地域福祉の推進等について(地域福祉課)

(1)  地域福祉計画の策定について
 市町村地域福祉計画の策定状況をみると、平成17年4月1日現在で策定済の市町村が14.4%に過ぎず、また、策定予定の市町村を含めても58.3%と低率である。
 市町村地域福祉計画の策定を遅らせる要因といわれた市町村合併もおおむね終了し、また、介護保険法や障害者自立支援法等において介護保険事業計画や障害福祉計画等と地域福祉計画との調和が明記されるなど、地域福祉計画の策定環境は整ったと考えられる。今後、地域福祉推進を実体化するため、全ての市町村で地域福祉計画の策定が図られるよう、都道府県においては、その趣旨や必要性、策定方法等につき、管内市町村に対する一層の指導、支援を願いたい。


(2)  社会福祉協議会について
 地域住民をはじめNPOやボランティアグループなどの幅広い活動主体の参加や協働による、地域の自主性や創意工夫に基づいた福祉の充実がより一層重要となっている。社会福祉協議会(以下「社協」という。)には、地域福祉の推進役として、こうした者への支援やネットワークづくりが期待されているところである。各地方自治体においては、地域社会の新しいニーズに根ざした様々な新たなサービスを提供するなど、社協ならではの事業展開を図ることができるよう、今後とも一層の指導、支援を願いたい。また、市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定に当たっても社協が一定の役割を担うよう、今後とも一層の指導、支援を願いたい。


(3)  ボランティア活動の振興について
 ア  ボランティア活動者数は、今日、770万人を超え、地域のニーズに応えるボランティア活動に対する期待はますます高まっている。
 また、今後、いわゆる団塊の世代が次々に退職年齢を迎えるが、ボランティア活動は、退職後の社会参加あるいは自己実現のための選択肢の一つとして大きく位置づけられるものである。

 イ  こうした状況を踏まえ、各地方自治体においては、企業への働きかけなど、ボランティア活動の裾野を拡げるための創意工夫等を行うとともに、ボランティアの知恵や力が十分発揮できるよう活動環境の整備を図り、活動の振興に努められたい。

 ウ  また、人的活動としてのボランティア活動のみではなく、地域に広く社会貢献するといった文化を醸成することも重要である。例えば、企業や団体の資力や専門的ノウハウを活かした活動の振興等に努められたい。

 エ  平成18年度の「全国ボランティアフェスティバル」については、本年11月3日・4日に群馬県で開催することとしている。各地方自治体においては、本フェスティバルへの幅広い参加が得られるようボランティア関係者等のみならず、広く地域住民への周知を願いたい。


(4)  民生委員・児童委員活動の推進について
 ア  昨今、児童虐待や高齢者虐待、振り込め詐欺や悪質商法による高齢者の被害が大きな社会問題となっているなかで、民生委員・児童委員によるその地道な見守り活動に大きな期待が寄せられているなど、民生委員・児童委員活動の重要性はますます高まっている。都道府県におかれては、民生委員・児童委員活動の実態を踏まえつつ、地域の期待に応えうる活動が展開されるよう、所要の財政措置につき特段のご配慮を願いたい。

 イ  一方で、昨年は、民生委員・児童委員の逮捕・起訴という誠に遺憾な事件が発生し、また、民生委員・児童委員活動における守秘義務の違反事例が指摘されたところである。各地方自治体においては、民生委員・児童委員活動の適正な遂行と充実が図られるよう努めるとともに、研修などを通じて、民生委員・児童委員の資質向上が図られるようご配慮願いたい。

 ウ  平成18年度の全国民生委員児童委員大会は、本年10月26日・27日に徳島県において開催することとしているのでご了知願いたい。


(5) 地域福祉権利擁護事業について
 ア  認知症高齢者や知的障害者、精神障害者に対する地域生活の支援が重要性を増すなかで、本事業に対する需要はますます高まるものと思われる。また、昨年、社会問題化した認知症高齢者などが被害者となる悪質住宅リフォーム等の消費者トラブルの対策としても、本事業によるきめ細やかな相談・援助を通じた早期発見や適切なフォローアップ等の役割に期待が寄せられているところである。

 イ  一方で、本事業の実施状況を見ると、一定程度の普及が図られているものの、相談件数、契約締結件数等には、依然として大きな地域格差が生じている。都道府県・指定都市においては、本事業の重要性を認識いただくとともに、実施社協等に対して、本事業の利用を必要とする方々にサービスが行き渡るよう、所要の財政措置や情報提供等に配意されるとともにニーズ把握、実施方法の工夫、サービスの質の向上等について、一層の指導、支援を行うようご配慮願いたい。


(6) 生活福祉資金貸付制度について
 ア  生活福祉資金貸付制度の安定的な運営
 生活福祉資金貸付制度は昭和30年度の制度創設以来、一貫して各都道府県の社会福祉協議会が実施主体となり、時代のニーズに合わせて改善を重ね現在に至ったところである。本制度の安定的な運営のためには、円滑な事業実施に必要な貸付原資及び貸付事務費の確保、適切な償還指導等が重要である。
 ついては、貸付金額が高額となる長期生活支援資金の貸付の増加が予想されること等を踏まえた上で、本制度の安定的な運営に支障をきたすことがないよう長期的な視点に立ち必要な財源が確保できるようご配慮願いたい。

 イ  長期生活支援資金の活用の促進
 平成14年12月に創設した本制度は、低所得の高齢者世帯に対し、現に居住する自己所有の不動産を担保に生活資金の貸付けを行うものであり、現在46都道府県の社会福祉協議会で事業が実施されているところである。
 今後の高齢化社会の一層の進展に伴う本制度の重要性に鑑み、制度活用の拡大に向けて、実施主体である都道府県社会福祉協議会に対する支援をお願いするとともに、各都道府県による広報活動などを通じ制度の幅広い普及にご協力願いたい。

(参考) 貸付決定の状況(平成17年9月末現在)
  貸付決定件数 340件
  貸付決定実績のある都道府県数 38都道府県

 ウ  離職者支援資金貸付の適正な実施
 本制度は、パート労働者の失業や雇用保険給付期間が切れたことにより生計の維持が困難となった世帯を対象として平成13年度に創設されたものであり、その貸付に当たっては、添付書類の内容の確認、必要書類が提出できない場合には民生委員調査書の徴求等を行うとともに、貸付の申込み書類に不自然な点が認められる場合には証明書類の発行元への照会や追加書類の提出要求等を行う等により、円滑かつ適正な貸付業務の実施が求められているところである。
 一方、不正な手段により貸付けを受けるなど本制度を悪用して刑事事件に発展するケースが見受けられるが、これは本来の目的である失業者世帯の自立支援に反すとともに、制度の信用を失いかねないものであるため、これまでも、会議等における注意喚起や適切な貸付けの実施に関する通知(平成17年4月28日付け社援地発第0428001号)の発出等を行ってきたところである。各都道府県及び社会福祉協議会におかれては、今後とも、市町村社会福祉協議会に対する適切な事務処理に関する周知徹底、不正の事実が疑われる時には速やかな警察等関係機関への相談等を含め、適正な貸付業務の推進にご留意願いたい。

(参考) 貸付決定の状況(平成17年9月末現在)
  貸付決定件数 12,714件
  貸付決定金額 17,662百万円

 エ  障害者自立支援法の施行に伴う改正
 来年度、障害者自立支援法が施行されることに伴い、生活福祉資金においては、障害者が当該法律に基づくサービスを受ける際などにおいて費用の負担が一時的に困難な場合に借受けができるよう、以下の改正を予定している。なお、具体的な改正方法等については、近日中にお示ししたいと考えている。
  【改正内容】
   (1) 「療養・介護資金」の対象として、障害者が障害者自立支援法に基づくサービスを受ける場合を加える。
   (2) 「福祉資金(障害者等福祉用具購入費)」の貸付限度額を120万円に引き上げる。

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