参考資料


犯罪被害者等基本計画(厚生労働省関係)


 基本計画において、直ちに取り組むこととされたものを分類。この他に、1〜3年以内に検討することとされたものがある。


 児童虐待・配偶者等からの暴力(DV)

 ◇ 被害直後及び中期的な居住場所の確保
 ・ 厚生労働省において、児童相談所及び婦人相談所による一時保護や婦人保護施設及び民間シェルター等への一時保護委託の実施について適正な運用に努める。
 ・ 厚生労働省において、一時保護から地域における自立した生活へとつながるよう、婦人保護施設及び母子生活支援施設の機能強化を図ることなどにより、入所者に対する日常生活支援の充実に努める。
 ◇ 思春期精神保健の専門家の養成
 ・ 厚生労働省において、平成13年度から実施している医師、看護師、保健師、精神保健福祉士、児童相談員などを対象とした思春期精神保健の専門家の養成研修を継続して実施し、思春期精神保健の専門家を養成するとともに、児童虐待や配偶者等からの暴力(DV)の被害者等の心理と治療・対応についての研修を充実させる。
 ◇ 少年被害者のための治療等の専門家の養成、体制整備及び施設の増強に資する施策の実施
 ・ 厚生労働省において、少年被害者の被害について、犯罪被害者等に特有の対応を要する面があることを踏まえ、全国的に治療又は保護を行う専門家が不足し、そのための体制及び施設が十分ではないことを前提に、現状に関する必要な調査を行い、その上で、少年被害者が利用しやすく、地域的な隔たりなく十分な治療・配慮を受けられ、また、十分な期間保護が受けられるようにするため、児童精神科医等専門家の養成、その適正な配置その他の体制整備及び施設の増強に資する施策を実施する。
 ◇ 児童虐待に対する夜間・休日対応の充実等
 厚生労働省において、平成16年の児童福祉法(昭和22年法律第164号)の一部改正に伴い、次の施策を実施する。
 ・ 児童相談所の夜間・休日における連絡や相談対応の確保、中核市規模の人口を有する市での設置の促進、分室・支所の活用による市町村支援体制の確保等を図っていく。
 ・ 夜間対応等の体制整備や児童虐待に対する医療ケアの重要性にかんがみ、地域の医療機関との協力、連携体制を充実する。
 ◇ 少年被害者の保護に関する学校及び児童相談所等の連携の充実
 ・ 文部科学省及び厚生労働省において、少年被害者の保護に関し、要保護児童対策地域協議会を活用するなど、学校と児童相談所等少年被害者の保護に資する関係機関との連携を充実する。
 ◇ 里親制度の充実
 ・ 厚生労働省において、少年被害者の保護に資するよう、里親養育援助事業や里親養育相互援助事業による里親の支援等により、里親制度の充実を図っていく。
 ◇ 少年被害者の相談・治療のための専門家・施設等の周知
 ・ 厚生労働省において、少年被害者の被害に対する相談・治療等を行う専門家、医療施設その他の施設等を把握し、警察とも連携してその周知に努める。
 ◇ 再被害防止に向けた関係機関の連携の充実
 ・ 警察庁及び厚生労働省において、配偶者等からの暴力(DV)の被害者、人身取引の被害者、児童虐待の被害者等の保護に関する警察、婦人相談所及び児童相談所等の連携について、現状に対する犯罪被害者等の意見・要望を踏まえ、一層充実していく。
 ・ 厚生労働省において、児童虐待の早期発見に資するため、児童相談所を中心とした多種多様な関係機関の連携による取組について、全国の好事例を収集し、周知徹底を図る。
 ◇ 児童虐待防止のために行う児童の死亡事例等の検証の実施
 ・ 厚生労働省において、児童虐待防止のため、社会保障審議会児童部会の下に設置された「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」での児童の死亡事例等の検証を引き続き行っていく。
 ◇ 職員等に対する研修の充実等
 ・ 厚生労働省において、公的シェルターにおける犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための研修及び啓発を実施していく。
 ◇ 性犯罪被害者による情報入手の利便性の拡大
 ・ 厚生労働省において、性犯罪被害者の要望を踏まえ、性犯罪被害者が情報を入手する利便性の拡大に努めていく。
 ◇ 虐待を受けた子どもの保護等に携わる者の研修の充実
 ・ 厚生労働省において、虐待を受けた子どもの保護及び自立の支援を専門的知識に基づき適切に行うことができるよう、児童相談所及び児童福祉施設等関係機関の職員、市町村職員及び保健機関等の職員の資質の向上等を図るための研修の充実を図っていく。
 ◇ 犯罪被害者等施策の関係する特定期間における広報・啓発事業の実施
 ・ 厚生労働省において、児童虐待の範囲、現状やその防止に向けての取組を広く国民に周知させるため、様々な媒体を活用した広報活動を行うとともに、11月の児童虐待防止推進月間に、ポスター等の作成及び全国フォーラムの開催など集中的な広報啓発活動を実施する。


 保健医療サービス及び福祉サービスの提供

 ◇ 地域格差のない迅速かつ適切な救急医療の提供
 ・ 厚生労働省において、地域格差なく迅速かつ適切な救急医療が提供されるよう、初期、二次、三次の救急医療体制の整備を図るとともに、総務省と連携し、メディカルコントロール体制の充実強化を図る。
 ◇ 高次脳機能障害者への支援の充実
 ・ 厚生労働省において、障害者自立支援法(平成17年法律第123号)や高次脳機能障害支援モデル事業の成果の普及等により、高次脳機能障害者の適性とニーズに応じた支援を提供できるような仕組みを構築する。
 ◇ 犯罪被害者等に対する医療機関に関する情報の周知
 ・ 厚生労働省において、犯罪被害者等が利用しやすいように、医療機関の情報を周知させるとともに、関係機関において、当該情報を共有し、適時適切に犯罪被害者等に提供する。
 ◇ 犯罪被害者等の受診情報等の適正な取扱い
 ・ 厚生労働省において、犯罪被害者等の受診情報が医療機関や保険者から流出しないよう、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)に基づき、医療機関や保険者に対して適切に対応していく。
 ◇ 職員等に対する研修の充実等
 ・ 厚生労働省において、看護教育の充実及び資質の向上を図るため、平成17年度から看護基礎教育のカリキュラム等改正に係る検討を行い、当該検討を踏まえた教育の実施等により、看護に関わる者の対応の改善を進める。
 ・ 厚生労働省において、民生委員に対し、犯罪被害者等への適切な対応を確実にするための守秘義務の遵守等について指導を実施していく。
 ◇ 医療機関等と関係機関・団体等との連携・協力の充実・強化及び医療機関における情報提供等の充実
 ・ 厚生労働省において、医療機関が犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等と連携・協力し、犯罪被害者等の支援等に関する情報提供を適切に行うことを促進する。
 ・ 厚生労働省において、精神保健福祉センター、保健所等が犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等との連携・協力を充実・強化し、犯罪被害者等支援に係る諸機関・団体等の犯罪被害者等支援のための諸制度に関する案内書、申込書等を常備し、提供等していくことを含め、犯罪被害者等の支援等に関する情報提供、相談等を適切に行うことを推進する。
 ◇ 脳死及び臓器移植に関する犯罪被害者等への配慮
 ・ 厚生労働省において、臓器提供者(交通事故被害者を含む。)の家族に特有な心理的な問題等について、「脳死下での臓器提供事例に係る検証会議」の下に設置された「ドナー家族の心情把握等作業班」により、現状把握に努める。


 精神的ケア

 ◇ 「PTSD対策に係る専門家の養成研修会」の継続的実施等
 ・ 厚生労働省において、平成8年度から実施している医師、看護師、保健師、精神保健福祉士などを対象とした「PTSD対策に係る専門家の養成研修会」を継続して実施し、PTSD対策に係る専門家を養成するとともに、犯罪被害者等の精神的被害について、医療・福祉関係者に対する啓発を更に推進する。
 ◇ PTSDの診断及び治療に係る医療保険適用の範囲の拡大
 ・ 厚生労働省において、PTSDの診断及び治療に係る医療保険適用の範囲の拡大について科学的評価を行い、これを踏まえ、平成18年度に予定している次期診療報酬改定において、必要に応じて措置を講ずる。
 ◇ 犯罪被害者の精神健康の状況とその回復に関する研究
 ・ 厚生労働省において、犯罪被害者の精神健康についての実態とニーズの調査、医療場面における犯罪被害者の実態の調査、重度PTSDなど持続的な精神的後遺症を持つものの治療法の研究、地域における犯罪被害者に対する支援のモデルの研究などを継続的に行い、その研究成果を得、高度な犯罪被害者等支援が行える専門家育成や地域での対応の向上に活用していく。


 労働関係

 ◇ 事業主等の理解の増進
 厚生労働省において、犯罪被害者等に対する十分な理解に基づき、以下の施策を実施する。
 ・ 母子家庭の母等に対するトライアル雇用事業の適正な運用に努める。
 ・ 公共職業安定所や独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センターにおける事業主に対する配置や労働条件等雇用管理全般に関するきめ細やかな相談援助の適正な運用に努める。
 ・公共職業安定所における求職者に対するきめ細やかな就職支援の適正な実施に努める。
 ・ 独立行政法人雇用・能力開発機構都道府県センターにおける事業主を対象とした雇用管理講習会において、犯罪被害者等の雇用管理に資するテーマについて取り上げる。
 ・ 公共職業安定所職員に対する研修において、犯罪被害者等への理解に資するテーマを取り上げる。
 ◇ 個別労働紛争解決制度の活用等
 ・ 厚生労働省において、犯罪被害者等に係る個別労働関係紛争の解決に当たって、個別労働紛争解決制度について周知を徹底させるとともに、その適正な運用に努めていく。
 ・ 厚生労働省において、犯罪被害者等が事業主との間で生じた労働問題に関し、情報の提供、相談等を行う公的相談窓口として、労働問題に関するあらゆる分野の相談に専門の相談員がワンストップで対応する総合労働相談コーナーについて周知を徹底させるとともに、その積極的な活用を図っていく。


 その他

 ◇ インターネット以外の媒体を用いた情報提供
 ・ 犯罪被害者等に対して情報提供を行う際、各府省庁において、インターネット以外の媒体を用いて必要な情報が提供されることを通じて、インターネット等で情報を得ることができる者とそうでない者との間に不公平が生じないよう配慮するとともに、積極的な情報提供に努める。
 ◇ 民間の団体の研修に対する支援
 ・ 警察、法務省、文部科学省、厚生労働省及び国土交通省において犯罪被害者等の援助を行う民間の団体に対し、それらの団体が実施するボランティア等の養成・研修への講師の派遣等の支援に努めていく。
 ◇ 民間の団体への支援の充実
 ・ 警察及び厚生労働省において、犯罪被害者等の援助を行う民間の団体への財政的援助の充実に努めるとともに、それらの団体の活動に関する広報、犯罪被害者等の援助に携わる民間の者の研修に関する講師の手配・派遣、会場借上げ等の協力等の支援を行っていく。

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