要介護者の住み慣れた地域での生活を支えるため、身近な市町村で提供されることが適当なサービス類型(=地域密着型サービス)を創設する。 |
基本的な考え方:「通い」を中心として、要介護者の様態や希望に応じて、随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせてサービスを提供することで、在宅での生活継続を支援する。 |
基本的な考え方:在宅にいる場合も、夜間を含め24時間安心して生活できる体制の整備が必要
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人口規模にすれば20万~30万程度 まずは都市部でのサービス実施を想定 |
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ア | 地域支援事業の実施 市町村は、以下の地域支援事業を行うこととなる。((1)(2)参照)
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イ | 地域包括支援センターの設置 地域支援事業のうち包括的支援事業を一括して行うための施設として、地域包括支援センターを創設する。 市町村は、包括的支援事業を実施するために、自ら地域包括支援センターを設置することができるほか、地域の多様な資源を有効活用する観点から、様々な主体に包括的支援事業の実施を委託することができることとする。市町村から委託を受けた者は地域包括支援センターを設置できるものとする。 | |||||||||||||||||||||||||
ウ | 地域包括支援センターにおける介護予防マネジメントの実施 また、地域包括支援センターにおいては、包括的支援事業を実施するほか、新予防給付に係る介護予防マネジメントを行うこととし、そのための事業者指定を受けることとする。 これにより、要介護状態等となることを予防するための介護予防事業のマネジメントと、新予防給付のマネジメントが地域包括支援センターにおいて統一的・総合的に実施されることとなる。 | |||||||||||||||||||||||||
エ | 地域包括支援センター運営協議会(仮称)の設置 各市町村においては、行政機関、介護保険サービス事業者、その他の保健医療福祉関係者、居宅介護支援事業所等で構成する「地域包括支援センター運営協議会(仮称)」を設置し、センターの運営全般について協議するとともに、関係団体、関係事業者等からの派遣によるセンター職員の確保を図るなど、センター運営の公平・中立性を図ることとする。 | |||||||||||||||||||||||||
オ | その他の事項 地域包括支援センターに関してさらに定めるべき事項については、追ってお示ししたい。 |
I 保険者による給付等のチェック機能の強化 |
○ | 立入権限の付与 現行では、保険者はサービス事業者に対し関係書類等の提出を求めることができるにとどまっているが、見直しにより、事業者に対する報告、帳簿書類の提出命令や事業所への立入検査ができることとする。 |
○ | 指定取消要件に合致した指定サービス事業者の通知 指定サービス事業者について指定の取消要件等に合致していると市町村が認めた場合は、その旨を都道府県へ通知するものとする。 |
II サービス供給への関与強化 |
○ | 地域密着型サービスの創設
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○ | 都道府県の事業者指定に当たっての意見提出 都道府県は介護保険施設等の指定等をしようとするときは、市町村長の意見を求めるものとする。 |
III 保険者事務支援 |
○ | 市町村事務受託法人制度の創設 要介護認定調査や保険給付に関するサービス担当者への文書提出依頼や照会等の市町村事務について、外部委託を可能とする制度を創設する。 |
IV 財政面での機能強化 |
○ | 保険料について、負担能力をよりきめ細かく反映した設定方法の見直し |
○ | 特別徴収の見直し(遺族年金、障害年金への拡大) |
○ | 普通徴収の収納事務委託 |
V 要介護認定事務の一部見直し |
○ | 委託による認定調査の適正化 要介護認定の認定調査については、市町村職員が実施することを原則化するとともに、申請者の入所している施設等への委託を制限する。 |
○ | 認定申請代行の適正化 要介護認定の申請代行については、代行を行うことができる者の範囲を大幅に限定することとし、具体的には、新規申請における代行の範囲等を限定する。 |
(1) 介護保険部会における議論の経過
○ | 社会保障審議会介護保険部会(以下、「介護保険部会」という。)において平成16年7月30日に取りまとめられた「介護保険制度の見直しに関する意見」の中で、「被保険者・受給者の範囲」の問題については、積極的な考え方と慎重な考え方の両論が併記され、引き続き議論を進めていくこととされた。 |
○ | これを受け、平成16年9月以降5回にわたり、介護保険部会においてこの問題を精力的にご審議頂いた。 |
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(2) 『「被保険者・受給者の範囲」の拡大に関する意見』の要旨
第21回介護保険部会において、「被保険者・受給者の範囲」の問題について、『「被保険者・受給者の範囲」の拡大に関する意見』(平成16年12月10日)が取りまとめられた。 当該意見書の要旨は以下のとおりである。 |
○ | 介護保険制度の将来的な在り方としては、要介護となった理由や年齢の如何に関わらず介護を必要とする全ての人にサービスの給付を行い、併せて保険料を負担する層を拡大していくことにより、制度の普遍化の方向を目指すべきであるという意見が多数であった。 |
○ | 今後、被保険者・受給者の範囲の拡大に関連した制度改正を実施するとした場合には、相当な準備が必要である。また、制度の持続可能性を維持する観点から、現行の介護保険制度下においても給付の効率化・重点化などの改革に早急に取り組む必要がある。 |
○ | 一方、政府の基本方針(「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」)においては、社会保障制度全般について一体的な見直しを開始し、平成17年度及び平成18年度の2年間を目途に結論を得ることとされているところであり、介護保険制度の普遍化については、こうした動向も十分に踏まえる必要がある。 |
○ | したがって、介護保険制度の普遍化に関しては、これらの状況を踏まえ、円滑な制度改革を図ることが重要であり、社会保障制度の一体的見直しの中で、その可否を含め国民的な合意形成や具体的な制度改革案についてできる限り速やかに検討を進め、結論を得ることが求められる。 |
1.はじめに |
○ | 介護保険制度における被保険者・受給者の範囲の拡大については、本部会が本年7月30日にとりまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」において、これまでの経緯及び問題の所在について次のように整理したところである。 |
「介護保険制度の見直しに関する意見」(平成16年7月30日)
*一部省略等の上抜粋
(1)介護保険制度をめぐる議論
(2)障害者施策をめぐる動向
(1)介護保険制度との関わりにおける問題
(2)障害者施策との関わりにおける問題
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○ | 本部会では、こうした「これまでの経緯」と「問題の所在」を踏まえ、また、その後これまでの間に公表・提出された「給付の重点化・効率化を行った場合の給付費及び第1号保険料の見通しに関する試算」や「被保険者・受給者の範囲の拡大を行った場合の保険料の見通しに関する試算」等の資料も参考に、本年9月以降、5回(第17回~第21回)にわたり議論を重ねてきた。 |
○ | 議論の中では、(1)介護保険制度を要介護となった理由や年齢の如何を問わず介護サービスを提供する普遍的な制度へと見直すことについてどう考えるかという点と、(2)制度の普遍化に向けて被保険者・受給者の対象年齢を引き下げるとした場合にどのような制度設計上の検討事項があるかという点が、大きな論点となった。 以下、この整理に沿って本部会での検討結果をとりまとめる。 |
2.本部会での検討結果 |
(1) | 介護保険制度を普遍的な制度へと見直すことについて |
○ | 現行の介護保険制度では、40歳未満の者についてはそもそも制度の対象外であるが、40歳から64歳までの者についても、保険料負担を高齢者と同等の水準で行いながら、給付は「老化に起因する疾病(特定疾病)」を原因とする場合に限定されており、65歳以上の者と比べて受給要件に差が設けられている。 したがって、現行の制度は、給付面から見れば、65歳以上の介護ニーズと40歳から64歳までの老化に伴う介護ニーズに対応するものであり、実質的には「高齢者の介護保険」であると言える。 | ||||||
○ | こうした現行制度に対し、介護保険制度の将来的な在り方としては、要介護となった理由や年齢の如何に関わらず介護を必要とする全ての人にサービスの給付を行い、併せて保険料を負担する層を拡大していくことにより、制度の普遍化の方向を目指すべきであるという意見が多数であった。 | ||||||
○ | 普遍化の方向を目指すべきとする理由は、以下のとおりである。
(なお、こうした理由や考え方については、7月30日の「介護保険制度の見直しに関する意見」においても整理しており、別紙1に再掲。) | ||||||
○ | 一方、被保険者・受給者の範囲の拡大については、極めて慎重に対処すべきであるという意見があった。 | ||||||
○ | 極めて慎重に対処すべきとする理由は、以下のとおりである。
(なお、こうした理由や考え方については、7月30日の「介護保険制度の見直しに関する意見」においても整理しており、別紙2に再掲。) |
(2) | 被保険者・受給者の対象年齢を引き下げるとした場合に制度設計上検討すべき事項について |
○ | 制度の普遍化に向けて被保険者・受給者の対象年齢を引き下げることとした場合に、今後検討すべき事項として、 (給付に関する論点)
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○ | これらについて、別紙3の「被保険者・受給者の範囲の拡大に関する制度設計上の論点」に基づいて論議を行った。各論点に関する意見は、概ね以下のとおりであった。 (給付に関する論点)
(負担に関する論点)
(施行方法・時期に関する論点)
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3.今後の進め方 |
○ | 本年9月以降、被保険者・受給者の範囲の拡大を巡り、本部会においては、精力的に審議を行ってきたが、その検討結果については、前述のとおりである。 |
○ | 今後、被保険者・受給者の範囲の拡大に関連した制度改正を実施するとした場合には、相当な準備が必要である。また、制度の持続可能性を維持する観点から、現行の介護保険制度下においても給付の効率化・重点化などの改革に早急に取り組む必要がある。 |
○ | 一方、政府の基本方針(「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」)においては、社会保障制度全般について一体的な見直しを開始し、平成17年度及び平成18年度の2年間を目途に結論を得ることとされているところであり、介護保険制度の普遍化については、こうした動向も十分に踏まえる必要がある。 |
○ | したがって、介護保険制度の普遍化に関しては、これらの状況を踏まえ、円滑な制度改革を図ることが重要であり、社会保障制度の一体的見直しの中で、その可否を含め国民的な合意形成や具体的な制度改革案についてできる限り速やかに検討を進め、結論を得ることが求められる。 |
○ | 介護保険制度においては、事務の効率化を図るため、制度施行時に国が様式や事務フローを提示した上で、指定事業者の管理、被保険者の管理、介護報酬の審査支払業務など、事務の電子化が図られているところである。 | |||||||||||||||||||||
○ | 現在、介護保険制度施行後5年を目途とした見直しを行っているところであるが、将来にわたって制度の持続可能性を確保するため、給付内容等に変更が加えられる予定である。また、制度の理念を徹底し、より質の高いサービスを提供するため、保険者の機能・権限を大幅に強化することが検討されている。 | |||||||||||||||||||||
○ | このため、介護保険関係システムに対し、改正内容を反映させるための改修を行い、改正後の制度運営を適正かつ円滑に実施する必要がある。
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○ | 主な改修項目 【都道府県システム】
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○ | システム改修予算の概要
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