9. ワクチン等対策

(1)   通常期インフルエンザワクチンの供給調整等について

現状等

 ○   インフルエンザワクチン(以下「ワクチン」という。)については、製造から供給に4〜5か月を要することから、需要に見合う量のワクチンをできる限り円滑に供給できるよう、ワクチン製造業者、卸売販売業者、医療機関、都道府県などの関係者からなる「インフルエンザワクチン需要検討会」を設置し、ワクチンの接種状況の把握及び需要予測のための検討を行っているところである。

 ○   同検討会の検討結果に基づき、今シーズンのワクチンは、昨シーズンのワクチン消費量(2,082万本)の20%増の約2,517万本(1mL換算)が製造された。

 ○   ワクチンの安定供給対策としては、平成18年6月30日付け通知で、各都道府県及び製造業者等、卸売販売業者、医療機関の各関係団体に対し、管内のワクチン在庫状況を短期間に把握し、不足時には融通可能な体制をあらかじめ確立すること、医療機関等からのワクチンの初回注文量が前年の使用実績を上回らないように確認すること、医療機関に分割納入すること等について依頼した。
  さらに、全生産量のうち60万本(以下「融通用ワクチン」という。)のワクチンを、製造業者等の協力を得て、地域における不足時の対策のため、保管することとした。

 ○  平成18年11月15日時点で各都道府県から報告された調査結果によると、卸売販売業者の在庫が約633万本あるため、不足の状況が生じることが考えにくいため、融通用ワクチン60万本の中の一部、28万本について解除を行った。
 ○   製造業者等からの12月15日時点でのワクチン流通状況の報告によると、製造量が前年に比べて約435万本増の2,517万本製造されたのに対して、医療機関等への納入量は1,969万本で、前年同時期と比べると16万本の減少(0.8%減)となっている。


都道府県への要請

 ○  これまでに発出した通知に基づき、今後とも、インフルエンザワクチンの安定供給の確保に向けた協力をお願いしたい。


(2)   新型インフルエンザワクチンの製造について

現状等

 ○  新型インフルエンザワクチンの製造については、平成17年11月に策定された「新型インフルエンザ対策行動計画」に基づき、医療従事者、社会機能維持に必要な者に緊急に接種できるよう平成17年度補正予算において、プレ・パンデミックワクチン原液の製造のために必要な体制を確保するための経費補助を行うなど、新型インフルエンザワクチンの生産確保にかかる必要な対策を行っている。

 
  「新型インフルエンザ対策行動計画」では、トリ−ヒト感染は確認されていない段階において、トリ−ヒト感染を起こすウイルスを用いたプレ・パンデミックワクチン原液の製造、貯留を開始することとしている。

 ○   平成18年9月から、トリ−ヒト感染を起こしたウイルス株(※)を用いて、プレ
・  パンデミックワクチンの原液を開始している。

 
  平成18年9月からベトナムで2004年にトリーヒト感染を起こしたウイルス株(クレード1株)を用いてプレ・パンデミックワクチン原液の生産を開始したところであるが、さらに、近年の鳥インフルエンザ(H5N1型)流行の動向を踏まえ、ワクチン製造用株の見直しを行い、インドネシアで2005年にトリ−ヒト感染を起こしたウイルス株(クレード2株)を用いたワクチン製造に切り替えたところ(平成18年11月から)。


今後の取組

 ○   平成18年度補正において、新型インフルエンザ発生時における、的確な対応を図るため、新型インフルエンザワクチン原液を買い上げて国において備蓄する経費を計上したところ。


(3)   ワクチン及び抗毒素の国家備蓄

現状等

 ○  コレラワクチンや乾燥ガスえそウマ抗毒素等は、伝染病等の予測及び需給の見通しが困難である一方で、製造に長期間を要する等の特殊性を有することから、緊急時の対処等を目的に国家買上げを行い、一定量を全国9箇所の保管場所に保管備蓄している。

 ○   これらの供給については、昭和26年8月6日付薬発第357号「国有ワクチン供給要領」に基づき、都道府県からの供給申請及び緊急時における医療機関からの供給要請に対して、速やかに供給できるよう万全を期している。

 ○   国有ワクチン・抗毒素の都道府県に対する売払価格については、平成18年4月に全面改定された薬価基準に基づいて改定したところである。

都道府県への要請

 ○   緊急時の供給に対処するべく、ワクチン及び抗毒素を平素から備蓄する等、引き続きその供給体制に万全を期すよう協力をお願いしたい。


(4)   その他

現状等

 ○   平成18年11月に海外で犬に咬まれた者が、狂犬病を発症したケースが2件確認されたことにともない、11月末より狂犬病ワクチンの大量注文が続いていることにより、市場在庫数が減少している。このため、平成18年12月8日付医政経発第1208004号、健感発第1208002号、薬食血発第1208001号「乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチンについて」を発出し、国内で飼い犬等に咬まれた場合には、狂犬病に感染する可能性は極めて低いと考えられ、ワクチンを接種する必要性まではないこと、狂犬病の流行地域からの帰国者で犬等に咬まれた者、狂犬病の流行地域に渡航する者で犬等に接触する可能性が高い者に優先的に接種することなどにより、的確かつ円滑に接種が行えるよう、協力をお願いしたところである。

都道府県への要請

 ○   狂犬病ワクチンの流通については、引き続き、通知の意図を理解し、周知徹底の協力をお願いしたい。

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