3. | 医薬品・医療機器の承認審査等 |
(1) | 医薬品・医療機器の承認審査 |
現状 |
(1) | 審査体制等 |
○ | 以下の取組により、平成12年4月以降に申請される新医薬品の承認審査期間
(標準的事務処理期間)を12か月としている。
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○ | 医薬品・医療機器の優先審査等について、平成16年2月に「優先審査制度等に関する検討会」において、優先審査品目及び優先的な治験相談品目選定の考方が最終報告書としてとりまとめられた。これを受けて、適応疾病の重篤性と療上の有用性とを総合的に評価して、優先審査及び優先的な治験相談に係る品の選定を行っており、平成16年2月から平成17年1月までに2成分8品目対象とされている。 |
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○ | 新医薬品の承認時点における有効性・安全性の評価等に関する十分な情報を迅速に医療関係者等に提供することにより、当該医薬品の適正使用を推進するた全ての新医薬品について、審査報告書に当該医薬品の試験成績等をとりまとめ資料を加えた「新薬承認情報集」を作成し、承認後に公表している。 |
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○ | 新医薬品、新医療用具等の審査の滞留を防止し、審査の迅速化を図るため、平成16年6月4日付で承認申請に係る取下げに関し、申請の取下げを依頼する由や取下げ後再申請された場合のタイムクロック等の取扱いを示した。 |
(2) | 医薬品の承認状況 |
○ | 平成16年は新医療用医薬品として新有効成分15成分を承認した(平成16年11月末現在)。 |
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○ | 新医薬品の承認申請のための試験の標準的方法として、次のガイドラインを平成16年に公表した。(http://www.nihs.go.jp/dig/ich/ichindex.html)
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(3) | 抗がん剤併用療法に関する検討会について |
○ | 「がん」の治療法として、学会等でも複数の抗がん剤の併用療法が有効であるとされている。しかしながら、薬事法で承認された抗がん剤であっても、がんの種類等によっては効能が承認されていないため、事実上、併用療法に用いることができないものがあるという問題がある。この問題について検討するため、専門家・業界・行政が参加した「抗がん剤併用療法に関する検討会」を設置した。 |
○ | これまで適応外使用に係る抗がん剤の承認申請については、有効性及び安全性に関するエビデンスの収集などを関係企業の自主的な努力に依存してきたが、がん治療の社会的な重要性に鑑み、検討会が収集したエビデンスを用い、薬事・食品衛生審議会での事前評価を行うなど、産官学が共同して併用療法に必要な抗がん剤の効能の取得を迅速に進めている。 |
○ | 併用療法に使用される抗がん剤で、薬事法上の適応がないもののうち、有効性に十分なエビデンスがあるとされているもののうち、いわゆる第1バッチの15報告書が検討会で了承され、平成16年5月及び8月の薬食審医薬品第二部会の事前評価を経てその全てが承認申請された。(平成16年11月29日には第一号としてパミドロン酸ニナトリウムの乳がんの骨転移の効能が承認)また、第2バッチの5報告書も検討会で了承されている。 |
○ | これらのうち、平成16年11月29日にパミドロン酸二ナトリウム製剤の乳がんにおける骨転移に係る効能が承認されている。 |
(4) | 臨床評価ガイドラインの公表 |
○ | 平成16年度中に関係学会の協力の下、抗狭心症薬の臨床評価ガイドラインを 策定し、通知(平成16年5月12日付薬食審査発0512001号)として発出 した。 |
過去5年間の新医薬品承認状況(新有効成分数) |
年次 | 製造 | 輸入 | 合計 |
12年 | 10 | 29 | 39 |
13年 | 8 | 15 | 23 |
14年 | 7 | 17 | 24 |
15年 | 3 | 12 | 15 |
16年 | 5 | 10 | 15 |
年次 | 製造 | 輸入 | 合計 |
12年 | 3 | 10 | 13 |
13年 | 2 | 4 | 6 |
14年 | 6 | 4 | 10 |
15年 | 3 | 14 | 17 |
16年 | 0 | 2 | 2 |
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(5) | 医療機器の承認状況 |
○ | 平成16年は、新医療用具として2件を承認した(平成16年11月末現在)。 |
平成17年以降について |
○ | リスクの低い医療用具については、「規制改革推進3カ年計画」(平成13年3月30日閣議決定)に示されている考え方に基づき、平成17年4月1日より第三者認証制度を導入することとし、厚生労働大臣による承認から第三者認証に移行する。第三者認証機関が備えるべき要件を通知した他、医療機器が満たすべき基本要件の整備、個別の医療機器に関する認証基準等の整備を進める。 |
○ | 改正薬事法の施行により、医療用具の承認(認証)審査を、医療機器として満たすべき要件等についての適合性判断を行う方法に変更する予定。 同時に、従来の「新医療用具」「改良医療用具」「後発医療用具」の医療用具の区分を、「臨床試験の有無」「承認(認証)基準の有無」による区分に変更する予定。審査手数料・審査手続き・申請資料等につき、それぞれの区分に応じて定める予定。 |
○ | 欧米諸国で承認されているが、国内では未承認の医薬品について、(1)確実な治験の実施、(2)医師主導治験の支援体制の整備、及び(3)追加的治験の導入等に取り組む。 |
○ | その際、患者の切実な要望に迅速かつ的確に対応する観点から、専門家からなる検討会を設置し、(1)欧米諸国での承認状況及び学会・患者要望を定期的に把握し、(2)臨床上の必要性と使用の妥当性を科学的に検証するとともに、(3)国内未承認薬について確実な治験実施につなげる。 |
○ | また、医薬品の多くで、小児のための用法・用量が明確でなく、使用上の注意において「安全性が確立していない」等とされているため、小児への使用が制限されている状況にある。このため、学会や医療機関等と連携して処方情報や文献情報を収集・解析し、使用法の評価・整理を行い、製薬企業に承認申請等を指導する(5年間で約100薬剤)。 |
○ | 改正薬事法の4月施行を控え、ドラッグマスターファイルの登録制度、承認書の製造方法欄の記載整備等に関する取扱いを通知する予定である。また、改正薬事法第49条第1項の規定に基づき厚生労働大臣の指定する医薬品(処方せん医薬品)に係る告示や新たに設定が必要な審査等の手数料について整備を進める。 なお、これまで都道府県知事を経由することとされていた医薬品等の承認申請等については、法施行をもって廃止となる。 |
(2) | 生物由来医薬品・医療機器等の品質及び安全性確保対策 |
(1) | ヒト・動物由来の医薬品等の対策 |
現状 |
○ | 平成15年7月30日付けで改正薬事法に新たに規定された生物由来製品に関する規制が施行された。これにより、製品の感染症伝播のリスクに着目し、約1000品目が生物由来製品に指定された(うち特定生物由来製品約280品目) |
○ | 平成15年10月30日施行の法第42条の規定による「生物由来原料基準」においては、指定生物由来製品のみならず、すべての医薬品、医療機器、医薬部外品、化粧品の原料に用いるドナー及び原材料に関しての最低限遵守すべき感染症防止の観点からの適格性の要件が規定され、製造・販売等の各段階においてその適合を求めている。 |
○ | ヒトや動物の細胞・組織から構成される医薬品や医療機器(細胞・組織利用医薬品等)については、人工培養皮膚や人工培養軟骨、分離や増殖を行った幹細胞トランスジェニック動物を用いた移植用臓器などの開発が進展している状況にも対応する必要がある。 |
○ | これまでも、ヒト又は動物由来原料を使用する医薬品・医療機器等については品質及び安全性を確保するため、製造・輸入業者に対し、平成12年12月の中央薬事審議会バイオテクノロジー特別部会(以下「特別部会」という。)でまとめられた「基本的考え方」に基づき、自主点検を行い、承認書の整備に係る一部変更承認申請を指導してきた。 |
○ | また同時に、特別部会でまとめられた「ヒト由来細胞・組織加工医薬品等の品質及び安全性の確保に関する指針」(以下「指針」という。)において、ヒト由来の細胞・組織を加工した医薬品又は医療機器の品質及び安全性の確保のために必要な基本的要件等を定め、当該医薬品等が本指針に適合していることの確認を製造業者等に義務づけたところである。 |
○ | 平成15年5月20日に生物由来原料基準が告示されたことに伴い、生物由来原料基準への適合性を新たに確認するべき品目について、本基準への適合を明確にするための一部変更承認申請を指導してきた。 |
○ | 生物由来製品の製造業者・輸入業者(原薬を取扱う者も含む。)については、生物由来製品製造管理者の設置を義務づけているところ。 |
○ | 生物由来製品の原材料から使用までのトレーサビリティー確保のため、製造記録及び流通記録の保管を製造業者等に義務づけているところ。 |
○ | 特定生物由来製品においては、医療機関における記録の保管を20年間義務づけているところ。 |
都道府県への要請 |
○ | 生物由来原料基準を確実に遵守するよう、今後も貴管下関係業者に対して指導方お願い致したい。 |
○ | 製造、流通の各段階での記録の保管について徹底されるよう貴管下関係業者に対して指導方お願い致したい。 |
○ | 特定生物由来製品の医療機関での使用記録の取扱いにおいて、医療機関廃業時の取扱いについて患者の不利益になることのないよう、適切に対応いただきたい。 |
(2) | 医薬品等に係るBSE対策について |
現状 |
○ | 平成16年7月厚生労働省告示第262号をもって、薬事法第42条「生物由来原料基準」の一部を改正した。主な趣旨は次のとおり。
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都道府県への要請 |
○ | 上記基準改正に伴う医薬品、医療機器等の原材料の切り替え等について、経過措置期間までに対応が遺漏なく行われるよう、貴管下関係企業への十分な周知・指導等をお願い致したい。 |
(1) | 抗菌薬の再評価結果 |
現状 |
○ | 平成16年9月30日に開催された薬事食品衛生審議会薬事分科会での審議を経て、同日付で抗菌薬再評価結果を通知し、適応症や適応菌種の読替え及び一部削除を行った。また、再評価結果に基づき適応菌種等の読替えが必要となる有効成分等の範囲及びその取扱いについて通知した。 これに伴い、今回の再評価結果等に基づく一変申請(読替え一変申請も含む。)及び適応症の追加のための一変申請を行うこととした。 |
平成17年以降について |
○ | およそ900品目に及ぶ一変申請に対し、進達事務等の円滑な処理が行われたことについて、お礼を申し上げる。 一変申請品目は、現在、年度内の承認に向けて優先的に審査を行っているところである。 |
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○ | 引き続き、国内外の情勢を踏まえ、再評価制度による有用性確認を行う必要があるものを、随時、指定し、再評価を進めていく。それとともに、近年、エビデンスに基づく診療ガイドラインの整備等に伴い、薬事法上の効能効果との違いが注目されてきており、再評価制度を、薬事法上の承認内容を医療の実情に即したものとしていくための制度に再構築していく。 |
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○ | 今後、予算事業として、
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(2) | 品質再評価の状況 |
現状 |
○ | 医薬品の品質再評価については、平成7年4月以降に申請された医療用内服固型製剤の医薬品について、溶出規格の設定を行うこととし、当該医薬品の後発品について、既承認品目(先発品)との有効成分の同一性に加え、溶出性の同一性についても確認した上で承認することとしている。平成7年4月以前に申請された内服用医薬品についても品質の信頼性を確保するため、平成10年度より品質再評価を着実に実施している。 |
○ | 平成15年8月の時点で予試験を行う対象である全857成分の指定が計画どおり終了し、各成分ごとに予試験の通知、再評価の指定、公的溶出試験(案)の通知に係る作業ステップを進め、順次、溶出試験規格を策定しているところである。 |
○ | これまで21回にわたり結果を公表している(合計:394成分・処方、882規格、3381品目)。また、結果通知の都度「医療用医薬品品質情報集(日本版オレンジブック)」を公表するとともに、品目リストをインターネット(医薬品情報提供システムhttp://www.pharmasys.gr.jp/)において公開している。結果として、平成16年12月時点で全指定対結果成分数比で約46%について品質再評価が終了している。 |
平成17年以降について |
○ | 引き続き、品質再評価結果を通知することにより、溶出試験規格の策定を順次進めていくこととなるが、予試験等で溶出試験の条件や溶出規格の設定が困難なもの、溶出試験等の設定に時間を要している成分・品目については、その原因を類型化し調べているところであり、溶出試験の設定が困難なものとして結果を出すことも含めて検討中である。 最終的には、平成18年度を目途に品質再評価を終了する予定である。 |
都道府県への要請 |
○ | 品質再評価の円滑な処理のため、申請期限後できるだけ速やかな進達に努めていただくようお願いするまた、業者が期限に遅れて申請し、又は申請を失念することなどのないよう適切な指導をお願いしたい。 |
○ | また、品質再評価の結果については、上述のように適宜情報提供しているところであるが、今後、ジェネリック医薬品とその品質確保についてさらに周知することとしている。ついては、各都道府県におかれても、周知につき協力をお願いしたい。 |
○ | 品質再評価にあたっては、国立医薬品食品衛生研究所及び10都府県(埼玉県、東京都、神奈川県、富山県、静岡県、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、福岡県)の衛生研究所の御協力を得て溶出試験規格を策定しているところであり、お礼申し上げたい。 |
○ | さらに、国立医薬品食品衛生研究所及び10都府県の衛生研究所におかれては引き続き、溶出試験規格の策定に協力をお願いしたい。 |
(1) | 医薬品 |
現状 |
○ | 新医薬品の承認審査関連規制については、「日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)」において、日、米、EUの規制当局及び産業界代表が参加して、調和が進められている。 |
○ | 既存のガイドラインの一部改正を含め、これまでに56のガイドラインが作成され国内規制として取り入れられている。 |
○ | 平成16年11月には、横浜において、ICH運営委員会/専門家作業部会が開催され、新たに、「バイオテクノロジー応用医薬品の製法変更後の同等性比較(バイオコンパラビリティー)」と「医薬品安全性監視の計画」の2つのガイドラインが最終合意に達した。 |
○ | ICHにおいては、今後も、開発から市販後までの一貫した安全対策、バイオテクノロジー応用医薬品や遺伝子治療用医薬品等の新技術、GMPを含む医薬品の品質システム、コモン・テクニカル・ドキュメント(CTD)の運用と電子化関係等の討議が引き続き行われる。 |
都道府県への要請 |
○ | 平成15年7月1日より、CTDに基づく新医薬品の承認申請資料の提出が適用されており、また、平成17年4月1日以降に行われる新医薬品の承認申請については電子化コモン・テクニカル・ドキュメント(eCTD)を適用することとなっているので、関係業者に対し指導方ご配慮願いたい。 |
○ | また、「「新医薬品の製造又は輸入の承認申請に際し承認申請書に添付すべき資料の作成要領について」の一部改正について」、「「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様について」の一部改正について」「コモン・テクニカル・ドキュメントの電子化仕様の取扱いについて」が施行されたので、これらについても円滑な運用に努められたい。 (ICHガイドラインと関連情報はhttp://www.nihs.go.jp/dig/ich/ichindex.html) |
(2) | 医療機器 |
現状 |
○ | 医療機器規制の国際的調和については、「医療機器規制国際整合化会合(GHTF)」において、日、米、EU、加及び豪の規制当局及び産業界代表が参加して進めており、平成16年6月には、フランス共和国パリ市においてGHTF運営委員会が開催されたところである。 |
○ | 今後のGHTF活動として、技術的共通のデータ(コモン・データ)の受け入れに係る調和・収束を図ること、各国の査察報告書の交換に関する議論を進めること、臨床評価に関する調和の議論を進めること、ISD等との標準化のための調和を図ること等が合意されている。 |
○ | 日米間の二国間協力として、広く世界的に開発される医療機器について、治験相談の段階からの共同作業を循環器治療機器につき試験的に進めている。 |
平成17年以降について |
○ | GHTFにおいて合意された文書は、順次、国内規制に活用していく方針であり、特に「医療機器のクラス分類」、「医療機器の基本要件」、「技術文書概要(STED)」等は、改正薬事法に導入済みである。これらガイドラインにあっては、GHTFのホームページ「http://www.ghtf.org」に掲載されているので都道府県においても参考にされたい。 |