8. 血液製剤の安全対策の推進等

(1)   血液製剤の安全対策の推進

現 状 等

  ○   これまで、日本赤十字社におけるB型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス及びHIVに対する核酸増幅検査(NAT)の導入、供血者からの遡及調査の徹底等の対応を講じてきたところであるが、平成15年12月にHIV混入血がNATをすり抜け、輸血を受けた者が感染した事例等が判明したこと等を踏まえ、平成16年7月に開催された血液事業部会において「輸血医療の安全性確保のための総合対策 」が取りまとめられ、安全対策に係る以下の5本の柱に沿って対策が示された。
  (1)   健康な献血者の確保の推進
(2)   検査目的献血の防止
(3)   血液製剤に係る検査・製造体制等の充実
(4)   医療現場における適正使用等の推進
(5)   輸血後感染症対策等の推進
これらの柱に沿った安全対策を逐次、実施に移してきたところである。

  ○   平成17年度以降には、特に次のような献血制限措置を通じて血液製剤によるvCJDの伝播防止に万全を期するなど、安全対策を一層推進している。

  ・   輸血によるvCJDの防止のため、平成12年から献血時の欧州渡航歴に関する問診の強化を実施している。さらに、国内でのvCJD発生を踏まえて、平成17年6月からは、1980〜1996年に英国に1日以上滞在していた者への献血制限を当分の間の暫定措置として実施している。

  ・   また、ヒト胎盤エキス(プラセンタ)注射剤によるvCJD感染事例は今のところ報告されていないが、輸血や臓器移植と同様にヒト由来の臓器から製造されていることから、vCJDの伝播の理論的なリスクが否定できない。そこで、平成18年10月10日から予防的な措置として、ヒト胎盤エキス注射剤の使用者について問診により献血を制限することとしている。

今後の取組

  ○   引き続き、「輸血医療の安全性確保のための総合対策」を中心とした血液事業に関する安全性確保対策の一層の推進を図ることとしている。

都道府県への要請

  ○   引き続き、エイズ等の検査を目的とする献血の危険性の周知徹底に努め、関係部局の連携強化及び匿名で行うエイズ検査に係る保健所等の活用について広く住民へ呼びかけるとともに、献血の際の検査結果の活用推進などについて協力をお願いしたい。


(2)  血液製剤の適正使用の推進

現 状 等

  ○   安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律第3条第3項では、血液製剤の適正使用の推進を、法の基本理念として掲げている。また、同法第9条に基づく「血液製剤の安全性の向上及び安定供給の確保を図るための基本的な方針」第七の二においては、国及び都道府県等は、適正使用のため医療機関に対し、様々な機会を通じて、院内における輸血療法委員会、責任医師の任命及び輸血部門の設置を働きかける旨が示されている。

  ○   平成18年度より施設内に輸血療法委員会を設置して適正使用に取り組むなど、一定の基準を満たしている医療機関については、診療報酬上、「輸血管理料」が算定できることとなっており、また、都道府県単位で「合同輸血療法委員会」を設置して、各医療機関の取組を支援する「血液製剤使用適正化方策調査研究事業」に国の予算措置を講じるなど、都道府県単位の取組を推進するための環境整備を 図ってきたところ。

 
 血液製剤の適正使用については、以下の指針やデータがとりまとめられており、上記の取組においてはこれらの十分な活用が望まれる。
  
  ・   平成11年度に策定した「血液製剤の使用指針」(輸血用血液製剤及びアルブミン製剤についての指針)及び「輸血療法の実施に関する指針」を最新の知見に基づき平成17年9月に改定した。

  平成17年6月には、先進的取組を行っている都道府県等の実態を調査し、各医療機関での輸血療法委員会で推奨される議題、効果的な院内体制等を提示し、各都道府県に通知した。

  平成16年12月には病床規模別、機能別平均的使用量を提示し、各都道府県へ通知しているが、さらに、平成18年3月には「血液製剤使用量調査」を実施し、各血液製剤の使用実態の把握に努めるとともに、医療機関における血液製剤管理の体制整備の進捗状況についても調査しており、平成19年春頃までに、その結果を取りまとめて公表し、平成16年12月に提示された平均的使用量のデータを更新し、適正使用推進のための活用に資することとしている。


都道府県への要請

  ○   都道府県における「合同輸血療法委員会」の未設置都道府県においては、その設置を図るとともに、同委員会の既設置都道府県においても、同委員会を十分活用するなどして血液製剤の適正使用に関する医療機関への働き掛けや、血液製剤使用量の現状等、医療機関へ周知されるよう協力をお願いしたい。


トップへ