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平成17年度税制改正の概要



第1  高齢者が生きがいを持ち安心して暮らせる社会の実現


第2  障害者の自立・社会参加の推進と良質な福祉サービスの提供


第3  次世代育成支援対策の推進と「人間力」を高め、安心して働ける社会の実現


第4  安心で質の高い医療の確保等のための施策の推進


第5  各種施策の推進


平成16年12月
厚生労働省



第1  高齢者が生きがいを持ち安心して暮らせる社会の実現

 持続可能な介護保険制度の構築と関連施策の推進

 
(1) 介護制度改革に伴う税制上の所要の措置
介護制度改革に伴う税制上の所要の措置 〔所得税、事業税等〕
法案の内容を見て検討することとされた。

 
(2) 介護サービス利用者の負担の軽減

(1) 介護費用に係る所得控除制度の創設 〔所得税、住民税〕
税制改正大綱で「検討事項」として以下のように記述された。

 要援護高齢者等の介護費用に係る税制上の措置については、介護保険制度改革の実施に向け所要の措置を講ずるとともに、介護保険の実施状況や特別な人的控除との関係等を踏まえ、検討する。

(2) 民間介護保険加入者に係る所得控除の創設 〔所得税、住民税〕
税制改正大綱で「検討事項」として以下のように記述された。

 生損保控除については、医療、介護など高齢化社会における社会保障政策を踏まえた新たな商品開発の進展、制度創設の目的が達成されているとの指摘等を踏まえ、制度のあり方の抜本的な見直しを行う。

 
(3) 介護サービスの供給の促進

(1) PFI制度を活用したケアハウス等の整備を推進するための税制上の所要の措置 〔不動産取得税、固定資産税、都市計画税〕
税制改正大綱で「検討事項」として以下のように記述された。

 PFI事業については、国・地方公共団体が民間の資金や人材、技術等を効率的に用いて公的インフラの整備を促進する観点から、各税の性質に応じて、その課税のあり方をさらに検討する。

(2) 老人性痴呆疾患療養病棟の割増償却制度の適用期限の延長 〔法人税〕
   現行の課税特例措置について、2年間延長とされた。

 安定的で効率的な年金制度の運営の確保

 
(1) 老後生活を支える年金制度の安定的な運営

(1) 基礎年金の国庫負担割合の着実な引上げを図るための税制上の整備
   平成16年度与党税制改正大綱の考え方に沿って、平成17年度税制改正において、定率減税を2分の1に縮減することとされた。

(2) 厚生年金基金、確定給付企業年金、確定拠出年金、勤労者財産形成給付金契約及び勤労者財産形成基金契約に係る積立金に対する特別法人税の撤廃 〔法人税、住民税〕
  現行の課税停止措置について、3年間延長とされた。

税制改正大綱で「検討事項」として以下のように記述された。

   年金課税については、少子・高齢化が進展する中で、公的年金制度改革の動向等を見極めつつ、老後を保障する公的年金と私的資産形成の状況、退職金課税や給与課税とのバランス、世代間・世代内の公平確保等に留意して、特別法人税のあり方を含め、拠出・運用・給付を通ずる負担の適正化に向けた抜本的な検討を行う。

(3) 国民年金保険料に係る社会保険料控除の手続きの見直し 〔所得税〕
   国民年金の保険料に係る社会保険料控除の適用について、当該保険料の支払をした旨を証する書類を、確定申告書に添付等をし、又は年末調整の際に提出等をしなければならないこととされた。
 (注) 上記の改正は、平成17年分以後の所得税について適用する。

 
(2) 年金福祉施設の整理合理化の推進

年金福祉施設の整理合理化の推進に係る税制上の所要の措置 〔法人税、固定資産税等〕
法案の内容を見て検討することとされた。


第2  障害者の自立・社会参加の推進と良質な福祉サービスの提供

 (1) 障害者を多数雇用する場合の機械等の割増償却制度の適用期限の延長及び適用要件の緩和 〔所得税、法人税〕
   現行の課税特例措置について、2年間延長するとともに、精神障害者の追加については、法案の内容を見て検討することとされた。

 (2) 障害者を多数雇用する事業所に係る不動産取得税及び固定資産税の軽減措置の適用期限の延長及び適用要件の緩和 〔不動産取得税、固定資産税〕
   現行の課税特例措置について、2年間延長するとともに、適用範囲に精神障害者を追加することとされた。

 (3) 障害者を多数雇用する事業所等に係る事業所税の課税標準の特例の適用要件の緩和 〔事業所税〕
   適用範囲に精神障害者を追加することとされた。

 (4) 障害者福祉制度の見直しに伴う税制上の所要の措置 〔所得税、事業税等〕
  法案の内容を見て検討することとされた。


第3  次世代育成支援対策の推進と「人間力」を高め、安心して働ける社会の実現

 次世代育成支援対策の推進

認可外保育施設に対する指導・監督制度の充実に伴う一定の保育施設の利用料に係る消費税の非課税 〔消費税〕
   認可外保育施設のうち一定の基準を満たすもので都道府県知事等から当該基準を満たす旨の証明書の交付を受けたものにおける利用料に係る消費税を非課税とされた。

 「人間力」を高めるための環境整備の推進

企業の教育訓練費を税額控除する制度の創設 〔法人税、所得税〕
   人材育成に積極的に取り組む企業について、教育訓練費の一定割合を法人税額等から控除する制度を創設することとされた。

 安心して働ける環境づくり

(1) 通勤災害保護制度の見直しに伴う税制上の所要の措置 〔所得税、住民税等〕
法案の内容を見て検討することとされた。

(2) 住宅用家屋に係る登録免許税の軽減措置の適用期限の延長 〔登録免許税〕
   現行の課税特例措置について、2年間延長することとされた。


第4  安心で質の高い医療の確保等のための施策の推進

 医業経営の安定の確保と近代化・効率化の促進

 
(1) 医業経営の安定の確保

 以下の課税特例措置について全て存続とされた。

(1) 社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置の存続 〔事業税〕

(2) 医療法人に係る事業税(社会保険診療報酬以外分)の軽減措置の存続 〔事業税〕

 
(2) 医業経営の近代化・効率化の促進

(1) 医療用機器に係る特別償却制度の適用期限の延長 〔所得税、法人税〕
   現行の課税特例措置について、2年間延長とされた。

(2) 特定医療法人における社会保険診療に係る収入の見直し 〔法人税〕
   特定医療法人の法人税率の特例について、社会保険診療の収入割合の計算につき健康増進法に基づく健康増進事業の健康診査による収入金額を社会保険診療に係る収入金額に含めることとされた。

(3) PFI制度を活用した医療施設の整備を推進するための税制上の所要の措置 〔不動産取得税、固定資産税、都市計画税〕
税制改正大綱で「検討事項」として以下のように記述された。

 PFI事業については、国・地方公共団体が民間の資金や人材、技術等を効率的に用いて公的インフラの整備を促進する観点から、各税の性質に応じて、その課税のあり方をさらに検討する。

(4) 療養病床に係る割増償却制度の適用期限の延長 〔所得税、法人税〕
  現行の課税特例措置について、2年間延長とされた。

(5) 平成12年医療法改正による改正後の構造設備基準に適合した病院等への建て替えに係る特別償却制度の適用期限の延長 〔所得税、法人税〕
   現行の課税特例措置について、2年間延長とされた。

 救急体制の整備

救急用医療機器についての特別償却制度の適用期限の延長(平成17年から「健康フロンティア戦略」に基づき実施) 〔所得税、法人税〕
   対象から超音波式経頭蓋血流測定装置、生体情報モニターを除外したうえ、その適用期限を2年間延長することとされた。

 医薬品・医療機器の安全対策の充実

医療安全に資する機器に係る特別償却制度の対象機器の追加・適用期限の延長 〔所得税、法人税〕
   対象から輸液ポンプを除外したうえで、分娩監視装置、生体情報モニター等・ナースコール連動システム、調剤監査システム(散剤・水剤)を追加するとともに、その適用期限を2年間延長することとされた。


第5  各種施策の推進

 生活衛生関係営業の振興

(1) 生活衛生同業組合等が設置する共同利用施設に係る特別償却制度の適用期限の延長 〔法人税〕
   現行の課税特例措置について、2年間延長とされた。

(2) 生活衛生同業組合等の留保所得の特別控除制度の適用期限の延長 〔法人税〕
   現行の課税特例措置について、2年間延長とされた。

(3) 生活衛生同業組合等の貸倒引当金の特例措置の適用期限の延長 〔法人税〕
   現行の課税特例措置について、2年間延長とされた。

(4) 中小企業者等の事業基盤強化設備に係る特別償却制度等の適用期限の延長 〔所得税、法人税〕
   現行の課税特例措置について、2年間延長とされた。

 その他

(1) 介護・子育て支援サービス事業を行う特定非営利活動法人(NPO法人)に関する税制上の支援の充実 〔法人税、事業税等〕
   認定NPO法人制度の認定要件等について、主に以下のように見直すこととされた。

 ・  いわゆるパブリック・サポート・テストに関し、総収入金額のうちに寄附金総額の占める割合について、直前各2事業年度それぞれにおいて5分の1以上とされているところを、各事業年度の割合が10分の1以上である場合に限り、直前2事業年度の平均により算定する。

 ・  共益的な活動の制限に係る要件について「会員等」の範囲から単なる顧客を除外する。

   寄附金控除の控除対象限度額を、総所得金額等の30%(現行25%)に引き上げることとされた。

税制改正大綱で「検討事項」として以下のように記述された。

 NPO法人や公益法人等による民間非営利活動の役割が今後ますます重要となることに鑑み、これら法人の実態を見極めつつ、活動の透明性の確保にも留意し、認定NPO法人の認定要件など寄附金税制について、(中略)公益法人制度改革にあわせて、抜本的検討を行う。

(2) 消費生活協同組合等の留保所得の特別控除制度の適用期限の延長 〔法人税〕
   現の課税特例措置について、2年間延長とされた。

(3) 産業活力再生特別措置法に係る税制上の特例措置の適用期限の延長 〔所得税、法人税、不動産取得税〕
   共同現物出資をした場合の課税の特例措置の適用期限の延長を除き、現行の課税特例措置について2年間延長とされた。

(4) 国立ハンセン病療養所等に入所歴のないハンセン病患者・元患者に対する非入所者給与金(仮称)の創設に伴う税制上の所要の措置 〔所得税、住民税〕
   ハンセン病療養所入所者等に対する補償金の支給等に関する法律に規定する福祉の増進の措置として国から支給される非入所者給与金(仮称)については、所得税及び個人住民税を課さないこととされた。


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