たしていることが望ましいものであること。
    • (1) 一般歯科診療について的確に指導し、適正に評価が行えること。
    • (2) 臨床経験年数が原則10年程度あること。
    • (3) 歯科医育機関での臨床教員歴を3年以上有すること。
    • (4) 指導歯科医講習会(財団法人歯科医療研修振興財団主催)を受講していること。
    • (5) 日本歯科医学会分科会の認定医であること。
歯科衛生士又は看護師の数
  • 診療補助に従事する歯科衛生士又は看護師(准看護師を含む。)が適当数(おおむね常に勤務する歯科医師と同数)確保されていること。なお、歯科衛生士等の数の算定に当たっては、非常勤の者は、当該施設の定めた歯科衛生士等の勤務時間により常勤換算し、算入すること。
  • 歯科保健指導・予防処置を行う歯科衛生士が適当数確保されていること。
  • 歯科衛生士又は歯科診療に看護婦(准看護婦を含む。)が適当数(概ね常に勤務する歯科医師と同数)確保されていること。なお、歯科衛生士等の数の算定に当たって、非常勤の者は、当該施設の定めた歯科衛生士等の勤務時間により常勤換算し、数に算入することとする。
受け入れ研修歯科医数
  • 受け入れる研修歯科医の数は、基本的な診療能力を習得するのに必要な症例を十分確保できる適当な人数であること。また、臨床研修施設群を構成する臨床研修施設ごとに適切な数である必要があること。
  • 同時に受入れる研修歯科医数が、指導歯科医数の2倍を超えないこと。
  • 原則として、研修プログラムごとに研修指導歯科医を毎年継続して受け入れることができる体制であること。
募集及び採用方法
  • 研修歯科医の募集及び採用の方法は、原則として、公募による採用が行われること。
研修医の処遇
  • 研修歯科医に対する適切な処遇を確保していること。
  • 研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、当該病院及び研修協力施設のそれぞれにおいて、研修歯科医に対する適切な処遇が確保されていること。
臨床研修の実績
  • 病床を有さない診療所においては、臨床研修施設群の協力型臨床研修施設又は従前の複合研修方式の従たる施設として指定を受けており、原則として2年以上連続して臨床研修に実績があること。(単独型及び管理型臨床研修施設の場合)
臨床研修施設の指定の取り消し
  • 厚生労働大臣は、規定により指定した病院又は診療所が臨床研修を行うについて不適当であると認めるに至ったときは、その指定を取り消すことができる。
施設間の連携体制
  • 協力型臨床研修施設との間で緊密な連携体制を確保していること。また、地域医療の研修を幅広く確保する観点から、原則として、臨床研修施設群の中に研修の実施に必要と考えられる相当数の民間医療機関を含めること。(臨床研修施設群方式の場合)
年次報告
  • 単独型/管理型臨床研修施設の開設者は、毎年4月30日までに、当該病院又は診療所に関する年次報告書に、現に行っている臨床研修に係る研修プログラムを添えて、これを厚生労働大臣に提出しなければならないこと。また、研修協力施設と共同して臨床研修を行う場合にあっては、研修協力施設概況表を添付すること。
  • 協力型臨床研修施設の開設者は、毎年4月30日までに、当該病院又は診療所に関する年次報告書を、共同して臨床研修を行う管理型臨床研修施設の開設者を経由して厚生労働大臣に提出しなければならないこと。
臨床研修の中断及び再開
  • 臨床研修の中断とは、現に臨床研修を受けている研修歯科医について研修プログラムに定められた研修期間の途中で臨床研修を中止することをいうものであること。
  • 臨床研修を中断した者は、自己の希望する臨床研修施設に臨床研修中断証を添えて、臨床研修の再開を申し込むことができること。
研修の記録及び評価
  • 研修管理委員会は、研修歯科医の研修期間の終了に際し、臨床研修に関する当該研修歯科医の評価を行い、単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の管理者に対し、当該研修歯科医の評価を報告しなければならないこと。
  • 単独型臨床研修施設又は管理型臨床研修施設の管理者は、帳簿を備え、臨床研修を受けた研修歯科医に関する必要事項を記載し、当該研修歯科医が臨床研修を修了し、又は中断した日から5年間保存しなければならないこと。
  • 研修プログラムに基づいた臨床研修を実施するに当たりその記録及び評価を行うことは、研修歯科医の到達目標の達成の程度を判断するために重要な意義をもつものであることから、研修責任者は、研修歯科医について研修内容の記録及び評価を残すこと。

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