利用者負担の上限額管理方法について


平成17年12月26日(月)

 今後の検討により、内容等に変更が生じることがありうる。

厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部
障害保健福祉改革推進室



18年4月以降の利用者負担の上限額管理方法について

新たに利用者負担の上限額管理を行う「上限額管理者」を位置づける。

上限額管理者は以下のとおりとする。

  施設入所者
入所施設のサービス管理責任者が利用者負担の上限額管理を行う。
(管理責任者の業務として位置づける。)
 ※ 9月までは日中活動サービスの外部利用を併せて受けることはないため、基本的には対応は不要。

グループホーム、ケアホーム入居者
グループホーム、ケアホームのサービス管理責任者が利用者負担の上限額管理を行う。
(管理責任者の業務として位置づける。)
 ※ 9月までは世話人の業務として位置づける。

在宅生活者
利用者は、上限額管理を行う事業者を選定して市町村に届け出る。
なお、上限額管理は、市町村が行うことも可能。
(事業者に受諾義務を課すとともに必要に応じ報酬上の評価を行う方向で検討中)
 ※ 支給決定時に利用者負担上限月額を超える見込みがあるとして市町村が認定した者に限る。



上限額管理の基本的な仕組み

 上限額管理者は、あらかじめ、対象者の利用する個別給付(日中活動サービスや居宅サービス)の利用予定状況を把握する。

 上限額管理者は、月末段階で、各サービス提供事業者から利用実績及び定率負担相当額を把握し、整理する。

 ※  サービス提供日順による整理を原則とするが、事業者及び対象者の同意があれば、入所施設やグループホーム分を先に支払う方法や、月の利用実績額に応じて按分する方法も可能。
(国保連の支払システムにおいては、提供日順による整理により構築する方向で検討)

 上限額管理者は、対象者に確認を取ったうえで市町村に結果を集約して送付する。

 市町村は、上限額管理者の集約結果を前提として審査支払を行う。

18年4月から9月まで上限額管理者になれる者
在宅生活者の場合
ホームヘルプサービス事業者、通所施設、障害者デイサービス事業者、児童デイサービス事業者



18年4月から9月までの【在宅生活者】
利用者負担の上限額管理事務標準処理及び様式例


今後、事務内容については、詳細を再度提示する予定。
あわせて、グループホーム世話人の事務、18年10月以降の事務についても提示する。



利用者負担上限管理事務【支給決定から管理者の設定まで】

支給決定月又は支給量変更決定月

 市町村は支給決定時又は支給量変更決定時に、決定支給量を金額換算して、利用者負担について上限額を超えると見込まれるものについては、上限額管理を行う必要があると判断して、受給者証予備欄に「利用者負担上限額到達見込者」と印字した受給者証と「上限額管理依頼届出書」を交付する。

 「上限額到達見込者」と認定された者(以下「認定者」という。)は、2以上のサービス事業所と利用契約を締結したときに、いずれかのサービス事業所に上限額管理の依頼を行うことができる。

 認定者より依頼を受けた事業所は、「上限額管理依頼届出書」の事業者記入欄に必要事項を記載して、認定者に交付し、受給者証より、認定者にサービス提供を実施している事業所を把握する。

 認定者は、市町村に「上限額管理依頼届出書」、「受給者証」を提出する。

 市町村は、提出された書類を確認して、受給者証に上限額管理者名を追記して、受給証を再交付する。

 再交付を受けた認定者は、受給者証に上限額管理者名を確認する。

 認定者は、上限額管理者に受給者証に上限額管理者名が記載されたことを報告する。

 上限額管理者は、他の事業者に認定者の上限額管理者となったことを連絡する。

 認定者が、事業者に上限額管理を依頼を行うのは、利用者負担分の償還給付分を現物給付とすることが目的である。
 従って、認定者が、管理依頼を行わず利用者負担額が上限を超えた際には、高額障害福祉サービスと同様に、市町村に利用者負担額の償還給付の申請を行い、市町村から金銭給付が行われることとなる。



利用者負担上限管理事務フロー【支給決定から上限額管理者の設定まで】

利用者負担上限管理事務フロー【支給決定から上限額管理者の設定まで】の図



利用者負担上限管理事務【上限額管理者の変更時等】

管理者が決まった後に、新たにサービス事業者と契約を締結した場合

 認定者は、新たにサービス契約を締結を行う場合、受給者証を提示して、上限額管理を依頼していることを伝える。

 サービス契約を締結した事業者は、受給者証に記載されている上限額管理者を確認して、当該上限額管理者に連絡する。

月の途中で上限額管理を依頼する事業所を変更する場合

 認定者は、上限額管理を依頼する事業者を変更する時は、事前に現に管理を行っている事業者に変更する旨を伝える。

 認定者は、新たに上限額管理を依頼する事業者に、受給者証を提示して上限額管理を依頼する。

 新たに依頼を受けた事業者は、「上限額管理依頼変更届出書」の事業者記入欄に必要事項を記載して、認定者に交付し、受給者証より、認定者にサービス提供を実施している事業所を把握する。

 認定者は、市町村に「上限額管理依頼変更届出書」、「受給者証」を提出する。

 市町村は、提出された書類を確認して、受給者証に上限額管理者名を訂正して、受給者証を再交付する。

 再交付を受けた認定者は、受給者証に新たな上限額管理者名が記載されたことを確認する。

 認定者は、新たに依頼した上限額管理者に受給者証に上限額管理者名が記載されたことを報告する。

 新たな上限額管理者は、他の事業者に認定者の上限額管理者となったことを連絡する。



利用者負担上限管理事務【サービス提供報告から支払まで】

サービス提供月末

 サービス事業者は、サービス提供月末に「サービス提供報告書」を作成して、上限額管理者に提供する。

サービス提供翌月

 上限額管理者は、サービス事業者が提出した「サービス提供報告書」を集計し、「利用者負担上限月額管理票」を作成する。

 上限額管理者は、認定者に「利用者負担上限月額管理票」の内容確認を求める。

 認定者は、上限額管理者より提示された「利用者負担上限月額管理票」の内容を確認し、署名を行う。

 上限額管理者は、「利用者負担上限月額管理票【署名入】」をサービス事業者に提供する。

 上限額管理者及びサービス事業者は、「利用者負担上限月額管理票【署名入】」に基づいて、請求書を作成する。

 上限額管理者は、「利用者負担上限月額管理票【署名入】」と請求書等を市町村に提出する。

 サービス事業者は、請求書等を市町村に提出する。

 市町村は、利用者負担額の審査には、上限額管理者より提出された「利用者負担上限月額管理票【署名入】」と請求書との内容を確認して、障害福祉サービス費の支払いを行う。

 サービス事業所からの請求書等をすべて磁気媒体により提供を受けている自治体等の場合、市町村等に提出される「利用者負担上限額管理票」データも磁気化されることが予測される。
 その場合は、「管理票」の原本【署名入】を管理者が保管することとし、後日、市町村が監査等で原本確認が可能な状態としておく。



利用者負担上限管理事務フロー【サービス提供報告から支払まで】

利用者負担上限管理事務フロー【サービス提供報告から支払まで】の図



サービス事業所の介護給付費等請求事務スケジュール

18年4月以降   介護給付費等及び利用者負担額の請求・徴収の標準的時期

サービス提供月末   管理者あて 利用者負担上限月額到達者サービス提供報告書 送付

サービス提供翌月
 5日前後   管理者より 利用者負担上限月額管理票 受領
 10日 市町村あて 介護給付費等請求書 作成
 10日~25日 利用者あて 利用者負担請求書・口座振替依頼書 作成
 月末 市町村より 施設訓練等支援費 受領
 25日~翌15日 利用者より 利用者負担 受領

サービス提供翌々月末   市町村より 介護給付費等 受領

現行   支援費及び利用者負担額の請求・徴収の標準的時期

サービス提供翌月
 10日   市町村あて 支援費請求書 送付
 10日~25日 利用者あて 利用者負担請求書・口座振替依頼書 送付
 月末 市町村より 施設訓練等支援費受領
 25日~翌15日 利用者より 利用者負担受領

サービス提供翌々月末   市町村より 居宅生活支援費受領



利用者負担上限月額管理事務において使用する様式例

 利用者負担上限額管理依頼(変更)届出書 (利用者⇒市町村)

 届出書の提出により、下記のことを確認する。

 (1)  市町村は、上限額管理者を確認する
 (2)  上限額管理者の承諾を確認する。
 (3)  利用者よりサービス事業者が上限額管理者へ自己のサービス提供に関する情報を提供することの同意を確認する。

利用者負担上限額管理依頼(変更)届出書の図

市町村に提出する際には、必ず受給者証を添付します。


 利用者負担上限月額到達者サービス提供報告書(サービス事業者⇒上限額管理者)

 サービス事業者は、サービス提供月末に左記報告書を作成して、上限額管理者に情報を提供する。

 この報告書の提出は、「利用者負担上限管理依頼届出書」により、利用者より事前に同意を得ているものである。

利用者負担上限月額到達者サービス提供報告書の図

 上限額管理者は、サービス提供報告書の情報を、下記のデータ処理シート等を使用して、提供情報を集計していく。

サービス提供データ処理シート
サービス提供データ処理シートの図


上限額管理者の利用者負担一覧表の作成について

 1  他事業者より提出されるサービス提供報告書を、(1)サービス提供日順、(2)サービス提供時間順に、提供データを並び替える。
 2  並び替えを行った後に、サービス提供順に利用者負担額を確定させて、上限額に到達した以降は、利用者負担額を0円で確定させる。
 3  この処理で確定させた額を「利用者負担上限管理票」に転記する。

サービス提供データ処理方法
サービス提供データ処理方法の図
 説明資料は、10円単位だが、実際は1円単位の処理となる。



3 利用者負担上限月額管理票

 ┤


(上限管理者→利用者)
(上限管理者→サービス事業所)
(上限管理者→市町村)

 上限額管理者は「月額管理票」を作成した後、

(1)  利用者に、サービス内容の確認を求め、確認後利用者より署名をもらう。
(2)  「サービス提供報告書」を提供した事業者に、「月額管理票【署名入】」を送付する。
(3)  市町村に請求書と共に「月額管理票【署名入】」を提出する。

利用者負担上限月額管理票の図



利用者負担上限額到達見込者の選定方法

 市町村は、利用者負担額が、決定支給量の金額換算を行い、利用者負担額が上限額に到達する見込みのあるものについては、上限月額の管理が必要と判断して、受給者証備考欄に「上限額到達見込者」である旨を記載するが、対象者の選定は下記のとおりである。

低所得1
低所得2
一般
 15,000円 < 支給決定量(金額換算) × 1/10
 24,600円 < 支給決定量(金額換算) × 1/10
 37,200円 < 支給決定量(金額換算) × 1/10


├→

上限額到達者

 支給量を金額換算する際は、概算額を算出する必要があるが、算出は支給量決定を行う際に、市町村が利用者よりサービス利用意向を確認した時間をもとに、換算を行う。

例: 支給申請時に下記の時間の利用希望を受けて、支給決定を行った場合
  身体介護 1日 午前1時間 午後1時間 ⇒ 1日(2H)×31日=62h  身体介護 62時間

  単純に支給量に時間単価を掛けたものではなく、支給決定の基礎となった時間をもとに、金額換算を行う。
身体介護(1時間:5,025円)×2×31日=311,550円
参考: 身体介護(2時間8,338円)×31日=258,478円

 上限額到達見込みではないのに、上限額を超えた者については、高額障害福祉サービスと同様の方法で償還払で対応する。(事実が発覚次第、「上限額到達見込者」とする。)



金銭換算ルール【平成18年4月から9月まで】

 居宅介護〔行動援護含む〕
 居宅介護の報酬設定は、おもに、日中、夜間早朝、深夜の三段階で設定されている。
 居宅介護の利用時間は早朝(6時から8時まで)、夜間(18時から22時まで)の時間帯利用を多いことが予測されるため、夜間早朝に提供される基準額をもとに利用額を算出する。

 外出介護
 移動介護の利用時間は通常日中の時間に想定されるため、日中に提供される基準額をもとに利用額を算出する。

 障害者デイサービス
 施設規模により、基準額が大きく異なるため、支給決定時に把握している利用先の基準額をもとに利用額を算出する。

 短期入所
 支給決定時の障害種別基準額をもとに利用額を算出する。

 通所施設
 支給決定時の把握している通所先の基準額をもとに利用額を算出する。

 支給決定時に加算等を計上した際には、加算も含む。

 その他、サービス利用実態を市町村で把握して、上記算出方法と利用実態が明らかに異なる場合、実態に合わせて適宜算出することとする。



例1: 支給決定量 低所得2(24,600円)
 居宅介護   (身体介護10時間、家事援助12時間)
 外出介護 (身体介護を伴う:20時間)
 障害者デイサービス (身体障害:区分1:12日間)
 短期入所 (知的障害:区分1:5日間)

居宅介護  69,190円

  身体介護 週1回×2時間×5週=10時間
 8,338円(2時間未満、夜間早朝)×5=41,690円
家事援助 週2回×1.5時間×5週=12時間
 2,750円(1.5時間未満、夜間早朝)×2×5=27,500円

外出介護  54,100円

  週1回×4時間×5週=20時間
9,990円(4時間未満、日中)×5=54,100円

障害者デイサービス  90,720円

  身体単独(I)6時間以上:区分1)×12日
 7,560円×12日=90,720円

短期入所  39,250円

  知障1日:区分1)×5日
 7,850円×5日=39,250円






















→ 居宅介護  69,190円
外出介護  54,100円
障害者デイサービス  90,270円
短期入所  39,250円
合計  252,810円

↓
利用者負担上限 < 支給量概算額×1/10
↓
「利用者負担上限額到達者」と認定する


例2: 支給決定量 低所得2(24,600円)
 居宅介護   (身体介護10時間、家事援助12時間)
 外出介護 (身体介護を伴う:20時間)
 障害者デイサービス (身体障害:区分1:12日間)
 短期入所 (知的障害:区分1:5日間)

居宅介護  69,190円

  身体介護 週1回×2時間×5週=10時間
 8,338円(2時間未満、夜間早朝)×5=41,690円
家事援助 週2回×1.5時間×5週=12時間
 2,750円(1.5時間未満、夜間早朝)×2×5=27,500円

外出介護  54,100円

  週1回×4時間×5週=20時間
9,990円(4時間未満、日中)×5=54,100円

障害者デイサービス  40,440円

  身障単独(II)6時間以上:区分1)×12日
 3,370円×12日=40,440円

短期入所  39,250円

  知障1日:区分1)×5日
 7,850円×5日=39,250円






















→ 居宅介護  69,190円
外出介護  54,100円
障害者デイサービス  40,440円
短期入所  39,250円
合計  202,980円

↓
利用者負担上限 > 支給量概算額×1/10
↓
「利用者負担上限額到達者」とならない


例3: 支給決定量 低所得1(15,000円)
 居宅介護   (身体介護10時間、家事援助12時間)
 障害者デイサービス (身体障害:区分1:12日間)
 短期入所 (知的障害:区分1:5日間)

居宅介護  69,190円

  身体介護 週1回×2時間×5週=10時間
 8,338円(2時間未満、夜間早朝)×5=41,690
家事援助 週2回×1.5時間×5週=12時間
 2,750円(1.5時間未満、夜間早朝)×2×5=27,500円

障害者デイサービス  56,040円

  身体併設(I)6時間未満:区分1)×12日
 4,670円×12日=56,040円

短期入所  39,250円

  知障1日:区分1)×5日
 7,850円×5日=39,250円

















→ 居宅介護  69,190円
障害者デイサービス  56,040円
短期入所  39,250円
合計  164,480円

↓
利用者負担上限 < 支給量概算額×1/10
↓
「利用者負担上限額到達者」と認定する


例4: 支給決定量 低所得2(24,600円)
 居宅介護   (身体介護30時間、家事援助15時間)
 短期入所 (知的障害:区分1:5日間)

居宅介護  153,765円

  身体介護 (2時間×3回)×5週=30時間
 8,338円(2時間未満、夜間早朝)×3×5=125,070円
家事援助(1時間×3回)×5週=15時間
 1,913円(1時間未満、夜間早朝)×3×5=28,695円

短期入所  39,250円

  身体1日:区分1)×5日
 7,900円×5日=39,250円











例において、基準額は告示額を使用しているが、実際の事務では
→ 居宅介護  153,765円
短期入所  39,250円
合計  193,265円

↓
利用者負担上限 > 支給量概算額×1/10
↓
「利用者負担上限額到達者」とならない


例5: 支給決定量 低所得2(24,600円)
 居宅介護   (身体介護10時間、家事援助12時間)
 外出介護 (身体介護を伴う:20時間)
 短期入所 (知的障害:区分2:5日間)
 身障通所授産  (区分B)

居宅介護  69,190円

  身体介護 週1回×2時間×5週=10時間
 8,338円(2時間未満、夜間早朝)×5=41,690円
家事援助 週2回×1.5時間×5週=12時間
 2,750円(1.5時間未満、夜間早朝)×2×5=27,500円

外出介護  54,100円

  週1回×4時間×5週=20時間
9,990円(4時間未満、日中)×5=54,100円

短期入所  39,250円

  知障1日:区分1)×5日
 7,850円×5日=39,250円

身障通所授産  88,500円

  身障入所施設での通所:区分B)×○○日
 ○,○○○円×○○日=88,500円






















→ 居宅介護  69,190円
外出介護  54,100円
短期入所  39,250円
身障通所授産  88,500円
合計  251,040円

↓
利用者負担上限 < 支給量概算額×1/10
↓
「利用者負担上限額到達者」と認定する

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