8.老人保健事業等について

(1)平成18年度における老人保健事業の実施について(資料1参照)

  介護保険制度の見直しにより、平成18年度より地域支援事業(介護予防事業)が始まることになっており、それに伴い、老人保健事業についても見直されることになる。主な改正点は、(1)健康教育、健康相談、機能訓練及び訪問指導等の対象年齢の変更、(2)健康手帳の様式の変更、(3)介護家族健康教育、介護家族健康相談、機能訓練B型の国庫補助の廃止、(4)基本健康診査への生活機能評価に関する項目の追加、(5)健康度評価のための質問票(B票)の様式の変更等であり、保健事業実施要領についても改正することを予定している。
 また、保健事業第4次計画が平成16年度に終了した後、平成17年度においては単年度計画である「保健事業平成17年度計画」に基づき事業を実施していただいているところであるが、平成18年度においても平成17年度同様に単年度計画に基づき事業を実施していただく予定である。
 「保健事業実施要領の主な改正事項(案)」及び「保健事業平成18年度計画(案)」については、平成17年12月19日に開催された全国介護保険・老人保健事業担当課長会議において資料を提示しているところであるが、正式には平成18年度予算が成立後、速やかに通知することとしていることから、各都道府県においては、管内市町村及び関係団体等に対する周知並びに適切な指導を行い、事業の円滑な実施に遺漏のないよう、特段の御配意をお願いしたい。

(2)介護予防に関する取組について(資料2参照)

  平成18年4月より介護保険制度に創設される地域支援事業(介護予防事業)及び新予防給付については、運動器の機能向上等の各プログラムの実施方法等についてマニュアルを作成し、順次、厚生労働省ホームページにおいて公表しているところであるので、管内市町村、関係団体、及び関係事業者等に対する周知並びに適切な指導について、特段の御配意をお願いしたい。
 また、地域支援事業(介護予防事業)及び新予防給付については、介護保険法等の一部を改正する法律附則第2条第2項において、施行後3年を目途として、その実施状況等を勘案し、費用に対するその効果の程度等の観点から検討を行い、その結果に基づいて所要の措置を講ずることとされており、参議院厚生労働委員会の附帯決議においても、介護予防の効果に関して信頼性の高い研究成果を蓄積し、市町村に対して情報提供に努めるよう求められているところである。このため、平成18年度予算(案)において、国において介護予防の評価分析等を行う「継続的評価分析等事業」として約1.3億円、市町村における介護予防の取組を通じて、その評価分析のための基礎的データの収集等を行う「継続的評価分析支援事業」として約4.0億円、都道府県が広域的な観点から市町村が行う介護予防に関する事業への支援等を実施する「介護予防市町村支援事業」として約2.8億円を計上したところであるので、各都道府県においては、管内市町村及び関係団体等に対する周知並びに適切な指導について、特段の御配意をお願いしたい。
 なお、「継続的評価分析支援事業」については、今後、その詳細を示す予定であるが、全国100カ所程度の市町村において、10分の10の補助により介護予防の効果的な実施のためのモデル的な取組を行うこととしている。

(3)地域リハビリテーション推進事業について

  平成8年度に創設された地域リハビリテーション推進事業については、国の補助事業として実施されてきたところであるが、三位一体改革における地方六団体の要望を踏まえて、平成17年度をもって補助事業を廃止し、税源を移譲することになった。当該事業は、脳卒中等の患者に対し適切なサービスを提供することにより、寝たきりや要介護状態等となることの予防に一定の役割を果たしてきたところであり、今後も都道府県の責任の下で事業の推進に取り組まれるようお願いしたい。なお、国としては、これまでの経緯等を踏まえ、地域リハビリテーションに関する指針を技術的助言として示すことを予定している。

(4)女性のがん緊急対策について(マンモグラフィ緊急整備事業等)(資料3参照)

  国民一人ひとりが生涯にわたり元気で、活動的に生活できる「明るく活力ある社会」を構築するため、「健康寿命」を伸ばすことを基本目標とする「健康フロンティア戦略」が、平成16年5月19日、与党幹事長・政調会長会議で決定され、平成17年度より政府の重点施策として『働き盛りの健康安心プラン』『女性のがん緊急対策』『介護予防10ヶ年戦略』『健康寿命を伸ばす科学技術の振興』を4つを柱として取組が行われているところである。
 老人保健事業においては、特に『女性のがん緊急対策』に重点を置いて取り組んできたところであり、平成18年度予算(案)においても、「マンモグラフィ緊急整備事業」として約23億円、「女性のがん検診及び骨粗鬆症検診普及啓発事業」として約1.2億円を計上したところである。
 マンモグラフィの整備については、予算額は本年度比で減額となっているが、本年度の購入実績等を考慮した予算となっており、平成18年度においても250台(本年度と合わせて500台)の整備が可能な予算額を確保したところであるので、各都道府県において管内の整備計画の立案等の対応をお願いしたい。

(5)がん検診に関する検討会について(資料4参照)

  平成17年2月に取りまとめられた「乳がん検診及び子宮がん検診における事業評価の手法について(がん検診に関する検討会中間報告)」に基づき、国としてもがん検診の事業評価に取り組むこととしており、平成18年度予算(案)において「がん検診制度管理評価事業」として約15百万円を計上し、がん検診の事業評価等に係る科学的知見の収集や、全国のがん検診の実施状況等に関する国レベルでの評価・分析等に取り組む予定である。都道府県においては、従来より成人病検診管理指導協議会においてがん検診の事業評価等に取り組んでいただいているところであるが、国の取組とも連携の上、より積極的な対策を講じていただくようお願いしたい。なお、がん検診事業については、平成10年度から一般財源化され、市町村が自ら企画・立案し、実施する事業として位置づけられているところであるが、一部の市町村においては、予算上の制約等から、抽選により受診者を絞り込む等の不適切な事例も見受けられることから、都道府県においても、技術的な観点から効果的かつ効率的な事業の実施が図られるよう市町村に対する助言に努められたい。
 なお、がん検診に関する検討会では、現在、大腸がん検診の有効性等について検討を進めているところであり、平成17年度中に報告書を取りまとめる予定である。

(6)肝炎ウイルス検診の実施について

  老人保健事業の肝炎ウイルス検診は、C型肝炎等緊急総合対策の一環として、平成14年度に5カ年の予定で開始されたものであり、平成18年度は、その最終年度に当たる。このため、平成17年度までに節目検診を受診する機会を逃した者については、感染リスクの有無に拘わらず節目外検診の対象に含めることとしているので、各都道府県においては、管内市町村により積極的な事業の実施が図られるよう、特段の御配意をお願いしたい。



保健事業実施要領の主な改正事項(案)

【留意事項】 この資料については、実施要領の中で改正を予定している事項のうち、重要となる主な事項を整理したものであるので、その旨ご留意されたい(文言修正等の軽微な改正は除いて整理)。


【主な改正点】
(1) 健康教育、健康相談、機能訓練、訪問指導等の対象年齢の変更
(2) 健康手帳の様式の変更
(3) 介護家族健康教育、介護家族健康相談、機能訓練B型について、介護予防・地域支え合い事業の国庫補助を廃止することに伴う実施要領からの削除
(4) 基本健康診査に生活機能評価に関する項目を追加することに伴う目的、様式等の必要な事項の変更
(5) 健康度評価のための質問票(B票)の様式の変更


事業の種類 変更する内容等
第1 共通的事項
 健康教育、健康相談、機能訓練及び訪問指導等について、介護予防事業の対象となる65歳以上の者については、老人保健法第22条の規定に基づき、事業を実施しないこととする趣旨を追加
第2 健康手帳の交付
 目的に「介護予防事業との連携に関すること」を追加
 交付の対象に「介護予防事業の参加者」を追加
 様式に「生活機能評価に関する項目に係るページ」を追加(様式のイメージについては別紙参照)
第3 健康教育  
  ○ 個別健康教育  (65歳以上の者については実施しない)
○ 集団健康教育  (65歳以上の者については実施しない)
○ 介護家族健康教育
 要領から削除
(→ 介護予防・地域支え合い事業の廃止に伴う措置)







 本事業については改正後の介護保険法第115条のの38第2項第2号に規定する「要介護被保険者を現に介護する者の支援のため必要な事業」と市町村が判断する場合は、地域支援事業における任意事業において実施が可能。







第4 健康相談  
  ○ 重点健康相談  (65歳以上の者については実施しない)
○ 介護家族健康相談
 要領から削除







 本事業については改正後の介護保険法第115条のの38第2項第2号に規定する「要介護被保険者を現に介護する者の支援のため必要な事業」と市町村が判断する場合は、地域支援事業における任意事業において実施が可能。







○ 総合健康相談  (65歳以上の者については実施しない)
第5 健康診査  
  ○ 基本健康診査
 ◇基本健康診査
 ◇訪問基本健康診査
 ◇介護家族訪問基本健康診査
 基本健診の目的に、高齢者が介護を要する状態となることを予防し、自立を支援するという趣旨を追加
 65歳以上の者に対する「生活機能評価に関する項目」を追加
問診に生活機能に関する項目を追加
 (項目は「基本チェックリスト」を使用)
理学的検査に「口腔内の視診」、「関節の触診」及び「反復唾液嚥下テスト」を追加
血清アルブミン検査を追加
 生活機能評価に関する判定区分を追加
 年間を通じた健診体制を整備
○ 歯周疾患検診  (変更なし)
○ 骨粗鬆症検診  (変更なし)
○ 健康度評価  
  ◇生活習慣病の予防  (変更なし)
◇介護を要する状態等の予防
 65歳以上の者については実施しない



 介護予防事業において相当するサービスを受けられるため(老人保健法第22条の規定による)



 健康度評価のための質問票(B票)について様式を変更
 → 内容を「基本チェックリスト」の内容に変更
○ 肝炎ウイルス検診  (変更なし)
○ 受診指導  (変更なし)
第6 機能訓練  
  ○ A型〔基本型〕  (65歳以上の者については実施しない)
○ B型〔地域参加型〕
 要領から削除
(→ 介護予防・地域支え合い事業の廃止に伴う措置)









 本事業について、平成17年度まで「介護予防・地域支え合い事業」の「転倒骨折予防教室」と一体的に実施しているものについては、事業内容に応じ、地域支援事業における介護予防事業又は任意事業として適当と市町村が認める場合は、これらの事業として実施が可能。









第7 訪問指導  (65歳以上の者については実施しない)
(注) 「介護家族健康教育」、「介護家族健康相談」及び「機能訓練B型」については、「老人保健福祉計画」に事業量の目標を盛り込むことは不要となるので、ご留意願いたい。



<別紙>
 ○ 保健事業実施要領の「別添様式」新旧対照表(案)
傍線の部分は改正部分
改正後(イメージ) 現行

別添1

 様式1

改正後(イメージ)様式1の図






改正後(イメージ)様式1の図



別添1

 様式1

現行様式1の図

別添2
 様式2


改正後(イメージ)様式2の図

別添2
 様式2
  (参考例)

現行様式2の図



「継続的評価分析等に要する経費」に関する 予算(案)の概要

事業の目的
  介護保険制度改革に伴い創設される新予防給付サービス及び介護予防事業(地域支援事業)(以下「新予防給付サービス等」という。)について、その実施状況や効果に関するデータを収集し、評価分析を行う。

事業の概要
  新予防給付サービス等について、その実施状況や効果に関するデータを収集し、評価分析を行うため、以下の事業を実施する。

  継続的評価分析等事業(国において実施)
(1) 継続的評価分析システムのソフト開発・導入
 市町村やサービス現場における新予防給付サービス等の実施状況や利用者像等について、定型的フォーマットに基づき、基礎的データの集積・分析を行うため、ソフトを開発・導入する。
(2) 定点観測等の実施
 継続的評価分析支援事業実施地域(及び未実施地域)について、定点観測等を実施する。

  継続的評価分析支援事業(市町村において実施)  4億円(負担割合10/10)
  国における介護予防効果の評価分析に資するため、自治体において、新予防給付サービス等を実施し、基礎的データの収集を行う。
  100か所程度の市町村で実施予定


「介護予防市町村支援事業」の概要(案)

事業の目的
  平成18年4月より介護保険制度に創設される介護予防事業(地域支援事業)及び新予防給付について、より介護予防の観点から効果的な事業(サービス)の実施が図られるよう、都道府県に市町村を支援するための事業等を検討するための委員会を設置し、広域的な観点から、市町村が行う介護予防に関する事業について、様々な支援を行う。

事業の概要
1.事業内容 
 (1)市町村を支援するための事業等を検討するための委員会の設置
 事業計画の策定
 マニュアルの作成
 事業評価 等
 (2)市町村担当者に対する研修の実施 保健師等の市町村の担当者
 (3)介護予防に関する啓発普及事業
2.実施主体  都道府県
3.平成18年度予算(案)  約2.8億円
4.補助率  1/2
5.補助先  都道府県

(参考)
  本事業のほか、改正介護保険制度施行後3年を目途として、介護予防に関する事業の費用対効果等を検証するため、継続的に評価分析を行うための事業費を計上している。


平成18年度女性のがん緊急対策予算(案)の概要

マンモグラフィ緊急整備事業
 1 平成18年度予算額(案)   約23億円

 2 事業 
  ○ マンモグラフィ緊急整備事業
  ※ 平成17年度、18年度の2カ年で500台を整備。
  ○ マンモグラフィ撮影技師及び読影医師養成研修事業

 3 補助率 1/2

 4 補助先 都道府県、市区町村、厚生労働大臣が適当と認める者

 5 負担割合
 国1/2
 都道府県1/2以内
 市区町村、厚生労働大臣が適当と認める者1/2以内
     ※1 都道府県及び市区町村又は大臣が認める者で1/2負担分を調整。
     ※2 市区町村及び厚生労働大臣が認める者に対する補助は間接補助。
     ※3 厚生労働大臣が認める者は、検診機関、医療法人等。

女性のがん検診及び骨粗鬆症啓発普及事業
 1 平成18年度予算額(案)   約1.2億円

 2 事業 
  ○ 乳がん検診及び子宮がん検診についての啓発普及事業
  ○ 骨粗鬆症検診についての啓発普及事業

 3 補助先 都道府県(補助率:1/2)

 4 負担割合
 国1/2
 都道府県1/2

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