水道課

1. 水道施策の推進

(1) 平成18年度予算(案)の概要
 平成18年度予算案における水道施設整備費は、他府省計上分を含めて、1,160億円(対前年度比94.1%)を確保し、簡易水道施設整備においては、「地方の生活基盤となる簡易水道の整備・近代化」、上水道施設整備では、「水道の広域化・運営基盤の強化」、「地震等の災害に強い水道施設の整備」、「安全で安心できる生活を支える水道施設の整備」をより一層促進するため、事業の一層の効率化に努めるとともに、緊急性の高い事業に予算配分の重点化を行ったところである。
 また、簡易水道再編推進事業の促進に向けて、統合先の上水道の規模にかかわらず、全ての統合整備事業が補助対象となるように補助要件の見直しを行ったところである。
 一方、生活基盤近代化事業については、上水道の給水区域に近く、上水道と統合することが適切な簡易水道施設が単独で施設の更新を行う場合を補助対象から外したところである。
 ついては、簡易水道再編推進事業の積極的な活用により、簡易水道の統合整備を図るとともに、水道整備の課題を踏まえた基本構想及び広域的水道整備計画の策定・改定などによって、計画的な水道整備の推進が行われるよう水道事業者に対する指導等に努められたい。
 また、水道管路からの漏水や管路の折損事故等に対処するため、老朽度の高い石綿セメント管等の更新事業を実施し、水道管路の質の向上を図っているところであり、同事業が積極的に実施されるよう水道事業者に対する指導等に努められたい。
 さらに、水道施設整備事業については、平成16年7月12日付「水道施設整備事業の評価の実施について」に基づき、事前評価や再評価を実施することとしているが、効率的な執行及びその実施過程の透明性の一層の向上を図るため、水道事業者に対して当該通知を遵守し、適切な評価が行われるように努められたい。

  平成18年度水道関係予算(案)の概要

 (1)  水道施設の整備(公共事業関係)
  1,160億円(他府省計上分を含む。)
(単位:百万円)
区分 平成17年度
予算額
平成18年度
予算額(案)
対前年度
増△減額
対前年度
比率(%)
水道施設整備費 123,286 115,963 △7,323 94.1
 (簡易水道) (34,823) (33,650) (△1,173) (96.6)
 (上水道) (88,463) (82,313) (△6,150) (93.0)
  厚生労働省計上分 90,038 84,917 △5,121 94.3
 (簡易水道) (29,449) (28,902) (△547) (98.1)
 (上水道) (60,589) (56,015) (△4,574) (92.5)
他府省計上分 33,248 31,046 △2,202 93.4
 (簡易水道) (5,374) (4,748) (△626) (88.4)
 (上水道) (27,874) (26,298) (△1,576) (94.3)

 [ 国庫補助制度の拡充](平成18年度予算(案)に新たに計上したもの)
簡易水道等施設整備
 簡易水道再編推進事業において、統合先の上水道の規模にかかわらず、全ての統合整備事業が補助対象となるように補助要件の見直しを行う。(給水人口5万人未満を対象としている要件を撤廃)

 (2)
 水道危機管理体制の充実(非公共事業関係)   8百万円
 想定される武力攻撃事態等において、国、都道府県、水道事業者等が行うべき措置について適切なスキームをとりまとめることにより、緊急時における水道水の供給を可能にするための関係者による迅速かつ適切な対応の強化、円滑化を図る。

 (3)  事業内容の概要
  地方の生活基盤となる簡易水道の整備・近代化
  29,440百万円→28,896百万円
  (ア) 水道未普及地域解消事業の促進等
 水道未普及地域を解消し、安全な水道水をどこでも誰でも利用できるよう簡易水道等の整備を促進する。

  (イ) 簡易水道再編事業の促進
 維持管理面、経営面等で脆弱性を有している簡易水道等の統合を促進する。
・簡易水道統合整備事業において、統合先の上水道の規模にかかわらず、全ての統合整備事業が補助対象となるように補助要件の見直しを行う。(給水人口5万人未満を対象としている要件を撤廃)

  (ウ) 生活基盤近代化事業の着実な推進
 水洗化、シャワーの普及等、現代の生活水準に対応できる簡易水道の整備を推進するとともに安全で安定的な水道水の確保を図る。
・上水道の給水区域から原則として200m未満の連絡管で連絡可能な簡易水道施設において、上水道事業との統合を伴わず単独に実施する施設の更新事業を補助対象外とする。

  水道の広域化・運営基盤の強化
  43,898百万円→39,813百万円
  (ア) 水道水源開発施設整備による水源の確保
 渇水時においても国民の生活を守ることができるよう、安定的な水道水源の確保のための事業を促進する。

  (イ) 水道広域化施設整備の促進
 水道水の需要の増加及び地震、渇水等災害に対応するため、広域的な水運用及び水道施設の効率的利用を図るため、広域化施設の整備を促進する。

  地震等の災害に強い水道施設の整備
  6,315百万円→6,840百万円
  ○  ライフライン機能強化等事業による地震対策等の推進
 地震等の災害時においても国民生活に必要な水道水を供給できるよう、石綿セメント管等の更新事業を推進する。
 また、緊急時に水道事業体間等での水の相互融通を行うための緊急時用連絡管や緊急時に貯水施設として利用できる大容量送水管の整備を図る。

  安全で安心できる生活を支える水道施設の整備
  10,315百万円→9,303百万円
  (ア) 高度浄水施設等の整備の積極的な推進
 異臭味被害、化学物質等による水源汚染、耐塩素性病原微生物による健康被害等を防止し、より安全で安心して飲用できる水道水を供給するため、高度浄水施設の整備を推進する。
 また、浄水場のろ過池洗浄水、沈澱池排水の処理に必要な施設の整備を推進する。

  (イ) 水質検査施設等整備事業の促進
 水道水質管理体制の強化を図るため、共同水質検査センター等の水質検査機器整備や水道原水の水質監視を行うための水道水源自動監視施設の整備を促進する。

  水道施設整備事業調査費
  61百万円→59百万円
 水質事故などにおける水道事業者が講ずるべき方策の調査検討や人口減少に直面している水道事業体の実態把握等を行い、今後の水道事業のあり方についての検討を実施する。

(2) 今後の水道施設整備の基本的考え方
 全国の水道普及率は約97%に達し、水道は国民生活の質の向上や経済活動に直結する基盤施設として必要不可欠なものとなっている。
 しかしその一方で、水道原水の悪化に伴う異臭味、消毒副生成物の有害性、塩素耐性を持つ新たな病原性微生物問題への対応や地震あるいは渇水に強い水道を構築するなど、次世代に継承するにふさわしい質の高い水道として整備することが要請されている。
 都道府県におかれては、水道施設整備費補助金の積極的な活用を図るとともに、水道整備の課題や市町村合併等を踏まえた水道整備基本構想、広域的水道整備計画及び地域水道ビジョンの策定・改定、及び簡易水道再編推進事業の積極的な活用による簡易水道の統合整備を図ることなどによって、計画的な水道整備の推進が行われるよう水道事業者に対する指導等に努められたい。
 また、近年の水需要は人口増加の鈍化、節水器具の普及等により全国的には横這いの状況にあり、これまでの拡張、増量を目的とした水道事業計画から、将来の需要を十分に精査した上で給水サービスの向上を図ることを目的とした計画への転換期を迎えている。このような社会的な背景を踏まえ、今後の水道事業認可審査等においては、目標年度における適切な施設規模、経営基盤の確保ができるよう水需給計画、施設計画、財政計画が十分な客観性及び合理性を有するよう適切な指導をお願いする。

(3) 水道における危機管理について
 (1)  国民保護法制について
 平成16年に制定された「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」(国民保護法)を受け、各都道府県においては都道府県国民保護計画の策定が進められているところであるが、管内市町村が策定する国民保護計画において水の安定的な供給のための措置が盛り込まれるよう適切な対応をお願いしたい。また、水道用水供給事業等を営んでいる都道府県においては、自らの国民保護計画に水の安定的な供給のための措置を位置づけるとともに、生活関連等施設である水道施設の安全の確保のため必要な措置を講じられたい。具体的には、水源監視の強化、水道施設の警備の強化、バイオアッセイ等による水質管理の徹底、情報収集・連絡体制の確立、給水停止措置等の緊急対応の指揮命令系統の明確化、応急復旧体制や応急給水体制を含めた緊急事態への対応体制の確立、マニュアルの策定、緊急事態対応の訓練等を通じた対応体制の強化等が挙げられる。

 (2)  地震等災害対策について
 一昨年の新潟県中越地震や宮崎県宮崎市をはじめとする台風・豪雨等の災害による被害を踏まえ、緊急時給水拠点の確保、給水車・給水タンクや非常用電源等の緊急時用設備の整備、震災時の広域的応急対策計画の策定、水道施設耐震化の計画的かつ効率的な実施により、水道の災害対策が強化されるよう、水道事業者等を指導されたい。

 (3)  飲料水健康危機管理について
 最近においても、水源の水質汚染が原因となり給水停止に至る水質事故が発生しているところである。平成11年3月に配布した「水質汚染事故に係る危機管理実施要領策定マニュアル」を参考にしていただきつつ、水道水質の異常時における迅速かつ的確な対応のため、緊急時連絡体制の整備、水質異常時の対応指針の策定等について万全を期していただくようお願いする。
 なお、国における水質事故等の緊急時における対応については、平成9年に「飲料水健康危機管理実施要領」を策定して対応しており、都道府県等に対しても健康被害の発生予防、拡大防止等の危機管理の、より迅速かつ適正な実施を図るとともに、あわせて、飲料水の水質異常などの情報を把握した場合の連絡方法について通知(平成14年6月28日付健水発0628001号水道課長通知)にて周知を行っているところであり、改めて、緊急時の迅速・円滑な対応にあたりご配慮いただきたい。

 (4)  渇水に伴う断減水報告について
 平成17年は春先からの西日本を中心とした少雨のため、6月末までは平成6年の渇水を上回るペースで渇水が進行した。この渇水により最大で10県、約350万人が断減水の影響を受けた。最も深刻だったのは香川県で、5市13町において最大35%の給水制限を余儀なくされ、約71万人が影響を受けた。
 このような事態に際し、渇水対策関係省庁会議において、情報の共有化を図るとともに、水道としての渇水対策に万全を期すため、11年ぶりに厚生労働省水道渇水対策本部を設置し、周辺の水道事業体で支援可能な資機材の種類・数量の把握などの対応を行った。
 厚生労働省では、渇水に伴う水道の断減水状況を迅速に把握するため、従前よりその情報提供について依頼しているところではあるが、より迅速な情報収集及び一層の渇水対応に資するため、引き続き各都道府県の協力をお願いしたい。

(4) 指定給水装置工事事業者制度について
 指定給水装置工事事業者制度については、平成8年の水道法改正の施行後10年を経過した時点で検討することとされており、その時期が平成19年4月に当たるため、この検討に向けた準備を平成18年度に進めることとしている。
 まず、検討に先立ち、給水装置の適切な維持管理手法に関する調査(平成16年度〜17年度、給水工事技術振興財団に委託)、指定給水装置工事店の実態調査(平成17年度〜、日本水道協会に委託)を実施しており、今後、水道事業体へのヒアリングも予定しているので、この旨ご承知おき願いたい。


2. 水道水質管理について
(1) 統合的アプローチによる水道水質の向上
  (1)  水安全計画の策定の検討
 水道ビジョンにおいては、安心・快適な給水の確保に向け、「統合的アプローチによる水道水質の向上」がアクションプログラムとして掲げられ、その実現のための具体的な方策の一つとして、水安全計画の策定による原水から給水に至るまで一貫した水質管理を徹底することが提唱された。
 厚生労働省では、水安全計画に基づく水質管理手法の国内での導入に資するため、平成17年度から、水安全計画策定ガイドライン作成のための検討を進めており、18年度末を目途に、ガイドラインの案を作成する予定である。
 なお、水安全計画の策定については、WHOから飲料水水質ガイドラインやその関係文書が公表されており、参考とされたい。また、地域水道ビジョンの作成にあたっても、水安全計画の策定を位置づけることを検討することが望まれる。

  (2)  耐塩素性病原微生物対策の推進
 厚生労働省では、平成8年10月に「水道水中のクリプトスポリジウム暫定対策指針」を定め、都道府県に通知した(最終改正:平成13年11月)。また、平成12年に、水道法第5条に基づく「水道施設の技術的基準を定める省令」にろ過等の設備の設置について規定した。
 平成16年3月末現在の「暫定対策指針」に基づく予防対策の実施状況は、原水が耐塩素性病原微生物に汚染されるおそれがある施設のうち約4割が、対策を検討中であることから、所要の対策が的確に講じられるよう水道事業者等への指導・支援をお願いする。特に、平成16年8月、水道施設が原因ではないものの、水系感染と考えられるクリプトスポリジウム症の集団感染事例が発生したところであり、水道におけるクリプトスポリジウム等耐塩素性病原微生物対策について、引き続き、特段の配慮が必要である。

  (3)  鉛製給水管の布設替えの推進
 安全な水道水の供給を確保するためには、鉛製給水管の更新の積極的な推進が重要である。各都道府県におかれては、平成17年7月1日付事務連絡にて送付した「鉛製給水管布設替促進方策検討委員会報告書」を参考に、鉛製給水管が残っている水道事業者に対し、更新計画の策定、起債措置の活用、水道事業者による使用者に対する助成金制度や融資制度の創設、使用者に対する個別広報等の実施により、鉛製給水管の布設替えの促進を図るよう指導されたい。

(2) 水質管理率100%プログラム
  (1)  貯水槽水道への指導等の推進
 水道ビジョンにおいては、貯水槽水道や飲用井戸等を含む小規模施設の管理を徹底することが課題とされ、「水質管理率100%プログラム」としてこれらの小規模施設の管理の充実を図ることがアクションプログラムに掲げられている。
 簡易専用水道については、水道法に基づき、その設置者は毎年定期的に管理状況等についての検査を受けなければならないこととされており、管理基準に適合していない場合は、都道府県知事は設置者に対し必要な措置を指示することができるとされている。各都道府県におかれても、衛生管理状況等の把握に努めていただくとともに、必要な指導等の推進につき、引き続き特段の配慮をお願いしたい。
 平成13年の水道法改正において、貯水槽水道に関する責任を明確化するため、水道事業者は、貯水槽水道が設置される場合においては、貯水槽水道に関し、水道事業者及び当該貯水槽水道の設置者の責任に関する事項について、供給規程に適正かつ的確に定めることとされた。各水道事業者においては、必要な規定を定めるとともに、独自の取組の実施を含め、設置者に対する指導等が行われている。各都道府県におかれても、貴管内の水道事業者による貯水槽水道への指導等の推進につき、引き続き特段の配慮をお願いしたい。

  (2)  飲用井戸の衛生確保のための対策の推進
 近年においても依然として、飲用井戸をはじめとする水道法等の規制対象とならない小規模な施設の不適切な管理により、飲料水を原因とする食中毒等の水質事故の発生が見られることから、これらの施設における衛生確保についての対応が急務となっている。
 今後とも、飲用井戸等の衛生対策については更なる向上を図ることが重要であるので、各都道府県におかれても、「飲用井戸等衛生対策要領」(最終改正:平成16年1月)により、飲用井戸等の衛生対策の徹底を図ることにつき、引き続き特段の配慮をお願いしたい。

(3) 水質基準制度の円滑な施行
  (1)  水質検査計画の策定
 平成15年9月29日に改正された水道法施行規則(平成16年4月1日施行)では、水質検査においては各水道事業者等が過去の検査結果や原水の水質に関する状況に応じて、合理的な範囲で検査の回数を減じるか、又は省略を行うことができることとされ、水質検査の回数及び省略が可能な場合並びに項目ごとの採水場所についても規定している。
 また、水道事業者、水道用水供給事業者及び専用水道の設置者は、水質検査を実施するに当たり、毎事業年度の開始前に水質検査計画を策定することとされており、水道事業者及び水道用水供給事業者にあっては、さらに需要者に対して情報提供を行うことを規定している。水質検査計画は水道法第20条第1項の規定に基づく水質検査を対象としたものであるが、水質管理目標設定項目及び原水に係る水質検査についても、必要に応じて水質検査計画に位置付けることが望ましい。
 このため、各都道府県におかれても、貴管内の水道事業者、水道用水供給事業者及び専用水道の設置者への周知・指導等について引き続き格段の配慮をお願いする。

  (2)  水質検査法の改正
 水質基準項目の検査方法については、公定検査法を定めるべき旨の厚生科学審議会答申を受け、平成15年7月22日に水質基準に関する省令の規定に基づき厚生労働大臣の定める方法(平成15年厚生労働省告示第261号)を公布するとともに、水質管理目標設定項目の検査方法についても、同年10月10日の水道課長通知により示した。
 なお、水質検査技術の革新等に柔軟に対応できるようにするため、公定法と同等と認められる検査方法については、公定法と認める柔軟なシステムを工夫すべきとの答申を受け、厚生労働省に常設の専門家会議を設置し、広く意見募集を行いつつ、平成17年3月には告示改正により水質基準項目の検査方法を改正し、さらに、平成17年11月には通知改正により水質管理目標設定項目の検査方法を改正した。


3. 水道計画指導について
(1) 水道事業者等への指導監督について
 水道事業者等への指導監督については、平成12年度からは水道事業の規模等に応じて国と都道府県が分担して、その業務を実施しているところである。
 厚生労働省においては、平成13年度から厚生労働大臣認可に係る水道事業者等を対象に立入検査を実施しており、今年度は503事業の内82事業(平成17年12月末現在)に対して、水道の管理体制の強化等に重点を置いて立入検査を実施したところである。
 水質管理の高度化、施設の老朽化やその更新、環境対策、災害・テロ対策の強化など、水道事業等に要求される水準は非常に高くなっていることを踏まえ、より信頼される事業運営がなされるよう水道事業者等に対する指導監督体制の一層の充実を図ることとしている。特に、水道技術管理者の水道施設の管理に関する業務の適正な実施について、指導監督体制のより一層の強化を図っていくこととしていることから、都道府県においても管下事業体の指導監督のより一層の充実をお願いする。
 また、平成14年度より毎年度、厚生労働大臣認可に係る水道事業等の水道技術管理者を対象として研修を実施しており、今後とも引き続き実施することとしている。
 さらに、国と都道府県それぞれの所管する事務の遂行のために必要な情報交換等についても重要と考えているので、引き続き各都道府県の協力をお願いしたい。

(2) 水道の広域化について
 水源確保や水の広域的融通を目的として、水道法に基づき都道府県が管下の市町村等の要請に応じて策定する「広域的水道整備計画」が、36道府県70地域で策定(平成17年12月末現在)されているところであるが、近年の市町村合併やフルプランの改定により、計画策定時と大幅な乖離を生じている計画が見受けられるため、その場合には計画の見直しをすることをお願いしたい。
 また、社会情勢の変化等を踏まえ、財政的・技術的な基盤の脆弱な水道事業体の運営基盤の強化を図るため、従来行ってきた施設の一体化による広域化に加え、経営の一体化、管理の一体化などを含めた「新たな広域化」を水道ビジョンの重要な施策として位置付けている。
 平成16年度からは、福島県、愛知県、大阪府、岡山県の4府県をモデル地域として、この新たな広域化の推進策についてケーススタディを実施しているが、今年度もこの調査を引き続き行い、更に深く広域化の効果を検証していくとともに、各都道府県に従来の広域的水道整備計画の成果と課題を把握するためのアンケート調査を実施するので、本調査に対する協力をお願いしたい。

(3) 水資源開発基本計画について
 水資源開発促進法に基づく水資源開発基本計画(フルプラン)については、国土交通省水資源部が中心となり、水利用の安定性の確保、既存施設の有効活用等について十分な検討を行い、水需給上の必要性等を吟味した上で順次改定されることとなっている。これまで、吉野川水系については平成14年2月、木曽川水系については平成16年6月、筑後川水系については平成17年4月に全部変更されたのに引き続き、現在、利根川・荒川、豊川、淀川水系について、国土審議会水資源開発分科会に各水系毎の部会が設置され審議されている。このうち、豊川水系に係る改定作業が先行して行われているところであるが、他水系における関係都府県においても、計画改定に必要な水の需給想定調査等についての協力をよろしくお願いする。

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