結核感染症課

  感染症対策
(1) 感染症対策について
検査体制の充実について
 感染症対策は、迅速な情報の提供と正確な検査・診断が基本となっている。そのため、地方衛生研究所を中心とした都道府県の検査体制を整備し、少なくとも二〜五類感染症の検体検査がすべて実施できるよう、P3施設の整備などに努められたい。
実地疫学専門家養成コースについて
 厚生労働省では、国立感染症研究所に国際的な実地疫学専門家(Field Epidemiologist)の養成コースに準拠した実地疫学専門家養成コース(Field Epidemiology training Program Japan(FETP-J))を設置し、実地疫学専門家の養成に取り組んでいるところである。
 既に、国立感染症研究所から第8期研修員募集要項(研修期間:平成18年4月〜20年3月)を送付しているので、健康危機管理に対応できる人材養成の手段として活用されたい。(資料1参照)

(2) 肝炎対策について
 我が国のC型肝炎ウイルスキャリアは100〜200万人存在すると推定されており、長期間の経過の後に肝硬変や肝細胞癌を起こす危険が指摘されている。厚生労働省としても、肝炎ウイルス検査の実施等の対策を進めてきたところであるが、C型肝炎の治療に関する新たな知見の集積や新しい治療薬の承認等の動きがあることなどから、平成17年3月に専門家等による「C型肝炎対策等に関する専門家会議」を設置し、既存の対策の全面的な見直しを行い、平成17年8月に報告書をとりまとめた。この報告書においては、C型肝炎対策等の一層の推進に向け、平成18年度から、
(1)  保健所における肝炎ウイルス検査の対象拡大(40歳未満・単独検査)などによる検査体制の充実
(2)  かかりつけ医と専門医療機関の連携強化等による肝炎診療体制の充実
(3)  肝炎診断・治療ガイドライン作成
(4)  新たな治療法・ワクチンの開発に向けた研究の充実
(5)  欧米において標準的な医薬品や治療法の治験の推進と優先審査の実施による薬事承認・保険適用の迅速な実施
などを行っていくこととしている。
 このうち、保健所における肝炎ウイルス検査については、検査対象を40歳未満にも拡大(年齢制限を撤廃)するとともに、性感染症又はHIV検査との同時検査の要件を撤廃し、肝炎ウイルス検査単独でも行えるようにするとともに、検査前の事前相談及び検査後の事後相談を実施し、適切な検査環境の確保や検査と治療の連携の推進を図ることとしている。
 各都道府県等におかれては、普及啓発活動等の強化を図るとともに、地域におけるC型肝炎診療の充実・向上のため、医療提供体制の確保や患者への情報提供を行うなど、肝炎対策の一層の推進をお願いする。(資料2参照)

(3) 性感染症対策について
 性感染症に関する特定感染症予防指針において、性器クラミジア感染症、性器ヘルペスウイルス感染症、尖圭コンジローマ、梅毒及び淋菌感染症(以下「性感染症」という。)は、性的接触を介して感染するとの特質を共通に有し性的接触により誰もが感染する可能性がある感染症である。特に、性感染症を取り巻く近年の状況としては、十代の半ばごろから二十代前半にかけての年齢層における発生の増加が報告されていること等が挙げられており、これらを踏まえた上で、性感染症対策を進めていくことが重要である。
 なお、昨年3月より厚生科学審議会感染症分科会感染症部会エイズ・性感染症ワーキンググループを設置開催し、本指針の見直しを行ってきたところである。
 また、都道府県等において普及啓発活動等の強化を図るため、「特定感染症検査等事業」における保健所が行う性感染症検査について、検査前の事前相談及び検査後の事後相談の実施や新規事業として「感染症特別促進事業費」に特定感染症対策事業費(性感染症関係等)の創設を行っており、今後の性感染症対策について、一層の推進をお願いする。

(4) インフルエンザ対策について
 インフルエンザは、毎年冬季に流行を繰り返し、国民の健康に対して大きな影響を与えている。特に、高齢者施設での集団感染、高齢者の死亡等の問題が指摘されているので、感染予防とまん延防止が課題となっている。このため、平成17年11月1日付け健感発第1101001号結核感染症課長通知「今冬のインフルエンザ総合対策の推進について」に基づき、関係機関に対する普及啓発、施設内感染防止対策の周知徹底等、積極的な取組をお願いする。

(5) 予防接種対策について
 昨年度より予防接種を取り巻く重要な課題について検討を行うことを目的として、「予防接種に関する検討会」を設置し、種々検討を行ってきたところである。今般、同検討会の提言を踏まえ、日本脳炎予防接種の第3期の廃止、麻疹及び風疹の2回接種の導入などの見直しを行ったところである。
 なお、予防接種の実施に当たっては、定期予防接種実施要領により十分な予診を行い、より一層注意して接種するよう周知徹底されたい。

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