プレスリリース
平成19年11月22日
厚生労働省
農林水産省
カナダにおける対日輸出認定施設の現地査察結果及び
農場・飼料工場等の現地調査結果について
カナダ産牛肉について、対日輸出基準の遵守状況の確認及びカナダにおける農場・飼料工場等の現地調査のため、9月2日から13日まで担当者をカナダに派遣していたところ、今般、対日輸出認定施設等の現地査察結果を取りまとめましたので、別添のとおりお知らせします。
【問い合わせ先】 連絡先:厚生労働省医薬食品局 食品安全部監視安全課 代表:03-5253-1111(内線2455) 直通:03-3595-2337 担当:森田 |
連絡先:農林水産省消費・安全局 動物衛生課 代表:03-3502-8111(内線4581) 直通:03-3502-5994 担当:片貝 当資料の農林水産省ホームページ掲載先URL http://www.maff.go.jp/j/press |
カナダにおける対日輸出認定施設の現地査察結果及び
農場・飼料工場等の現地調査結果について
平成19年11月22日
厚生労働省
農林水産省
平成19年9月2日から13日まで、カナダにおける牛肉の対日輸出認定施設の現地査察及び農場・飼料工場等の現地調査を行い、対日輸出基準の遵守について検証するとともに、農場・飼料工場の管理状況等について調査した。
1 日程等
(1)対日輸出認定施設査察
期 間 | :平成19年9月2日(日)〜13日(木) |
対象施設 | :対日輸出認定施設5施設 |
実 施 者 | :厚生労働省、農林水産省の担当者(1チーム) |
(2)農場・飼料工場等調査
期 間 | :平成19年9月2日(日)〜13日(木) |
対象施設 | :繁殖農場、フィードロット、レンダリング工場、飼料工場各1施設 |
実 施 者 | :農林水産省、(独)農林水産消費安全技術センターの担当者(1チーム) |
2 施設調査の結果
(1)対日輸出認定施設査察の結果
[1] 対日輸出処理手順及びHACCPプランについて、日本側による前回現地調査(平成17年12月13日〜12月23日又は平成18年3月12日〜3月19日に実施。以下同じ。)以降の変更の有無及び変更内容
ア 対日輸出処理手順
日本側による前回現地調査以降の変更の有無及び変更内容を確認したところ、カナダ政府により強化された飼料規制への対応(SRMの分別管理、廃棄、記録の保管)のための変更が施設の手順書に反映されるなど、変更内容が適切に対応されていた。
イ HACCPプラン
日本側による前回現地調査以降のHACCPプランの変更の有無及び変更内容を確認したところ、現場の状況の変更が施設のHACCPプランに反映されるなど、適切に対応されていた。
[2] 対日輸出された製品に関する生体受入、月齢確認、特定危険部位(SRM)除去、部分肉処理及び出荷等の記録
日本側による前回現地調査以降に日本向けに出荷された製品の対日輸出プログラムの適合状況について、生体受入、月齢確認、特定危険部位(SRM)除去、部分肉処理及び出荷等の記録を確認したところ、特段の指摘事項は確認されなかった。
[3] 対日輸出製品に関する現場作業(生体受入、月齢確認、と畜解体、部分肉処理、製品の保管・出荷等)の確認
現場の作業状況については、施設内へ立ち入り、対日輸出処理の実際の作業又は、デモンストレーション及びインタビューにより以下の事項について調査したところ、特段の指摘事項は確認されなかった。
ア 生体受入
(ア)生体の受け入れ時には、農場(フィードロット)名、性別等の関係情報を確認していること。
(イ)カナダ食品検査庁(CFIA)の検査官により、生体検査が適切に実施されていること。
イ 牛の月齢確認
と畜前又はと畜直後に耳標又は無線タグの個体識別コードを基に、カナダ牛個体識別システム機関(CCIA)データベースにアクセスし、20ヶ月齢以下であることが確認され、分別管理されていること。
ウ と畜解体
(ア)ピッシングの禁止、せき髄などのSRM除去、枝肉の洗浄などの適切な処理が行われていること。
(イ)月齢確認牛の枝肉・内臓は、タグ等により他の枝肉、内臓と区分されていること。
(ウ)日本向け枝肉については、「J」のスタンプを押印し、その他の枝肉とレールの間隔をあけて分別保管することにより、他の枝肉と区分されていること。
エ 部分肉処理
(ア)日本向け牛肉について、せき柱が適切に除去されていること。
(イ)日本向け部分肉処理について、作業開始時から行うことや、前後に時間的間隔を設けることにより、日本向け以外の牛肉の混入が防止されていること。
オ 製品の保管・出荷
(ア)日本向け牛肉・内臓の箱詰め後は、各企業が定めた製品管理番号等により管理されていること。
(イ)冷蔵庫内において、日本向け以外の牛肉・内臓と適切に区分されていること。
(ウ)出荷時に、日本向け牛肉・内臓に貼付されているラベルのスキャン及び目視による確認等を行い、日本向け以外の牛肉・内臓の混入がないか確認していること。
[4] 強化された飼料規制への対応(SRMの分別管理、廃棄、記録の保管)の確認
本年7月から施行されている強化された飼料規制(SRMを全ての動物飼料、肥料及びペットフードに使用することを禁止)への対応を確認したところ、SRMの専用回収箱を使用する等施設内ではSRMが適切に分別管理されており、回収したSRMの重量等の記録が適切に保管されていた。また、SRMは定められた染料で着色され、許可された処理施設にのみ搬送され、その記録を適切に保管する等SRMが適切に廃棄されていた。
(2)農場・飼料工場等調査の結果
[1] 農場における生年月日の把握、個体識別システムの実施状況の確認
ア 繁殖農場では、季節繁殖(分娩が3〜4月に集中)を行っており、分娩期間には日々の巡回により個体ごとの生年月日を確認し、耳標装着とCCIAデータベースへの生年月日データの入力を行っていた。生年月日に関する野帳の管理、データベースへの入力等データの管理は適切に実施されていた。
当該繁殖農場において生産された子牛は、近隣の肥育農場に肥育が委託されていた。この肥育農場から出荷された牛について、と畜場から月齢証明に関する文書の提出を要求された場合には、当該繁殖農場が月齢証明を提出することとされていた。
イ フィードロットでは、自社の繁殖・育成部門または近隣の農家から牛を導入しており、生年月日を含む個体データは、耳標番号を基にCCIAデータベースにアクセスして確認していた。日本向けの牛の注文があった場合は、CCIAデータベースにアクセスして生年月日を確認し、月齢証明牛のみを分別管理して出荷することとされていた。
[2] 飼料給与実態及び飼料規制の遵守状況の確認
今回調査した繁殖農場、フィードロット、レンダリング工場及び飼料工場において、飼料の製造や飼料給与実態等を調査し、飼料規制が適切に遵守されていることを確認した。
ア 繁殖農場及びフィードロットでは、自家生産した乾牧草や穀物に購入した配合飼料等を自家配合して給与していたが、禁止物質(反すう動物由来肉骨粉等)は使用していなかった。また、と畜場(対日輸出施設を含む)に出荷した牛が禁止物質を給与されていないことを誓約していた。
イ レンダリング工場及び飼料工場の原料受入、製造、包装、搬送等の各工程において、禁止物質と非禁止物質の分別管理、記録保管、ラベル表示等は適切に行われており、また、CFIAの立入検査を受けていた。
3 今後の対応
今後も、引き続き、カナダ側のシステムの同等性の検証の一環としての現地査察を通じて、カナダ国内の食品安全及び対日輸出処理手順の遵守を検証する。
日本向け牛肉等の輸出条件等の実施状況
項 目 | ||
全般的条件 | ||
施設は、カナダの国内要件及び付属書Fに記された日本の追加要件を遵守して操業していなければならない。 | ||
施設はと殺施設でなければならない。ただし、と殺施設がカッティング/脱骨などの設備を有していない場合、同系列のカッティング/脱骨施設も認定を受けることが出来る。 | ||
施設がCFIAの対日輸出認定の指定を受ける前に、手順に従った認定手続きがとられなければならない。 | ||
牛肉製品は、カナダで生まれかつ飼養された牛か、米国で生まれて輸入され、カナダにおいて育成/肥育されてと殺された牛由来でなければならない。と場直行輸入牛は対日輸出不適格である。 | ||
牛の起源について、手順書に定めているか | ||
米国からのと場直行牛を受け入れているか | ||
米国からのと場直行牛をどのように対日輸出用から排除しているか | ||
記録条件 | カナダ産製品の生産記録は2年間保管されなければならない。 | |
施設に対する条件 | ||
手順書の 作成と 実施 |
と場及びその系列の加工施設の業者は、以下を担保するための文書化された手順の作成と実施を求められる | |
(1)20ヶ月以下の牛由来の製品のみが対日輸出用に処理されること | ||
(2)交差汚染を防ぎ、また、対日輸出品に混入することがないよう、不適格部位が衛生的に除去されること | ||
30ヶ月齢以上の枝肉と接触していないか | ||
(3)牛の月齢が確認された時点から、製品が箱詰めされて適切にラベルされるかまたは枝肉が施設から出荷されるまで、ほかの枝肉や製品から容易に識別できること | ||
(管理措置の 記述) |
文書化された手順は、要件の遵守および、適格品が常に不適格品から容易に識別できることを担保するために実施される管理措置を明確に記述しなければならない | |
(手順書の 記述) |
手順書はVICまたはIICが適当と認めるものでなければならず、モニタリング,検証及び記録保管,逸脱時の手順を含み、それらは査察可能でかつ実効性のあるものでなければならない | |
手順書はCFIAの検査官がアクセスできるか | ||
手順書の改定についてどのように従業員に周知しているか | ||
手順書は、施設やCFIAの証明ニーズに応じて、以下に対応するものでなければならない | ||
(月齢確認) | ・CFIAが適当と認める方法で牛の月齢確認が行われていること(後述) | |
(適格品の 識別) |
・月齢が確認された時点以降、20ヶ月以下の牛及び/または、その枝肉、内臓及びその他の部位が識別されていること | |
小腸、胃、肝臓その他の内臓は対日輸出品とそれ以外の分別管理が適切に行われているか | ||
枝肉は表示等による識別は可能か | ||
・20ヶ月以下の枝肉を明確に識別する印または器具を施すこと | ||
(SRMの 除去) |
・舌及びほほ肉を除く頭部、口蓋扁桃及び舌扁桃、せき髄及び硬膜、回腸遠位部、並びに背根神経節を含むせき柱を衛生的に除去すること せき柱及び背根神経節以外の全ての不適格部位はと畜フロアで除去されなければならない |
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(頭部) | ||
・口蓋扁桃の除去方法は適切か | ||
・舌扁桃は有郭乳頭より近位が残存しないように除去されているか | ||
・舌扁桃は定められた廃棄容器に入れられているか | ||
・舌は対日輸出用とそれ以外の分別管理が適切に行われているか | ||
・ほほ肉は他の頭部と接触しないように処理されているか | ||
・ほほ肉は対日輸出用とそれ以外の分別管理が適切に行われているか | ||
(せき髄) | ||
・せき髄除去作業後に肉眼的にせき柱管内にせき髄が残存していないか | ||
・せき髄は定められた廃棄容器に入れられているか | ||
・枝肉検査はせき髄除去後に実施されているか | ||
(回腸遠位部) | ||
・除去方法は適切か | ||
・回腸遠位部は定められた廃棄容器に入れられているか | ||
(せき柱) | ||
・せき柱の除去方法は適切か | ||
・せき柱は予め定められた廃棄容器に入れられているか | ||
(分別管理) | ・適格枝肉の部分肉加工及び脱骨が、時間的または空間的なスペースにより他の枝肉やその部分肉から分別されたロットにおいて実施されていること 部分肉加工及び脱骨は、シフトの最初に実施され、他の製品の生産が始まる前に終了しなければならない。あるいは、不適格枝肉に由来する製品が生産ラインから全て取り除かれた後で、対日処理が開始されなければならない |
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グレードチェンジなどの対日輸出用ロットの管理は適切か | ||
ロット間のギャップの時間は十分か、前後のロットと製品が混在していないか | ||
対日輸出用の枝肉のみがカット室に搬入されるよう管理されているか | ||
(ラベリング) | ・適格品の部分肉や内臓の入った箱は、他との区別が容易に付く方法でラベリングすること | |
・ラベルは対日輸出品の処理時のみ保管庫から出されているか | ||
(枝肉の受入) | ・部分肉加工/脱骨、箱詰めまたは保管のために適格製品を受け入れる施設については、その受入手順 | |
(記録保管) | ・CFIAが適格品の生産や運搬の証明を行えるよう記録を保管すること | |
月齢確認 | 牛肉製品の対日輸出適格性を確認するため、CCIAまたはATQのデータベースから取り出した生年月日に基づき、牛の月齢が、と殺時点で20ヶ月齢以下であると確認されなければならない。 | |
生体検査は1頭ずつ適切に実施されているか | ||
(1)月齢確認牛を搬入する場合 | ||
受け入れ方法は適切か | ||
ロットが搬入、待機ペンなどで適切に分別管理されているか | ||
記録は適切に保管されているか | ||
担当者は手順に関する研修を受けているか | ||
(2)受入後に月齢確認を行う場合 | ||
月齢確認の方法は適切か | ||
他の牛との分別管理は適切か | ||
記録は適切に保管されているか | ||
担当者は手順に関する研修を受けているか | ||
(3)と畜後に月齢確認を行う場合 | ||
月齢確認の方法は適切か | ||
他の牛との分別管理は適切か | ||
記録は適切に保管されているか | ||
担当者は手順に関する研修を受けているか | ||
製品の由来 | 牛肉製品は、カナダで生まれかつ飼養された牛か、米国で生まれて輸入され、カナダにおいて育成/肥育されてと殺された牛由来でなければならない。と場直行輸入牛は対日輸出不適格である。 | |
施設間での運搬 | 施設間での適格品の運搬に適用される要件 適格品が施設間で運搬される場合には付属書Jが使われなければならない。対日輸出適格品はその他の製品と分別されなければならない。 |
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対日輸出適格性の維持 | 対日輸出適格性を維持しようとする施設は、リストに示す対日輸出不適格施設に由来する偶蹄類の食肉製品を有してはならない。 | |
製品の保管 | 適格品は、輸出証明書が要求された際に容易に識別ができるよう、パレットで他の製品と区分されなければならない。 | |
冷蔵庫搬入時に対日輸出製品であることを確認しているか | ||
製品の保管は、対日輸出品とそれ以外とが区別しているか | ||
出荷時に対日輸出製品であることを確認しているか | ||
研修手順の作成と実施 | 施設の役職員の研修 | |
研修の責任者は誰か | ||
研修について手順を定めているか | ||
研修用の資料やカリキュラムはあるか | ||
マネージメント、品質管理部門、現場責任者、現場作業者等の各段階でどのように研修が行われているのか | ||
対日条件と他国向けあるいは国内向けとの違いについてどのように周知しているのか | ||
研修の実施記録は保管しているか | ||
研修の効果を評価しているか | ||
内部監査手順の作成と実施 | 内部監査の実施 | |
内部監査を実施しているか | ||
内部監査について手順を定めているか | ||
内部監査記録を確認 | ||
内部監査を実施していない場合、どのように自己検証を行っているのか | ||
飼料規制強化への対応 (2007年7月以降、SRMを全ての動物飼料・ペットフード・肥料に使用することを禁止する飼料規制強化を実施) |
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(SRMの回収、識別、封じ込め) | SRM は、CFIA の認めた染料で着色され、SRMと明示された容器に入れられ、不可食製品のエリアの定められた場所に集められること | |
(記録) | SRM を施設外に持ち出す場合、施設は、毎日の記録を10年間保管しなければならない。 | |
SRM を含む全ての動物種の全ての不可食部分を施設内で廃棄する場合、施設は、毎日の記録を10年間保管しなければならない。 | ||
(SRMの搬送) | SRMの搬送は、CFIAの許可証を有する者だけが行うことが出来る | |
SRMが回収、識別、封じ込めされない場合、SRMを含む全ての動物種の全ての不可食部分は恒久的に施設内にとどまらなければならない。 | ||
SRMはCFIAの許可証を有する者に対してのみ搬送できる | ||
(SRMの廃棄または恒久的な封じ込め) | SRMを施設内で廃棄する場合、SRMを含む全ての動物種の全ての不可食部分は恒久的に施設内で封じ込められなければならない。封じ込め方法は州及び市の基準に適合したものでなければならない。 州及び市の許可をえて不可食部分をコンポスト化することは可能だが、その場合コンポスト化された製品をCFIAの許可なく搬送することはできない。 |
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CFIAの確認 | ||
(検査官の確認) | 要件遵守が確認できない場合、対日輸出証明書は発給されない。従業員が要件に適合できない場合、あるいは逸脱を改善できない場合、施設は対日輸出認定取り消しとなる。 | |
CFIA検査官は、対日適格品が生産される各シフトにおいて、月齢確認、SRM除去、識別・区分管理等の要件が施設の従業員によって正しく、かつ効果的に実施されていることを確認する。 | ||
検証は適切に実施されているか | ||
記録は適切に保管されているか | ||
(施設への立ち入り) | 施設の運営状況の確認のため、各施設のVICまたはIICによる立ち入りが毎月実施される。この確認の報告書は(と畜施設の場合)RVOに提出され、RVOは報告書の懸案事項についてフォローアップする。 RVOは、4半期に一度、施設の運営状況及びCFIAの証明手続きの確認を行う。 |
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立ち入りは規定に従って実施されているか | ||
報告書の内容に適切に対応しているか |
農場における調査項目
項 目 | |
経営形態 | |
繁殖農場か、育成農場か又はフィードロットか。 | |
総飼養頭数(頭) | |
従業員数 | |
年間出荷頭数(頭/年) | |
うち対日輸出向け出荷頭数(頭/年) | |
生年月日決定方法 | |
個体ごとか又はグループごとか。 | |
個体識別の装置 | |
耳標か、RFID(無線タグ)か、タトゥー(入墨)か又はその他の方法か | |
月齢確認の周知徹底 | |
月齢確認の手順 | |
月齢確認の記録 | |
記録の受け渡し | |
月齢確認に関するCFIA又はCCIAなどの外部の検査の有無 |