1. 医薬品・医療機器の提供に係る迅速化について


現 状 等


(1) 医薬品
   医療技術・医薬品が日進月歩の進歩を遂げている中、一方で海外の医療現場で利用されている医薬品が国内では速やかに利用できないといった声もあり、安全で有効な医薬品を迅速に国民の手元に提供していくことが求められている。


   また、昨年9月に行われた安倍総理の所信表明演説においては、我が国の経済成長に貢献するイノベーションの創造に向け、長期の戦略指針「イノベーション25」 を取りまとめ、実行することを表明したところである。


   このような状況の中、これまで、国内未承認薬のうち、特に必要性の高いものに ついては、治験の開始を企業に要請する等、主に個別的な対策をとってきたものであるが、医薬品に係る治験や承認審査の迅速化について、制度面、体制面など諸課題全般について検討するため、昨年10月30日に厚生労働大臣の下に「有効で安全な医薬品を迅速に提供するための検討会」(以下「迅速検討会」という。)を設置し、これまで2回開催したところである。


(2) 医療機器
   医療機器及び体外診断用医薬品については、平成17年4月に施行された改正薬事法により、高いリスクや新規性のある医療機器の審査に重点を置く制度とするなど、審査の効率化と円滑化を進めてきたところである。


   これにより、審査の効率化等には一定の成果が得られてきているが、さらに未承認の個別品目に係る早期承認の要望が医療現場より寄せられている。


   このため、国内で未承認又は適応外の医療機器及び体外診断用医薬品について、我が国の医療ニーズの高いものを選定し、早期承認の実現に向けた施策を検討する 「医療ニーズの高い医療機器等の早期導入に関する検討会」(以下「ニーズ検討会」という。)を昨年10月26日に設置し、学会等からの要望を募集したところ。


(3) 総合科学技術会議の意見具申
   総合科学技術会議(議長:内閣総理大臣)において、平成18年12月25日、報告(「科学技術の振興及び成果の社会への還元に向けた制度改革について」)が とりまとめられ、関係大臣に意見具申がなされたところである。承認審査等に係る主な内容は次のとおり(主な事項の一覧については、39頁参照)。
 マイクロドージングを含む探索的早期臨床試験に関する指針の検討及び審査の透明化、効率化のための審査基準の明確化。
 (独)医薬品医療機器総合機構(以下「総合機構」という。)の人員の拡大(審査人員をおおむね3年間で倍増)、新薬承認までの期間短縮、人材育成の工程表を示すこと。
 総合機構と規制対象の会社の関係に留意しつつ、総合機構の就業規則を緩和すること。
 医療機器の一部変更申請が不要な範囲の明確化とその拡大。医療機器専門審査官の充実・育成。
 細胞・組織を利用した医薬品・医療機器の安全評価基準の明確化、確認申請と治験届に係る調査の重複する部分の簡素化。
 国内外の治験データの有効活用のため、GCPとその運用のあり方について検討。


今後の取組


 総合科学技術会議の意見具申を踏まえ、審査基準の明確化、審査体制の充実強化等に取り組むこととしている。とりわけ総合機構の審査官については、関係省庁の協力を得つつ、平成19年度より計画的に増員していきたい。


 今後、迅速検討会をおおむね月1回開催し、平成19年夏を目途に意見をとりまとめるよう検討を進め、その結果を踏まえ、所要の施策を速やかに実施して参りたいと考えている。
(主な検討事項)
 ・  承認審査の方針や基準の明確化と市販後安全対策への取組み
 ・  治験相談・承認審査の体制の充実
 ・  その他医薬品の安全、かつ、迅速な提供に資する事項


 医療機器については、今後、ニーズ検討会の下にワーキンググループを設置し、募集した要望の中から優先的に検討すべき医療機器等を整理、決定する。優先的に検討すべき医療機器等について、製品の情報を収集し、臨床上の必要性及び早期 導入の実現可能性の観点から、早期導入することが妥当な医療機器等を決定するため、第2回のニーズ検討会を年度内に開催する予定である。



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