総務課

1. 地域保健対策

(1) 地域保健対策の推進について
 地域保健対策については、昨年、有識者から成る検討会を開催して、地域における健康危機管理の在り方等について議論していただき、5月に中間報告をいただいたところであるが、現在、これを受けて、平成17年度の特別研究事業の中で、健康危機管理など地域保健についての計画に係るガイドラインに関する研究を行っている。
 地域健康危機管理については、次の点に留意の上、関係機関・関係団体と連携しつつ一層の取組を進めていただきたい。

 健康危機管理保健所長等研修
 平成13年度から実施している「健康危機管理保健所長等研修」については、研修内容を見直しの上、平成18年度以降においても保健所長及び保健所管理職員等を対象に実施することとしているので、受講促進等について特段の御配慮をお願いする。

 健康危機管理支援情報システム
 平成14年度から構築・運用している「健康危機管理支援情報システム」については、データベース機能や緊急情報発信機能、健康危機事例演習機能の整備など、より有効なシステムとなるよう機能強化を図っているところであり、また、利用対象者についても、都道府県衛生主管部局、保健所から地方衛生研究所、検疫所、地方厚生局に拡大したところである。平成18年度においては、同システムに「保健医療関係者広域派遣調整機能」を追加することとしているので、各地方公共団体におかれては同システムの積極的な活用をお願いする。

 地域健康危機管理対策事業
 保健医療関係者からなる派遣チームの体制整備や健康危機事例に対する連携・応援体制の構築を支援するため、「地域健康危機管理対策事業費」を平成18年度予算(案)に計上したところである。今後、早期に実施要綱等をお示しすることとしているので、各地方公共団体におかれては本補助制度の活用などにより、地域における健康危機管理体制の整備を進めていただきたい。

 公衆衛生医師確保推進事業
 昨年1月に取りまとめられた「公衆衛生医師の育成・確保のための環境整備に関する検討会報告」において、公衆衛生医師の育成・確保のための環境整備に関するチェックシートが示されているところであり、各地方公共団体におかれては、これに沿って、各方策の進捗状況を確認するとともに、「公衆衛生医師の育成・確保に関する行動計画」を策定し、目標の達成状況についての評価を実施するなど、今後とも積極的な取組をお願いする。

 地方衛生研究所の機能強化
 地方衛生研究所は、地域における科学的・技術的な中核機関として位置付けられており、その専門性を活用して総合的な調査及び研究を行うとともに、研修の実施など、地域保健対策の推進において大きな役割が期待されていることから、その機能の一層の充実強化等に特段の御配慮をお願いする。

(2) 今後の保健活動の推進について
 平成17年12月、「医療制度改革大綱」(政府・与党医療改革協議会)が取りまとめられ、関係法案の国会提出に向けた準備を進めているところである。大綱では、疾病予防、特に生活習慣病予防を重視した保健医療体系への転換を図ることが打ち出されており、平成20年度に向けて、国保部門と衛生部門が協働して効果的・効率的な保健活動を行う新しい体制を構築することとなる。
 一方、健康づくりのほか、介護予防や児童虐待の発生予防、精神障害者等の障害者対策の充実も肝要であることから、以下の事項に留意の上、保健活動の推進に努めていただきたい。

 生活習慣病予防の本格的な取組の推進
 医療制度改革の施行に向けて、都道府県健康増進計画の内容を充実し、国民の生活習慣改善に向けた積極的な普及啓発のほか、健診・保健指導実施率等の目標設定や、その達成に向けた取組の促進を図っていくこととしている。
 さらに、生活習慣病予防に係る医療保険者の役割を明確にし、効果的・効率的な健診・保健指導を徹底することとしており、国において、効果的な保健指導プログラムの標準化を行うこととしている。
 なお、生活習慣病対策は、健診・保健指導の充実に加え、ポピュレーションアプローチの重点的な取組も重要であることから、都道府県におかれては、これらの活動が円滑に実施できる体制を構築するため、市町村の支援も含め種々の対策に積極的に取り組んでいただきたい。

 市町村保健活動体制の再構築
 地方分権の観点から市町村合併が推進される中、平成18年度は、市町村の保健活動体制の再構築を本格的に進めるため、国においては、市町村の活動基盤、活動体制を強化し、新たな枠組みによる生活習慣病予防対策を効果的に展開することとしており、こうした中で、市町村保健師の配置モデルや活動モデルを検討し、効果的な保健活動手法や人材の育成手法などの検討を行うこととしている。

 保健指導従事者の人材育成
 医療制度改革の実施に向けた人材育成や、新たな健康課題に適切に取り組むための人材育成については、保健師・管理栄養士による効果的な保健指導の実施を念頭に、適切かつ高度な知識と技術の習得研修が非常に重要と考えている。
 各都道府県には、従来から地域保健関係職員研修を実施していただいているところであるが、より実効性の高い人材育成に取り組んでいただくため、新たに「保健指導技術高度化支援事業」を開始することとし、平成18年度予算(案)に盛り込んだところである。各都道府県におかれては、本事業を積極的に活用することにより、地域保健関係職員研修を充実させ、特に生活習慣病予防に係る保健指導従事者の資質向上を進めていただきたい。

(3) 地域・職域の保健活動の推進について
 生活習慣病を予防するためには、個々人の主体的な健康づくりへの取組に加え、保健事業による生涯を通じた継続的な健康管理の支援が重要である。
 健康フロンティア戦略においても、働き盛り層を対象とした生活習慣病予防の取組を、地域と職域を通じて推進することとされており、医療制度改革において生活習慣病対策を推進するための体制として、早急に地域・職域連携体制の整備を図っていくこととしている。
 平成17年度から全国的な取組として、地域保健と職域保健の連携を進めるための「地域・職域連携推進協議会」の設置をお願いしているところであり、平成18年度には全ての都道府県、指定都市において設置することとしているので、未設置の都道府県等におかれては、平成18年度中に設置するよう特段の御配慮をお願いする。

(4) ホームレスの保健対策について
 ホームレスの自立支援の一環として、都道府県、政令市、特別区において、「ホームレス保健サービス支援事業」(健康に不安を抱えるホームレスに対する健康相談等の保健サービス)を実施していただいているところであるが、平成18年度においても、所要の国庫補助を予定しているので、特に、多数のホームレスが所在する地域においては、同事業を積極的に実施していただくよう特段の御配意をお願いする。


2. 原爆被爆者関係施策

(1) 在外被爆者への支援について
 在外被爆者に係る手当・葬祭料の申請について、平成17年11月30日に、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行令の一部を改正する政令」(平成17年政令第356号)、「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律施行規則の一部を改正する省令」(平成17年厚生労働省令第168号)及び「在外の被爆者による申請について領事官を経由して行うことが著しく困難である地域等を定める件」(外務省・厚生労働省告示第1号)が公布、施行され、最寄りの在外公館を経由した手当・葬祭料の申請受付を開始したので、その円滑な実施を図るため、申請があった際は、適切な対応をお願いしたい。
 〔注〕 平成17年11月30日付け通知により依頼済み。
 在外被爆者が渡日して被爆者健康手帳の交付や治療を受けることを支援する「手帳交付渡日支援事業」や「渡日治療支援事業」などの「在外被爆者渡日支援等事業」については、平成18年度予算(案)において、国庫補助事業(補助率10/10)から国が実施主体となる委託事業に変更したところであり、できる限り多くの都道府県、広島市及び長崎市で受託していただきたいと考えている。

(2) 各種手当の支給額等について
 健康管理手当等の平成18年度の支給額等に関しては、平成17年の消費者物価指数が確定した後に、改定予定の有無及び改定する場合にはその予定額について連絡することとしている。

(3) 健康診断について
 平成18年度から新たに乳がん検診項目の中に乳房エックス線検査(マンモグラフィ)を追加する予定であるので、乳がん検診を行う際は、視診及び触診と同時に乳房エックス線検査も実施するようご配慮願いたい。
 公衆衛生監査において、要精密検査となった者のうちの未受診者に対する対策が不十分であることや交通費の支給が不適切であることなど健康診断に関する指摘事項が多いので、健康診断の適切な実施について、引き続き、留意願いたい。
 被爆二世健康診断については、受診希望者の利便を図る観点から、年度の早い時期から実施するようご配慮願いたい。

(4) 進達事務等の適正な執行について
 「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律」に基づいて、厚生労働大臣に進達すべき書類については、引き続き、迅速かつ適正な実施の確保に留意していただきたい。

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