項目 |
ヒヤリ・ハットメモ |
エラー発生要因 |
防止策 |
事故発生時対応策 |
体位 |
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上肢の固定が不十分であり(抑制の帯の結び方が緩く)、患者の手がベッドの手台からずり落ちていた。 |
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術中体位がジャックナイフ位であるにもかかわらず、この体位がとれないベッドを準備していた。 |
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固定技術の未熟 |
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観察の不足 |
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術前情報の把握不足 |
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体位とベッドとの関係の知識不足 |
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正しく固定されていることを確認する。 |
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固定技術の向上のための演習などを計画する。 |
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体位に関しての観察のポイントについての知識を高める。 |
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各種ベッドの機能についての知識を深める。 |
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日頃から、術前の準備の大切さについての啓蒙を行う。 |
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術前情報の収集を実際にどのように活用するのかをトレーニングしておく。 |
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医師に報告し、固定を整える。 |
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患者に説明し、ベッドチェンジする。 |
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時間が遅れる時は、医師や麻酔医にも報告する |
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問題を関係者間で共有し、勉強会などを計画する。 |
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移動
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移送 |
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挿管中の患者のベッドを動かす時に、人工呼吸器の蛇管がベッドにひっかかり、挿管チューブが抜けそうになった。 |
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術中ベッドのストッパーをかけ忘れ、医師がベッドによりかかった時にベッドが動いた。 |
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術後、患者を手術台よりベッドへ移動する際、ベッドの固定が不十分で、患者がずり落ちそうになった。 |
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患者を手術台から移動する際、バルーンカテーテルを確認しないで移動し、カテーテルが抜けてしまった。 |
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手術が終了し、患者をホールまで移送したが、カルテを部屋に忘れてきたのに気づき、取りに行った。その間患者は一人で起きあがろうとしており、帰ってきた際に気づいた。 |
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注意不足 |
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確認不足 |
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ベッド搬送時のストッパーの確認の不足 |
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危険意識の不足 |
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移動、移送時の患者周囲の各種ライン類の確認不足 |
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麻酔覚醒直後の患者の状態のアセスメント不足 |
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リスクの予見不足 |
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患者を移動、移送する場合には、ライン類の確認やベッドのストッパーの確認を十分行う。 |
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医療者間での声かけを徹底し、複数で確認する。また移動時はタイミングよく行う。 |
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手術直後の患者については、ICCU又は病棟看護師に患者を申し継ぐまでは、そばを離れない。 |
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やむを得ず患者の側を離れる場合には、他の看護師に声をかける。 |
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主治医又は麻酔医に挿管チューブの挿入状態を確認してもらう |
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必要であればレントゲン撮影でチューブの位置を確認する。 |
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気管の損傷のリスクについて次へ申し送る。 |
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ベッドをすぐに固定する。 |
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バルーンカテーテルは、再挿入の必要性を確認し、必要であれば行う。 |
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抜去に伴う尿道などの損傷についての観察を継続する。 |
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術後の患者の側を離れることのリスクを振り返り、今後の行動変容の必要性を再確認する。 |
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患者の誤認 |
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患者を準備していたベッドとは違うベッドに臥床してもらい、危うくベッドネームに記載している別の部屋へ移送するところだった。 |
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眼科の手術の迎えの連絡を病棟にしたが、受付の聞き違いで、違う患者の名前で違う病棟に連絡してしまい、病棟からの問い合わせで気づいた。
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婦人科の患者が2人来科し、自分の担当の患者の名前を確認したところ、はいと言われてそのまま誘導し、更衣してもらったが、すぐに違う患者だとわかった。 |
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受付で申し送りを受けた後、同時に来ていた違う患者のカルテとフィルムを一緒に持っていこうとしてしまった。 |
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患者の名前の確認不足 |
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看護師間の連携の不足 |
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伝達手段の問題 |
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手術前の患者の心理状態のアセスメント不足 |
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患者確認方法の未熟 |
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受付業務の煩雑さ |
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受付カウンターのスペースの問題 |
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患者1人に対して、1人の看護婦が対応できるようにし、ベッドへ臥床する時も名前を確認し、ベッドネームと違う事はないか確認する。 |
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病棟の看護師も、できる限り1人の患者に対して1人の看護婦が担当し、手術室看護師と連絡をとり、ベッドネームまでを確認して退室する。 |
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インターホンでのやりとり等、聞き取りにくい場合は、相手の言った言葉を復唱する |
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患者を手術室へ送る・迎える場合は病棟名、氏名をフルネームで相手に伝える。 |
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患者を確認する場合は、患者本人に名前を言ってもらう。
また、ネームバンドでの二重確認を習慣づける。 |
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カルテ・フィルムを運ぶときは、必ず名前を確認する。 |
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患者の不安を助長しないようにベッドの交換を行うか、ベッドネームを交換する。 |
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伝達手段の不備はなかったかを振り返り、伝達技術を学習する |
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患者の確認方法について、術前の患者の心理を十分に評価した上で考えてみる。手術全員でカンファレンスなどで話し合う機会を持つ。 |
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申し送りから、手術台に乗ってもらうまでの一連の流れの中に、どのようなリスクがあるのかを話し合う機会を持ち、システムの見直しを検討する。 |
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ガーゼカウント |
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術野で使用したガーゼの数と不潔におろしたガーゼの数が合わず、閉創前にレントゲン撮影をして、ガーゼの残存がわかった。
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カウントミスの場合 |
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直接介助者や間接介助者の勤務交代の場合 |
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出血が多く、ガーゼの使用枚数がかなりの量になった場合。 |
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術中の使用物品の定数確認の不足 |
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医師との連携の問題 |
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勤務交代時の申し継ぎの問題 |
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看護師間の連携の問題 |
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術中のガーゼの使用状況は手術に携わる全職員が協力し、把握する。 |
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途中、勤務を交代する場合は、ガーゼの使用状況をできるだけ詳細に申し送る。 |
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勤務交代は、必要最低限となるように業務調整を行う。 |
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交代時の申し継ぎの方法を統一する。 |
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直ちに、ガーゼカウントが合わないことを他の職種にも伝え、患者の体内に残存していないか全員で確認する |
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ガーゼが残存する場合は、速やかに取り出す。 |
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針カウント |
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術中の針カウントがあわず、腹腔内に残存している可能性があり、レントゲン撮影で確認する。結局、レントゲン上に針はなく、麻酔器の下から発見された。 |
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術中の使用物品の定数確認の不足 |
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医師との連携の問題 |
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使用した針は確実に戻ってきていることを確認する。 |
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術中に使用した針の処理方法の手順を決め、全職員に周知する。 |
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使用した針の数については、医師−看護師間で、十分に情報を伝達する。 |
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針カウントが合わない事をすぐに他職種にも伝え、全員で協力して探す。 |
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器械 |
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術中自己血回収装置のテルモ生食(抗凝固剤入り)の滴下が遅く、危うく凝血するところだった。 |
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ME器械の使用目的や使用薬剤の知識不足 |
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作動点検不足 |
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器械を使用する目的をしっかり把握し業務に望む。 |
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抗凝固剤を使用する目的を学習し、明確にしておく。 |
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滴下の管理の徹底。 |
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医師、臨床工学技師との連携をもち、互いに注意する。 |
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観察 |
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術中、バルーンカテーテルがクランプされたままの状態で気づかず、患者の状態が悪かったこともあり、尿の流出がないものと思いこんでいた。 |
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手術開始前のチェック不足 |
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患者の状態をアセスメントする際の情報収集の不足 |
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ライン類は、必ず端から端までをチェックする習慣を身につける。 |
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バルーンカテーテルなどのライン類をクランプした場合、その旨を必ず申し送る。 |
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事実をすぐに伝え、循環動態のアセスメントデータを修正する |
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何故クランプしたのかの原因を明確にする。 |
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物品管理 |
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使用した器械がないことに気づき探すと、器械台の側に置いていたゴミ箱に落ちていた。 |
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物品管理の意識の薄さ |
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次に使用する事を考えた上での準備不足 |
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使用後の後始末の問題 |
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物品管理が患者の安全を守り、最善の手術のための大切な条件であることを日頃から周知徹底する。 |
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必要物品は慎重に取扱う。 |
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使用後の後始末が次の準備である事を意識づける。 |
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在庫管理をきちんと行う。 |
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全人工股関節置換術で人工骨頭を袋から取り出す際、誤って落としてしまった。 |
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肺切除で使用予定である特殊な挿管チューブが準備時に在庫になかった。 |
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落とした人工骨頭は使用できないので、直ちに別の物を準備する。 |
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手術で使用する薬品の請求ができておらず、薬局に問い合わせたが無く、薬局に無理を言って業者に請求してもらった。手術時間がその分延長してしまった。 |
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手術使用物品の把握、確認不足。 |
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薬剤請求のシステムの問題 |
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使用物品については、前日に準備し、当日手術前にも別の看護師が確認するなど二重のチェックシステムをとる。 |
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薬剤の在庫チェックを定期的に行う。 |
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特殊手術機材の知識の習得 |
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整形外科で使用する人工股関節を器械を左右を間違えて組んだ。早く気づいたので、患者への影響はなかった。 |
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物品を準備するために必要な知識を向上し、オリエンテーションの充実を図る |
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抜管時 |
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手術後抜管時に気管チューブのカフのエア抜きをせずに抜管してしまった。 |
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挿管チューブのカフが手術用ドレープの下に隠れた状態でくっついており、ドレープを除去する際にカフを切ってしまった。 |
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抜管時に覚醒が早く、両手に抑制帯をしていたが、患者は若く体格もよく、自分で挿管チューブを抜いてしまった。 |
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医師、看護師の連携の不足 |
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患者のライン類の把握不足 |
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麻酔覚醒時の状態把握、観察の不足 |
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患者の抑制技術の未熟 |
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医師、看護師のコミュニケーションを日頃から図っておく |
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抜管前には、カフのエア抜きについて、声を出して確認する。 |
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ドレープを除去する際は、下に何か隠れていないか細心の注意を払う。 |
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手術中の挿管チューブの状況は常に観察する。 |
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麻酔覚醒時の観察、安全についての知識を高める。 |
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カフのエアが抜けていなかったことをすぐ、医師に報告し、軌道内の損傷などを確認してもらう。 |
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今後の障害の出現も予測し、ICCU看護師又は病棟看護師に状況を申し送る |
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輸液管理 |
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輸液ルートのコネクターが緩み、逆血して床に血がおちているのを、創部からの出血分と思い気づかず、医師に言われて知った。手術体位が体側固定であり、点滴ルートが手術用圧定布に隠れており、容易に確認することができなかった。 |
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硬膜外麻酔薬の持続注入のフェンタネスト1.5ml/Hのところ、150ml/Hに麻酔医が設定してしまった。すぐに医師が気づき指示量に戻した。 |
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手術前に患者にホールで待って貰っている間に、点滴のボトル内が空になっており、麻酔医が気づき更新された。 |
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手術終了間際に使用した薬品の記録を忘れてしまった。 |
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輸液ラインの作成時の確認ミス |
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患者のライン類の観察不足 |
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シリンジポンプ操作の未熟 |
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患者の手術室入室までの時間調整の問題 |
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手術室と病棟との連携不足 |
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手術終了時の慌ただしさ |
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輸液ライン作成時にはコネクターの緩みなどを十分にチェックする。 |
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出血があれば、その原因を追求できるような姿勢を養う。 |
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シリンジポンプの流量設定などについては、あらかじめ十分にデモンストレーションしておく。 |
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点滴のボトル内の残量や滴下状態、次の輸液指示等は絶えず把握しておく。 |
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記録内容のチェックリストなどの作成。 |
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直ちにルートの交換や消毒を行う。 |
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必要量の輸液が行われていない事での患者の状態観察の徹底 |
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ルート閉塞がある場合は速やかに再留置 |
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患者の状態の変化の把握 |
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麻酔医が更新したボトルには、患者の名前、滴下速度、更新時間等を記入する |
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その他 |
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血栓予防で履く弾性ストッキングを忘れてそのまま手術を行った。 |
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病棟より抗生剤テストは、フルマリンでマイナスと申し送られた。しかし、実際に持参された薬剤はパンスポリンであった。結局主治医に確認し、フルマリンを使用することとなり、至急処方してもらい準備した。 |
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右乳がんの手術を受けた患者の血圧測定を、右手で行っていた。 |
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術後に確認した術式を間違って手術票に記載した。医師又は申し送りを行った看護師に指摘され気づいた。 |
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手術リスクの認識不足 |
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病棟での薬品確認不足 |
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術前情報収集の不足 |
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術式に対する知識不足 |
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術式の聞き間違い、思いこみ |
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何故必要なのかの知識の向上 |
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抗生剤に関しての病棟での確認の徹底 |
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申し送り時のダブルチェックの徹底 |
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情報の持つ意味の分析能力の習得 |
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確認の徹底 |
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術式に対する正確な知識の習得 |
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速やかに可能な範囲で血栓予防を行う。 |
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抗生剤の指示ミスについて医師に伝え、指示時の確認の徹底を病棟に依頼する。また、病棟看護師に確認方法について問題を提起する。 |
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