11  福祉人材確保対策の推進について(福祉基盤課)

 介護保険法の一部改正や障害者自立支援法の成立など利用者本位の社会福祉制度を構築するための改革が進められ、福祉サービスの質の一層の向上が求められている中で、それを担う質の高い人材の養成確保は、ますます重要な課題となっている。
 各都道府県市におかれては、引き続き質の高い福祉人材の養成確保について格段のご配慮をお願いしたい。


 (1)  社会福祉士及び介護福祉士
  ア  養成施設に対する指導の徹底
 社会福祉士養成施設及び介護福祉士養成施設は、国家資格の有資格者を養成するものであり、常に質の高い教育を行うことが特に求められるものであるが、養成施設の中には、
 (1) 専任教員の数が不足している
 (2) 教員要件を満たしていない教員がいる
 (3) 定員を遵守していない
 (4) 実習施設の変更等の必要な事務手続きを行っていない
等、不適切なものが見受けられる。
 このような現状に鑑み、平成16年11月に各地方厚生局に対して各養成施設の適正な運営の確保について、各都道府県の関係部局とも連携し、周知徹底を図るよう通知を発出したところであり、各地方厚生(支)局においては計画的・定期的な実地調査を行っているところである。
 ついては、各都道府県市におかれては、各地方厚生(支)局との連携の強化を図っていただき、効率的、効果的な実地調査が実施できるよう地方厚生(支)局へのご協力方お願いしたい。

  イ  社会福祉士及び介護福祉士の国家試験
(ア)  国家試験の実施
 社会福祉士及び介護福祉士の国家試験の実施にあたり、試験地の都道府県には、会場や要員の確保などの面で、多大なるご協力をいただき、改めて感謝申し上げる。
 両国家試験の受験者数が増加する中、試験の実施主体である財団法人社会福祉振興・試験センターにおいては、試験地の都道府県の負担を軽減するため、試験業務の合理化に努めているところである。
 厚生労働省としては、社会福祉サービスの質の向上等を図るために資格取得を促進し、質の高い福祉人材を養成・確保することは極めて重要な施策であると考えているので、試験地の都道府県におかれては、両国家試験の実施について、引き続き格段のご協力をお願いしたい。

(参考)第18回社会福祉士及び介護福祉士国家試験の概要
 (1)  社会福祉士国家試験
・試験日   平成18年1月29日(日)
・試験地 12都道府県15会場
(北海道、青森県、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県)
・受験申込者数 48,498人(対前年 7.2%増)

 (2)  介護福祉士国家試験
・試験日   筆記 平成18年1月29日(日)
実技 平成18年3月 5日(日)
・試験地 筆記 12都道府県45会場
(北海道、青森県、宮城県、東京都、石川県、愛知県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、鹿児島県、沖縄県)
実技 12都道府県31会場
・受験申込者数 140,890人(対前年44.0%増)

 ※  合格発表は、両試験とも平成18年3月31日(金)
 厚生労働省及び財団法人社会福祉振興・試験センターに合格者の受験番号を掲示して発表するとともに、同センターホームページ(http://www.sssc.or.jp/)上に合格者の受験番号を掲載する。

  ウ  「介護福祉士のあり方及びその養成プロセスの見直し等に関する検討会」の開催
 「社会福祉士及び介護福祉士法」が昭和63年4月に施行されてから本年度で18年目を迎え、この間、介護福祉士の登録者数は順調に増加し、平成17年9月末現在で約47万人となっている。このうち、介護保険事業に従事している介護福祉士が約19万人、介護老人福祉施設等においては介護職員の約4割が介護福祉士となるなど介護福祉士は、介護サービスの中核を担う人材として各方面で活躍している。
 一方、近年、介護の分野においては、介護保険制度の導入、支援費制度の実施、障害者自立支援法の成立など、社会福祉制度が大きく変化している。
 その結果、福祉サービスの利用量は急増したものの、サービスの質の確保とそれに携わる人材の資質の向上が大きな課題となっており、福祉サービスを必要とする者に対して、人としての尊厳を大事にし、その方の人生を支援する専門性の高い人材を確保する観点から、介護福祉士の養成施設や国家試験のあり方、資格取得後の継続研修などについて、様々な課題が指摘されているところである。
 このため、介護に関連する有識者をはじめ、関係団体からなる検討会を設置し、これからの介護を担う介護福祉士のあり方及びその養成プロセスの見直し等について本年1月より検討を行うこととしている。


 (2)  都道府県福祉人材センター運営事業等の推進
 都道府県福祉人材センター及び福祉人材バンク(以下「都道府県センター等」という。)が行う無料職業紹介事業については、各都道府県社会福祉協議会等が、職業安定法第33条第1項に基づく許可を受け実施しているところであるが、その取り扱うあっせん対象機関等の範囲が限定されているところである。
 しかしながら、民間事業者が行う介護保険事業や有料老人ホームの従事者などの無料職業紹介事業については、職業安定法第33条第4項において準用する第32条の12第1項の規定に基づき、管轄の都道府県労働局長を通じて、厚生労働大臣に届出を行うことにより、無料職業紹介事業の取扱業務の範囲とすることが可能となっているので、ご了知願いたい。
 ただし、都道府県センター等に対する国庫補助については、従来通り「都道府県福祉人材センター等で行う無料職業紹介事業の取扱いについて」(平成12年10月2日社援第2233−2号社会・援護局長通知)で示す無料職業紹介事業の取扱対象者及びあっせん対象事業所の範囲内であるので併せてご了知願いたい。
 なお、職業安定局においては、現在、都道府県センター等が行う無料職業紹介事業について、その取り扱うあっせん対象機関等の範囲の限定を規定している「福祉人材センター等の行う無料職業紹介事業について」(平成12年10月2日職発第600号)を廃止する方向で検討しているところであるが、決定され次第、通知することとしているので、あらかじめご了知願いたい。


 (3)  福利厚生センター事業の推進
 中小規模の事業者が多い社会福祉事業の中で魅力ある職場づくりを進めるためには、とりわけ福利厚生の充実が必要であり、福利厚生センターにおいては、各種福利厚生事業の充実に努めてきたところであるが、各都道府県におかれても、福利厚生センター事業の周知について引き続きご協力をお願いしたい。


 (4)  日本社会事業大学における専門職大学院
 平成16年4月に日本社会事業大学に設置された専門職大学院では、幅広い視野及び高度な知識・技術を持った福祉専門職業人を養成しており、平成18年度入学試験は以下のとおり行われるので、ご了知願いたい。
 なお、平成18年度の入学試験からは、AO入試を取り入れるなど、多才な人材を募集しているので、併せてご了知願いたい。
 【第II期入学試験】
  平成18年2月19日(日)
  (出願期間:平成18年1月23日(月)〜2月2日(木))
 【第III期入学試験】
  平成18年3月12日(日)
  (出願期間:平成18年2月13日(月)〜3月2日(木))


 (5)  社会福祉事業従事者に対する研修
 地方自治体の福祉担当職員及び社会福祉法人経営者等を対象とした社会福祉研修については、平成18年度においても、国立保健医療科学院及び全国社会福祉協議会中央福祉学院(ロフォス湘南)において実施することとしているので、本研修の積極的な活用について一層のご配慮をお願いしたい。なお、平成18年度の委託研修の詳細については、後日、研修要綱を発出する予定である。

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