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 10 気管切開(気管カニューレ装着)
項目 ヒヤリ・ハットメモ エラー発生要因 防止策 事故発生時対応策





気管切開
痰量が多く、痰吸引を行い、他患の巡視に行って戻ってみると、気管切開部より痰が溢れていた。
ネブラーザー吸入後、5分後に戻って見ると、痰が溢れていた。
患者の状態確認不足
訪室を多くして、観察を行い、患者の状態把握を十分に行う
顔色、チアノーゼ、喘鳴音、SpO、呼吸状態、咳嗽、冷汗、バイタルサイン
体位ドレナージ、ネブライザー吸入を上手に行い、痰吸引を行う。
痰量の多い患者は、他患のケアに入る前に十分に排痰を行い、聴診して喘鳴音が残っている場合には、残っている肺野を上にして、側臥位をとらせる。
患者、家族に排痰やドレナージや吸引の必要性、時にはアンビューバッグによる蘇生の必要なことを説明する。
異常時にはすぐに知らせることができるように、ナースコールの使い方などの説明、練習を行う。
ネブライザー吸入後は、排痰、吸引を十分行ってから、他患のケアに入る。
痰吸引を行い、医師に至急連絡する。
観察を行う。
顔色
チアノーゼ
呼吸状態
SpO
バイタルサイン
意識状態
アンビューバッグの準備をしておく。
救急カートの準備をしておく。
必要時、家族への連絡をする。
経時記録を残す。
人工鼻、酸素吸入がはずれていた。
患者の状態把握不足
人工鼻、酸素吸入がはずれ、SpOが下降する患者は、常にアンビューバッグを枕元に置く。
人工鼻、酸素吸入がはずれたら、至急看護師に知らせるように患者・家族に指導する。
小児・重心児は、故意又は意識的にはずす場合があるので、観察を密に行い、ベッドを観察しやすい位置に置く。
SpOが下降し、痰吸引しても改善しない、チアノーゼ呼吸状態が悪化した場合は、アンビューバッグによる蘇生を行い、呼吸状態、SpOを安定させる。それでも改善しない場合は医師に報告し、指示を受ける。
側臥位にしたら、気管カニューレの固定のひもが緩んでおり、カニューレが抜去しかかった。
咳嗽のたびに気管カニューレが移動して緩み、切開口とカニューレ部の間から痰が流れた。
気管カニューレの固定方法が不十分
患者の状態把握不足
気管カニューレのひもは、指1本入るきつさでしっかり固定する。
処置時、訪室時、カニューレがしっかり固定されているか、きつくないか、緩すぎないか、常に確認する。
体位変換、移動時などは、カニューレの抜去に十分注意する。
Yガーゼの適切なものを選び、汚染のたびに取り替える。
気管カニューレは、切開口にあったものを選ぶ。
気管カニューレ一式を準備しておく。
抜去したらすぐ医師へ報告する。
アンビューバッグの準備をしておく。
吸引するとき、吸引チューブを入れすぎ、刺激で嘔吐しそうになった。
吸引手技の未熟
体位ドレナージやネブライザー吸入、タッピングを行い、排出を容易にして吸引を行う
吸引する時は、患者に吸引の必要性を説明して協力を得る
吸引チューブは気管分岐部(咳嗽反射を認める位置)以上の深さに入れすぎないように、気管カニューレにそって陰圧にならないようにそっと入れて、回転させながら吸引する。
1回の吸引で咳嗽反射の激しい時は、3分以上休止して、咳嗽、呼吸、心拍、血圧が安定してから繰り返し行う。
吸引前後は、聴診で呼吸音を聴取して喘鳴音の有無、部位を確認する。
吸引前、吸引中、吸引後は患者の状態を観察しながら行う。
 
食事中むせて咳込んだ。
患者の状態把握不足
(気管の物理的刺激)
気管にあった気管カニューレを挿入する。
食物・水分摂取時はよく観察し、少量ずつ摂取させる。
むせにくい食物を選択する。
むせたらよくタッピングし、吸引する。
ひどく咳込む時は医師に報告する。
気管切開をしている患者のカニューレ部分に寝具がかかっていた。
患者の観察不足
定期的な巡視
寝具の工夫
アンビューバッグの準備
切開部からの出血のためガーゼ汚染が続き、ガーゼ交換をした。その後、吸引すると、カニューレ内から凝血を吸引した。
患者の止血機能の把握不足
吸引間隔が適切でない。
患者の止血機能を把握する。
切開後の止血状態、吸引後の排液の正常を観察する。
適切なカフ圧を設定する。
観察を十分に行い、吸引間隔をあけない。
カニューレ内の吸引を十分に行う。
医師に連絡し、止血のための対策を行う。
切開後数時間経ち、患者の体をギャッジアップしようとした時、カニューレが抜けそうになった。
体位変換時の危険予測が不十分
体位変換の技術が未熟
ギャッジアップ時、その他、体位変換時はカニューレ挿入部位を観察しながら行う。
丁寧に移動を介助する
切開後はしばらくカニューレが不安定であることに留意する。
体位変換を中止し、カニューレのカフ圧を抜き、固定をし直す。
呼吸音を聴取する。
何回も吸引したが、粘稠な痰がカニューレに付着し、なかなか吸引できない。
水分摂取への介入が不十分
気道加湿への介入が不十分
吸引技術が未熟
十分な水分摂取、輸液量が確保できるように医療者間で連携する。
患者に水分の摂取が重要であることを説明する。
適時ネブライザー吸入や痰の溶解剤を使用する。
カニューレの交換時期を短くする。
カニューレを交換する。
カニューレ挿入患者の嚥下訓練時、患者がむせてカニューレ口から食物が飛び出てきた。
訓練前のカフ圧点検漏れ
嚥下訓練のための食物選択、体位保持の知識不足
嚥下訓練前にカニューレのカフ圧を点検する。
嚥下訓練時、嚥下しやすい食物を選択する。
やや前かがみに座位を保持する。
食事摂取を中止する。
吸引を十分行う
呼吸音聴取
一般状態を観察する。
カニューレ交換時、同じサイズを挿入しようとしたが、気管口が狭くなり、カニューレが挿入できなかった。
カニューレ交換時の準備不足
カニューレ挿入技術が未熟
交換時は1サイズ大きいカニューレ、小さいカニューレを用意する。
適切なサイズのカニューレに交換する。
カニューレ交換の熟練した看護婦に交替する。
医師へ連絡する
分泌量が多く、気管口の周囲がびらんした。
気管口の清潔管理に関する知識不足
切開部のガーゼは適時に交換する。
切開部の皮膚保護を軟膏や保護材で行う。
適時、適切な吸引を行う。
医師に連絡し、皮膚保護材を使用する。
ボーカレードチューブからの吸引をしていなかった。
看護師の知識不足
マニュアル遵守の意識低下
吸引後、呼吸音を聴取する。
 
カニューレ交換後、固定のヒモをはさみで切ったとき、カフのチューブを一緒に切った。
看護師の確認不足
チューブとヒモを分け、はさみの刃には、紐だけ残っていることを確かめて切る。
カニューレを抜去し、新しいカニューレと交換する。


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