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6 地域福祉の推進等について(地域福祉課)

(1) 平成17年度における事業の実施について
 前出1−(1)で触れたように、地域のセーフティネット機能の強化を目的とする「セーフティネット支援対策等補助金」を平成17年度から創設し、従来の地域福祉推進事業及び生活福祉資金貸付事業については当該補助金により実施することとしている。(下図参照)
 これに伴い、これまで地域福祉推進事業において実施してきた事業のうち、「地域福祉推進支援事業」「地区民協会長等研修事業」については都道府県・指定都市社会福祉協議会から都道府県・指定都市へ、「ボランティア養成等事業」「ふれあいのまちづくり事業」については市区町村社会福祉協議会から市町村へ、それぞれ実施主体を変更するとともに、特に市町村が実施主体となる「地域社会安心確保ネットワーク事業」については、地域の実情に合わせて地域福祉に関する事業が実施できることとする予定である。なお、実施主体を自治体へ変更した事業については、委託による実施も可能とする予定であるので、併せて管内市町村等へ周知願いたい。
 なお、事業の具体的な内容や国庫補助の交付方法等については現在検討中であり、別途お示しする予定である。

図

(2) 地域福祉の推進について
 国民生活の安心と幸せを実現するためには、公的な福祉サービスの充実はもちろんのこと、人々が手を携えて、生活の拠点である地域に根ざして助け合い、誰もがその人らしい安心で充実した生活が送れるような地域社会を基盤とした地域福祉を推進することが極めて重要であり、都道府県、指定都市及び中核市においては、今後、次のような取り組みを通じて地域福祉の推進を積極的に図る必要がある。

 ア  地域福祉計画の策定について
 (ア)  地域福祉計画は、住民の主体的な参加により、地域における生活ニーズを明らかにするとともに、その解決に向け公民協働により多様なサービスを総合的に提供する体制を計画的に整備するものであり、地域福祉の推進にとって大きな柱となるものである。その際には、コミュニティ(日常生活圏域)単位の小地域において、住民自身が座談会等をとおして地域の生活上の課題を明らかにし、その解決に向けた取り組みを検討する手法を基本とし、地域福祉計画が策定されることが重要である。このような策定過程を通して、住民が自らの地域に関心を持ち、互いに助け合い、支え合うような人と人との関係づくりを進めることが期待されるものである。

 (イ)  平成17年には、市町村合併もおおむね終了し、市町村地域福祉計画の策定が 本格化すると思われるので、都道府県においては、地域福祉計画策定ガイドライン及び地域福祉支援計画の策定とともに、管内市町村に対する一層の支援を願いたい。
 また、市町村においては、地域福祉計画の策定に当たって、新たな介護保険事業計画や障害保健福祉計画等との整合性を図ることが必要であり、計画作成担当部局と十分に連携を図りながら策定するよう周知願いたい。

 イ  社会福祉協議会について
 社会福祉協議会(以下「社協」という。)については、地域福祉の推進役として、地域福祉推進のため様々な活動を行う多様な主体の参加を得るとともに、他の民間事業者、社会福祉法人では行いにくいサービスについて重点的に取り組むなど、地域住民の視点に立ち、その期待に十分応えるよう、また、市町村地域福祉計画及び都道府県地域福祉支援計画の策定に当たって一定の役割を担うよう、今後とも一層の指導、支援を願いたい。

 ウ  ボランティア活動の振興
 (ア)  住民の多様なニーズを解決するためには、公的サービスのみならず、住民の自発的な参加によるボランティア活動に対する期待は大きく、公的サービスとボランティアなどのインフォーマルなサービスが連携し、地域において総合的に福祉サービスを提供することが必要である。
 平成17年度より創設するセーフティネット支援対策等補助金は、住民が相互に支え合う地域づくりの支援等を行い、地域の実情に応じたセーフティネット機能の整備を図ることを目的としており、従来の「ボランティア養成等事業」などの枠組みにとらわれず、当該補助金を活用することにより、地域が求めるボランティアの養成等、創意工夫によりボランティア活動の振興に努められたい。

 (イ)  昨年の新潟・福井の豪雨災害や新潟県中越地震等の大規模災害において、延べ20万人を超えるボランティア活動者により救援活動が行われ、高い評価を受け、今後への大きな期待となっているところである。
 災害時におけるボランティア活動が効果的かつ安全に展開されるためには、災害救援ボランティアセンターなどの支援体制が社会福祉協議会やボランティア団体などの相互協力によって構築されることが重要である。
 都道府県においては、日頃より関係部局が連携し、関係団体などとのネットワークの構築、災害時のボランティアのコーディネート業務に関する研修など、その支援体制の基盤整備について特段の配慮を願いたい。

 (ウ)  平成17年度の「全国ボランティアフェスティバル」については、本年10月29日・30日に熊本県で開催することとしており、各地方公共団体においては幅広い参加が得られるようボランティア関係者等への周知を願いたい。

 エ  民生委員・児童委員活動の推進
 (ア) 地域福祉を推進する上で、住民の生活実態を把握し、住民の立場に立って相談・援助を行う民生委員・児童委員に対する期待と任務の重要性はますます高まっていくものである。
 昨年の大規模災害でも、民生委員・児童委員は、一人暮らし高齢者など要援護者に対する安否確認や情報提供活動などに大きな役割を果たした。今後とも、訪問活動や相談活動等日頃の民生委員・児童委員活動を行うに当たって、地域の防災活動の取り組み等との連携が図られ、災害時における要援護者等の支援体制の構築に寄与することが期待される。
 都道府県におかれては、民生委員・児童委員活動の実態を踏まえ、一層の民生委員・児童委員活動の充実が図られるよう、所要の財政措置につき特段の配慮を願いたい。
 また、昨年12月には、3年ごとの民生委員・児童委員の一斉改選も行われたところであり、各地方公共団体においては、民生委員・児童委員活動の円滑な遂行と充実が図られるよう努めるとともに、研修などを通じて、民生委員・児童委員の資質向上が図られるよう配慮願いたい。

 (イ) 平成17年度の全国民生委員児童委員大会は、本年11月9日・10日に静岡県において開催することとしているので了知願いたい。

 オ  地域福祉権利擁護事業について
 (ア)  本事業の実施状況を見ると、一定程度の事業の普及が図られてきているものの、都道府県・指定都市社協毎又は事業の一部の委託を受けた基幹的社協毎の相談件数、契約締結件数等には、依然として大きな格差が生じている。
 今後、痴呆性高齢者の増加や、知的障害者、精神障害者等に対する施策が、地域生活を促進する仕組みへ転換するなかで、本事業に対する需要はますます高まると思われる。
 都道府県・指定都市においては、管内社協に対して、利用ニーズの把握、本事業の実施方法の工夫、サービス内容の向上等について、一層の支援、指導等を行うことにより、本事業がさらに普及・定着するよう配慮願いたい。

 (イ)  なお、昨年は、複数の基幹的社協において、利用者からの預かり金の紛失等の不適切な事例が散見されたところである。本事業は、社会的信頼に基づき成立しうるものであり、このような事例は、本事業の根幹に重大な影響を及ぼすものである。
 都道府県・指定都市においては、管内都道府県・指定都市社協に対して、マニュアル等の充実や研修の強化、指導・監督の強化などの再発防止策の取り組み等を行うよう指導されたい。

(参考) 実施状況(事業開始〜平成16年10月末)
    利用契約件数  約2万件
    利用に関する相談や問い合わせ  約72万件


(3) 生活福祉資金貸付制度について
 ア  生活福祉資金貸付制度の安定的な運営
 生活福祉資金貸付制度は昭和30年度の制度創設以来、一貫して各都道府県の社会福祉協議会が実施主体となり、時代のニーズに合わせて改善を重ね現在に至ったところである。本制度の安定的な運営のためには、円滑な事業実施に必要な貸付原資及び貸付事務費の確保、適切な償還指導等が重要である。
 ついては、貸付金額が高額となる長期生活支援資金の貸付の増加が予想されること等を踏まえた上で、本制度の安定的な運営に支障をきたすことがないよう長期的な視点に立ち必要な財源が確保できるようご配慮いただきたい。

 イ  長期生活支援資金の活用の促進
 平成14年12月に創設した本制度は、低所得の高齢者世帯に対し、現に居住する自己所有の不動産を担保に生活資金の貸付けを行うものであり、現在44都道府県の社会福祉協議会で事業が実施されているころである。
 今後の高齢化社会の一層の進展に伴う本制度の重要性に鑑み、制度活用の拡大に向けて、実施主体である都道府県社会福祉協議会に対する支援をお願いするとともに、各都道府県による広報活動などを通じ制度の幅広い普及にご協力いただきたい。

(参考) 貸付決定の状況(平成16年9月末現在)
    貸付決定件数 201 件
    貸付決定実績のある都道府県数 31都道府県

 ウ  離職者支援資金貸付の適正な実施
 本制度は、パート労働者の失業や雇用保険給付期間が切れたことにより生計の維持が困難となった世帯を対象として平成13年度に創設されたものであり、その貸付に当たっては、添付書類の内容の確認、必要書類が提出できない場合には民生委員調査書の徴求等を行うとともに、貸付の申込み書類に不自然な点が認められる場合には証明書類の発行元への照会や追加書類の提出要求等を行う等により、円滑かつ適正な貸付業務の実施が求められているところである。
 一方、最近、不正な手段により貸付けを受けるなど本制度を悪用して刑事事件に発展するケースが新聞等で報道されているところである。報道によれば、組織的に不正を行っていたものや、いわゆるヤミ金融業者が関与していたものなど、本来の目的である失業者世帯の自立支援に反するのみならず、制度の信用を大きく失いかねない事例も見られるところである。各都道府県及び社会福祉協議会におかれては、市町村社会福祉協議会に対する適切な事務処理に関する周知徹底、不正の事実が疑われる時には速やかな警察等関係機関への相談等を含め、適正な貸付業務の推進にご留意願いたい。

(参考) 貸付実績(平成16年9月末現在)
    貸付決定件数  11,447 件
    貸付決定金額  15,040 百万円


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