6. その他

(1) 食品の安全に関するリスクコミュニケーションの取組について
 リスクコミュニケーション(健康リスクに関する情報及び意見の相互交換)については、リスク分析手法の重要な一要素として、食品安全基本法にその実施に関する規定が盛り込まれたほか、個別の食品の安全性確保にかかる施策(リスク管理措置)について定める食品衛生法等においても、より具体的な形で、国民からの意見聴取の規定(いわゆるリスクコミュニケーション規定)が盛り込まれたところである。
 これらの規定を受け、厚生労働省(地方厚生局を含む。)においては、内閣府食品安全委員会や農林水産省と連携を図りつつ、リスクコミュニケーションに関する取組みを進めている。
 平成16度にとりまとめられた「食の安全に関するリスクコミュニケーションの在り方に関する研究会」の検討結果を踏まえ、平成17年度以降、年度当初に事業運営計画を策定し、輸入食品の安全対策、残留農薬等のポジティブリスト制度の導入などについて意見交換会を開催するとともに、必要に応じ、米国・カナダ産牛肉の輸入再開問題に関する意見交換会及び説明会を行ってきたところである。
 この他、厚生労働省ホームページによる情報提供や掲載内容の改善、リスクコミュニケーション担当者の養成研修、関係団体・消費者団体との連携の推進などに取り組んでいる。
 今後とも、消費者等関係者との意見交換会を積極的に開催していくとともに、食品安全委員会がとりまとめた「食の安全に関するリスクコミュニケーションの改善に向けて」等を踏まえて、意見交換会の在り方や情報発信の手法について、より良いものを目指して改善を行っていく予定である。
 意見交換会の開催にあたり、開催地域の地方公共団体との連携など御協力いただいたことに御礼申し上げるとともに、今後とも御協力をお願いしたい。
 また、地方公共団体においても、地域住民とのリスクコミュニケーションの取組みが独自に行われていると承知している。リスクコミュニケーションは、消費者等関係者の施策への参画を促すとともに、食品の安全についての理解を深め、信頼や安心の醸成につながる重要な取組みであることから、食品安全基本法や食品衛生法の趣旨を踏まえ、地域レベルでの消費者等関係者相互のリスクコミュニケーションについて、なお一層の推進に努めていただきたい。

  (参考)意見交換会の開催実績(平成15年7月〜平成18年12月)
    開催回数:209ヶ所
    参加者数:延べ約40,000人

(2) 食育の推進について
 平成17年6月10日、国民が健全な心身を培い、豊かな人間性をはぐくむため、食育に関する施策を総合的かつ計画的に推進すること等を目的とした「食育基本法」が成立し、同年7月15日から施行されたところ。
 食育基本法には、栄養バランスを踏まえた健全な食生活に関すること、食に関する感謝の念など、様々な側面を有しているが、食品の安全の観点からは、その第8条に「食育は、食品の安全性が確保され安心して消費できることが健全な食生活の基礎であることにかんがみ、食品の安全性をはじめとする食に関する幅広い情報の提供及びこれについての意見交換が、食に関する知識と理解を深め、国民の適切な食生活の実践に資することを旨として、国際的な連携を図りつつ積極的に行われなければならない。」と規定されている。
 このようなことから、食品の安全に関する知識と理解を深め、国民の適切な食生活の実践に資する観点からも、上述のリスクコミュニケーションの取組みを地方公共団体を含む関係機関と連携しながら総合的、計画的に進めていくこととしている。

(3) 森永ひ素ミルク中毒被害者の救済事業について
[1]    (財)ひかり協会が行う森永ひ素ミルク中毒被害者救済事業については、かねてより御配慮をいただいているところであるが、森永ひ素ミルク中毒被害者も50歳代にさしかかり、保健福祉分野における市町村の役割の重要性が益々増大しているところである。
   さらに、介護を担ってきた者の高齢化に伴い、障害のある在宅被害者の生活の場の確保が重要となってきていることから、(財)ひかり協会が行っている障害のある在宅被害者の施設への入所、グループホームへの入居希望状況の把握等、円滑な施設入所、グループホーム入居に向けた取組など、協会事業の推進に御協力、御配慮をお願いしているところである。
[2]    本救済事業は、保健福祉サービスの提供等の行政協力が当該事業を推進する上において必要不可欠であることから、各都道府県担当窓口課においては、医療、保健障害福祉等を所管する部局、市町村及び保健所等の出先機関並びに都道府県労働局等の行政機関が定期的な連絡調整を行う場を確保するとともに、協会事業の内容及び関連通知等が関係行政機関の担当者に十分周知され、適切な保健福祉サービス等が提供されるよう特段の御配慮をお願いする。
   なお、協会から当該連絡調整の場への参加要望、協会が行う地域救済対策委員会、懇談会等への出席依頼があった場合は、御協力をお願いする。
[3]    さらに、協会においては、「40歳以降の救済事業」を効果的に進めるため「第一次10ヵ年計画」が、平成13年度から22年度を計画期間として策定され、現在この計画に基づいた2つの年次計画(「すべての被害者の自主的健康管理の援助する年次計画」及び「障害のある被害者の将来設計を実現する年次計画」)が、第3期(平成17年度から平成20年度を目標)として進められているところである。
   本計画が円滑に推進されるためにも、特に行政協力が必要不可欠となっているので、各都道府県、政令指定都市等におかれては、これらの趣旨を御理解の上、今後とも引き続き御協力をお願いする。

(4) カネミ油症について
 カネミ油症事件の被害者救済のため、厚生労働省としては、引き続き行政上の措置として全国油症治療研究班による診断・治療に関する研究及び追跡調査等を実施していくこととしている。
 特に、油症患者の追跡調査については、全国11の追跡調査班により患者の検診を実施していだいているところであり、引き続き御協力をお願いする。
 また、油症診断基準については、平成16年9月に全国油症治療研究班の油症診断基準再評価委員会により「油症診断基準(2004年9月29日補遺)」が改訂されたところであり、現在、この新しい診断基準を参考に、診定作業を実施していただいているところであるが、改めて、その趣旨を御理解の上、引き続き特段の御配慮をお願いしたい。
 なお、カネミ油症については、現在、与党PT(カネミ油症問題対策プロジェクトチーム)において、仮払金免除に係る特例法案に係る議員立法制定に向けた検討等が行われているところである。

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