今後の社会保障の在り方について(概要) |
《はじめに》 | ||
○ | 急速な少子高齢化の進行により、年金、医療、介護等の社会保障制度は、給付の面でも負担の面でも国民生活にとって大きなウエイトを占めてきており、家計や企業の経済活動に与える影響も大きくなっている。 | |
○ | 社会保障制度に関する国民の関心は高まり、また制度の持続可能性の確保や世代間・世代内の不公平の是正が重要。 | |
○ | 今後の社会保障の在り方を考えるにあたっては、人口の高齢化や支え手の減少に対応した持続可能なものとすることが重要。給付と負担の在り方に加え、就業対策による担い手の拡大、関連する施策なども視野に入れて、一体的な見直しが必要。 |
《基本的考え方》 | ||
○ | 「自助」を基本として、「共助」が補完し、自助、共助で対応できない状況に対し、必要な生活保障を行う公的扶助や社会福祉などを「公助」として位置づける。 | |
○ | 社会保険方式を基本とし、国民皆保険・皆年金体制を今後とも維持。 | |
○ | 社会保障は、人口構造・家族構成、就業形態・企業福利、財政、税制といった社会保障を取り巻く多様な制度や実態と相互に影響を与えながら存在している。社会保障の将来を展望するに当たっては、これらの多様な制度についても議論の範囲外として排除するのではなく、一体的に見直していくことが不可欠。 |
《今後の在り方》 | ||
○ | 制度を持続可能なものとしていくため、給付と負担の不断の見直しとともに、社会保障の需要そのものが縮小されるような政策努力が不可欠。 | |
○ | 高齢者、女性、若者、障害者の就業を促進し、制度の担い手を拡大。 | |
○ | 国民の合意を得ながら給付について不断の見直しを行いつつ、公費負担について、将来世代に先送りすることがないよう、安定的な財源を確保すべき。消費税を含む税制全体の改革を検討していくことが重要。 | |
(公的年金一元化) | ||
○ | 公的年金一元化は、まず、被用者年金制度の一元化から始める。 | |
○ | 共済年金の1・2階部分の保険料率を厚生年金の保険料率(18.3%上限)に統一することとされたところであり、今後とも基礎年金国庫負担割合及び被用者年金一元化に係る方針を堅持。 | |
○ | パート労働者などの非正規労働者への年金適用の在り方をどうするかといった課題について、検討を進める。 | |
○ | 国民年金と被用者年金の一元化は、社会保険方式によることを基本として、今後検討すべき課題。 |
《おわりに》 | ||
○ | ここ数年の年金・介護・医療制度の改革により給付費の増の一定程度の抑制が図られる見込みであるが、制度の持続可能性を確保する観点から、今後とも、中長期的な視野に立って、年金・医療・介護以外の分野も含め、不断の見直しを行っていく必要がある。 | |
○ | 今後、社会保障制度の議論を行っていくに当たっては、国民の合意を得つつ、短期的な状況に左右されない一貫した議論を行うことが重要。 | |
○ | 社会保障の在り方については、財源も含めて給付と負担全体として議論すべきであり、こうした給付と負担の関係や、受給者と担い手とのバランス等にかんがみれば、個々の制度やその一部のみでなく、税・財政なども視野に入れて、社会保障制度全体をとらえた一体的な検討を行うことが必要である。 | |
(国・地方、企業、国民に求められるもの) | ||
○ | 国は、社会保障を将来にわたって持続可能なものとしていくため、「一体的な見直し」を常に念頭に置くべきである。社会保障給付の一層の適正化、給付と負担のバランスの確保、実効ある少子化対策の実施や雇用施策等の担い手の拡大、住宅施策等他施策との連携等、不断の改革努力が求められる。 |